次に、本発明の一実施形態に係る継手用カバーについて、図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る継手用カバー1は、図1に示すように、満水試験時に、満水試験用治具130が設置された状態の配管用継手100に取り付けて使用される蓋部材である。なお、本実施形態に係る継手用カバー1と共に用いられる配管用継手及び満水試験用治具は、上述した従来の配管用継手100及び満水試験用治具130を用いることができるため、同一符号を付することにより、既に説明した内容と重複する内容については詳細な説明を省略する。
配管用継手100は、図1及び図4〜図7に示すように、上下方向に沿って配設された上側縦配管102と下側縦配管104との間に設置される配管用の継手部材である。この配管用継手100は、上側縦配管102と連通可能な上側開口部110と、下側縦配管104と連通可能な下側開口部112と、上側開口部110及び下側開口部112を閉塞するための満水試験用治具130を内部に挿入可能な挿入開口部114とを有する略円筒形状に形成されている。上側開口部110は、上側縦配管102の下端部が挿入可能に構成されており、下側開口部112は、下側縦配管104の上端部が挿入可能に構成されている。
配管用継手100の内壁には、図4に示すように、径方向内側に突出するフランジ状の上部取付座117aが挿入開口部114の上端部の高さ位置に形成され、径方向内側に突出するフランジ状の下部取付座117bが挿入開口部114の下端部の高さ位置に形成されている。これら上部取付座117a及び下部取付座117bの突出縁部の口径は、上側縦配管102及び下側縦配管104の内径と略同径となるよう構成されている。この下部取付座117bは、配管用継手100の内部に満水試験用治具130を載置させるための座部となり、上部取付座117aは、満水試験用治具130の閉塞蓋部132が圧接される座部となるよう構成されている。すなわち、これら上部取付座117aと下部取付座117bとの間の空間が、満水試験用治具130が収容される治具収容空間116となるよう構成されている。
配管用継手100の挿入開口部114の周縁部118には、図1に示すように、蓋体120を固定ボルト30で固定するためのボルト孔119a〜119dが、周縁部118の四隅、すなわち、右上隅部、右下隅部、左上隅部及び左下隅部にそれぞれ形成されている。
満水試験用治具130は、図4及び図7に示すように、配管用継手100の上部取付座117aに圧接されることにより上側開口部110を液密に閉塞可能な閉塞蓋部132と、配管用継手100の下部取付座117b上に載置可能な土台部134と、これら閉塞蓋部132及び土台部134を連結する連結部136とを備えている。
閉塞蓋部132及び土台部134は、それぞれ、上部取付座117a及び下部取付座117bの突出縁部の口径よりも大きい外径を有する金属製の円盤部材から形成されている。閉塞蓋部132の上面には、液密性を確保するためのシール部材132aが配されている。また、これら閉塞蓋部132及び土台部134は、配管用継手100の治具収容空間116に収容された状態において、連結部136により互いに離間する方向に移動することにより、上部取付座117a及び下部取付座117bにそれぞれ圧接され、これにより、上側開口部110を液密に閉塞すると共に、下側開口部112を液密又は非液密に閉塞するよう構成されている。
連結部136は、ナット部137をレンチ等の工具を用いて回動させることにより、その軸方向長さが変化するよう構成されており、これにより、閉塞蓋部132及び土台部134を互いに離間する方向又は接近する方向に移動させることが可能に構成されている。また、連結部136には、上側縦配管102内の水を排出可能な排水口(排水用ニップル)138が形成され、閉塞蓋部132及び連結部136には、上側縦配管102と排水口138とを連通可能な流路(排水路)が形成され、連結部136には、該流路を開閉させるための弁体(図示せず)を操作するための開閉レバー140が設けられている。
継手用カバー1は、図1〜図3に示すように、配管用継手100の挿入開口部114を閉塞可能に構成されたカバー本体10と、カバー本体10に設けられ、カバー本体10を貫通する流路(図示せず)を有する排水部20と、カバー本体10の四隅を配管用継手100の挿入開口部114の周縁部118に固定するための複数の固定ボルト(固定部材)30とを備えている。この継手用カバー1は、図4に示すように、満水試験用治具130によって上側開口部110及び下側開口部112が閉塞された状態の配管用継手100の挿入開口部114に、挿入開口部114の周囲に配されるシール部材11を介して取り付けられることにより、配管用継手100の内部を密閉可能に構成されている。
以下、継手用カバー1の具体的な構成について、説明する。なお、固定ボルト30は、ねじ切りされたシャフト部と、シャフト部よりも径が大きいヘッド部とを有する種々の公知のボルト部材を用いることができるため、その説明を省略する。また、シール部材11は、配管用継手100の挿入開口部114の周縁部118と継手用カバー1との間の液密性を確保可能なものであれば、種々の公知のシール部材を用いることができるため、その説明を省略する。
カバー本体10は、図2及び図3に示すように、透明な板部材からなる透明板部12と、透明板部12の上端縁部近傍に設けられた上側補強板部14と、透明板部12の下端縁部近傍に設けられた下側補強板部16とを備えている。
透明板部12は、アクリル製板部材等の全体が透明な板部材又はこの板部材を複数枚積層させた透明な積層板部材であり、図2に示すように、矩形状に形成されている。透明板部12は、配管用継手100の挿入開口部114を閉塞可能な大きさを有している。ここで、配管用継手100は、例えば管路径が100mm程度のものや、125mm程度のもの及び150mm程度のもの等の様々な種類があり、配管用継手100の種類に応じて、挿入開口部114の水平方向の幅寸法が異なっている。本実施形態に係る透明板部12は、想定される最も大きい配管用継手100の挿入開口部114、例えば、管路径が150mm程度の配管用継手100の挿入開口部114を閉塞可能な大きさを有している。なお、本実施形態において、透明とは、透明板部12を介して配管用継手100の内部を視認可能な程度の透明性を有することをいうものとする。
上側補強板部14及び下側補強板部16は、図2及び図3に示すように、それぞれ、長尺な金属板部材の長手方向の両側縁部14b,14c,16b,16cを互いに平行となるよう直角に屈曲させた形状、すなわち、長手方向と直交する方向の断面がコ字状となるよう形成された金属製の板部材から構成されている。これら上側補強板部14及び下側補強板部16は、図2に示すように、透明板部12の幅方向(図2中、左右方向)の長さと概ね同じ長さ又はやや短い長さを有している。これら上側補強板部14及び下側補強板部16は、その長手方向が透明板部12の長手方向と並行となり、かつ、その長手方向の両端部が透明板部12の長手方向の両端部と一致するよう、そのベース部14a,16aの背面(両側縁部14b,14c,16b,16cが折り曲げられる方向とは逆方向側の面)が透明板部12の表面(配管用継手100に取り付けられた際に正面を向く側の面)上に取り付けられている。これら上側補強板部14及び下側補強板部16は、漏水時の水圧によって透明板部12が破損又は変形しないよう補強する機能を有している。
カバー本体10は、図1及び図2に示すように、長手方向の一方側に、配管用継手100の種類に依らず共通して使用される右側貫通孔17が上下一対形成されており、長手方向の他方側に、配管用継手100の種類に応じて適宜選択して使用される複数の左側貫通孔18a〜18cが上下一対形成されている。これら右側貫通孔17及び左側貫通孔18a〜18cは、固定ボルト30のシャフト部が挿通可能で、かつ、固定ボルト30のヘッド部の通過を規制可能な径を有する貫通孔であり、透明板部12の上側補強板部14が設けられた領域と、透明板部12の下側補強板部16が設けられた領域との双方にそれぞれ形成されている。
透明板部12の上側補強板部14が設けられた領域に形成された右側貫通孔17は、配管用継手100の挿入開口部114の周縁部118の右上隅部に形成されたボルト孔119aに対応し、透明板部12の下側補強板部16が設けられた領域に形成された右側貫通孔17は、配管用継手100の挿入開口部114の周縁部118の右下隅部に形成されたボルト孔119bに対応するものである。これら上下一対の右側貫通孔17は、配管用継手100の種類に依らず、継手用カバー1を配管用継手100の挿入開口部114に固定ボルト30を用いて取り付ける際に、使用される貫通孔(ボルト孔)である。
左側貫通孔18a〜18cは、カバー本体10の長手方向に沿って所定の間隔をおいて整列された複数の貫通孔、本実施形態では、第1左側貫通孔18a,第2左側貫通孔18b及び第3左側貫通孔18cから構成されている。これら複数の左側貫通孔18a〜18cは、継手用カバー1を配管用継手100の挿入開口部114に固定ボルト30を用いて取り付ける際に、配管用継手100の種類に応じて、当該種類の挿入開口部114の大きさに適合する貫通孔(第1左側貫通孔18a,第2左側貫通孔18b及び第3左側貫通孔18cのいずれか1つ)が選択され、使用されるものである。これら左側貫通孔18a〜18cの数は、想定される挿入開口部114の水平方向の幅寸法の種類数と同数とすることができる。
第1左側貫通孔18aは、左側貫通孔18a〜18cのうち、右側貫通孔17に対して長手方向に最も近い位置に形成された貫通孔である。すなわち、本実施形態における第1左側貫通孔18aは、継手用カバー1の取付対象となる配管用継手100が、想定される挿入開口部114の水平方向の幅寸法の種類のうち、最も小さい幅寸法を有するもの(例えば、管路径が100mm程度の配管用継手100)である場合に使用される貫通孔(ボルト孔)である。具体的には、透明板部12の上側補強板部14が設けられた領域に形成された第1左側貫通孔18aは、比較的小型の配管用継手100における、挿入開口部114の周縁部118の左上隅部に形成されたボルト孔119cに対応し、透明板部12の下側補強板部16が設けられた領域に形成された第1左側貫通孔18aは、比較的小型の配管用継手100における、挿入開口部114の周縁部118の左下隅部に形成されたボルト孔119dに対応するものである。
第2左側貫通孔18bは、第1左側貫通孔18aよりも右側貫通孔17に対して長手方向に離れた位置に形成された貫通孔である。すなわち、本実施形態における第2左側貫通孔18bは、継手用カバー1の取付対象となる配管用継手100が、想定される挿入開口部114の水平方向の幅寸法の種類のうち、中程度の幅寸法を有するもの(例えば、管路径が125mm程度の配管用継手100)である場合に使用される貫通孔(ボルト孔)である。具体的には、透明板部12の上側補強板部14が設けられた領域に形成された第2左側貫通孔18bは、比較的中型の配管用継手100における、挿入開口部114の周縁部118の左上隅部に形成されたボルト孔119cに対応し、透明板部12の下側補強板部16が設けられた領域に形成された第2左側貫通孔18bは、比較的中型の配管用継手100における、挿入開口部114の周縁部118の左下隅部に形成されたボルト孔119dに対応するものである。
第3左側貫通孔18cは、左側貫通孔18a〜18cのうち、右側貫通孔17に対して長手方向に最も離れた位置に形成された貫通孔である。すなわち、本実施形態における第3左側貫通孔18cは、継手用カバー1の取付対象となる配管用継手100が、想定される挿入開口部114の水平方向の幅寸法の種類のうち、最も大きい幅寸法を有するもの(例えば、管路径が150mm程度の配管用継手100)である場合に使用される貫通孔(ボルト孔)である。具体的には、透明板部12の上側補強板部14が設けられた領域に形成された第3左側貫通孔18cは、比較的大型の配管用継手100における、挿入開口部114の周縁部118の左上隅部に形成されたボルト孔119cに対応し、透明板部12の下側補強板部16が設けられた領域に形成された第3左側貫通孔18cは、比較的大型の配管用継手100における、挿入開口部114の周縁部118の左下隅部に形成されたボルト孔119dに対応するものである。
排水部20は、図1〜図3に示すように、透明板部12を貫通して設けられた排出管部22と、排出管部22に埋設された弁体(図示せず)と、弁体の開放状態及び遮断状態を切り替えるための開閉レバー24とを備え、満水試験用治具130から配管用継手100の内部(治具収容空間116)に漏れ出た水を外部に排出可能に構成されている。なお、弁体及び開閉レバー24は、排出管部22の流路の開放状態と遮断状態とを切り替え可能な適宜の切替手段であれば良く、種々の公知のものを用いることができるため、その説明を省略する。
排出管部22は、略円筒状に形成された金属製の筒部材であり、一端が透明板部12の正面側(図3中、右側)に突出し、他端が透明板部12の背面側(図3中、左側)に突出するように透明板部12を貫通して配され、その長手方向の中途部が透明板部12に固定されている。すなわち、排出管部22は、継手用カバー1が配管用継手100に取り付けられた際に、配管用継手100の内部(治具収容空間116)と外部とを連通可能な流路を形成するよう構成されている。透明板部12の正面側に延在する流路には、弁体が設けられており、該弁体を開閉レバー24により操作することにより、流路の開放状態と遮断状態とが切り替えられるよう構成されている。この排出管部22は、透明板部12の上下方向の中間部よりも下方側の位置、好ましくは、継手用カバー1が配管用継手100に取り付けられた際に、挿入開口部114の下端部の高さ位置よりもやや上方に位置することとなる位置に、設けられている。
以上の構成を備える継手用カバー1は、上下方向に沿って配設される上側縦配管102と下側縦配管104との間に設置される配管用継手100の内部に満水試験用治具130が挿入され、満水試験用治具130によって上側縦配管102から下側縦配管104に至る管路が閉塞された状態で実施される満水試験において、配管用継手100の挿入開口部114に取り付けて使用されるものである。
具体的には、本実施形態に係る継手用カバー1を用いて行う満水試験方法は、まず、上側縦配管102と下側縦配管104との間に設置された配管用継手100から蓋体120を取り外した状態で、配管用継手100内に満水試験用治具130を設置し、閉塞蓋部132によって配管用継手100の上側開口部110を閉塞すると共に、土台部134によって配管用継手100の下側開口部112を閉塞する。
次に、この状態の配管用継手100に、挿入開口部114が閉塞されるように、固定ボルト30によってシール部材11を介して継手用カバー1を取り付ける。この際、取付対象となる配管用継手100の挿入開口部114の大きさに応じて、第1〜第3左側貫通孔18a〜18cのうちから1つを選択し、固定ボルト30を取り付ける。また、排出管部22の流路が遮断状態となるよう、排水部20の開閉レバー24を操作する。このように、満水試験用治具130の閉塞蓋部132及び土台部134によって配管用継手100の上側開口部110及び下側開口部112が閉塞され、継手用カバー1によって配管用継手100の挿入開口部114が閉塞されることにより、配管用継手100の内部空間(治具収容空間116)が密閉される。
次に、上側縦配管102内を水で満たし、上側縦配管102内の水の水位を確認する。また、所定時間経過後に、上側縦配管102内の水の水位を再度確認する。そして、これら確認した2度の水位に変化がなければ、漏水がないと判断し、水位に変化があれば、漏水があると判断する。
また、この満水試験の過程において、図4に示すように、閉塞蓋部132と上側開口部110との間の密着不良部位から漏水が発生し、配管用継手100の内部(密閉された治具収容空間116)に水が溜まった場合には、配管用継手100の内部からの排水処理を実施する。具体的には、排出管部22に排水用のホース142を接続し、該排水用のホース142の排出口を安全に排水可能な箇所に導いた上で、排水部20の開閉レバー24を操作し、排出管部22の流路を開放状態にする。これにより、配管用継手100の内部に溜まった水を安全に排水することができる。
満水試験が終了した後は、図7に示すように、配管用継手100から継手用カバー1を取り外し、満水試験用治具130の排水口(排水用ニップル)に排水用のホース142を接続し、該排水用のホース142の排出口を安全に排水可能な箇所に導いた上で、満水試験用治具130の開閉レバー140を操作し、満水試験用治具130の流路を開放状態にする。これにより、上側縦配管102内に溜まった水を安全に排水することができる。
そして、満水試験及び排水処理が終了した後は、配管用継手100から満水試験用治具130を取り外した状態で、配管用継手100に蓋体120を取り付ける。これにより、配管用継手100の挿入開口部114が閉塞されると共に、配管用継手100内に上側縦配管102から下側縦配管104に連通する管路が形成されるため、配管用継手100は、配管の一部として機能する。
以上のように、本実施形態に係る継手用カバー1は、上側縦配管102と連通可能な上側開口部110、下側縦配管104と連通可能な下側開口部112、並びに、少なくとも上側開口部110を閉塞するための満水試験用治具130を内部に挿入可能な挿入開口部114を有する配管用継手100に取り付けられる継手用カバー1であって、満水試験用治具130が内部に収容され、この満水試験用治具130によって少なくとも上側開口部110が閉塞された状態の配管用継手110の挿入開口部114に取り付けられることにより、挿入開口部114を閉塞可能に構成されている。
このような継手用カバー1によれば、仮に、満水試験用治具130の閉塞蓋部132と配管用継手100の上側開口部110との間に隙間等の密着不良部位が生じ、この密着不良部位から漏水が発生したとしても、配管用継手100の挿入開口部114が継手用カバー1によって液密に閉塞されているため、配管用継手100からの漏水を防止することができる。これにより、設置現場が水浸しとなることがないため、設置現場の財産等に損害を与えることを防止することができる。また、継手用カバー1を配管用継手100の挿入開口部114に取り付けるという簡単な作業のみによって、配管用継手100からの漏水を防止することができるため、作業時間、作業労力及び経費を抑えることができる。さらに、本実施形態に係る継手用カバー1は、既存の配管用継手100に取り付け可能であることから、既存の設備を変更することなく、本実施形態に係る継手用カバー1を追加するのみで漏水防止効果を発揮することが可能であるため、導入コストを抑えることができる。
また、本実施形態に係る継手用カバー1は、挿入開口部114を閉塞可能に構成されたカバー本体10を備え、このカバー本体10の少なくとも一部(本実施形態では、上側補強板部14及び下側補強板部16を除くカバー本体10の略全体)が、配管用継手100の挿入開口部114に取り付けられた状態で配管用継手100の内部を視認可能な透明性を有している。このため、本実施形態に係る継手用カバー1によれば、カバー本体10の少なくとも一部を透明にするという簡単な構成のみによって、配管用継手100内の漏水状況を視覚的に確認することが可能となる。
さらに、本実施形態に係る継手用カバー1は、カバー本体10に設けられ、カバー本体10を貫通する流路を有する排水部20をさらに備え、この排水部20は、流路の開放状態と遮断状態とを切替可能な切替手段(弁体及び開閉レバー24)を有している。このため、本実施形態に係る継手用カバー1によれば、密着不良部位からの漏水によって配管用継手100の内部に水が溜まった場合であっても、配管用継手100の内部の水を排水部20を介して排出することが可能となる。
さらに、本実施形態に係る継手用カバー1は、カバー本体10が、固定ボルト(固定部材)30の取り付け位置を配管用継手100の挿入開口部114の大きさに応じて調整可能に構成されているため、様々な種類の配管用継手100に対応することができる。
本発明に係る継手用カバー及び満水試験方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改変を行なうことができる。
例えば、上述の実施形態では、継手用カバー1が、カバー本体10、排水部20及び複数の固定ボルト30を備えるものとして説明したが、これに限定されず、満水試験用治具130が内部に収容され、この満水試験用治具130によって上側開口部110が閉塞された状態の配管用継手100の挿入開口部114に取り付けられることにより、挿入開口部114を閉塞可能に構成されたものであれば、いかなる構成を備えるものであっても良い。
また、上述の実施形態では、カバー本体10が、全体が透明な透明板部12と、透明板部12を補強する上側補強板部14及び下側補強板部16とを備え、上側補強板部14及び下側補強板部16を除くカバー本体10の略全体が透明性を有するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カバー本体10は、金属製板部材等の透明性を有さない部材から形成され、その一部に窓部を形成することにより、配管用継手100の内部を視認可能な構成としても良い。また、例えば配管用継手100の内部における漏水を検知した際に報知する報知手段や、配管用継手100の内部の水位を検知して表示する表示手段等が設けられる場合には、カバー本体10の全体が透明性を有さない構成としても良い。なお、これら報知手段や表示手段が設けられる場合には、例えば、作業者が保持する携帯端末等に漏水発生情報を送信する送信手段をさらに備えるとしても良い。
さらに、上述の実施形態では、カバー本体10に排水部20が設けられ、この排水部20が、流路の開放状態と遮断状態とを切替可能な切替手段(弁体及び開閉レバー24)を有するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、排水部20の排出口に排水用のホース等が常時接続される場合等、安全な排水状況が確保されている場合には、切替手段が設けられない構成としても良い。また、密着不良部位から配管用継手100の内部に漏れ出た水が満水試験用治具130の土台部134を介して下側縦配管104に流出可能である場合には、カバー本体10に排水部20が設けられない構成としても良い。
またさらに、上述の実施形態では、カバー本体10に固定ボルト30を取り付けるための貫通孔を複数形成することにより、配管用継手100の挿入開口部114の大きさに応じて固定ボルト30の取り付け位置を調整可能に構成するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カバー本体10に形成される右側貫通孔及び左側貫通孔の少なくとも一方を、カバー本体10の長手方向に沿って延びる長孔状に形成することにより、配管用継手100の挿入開口部114の大きさに応じて固定ボルト30の取り付け位置を調整可能に構成するものとしても良い。
また、本発明に係る継手用カバーが取り付けられる配管用継手及び該配管用継手に用いられる満水試験用治具は、上述した配管用継手100及び満水試験用治具130に限定されるものではない。
すなわち、配管用継手は、上側縦配管102と連通可能な上側開口部110、下側縦配管104と連通可能な下側開口部112、並びに、上側開口部110を閉塞するための満水試験用治具130を内部に挿入可能な挿入開口部114を有するものであれば、いかなる構成を備えるものであっても良い。
また、満水試験用治具は、配管用継手の内部に収容され、配管用継手の内部から配管用継手の上側開口部を閉塞可能なものであれば、いかなる構成を備えるものであっても良い。例えば、上述した実施形態では、連結部136に設けられた排水口(排水用ニップル)138から排水するよう構成された満水試験用治具130を例示したが、これに限定されるものではなく、満水試験用治具は、例えば閉塞蓋部132、連結部136及び土台部134に亘って貫通する流路が形成され、該流路を介して上側縦配管102内の水を下側縦配管104に排水可能なものを用いても良い。また、上述した実施形態では、満水試験用治具130の土台部134が、金属製の円盤部材から形成され、配管用継手100の下側開口部112を閉塞可能に構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、土台部134は、土台として機能可能であれば種々の形状を採用することができ、配管用継手100の下側開口部112を閉塞するものでなくても良い。