JP5885338B2 - 太陽電池モジュール及び太陽光発電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池モジュール及び太陽光発電装置に関する。
導光体の端面に太陽電池素子を設置し、導光体の内部を伝播した光を太陽電池素子に入射させて発電を行う太陽光発電装置として、特許文献1に記載の太陽エネルギー変換器が知られている。この太陽エネルギー変換器は、導光板内に入射した太陽光によって蛍光体を発光・導光させ、端面に設置された太陽電池に伝播させることで発電している。
また、特許文献2には、蛍光塗料を透明板に分散させた集光板を複数枚積層した平面集光器であって、光が入射する側に近い集光板ほど蛍光染料の吸収波長を短波長にすることにより、単位面積当りの集光量を多くする構造のものが提案されている。
特開昭58−49860号公報 特開昭63−159812号公報
ところで、特許文献1の太陽エネルギー変換器や特許文献2の平面集光器では、太陽光の集光を目的として蛍光体が用いられているが、蛍光体としては太陽光中のできるだけ多くの波長の光を利用できることが望ましいため、このような性能に優れた有機蛍光体が主に用いられている。
有機蛍光体は、自身の吸収波長成分を太陽光から吸収し、励起状態を経て発光する。この励起状態は活性状態であり、化学反応やエネルギー移動など発光以外の過程を経る確率が大幅に上昇する。すなわち、活性状態(励起状態)では、蛍光体周辺に含まれる微量の水分、酸素、不純物や、場合によっては隣接する自身の分子と反応する可能性が高くなる。このような反応が一旦起こると、蛍光体は別の物質へ変わってしまい、発光効率が大幅に低下するか、もしくは二度と発光しない物質へ変化してしまう。
また、有機蛍光体は、その原子間の結合を解離するエネルギーが紫外光の波長領域にあり、紫外光によって原子間の結合が壊れることで劣化する。劣化後の有機蛍光体分子は、発光する能力を消失してしまう。
したがって、このような有機蛍光体を用いた太陽エネルギー変換器や集光器(太陽光発電装置)では、使用に伴って集光機能が大幅に低下してしまう。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、使用に伴う集光機能の低下を抑制し、長期に渡って優れた集光機能を発揮できるようにした、太陽電池モジュールおよびこれを用いた太陽光発電装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の太陽電池モジュールは、透明基材中に蛍光体が設けられてなり、外部から入射した光を前記蛍光体によって吸収し、該蛍光体から放射された光を内部で伝播させて少なくとも一つの端面から射出させる集光部材と、前記集光部材の前記端面に設置されて前記端面から射出された光を受光して電力を発生する太陽電池素子と、を備え、前記集光部材中の前記蛍光体は、該蛍光体の前記透明基材中での濃度と該蛍光体が発光することで前記集光部材から得られる発光強度との関係において、前記濃度がゼロから増えるに連れて前記発光強度が大きくなる増加範囲を有し、前記透明基材中の前記蛍光体の濃度は、前記増加範囲で前記発光強度が最大となる濃度より高い濃度になっていることを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールにおいては、前記増加範囲の後に、前記濃度が増えても前記発光強度が同じ強度を維持している維持範囲を有し、前記透明基材中の前記蛍光体の濃度は、前記発光強度が極大値をとる濃度より高い濃度になっていることを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールにおいて、前記透明基材中の前記蛍光体の濃度は、濃度消光が起こり始める濃度以上であることを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールにおいては、前記増加範囲における濃度範囲内に、濃度消光が起こり始める濃度が存在することを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールにおいては、前記透明基材中の前記蛍光体の濃度が、0.1体積%を超える濃度であることを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールにおいては、前記蛍光体が、互いに発光スペクトルのピーク波長が異なる複数種類の蛍光体を備えており、前記複数種類の蛍光体のうちの少なくとも一種の濃度が、前記増加範囲で前記発光強度が最大となる濃度より高い濃度になっていることを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールにおいては、前記複数種類の蛍光体の全ての濃度が、前記増加範囲で前記発光強度が最大となる濃度より高い濃度になっていることを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールにおいては、前記複数種の蛍光体のうち最も発光スペクトルのピーク波長が大きい蛍光体から放射された蛍光のみが前記太陽電池素子に受光されることを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールにおいて、前記複数種類の蛍光体のうち最も発光スペクトルのピーク波長が大きい蛍光体の発光スペクトルのピーク波長における前記太陽電池素子の分光感度は、前記集光部材中に設けられた他のいずれの蛍光体の発光スペクトルのピーク波長における前記太陽電池素子の分光感度よりも大きいことを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールにおいて、前記集光部材は、前記蛍光体を含む蛍光層と、該蛍光層の少なくとも一方の側に設けられた透明導光層とを備えてなることを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールにおいては、前記透明導光層が無機化合物からなることを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールにおいては、前記蛍光体が有機蛍光体であることを特徴とする。
本発明の太陽光発電装置は、前記の太陽電池モジュールを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、前記集光部材中の前記蛍光体は、該蛍光体の前記透明基材内の濃度と該蛍光体が発光することで前記集光部材から得られる発光強度との関係において、前記濃度がゼロから増えるに連れて前記発光強度が大きくなる増加範囲を有し、前記透明基材中の前記蛍光体の濃度は、前記増加範囲で前記発光強度が最大となる濃度より高い濃度になっているので、特に前記集光部材の初期における発光強度の低下が抑制される。したがって、この集光部材を有する太陽電池モジュールおよびこれを用いた太陽光発電装置は、長期に渡って優れた集光機能を発揮するようになる。
本発明の太陽電池モジュールの第1実施形態の概略構成を示す斜視図である。 図1の要部側断面図である。 集光板の発光強度の経時変化を示す図である。 集光板の吸光度の経時変化を示す図である。 吸光度の低下とPL強度の低下との関係を示す図である。 蛍光体の濃度とPL強度及び蛍光量子収率との関係を示す図である。 蛍光体の濃度とPL強度との関係を示す図である。 蛍光体の濃度とPL強度及び蛍光量子収率との関係を示す図である。 蛍光体の濃度とPL強度との関係を示す図である。 蛍光体の濃度とPL強度及び蛍光量子収率との関係を示す図である。 蛍光体の濃度とPL強度との関係を示す図である。 吸収スペクトルを示す図である。 太陽光を吸収した後のスペクトルを示す図である。 各種太陽電池の変換効率と波長との関係を示す図である。 本発明の太陽電池モジュールの第2実施形態の概略構成を示す要部側断面図である。 蛍光体の濃度とPL強度及び蛍光量子収率との関係を示す図である。 蛍光体の濃度とPL強度及び蛍光量子収率との関係を示す図である。 蛍光体の濃度とPL強度との関係を示す図である。 太陽光を吸収した後のスペクトルを示す図である。 本発明の太陽電池モジュールの第3実施形態の概略構成を示す模式図である。 太陽光を吸収した後のスペクトルを示す図である。 図20に示した集光板の作用説明図である。 本発明の太陽電池モジュールの第4実施形態の概略構成を示す模式図である。 発光スペクトルの経時変化を示す図である。 蛍光体の分子構造の変化と、各分子構造での吸収スペクトル、発光スペクトルを示す図である。 第3実施形態、第4実施形態の変形例を示す模式図である。 太陽光発電装置の概略構成図である。
以下、本発明を詳しく説明する。なお、以下の図面においては、各構成要素を認識可能な大きさとするために、各構成要素の縮尺を適宜変更している。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る太陽電池モジュールの第1実施形態の概略構成を示す斜視図であり、図2は、図1の要部側断面図である。
図1、図2に示すように太陽電池モジュール1は、矩形板状の集光板2(集光部材)と、集光板2の第1端面2cから射出された光を受光する太陽電池素子3と、集光板2と太陽電池素子3とを一体に保持する枠体4と、を備えて構成されている。
集光板2は、光入射面となる第1主面2aと、第1主面2aと反対の側の第2主面2bと、光射出面となる前記第1端面2cと、その他の端面とを有している。本実施形態では、第1端面2c以外の端面には、反射層5aが設けられている。
この集光板2は、図2に示すようにPMMA等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明性の高い有機材料、もしくはガラスなどの透明性の無機材料からなる透明基材6中に、一種類の蛍光体7を分散させたものである。本実施形態では、透明基材6としてPMMA樹脂を用い、この樹脂中に蛍光体7を分散させて集光板2を形成している。なお、この集光板2の屈折率は、分散させている蛍光体7の量が少ないため、PMMA樹脂と同じ1.50となっている。
この透明基材6を形成するPMMA樹脂としては、紫外線(紫外光)を吸収しない材質のものを用いることもできる。すなわち、400nm以下の波長に対して透過性を有する材料、例えば三菱レイヨン社製XY-0159(商品名)を用いることができる。
太陽光スペクトルにおいて紫外光(特に400nm)以下の光は、全体の光量の10%程度を占めるが、樹脂やガラスの中には紫外線を吸収してしまうものも多い。また、最近では、耐光性の向上のためにこれらの材料中に紫外線吸収剤を混入させ、紫外光を吸収させているものもある。
このように紫外線を吸収するものの場合、紫外線に当たる10%の太陽光は集光板2内で吸収され、太陽電池素子3が設けられた端面2cに到達させることはできない。このようなロスは太陽光を有効利用する観点からは大きなロスになる。そこで、透明基材6として紫外領域に対して吸収の少ない材料を用いることで、端面集光の高効率化を図ることができる。ただし、紫外光(紫外線)は、前述したように蛍光体(特に有機蛍光体)を劣化させる大きな要因になるため、このように集光の高効率化を図るべく透明基材6として紫外線を吸収しない材質のものを用いると、透明基材6中に分散させた蛍光体7の劣化を促進するおそれがある。しかし、本発明では、後述するように蛍光体7の濃度を従来に比べて格段に高くしているため、蛍光体7の劣化による悪影響が緩和されている。したがって、透明基材6として紫外領域に対して吸収の少ない材料を用い、端面集光の高効率化を図ることができる。
蛍光体7は、紫外光または可視光を吸収して可視光または赤外光を発光し放射する光機能材料であり、本実施形態では有機蛍光体が用いられている。
このような有機蛍光体としては、クマリン系色素、ペリレン系色素、フタロシアニン系色素、スチルベン系色素、シアニン系色素、ポリフェニレン系色素,キサンテン系色素,ピリジン系色素、オキサジン系色素、クリセン系色素、チオフラビン系色素、ペリレン系色素、ピレン系色素、アントラセン系色素、アクリドン系色素、アクリジン系色素、フルオレン系色素、ターフェニル系色素、エテン系色素、ブタジエン系色素、ヘキサトリエン系色素、オキサゾール系色素、クマリン系色素、スチルベン系色素、ジ−およびトリフェニルメタン系色素、チアゾール系色素、チアジン系色素、ナフタルイミド系色素、アントラキノン系色素等が好適に使用され、具体的には、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素や、クマリン色素系染料であるベーシックイエロー51や、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素や、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、1−エチル−2−〔4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル〕ピリジニウム−パークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、さらには、シアニン系色素、あるいはオキサジン系色素などが用いられる。
さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も、蛍光性があれば本発明の蛍光体として使用可能である。
この蛍光体7は、集光板2(透明基材6中)中での濃度が予め設定された所定濃度より高い濃度になるように添加され、透明基材6中にほぼ均一に分散させられている。この蛍光体の濃度については、後に詳述する。
集光板2の第1主面2aと第2主面2bとは、互いに平行でかつ平坦な面となっている。集光板2の第1端面2c以外の全ての端面には、集光板2の内部からその外部に向けて進行する光(蛍光体から放射された光)を集光板2の内部に向けて反射する反射層5aが、該端面に空気層を介して又は該端面に空気層を介さずに直接接して設けられている。また、集光板2の第2主面2bには、集光板2の内部からその外部に向けて進行する光(蛍光体から放射された光)、または第1主面2aから入射したものの蛍光体7に吸収されずに第2主面2bから射出した光を、集光板2の内部に向けて反射する反射層5bが、第2主面2bに空気層を介してまたは第2主面2bに空気層を介さずに直接接して設けられている。
このような端面や第2主面2bに設けられる反射層5a、5bとしては、銀やアルミニウム等の金属膜からなる反射層や、ESR(Enhanced Specular Reflector)反射フィルム(3M社製)等の誘電体多層膜からなる反射層などが用いられる。また、反射層5a、5bとしては、入射した光を鏡面反射する鏡面反射層でもよく、入射した光を散乱反射する散乱反射層でもよい。反射層5bに散乱反射層を用いた場合には、太陽電池素子3の方向に直接向かう光の光量が増えるため、太陽電池素子3への集光効率が高まり、発電量が増加する。また、反射光が散乱されるため、時間や季節による発電量の変化が平均化される。なお、散乱反射層としては、マイクロ発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)(古河電工社製)などが用いられる。
太陽電池素子3は、受光面が集光板2の第1端面2cに対向して配置されている。この太陽電池素子3は、第1端面2cと光学接着されていることが好ましい。太陽電池素子3としては、シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、量子ドット太陽電池、有機系太陽電池などの公知の太陽電池を使用することができる。中でも、化合物半導体を用いた化合物系太陽電池や量子ドット太陽電池は、高効率な発電が可能であることから、太陽電池素子3として好適である。化合物系太陽電池としては、InGaP、GaAs、InGaAs,AlGaAs、Cu(In,Ga)Se、Cu(In,Ga)(Se,S)、CuInS、CdTe、CdS等が挙げられる。また、量子ドット太陽電池としては、Si、InGaAs等が挙げられる。ただし、価格や用途に応じて、Si系や有機系など他の種類の太陽電池を用いることもできる。
なお、図1では、太陽電池素子3を集光板2の1つの端面2cのみに設置した例を示したが、太陽電池素子3は集光板2の複数の端面に設置してもよい。太陽電池素子3を集光板2の一部の端面(1辺、2辺または3辺)に設置する場合には、太陽電池素子3が設置されていない端面に反射層5aを設置するのが好ましい。
枠体4は、アルミニウム等のフレームからなり、集光板2の第1主面2aを外部に臨ませ、その状態で集光板2の四周を保持するとともに、太陽電池素子3も集光板2とともに保持している。集光板2の第1主面2aを外部に臨ませる開口部には、ガラス等の透明部材が嵌め込まれていてもよい。このような構成のもとに集光板2は、枠体4から外部に臨む第1主面2aが光入射面となっており、集光板2の第1端面2cが光射出面となっている。また、集光板2の各端面は、枠体4や図示しないシール部材によって気密に封止されるともに、外光(太陽光)が照射されないように枠体4等によって遮光されている。
集光板2中の蛍光体7は、前記したように予め設定された所定濃度より高い濃度になるように添加され、分散させられている。この所定濃度としては、以下に説明する増加範囲での、集光板2の発光強度が最大となる濃度が採用される。
まず、集光板2(集光部材)中の蛍光体7の濃度、すなわち透明基材6中の蛍光体7の濃度と、該蛍光体7が発光することで集光板2から得られる発光強度との関係について説明する。
蛍光体7は、基本的に溶解した透明基材6(PMMA等のバインダー樹脂)中に混入され、分散される。このとき、透明基材6中に含まれる蛍光体7の濃度と蛍光体7の発光強度との関係を考えると、蛍光体7の濃度が高くなれば、蛍光体7の発光強度(PL強度)も高く(強く)なると考えられる。これは、以下に述べる集光板の吸光度と発光強度(PL強度)との関係から明らかになった。
まず、本発明者は、蛍光体を分散させた集光板に紫外光を照射し、この集光板の発光強度の経時変化(スペクトル変化)と、吸光度の経時変化(スペクトル変化)とを調べた。すなわち、発光強度、吸光度について、それぞれ初期時(初期特性)、100時間照射時(100h)、300時間照射時(300h)、500時間照射時(500h)、800時間照射時(800h)のスペクトルを調べた。集光板の発光強度の経時変化を図3に、吸光度の経時変化を図4にそれぞれ示す。
なお、集光板の透明基材としてはPMMA樹脂を用いた。また、蛍光体としては、BASF社製のLumogen Red(商品名)の末端基を変え、PMMA樹脂に溶けやすくしたものを用いた。蛍光体の混合比率は、透明基材(PMMA樹脂)に対して体積比率で0.2%とした。
図3、図4に示した結果より、紫外光の照射時間が長くなるにしたがって、PL強度(発光強度)、吸光度が共に低下することが分かった。また、図4の吸光度曲線の変化をみると、スペクトルの形状に多少の変化はあるものの、吸光度は初期の曲線(吸光スペクトル)を維持したまま低下していくことが分かった。同様に発光強度も、図3に示すように初期の曲線(発光スペクトル)を維持したまま低下していくことが分かった。
これら図3、図4で得られた結果に基づき、吸光度の低下とPL強度の低下との関係をグラフ化して図5に示す。図5より、吸光度の低下とPL強度の低下は直線的な相関を有し、吸光度の低下が直接PL強度の低下につながることが分かった。ここで、吸光度Aは以下の式によって求まる。
A=α×L×C
ただし、αは吸光係数、Lは厚さ(集光板の厚さ)、Cは蛍光体の濃度である。また、集光板の厚さLは一定である。
したがって、前記式から分かるように、吸光度Aは蛍光体の濃度Cに正比例する。すなわち、吸光度の低下はそのまま蛍光体の濃度が低下していることを示している。
ここで、蛍光体の濃度の低下は、紫外線の照射を受けることで一部の蛍光体が劣化し、発光しない物質に変化したことを意味している。つまり、紫外線が照射されたことで励起状態(活性状態)となり、化学反応を起こすことで発光しない物質に変化する劣化と、紫外光が照射されたことで原子間の結合が壊れ、発光しない物質に変化する(発光する能力を消失する)劣化の、一方もしくは両方が起こったことにより、蛍光体の濃度が見掛け上低下したと考えられる。
この結果より、集光板(集光部材)中の蛍光体の濃度がPL強度(発光強度)に大きく影響し、具体的には、蛍光体の濃度低下が、PL強度の低下に相関があることを見出した。
このような知見に基づいて本発明では、透明基材6(集光板2)中の蛍光体7の濃度を、該蛍光体7の透明基材6(集光板2)中の濃度と該蛍光体7が発光することで集光板2から得られる発光強度との関係において、後述する特定の範囲において発光強度(PL強度)が最大となる濃度より高い濃度になるようにしている。
図6は、透明基材6中に含まれる蛍光体7の濃度(集光板2中の蛍光体7の濃度)と、該蛍光体7が発光することで集光板2から得られる発光強度との関係、及び蛍光体7の濃度と蛍光体7の蛍光量子収率(発光量子収率)との関係の第1例(以下、第1の関係と記す)を示す図である。
図6中破線で示すように、照射した励起エネルギーを蛍光体の発光に変換する指標である「蛍光量子収率」は、蛍光体の濃度の増加につれてほぼ一定の値を維持した後、減少に転じる。本発明においては、濃度消光が起こり始める蛍光体濃度(もしくは「濃度消光を起こし始める濃度」)を、図6中に示すように、蛍光量子収率が減少に転じた濃度以上の濃度領域において、前記一定の値から蛍光量子収率が5%減少したときの濃度と定義する。また、この濃度以上では、濃度消光が起こる。なお、図6や後記する図8、図10、図16、図17では、濃度消光が起こり始める蛍光体濃度をC0として示している。
先に図5で示した結果から分かるように、蛍光体の濃度が高くなる分蛍光体の量も増え、したがって図6中実線で示すようにPL強度もある範囲までは高く(強く)なる。すなわち、濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0付近までは、蛍光体の濃度がゼロから増えるに連れてPL強度が大きくなる増加範囲E1を有する。ここで、蛍光体の種類や濃度、バインダー(透明基材)への分散状態等により、PL強度の増加傾向やPL強度への濃度消光の影響は異なる。
図6では、PL強度への濃度消光の影響の第1の関係(第1例)が示されている。すなわち、図6では、前記増加範囲E1の後にPL強度が小さくなる減少範囲E2を有している。これにより、増加範囲E1と減少範囲E2との間は極大値A0となり、この極大値A0はそのまま増加範囲E1におけるPL強度の最大値A0となる。また、最大値(極大値)A0となる濃度C0は、濃度消光が起こり始める蛍光体濃度COとなっている。
そこで、本実施形態では、このように増加範囲E1の後に減少範囲E2を有している場合に、集光板2中の蛍光体7の濃度を、最大値(極大値)A0となる濃度C0、すなわち濃度消光が起こり始める蛍光体濃度COより高い濃度になるようにしている。このように増加範囲E1での最大値A0となる濃度C0より高い濃度になっていれば、集光板の初期における発光強度の低下を抑制するという本発明の効果がより顕著に得られる。
図2に示す本実施形態の蛍光体7として、図6中実線で示したような関係を有する蛍光体(例えば燐光材料)を用いた場合に、この蛍光体7の濃度を図6中の濃度C0より低い濃度、例えば図6中の濃度C12にすれば、この蛍光体7を分散させた集光板2のPL強度の経時変化は、図7中破線で示す比較例のようになる。なお、このPL強度の経時変化は、太陽光の10倍の紫外光を集光板に照射し、その端面に到達した光のPL強度の経時変化を測定することで求めた。以下、PL強度の経時変化は、同様にして求めている。
図6に示したように濃度C12以下の範囲では、蛍光体の濃度が低下するに連れてPL強度も低下するので、図7中破線で示すように照射時間が長くなるに連れてPL強度も単調に低下する。これは、蛍光体の劣化により見掛け上の濃度低下が起こるためである。これに対し、本実施形態では、最大値(極大値)A0となる濃度C0より高く、かつ、濃度消光が起こり始める蛍光体濃度COより高い濃度、例えば図6中の濃度C13にする。すると、この蛍光体7を分散させた集光板2のPL強度の経時変化は、図7中実線で示すようになる。
すなわち、本実施形態(本発明)では、蛍光体7の濃度を濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0より高い濃度C13にしているので、図7中実線で示すように初期においては蛍光体の濃度が劣化により低下してもPL強度は上昇する。これは、図6に示したように蛍光体の濃度がC13から濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0まで低下する間、PL強度が高くなるとともに、濃度消光の影響も小さくなって蛍光量子収率が高くなるためである。その後、蛍光体の濃度低下が進み、濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0より低い濃度になると、図7中に破線で示したものと同様の傾向を辿り、PL強度が低下する。
しかし、初期においてPL強度の低下が十分に抑制されているため、本実施形態に係る集光板2は、例えば蛍光体7の濃度が図6中の濃度C12に設定されているものに比べ、初期における発光強度の低下が十分に抑制されたものとなり、したがって集光部材としての寿命が大幅に向上したものとなる。すなわち、劣化が生じ易い有機蛍光体を用いても、寿命の長い蛍光集光板を実現することができる。よって、本実施形態の太陽電池モジュール1は、集光板2の経時による発光強度の低下が抑制されていることから、長期に渡って優れた集光機能を発揮するようになる。
なお、本実施形態では、透明基材6中に含まれる蛍光体7の濃度(集光板2中の蛍光体7の濃度)と、該蛍光体7が発光することで集光板2から得られる発光強度との関係、及び蛍光体7の濃度と蛍光体7の蛍光量子収率(発光量子収率)との関係が、図6に示す第1の関係にある場合について説明した。しかし、前述したようにPL強度への濃度消光の影響は、蛍光体の種類や濃度、バインダー(透明基材)への分散状態等によって異なることから、蛍光体7の濃度とPL強度との関係等は、図6に示す第1の関係以外の関係も存在する。
以下、本実施形態の変形例として、透明基材6中に含まれる蛍光体7の濃度(集光板2中の蛍光体7の濃度)と、該蛍光体7が発光することで集光板2から得られる発光強度との関係、及び蛍光体7の濃度と蛍光体7の蛍光量子収率(発光量子収率)との関係が、第2の関係にある場合(第1変形例)、および第3の関係にある場合(第2変形例)についてそれぞれ説明する。
図8は、透明基材6中に含まれる蛍光体7の濃度(集光板2中の蛍光体7の濃度)と、該蛍光体7が発光することで集光板2から得られる発光強度との関係、及び蛍光体7の濃度と蛍光体7の蛍光量子収率(発光量子収率)との関係が、第2の関係にある場合を示す図である。図8に示す第2の関係が、図6に示した第1の関係と異なるところは、前記増加範囲E1の後に、減少範囲E2でなく維持範囲E3を有している点である。
維持範囲E3は、増加範囲E1の後に、蛍光体の濃度が増えてもPL強度がほぼ同じ強度を維持している範囲である。この維持範囲E3の後には、濃度消光の影響を受けることで、濃度が増えるに連れてPL光強度が小さくなる。すなわち、減少範囲となっている。
なお、本例では、維持範囲E3でのPL強度A2が最大値(極大値)となっている。すなわち、このPL強度A2は、増加範囲E1での最大値A0と同じ値となっている。また、維持範囲E3において最も低い濃度が、濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0となっている。本例では、維持範囲E3において最も高い濃度を濃度C2とする。
本変形例1では、このように増加範囲E1の後に維持範囲E3を有している場合に、集光板2中の蛍光体7の濃度を、PL強度が極大値となる濃度、すなわちPL強度A2となる濃度より高い濃度にする。具体的には、PL強度A2となる濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0を超える濃度とする。
このように本変形例1では、増加範囲E1での最大値A0となる濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0より高い濃度になっているため、集光板の初期における発光強度の低下を抑制するという本発明の効果がより顕著に得られる。したがって本変形例1ではこのような構成(濃度)を採用している。
図2に示す蛍光体7として、図8中実線で示したような関係を有する蛍光体を用いた場合に、本変形例1ではこの蛍光体7の濃度を、PL強度が極大値をとる濃度より高い濃度C2にすれば、この蛍光体7を分散させた集光板2のPL強度の経時変化は、図9中実線で示すようになる。
本変形例1(本発明)では、蛍光体7の濃度を濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0より高い濃度C2にしているので、図9中実線で示すように初期においては蛍光体の濃度が劣化により低下してもPL強度は少し上昇する。これは、図8に示したように蛍光体の濃度がC0まで低下する間、PL強度はほぼ同じ強度に維持されるものの、濃度消光の影響が小さくなって蛍光量子収率が高くなるためである。その後、蛍光体の濃度低下が進み、濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0より低い濃度になると、図7中に破線で示した比較例(図9中にも同じ曲線を破線で示す)と同様の傾向を辿り、PL強度が低下する。
しかし、初期においてPL強度の低下が十分に抑制されているため、本変形例1に係る集光板2も、例えば蛍光体7の濃度が図6中の濃度C12に設定されているものに比べ、初期における発光強度の低下が十分に抑制されたものとなり、したがって集光部材としての寿命が大幅に向上したものとなる。すなわち、劣化が生じ易い有機蛍光体を用いても、寿命の長い蛍光集光板を実現することができる。よって、本変形例1の太陽電池モジュール1は、集光板2の経時による発光強度の低下が抑制されていることから、長期に渡って優れた集光機能を発揮するようになる。
図10は、透明基材6中に含まれる蛍光体7の濃度(集光板2中の蛍光体7の濃度)と、該蛍光体7が発光することで集光板2から得られる発光強度との関係、及び蛍光体7の濃度と蛍光体7の蛍光量子収率(発光量子収率)との関係が、第3の関係にある場合を示す図である。
図10に示す第3の関係が、図6に示した第1の関係と異なるところは、前記増加範囲E1におけるPL強度の最大値A0となる濃度C1が、濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0より高くなっている点である。このように増加範囲E1でPL強度が最大となる濃度C1と、濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0とが異なっている場合、本発明では集光板2中の蛍光体7の濃度を、PL強度の最大値A0となる濃度C1より高い濃度にする。
すなわち、本変形例2では、集光板2中の蛍光体7の濃度を、前記した通りPL強度の最大値A0となる濃度C1より高い濃度とする。
このようにPL強度の最大値A0となる濃度C1より高い濃度になっていれば、集光板の初期における発光強度の低下を抑制するという本発明の効果が得られる。したがって本変形例ではこのような構成(濃度)を採用している。
図2に示す蛍光体7として、図10中実線で示したような関係を有する蛍光体を用いた場合に、本変形例2ではこの蛍光体7の濃度を、PL強度の最大値A0となる濃度C1より高い濃度、例えば濃度C3にすれば、この蛍光体7を分散させた集光板2のPL強度の経時変化は、図11中実線で示すようになる。
本変形例2(本発明)では、蛍光体7の濃度をPL強度の最大値A0となる濃度C1より高い濃度C3にしているので、図11中実線で示すように初期においては蛍光体の濃度が劣化により低下してもPL強度は上昇する。これは、図10に示したように蛍光体の濃度がC3からC1まで低下する間、PL強度が高くなるとともに、濃度消光の影響も小さくなって蛍光量子収率が高くなるためである。その後、蛍光体の濃度低下が進み、濃度消光が起こり始める蛍光体濃度C0より低い濃度になると、図7中に破線で示したもの(図11中にも同じ曲線を破線で示す)と同様の傾向を辿り、PL強度が低下する。
しかし、初期においてPL強度の低下が十分に抑制されているため、本変形例2に係る集光板2も、例えば蛍光体7の濃度が図6中の濃度C12に設定されているものに比べ、初期における発光強度の低下が十分に抑制されたものとなり、したがって集光部材としての寿命が大幅に向上したものとなる。すなわち、劣化が生じ易い有機蛍光体を用いても、寿命の長い蛍光集光板を実現することができる。よって、本変形例2の太陽電池モジュール1は、集光板2の経時による発光強度の低下が抑制されていることから、長期に渡って優れた集光機能を発揮するようになる。
このように第1実施形態(変形例1、変形例2を含む)では、蛍光体の濃度を、図6、図8、図10から求められる所定濃度、すなわち、PL強度が最大となる濃度より高い濃度に調整する。PL強度が最大となる濃度は、蛍光体の種類等によっても異なるものの、通常は0.1体積%となる。
図12は、蛍光体として前記のもの(BASF社製のLumogen Red(商品名)の末端基を変えたもの)を用い、これを50cm角、厚さ2mmのアクリル樹脂(透明基材)に分散させた集光板の、吸収スペクトルを示す図である。図12中においてS1で示すカーブは、従来の一般的な蛍光体濃度の集光板、すなわち濃度0.02%(アクリル樹脂に対する体積比)、50cm角、厚さ2mmの蛍光アクリル板の場合の吸収スペクトルである。このS1より、メインピークの570nm付近の吸光度は1を超えているものの、このメインピーク以外にも450nmを中心としたブロードな吸収ピークを有することが分かる。したがって、濃度0.02%では、太陽光を効率良く吸収することは難しい。
しかしながら、図12中においてS2で示すカーブのように、濃度を0.1%(アクリル樹脂に対する体積比)に上げ、さらにはS3で示すカーブのように、濃度を0.2%(アクリル樹脂に対する体積比)に上げると、吸光度が高まり、太陽光を効率良く吸収することができるようになる。すなわち、S3で示すカーブでは450nmの吸光度が2になっているので、99%以上の光が吸収できるようになる。つまり、この蛍光材料を用いることで、単独でも600nmまでのかなり広い波長範囲の光を吸収することができる。
図13は、蛍光体濃度を0.2%にしたカーブS3に対応する集光板で、太陽光を吸収した後のスペクトルを示すグラフである。図13中には太陽光のスペクトルを併記している。また、太陽光を吸収した後のスペクトルは濃度(0.2)として示している。
図13より、カーブS3に対応する集光板では、太陽光の30%を吸収できることが分かった。このエネルギーは、集光板および太陽電池素子によって85%の高効率で光に変換することができる。
前記蛍光体の本来の蛍光量子収率は95%程度(例えば0.02wt%の場合)であるが、本例では高濃度にしているため、蛍光量子収率は低下している。このことから、本例での濃度(0.2%)は濃度消光が起こり始める蛍光体濃度より高い濃度になっていると考えられる。
なお、集光板2中で発光した光は全方位に均一に光照射する。このうち、集光板2と空気層との屈折率差による取り出しロス(上下面に出射する光線)は25%、上面の表面反射は4%程度あるので、端面2cの太陽電池に到達するエネルギーは、MAXで18%である。しかしながら、導光する過程での自己吸収により、集光板2の端面2cに実際に集光した光は、12%であった。
本例の集光板の端面にはGaAs単層構造の太陽電池を設置した。GaAsの他、各種太陽電池の変換効率と波長との関係を図14に示す。本例の蛍光体は、650nmを中心に発光するので、図14に示すようにその時のGaAsの変換効率は42%である。したがって1Sun(100mW/cm)の太陽光が入射したときの発電量は12.6W@50cm角である。
[第2実施形態]
次に、本発明に係る太陽電池モジュールの第2実施形態を説明する。
図15は、第2実施形態の太陽電池モジュールの要部側断面図である。図15に示した太陽電池モジュールが図1(a)、(b)に示した第1実施形態の太陽電池モジュール1と異なるところは、集光板2(集光部材)中に分散させられた蛍光体が、1種類でなく2種類(複数種類)分散させられている点である。
すなわち、本実施形態では、第1実施形態で用いた赤色発光をなす蛍光体7(BASF社製のLumogen Red(商品名)の末端基を変えたもの)、すなわち発光スペクトルのピーク波長が赤色波長域にある蛍光体7(赤色蛍光体)に加えて、緑色発光をなす蛍光体8、すなわち発光スペクトルのピーク波長が緑色波長域にある蛍光体8(緑色蛍光体)を、集光板2中に分散させている。ここで、緑色蛍光体8としては、BASF社のLumogen蛍光体モデファイし、よりPMMA樹脂に溶けやすくしたものを用いている。
このように蛍光体を複数種類混合して用いた場合、短波長側の蛍光体は最も長波長側の蛍光体に色変換される。すなわち、蛍光体のうち最も発光スペクトルのピーク波長が大きい蛍光体から放射された蛍光のみが、太陽電池素子3に受光されるようになる。したがって、蛍光体が混合系の場合、最終的には最も長波長側の蛍光体の振る舞いに支配される。
これら蛍光体7、8の集光板2中での濃度としては、少なくとも一方が、図6、図8、図10に示した増加範囲E1でPL強度が最大となる濃度より高い濃度になっており、好ましくは、両方が増加範囲E1でPL強度が最大となる濃度より高い濃度になっている。また、各蛍光体は、例えば図10に示す濃度C1以上の濃度に調整されているのが望ましい。また、特に濃度消光が起こり始める蛍光体濃度より高い濃度であるのが好ましく、0.1体積%を超える濃度となっているのが好ましい。
赤色蛍光体7は前記濃度C0以下の濃度になっているものの、緑色蛍光体8が例えば図16に示すPL強度が最大となる濃度より高い濃度になっている場合、緑色蛍光体8の濃度によるPL強度は図8に示した場合と同様になる。しかし、緑色発光成分は、赤色にエネルギー変換されるため、集光板全体のPL強度は、図16に示すようになる。すなわち、緑色蛍光体8の濃度を例えば濃度C0より高くすることで、赤色蛍光体7の見掛け上の濃度を充分に高めることができる。よって、このように蛍光体7、8の濃度を設定した場合にも、集光板2の、初期における発光強度の低下を十分に抑制することができる。
また、緑色蛍光体8はPL強度が最大となる濃度以下の濃度になっているものの、赤色蛍光体7が例えば図17に示すPL強度が最大となる濃度より高い濃度になっている場合、赤色蛍光体7の濃度によるPL強度は図8に示した場合と同様になる。前記したように緑色発光成分は赤色にエネルギー変換され、したがって集光板2での発光は赤色蛍光体7が支配的である。赤色蛍光体7の濃度が充分に高いため、集光板全体のPL強度は図17に示すようになる。したがって、このように蛍光体7、8の濃度を設定した場合にも、集光板2の、初期における発光強度の低下を十分に抑制することができる。
図18は、本実施形態(第2実施形態)の集光板の、PL強度の経時変化を示すグラフである。なお、本実施形態の集光板としては、赤色蛍光体7と緑色蛍光体8の濃度を、図16に示した場合のように調整したものを用いた。また、図18には、第1実施形態において図9に示したPL強度の経時変化(破線は比較例)も併記している。
図18によると、第2実施形態の集光板は、第1実施形態における比較例の集光板に比べて大きく素子寿命を延ばすことができた。
一方で、第1実施形態に比べると素子寿命は低減している。これは、赤色蛍光体7の濃度が低下した分、PL強度を維持する濃度である期間が減少することや、緑色蛍光体8の耐光性が蛍光体7に比べて悪いことが原因として挙げられる。
しかしながら、本実施形態に係る集光板2にあっても、集光部材としての素子寿命を大幅に向上させることができ、また、第1実施形態に比べて太陽電池素子3の同一面積での発電量を向上させることができる。
寒冷地や赤道直下など、太陽電池は使用する地域によって太陽光の強度は大きく異なり、素子寿命の要求仕様も変わってくる。
第1実施形態、第2実施形態では、ブレンド条件や使用する濃度の設計によって発電量と素子寿命を制御できることができ、したがって使用する地域や要求仕様によって適宜条件を決めることができる。
なお、本実施形態では、集光板2中に赤色蛍光体7を0.08%分散させ、かつ、緑色蛍光体8を0.1%分散させている。これにより、緑色蛍光体8の濃度を、図16に示す蛍光体8の、PL強度が最大となる濃度より高い濃度にしている。緑色蛍光体8の蛍光量子収率は86%であり、例えば0.02%の濃度の時の95%に比べてかなり低くなっている。このことは、蛍光体8は0.1%で濃度消光が起きていることを示している。
赤色蛍光体7の濃度は、例えば図8に示した維持範囲E3の初期の濃度である。この時の蛍光量子収率は90%であり、本来の効率に比べると下がっているため、濃度消光が起きていることを示している。
図19は、本実施形態の蛍光体7、8の配合によって形成した集光板2の、太陽光を吸収した後のスペクトルを示すグラフである。図19中には太陽光のスペクトルを併記している。また、太陽光を吸収した後のスペクトルは蛍光体(赤、緑)として示している。
図19に示した結果より、本実施形態に係る集光板2では太陽光の30%を吸収できることが分かった。また、吸収率は図13に示した第1実施形態と同等であった。
第1実施形態では、太陽光の400nm〜500nmの波長領域を吸収するために赤色蛍光体7の濃度を濃くしたが、本実施形態では、緑色蛍光体8を混入することで、400nm〜500nmの波長領域の太陽光の吸収をカバーできることが確認された。
ここで、2色の色素(蛍光体)を混入したにもかかわらず、端面から出射する光は赤の成分のみであった。これは、緑色蛍光体8の濃度が十分に濃く、赤色蛍光体7との分子間距離の平均が10nm以下になっているので、エネルギー移動によって発光光が緑色から赤色へ色変換していると考えられる。
エネルギー移動による色変換は、緑色が発光する前に赤色にエネルギー移動するので、ロスなく赤色を発光させることができる。また、エネルギー移動による色変換でなくても、本実施形態の濃度であれば、緑色の発光は、すぐに近傍の赤色蛍光体7分子で吸収され、赤色として再発光する。この時の効率は緑色の発光効率×赤色の発光効率になるが、両者とも高い値なので、高効率で発光する。
最終的に、端面から出射する効率は14%であった。これは、赤色蛍光体7の濃度が低下した分、自己吸収が低減したことによるものと考えられる。
また、本実施形態では、太陽電池素子3として、赤色蛍光体7、緑色蛍光体8のうち、最も発光スペクトルのピーク波長が大きい蛍光体である赤色蛍光体7の発光スペクトルのピーク波長における分光感度が、緑色蛍光体8の発光スペクトルのピーク波長における分光感度よりも大きいものを用いている。具体的には、太陽電池素子3として、第1実施形態と同様、集光板2の端面2cにGaAs単層構造の太陽電池素子を設置している。GaAsの変換効率は42%である。したがって1Sun(100mW/cm)の太陽光が入射したときの発電量は14.7W@50cm角であった。
[第3実施形態]
次に、本発明に係る太陽電池モジュールの第3実施形態を説明する。
図20は、第3実施形態の太陽電池モジュールの要部を示す図であって、集光板(集光部材)の概略構成を示す模式図である。図20に示した太陽電池モジュールが図1(a)、(b)に示した第1実施形態の太陽電池モジュール1と異なるところは、集光板(集光部材)の構成にある。
本実施形態の集光板10は、一対の透明導光層(透明層)11、11間に、蛍光層12を挟み込んだ構成となっている。透明導光層11として、前記透明基材6と同様のものが用いられ、本実施形態では厚さ2mmの透明なPMMA樹脂基板が用いられている。
蛍光層12は、第1実施形態における集光板2と同様に、透明なPMMA樹脂(透明基材)中に赤色蛍光体7を0.2%(体積%)の濃度で分散させたもので、厚さ1mmに形成されたものである。すなわち、本実施形態では、この蛍光層12においてその透明基材中の蛍光体7を、図6、図8、図10に示した増加範囲E1でPL強度が最大となる濃度より高い濃度にしている。
なお、本実施形態では、溶解したPMMA樹脂中に、予め設定した濃度(0.2%)となるようにして蛍光体7を分散させ、この分散液を、一対の透明導光層11、11間に配し、1mmの厚さに硬化させて蛍光層12を形成した。その際、蛍光層12を接着層として機能させることで、集光板10を形成した。このようにして得られた集光板10の透明導光層11、11および蛍光層12は、いずれもその屈折率が1.5である。したがって、透明導光層11と蛍光層12との界面では屈折率差がないため、該界面では屈折が起こらないようになっている。
なお、蛍光層12の形成法としては前記の方法に限定されることなく、ディッピング法やスピンコート法、バーコーター法、インクジェット法、シルク印刷法、凸版印刷法、スプレー印刷法等、公知の塗布法や成膜法を採用することができる。
図21は、本実施形態の集光板10によって太陽光の吸収した後のスペクトルを示すグラフである。図21中には太陽光のスペクトルを併記している。また、太陽光を吸収した後のスペクトルは第3実施形態として示している。
図21に示した結果より、本実施形態に係る集光板10では太陽光の30%を吸収できることが分かった。また、吸収率は図13に示した第1実施形態と同等であった。これは、蛍光体7の吸光係数が十分に高いので、蛍光層12の厚さが1mmと薄くても、十分に太陽光を吸収できるためである。
ここで、本実施形態の集光板10では、蛍光層12を透明導光層11で挟み込む構造にしており、また、前述したように透明導光層11と蛍光層12との界面で屈折率差がないように構成しているので、図22中矢印で示すように蛍光層12から出射した光は、2つの透明導光層11、11を含めた3層全体を導光し、端面に向かって導光する。その時、一回の全反射の間に透明導光層11を2回と蛍光層12を1回通過することになる。そのため、導光過程における蛍光層12の濃度は、実質的には、集光板10全体の厚みに対する蛍光層12の割合分に、薄められていることになる。
すなわち、本実施形態の集光板10では、蛍光層12の厚み(1mm)が集光板10全体の厚み(5mm)の1/5であるから、蛍光層12での蛍光体7の濃度は0.2%であるにもかかわらず、導光過程に関しては、0.04%(=0.2/5)とみなすことができることになる。
これにより、本実施形態の集光板10では、その導光過程において、見掛け上濃度0.04%と第1実施形態に比べて1/5の濃度で導光させることができるので、自己吸収による失活過程を低減することができる。また、その発光過程では、0.2%の高濃度特性による効果、つまり第1実施形態において図7、図9、図11で示したような初期における発光強度の低下を十分に抑制できるという効果が得られる。
よって、本実施形態の太陽電池モジュールにあっては、集光板10の経時による発光強度の低下が抑制されていることから、長期に渡って優れた集光機能を発揮するようになる。また、集光板10において自己吸収による失活過程を低減していることから、第1実施形態で示したような集光板全体に蛍光体を分散させている集光板2を用いた場合に比べ、集光効率を高めることができる。
本実施形態の集光板10では、前記した効果により、端面での集光効率が16%になった。
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、集光板10の端面にGaAs単層構造の太陽電池を設置した。11Sun(100mW/cm)の太陽光が入射したときの発電量は16.8W@50cm角となった。したがって、本実施形態の蛍光層12は、第1実施形態の集光板2と蛍光体の濃度が同じであるにもかかわらず、集光板10としては、第1実施形態よりも発電量を大幅に増加させることができた。
また、本構成の効果を確認するために、第1実施形態の集光板2とPL強度の経時変化を比較した。その結果、蛍光体の濃度が第1実施形態と同じであるため、本実施形態のものは第1実施形態のものと素子寿命の曲線がほぼ一致した。
したがって、本実施形態の挟み込み構造を採用することにより、素子寿命の大幅な増加に加えて、集光の高効率化を実現することできる。
[第4実施形態]
次に、本発明に係る太陽電池モジュールの第4実施形態を説明する。
図23は、第4実施形態の太陽電池モジュールの要部を示す図であって、集光板(集光部材)の概略構成を示す模式図である。図23に示した太陽電池モジュールの集光板(集光部材)が図20に示した第3実施形態の太陽電池モジュールの集光板と異なるところは、集光板を構成する透明導光層の材質にある。
すなわち、本実施形態の集光板13は、厚さ2mmの一対の透明導光層(透明層)14、14間に、厚さ1mmの蛍光層12を挟み込んだ構成となっている。透明導光層14は、第3実施形態の透明導光層が透明なPMMA樹脂基板、すなわち有機材料からなる透明基板であるのに対し、本実施形態では、無機材料(無機化合物)からなっている。無機材料としては、ガラス、石英、CaFなどの透明性が確保できる基材が用いられる。本実施形態では、透明導光層14を光学ガラス、すなわち無アルカリの白板ガラスを用いている。この光学ガラスは、屈折率が1.53であり、蛍光層12の屈折率(1.50)とほとんど差がなく、したがって透明導光層14と蛍光層12との界面では屈折がほとんど起こらないようになっている。
したがって、本実施形態に係る集光板13は、第3実施形態に係る集光板10と同等に機能する。すなわち、初期における発光強度の低下を十分に抑制することができ、さらに、自己吸収による失活過程を低減することができる。
また、本実施形態の集光板13では、以下に示す実験の結果、第3実施形態の集光板10に比べ、蛍光層12中の蛍光体の劣化を抑制できることが分かった。
実験では、蛍光体の劣化のメカニズムを詳細に解析していくため、前記赤色蛍光体7をPMMA樹脂中に0.001%(体積%)の濃度で分散させてなる塗料を、厚さ10μmに成膜し、蛍光層12を形成した。そして、この蛍光層12に紫外光を照射し、劣化後の吸収スペクトル、発光スペクトル(PLスペクトル)をそれぞれ測定した。蛍光層12を低濃度の薄膜にしたのは、劣化を促進させ、劣化後の変化を見極めるためである。
なお、その時のデバイス構造としては、本実施形態に係る構造として、前記光学ガラス(透明導光層14)上に前記低濃度の蛍光層12を成膜し、さらに上からカバーガラスを密着させたものを用意した。また、第3実施形態に係る構造として、PMMA樹脂板(透明導光層11)上に前記低濃度の蛍光層12を成膜し、さらに上からPMMAフィルムでカバーしたものを用意した。
これら2種類のデバイスを作製し、その違いを観察した。その結果、本実施形態に係るガラスで挟み込んだデバイス構造は、外部から酸素や水分をほぼ100%カットできるのに対して、第3実施形態に係る樹脂で挟み込んだデバイス構造は、微量ずつながら、酸素や水分が浸透してことが分かった。
このような観察結果や、前記した、紫外光照射による劣化後の吸収スペクトル、PLスペクトルの測定結果より、以下のような特徴がみられた。
「樹脂で挟み込んだ第3実施形態に係るデバイス構造」
・PLスペクトルの形状は変わらず、強度だけが落ちていく。
・吸収スペクトルはピーク強度の低下とともに、600nm以上に新しい吸収が見られる。
「ガラスで挟み込んだ第4実施形態に係るデバイス構造」
・図24に示すように、紫外線の照射時間が長くなるに連れてPLスペクトルが大きく変化する。(図24中「0」で示す曲線は、紫外線の照射時間がゼロである初期特性を示し、「50」で示す曲線は紫外線照射時間が50時間経過した後のPLスペクトルを示し、「100」で示す曲線は紫外線照射時間が100時間経過した後のPLスペクトルを示している。)このPLスペクトルの変化からも分かるように、第4実施形態に係るデバイス構造は、初期特性では赤色発光をなしていたのに対し、50時間経過後ではオレンジ色発光をなし、100時間経過後では緑色発光をなすようになった。
・吸収スペクトルは大きく形状が変化。
以上の結果は、PMMA樹脂で挟み込んだ第3実施形態のものと、ガラスで挟み込んだ第4実施形態のものとで、劣化のメカニズムが異なっていることを示している。劣化のメカニズムとして、以下のようなことが考えられる。
「樹脂で挟み込んだ第3実施形態に係るデバイス構造」
・紫外光によって赤色蛍光体の分子内で水分や酸素を介した化学反応が起こり、自身の持っている吸収スペクトルより長波長の生成物が形成される。
・化学反応によって蛍光体の濃度が低下するとともに、生成物がクエンチャーとなって劣化が加速される。
「ガラスで挟み込んだ第4実施形態に係るデバイス構造」
・前記蛍光体7に近い分子の分子構造から考えると、図25に示すように赤色蛍光体7から一部の官能基が取れるとオレンジ色発光をなす蛍光体になる。さらに、一部の官能基が取れると緑色発光をなす蛍光体となる。なお、図25中に赤として示した分子構造は、図24における「0」に対応し、「オレンジ」として示した分子構造は、図24における「50」に対応し、「緑」として示した分子構造は、図24における「100」に対応している。
・劣化は化学反応ではなく、紫外線による結合の分断によって起こる。したがって、紫外線によって劣化は起こるが、生成物はより短波長側のものになるので、PMMA樹脂で挟み込んだ構造の場合のようにクエンチャーとなって劣化が加速されることはない。
つまり、劣化が起こるにしてもPMMA樹脂で挟み込んだ構造のような劣化では劣化が加速される。これに対してガラスで挟み込んだ構造では、結合分断型の劣化が主に起こるため、生成物がクエンチャーとならず、したがって長期的にみると、ガラスで挟み込んだ構造の方がより長寿命化を実現できる構造となる。
よって、本実施形態の太陽電池モジュールにあっては、集光板13の経時による発光強度の低下が抑制されていることから、長期に渡って優れた集光機能を発揮するようになる。また、集光板13において自己吸収による失活過程を低減していることから、第1実施形態で示したような集光板全体に蛍光体を分散させている集光板2を用いた場合に比べ、集光効率(端面取り出し効率)を高めることができる。さらに、劣化の際に生じる生成物がクエンチャーとならないため、長寿命化を実現することができる。
また、本実施形態の効果を確認するために、第3実施形態と同じ耐光性試験を行った。
その結果、本実施形態では第3実施形態に比べ、PL強度が初期状態に対して60%まで低下するまでの時間が、20%伸びることが確認された。これは、無機化合物である光学ガラスの透明導光層14を採用したことで、外部からの酸素や水分の侵入が遮断され、化学反応による劣化が少なくなったためである。化学反応による、赤色蛍光体7よりも吸収が長い成分の生成が抑えられることにより、長寿命化が実現された。
なお、第3実施形態、第4実施形態では、蛍光層12の両面を透明導光層11(14)で挟み込んだ構造としてが、本発明はこのような挟み込み構造に限定されることなく、例えば、図26(a)、(b)に示すように、蛍光層12の一方の側にのみ、透明導光層11(14)を配してもよい。その場合に、これら蛍光層12と透明導光層11(14)とからなる集光板の、第1主面側を蛍光層12としてもよく、第2主面側を蛍光層12としてもよい。ここで、蛍光層12については、前記したような塗布法や成膜法で形成した塗布膜を用いることができる。
また、蛍光層12の両面を透明層で挟み込んだ構造として、図26(c)、(d)に示すように、その一方を前記の透明導光層11(14)とし、他方を塗布膜による透明層としてもよい。例えば、透明導光層11として厚さ4mmのPMMA樹脂基板を用い、これの一方の面に厚さ0.5mmの塗布膜からなる蛍光層12を形成し、さらにこれの上に厚さ0.5mmの透明層15を塗布法等によって形成した構造とすることができる。その場合に透明層15は、単に保護膜として機能させるようにしてもよい。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない刃にで種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、蛍光体として有機蛍光体を用いた場合について説明したが、無機蛍光体でも前記した有機蛍光体と同じ傾向を示すものがあるので、本発明では蛍光体として無機蛍光体を用いることもできる。
また、前記第2実施形態では、蛍光体を赤色蛍光体と緑色蛍光体の2種類を用いたが、3種類以上の蛍光体を用いることもできる。その場合にも、これら3種類以上の蛍光体の透明基材中(集光板中)での濃度としては、少なくとも一種が、図6、図8、図10に示した増加範囲E1でPL強度が最大となる濃度より高い濃度になっているものとする。また、特に濃度消光が起こり始める蛍光体濃度より高い濃度であるのが好ましく、0.1体積%を超える濃度となっているのが好ましい。
また、前記第3実施形態、第4実施形態では、蛍光体を赤色蛍光体の1種類用いた場合について説明したが、第2実施形態と同様に複数種類(2種類もしくは3種類以上)用いるようにしてもよい。
また、前記実施形態においては、集光板(集光部材)や集光板内の蛍光層を一層で構成したが、例えば、このような集光板や蛍光層の前方(光入射側)に、犠牲層となる蛍光層を配設するようにしてもよい。その場合に、この犠牲層となる蛍光層については、その蛍光体の濃度が、本発明に定義される濃度であってもよく、これより低濃度であってもよい。
[太陽光発電装置]
図27は、太陽光発電装置1000の概略構成図である。
太陽光発電装置1000は、太陽光のエネルギーを電力に変換する太陽電池モジュール1001と、太陽電池モジュール1001から出力された直流電力を交流電力に変換するインバータ(直流/交流変換器)1004と、太陽電池モジュール1001から出力された直流電力を蓄える蓄電池1005と、を備えている。
太陽電池モジュール1001は、太陽光を集光する集光部材(集光板)1002と、集光部材1002によって集光された太陽光によって発電を行う太陽電池素子1003とを備えている。このような太陽電池モジュール1001としては、例えば、第1実施形態ないし第4実施形態で説明した太陽電池モジュールが好適に用いられる。
太陽光発電装置1000は、外部の電子機器1006に対して電力を供給する。電子機器1006には、必要に応じて補助電力源1007から電力が供給される。
このような構成の太陽光発電装置1000は、前述した本発明に係る太陽電池モジュールを備えているため、長期に渡って優れた集光機能を発揮するものとなる。
本発明は、太陽電池モジュールおよび太陽光発電装置に利用することができる。
1…太陽電池モジュール、2…集光板(集光部材)、2a…第1主面、2b…第2主面、2c…端面、3…太陽電池素子、6…透明基材、7…蛍光体、8…蛍光体、10…集光板(集光部材)、11…透明導光層、12…蛍光層、13…集光板(集光部材)、14…透明導光層、15…透明層、1000…太陽光発電装置、L…光

Claims (12)

  1. 透明基材中に蛍光体が設けられてなり、外部から入射した光を前記蛍光体によって吸収し、該蛍光体から放射された光を内部で伝播させて少なくとも一つの端面から射出させる集光部材と、前記集光部材の前記端面に設置されて前記端面から射出された光を受光して電力を発生する太陽電池素子と、を備え、
    前記集光部材中の前記蛍光体は、該蛍光体の前記透明基材中での濃度と該蛍光体が発光することで前記集光部材から得られる発光強度との関係において、前記濃度がゼロから増えるに連れて前記発光強度が大きくなる増加範囲を有し、
    前記透明基材中の前記蛍光体の濃度は、前記増加範囲で前記発光強度が最大となる濃度より高い濃度になっており、
    前記蛍光体が有機蛍光体であることを特徴とする太陽電池モジュール。
  2. 前記増加範囲の後に、前記濃度が増えても前記発光強度が同じ強度を維持している維持範囲を有し、
    前記透明基材中の前記蛍光体の濃度は、前記発光強度が極大値をとる濃度より高い濃度になっていることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記透明基材中の前記蛍光体の濃度は、濃度消光が起こり始める濃度以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記増加範囲における濃度範囲内に、濃度消光が起こり始める濃度が存在することを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記透明基材中の前記蛍光体の濃度が、0.1体積%を超える濃度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  6. 前記蛍光体が、互いに発光スペクトルのピーク波長が異なる複数種類の蛍光体を備えており、
    前記複数種類の蛍光体のうちの少なくとも一種の濃度が、前記増加範囲で前記発光強度が最大となる濃度より高い濃度になっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  7. 前記複数種類の蛍光体の全ての濃度が、前記増加範囲で前記発光強度が最大となる濃度より高い濃度になっていることを特徴とする請求項6記載の太陽電池モジュール。
  8. 前記複数種の蛍光体のうち最も発光スペクトルのピーク波長が大きい蛍光体から放射された蛍光のみが前記太陽電池素子に受光されることを特徴とする請求項6又は7に記載の太陽電池モジュール。
  9. 前記複数種類の蛍光体のうち最も発光スペクトルのピーク波長が大きい蛍光体の発光スペクトルのピーク波長における前記太陽電池素子の分光感度は、前記集光部材中に設けられた他のいずれの蛍光体の発光スペクトルのピーク波長における前記太陽電池素子の分光感度よりも大きいことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  10. 前記集光部材は、前記蛍光体を含む蛍光層と、該蛍光層の少なくとも一方の側に設けられた透明導光層とを備えてなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  11. 前記透明導光層が無機化合物からなることを特徴とする請求項10記載の太陽電池モジュール。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールを備えていることを特徴とする太陽光発電装置。
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