JP5871338B2 - 流路型セルを用いたCu、Ag、Au、Ptの電解採取装置、及びその方法 - Google Patents

流路型セルを用いたCu、Ag、Au、Ptの電解採取装置、及びその方法 Download PDF

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Description

本発明は、希薄に溶解されている金属の電解採取装置及びその方法に関し、より詳しくは、流路型セルを用いて、非常に希薄に溶解されているCu、Ag、Au、Ptなどのような金属を迅速に電解採取するための装置、及びその方法に関する。
従来、非常に希薄に溶解されている金属の採取は、主に、金属還元法及び電解還元法が用いられているが、本発明は、電解還元法を用いた電解採取装置及びその方法に関するものであるので、ユーロピウムを代表例として取り上げ、従来の電解還元法について説明する。
まず、電解還元法としての水銀(Hg)陰極電解還元法について、水銀陰極電解還元装置を概略的に示している図11を参照して、説明することにする。
電解還元法によるユーロピウム精製に最も用いられている水銀陰極電解還元法は、塩橋(salt bridge)で連結された2つの電解槽に、カソードとしては水銀(Hg)を、アノードとしては白金(Pt)を、それぞれ使用する
具体的な還元方法は、カソード室に、SO 2−イオンを含むユーロピウム濃縮物を投入し、アノード室には、1mol/L濃度の硫酸溶液を投入してから電解すると、カソード室内のユーロピウムが、EuSO沈殿物を形成する。
しかし、このような水銀陰極電解還元法は、処理量が少なく、ユーロピウムの純度が不良であっただけでなく、酸化ユーロピウムを生産するに際しての水銀汚染に対する問題が生じて、現在、工業的としては使用していない。
次に、イオン交換隔膜電解還元装置を概略的に示す図12を参照して、電解還元法としてのイオン交換隔膜電解還元法について説明する。
イオン交換隔膜電解還元法は、1980年代に開発されており、陰イオン交換膜に分離された電解槽にそれぞれ、多孔炭素電極を設けて電極として使用する。
前述したイオン交換隔膜電解還元法における還元は、カソード室には濃縮されたユーロピウム(RECl、具体的には、Eu3+)溶液を投入し、アノード室には、FeCl溶液を一定の速度で投入しながら、ユーロピウムを電解還元させることを特徴とする。
ここで、1次還元された溶液は、同一構造の電解槽で2次還元させ、これによって、前記ユーロピウムの還元率を、99%以上に高めてから、沈澱装置に移送する。
沈澱装置では、電解槽から移送されたEu2+溶液を、2mol/Lの硫酸アンモニウムと、1mol/Lの硫酸混合溶液とを反応させ、EuSOの沈殿物を形成して、ユーロピウムを分離するが、この際、空気との接触によるユーロピウムの酸化を抑制するために、窒素ガスに排気気(purge)することが望ましい。
以下、多孔炭素電極電解還元装置を概略的に示す図13を参照して、多孔炭素電極電解還元法について、説明する。
図13において、1、3は排出口、2は気体放出口、4は投入口、5はガラス剤反応器、6はカソード、7はアノード、8は多孔性グラファイトをそれぞれ示している。
図13において、多孔炭素電極電解還元装置を用いた多孔炭素電極電解還元法は、イオン交換隔膜電解還元法と同様に、多孔炭素電極を使用するが、イオン交換隔膜電解電極と比較して、電極の孔が非常に小さいことが特徴である。この際の孔隙率は、43%程度である。
前記多孔炭素電極電解還元法は、ユーロピウムが濃縮した塩化希土類及びブローム(Br)が含有した溶液を、原料投入口に圧力をかけて投入すると、カソード電極の空隙間を通過しながら、ユーロピウムの還元反応が起き、アノードでは、Brの酸化反応が発生する原理を用いている。
しかし、多孔炭素電極電解還元法も、還元率が低くて回収率が低下し、Brによる製品汚染が問題点として指摘されている。
以上のように、従来行われていた各種の電解還元法では、反応量を増加し、反応速度を高めるために、プロペラのような撹拌手段を使用するか、電解槽自体を回転させるなどによる反応面を増大させる方法、または、図12を参照して説明したイオン交換隔膜電解還元法の場合のように、一度、電解還元処理した電解採取溶液を、再度、2次電解還元処理する再循環などによる反応時間を増大させる方法を使用していた。
特許文献1:大韓民国公開特許公報第1997-0006187号(1997.02.19公開)
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためのものであって、撹拌手段を使用したり、電解槽を回転することなく、また、多孔性電極や複数回にかける電解還元処理する工程を経由しなくても、電解採取溶液の接触面を画期的に増大して、その反応量を増加させ、これと共に、反応速度を高めて反応時間を減少することができる装置及び方法を提供することを目的とする。
特に、本発明は、低濃度の電解採取溶液に含まれたCu、Ag、Au、Ptなどの金属イオンを金属化させて回収するための、電解採取装置及び方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、従来技術で問題となっていた他の物質による目標金属の汚染問題を解決することを目的とする。
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限るものではなく、本発明の技術分野に属する通常の技術者であれば、以下の記載から、触れていない他の課題に対しても明確に理解されるだろう。
上記課題を解決するため、本発明の望ましい1実施例による、流路型セルを用いた非常に希薄に溶解されている金属の電解採取装置は、
投入口と排出口とを有する流路が形成され、前記流路の内側表面に乱流形成用ビーズが1以上形成されているカソードセルと、
投入口と排出口とを有する流路が形成され、前記流路の内側表面に乱流形成用ビーズが1以上形成されているアノードセルと、
前記カソードセルと前記アノードセルとの間で、これらと密着して形成されるイオン交換樹脂膜と、
を備えてなることを特徴とする。
ここで、前記カソードセル及び前記アノードセルは、グラファイトで形成されることが望ましい。
また、前記カソードセル及び前記アノードセルに形成された流路は、前記イオン交換樹脂膜の両側において互いに流路が整合されていることが特に望ましい。
ここで、前記流路の断面形状は、長方形状、u字状、又はv字状の1つである。
また、前記投入口に投入される電解採取溶液は、レイノルズ数2000以上に流動されることが望ましい。
本発明の1実施例によると、前記カソードセルに形成された投入口には、Cu、Ag、Au、Ptイオン含有溶液が投入され、前記アノードセルに形成された投入口には、前記カソードセルに投入されるCu、Ag、Au、Ptイオン含有溶液と対反応を起こすことができるイオン含有溶液が投入されることが望ましい。
ここで、前記対反応とは、Cu、Ag、Au、Ptイオン含有溶液から、Cu、Ag、Au、Ptを析出することにおいて、最も適切な反応を起こすことができる反応を示す。
本発明の1実施例によると、前記乱流形成用ビーズは、前記流路の単位長さに対して、1以上設けられることが望ましい。
前記課題を解決するために、本発明の望ましい他の実施例によると、流路型セルを用いた非常に希薄に溶解されている金属の電解採取方法は、
カソードセル及びアノードセル用基板を準備する段階と、
前記準備した基板に、投入口と排出口とを有する流路を形成すると共に、前記流路の内側表面に乱流形成用ビーズを1以上形成する段階と、
前記流路が形成された基板を、イオン交換樹脂膜の両側に密着して固定する段階と
を含み、前記基板に形成された前記投入口を介して、電解採取溶液を投入した後、電解採取を行うことを特徴とする。
ここで、前記基板は、グラファイトで形成されることが望ましい。
前記投入口に投入される電解採取溶液は、レイノルズ数2000以上に流動されることが望ましい。
その他の実施例の具体的な事項は詳細な、説明及び添付の図面に含まれている。
本発明の利点及び/又は特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳しく後述されている実施例を参照すると、明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で具現される。但し、本実施例は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明の技術の分野に属する通常の技術者に、本発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇により定義されるだけである。
明細書全体に亙って、同一の参照符号は、同一の構成要素を示しており、発明を構成する各構成要素の大きさ、位置、結合関係などは、明細書の明確性のために、誇張記述されていることがあることを理解すべきである。
本発明の好適な実施例によると、撹拌手段の使用又は電解槽の回転、多孔性電極、又は複数回にかけて電解還元処理する工程を経由しなくても、簡単な構成の装置によって、電解還元反応量を増加し、電解還元反応速度を高めることができる。
図1は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置を成す流路型セルの概略的な斜視図である。 図2は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置を成す流路型セルの概略的な平面図である。 図3は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置を成す流路型セルの概略的な断面図である。 図4は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置の概略的な断面図である。 図5は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置の流路におけるレイノルズ数による流動の差をシミュレーションで示す図であって、図5aは、レイノルズ数が69.44の場合を示してり、図5bは、レイノルズ数が6944の場合を示している。 図6は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置におけるレイノルズ数の変動と回収率の変動とを示すグラフである。 図7は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置における電荷量(印加電荷量/理論電荷量に換算した値)と、回収率の変動とを示すグラフである。 図8は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置におけるCu2+含有溶液の硫酸濃度と回収率の変動とを示すグラフである。 図9は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置における電解採取金属の種類による回収率の変動を示すグラフである。 図10は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取方法を概略的に示すシーケンス図である。 図11は、従来技術による水銀陰極電解還元装置を概略的に示す図である。 図12は、従来技術によるイオン交換隔膜電解還元装置を概略的に示す図である。 図13は、従来技術による多孔炭素電極電解還元装置を概略的に示す図である。
以下では、添付の図面を参照して、本発明の実施例を詳しく説明することにする。
図1は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置を成す流路型セルの概略的な斜視図である、
図1を参照すると、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置を成す流路型セル100は、基板120と、電解採取溶液を投入するための投入口130と、電解採取が終わった溶液が排出される排出口140からなる流路(160、又は、チャンネル)と、前記流路160の一部分に形成された乱流形成用ビーズ(180、bead)とを含む。
図1に示している電解採取装置のカソード又はアノードを成す流路型セル100は、図1では、1つだけを示しているが、実際では、カソード用流路型セル100とアノード用流路型セル100の2つを製造しなければならない。これに対しては、図4を参照して、後述することにする。
図1に示している流路型セル100に形成された流路160は、弓形に示されているが、∩状と∪状とが交互に配列された、つまり、流路160の折れる部分が曲線状に形成されることもできる。
但し、図1に示している流路100でのように、直角に折れる部分における電解採取溶液の流動性、後述するレイノルズ数が更に高くなる効果を示しているため、流路100は、弓形に形成されるのが望ましい。
また、流路型セル100、又は基板120は、グラファイトで形成されることが望ましい。
流路型セル100、又は基板120をグラファイトで形成する理由は、酸で腐食されなく、電解採取しようとする成分とも反応しなく、また、加工性に優れているだけでなく、経済的でも安価な材料であるからである。
上述したように、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置においては、流路型セル100、又は基板120はいずれも、同一の形状で形成することが望ましい。
また、図4を参照して後述するが、流路型セル100、又は基板120に形成された流路160はいずれも、互いに整合して配置されることが望ましい。
また、図1において、前記基板120上に形成された流路160の単位当たりの1又は1以上の乱流形成用ビーズ(bead)180が、形成されていることが望ましい。
前記単位長さについては、図2を参照して説明することにする。また、望ましい乱流形成用ビーズ180の構成については、図3を参照して説明する。
次に、図2は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置を成す流路型セルの概略的な平面図である。
図2によると、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置を成す流路型セル200は、図1の構成と同一の構成を備えてなっていることが分かる。それで、図2に示している各構成については、図1に示す各構成と同一の図面番号が付けていることだけを言及し、それぞれの構成については、説明を省略する。
図2から、横幅を基準に、流路型セル200の中間部分に、乱流形成用ビーズ180が形成されていることが分かる。
ここで、上述した'単位長さ'とは、図2に示している各流路160の左側から右側までの長さをいう。
流路160は、図2に示しているように、左側から右側まで単一の流路160が形成されていることもできるが、弓弓形のように、単一の流路型セル200に流路160が2つのコラムに分離して形成されることもできる。
すなわち、'弓'の場合の単位長さが1であると、'弓弓'の単位長さは、前者に比べて1/2となり得る。
このような場合でも、単位長さは、換算して同一の単位長であると考えることが望ましい。
それで、'弓'の場合、乱流形成用ビーズ180は、単位長さに少なくても1つが形成されるとすると、後者の'弓弓'の場合、乱流形成用ビーズ180も単位長さに少なくても1つが形成されることができ、後者の'弓弓'の場合、乱流形成用ビーズ180は、前記前者の'弓'の場合、乱流形成用ビーズ180の設置数と対比したとき、少なくとも2つ形成されることができる。
次に、図3は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置を成す流路型セルの概略的な断面図である。
図3から、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解還元装置を成す流路型セル300において、流路160内側表面に形成された乱流形成用ビーズ180の断面形状について分かることができる。
図3に示している乱流形成用ビーズ180の断面形状は、略台形状となっているが、本発明の乱流形成用ビーズ180の断面は、このような断面形状に制限されない。
すなわち、例えば、乱流形成用ビーズ180の断面形状は、六角柱形状、水玉形状、又は半円柱形状でもよい。
要するに、乱流形成用ビーズ180は、流路160の内側表面から適当な高さに突出して形成されることが望ましい。
これと異なり、乱流形成用ビーズ180が、流路160内側表面から陷沒して形成されることができる。
すなわち、本発明の好適な実施例によると、ビーズ180は、流路160の内側表面に凹凸状で形成されることができる。
また、ビーズ180は、流路160の内側表面に互いに形成されることもできる。
要するに、ビーズ180は、流路160の内側表面で乱流を生成することができる構成であれば、何らの形状や配置でも構わない。
上述したように、流路160の内側表面には、乱流形成用ビーズ180が突出形成されるが、この際、乱流形成用ビーズ180の高さは、例えば、望ましくは、流路160高さの半分程度、更に望ましくは、流路160高さの2/3程度の高さで形成されることができる。
ビーズ180が陷沒形成される場合も、これに準じて判断することが望ましい。
また、乱流形成用ビーズ180の幅又は長さは、流路160の幅と同一幅で形成されることができる。しかし、乱流形成用ビーズ180の幅、つまり、単位長さを基準に、単位長さ方向に左右に広くなる幅は、このように流路160の幅の大きさに限定されるものではなく、流路160の幅の大きさよりも小さく形成される場合、更なる乱流形成効果、つまり、撹拌効果を発生させる大きさであれば十分である。
図3において、投入口130は、図面の下端に示されており、これは、最終的にイオン交換樹脂膜(420、図4参照)を挟んで結合されるとき、基板120の裏面から電解採取溶液を投入することを想定したためである。
それで、投入口130の形状は、適切な他の形状に変更されることもできる。
図3において、乱流形成用ビーズ180を3つ示していることは、上述したように、単位長さに対して、乱流形成用ビーズ180が3箇所形成されていることを意味する。
すなわち、図2では、乱流形成用ビーズ180が単位長さの流路160に対して、流路160中の1箇所にのみ形成されている'弓'形であると、図3では、乱流形成用ビーズ180が単位長さに対して3箇所形成されていることを意味する。
図4は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置の概略的な断面図である。
図4から、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置400は、中に形成したイオン交換樹脂膜420を挟んで、右側基板120‐1と左側基板120‐2とが密着して設けられている。
上記右側基板120‐1と左側基板120‐2とはそれぞれ、カソードセルとアノードセルである。以下の説明では、カソードセルは、カソード又は基板と、アノードセルは、アノード又は基板と記載されることもあるが、本質的にこれらは同じ対象を示している。
アノードセルとしての右側基板120‐1は、グラファイトで形成されることが最も望ましく、カソードセルとしての左側基板120‐2も、グラファイトで形成されることが最も望ましい。
このように、右側基板120‐1と左側基板120‐2とをグラファイトで形成する理由については、前述した通りである。
図4に示している流路160の断面形状は、長方形状である。しかし、上述したように、流路160の断面形状は、このような長方形状に限られるものではない。
一方、図4において、右側基板120‐1と左側基板120‐2とは、上述したように、同一の形状で形成されることが望ましい。
また、上記右側基板120‐1及び左側基板120‐2に形成された流路160はいずれも、互いに整合して配置されることが望ましい。
ここで、整合して配置されるとは、上記右側基板120‐1と左側基板120‐2とに形成されたそれぞれの流路160が、上記イオン交換膜420を挟んで、両側流路160の開口部が互いに一致することを意味する。
すなわち、上記右側基板120‐1に形成された流路160が3つの場合、左側基板120‐2に形成される流路160も3つ形成され、これと同時に、これらの各流路160の開口部が反対側の流路160の開口部と互いに一致するように、右側基板120‐1と左側基板120‐2とが配置されて形成されることを示す。
以下、図4で起きる化学反応について、Cuイオン(Cu2+)を例として、説明することにする。
図4において、矢印は、本発明による希薄に溶解されている金属の電解採取の一例を示すために、電解採取溶液の一例として、Cu2+含有溶液がカソードセル内に投入されることを意味する。ここでの投入は、例えば、図1の電解採取溶液を投入するための投入口130を通じることが望ましい。
ここで、上記Cu2+含有溶液には、硫酸(HSO)が添加されていることが望ましい。この硫酸は、電解採取溶液の電解還元反応を促進させる効果がある。硫酸の存在については、図8を参照して後述することにする。
上述の矢印におけるCu2+含有溶液の投入と共に、矢印においては、対反応を起こすことができる例えば、Fe2+含有溶液が投入されることが望ましい。
ここで、対反応とは、Cu2+含有溶液からCuを析出することにおいて、最も適切な反応を起こす反応をいう。本発明では、前記対反応用として、Fe2+含有溶液が投入されている。
上述のFe2+含有溶液は、矢印から矢印までの移動中に、Cu2+含有溶液との対反応を起こす。
その結果、Fe2+含有溶液は、Fe3+含有溶液に酸化することになる。この際、Fe2+がFe3+に酸化しながら、左側基板120‐2で生成される電子(e)は、右側基板120‐1と電気的に連結された電流フロー(図示せず)に乗って、右側基板120‐1に移動し、この電子(e)によって、矢印方向に投入された電解採取溶液内のCu2+がCuに析出される。
上記投入されたCu2+含有溶液がカソードセル内で流路160に沿って流動するに際して、Cu2+イオンは電子を得てCuに析出されるが、これは、図面において、符号440と示している。
図面において、Cu析出物440は、流路160の右側壁に形成されているように示されているが、実際では、流路160の3面に全て形成されている。このように析出物440が流路160の3面に形成される具体的なメカニズムについては、図5を参照して説明することにする。
但し、ここでは、上記析出物440が流路160の3面に析出されることは、上記電解採取溶液がレイノルズ数基準に、2000以上に流動して乱流を生成するからであると理解するのが望ましい。
参照として、図4において上記電解採取溶液としてのCu2+含有溶液は、地面に対して垂直の方向、つまり、地面をx軸であると仮定すると、この地面に対して垂直のy軸方向に流動している。
また、図4において、Cuに一部析出した残りのCu2+枯渇溶液は、で示している排出口140に排出されることができる。
図4において、からまでCu2+含有溶液が移動する間、多くのCu2+がCuに析出される。これは、右側基板120‐1と左側基板120‐2との間に形成したイオン交換樹脂膜420に電流が流れ、この電流によって、Cu2+含有溶液が移動する間、多くのCu2+がCuに析出されることを助けるためである。
この際、硫酸(HSO)は、解離してSO 2−イオンとして存在することになり、このSO 2−イオンによって、Cu2+のCuへの析出が促進される。
右側基板120‐1における前記Cu2+のCuへの析出と共に、左側基板120‐2では、この対反応としてのFe2+のFe3+への酸化が発生するということについては、前述した通りである。
また、図5は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置の流路におけるレイノルズ数による流動の差をシミュレーションで示す図であって、図5aは、レイノルズ数が69.44の場合を示しており、図5bは、レイノルズ数が6944の場合を示している。
より具体的に、図5aは、流量10cc/hr、レイノルズ数(Re数)69.44の場合であり、図5bは、流量1000cc/hr、レイノルズ数(Re数)6944の場合である。
図5a及び図5bは、特に、流路160内に電解採取溶液を投入して流動させる場合、それぞれのRe数による物質移動現象を、速度等級(velocity magnitude)(図面左側の色相柱参照)により彩色した速度ベクトル(velocity vector)に表現した図である。
図5aから、Re数が低い場合、多くの物質移動が流路160の中間部分、すなわち、黄色で彩色された部分でのみ、特に、y軸方向にのみ発生し、x−z軸ではほとんど発生していないことが分かる。
これとは異なり、図5bから、Re数が高い場合、物質移動がx−z軸においても活発に発生していることが分かる。これは、投入口130に投入された電解採取溶液が渦巻を形成し、この渦巻がy軸方向に続けて進行しながら流動するからであると推定される。
上記渦巻は、事実上、乱流(turbulent flow)状態で発生するものであり、このような乱流による渦巻現象は、Re数2000以上で有効に発生することと知られている。
ここで、'レイノルズ数'について説明することにする。
レイノルズ数(Reynolds number)は、“慣性による力”と“粘性による力(viscous force)"の比で定義される流体力学分野の用語である。具体的に、Re数は、(溶液密度*流速*縦高さ)/(溶液粘度)の簡単な公式によって定義される。
上記レイノルズ数は、流体力学、特に、流体動力学で最も重要な無次元数の1つとして活用される。レイノルズ数が類似する場合、2つの流動は、流体動力学的に類似する流動を示すことと知られている。
レイノルズ数が低い場合、粘性力が支配的な流動の層流が発生し、平坦で且つ一定の流動を特徴としている。一方、レイノルズ数が高い場合、慣性力が支配的な流動の乱流が発生し、任意の渦流などを含む変動(perturbation)が厳しい流動を特徴としている。
一方、レイノルズ数は、Osborne Reynolds(1842−1912)の名を基に名づけられたものである。
上述したように、本発明では、レイノルズ数が2000以上の場合について注目している。
このようにレイノルズ数が2000以上の場合、流動中の物質、例えば、電解採取溶液が電極面との接触、具体的には、y軸だけでなく、x−z軸との接触が発生することになるので、前記流動中の物質が電極面と接触することになる確率が高くなって、反応効率もこれに相応して高くなると期待する。
一方、上記Re数が2000未満の場合、流動中の物質、例えば、電解採取溶液が電極面と接触はするが、殆どy軸のみと接触することになるので、上記流動中の物質が電極面と接触するようになる確率が低くなり、それで、反応効率もこれに相応して低いと予測することができる。
以下、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置における各種の電解条件による様々な実施例について、Cuの電解採取を一つの代表例として説明する。
ここで、Cu2+含有溶液について、Cuの濃度は、1000ppm、硫酸(HSO)の濃度は、0.01〜2Mに調節している。
また、流路断面としては、長方形状を採択している。
また、流路の断面積は、0.2cm、全体流路の長さは、200cmに固定するように設定している。
また、Cu2+イオンを100%還元して、Cuを電解採取することに必要な理論電荷量は、ファラデー(Faraday)法則で計算することができ、本発明では、上記理論電荷量の90%、100%、150%、及び200%を与えるように設定した。
一方、上述した各種の基礎条件を基に、(1)レイノルズ数(図6参照)、(2)電荷量(図7参照)、(3)硫酸濃度(図8参照)、(4)Cu以外の他のレアメタル(図9参照)などの様々な他の条件について実験しており、以下では、これらの各種電解条件による回収率(%)について説明する。
まず、レイノルズ数による回収率について説明する。
図6は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置におけるレイノルズ数の変動と回収率の変動とを示すグラフである。
以下、回収率はいずれも、電解採取後に得られた残留溶液内の希薄に溶解されている金属の量をICP−ES(Inductively Coupled
Plasma − Atomic Emission Spectrometer)装備を使用測定して得た値である。
図6において、各種の変因制御条件は、下記の表1の通りである。
Figure 0005871338
表1の変因条件により、Cuの電解採取を実験した結果、図6に示しているように、レイノルズ数2000未満、例えば、1500程度では、回収率(%)が60%程度を上回る水準であるが、レイノルズ数2000以上では、回収率(%)が95%に達して、事実上、100%に近い回収率(%)を示している。
一方、レイノルズ数が3000に達しても、回収率(%)には大差がないことが分かるところ、本発明の好適な実施例によるレイノルズ数は、少なくとも2000以上であることが望ましいことが分かる。
次に、電荷量による回収率について説明する。
図7は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置における電荷量(印加電荷量/理論電荷量に換算した値)と回収率の変動とを示すグラフである。
図7において、各種の変因制御条件は、下記の表2の通りである。
Figure 0005871338
表2の変因条件により、Cuの電解採取を実験した結果、図7に示しているように、印加電荷量/理論電荷量に換算した値の割合、つまり、電荷量が110%に逹する前には、95%以下の回収率(%)を示しているが、電荷量が110%以上の場合は、全ての場合に、95%以上の高い電解採取回収率(%)を示していることが分かる。したがって、供給される電荷量は、110%を超える場合は、回収率(%)と相関関係がないことを分かる。
次に、硫酸濃度による回収率について、説明する。
図8は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取装置におけるCu2+含有溶液の硫酸濃度と回収率の変動とを示すグラフである。
図8において、各種の変因制御条件は、下記の表3の通りである。
Figure 0005871338
表3の変因条件により、Cuの電解採取を実験した結果、図8に示しているように、硫酸の濃度と回収率(%)の関係において、回収率(%)は、硫酸の濃度とは相関関係が弱いことが分かる。
それで、Cu2+含有溶液の硫酸濃度(mole)は、特定する必要はないが、1M程度が望ましく、硫酸の濃度は、2M程度が上限線であると考えると望ましい。
最後に、Cuの他に、Au、Pt、及びAgの回収率について説明する。
図9は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されているAu、Pt、及びAgの電解採取装置における電解採取金属の種類による回収率の変動を示すグラグである。
図9において、各種の変因制御条件は、下記の表4の通りである。
Figure 0005871338
表4の変因条件により、Au、Pt、及びAgが含まれた金属イオン溶液を使って電解採取を実験した結果、図9に示しているように、Auの場合、殆ど95%水準の回収率(%)を示しており、Ptの場合、殆ど90%水準の回収率(%)を示しており、Agの場合、96%を上回る水準の回収率(%)を示していることが分かる。
それで、本発明の好適な実施例による電解採取装置は、Cuだけでなく、他の様々な稀薄に溶解されている金属の電解採取にも、適用が可能であることが分かる。
次に、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取方法について説明する。
図10は、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取方法を概略的に示すシーケンス図である。
図10から、本発明の好適な実施例による希薄に溶解されている金属の電解採取方法は、基板準備段階(S10)と、前記基板に流路を形成する段階(S20)と、前記基板をイオン交換樹脂膜の両側に取り付ける段階(S30)と、電解採取溶液を投入し、電解採取を行う段階(S40)とを含むことができる。
<基板準備段階>
基板準備段階(S10)は、図1を参照して説明したように、望ましくは、グラファイト材質からなる基板120を準備する段階である。
ここで、基板は、カソードセル用の基板120‐1及びアノードセル用の基板120‐2の2つを準備しなければならないというは、先に説明している。
<基板に流路を形成する段階>
次に、基板に流路を形成する段階(S20)は、図1乃至図3を参照して説明したように、上記基板120‐1、120‐2に、特定形状の流路160を形成する段階である。
ここで、流路160に対する各種の条件については上述したことと同様であるので、更なる説明は省略するが、上記流路160には、各単位長さ毎に少なくても1つの乱流形成用ビーズ(bead)180が形成されなければならない。
<基板をイオン交換樹脂膜の両側に取り付ける段階>
基板をイオン交換樹脂膜の両側に取り付ける段階(S30)は、イオン交換樹脂膜(420、図4参照)を挟んで、両方にカソードセル用の基板120‐1、及びアノードセル用の基板120‐2を取り付ける段階である。
ここで、イオン交換樹脂膜420は、基板120‐1又は120‐2に投入される溶液の電気的な性質により、陰イオン交換樹脂膜になることも、逆に、陽イオン交換樹脂膜になることもできる。
本発明では、電解採取溶液として、Cu2+含有溶液を使用しているので、上記イオン交換樹脂膜420として、陰イオン交換樹脂膜を使用している。
しかし、例えば、PtやAuの場合でのように、通常、陰イオン状態で存在する元素の場合であると、上記イオン交換樹脂膜420は、陽イオン交換樹脂膜になるべきである。
<電解採取溶液を投入し、電解採取を行う段階>
最後に、電解採取溶液を投入し、電解採取を行う段階(S40)は、上述したように、投入口130にCu2+含有溶液を投入し、電解採取を行う段階である。
ここで、図5に示しているように、Cu2+含有溶液は、基板120‐1内に形成した乱流形成用ビーズ180によって、レイノルズ数2000以上に流動され、流路160の3面方向にかけてCuが還元されて、Cu析出物440に析出される。
上記レイノルズ数2000以上は、上記投入口130に投入されるCu2+含有溶液を高速に吹き込むことによっても達成されるが、流路160の内側表面に形成した乱流形成用ビーズ180によっても達成される。
グラファイト材質がCuとはほとんど反応しないため、基板120‐1の3面に浸出して固着されたCu析出物440は、イオン交換樹脂膜(420、図4)から基板120‐1を除去した後、上記基板120‐1から簡単に、Cu析出物440を分離することができる。
以上のように限定した実施例及び図面により本発明を説明したが、本発明は、前記の実施例に限られるものではなく、本発明の技術の分野に属する通常の技術者であれば、以上の記載から様々な修正及び変形が可能である。従って、本発明の思想は、以上の記載に含まれている実施例に限って決められてはいけなく、後述する特許請求の範囲によってのみ把握されるべきであり、特許請求の範囲と均等又は等価的な変形はいずれも、本発明の思想の範疇に属するといえる。
1 : 排出口
2 : 気体放出口
3 : 排出口
4 : 投入口
5 : ガラス剤反応器
6 : カソード(cathode)
7 : アノード(anode)
8 : 多孔性グラファイト
100、200、300 : 流路型セル
120 : 基板
120-1 : 右側基板
120-2 : 左側基板
130 : 投入口
140 : 排出口
160 : 流路(又は、チャンネル)
180 : 乱流形成用ビーズ
400 : 希薄に溶解されている金属の電解採取装置
420 : イオン交換樹脂膜
440 : Cu析出物
S10 : 基板準備段階
S20 : 基板に流路を形成する段階
S30 : 基板をイオン交換樹脂膜の両側に取り付ける段階
S40 : 電解採取溶液を投入し、電解採取を行う段階

Claims (10)

  1. 投入口と排出口とを有する流路が形成され、前記流路の内側表面に乱流形成用ビーズが1以上形成されているカソードセルと、
    投入口と排出口とを有する流路が形成され、前記流路の内側表面に乱流形成用ビーズが1以上形成されているアノードセルと、
    前記カソードセルと前記アノードセルとの間で、これらと密着して形成されるイオン交換樹脂膜と、
    を備えてなることを特徴とする流路型セルを用いた電解採取溶液に含まれる略500〜1000ppmの濃度のCu、Ag、Au、Ptを回収する電解採取装置。
  2. 前記カソードセル及び前記アノードセルは、グラファイトで形成されることを特徴とする請求項1に記載の電解採取装置
  3. 前記カソードセル及び前記アノードセルに形成された流路は、前記イオン交換樹脂膜の両側において互いに流路が整合されていることを特徴とする請求項1に記載の電解採取装置
  4. 前記流路の断面形状は、長方形状、u字状、又はv字状のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の電解採取装置
  5. 前記投入口に投入される電解採取溶液は、レイノルズ数2000以上に流動されることを特徴とする請求項1に記載の電解採取装置
  6. 前記カソードセルに形成された投入口には、Cu、Ag、Au、Ptイオン含有溶液が投入され、
    前記アノードセルに形成された投入口には、前記カソードセルに投入されるCu、Ag、Au、Ptイオン含有溶液と対反応を起こすことができるイオン含有溶液が投入されることを特徴とする請求項1に記載の電解採取装置
  7. 前記乱流形成用ビーズは、前記流路の単位長さに対して、1以上設けられることを特徴とする請求項4に記載の電解採取装置
  8. カソードセル及びアノードセル用基板を準備する段階と、
    前記準備した基板に、投入口と排出口とを有する流路を形成すると共に、前記流路の内側表面に乱流形成用ビーズを1以上形成する段階と、
    前記流路が形成された基板を、イオン交換樹脂膜の両側に密着して固定する段階と、
    を含み、前記基板に形成された前記投入口を介して、電解採取溶液を投入した後、電解採取を行うことを特徴とする流路型セルを用いた電解採取溶液に含まれる略500〜1000ppmの濃度のCu、Ag、Au、Ptを回収する電解採取方法。
  9. 前記基板は、グラファイトで形成されることを特徴とする請求項8に記載の電解採取方法
  10. 前記投入口に投入される電解採取溶液は、レイノルズ数2000以上に流動されることを特徴とする請求項8に記載の電解採取方法
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