JP5874677B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳型内に交流磁界を印加することで溶鋼に水平方向の旋回撹拌を与えつつ、溶鋼を鋳造してスラブを製造する連続鋳造方法に関する。
近年、自動車用鋼板、缶用鋼板などの高級鋼製品の品質要求が厳格化しており、このため、スラブ段階(連続鋳造段階)からの高品質化が要望されている。スラブに要求される品質の1つとして、スラブ表層の介在物量が少ないことが挙げられる。スラブ表層に捕捉される介在物には、下記(1)〜(3)などがある。これらはいずれも製品段階で表面欠陥となるため、スラブ表層に捕捉される量を少なくすることが重要である。
(1)アルミニウムなどによる溶鋼の脱酸工程で生成し、溶鋼中に懸濁している脱酸生成物
(2)タンディッシュや浸漬ノズルで溶鋼内に吹き込まれるArガス気泡
(3)鋳型内溶鋼湯面上に散布したモールドパウダーが溶鋼中に巻き込まれて懸濁したもの
従来、溶鋼中の非金属介在物、モールドフラックス、気泡が凝固シェルに捕捉され、製品欠陥となることを防止するために、鋳型内で溶鋼流に磁界を印加し、磁界による電磁気力を利用して溶鋼の流動を制御することが行われており、この技術に関して数多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1には、静磁場により溶鋼流速を制動する技術が開示されている。この方法は、浸漬ノズルの吐出孔から吐出された溶鋼流を直流磁界で制動することで、溶鋼流に随伴する非金属介在物やモールドフラックスが凝固シェルに捕捉されないようにするものである。
また、特許文献2には、鋳型長辺側のメニスカス近傍外側に水平な一方向の強制溶鋼流を発生させる電磁撹拌装置を取り付け、湯面を活性化しつつ鋳造する方法が開示されている。この方法は、メニスカス近傍に強制旋回撹拌を与えることで、凝固シェルに捕捉される気泡や非金属介在物を洗浄し、捕捉されないようにするものである。
また、特許文献3には、鋳型長辺部を挟んで対向する1対の上部磁極と1対の下部磁極に各々印加される直流磁界により溶鋼流を制動するとともに、上部磁極に交流磁界を重畳して印加する方法が開示されている。この方法は、直流磁界による溶鋼流の制動を行うとともに、交流磁界による溶鋼の撹拌により、凝固シェル界面での非金属介在物などの洗浄効果を得ようとするものである。
特許第2726096号公報 特開平2−37946号公報 特許第4569715号公報
しかしながら、上記従来技術には以下のような問題がある。
まず、特許文献1については、近年の自動車外板用鋼板などの品質厳格化に伴い、これまで問題にならなかった微小な気泡や非金属介在物に起因する結果が問題視されるようになりつつあり、特許文献1のような連続鋳造方法では、そのような厳しい品質要求に十分対応できない。特に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融めっき後、加熱して母材鋼板の鉄成分を亜鉛めっき層に拡散させるものであり、母材鋼板の表層性状が合金化溶融亜鉛めっき層の品質に大きく影響する。すなわち、母材鋼板の表層に欠陥があると、小さな欠陥であってもめっき層の厚みにむらが生じ、それが表面に筋状の欠陥として現れ、自動車外板などのような品質要求の厳しい用途には使用できなくなる。
また、特許文献2の方法については、この方法を用いることで微小な気泡や非金属介在物の洗浄効果が期待できるものの、当該文献においてはスラブ幅1250mmの鋳造条件に関する実施例が開示されているだけである。近年、連続鋳造プロセスの生産性向上や客先ニーズの多様化に伴い、より広いスラブ幅での鋳造機会が増加しており、当該文献に示される方法だけでは、多様なスラブ幅に対して最適な磁場条件で操業することは困難である。
また、特許文献3では、上下2段の直流磁界と上部磁極からの交流磁界重畳を用い、多様な鋳造条件に応じた適切な磁場条件が開示されている。当該文献に開示されている技術を用いることでスラブ品質の向上が期待できるものの、電磁流動制御装置が複雑であり設備費が高くなるというデメリットもある。製鉄所の操業環境によっては、このような高価な電磁流動制御装置は投資額に見合わない場合がある。また、直流磁界と交流磁界の重畳により攪拌力と制動力が同時に付与されるため、介在物等を洗浄するのに必要な溶鋼流速が得られない場合もある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、複雑な電磁流動制御装置を用いることなく、欠陥が少ない高品質のスラブを製造することができ、しかも広幅のスラブを含む多様な鋳造幅のスラブの製造に適用できる鋼の鋳造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、鋳型内に交流磁界を印加して水平方向の旋回撹拌を与えて連続鋳造する方法において、浸漬ノズルからの溶鋼吐出角度と溶鋼注入量を特定の条件とした上で、スラブ鋳造幅に応じて磁場印加条件を最適化することにより、比較的安価な設備でスラブ鋳造幅に関わりなく欠陥の少ない高品質のスラブを製造できることを見出した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]鋳型外側に、鋳型長辺部を挟んで対向する1対の磁極を備えるとともに、該磁極が鋳型上下方向においてメニスカス近傍に位置する連続鋳造機を用い、前記1対の磁極に交流磁界を印加して、溶鋼に水平方向の旋回撹拌を与えつつ、鋼の連続鋳造を行う方法(但し、溶鋼に対して電磁力を作用させるのが前記交流磁界のみである方法に限る。)であって、
溶鋼吐出孔の水平方向から下向きの溶鋼吐出角度が15°以上45°以下の浸漬ノズルを用い、該浸漬ノズルから注入される単位時間当たりの溶鋼量を2.0Ton/min以上6.0Ton/min以下とし、スラブの鋳造幅W(mm)に応じて、前記磁極に印加する交流磁界の強度A(Gauss)を下記(1)式の範囲に制御することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
370×Ln(W)−2500≦A≦370×Ln(W)−2050 …(1)
[2]上記[1]の連続鋳造方法において、メニスカス溶鋼流速が0.30m/s以下であることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
[3]上記[1]又は[2]の連続鋳造方法において、浸漬ノズルの浸漬深さ(但し、メニスカスから溶鋼吐出孔上端までの距離)が100〜300mmであることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの連続鋳造方法において、スラブの鋳造厚さが220〜300mmであることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
本発明によれば、鋳型内に交流磁界を印加することで溶鋼に水平方向の旋回撹拌を与えつつ連続鋳造する方法において、浸漬ノズルからの溶鋼吐出角度と溶鋼注入量を特定の条件とした上で、スラブ鋳造幅に応じて磁場印加条件を最適化することにより、スラブ鋳造幅に関わりなく欠陥の少ない高品質のスラブを安定的に製造することができる。すなわち、複雑で高価な電磁流動制御装置を用いることなく、欠陥が少ない高品質のスラブを安定的に製造することができ、しかも広幅のスラブを含む多様な鋳造幅のスラブの製造に適用することができる。
本発明の実施に供される連続鋳造機の鋳型および浸漬ノズルの一実施形態を示す縦断面図 図1中のII-II線に沿う断面図 低融点合金装置を用いた実験及び実機鋳造試験におけるメニスカス溶鋼流速の測定位置を示す説明図 実施例の結果に基づくメニスカス溶鋼流速と製品欠陥指数との関係を示すグラフ 実施例の結果に基づく浸漬ノズルの浸漬深さと製品欠陥指数との関係を示すグラフ
本発明の鋼の連続鋳造方法は、鋳型外側に、鋳型長辺部を挟んで対向する1対の磁極を備えるとともに、該磁極が鋳型上下方向においてメニスカス近傍に位置する連続鋳造機を用い、前記1対の磁極に交流磁界を印加して、溶鋼に水平方向の旋回撹拌(旋回撹拌力)を与えつつ、鋼の連続鋳造を行う方法である。
図1及び図2は、本発明の実施に供される連続鋳造機の鋳型および浸漬ノズルの一実施形態を示すもので、図1は鋳型および浸漬ノズルの縦断面図、図2は図1中のII-II線に沿う断面図である。
図において、1は鋳型であり、この鋳型1は鋳型長辺部10(鋳型側壁)と鋳型短辺部11(鋳型側壁)とにより水平断面矩形状に構成されている。
2は浸漬ノズルであり、この浸漬ノズル2を通じて鋳型1の上方に設置されたタンディッシュ(図示せず)内の溶鋼を鋳型1内に注入する。この浸漬ノズル2は、筒状のノズル本体の下端に底部21を有するとともに、この底部21の直上の側壁部に、両鋳型短辺部11と対向するように1対の溶鋼吐出孔20が貫設されている。
溶鋼中のアルミナなどの非金属介在物が浸漬ノズル2の内壁面に付着・堆積してノズル閉塞を生じることを防止するため、浸漬ノズル2のノズル本体内部に設けられたガス流路(図示せず)にArガスなどの不活性ガスが導入され、この不活性ガスがノズル内壁面からノズル内に吹き込まれる。
タンディッシュから浸漬ノズル2に流入した溶鋼は、浸漬ノズル2の1対の溶鋼吐出孔20から鋳型1内に吐出される。吐出された溶鋼は、鋳型1内で冷却されて凝固シェル4を形成し、鋳型1の下方に連続的に引き抜かれ鋳片となる。鋳型1内のメニスカス5には、溶鋼の保温剤および凝固シェル4と鋳型1の潤滑剤として、モールドフラックスが添加される。
また、浸漬ノズル2の内壁面から吹き込まれた不活性ガスの気泡は、溶鋼吐出孔20から溶鋼とともに鋳型1内に吐出される。
鋳型1の外側(鋳型側壁の背面)には、鋳型長辺部を挟んで対向する1対の磁極3が設けられ、これら磁極3は鋳型長辺部10の幅方向において、その全幅に沿うように配置されている。
磁極3は、鋳型1の上下方向においてメニスカス近傍に位置する。具体的には、メニスカス5をカバーする位置(磁極3の上下幅内にメニスカス5が位置する)に配置される。
磁極3には交流磁界が印加されるので、交流磁界用磁極を備える。また、印加される交流磁界は交流移動磁界であり、任意の隣接するN個のコイルに360°/Nずつ位相をずらした交流電流を通電して得られる磁界のことで、一般には、高効率であるためN=3(位相差120°)が用いられる。この交流移動磁界によって、溶鋼を水平方向に旋回(回転)撹拌する作用が得られ、これにより生じる溶鋼流によって、凝固シェル界面の非金属介在物や気泡を洗浄する効果が得られる。なお、本発明では磁極3に直流磁界を重畳印加しないため、介在物を洗浄するための溶鋼流速を確保し易い利点がある。
本発明者らは、上記のような1対の磁極に交流磁界を印加して、鋳型内の溶鋼に水平方向の旋回撹拌(旋回撹拌力)を与えつつ鋼の連続鋳造を行う方法について、種々の鋳造幅での鋳型内流動状況に関する調査を行った。すなわち、この方法における鋳型内の溶鋼流速分布を数値計算や実機1/4サイズの低融点合金(Bi、Pb、Sn、Cd合金:融点70℃)装置による流速測定により調査したところ、スラブの鋳造幅に応じて最適な交流磁界の印加強度が存在することが判った。すなわち、スラブ鋳造幅との関係で交流磁界の印加強度が弱すぎると、気泡や非金属介在物の洗浄効果を十分に得ることができないことや、メニスカス近傍の温度バラツキに起因する凝固不均一によるスラブの割れを生じてしまう。一方、スラブ鋳造幅との関係で交流磁界の印加強度が強すぎると、表面流速が大きくなることによるモールドパウダーの削りこみが発生しやすく、また、強い旋回流速が凝固シェルの薄い部分に衝突し、凝固シェルを破ってしまうブレークアウト現象が生じる場合もある。
本発明者らは、スラブ鋳造幅に応じた交流磁界の印加強度の最適範囲を見出すべく、数値計算、低融点合金装置を用いた実験及び実機鋳造試験を繰り返し実施し、得られた結果について検討を行った。その結果、スラブの鋳造幅が大きくなるにつれて交流磁界の印加強度を大きくする必要があり、具体的には、印加する交流磁界の強度A(Gauss)の最適範囲は、スラブの鋳造幅W(mm)をパラメータとして下記(1)式で整理できることが判った。
370×Ln(W)−2500≦A≦370×Ln(W)−2050 …(1)
また、本発明者らは、浸漬ノズルからの溶鋼吐出角度の影響について検討し、溶鋼吐出孔の水平方向から下向きの溶鋼吐出角度α(以下、単に「浸漬ノズルの下向きの溶鋼吐出角度」という場合がある)が15°以上45°以下であれば、上記(1)式に示した磁場条件において製品欠陥の少ないスラブが製造できることが判った。浸漬ノズルの下向きの溶鋼吐出角度が15°よりも浅い場合、メニスカス表面の乱流度が増大しすぎてモールドパウダーの巻き込みを助長する。一方、浸漬ノズルの下向きの溶鋼吐出角度が45°よりも深い場合、吐出流が鋳型深部に潜り込みやすくなって内部介在物起因の欠陥が増大する。
また、浸漬ノズルの溶鋼吐出孔から吐出される単位時間当たりの溶鋼量(以下、「スループット」という場合がある)も、重要な制御因子であることが判った。スループットが低い場合、溶鋼吐出孔からの吐出流速が小さくなりすぎ、逆にスループットが高い場合には吐出流速が大きくなりすぎ、いずれの場合も、鋳型内の溶鋼流の流速を適正化しにくくなるためである。種々の数値解析や実験調査の結果、スループットが2.0Ton/min以上6.0Ton/min以下であれば、上記(1)式に示した磁場条件を用いることで製品欠陥の少ないスラブが製造できることが判った。
以上の点から本発明の鋼の連続鋳造方法では、溶鋼吐出孔の水平方向から下向きの溶鋼吐出角度が15°以上45°以下の浸漬ノズルを用い、この浸漬ノズルから注入される単位時間当たりの溶鋼量を2.0Ton/min以上6.0Ton/min以下とし、スラブの鋳造幅W(mm)に応じて、磁極に印加する交流磁界の強度A(Gauss)を下記(1)式の範囲に制御する。
370×Ln(W)−2500≦A≦370×Ln(W)−2050 …(1)
次に、本発明者らは、メニスカス溶鋼流速(溶鋼表面流速)の影響について検討した。数値解析によるシミュレーションと、低融点合金装置を用いた実験及び実機鋳造試験でのメニスカス流速測定を行い、メニスカス溶鋼流速と製品欠陥数との相関を調査した。なお、数値解析におけるメニスカス溶鋼流速は、溶鋼表面での溶鋼流速の空間平均値であり、3次元数値解析モデルで定義され、例えば、汎用流体解析プログラムFluent等により計算を行って求めることができる。また、低融点合金装置を用いた実験及び実機鋳造試験におけるメニスカス溶鋼流速は、図3に示すように、溶鋼表面の鋳型厚み方向中央位置と両長辺部内面近傍位置において、それぞれ短辺部近傍位置、鋳型幅Wの中央位置、1/4幅位置、3/4幅位置で溶鋼流速を実測し、それらの平均値を求めたものである。メニスカス流速測定は、浸漬棒による抗力測定など、操業状況に応じて適切なものを選択すればよい。また、流速測定位置についても、鋳型の長辺部方向及び短辺部方向で代表的な複数位置(偏りのない複数位置)を選定すればよく、必ずしも図3に示されるような各位置で測定する必要はない。
上記のような調査・検討の結果、上述した本発明の鋳造・磁場条件の下で、メニスカス溶鋼流速が0.30m/s以下であれば、製品欠陥数がより少ないスラブを製造できることが判った。上述した本発明の鋳造・磁場条件の下で、メニスカス溶鋼流速が0.30m/sを超えると、欠陥個数がやや増加した(但し、製品としては合格レベルにある)。このときの欠陥についてSEM分析等により欠陥種を特定したところ、モールドパウダー起因の欠陥が増加していることが判った。メニスカス溶鋼流速が0.30m/sを超えることで、一部、モールドパウダーの削りこみが発生しているものと推測される。したがって、メニスカス溶鋼流速は0.30m/s以下であることが好ましい。なお、メニスカス溶鋼流速が小さすぎると、溶鋼表面の温度が低下する領域が発生し、モールドフラックスの溶融不足や溶鋼の部分的凝固を助長するため操業が困難となる。このため、メニスカス溶鋼流速は0.05m/s以上であることが好ましい。
なお、メニスカス溶鋼流速は交流磁界の強度と鋳造条件により制御することができる。
また、浸漬ノズルの浸漬深さ(但し、メニスカスから溶鋼吐出孔上端までの距離。以下同様)については、100〜300mmとすることで、より製品欠陥数の少ないスラブを製造できることが判った。浸漬ノズルの浸漬深さが100mmよりも浅いと、メニスカス表面乱流度の増大によりモールドパウダーの削りこみを助長し、逆に300mmよりも深いと非金属介在物などの鋳型深部への潜り込みを助長する。したがって、浸漬ノズルの浸漬深さは100〜300mmであることが好ましい。
さらに、スラブの鋳造厚さ(スラブ厚さ)は220〜300mmとすることが好ましいことが判った。浸漬ノズルの溶鋼吐出孔から吐出される溶鋼は気泡を随伴しており、スラブの鋳造厚さが小さすぎると、溶鋼吐出孔から吐出される溶鋼流が鋳型長辺部側の凝固シェルに近づき、凝固シェル界面に気泡が捕捉されやすくなる。特に、鋳造厚さが220mm未満では、製品欠陥個数がやや増大した。一方、鋳造厚さが300mmを超えると、熱延工程の生産性が低くなる難点がある。したがって、スラブの鋳造厚さ(スラブ厚さ)は220〜300mmであることが好ましい。
[実施例1]
図1及び図2に示すような連続鋳造機を用いて、約300トンのアルミキルド溶鋼を連続鋳造した。浸漬ノズルからの吹き込み不活性ガスにはArガスを使用し、このArガスの吹き込み量は、ノズル閉塞が起こらないようにスライディングノズルの開度に応じて、8〜20NL/minの範囲内で調整した。スラブの鋳造厚さを250mm、浸漬ノズルの浸漬深さを200mmとし、スラブの鋳造幅に応じて磁極に印加する交流磁界の強度を変化させた。また、浸漬ノズルの下向きの溶鋼吐出角は10°〜50°の範囲で、スループットは1〜7Ton/minの範囲で、それぞれ変化させた。鋳造されたスラブに対して熱間圧延、冷間圧延、合金化溶融亜鉛めっき処理を順次施し、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面欠陥をオンライン表面欠陥計で連続的に測定し、そのなかから欠陥外観及びSEM分析、ICP分析等により製鋼性欠陥(フラックス性欠陥及び気泡性欠陥)を判別し、コイル長さ100m当たりの欠陥個数で評価した。その結果を鋳造条件とともに表1〜表4に示す。
Figure 0005874677
Figure 0005874677
Figure 0005874677
Figure 0005874677
表1〜表4によれば、本発明例の製品欠陥指数は0.20〜0.34個/100mであり、本発明法により欠陥の少ない高品質のスラブを製造できることが判る。一方、比較例1〜14は磁極に印加する交流磁界の強度が(1)式を満たさないため、製品欠陥指数は0.61〜0.74個/100mと著しく高く、品質が悪い。また、比較例15〜22は、浸漬ノズルの下向きの溶鋼吐出角度が本発明の範囲外であり、製品欠陥指数は0.58〜0.67個/100mと高い。また、比較例23〜30は、スループットが本発明の範囲外であり、この場合も製品欠陥指数は0.59〜0.72個/100mと高く、高品質のスラブは得られていない。
[実施例2]
図1及び図2に示すような連続鋳造機を用いて、約300トンのアルミキルド溶鋼を鋳造し、その際、メニスカス溶鋼流速を測定して、製品欠陥指数との関係を調査した。本実施例では、スラブの鋳造厚さを250mm、浸漬ノズルの下向きの溶鋼吐出角度を25°、浸漬ノズルの浸漬深さを200mmとし、スラブの鋳造幅1400mm及び1800mmに対して、それぞれスループットを2.4Ton/min及び4.9Ton/min、浸漬ノズルからの吹き込み不活性Arガス量を10NL/min及び16NL/minとした。磁極に印加する交流磁界の強度は、本発明の(1)式の範囲に制御した。実施例1と同様に、鋳造されたスラブに対して熱間圧延、冷間圧延、合金化溶融亜鉛めっき処理を順次施し、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面欠陥をオンライン表面欠陥計で連続的に測定し、そのなかから欠陥外観及びSEM分析、ICP分析等により製鋼性欠陥(フラックス性欠陥および気泡性欠陥)を判別し、コイル長さ100mあたりの欠陥個数で評価した。その結果を鋳造条件とともに表5に示す。なお、表5には表1の発明例11を併せて記載した。
Figure 0005874677
図4は、本実施例(表5)の結果に基づくメニスカス溶鋼流速と製品欠陥指数との関係を示したものである。これによれば、メニスカス溶鋼流速が0.30m/sを超えた場合には、若干の製品欠陥指数の増加が認められることから、メニスカス溶鋼流速を0.30m/s以下にすることが好ましいことが判る。但し、メニスカス溶鋼流速が0.30m/sを超えている場合でも、本発明の鋳造・磁場条件を満たしていれば、製品欠陥指数は0.38〜0.42個/100m程度のため、製品としては十分合格のレベルにある。
なお、本発明の鋳造・磁場条件内において、スラブの鋳造幅・鋳造厚さ、磁極に印加する交流磁界の強度、浸漬ノズルの下向きの溶鋼吐出角度、スループット、浸漬ノズルの浸漬深さなどについて本実施例とは異なる種々の条件でスラブを製造し、メニスカス溶鋼流速の影響を調査したが、本実施例と同様の傾向の結果が得られることが確認できた。
[実施例3]
図1及び図2に示すような連続鋳造機を用いて、約300トンのアルミキルド溶鋼を鋳造し、その際、浸漬ノズルの浸漬深さが製品欠陥指数に及ぼす影響を調査した。本実施例では、スラブの鋳造厚さを250mm、鋳造幅を1600mm、浸漬ノズルの下向きの溶鋼吐出角度を25°、磁極に印加する交流磁界の強度を450Gauss、スループットを4.3Ton/min、浸漬ノズルからの吹き込み不活性Arガス量を12NL/minとした。浸漬ノズルの浸漬深さは80〜320mmの範囲で変化させた。実施例1と同様に、鋳造されたスラブに対して熱間圧延、冷間圧延、合金化溶融亜鉛めっき処理を順次施し、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面欠陥をオンライン表面欠陥計で連続的に測定し、そのなかから欠陥外観及びSEM分析、ICP分析等により製鋼性欠陥(フラックス性欠陥および気泡性欠陥)を判別し、コイル長さ100mあたりの欠陥個数で評価した。その結果を鋳造条件とともに表6に示す。なお、表6には表2の発明例17を併せて記載した。
Figure 0005874677
図5は、本実施例(表6)の結果に基づく浸漬ノズルの浸漬深さと製品欠陥指数との関係を示したものである。これによれば、浸漬ノズルの浸漬深さが100〜300mmの範囲において、製品欠陥指数が0.20〜0.32個/100mと低位になっていることが判る。なお、浸漬ノズルの浸漬深さが100mm未満若しくは300mm超であっても、本発明の鋳造・磁場条件を満たしていれば、製品欠陥指数は0.36〜0.40個/100m程度であり、製品としては十分合格のレベルにある。
なお、本発明の鋳造・磁場条件内において、スラブの鋳造幅・鋳造厚さ、磁極に印加する交流磁界の強度、浸漬ノズルの下向きの溶鋼吐出角度、スループット、メニスカス溶鋼流速などについて本実施例とは異なる種々の条件でスラブを製造し、浸漬ノズルの浸漬深さの影響を調査したが、本実施例と同様の傾向の結果が得られることが確認できた。
[実施例4]
図1及び図2に示すような連続鋳造機を用いて、約300トンのアルミキルド溶鋼を鋳造し、その際、スラブの鋳造厚さが製品欠陥指数に及ぼす影響を調査した。本実施例では、スラブの鋳造幅を2000mm、浸漬ノズルの下向きの溶鋼吐出角度を15°、浸漬ノズルの浸漬深さを200mm、磁極に印加する交流磁界の強度を540Gauss、スループットを4.7Ton/min、浸漬ノズルからの吹き込み不活性Arガス量を14NL/minとした。スラブの鋳造厚さは200〜320mmの範囲で変化させた。実施例1と同様に、鋳造されたスラブに対して熱間圧延、冷間圧延、合金化溶融亜鉛めっき処理を順次施し、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面欠陥をオンライン表面欠陥計で連続的に測定し、そのなかから欠陥外観及びSEM分析、ICP分析等により製鋼性欠陥(フラックス性欠陥および気泡性欠陥)を判別し、コイル長さ100mあたりの欠陥個数で評価した。その結果を鋳造条件とともに表7に示す。なお、表7には表2の発明例27を併せて記載した。
Figure 0005874677
表7によれば、スラブの鋳造厚さ220mm以上において、製品欠陥指数は0.21〜0.32個/100mと良好である。また、スラブの鋳造厚さ320mmでは、製品欠陥指数は低位であったものの、熱延工程での生産性が低下した。鋳造厚さ200mmでは、製品欠陥指数は0.39個/100mと若干増加したものの、製品としては十分合格レベルである。
なお、本発明の鋳造・磁場条件内において、スラブの鋳造幅、磁極に印加する交流磁界の強度、浸漬ノズルの下向きの溶鋼吐出角度、スループット、メニスカス溶鋼流速、浸漬ノズルの浸漬深さなどについて本実施例とは異なる種々の条件でスラブを製造し、スラブの鋳造厚さの影響を調査したが、本実施例と同様の傾向の結果が得られることが確認できた。
以上のように、本発明の連続鋳造方法を適用することで、優れた品質のスラブを鋳造することができる。
1 鋳型
2 浸漬ノズル
3 磁極
4 凝固シェル
5 メニスカス
10 鋳型長辺部
11 鋳型短辺部
20 溶鋼吐出孔
21 底部

Claims (4)

  1. 鋳型外側に、鋳型長辺部を挟んで対向する1対の磁極を備えるとともに、該磁極が鋳型上下方向においてメニスカス近傍に位置する連続鋳造機を用い、前記1対の磁極に交流磁界を印加して、溶鋼に水平方向の旋回撹拌を与えつつ、鋼の連続鋳造を行う方法(但し、溶鋼に対して電磁力を作用させるのが前記交流磁界のみである方法に限る。)であって、
    溶鋼吐出孔の水平方向から下向きの溶鋼吐出角度が15°以上45°以下の浸漬ノズルを用い、該浸漬ノズルから注入される単位時間当たりの溶鋼量を2.0Ton/min以上6.0Ton/min以下とし、スラブの鋳造幅W(mm)に応じて、前記磁極に印加する交流磁界の強度A(Gauss)を下記(1)式の範囲に制御することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    370×Ln(W)−2500≦A≦370×Ln(W)−2050 …(1)
  2. メニスカス溶鋼流速が0.30m/s以下であることを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. 浸漬ノズルの浸漬深さ(但し、メニスカスから溶鋼吐出孔上端までの距離)が100〜300mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼の連続鋳造方法。
  4. スラブの鋳造厚さが220〜300mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼の連続鋳造方法。
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