JP5884175B2 - 鋼管用ねじ継手 - Google Patents
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Description
本発明は、鋼管用ねじ継手、特に、相対応する雌雄のテーパねじにて締結する鋼管用ねじ継手に関し、詳しくは、テーパ雄ねじ部および該テーパ雄ねじ部より先端側に非ねじ部を有するピンと、該テーパ雄ねじ部および該非ねじ部それぞれに対応するテーパ雌ねじ部および非ねじ部を有するボックスとがねじ締結されて、前記ピンの非ねじ部と前記ボックスの非ねじ部とが管軸方向の少なくとも１箇所で円周方向に金属接触して管内流体をシールする構成とされた、プレミアムジョイントと通称される、鋼管用ねじ継手に関する。
特許文献１には、管の先端部の外周面に１条ねじのテーパ雄ねじ部を形成したピンと、管の先端部の内周面に前記テーパ雄ねじ部に螺合するテーパ雌ねじ部を形成したボックスとをねじ込む管継手において、前記テーパ雄ねじ部の雄ねじ山のねじ山頂面と前記テーパ雌ねじ部の雌ねじ山のねじ山頂面は、角ねじ、台形ねじ又はバットレスねじのように所定の幅を有し、前記両ねじ山頂面を、管軸に平行な面に対してねじ列テーパ面と反対方向に傾斜させる旨（特許文献１[請求項１]参照）、及びこれで以て、テーパ雄ねじ部を３６０°のどの位置で差し込んでも差し込み及びそれに続くねじ込みの連続作業が可能である旨（特許文献１[0040]参照）記載されている。
鋼管（以下、単に管とも云う）が使用される油井、ガス井では、生産流体による内圧のほか、管の自重や熱膨張による引張力や圧縮力が付与される。引張力はねじの干渉が緩む方向の力であり、圧縮力はねじの干渉が強まる方向の力である。
従来のテーパねじにて締結する管用ねじ継手（管用テーパねじ継手と云う）では、通常、従来例Ａとして図２(a)(b)に示す様に、テーパ雄ねじ部１１を有するピン１と、該テーパ雄ねじ部１１に対応するテーパ雌ねじ部２１を有するボックス２とがねじ結合し、ピンのねじ部先端側の非ねじ部３とこれに対応するボックスの非ねじ部３とが管軸方向４の少なくとも１箇所で円周方向に金属接触して管内流体をシールする構成とされ、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面７がねじテーパ面８（詳しくはねじ有効径のテーパ面；特許文献１に云うねじ列テーパ面と同義）との平行面９とされ（図２(a)参照）、若しくは管軸方向４との平行面とされ（図示省略）ている。ＡＰＩバットレスねじでいうと、管外径が１３．３７５インチ以下は前者の例、１３．３７５インチ超が後者の例として挙げられる。
従来のテーパねじにて締結する管用ねじ継手（管用テーパねじ継手と云う）では、通常、従来例Ａとして図２(a)(b)に示す様に、テーパ雄ねじ部１１を有するピン１と、該テーパ雄ねじ部１１に対応するテーパ雌ねじ部２１を有するボックス２とがねじ結合し、ピンのねじ部先端側の非ねじ部３とこれに対応するボックスの非ねじ部３とが管軸方向４の少なくとも１箇所で円周方向に金属接触して管内流体をシールする構成とされ、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面７がねじテーパ面８（詳しくはねじ有効径のテーパ面；特許文献１に云うねじ列テーパ面と同義）との平行面９とされ（図２(a)参照）、若しくは管軸方向４との平行面とされ（図示省略）ている。ＡＰＩバットレスねじでいうと、管外径が１３．３７５インチ以下は前者の例、１３．３７５インチ超が後者の例として挙げられる。
尚、ピンねじ山とボックスねじ底の対向面１０もねじテーパ面８との平行面９Ａとされ（図２(a)参照）、若しくは管軸方向との平行面とされ（図示省略）ている。
又、図２(b)の様に、非ねじ部３においては、管軸方向端面が、ねじ締結時の締付け反力礎になるショルダ部６とされ、ショルダ部６とねじ部の間に、ねじ締結時に金属接触させる部位として、シール部５が設けられている。
又、図２(b)の様に、非ねじ部３においては、管軸方向端面が、ねじ締結時の締付け反力礎になるショルダ部６とされ、ショルダ部６とねじ部の間に、ねじ締結時に金属接触させる部位として、シール部５が設けられている。
又、従来例Ｂとしては、特許文献１に記載されたものが挙げられる。これは図３(a)の様に、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面７が管軸方向４に対してねじテーパ面８とは逆向きのテーパ面１４Ａ（或いは１４Ｂ）とされ、且つ、ピンねじ山とボックスねじ底の対向面１０も管軸方向４に対してねじテーパ面８とは逆向きのテーパ面１４とされている（特許文献１[図１]参照）。
然しながら、前記従来例Ａの類の管用テーパねじ継手は、管軸方向引張力１５に対しては、図２(c)(d)の様に、ねじ部においてロードフランク面１２以外には抵抗役ＳＲが無い為、ピン１がボックス２に対し管軸方向４のねじ後進側に移動し易く、ピン１とボックス２のシール部５乃至ショルダ部６の干渉弱化３０が生じ、其部位でピン１とボックス２の間に隙間ができてシール性が低下する問題を孕む。
管軸方向圧縮力１６に対しては、図２(e)(f)の様に、ねじ部においてスタビングフランク面１３が抵抗主役ＳＲ１になるに加え、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面７或いは更にピンねじ山とボックスねじ底の対向面１０が抵抗脇役ＳＲ２になるから、シール部５乃至ショルダ部６への悪影響は小さくて、シール性は保持される。
一方、前記従来例Ｂの類の管用テーパねじ継手は、管軸方向引張力１５に対しては、図３(c)(d)の様に、ねじ部においてロードフランク面１２が抵抗主役ＳＲ１になるに加え、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面７或いは更にピンねじ山とボックスねじ底の対向面１０が抵抗脇役ＳＲ２になるから、シール部５乃至ショルダ部６への悪影響は小さくて、シール性は保持される。
一方、前記従来例Ｂの類の管用テーパねじ継手は、管軸方向引張力１５に対しては、図３(c)(d)の様に、ねじ部においてロードフランク面１２が抵抗主役ＳＲ１になるに加え、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面７或いは更にピンねじ山とボックスねじ底の対向面１０が抵抗脇役ＳＲ２になるから、シール部５乃至ショルダ部６への悪影響は小さくて、シール性は保持される。
然し、管軸方向圧縮力１６に対しては、図３(e)(f)の様に、ねじ部においてスタビングフランク面１３以外には抵抗役ＳＲが無い為、シール部５乃至ショルダ部６に過大な圧力がかかり易く、塑性変形３１を生じ、シール性が低下する問題を孕む。
以上の様に、従来技術では、ねじ部が管軸方向の引張力と圧縮力の双方に対し十分抵抗できるとは云えず、何れか一方に対し抵抗し得ずにシール性の保持が困難になると云う課題があった。
以上の様に、従来技術では、ねじ部が管軸方向の引張力と圧縮力の双方に対し十分抵抗できるとは云えず、何れか一方に対し抵抗し得ずにシール性の保持が困難になると云う課題があった。
前記課題を解決する為になされた本発明は以下の通りである。
（請求項１）
テーパ雄ねじ部および該テーパ雄ねじ部より先端側に非ねじ部を有するピンと、該テーパ雄ねじ部および該非ねじ部それぞれに対応するテーパ雌ねじ部および非ねじ部を有するボックスとがねじ結合し、前記ピンの非ねじ部と前記ボックスの非ねじ部とが管軸方向の少なくとも１箇所で円周方向に金属接触して管内流体をシールする構成とされた鋼管用ねじ継手において、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面が管軸方向に対しねじテーパ面とは逆向きのテーパ面とされ、ピンねじ山とボックスねじ底の対向面がねじテーパ面との平行面とされたことを特徴とする鋼管用ねじ継手。
（請求項１）
テーパ雄ねじ部および該テーパ雄ねじ部より先端側に非ねじ部を有するピンと、該テーパ雄ねじ部および該非ねじ部それぞれに対応するテーパ雌ねじ部および非ねじ部を有するボックスとがねじ結合し、前記ピンの非ねじ部と前記ボックスの非ねじ部とが管軸方向の少なくとも１箇所で円周方向に金属接触して管内流体をシールする構成とされた鋼管用ねじ継手において、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面が管軸方向に対しねじテーパ面とは逆向きのテーパ面とされ、ピンねじ山とボックスねじ底の対向面がねじテーパ面との平行面とされたことを特徴とする鋼管用ねじ継手。
本発明によれば、管軸方向の引張力、圧縮力の何れに対しても、ねじ部が十分に抵抗できて、シール性が保持できると云う効果を奏する。
図１は本発明の鋼管用ねじ継手の一例を示す概略図である。本発明において、テーパ雄ねじ部１１を有するピン１と、該テーパ雄ねじ部１１に対応するテーパ雌ねじ部２１を有するボックス２とがねじ結合し、ピン１のねじ部１１より先端側の非ねじ部３とこれに対応するボックス２の非ねじ部３とが管軸方向４の少なくとも１箇所、例えばシール部５で円周方向に金属接触して管内流体をシールする構成とされた鋼管用ねじ継手である点は、従来と同じである。ねじ締結時の締付け反力礎としてショルダ部６を有する点も従来と同じである。
然し、本発明では、図１(a)(b)に示す通り、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面７が管軸方向４に対しねじテーパ面８とは逆向きのテーパ面１４（或いは１４Ａ）とされ、ピンねじ山とボックスねじ底の対向面１０がねじテーパ面８との平行面９とされており、この点は従来に無いものである。
これにより、管軸方向引張力１５に対しては、図１(c)(d)の様に、ロードフランク面１２が抵抗主役ＳＲ１になるに加え、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面７が抵抗脇役ＳＲ２になるから、シール部５乃至ショルダ部６への悪影響は小さくて、シール性は保持される。
これにより、管軸方向引張力１５に対しては、図１(c)(d)の様に、ロードフランク面１２が抵抗主役ＳＲ１になるに加え、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面７が抵抗脇役ＳＲ２になるから、シール部５乃至ショルダ部６への悪影響は小さくて、シール性は保持される。
又、管軸方向圧縮力１６に対しては、図１(e)(f)の様に、ねじ部においてスタビングフランク面１３が抵抗主役ＳＲ１になるに加え、ピンねじ山とボックスねじ底の対向面１０が抵抗脇役ＳＲ２になるから、シール部５乃至ショルダ部６への悪影響は小さくて、シール性は保持される。
よって、本発明によれば、管軸方向の引張力、圧縮力の何れに対しても、ねじ部が十分に抵抗できて、シール性が保持できる。
よって、本発明によれば、管軸方向の引張力、圧縮力の何れに対しても、ねじ部が十分に抵抗できて、シール性が保持できる。
上述の実施形態は、ねじ継手のねじが１条ねじである場合について示したが、前記ねじは２条以上の多条ねじであってもよい。多条ねじである場合に、少なくとも何れか１条のねじに対して本発明を適用する実施形態によって、１条ねじの場合と同様の作用効果が得られる事は自明である。従って、斯かる実施形態も本発明に属する。
表１に諸元を示すピンとボックスを使用し、図１に示した形態おいて、ねじテーパ、ピンねじ底テーパ、ボックスねじ山テーパを表２に示す通りの値とし、ピンねじ山テーパ、ボックスねじ底テーパはねじテーパに合わせた形態として構成した処の鋼管用ねじ継手を供試材として、「ＩＳＯ１３６７９ ＣＡＬ４，８０％圧縮」と呼称されるねじ継手試験規格に則したねじ継手試験を行って、ねじ継手性能を評価した。
此処で前記各テーパは、対応テーパ面内の１点(点Ｐ)から管軸線に下ろした垂線の足（点Ｑ）までの距離（線分ＰＱの長さ）をrとし、点Ｑから管軸線内のショルダ部相当位置に設けた原点（点Ｏ）までの距離（線分ＯＱの長さ）をｚとして、ｚの増分Δｚ（正値）に対応するｒの変分Δｒ（増分ならば正値、減分ならば負値）から、
テーパ＝（Δｒ/Δｚ）*100（％）、
なる式で算出した。
テーパ＝（Δｒ/Δｚ）*100（％）、
なる式で算出した。
前記試験の結果を表２に示す。表２より、本発明例では良好な結果が得られた。
１ ピン
２ ボックス
３ 非ねじ部
４ 管軸方向
５ シール部
６ ショルダ部
７ ピンねじ底とボックスねじ山の接触面
８ ねじテーパ面
９，９Ａ ねじテーパ面との平行面
１０ ピンねじ山とボックスねじ底の対向面
１１ テーパ雄ねじ部
１２ ロードフランク面
１３ スタビングフランク面
１４，１４Ａ，１４Ｂ 管軸方向に対してねじテーパ面とは逆向きのテーパ面
１５ 管軸方向引張力
１６ 管軸方向圧縮力
２１ テーパ雌ねじ部
３０ 干渉弱化
３１ 塑性変形
ＳＲ 抵抗役
ＳＲ１ 抵抗主役
ＳＲ２ 抵抗脇役
２ ボックス
３ 非ねじ部
４ 管軸方向
５ シール部
６ ショルダ部
７ ピンねじ底とボックスねじ山の接触面
８ ねじテーパ面
９，９Ａ ねじテーパ面との平行面
１０ ピンねじ山とボックスねじ底の対向面
１１ テーパ雄ねじ部
１２ ロードフランク面
１３ スタビングフランク面
１４，１４Ａ，１４Ｂ 管軸方向に対してねじテーパ面とは逆向きのテーパ面
１５ 管軸方向引張力
１６ 管軸方向圧縮力
２１ テーパ雌ねじ部
３０ 干渉弱化
３１ 塑性変形
ＳＲ 抵抗役
ＳＲ１ 抵抗主役
ＳＲ２ 抵抗脇役
Claims (1)
- テーパ雄ねじ部および該テーパ雄ねじ部より先端側に非ねじ部を有するピンと、該テーパ雄ねじ部および該非ねじ部それぞれに対応するテーパ雌ねじ部および非ねじ部を有するボックスとがねじ結合し、前記ピンの非ねじ部と前記ボックスの非ねじ部とが管軸方向の少なくとも１箇所で円周方向に金属接触して管内流体をシールする構成とされた鋼管用ねじ継手において、ピンねじ底とボックスねじ山の接触面が管軸方向に対しねじテーパ面とは逆向きのテーパ面とされ、ピンねじ山とボックスねじ底の対向面がねじテーパ面との平行面とされたことを特徴とする鋼管用ねじ継手。
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2012138442A JP5884175B2 (ja) | 2012-06-20 | 2012-06-20 | 鋼管用ねじ継手 |
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