以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態に係る電気温水器について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の第一実施形態である電気温水器1が、水栓200に接続された状態の外観を示す図である。また、図2は、電気温水器1の内部構造の一部を概念的に示した図である。電気温水器1は、水道100と水栓200との間に設置される装置であって、水道100から供給される水を電気ヒータによって加熱して温水とし、かかる温水を水栓200に供給して水栓200から吐水させる装置である。
電気温水器1は、給水配管2と、ケーシング10と、吐水配管5とによって構成されている。ケーシング10の内部には、電磁弁4、タンク7、センサ収納筒6、及び温調装置3が配置されている。給水配管2は、水道100に接続され水の供給を受けるための配管である。給水配管2の途中には電磁弁4が設けられており、給水配管の下流側端部にはタンク7が設けられている。
電磁弁4は、その開閉動作によって、給水配管2からタンク7への水の供給及びその停止を切り換えるための弁である。後に説明するように、タンク7に水が供給されると、吐水配管5を経由して水栓200から温水が吐水される。つまり、電磁弁4の開閉動作によって水栓200からの温水の吐水及びその停止が制御される。電磁弁4の開閉動作は、図示しない制御装置によって制御される。
本実施形態においては、水栓200には図示しない人体検知センサが設けられている。水栓200の下方に使用者の手が存在することを人体検知センサが検知すると、信号線80を通じて検知信号が制御装置に伝達される。制御装置はかかる検知信号を受信すると、電磁弁4を開状態とし、水栓200からの温水の吐水が開始される。
また、水栓200の下方に使用者の手が存在しなくなったことを人体検知センサが検知すると、信号線80を通じて不検知信号が制御装置に伝達される。制御装置はかかる不検知信号を受信すると、電磁弁4を閉状態とし、水栓200からの温水の吐水が停止される。
タンク7は、水栓200に接続された吐水配管5と給水配管2との間に設けられており、所定量の温水を貯えておくためのものである。タンク7の内部には電気ヒータ8が設けられており、電気ヒータ8によってタンク7に貯えられた水が加熱される。温調装置3が電気ヒータ8の出力を制御しており、かかる制御によってタンク7内部の水温は一定に保たれる。すなわち、タンク7には常に所定温度の温水が貯えられた状態となっている。
吐水配管5は、電気温水器1を流れる水の流路の最も下流側に位置する配管であって、吐水部として機能する。吐水配管5の下流側先端は水栓200に接続されている。電磁弁4が開状態となると、給水配管2を経由して水道100から水がタンク7に流入し、既にタンク7に貯えられていた温水が吐水配管5を経由して水栓200から吐水される。このように、温水を貯えておくためのタンク7を設けることによって、電磁弁4が開状態になった直後からすぐに所定温度の温水を吐水することが可能となっている。
電磁弁4の開状態が継続すると、タンク7には水道100から冷水が供給され続ける。しかし、かかる冷水はタンク7を通過する間に電気ヒータ8によって加熱されて、温水となってから水栓200に到達する。すなわち、電気温水器1が瞬間湯沸かし器のように機能するため、タンク7の容積を超える量の温水を連続して吐水し続けることができる。
センサ収納筒6は、タンク7と吐水配管5との間に配置されている筒状の容器である。センサ収納筒6はタンク7の上面に配置されており、その下端部が開口しているため、センサ収納筒6内部の空間はタンク7の内部と連通している。また、センサ収納筒6の側面上部に対して吐水配管5が接続されており、センサ収納筒6内部の空間は吐水配管5とも連通している。センサ収納筒6は、タンク7から吐水配管5に向かって水が流れる流路の一部を構成している。
すなわち、タンク7から吐水配管5に向かって流れる水は、まずセンサ収納筒6の下端からセンサ収納筒6の内部に流入する。その後、センサ収納筒6の内部を下方から上方に向かって流れた後、センサ収納筒6の側面上部に対して接続された吐水配管5に流入する。
センサ収納筒6の内部には、センサユニット9が配置されている。センサユニット9は、タンク7に貯えられた水の水位を検知する水位検知センサ91と、センサ収納筒6の内部を上方に向かって流れる水の流れを検知する水流検知センサ92と、が一体に構成されたものである。
センサユニット9の具体的な構成について、図3から図6を参照しながら説明する。図3は、センサユニット9の外観を示している。センサユニット9は、取り付け部95、棒状部材96、第一可動部971、及び第二可動部972を有している。後に説明するように、棒状部材96の上部(第一シャフト部)と第一可動部971とによって水位検知センサ91が構成され、棒状部材96の下部(第二シャフト部)と第二可動部972とによって水流検知センサ92が構成されている。
取り付け部95は、センサユニット9の上端部に形成されたフランジであって、センサユニット9をセンサ収納筒6の天井部61に対して固定するためのものである。取り付け部95には2か所のビス穴951、952が形成されており、ビス穴951、952に図示しないビスを挿入することによって、センサユニット9が天井部61に対して固定される。取り付け部95の下方には、棒状部材96が鉛直下方に向かって延びている。従って、棒状部材96の中心軸方向が、タンク7から吐水配管5に向かって水が流れる方向と一致するように配置されている。
図4は、図3に示したセンサユニット9の内部構造を示す断面図である。棒状部材96は、その中心軸と垂直な断面が円形状となるように形成されており、内部には樹脂961で密封されている。周囲の水が樹脂961の内部に侵入しないよう、棒状部材96の下端部は封止されている。
樹脂961には、第一リードスイッチ981及び第二リードスイッチ982が配置されており、それぞれが棒状部材96において所定の高さとなるように固定されている。第一リードスイッチ981及び第二リードスイッチ982の固定位置については、後に詳しく説明する。
第一リードスイッチ981は2本のリード線931、932を有している。第一リードスイッチ981がOFF状態においては、リード線931とリード線932とは電気的に絶縁された状態となっている。一方、第一リードスイッチ981が外部から磁力を受けてON状態となると、リード線931とリード線932とは電気的に導通した状態となる。リード線931、932は、棒状部材96の上端から外部に向けて取り出され、温調装置3に接続されている。
同様に、第二リードスイッチ982は2本のリード線933、934を有している。第二リードスイッチ982がOFF状態においては、リード線933とリード線934とは電気的に絶縁された状態となっている。一方、第二リードスイッチ982が外部から磁力を受けてON状態となると、リード線933とリード線934とは電気的に導通した状態となる。リード線933、934は、棒状部材96の上端から外部に向けて取り出され、温調装置3に接続されている。
第一可動部971は、中心に貫通孔993が形成されており、この貫通孔993に棒状部材96が貫通した状態で配置されている。このため、第一可動部971は棒状部材96に沿って上下に移動可能となっている。棒状部材96のほぼ中央部には、突起941が形成されており、第一可動部971の下端が突起941よりも下方に移動しないよう規制している。また、棒状部材96のうち突起941よりも上方の位置には段部943が形成されており、第一可動部971の上端が段部943よりも上方に移動しないよう規制している。すなわち、第一可動部971は、突起941から段部943までの範囲(第一シャフト部)を、棒状部材96に沿って移動することができる。
タンク7に貯えられた水の水位が低く、センサ収納筒6の内部に水が存在しない状態においては、第一可動部971は重力の影響により下方に移動し、突起941に接した状態となっている(図4)。
第一可動部971は、全体の比重が1よりも小さくなるように形成されている。このため、タンク7に貯えられた水の水位が上昇し、第一可動部971に到達すると、第一可動部971は浮力によって上方に移動する。その後、さらに水位が上昇すると、それに伴い第一可動部971もさらに上昇し、その上端が段部943に接した状態で停止する(図5)。
第一可動部971は、内部にマグネット991を有している。先に説明した第一リードスイッチ981は、第一可動部971が段部943に接した状態となったときに(すなわち、第一可動部971がその可動範囲の上端に到達したときに)、マグネット991と同じ高さとなるようにその位置が固定されている。
第一リードスイッチ981は、外部から磁力を受けることによりON状態となるものである。従って、第一可動部971が突起941に接した状態においては、マグネット991が第一リードスイッチ981から離れた状態となるため、第一リードスイッチ981はOFF状態となる。一方、第一可動部971が段部943に接した状態においては、マグネット991が第一リードスイッチ981に接近した状態となるため、第一リードスイッチ981はON状態となる。
以上のように、第一可動部971は、タンク7に貯えられた水から浮力を受けることによって棒状部材96に沿って移動可能となっている。棒状部材96の上部(第一シャフト部)に対する第一可動部971の相対位置によって、第一リードスイッチ981のON状態、及びOFF状態が切り替わる。このため、第一リードスイッチ981の状態(ON状態又はOFF状態)によって、タンク7に貯えられた水の水位を検知することが可能となる。換言すると、第一可動部971と棒状部材96の上部(第一シャフト部)とによって、水位検知センサ91が構成されている。
第二可動部972は、中心に貫通孔994が形成されており、この貫通孔994に棒状部材96が貫通した状態で配置されている。このため、第二可動部972は棒状部材96に沿って上下に移動可能となっている。棒状部材96の下端部には突起942が形成されており、第二可動部972の下端が突起942よりも下方に移動しないよう規制している。また、棒状部材96のほぼ中央部に形成された突起941が、第二可動部972の上端が突起941よりも上方に移動しないよう規制している。すなわち、第二可動部972は、突起941から突起942までの範囲(第二シャフト部)を、棒状部材96に沿って移動することができる。
タンク7に貯えられた水の水位が低く、センサ収納筒6の内部に水が存在しない状態においては、第二可動部972は重力の影響により下方に移動し、突起942に接した状態となっている(図4)。
第二可動部972は、全体の比重が1よりも大きくなるように形成されている。このため、タンク7に貯えられた水の水位が上昇し、センサ収納筒6の内部が水で満たされた状態となっても、センサ収納筒6の内部の水が静止した状態であれば、第二可動部972は引き続き突起942に接した状態となっている(図5)。
一方、電磁弁4が開状態となって水栓200からの温水の吐水を行っている状態においては、センサ収納筒6の内部を下方から上方に向かって水が流れる。このとき、第二可動部972はかかる水の流れによって力を受ける。水の瞬間流量が所定流量を超えると、この力は第二可動部972に働く重力よりも大きくなり、第二可動部972は上方に移動し、その上端が突起941に接した状態で停止する(図6)。
第二可動部972は、内部にマグネット992を有している。先に説明した第二リードスイッチ982は、第二可動部972が突起941に接した状態となったときにおいて(すなわち、第二可動部972がその可動範囲の上端に到達したときにおいて)、マグネット992と同じ高さとなるようにその位置が固定されている。
第二リードスイッチ982は、外部から磁力を受けることによりON状態となるものである。従って、第二可動部972が突起942に接した状態においては、マグネット992が第二リードスイッチ982から離れた状態であるため、第二リードスイッチ982はOFF状態となる。一方、第二可動部972が突起941に接した状態においては、マグネット992が第二リードスイッチ982に接近した状態となるため、第二リードスイッチ982はON状態となる。
以上のように、第二可動部972は、タンク7に貯えられた水の流れから力を受けることによって棒状部材96に沿って移動可能となっている。棒状部材96の下部(第二シャフト部)に対する第二可動部972の相対位置によって、第二リードスイッチ982のON状態、及びOFF状態が切り替わる。このため、第二リードスイッチ982の状態(ON状態又はOFF状態)によって、タンク7から吐水配管5に向けて供給される水の流れを検知することが可能となる。換言すると、第二可動部972と棒状部材96の下部(第二シャフト部)とによって、水流検知センサ92が構成されている。
次に、温調装置3の構成について、図7を参照しながら説明する。温調装置3は、電気ヒータ8の出力を制御することにより、タンク7に貯えられた水の温度を適温に維持するための装置である。温調装置3は、外部の電源85から電力の供給を受け、かかる電力の一部を電気ヒータ8に供給している。
図7は、温調装置3を含めた電気温水器1の電気的構成を示した配線図である。図7に示したように、温調装置3は、電源スイッチ31と、リレー32と、第一バイメタル33と、第二バイメタル34とによって構成されており、タンク7の上部に隣接して配置されている。
電源スイッチ31は、タンク7に貯えられた水の加熱の開始及び停止を切り換えるスイッチである。電源スイッチ31がOFFの状態においては、次に説明するリレー32が常にOFFの状態となるため、電気ヒータ8には電力が供給されない。このため、電気温水器1の使用時には、電源スイッチ31は常にONの状態とされる。
リレー32は、コイル321と接点322から構成された一般的な構造のリレーである。コイル321に電流が流れている間は接点322が閉じられてONの状態となり、コイル321に電流が流れていない間は接点322が開かれてOFFの状態となる。接点322は、電源85と電気ヒータ8とを繋ぐ回路を開閉するものである。従って、リレー32の動作によって、電気ヒータ8の出力が制御される。
第一バイメタル33及び第二バイメタル34は、タンク7に貯えられている水の温度に応じてその開閉を行うスイッチである。第一バイメタル33は、その開閉が切り替わる温度が比較的低い温度に設定されている。本実施形態においては、タンク7に貯えられている水の温度が40度未満では閉(ON)となり、40度以上では開(OFF)となるように設定されている。
一方、第二バイメタル34は、その開閉が切り替わる温度が比較的高い温度に設定されている。本実施形態においては、タンク7に貯えられている水の温度が60度未満では閉(ON)となり、60度以上では開(OFF)となるように設定されている。
第一バイメタル33は、一端がリレー32のコイル321と接続され、他端が第一リードスイッチ981に接続されている。また、第二バイメタル34は、一端がリレー32のコイル321と接続され、他端が第二リードスイッチ982に接続されている。その結果、第一バイメタル33と第二バイメタル34とは、コイル321に対して並列に接続されている。
温調装置3による電気ヒータ8の出力制御について、図7を参照しながら説明する。まず、タンク7に貯えられた水の量が十分ではない状態においては、水位が低いため、タンク7の上面に配置されたセンサ収納筒6の内部には未だ水が到達していない。このとき、第一可動部971の位置は突起941に接した状態となっており、第二可動部972の位置は突起942に接した状態となっている。従って、第一リードスイッチ981と第二リードスイッチ982はいずれもOFFの状態となっている。
この状態においては、第一バイメタル33及び第二バイメタル34の状態によらずコイル321には電流が流れないため、接点322は常に開かれてOFFとなっている。その結果、電気ヒータ8には電源85から電力が供給されず、電気ヒータ8による加熱は行われない。すなわち、タンク7に貯えられた水の水位が所定以上であることを水位検知センサ91によって検知できない状態においては、温調装置3によって、電気ヒータ8の出力を停止するように制御している。
タンク7に十分な量の水が貯えられ、センサ収納筒6の内部が水で満たされた状態(但し、電磁弁4は閉状態である)においては、第一可動部971は浮力によって上昇し、段部943に接した状態となっている。従って、第一リードスイッチ981はONの状態である。一方、第二可動部972はその比重が1よりも大きいため、引き続き突起942に接した状態となっている。従って、第二リードスイッチ982はOFFの状態である。
この状態においては、電源85、第一リードスイッチ981、第一バイメタル33、コイル321、電源スイッチ31、を繋ぐ回路が、第一バイメタル33を除いて閉じた状態となっている。従って、第一バイメタル33が開(OFF)となれば、リレー32の接点322は開(OFF)となり、第一バイメタル33が閉(ON)となれば、リレー32の接点322は閉(ON)となる。
その結果、電気ヒータ8の出力は、第一バイメタル33の動作によって制御されることとなる。先に説明したように、第一バイメタル33は、その開閉が切り替わる温度が40度に設定されている。このため、タンク7に貯えられている水の温度は40度となるように制御される。しかし、電気ヒータ8の出力が大きい場合などにおいては、所謂オーバーシュートが発生し、水の温度が一時的に40度を超えて上昇してしまうことがある。
本実施形態において、第一バイメタル33の開閉が切り替わる温度を比較的低い40度に設定したのは、上記オーバーシュートを考慮したものである。すなわち、ヒータ通電を制御目標温度である40度でOFFすることによって、実際に得られる温度を60度程度で制御することができ、高温の湯が吐水されることによって電気温水器1の使用者が火傷を負ってしまうことが防止される。
電磁弁4が開状態となって、タンク7に貯えられている水が吐水配管5に向かって流れ始めると、第二可動部972は上方に移動し、その上端が突起941に接した状態となる。その結果、第一リードスイッチ981と第二リードスイッチ982はいずれもONの状態となっている。
この状態においては、電源85、第一リードスイッチ981、第一バイメタル33、コイル321、電源スイッチ31、を繋ぐ回路が、第一バイメタル33を除いて閉じた状態となっている。更に、電源85、第二リードスイッチ982、第二バイメタル34、コイル321、電源スイッチ31、を繋ぐ回路が、第二バイメタル34を除いて閉じた状態となっている。
従って、第一バイメタル33、第二バイメタル34の両方が開(OFF)となれば、リレー32の接点322は開(OFF)となり、第一バイメタル33、第二バイメタル34のいずれかが閉(ON)となれば、リレー32の接点322は閉(ON)となる。
その結果、電気ヒータ8の出力は、第一バイメタル33及び第二バイメタル34の両方の動作によって制御されることとなる。ところで、先に説明したように、第二バイメタル34は、その開閉が切り替わる温度が(40度よりも高い)60度に設定されている。このため、第二バイメタル34による制御の方が支配的となり、タンク7に貯えられている水の温度は60度となるように制御されることとなる。すなわち、タンク7に貯えられている水が吐水配管5に向かって流れている状態(通水状態)においては、ヒータ8から水に奪われる熱量が大きい為、止水状態と比べて、水の温度の制御目標温度を実際に得たい温度に近い目標温度に設定されている。
ここで、第一バイメタル33及び第二バイメタル34はいずれも、タンク7に貯えられている水の温度に応じてその開閉を行うスイッチであるから、これらによる電気ヒータ8の出力制御は、電気ヒータ8に供給する電流のオンオフ制御により行われる。従って、水の温度の制御目標温度が高く設定されるということは、かかるオンオフ制御においてオンの状態である時間の割合が増加することを意味する。すなわち、電気ヒータ8の出力が増加するように制御されることを意味する。
上述したように本実施形態に係る電気温水器1の温調装置3(制御手段)は、水流検知センサ92により水の流れを検知していない止水状態、すなわち、第二可動部972が突起942に接しており第二リードスイッチ982がOFFとなっている状態においては、電気ヒータ8の出力が、タンク7に貯えられた水の温度を40度に維持する程度の出力(第一の出力)となるように制御している。
水流検知センサ92により水の流れを検知している通水状態、すなわち、第二可動部972が突起941に接しており第二リードスイッチ982がONとなっている状態においては、電気ヒータ8の出力が、タンク7に貯えられた水の温度を60度に維持する程度の出力(第一の出力よりも大きい第二の出力)となるように制御している。
このように、止水状態と通水状態とで電気ヒータ8の出力を変化させるため、それぞれの状態に対して最適な出力となるように制御することができる。すなわち、止水状態においては電気ヒータ8の出力が第一の出力となるように制御し、タンク7内の水の温度が高温になりすぎることを防止することができる。一方、通水状態においては電気ヒータ8の出力を増加させて第二の出力となるように制御し、タンク7内の水の温度を迅速に上昇させることができる。
また、本実施形態に係る電気温水器1は、タンク7に貯えられた水の水位を検知する水位検知センサ91をさらに備えている。温調装置3(制御手段)は、タンク7に貯えられた水の水位が所定以上であることを水位検知センサ91によって検知できない状態、すなわち、第一可動部971が突起941に接しており第一リードスイッチ981がOFFとなっている状態においては、電気ヒータ8の出力を停止するように制御する。
このため、タンク7内に十分な量の水が貯えられていないにもかかわらず電気ヒータ8の出力が開始され、空焚きの状態となって電気ヒータ8が破損してしまう等の不具合を防止することができる。
本実施形態においては、電気ヒータ8の出力をバイメタル及びリレーの動作によって制御する例を説明した。しかし、本発明を実施するにあたっては、電気ヒータ8の出力制御を上記に限定する必要はなく、種々の制御方法を用いることができる。例えば、電気ヒータ8に供給する電流値を滑らかに可変とした構成において、タンク7に貯えられた水の温度をフィードバックしながら、電気ヒータ8に供給する電流値をPID制御する方法も採用することができる。この場合、タンク7から吐水配管5へ水の供給を開始した時点で、PID制御における温度目標値を上昇させることによって、電気ヒータ8の出力を増加させることができる。
また、タンク7に貯えられた水の温度をフィードバックせず、電気ヒータ8に供給する電流値を一定の値とするような簡便な制御を採用することもできる。この場合、タンク7から吐水配管5へ水の供給を開始した時点で、電気ヒータ8に供給する電流値を所定量増加させることによって、電気ヒータ8の出力を増加させることができる。
続いて、本発明の第二実施形態である電気温水器1aについて、図8から図11を参照しながら説明する。電気温水器1aは、電気温水器1のセンサユニット9をセンサユニット9aに置き換えたものであって、その他の構成は電気温水器1と同一である。従って以下では、センサユニット9aの構造及び動作について説明し、その他の事項については説明を省略する。
センサユニット9aの具体的な構成について説明する。図8は、センサユニット9aの外観を示している。センサユニット9aは、取り付け部95a、棒状部材96a、可動部971a、及びバネ962aを有している。後に説明するように、棒状部材96aの下部(第一シャフト部)と可動部971aとによって水位検知センサ91aが構成され、棒状部材96aの上部(第二シャフト部)と可動部971aとによって水流検知センサ92aが構成されている。
取り付け部95aは、センサユニット9aの上端部に形成されたフランジであって、センサユニット9aをセンサ収納筒6の天井部61に対して固定するためのものである。取り付け部95aには2か所のビス穴951a、952aが形成されており、ビス穴951a、952aに図示しないビスを挿入することによって、センサユニット9aが天井部61に対して固定される。取り付け部95aの下方には、棒状部材96aが鉛直下方に向かって延びている。従って、棒状部材96aの中心軸方向が、タンク7から吐水配管5に向かって水が流れる方向と一致するように配置されている。
図9は、図8に示したセンサユニット9aの内部構造を示す断面図である。棒状部材96aは、その中心軸と垂直な断面が円形状となるように形成されており、内部には樹脂961aで密封されている。周囲の水が樹脂961aの内部に侵入しないよう、棒状部材96aの下端部は封止されている。
樹脂961aには、第一リードスイッチ981a及び第二リードスイッチ982aが配置されており、それぞれが棒状部材96aにおいて所定の高さとなるように固定されている。第一リードスイッチ981a及び第二リードスイッチ982aの固定位置については、後に詳しく説明する。
第一リードスイッチ981aは2本のリード線931a、932aを有している。第一リードスイッチ981aがOFF状態においては、リード線931aとリード線932aとは電気的に絶縁された状態となっている。一方、第一リードスイッチ981aが外部から磁力を受けてON状態となると、リード線931aとリード線932aとは電気的に導通した状態となる。リード線931a、932aは、棒状部材96aの上端から外部に向けて取り出され、温調装置3に接続されている。
同様に、第二リードスイッチ982aは2本のリード線933a、934aを有している。第二リードスイッチ982aがOFF状態においては、リード線933aとリード線934aとは電気的に絶縁された状態となっている。一方、第二リードスイッチ982aが外部から磁力を受けてON状態となると、リード線933aとリード線934aとは電気的に導通した状態となる。リード線933a、934aは、棒状部材96aの上端から外部に向けて取り出され、温調装置3に接続されている。
可動部971aは、中心に貫通孔993aが形成されており、この貫通孔993aに棒状部材96aが貫通した状態で配置されている。このため、可動部971aは棒状部材96aに沿って上下に移動可能となっている。
棒状部材96aの上部には段部943aが形成されている。バネ962aは、棒状部材96aに貫通され、その上端が段部943aに固定された状態で配置されている。バネ962aは、外力が加えられない状態においては、その下端が棒状部材96aのほぼ中央に位置している。
棒状部材96aの下端部には突起942aが形成されており、可動部971aの下端が突起942aよりも下方に移動しないよう規制している。すなわち、可動部971aは、突起942aからバネ962aの下端までの範囲(第一シャフト部)を、棒状部材96aに沿って自由に移動することができる。一方、可動部971aが、図9におけるバネ962aの下端よりも上方(第二シャフト部)に移動する際は、可動部971aはバネ962aから下方に向けた力を受けるため、この力に抗いながら移動することとなる。
タンク7に貯えられた水の水位が低く、センサ収納筒6の内部に水が存在しない状態においては、可動部971aは重力の影響により下方に移動し、突起942aに接した状態となっている(図9)。
可動部971aは、全体の比重が1よりも小さくなるように形成されている。このため、タンク7に貯えられた水の水位が上昇し、可動部971aに到達すると、可動部971aは浮力によって上方に移動する。その後、さらに水位が上昇すると、それに伴い可動部971aもさらに上昇し、その上端がバネ962aに接した後、バネ962aから下方に向けて受ける力と浮力とが釣り合った位置において静止する(図10)。
可動部971aは、内部にマグネット991aを有している。先に説明した第二リードスイッチ982aは、可動部971aがバネ962aに接して静止した状態となったときに(すなわち、可動部971aが、タンク7から吐水配管5に向けて水が流れていない状態におけるその可動範囲の上端に到達したときに)、マグネット991aと同じ高さとなるようにその位置が固定されている。
第二リードスイッチ982aは、外部から磁力を受けることによりON状態となるものである。従って、可動部971aが突起942aに接した状態においては、マグネット991aが第二リードスイッチ982aから離れた状態となるため、第二リードスイッチ982aはOFF状態となる。一方、可動部971aがバネ962aに接して静止した状態においては、マグネット991aが第二リードスイッチ982aに接近した状態となるため、第二リードスイッチ982aはON状態となる。
以上のように、可動部971aは、タンク7に貯えられた水から浮力を受けることによって棒状部材96aに沿って移動可能となっている。棒状部材96aの下部(第一シャフト部)に対する可動部971aの相対位置によって、第二リードスイッチ982aのON状態、及びOFF状態が切り替わる。このため、第二リードスイッチ982aの状態(ON状態又はOFF状態)によって、タンク7に貯えられた水の水位を検知することが可能となる。換言すると、可動部971aと棒状部材96aの下部(第一シャフト部)とによって、水位検知センサ91aが構成されている。
図10の状態から、電磁弁4が開状態となって水栓200からの温水の吐水を行っている状態に移行すると、センサ収納筒6の内部を下方から上方に向かって水が流れる。このとき、可動部971aはかかる水の流れによって力を受ける。この力は可動部971aをさらに上方に移動させるように働くため、可動部971aはバネ962aから受ける力に抗いながら棒状部材96aの上部(第二シャフト部)に移動する。水の瞬間流量が所定流量を超えると、可動部971aはバネ962aがそれ以上縮まない状態となる位置(上限位置)において停止する。(図11)。
先に説明した第一リードスイッチ981aは、可動部971aが上限位置に到達したときにおいて、マグネット991aと同じ高さとなるようにその位置が固定されている。
第一リードスイッチ981aは、外部から磁力を受けることによりON状態となるものである。従って、タンク7から吐水配管5に向けて水が流れていない図10の状態においては、マグネット991aが第一リードスイッチ981aから離れた状態であるため、第一リードスイッチ981aはOFF状態となる。一方、タンク7から吐水配管5に向けて水が流れ、可動部971aが上限位置に到達した状態においては、マグネット991aが第一リードスイッチ981aに接近した状態となるため、第一リードスイッチ981aはON状態となる。
以上のように、可動部971aは、タンク7に貯えられた水の流れから力を受けることによって棒状部材96aに沿って移動可能となっている。棒状部材96aの上部(第二シャフト部)に対する可動部971aの相対位置によって、第一リードスイッチ981aのON状態、及びOFF状態が切り替わる。このため、第一リードスイッチ981aの状態(ON状態又はOFF状態)によって、タンク7から吐水配管5に向けて供給される水の流れを検知することが可能となる。換言すると、可動部971aと棒状部材96aの上部(第二シャフト部)とによって、水流検知センサ92aが構成されている。
電気温水器1aにおいて、温調装置3とセンサユニット9aとの接続や電気ヒータ8の出力制御については、図7における第一リードスイッチ981、第二リードスイッチ982が、それぞれ第一リードスイッチ981a、第二リードスイッチ982aに置き換わるだけであり、その他の構成や制御については電気温水器1について説明したものと同一であるため、説明を省略する。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、タンク7の上流側に電磁弁4を設ける元止め式でなくてもタンク7の下流側に電磁弁4を設ける先止め式の電気温水器であっても良いように、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。