JP2015153836A - 太陽電池モジュール、太陽光発電装置 - Google Patents

太陽電池モジュール、太陽光発電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、高い発光効率を確保しつつ軽量化を図ることのできる太陽電池モジュール、太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】本発明の太陽電池モジュール10は、保持基板1と、保持基板1に対向配置される光透過性を有するバンドパスフィルター2と、保持基板1に設けられ外部から入射した光を散乱させる蛍光体層3と、保持基板1とバンドパスフィルター2との間に設けられ、蛍光体層3によって散乱された散乱光を導光させる空隙層4と、光受光面5Aが空隙層4内に露出しており散乱光を受光する太陽電池素子5と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール、太陽光発電装置に関するものである。
従来、有機蛍光体を備える集光方式を用いた太陽電池モジュールとして、特許文献1に記載の太陽電池モジュールが知られている。特許文献1に記載の太陽電池モジュールは、主面から入射した光の一部を蛍光体において吸収し、蛍光体から放射された光を伝搬させて端面から射出する蛍光導光体と、蛍光導光体の端面に配置され、蛍光体から放射された光を受光する太陽電池素子と、を備えている。
国際公開第2012/115248号
特許文献1に記載されているような有機蛍光体を備える集光方式の場合、一般的に、蛍光体が導光体中に分散されている。蛍光体から放射された光は導光体内を伝搬して太陽電池素子へと入射するため、導光途中で、蛍光体自身に蛍光が吸収(自己吸収)されてしまうおそれがある。蛍光体による自己吸収を最小限に抑えるために、導光体中に分散させる蛍光体の含有濃度を低くするとともに、導光体の厚みを厚くする対策が施されている。こうすることで、光路長を変化させることなく自己吸収を抑えることができる。しかしながら、導光体を厚くするとモジュール全体が重くなるという問題がある。
本発明の一つの態様は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、高い発光効率を確保しつつ軽量化を図ることのできる太陽電池モジュール、太陽光発電装置を提供することを目的の一つとしている。
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、上記課題を解決するために、第1基板と、前記第1基板に対向配置される光透過性を有する第2基板と、前記第1基板に設けられ外部から入射した光を散乱させる光散乱層と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記光散乱層によって散乱された散乱光を導光させる空隙層と、光受光面が前記空隙層内に露出しており前記散乱光を受光する受光部と、を備えている特徴とする。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、前記受光部が光電変換素子である構成としてもよい。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、前記光散乱層が、前記第2基板の外部から入射した前記光の一部を吸収して前記光とは異なる波長の光を射出する蛍光体層より構成されている構成としてもよい。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、前記蛍光体層は、多数の蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子同士の間に保たれた空隙と、からなる構成としてもよい。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、前記第2基板が、特定波長の光を透過させるバンドパスフィルターからなる構成としてもよい。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、前記第1基板と前記第2基板との間に間隔を保持するスペーサーが配置されている構成としてもよい。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、前記第1基板と前記第2基板との周縁部どうしを接続する壁が設けられている構成としてもよい。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、前記壁の内面に前記光散乱層が設けられている構成としてもよい。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、前記光散乱層が、前記第2基板の外部から入射した前記光の一部を吸収して前記光とは異なる波長の光を射出する蛍光体層より構成されていてもよい。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、前記蛍光体層は、多数の蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子同士の間に保たれた空隙と、からなる構成としてもよい。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、前記第1基板あるいは前記第2基板の一面に複数の前記受光部が配置されており、且つ少なくとも一部の前記受光部が概ね均等に配置されている構成としてもよい。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた前記空隙層の厚みが、前記受光部どうしの間の距離の20分の1より厚い構成としてもよい。
本発明の一つの態様の太陽電池モジュールは、上記の太陽電池モジュールを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、高い発光効率を確保しつつ軽量化を図ることのできる太陽電池モジュール、太陽光発電装置を提供することができる。
第1実施形態である太陽電池モジュールを示す断面図。 第1実施形態である太陽電池モジュールを示す断面斜視図。 第1実施形態における蛍光体層の概略構成を示す図。 空隙寸法の測定方法を示す説明図、(a)は、蛍光体層の断面の走査型電子顕微鏡像(SEM像)、(b)は蛍光体領域を定義した図、(c)は蛍光体領域と空隙領域とを二値化して示した図、(d)は(c)に円領域を充填した様子を示す図。 膜厚の異なる蛍光体層の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。 蛍光体層の全光線反射率スペクトルを示す図。 バンドパスフィルターに対する光の入射角度θの定義を示す図。 バンドパスフィルターに対する光の入射角度θが0°の場合の反射特性を示す図。 バンドパスフィルターに対する光の入射角度θが略90°の場合の反射特性を示す図。 太陽電池モジュールにおいて太陽光スペクトルのうち蛍光体層が吸収する波長域を説明するための図。 太陽電池素子の光電力変換効率の波長依存性を示す図。 緑色無機蛍光体積層膜の発光スペクトルを示す図。 赤色無機蛍光体積層膜の発光スペクトルを示す図。 (A)、(B)は、太陽電池モジュールの各寸法を定義する単位ユニットについて説明するための図。 蛍光体の発光における太陽電池素子への入射効率と、太陽電池素子の配置位置とについて示すグラフ。 第2実施形態の太陽電池モジュールの全体構成を示す斜視図。 第2実施形態における太陽電池素子の配置状態を示す図。 第2実施形態における単位ユニットの定義を説明するための図。 第3実施形態の太陽電池モジュールの全体構成を示す斜視図。 (A)は、第3実施形態における太陽電池素子の配置状態を示す平面図、(B)は、第3実施形態における太陽電池モジュールの各寸法を定義する単位ユニットについて説明するための図。 (A)、(B)は、第4実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に7個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図。 (A)、(B)は、第5実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に5個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図。 (A)、(B)は、第5実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に5個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図。 (A)、(B)は、第5実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に5個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図。 (A)、(B)は、第8実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に4個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図。 (A)、(B)は、第9実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に4個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図。 実施例1における太陽電池モジュールの構成を示す図。 膜厚の異なる3種類の蛍光体層の光学スペクトルを示す図であって、(A)は吸収スペクトルを示す図、(B)は発光スペクトル及び励起スペクトルを示す図。 赤色発光無機蛍光体の励起スペクトル、発光スペクトルを示す図。 実施例3の太陽電池モジュールの構成を示す斜視図。 (A)は、実施例4における太陽電池モジュールの構成を示す斜視図、(B)は平面図。 実施例5の太陽電池モジュールの構成を示す斜視図。 実施例1〜7、比較例1,2における太陽電池モジュールの特性を示す図。 太陽光発電装置の概略構成図。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態である太陽電池モジュールを示す断面図である。図2は、第1実施形態である太陽電池モジュールを示す断面斜視図である。図3は、第1実施形態における蛍光体層の概略構成を示す図である。
図1及び図2に示すように、太陽電池モジュール10は、保持基板(第1基板)1、バンドパスフィルター(第2基板)2、蛍光体層(光散乱層)3、空隙層4および太陽電池素子(受光部)5を主として構成されている。
具体的に、太陽電池モジュール10は、一面1aに蛍光体層3及び太陽電池素子(光電変換素子)5を有する保持基板1と、蛍光体層3と、これらに対向して配置されるバンドパスフィルター2と、がスペーサー6及び壁部7を介して互いに対向配置されて構成されている。また、保持基板1とバンドパスフィルター2と壁部7とによって囲まれた空間には、空隙層4が存在する構成となっている。
このような太陽電池モジュール10では、バンドパスフィルター2を透過してモジュール内に入射した太陽光が蛍光体層3において散乱され、太陽電池素子5の光受光面5Aに入射する。
太陽電池モジュール10は、平面視でほぼ正方形を呈し、例えば、1辺が40cm、厚み25mmの大きさを有した光電変換素子である。
(保持基板)
保持基板1は、一面1a側に蛍光体層3を保持するものである。保持基板1の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)等の金属板が挙げられる。保持基板1として、アルミニウム(Al)、銀(Ag)等の光反射率の高い金属板を用いた場合、保持基板1の一面1aが反射面となる。
その他、保持基板1の一面1aに反射層を設けることで、保持基板1に反射性を付与してもよい。反射層として、例えば、一面1aに直接形成されたESR(Enhanced Specular Reflector)フィルム等の光反射率の高い誘電体多層膜を用いてもよい。ESRフィルムを用いれば、可視光下において、98%以上の高い反射率を実現することができる。その他、高い反射性を有する基板として、古河電工社製のマイクロ発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)等の光拡散反射性を有する基板を用いてもよい。
また、光拡散反射性の高い材料として、セラミックス(非金属無機材料)基板を用いても良い。例えば、アルミナを主成分とするセラミックスは拡散反射率が高い事で知られている。
また、ガラス等の透明材料、またはPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル、などの有機材料であっても、蛍光体層3を保持する機能を有しているため、保持基板1として用いることができる。
(蛍光体層)
蛍光体層3は、保持基板1の一面1aと壁部7の内面7aを覆うようにして設けられている。本実施形態における蛍光体層3は、太陽電池素子5を保持基板1上に実装させるための開口3Aを有する。開口3Aは、保持基板1の一面1aにおける中央部分(太陽電池素子5の実装領域)をマスキングすることによって形成される。
蛍光体層3を構成する蛍光体は、任意の波長帯域の光を吸収し、これより長波長の発光を生じる光変換材料とする。本実施形態における蛍光体層3は、図3に示すように、1種類の蛍光体材料から成る蛍光体粒子12と、蛍光体粒子12どうしの間に保たれた粒子間空隙(空隙)13と、から構成されており、多数の蛍光体粒子12が何層にも積層した層構造とされている。
多数の蛍光体粒子12どうしは、互いに接触している部分の少なくとも一部に設けられた不図示の接着剤を介して接着されている。また、蛍光体粒子12どうしの間に形成される粒子間空隙13には、低屈折媒質が満たされている。低屈折媒質としては気体(屈折率が概ね1.0である媒体)であればよく、一例として空気、窒素、アルゴン、またはこれらの混合ガスが挙げられる。
また、粒子間空隙13は真空であっても良い。例えば、JIS規格による低真空:真空度が100パスカル以上、中真空:真空度が0.1〜100パスカル、高真空:真空度が10−5〜0.1パスカル、超高真空:真空度が10−5パスカル以下など、いずれの真空状態であってもよい。
蛍光体粒子12は、有機蛍光体、無機蛍光体に関わらず、球形や不定形の粒状体に形成したものであればよく、それぞれの蛍光体粒子12は、互いに異なる形状であっても、同じ形状であっても良い。また、それぞれの蛍光体粒子12は、互いに異なる寸法であっても、同じ寸法であっても良い。
蛍光体粒子12は、紫外光、青色光を吸収して緑色の蛍光を放射する。本実施形態では、蛍光体粒子12としてSrSi(O,Cl): Eu2+を用いる。蛍光体粒子12は、概ね600nm以下の波長の光を吸収する。蛍光体粒子12の発光スペクトルは、610nmにピーク波長を有する。
本実施形態における蛍光体層3は、紫外光または可視光を吸収して可視光または赤外光を発光して放射する光機能材料からなる。
蛍光体層3を構成する蛍光体粒子12の材料としては、有機蛍光体材料が挙げられる。
このような有機蛍光体材料としては、クマリン系色素、ペリレン系色素、フタロシアニン系色素、スチルベン系色素、シアニン系色素、ポリフェニレン系色素,キサンテン系色素,ピリジン系色素、オキサジン系色素、クリセン系色素、チオフラビン系色素、ペリレン系色素、ピレン系色素、アントラセン系色素、アクリドン系色素、アクリジン系色素、フルオレン系色素、ターフェニル系色素、エテン系色素、ブタジエン系色素、ヘキサトリエン系色素、オキサゾール系色素、クマリン系色素、スチルベン系色素、ジ−およびトリフェニルメタン系色素、チアゾール系色素、チアジン系色素、ナフタルイミド系色素、アントラキノン系色素等が好適に使用され、具体的には、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素や、クマリン色素系染料であるベーシックイエロー51や、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素や、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、1−エチル−2−〔4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル〕ピリジニウム−パークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、さらには、シアニン系色素、あるいはオキサジン系色素などが用いられる。
あるいは、蛍光体材料として、無機蛍光体材料を用いることもできる。
無機蛍光体材料の青色蛍光体としては、Sr:Sn4+、SrAl1425:Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+、SrGa:Ce3+、CaGa:Ce3+、(Ba、Sr)(Mg、Mn)Al1017:Eu2+、(Sr、Ca、Ba、0 Mg)10(POl2:Eu2+、BaAlSiO:Eu2+、Sr:Eu2+、Sr(POCl:Eu2+、(Sr,Ca,Ba)(POCl:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+、(Ba,Ca)(POCl:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、SrMgSi:Eu2+などが挙げられる。
また、無機系蛍光体材料の緑色蛍光体としては、(BaMg)Al1627:Eu2+,Mn2+、SrAl1425:Eu2+、(SrBa)Al12Si:Eu2+、(BaMg)SiO:Eu2+、YSiO:Ce3+,Tb3+、Sr7−Sr:Eu2+、(BaCaMg)(POCl:Eu2+、SrSi−2SrCl:Eu2+、ZrSiO、MgAl1119:Ce3+,Tb3+、BaSiO:Eu2+、SrSiO:Eu2+、(BaSr)SiO:Eu2+、(Si,Al)(O,N):Eu2+、Ca(Sc,Mg)Si12:Ce3+、SrSi(O,Cl): Eu2+等が挙げられる。
また、無機系蛍光体材料の赤色蛍光体としては、YS:Eu3+、YAlO:Eu3+、Ca(SiO:Eu3+、LiY(SiO:Eu3+、YVO:Eu3+、CaS:Eu3+、Gd:Eu3+、GdS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、MgGeO5.5F:Mn4+、MgGeO:Mn4+、KEu2.5(WO6.25、NaEu2.5(WO6.25、KEu2.5(MoO6.25、NaEu2.5(MoO6.25、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+、CaAlSiN:Eu2+、SrSiN:Eu2+、SrAlSiN:Eu2+、CaSi:Eu2+、SrSi:Eu2+、BaAlSi:Eu2+、SrSi:Eu2+、SrSiAl:Eu2+、SrSc:Eu2+、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、MgTiO:Mn2+等が挙げられる。
無機系蛍光体材料は、必要に応じて表面改質処理を施してもよく、その方法としてはシランカップリング剤等の化学的処理によるものや、サブミクロンオーダーの粒子等の添加による物理的処理によるもの、更にそれらの併用によるもの等が挙げられる。励起光による劣化、発光による劣化等の安定性を考慮すると、一般的には無機材料を使用する方が好ましい。
なお、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も、蛍光性があれば本発明の蛍光体層3として使用可能である。
蛍光体層3の屈折率は、無機蛍光体材料の場合、屈折率が概ね1.8またはそれ以上の高い屈折率を有するものが一般的である。例えば、YAG:Ce,TAG:Ce,Al:Ceの屈折率が概ね1.8である。また、有機蛍光体材料の場合、屈折率が概ね1.7またはそれ以上の高い屈折率を有するものが一般的である。例えば、C2018S(クマリン6)の屈折率は概ね1.69である。
蛍光体粒子12を構成する蛍光体材料は、前述の有機蛍光体、無機蛍光体のどちらでも良いが、無機蛍光体である事がより好ましい。その理由は、無機蛍光体は一般にストークスシフトが大きく(吸収帯域と発光帯域の差異が大きい)、発光に対する自己吸収率が小さいからである。また、無機蛍光体は、屈折率nが1.8以上(n>1.8)と大きい。
以上の理由から、図3のように複数の蛍光体粒子12を積層した蛍光体層3(蛍光体粒子12どうしの間に、気体が充填された粒子間空隙13を有した層)とすることで、蛍光体層3による発光の波長帯の拡散反射率が大きくなる。つまり、蛍光体層3が蛍光体自身(蛍光体粒子12)から放射された発光に対して高反射な拡散反射膜となる。
蛍光体粒子12の平均粒径は、無機蛍光体、有機蛍光体に関わらず、粒径は1μm以上程度であることが望ましい。平均粒径が1μm以下であると、蛍光体層3の発光効率が急激に低下する場合がある。粒径が小さいと十分に励起光を吸収できない。また、平均空隙寸法も粒径に伴い小さくなると想定され、平均空隙寸法が発光主波長より小さくなると、蛍光体層3で散乱が小さくなり、発光波長の拡散反射率(全光線反射率)が低下するおそれがある。
一方で、蛍光体粒子12が十分に積み重なっていない場合には、蛍光体層3が十分に励起光を吸収できないため蛍光体層3からの発光量が減少する。その結果、蛍光体層3における発光量の低下を招く。
蛍光体層3の膜厚は、50μm以上が好ましい。蛍光体層3の膜厚を50μm以上にすることで、太陽光を十分に吸収することができる。また、蛍光体層3の膜厚を200μm以上にすれば、保持基板1の材質に依らず、全光線反射率が一定となる。さらに、蛍光体層3の膜厚が400μm以上あれば、蛍光体層3の全光線反射率が最大値となる。なお、400μm以上の膜厚であっても蛍光体層3における全光線反射率は飽和する。
(太陽電池素子)
太陽電池素子5は、蛍光体層3とバンドパスフィルター2との間の任意の場所に設置される。本実施形態では、光受光面5Aをバンドパスフィルター2に向けた姿勢で、保持基板1の略中央に太陽電池素子5が配置されている。太陽電池素子5は、蛍光体層3に設けられた開口3A内に配置され、光受光面5Aとは反対側の面が保持基板1の一面1aに接触した状態で固定されている。
具体的には、保持基板1の周縁に設けられた壁部7からの距離Lが、例えば20cmとなる位置に配置されている。太陽電池素子5は、平面視でほぼ正方形をなしており、例えば1辺が20×20cmの大きさを有する。
太陽電池素子5としては、シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、量子ドット太陽電池、有機系太陽電池などの公知の太陽電池を使用することができる。中でも、化合物半導体を用いた化合物系太陽電池は、高効率な発電が可能であることから、太陽電池素子5として好適である。特に、蛍光体の発光スペクトルのピーク波長(610nm)において高効率を示す化合物系太陽電池であるGaAs太陽電池が望ましい。他にも、化合物系太陽電池として、InGaP、InGaAs,AlGaAs、Cu(In,Ga)Se、Cu(In,Ga)(Se,S)、CuInS、CdTe、CdS等を用いてもよい。また、量子ドット太陽電池として、Si、InGaAs等を用いてもよい。ただし、価格や用途に応じて、Si系や有機系など他の種類の太陽電池を用いることもできる。
(バンドパスフィルター)
バンドパスフィルター2は、励起光を透過させ、かつ、励起光によって蛍光体層3に生じた蛍光を反射させる波長選択層である。バンドパスフィルター2は、太陽光の一部(蛍光体層3を励起させる励起光)を透過させるとともに、蛍光体層3から放出された光のピーク波長及びその周辺波長帯域の光を高反射させる機能を有している。
バンドパスフィルター2としては、例えば、無機蒸着フィルム、有機フィルム、コレステリック液晶フィルム等を用いることができる。
(スペーサー)
スペーサー6は、太陽電池素子5の平面視における4つの角部付近に配置され、蛍光体層3上に立設されている。スペーサー6としては、例えば、一般的な金属ネジや木ネジを用いることができる。その他にも、蛍光体層3とバンドパスフィルター2との間に一定の距離を保持できる部材であれば用いることが可能である。スペーサー6の材質に制約は無いが、一般的な合金・ステンレス材料の方が、表面反射、剛健さの点で望ましい。
スペーサー6を設けて、蛍光体層3(保持基板1)とバンドパスフィルター2との距離を一定に保持することで、これらの間に空隙層4を形成することが容易になる。
(壁部)
壁部7は、保持基板1及びバンドパスフィルター2の周縁に設けられ、保持基板1とバンドパスフィルター2との間の空隙層4を封止するものである。これにより、外部から空隙層4や蛍光体層3内に空気や酸素や水分が混入するのを防止することができ、ひいては、太陽電池素子5の寿命を向上させることができる。また、保持基板1とバンドパスフィルター2とを壁部7を介して接合することにより、モジュール全体の強度が増す。
壁部7の材料としては、保持基板1と同様に、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)等の金属板を用いてもよい。また、金属板の表面に反射層として、ESR(Enhanced Specular Reflector)フィルム等を形成してもよい。これにより、可視光下において98%以上の高い反射率を実現することができる。その他、高い反射性を有する基板として、古河電工社製のマイクロ発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)等の光拡散反射性を有する基板を用いてもよい。
また、光拡散反射性の高い材料として、セラミックス(非金属無機材料)基板を用いても良い。例えば、アルミナを主成分とするセラミックスは拡散反射率が高い事で知られている。また、ガラス等の透明材料、またはPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル、などの有機材料を壁部7として用いることができる。
なお、壁部7の内面7aには蛍光体層3を設けない構成としてもよいが、壁部7の内面7aにも蛍光体層3を設けておく方が、光の取り出し効率の向上に有用である。
次に、蛍光体層3の形成方法の一例について述べる。
上述したように、蛍光体層3は、多数の蛍光体粒子12と、これら蛍光体粒子12どうしの間に形成された粒子間空隙13とから構成され、粒子間空隙13は低屈折媒質で満たされている。
まず、蛍光体粒子12と、蛍光体粒子12どうしを接着する接着層(不図示)を構成する各部材の原料となる熱分解性の樹脂と、溶媒と、を含む蛍光体層形成用の分散液を作製し、保持基板1の一面1a上に塗布する。
その後、塗布膜を熱処理することで、分散液中の溶媒が揮発し、分散液中の熱分解性の樹脂が分解して体積が縮小することで、蛍光体粒子12どうしの間に粒子間空隙13が形成される。また、蛍光体粒子12どうしの間にわずかに残った樹脂成分が接着剤の役割を果たすこととなる。
塗布膜に対する熱処理温度は、蛍光体粒子12の熱耐性の観点から、無機蛍光体を用いた場合は、400〜500℃で約1〜3時間の熱処理を施すことが望ましい。一方、有機蛍光体を用いた場合は、一般的に、有機蛍光体の熱耐性が200℃以下であるため、有機蛍光体の熱処理温度は200℃以下であることが望ましい。
したがって、有機蛍光体に用いる熱分解性樹脂の分解温度も200℃以下のものを用いる事が望ましい。
また、有機蛍光体の場合には、不溶性の溶媒に分散することで、熱処理後、有機蛍光体粒子として蛍光膜を形成できる。
蛍光体層形成用分散液を保持基板1上へ塗布する方法としては、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウエットプロセスなどが好ましく採用できる。
次に、蛍光体層3において、粒子間空隙13の空隙の考え方について、空隙寸法の測定方法の一例を示しつつ説明する。
図4は、空隙寸法の測定方法を示す説明図である。
図4(a)は、蛍光体層3の断面の走査型電子顕微鏡像(SEM像)である。蛍光体層3の断面は、保持基板1を蛍光体層3の厚み方向に対して垂直に切断することで得られる。走査型電子顕微鏡は、日立ハイテク製型番SU8020を用いたが、同等の性能を有する走査型電子顕微鏡であればよく、限定されるものではない。
また、図4(a)と同じ箇所における図4(a)に示された断面に対して90度垂直方向、かつ蛍光体層3の厚み方向上方から撮像したSEM像も取得する。図4(a)及び図4(a)に対して90度垂直方向から撮像したSEM像より、断面位置での蛍光体領域と空隙領域とを定義付けする。図4(b)は蛍光体領域を定義した図である。図4(b)においては、蛍光体領域901を黒線で囲んで示している。
図4(c)では、前述した断面位置での蛍光体領域と空隙領域とをそれぞれ二値化し、蛍光体領域902を黒色、空隙領域903を白色で示している。図4(c)にて定義した空隙領域を埋めるように、点線で示した円領域904を充填する。この時、大きな円領域904を先に充填し、次に小さな円領域904を充填する。こうして点線で示した円領域904を充填した様子を図4(d)に示す。
図4(d)に図示したそれぞれの円領域904の直径を蛍光体基板(蛍光体層3)における粒子間空隙13の寸法と定義する。複数の粒子間空隙13の寸法を測定して度数分布を求める。度数分布から求まる中央値(メディアン)を粒子間空隙13の平均寸法と定義する。
上述した測定方法によって、5箇所の蛍光体層3の断面SEM像を撮像し、合計50個の粒子間空隙13の寸法を測定して度数分布を求めた。度数分布から求めた中央値(メディアン)で定義される粒子間空隙13の平均寸法は、約12μmであった。
次に、蛍光体層の特徴について述べる。
図5は、膜厚の異なる蛍光体層の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。なお、横軸は波長[nm]であり、縦軸は吸収率[%]、発光強度[a.u.]である。
図5に、膜厚(50μm,100μm,200μm,400μm)の異なる4種類の緑色無機蛍光体(組成SrSi(o,Cl): Eu2+付活、根本特殊化学社製、品番:ASK−22)積層膜におけるそれぞれの吸収スペクトル、発光スペクトル(λex=450nm)を示す。各膜厚の蛍光体層のピーク波長λexは、500〜600nmの波長域にある。
ここでは、金属基板の一面に膜厚の異なる蛍光体層が形成されたものを4つ用意した。なお、金属基板の一面にはガニゼンメッキ処理が施されている。
図5によれば、蛍光体層の膜厚が50μm〜400μmの範囲内である場合、蛍光体層の膜厚に依らず、吸収スペクトルのピーク波長が略同じになる。各蛍光体層は、ともに吸収帯域より長波長側に発光帯域が存在し、吸収帯域と発光帯域との重なりが小さいという特徴を有する。
図6は、蛍光体層の全光線反射率スペクトルを示す図である。なお、横軸は蛍光体層の膜厚[μm]であり、縦軸は全光線反射率[%]である。
ここでは、金属基板上に蛍光体層を形成した場合、その他、2種類のガラス基板上に蛍光体層をそれぞれ形成した場合における全光線反射率を示している。
図6に示すように、蛍光体層における発光帯域を波長500〜600nmと定義した場合、蛍光体層の膜厚が200nm以上になると、全光線反射率は飽和して略同じになる。これは、反射成分は、蛍光体層の下の保持基板までは到達せずに、蛍光体層でほぼ全ての光が反射されていることを意味する。つまり、蛍光体層自体が、発光に対して高反射な拡散反射膜であると言える。
また、蛍光体層の膜厚が200nmの場合、発光帯域における全光線反射率は80〜90%である。
なお、「蛍光体層における全光線反射率」とは、蛍光体層に入射した光量のうち、蛍光体層(蛍光体粒子)において正反射される光量成分と、拡散反射される光量成分との総和のことである。
次に、バンドパスフィルター2の特徴について述べる。
図7は、バンドパスフィルターに対する光の入射角度θの定義を示す図である。
図8は、バンドパスフィルターに対する光の入射角度θが0°の場合の反射特性を示す図であり、図9は、バンドパスフィルターに対する光の入射角度θが略90°の場合の反射特性を示す図である。
なお、図8及び図9中において、横軸は波長[nm]、縦軸は吸収率[%]、発光強度[a.u.]である。ここでの入射角度θが略90°の場合は、入射角度θが「90°未満であり、且つ限りなく90°に近い角度」とする。
図8に示すように、バンドパスフィルター2に対する光の入射角度θが0°の場合、有限の幅を持つ高反射率帯域(波長λb0〜λr0)と、低反射率領域(高反射領域以外の波長帯あるいは高反射率帯域より短波長側(λ≦λb0)と長波長側(λr0≦λ))を有した矩形の反射率特性を有する。
ここでは、バンドパスフィルター2の光反射率が、全波長域における光反射率の最大値の90%以上となる最小の波長をλb0とする。また、バンドパスフィルター2の光反射率が、全波長域における光反射率の最大値の90%以上となる最大の波長をλr0とする。
図9に示すように、バンドパスフィルター2に対する光の入射角度θが90°の場合、有限の幅を持つ高反射率帯域(波長λb90〜λr90)と、低反射率領域(高反射領域以外の波長帯あるいは高反射率帯域より短波長側(λ≦λb90)と長波長側(λr90≦λ))を有した矩形の反射率特性を有する。
ここでは、バンドパスフィルター2の光反射率が、全波長域における光反射率の最大値の90%以上となる最小の波長をλb90とする。また、バンドパスフィルター2の光反射率が、全波長域における光反射率の最大値の90%以上となる最大の波長をλr90とする。
蛍光体の発光スペクトルのピーク波長をλpとする。また、蛍光体の発光スペクトルのピーク波長λpにおける発光強度を1としたとき、発光強度が0.1になるとともに、ピーク波長λpよりも短波長となる波長をλ1とする(λ1<λp)。また、蛍光体の発光スペクトルのピーク波長λpにおける発光強度を1としたとき、発光強度が0.1になるとともに、ピーク波長λpよりも長波長となる波長をλ2とする(λp<λ2)。
図8及び図9に示すように、バンドパスフィルター2の反射率特性には、光の入射角度に対する波長依存性が存在する。一般的に、バンドパスフィルター2に対する入射角度θが0°〜90°に変化するに従って波長λb、λrが短波長化し、ブルーシフトが生じる。すなわち、λb90<λb0、λr90<λr0となる。
バンドパスフィルター2の光学特性(反射特性)については、蛍光体層の光吸収特性及び発光特性と関連づけて設定する。すなわち、蛍光体層からの発光成分をバンドパスフィルター2において有効に反射させることが重要であるため、バンドパスフィルター2の特性は、下記の式(1)、式(2)を満たすように設計することが望ましい。
λr0≦λ1 …(1)
λ2≦λb90 …(2)
図10は、太陽電池モジュールにおいて太陽光スペクトルのうち蛍光体層が吸収する波長域を説明するための図である。図10において、横軸は波長[nm]であり、横軸は太陽光強度[W/m/nm]である。
図10に示すように、太陽光のスペクトルSp(エアマス1.5)の大部分は、300nm〜1800nmの範囲の波長域に分布している。これに対して、蛍光体層の吸収スペクトルSp1は、300nm〜700nmの範囲の波長域に分布している。この場合、蛍光体層によって、太陽光スペクトルのうち300nm〜700nmの波長域の光L1を吸収することはできるが、700nmを超える波長域の光L2を吸収することができない。
そのため、多くの太陽光を蛍光体層に吸収させるためには、バンドパスフィルター2の光反射率が90%以上となる最小の波長λb0が、できるだけ長波帯域にあることが望ましい。すなわち、式(1)を満たした上で、図8に示した蛍光体層における最小吸収波長λ1と、バンドパスフィルター2における最大反射波長λr0との差異Δλ(Δλ=λ1−λr0)を可能な限り小さく設計することが望ましい。具体的には、λ1=λr0を満たすように設計することがより好ましい。
図11は、太陽電池素子の光電力変換効率の波長依存性を示す図である。図11において、横軸は波長[nm]であり、縦軸は光電力変換効率[%]である。
図12は、緑色無機蛍光体(組成SrSi(O,Cl): Eu2+付活、根本特殊化学社製、品番:ASK−22)積層膜の発光スペクトルを示す図である。
図13は、赤色無機蛍光体(組成CaAlSiN: Eu2+付活、三菱化学社製)積層膜の発光スペクトルを示す図である。
なお、図12及び図13において、横軸は波長[nm]であり、縦軸は吸収率[%]、発光強度[a.u.]である。
図12及び図13において、緑色無機蛍光体及び赤色無機蛍光体の発光スペクトルのピーク波長をλpとする。
また、緑色無機蛍光体及び赤色無機蛍光体の発光スペクトルの発光ピーク強度を1としたとき発光強度が0.1になるとともに、発光ピーク波長λpよりも短波長となる波長をλ1とする(λ1<λp)。
また、発光スペクトルの発光ピーク強度を1としたとき、発光強度が0.1になるとともに、発光ピーク波長λpよりも長波長となる波長をλ2とする(λp<λ2)。
また、発光スペクトルの発光ピーク強度を1としたとき、発光強度が0.5になるとともに、発光ピーク波長λpよりも短波長となる波長をλ3とする(λ3<λp)。
また、発光スペクトルの発光ピーク強度を1としたとき、発光強度が0.5になるとともに、発光ピーク波長λpよりも長波長となる波長λ4とする(λp<λ2)。
一般的に太陽電池の光電力変換効率は、短波長側から長波長側に行くにつれて光電力変換効率が高い。またある波長を境界にして、その波長より長波長で光電力変換効率が急激に低下し、光電力変換効率が0となる。これは太陽電池セルの材料固有のバンドギャップで決まる波長より短波長しか太陽電池セルが光を吸収しない為である。また、光電力変換効率が0となる波長の少し短波長側に光電力変換効率の変化量が極大となる波長が有り、一般的にはその波長で光電力変換効率が最大となる。(CIGSの場合は例外である。)
図11において、グラフの傾きが0となる波長(極大となる波長、または1次微分が0となる波長)、且つ、傾きが0となる波長が複数存在する場合は、その波長の中で最大の波長をλxと定義する(図11中に矢印で図示)。つまり、このピーク波長λxより長波長側では太陽電池セルの発電効率が急激に低下する。
蛍光体の発光が太陽電池素子に入射して高い発電効率を得るためには、蛍光体の発光波長が少なくとも太陽電池素子のピーク波長λxの周辺か、ピーク波長λxよりも短波長である事が好ましい。より具体的に規定すれば、蛍光体の発光波長λ4が太陽電池素子のピーク波長λxよりも短波長であることが好ましい。さらには、蛍光体の発光波長λ2が太陽電池素子のピーク波長λxよりも短波長であることが好ましい。
本実施形態のように、空隙層4(バンドパスフィルター2と蛍光体層3とに囲まれた領域)における任意の場所に太陽電池素子5を配置し、蛍光体層3の発光を空隙層4により太陽電池素子5へ導光する場合、発電を目的とすることから、太陽電池素子5の光電力変換効率の特性と、蛍光体の光学特性、特に、蛍光体の発光スペクトル特性と、を関連付けて設計することが望ましい。
図14(A)、(B)は、太陽電池モジュールの各寸法を定義する単位ユニットについて説明するための図である。
太陽電池モジュール10における太陽電池素子5の配置を説明する為に、図14(A)、(B)に示すように、太陽電池モジュール10の各寸法を定義する。ここで、単位面積(正方形)当たりに一つの太陽電池素子5(正方形)が配置された構成を単位ユニットAとして考える。本実施形態では保持基板1上に一つの太陽電池素子5が配置された構成であるため、保持基板1(太陽電池モジュール10)の幅Wを単位ユニットAの単位幅Ws(W=Ws)とする。太陽電池素子5の幅を単位PV幅Wpvとする。
図14(A)、(B)に示すように、太陽電池素子5の光受光面5Aの面積をSpv、蛍光体層3とバンドパスフィルター2との距離(空隙層4の厚さ)をh、太陽電池モジュール10の面積(=保持基板1の面積=太陽電池素子5の形成面積と蛍光体層3の形成面積とを合計した面積)をSとすると、単位ユニットAの単位幅Wsを、Ws=√Sと定義する。また、太陽電池素子5の単位PV幅Wpvを、Wpv=√Spvと定義する。
図14(A)、(B)に示すように、保持基板1および太陽電池素子5が共に正方形の場合には、保持基板1の1辺の長さは単位幅Wsと等しく、太陽電池素子5の1辺の長さは単位PV幅Wpvと等しい。
図15は、蛍光体の発光における太陽電池素子5への入射効率と、太陽電池素子5の配置位置とについて示すグラフである。
図14(A)、(B)に示した太陽電池素子5のWpv(単位PV幅)と保持基板1の幅W(単位ユニットの単位幅Ws)との比(Wpv/Ws)、空隙層4の厚さhと保持基板1の単位幅Wsとの比(h/Ws)により、蛍光体からの発光がどの程度、太陽電池素子5へ入射するか光束追跡シミュレーションソフト(Light tools)を用いて試算した。試算に用いたパラメーターとして、蛍光体層3からの発光に対するバンドパスフィルター2の反射率を98%、蛍光体層3の発光に対する全光線反射率を85%とした。
図15に示すシミュレーションの試算結果から、太陽電池素子5と保持基板1との単位幅比(Wpv/Ws)が1に近づく(大きくなる)ほど、太陽電池素子5に対する蛍光体層3の発光の入射効率が高まっていることが分かる。また、空隙層4の厚さと保持基板1の単位幅との比(h/Ws)が1に近づく(大きくなる)ほど、太陽電池素子5に対する蛍光体層3から放射された光の入射効率が高まっていることが分かる。
蛍光体層3から放射された光は、バンドパスフィルター2と蛍光体層3との間で反射しながら、空隙層4中を導光するが、蛍光体層3が拡散反射性を有するため、放射光が一定方向に直線的に導光しない。このため、従来の構成のように導光板の端面に光が集光するのではなく、蛍光体層3からの放射光(拡散光)が空隙層4中を充満する。したがって、保持基板1の周縁に太陽電池素子5を設けるよりも、保持基板1の略中央に配置する方が好ましい。
太陽電池素子5を複数備える場合も、蛍光体層3からの発光がどこか一部に集光するのではなく、空隙層4の内部をそれぞれの拡散光が充満するため、複数の太陽電池素子5を均等に配置することが好ましい。
また、空隙層4の厚さが厚い方が太陽電池素子5への光の入射効率が高くなる点については、次のように考察することができる。
例えば、バンドパスフィルター2及び蛍光体層3の反射率がともに100%未満であるため、蛍光体層3とバンドパスフィルター2との間での反射回数が多いと反射光量が減少する。また、空隙層4の厚さが薄いと、蛍光体層3から射出した蛍光が太陽電池素子5まで到達するまでに要する反射回数が、確率的に多くなる。空隙層4の厚さが厚いと、蛍光体層3から射出した蛍光が太陽電池素子5まで到達するまでに要する反射回数が、確率的に少なくなる。したがって、太陽電池素子5に対する入射効率を高めるためには、空隙層4の厚みを厚くすることが好ましい。本実施形態の構成によれば、空隙層4の重量は非常に小さいことから、空隙層4を厚くしてもモジュール全体の重量が大きく増加することはない。
上述したような構成をなす太陽電池モジュール10では、バンドパスフィルター2を透過した太陽光の一部が蛍光体層3に吸収されて発光する。その発光は、バンドパスフィルター2と蛍光体層3との間で反射され、空隙層4を導光し、太陽電池素子5の光受光面5Aからに入射する。本実施形態の構成では、蛍光体層3から放射された光が空隙層4内を導光する。つまり、導光領域に蛍光体粒子12が存在しないため、蛍光体粒子12による自己吸収が生じない。これにより、太陽電池素子5への入射効率が向上する。
また、導光領域に空隙層4を設けたことにより、従来の導光板方式よりも著しく軽量化することが可能である。また、設計要因として、空隙層4の厚みを変化させてもモジュール全体の重量は殆ど増加しないことから、導光板の厚みを厚くすることで蛍光体の自己吸収を抑えていた従来の構成に比べて格段に軽量化され、設計自由度が増す。
以下に、保持基板1上における複数の太陽電池素子5の配置例を具体的に示す各実施形態について述べる。なお、以下に説明する各実施形態の基本構成は上記第1実施形態と略同様であるため、以下の説明では、第1実施形態と異なる部分について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、図1〜図15と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の太陽電池モジュール20について説明する。以下に示す本実施形態の太陽電池モジュール20の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、本実施形態においては、複数の太陽電池素子5を備える点において異なっている。
図16は、第2実施形態の太陽電池モジュール20の全体構成を示す斜視図である。図17は、第2実施形態における太陽電池素子5の配置状態を示す図である。なお、図16及び図17においてはスペーサーの図示を省略している。図18(A),(B)は、単位ユニットの定義を示す図である。
図16及び図17に示すように、本実施形態の太陽電池モジュール20は、複数の太陽電池素子5を備えている。複数の太陽電池素子5は、保持基板1の一面1aに互いに等間隔で配置されている。具体的には、保持基板1の隣り合う2辺に沿って3個ずつ、合計9個の太陽電池素子5が配置されている。
次に、「単位ユニット」を以下の様に定義する。
図17及び図18(A)、(B)に示すように、保持基板1上に配置されたすべての太陽電池素子5の光受光面5Aの総面積をSpvとし、太陽電池モジュール20の面積(=保持基板1の面積=保持基板1上におけるすべての太陽電池素子5の形成面積と蛍光体層3の形成面積とを合計した面積)をSとする。また、太陽電池モジュール20に備えられた太陽電池素子5の数をNとする。
幅Wを有する太陽電池モジュール20(保持基板1)における単位面積当たりの幅、つまり単位幅Wsを、Ws=√(S/N)と定義する。また、太陽電池素子5の単位面積当たりの幅、つまり単位PV幅Wpvを、Wpv=√(Spv/N)と定義する。
このとき、単位幅Wsを1辺とする正方形を「単位ユニットA」、「単位ユニットA」の面積を「単位面積Ws」、単位PV幅Wpvを1辺とする正方形を「単位PV」と定義する。
つまり、図18(A)、(B)に示すように、各単位ユニットAにおいて、単位ユニットAの単位幅Wsは、太陽電池モジュール20(保持基板1)の単位面積当たりの幅Wに対応する。また、単位PV幅Wpvは1つの太陽電池素子5の幅に対応する。また、蛍光体層3とバンドパスフィルター2との距離(空隙層4の厚さ)をhで表すことができる。
ここで、「単位ユニットA」、「単位PV」、「単位幅Ws」、「単位PV幅Wpv」と実際の太陽電池モジュール20との関係を考察する。
図17に示す様に本実施形態の太陽電池モジュール20に複数備えられた太陽電池素子5は、保持基板1上にいずれも互いに等間隔で配置されている。そのため、図17に示す符号Aが前述の「単位ユニット」と等しい。つまり太陽電池モジュール20は単位ユニットAが9個配列して成る。さらに、太陽電池モジュール20に配置された太陽電池素子5は正方形である為、太陽電池素子5の1辺の長さは「単位PV幅Wpv」と等しい。
また、隣り合う太陽電池素子5との距離dは「単位幅Ws」に等しい。(ここで、隣り合う太陽電池素子5との距離dとは、それぞれの太陽電池素子5において、最近接する太陽電池素子5との中心間の距離と定義する。)つまり、太陽電池素子5が均一に配置されている程、隣り合う太陽電池素子5との距離dが「単位幅Ws」に近くなる。言い代えれば、隣り合う太陽電池素子5との距離dと「単位幅Ws」の差異が小さい程、太陽電池素子5が均一配置されている事を示す。
太陽電池モジュール20に太陽電池素子5を複数備えている場合、前述の図15に示すシミュレーションの試算結果より、隣り合う太陽電池素子5との距離dが上記定義の「単位幅Ws」に凡そ等しい事が好ましい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態の太陽電池モジュール30について説明する。
以下に示す本実施形態の太陽電池モジュール30の基本構成は、上記第2実施形態と略同様であるが、上記第2実施形態では太陽電池モジュール30は単位ユニットAが9個配列して成る構成を有していたのに対し、本実施形態では、太陽電池モジュール30に9個以上の太陽電池素子5が配置されており、単純な単位ユニットAの配列ではない点が、先の実施形態とは異なっている。
図19は、第3実施形態の太陽電池モジュールの全体構成を示す斜視図である。図20(A)は、第3実施形態における太陽電池素子の配置状態を示す平面図である。図20(B)は、第3実施形態における太陽電池モジュールの各寸法を定義する単位ユニットについて説明するための図である。
なお、図19及び図20(A)ではスペーサーの図示を省略し、図20(A)においてはバンドパスフィルターについての図示も省略している。
図19及び図20(A)に示すように、本実施形態の太陽電池モジュール30は、幅W(保持基板1の一辺の長さ)が1200mmの正方形で、単位PV幅Wpvが100mmの太陽電池素子5を18個有する構成である。
また、隣り合う太陽電池素子5の間隔が全て等しく、且つ概ね均等に配置されている。太陽電池素子5が、どの程度概ね均等に配置されているかについて、上述した通り、最も近接する太陽電池素子5どうしの中心間の距離dと「単位幅Ws」の差異を求め考察する。本実施形態において最近接する太陽電池素子5とは、保持基板1の各辺に対して斜めに方向に隣り合う太陽電池素子5どうしのことである。
図20(A)に示すように、保持基板1上に設けられたすべての太陽電池素子5の光受光面5Aの総面積Spvは、180000mm(縦100mm×横100mm×18個)である。太陽電池モジュール30の面積(=保持基板1の面積=保持基板1上におけるすべての太陽電池素子5の形成面積と蛍光体層3の形成面積とを合計した面積)Sは、1440000mm(1200mm×1200mm)である。太陽電池モジュール30に備えられた太陽電池素子5の数Nは18個(N=18)である。
図20(B)に示すように、本実施形態における単位ユニットAの単位幅Wsは、Ws=√(S/N)と定義されるので、Ws=√(1440000/18)=282.84mmである。また、太陽電池素子5の単位PV幅Wpvは、Wpv=√(Spv/N)と定義されるので、Wpv=√(180000/18)=100mmである。
本実施の形態においては、最近接する太陽電池素子5どうしの中心間の距離dが全て等しい。つまり保持基板1の各辺に対して斜め方向で隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dが全て等しく、その距離dは282.84mmである。このように、保持基板1の各辺に対して斜め方向に隣り合う太陽電池素子5の中心間の距離dと、図20(B)に示した単位ユニットAにおける単位幅Wsとが等しいことから、本実施形態の複数の太陽電池素子5は保持基板1上において完全に均等に配置されていると言える。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態における太陽電池モジュールの構成について説明する。
図21(A)、(B)は、第4実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に7個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図である。なお、図21(A)では保持基板上の構成を示し、バンドパスフィルター及びスペーサーなどの図示を省略している。
図21(A)に示すように、太陽電池モジュール40は、幅W(保持基板1の一辺の長さ)が600mmの正方形で、単位PV幅Wpvが100mmの太陽電池素子5を7個有する構成である。保持基板1上には、7個の太陽電池素子5が概ね均等に配置されている。隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dは全て等しく、d=200mmである。また、図21(B)に示すように、太陽電池モジュール40における単位ユニットAは、単位幅Wsが226.78mmの正方形である。
ここで、「保持基板1上に複数の太陽電池素子5が概ね均等に配置されている」ことについて、隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dが「0.7×Ws≦d≦1.3×Ws」の範囲内である」と定義する(定義1)。
これによれば、0.7×226.78≦d≦1.3×226.78
→159≦d(=200)≦295となり、本実施形態はこれを満たすため、保持基板1上に7個の太陽電池素子5が概ね均等に配置されていると言える。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態の太陽電池モジュールの構成について説明する。
図22(A)、(B)は、第5実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に5個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図である。なお、図22(A)では保持基板上の構成を示し、バンドパスフィルター及びスペーサーなどの図示を省略している。
図22(A)に示すように、太陽電池モジュール50は、幅W(保持基板1の一辺の長さ)が600mmの正方形で、単位PV幅Wpvが100mmの太陽電池素子5を5個有する構成である。保持基板1上には、5個の太陽電池素子5が概ね均等に配置されている。隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dは全て等しく、d=282.84mmである。また、図22(B)に示すように、太陽電池モジュール40における単位ユニットAは、単位幅Wsが268.33mmの正方形である。
本実施形態における隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dは、上記した定義によれば、188mm≦d(=282.84mm)≦349mmを満たすため、保持基板1上に5個の太陽電池素子5が概ね均等に配置されていると言える。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態の太陽電池モジュールの構成について説明する。
図23(A)、(B)は、第6実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に4個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図である。なお、図23(A)では保持基板上の構成を示し、バンドパスフィルター及びスペーサーなどの図示を省略している。
図23(A)に示すように、太陽電池モジュール60は、幅W(保持基板1の一辺の長さ)が600mmの正方形で、単位PV幅Wpvが100mmの太陽電池素子5を4個有する構成である。保持基板1上には、4個の太陽電池素子5が概ね均等に配置されている。隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dは全て等しく、d=282.84mmである。また、図23(B)に示すように、太陽電池モジュール60における単位ユニットAは、単位幅Wsが300mmの正方形である。
本実施形態における隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dは、上記した定義1によれば、210mm≦d(=282.84mm)≦390mmを満たすため、保持基板1上に4個の太陽電池素子5が概ね均等に配置されていると言える。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態の太陽電池モジュールの構成について説明する。
図24(A)、(B)は、第7実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に7個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図である。なお、図24(A)では保持基板上の構成を示し、バンドパスフィルター及びスペーサーなどの図示を省略している。
図24(A)に示すように、太陽電池モジュール70は、幅W(保持基板1の一辺の長さ)が600mmの正方形で、単位PV幅Wpvが100mmの太陽電池素子5を7個有する構成である。保持基板1上には、7個の太陽電池素子5のうち、一部の太陽電池素子5どうしが概ね均等に配置されている。隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離d1〜d4はそれぞれ異なっており、d1=200mm、d2=205.55mm、d3=249.92mm、d4=300.59mm、となっている。また、図24(B)に示すように、太陽電池モジュール70における単位ユニットAは、単位幅Wsが226.78mmの正方形である。
本実施形態における隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離d1〜d4のうち、距離d1〜d3は、159mm≦d1〜d3≦295mmを満たしている。このように、本実施形態では、一部の太陽電池素子5が保持基板1上に概ね均等に配置された構成となっている。
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態の太陽電池モジュールの構成について説明する。
図25(A)、(B)は、第8実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に4個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図である。なお、図25(A)では保持基板上の構成を示し、バンドパスフィルター及びスペーサーなどの図示を省略している。
図25(A)に示すように、太陽電池モジュール80は、幅W(保持基板1の一辺の長さ)が600mmの正方形で、単位PV幅Wpvが100mmの太陽電池素子5を4個有する構成である。隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dは全て等しく、d=150mmである。また、図25(B)に示すように、太陽電池モジュール80における単位ユニットAは、単位幅Wsが300mmの正方形である。
本実施形態における隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dは、d(=150mm)≦210mmとなり、上記した定義1を満たしていない。このため、4つの太陽電池素子5は、保持基板1上に概ね均等に配置された構成にはなっていない。
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態の太陽電池モジュールの構成について説明する。
図26(A)、(B)は、第9実施形態の太陽電池モジュールの構成を説明するための図であって、(A)は保持基板上に4個の太陽電池素子が配置された状態を示す図、(B)は設定する単位ユニットについて説明するための図である。なお、図26(A)では保持基板上の構成を示し、バンドパスフィルター及びスペーサーなどの図示を省略している。
図26(A)に示すように、太陽電池モジュール90は、幅W(保持基板1の一辺の長さ)が600mmの正方形で、単位PV幅Wpvが100mmの太陽電池素子5を4個有する構成である。隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dは全て等しく、d=400mmである。また、図26(B)に示すように、太陽電池モジュール90における単位ユニットAは、単位幅Wsが300mmの正方形である。
本実施形態における隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dは、390mm≦d(=400mm)となり、上記した定義1を満たしていない。このため、4つの太陽電池素子5は、保持基板1上に概ね均等に配置された構成にはなっていない。
図15に示した1個の太陽電池素子5を備えた太陽電池モジュールのシミュレーション結果は、複数の太陽電池素子5を備える太陽電池モジュールのシミュレーション結果に置き換えて考えることができる。図15中における「保持基板の幅W」を「単位ユニットの単位幅Ws」に置き換えると、単位ユニットの単位幅Ws、太陽電子素子の単位PV幅Wpv、空隙層4の厚さh、および入射効率の間には、図15に示すような相関関係が有ると考えられる。
さらに言えば、複数の太陽電池素子5が均等に配置された太陽電池モジュールでは、単位ユニットの単位幅Wsが隣り合う太陽電池素子の中心間の距離dに近い値を持つ。よって、図15中における「単位ユニットの単位幅Ws」を「隣り合う太陽電池素子5の中心間の距離d」に置き換えれば、複数の太陽電池素子5が均等に配置された太陽電池モジュールにおいても、隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離d、太陽電池素子5の単位PV幅Wpv、空隙層4の厚さh、および入射効率の間に図15と同様の相関関係があると考えられる。これによると、空隙層4の厚みは、隣り合う太陽電池素子5どうしの間の距離の20分の1より厚いことが好ましく、図15に示すように、隣り合う太陽電池素子5どうしの中心間の距離dに対して空隙層4の厚みhは、h/d≧0.05であることが好ましい。
以下、実施例1〜7により本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す各実施例に何ら限定されるものではない。
図27は、実施例1における太陽電池モジュールの構成を示す図である。
本実施例における太陽電池モジュール101は、保持基板(第1基板)1、バンドパスフィルター(第2基板)2、蛍光体層(光散乱層)3、空隙層4および太陽電池素子(受光部)5を主として構成されている。本実施例では、保持基板1の中央に一つの太陽電池素子5を備える。
(太陽電池モジュール101の仕様)
・モジュールサイズ:40cm×40cm×2.5cm(空隙層4の厚さ:2.0cm)
・太陽電池素子のサイズ:20cm×20cm×厚み0.4cm
・緑色無機蛍光体:SrSi(O,Cl): Eu2+(根本特殊化学社製)
・発光波長541nm
・重量:680g
(同サイズの結晶シリコン(c-Si)太陽電池モジュールとの重量比:34%、同サイズのi−OPT太陽電池モジュールとの重量比:49%)
・入射効率(蛍光体層からの発光のうち、太陽電池素子に入射する割合):36%
なお、入射効率は、太陽電池素子の配置や空隙層の厚みによって変化する。
太陽電池モジュール101の単位体積当たりの発電量[mW/cm]は、「太陽電池素子5の発電量[mW]/太陽電池素子5(光受光面5A)の面積[cm]」で求められる。
本実施例では、保持基板1として「拡散反射性を有する古河電工社製のマイクロ発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)」を用いた。
また、光透過性を有するバンドパスフィルター2として、1mmの透明アクリル板(PMMA樹脂[屈折率1.49])に、「波長480〜650nmの全光線反射率(光入射角度=0°)が90%以上、波長300〜450nm、及び波長700nm〜850nmの全光線反射率(光入射角度=0°)が15%以下である反射特性」を有する誘電体多層膜を貼り合わせた基板を用いた。
蛍光体層3を構成する蛍光体として、緑色無機蛍光体 SrSi(O,Cl): Eu2+(根本特殊化学社製)を用いた。蛍光体層3は、複数の蛍光体粒子から成り、蛍光体粒子と蛍光体粒子との間に粒子間空隙が形成されている。粒子間空隙には空気が満たされている。蛍光体粒子の平均粒径は約15μm、蛍光体層3の膜厚は約400μmである。
保持基板1及び保持基板1上に設けられた蛍光体層3と、これらに対向配置されるバンドパスフィルター2と、の間には空隙層4が形成されている。この空隙層4には空気が満たされている。(構造上、空隙層4と粒子間空隙13とは分離されていない為、粒子間空隙13と空隙層4とには同一の気体が満たされていると考えられる。)空隙層4の層厚は20mmである。
保持基板1及び蛍光体層3とバンドパスフィルター2との間に設けられた空隙層4の層厚を一定に保つために、スペーサー6が設けられている。このスペーサー6として、ここではステンレス製の金属ネジを用いた。スペーサー6として用いる部材はネジに限定されることはなく、保持基板1とバンドパスフィルター2とを固定することができるとともに、相互間に一定の間隔を確保できる部材で有れば良い。
保持基板1とバンドパスフィルター2との周縁部どうしを接続する壁部7として、厚さ2mmのアルミ板を用いた。壁部7として、その他、剛健かつ軽量な材料を用いてもよい。壁部7を設けることで、蛍光体層3や太陽電池素子5の劣化を防止することができる。
また、壁部7上にも保持基板1上に設けた蛍光体層3と同様の蛍光体層3を設けた。
保持基板1の中央部分に、GaAs太陽電池素子からなる太陽電池素子5を設置した。太陽電池素子5は、保持基板1と接触して設置されており、その部分には予めマスキングすることで蛍光体層3を設けていない。
太陽電池素子5の光受光面5Aは空隙層4に露出している。光受光面5Aが空隙層4に露出していれば、太陽電池素子5を任意の位置に配置してもよいが、図27に示すように、保持基板1の中央に設置する方が好ましい。その理由としては、バンドパスフィルター2を透過した太陽光を直接受光することができるので、発電に有用である。また、蛍光体層3からの発光が空隙層4中を拡散して導光するため(蛍光体層3が拡散反射性を有するため)、空隙層4の中央部分に光が集光し易いことが挙げられる。
また、太陽電池素子5は、半導体基板、表面電極及び裏面電極を備えており、裏面電極と表面電極のそれぞれがインターコネクトを介して外部接続用端子とリード線により接続されている。
図28は、膜厚(50μm,200μm,400μm)の異なる3種類の蛍光体層(無機蛍光体 SrSi(O,Cl): Eu2+(根本特殊化学社製))の光学スペクトルを示す図であって、(A)は吸収スペクトルを示す図、(B)は発光スペクトル(励起波長:450nm)及び励起スペクトル(発光波長:550nm)を示す図である。
なお、図28(A)において、横軸は波長[nm]、縦軸は吸光度[%]であり、図28(B)において、横軸は波長[nm]、縦軸は発光強度[a.u.]である。
図28(A)によれば、蛍光体層3の膜厚に依らず、吸収スペクトルのピーク波長が略同じである。各蛍光体層3は、ともに吸収帯域より長波長側に発光帯域が存在し、吸収帯域と発光帯域との重なりが小さいという特徴を有する。
図28(B)に示すように、蛍光体の一例であるSrSi(O,Cl): Eu2+は、波長540nmに発光ピークを有し、蛍光体層3に入射した太陽光のうち短波長の光によって、太陽電池素子5における吸収感度の高い長波長側で発光する。
次に、実施例2における太陽電池モジュール(不図示)について述べる。
ここでは、蛍光体層3を構成する蛍光体として、赤色発光無機蛍光体CaAlSiN: Eu2+(三菱化学製)を用いた点において、実施例1とは異なる。
(太陽電池モジュール102の仕様)
・モジュールサイズ:40cm×40cm×2.5cm(空隙層の厚さ:2.0cm)
・太陽電池素子のサイズ:20cm×20cm
・赤色発光無機蛍光体CaAlSiN: Eu2+(三菱化学製)
・発光波長639nm
・重量:680g
(同サイズの結晶シリコン(c-Si)太陽電池モジュールとの重量比:34%、同サイズのi−OPT太陽電池モジュールとの重量比:49%)
・入射効率:36%
図29は、赤色発光無機蛍光体CaAlSiN: Eu2+(三菱化学製)の励起スペクトル(発光波長:650nm)、発光スペクトル(励起波長:450nm)を示す図である。
図29に示すように、赤色発光無機蛍光体は波長640nmに発光ピークを有する。このため、太陽光における可視光領域(400〜700nm)の光によって効率よく励起されて発光する。
なお、横軸は波長[nm]であり、縦軸は発光強度[a.u.]である。
本実施例では、上記実施例1と蛍光体層の種類のみが異なり、他の構成は等しいことから、モジュール全体の重量や太陽電池素子による入射効率に変化は見られない。
次に、実施例3における太陽電池モジュール103について述べる。
図30は、実施例3の太陽電池モジュールの構成を示す斜視図である。
本実施例は、図30に示すように基本的な構成は先の実施例と略同様であるが、空隙層4の厚さを5.0cmとした点において先の実施例とは異なっている。
(太陽電池モジュール103の仕様)
・モジュールサイズ:40cm×40cm×5.5cm(空隙層の厚さ:5.0cm)
・太陽電池素子のサイズ:20cm×20cm
・赤色発光無機蛍光体CaAlSiN: Eu2+(三菱化学製)
・発光波長639nm
・重量:940g
(同サイズの結晶シリコン(c-Si)太陽電池モジュールとの重量比:47%、同サイズのi−OPT太陽電池モジュールとの重量比:67%)
・入射効率:55%
本実施例では空隙層4の厚さを5cmにした。これにより、上記実施例1、2では、蛍光体層3から放出された光が太陽電池素子5へ入射する入射効率が36%だったのに対し、本実施例では55%までUPした。空隙層4の厚さを厚くしたことで、蛍光体層3とバンドパスフィルター2との間を反射する回数が少なくなったため、光の損失が抑えられたと考えられる。
次に、実施例4における太陽電池モジュール104について述べる。
図31(A)は、実施例4における太陽電池モジュール104の構成を示す斜視図であり、図31(B)は平面図である。
図31(A)に示すように、本実施例における太陽電池モジュール104の全体的なサイズは、縦40cm、横40cm、全体的な厚さ2.5cm(空隙層の厚さ2.0cm)となっているが、9個の太陽電池素子5を備えている。各太陽電池素子5のサイズは、8cm×8cmである。
(太陽電池モジュール104の仕様)
・モジュールサイズ:40cm×40cm×2.5cm(空隙層の厚さ:2.0cm)
・一つの太陽電池素子のサイズ:8cm×8cm(合計9個)
・赤色発光無機蛍光体CaAlSiN: Eu2+(三菱化学製)
・発光波長639nm
・重量:680g
(同サイズの結晶シリコン(c-Si)太陽電池モジュールとの重量比:36%、同サイズのi−OPT太陽電池モジュールとの重量比:51%)
・入射効率:70%
図31(B)に示すように、複数の太陽電池素子5を配置する場合は、各太陽電池素子5を等間隔に配置することで光の入射効率が高まるため、保持基板1における単位面積当たりに一つの太陽電池素子5が配置されている。本実施例における単位ユニットAは、13.3cm×13.3cmである。これにより、9つの単位ユニット(13.3cm×13.3cm×5.0cm)Aの集合体とみなすことができる。
本実施例では、実施例1〜3の太陽電池素子に比べて小さいサイズの太陽電池素子を用いている。そのため、太陽電池素子の個数が増えてもモジュール全体の重量に変化はない。一方で、蛍光体層からの光を個々の太陽電池素子が受光することから、入射効率は70%まで向上した。
次に、実施例5の太陽電池モジュール105について述べる。
図32は、実施例5の太陽電池モジュールの構成を示す斜視図である。
本実施例における太陽電池モジュール105の基本的な構成は実施例4と略同様であるが、図32に示すように空隙層の厚さを5.0cmとした点において、実施形態4とは異なる。
(太陽電池モジュール105の仕様)
・モジュールサイズ:40cm×40cm×5.5cm(空隙層の厚さ:5.0cm)
・一つの太陽電池素子のサイズ:8cm×8cm(合計9個)
・赤色発光無機蛍光体CaAlSiN: Eu2+(三菱化学製)
・発光波長639nm
・重量:980g
(同サイズの結晶シリコン(c-Si)太陽電池モジュールとの重量比:49%、同サイズのi−OPT太陽電池モジュールとの重量比:70%)
・入射効率:76%
本実施例では、空隙層4の厚さが上記実施例4の2.5倍の厚さとなっているが、モジュール全体の重量比は1.44倍にしかなっていない。また、空隙層4を厚くしたことで、太陽電池素子5による入射効率は76%まで向上した。この理由としては、空隙層4の厚さを厚くしたことで、蛍光体層3とバンドパスフィルター2との間を反射する回数が少なくなったため、光の損失が抑えられたと考えられる。
次に、実施例6の太陽電池モジュール(不図示)について述べる。
本実施例では、バンドパスフィルターの特性を最適化した。本実施例におけるバンドパスフィルターは、太陽光のうち、太陽電池モジュールの蛍光体から放出される光のピーク波長に近い波長の光を透過させる特性を有する。
・モジュールサイズ:40cm×40cm×5.5cm(空隙層の厚さ:5.0cm)
・一つの太陽電池素子のサイズ:8cm×8cm(合計9個)
・赤色発光無機蛍光体CaAlSiN: Eu2+(三菱化学製)
・発光波長639nm
・重量:980g
(同サイズの結晶シリコン(c-Si)太陽電池モジュールとの重量比:49%、同サイズのi−OPT太陽電池モジュールとの重量比:70%)
・入射効率:76%
本実施例では、バンドパスフィルターの特性を最適化してある。ここで、「バンドパスフィルターの最適化」とは、上述したようにΔλ=λ1−λr0を最小化することである。このようにバンドパスフィルターを最適化することで、多くの太陽光を蛍光体層に吸収させることが可能となり、発電量が増加するという効果が得られる。
次に、実施例7の太陽電池モジュール(不図示)について述べる。
本実施例では、保持基板として配線基板を用いた点において実施例6とは異なっている。
配線基板としては、例えば、絶縁フィルム上に導電層を積層してなる可撓性の配線基板(Flexible printed circuits ;FPC)が挙げられる。このような配線基板は、例えば、銅箔などの導電層の上下面をポリイミドなどの絶縁フィルムで覆い、複数の太陽電池素子の各々と接続する部分の絶縁フィルムを除去して導電層を露出させたものが用いられる。
・モジュールサイズ:40cm×40cm×5.5cm(空隙層の厚さ:5.0cm)
・一つの太陽電池素子のサイズ:8cm×8cm(合計9個)
・赤色発光無機蛍光体CaAlSiN: Eu2+(三菱化学製)
・発光波長639nm
・重量:980g
(同サイズの結晶シリコン(c-Si)太陽電池モジュールとの重量比:49%、同サイズのi−OPT太陽電池モジュールとの重量比:70%)
・入射効率:76%
[比較例1]
比較例1として、i−OPT太陽電池モジュール(導光板の厚さ:4mm)を挙げる。
・モジュールサイズ:40cm×40cm
・太陽電池素子のサイズ:12.5cm×0.4cm(合計12個)
・重量:1400g
[比較例2]
比較例2として、i−OPT太陽電池モジュール(導光板の厚さ:10mm)を挙げる。
・モジュールサイズ:40cm×40cm
・太陽電池素子のサイズ:12.5cm×0.4cm(合計12個)
・重量:2400g
図33は、実施例1〜7、比較例1、2における太陽電池モジュールの特性を示す図である。
実施例1〜7と比較例1(i−OPTモジュール:導光板4mm)、比較例2(i−OPTモジュール:導光板10mm)とを対比して、本発明に係る太陽電池モジュールの特性を説明する。
実施例1〜7では、備える太陽電池素子5のサイズや個数等によってモジュール重量に若干の差が生じているものの、いずれも1000g以下の重さとなっている。
実施例1〜7および比較例1,2はいずれも同じモジュールサイズとなっているが、空隙層4を備えた実施例1〜7の構成は、導光板を備えた比較例1、2の構成よりもモジュール全体の重量が極めて軽い。1個の太陽電池素子5を備えた実施例1〜4では、太陽電池素子5の光受光面5Aの面積Spvが400cmである。9個の太陽電池素子5を備えた実施例5〜7は、保持基板1上に配置されたすべての太陽電池素子5の光受光面5Aの総面積Spvが576cmである。これに対し、12個の太陽電池素子5を備えた比較例1,2は、保持基板1上に配置されたすべての太陽電池素子5の光受光面5Aの総面積Spvが60cmである。実施例1〜7の方が比較例1,2よりも太陽電池素子5の光受光面5Aの総面積Spvが大きいにも拘らず、モジュール重量が軽い。つまり、導光板の有無がモジュール重量に大きく関係していると言える。
さらに実施例5では、蛍光体の自己吸収を抑えるために空隙層4の厚さを実施例4における空隙層4の厚さの約2.5倍にしているが、それにも拘らず、実施例4及び実施例5のモジュール全体の重量比は1.38倍にしかなっていない。
一方、i−OPT太陽電池モジュールの場合は、厚さ4mmの導光板を備えたモジュール重量が1400gであるのに対して、厚さ10mmの導光板を備えたモジュール重量は2400gとなり、導光板を厚くすると重量が大きく増加してしまっている。
つまり、本発明にかかる空隙層4を備えた構成であれば、蛍光体層3による自己吸収を抑えて太陽電池素子における入射効率を向上させるために空隙層4の厚みを増加させたとしても、モジュール重量への影響が小さいことが分かる。
以上のことから、導光板を備えるi−OPT構造に代えて、導光機能を果たす空隙層4を備えた上記実施例1〜7のような構成とすることでモジュール全体の大幅な軽量化が可能となる。
また、図33に示すように、実施例1〜7の太陽電池モジュールでは、比較例1,2のi−OPT構造における太陽電池モジュールの単位面積当たりの発電量と同程度か、それ以上の発電量が得られることが分かった。このように、実施例1〜7に示す太陽電池モジュールによれば、従来のi−OPT構造の太陽電池モジュールと同等の発電効果を確保しつつ、モジュール全体の軽量化を実現することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上述した各実施形態では、保持基板上に蛍光体層を備えた太陽電池モジュールについて述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、外部から入射した太陽光を散乱させて空隙層内を導光させることができれば、単なる光散乱層であっても構わない。
上述した各実施形態においては、保持基板1上に1個あるいは複数個の太陽電池素子5を備える構成について述べたが、保持基板1に対向して配置されるバンドパスフィルター2側に1個あるいは複数個の太陽電池素子5が配置された構成であってもよい。
[太陽光発電装置]
図34は、太陽光発電装置1000の概略構成図である。
太陽光発電装置1000は、太陽光のエネルギーを電力に変換する太陽電池モジュール1001と、太陽電池モジュール1001から出力された直流電力を交流電力に変換するインバータ(直流/交流変換器)1004と、太陽電池モジュール1001から出力された直流電力を蓄える蓄電池1005と、を備えている。
太陽電池モジュール1001は、太陽光を集光する集光部材(集光板)1002と、集光部材1002によって集光された太陽光によって発電を行う太陽電池素子1003とを備えている。このような太陽電池モジュール1001としては、例えば、上述した各実施形態及び各実施例で説明した太陽電池モジュールが好適に用いられる。
太陽光発電装置1000は、外部の電子機器1006に対して電力を供給する。電子機器1006には、必要に応じて補助電力源1007から電力が供給される。
このような構成の太陽光発電装置1000は、前述した本発明に係る太陽電池モジュールを備えているため、高い発電効率を得ることが可能なものとなる。
本発明は、太陽電池モジュール及び太陽光発電装置に利用可能である。
1…保持基板(第1基板)、1a…一面、2…バンドパスフィルター、2…バンドパスフィルター(第2基板)、3…蛍光体層(光散乱層)、4…空隙層、5…太陽電池素子(受光部、光電変換素子)、5A…光受光面、6…スペーサー、7a…内面、10,20,30,101,102,103,104,105,1001…太陽電池モジュール、12…蛍光体粒子、13…粒子間空隙(空隙)、L1,L2…光、1000…太陽光発電装置

Claims (13)

  1. 第1基板と、
    前記第1基板に対向配置される光透過性を有する第2基板と、
    前記第1基板に設けられ外部から入射した光を散乱させる光散乱層と、
    前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記光散乱層によって散乱された散乱光を導光させる空隙層と、
    光受光面が前記空隙層内に露出しており前記散乱光を受光する受光部と、を備えている太陽電池モジュール。
  2. 前記受光部が光電変換素子である請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記光散乱層が、前記第2基板の外部から入射した前記光の一部を吸収して前記光とは異なる波長の光を射出する蛍光体層より構成されている請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記蛍光体層は、多数の蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子同士の間に保たれた空隙と、からなる請求項1から3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記第2基板が、特定波長の光を透過させるバンドパスフィルターからなる請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  6. 前記第1基板と前記第2基板との間に間隔を保持するスペーサーが配置されている請求項1から5のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  7. 前記第1基板と前記第2基板との周縁部どうしを接続する壁が設けられている請求項1から6のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  8. 前記壁の内面に前記光散乱層が設けられている請求項7に記載の太陽電池モジュール。
  9. 前記光散乱層が、前記第2基板の外部から入射した前記光の一部を吸収して前記光とは異なる波長の光を射出する蛍光体層より構成されている請求項8に記載の太陽電池モジュール。
  10. 前記蛍光体層は、多数の蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子同士の間に保たれた空隙と、からなる請求項8または9に記載の太陽電池モジュール。
  11. 前記第1基板あるいは前記第2基板の一面に複数の前記受光部が配置されており、且つ少なくとも一部の前記受光部が概ね均等に配置されている請求項1から10のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  12. 前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた前記空隙層の厚みが、前記受光部どうしの間の距離の20分の1より厚い請求項1から11のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールを備えた太陽光発電装置。
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