JP5878212B2 - パターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法及びカーボンナノチューブ素子 - Google Patents

パターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法及びカーボンナノチューブ素子 Download PDF

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Description

本発明は、パターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法及びカーボンナノチューブ素子に関する。
カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube,CNT)は1991年に飯島によって発見され、21世紀において重要な新素材の1つであると期待されている。カーボンナノチューブは機械・電気・熱特性に優れていることから、エレクトロニクス、バイオテクノロジー、エネルギー、複合材料等、広範な分野での応用が期待されている。
特許文献1に、カーボンナノチューブアレイから直接にカーボンナノチューブフィルムが引き出されることが開示されている。該カーボンナノチューブフィルムは分子間力で端と端で接続される複数のカーボンナノチューブからなる自立構造体であり、優れた透明度及び巨視的な寸法を有する。カーボンナノチューブアレイから直接に引き出されるカーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されるので、カーボンナノチューブの軸方向における優れた導電性及び熱伝導性を有し、広範な分野で応用できる。例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ、スピーカ、加熱装置、薄膜トランジスタ、発光ダイオードなどの分野である。CVD方法によって、成長するカーボンナノチューブアレイが、基本的に成長基板と垂直して配列するので、カーボンナノチューブの軸向における優れる特性を有効に利用できる。例えば、カーボンナノチューブアレイが発熱素子及び散熱素子の間に設置されることによって、発熱素子の熱量を迅速に散熱素子に伝導できる。また、カーボンナノチューブアレイを導電素子として、直接に集積電路に応用できる。カーボンナノチューブアレイをパターン化できれば、要望の形状を有する素子を形成できる。
中国特許出願公開第101458975号明細書 中国特許出願公開第101239712号明細書
従って、前記課題を解決するために、本発明は、パターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法及びカーボンナノチューブ素子を提供する。
本発明のパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法は、代替基板の表面に転移されたカーボンナノチューブアレイを提供する第一ステップであって、前記カーボンナノチューブアレイが前記代替基板に近接する表面は第二表面であり、第二表面と対向する表面は第一表面であり、前記カーボンナノチューブアレイの形態はカーボンナノチューブ構造体を前記カーボンナノチューブアレイから連続的に引き出すことを保証できる形態である第一ステップと、前記カーボンナノチューブアレイの前記第一表面をレーザーでエッチングし、前記カーボンナノチューブアレイを二つの部分に区分する第二ステップであって、前記二つの部分は保留領域及び除去領域である第二ステップと、前記除去領域における前記カーボンナノチューブアレイを引き出すことによって、前記除去領域における前記カーボンナノチューブアレイを除去し、前記保留領域における前記カーボンナノチューブアレイを保留する第三ステップと、を含む。
第一ステップは、代替基板及び成長基板を提供する第一ステップであって、前記成長基板の表面にカーボンナノチューブアレイを有し、前記カーボンナノチューブアレイが前記成長基板と隣接する表面は第一表面であり、前記第一表面と対向する表面は第二表面であり、前記カーボンナノチューブアレイの形態はカーボンナノチューブ構造体を前記カーボンナノチューブアレイから連続的に引き出すことを保証する形態である第一サブステップと、前記代替基板を前記カーボンナノチューブアレイの前記第二表面に設置し、前記代替基板と前記カーボンナノチューブアレイの前記第二表面との間にポリビニルアルコール(PVA,polyvinyl alcohol)溶液を設置する第二サブステップと、前記代替基板と前記カーボンナノチューブアレイの前記第二表面との間に設置された前記ポリビニルアルコール(PVA)溶液における溶剤を固体の溶剤に固化させる第三サブステップと、前記代替基板及び前記成長基板のうちの少なくとも一方を移動させて、前記代替基板と前記成長基板とを離れさせ、前記カーボンナノチューブアレイを前記成長基板から脱離させ、前記代替基板に転移する第四サブステップと、温度を上昇させることによって、前記代替基板と前記カーボンナノチューブアレイの前記第二表面との間の前記固体の溶剤を除去する第五サブステップであって、前記固体の溶剤を除去した後、前記カーボンナノチューブアレイの形態は前記カーボンナノチューブ構造体を前記カーボンナノチューブアレイから連続的に引き出すことを保証する形態である第五サブステップと、含み、前記カーボンナノチューブ構造体は端と端で接続される複数のカーボンナノチューブを含み、前記ポリビニルアルコール(PVA)溶液におけるポリビニルアルコール(PVA)の質量百分率は0.1%〜2%である。
従来の技術と比べて、パターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法は以下の有益効果を有する。カーボンナノチューブアレイをそのカーボンナノチューブアレイを設置しようとしている基板に移転し、ここで、カーボンナノチューブアレイの形態はカーボンナノチューブ構造体をカーボンナノチューブアレイから連続的に引き出すことを保証する形態である。そして、カーボンナノチューブを引き出すことによって、一部のカーボンナノチューブを除去し、パターン化カーボンナノチューブアレイを形成することができる。
本発明の実施形態1に係るパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法を示す側面図である。 本発明の実施形態1に係るパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法を示す正視図である。 本発明の一つの例に係るカーボンナノチューブアレイの転移方法を示す図である。 本発明の実施形態1に係るカーボンナノチューブアレイから引き出されたカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施形態1に係るカーボンナノチューブアレイから引き出されたカーボンナノチューブフィルムの構造を示す図である。 本発明のもう一つの例に係るカーボンナノチューブアレイの転移方法を示す図である。 本発明の実施形態2に係るカーボンナノチューブアレイの転移方法を示す図である。 本発明の実施形態3の一つの例に係るカーボンナノチューブアレイの転移方法を示す図である。 本発明の実施形態3のもう一つの例に係るカーボンナノチューブアレイの転移方法を示す図である。 本発明の実施形態4に係るカーボンナノチューブ素子の構造を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。また、以下の各実施形態において、同じ構成要素は同じ符号を付与している。
(実施形態1)
図1及び図2を参照すると、本実施形態はパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法を提供する。本実施形態のパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法は、代替基板30の表面に転移されたカーボンナノチューブアレイ10を提供するステップであって、該カーボンナノチューブアレイ10が代替基板30に近接する表面は第二表面104であり、第二表面104と対向する表面は第一表面102であり、カーボンナノチューブアレイ10の形態はカーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことを保証できる形態であるステップ(S1)と、カーボンナノチューブアレイ10の第一表面102をレーザーでエッチングし、カーボンナノチューブアレイ10を二つの部分に区分するステップであって、該二つの部分は保留領域12及び除去領域14であるステップ(S2)と、第一方向(X)に沿って、除去領域14におけるカーボンナノチューブアレイ10を引き出すことによって、除去領域14におけるカーボンナノチューブアレイ10を除去し、保留領域12におけるカーボンナノチューブアレイ10を保留するステップ(S3)と、を含む。
図3を参照すると、ステップ(S1)は、代替基板30及び成長基板20を提供し、成長基板20の第三表面202にカーボンナノチューブアレイ10が成長されているステップであって、カーボンナノチューブアレイ10の形態はカーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことを保証できる形態であるステップ(S11)と、カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20から代替基板30の第四表面302に転移するステップであって、代替基板30に転移されたカーボンナノチューブアレイ10の形態はカーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことを保証できる形態であるステップ(S12)と、を含む。
カーボンナノチューブ構造体40は、端と端で接続される複数のカーボンナノチューブを含み、複数のカーボンナノチューブが分子間力で相互に結合され、且つ端と端で接続されて形成される巨視的なフィルムである。好ましくは、カーボンナノチューブ構造体40は、端と端で接続される複数のカーボンナノチューブのみからなる。
カーボンナノチューブアレイ10は、CVD(化学気相堆積)法によって成長基板20の第三表面202に成長する。カーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブは相互に基本的に平行であり、且つ成長基板20の第三表面202と垂直である。隣接するカーボンナノチューブは相互に接触して、且つ分子間力で結合される。
成長条件を制御することによって、カーボンナノチューブアレイ10は基本的に不純物を含まない。不純物は、例えば、アモルファスカーボン或いは残留した触媒の金属粒である。カーボンナノチューブアレイ10が基本的に不純物を含まず、且つカーボンナノチューブが相互に緊密に接触して、且つ隣接するカーボンナノチューブの間に、大きい分子間力を有するので、一部のカーボンナノチューブ(カーボンナノチューブセグメント)を引き出す際、該一部のカーボンナノチューブと隣接するカーボンナノチューブが分子間力の作用によって端と端で接続され、連続的に引き出すことができ、自立構造体(巨視的なカーボンナノチューブフィルム構造体、即ち、カーボンナノチューブフィルム構造体40)を形成する。カーボンナノチューブが端と端で接続されて引き出される前記カーボンナノチューブアレイ10は、超配列カーボンナノチューブアレイである。超配列カーボンナノチューブアレイについては特許文献1に掲載されている。
成長基板20は超配列カーボンナノチューブアレイの成長に適した基板であり、その材料は、例えば、P型シリコン、N型シリコン、或いは酸化シリコンである。
カーボンナノチューブアレイ10から引き出されるカーボンナノチューブ構造体40は、端と端で接続される複数のカーボンナノチューブを含む。具体的には、カーボンナノチューブ構造体40は自立構造体であり、基本的に同じ方向に沿って配列される複数のカーボンナノチューブを含む。図4及び図5を参照すると、カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。複数のカーボンナノチューブの延伸する方向はカーボンナノチューブフィルムの表面と基本的に平行である。また、複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。具体的には、複数のカーボンナノチューブにおける各カーボンナノチューブは、延伸する方向における隣接するカーボンナノチューブと、分子間力で端と端とが接続されているので、カーボンナノチューブフィルムが自立構造を実現できる。更に、カーボンナノチューブ構造体40は、複数のカーボンナノチューブセグメントを含むことができる。複数のカーボンナノチューブセグメントは、長軸方向に沿って、分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメントは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブを含む。単一のカーボンナノチューブセグメントにおいて、複数のカーボンナノチューブの長さは同じである。
また、カーボンナノチューブ構造体40は、少数のランダムなカーボンナノチューブを含む。しかし、大部分のカーボンナノチューブは同じ方向に沿って配列されているので、このランダムなカーボンナノチューブの延伸方向は、大部分のカーボンナノチューブの延伸方向には影響しない。具体的には、カーボンナノチューブ構造体40における多数のカーボンナノチューブは、絶対的に直線状ではなくやや湾曲している。または、延伸する方向に完全に配列せず、少しずれている場合もある。従って、同じ方向に沿って配列されている多数のカーボンナノチューブの中において、隣同士のカーボンナノチューブが部分的に接触する可能性がある。実際に、カーボンナノチューブ構造体40は複数の空隙を有し、即ち、隣接するカーボンナノチューブの間に空隙を有する。これにより、カーボンナノチューブ構造体40は優れた透明度を有する。且つ、隣接するカーボンナノチューブの接触する部分の分子間力及び端と端で接続される部分の分子間力がカーボンナノチューブ構造体40の自立構造を維持できる。カーボンナノチューブ構造体40の厚さは0.5nm〜100μmであり、好ましくは、0.5nm〜10μmである。
自立構造体とは、支持体材を利用せず、カーボンナノチューブ構造体40を独立して利用することができる形態のことである。すなわち、カーボンナノチューブ構造体40を対向する両側から支持して、カーボンナノチューブ構造体40の構造を変化させずに、カーボンナノチューブ構造体40を懸架できることを意味する。カーボンナノチューブフィル40におけるカーボンナノチューブが、分子間力で接続されて配列されているので、自立構造体が実現される。
カーボンナノチューブアレイ10からカーボンナノチューブフィルムを引き出す方法は、特許文献2に掲載されている。
代替基板30は固体の基板であり、第四表面302を有する。カーボンナノチューブアレイ10が第四表面302に設置される。代替基板30は硬質基板或いは軟質基板である。その材料は、金属、ガラス、石英、シリコン、二酸化ケイ素、プラスチック、樹脂の何れか一種である。樹脂は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20から代替基板30の第四表面302に転移する工程において、カーボンナノチューブアレイ10の形態を基本的に維持し、カーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことを保証できるようにする。即ち、カーボンナノチューブアレイ10は超配列カーボンナノチューブアレイの形態を維持する。
カーボンナノチューブアレイ10の形態を維持することを前提にして、カーボンナノチューブアレイ10を代替基板30に転移した後、カーボンナノチューブアレイ10は代替基板30の第四表面302に逆さに設置される。具体的には、カーボンナノチューブアレイ10は第一表面102及び第一表面102と対向する第二表面104を含む。各カーボンナノチューブは成長基板20の第三表面202に成長し、カーボンナノチューブアレイ10を形成する。各カーボンナノチューブが成長基板20の第三表面202と隣接する一端をカーボンナノチューブの下端と定義し、下端と対向する端部をカーボンナノチューブの上端と定義する。成長基板20において、第一表面102はカーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブの下端に形成され、第二表面104はカーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブの上端に形成される。カーボンナノチューブアレイ10の第一表面102は、成長基板20の第三表面202と近接し、或いは成長基板20の第三表面202に設置される。該第一表面102はカーボンナノチューブアレイ10における各カーボンナノチューブの成長下端である。第二表面104は成長基板20の表面から離れ、カーボンナノチューブアレイ10における各カーボンナノチューブの成長上端である。カーボンナノチューブアレイ10を代替基板30に転移した後、カーボンナノチューブアレイ10の第二表面104は代替基板30の第四表面302と近接し、或いは代替基板30の第四表面302に設置される。カーボンナノチューブアレイ10の第一表面102は、代替基板30の第四表面302から離れる。
一つの例において、ステップ(S12)は、代替基板30の第四表面302を、カーボンナノチューブアレイ10の成長基板20と離れる第一表面104と接触させるステップ(S121)と、代替基板30及び成長基板20のうちの少なくとも一方を移動させて、代替基板30と成長基板20とを離れさせ、カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20から脱離させ、代替基板30に転移するステップ(S122)と、含む。
ステップ(S12)を常温で行うことができる。ステップ(S121)及びステップ(S122)において、カーボンナノチューブアレイ10の形態はカーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことを保証できる形態である。カーボンナノチューブアレイ10が代替基板30に転移した後、カーボンナノチューブ構造体40を連続的に引き出すことができるようにするために、代替基板30の第四表面302とカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104の間は分子間力のみで結合する。代替基板30とカーボンナノチューブアレイ10の間の結合力(FBC)は、カーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブ同士の間の分子間力(FCC)より小さい。また、代替基板30とカーボンナノチューブアレイ10の間の結合力(FBC)は、成長基板20の第三表面202とカーボンナノチューブアレイ10の間の結合力(FAC)より大きい。これにより、カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20から脱離させ、代替基板30に転移させる。即ち、FAC<FBC<FCCである。カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20から脱離させ、代替基板30に転移させる工程において、代替基板30の第四表面302がカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104と接触して発生する結合力(例えば、分子間力)のみによって、カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20から脱離させる。
AC<FBC<FCCを満たすために、代替基板30の表面は適切な表面エネルギーを有することができ、且つ代替基板30の表面とカーボンナノチューブアレイ10の間に適切な表面エネルギーを有することができる。これにより、代替基板30の表面とカーボンナノチューブアレイ10とが接触することのみによって、代替基板30の表面とカーボンナノチューブアレイ10との間に、十分な結合力(例えば、分子間力)を発生させて、カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20から脱離させる。これにより、代替基板30の第四表面302がカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104と接触して発生する結合力(例えば、分子間力)のみによって、カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20から脱離させるために、適切な材料を選択して代替基板30を製造する。代替基板30の表面は平面である。本実施形態において、代替基板30の材料はポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
図6を参照すると、もう一つの例において、代替基板30の第四表面302がカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104との間の結合力(FBC)を高め、FAC<FBC<FCCを満たすために、性代替基板30の第四表面302に複数の微構造体304を有することができる。これにより、第四表面302の表面積を増大でき、代替基板30の材料が変化しない条件において、代替基板30の第四表面302とカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104との間の結合力(FBC)を高める。複数の微構造体304を有する第四表面302はカーボンナノチューブアレイ10と接触する。微構造体304は代替基板30の第四表面302における突起或いは溝である。微構造体304の形状は半球形、錐体、歯形、矩形、台形、階段形状或いは他の形状である。微構造体304は点状、線状、ストリップ状、片状を呈することができる。一つの例において、複数の微構造体304は相互に平行で且つ間隔をあけて設置される溝からなる構造体である。もう一つの例において、複数の微構造体304は相互に平行で且つ間隔をあけて均一に分布される半球形からなる構造体である。好ましくは、複数の微構造体304は代替基板30の第四表面302に均一に分布する。更に、好ましくは、微構造体304は、平滑な表面の表面積より、微構造体304を有する代替基板30の第四表面302の表面積を30%〜120%増加させる。代替基板30の第四表面302に複数の微構造体304を形成することによって、第四表面302の吸着力を増大させて、(FBC)を高める。従って、代替基板30の材料はポリジメチルシロキサン(PDMS)に制限されず、ほかの材料でもよく、例えば、シリコン、ガラス、セラミック、二酸化ケイ素、石英、金属、プラスチック、樹脂の何れか一種である。本実施形態において、代替基板30の材料はポリメタクリル酸メチル(PMMA)或いはポリエチレン・テレフタレート(PET)である。
カーボンナノチューブアレイ10が代替基板30の第四表面302に設置される際、カーボンナノチューブアレイ10が第四表面302と十分に接触できることを保証するために、代替基板30の第四表面302が適切な平滑度を維持する。好ましくは、微構造体304の突起の高さ或いは溝の深さはカーボンナノチューブアレイ10の高さの0.5%〜10%である。更に、好ましくは、微構造体304の突起の高さ或いは溝の深さは5μm〜100μmである。フォトリソグラフィ法、レーザーエッチング法、化学エッチング法によって、微構造体304を獲得する。
代替基板30の第四表面302に複数の微構造体304を形成することによって、第四表面302の表面積を増大し、代替基板30とカーボンナノチューブアレイ10との間の結合力を高め、且つ代替基板30の材料の選択範囲を広げる。
代替基板30を接着剤でカーボンナノチューブアレイ10に貼り付けることはしない。従来の接着剤によっても、FAC<FBCを満たし、カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20から脱離させることができる。しかし、カーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブ同士の間の分子間力が小さいので、従来の任意の接着剤では、FBC>FCCとなる。これにより、後のカーボンナノチューブ構造体40を引き出すステップを行うことができない。ステップ(S121)及びステップ(S122)において、代替基板30は固体状態を維持する。
ステップ(S121)において、代替基板30の第四表面302とカーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブの上端とを十分に接触させるために、代替基板30及びカーボンナノチューブアレイ10に小さい圧力を印加できる。この圧力の小ささはカーボンナノチューブアレイ10の形態を維持でき、カーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことができることを保証する。
代替基板30における複数の微構造体304が第四表面302に高度差を有させる。第四表面302における溝がカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104と接触する際、第四表面302における突起が突起と接触するカーボンナノチューブに圧力を印加し、カーボンナノチューブアレイ10における突起と接触するカーボンナノチューブは微小の湾曲を発生する。複数の微構造体304が小さい高さを有するので、代替基板30が成長基板20と分離する工程において、カーボンナノチューブアレイ10が元の高さに回復でき、且つカーボンナノチューブアレイ10からカーボンナノチューブ構造体40を連続的に引き出すことができる。
ステップ(S122)において、カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20から脱離させる工程では、好ましくは、カーボンナノチューブアレイ10におけるすべてのカーボンナノチューブを同時に成長基板20から脱離させる。即ち、代替基板30及び成長基板20のうちの少なくとも一方の移動方向は、成長基板20のカーボンナノチューブが成長する表面と垂直であり、カーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブを、カーボンナノチューブの成長方向に沿って成長基板20から脱離させる。代替基板30及び成長基板20が共に移動する場合、両者の移動方向は、成長基板20のカーボンナノチューブが成長する表面と垂直である。
ステップ(S121)及びステップ(S122)において、まず、カーボンナノチューブアレイ10が成長基板20から押される力を受け、次に、代替基板30に向けて引かれる力を受ける。
図1及び図2を参照すると、ステップ(S2)において、レーザーエッチング方法によって、カーボンナノチューブアレイ10の第一表面102に少なくとも一つの溝106を形成する。レーザー束はカーボンナノチューブアレイ10の第一表面102を照射すると、カーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブがエネルギーを吸収した後、カーボンナノチューブの温度が上昇し、且つカーボンナノチューブが空気中の酸素と酸化されるので、カーボンナノチューブを焼き、一部のカーボンナノチューブを除去し、溝106を形成できる。レーザー束の走査ルートをコンピューターによって設定できるので、カーボンナノチューブアレイ10の第一表面102に複雑なエッチングパターンを正確に形成できる。レーザー束の仕事率は2W〜50Wであることができる。レーザー束の走査速度は0.1mm/秒〜10000mm/秒であることができる。レーザー束の幅は1μm〜400μmであることができる。本実施形態において、YAGレーザーによってレーザー束を発射し、波長は1.06μmであり、仕事率は3.6Wであり、レーザー束の走査速度は100mm/秒である。
溝106の深さはカーボンナノチューブアレイ10の高さより小さい。好ましくは、溝106の深さは0.5μm〜10μmである。溝106の最小の幅は1μmである。溝106の深さ及び幅は、保留領域12及び除去領域14におけるカーボンナノチューブを有効に分離し、カーボンナノチューブ同士の間における分子間力を低下し、後で除去領域14におけるカーボンナノチューブを引き出す際、保留領域12におけるカーボンナノチューブを引き出さないことを保証する。
溝106の長さは制限されず、長くてもよい。溝106はカーボンナノチューブアレイ10の第一表面102に線状のパターンを形成でき、保留領域12及び除去領域14に区分する。好ましくは、保留領域12及び除去領域14を溝106によって、完全に区分できる。即ち、保留領域12及び除去領域14はそれぞれの単独の領域であり、隣接する保留領域12及び除去領域14の間に溝106を有する。他の例(図示せず)では、溝106がカーボンナノチューブアレイ10の成長方向を貫通してもよく、隣接する保留領域12及び除去領域14は互いに接触しない。また、除去領域14におけるカーボンナノチューブアレイ10を引き出す角度によって、カーボンナノチューブ構造体40を引き出す工程を調整することができ、且つカーボンナノチューブ構造体を引き出す工程を終止させる。これにより、保留領域12及び除去領域14はそれぞれの単独の領域でなくてもよい。
ステップ(S3)において、代替基板30に転移したカーボンナノチューブアレイ10からカーボンナノチューブ構造体40を引き出すことができるので、除去領域14におけるカーボンナノチューブアレイ10を引き出すことによって、除去領域14におけるカーボンナノチューブを除去できる。溝106が保留領域12及び除去領域14におけるカーボンナノチューブ同士の間の分子間力を減少させるので、除去領域14の辺縁におけるカーボンナノチューブアレイ10を引き出す際、引き出したカーボンナノチューブ構造体40は弱い分子間力で、カーボンナノチューブアレイ10と分離する。従って、除去領域14におけるカーボンナノチューブアレイ10を引き出す工程は保留領域12におけるカーボンナノチューブアレイ10に影響を与えない。これにより、代替基板30の表面に保留領域12のみが存在し、パターン化のカーボンナノチューブアレイ10を獲得する。
ステップ(S3)が従来のカーボンナノチューブフィルムを引き出すステップと異なるのは、以下の点である。代替基板30に移転し、且つレーザーエッチングによって形成する除去領域14におけるカーボンナノチューブアレイ10から、カーボンナノチューブ構造体40を引き出す。これは、成長基板20に直接に成長したカーボンナノチューブアレイ10から、カーボンナノチューブ構造体40を引き出すこととは異なる。好ましくは、カーボンナノチューブ構造体40は、代替基板30の表面に逆さに設置されるカーボンナノチューブアレイ10から引き出される。即ち、カーボンナノチューブアレイ10の成長下部からカーボンナノチューブ構造体40を引き出す。
ステップ(S3)は引き道具50で、代替基板30の表面における除去領域14に設置されたカーボンナノチューブアレイ10における一部のカーボンナノチューブセグメントを選択するステップ(S31)と、引き道具50を移動させることによって、第二方向に沿って、特定の速度で選択したカーボンナノチューブセグメントを引き、端と端で接続される複数のカーボンナノチューブセグメントを引き出し、連続なカーボンナノチューブ構造体40を形成するステップ(S32)と、を含む。ステップ(S31)において、カーボンナノチューブフィルムを引き出す場合、特定の幅を有する接着テープ或いは接着性を有するストリップを採用し、除去領域14におけるカーボンナノチューブアレイ10と接触させ、特定の幅を有するカーボンナノチューブセグメントを選択する。カーボンナノチューブワイヤを引き出す場合、幅が狭い道具(ピンセット)によって、幅が狭いカーボンナノチューブセグメントを選択する。カーボンナノチューブフィルム或いはカーボンナノチューブワイヤを引き出す工程に、除去領域14におけるカーボンナノチューブアレイ10を全部に引き出す。ステップ(S32)において、選択したカーボンナノチューブセグメントの引き出す方向は、カーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブの成長方向と角度αを成す。角度αは0°〜90°(0°は含まず)であり、好ましくは、30°〜90°であり、選択したカーボンナノチューブセグメントの引き出す方向は第一方向と垂直である。
ステップ(S12)はステップ(S3)と異なる。ステップ(S12)はカーボンナノチューブアレイ10全体を成長基板20から脱離でき、カーボンナノチューブアレイ10が成長基板20から脱離した後、カーボンナノチューブアレイ10の形態を維持できることを目指す。ステップ(S3)はカーボンナノチューブアレイ10からカーボンナノチューブ構造体40を引き出すことを目指す。従って、カーボンナノチューブアレイ10全体が代替基板30から脱離せず、一部のカーボンナノチューブ、例えば、カーボンナノチューブセグメントを代替基板30から脱離させ、引き出したカーボンナノチューブセグメントが隣接するカーボンナノチューブセグメントを動かし、隣接するカーボンナノチューブセグメントが端と端で接続されて引き出され、次々に代替基板30から脱離する。
本実施形態において、カーボンナノチューブアレイ10を代替基板30に移転し、且つカーボンナノチューブアレイ10の形態はカーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことを保証できる形態である。カーボンナノチューブアレイ10の第一表面102に溝106を形成し、除去領域14を保留領域12と区分し、除去領域14におけるカーボンナノチューブを引き出すことによって、除去領域14におけるカーボンナノチューブを除去し、パターン化カーボンナノチューブアレイを形成する。これにより、本実施形態のパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法は、レーザーエッチングによって、除去領域14を直接に除去する際、除去領域14の面積が大きいので完全に除去できず、効率が低いという欠点を防止し、且つ操作が簡単であり、エネルギーを節約することができる。
(実施形態2)
図7を参照すると、本実施形態はパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法を提供する。本実施形態のパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法は実施形態1のパターン化カーボンナノチューブアレイと基本的に同じであるが、以下の点が異なる。代替基板30と成長基板20の間にスペーサ装置22が設置される。スペーサ装置22によって、代替基板30の第四表面302と成長基板20の第三表面202との距離を維持し、代替基板30の第四表面302と成長基板20の第三表面202との距離が非常に小さくなり過ぎないので、カーボンナノチューブアレイ10を倒すことを防止する。スペーサ装置22が代替基板30及び成長基板20の間における高さはカーボンナノチューブアレイ10の高さの以下である。これにより、カーボンナノチューブアレイ10がスペーサ装置22と高度差(Z)を有する。且つ、スペーサ装置22の高さは、カーボンナノチューブアレイ10を圧縮することができるが、カーボンナノチューブアレイ10からカーボンナノチューブ構造体40を連続的に引き出すことができないほどに圧縮されたカーボンナノチューブアレイ10の最小の高さより高い。ステップ(S121)において、スペーサ装置22及びカーボンナノチューブアレイ10は、代替基板30と成長基板20の間に設置される。
スペーサ装置22は固体装置であり、好ましくは、剛性の素子である。スペーサ装置22によって、代替基板30と成長基板20の間に特定の空間を形成させる。且つ、スペーサ装置22の高さを制御することによって、代替基板30と成長基板20の間に精確な距離を制御する。スペーサ装置22の高さをhと定義し、カーボンナノチューブアレイ10の高さをhと定義する。hは0.9h〜1hである。
スペーサ装置22の高さがカーボンナノチューブアレイ10の高さより小さい場合に、代替基板30がカーボンナノチューブアレイ10における元々垂直であるカーボンナノチューブを少し湾曲させる。代替基板30と成長基板20の間にスペーサ装置22が設置されるので、カーボンナノチューブが少し湾曲される。代替基板30が成長基板20と分離させる工程に、カーボンナノチューブアレイ10自身の弾性により、始めの高さを回復でき、且つカーボンナノチューブ構造体40を引き出す状態を維持できる。
スペーサ装置22が成長基板20に設置することができ、或いは、スペーサ装置22が代替基板30に設置することができる。その他、スペーサ装置22が代替基板30の一部であることができ、即ち、代替基板30に二つの突起を有する。適切な高さを有すれば、スペーサ装置22の形状は制限されず、塊状、片状、ボール状の何れか一種である。スペーサ装置22は複数でもよい。スペーサ装置22が複数である場合、カーボンナノチューブアレイ10の外縁と隣接する基板に均一に設置され、代替基板30と成長基板20の間に特定の間隔を提供する。他の一つの例において、スペーサ装置22は円環形であり、カーボンナノチューブアレイ10の外縁に設置される。更に他の一つの例において、スペーサ装置22は複数の円筒形であり、カーボンナノチューブアレイ10の外縁に均一に分布される。
スペーサ装置22が代替基板30と成長基板20との間に設置されることは、代替基板30の第四表面302に微構造体304を有するかどうかということとは独立している。即ち、実施例形態において、スペーサ装置22が微構造体304と任意に組み合わせることができる。
(実施形態3)
本実施形態はパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法を提供する。本実施形態のパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法は実施形態1のパターン化カーボンナノチューブアレイと基本的に同じであるが、ステップ(S32)がステップ(S12)と異なる。具体的には、ステップ(S32)は、代替基板30をカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104に設置し、代替基板30とカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104との間に液相状態の媒体60を設置し、該液相状態の媒体60はポリビニルアルコール(PVA)溶液であるステップ(S321)と、代替基板30とカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104との間に設置された液相状態の媒体60を固体の媒体60’に固化させるステップ(S322)と、代替基板30及び成長基板20のうちの少なくとも一方を移動させて、代替基板30と成長基板20とを離れさせ、カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20から脱離させ、代替基板30に転移するステップ(S323)と、温度を上昇させることによって、代替基板30とカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104との間の固体の媒体60’を除去するステップであって、固体の媒体60’を除去した後、カーボンナノチューブアレイ10の形態はカーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことを保証できる形態であるステップ(S324)と、を含む。
ステップ(S321)において、液相状態の媒体60を細かい液滴或いは液膜の形態でカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104に設置する。液相状態の媒体60はポリビニルアルコール(PVA)を溶剤に溶解して形成する濃度が低い溶液である。カーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことに影響を与えないために、形成した液相状態の媒体60において、ポリビニルアルコール(PVA)の含有量は少ない。即ち、液相状態の媒体60がカーボンナノチューブアレイ10に浸透して、カーボンナノチューブアレイ10の形態に影響を与えることを防止するために、ポリビニルアルコール(PVA)の含有量は少ない。好ましくは、成した液相状態の媒体60において、ポリビニルアルコール(PVA)の質量百分率は0.1%〜2%である。液相状態の媒体60において、液体の溶剤が水或いは有機溶剤である場合、液体の溶剤を固体に固化する工程において、代替基板30及びカーボンナノチューブアレイ10の間に十分な結合力を有させ、カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20と分離させる。しかし、分離した後、代替基板30及びカーボンナノチューブアレイ10の間における固体を除去する際、溶液の蒸発の原因で、代替基板30及びカーボンナノチューブアレイ10の間における結合力は弱くなり、後のカーボンナノチューブ構造体40を引き出す工程において、カーボンナノチューブアレイ10が代替基板30の表面に脱離する可能性があり、カーボンナノチューブ構造体40を引き出す工程に影響を与える。溶剤に微量のポリビニルアルコール(PVA)を溶解することによって、代替基板30及びカーボンナノチューブアレイ10の間における結合力を高めることができる。且つ代替基板30及びカーボンナノチューブアレイ10の間における結合力が非常に大きいので、カーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出さないことを防止するために、ポリビニルアルコール(PVA)溶液の濃度(質量百分率)が2%以下であることは好ましい。
カーボンナノチューブアレイ10の第二表面104における液相状態の媒体60が複数の液滴からなり、或いは液膜からなる。その液滴の直径及び液膜の厚さはそれぞれ10nm〜300μmである。代替基板30及びカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104は液相状態の媒体60とそれぞれ接触する。
ステップ(S321)において、カーボンナノチューブアレイ10の形態を基本的に維持し、カーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことを保証できる。代替基板30はできるだけカーボンナノチューブアレイ10に圧力を印加しない。或いは代替基板30がカーボンナノチューブアレイ10に圧力(f)を印加する際、印加される圧力は小さい。この圧力の小ささは、カーボンナノチューブアレイ10の形態を維持でき、カーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出せるように選択される。例えば、代替基板30がカーボンナノチューブアレイ10に圧力(f)を印加する際、カーボンナノチューブアレイ10に圧力を印加する際、カーボンナノチューブアレイ10を倒さない。好ましくは、圧力は0<f<2N/cmである。カーボンナノチューブアレイ10に圧力を印加する際、カーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブが成長基板20と垂直である状態を基本的に保持する。
一つの例において、ステップ(S321)は、カーボンナノチューブアレイ10の第二表面104に層状の液相状態の媒体60を形成するステップ(S3211)と、代替基板30の表面を、液相状態の媒体60を形成したカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104と接触させるステップ(S3212)と、含む。具体的に、液相状態の媒体60を液滴に形成し、或いは液相状態の媒体60を霧化させ、カーボンナノチューブアレイ10の第二表面104にスプレーする。
もう一つの例において、ステップ(S321)は、代替基板30の表面に層状の液相状態の媒体60を形成するステップ(S3211)と、液相状態の媒体60を形成した代替基板30の表面を、カーボンナノチューブアレイ10の第二表面104と接触させるステップ(S3212)と、含む。具体的に、液相状態の媒体60を液滴に形成し、或いは液相状態の媒体60を霧化させ、代替基板30の表面にスプレーする。
ステップ(S322)において、代替基板30とカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104との間に設置された液相状態の媒体60を固体の媒体60’に固化させる。具体的には、温度溶剤の凝固点以下(例えば、0℃以下である)に低下させ、ポリビニルアルコール(PVA)溶液における溶剤を固体の溶剤にさせる。代替基板30及びカーボンナノチューブアレイ10が液相状態の媒体60と接触するので、液相状態の媒体60を固化した後、代替基板30及びカーボンナノチューブアレイ10は緊密に結合される。
図8を参照すると、一つの例において、代替基板30、液相状態の媒体60、カーボンナノチューブアレイ10及び成長基板20からなる積層構造体の温度を、低温箱70の中で凝固点以下に低下させる。例えば、該低温箱70は冷蔵庫の冷凍室である。
図9を参照すると、もう一つの例において、ステップ(S322)において、液相状態の媒体60をカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104に設置する際、まず、代替基板30の温度を凝固点以下に低下させる。次に、温度を凝固点以下に低下させた代替基板30を、液相状態の媒体60を有するカーボンナノチューブアレイ10の第二表面104と接触させる。具体的には、低温箱70の温度を凝固点以下に低下させて、代替基板30を低温箱70に特定の時間にわたって置いた後、取り出す。代替基板30の温度は、カーボンナノチューブアレイ10の第二表面104における液相状態の媒体60を固体の媒体60’に変化させることができる。これにより、代替基板30、液相状態の媒体60、カーボンナノチューブアレイ10及び成長基板20からなる前記積層構造体を、低温箱70に置く必要がなくなる。
ステップ(S323)において、カーボンナノチューブアレイ10が代替基板30と結合し、成長基板20から分離する。好ましくは、カーボンナノチューブアレイ10におけるすべてのカーボンナノチューブを同時に成長基板20から脱離させる。即ち、代替基板30及び成長基板20のうちの少なくとも一方の移動方向は、成長基板20のカーボンナノチューブが成長する表面と垂直であり、カーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブを、カーボンナノチューブの成長方向に沿って成長基板20から脱離させる。代替基板30及び成長基板20が共に移動する際、両者の移動方向は、成長基板20のカーボンナノチューブが成長する表面と垂直である。
ステップ(S324)において、温度を上昇させることによって、固体の媒体60’における固体の溶液を液体の溶液に溶解させ、且つ液体の溶液を乾燥させ、或いは液体の溶液を直接に昇華させ、液体の溶液を除去する。固体の媒体60’を除去する工程は、ポリビニルアルコール(PVA)溶液における溶剤のみを除去し、ポリビニルアルコール(PVA)をカーボンナノチューブアレイ10及び代替基板30の間に残すものである。ポリビニルアルコール(PVA)の含有量が少ないので、カーボンナノチューブアレイ10及び代替基板30は主に分子間力によって結合し、同時にポリビニルアルコール(PVA)は一部の結合力を提供する。これにより、カーボンナノチューブアレイ10が代替基板30との結合性は優れ、カーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことに影響を与えない。
固体の媒体60’を除去した後、カーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出すことを保証できるようにするために、ステップ(S321)からステップ(S324)まで、カーボンナノチューブアレイ10の形態を基本的に維持する必要がある。
カーボンナノチューブ構造体40をカーボンナノチューブアレイ10から連続的に引き出す際、カーボンナノチューブアレイ10が代替基板30との結合力が少ない必要である。これにより、カーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブを端と端で接続して引き出すことができ、カーボンナノチューブ構造体40を形成する。本実施形態において、カーボンナノチューブアレイ10を転移する工程において、固体の媒体60’によって、カーボンナノチューブアレイ10と代替基板30との間の結合力を増加させて、カーボンナノチューブアレイ10を成長基板20と分離させる。また、カーボンナノチューブ構造体40を引き出す前に、固体の媒体60’を除去し、カーボンナノチューブアレイ10と代替基板30との間の結合力を、カーボンナノチューブ構造体40を連続的に引き出すことができるまでに減少させる。これにより、代替基板30の材料は制限されず、硬質基板或いは軟質基板でもよい。その材料は、金属、ガラス、石英、シリコン、二酸化ケイ素、プラスチック、樹脂の何れか一種である。樹脂は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
本実施形態のカーボンナノチューブアレイの転移方法及びカーボンナノチューブ構造体の製造方法は以下の有利な効果を有する。液相状態の媒体をスプレーし及び冷凍する簡単な工程によって、カーボンナノチューブアレイを代替基板と固く結合させ、代替基板の材料は制限されず、且つ固体の媒体を除去した後、カーボンナノチューブアレイからカーボンナノチューブ構造体を引き出すことができる。これにより、カーボンナノチューブアレイが成長する工程及びカーボンナノチューブアレイからカーボンナノチューブ構造体を引き出す工程において、カーボンナノチューブアレイを成長基板から異なる基板に設置して、カーボンナノチューブアレイからカーボンナノチューブ構造体を引き出す工程において、カーボンナノチューブアレイが設置される基板はコストが低い材料からなることができ、カーボンナノチューブアレイの生産者はカーボンナノチューブアレイを代替基板に転移でき、カーボンナノチューブアレイと代替基板とを共にユーザーを提供でき、コストが高い成長基板は迅速に回収でき、生産プロセスを簡単にする。よって、本発明のカーボンナノチューブアレイの転移方法及びカーボンナノチューブ構造体の製造方法は、カーボンナノチューブフィルム及びカーボンナノチューブワイヤに対しての産業的応用に有利であり、生産方式を変えて、生産コストを低くする。
(実施形態4)
本実施形態は実施形態1のパターン化カーボンナノチューブアレイを利用するカーボンナノチューブ素子80を提供する。該カーボンナノチューブ素子80は本体84及び本体84に設置されるパターン化カーボンナノチューブアレイ82を含む。パターン化カーボンナノチューブアレイ82は、カーボンナノチューブ構造体40をパターン化カーボンナノチューブアレイ82から連続的に引き出すことができるものである。パターン化カーボンナノチューブアレイ82が設置される本体84を前記基板30として、まず、カーボンナノチューブアレイ10を本体84に転移し、次いて、前記ステップによって、パターン化カーボンナノチューブアレイ82を形成する。本体84の材料は制限されず、絶縁性な有機高分子ポリマーが使用できる。本体84は特定の領域のカーボンナノチューブの導電性、伝熱性或いは力学性能を利用する装置である。例えば、本体84は印刷回路板、集積回路板、処理装置、散熱素子の何れか一種である。
10 カーボンナノチューブアレイ
102 第一表面
104 第二表面
106 溝
12 保留領域
14 除去領域
20 成長基板
22 スペーサ装置
202 第三表面
30 弾性代替基板
302 第四表面
304 微構造体
40 カーボンナノチューブ構造体
50 引き工具
60 液相状態の媒体
60’ 固体の媒体
70 低温箱
80 レーザー装置
82 パターン化カーボンナノチューブアレイ
84 本体

Claims (2)

  1. 代替基板の表面に転移されたカーボンナノチューブアレイを提供する第一ステップであって、前記カーボンナノチューブアレイが前記代替基板に近接する表面は第二表面であり、第二表面と対向する表面は第一表面であり、前記カーボンナノチューブアレイの形態はカーボンナノチューブ構造体を前記カーボンナノチューブアレイから連続的に引き出すことを保証できる形態である第一ステップと、
    前記カーボンナノチューブアレイの前記第一表面をレーザーでエッチングし、前記カーボンナノチューブアレイを二つの部分に区分する第二ステップであって、前記二つの部分は保留領域及び除去領域である第二ステップと、
    前記除去領域における前記カーボンナノチューブアレイを引き出すことによって、前記除去領域における前記カーボンナノチューブアレイを除去し、前記保留領域における前記カーボンナノチューブアレイを保留する第三ステップと、を含むことを特徴とするパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法。
  2. 前記第一ステップは
    代替基板及び成長基板を提供する第一サブステップであって、前記成長基板の表面にカーボンナノチューブアレイを有し、前記カーボンナノチューブアレイが前記成長基板と隣接する表面は第一表面であり、前記第一表面と対向する表面は第二表面であり、前記カーボンナノチューブアレイの形態はカーボンナノチューブ構造体を前記カーボンナノチューブアレイから連続的に引き出すことを保証する形態である第一サブステップと、
    前記代替基板を前記カーボンナノチューブアレイの前記第二表面に設置し、前記代替基板と前記カーボンナノチューブアレイの前記第二表面との間にポリビニルアルコール溶液を設置する第二サブステップと、
    前記代替基板と前記カーボンナノチューブアレイの前記第二表面との間に設置された前記ポリビニルアルコール溶液における溶剤を固体の溶剤に固化させる第三サブステップと、
    前記代替基板及び前記成長基板のうちの少なくとも一方を移動させて、前記代替基板と前記成長基板とを離れさせ、前記カーボンナノチューブアレイを前記成長基板から脱離させ、前記代替基板に転移する第四サブステップと、
    温度を上昇させることによって、前記代替基板と前記カーボンナノチューブアレイの前記第二表面との間の前記固体の溶剤を除去する第五サブステップであって、前記固体の溶剤を除去した後、前記カーボンナノチューブアレイの形態は前記カーボンナノチューブ構造体を前記カーボンナノチューブアレイから連続的に引き出すことを保証する形態である第五サブステップと、含み、
    前記カーボンナノチューブ構造体は端と端で接続される複数のカーボンナノチューブを含み、
    前記ポリビニルアルコール溶液におけるポリビニルアルコールの質量百分率は0.1%〜2%であることを特徴とする請求項1に記載のパターン化カーボンナノチューブアレイの製造方法。
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