図1は本発明による非常覚知ヘッドを備えた消火栓装置の設置状態をトンネル平面で示した説明図である。
図1において、道路22が通るトンネル12内の監視員通路が設けられた一方の側壁には、例えば50メートル間隔で消火栓装置10が設置されている。消火栓装置10は扉内にノズル付ホースを収納しており、火災時に消火栓扉を開いてノズル付のホースを引き出し、消火栓弁開放レバーを操作することで放水を行う。消火栓装置10からのノズル付ホースは、トンネル走行方向の左右25mの範囲に放水できるように引き出すことができる。
消火栓装置10には、火災時に操作して火災検出信号を出力する発信機が設けられ、発信機の近くには発信機設置場所を示す火災表示灯と、発信機の押釦操作に対する応答表示を行う応答表示灯が設けられている。消火栓装置10にポンプ設備20からの給水配管16が接続され、防災受信盤18と信号線接続している。
本実施形態にあっては、トンネル12内に設置している消火栓装置10に、トンネル10内の道路22を横切る方向に非常覚知パターンを形成して放水し、災害発生を運転者に覚知するための非常覚知ヘッド14を設けている。非常覚知ヘッド14に対応して消火栓装置10内またはその付近には制御装置11が設けられ、トンネル12内での非常設備作動時に弁装置を開駆動制御して非常覚知ヘッド14から放水させる。
ここで、制御装置11は次の場合に非常覚知ヘッド14から放水する。
(1)消火栓扉の開放を検出した場合
(2)消火栓弁の開放を検出した場合
(3)消火器扉の開放を検出した場合
(4)消火器の取り出しを検出した場合
(5)火災検知器により火災を検出した場合
(6)水噴霧設備の放水を放水開始前に知らせたい場合、
(7)発信機の釦が人により操作された場合、
このような非常設備作動を検出するため、消火栓扉検出スイッチ、消火栓弁開放検出スイッチ、消火器扉検出スイッチ、消火器取り出し検出スイッチ、水噴霧放水検出スイッチなどが必要に応じて設けられる。勿論、これ以外の場合にも必要に応じて非常覚知ヘッド14からの放水を行うことができる。
各消火栓装置10の制御装置11は信号線を介してセンター等に配置された防災受信盤18に接続されており、各スイッチの状態信号が防災受信盤18で監視され、状態変化を警報や表示を行うことができる。
防災受信盤18は、火災時に消火栓装置10の制御装置11に制御信号を送ることもでき、例えばある消火栓装置の状態変化を検出した時に他の消火栓装置10の制御装置11に制御信号を送って、状態表示や弁装置の駆動などの各種の制御を行うことができる。
図1にあっては、入口から4台目の消火栓装置10の付近で車両事故などにより火災が発生した場合を示しており、火災発生場所に近い消火栓装置10の消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出して放水した場合、例えば消火栓扉の開放検出により制御装置11が弁装置を開制御し、消火栓装置10の外部に配管接続している非常覚知ヘッド14から例えば棒状パターン15による覚知放水を行う。棒状パターン15による覚知放水の方向はトンネル10内の道路を真横に横切る方向としている。なお、破線の棒状パターン15aに示すように、斜め方向(例えば車両の進入側)前方に向けて放水してもよい。
このような非常覚知ヘッド14からの放水によりトンネル内の道路22を横切る方向に非常覚知パターンを形成し、火災発生場所に進入してくる車両の運転者に前方で異常が発生していることを覚知させ、火災発生場所の手前で確実に制動停止させることが可能となる。
即ち、火災場所に向かってくる車両の運手者は、道路を横切る棒状パターン15の放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車両側面を横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
また棒状パターン15による放水としたことで、非常覚知ヘッド14からの放水量を異常発生の覚知に最小限必要な量、例えば消火栓装置に備えるノズル付きホースによる放水量と同程度もしくはそれ以下の量に抑え、ポンプ設備20側に設けている貯水槽の貯水量に制約があっても必要な時間に亘り覚知放水ができ、かつ確実に運転者に異常を認識させることができる。
また覚知放水は、火災発生場所の消火栓装置10に設けた非常覚知ヘッド15からの放水に限定されず、その手前の区間に設けた1又は複数の消火栓装置10の非常覚知ヘッド14からも放水する連動覚知放水を行っても良く、火災発生場所に向かってくる複数台の車両に同時に異常発生を覚知させることができる。このような連動覚知放水は、例えば発信機釦の操作で火災信号を受信した防災受信盤18からの遠隔制御で行う。
図2は図1に示したトンネルに設置される消火栓装置の説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に消火栓扉を外した状態の内部構造を示している。図2(A)において、消火栓装置10は、筐体26の前面に配置した化粧板28の右側の扉開口に、消火栓扉30と保守扉32が設けており、その内部がホース収納空間及びバルブ類収納空間となっている。
消火栓扉30は下側の回動軸ピンを中心に前方に開閉する。消火栓扉30の上には、上側の回動軸ピンにより上向に開閉する保守扉32が設けられており、点検時に消火栓扉30を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。
筐体26の左側扉開口の右側には通報装置扉34が設けられ、ここに赤色表示灯36、発信機38、及び応答ランプ40を設けている。赤色表示灯36は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機38を押してスイッチボタンをオンすると、発信信号が監視室に設置された防災受信盤18に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が図1の防災受信盤18から送られて、応答ランプ40を点灯する。
通報装置扉34の左側には消火器扉42が設けられ、消火器扉42に対応した筐体の内部を消火器収納空間とし、図2(B)に示すように2本の消火器45を収納している。消火器扉42は左側を回動軸として前方に開くことができる。また、消火器扉44の下側には覗き窓44が設けられ、外部から消火器の収納状態の有無を確認できるようにしている。
本実施形態にあっては、非常覚知ノズル14からの放水のため、消火栓扉30及び/または消火器扉42に扉開を検出する検出スイッチを必要に応じて設けることになる。また消火器45の取り出し検出は、例えば消火器45を載せる部分に検出スイッチを設け、消火器の取り出しで作動するようにする。
図2(B)において、筐体右側開口部の左側にはホース収納空間が形成され、右側にバルブ類収納空間を形成している。ホース収納空間には、その周囲を囲んでホース50を押えるホースバケット46が設けられ、ホースバケット46及び筐体内壁で囲まれたホース収納空間にホース50を内巻きして収納している。ホースバケット46は、格子状のフレーム配置により扉開口の左右方向における略中央となる位置にホース取出口48を仕切り形成している。
ホースバケット46の右側には、ホース取出口48から引き出したホース50の先端に装着しているノズル52を横向きで着脱自在に保持している。
ホース収納空間の右側に配置したバルブ類収納空間には、ポンプ設備からの配管16が接続される消火栓接続口からホース接続口に至る配管系統に、給水弁54及び操作案内板の背後に定流量弁、消火栓弁、更にリリーフ弁を含むノズル放水系統と、後の説明で明らかにする非常覚知ノズルから放水するための覚知放水系統を設けている。
消火栓弁に対しては消火栓弁開閉レバー56が設けられ、これに対応して設けた操作案内板の裏側に配置された消火栓弁を開閉する。同時に消火栓弁開閉レバー56の背後に設置している弁開閉検出スイッチがオンし、これによって図1の防災受信盤18を経由してポンプ設備20にポンプ起動信号が送られ、ポンプ設備が起動される。放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー56を元の上向き位置に戻すと消火栓弁が閉じ、同時に弁開閉検出スイッチがオフとなってポンプ設備の運転停止が行われる。
また給水弁54の手前にはポンプ起動スイッチ58が配置される。給水弁54及びポンプ起動スイッチ58は消防隊が消火時に操作する機器であり、消火栓扉30を開いても保守扉32により隠されており、消火栓装置を操作しようとする一般ユーザに見せないことで、不要な混乱を起させないようにしている。
本実施形態では、消火栓弁開閉レバー56の背後に設置している弁開閉検出スイッチ及びポンプ起動スイッチ57からの信号も非常覚知ヘッドからの覚知放水を行う制御信号として使用することができる。
図3は本発明の消火栓装置に設けたノズル放水系統と覚知放水系統の第1実施形態を示した説明図である。図3において、ノズル放水系統は、給水弁54に対する給水配管60の分岐側に、ノズル付きホースに供給する水量を所定の第1定流量Q1、例えばQ1=130[リットル/分]に調整する第1定流量弁62を配置している。第1定流量弁62に続いては消火栓弁開閉レバーの操作により開閉される消火栓弁64が配置され、その2次側にホース接続配管66を接続している。ホース接続管66と排水管68の間には、ノズル放水時の圧力が所定の設定圧を超えた場合に排水側に開放して圧力を下げるリリーフ弁70が配置されている。リリーフ弁70に並列に自動排水弁71を設け、通常監視時はホース接続配管66を排水管68と連通させて、消火時には配管内に供給される水の圧力で排水管68との連通を解除する。
ノズル放水系統の動作は次のようになる。火災時に消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出し、この状態で消火栓弁開閉レバーを開位置に操作すると、消火栓弁64が開放し、ポンプ起動に伴う加圧消火用水の供給を給水配管60から受ける。このとき第1定流量弁62は、設定されている第1定流量Q1=130[リットル/分]を流すように流量調整を行い、ノズルから第1定流量Q1の放水を行うことができる。
ここで、ゴミなどによるノズルやホース側での詰まりが発生していた場合、消火用水が流れ難くなるために放水流量が第1定流量Q1から減少する。即ち、放水系統における消火用水の放水圧力と放水量との間には
Q=K√P
の関係がある。なお、Kは第1定流量弁62やノズル付きホースを含む放水系統で決まる定数である。
第1定流量弁62はノズルが詰まって放水量Qが第1定流量Q1から減少した場合、放水圧力Pを増加させることにより放水量Qを第1定流量Q1に保つように動作する。
しかし、第1定流量弁62の動作によって上昇した放水圧力がリリーフ弁70のリリーフ設定圧を超えた場合、リリーフ弁70が開動作して排水管68に消火用水を流す安全弁として機能し、第1定流量弁62の流量調整動作による放水圧力がリリーフ設定圧を上回らないようにする。このため第1定流量弁62の動作による放水圧力の上昇をリリーフ設定圧に制限し、ホース操作者の受ける反力の増加を抑え、またホースの破損などを防止する。
一方、ホースや配管系の破損により漏れがある場合、放水流量が第1定流量Q1から増加する。第1定流量弁62はホース漏れにより放水量Qが第1定流量Q1から増加した場合、放水圧力Pを低下させることにより放水量Qを第1定流量Q1に保つように動作する。このためホース漏れに対し放水圧力が低下することで、漏れの拡大とホースの損傷拡大を抑制できる。
ノズル放水系統には、点検弁72、オリフィス74及び圧力センサ76を備えたノズル放水点検系統が設けられる。ノズル放水点検系統は、電動弁を用いた点検弁72を消火栓弁64の1次側に分岐接続し、点検弁72の2次側と排水管68の間に、ノズル付きホースの放水量に相当する点検水量を排水管68に流す疑似ノズルとして機能するオリフィス74を設けている。
ノズル放水点検系統の動作は、例えば図1に示した防災受信盤18の操作で消火栓装置10の制御装置11に点検起動信号を送り、これを受けて制御装置11は常時閉の点検弁72を開制御し、オリフィス74を通して第1定流量弁62で調整された第1定流量Q1の消火用水を排水管68に流す。点検中のオリフィス74により発生する擬似的な放水圧力は圧力センサ76で検出され、点検結果として制御装置11から防災受信盤18に送って表示或いは所定の閾値との比較により正常か異常かを判定表示する。
次に覚知放水系統を説明する。覚知放水系統は、給水配管60から分岐したヘッド配管24の先端に非常覚知ヘッド14を接続しており、必要に応じて点線の非常覚知ヘッド14に示すように、複数台設けることもできる。
ヘッド配管24には、非常覚知ヘッド14に供給する水量を所定の第2定流量Q2、例えばQ2=50[リットル/分]に調整する第2定流量弁78が配置されている。第2定流量弁78の2次側には、覚知放水弁の機能と点検弁の機能を備えた電動切替型の三方切替弁80が配置される。
三方切替弁80は、加圧消火用水が供給される給水ポートa、非常覚知ヘッド14側が接続される放水ポートb、及び排水管68側が接続される点検排水ポートcを有し、放水ポートbを点検排水ポートcに連通してヘッド配管24内の水を排水する通常位置、給水ポートaを放水ポートbに連通する放水位置、及び給水ポートaを点検排水ポートcに連通する点検位置に切り替えられる。この連通切替えは例えばT字に連通路を形成したボール弁を回転させることで達成できる。
三方切替弁80の点検排水ポートc側には、非常覚知ヘッド14の放水量に相当する点検水量を排水側に流す疑似ヘッドとして機能するオリフィス82が設けられる。
覚知放水系統の動作は次のようになる。図1に示した制御装置11は、消火栓扉開放検知などのトンネル内での非常設備作動時に三方切替弁80を放水ポートb及び点検排水ポートcに連通する通常位置から給水ポートaを放水ポートbに連通する放水位置に切替える。
このため第2定流量弁78で調整された一定の第2流量Q2=50[リットル/分]が非常覚知ヘッド14に供給され、非常覚知ヘッド14からの放水によりトンネル内の道路22を横切る方向に非常覚知パターンを形成し、火災発生場所に進入してくる車両の運転者に前方で異常が発生していることを覚知させ、火災発生場所の手前で確実に制動停止させることを可能とする。
なお、覚知放水系統が放水しているときでも、ノズル放水系統による消火を行うことができ、給水源となる消火栓装置の給水配管60からの供給水量は両系統を同時に規定量を供給できるものとしている。
覚知放水点検系統の動作は、例えば図1に示した防災受信盤18の操作で消火栓装置10の制御装置11に点検起動信号を送り、これを受けて制御装置11は三方切替弁80を点検位置に切替制御して給水ポートaを点検排水ポートcに連通し、オリフィス82を通して第2定流量弁78で調整された第2定流量Q2の消火用水を排水管68に流す。
点検中のオリフィス82による擬似的な覚知放水圧力は圧力センサ84で検出され、覚知放水の点検結果として制御装置11から防災受信盤18に送って表示或いは所定の閾値との比較により正常か異常かを判定表示する。
なお、消火栓扉が開放された時や火災発生時には、覚知放水系統やノズル放水系統の点検動作は行えないようにしている。点検中に火災検知などの非常設備作動があった場合には点検を終了して、火災覚知や消火作業に支障を及ぼすことを防ぐ。
なお、非常覚知ヘッド14は消火栓装置10に内蔵しても良い。例えば図2(A)に示した保守扉22に非常覚知ヘッド14を取付けて、ヘッド内部への粉塵の進入を防止するヘッドカバーで開口部を覆って配置するようにしても良いし、保守扉22の背後に配置し、ヘッド先端に相対した保守扉22の位置に放水開口を形成し、放水開口は蓋構造になっており、放水時のみ開口する。また、非常覚知ヘッド14が放水時のみ消火栓装置10から外部に伸びて露出する構成としても良い。また非常覚知ヘッド14から放水される放水パターンは消火栓装置10を操作する人の邪魔にならない角度や向きに形成される。
このように非常覚知ヘッド14を消火栓装置10に内蔵することで、外部のトンネル壁面などに対する非常覚知ヘッドの設置と配管が不要となり、設備工事を簡単にし、コストも低減できる。
なお、図3の覚知放水系の動作切替えに三方切替弁80を使用しているが、これに限らず、例えば圧力センサ84の二次側を2つの分岐管を備え、それぞれに電動弁を設けて、いずれか一方の電動弁を開放制御することで、非常覚知ヘッド14から放水するか排水管68へ接続するか、または二つの制御弁を閉止して通常状態にするか切り替えても良い。
また、覚知設備による非常覚知制御は、一つの消火栓でなく、複数の消火栓で非常覚知を行っても良い。非常設備作動があった位置よりも車両進入側の複数の消火栓から放水を行っても良い。
図4は図3の第1実施形態で用いる第1定流量弁62の一例を示した説明図であり、第2定流量弁78も同様である。図4において、第1定流量弁62は弁ボディ136を有し、弁ボディ136の左側に流入ポート138を形成し、右側に流出ポート140を形成している。
流入ポート138側には、ストップリング149による位置決めで弁穴145を備えたピストン144が摺動自在に組み込まれ、ピストン144の右側にはスプリング146がスプリングホルダー150との間に配置され、更にスプリングホルダー150とその右側のニードルホルダー143との間にスプリング148を配置している。ピストン144の弁穴145に対しては、その右側に配置したニードル142の先端が位置しており、ニードル142はニードルホルダー143により弁ボディ136に固定されている。
図4の第1定流量弁62の動作は次のようになる。ノズルの詰まりなどで流量が低下した場合は、流出ポート140側の圧力が上昇し、流入ポート138の圧力が相対的に低いことからピストン144を押す力が小さく、スプリング146,148の押圧力が大きくなり、ピストン144はストッパリング149に近い側に移動してニードル142の先端と弁穴145の間の開口面積を大きくし、流出ポート140に流す流量を増加させて一定流量を維持する。
またホース漏れなどで流量が増加した場合には、流出ポート140側の圧力が低下し、流入ポート138の圧力が相対的に高いことからピストン144を押す力が増加し、スプリング146,148に抗してピストン144が右側に移動し、弁穴145がニードル142に近付くことで開口面積を小さくし、流出ポート140に流す流量を減少させて一定流量を維持する。
図5は図3の第1実施形態で用いる第1定流量弁62の他の例を示した説明図であり、この例にあっては、ニードル側を1次側圧力に応じて移動するようにしたことを特徴とし、第2定流量弁78も同様である。
図5において、第1定流量弁62は弁ボディ151の左側に流入ポート152を形成すると共に右側に流出ポート154を形成し、内部にストッパリング158で位置決めされたニードル156を摺動自在に組み込み、ニードル156の右側にスプリング162を配置している。ニードル156には連通穴160が設けられ、ニードル156の先端側の弁ボディ151には弁穴164が形成されている。
図5の第1定流量弁62の動作は次のようになる。ノズル詰まりなどで流量が低下した場合は、流出ポート154側の圧力が上昇し、流入ポート152の圧力が相対的に低いことからニードル156を右側に押す力が弱く、ニードル156は弁穴164から離れた位置に移動し、弁穴164とニードル156との間の隙間となる開口面積を大きくし、流出ポート154に流す流量を増加させて一定流量を維持する。
またホース漏れなどで流量が増加した場合には、流出ポート154側の圧力が低下し、流入ポート152の圧力が相対的に高いことから、スプリング162を圧縮してニードル156が右側に移動し、弁穴164との間の開口面積を小さくし、流出ポート154に流す流量を減少させて一定流量を維持する。
図6は図3の第1実施形態で用いる第1定流量弁62の他の例を示した説明図であり、ゴム製のフローワッシャーの変形を利用して定流量制御を行うようにしたことを特徴とし、第2定流量弁78も同様に採用できる。
図6(A)において、第1定流量弁62は、弁ボディ166の左側に流入ポート168を形成し、右側に流出ポート170を形成している。弁ボディ166の内部には弁穴176が開口され、弁穴176の左側にストッパリング175で抜け止めされた弾性を持つゴムで作られたフローワッシャー172が組み込まれている。フローワッシャー172はドーナツ状の部材であり、内部に弁穴174を開口している。
図6の第1定流量弁62の動作は次のようになる。ノズル詰まりなどで流量が低下した場合は、流出ポート170側の圧力が上昇し、流入ポート168の圧力が相対的に低いことから、図6(A)に示すようにフローワッシャー172を押す力は小さく、フローワッシャー172の変形量を少なくなり、そのときの弁穴174で決まる開口面積が増加することで、流出ポート170に流す流量を増加させて一定流量を維持する。
またホース漏れなどで流量が増加した場合には、流出ポート170側の圧力が低下し、流入ポート168の圧力が相対的に高いことから、図6(B)に示すようにフローワッシャー172を押す力が増加し、フローワッシャー172は弁穴174を窄める円錐形状に変形し、弁穴174の開口面積が減少する。これによって流出ポート170に流す流量を減少させて一定流量を維持する。
もちろん図3の実施形態に使用する定流量弁としては、図4〜図6に示した以外の適宜の構造の定流量弁を使用することができる。
次に本実施形態の非常覚知ヘッドによる非常覚知パターンについて図7乃至図11を参照して説明する。
図7は非常覚知ヘッドの棒状パターンによる横放水を示した説明図であり、図7(A)はトンネル断面、図7(B)はトンネル平面を示している。
図7において、非常覚知ヘッド14は放水量を覚知に必要な必要最小限とするため棒状パターン15で放水しており、本実施形態にあっては、図7(A)のトンネル断面に示すように、消火栓装置10からのヘッド配管24に接続したトンネル側壁の非常覚知ヘッド14から道路を真横に横切る方向に棒状パターン15で放水し、且つ図7(B)のトンネル平面に示すように、走行方向に対しても真横に横切る方向に棒状パターン15を放水している。
このような棒状パターン15の横放水により、トンネル12内を走行してくる車両は進行方向の道路を横切る棒状パターン15による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体側面を横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
また火災発生によりトンネル上部に煙層が形成されるが、非常覚知ヘッド14からの棒状パターン15は道路22の路面に近い位置での横放水であるため、放水によって煙層が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことはない。
さらに、棒状に放水された消火用水は、トンネルの対向壁面に放水されるため、壁面下方に設けた排水口に排水されるため、道路に滞留することがないため、車両が滑るなどの二次災害を極力防ぐことも可能となる。
棒状パターン15の高さは特に限定されないが、一般的な車両の高さよりも少し上の高さ位置に設定した場合は、通行する車に消火用水がかかることがなく、運転者の視界を妨げることがなく、運転者が非常状態に気づくことができる。放水が車両にかかったとしても棒状放水のため、視界がほとんど妨げられることがなく、非常状態を認識することができる。
図8は非常覚知ヘッドの棒状パターンによる斜め放水を示した説明図である。本実施形態にあっては、図8(A)のトンネル断面に示すように、消火栓装置10からのヘッド配管24に接続したトンネル側壁の非常覚知ヘッド14からの棒状パターン15を道路を横切る方向に放水し、且つ図8(B)のトンネル平面に示すように、走行方向に対して棒状パターン15を斜め方向に放水している。
このような棒状パターン15の斜め放水により、トンネル12内を走行してくる車両は進行方向から斜めに横切るから棒状パターン15による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体を斜めに横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
また火災発生によりトンネル上部に煙層が形成されるが、非常覚知ヘッド14からの棒状パターン15は道路22の路面に近い位置での斜め放水であるため、放水によって煙層が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことはない。
図9はトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによるクロス放水を示した説明図である。
図9(A)のトンネル断面において、トンネル12の側壁に消火栓装置10からのヘッド配管24に接続した非常覚知ヘッド14を配置し、更に、ヘッド配管24をトンネル上部から反対側のトンネル側面に配管し、そこに非常覚知ヘッド14を配置し、トンネル両側の側壁に設置した非常覚知ヘッド14から道路を横切る方向に棒状パターン15を放水することでクロス放水とし、且つ図9(B)のトンネル平面に示すように、両側に配置した非常覚知ヘッド14から走行方向に対しても斜めに棒状パターン15を放水することでクロス放水としている。
このような棒状パターン15の2本のクロス放水により、トンネル内を走行してくる車両は進行方向にクロスして横切る棒状パターン15による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体を斜めに横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
またトンネル走行方向に所定間隔で配置されている複数の消火栓装置10に設けた非常覚知ヘッド14から同時にクロス放水を行うと、トンネル前方に複数のクロス放水パターンが浮かび上がり、異常事態の発生を確実に覚知できる。またクロス放水は路面に近い位置の放水となるため、トンネル上部に形成される煙層を乱すようなことはない。
また、クロス放水においても、運転者の視界を妨げることを防ぐことができる。
図10は複数の非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによるマルチ放水を示した説明図であり、3台の非常覚知ヘッドを設けた場合を例にとっている。
図10(A)のトンネル断面においては、トンネル12の側壁に消火栓装置10からのヘッド配管24に接続した3台の非常覚知ヘッド14を配置し、道路22を横切る方向に棒状パターン15を放水している。また図10(B)のトンネル平面にあっては、3台の非常覚知ヘッド14から棒状パターン15を、真横に横切る方向、異なる斜め方向にマルチ放水している。
このような棒状パターン15を用いたマルチ放水により、トンネル内を走行してくる車両は棒状パターン15による放水を見ることで異常事態の発生を覚知することができる。一本の放水パターンよりも放水により気づきやすい。もし放水に気付かなかったとしても放水を車体に受けるようにパターン位置を設定した場合は、車体に受けた音や水滴で異常事態の発生を覚知することができる。また路面に近い位置の放水とすれば、トンネル上部に形成される煙層を乱すようなことはない。たとえ、煙層に放水パターンが形成されたとしても、棒状パターンであるから煙層をかき乱す程の威力がない。
図11は複数の非常覚知ヘッドを配置した棒状パターンによるマルチ放水の他の実施形態を示した説明図であり、3台の非常覚知ヘッドを設けた場合を例にとっている。
本実施形態では、図11(A)のトンネル断面についても、消火栓装置10からのヘッド配管24に接続した3台の非常覚知ヘッド14から、道路22を真横に横切る方向、異なる斜め方向にマルチ放水している。また図11(B)のトンネル平面についても、3台の非常覚知ヘッド14から棒状パターン15を、真横に横切る方向、異なる斜め方向にマルチ放水している。
このような棒状パターン15を用いたマルチ放水により、トンネル内を走行してくる車両は棒状パターン15による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも放水を車体に受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
なお、図7乃至図11に示した非常覚知ヘッド14の棒状パターンによる放水は、水平放水以外にトンネル上部の煙層を乱さない範囲での上向き放水や複数の非常覚知ヘッドからのマルチ放水を交差されたクロス放水など適宜の放水パターンとすることができる。
図12は本発明の消火栓装置に設けたノズル放水系統と覚知放水系統の第2実施形態を示した説明図である。図12において、本実施形態のノズル放水系統と覚知放水系統は図3の第1実施形態と同じであり、またノズル放水点検系統と覚知放水点検系統も図3の実施形態と基本的に同じであるが、ノズル放水点検系統と覚知放水点検系統の圧力センサを共用したことを特徴とする。
即ち、本実施形態にあっては、点検時に放水圧力を検知する圧力センサ86を、電動切替型の三方切替弁を用いたセンサ切替弁88によりノズル放水点検系統と覚知放水点検系統に対し切り替え選択可能に配置している。ノズル放水系統の点検時には、点検弁72の1次側を圧力センサ86に連通するようにセンサ切替弁88が切替えられ、また覚知放水系統の点検時には、第2定流量弁78の1次側を圧力センサ86に連通するようにセンサ切替弁88が切替えられる。
これによってノズル放水系統と覚知放水系統の点検に使用する圧力センサを一台で済ますことができ、図1に示した防災受信盤18に対する検知信号の伝送を含めて構成を簡単にすることができる。
図13は本発明の消火栓装置に設けたノズル放水系統と覚知放水系統の第3実施形態を示した説明図である。図13において、本実施形態のノズル放水系統と覚知放水系統は図3の第1実施形態と基本的に同じであり、またノズル放水点検系統と覚知放水点検系統も図3の実施形態と基本的に同じであるが、ノズル放水系統と覚知放水系統の点検時に使用する圧力センサに代えて流量計を設けたことを特徴とする。
即ち、本実施形態にあっては、給水配管60に流量計90を設けており、ノズル放水点検系統と覚知放水点検系統に圧力センサは設けられていない。これによってノズル放水系統および覚知放水系統の点検時に、流量計90による点検流量を検知して図1の防災受信盤18側に送り、表示或いは所定の閾値との比較により正常か異常かを判定表示できる。
図14は本発明の消火栓装置に設けたノズル放水系統と覚知放水系統の第4実施形態を示した説明図である。図14において、給水弁54に対する給水配管60からの分岐部分には第3定流量弁75が設けられ、本実施形態において第3定流量弁75はノズル放水量Q1、例えばQ1=130[リットル/分]に非常覚知ヘッド14の覚知放水量Q2、例えばQ2=50[リットル/分]を加算した所定の第3放水量Q3(=Q1+Q2)、例えばQ3=180[リットル/分]を流すように調整する。
第3定流量弁75に続いては消火栓弁64が配置され、その2次側にホース接続配管66を接続している。消火栓弁64の2次側のホース接続間66と排水管68の間には、ノズル放水時の圧力が所定の設定圧を超えた場合に排水側に開放して圧力を下げるリリーフ弁70が配置されている。
ノズル放水系統には、点検弁72、オリフィス74及び圧力センサ76を備えたノズル放水点検系統が設けられ、電動弁を用いた点検弁72を消火栓弁64の1次側に分岐接続し、点検弁72の2次側と排水管68の間に、ノズル付きホースの放水量に相当する点検水量を排水管68に流す疑似ノズルとして機能するオリフィス74を設けている。
次に覚知放水系統を説明する。覚知放水系統は、第3定流量弁75の2次側からヘッド配管24を分岐して先端に非常覚知ヘッド14を接続しており、ヘッド配管24には非常覚知ヘッド14に供給する水量を所定の第2定流量Q2、例えばQ2=50[リットル/分]に調整する第2定流量弁78が配置されている。第2定流量弁78の2次側には、覚知放水弁の機能と点検弁の機能を備えた電動切替型の三方切替弁80が配置される。
三方切替弁80は、加圧消火用水が供給される給水ポートa、非常覚知ヘッド14側が接続される放水ポートb、及び排水管68側が接続される点検排水ポートcを有し、放水ポートbを点検排水ポートcに連通する通常位置、給水ポートaを放水ポートbに連通する放水位置、及び給水ポートaを点検排水ポートcに連通する点検位置に切り替えられる。三方切替弁80の点検排水ポートc側には、非常覚知ヘッド14の放水量に相当する点検水量を排水側に流す疑似ヘッドとして機能するオリフィス82が設けられる。
次に本実施形態の放水動作を説明する。本実施形態にあっては、ノズル放水と覚知放水は同時に行われる。火災時に消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出し、この状態で消火栓弁開閉レバーを開位置に操作すると、消火栓弁64が開放し、ポンプ起動に伴う加圧消火用水の供給を給水配管60から受ける。
同時に図1に示した制御装置11が消火栓扉開放検知などのトンネル内での非常設備作動時に三方切替弁80を、放水ポートb及び点検排水ポートcに連通する通常位置から給水ポートaを放水ポートbに連通する放水位置に切替える。なお、三方切替え弁80の切替えは消火栓弁開閉レバーを開位置に操作で動作する弁開閉検出スイッチのオンに連動させても良い。
このため第3定流量弁75は第3定流量Q3、例えばQ3=180[リットル/分]を流すように流量調整し、第3定流量弁75で調整された第3放水量Q3は消火栓弁64側と第2定流量弁78側に分流される。ここで第2定流量弁78は第2定流量Q2=50[リットル/分]を流すように流量調整することから、消火栓弁64側には、第3定流量Q3から第2定流量Q2を差し引いた第1定流量Q1、即ち
Q1=Q3−Q2=130[リットル/分]
が流れ、ホースを通ってノズルから放水される。
また、本実施形態におけるノズル放水点検系統及び覚知放水点検系統の構成は図3の第1実施形態と同じであるが、点検時には、ノズル放水点検系統の点検弁72を開制御すると共に三方切替弁80を給水ポートaを点検排水ポートcに連通する点検位置に切り替え、オリフィス74に第1定流量Q1=(Q3−Q2)を流すノズル放水点検と、オリフィス82に第2定流量Q2を流す覚知放水点検を同時に行う。なお、点検時は圧力センサ76、84は同圧になるため、一方のみ設けても良い。
図15は本発明の消火栓装置に設けたノズル放水系統と覚知放水系統の第5実施形態を示した説明図である。図15において、本実施形態のノズル放水系統と覚知放水系統は図14の第4実施形態と基本的に同じであり、またノズル放水点検系統と覚知放水点検系統も図14の実施形態と基本的に同じであるが、ノズル放水系統と覚知放水系統の点検時に使用する圧力センサに代えて流量計を設けたことを特徴とする。
即ち、本実施形態にあっては、給水配管60に流量計90を設けており、ノズル放水点検系統と覚知放水点検系統に圧力センサは設けられていない。これによってノズル放水系統および覚知放水系統の点検時に、流量計90による点検流量を検知して図1の防災受信盤18側に送って表示或いは所定の閾値と比較し、正常か異常かを判定表示できる。
図16は本発明の消火栓装置に設けたノズル放水系統と覚知放水系統の第6実施形態を示した説明図であり、本実施形態にあっては、ノズル放水系統と覚知放水系統の放水量を1台の定流量弁で調整するようにして簡略化したことを特徴とする。
図16において、給水弁54に対する給水配管60からの分岐部分には、ノズル放水系統と覚知放水系統の合計放水量に対応した第3定流量Q3に調整する第3定流量弁75が設けられる。ここでノズルからの放水量をQ1=130[リットル/分]、非常覚知ヘッド14からの放水量をQ2=50[リットル/分]とすると、第3定流量弁75は第3定流量Q3=180[リットル/分]を流すように流量調整する。
第3定流量弁75に続いては消火栓弁64が設けられ、消火栓弁64の2次側にホース接続配管66を接続し、そこにヘッド配管24を分岐接続し、先端に直接非常覚知ヘッド14を接続している。また、消火栓弁64の2次側のホース接続間66と排水管68の間には、ノズル放水時の圧力が所定の設定圧を超えた場合に排水側に開放して圧力を下げるリリーフ弁70が配置されている。
本実施形態の動作は次のようになる。火災時に消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出し、この状態で消火栓弁開閉レバーを開位置に操作すると、消火栓弁64が開放し、ポンプ起動に伴う加圧消火用水の供給を給水配管60から受ける。このとき第3定流量弁75は、設定されている第3流量Q3=180[リットル/分]を流すように流量調整する。
第3定流量弁75により第3定流量Q3に調整された消火用水は消火栓弁64の2次側でホース配管66とヘッド配管24に分岐され、両系統に詰まりがなければ、概ねホース配管66にQ1=130[リットル/分]が流れてノズルから放水され、またヘッド配管24にQ2=50[リットル/分]が流れて非常覚知ヘッド14から覚知放水が行われる。
ノズル放水系統には、点検弁72、オリフィス74及び圧力センサ76を備えたノズル放水点検系統が設けられる。ノズル放水点検系統は、電動弁を用いた点検弁72を消火栓弁64の1次側に分岐接続し、点検弁72の2次側と排水管68の間に、ノズル付きホース及び非常覚知ヘッド14の合計放水量Q3に相当する点検水量を排水管68に流す疑似ノズルとして機能するオリフィス74を設けている。
ノズル放水点検系統の動作は、例えば図1に示した防災受信盤18の操作で消火栓装置10の制御装置11に点検起動信号を送り、これを受けて制御装置11は点検弁72を開制御し、オリフィス74を通して第3定流量弁75で調整された第3定流量Q3の消火用水を排水管68に流す。
点検中のオリフィス74による擬似的な放水圧力は圧力センサ76で検出され、点検結果として制御装置11から防災受信盤18に送り、表示或いは所定の閾値との比較により正常か異常かを判定表示する。これによってノズル放水と覚知ヘッド放水の実質的な同時点検が可能となる。
図17は本発明の消火栓装置に設けたノズル放水系統と覚知放水系統の第7実施形態を示した説明図であり、定流量弁の配置は図3の第1実施形態に対応している。図17において、ノズル放水系統はノズル付きホースに供給する水量を所定の第1定流量Q1、例えばQ1=130[リットル/分]に調整する第1定流量62を備え、第1定流量弁62にポンプ設備からの給水配管60を接続している。
第1定流量弁62に続いては消火栓弁64が配置され、その2次側にホース接続配管66を接続している。消火栓弁64の2次側のホース接続間66と排水管68の間には、ノズル放水時の圧力が所定の設定圧を超えた場合に排水側に開放して圧力を下げるリリーフ弁70が配置されている。
ノズル放水系統の動作は次のようになる。火災時に消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出し、この状態で消火栓弁開閉レバーを開位置に操作すると、消火栓弁64が開放し、ポンプ起動に伴う加圧消火用水の供給を給水配管60から受ける。このとき第1定流量弁62は、設定されている一定の第1流量Q1を流すように流量調整し、ノズルから定流量Q1の放水を行うことができる。このノズル放水系統は図3の第1実施形態と同じになる。なお、本実施形態にあっては、ノズル放水点検系統を設けていないが、図3の第1実施形態と同じに設けてもよい。
覚知放水系統は、給水弁54に対する給水配管60からの分岐したヘッド配管24に覚知放水弁96を配置し、続いて非常覚知ヘッド14に供給する水量を所定の第2定流量Q2、例えばQ2=50[リットル/分]に調整する第2定流量弁78を配置している。第2定流量弁78の2次側には、圧力スイッチ100が配置され、覚知放水による圧力を検知する。
また第2定流量弁78の2次側と排水管68との間には自動排水弁98が配置される。自動排水弁98は加圧消火用水が供給されていない通常時に開位置にあり、ヘッド配管24内の水を排水管68に抜いている。また自動排水弁98は加圧消火用水の供給を受けると閉位置に動作し、非常覚知ヘッド14への加圧消火用水の供給を可能とする。
このように自動排水弁98を設けたことで、図3の第1実施形態における三方切替弁80による通常位置と覚知放水位置との切り替えを不要とし、構成を簡単にすることができる。
覚知放水系統の動作は、図1に示した制御装置11により消火栓扉開放検知などのトンネル内での非常設備作動が検出されると、覚知放水弁96を開制御し、第2定流量弁78で調整された第2流量Q2=50[リットル/分]の消火用水を非常覚知ヘッド14側に供給し、このとき自動排水弁98が閉制御し、非常覚知ヘッド14からの放水により非常覚知パターンを形成する。
また非常覚知ヘッド14からの放水に伴い圧力スイッチ100がオンし、図1に示した防災受信盤18に信号を送って覚知放水を報知する。
図18は本発明の消火栓装置に設けたノズル放水系統と覚知放水系統の第8実施形態を示した説明図であり、定流量弁の配置は図14の第4実施形態に対応している。
図18において、給水弁54に対する給水配管60からの分岐部分には第3定流量弁75が設けられ、第3定流量弁75はノズル放水量Q1、例えばQ1=130[リットル/分]に非常覚知ヘッド14の覚知放水量Q2、例えばQ2=50[リットル/分]を加算した所定の第3定流量Q3(=Q1+Q2)、例えばQ3=180[リットル/分]に調整する。
第3定流量弁75に続いては消火栓弁64が配置され、その2次側にホース接続配管66を接続し、ホース接続間66と排水管68の間には、ノズル放水時の圧力が所定の設定圧を超えた場合に排水側に開放して圧力を下げるリリーフ弁70を配置している。
覚知放水系統は、図17の第7実施形態と同じであり、第3定流量弁75の2次側から分岐したヘッド配管24にまず覚知放水弁96を配置し、続いて非常覚知ヘッド14に供給する水量を所定の第2定流量Q2、例えばQ2=50[リットル/分]に調整する第2定流量弁78を配置し、第2定流量弁78の2次側には圧力スイッチ100が配置され、更に、第2定流量弁78の2次側と排水管68との間には自動排水弁98が配置される。
このように自動排水弁98を設けたことで、図3の第1実施形態におれる三方切替弁80による通常位置と覚知放水位置との切り替えを不要とし、構成を簡単にすることができる。
本実施形態にあっては、図14の第4実施形態と同様、ノズル放水と覚知放水は同時に行われる。火災時に消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出し、この状態で消火栓弁開閉レバーを開位置に操作すると、消火栓弁64が開放し、ポンプ起動に伴う加圧消火用水の供給を給水配管60から受ける。
同時に図1に示した制御装置11が消火栓扉開放検知などのトンネル内での非常設備作動時に覚知放水弁96を開制御する。なお、覚知放水弁96の開制御は消火栓弁開閉レバーを開位置に操作で動作する弁開閉検出スイッチのオンに連動させても良い。
覚知放水弁96を開制御すると、第3定流量弁75は第3定流量Q3、例えばQ3=180[リットル/分]を流すように流量調整し、第3定流量弁75で調整された加圧消火用水は消火栓弁64側と第2定流量弁78側に分流される。ここで第2定流量弁78は第2定流量Q2=50[リットル/分]を流すように調整することから、消火栓弁64側には、第3定流量Q3から第2定流量Q2を差し引いた第1定流量Q1、即ち
Q3−Q2=Q1=130[リットル/分]
が流れ、ホースを通ってノズルから放水される。
なお、上記の実施形態にあっては、非常覚知ヘッドから棒状パターンを放水する場合を例にとっているが、これ以外に、スリットパターン、ドロップパターンといった適宜の非常覚知パターンを放水するようにしても良く、運転者の視界を妨げることなく、二次災害の発生を防ぐことができる。
また、上記の実施形態は非常覚知パターンを継続的に放水する場合を例にとっているが、非常覚知パターンを断続的或いは周期的に放水するようにしてもよい。このような断続的又は周期的な覚知放水により、覚知機能を高めると同時に放水量を低減できる。また、運転者の視界を防ぐことができる。道路面を必要以上に濡らすことを防ぐことができる。
また非常覚知ヘッドを動かすことで、スイング放水や旋回放水を行って覚知機能を高めるようにしても良い。覚知放水はさらにレーザー光を通路側に放射して覚知機能を高めても良い。
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。