JP5877561B2 - ヒンジキャップ - Google Patents

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Description

本発明は、容器の口部に一体に固定され、未開封時は容器の口部を閉じ、開封後は容器から離脱することなく回動して、容器の口部の上方で開閉可能としたヒンジキャップに関する。
従来、液体洗剤やスポーツ飲料充填ボトル等のキャップにおいて、容器の口部に固定されるスカート部と、ヒンジ機構により該スカート部と回動可能に接続された上蓋とを備えたヒンジキャップが多く用いられている。
また、容器のキャップにおいて、未開封か開封済みかを識別するために、容器に固定されるスカート部と開閉可能な上蓋とを、未開封時に破断可能なタンパーエビデント機構によって一体に接続し、タンパーエビデント機構を開封時に破断することで識別可能としたものが公知である。
このタンパーエビデント機構は、種々の形態のものが知られており、例えば、実開平1−107558号公報(特許文献1)に示すように、スカート部(特許文献1に記載された瓶蓋1の周壁3の下方の瓶の口部に一体に固定される部分が相当)と上蓋(特許文献1に記載された瓶蓋1の周壁3の上方の開閉可能な部分が相当)との間に、開封時に上下方向に破断可能な上下ブリッジ片(特許文献1に記載された瓶蓋1のブリッジ部8が相当)を形成してタンパーエビデント機構としたヒンジキャップが公知である。
しかしながら、このような公知のタンパーエビデント機構を有するヒンジキャップにおいては、開封後に再び上蓋を閉じた際に、上蓋とスカート部の上下方向および周方向の位置が未開封時と同じ位置となるため、タンパーエビデント機構の上下ブリッジ片の破断部も破断前と同一位置で重なり、上下ブリッジ片の破断前と破断後の形状の差がほとんどなく、目視による未開封か開封済みかの識別が非常に困難であるという問題があった。
この問題を解決するために、上蓋の開放方向等は異なる方向に力を加えて破断して分離する部材を別途設けることで、開封後に再び上蓋を閉じた際にも当該部材の分離状態を確認可能とし、目視による未開封か開封済みかの識別を容易としたタンパーエビデント機構を有するキャップが知られている。
例えば、特許第2743160号公報(特許文献2)に示すように、スカート部(特許文献2に記載されたタンパーエビデントバンド部22が相当)と上蓋(特許文献2に記載された上蓋部21が相当)のいずれか一方(特許文献2においてはタンパーエビデントバンド部22)に、未開封時は他方と接続部(特許文献2に記載されたブリッジ32が相当)によって接続されたツマミ部を設け、該ツマミ部を開封時に外方に引くことで接続部を破断可能としたキャップが公知である。
実開平1−107558号公報(全頁、全図) 特許第2743160号公報(全頁、全図)
上記特許文献2に記載されたような公知のタンパーエビデント機構を有するキャップにおいては、上記特許文献1に記載されたような公知のキャップの問題点である目視による未開封か開封済みかの識別が困難であるという問題は低減できるが、破断して分離する部材を別途設ける必要があり、構造が複雑となって製造工程が複雑となりコストが上昇するという問題があった。
特に、このようなキャップは、射出成形等の金型を使用した成形で製造されるのが一般的であるため、構造が複雑になると金型も複雑な形状のものを準備し、かつ、金型の分割数も増やす必要があり、製造コストが極めて増加するという問題があった。
また、破断して分離する部材をキャップから完全に分離させるようにすると、開封時に当該部材をゴミとして廃棄する必要があり、使用者の利便性を損ねるという問題があった。
ゴミを発生させないように、分離する部材に一部破断しない部分を設けてキャップに接続されたままの構造とするものも知られているが、キャップの外方に不安定な突出物として残存することとなり、使用者の手や衣服が引っ掛かり容器を転倒させて内容物をこぼしたり、当該部材が内容物等により汚染されて美観を損ねたり、特に食品等の場合には汚染により不衛生となるという問題があった。
さらに、当該部材を接続されたままで突出を少なくした場合は、破断前の状態と同じ状態になるため、上記特許文献1に記載されたような公知のキャップと同様に、目視による未開封か開封済みかの識別が困難となるという問題があった。
そこで本発明は、前述したような公知のヒンジキャップの問題を解決するものであって、目視による未開封か開封済みかの識別を容易とするとともに、構造が単純で製造コストが低減され、開封時にゴミを発生させることなく、かつ、開封後に突出部が生じることなく、利便性を向上させたヒンジキャップを提供することを目的とする。
本請求項1に係る発明は、容器の口部に固定されるスカート部と、該スカート部と周方向スリットを介して設けられた上蓋とを有し、前記周方向スリットには、前記上蓋を前記スカート部に対して回動可能に一体に接続するヒンジ機構と、未開封時はスカート部と上蓋とを一体に接続するタンパーエビデント機構が形成されてなるヒンジキャップであって、前記タンパーエビデント機構が、可撓性を有し少なくとも1つの対を成す上蓋アームおよびスカートアームと、前記上蓋のスカート部側の下端縁と前記スカート部の上蓋側の上端縁との間を開封時に破断可能に接続する少なくとも1つの上下ブリッジ片とを有し、前記上蓋アームは、前記上蓋のスカート部側の下端縁から前記周方向スリット内で上下方向に延びる第1支柱部と、該第1支柱部の先端から前記周方向スリット内で周方向に延びる第1水平部とからなり、前記スカートアームは、前記スカート部の上蓋側の上端縁から前記周方向スリット内で上下方向に延びる第2支柱部と、該第2支柱部の先端から前記周方向スリット内で周方向に延びる第2水平部とからなり、前記上蓋アームの第1支柱部とスカートアームの第2支柱部とが、周方向に異なる位置で上下方向反対方向に延び、かつ、先端から所定の長さだけ上下方向でオーバーラップするように形成され、前記上蓋アームの第1水平部は、前記第1支柱部の先端から第2支柱部方向に延び、前記スカートアームの第2水平部は、前記第2支柱部の先端から第1支柱部方向に延び、上蓋アームの第1水平部とスカートアームの第2水平部は、先端から所定の長さだけ周方向でオーバーラップするように形成され、前記スカート部の上蓋側の上端縁から前記上蓋に向けて突出するように形成されたスカート延長凸壁、あるいは、上蓋のスカート部側の下端縁から前記スカート部に向けて突出するように形成された上蓋延長凸壁の少なくとも一方が設けられ、前記スカート延長凸壁の側端縁がスカートアームの第2支柱部を兼ね、あるいは、前記上蓋延長凸壁の側端縁が上蓋アームの第1支柱部を兼ねることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたヒンジキャップの構成に加えて、前記上下ブリッジ片が、前記スカート延長凸壁の上端縁と上蓋の下端縁との間、あるいは、上蓋延長凸壁の下端縁とスカート部の上端縁との間の少なくとも一方を接続するように設けられていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載されたヒンジキャップの構成に加えて、前記上蓋アームの第1水平部とスカートアームの第2水平部とが周方向でオーバーラップする長さは、1.5mm以上であることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたヒンジキャップの構成に加えて、前記上蓋アームの第1水平部のスカート部側の面とスカートアームの第2水平部の上蓋側の面が水平で互いに平行な平面状に形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたヒンジキャップの構成に加えて、前記上蓋アームの第1水平部の上蓋側の面およびスカートアームの第2水平部のスカート部側の面の少なくとも一方が、曲面あるいは傾斜面に形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたヒンジキャップの構成に加えて、前記タンパーエビデント機構は、前記上蓋のスカート部側の下端縁と前記スカートアームの第2水平部あるいは前記スカート部の上蓋側の上端縁と前記上蓋アームの第1水平部との間を開封時に破断可能に接続する少なくとも1つの補助上下ブリッジ片を有することにより、前記課題を解決するものである。
本請求項1に係る発明のヒンジキャップによれば、未開封時には、周方向スリット内で、上蓋アームの第1水平部がスカートアームの第2水平部より下に位置して、いわゆる入れ子状態となっており、上蓋を初めて開封する際に弾性により上蓋アームの第1水平部がスカートアームの第2水平部を乗り越えて入れ子状態が解消される。
そして、開封後に再び上蓋を閉じた際には、上蓋アームの第1水平部がスカートアームの第2水平部の上に重なって変形するものの、乗り越えて再び入れ子状態となることはない。
上蓋アームの第1水平部とスカートアームの第2水平部が入れ子状態か、重なって変形した状態かは目視により容易に判別可能であり、目視による未開封か開封済みかの識別が容易となる。
また、破断して分離する部材を設ける必要がないため、従来の上下ブリッジ片と同様に構造が単純であり製造コストが低減されるとともに、開封時にゴミを発生させることなく、かつ、上蓋アームもスカートアームも上下方向にのみ変形し、開封後に突出部となることなく、利便性が向上する。
また、独立した第2支柱部あるいは第1支柱部を省略することが可能となり、構造が単純になるとともに上蓋アームあるいはスカートアームの破損を防止することができ、確実に未開封か開封済みかの識別が容易となる。
また、ヒンジ機構と周方向対称の位置にスカート延長凸壁または上蓋延長凸壁を設けた場合、保管時や輸送時の僅かな上蓋の動作を効果的に防止することが可能となり、保管時や輸送時の僅かな上蓋の動作で内部が開封状態となることがなく安全性が向上する。
また、上蓋アームおよびスカートアームの対を両側方に対称に設けた場合、開封動作時にかかる力のバランスが保たれ、ヒンジ機構にねじれ方向の無理な力を与えることなくヒンジキャップの破損を防止することが可能となる。
さらに、ヒンジ機構と周方向対称の位置に設けたスカート延長凸壁または上蓋延長凸壁がスカートアームの第2支柱部または上蓋アームの第1支柱部を兼ねる場合、目視による未開封か開封済みかの識別がさらに容易となる。
本請求項2に記載の構成によれば、周方向スリットを上蓋アームとスカートアームの構造を収容できる上下間隔としても、従来と同様の長さ、形状の上下ブリッジ片を設けることで開封時の破断のための構造を変更することなく、目視のための空間を大きくとることが可能となるため、さらに目視による未開封か開封済みかの識別が容易となる。
本請求項3に記載の構成によれば、重なり部分が長く、開封後に再び上蓋を閉じた際に上蓋アームの第1水平部がスカートアームの第2水平部弾性を乗り越えることが防止されるとともに、目視が容易となるため、さらに目視による未開封か開封済みかの識別が容易となる。
本請求項4に記載の構成によれば、開封後に再び上蓋を閉じた際に、上蓋アームの第1水平部とスカートアームの第2水平部が重なっても水平方向への移動力が発生せず、乗り越えることを確実に防止でき、さらに確実に未開封か開封済みかの識別が可能となる。
本請求項5に記載の構成によれば、開封時に、上蓋アームの第1水平部がスカートアームの第2水平部を乗り越える際に、弾性変形による水平方向へのズレが容易となり、大きな力を加えることなく乗り越えることができ、利便性が向上する。
また、開封時に大きな力を加えることなく乗り越えることで上蓋アームおよびスカートアームの大きな変形や破損を防止でき、開封後に再び上蓋を閉じた際に、確実に重なった状態となり、未開封か開封済みかの識別が可能となる。
本請求項6に記載の構成によれば、上蓋アームあるいはスカートアームが未開封時は補助上下ブリッジ片で固定されているため、保管時や輸送時に上蓋アームあるいはスカートアームに人や物品等が接触した際に、上蓋アームあるいはスカートアームが弾性変形することを効果的に抑制し、上蓋アームあるいはスカートアームの変形や強度の低下、予期しない破断を防止することができる。
本発明の1実施形態であるヒンジキャップの未開封時の斜視図。 図1のヒンジキャップのタンパーエビデント機構の拡大図。 本発明の1実施形態であるヒンジキャップの未開封時の正面図。 本発明の1実施形態であるヒンジキャップの未開封時の背面図。 図3のヒンジキャップの容器に取り付けた状態の断面図。 本発明の1実施形態であるヒンジキャップの開封動作初期時の正面図。 図6のヒンジキャップの容器に取り付けた状態の断面図。 本発明の1実施形態であるヒンジキャップの開封動作中間時の正面図。 図8のヒンジキャップの容器に取り付けた状態の断面図。 本発明の1実施形態であるヒンジキャップの開封動作後半の正面図。 図10のヒンジキャップの容器に取り付けた状態の断面図。 本発明の1実施形態であるヒンジキャップの開封動作後半以降の完全開放までの動作工程を示す断面図。 本発明の1実施形態であるヒンジキャップの開封後の再び上蓋を閉じた状態の正面図。
本発明は、容器の口部に固定されるスカート部と、該スカート部と周方向スリットを介して設けられた上蓋とを有し、周方向スリットには、上蓋をスカート部に対して回動可能に一体に接続するヒンジ機構と、未開封時はスカート部と上蓋とを一体に接続するタンパーエビデント機構が形成されてなるヒンジキャップであって、タンパーエビデント機構が、可撓性を有し少なくとも1つの対を成す上蓋アームおよびスカートアームと、上蓋のスカート部側の下端縁と前記スカート部の上蓋側の上端縁との間を開封時に破断可能に接続する少なくとも1つの上下ブリッジ片とを有し、上蓋アームは、上蓋のスカート部側の下端縁から周方向スリット内で上下方向に延びる第1支柱部と、該第1支柱部の先端から周方向スリット内で周方向に延びる第1水平部とからなり、スカートアームは、スカート部の上蓋側の上端縁から周方向スリット内で上下方向に延びる第2支柱部と、該第2支柱部の先端から周方向スリット内で周方向に延びる第2水平部とからなり、上蓋アームの第1支柱部とスカートアームの第2支柱部とが、周方向に異なる位置で上下方向反対方向に延び、かつ、先端から所定の長さだけ上下方向でオーバーラップするように形成され、上蓋アームの第1水平部は、第1支柱部の先端から第2支柱部方向に延び、スカートアームの第2水平部は、第2支柱部の先端から第1支柱部方向に延び、上蓋アームの第1水平部とスカートアームの第2水平部は、先端から所定の長さだけ周方向でオーバーラップするように形成され、スカート部の上蓋側の上端縁から上蓋に向けて突出するように形成されたスカート延長凸壁、あるいは、上蓋のスカート部側の下端側からスカート部に向けて突出するように形成された上蓋延長凸壁の少なくとも一方が設けられ、スカート延長凸壁の側端壁がスカートアームの第2支柱部を兼ね、あるいは、前記上蓋延長凸壁の側端縁が上蓋アームの第1支柱部を兼ね、目視による未開封か開封済みかの識別を容易とするとともに、構造が単純で製造コストが低減され、開封時にゴミを発生させることなく、かつ、開封後に突出部が生じることなく、利便性を向上させるものであれば、具体的な形状、構造、材質等は、いかなるものであっても良い。
以下に、本発明の1実施形態であるヒンジキャップ100の構成および動作について、図面に基づいて説明する。
本発明の1実施形態であるヒンジキャップ100は、図1、図5に示すように、容器101の口部102に固定されるスカート部120と、該スカート部120と周方向スリットを介して設けられた上蓋110とを有し、周方向スリットには上蓋110をスカート部に対して回動可能に一体に接続するヒンジ機構140と、未開封時はスカート部120と上蓋110とを一体に接続するタンパーエビデント機構150が形成されている。
なお、本実施形態では、スカート部120の最下端側に、ヒンジキャップ100が容器101の口部102に対して未開封か開封済みかの識別を容易とするため、スカート部タンパーエビデント環123が設けられている。
また、ヒンジキャップ100の内部の容器101の口部102の先端部に、注出ノズル部104を有する中栓103が固定されるように構成されている。
該中栓103の注出ノズル部104は、上蓋110のノズル密封部112によって閉塞されるように構成されるとともに、注出ノズル部104の上部内周面には破断可能な切取部105が形成され、切取部105の上面に設けられた係止支柱106が上蓋110の内面に設けられた支柱係合部113と係合しており、上蓋110の最初の開放動作で切取部105が注出ノズル部104から切り取られて上蓋110の内側に保持されるように構成されている。
上蓋110の上端のヒンジ機構140の周方向対称位置には、使用者による上蓋110の開放、閉塞が容易となるように前方に突出する指掛突起部114が設けられている。
タンパーエビデント機構150は、図1、図3に示すように、ヒンジ機構140の周方向対称の位置にスカート部120の上端縁121から上蓋110方向(周方向スリット方向)に突出するよう設けられたスカート延長凸壁170と、該スカート延長凸壁170の両側方に設けられたスカートアーム180と、該スカートアーム180から周方向所定間隔をあけた両側に上蓋110の下端縁111からスカート部120方向(周方向スリット方向)に突出するよう設けられた2つの上蓋アーム160と、スカート延長凸壁170の上端縁172と上蓋110の下端縁111とを接続する2つの上下ブリッジ片190とで構成されている。
スカートアーム180は、スカート部120の上蓋110側の上端縁120から上方向に延びる第2支柱部181と、該第2支柱部181の先端から周方向に延びる第2水平部182とからなる。
上蓋アーム160は、上蓋110のスカート部120側の下端縁111から下方向に延びる第1支柱部161と、該第1支柱部161の先端から周方向に延びる第1水平部162からなる。
なお、本実施形態においては、スカート延長凸壁170とスカートアーム180の第2支柱部181が一体に形成されている。
上蓋アーム160の第1水平部162は、第1支柱部161の先端から第2支柱部181(スカート延長凸壁170)方向に延び、スカートアーム180の第2水平部182は、第1水平部162より上に位置した第2支柱部181(スカート延長凸壁170)の先端から第1支柱部161方向に延びており、上蓋アーム160の第1水平部162とスカートアームの第2水平部182は、先端から所定の長さaだけ周方向でオーバーラップする、いわゆる入れ子状に形成されている。オーバーラップ長さaは、1.5mm以上5.0mm以下の範囲にするのが好ましい。
また、本実施形態においては、第1水平部162の先端付近とスカート部120の上端縁121との間、および、第2水平部182の先端付近と上蓋110の下端縁111との間が、それぞれ、補助上下ブリッジ片191で接続されているが、図2に示すように、補助上下ブリッジ片191が省略されても良い(なお、補助上下ブリッジ片191の有無以外は、図1に示す実施形態とすべて同じ構成(符号は200番代で図示)であるから、説明は省略する。)。
また、第1支柱部161と第1水平部162の接続部(角部)および第2支柱部181と第2水平部182の接続部(角部)はR形状に形成されているが、単純な屈曲形状や多段の屈曲形状としても良い。
ヒンジ機構140は、図4、図5に示すように、上蓋110の下端縁111とスカート部120の上端縁121とを接続する1対の可撓性のヒンジ片141と、該1対のヒンジ片141の間に上蓋110の下端縁111から延びるように設けられた上蓋側規制壁142と、該上蓋側規制壁142に対向してスカート部120の上端縁121から延びるように設けられたスカート部側規制壁143とで構成されている。
タンパーエビデント機構150とヒンジ機構140との周方向の中間部には、周方向スリットの隙間を狭くするため、スカート部120の上端縁121から上蓋110に延びる側部壁122が設けられている。
この側部壁122は、上蓋110の下端縁111に設けても良く、その場合、前述した上蓋アーム160の第1支柱部161が側部壁122と一体に形成されても良い。
なお、本実施形態と上下逆の構成、すなわちスカート延長凸壁170と同様の上蓋延長凸壁をヒンジ機構140の周方向対称の位置に設け、上蓋アーム160をその両側部に設けても良く、上蓋アーム160およびスカートアーム180の対を3組以上、あるいは、1組のみとしても良い。
上蓋アーム160およびスカートアーム180を周方向に複数組並べて設ける場合は、隣接する組の周方向の左右の配置を逆にし、1つの第1支柱部161あるいは第2支柱部181の周方向の両側に第1水平部162あるいは第2水平部182を設ける(すなわち、隣接する第1支柱部161あるいは第2支柱部181を一体に形成する)ように構成しても良い。
また、上下ブリッジ片190は省略しても良く、1つ、あるいは3つ以上設けても良く、その設置位置も、側部壁122との対向箇所であっても良い。
さらに、上下ブリッジ片190が、側部壁122と上蓋110の下端縁111との間に設けられていても良い。
以上のように構成された本発明の1実施形態であるヒンジキャップ100の動作および作用について、図面に基づいて説明する。
初期の未開封状態では、図1、図3に示すように、タンパーエビデント機構150の2つの上下ブリッジ片190および4つの補助上下ブリッジ片191は破断されておらず、上蓋110が閉じた状態である。
また、図5に示すように、中栓103の注出ノズル部104は上蓋110のノズル密封部112によって閉塞されるとともに、注出ノズル部104の上部内周面に設けられた切取部105が破断されておらず注出ノズル部104を密封した状態であり、切取部105の上面に設けられた係止支柱106が上蓋110の内面に設けられた支柱係合部113と係合している。
次に、使用者が指掛突起部114を上方に持ち上げ、ヒンジ機構140を支点として上蓋110を回動させると、図6、図7に示すように、まず2つの上下ブリッジ片190が引っ張りを受けて破断する。
この時、上蓋アーム160の第1水平部162およびスカートアーム180の第2水平部182の先端近傍に設けられた補助上下ブリッジ片191は、上蓋アーム160およびスカートアーム180が変形することにより破断限界に達していない。
また、この状態では、切取部105の上面に設けられた係止支柱106は上蓋110の内面に設けられた支柱係合部113により引っ張られるが、その引っ張り量は初期状態時の上下方向の遊びと切取部105の弾性変形の範囲内で収まることにより、切取部105は注出ノズル部104の上部内周面から破断されていない。
さらに、ヒンジ機構140を支点として上蓋110を回動させると、図8、図9に示すように、上蓋アーム160の第1水平部162およびスカートアーム180の第2水平部182の近傍に設けられた補助上下ブリッジ片191が破断する。
この時、上蓋アーム160の第1水平部162およびスカートアーム180の第2水平部182は補助上下ブリッジ片191の破断に必要な強い力が加わっているため塑性変形分が残留し、それぞれ先端が下方および上方に傾斜した状態となる。
また、切取部105の上面に設けられた係止支柱106が上蓋110の内面に設けられた支柱係合部113によりさらに引っ張られ、切取部105のタンパーエビデント機構150側で注出ノズル部104の上部内周面からの破断が開始する。
この後、ヒンジ機構140を支点として上蓋110をさらに回動させると、図10、図11に示すように、上蓋アーム160の第1水平部162およびスカートアーム180の第2水平部182が水平方向に変形して乗り越え、いわゆる入れ子状態が解消する。
上蓋アーム160の第1水平部162の上蓋側の面およびスカートアーム180の第2水平部182のスカート部側の面の少なくとも一方を曲面あるいは傾斜面に形成することで、乗り越える際の水平方向への変形が容易となる。
また、切取部105の上面に設けられた係止支柱106が上蓋110の内面に設けられた支柱係合部113によりさらに引っ張られて、切取部105の注出ノズル部104の上部内周面からの破断が進む。
ヒンジ機構140を支点として上蓋110をさらに回動させると、図12(a)に示すように、ヒンジ機構140側が破断して切取部105は注出ノズル部104の上部内周面から完全に分離する。
そして、分離した切取部105は、係止支柱106が上蓋110の内面に設けられた支柱係合部113に係合したままで、開封後も上蓋110の内面に保持されるため、開封時に切取部105を廃棄する必要がない。
さらに、本実施形態では、上蓋110を90°回動させた状態で、図12(b)に示すように、平面状に形成されたヒンジ機構140の上蓋側規制壁142の外側部分が、平面状に形成されたスカート部側規制壁143の上面部分と重なるように構成されており、上蓋110の90°開放状態を維持可能に構成されている。
このことで、容器101を傾けて中栓103の注出ノズル部104から内容物を注出する際に、上蓋110が不用意に閉じる方向に回動することがなく、上蓋110に内容物が当たって飛散したり、上蓋110が汚損することがない。
この状態から、上蓋110をさらに90°以上回動させると、図12(c)に示すように、平面状に形成されたヒンジ機構140の上蓋側規制壁142の外側部分が、スカート部側規制壁143の外側部分と重なるように構成され、当該スカート部側規制壁143の外側部分の上端部が最も外側に突出するように形成されており、上蓋110の180°以上の開放状態を維持可能に構成されている。
このことで、容器101を倒立状態として内容物を注出する際にも、上蓋110が不用意に閉じる方向に回動することがなく、上蓋110に内容物が当たって飛散したり、上蓋110が汚損することがない。
最初の開封動作が終了した後に上蓋110を閉じた際には、図13に示すように、上蓋アーム160の第1水平部162およびスカートアーム180の第2水平部182は、上下に重なった状態で変形した状態となり、乗り越えて再び入れ子状態となることがないため、目視による開封済みの識別が極めて容易となる。
この時、上蓋アーム160の第1水平部162のスカート部側の面とスカートアーム180の第2水平部182の上蓋側の面を水平で互いに平行な平面状に形成することで、水平方向への移動力が発生せず、乗り越えることを確実に防止でき、さらに確実に未開封か開封済みかの識別が可能となる。
なお、従来と同様の構成の上下ブリッジ片190は、破断前と同一位置で元の状態に重なるため、図示のように、目視による開封済みの識別は困難である。
本発明のヒンジキャップは、ワンタッチで上蓋110を開閉でき、且つ蓋を取り外すことなく内容物を注出できるので、スポーツ飲料用キャップとして好適であるが、その他の飲料や調味料等種々の内容物の充填容器に適用可能である。
また、ヒンジ機構は、上記実施形態のものに限定されず様々な構成のものが採用可能であり、ヒンジ機構が着脱可能な構成であっても良い。
中栓およびその切取部についても、上記実施形態のものに限定されず様々な構成のものが採用可能であり、中栓を省略した構成であっても良い。
100 ・・・ヒンジキャップ
101 ・・・容器
102 ・・・口部
103 ・・・中栓
104 ・・・注出ノズル部
105 ・・・切取部
106 ・・・係止支柱
110 ・・・上蓋
111 ・・・下端縁
112 ・・・ノズル密封部
113 ・・・支柱係合部
114 ・・・指掛突起部
120 ・・・スカート部
121 ・・・上端縁
122 ・・・側部壁
123 ・・・スカート部タンパーエビデント環
140 ・・・ヒンジ機構
141 ・・・ヒンジ片
142 ・・・上蓋側規制壁
143 ・・・スカート部側規制壁
150 ・・・タンパーエビデント機構
160 ・・・上蓋アーム
161 ・・・第1支柱部
162 ・・・第1水平部
170 ・・・スカート延長凸壁
171 ・・・側端縁
172 ・・・上端縁
180 ・・・スカートアーム
181 ・・・第2支柱部
182 ・・・第2水平部
190 ・・・上下ブリッジ片
191 ・・・補助上下ブリッジ片

Claims (6)

  1. 容器の口部に固定されるスカート部と、該スカート部と周方向スリットを介して設けられた上蓋とを有し、
    前記周方向スリットには、前記上蓋を前記スカート部に対して回動可能に一体に接続するヒンジ機構と、未開封時はスカート部と上蓋とを一体に接続するタンパーエビデント機構が形成されてなるヒンジキャップであって、
    前記タンパーエビデント機構が、可撓性を有し少なくとも1つの対を成す上蓋アームおよびスカートアームと、前記上蓋のスカート部側の下端縁と前記スカート部の上蓋側の上端縁との間を開封時に破断可能に接続する少なくとも1つの上下ブリッジ片とを有し、
    前記上蓋アームは、前記上蓋のスカート部側の下端縁から前記周方向スリット内で上下方向に延びる第1支柱部と、該第1支柱部の先端から前記周方向スリット内で周方向に延びる第1水平部とからなり、
    前記スカートアームは、前記スカート部の上蓋側の上端縁から前記周方向スリット内で上下方向に延びる第2支柱部と、該第2支柱部の先端から前記周方向スリット内で周方向に延びる第2水平部とからなり、
    前記上蓋アームの第1支柱部とスカートアームの第2支柱部とが、周方向に異なる位置で上下方向反対方向に延び、かつ、先端から所定の長さだけ上下方向でオーバーラップするように形成され、
    前記上蓋アームの第1水平部は、前記第1支柱部の先端から第2支柱部方向に延び、
    前記スカートアームの第2水平部は、前記第2支柱部の先端から第1支柱部方向に延び、
    上蓋アームの第1水平部とスカートアームの第2水平部は、先端から所定の長さだけ周方向でオーバーラップするように形成され
    前記スカート部の上蓋側の上端縁から前記上蓋に向けて突出するように形成されたスカート延長凸壁、あるいは、上蓋のスカート部側の下端縁から前記スカート部に向けて突出するように形成された上蓋延長凸壁の少なくとも一方が設けられ、
    前記スカート延長凸壁の側端縁がスカートアームの第2支柱部を兼ね、あるいは、前記上蓋延長凸壁の側端縁が上蓋アームの第1支柱部を兼ねることを特徴とするヒンジキャップ。
  2. 前記上下ブリッジ片が、前記スカート延長凸壁の上端縁と上蓋の下端縁との間、あるいは、上蓋延長凸壁の下端縁とスカート部の上端縁との間の少なくとも一方を接続するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
  3. 前記上蓋アームの第1水平部とスカートアームの第2水平部とが周方向でオーバーラップする長さは、1.5mm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヒンジキャップ。
  4. 前記上蓋アームの第1水平部のスカート部側の面とスカートアームの第2水平部の上蓋側の面が水平で互いに平行な平面状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のヒンジキャップ。
  5. 前記上蓋アームの第1水平部の上蓋側の面およびスカートアームの第2水平部のスカート部側の面の少なくとも一方が、曲面あるいは傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のヒンジキャップ。
  6. 前記タンパーエビデント機構は、前記上蓋のスカート部側の下端縁と前記スカートアームの第2水平部あるいは前記スカート部の上蓋側の上端縁と前記上蓋アームの第1水平部との間を開封時に破断可能に接続する少なくとも1つの補助上下ブリッジ片を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のヒンジキャップ。
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