本発明の詳細な説明
GlaxoSmithKline Biologicals S.A.は転移性黒色腫およびNSCLC(非小細胞肺癌)を治療するMAGE-A3抗原-特異的な癌免疫治療薬(Antigen-Specific Cancer ImmunotherapeuticまたはASCI)を開発している。この免疫治療薬は(a)MAGE-A3の断片を含む融合タンパク質を、(b)抗-腫瘍免疫応答を増加するように選択した免疫刺激性化合物の特定の組み合わせであるアジュバント系と組み合わせる(Brichard et al., Vaccine 25(Suppl 2):B61 (2007))。新しい臨床試験に登録する前に、患者をスクリーニングして彼らがMAGE-A3を発現する腫瘍を有するかどうかを確認する。現在、腫瘍中のMAGE-A3の分析はリアルタイム-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により行っている。ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織(保存組織ブロック)を用いる免疫組織化学(IHC)による検出は、MAGE-A3に特異的でFFPE組織中の抗原の検出が可能な信頼しうるモノクローナル抗体(mAb)を必要とする。MAGE-Aタンパク質群は配列類似性が高いために、MAGE-A3に対する抗体は他のMAGE-Aタンパク質と交差反応しうる。例えば、Kochらはマウスを組換えMAGE-A3タンパク質で免疫化することにより抗-MAGE-A3モノクローナル抗体を産生した(Kocher et al. Cancer Res, 55: 2236, 1995)。得られるmAb(57Bと呼ばれる)はその後、MAGE-A1、-A2、-A3、-A4、-A6および-A12と交差反応することが示された(Rimoldi et al. Int J Cancer, 86: 749, 2000))。ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織と57B mAbの反応性のさらなる分析は、57B mAbが他のMAGE-A抗原を発現する組織とそれらの発現レベルに関わりなく反応しないので、主にMAGE-A4を検出することが報じられた(Landry et al. Int J Cancer, 86: 835, 2000)。
抗-MAGE-A3 mAb 6D10(Abnova, GeneTex and Novus Biologicals)の特異性の分析は、このmAbがMAGE-A2およびMAGE-A6と交差反応することを示した(本出願人の未公開データ)。加えて、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織に対するIHC(免疫組織化学)分析におけるこのmAbの使用は成功しなかった(本出願人の未公開データ)。MAGE-A3/A6に対する他のmAbはmAb M3H67として公知である(LICR New York, USA;例えば、Sharma et al., Clinical Cancer Research 12:5442 (2006);Chitale et al., Modern Pathology 18:119 (2005)を参照)。この抗体はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織中のMAGE-A3/A6の発現を特徴付けるために用いられているが、その特異性の分析は公開されてない(例えば、Chitale et al. Mod Pathol, 18: 119, 2005;Perez et al. Int J Cancer, 123: 1551, 2008;Oba-Shinjo et al. Cancer Immun, 8: 7, 2008;Nelson et al. Cancer Immun, 7: 1, 2007 ;Luftl et al. Br J Dermatol, 151: 1213, 2004; Lohmann, et al. Melanoma Res, 13: 595, 2003; and Dhodapkar, et al. Cancer Immun, 3: 9, 2003を参照)。
高度に類似したMAGE-A3とMAGE-A6タンパク質を認識する一方、密接に関係するMAGE-A2またはA12タンパク質または他の公知のMAGE-Aタンパク質と交差反応しないmAbに対する必要性は残ったままである。さらに、FFPE組織上のMAGE-A3および/またはA6を信頼して検出できる抗体が必要である。
本発明はMAGE-A3およびMAGE-A6と特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供する。抗原結合タンパク質は抗体、例えば、モノクローナル抗体(mAb)であってもよい。
特に断らない限り、本明細書に使用する技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の業者により通常理解される意味を有する。分子生物学における通常の用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V, Oxford University Press, 1994 (ISBN 0-19-854287-9);Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)に見出すことができる。
単数の用語「1つの(“a”、“an”および“the”)」は、文脈が明らかに別な意味を意味しない限り、複数の言及を含む。同様に、用語「または」は、特に文脈が明らかに別な意味を意味しない限り、「および」を含むことを意図する。用語「複数」は2以上を意味する。さらに、核酸またはポリペプチドに対する所与の全ての分子量値は近似値であり、説明のために与えられると解釈すべきである。
アミノ酸は本明細書において次のように省略して記載される:アラニン(AlaまたはA);アルギニン(ArgまたはR);アスパラギン(AsnまたはN);アスパラギン酸(AspまたはD);システイン(CysまたはC);グルタミン酸(GluまたはE);グルタミン(GlnまたはQ);グリシン(GlyまたはG);ヒスチジン(HisまたはH);イソロイシン(IleまたはI);ロイシン(LeuまたはL);リシン(LysまたはK);メチオニン(MetまたはM);フェニルアラニン(PheまたはF);プロリン(ProまたはP);セリン(SerまたはS);トレオニン(ThrまたはT);トリプトファン(TrpまたはW);チロシン(TyrまたはY)およびバリン(ValまたはV)。
本明細書で使用する用語「抗原結合タンパク質」は抗体、抗体断片および他のタンパク質構築物、例えば、MAGE-A3と特異的結合することができるドメインまたは領域を意味する。
用語「抗体」は本明細書において最も広い意味では免疫グロブリン様ドメインを持つ分子を言及するのに使用され、それには、モノクローナル、組換え、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、二特異的およびヘテロコンジュゲート抗体;単一可変ドメインまたは領域、ドメイン抗体、抗原結合断片、免疫学的に有効な断片、1本鎖Fv、ダイアボディ、TANDABS(登録商標)などが含まれる(代わりの「抗体」フォーマットの総括についてはHolliger and Hudson, Nature Biotechnology, 2005, Vol 23, No. 9, 1126-1136を参照されたい)。
本明細書で使用する修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得た抗体を意味し、その抗体が特定の方法により産生されたことを意味するものではない。例えば、本発明のモノクローナル抗体(mAb)はハイブリドーマ法(Kohler and Milstein, Nature 256:495 (1975))によりまたは組換えDNA法により産生してもよく、またはファージライブラリーから単離してもよい。
本発明のモノクローナル抗体はそれらを単離した元のハイブリドーマによって名付けられ、例えば、mAb 1B1はハイブリドーマ1B1から得たものである。
表現「単一可変域」は独立して抗原またはエピトープと特異的に結合する、色々な可変域の抗原結合タンパク質可変域(例えば、VH、VHH、VL)を意味する。
「ドメイン抗体」または「dAb」は、ある抗原と結合することができる「単一可変ドメイン」と同じであると考えてもよい。単一可変ドメインはヒト抗体可変ドメインであってもよいが、また他の種、例えばげっ歯類(例えば、WO 00/29004に開示された)、ナースサメ(nurse shark)およびラクダ科動物VHHdAb由来の単一可変ドメインを含む。ラクダ科動物VHHはラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダ、およびグアナコを含む種由来の免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドであり、天然に軽鎖を欠く重鎖抗体を産生する。かかるVHHドメインは当技術分野で利用しうる標準技法によってヒト化されていてもよく、かかるドメインは「ドメイン抗体」であると考えられる。本明細書で使用するVHはラクダ科動物VHHドメインを含む。
本明細書で使用する用語「ドメイン」はフォールディングされたタンパク質構造を意味し、残部のタンパク質とは独立した三級構造を有する。一般に、ドメインはタンパク質の明確な機能特性に関わり、そして、多くの場合、タンパク質および/またはドメインの残部の機能を喪失することなく、他のタンパク質に加えるか、除去するかまたは導入することができる。「単一抗体可変ドメイン」(または「単一可変域」)は抗体可変ドメインの特徴的な配列を含むフォールディングされたポリペプチドドメインである。それ故に、単一抗体可変ドメインには、完全な抗体可変ドメイン、および、例えば、1以上のループが抗体可変ドメインの特徴でない配列により置き換えられている改変された可変ドメイン、または、末端切断されている、またはN-もしくはC-末端伸長部を含む抗体可変ドメイン、ならびに全長ドメインの少なくとも結合活性および特異性を保持するフォールディングされた可変ドメインの断片が含まれる。1つのドメインは異なる可変域またはドメインとは独立して、抗原またはエピトープと結合することができる。
本明細書で使用する「MAGE-A」は、特に断らない限り、ヒトMAGE-Aと同じ配列から得たまたはそれらを有するMAGE-Aを意味する。本明細書で使用するMAGE-A3は、特に断らない限り、ヒトMAGE-A3と同じ配列を有するポリペプチドを意味する。
本発明者らは次の(表1に説明した)スキームを用いてモノクローナル抗体を産生した。マウスを、様々なMAGE-A3ペプチドの組み合わせまたは全長組換えMAGE-A3で免疫化した。免疫化マウスから得た血清の反応性を全長組換えMAGE-A3に対する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて試験し、ハイブリドーマ産生に用いる動物を選択した。得られるハイブリドーマが産生したモノクローナル抗体をMAGE-A3に対してスクリーニングし、次いで選択したmAbをMAGE-A3、MAGE-A12およびMAGE-A2に対する;およびMAGE-A3発現組織に対する反応性について試験した。このスキームを用いて、MAGE-A2および/またはMAGE-A12と交差反応せずに、MAGE-A3およびMAGE-A6と特異的に結合するさらなるmAbを産生した。産生したmAbを任意に免疫化に用いたペプチドに対する反応性について試験してもよい。
抗原結合断片は、非抗体タンパク質足場、例えばドメイン上の1以上のCDRの配置を用いて提供することができる。非抗体タンパク質足場またはドメインは、その天然リガンド以外のリガンドとの結合を得るためにタンパク質工学で作られたもの、例えば、その天然リガンド以外のリガンドとの結合を得るためにタンパク質工学で作られたCTLA-4(EVIBODY(登録商標));リポカリン;プロテインA由来の分子、例えばプロテインAのZ-ドメイン(アフィボディ(登録商標)、SpA)、A-ドメイン(アビマー/マキシボディ);熱ショックタンパク質、例えばGroElおよびGroES;トランスフェリン(トランスボディ);アンキリンリピートタンパク質(DARPin);ペプチドアプタマー;C型レクチンドメイン(テトラネクチン);ヒトγ-クリスタリンおよびヒトユビキチン(アフィリン);PDZドメイン;ヒトプロテアーゼインヒビターのスコーピオントキシンクニッツ型ドメイン;およびフィブロネクチン(アドネクチン)から選択される足場の誘導体であるドメインである。
抗原結合断片または免疫学的に有効な断片は重鎖または軽鎖可変配列の一部分を含みうる。断片は長さが少なくとも5、6、8または10アミノ酸である。あるいは、断片は長さが少なくとも15、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも75、または少なくとも100アミノ酸である。
本明細書を通して抗原結合タンパク質に関連して使用する用語「特異的に結合する」、「特異的結合」、または「特異的に結合している」はタンパク質またはポリペプチドと抗原結合タンパク質との間の相互作用を意味する。相互作用は、抗原結合タンパク質により認識されるタンパク質またはポリペプチドの特異的構造(すなわち、抗原決定基またはエピトープ)に依存する。抗原結合タンパク質は同じ抗原決定基またはエピトープを有する色々なタンパク質/ポリペプチドと交差反応しうる;これは非特異的結合とみなさない。さらにこれらの用語は非特異的結合と比較して、高い親和力での結合を意味する。例えば、Lodish, Cell Biology 538-9 (5th edition, 2004)を参照されたい。本明細書に記載の抗原結合タンパク質は、MAGE-A2またはMAGE-A12などの近い関係の分子と結合するより少なくとも2、5、10、50、100、または1000倍大きい親和力でMAGE-A3および/またはMAGE-A6と結合する。
抗原結合タンパク質とMAGE-A3の相互作用の結合親和力または平衡解離定数(KD)は100nM以下、10nM以下、2nM以下または1nM以下でありうる。あるいはKDは5〜10nM;または1〜2nMでありうる。KDは1pM〜500pM;または500pM〜1nMでありうる。抗原結合タンパク質の結合親和力は会合速度定数(ka)と解離速度定数(kd)により決定される(KD=kd/ka)。結合親和力はBIACORE(登録商標)などの好適な当技術分野で公知の方法により、例えば、一級アミン結合によりCM5チップ上に結合したMAGE-A3を用いる抗原捕獲とこの表面上への抗体捕獲により測定することができる。あるいは、結合親和力はFORTEBIO(登録商標)法により、例えば、一級アミンカップリングによりCM5ニードル上に結合したMAGE-A3を用いる抗原捕獲とこの表面上への抗体捕獲により測定することができる。
抗原結合タンパク質の解離速度定数(kd)は1x10-3s-1以下、1x10-4s-1以下、または1x10-5s-1以下でありうる。kdは1x10-5s-1〜1x10-4s-1;または1x10-4s-1〜1x10-3s-1でありうる。遅いkdは抗原結合タンパク質-リガンド複合体の遅い解離をもたらしうる。
本明細書で使用する用語「由来」は、参照源がその物質の物理的起源であるという意味で物質の源(参照源)を定義するだけでなく、構造的にその物質と同一であるが参照源から物理的に得たものでない物質も定義する。
従って、「ドナー抗体由来のアミノ酸配列」はドナー抗体から物理的に得た(例えば、精製したた)配列と共に、同一であるがドナー抗体から物理的に得たものでない配列も意味する。
「単離された」により、分子、例えば抗原結合タンパク質はそれが天然で見出されうる環境から取り出されたことを意図する。例えば、前記分子はそれが天然で通常存在しうる物質から精製して取り出されうることを意味する。例えば、抗原結合タンパク質は、その抗原結合タンパク質を含有する培地と比較して少なくとも95%、96%、97%、98%または99%以上精製することができる。
用語「VH」および「VL」は本明細書においてそれぞれ抗原結合タンパク質の重鎖可変域および軽鎖可変域を意味する。
本明細書で使用する「CDR」は抗原結合タンパク質の相補性決定領域アミノ酸配列を意味する。CDRは免疫グロブリン重鎖および軽鎖の超可変域である。免疫グロブリンの可変部には3つの重鎖CDRおよび3つの軽鎖CDR(またはCDR域)が存在する。従って、本明細書で使用する「CDR」は全ての3つの重鎖CDR、全ての3つの軽鎖CDR、全ての重および軽鎖CDR、または少なくとも2つのCDRを意味する。
本明細書を通して、可変ドメイン配列および全長抗体配列のアミノ酸残基は、特に断らない限り、Kabat番号規定に従って番号が付けられている。同様に、実施例で使用する用語「CDR」、「CDRL1」、「CDRL2」、「CDRL3」、「CDRH1」、「CDRH2」、「CDRH3」はKabat番号規定に依っている。さらなる情報については、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1987)を参照されたい。
当業者には、可変ドメイン配列および全長抗体配列中のアミノ酸残基に対する代わりの番号規定が存在することは明らかであろう。またCDR配列に対する代わりの番号規定も存在し、これらは、例えば、Chothia et al. (1989) Nature 342: 877-883に記載されている。抗体の構造とタンパク質フォールディングは他の残基がCDR配列の一部分であることを意味しうるしかつ当業者はそのように解釈するであろう。それ故に、用語「対応するCDR」は本明細書において任意の番号規定、例えば表2に掲げたものを用いるCDR配列を意味する。
当業者が利用しうるCDR配列に対する他の番号規定には、「AbM」(University of Bath)および「contact」(University College London)法が含まれる。Kabat、Chothia、AbMおよびcontact法の少なくとも2つを用いる最小重複領域を決定して「最小結合ユニット」を与えることができる。最小結合ユニットはCDRのサブ部分であってもよい。
次の表2は各CDRまたは結合ユニットに対するそれぞれの番号規定を用いる1つの定義を掲げる。Kabat番号スキームは表2において可変ドメインアミノ酸配列を番号付けるために用いられた。注意すべきは、いくつかのCDR定義は使用した個々の出版物によって変わりうることである。
本明細書で使用する用語「抗原結合部位」は抗原と特異的に結合することができる抗原結合タンパク質上の部位を意味する。これは単一ドメイン(例えば、エピトープ-結合ドメイン)、または単一鎖Fv(ScFv)ドメインであってもよく、または標準抗体上に見出されうる対のVH/VLドメインであってもよい。
本明細書で使用する用語「エピトープ」は、抗原が抗原結合タンパク質の特別な結合ドメインと接触する部分を意味する。エピトープは本質的に抗原由来の直鎖のアミノ酸配列を含む直鎖でありうる。あるいは、エピトープは立体構造であってもまたは不連続であってもよい。例えば、立体構造のエピトープは構造的束縛エレメントを必要とするアミノ酸残基を含む。不連続なエピトープは他の配列、すなわち抗原の一次配列の連続配列中に存在しない配列によって分離されたアミノ酸残基を含む。抗原の三次および四次構造の文脈において、不連続なエピトープの残基は抗原結合タンパク質が結合できるようにお互いに十分近くに存在する。
ヌクレオチドおよびアミノ酸配列について、用語「同一性」、「配列同一性」、または「配列類似性」は2つの核酸または2つのアミノ酸配列の間の同一性の程度を意味し、もし必要あれば、最適に整列しかつ適切な挿入または欠損を行って比較する。
2つの配列間の%同一性は、その2つの配列を最適にアライメントするために導入が必要とされるギャップの数及びそれぞれのギャップの長さを考慮した、それらの配列が共有する同一位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の位置の数/全位置の数×100)。2つの配列間の配列の比較及び%同一性の決定は、以下に記載した数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。
2つのヌクレオチド配列間の%同一性は、GCGソフトウエアパッケージ中のギャッププログラムを用いて、NWSgapdna.CMPマトリックスならびに40、50、60、70、または80のギャップウェイトおよび1、2、3、4、5、または6の長さウェイトを使って決定することができる。2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の%同一性はまたALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれたE. MeyersおよびW. Miller(Comput. Appl. Biosci.、4:11-17 (1988))のアルゴリズムを用い、PAM120ウェイト残基表、12のギャップ長ペナルティ及び4のギャップペナルティを使って決定することができる。さらに、2つのアミノ酸配列間の%同一性はGCGソフトウェアパッケージ中のギャッププログラム中に組み込まれたNeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol. 48:444-453 (1970))のアルゴリズムを用い、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかおよび16、14、12、10、8、6、または4のギャップウェイトおよび1、2、3、4、5、または6の長さウェイトを使って決定することができる。
一方法において、ポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載の参照ポリヌクレオチド配列(例えば、配列番号38、40、42、44、46または48を参照)と同一、すなわち100%同一であるか、または、参照配列と比較してある特定の整数、例えば、少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、98、または99%まで同一であるヌクレオチド改変を含みうる。かかる改変は少なくとも1つのヌクレオチド欠失、置換(転移および転換を含む)、または挿入から選択され;ここで前記改変は参照ヌクレオチド配列の5'または3'末端位置においてまたはこれらの末端位置の間のいずれかに存在し;参照配列中のヌクレオチドのなかで個々にまたは参照配列内の1以上の近接グループ中に分散している。ヌクレオチド改変の数は、本明細書に記載の参照ポリヌクレオチド配列(例えば、配列番号38、40、42、44、46または48を参照)中のヌクレオチドの総数にそれぞれの%同一性の%数字(100で除したもの)を乗じ、そしてその積を前記の本明細書に記載の参照ポリヌクレオチド配列のヌクレオチドの総数から減ずること、または
nn≦xn-(xn・y)
[式中、nnはヌクレオチド改変数であり、xnは本明細書に記載の参照ポリヌクレオチド配列中のヌクレオチドの総数であり、yは0.50(50%に対して)、0.60(60%に対して)、0.70(70%に対して)、0.75(75%に対して)、0.80(80%に対して)、0.85(85%に対して)、0.90(90%に対して)、0.95(95%に対して)、0.98(98%に対して)、0.99(99%に対して)または1.00(100%に対して)であり、・は乗算演算子の記号であり、そしてxnとyのいずれの非整数積もxnから減ずる前に最も近い整数に切り下げて丸められる]により決定される。
同様に、ポリペプチド配列は、本明細書に記載の参照ポリペプチド配列(例えば、配列番号39、41、43、45、47、49、または50〜67を参照)と同一、すなわち100%同一でありうるか、または、参照配列と比較して、%同一性が100%未満、例えば、少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、98、または99%同一であるようなある特定の整数のアミノ酸改変を含みうる。かかる改変は少なくとも1つのアミノ酸欠失、置換(保存的および非保存的置換を含む)、または挿入からなる群より選択され;ここで前記改変は参照ポリペプチド配列のアミノ-またはカルボキシ-末端位置においてまたはこれらの末端位置の間のいずれかに存在し;参照配列中のアミノ酸のなかで個々にまたは参照配列内の1以上の近接グループ中に分散している。所与の%同一性に対するアミノ酸改変の数は、本明細書に記載のポリヌクレオチド参照配列によりコードされるポリペプチド配列中のアミノ酸の総数にそれぞれの%同一性の%数字(100で除したもの)を乗じ、そしてその積を前記の本明細書に記載の参照ポリペプチド配列のアミノ酸の総数から減ずること、または
na≦xa-(xa・y)
[式中、naはアミノ酸改変数であり、xaは本明細書に記載の参照ポリペプチド配列中のアミノ酸の総数であり、yは0.50(50%に対して)、0.60(60%に対して)、0.70(70%に対して)、0.75(75%に対して)、0.80(80%に対して)、0.85(85%に対して)、0.90(90%に対して)、0.95(95%に対して)、0.98(98%に対して)、0.99(99%に対して)または1.00(100%に対して)であり、・は乗算演算子の記号であり、そしてxaとyのいずれの非整数積もxaから減ずる前に最も近い整数に切り下げて丸められる]により決定される。
%同一性は、配列の全長またはそのいずれかの断片にわたって;およびいずれかの挿入もしくは欠失を伴ってもしくは伴わないで決定することができる。
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」およびタンパク質はそれぞれ2つ以上のアミノ酸残基を含む分子を意味する。ペプチドは単量体または多量体であってもよい。
特定のアミノ酸置換は「保存的」である、すなわち、そのアミノ酸は類似の化学および物理的特性を有するとみなされることは当技術分野でよく認識されている。
保存的アミノ酸置換の表は当技術分野で公知である。アミノ酸は典型的には共通の側鎖特性に基づくグループに分割され、抗原結合タンパク質の結合親和力の全てまたは実質的に全てを維持するグループ内置換は保存的置換とみなされる。例示であって、限定するものでないが、脂肪族側鎖を持つアミノ酸は他の脂肪族アミノ酸、例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、およびメチオニンによって置換することができ;ヒドロキシル側鎖を持つアミノ酸はヒドロキシル側鎖を持つ他のアミノ酸、例えば、セリンおよびトレオニンによって置換することができ;芳香族側鎖を有するアミノ酸は他の芳香族側鎖を有するアミノ酸、例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびヒスチジンによって置換することができ;塩基性側鎖を持つアミノ酸は他の塩基性側鎖を持つアミノ酸、例えば、リシン、アルギニン、およびヒスチジンによって置換することができ;酸性側鎖を持つアミノ酸は他の酸性側鎖を持つアミノ酸、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸によって置換することができ;そして疎水性または親水性アミノ酸は他の疎水性または親水性アミノ酸によって、それぞれ置換することができる。
本明細書に記載の本発明の抗原結合タンパク質はMAGE-AファミリーからのMAGE-A3およびMAGE-A6とだけ特異的に結合する。本発明はMAGE-A3と特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、
(i)配列番号47の重鎖可変域(または配列番号47と75%以上の配列同一性を持つ変異体重鎖可変域)および配列番号49の軽鎖可変域(または配列番号49と75%以上の配列同一性を持つ軽鎖可変域);
(ii)配列番号39の重鎖可変域(または配列番号39と75%以上の配列同一性を持つ変異体重鎖可変域)および配列番号41の軽鎖可変域(または配列番号41と75%以上の配列同一性を持つ軽鎖可変域);
または
(iii)配列番号43の重鎖可変域(または配列番号43と75%以上の配列同一性を持つ変異体重鎖可変域)および配列番号45の軽鎖可変域(または配列番号45と75%以上の配列同一性を持つ軽鎖可変域)
を含むかまたはから成る前記抗原結合タンパク質を提供する。
本発明はMAGE-A3と結合しかつ配列番号52、58または64、またはそれらの変異体CDRH3配列から選択される配列を有するCDRH3を含む抗原結合タンパク質を提供する。かかる抗原結合タンパク質はさらに、上記のCDRH3に加えて、1以上のCDRH1、CDRH2、CDRL1、CDRL2、またはCDRL3を任意の組み合わせで含むものであって、ここで、CDRは配列番号50、56または62(CDRH1)、配列番号51、57または63(CDRH2)、配列番号53、59または65(CDRL1)、配列番号54、60または66(CDRL2)、および配列番号55、61または67(CDRL3);またはそれらの変異体CDR配列から選択される配列を有する。
本発明はまた、MAGE-A3と結合しかつ配列番号39、43または47から選択される重鎖可変域を含むものである抗原結合タンパク質を提供する。抗原結合タンパク質は配列番号41、45または49から選択される軽鎖可変域を含んでもよい。重鎖可変域のいずれかを軽鎖可変域のいずれかと組み合わせてもよい。
本発明はまた、MAGE-A3と結合しかつ次の重鎖可変域および軽鎖可変域組み合わせ:(配列番号39および配列番号41)または(配列番号43および配列番号45)、または(配列番号47および配列番号49)のいずれか1つを含む抗原結合タンパク質を提供する。
本発明はまた、配列番号39、43および47いずれか1つと75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上または100%同一性を有する抗体重鎖可変域を提供する。本発明はまた、配列番号41、45、および49のいずれか1つと75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上または100%同一性を有する抗体軽鎖可変域を提供する。配列番号39、43、47、41、45または49の変異体のパーセント同一性は配列の全長にわたって決定することができる。以上に記載した正準CDRまたはフレームワーク残基置換は、上記の配列同一性を有するかかる重鎖または軽鎖可変域中に存在しうる。上記配列同一性を有する抗原結合タンパク質は、参照配列が示す効力の10倍以内または5倍以内の、EC50により示されるMAGE-A3との結合に対する効力を提示しうる。EC50により示されるMAGE-A3との結合に対する効力はELISAアッセイにより行うことができる。
抗体重鎖可変域は30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1アミノ酸置換、挿入または欠失を含有する配列番号39、43、および47のいずれか1つの変異体であってもよい。抗体軽鎖可変域は30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1アミノ酸置換、挿入または欠失を含有する配列番号41、45および49のいずれか1つの変異体であってもよい。
例えば、抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号52)およびCDRH1(配列番号50)またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号52)およびCDRH2(配列番号51)またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRH1(配列番号50)およびCDRH2(配列番号51)、およびCDRH3(配列番号52)またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質はCDRL1(配列番号53)およびCDRL2(配列番号54)またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRL2(配列番号54)およびCDRL3(配列番号55)またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRL1(配列番号53)およびCDRL2(配列番号54)、およびCDRL3(配列番号55)またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号52)およびCDRL3(配列番号55)、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号52)、CDRH2(配列番号51)およびCDRL3(配列番号55)、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号52)、CDRH2(配列番号51)CDRL2(配列番号54)およびCDRL3(配列番号55)、またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質はCDRH1(配列番号50)、CDRH2(配列番号51)、CDRH3(配列番号52)、CDRL1(配列番号53)、CDRL2(配列番号54)およびCDRL3(配列番号55)を含んでもよい。あるいは、変異体CDRが存在してもよい。
本発明はまたMAGE-A3と結合する上記の抗原結合タンパク質であって、上述したCDRH3の代わりに、配列番号43または配列番号47の可変ドメイン配列の対応するCDRH3、またはその変異体CDRH3を含む前記抗原結合タンパク質を提供する。従って、抗原結合タンパク質は上記の通りであってもよいが、配列番号58または配列番号64のCDRH3を有してもよい。
本発明はまた、MAGE-A3と結合する上記の抗原結合タンパク質であって、上述したCDRH1、CDRH2、CDRL1、CDRL2またはCDRL3の代わりに、配列番号43、配列番号45、配列番号47、または配列番号49の可変ドメイン配列の対応するCDR、またはその変異体CDRを含む前記抗原結合タンパク質を提供する。。
例えば、抗原結合タンパク質は対応するCDRH3および対応するCDRH1、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH3および対応するCDRH2、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH1、対応するCDRH2、および対応するCDRH3またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRL1および対応するCDRL2、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRL2および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRL1、および対応するCDRL2および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH3および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH3、対応するCDRH2および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH3、対応するCDRH2、対応するCDRL2および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH1、対応するCDRH2、対応するCDRH3、対応するCDRL1、対応するCDRL2および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。
本発明の抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号58)およびCDRH1(配列番号56)またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号58)およびCDRH2(配列番号57)またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRH1(配列番号56)およびCDRH2(配列番号57)、およびCDRH3(配列番号58)またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質はCDRL1(配列番号59)およびCDRL2(配列番号60)、またはそれらの変異体を含んでもよい。本発明の抗原結合タンパク質はCDRL2(配列番号60)およびCDRL3(配列番号61)、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRL1(配列番号59)、CDRL2(配列番号60)およびCDRL3(配列番号61)、またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号58)およびCDRL3(配列番号61)、またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号58)、CDRH2(配列番号57)およびCDRL3(配列番号61)、またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号58)、CDRH2(配列番号57)、CDRL2(配列番号60)およびCDRL3(配列番号61)、またはそれらの変異体を含んでもよい。
本発明の抗原結合タンパク質はCDRH1(配列番号56)、CDRH2(配列番号57)、CDRH3(配列番号58)、CDRL1(配列番号59)、CDRL2(配列番号60)およびCDRL3(配列番号61)を含んでもよい。あるいは、変異体CDRが存在してもよい。
本発明はまた、MAGE-A3と結合する上記の抗原結合タンパク質であって、上述したCDRH3の代わりに配列番号39または配列番号47の可変ドメイン配列の対応するCDRH3またはそれらの変異体CDRH3を含む前記抗原結合タンパク質を提供する。
従って、抗原結合タンパク質は上記の通りであってもよいが、配列番号52または配列番号64のCDRH3を有してもよい。
本発明はまた、MAGE-A3と結合する上記の抗原結合タンパク質であって、上述したCDRH1、CDRH2、CDRL1、CDRL2またはCDRL3の代わりに、配列番号39、配列番号41、配列番号47、または配列番号49の可変ドメイン配列の対応するCDRまたはそれらの変異体CDRを含む前記抗原結合タンパク質を提供する。
例えば、抗原結合タンパク質は対応するCDRH3および対応するCDRH1、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH3および対応するCDRH2、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH1、対応するCDRH2、および対応するCDRH3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRL1、および対応するCDRL2、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRL2、および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRL1、対応するCDRL2、および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH3、および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質は対応するCDRH3、対応するCDRH2、および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH3、対応するCDRH2、対応するCDRL2および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH1、対応するCDRH2、対応するCDRH3、対応するCDRL1、対応するCDRL2および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。
本発明の抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号64)およびCDRH1(配列番号62)またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号64)およびCDRH2(配列番号63)またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRH1(配列番号62)およびCDRH2(配列番号63)、およびCDRH3(配列番号64)、またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質はCDRL1(配列番号65)およびCDRL2(配列番号66)、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRL2(配列番号66)およびCDRL3(配列番号67)、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRL1(配列番号65)、CDRL2(配列番号66)およびCDRL3(配列番号67)またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号64)およびCDRL3(配列番号67)、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号64)、CDRH2(配列番号63)およびCDRL3(配列番号67)、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質はCDRH3(配列番号64)、CDRH2(配列番号63)CDRL2(配列番号66)およびCDRL3(配列番号67)、またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質はCDRH1(配列番号62)、CDRH2(配列番号63)、CDRH3(配列番号64)、CDRL1(配列番号65)、CDRL2(配列番号66)およびCDRL3(配列番号67)を含んでもよい。あるいは、変異体CDRが存在してもよい。
本発明はまた、MAGE-A3と結合する上記の抗原結合タンパク質であって、上述したCDRH3の代わりに配列番号39または配列番号43の可変ドメイン配列の対応するCDRH3またはそれらの変異体CDRH3を含む前記抗原結合タンパク質を提供する。従って、抗原結合タンパク質は上記の通りであってもよいが、配列番号52または配列番号58のCDRH3を有してもよい。
本発明はまた、MAGE-A3と結合する上記の抗原結合タンパク質であって、上述したCDRH1、CDRH2、CDRL1、CDRL2またはCDRL3の代わりに配列番号39、配列番号41配列番号43、または配列番号45の可変ドメイン配列の対応するCDR、またはそれらの変異体CDRを含む前記抗原結合タンパク質を提供する。
例えば、抗原結合タンパク質は対応するCDRH3および対応するCDRH1、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH3および対応するCDRH2、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH1、対応するCDRH2、および対応するCDRH3、またはそれらの変異体を含んでもよい。
抗原結合タンパク質は対応するCDRL1および対応するCDRL2、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRL2および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRL1、対応するCDRL2、および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH3および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH3、対応するCDRH2および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH3、対応するCDRH2、対応するCDRL2および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。抗原結合タンパク質は対応するCDRH1、対応するCDRH2、対応するCDRH3、対応するCDRL1、対応するCDRL2および対応するCDRL3、またはそれらの変異体を含んでもよい。
対応するCDRはKabat(1987)、Chothia(1989)、AbMまたはcontact方法を参照することにより定義することができる。それぞれの方法の1つの定義は表2に見出すことができるし、対応するCDRを確認するには参照重鎖可変域配列番号39、43、または47および参照軽鎖可変域配列番号41、45、または49を適用することができる。
CDR変異体または変異体結合ユニットには少なくとも1つのアミノ酸(例えば1、2、または6つ以下のアミノ酸)が改変されたアミノ酸配列であって、その改変は変異体が未改変配列の生物学的特徴を保持することを容認するものである前記アミノ酸配列が含まれる。例えば、変異体はMAGE-A3と結合する機能性変異体である。CDRアミノ酸配列の部分的改変は1、2またはいくつかのアミノ酸の欠失または置換による;または1、2またはいくつかのアミノ酸の付加または挿入による;またはそれらの組み合わせによる(例えば、1、2または6つ以下のアミノ酸による)ものであってもよい。CDR変異体または結合ユニット変異体は、任意の組み合わせで、アミノ酸配列中に、1、2、3、4、5または6つのアミノ酸置換、付加または欠失を含有してもよい。アミノ酸残基の置換は保存的置換、例えば、1つの疎水性アミノ酸を代わりの疎水性アミノ酸に置換するものであってもよい。例えば ロイシンはバリン、またはイソロイシンで置換することができる。
CDRL1、L2、L3、H1およびH2は有限数の主鎖立体構造の1つを構造的に表す傾向がある。CDRの特別な正順構造クラスはCDRの長さおよびループパッキングの両方により定義され、CDRとフレームワーク域の両方のキー位置に位置する残基(構造決定基またはSDR)により決定される。MartinおよびThornton(1996; J Mol Biol 263:800-815)は、「キー残基」正準テンプレートを定義する自動化した方法を作製した。クラスター分析を用いて数セットのCDRの正順クラスを定義し、次いで正順テンプレートを、埋められた疎水性、水素結合残基、および保存されたグリシンおよびプロリンを分析することにより特定する。抗体配列のCDRは、キー残基テンプレートと比較しかつ各テンプレートを同一性または類似性マトリックスを用いてスコアを付けることにより、配列を正準クラスに割り当てることができる。
参照CDRに対応するCDRを含む本発明の抗原結合タンパク質は、EC50により示して、参照CDRを含む抗原結合タンパク質が示す効力の10倍以内、または5倍以内のMAGE-A3と結合する効力を発揮しうることが示されている。参照CDRの変異体を含む本発明の抗原結合タンパク質は、EC50により示して、参照CDRを含む抗原結合タンパク質が示す効力の10倍以内、または5倍以内のMAGE-A3と結合する効力を発揮しうることが示されている。参照CDRは、配列番号50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、6465、66、および67からなる群より選択される配列を有するものを含む。
本明細書に記載の1以上のCDR、対応するCDR、変異体CDRまたは結合ユニットは、ヒトフレームワークの文脈において、例えば、ヒト化もしくはキメラ可変ドメインとして存在しうる。
重鎖可変域のいずれかを好適なヒト定常域と組み合わせてもよい。軽鎖可変域のいずれかを好適なヒト定常域と組み合わせてもよい。
抗原結合タンパク質が結合するMAGE-A3ポリペプチドは組換えポリペプチドであってもよい。MAGE-A3は溶液中であってもよくまたは固体表面に付着していてもよい。例えば、ビーズ、例えば磁性ビーズに付着していてもよい。MAGE-A3はビオチン化されていてもよい。MAGE-A3とコンジュゲートしたビオチン分子を用いて、ビオチン-ストレプトアビジンを固体表面上でカップリングすることにより、MAGE-A3を固体表面上に固定してもよい。
本発明はまた、MAGE-A3と結合する抗原結合タンパク質であって、配列番号39、配列番号43、SEQIDNO:47、配列番号41、配列番号45、および配列番号49からなる群より選択されるフレームワークと75%以上の配列同一性を有する重鎖可変域アクセプター抗体フレームワークを含むものである前記抗原結合タンパク質を提供する。
抗原結合タンパク質はラット、マウス、霊長類(例えば、カニクイザル、旧世界サルまたは類人猿)またはヒト由来であってもよい。抗原結合タンパク質はヒト化またはキメラ抗体であってもよい。
抗原結合タンパク質は、いずれかのアイソタイプまたはサブクラスでありうる定常域を含んでもよい。定常域はIgGアイソタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはそれらの変異体のものであってもよい。抗原結合タンパク質定常域はIgG1であってもよい。
抗体のFcエフェクター部分に対する突然変異変化を利用してFcRnと抗体の間の相互作用の親和力を変えて抗体代謝回転をモジュレートすることができる。抗体の半減期はin vivoで延長することができる。本発明の抗原結合タンパク質はFcが無効化されていてもよい。あるいは、本発明の抗原結合タンパク質はFcが有効であってもよい。
本発明はまた、本明細書に記載の抗原結合タンパク質をコードする核酸分子を提供する。その核酸分子は(i)1以上のCDRH、または重鎖可変配列;および(ii)1以上のCDRL、または軽鎖可変配列をコードする配列を、(i)と(ii)を同じ核酸分子上に含みうる。あるいは、本明細書に記載の抗原結合タンパク質をコードする核酸分子は、(a)1以上のCDRH、または重鎖可変配列;または(b)1以上のCDRL、または軽鎖可変配列をコードする配列を、(a)と(b)を別々の核酸分子上に含みうる。
重鎖可変配列をコードする核酸分子は配列番号38、42または46のいずれか1つを含むかまたはから成ってもよい。軽鎖可変配列をコードする核酸分子は配列番号40、44、または48のいずれか1つを含むかまたはから成ってもよい。
本発明はまた、本明細書に記載の核酸分子を含む発現ベクターを提供する。また、本明細書に記載の発現ベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。
本明細書に記載の抗原結合タンパク質を好適な宿主細胞で産生してもよい。抗原結合タンパク質を作製する方法は本明細書に記載の宿主細胞を培養するステップおよびその抗原結合タンパク質を回収するステップを含むものである。組換え、形質転換、形質移入、または形質導入された宿主細胞は、本明細書に記載の抗原結合タンパク質の重鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含みかつさらに本明細書に記載の抗原結合タンパク質の軽鎖可変域をコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含むものであってもよい。あるいは、組換え、形質転換、形質移入、または形質導入された宿主細胞は、少なくとも1つの発現カセット(ここで、第1の発現カセットは本明細書に記載の抗原結合タンパク質の重鎖可変域をコードするポリヌクレオチドを含む)を含み、かつさらに本明細書に記載の抗原結合タンパク質の軽鎖可変域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のカセットを含んでもよい。安定して形質転換された宿主細胞は、本明細書に記載の抗原結合タンパク質の重鎖および/または軽鎖可変域をコードする1以上の発現カセットを含むベクターを含んでもよい。例えば、かかる宿主細胞は軽鎖可変域をコードする第1のベクターおよび重鎖可変域をコードする第2のベクターを含んでもよい。
宿主細胞は真核生物、例えば哺乳動物であってもよい。かかる細胞の例はCHO(チャイニーズハムスター卵巣)またはNS0(骨髄腫細胞株)を含む。宿主細胞は非ヒト宿主細胞であってもよい。宿主細胞は非胚性宿主細胞であってもよい。宿主細胞を培地、例えば、血清を含まない培地で培養してもよい。抗原結合タンパク質は宿主細胞により培地中に分泌されてもよい。抗原結合タンパク質を含有する前記培地については、抗原結合タンパク質を少なくとも95%以上(例えば、98%以上)に精製することができる。
本発明の抗原結合タンパク質は、抗原結合タンパク質および生理学的に許容される担体を含む組成物として、または抗原結合タンパク質および製薬上許容される担体として提供することができる。かかる組成物を使用のための取扱説明書と一緒に含む部品のキットを提供してもよい。便宜上、前記キットは所定量の試薬を使用のための取扱説明書と共に含んでもよい。
抗体構造
ほとんどの脊椎動物種は、定常域のアミノ酸配列に基づいて、2つの型、いわゆるKappaおよびLambdaのうちの1つに割り当てることができる。それらの重鎖の定常域のアミノ酸配列によって、ヒト抗体は5つの異なるクラス、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMに割り当てることができる。それらの重鎖の定常域のアミノ酸配列によって、ヒト抗体IgGおよびIgAはさらにサブクラス、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4;およびIgA1およびIgA2に細分することができる。マウスおよびラットについては少なくともIgG2a、IgG2bを有する種特異体が存在する。
可変域のより保存された部分はフレームワーク域(FR)と呼ばれる。無処置の重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ3つのCDRにより接続された4つのFRを含む。各鎖中のCDRは4つのFRにより他の鎖由来のCDRとごく近位に一緒に保持され、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。
産生方法
抗原結合タンパク質は遺伝子組換え生物、例えば、ヤギ(例えば、Pollock et al. (1999) J. Immunol. Methods 231: 147-157を参照)、ニワトリ(例えば、Morrow (2000) Genet. Eng. News 20: 1-55を参照)、マウス(例えば、Pollock et al. 1999を参照)または植物(例えば、Doran (2000) Curr. Opinion Biotechnol. 11: 199-204; Ma (1998) Nat. Med. 4: 601-606; Baez et al. (2000) BioPharm 13: 50-54; Stoger et al. (2000) Plant Mol. Biol. 42: 583-590を参照)で産生することができる。
抗原結合タンパク質はまた化学合成により作製することができる。しかし、抗原結合タンパク質は典型的には、当業者に周知の組換え細胞培養技術を用いて産生される。抗原結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを単離して複製可能なベクター、例えばプラスミド中に挿入し、さらにクローニング(増幅)または発現を行う。1つの発現系はグルタミン酸シンテターゼ系(例えば、Lonza Biologics, Basel, Switzerlandより販売)であり、その場合、特に宿主細胞はCHOまたはNSOである。抗原結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは容易に単離され、慣用の手順(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ)を用いて配列決定される。使用できるベクターにはプラスミド、ウイルス、ファージ、トランスポゾン、ミニ染色体が含まれ、そのなかで典型的にはプラスミドが使用される。一般に、かかるベクターにはさらに、シグナル配列、複製起点、1以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーターおよび転写終結配列sが含まれ、これらは発現を促進するために抗原結合タンパク質ポリヌクレオチドと機能的に連結されている。軽鎖および重鎖をコードするポリヌクレオチドを別々のベクター中に(例えば、形質転換、形質移入、エレクトロポレーションまたは形質導入により)挿入し、同じ宿主細胞中に同時にまたは逐次導入してもよく、または所望であれば、重鎖および軽鎖の両方を前記導入前に同じベクター中に導入することもできる。
本発明のポリヌクレオチド配列のコドン最適化を用いて、宿主細胞により産生されるタンパク質のレベルを増加してもよい。いくつかの方法が開示されている(Nakamura et al. (1996) Nucleic Acids Research 24: 214-215; W098/34640; W097/11086)。遺伝コードの縮退によって、本明細書に開示したものの代わりのポリヌクレオチド(特に所与の宿主細胞における発現に対して最適化されたこれらのコドン)も本明細書に記載の抗原結合タンパク質をコードすることができる。本発明の抗原結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドのコドン利用を改変して宿主細胞のコドンバイアスに適応させ、転写物および/または産物収率を増加することができる(例えば、Hoekema et al., Mol Cell Biol 1987 7(8): 2914-24)。コドンの選択は発現に用いる宿主細胞との好適な適合性に基づいてもよい。
抗原結合タンパク質は、成熟タンパク質のN-末端に特異な切断部位を有する異種シグナル配列との融合タンパク質として作製してもよい。このシグナル配列は認識されかつ宿主細胞によりプロセシングされなければならない。原核生物の宿主細胞については、シグナル配列は例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、または熱に安定なエンテロトキシンIIリーダーであってもよい。酵母分泌については、シグナル配列は例えば、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダーまたは酸ホスファターゼリーダーであってもよく、例えば、WO90/13646を参照されたい。哺乳動物細胞系においては、ウイルス分泌性リーダー、例えばヘルペスシンプレックスgDシグナルおよび未変性免疫グロブリンシグナル配列が好適でありうる。典型的にはこのシグナル配列を、抗原結合タンパク質をコードするDNAと読み枠内で結合する。
複製起点は当技術分野で周知であり、pBR322はほとんどのグラム陰性細菌に対して、2μプラスミドはほとんどの酵母に対して、および、様々なウイルス起源のもの、例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPVはほとんどの哺乳動物細胞に対して好適である。一般に複製起点成分は哺乳動物発現ベクターに必要でないが、SV40は初期プロモーターを含有するので使用してもよい。
典型的な選択遺伝子は(a)抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートまたはテトラサイクリンに対する耐性を与えるタンパク質または(b)補体栄養要求性欠陥または複合培地で利用できない補給栄養分または(c)両方の組み合わせをコードする。選択スキームは宿主細胞の増殖を静止することに関わる。例えば、抗原結合タンパク質をコードする遺伝子で首尾よく形質転換された細胞は、共に送達された選択マーカーにより与えられる薬物耐性によって生存する。一例は、形質転換体をメトトレキセートの存在のもとで培養するジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)選択マーカーである。細胞を増加量のメトトレキセートの存在のもとで培養して目的の外因性遺伝子のコピー数を増幅することができる。CHO細胞はDHFR選択用に特に有用な細胞株である。さらなる例はグルタミン酸シンテターゼ発現系(Lonza Biologics, Basel, Switzerland)である。酵母で使用する選択遺伝子の一例はtrp1遺伝子であり、Stinchcomb et al. (1979) Nature 282: 38を参照されたい。
抗原結合タンパク質を発現するために好適なプロモーターを、抗原結合タンパク質をコードするDNA/ポリヌクレオチドと機能的に連結する。原核生物宿主のためのプロモーターには、phoAプロモーター、β-ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファンおよびハイブリッドプロモーター、例えばTacが含まれる。酵母細胞における発現に好適なプロモーターには、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸塩イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼおよびグリコキナーゼが含まれる。誘導性酵母プロモーターには、アルコールデヒドロゲナーゼ-2、イソシトクロームC、酸性ホスファターゼ、メタロチオネインおよび窒素代謝またはマルトース/ガラクトース利用に関与する酵素が含まれる。
哺乳動物細胞系での発現のためのプロモーターには、ウイルスプロモーター、例えばポリオーマ、鶏痘およびアデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス(特に最初期遺伝子プロモーター)、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、アクチン、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターおよび初期または後期シミアンウイルス40が含まれる。勿論、プロモーターの選択は、発現に使用される宿主細胞との好適な適合性に基づく。第1のプラスミドはRSVおよび/またはSV40および/またはCMVプロモーター、ネオマイシンおよびアンピシリン耐性選択マーカーと一緒に軽鎖可変域(VL)、κC領域をコードするDNAを含んでもよく、そして第2のプラスミドはRSVまたはSV40プロモーター、重鎖可変域(VH)をコードするDNA、γ1定常域、DHFRおよびアンピシリン耐性マーカーをコードするDNAを含んでもよい。
適宜、例えば高等真核生物での発現については、ベクター中のプロモーターエレメントと機能的に連結されたエンハンサーエレメントを用いることができる。哺乳動物のエンハンサー配列には、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、フェトプロテインおよびインスリン由来のエンハンサーエレメントが含まれる。あるいは、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーエレメント、例えばSV40エンハンサー(bp100〜270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、バキュロウイルスエンハンサーまたはマウスIgG2a遺伝子座を使用することができる(WO04/009823を参照のこと)。エンハンサーはベクターでプロモーターの上流部位に位置してもよい。あるいは、エンハンサーは他の場所、例えば非翻訳領域内またはポリアデニル化シグナルの下流に位置してもよい。エンハンサーの選択および位置は、発現に使用する宿主細胞との好適な適合性に基づいてよい。
真核生物系において、ポリアデニル化シグナルは抗原結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結される。かかるシグナルは典型的にはオープンリーディングフレームの3'に置かれる。哺乳動物系において、非限定的な例には成長ホルモン、伸長因子-1αおよびウイルス(例えば、SV40)遺伝子またはレトロウイルス長末端反復配列由来のシグナルが含まれる。酵母系では、ポリアデニル化/終結シグナルの非限定的な例には、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)およびアルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH)遺伝子由来のものが含まれる。原核生物系では、ポリアデニル化シグナルは典型的に必要とされず、代わりに、通常、より短くてより規定されたターミネーター配列を用いる。ポリアデニル化/終結配列の選択は、発現に使用される宿主細胞との好適な適合性に基づく。
上記に加えて、収率を高めるために利用できる他の特徴には、クロマチン再構築エレメント、イントロンおよび宿主細胞特異的コドン改変が含まれる。
本発明の抗原結合タンパク質をコードするクローニングまたは発現ベクターに好適な宿主細胞は、原核細胞、酵母細胞または高等真核細胞である。好適な原核細胞には、真正細菌、例えば腸内細菌科、例えばエシェリキア菌(Escherichia)、例えば大腸菌(E. coli)(例えばATCC 31,446; 31,537; 27,325)、腸内細菌(Enterobacter)、エルウィニア菌(Erwinia)、クレブシエラ菌(Klebsiella)プロテウス菌(Proteus)、サルモネラ菌(Salmonella)、例えばネズミチフス菌、セラチア菌(Serratia)、例えばセレトア・マルセンス菌(Serratia marcescens)、および赤痢菌(Shigella)、ならびにバシラス菌(Bacilli)、例えば枯草菌(B. subtilis)およびバシラス・リシェニフォルミス菌(B. licheniformis;DD 266 710を参照のこと)、シュードモナス菌(Pseudomonas)、例えば緑膿菌(P. aeruginosa)およびストレプトマイセス菌(Streptomyces)が含まれる。酵母宿主細胞のなかでは、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)(例えばATCC 16,045; 12,424; 24178; 56,500)、ヤロウィア(yarrowia)(EP402、226)、ピキア・パストリス(PichiaPastoris) (EP183、070、Peng et al J.Biotechnol. 108 (2004) 185-192も参照)、カンジダ(Candida)、トリコデルマ・リーシア(Trichoderma reesia)(EP244、234)、ペニシリン(Penicillin)、トリポクラジウム(Tolypocladium)およびアスペルギルス属(Aspergillus)宿主、例えばA.nidulansおよびA.nigerも意図している。
高等真核宿主細胞には、哺乳動物細胞、例えばCOS-1(ATCC No.CRL 1650)COS-7(ATCC CRL 1651)、ヒト胎性腎系統293、ベビーハムスター腎細胞(BHK)(ATCC CRL.1632)、BHK570(ATCC NO: CRL 10314)、293(ATCC NO.CRL 1573)、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO(例えばCHO-K1、ATCC NO: CCL 61、DHFR-CHO細胞株(またはDHFRマイナスCHO細胞株)、例えばDG44(Urlaub et al、Somat Cell Mol Genet (1986) Vol 12 pp555-566)、特に懸濁培養に適合させたそれらのCHO細胞株、マウスセルトリ細胞、サル腎細胞、アフリカミドリザル腎細胞(ATCC CRL-1587)、HELA細胞、イヌ腎細胞(ATCC CCL 34)、ヒト肺細胞(ATCC CCL 75)、Hep G2および骨髄腫またはリンパ腫細胞、例えばNS0(米国特許US 5,807,715を参照)、Sp2/0、Y0が含まれる。
かかる宿主細胞をさらに遺伝子操作するかまたは適合させて、抗原結合タンパク質の品質、機能および/または収率を改変してもよい。限定されるものでない例には、特定の修飾酵素(例えばグリコシル化酵素)およびタンパク質フォールディングシャペロンの発現が含まれる。
抗原結合タンパク質、例えば抗体をコードするベクターで形質転換された宿主細胞を当業者に公知の任意の方法により培養してもよい。宿主細胞は、スピナーフラスコ、ローラーボトル、または中空繊維系で培養することができるが、大量生産には攪拌タンクリアクターまたはバッグリアクター(例えば、Wave Biotech, Somerset, New Jersey USA)を特に懸濁培養に使用する。例えばスパージャー、バッフルまたは低剪断インペラーを使用して攪拌タンカーを曝気用に改造してもよい。バブルカラムおよびエアリフトリアクターについては、空気または酸素気泡での直接曝気を用いることができる。宿主細胞を無血清培地で培養する場合、曝気工程の結果としての細胞損傷の防止を支援するためにプルロニックF-68等の細胞保護剤を培地に補充する。宿主細胞の特徴に応じて、ミクロキャリアを足場依存性細胞株の増殖基質として用いるか、または細胞を(典型的である)懸濁培養に適合させてもよい。宿主細胞、特に脊椎動物宿主細胞の培養では、様々な操作様式、例えば流加-バッチ、反復バッチプロセス(Drapeau et al (1994) cytotechnology 15: 103-109を参照)、拡張バッチプロセスまたは潅流培養を利用してもよい。遺伝子組換えで形質転換された哺乳動物宿主細胞は、ウシ胎児血清(FCS)などの血清添加培地で培養してもよいが、例えば、かかる宿主細胞をKeen et al (1995) Cytotechnology 17:153-163に開示されたような合成無血清培地、またはProCHO-CDMもしくはUltraCHO(登録商標)(Cambrex NJ, USA)などの市販の培地で培養し、必要に応じてエネルギー源、例えばグルコースおよび合成成長因子、例えば組換えインスリンを補充する。宿主細胞の無血清培養は、これらの細胞が無血清条件での成長に適合することを必要としうる。1つの適合化手法は、かかる宿主細胞を血清添加培地で培養し、培地の80%を無血清培地と交換することを繰り返し、その結果、宿主細胞が無血清条件への適合を習得することである(例えば、Scharfenberg K et al (1995) in Animal Cell technology: Developments towards the
21st century (Beuvery E.C. et al eds), pp619-623, Kluwer Academic publishersを参照)。
培地中に分泌された本発明の抗原結合タンパク質を回収し、そして使用目的に好適な精製の程度を与える様々な技術を用いて精製することができる。例えば、ヒト患者の治療に対する本発明の治療用抗原結合タンパク質の使用は、典型的には、少なくとも95%の純度、より典型的には98%または99%以上の純度(粗培地と比較して)を必要とする。培地由来の細胞砕片は、典型的には、遠心分離、続いての例えば、精密ろ過、限外ろ過および/または深層濾過を使用する上清の清澄化ステップを使用して除去される。種々の他の技法、例えば透析およびゲル電気泳動およびクロマトグラフィー技法、例えばヒドロキシアパタイト(HA)、アフィニティークロマトグラフィー(場合によりポリヒスチジン等のアフィニティータグ付け系を含む)および/または疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC、米国特許5,429,746を参照)が利用可能である。様々な清澄化ステップの後に、抗体をプロテインAまたはGアフィニティークロマトグラフィーを用いて捕獲することができる。さらなるクロマトグラフィーステップ、例えばイオン交換および/またはHAクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換、サイズ排除クロマトグラフィーおよび硫安沈降をその後に続けることができる。種々のウイルス除去ステップ(例えばナノ濾過(例えばDV-20フィルターを使用する))を用いることもできる。これらの様々なステップの後に、少なくとも75mg/ml以上、または100mg/ml以上の抗原結合タンパク質を含む精製された(例えば、モノクローナル)調製物が得られる。かかる調製物は抗原結合タンパク質の凝集型を実質的に含まない。
細菌系を抗原結合タンパク質の発現に用いることができる。かかる断片は細胞内または周辺質内に局在するかまたは細胞外に分泌しうる。当業者に公知の方法に従って、不溶性タンパク質は抽出して再フォールディングし、活性タンパク質を形成させることができる。Sanchez et al (1999) J.Biotechnol. 72, 13-20;およびCupit PM et al (1999) Lett Appl Microbiol, 29, 273-277を参照されたい。
脱アミドはアミド官能基を除去する化学反応である。生化学において、この反応はタンパク質を分解する上で重要である、何故なら、これはアミノ酸アスパラギンおよびグルタミンのアミド含有側鎖を損傷するからである。脱アミド反応は、医療用タンパク質の製造中に起こる共通の翻訳後改変である。例えば、組換えヒトDNAseおよび組換え可溶性CD4についてはin vitroまたはin vivo生物学的活性の低下または喪失が報じられているが、他の組換えタンパク質は影響を受けないようである。
MAGE-A3およびMAGE-A6と特異的に結合するmAbを産生する方法
本発明はさらにMAGE-A3およびMAGE-A6と特異的に結合するが、MAGE-A2またはMAGE-A12と結合しない(または特異的に結合しない)モノクローナル抗体を作り、特定し、そして産生する方法を提供する。その方法は、動物(例えばマウス)を、多様なエピトープ、すなわち、MAGE-A3およびMAGE-A6の両方で見出される配列と100%類似するが、MAGE-A2もしくはMAGE-A12のいずれの部分とも低い配列類似性しか示さないアミノ酸配列を含む、少なくとも1つの免疫化ペプチドを用いて免疫化するステップを含む。アミノ酸配列はMAGE-A2またはMAGE-A12のいずれの部分とも90%、80%、77%、75%、または70%未満の低い類似性を示しうる。前記アミノ酸配列を含む免疫化ペプチドを合成して任意に担体タンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン)と連結し;1つまたは2つのアミノ酸をアミノ酸配列に加えて担体タンパク質との連結を容易にしかつ距離を離した。かかるペプチドの例には配列番号35、配列番号36、および配列番号37が含まれる。本発明はさらに、MAGE-A3およびMAGE-A6と特異的に結合するが、いずれの他のMAGE-Aサブファミリーメンバーとも結合しない(または特異的に結合しない)モノクローナル抗体を作り、特定し、そして産生する方法を含む。
免疫化の後、免疫した動物を用いて、いずれかの好適な方法、例えば、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975)に初めて記載されたハイブリドーマ法によりモノクローナル抗体を産生する。スクリーニングを行い、MAGE-A3およびMAGE-A6と特異的に結合するが、MAGE-A2またはMAGE-A12と結合しないモノクローナル抗体を特定する。かかるスクリーニングはハイブリドーマ培養上清または精製モノクローナル抗体を用いて行うことができる。モノクローナル抗体をコードするDNAをハイブリドーマ細胞から単離して当技術分野で公知の方法を用いて配列決定し、モノクローナル抗体の重鎖と軽鎖のアミノ酸配列を得ることができる。所望のモノクローナル抗体(またはモノクローナル抗体の部分)をコードするDNAを次いで発現ベクター中に配置して好適な宿主細胞に形質移入し、コードされたポリペプチドを発現することができる。DNAはまた、例えば、ヒト重鎖および/または軽鎖フレームワーク域をコードする配列を、対応する配列の代わりに、置き換えることにより改変することもできる。
使用方法
本明細書に記載の抗原結合タンパク質を用いて生体サンプル中のMAGE-A3および/またはMAGE-A6をin vitroまたはin vivoで検出することができる。検出は研究、治療または診断の目的であってもよい。例えば、抗-MAGE-A3抗原結合タンパク質を用いて培養細胞中の、組織中の、体液中のまたは血清中のMAGE-A3を検出することができる。組織は最初にヒトまたは動物身体から何らかの理由(例えば、バイオプシー、または、外科中に切除された組織)で取り出されていてもよいし、またヒト患者から得た腫瘍組織(限定されるものでないが、黒色腫 および 非小細胞性肺癌を含む)であってもよい。通常のイムノアッセイを使うことができ、それはELISA、ウェスタンブロット、免疫組織化学、または免疫沈降を含みうる。
MAGE-A3の存在またはレベルを疾患と関係づけることにより、当業者はMAGE-A3発現に関連する疾患を診断することができる。被験体、例えば、ヒト被験体からの腫瘍組織中のMAGE-A3の検出を用いて、腫瘍を発現するMAGE-A3を治療するように設計された治療薬に被験体が好適であるかまたは反応しうるかを確認することができる。本発明の抗原結合タンパク質はMAGE-A3および/またはMAGE-A6タンパク質を検出するのに有用であり、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織をMAGE-A3および/またはMAGE-A6についてスクリーニングするのに有用でありうる。
MAGE-Nの予想アミノ酸配列(配列番号68)(Genebank、遺伝子座番号AF443295; Zhang et al. Oncology Report, 20: 245, 2008)はMAGE-A3のN-末端領域(アミノ酸1〜129)と97%類似性を有し、1つのアミノ酸差を持つ。MAGE-NのN-末端領域のアミノ酸73〜90に対応する配列は、(MAGE-A3中のアミノ酸73〜90に対応する)ペプチドMA3#3(配列番号37)中のMAGE-A3断片のアミノ酸配列と同一である。本明細書に記載の抗原結合タンパク質はMA3#3ペプチドと特異的に結合する(図7)。従って、本明細書に記載の抗原結合タンパク質を用いて生体サンプル中のMAGE-Nをin vitroまたはin vivoで検出することができる。検出は治療または診断目的のためであってもよい。例えば、抗-MAGE-A3抗原結合タンパク質を用いて培養細胞中の、組織中の、体液中のまたは血清中のMAGE-Nを検出することができる。組織は最初にヒトまたは動物身体から何らかの理由(例えば、バイオプシー、または、外科中に切除された組織)で取り出されていてもよいし、またヒト患者から得た腫瘍組織(限定されるものでないが、肝細胞癌を含む)であってもよい。ELISA、ウェスタンブロット、免疫組織化学、または免疫沈降を含む、通常のイムノアッセイを用いることができる。
MAGE-Nの存在またはレベルを疾患、例えば肝細胞癌と関係づけることにより、当業者はMAGE-N発現に関連する疾患を診断することができる。被験体、例えば、ヒト被験体からの腫瘍組織中のMAGE-Nの検出を用いて、腫瘍を発現するMAGE-Nを治療するように設計された治療薬に被験体が好適であるかまたはおそらく反応しうるかを確認することができる。本発明の抗原結合タンパク質はMAGE-Nタンパク質を検出するのに有用であり、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織をMAGE-Nについてスクリーニングするのに有用でありうる。
本発明の抗原結合タンパク質を、1以上の抗原結合タンパク質、検出可能な標識、およびキット使用のための取扱説明書を含む診断キットに入れて提供することができる。便宜上、キットは予め定めた量の試薬を、使用の説明書と共に含みうる。
配列
配列番号1〜11:それぞれ、ヒトMAGE-A1、A2、A3、A4、A5、A6、A8、A9、A10、A11、およびA12。
配列番号12〜22:MAGE-A3 aa66〜91に対応するMAGE A1、A12、A2、A3、A6、A4、A5、A8、A10、A11、およびA9の断片。
配列番号23:MAGE-A3 aa66-91に対応する断片のコンセンサス配列。
配列番号24〜33:MAGE-A3 aa137-180に対応するMAGE A1、A12、A2、A3、A6、A4、A8、A10、A11、およびA9の断片。
配列番号34:MAGE-A3 aa137-180に対応する断片のコンセンサス配列。
配列番号35:免疫化用のペプチドMA3#1。
配列番号36:免疫化用のペプチドMA3#2。
配列番号37:免疫化用のペプチドMA3#3。
配列番号38〜49:mAb 16G7およびmAb 23D2に対する重鎖および軽鎖ヌクレオチドおよびアミノ酸配列。
配列番号50〜52:mAb 1B1のCDRH1〜CDRH3。
配列番号53〜55:mAb 1B1のCDRL1〜CDRL3。
配列番号56〜58:mAb 16G7のCDRH1〜CDRH3。
配列番号59〜61:mAb 16G7のCDRL1〜CDRL3。
配列番号62〜64:mAb 23D2のCDRH1〜CDRH3。
配列番号65〜67:mAb 23D2のCDRL1〜CDRL3。
配列番号68:MAGE-N
実施例
全長MAGE-A3およびMAGE-A3ペプチドの合成
他のMAGE-Aタンパク質と交差反応する抗体を得る機会を減ずるために、MAGE-A3タンパク質からの多様なエピトープを特定し、これらのエピトープを含有するペプチドを用いてマウスを免疫化した。マウスを全長組換えMAGE-A3タンパク質(配列番号3)を用いて免疫化することから成る第2の計画も用いた。
多様なエピトープを特定した。これらのエピトープは他のMAGE-Aタンパク質配列(高度に類似するMAGE-A6配列を除いて)に対して、より低い配列類似性を示すMAGE-A3の2つの領域を起源とした。第1の領域はMAGE-A3のアミノ酸(AA)66〜91(配列番号15)にまたがり、MAGE-A2およびMAGE-A12とそれぞれ73%および76%同一性を示す。第2の領域はMAGE-A3(配列番号27)のAA 137〜180(配列番号27)を含み、MAGE-A2およびMAGE-A12の両方と72%同一性を示す(図3)。
多様なエピトープを含有する3種のペプチドの全てを合成した(表3);
*MAGE-A3中のアミノ酸163〜180の配列はGIELMEVDPIGHLYIFATである(図1参照)。不注意な誤りがあってMA3#2ペプチドをCGIELMEVDPIGHLYFATとして合成し、MAGE-A3配列の残基#177に対応するイソロイシンを含有しなかった。
1つまたは2つのアミノ酸(表3で下線を引いたもの)をMA3ペプチドのNH2末端に加えて担体タンパク質との連結を容易にしかつ距離を離した。3種のMAGE-A3断片はMAGE-A6と高い配列類似性を有するので、得られる抗体はこのタンパク質と交差反応しうると予想した。
MA3#1、MA3#2、およびMA3#3ペプチドを合成し(New England Peptide, Inc.)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と直接コンジュゲートした。ペプチド-KLHコンジュゲートは1mg/mlの濃度であった。コンジュゲートしてない凍結乾燥MA3#1、MA3#2、およびMA3#3ペプチドも合成した(NEP Inc.)。
バキュロウイルス中に全0.426mg/mlの濃度で産生した3mgのMAGE-A3組換えタンパク質および大腸菌中に1.487mg/mlの濃度で産生した3mgのMAGE-A3組換えタンパク質を得た(GSK Biologicals, Rixensart, Belgium)。0.486mg/mlの濃度のMAGE-A2組換えタンパク質および0.458mg/mlの濃度のMAGE-A2組換えタンパク質も得た(GSK Biologicals, Laval, Canada)。全てのこれらの材料を-20℃にてアリコートとして保存した。
免疫化計画
異なる免疫化計画を有する2つのプロトコルを同時に実施した。これらの実験は制度上の動物倫理委員会(the institutional Animal Ethics Committee)により承認されたものである。
各プロトコルは、Charles River Inc.から購入した4匹の6〜8週齢の雌性Balb/cマウスを免疫化するステップから成った。免疫化前に、各マウスについて血液サンプルを採取して免疫前血清を得た。
第1のプロトコル(IMM-134)はアジュバントQuil-A(Cedarlane Laboratories Ltd., Hornby, ON, Canada; Superfos Biosector, Vedbaek, Denmark)の存在のもとで3種のペプチド-KLHコンジュゲートの混合物(実施例1に記載の通り)でマウスを免疫化するステップから成った。各マウスに、第0日、第14日および第35日に、10μgの各ペプチドKLHコンジュゲートおよび10μgのQuil-Aを100μlの容積で皮下(s.c.)注射した。第45日に血液サンプルを採取して分析した。実施例11は以下のプロトコルの詳細を説明する。
第2のプロトコル(IMM-135)はMAGE-A3組換えタンパク質でマウスを免疫化するステップから成った。各マウスに、第0日、第14日および第35日に、バキュロウイルスで産生した20μgのMAGE-A3組換えタンパク質および10μgのQuil-Aを100μlの容積で皮下(s.c.)注射した。第45日に血液サンプルを採取して分析した。実施例11は本実施例で実施した以下のプロトコルの詳細を説明する。
力価決定、マウス選択および最終追加免疫の結果
実施例2からの各免疫化マウスから得た免疫前(第0日)血清および第45日に得た色々な濃度の血清を、バキュロウイルスで産生した組換えMAGE-A3タンパク質についてELISAにより試験した(図4Aおよび4B)。次いで第2のELISA分析を行い、各プロトコルからの1マウスの血清を組換えMAGE-A3、MAGE-A2およびMAGE-A12タンパク質でならびにそれぞれKLHとコンジュゲートした3種のMAGE-A3ペプチド(MA3#1、MA3#2およびMA3#3)で試験した。これらの血清の反応性を免疫前血清(マウス#1、IMM-135)、mAb 57B(陽性対照として)、無関係なmAb M344(陰性対照)、および二次抗体(ヤギ抗-マウス(GAM)IgG-HRP、Jackson ImmunoResearch)単独(陰性対照)の反応性と比較した(図5)。
Nunc MAXISORP(登録商標)96-ウエルのウエルを抗原でコーティングした。抗原をTris緩衝化生理食塩水(TBS)中に精製組換えMAGEタンパク質について0.1μg/50μlにてまたはKLHとコンジュゲートしたペプチドについて0.1μg/50μlにて希釈し、そして0.1μg/50μlにて配給し、そして一晩37℃にて乾燥した。ウエルを数回TBSで洗浄し、50μlのTBS-1%カゼインを各ウエルに加えた。ウエルを1時間37℃にてインキュベートし再び数回TBSで洗浄した。
50μlのマウス血清を加え、TBS-0.02%カゼインで希釈し、次いで1時間37℃にて加湿室内でインキュベートしそしてTBSで6回洗浄した。
次いで二次抗体を加えた:50μl/ウエルの西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートした二次抗体(GAM IgG-HRP, Jackson ImmunoResearch)を加え、TBS-0.02%カゼインに1:5000で希釈し加湿室内で1時間37℃にてインキュベートした。次いでウエルを6回TBSで洗浄した。
顕色:50μl/ウエルの2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾール-6-スルホン酸) (ABTS, Chemicon International, Cat: ES004-500 ml)を加え、30分間37℃にて加湿室内でインキュベートした。反応を50μl/ウエルのABTSブロック溶液を加えることにより停止した。405nmの光学密度をプレートリーダー(Molecular Devices)で読み取った。
全8マウスからの血清を1:1000〜1:500,000の範囲で希釈したMAGE-A3タンパク質に対して試験した。図4Aは、KLHとコンジュゲートした3ペプチドの混合物で免疫化したマウスの間で(プロトコルIMM-134)、マウス#3が最高力価を有したことを示す。第2に高い力価はマウス#4であった。図4Bに示すように、組換えMAGE-A3タンパク質(プロトコルIMM-135)で免疫化したマウスのグループ中では、マウス#1が最高力価を有した。
抗血清の特異性を確認するためにおよびプロトコルIMM-134からのマウスのどのペプチド抗血清と反応性があるかを確認するために第2のELISA分析を実施し、この試験では、各プロトコルからのマウスの血清(1:1000希釈)を、組換えMAGE-A3、MAGE-A2およびMAGE-A12タンパク質ならびにKLHとコンジュゲートした3種のMAGE-A3ペプチドのそれぞれで試験した。
図5は、IMM-134マウス#4の血清は組換えMAGE-A3と反応したが、MAGE-A2またはMAGE-A12、ペプチドと反応しなかったことを示す。これはまた、多様なペプチドを用いる免疫化計画(IMM-134)がMAGE-A3/A6に特異的な抗体を産生するのに有効であったことを示す。このマウスの血清はまた、MAGE-A3ペプチド#2および#3と反応性があるがペプチド#1と反応性がなく、ペプチド#1は免疫原性が小さいことおよびペプチド#2と#3はMAGE-A3に特異的なエピトープを含有することを示す。
IMM-135マウス#1の血清は、他方、MAGE-A2およびMAGE-A12とも交差反応するので、MAGE-A3に特異的でなかった。この血清のMAGE-A3ペプチド#3との強い反応性はこのペプチドが免疫優性エピトープを含有することを示唆する(図5)。
細胞融合-結果
KLHとコンジュゲートしたペプチドの混合物で免疫化したマウスからの血清の抗体力価の故に、およびこれがMAGE-A3/A6に特異的な抗体の産生をもたらした(上記実施例3を参照)故に、マウス#3(IMM-134;実施例2)からの脾細胞を用いて細胞融合を実施した。
最終追加免疫は、先のマウス#3(IMM-134)における免疫化に用いたのと同じ量の抗原(10μgの各ペプチド-KLHコンジュゲート)を注射することにより実施した。しかし、最終追加免疫は静脈内に(i.v.)アジュバント無しで与えることを意図した。マウス#3(IMM-134)の最終追加免疫で技術的誤りがあって抗原をQuil-Aの存在のもとで注射し、注射後数分間にマウスが死亡した。それ故に最終追加免疫を、マウス#4(IMM-4)を用いて繰り返した。マウス#4を最終追加免疫の3日後に心穿刺により犠牲にした。採集した血液を用いて血清を調製した。マウス#4の脾臓を無菌条件のもとで取出し、脾細胞を単離して融合体を調製した。
実施例12は本実施例実施後のプロトコルを説明する。概要を述べると、脾細胞を数回培地(β-メルカプトエタノール、100Uのペニシリン、および100Uのストレプトマイシンを含有するIscove培地)で洗浄し、計数を行った。総数で187.5×106個の生細胞および80×106個の死細胞(70%生存率)を得た。
脾細胞を培養し、希釈し、洗浄し、そして計数した(実施例12を参照)。総数で66.3×106個の生細胞および15×106個の死細胞(77%生存率)を得た。187.5×106個の脾細胞を次いで66.3×106個のSP2細胞と融合した(およそ3:1の脾細胞/SP2比)。ハイブリドーマを、200μl/ウエルの細胞懸濁液を用いて23枚の96-ウエルプレートにまいた。
抗体スクリーニングの結果
実施例4に記載の融合後13日に、クローンを試験する準備ができた。23枚のプレートを観察すると各ウエル中に1〜5クローンが見出された。抗-MAGE-A3反応性のクローンをELISAにより特定した。
Nunc MAXISORP(登録商標)96-ウエルプレートのウエルを組換えMAGE-A3タンパク質でコーティングした。MAGE-A3をTris-緩衝化生理食塩水(TBS)に0.1μg/50μlで希釈し、50μl/ウエルで配給しそして一晩37℃にて乾燥した。ウエルを数回、TBSで洗浄しそして50μlのTBS-1%カゼインを各ウエルに加えた。ウエルを1時間37℃にてインキュベートしそして再び数回TBSで洗浄した。
実施例4で得た23枚の96-ウエルプレートの各ウエルからTBS-0.02%カゼインに希釈した50μlの培地上清を得て、MAGE-A3タンパク質でコーティングしたウエル中に移し、次いで1時間37℃にて加湿室内でインキュベートし、そしてTBSで6回洗浄した。
各プレートのウエルH12からの上清を、陽性対照として50μlの57Bハイブリドーマ上清で置き換えた。
反応性の抗体を、実施例3に説明したMAGE-A3に対するELISAプロトコルで示したように明らかにした。
陽性クローンは、405nmにて大部分の他のクローンと比較してより高い吸収をもつものであった。少なくとも135個のMAGE-A3反応性のクローンを特定した(結果は示してない)。これらの可能性のあるクローンを、1mlの完全培地を含有する24-ウエルプレートのウエル中に移し、細胞を拡大した。
ハイブリドーマ選択とサブクローニング-結果
24-ウエルプレートに移した後に容易に生育した実施例5からの総数75個のクローンを2日後に、次の抗原:組換えMAGE-A3、組換えMAGE-A2;組換えMAGE-A12;KLHとコンジュゲートしたペプチドMA3#1;KLHとコンジュゲートしたペプチドMA3#2;およびKLHとコンジュゲートしたペプチドMA3#3との反応性についてELISAで試験した。
各クローンについて50μlの培地上清を、0.1μg/ウエルの組換えMAGEタンパク質の1つまたは0.5μg/ウエルのKLHとコンジュゲートしたペプチドの1つを含有する96-ウエルプレートの1ウエル中に移した。陽性対照として、50μlの57Bハイブリドーマ上清を各抗原について試験した。反応性の抗体を、実施例3に記載のプロトコルを用いて明らかにした。
75個のクローンから58個がMAGE-A3との反応性を保存したが50個だけがMAGE-A3に特異的であった(8個のクローンはMAGE-A12と交差反応性を示し、1個はMAGE-A2とも交差反応した(クローン3H2、4B5、5D3、9H8、12F3、13A6、18H11、19H3))。少数のクローンは全ての抗原と反応し非特異的であった。ペプチド-KLHコンジュゲートとの反応性については、MAGE-A3に特異的なクローンの大部分はペプチドMA3#3とだけ反応性であったが、少数はペプチドMA3#2とも低い反応性を示した。ただ2つのクローンはペプチドMA3#3とよりもペプチドMA3#2とより強い反応性を示した(クローン9A5および21A8)。図6Aおよび6Bは、1B1、16G7および23D2を含む、これらの75個のクローンのいくつかの反応性を示す。全クローンに対する結果は示してない。
ホルマリン固定パラフィン包埋組織中のMAGE-A3を検出するmAbの能力を評価するために、一連の22個のMAGE-A3特異的クローン上清(1:10希釈した)の反応性を、(a)TC1細胞のマウス異種移植片(TC1);(b)MAGE-A3を発現するTC1細胞のマウス異種移植片(TC1-MAGE-A3細胞)、および(c)ヒト精巣サンプルに対する免疫組織化学(IHC)により試験した。対照として、同じ組織を1:200に希釈したmAb 57B上清で試験した。TC1細胞のマウス異種移植片はGSKにより提供された;以下のIHCプロトコルについては実施例13を参照されたい。最良の分泌能力と特異性を持つクローンのなかから22個のクローンを無作為に拾い、クローンのFFPE組織中のMAGE-A3を検出する能力の初期評価を与えた。
TC-1腫瘍細胞はT. C. Wu(Johns Hopkins University、Baltimore、MD)からの好意による提供であった。これらはC57BL/6マウスの一次肺細胞から、HPV16 E6およびE7遺伝子および活性化ras癌遺伝子の逐次導入により産生されたものであり、先に記載されている(Lin K et al, Cancer Res. 56:21-6 (1996))。次いで、TC1細胞にMAGE-A3をコードするプラスミドを安定して形質移入した。
表4はIHC分析の結果を示す。22クローンはいずれもTC1異種移植片と反応性を示さなかった。しかし、7クローン(クローン1B1、1B12、3A5、5A2、16C1、16G7および23D2)はTC1-MAGE-A3細胞と反応性を示した。これらの7クローンのうちで、23D2上清だけがヒト精巣サンプルと弱い反応性(精原細胞とおよび場合によっては一次精母細胞と関連する反応性)を示した。MAb 57BはTC1細胞の異種移植片に陰性であったが、TC1-MAGE-A3細胞の異種移植片と、ならびにヒト精巣(ここでは精母細胞および精原細胞の強い染色が観察された)と強い反応性があった。
IHCで反応性の7クローン(1B1、1B12、3A5、5A2、16C1、16G7および23D2)を次いで、クローン13A6(これはMAGE-A2および-A12と交差反応性を示した)のようにサブクローニングした(以下のプロトコルについては実施例14を参照されたい)。最初のサブクローニング後に、クローン1B1、3A5、16G7および23D2はなお組換えMAGE-A3と反応性であった。
1B1、16G7および23D2の第2のサブクローニングにおいて、試験したクローンの100%(20/20)は組換えMAGE-A3と反応性であって、これらのハイブリドーマはモノクローナル抗体を分泌する純粋なクローンと考えられた。第2のサブクローニングはクローン13A6に対しても行った。クローン3A5は第2サブクローニング後に純粋と考えることはできなかった、というのは、試験した20サブクローンのうちの1つのサブクローンはMAGE-A3と反応しなかったからである。それ故に第3のサブクローニングをクローン3A5について実施したが、24クローンのうちの15サブクローンが反応性になり、このクローンは不安定であることを示した。それ故にクローン3A5のサブクローニングを停止した。
クローン1B1、16G7、23D2、および13A6の第2のサブクローニング後、これらのクローンは標準培地(100Uのペニシリンおよび100Uのストレプトマイシン、50μMβ-メルカプトエタノールおよび10%ウシ胎児血清を含有するIscove培地)での増殖に徐々に適合した。細胞を最初、HATおよびP288D1順化培地なしの完全培地で増殖した。次いで細胞を20%の代わりに10%ウシ胎児血清だけを含有する培地で増殖した。細胞が標準完全培地での増殖に完全に適合した時に、ELISAを実施してクローンがまだ抗-MAGE-A3抗体を分泌しているのを確認した(図7)。クローン1B1、16G7および23D2はKLHとコンジュゲートしたMAGE-A3ペプチド#3とおよび組換えMAGE-A3タンパク質と強く反応したが、他の抗原と反応せず、サブクローニングの後、クローンがその本来の反応性を保持することを示した。安全処置として、全クローンからの細胞をサブクローニングプロセスの様々なステップで凍結した。
凍結細胞のマスターストックの調製
標準培地での増殖に適合した実施例6からのハイブリドーマを増幅して凍結細胞の大きいストックを調製した。各ハイブリドーマについて、10 x 106生細胞(1ml中に)を含有する少なくとも20個のクリオチューブを90%FCS-10%DMSO(ジメチルスルホキシド)中で凍結した。クリオチューブをMr. Frosty(Nalgene Cat: 5100-001)ボックス中で-80℃にて一晩凍結し、次いで-80℃にて貯蔵した。
マスターストックを保存している-80℃生物凍結器に機械的な問題が起こって温度が-40℃に上昇した。細胞を直ちに解凍し、標準培地で培養した。高い死亡率のパーセント(>90%)は実施例6に記載の2つの追加のサブクローニングの実施をもたらし、ハイブリドーマが分泌ハイブリドーマの純粋なクローンであることを保証した。第2のサブクローニングの後、90%超の生存率で、90%FCS-10%DMSO中に10 x 106 生細胞を含有する少なくとも20クリオチューブを含むものである新しいマスターストックを調製した。クリオチューブをMr. Frosty(Nalgene Cat: 5100-001)ボックス中で-80℃にて一晩凍結し、そして液体窒素中に移した。
抗体特徴付け
ハイブリドーマ1B1、16G7および23D2から産生されたmAbの性質、活性および特異性を特徴付けるために、実施例7から得たハイブリドーマを大量に増殖して500-mlロットのハイブリドーマ上清を産生した。
抗体濃度:これらのロットのハイブリドーマのそれぞれにおける抗体濃度をサンドイッチELISAによりマウスIgG標準曲線を用いて測定した。マウスIgGおよびIgMに対するヤギポリクローナル抗体(Jackson Immunoresearch Cat: 115-005-044)の0.5μg/50μl/ウエルでコーティングした96ウエルプレートを用いた。コーティング後、プレートを一晩37℃にて乾燥し、次いでウエルを3回TBSで洗浄しそして1ウエル当たり50μlのTBS-1%カゼインを加えた。プレートを1時間37℃にてインキュベートし、そして再び3回TBSで洗浄した。
標準曲線の0.5〜3 ng/50μlの範囲のIgG(Sigma Cat:I5381)を調製し、3重でウエル(50μl/ウエル)に加えた。ハイブリドーマ1B1、16G7および23D2からの上清のPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)中の希釈液、1:1000〜1:8000を調製し、三重で配給した(50 μl/ウエル)。プレートを1時間37℃にて加湿室内でインキュベートし、次いでTBSで6回洗浄した。
各ウエルに、TBS-0.02%カゼイン中に1:5000希釈した50μlのHRPコンジュゲート二次抗体(ヤギ抗-マウスIgG-HRP、Jackson ImmunoResearch Cat: 115-035-062)を加え、プレートを1時間37℃にて加湿室内でインキュベートし、次いでTBSで6回洗浄した。ABTS(Chemicon International Cat: ES004-500 ml)、100μl/ウエルを加え、30分間37℃にて加湿室内でインキュベートした。100μl/ウエルのABTSブロック溶液を加えて反応を停止した。光学密度をMolecular Devices社のプレートリーダーで405nmにて読み取った。
mAb23D2、16G7および1B1ハイブリドーマ上清中の抗体濃度はそれぞれ103、29および60μg/mlであった。
抗体アイソタイプ決定:
mAb23D2、16G7および1B1のそれぞれのアイソタイプを、Sigma(Cat. No: ISO-2)のマウスモノクローナル抗体アイソタイプ決定キットを用いてELISAにより決定した。ハイブリドーマ上清からの抗体を抗マウス重鎖特異的抗体で捕獲し、結合した抗体をHRPで標識した二次抗体と続いてのABSの存在のもとでのインキュベーションを用いて明らかにした。表5に掲げた試薬を用いた。
抗体をPBS中に1:1000で希釈し、100μl/ウエルを二重で96-ウエル プレート中に配給し、1時間37℃にて加湿室内でインキュベートし、そしてTBS-0.05% Tween 20中で3回洗浄した。次いで100μlのサンプル上清を加え、1時間室温にてインキュベートし、そして3回TBS-0.05% Tween 20中で洗浄した。二次抗体をTBS-0.05% Tween 20中に1:600で希釈し、100 μl/ウエルを配給し、1時間37℃にてインキュベートし、そして3回TBS-0.05% Tween 20中で洗浄した。ABTS(Chemicon International Cat: ES004-500 ml)を100μl/ウエル加え、そして30分間37℃にて加湿室内でインキュベートした。反応を100μl/ウエルのABTSブロック溶液を加えることにより停止し、そして光学密度をMolecular Devicesプレートリーダーで405nmにて読み取った。
MAb 23D2はIgG2a抗体であると決定する一方、mAb 16G7および1B1は両方ともIgG1であると決定した(結果は示してない)。
抗体の精製
予備IHC分析(実施例6)はmAb 23D2がIHCでよく機能していることを示唆した。50-mlサンプルのハイブリドーマ上清23D2(ロット090309)を用いて、MABTRAP(登録商標)キット(GE Healthcare Inc、United Kingdom)を使って精製した。以下のプロトコルは実施例15を参照されたい。IgGに対するBradfordアッセイは、合計4.32mgのmAb23D2を50mlの上清から精製できることを示した。
得たmAb 2302の純度を次いでSDS-PAGE分析法により分析した(以下のプロトコルについては実施例15を参照されたい)。結果は、mAb 23D2サンプルが高度に純粋であることを示し、還元条件下で夾雑タンパク質は存在せず、2つのバンドしか示されなかった(重鎖および軽鎖;55kDaおよび23kDa)。
抗体ビオチン化
競合アッセイに用いるために、MAb 23D2をビオチン化した。精製mAb 23D2(4.32μg/μlにて100μl)を最初に一晩4℃にて0.1Mホウ酸塩バッファー(pH8.8)に対して透析した。得られる抗体濃度を定量すると、透析後に1.74μg/μlであった(実施例15に記載のBradfordアッセイを用いた)。
29μl(1.74μg/μl)の精製mAb23D2(合計50μg)に2.5μl(0.5μg/μl)のビオチン(合計1.25μg)を加えた。次いで2.5μlのDMSO(Fishercat:D4540)を加え、そして4時間室温にてインキュベートした。反応を1μlの0.1M NH4Clを加えることにより停止し、続いて10分間室温にてインキュベートした。抗体を一晩PBSに対して4℃にて透析し、そして透析後のビオチン化mAbの濃度を決定して1.33μg/μlを得た(実施例15に記載のBradfordアッセイを用いた)。
次いでMAGE-A3に対するELISAをビオチン化mAb 23D2(0、0.5、0.1、0.15、0.2、0.25および0.3μg/50μl)の希釈液を用いて実施し、ビオチン化mAb 23D2の使用に有用な条件を決定した。ビオチン化mAbの希釈曲線は0.032μg/50μlの抗体希釈液が飽和でない強いシグナルを与えることを示す。
抗体競合
mAb 23D2、1B1および16G7の3つが全て同じエピトープを指向するか、または異なるエピトープを指向するかを確認するために、競合アッセイをビオチン化mAb23D2および増加量のmAb 1B1および16G7の間で実施した。無標識mAb 23D2を競合の陽性対照として用い、mAb M75(無関係なIgG1抗体)を競合の陰性対照として用いた。
図9は競合の結果を示す。少なくとも40倍超の無標識mAb 23D2がビオチン化mAb 23D2と95%競合するために必要であった。しかし、わずか10倍超のmAb 16G7がビオチン化mAb 23D2と95%競合するために必要であった。さらに、5倍超のmAb 16G7がビオチン化mAb 23D2と85%競合するために必要であった。対照的に、5倍超のmAb 1B1はビオチン化mAb 23D2との競合が小さく、40倍超のmAb 1B1でもわずかに55%競合し得た。無関係なmAb M75とは40Xで競合が観察されなかった。
これらの結果はmAb 23D2および16G7が同じエピトープを指向するが、mAb 16G7は23D2より高い親和力/結合活性を有することを示す。MAb 1B1はmAb 23D2と部分的に競合するので、異なるが近いエピトープに指向するか;または、より完全にmAb 23D2と競合するために多量の(40Xを超える)1B1抗体を必要とするので、mAb 23D2と同じエピトープに指向するが低い親和力/結合活性を有する。
抗体特異性
MAGE-A1、A2、A3、A4、A6、A8、A9、A10、A11およびA12をコードするプラスミドを用いて一過的に形質移入したHEK 293細胞に対するmAb 1B1、16G7および23D2の特異性を、ウェスタンブロット分析で試験した。非形質移入細胞を対照として用いた。形質移入または非形質移入細胞の25〜85μgの溶菌液をSDS-PAGEで電気泳動し、ニトロセルロース上に移した。ブロットとmAb 1B1、16G7および23D2それぞれとのインキュベーションにより免疫検出を実施した。さらに、形質移入体により発現された全てのMAGE-A抗原を一緒に認識するmAbの混合物を用いて免疫検出を実施した(この混合物中のmAbについては表6を参照されたい)。
方法:ミニ-ゲルを、ランニングゲルについては10%アクリルアミドでおよびスタッキングゲルについては4.5%アクリルアミドで調製した。サンプルを40μlのローディングバッファー(還元条件)で調製し、スタッキングゲルでは100Vでおよびランニングゲルでは200Vで供給しかつ泳動した。タンパク質を100mAで1時間4℃にてニトロセルロース上に移し、その膜をTBS-5%脱脂乳中でインキュベートし、そしてTBS-1%脱脂乳に希釈した抗体と共に1時間室温にてインキュベートした。膜を3回TBS中で洗浄し、HRP(Jackson Immunoresearch Cat: 115-035-062)とコンジュゲートしたヤギ抗マウスと共に1時間室温にてインキュベートし、次いで3回TBSで洗浄した。結合した抗体を化学発光(Perkin Elmer Western lightning Cat: NEL102)により明らかにし;フィルムを1分間〜30分間曝した(Amersham Cat: 28906836)。
全てのmAb(1B1、16G7および23D2)はMAGE-A3およびA6と特異的に反応し、他のMAGE-A抗原と反応性を示さなかった。しかし、mAb 16G7は長時間の曝露後に、非形質転換および形質転換HEK 293細胞において見出されなかったより高い分子量の非特異的なバンドを明らかにした。mAb 23D2は、MAGE-A3およびA6に制限されたパターンをおそらく分解産物である低い分子量のいくつかのバンドと共に明らかにした。mAb 1B1はmAb 23D2の様に、MAGE-A3およびA6に高度に特異的であり、分解産物と反応性のないクリーンなパターンを示した(ウェスタンブロットは示してない)。
mAb 23D2を用いて、精製全長MAGE-A2、-A3、-A9および-A12組換えタンパク質について別のウェスタンブロット分析を実施した。各組換えタンパク質について、1μgの精製タンパク質をSDS PAFEにより電気泳動し、ニトロセルロース上に移した。ブロットを次いで、mAb 23D2で、および4種のMAGE-Aタンパク質を認識できるmAbの混合物(mAb 14A11および57B)で試験した。MAb 23D2はMAGE-A3と特異的に認識し、MAGE-A2、-A9または-A12タンパク質と交差反応しなかった(結果は示してない)。
mAb 1B1、16G7、および23D2の反応性と特異性をまた、MAGE-A抗原を(トランスジーンを高レベルで発現しうる)形質移入体より低いレベルで発現する癌細胞の溶菌液についてウェスタンブロットにより試験した。4つの型の癌細胞(GERL、K562、STAQおよびCRL-1555)を試験した。一過的にMAGE-A3で形質転換したHEK293細胞を陽性対照として用いた。タンパク質をSDS PAFEにより電気泳動し、ニトロセルロース上に移し、3つのmAbで試験した。
3つのmAbは全てHEK293-MAGE-A3形質移入体と強く反応した。MAb 23D2および16G7はK562およびGERL細胞の溶菌液と陽性に反応し、MAGE-A3および/またはMAGE-A6に対応する45kDa付近にバンドを明らかにした。STAQおよびCRL-1555細胞の溶菌液との反応性は見られなかった。MAb 16G7はまた、全ての細胞溶菌液に現れる約60kDaにおけるいくつかの非特異的バンドも明らかにした。
mAb 1B1については、4つの細胞溶菌液と反応性は観察されないが、非常に長い曝露後、45 kDa付近にいくつかの弱いバンドが観察し得た。mAb 1B1のK562およびGERL細胞溶菌液との反応の欠落はこのmAbの低い親和力/結合活性に因るものであり得て、これがMAGE-A3が大量に見出される形質移入HEK293細胞と比較して低い量の抗原を検出することを阻止したのであろう。
遊走パターンの相違はHEK293細胞に発現されるMAGE-A3とK562およびGERL細胞に発現されたものとの間に見られ;HEK293細胞を形質移入するために用いたMAGE-A3プラスミドが相違を生じたHisタグ付きMAGE-Aタンパク質をコードした。
MAGE-A mRNAの発現のRT-PCR分析は、K562細胞がMAGE-A6を発現しかつGERL細胞がMAGE-A3とA6を発現することを示した(表7)。STAQもCRL1555もMAGE-A3またはMAGE-A6を発現しなかった。それ故に、mAb 23D2および16G7について得た結果はRT-PCR結果と一致する。
組織サンプル中のMAGE-A3の分析
ハイブリドーマ1B1、16G7および23D2からの上清を用いる、ホルマリン固定パラフィン包埋組織におけるMAGE-A3/A6発現のIHC分析用に適当なmAb希釈液を決定した。1:100〜1:1000の範囲の上清の希釈液を、ヒト精巣の切片についておよびTC1細胞、またはTC1-MAGE-A3形質移入細胞のどちらかのマウス異種移植片(全てホルマリン固定かつパラフィン包埋されたもの)について試験した。Mab 57Bを精原細胞および精母細胞との反応性の陽性対照として用いた。熱誘導した抗原リトリーバルで処理した組織について、IHCを実施した(実施例13に記載のプロトコルを用いた)。mAb 23D2(ハイブリドーマ上清;lot 090309)に対して、最良の結果を得る希釈は1:750である一方、mAb 16G7(ハイブリドーマ 上清; lot 090309)に対しては、最良の結果を得る希釈は1:200であった。対照的に、mAb 1B1は低希釈であっても、組織を適当に染色しなかったので、このmAbはホルマリン固定パラフィン包埋組織のIHC分析用には不適当であると考えた(結果は示してない)。
ヒト精巣、マウスTC1およびTC1-MAGE-A3細胞:
ヒト精巣サンプルにおいて、mAb 23D2および16G7(それぞれ1:750および1:200の希釈で)精原細胞および全てではないがいくつかの一次精母細胞を強く染色し、MAGE-A3および/またはA6が精子形成の初期段階に発現されることを示唆した。TC1およびTC1-MAGE-A3細胞のマウス異種移植片を試験する場合、23D2と16G7の両方はTC1-MAGE-A3異種移植片(mAb 57Bで得たものと類似)に対して強いシグナルを与えたが、TC1異種移植片に対してはシグナルを与えなかった。しかし、mAb 16G7はTC1異種移植片に対してmAb 23D2より強いバックグランドを与え;mAb 2302はより特異的であってほとんどバックグランドを与えなかった。これらの結果は16G7と23D2はこれらの対照組織を同じ様に染色するが、mAb 23D2がIHCおよびウェスタンブロット分析においてより特異的なシグナルを与えることを示したので、mAb 23D2を膀胱腫瘍におけるMAGE-A3/A6発現の分析用に選択した。
ヒト膀胱腫瘍:
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)膀胱腫瘍サンプルのコホートにおけるMAGE-A3/A6の発現をmAb 2302を用いて分析した。MAb 23D2を用いて33腫瘍サンプルを染色したが、これらはPicard et al., Int. J. Cancer , 120:2170-2177 (2007)(mAb-14A11(MAGE-A4)およびmAb57b(MAGE-A9)を用いて行ったRT-PCR分析、IHCにより確認されたMAGE-A3、-A4、-A8および-A9 mRNAの発現)が報じた先に分析されている46腫瘍サンプルから残ったものである。図10はmAb23D2(MAGE-A3/A6)を用いるこのパネルの腫瘍に対するIHCの結果を示し、先にPicardらが得た結果と比較した。
Picardらは、mAb 57bを用いて試験した腫瘍の36%(13/36)におけるMAGE-A4発現およびmAb 14A11で試験した腫瘍の42%(15/36)におけるMAGE-A9発現を報じた(Picard et al., Int. J. Cancer , 120:2170-2177 (2007))。mAb 23D2で試験すると、33(24%)のうちのわずか8つの腫瘍が反応性を示した。ほとんどの場合、反応性は限局性であり、腫瘍細胞の2%未満に限定された。一腫瘍(TUM-660)では細胞の40%が染色された。この腫瘍はMAGE-A3 mRNAを中度に発現したが全体にMAGE-A3 mRNA発現とmAb 23D2による染色の間に良い相関がなく、MAGE-A3を発現するほとんどの腫瘍はmAb 23D2により染色されなかった。しかし、これらの腫瘍のほとんどにおけるMAGE-A3 mRNAの発現は低く、この発現が限定数の細胞に限定されていることを示唆し、これはmAb 23D2によるIHCにおいてわずか1つの腫瘍セクションを分析するときに逸したのかも知れない。対照的に、mAb 23D2によるIHCで陽性であった2つの腫瘍はMAGE-A3 mRNAに対して陰性であった。これらの場合には、mAb 23D2の反応性はMAGE-A6 mRNAのこれらの細胞における発現よるのかも知れない(試験した腫瘍におけるMAGE-A6の発現に対するデータは利用できなかった)。加えて、MAGE抗原発現の不均一性の故におよびIHC分析とRNA単離に用いた腫瘍部分が必ずしも並置されてなかった故に、本IHCと先のRT-PCR結果の間の相関はmAb 23D2の特異性の欠如を示すと解釈されない。さらに、いくつかの腫瘍サンプルは古くかついくつかはBouin溶液で固定された。多くのmAbは年数および固定形式に非常に感受性があることが示されている。
非筋肉侵襲性腫瘍:
46のより最近の腫瘍のコホート(全てホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE))におけるMAGE-A3/A6発現のIHC分析をmAb 23D2を用いて実施し;さらにMAGE-A4およびMAGE-A9の発現をmAb 57Bおよび14A11を用いてそれぞれ評価した。これらの非筋肉侵襲性腫瘍(Ta、T1およびTis期)は2005年12月および2007年4月に切除された。表8はMAGE-A4およびMAGE-A9のそれと比較したこれらの腫瘍におけるMAGE-A3/A6の発現の結果を示す。23D2による染色は一般に細胞質であったが、少数の事例(10%未満の事例)では稀な陽性核を観察することができた。ほとんどの事例(24/46)では、染色は弱く、細胞の10%以下で、概して低強度で観察されたが、中間濃度が時々観察される。46腫瘍のうちのわずか9つが全て陰性であった。スライドの注意深いスクリーニングはほとんどの場合に少数の島状のかすかに陽性の細胞を検出した。いくつかの腫瘍は中間レベルの染色を示し、20〜50%の陽性細胞が見られた。これらにおいて、染色強度は非常に可変性であり、或る領域は染色が弱く、他の領域は中度または強い強度で染色された。乳頭腫瘍では、強い染色が通常乳頭の表面において観察された。扁平腫瘍は一般に陽性の傾向があった。少数の腫瘍(3/46)は大多数が陽性細胞(≧90%)であり、染色は一般に中間強度であったが可変で、数バッチでは強い強度に達した。
2つの他のMAGE-A抗原の発現と比較すると、mAb 23D2はMAGE-A4またはMAGE-A9に対して陰性であった7つの腫瘍を染色することが観察され、MAGE-A3/A6がMAGE-A9を相補しうることを示唆した。実際、MAGE-A3/A6および/またはMAGE-A9を発現する腫瘍は腫瘍の93%を数え、46のうちのわずか3腫瘍はいずれの抗原も発現しなかった。MAGE-A3/A6とは逆に、MAGE-A4はMAGE-A9と相補性でなく、MAGE-A4を発現する全ての腫瘍はMAGE-A9も発現した。全てのこれらの抗原のうち、MAGE-A9は最も均一に発現され、48腫瘍のうちの15において腫瘍細胞の50%以上で見出される一方、わずか9および6腫瘍がMAGE-A4およびMAGE-A3/A6をそれぞれ腫瘍細胞の類似の比率で発現した。細胞の50%超のMAGE-A3/A6またはMAGE-A4を発現した腫瘍の全て(但し1つ(P1063)を除く)は細胞の50%超においてMAGE-A9も発現した。
ヒト精巣FFPE:
MAb 1B1、16G7および23D2を、2つの異なる抗原回収ステップ用バッファーを使って、5μmのFFPEヒト精巣組織上のIHC染色で試験した。陰性対照として、Universal Negative Control抗体(DakoCytomation Inc., Denmark (Code N1698))を用いた。
免疫染色に先立って、LabVision PTモジュール(Thermo Fisher Scientific, Fremont, California)を用いてサンプルスライドを調製した。
1. スライド脱パラフィンと再水和:
キシレン 3x(3分間)
エタノール 95% 2x(2分間)
エタノール 70% 1x(3分間)
脱イオン水 1x(3分間)
2. 抗原回収ステップ:
再水和後、スライドを室温にて、バッファーとしてpH 8.0でエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、またはpH 6.0でクエン酸を含有するPTモジュール内に置いて、熱誘導エピトープ回収を始めた。
25℃から97℃まで:およそ45分間
97℃にて:20分間
97℃から65℃まで:およそ30分間
65℃にて、スライドを浴から取り出し、脱イオン水中で2分間、次いでPBSバッファー中で2分間漱いだ。次いで全てのインキュベーションを加湿室内で行いながら、免疫組織化学染色を実施した。
3. 免疫組織化学染色
第1日:内因性ペルオキシダーゼをH202 1.5%を含むPBS中でのインキュベーションにより15分間ブロックした(コプリン瓶)。スライドをPBS中で2回(3分間)漱ぎ、そして通常のヤギ血清5%を含むPBS/BR 0.5%(ブロック試薬、Roche、11096176001)中で30分間飽和させた。スライドを排水し、セクション回りをティッシュペーパーで拭った。一次抗体をPBS/BR 0.5%に希釈し、一晩4℃にて適用した(希釈 1:50;1:100;1:200;1:400)。
第2日:スライドをPBS中で2回(5分間)漱ぎ、そして酵素結合した二次抗体をスライド(Envision, DakoCytomation Ready-to-Use for Mouse(K4004))に適用して45分間置いた。次いでスライドをPBS中で2回(3分間)漱ぎ、そして色素源(DABキット、Invitrogen)で5分間現像した。スライドを次いで脱イオン水で3回(3分間)漱ぎ、そしてMayerのヘマラム(Klinipath)で1〜3分間、対比染色し、水道水で5分間漱ぎ、次いで脱イオン水で2分間漱いだ。スライドを次いで脱水し、DePex培地(BDH Chemicals、361254D)で封入した。
結果を表Aに示した。
考察:
このように、本明細書で報じた免疫化計画IMM-134では、多様と推定されるエピトープを含有するMAGE-A3ペプチドでマウスを免疫化した。MAGE-A3ペプチドMA3#3は、得られた陽性ハイブリドーマのほとんどがこの配列中に見出されるエピトープと反応する抗体を分泌したので、高度に免疫原性であった。MAGE-A3ペプチドMA3#2も免疫原性であったが、より少ない抗体を誘導し、それに対して、MAGE-A3ペプチドMA3#1は明らかに免疫原性が低かった。MAGE-A3/A6と特異的に反応する3つのmAbが産生された。MAb 1B1、IgG1抗体はホルマリン固定パラフィン包埋組織中のMAGE-A3/A6ウエルを検出しなかったが、ウェスタンブロットでは良く機能した。MAb 16G7はウェスタンブロットおよびホルマリン固定パラフィン包埋組織上のIHCの両方で良く機能したが、特異的でなく、より高いバックグランドを与える。MAb 23D2、IgG2a抗体はIHCおよびウェスタンブロットにおいて良く機能した。MAb 23D2および16G7は同じエピトープと反応するが、16G7はmAb 23D2より高い親和力/結合活性を有すると思われる。MAb 1B1は見かけ上、mAb 23D2が認識するものに近いエピトープと反応するかまたは同じエピトープを認識するが、他の2つのmAbよりはるかに低い親和力/結合活性で認識する。これらの結果は、ペプチドMA3 #3と反応性である産生される抗体は単一優性エピトープを指向していること、および得られる抗体の相違は親和力/結合活性によるものでありうることを示唆する。
モノクローナル抗体V-遺伝子配列決定
mAb 1B1、16G7および23D2のそれぞれのV-遺伝子(可変域をコードする遺伝子)のヌクレオチド配列を決定した。各ハイブリドーマの凍結細胞を蘇生させて増殖し、上清中に存在する抗体のアイソタイプを決定した。細胞を回収し終わるとそれらを溶菌した。RNAを細胞溶菌液からPromega SV Total RNA Systemを用いて単離した。RNAの逆転写を実施して第1鎖cDNAを合成した。V-遺伝子増幅をPCRにより、全cDNAをテンプレートとしてならびにフォワード プライマーのプールおよび各反応に対する関係アイソタイプ特異的リバースプライマーを用いて行った(1B12=IgG1κ;16G7=IgG1λ;および23D2=IgG2aλ)。逆転写およびPCRはPromega Access Quickキットを用いて製造業者の取扱説明書に従って行った。PCR産物を精製し、DNAの配列を決定した。
mAb 1B1、16G7および23D2可変軽鎖および可変重鎖のヌクレオチド配列を図11に示す。図12はこれらのヌクレオチド配列がコードするアミノ酸配列であり、相補性決定領域(CDR)には下線を引いた(フレームワーク領域には下線を引いてない)。
次の2つのプロトコルは実施例2実施に続くものである。2つの免疫化スケジュール(IMM-134およびIMM-135)はまた、表10および表11にまとめられている。
IMM-134プロトコル:KLHとコンジュゲートした3種のMAGE-A3ペプチドの混合物によるBalb/c マウスの免疫化
免疫源:3種のMAGE-A3ペプチド(MA3#1、MA3#2、およびMA3#3、本明細書の実施例1を参照されたい)の混合物を調製し、各ペプチドをキーホールリンペットヘモシアニン(KLH; NEP Inc、凍結されかつPBS中に1mg/mlにて再構成した)にコンジュゲートし、各ペプチドの最終濃度を0.1μg/μlにする。
アジュバント:Quil-A 10mg/ml(Cedarlane-Superfros Biosector; Cat: 7401)
免疫化:4匹のBalb/cマウス(Charles River Inc.)において、各マウスから100-μl血液サンプルを採取する(免疫前血清)。5μlのQuil-A(10mg/ml)を500μlの3種のMAGE-A3ペプチド(KLHとコンジュゲートしたもの)(0.1μg/μl)の混合物に加え、そしてよく混合する。皮下に100μl/マウスを注射する。各マウスは従って、10μgの各MAGE-A3ペプチド-KLHコンジュゲートと10μgのQuil-Aを受ける。
追加免疫:5μlのQuil-A(10mg/ml)を500μlの3種のMAGE-A3ペプチド(KLHとコンジュゲートしたもの)(0.1μg/μl)の混合物に加え、そしてよく混合する。
皮下に100μl/マウスを注射する。(各マウスはそれ故に10μgの各MAGE-A3ペプチド-KLHコンジュゲートおよび10μgのQuil-Aを受ける)。
最終追加免疫:静脈内に3種のMAGE-A3ペプチド(KLHとコンジュゲートしたもの)(0.1μg/μl)を100μl/マウスを注射する(選択されたマウスはそれ故に10μgの各ペプチド-KLHコンジュゲートを受けるがアジュバントは受けない)。
マウス#3は最高力価を有したが最終追加免疫に生存しなかった、その理由は実験の誤りに因る。融合はマウス#4で実施した。
IMM-135プロトコル:Balb/cマウスの組換えMAGE-A3による免疫化
免疫源:組換え全長MAGE-A3(GlaxoSmithKlineより提供されたバキュロウイルスで産生したもの)の溶液を調製する。ストック溶液は0.426mg/mlのMAGE-A3とし、PBS中の希釈液をMAGE-A3の最終濃度0.2μg/μlにて調製した。
アジュバント:Quil-A 10mg/ml(N.F.31.05.2002)(Cedarlane - Superfros Biosector; Cat: 7401)。
免疫化:4匹のBalb/cマウス(Charles River Inc.)において、各マウスから100-μl血液サンプルを採取する(免疫前血清)。5μlのQuil-A(10mg/ml)を500μlの組換えMAGE-A3タンパク質(0.2μg/μl)に加え、そしてよく混合する。皮下に100μl/マウスを注射する。(各マウスはそれ故に20μgの組換えMAGE-A3および10μgのQuil-Aを受ける)。
追加免疫:5μlのQuil-A(10mg/ml)を500μlの組換えMAGE-A3タンパク質(0.2μg/μl)に加え、そしてよく混合する。皮下に100μl/マウスを注射する。
(各マウスはそれ故に20μgの組換えMAGE-A3および10μgのQuil-Aを受ける)。
最終追加免疫:静脈内に100μl/マウスのMAGE-A3 抗原を注射する。
(選択されたマウスはそれ故に20μgの組換えMAGE-A3を受けるがアジュバントは受けない)。
融合プロトコル
Iscove-Pen/Strep-βME溶液の調製:Iscove改変Dulbecco培地(GIBCO Cat: 12200-028)を含有し、この溶液は100U/mlのペニシリン、100U/mlのストレプトマイシン(Gibco Cat:15140-122)および50μMβ-メルカプトエタノールを含有する。
Iscove-Pen/Strep-βME-5%FCS溶液の調製:Iscove改変Dulbecco培地 (GIBCO Cat:12200-028)を含有し、この溶液は100U/mlのペニシリン、100U/mlのストレプトマイシン(Gibco Cat:15140-122)、50μMβ-メルカプトエタノールおよび5%の胎児ウシ血清(Gibco Cat:12483-020)を含有する。
Iscove-Pen/Strep-βME-20%FCS Hyclone-HAT-1% CM溶液の調製:Iscove改変Dulbecco培地(GIBCO Cat: 12200-028)を含有し、この溶液は100U/mlのペニシリン、100 U/mlのストレプトマイシン(Gibco Cat: 15140-122)、50μMβ-メルカプトエタノールおよび20%の胎児ウシ血清(Hyclone Cat: SH30071-03)、1X HAT(Gibco Cat: 21060-017)および1%のP388D1細胞由来の順化培地(VP 21042005)を含有する。
全ての溶液と培地は37℃に予熱した。
脾細胞の調製:心穿刺によりマウスを犠牲にした。脾臓を無菌条件下で取り出す。脾臓の細胞内容物を空にし、細胞を3回Iscove-Pen/Strep-βMEで洗浄する(Sorvall RT-6000D、1500rpm、10分間)。細胞数をトリパンブルー排除法により数える。結果:生存細胞187.5x106および死細胞80x106=70%生存細胞であった。
SP2細胞の調製:融合の1週前にSP2細胞の培養を開始する。細胞をIscovePen/Strep-βME-10%FCS中で増殖する。融合の前日に、細胞を3x105細胞/mlに希釈する。融合当日に、細胞を1回Iscove-Pen/Strep-βMEで洗浄し(Sorvall RT-6000D、1500 rpm、10分間)、細胞をトリパンブルー排除法により数える。結果:生存細胞66.3x106および死細胞15x106=77%生存細胞であった。
融合:50mlチューブ中で、脾細胞とSP2細胞を3:1の比(187.5 x 106 脾細胞と66.3 x 106 SP2細胞)で組み合わせ、そして容積をIscove-Pen/Strep-βMEで50mlまで補給し、そして遠心分離した(Sorvall RT-6000D、1500rpm、10分間)。1mlの50% PEG4000(Sigma Cat: P7306)を1分間にわたって細胞ペレットに徐々に加え、これをデカンテーション後にほぐした。チューブを37℃にて90秒間徐々に撹拌した。20 mlのIscove-Pen/Strep-βMEを徐々に(最初の1mlを30秒に、続いて2mlを30秒に、そして最後の17mlを60秒に)加えることにより反応を停止する。容積を50mlまで補給しそして5分間インキュベートした後、細胞を遠心分離した(Sorvall RT-6000D、1500rpm、10分間)。細胞を1回、50mlのIscove-Pen/Strep-βME-5%FCSで洗浄する(Sorvall RT-6000D、1500 rpm、10 分間s)。細胞を完全培地Iscove-Pen/Strep-βME-20%FCS Hyclone-HAT-1% CMに再懸濁し、23枚の96-ウエルプレートの200μl/ウエルに配給する。37℃、5%CO2にて10〜15日間インキュベートする。
免疫組織化学(IHC)
組織のセクション:所要数の組織の5-μmセクションを切り取って分析した。セクションはできるだけ新鮮なものを調製しなければならない。古いセクションはシグナルの強度を減少しうる。
パラフィンの除去と組織の水和:表12に記載のステップをドラフトのもとで行う。
バッファーの予熱:加圧調理器(Dako Diagnostique Canada Inc.)を1200mlの0.01Mクエン酸バッファー(pH 6.0)で満たす。加圧調理器の蓋をしっかりと閉じ、電子レンジ(SAMSUNG 900W)内に置く。圧力計が上昇するまで最高強度で加熱する(約12分間)。
抗原回収のための加熱:圧力計が低下すると、加圧調理器を開けてスライドを内部に入れ、バッファーでスライドを覆う。蓋を閉じ、電子レンジ内に再び置く。最高強度で約12分間またはスチームジェットが最高になるまで加熱し、次いでさらに6分間加熱する。電子レンジを開けて圧力計が下がった後、加圧調理器の蓋を明ける。
免疫組織化学:IDETECT Super stain System(HRP)(ID Labs Inc Cat #IDST1007)を用いて免疫検出を実施する。スライドをPBS 1X中に少なくとも5分間置く。スライドをH2O2 3%(Laboratoire Mat # HR-0133)の浴中で5分間インキュベートすることにより、内因性ペルオキシダーゼをブロックする。PBS 1Xの浴中で漱ぐ。過剰なバッファーを吸取り紙で取り除いて、スライドを加湿室内に置く。一度に1つのスライドを処置し、組織の乾燥を避ける。2〜3滴のブロック血清バッファーを加え、20分間室温にてインキュベートする。過剰バッファーを取り除いて一次抗体を所望の希釈(組織のサイズに応じて150〜200μl)にて加える。一晩室温にてインキュベートする。2つのPBS浴で洗浄する。上記の通り、過剰バッファーを取り除く。200〜250μlのビオチン化した抗-免疫グロブリン(連結試薬)を加え、20分間室温にてインキュベートする。2回PBSで洗浄する。吸取り紙を用いて過剰バッファーを取り除き、スライドを加湿室内に置く。一度に1つのスライドを処置し、組織の乾燥を避ける。200〜250μlのウルトラ-ストレプトアビジン/ペルオキシダーゼ複合体(標識試薬)を加え、20分間室温にてインキュベートする。2回PBSで洗浄する。吸取り紙を用いて過剰バッファーを取り除き、スライドを加湿室内に置く。一度に1つのスライドを処置し、組織の乾燥を避ける。250μl/スライドのDAB溶液(Zymed Cat:00-2014)を加え、インキュベートする(インキュベーション時間は各mAbに対して最適化し、シグナルの飽和を避けなければならない)。3回蒸留水浴で漱ぐ。
対比染色:スライドをHarrisヘマトキシリン溶液(Fischer Cat: SH26-500D)中で30秒〜1分間インキュベートする。対比染色を顕微鏡下でチェックする。過剰の染料を水道水のもとで除去する。
スライド作製:表13のステップをドラフトのもとで行う:
一度に1枚のスライドを処理する。1滴のエンテラン(BDH、Cat: UN 1866)を組織上に置く。カバースリップをエンテラン上に置く。乾燥させ、注意深くスライドを特定しそして顕微鏡下で読み取る。
ハイブリドーマのサブクローニングと培養
各候補クローンを、2.5mlの完全培地(Iscove-Pen/Strep-βME-20% FCS Hyclone-HAT-1% CM)を含有する6-ウエルプレートのウエル中に移す。プレートを37℃にて5%CO2中で、細胞が必要な密度に達するまでインキュベートする。
トリパンブルー排除法により細胞を数える。3,750細胞を13-mlチューブ中に移す。容積を7.5ml(100細胞/200μl)まで完全培地で補給する。一連の1:10希釈液をこのチューブから調製して10細胞/200μlおよび1細胞/200μlを含有する懸濁液を得る。これらの3つの細胞懸濁液(100、10 および1つの細胞/200μl)のそれぞれを、96-ウエルプレートの32ウエル(200μl/ウエル)中に配給し、このプレートを37℃、5%にて10〜15日間インキュベートする。
1細胞/200μl懸濁液を含有するウエル中で増殖するクローンをELISAで、組換えMAGE-A3タンパク質との反応性について試験する(反応性クローンを陽性とみなす)。試験したクローンは視覚で制御して1コロニーだけがウエル中に存在することを保証する。もし1細胞/200μl懸濁液を含有するウエルからクローンが得られなければ、10細胞/200μl懸濁液、または100細胞/200μl懸濁液を含有するウエルで増殖するクローンをELISAで組換えMAGE-A3タンパク質との反応性について試験し、試験したクローンは視覚で制御して1コロニーだけがウエル中に存在することを保証する。
陽性クローンを6-ウエルプレートのウエル中に移し、細胞を、時を改めて、上記の通りクローン性を保証する。クローン性は、ELISAにより試験した全てのサブクローニングが陽性の場合に得られる。
最終サブクローンを徐々に適合させて標準培地(Iscove-Pen/Strep-βME-10% FCS)で増殖する。
標準培地に適合したハイブリドーマを90%FCS-10%DMSO(10 x 106 細胞/クリオチューブ)でMr Frosty凍結コンテナー(Nalgene Cat:5100-0001)内で一晩、-80℃にて凍結し、次いで-80℃にて少なくとも24時間後に液体窒素中に移す。
抗体の精製
ハイブリドーマ上清からの抗体の精製はMABTRAP(登録商標)キット(GE Healthcare Cat: 17-1128-01)を用いて実施した。
調製:カラムおよびバッファーを室温にて温める。バッファーを取扱説明書に記載のように調製する。採集画分1ml当たり60〜200μlの中和化バッファーを加えることにより採集チューブを調製する。ハイブリドーマ上清を遠心分離しかつ濾過して粒子を除去する。
精製:シリンジを水で満たし、それをカラムに接続し、そしてエタノール保存剤を5mlの水で洗い流す。カラムを15mlの結合バッファーで平衡化する。50mlのハイブリドーマ23D2上清(Lot:090309)を、上清をシリンジを用いて徐々に通すことによりカラムに適用する。25 mlの結合バッファーで洗浄し、5mlの溶出バッファーをそれぞれ1mlの5つの画分で溶出する。各画分(1:100希釈したサンプル)のO.D. 280を測定する。結果:23D2ハイブリドーマ上清については、ピークが画分#2で見出された(O.D.280nm=0.055)。
Bradfordアッセイによる抗体濃度の定量:0、2.5、5、10、15、20、25および30μgのIgG(SigmaCat:I5381)を用いて標準曲線を調製する。PBSで100μlまで補給しそして1mlのBradford試薬(VP270908)を加える。よく混合する。2、5および10μlのMab 23D2画分#2の濃度を測定する。PBSで100μlまで補給し、1mlのBradford試薬(VP270908)を加える。よく混合する。光学密度(OD)を595nmにて読み取る。この曲線の式を用いて濃度を決定する。結果:23D2画分#2の濃度は4.32μg/μlであった。
mAb 23D2の純度の分析:ランニングゲル中の10%アクリルアミドおよびスタッキングゲル中の4.5%アクリルアミドでミニゲルを調製する。40μlの還元ローディングバッファー(β-メルカプトエタノールの存在のもとの)中の精製23D2(4.32 μg/μl)の2つのサンプル(2および10μg)を伴うゲルを供給する。10%ポリアクリルアミドゲル上で150Vにて90分間の電気泳動後(分子量 マーカーも含む)、ゲルをクーマシーブルー溶液を用いて30分間染色する。ゲルを脱染色溶液中で一晩洗浄し、翌日、ゲルを白色光下で写真撮影する。
正準物
哺乳動物種では、抗体ポリペプチドは定常域(すなわち、高度に保存された)と可変域を含有する。可変域内には、CDRと「フレームワーク」(重鎖または軽鎖可変域内で、CDRの外側に存在する)が存在する。CDRは可変域内のアミノ酸の非隣接配列であるが、種に関わらず、可変重鎖および軽鎖内のこれらの重要なアミノ酸配列の位置は類似している。全ての正順抗体の可変重鎖と可変軽鎖はそれぞれの軽(L)および重(H)鎖に対して3つのCDR域(L1、L2、L3、H1、H2、H3と呼ぶ)を有する。
容認されたCDR域はKabat et al、J. Biol. Chem. 252:6609-6616 (1977)が記載している。
mAb 1B1、16G7および23D2に対する正順サブタイプをMartin & Thorntonの正順定義(Martin & Thornton、J. Mol. Biol. 263:800-815 (1996))に基づいて推定した。
モノクローナル抗体1B1、16G7および23D2のCDRまたはフレームワーク領域に見出される正順残基を下表14〜28に下線を引きかつ太字で示した。もしmAb配列中に存在する残基が正準セット中に存在しなければ、括弧で示した。代わりの残基(正準セットに対する)は標準フォントで示した。表15〜29のアミノ酸の番号はKabat番号スキームに従う。
1B1 H1 - 正準 2
ループ H1 2/11A 11
SOURCE [1baf]
1B1 H2 - 正準 1
ループ H2 1/9A 9
SOURCE [1gig]
1B1 L1 - 正準 3
ループ L1 3/17A 17
SOURCE [1hil]
1B1 L2 - 正準 1
ループ L2 1/7A 7
SOURCE [1lmk]
1B1 L3 - 正準 1
ループ L3 1/9A 9
SOURCE [1tet]
16G7 H1 - 正準 1
ループ H1 1/10A 10
SOURCE [2fbj]
16G7 H2 - 正準 3
ループ H2 3/10B 10
SOURCE [1igc]
16G7 L1 - 正準 7
ループ L1 7/14B 14
SOURCE [1gig]
16G7 L2 - 正準 1
ループ L2 1/7A 7
SOURCE [1lmk]
16G7 L3 - 正準 8
ループ L3 8/?/9D 9
SOURCE [1gig]
23D2 H1 - 正準 1
ループ H1 1/10A 10
SOURCE [2fbj]
23D2 H2 - 正準 3
ループ H2 3/10B 10
SOURCE [1igc]
23D2 L1 - 正準 7
ループ L1 7/14B 14
SOURCE [1gig]
23D2 L2 - 正準 1
ループ L2 1/7A 7
SOURCE [1lmk]
23D2 L3 - 正準 8
ループ L3 8?/9D 9
SOURCE [1gig]
[1] MAGE-A3およびMAGE-A6と特異的に結合するが、MAGE-A2またはMAGE-A12と特異的に結合しない抗原結合タンパク質。
[2] MAGE-A3およびMAGE-A6と特異的に結合するが、MAGE-Aサブファミリーのいずれかの他のメンバーと特異的に結合しない抗原結合タンパク質。
[3] 配列番号52、配列番号58、配列番号64から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む、1に記載の抗原結合タンパク質。
[4] さらに、CDRH1(配列番号50)、CDRH1(配列番号56)、CDRH1(配列番号62)、CDRH2(配列番号51)、CDRH2(配列番号57)、CDRH2(配列番号63)、CDRL1(配列番号53)、CDRL1(配列番号59)、CDRL1(配列番号65)、CDRL2(配列番号54)、CDRL2(配列番号60)、CDRL2(配列番号66)、CDRL3(配列番号55)、CDRL3(配列番号61)、CDRL3(配列番号67)から選択される1以上のまたは全てのCDRを含む、3に記載の抗原結合タンパク質。
[5] CDRH1が配列番号50であり、CDRH2が配列番号51であり、そしてCDRH3が配列番号52である、1〜4のいずれか1項に記載の抗原結合タンパク質。
[6] CDRH1が配列番号56であり、CDRH2が配列番号57であり、そしてCDRH3が配列番号58である、1〜5のいずれか1項に記載の抗原結合タンパク質。
[7] CDRH1が配列番号62であり、CDRH2が配列番号63であり、そしてCDRH3が配列番号64である、1〜6のいずれか1項に記載の抗原結合タンパク質。
[8] CDRL1が配列番号53であり、CDRL2が配列番号54であり、そしてCDRL3が配列番号55である、1〜7のいずれか1項に記載の抗原結合タンパク質。
[9] CDRL1が配列番号59であり、CDRL2が配列番号60であり、そしてCDRL3が配列番号61である、1〜8のいずれか1項に記載の抗原結合タンパク質。
[10] CDRL1が配列番号65であり、CDRL2が配列番号66であり、そしてCDRL3が配列番号67である、1〜9のいずれか1項に記載の抗原結合タンパク質。
[11] さらに
(a)配列番号39のフレームワーク域と75%以上の配列同一性を有する重鎖可変域アクセプター抗体フレームワーク;
(b)配列番号43のフレームワーク域と75%以上の配列同一性を有する重鎖可変域アクセプター抗体フレームワーク;
(c)配列番号47のフレームワーク域と75%以上の配列同一性を有する重鎖可変域アクセプター抗体フレームワーク;
(d)配列番号41に示したフレームワーク域と75%以上の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインアクセプター抗体フレームワーク;
(e)配列番号45に示したフレームワーク域と75%以上の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインアクセプター抗体フレームワーク;または
(f)配列番号49に示したフレームワーク域と75%以上の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインアクセプター抗体フレームワーク;
の少なくとも1つを含む、1〜10のいずれか1項に記載の抗原結合タンパク質。
[12] (i)配列番号47の重鎖可変域または配列番号47と75%以上の配列同一性を持つ変異体重鎖可変域、および配列番号49の軽鎖可変域または配列番号49と75%以上の配列同一性を持つ軽鎖可変域;
(ii)配列番号39の重鎖可変域または配列番号39と75%以上の配列同一性を持つ変異体重鎖可変域、および配列番号41の軽鎖可変域または配列番号41と75%以上の配列同一性を持つ軽鎖可変域;または
(iii)配列番号43の重鎖可変域または配列番号43と75%以上の配列同一性を持つ変異体重鎖可変域、および配列番号45の軽鎖可変域または配列番号45と75%以上の配列同一性を持つ軽鎖可変域;
を含む、1に記載の抗原結合タンパク質。
[13](a)配列番号52(GGNNGFAY)のCDRH3、または、配列番号52のアミノ酸残基番号2におけるGlyのTrpへの置換を有する変異体;
(b)配列番号50(SDYVWN)のCDRH1、または、配列番号50のアミノ酸残基番号4におけるValのAlaへの置換を有する変異体;
(c)配列番号51(YIGHSGRTSYNPSLKS)のCDRH2、または、配列番号51のアミノ酸残基番号2におけるIleのMetもしくはValへの置換、配列番号51のアミノ酸残基番号4におけるHisのTyrへの置換、または配列番号51のアミノ酸残基番号10におけるTyrのLeuへの置換を含む変異体;
(d)配列番号53(KSSQSLLNSGNQKNYLT)のCDRL1、または、配列番号53のアミノ酸残基番号5におけるSerのAsn、Asp、ThrまたはGluへの置換、配列番号53のアミノ酸残基番号7におけるLeuのAsp、Tyr、Val、Ile、Ser、Asn、Phe、His、GlyまたはThrへの置換、配列番号53のアミノ酸残基番号14におけるAsnのSer、Thr、LysまたはGlyへの置換、配列番号53のアミノ酸残基番号15におけるTyrのPhe、Asn、Ala、His、SerまたはArgへの置換、または配列番号53のアミノ酸残基番号16におけるLeuのMet、Val、IleまたはPheへの置換を含む変異体;
(e)配列番号54(WTSTRDS)のCDRL2;および
(f)配列番号55(QNDYSYPPT)のCDRL3、または、配列番号55のアミノ酸残基番号1におけるGlnのSer、Gly、PheまたはLeuへの置換、配列番号55のアミノ酸残基番号2におけるAsnのGlnまたはHisへの置換、配列番号55のアミノ酸残基番号3におけるAspのAsn、Phe、Gly、Ser、Arg、His、Thr、TyrまたはValへの置換、配列番号55のアミノ酸残基番号4におけるTyrのAsn、TrpThr、Ser、Arg、Gln、His、AlaまたはAspへの置換、配列番号55のアミノ酸残基番号5におけるSerのGlu、Asn、Gly、His、Thr、Arg、Alaへの置換、配列番号55のアミノ酸残基番号6におけるTyrのAsp、Thr、Val、Leu、His、Asn、Ile、Trp、ProまたはSerへの置換、または配列番号55のアミノ酸残基番号8におけるProのLeu、Tyr、Arg、Ile、TrpまたはPheへの置換を含む変異体;
を含むものであって、MAGE-A3と結合する、1に記載の抗原結合タンパク質。
[14](a)配列番号52のCDRH3;
(b)配列番号50のCDRH1;
(c)配列番号51のCDRH2;
(d)配列番号53のCDRL1;
(e)配列番号54のCDRL2;
(f)配列番号55のCDRL3;
(g)配列番号39に記載の重鎖フレームワークであって、アミノ酸残基番号2にVal;アミノ酸残基番号20にLeu;アミノ酸残基番号22にCys;アミノ酸残基番号24にVal;アミノ酸残基番号26にGly;アミノ酸残基番号29にIle;アミノ酸残基番号36にTrp;アミノ酸残基番号47にTrpまたはTyr;アミノ酸残基番号48にMet;アミノ酸残基番号69にIleまたはMet;アミノ酸残基番号71にArg、LysまたはVal;アミノ酸残基番号76にAsn;アミノ酸残基番号78にPhe;アミノ酸残基番号80にLeu;またはアミノ酸残基番号92にCysを含み、アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている前記重鎖フレームワーク;および
(h)配列番号41に記載の軽鎖フレームワークであって、アミノ酸残基番号2にIle、LeuまたはVal;アミノ酸残基番号3にVal、Gln、LeuまたはGlu;アミノ酸残基番号4にMetまたはLeu;アミノ酸残基番号23にCys;アミノ酸残基番号35にTrp;アミノ酸残基番号71にTyrまたはPhe;アミノ酸残基番号88にCys、またはアミノ酸残基番号98にPheを含み、アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている前記軽鎖フレームワーク;
を含むものであって、MAGE-A3と結合する、13に記載の抗原結合タンパク質。
[15](a)重鎖フレームワークがアミノ酸残基番号2にVal;アミノ酸残基番号20にLeu;アミノ酸残基番号22にCys;アミノ酸残基番号24にVal;アミノ酸残基番号26にGly;アミノ酸残基番号29にIle;アミノ酸残基番号36にTrp;アミノ酸残基番号47にTrp;アミノ酸残基番号48にMet;アミノ酸残基番号69にIle;アミノ酸残基番号71にArg;アミノ酸残基番号76にAsn;アミノ酸残基番号78にPhe;アミノ酸残基番号80にLeu;およびアミノ酸残基番号92にCysを含み;アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている;および
(b)軽鎖フレームワークがアミノ酸残基番号2にIle;アミノ酸残基番号3にVal;アミノ酸残基番号4にMet;アミノ酸残基番号23にCys;アミノ酸残基番号35にTrp;アミノ酸残基番号71にPhe;アミノ酸残基番号88にCys、およびアミノ酸残基番号98にPheを含み;アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている、14に記載の抗原結合タンパク質。
[16](a)配列番号58(QDYFDY)のCDRH3、または、配列番号58のアミノ酸残基番号6におけるTyrのHis、Val、Ile、Ser、AspまたはGlyへの置換を有する変異体;
(b)配列番号56(TNAMS)のCDRH1、または、配列番号56のアミノ酸残基2におけるAsnのIle、His、Tyr、Phe、Thr、Cys、GlueまたはAspへの置換、配列番号56のアミノ酸残基3におけるAlaのTyr、Trp、Gly、Thr、LeuまたはValへの置換、配列番号56のアミノ酸残基4におけるMetのIle、ValまたはTrpへの置換、または配列番号56のアミノ酸残基5におけるSerのHis、Glu、Asn、Gln、TyrまたはThrへの置換を含む変異体;
(c)配列番号57(TITSGGGSTY YPVSVKG)のCDRH2、または、配列番号57のアミノ酸残基1におけるThrのGly、Tyr、Phe、Ile、GluまたはValへの置換、配列番号57のアミノ酸残基2におけるIleのLeu、Val、Thr、SerまたはAsnへの置換、配列番号57のアミノ酸残基3におけるThrのSer、Phe、TrpまたはHisへの置換、配列番号57のアミノ酸残基4におけるGlyのAsp、SerまたはAsnへの置換、配列番号57のアミノ酸残基5におけるGlyのSerへの置換、配列番号57のアミノ酸残基8におけるSerのTyr、Thr、Asn、AspまたはArgへの置換、または配列番号57のアミノ酸残基10におけるTyrのGly、His、Phe、AspまたはAsnへの置換を含む変異体;
(d)配列番号59(RSSTGAVTST NYAN)のCDRL1、または、配列番号59のアミノ酸残基6におけるAlaのThrへの置換、または配列番号59のアミノ酸残基12におけるTyrのHisへの置換を含む変異体;
(e)配列番号60(GTNNRAP)のCDRL2;および
(f)配列番号61(ALWYSNHWV)のCDRL3、または、配列番号61のアミノ酸残基5におけるSerのAsnへの置換、または配列番号61のアミノ酸残基7におけるHisのLeuへの置換を含む変異体;
を含むものであって、MAGE-A3と結合する、1に記載の抗原結合タンパク質。
[17](a)配列番号58のCDRH3;
(b)配列番号56のCDRH1;
(c)配列番号57のCDRH2;
(d)配列番号59のCDRL1;
(e)配列番号60のCDRL2;
(f)配列番号61のCDRL3;
(g)配列番号43に記載の重鎖フレームワークであって、アミノ酸残基番号2にVal、IleまたはGly;アミノ酸残基番号4にLeuまたはVal;アミノ酸残基番号20にLeu、Ile、MetまたはVal;アミノ酸残基番号22にCys;アミノ酸残基番号24にThr、Ala、Val、GlyまたはSer;アミノ酸残基番号26にGly;アミノ酸残基番号29にIle、Phe、LeuまたはSer;アミノ酸残基番号36にTrp;アミノ酸残基番号47にTrp;アミノ酸残基番号48にIle、Met、ValまたはLeu;アミノ酸残基番号69にIle、Leu、Phe、MetまたはVal;アミノ酸残基番号71にArg;アミノ酸残基番号78にAla、Leu、Val、TyrまたはPhe;アミノ酸残基番号80にLeuまたはMet;アミノ酸残基番号90にTyrまたはPhe;アミノ酸残基番号92にCys;およびアミノ酸残基番号94にArg、Lys、Gly、Ser、HisまたはAsnを含み、アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている前記重鎖フレームワーク;および
(h)配列番号45に記載の軽鎖フレームワークであって、アミノ酸残基番号2にAlaまたはGln;アミノ酸残基番号3にVal;アミノ酸残基番号4にVal;アミノ酸残基番号23にCys;アミノ酸残基番号35にTrp;アミノ酸残基番号48にIle;アミノ酸残基番号66にLeu;アミノ酸残基番号71にAla;アミノ酸残基番号88にCys、およびアミノ酸残基番号98にPheを含み、アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている前記軽鎖フレームワーク;
を含むものであって、MAGE-A3と結合する、16に記載の抗原結合タンパク質。
[18](a)重鎖フレームワークがアミノ酸残基番号2にVal:アミノ酸残基番号4にVal:アミノ酸残基番号20にLeu:アミノ酸残基番号22にCys:アミノ酸残基番号24にAla:アミノ酸残基番号26にGly:アミノ酸残基番号29にPhe:アミノ酸残基番号36にTrp:アミノ酸残基番号47にTrp:アミノ酸残基番号48にVal:アミノ酸残基番号69にIle:アミノ酸残基番号71にArg:アミノ酸残基番号78にLeu:アミノ酸残基番号80にLeu:アミノ酸残基番号90にTyr:アミノ酸残基番号92にCys:およびアミノ酸残基番号94にArgを含み:アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている;および
(b)軽鎖フレームワークがアミノ酸残基番号2にAla;アミノ酸残基番号3にVal;アミノ酸残基番号4にVal;アミノ酸残基番号23にCys;アミノ酸残基番号35にTrp;アミノ酸残基番号48にIle;アミノ酸残基番号66にLeu;アミノ酸残基番号71にAla;アミノ酸残基番号88にCys、およびアミノ酸残基番号98にPheを含み;アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている、17に記載の抗原結合タンパク質。
[19](a)配列番号64(GGGVLLRLPLFAY)のCDRH3、または、配列番号64のアミノ酸残基13におけるTyrのHis、Val、Ile、Ser、AspまたはGlyへの置換を有する変異体;
(b)配列番号62(SYTMS)のCDRH1、または、配列番号62のアミノ酸残基2におけるTyrのIle、His、Phe、Thr、Asn、Cys、GluまたはAspへの置換、配列番号62のアミノ酸残基3におけるThrのTyr、Ala、Trp、Gly、LeuまたはValへの置換、配列番号62のアミノ酸残基4におけるMetのIle、ValまたはTrpへの置換、または配列番号62のアミノ酸残基5におけるSerのHis、Glu、Asn、Gln、TyrまたはThrへの置換を有する変異体;
(c)配列番号63(TITSGGGSSY YPDSVKG)のCDRH2または配列番号63のアミノ酸残基1におけるThrのGly、Tyr、Phe、Ile、GluまたはValへの置換、配列番号63のアミノ酸残基2におけるIleのLeu、Val、Thr、SerまたはAsnへの置換、配列番号63のアミノ酸残基3におけるThrのSer、Phe、TrpまたはHisへの置換、配列番号63のアミノ酸残基5におけるGlyのAsp、SerまたはAsnへの置換、配列番号63のアミノ酸残基6におけるGlyのSerへの置換、配列番号63のアミノ酸残基8におけるSerのTyr、Thr、Asn、AspまたはArgへの置換、または配列番号63のアミノ酸残基10におけるTyrのGly、His、Phe、AspまたはAsnへの置換を含む変異体;
(d)配列番号65(RSSTGAVTAS NYAN)のCDRL1、または配列番号65のアミノ酸残基番号6におけるAlaのThrへの置換、または配列番号65のアミノ酸残基番号12におけるTyrのHisへの置換を含む変異体;
(e)配列番号66(GINNRAP)のCDRL2、または、配列番号66のアミノ酸残基番号2におけるIleのThrへの置換を含む変異体;および
(f)配列番号67(ALWYNNHWV)のCDRL3、または、配列番号67のアミノ酸残基5におけるAsnのSerへの置換、配列番号67のアミノ酸残基7におけるHisのLeuへの置換を含む変異体;
を含むものであって、MAGE-A3と結合する、1に記載の抗原結合タンパク質。
[20](a)配列番号64のCDRH3;
(b)配列番号62のCDRH1;
(c)配列番号63のCDRH2;
(d)配列番号65のCDRL1;
(e)配列番号66のCDRL2;
(f)配列番号67のCDRL3;
(g)配列番号47に記載の重鎖フレームワークであって、アミノ酸残基番号2にVal、IleまたはGly;アミノ酸残基番号4にLeuまたはVal;アミノ酸残基番号20にLeu、Ile、MetまたはVal;アミノ酸残基番号22にCys;アミノ酸残基番号24にThr、Ala、Val、GlyまたはSer;アミノ酸残基番号26にGly;アミノ酸残基番号29にIle、Phe、LeuまたはSer;アミノ酸残基番号36にTrp;アミノ酸残基番号47にTrp;アミノ酸残基番号48にIle、Met、ValまたはLeu;アミノ酸残基番号69にIle、Leu、Phe、MetまたはVal;アミノ酸残基番号71にArg;アミノ酸残基番号78にAla、Leu、Val、TyrまたはPhe;アミノ酸残基番号80にLeuまたはMet;アミノ酸残基番号90にTyrまたはPhe;アミノ酸残基番号92にCys;またはアミノ酸残基番号94にArg、Lys、Gly、Ser、HisまたはAsnを含み、アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている前記重鎖フレームワーク;および
(h)配列番号49に記載の軽鎖フレームワークであって、アミノ酸残基番号2にAlaまたはGln;アミノ酸残基番号3にVal;アミノ酸残基番号4にVal;アミノ酸残基番号23にCys;アミノ酸残基番号35にTrp;アミノ酸残基番号48にIle;アミノ酸残基番号66にLeu;アミノ酸残基番号71にAla;アミノ酸残基番号88にCys、またはアミノ酸残基番号98にPhe、を含み、アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている前記軽鎖フレームワーク;
を含むものであって、MAGE-A3と結合する、19に記載の抗原結合タンパク質。
[21](a)重鎖フレームワークがアミノ酸残基番号2にVal;アミノ酸残基番号4にLeu;アミノ酸残基番号20にVal;アミノ酸残基番号22にCys;アミノ酸残基番号24にAla;アミノ酸残基番号26にGly;アミノ酸残基番号29にPhe;アミノ酸残基番号36にTrp;アミノ酸残基番号47にTrp;アミノ酸残基番号48にVal;アミノ酸残基番号69にIle;アミノ酸残基番号71にArg;アミノ酸残基番号78にLeu;アミノ酸残基番号80にLeu;アミノ酸残基番号90にTyr;アミノ酸残基番号92にCys;およびアミノ酸残基番号94にSerを含み;アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている;および
(b)軽鎖フレームワークがアミノ酸残基番号2にAla;アミノ酸残基番号3にVal;アミノ酸残基番号4にVal;アミノ酸残基番号23にCys;アミノ酸残基番号35にTrp;アミノ酸残基番号48にIle;アミノ酸残基番号66にLeu;アミノ酸残基番号71にAla;アミノ酸残基番号88nにCys、およびアミノ酸残基番号98にPheを含み;アミノ酸残基はKabatスキームを用いて番号付けられている、20に記載の抗原結合タンパク質。
[22] 1〜21のいずれか1項に定義した抗原結合タンパク質をコードする核酸分子。
[23] (i)配列番号38の重鎖DNA配列または75%以上の同一性を持つ変異体重鎖;
(ii)配列番号42の重鎖DNA配列または75%以上の同一性を持つ変異体重鎖;
(iii)配列番号46の重鎖DNA配列または75%以上の同一性を持つ変異体重鎖;
(iv)配列番号40の軽鎖DNA配列または75%以上の同一性を持つ変異体軽鎖;
(v)配列番号44の軽鎖DNA配列または75%以上の同一性を持つ変異体軽鎖;または
(vi)配列番号48の軽鎖DNA配列または75%以上の同一性を持つ変異体軽鎖;または
を含む、22に記載の核酸分子。
[24] 22〜23のいずれか1項に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
[25] 24に記載の発現ベクターを含む組換え宿主細胞。
[26] 抗原結合タンパク質を作製する方法であって、25に定義した宿主細胞を培養するステップおよび抗原結合タンパク質を回収するステップを含むものである前記方法。
[27] ヒトホルマリン固定パラフィン包埋組織中のMAGE-A3および/またはMAGE-A6を検出する方法であって、1〜21のいずれか1項に定義したモノクローナル抗体を用いて前記組織について酵素結合免疫吸着アッセイを実施するステップを含む前記方法。
[28] 前記組織が腫瘍組織である、27に記載の方法。
[29] 前記腫瘍組織が黒色腫または非小細胞性肺癌である、28に記載の方法。