JP5869325B2 - 賦形不織布製造用支持体および賦形不織布の製造方法 - Google Patents

賦形不織布製造用支持体および賦形不織布の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は賦形不織布製造用支持体および賦形不織布の製造方法に関する。
従来の不織布の製造方法として、特許文献1には、少なくとも一方に凹凸を有する1対の通気性コンベア間に熱可塑性繊維を含む繊維ウエブを通し、そのコンベア間に繊維ウエブを挟んだ状態で搬送する方法が開示されている。この凹凸を有する通気性コンベアは、複数の三角らせん状の線材を有し、三角らせん状の線材のらせん間に隣接する別の三角らせん状の線材を挿入し、その隣接しあう三角らせん状の線材同士を直線状の線材を通してつづって編んだ網状のコンベアであり、三角らせん状の線材が凸部を構成しているものである。なお各凸部の高さについては規定されていない。この通気性コンベアを用いた不織布の製造方法では、通気性コンベアで搬送中の繊維ウエブの表面に空気を噴射して、通気性コンベアの凹凸に繊維ウエブを追随させ、繊維ウエブに凹凸形状に賦形する。その後、凹凸に賦形した繊維ウエブを加熱し、熱可塑性繊維同士を融着して凹凸形状に固定した不織布を製造する。
また特許文献2には、互いに直交する二つの方向に四角錐の頂点が配列され、隣り合う四角錐側面の中央部にある各四角錘間の空間および4つの四角錐が出会う各隅に貫通穴が設けられたパターニンング支持部材を用い、繊維状ウエブをこのパターニンング支持部材の頂面に置き、この状態で流体を繊維状ウエブに吹き付けることで、四角錘の基底に対応した位置に四角形の開口を有する新不織布が作製されることが開示されている。なお各四角錘の高さについては規定されていない。
さらに特許文献3には、立体賦形部材に繊維ウエブを載せ、流体を吹き付けることで繊維ウエブを賦形することが開示されている。この立体賦形部材は、網状で凸条と凹条が交互に配されて波状を成す支持体の凸条に伸びる方向と同方向に複数の板状凸部が所定間隔に配列され、凹条の横断面形状と概ね同形状をした板状体の連結部が板状凸部の配列方向と直交する方向に配列されていて、連結部の配列は凸条方向に配列された板条凸部の間に存するように配されているものである。また上記板状凸部や連結部はその高さが異なっていてもよいとされている。
特許文献1に開示された不織布の製造方法では、繊維ウエブを空気で押し込んだ場合、網目の目地(線材の交差部)に繊維が挟まり、その状態で熱風を吹き付けると線材に繊維が融着される。また、線材に繊維が回り込んで絡まり、その状態で熱風風を吹き付けると、線材に繊維が絡まった状態で融着される。いずれの場合も繊維ウエブが次々に融着を起こすため、製品を乱すこととなり連続生産に適さない場合があった。
特許文献2では、パターニンング支持部材の四角錘の高さが異なることの開示は無い。そのため、高さの異なる凹凸形状を有する賦形不織布を作製することは困難であった。
特許文献3に開示された立体賦形部材では、凸条間における板状突起間には、網状の支持体が配されているため、賦形中に繊維ウエブの繊維が支持体の網目に入り込んだ場合、賦形処理後に支持体から賦形不織布を剥がしにくくなるおそれがあった。また、板状突起の高さを変えても不織布の開孔部分の大きさが変わるだけであり、高さの異なる凹凸形状を有する賦形不織布を作製することは困難であった。
また特許文献1−3に記載された凸部の高さが同一になる賦形不織布を吸収性物品の表面シートに用いた場合、肌面等の被接触面への接触面積が多くなり、シート面方向の通気性が低下する場合がある。そのため、肌面等の被接触面への接触面積が少なく、シート面方向の通気性が高い不織布およびその製造技術が求められていた。
特開平2−229255号公報 特表平8−502100号公報 特開2010−24573号公報
繊維ウエブを凹凸形状に賦形する際に、異なる高さの凸部を有するように賦形することが可能であり、かつ繊維ウエブの賦形性に優れた不織布製造用支持体および賦形不織布の製造方法を提供することにある。
(1)本発明は、板状体と、前記板状体の表面側に配した複数の突起と、前記表面側から前記板状体の裏面側に貫通している複数の孔を有し、前記突起と前記孔は、前記板状体を平面視した面内の第1方向に交互に配され、前記突起は、対向する第1面と第2面とを有し、前記平面視した面内において前記第1方向と異なる第2方向に直列状に配され、前記板状体の裏面から突起頂部までの高さが少なくとも2種類以上であり、隣り合う別の突起で取り囲むように間隔を置いて配置され、かつ前記取り囲まれる突起の高さと前記取り囲む突起の高さとが異なる不織布製造用支持体を提供する。
(2)本発明は、並列に配置された複数の棒状体と、前記棒状体間の表面側に配された複数の突起と、前記各棒状体間でかつ前記各突起間に存する前記表面側から前記棒状体の裏面側に貫通している複数の孔を有し、前記突起と前記孔は、前記棒状体間で前記複数の棒状体で形成される面に沿う第1方向に交互に配され、前記突起は、対向する第1面と第2面とを有し、前記第1方向と異なる第2方向に直列状に配され、前記棒状体の最下端から突起頂部までの高さが少なくとも2種類以上であり、隣り合う別の突起で取り囲むように各突起が間隔を置いて配置され、かつ前記取り囲まれる突起の高さと前記取り囲む突起の高さとが異なる不織布製造用支持体を提供する。
(3)本発明は、高さの異なる複数の突起と複数の孔とを有する支持体上に熱可塑性繊維を含有する繊維ウエブを搬送して熱風を吹き付け、該繊維ウエブを該支持体に沿わせて該繊維ウエブを賦形する賦形不織布の製造方法であって、前記支持体に前記(1)または(2)項に記載の不織布製造用支持体を用いて、前記繊維ウエブを高さの異なる凸部を有する凹凸形状に賦形する賦形不織布の製造方法を提供する。
(4)本発明は、高さの異なる複数の突起と複数の孔とを有する支持体上に熱可塑性繊維を含有する繊維ウエブを搬送して第1の熱風を吹き付け、該繊維ウエブを該支持体に沿わせて該繊維ウエブを高さの異なる凸部を有する凹凸形状に賦形する工程と、前記繊維ウエブを支持体から剥す工程と、前記繊維ウエブに第2の熱風を吹き付ける工程を有し、前記(1)または(2)項に記載の不織布製造用支持体を用いる賦形不織布の製造方法を提供する。
前述の(1)項に記載した本発明の不織布製造用支持体は、繊維ウエブに熱風を吹き付ける賦形処理における繊維ウエブを支持する支持体として用いることで、不織布製造用支持体の凹凸形状に沿わせて賦形不織布に凸部の高さが異なる凹凸形状を賦形することができる。また賦形処理時に吹き付けた熱風によって繊維ウエブの繊維を乱すことなく、かつ不織布製造用支持体に配した孔を通しての繊維同士の融着や交絡を起こすことがない。したがって、高さの異なる突部を有する立体的な凹凸不織布を少ない目付(密度)で効果的に厚みのある不織布に成形できるという繊維ウエブの賦形性に優れ、しかも連続生産を可能にする。
前述の(2)項に記載した本発明の不織布製造用支持体は、前述の(1)項に記載の不織布製造用支持体と同様なる効果を奏する。
前述の(3)項に記載した本発明の賦形不織布の製造方法は、繊維ウエブに熱風を吹き付けて凹凸形状を付与する賦形処理における繊維ウエブを支持する支持体として本発明の不織布製造用支持体を用いることから、賦形不織布に凸部の高さが異なる凹凸形状を賦形することができる。
前述の(4)項に記載した本発明の賦形不織布の製造方法は、前述の(3)項に記載の賦形不織布の製造方法と同様なる効果を奏する。また、繊維ウエブに第2の熱風を吹き付ける工程を有することによって、この工程の前の工程において繊維が毛羽立ってしまった場合においても、毛羽立った繊維面は、第2の熱風を吹き付ける際に例えばネット面に押さえられ、且つ、寝かせられるので、融着した面が滑らかになり、より肌触りの良い不織布とすることができる。さらに毛羽立ち繊維を融着する際に、毛羽だった繊維以外の繊維に過度の融着を起こさず、不織布の賦形形状が維持されるため、厚みや空隙が確保され、液の徐放性に優れた不織布を製造することができる。
本発明の不織布製造用支持体の好ましい一実施形態(第1実施形態)を示した図面であり,(1)は平面図、(2)は(1)中のA−A’線断面図、(3)は突起の寸法を示した断面図である。 第1実施形態の支持体を示した部分斜視図である。 第1実施形態の支持体における突起の高さが3種類の場合の突起と孔の配置例を示した平面図である。 第1実施形態の支持体における突起の高さが4種類の場合の突起と孔の配置例を示した平面図である。 本発明の不織布製造用支持体の好ましい第2実施形態を示した図面であり,(1)は平面図、(2)は(1)中のA−A’線断面図、(3)は突起の寸法を示した断面図である。 本発明の支持体を用いて賦形不織布を製造するのに好適な賦形不織布の製造装置の一例を示した概略構成図である。 第1実施形態の賦形不織布の製造方法における支持体と製造された賦形不織布とを示した断面図である。 本発明の支持体を用いて賦形不織布を製造するのに好適な賦形不織布の製造装置の別例を示した概略構成図である。 本発明の賦形不織布の製造方法に係る第2実施形態を実施するのに好適な賦形不織布の製造装置を示した概略構成図である。 第1実施形態の支持体に係る突起および孔の配置寸法を示した平面図である。 第1実施形態の支持体に係る突起および孔の配置寸法を示した平面図である。
本発明に係る不織布製造用支持体(以下、支持体という)の好ましい一実施形態(第1実施形態)について、図1および図2を参照しながら、以下に説明する。
図1および図2に示すように、本発明の支持体10は、板状体11と、その板状体11表面11S側に配した複数の突起12(12A,12B)と、表面11Sからこの表面11Sに対向する裏面11Bに貫通する複数の孔13を有するものである。突起12と孔13は、板状体11を平面視した面内、すなわち上記表面11S内における第1方向Xに交互に配されている。具体的には、突起12Bの両側に孔13が配されている。すなわち、上記孔13は、第1方向Xにおける突起12の両側(第1方向X側)に配されていることが好ましい。また、孔13が占める開口率(面積率)は、吹き付ける気体の抜けが良いように大きいほど好ましいが、支持体10の強度を考慮して開口率は決定される。この開口率は、好ましくは10%から50%、さらに好ましくは、20%から40%である。
上記突起12は、対向する第1面12SAと第2面12SBとを有している。また突起12は、上記平面視した面内において第1方向Xと異なる第2方向Yに直列状に配されている。
これらの突起12(12A,12B)は、板状体裏面11Bから突起頂部12AT,12BTまでの高さが少なくとも2種類以上の高さを有している。図示例では、板状体裏面11Bから突起頂部12ATまでの高さA1と、板状体の裏面11Bから突起頂部12BTまでの高さB1とが異なる。すなわち、A1>B1となっている。また板状体表面11Sにある突起12Aの突起底面12ABから突起頂部12ATまでの高さA2と板状体表面11Sよりも裏面側にある突起12Bの突起底面12BBから突起頂部12BTまでの高さB2とが異なる。さらに、板状体裏面11Bから突起12Aが配される板状体表面11Sまでの高さA3は、板状体裏面11Bから突起12Bが配される板状体表面11BSの底面までの高さB3より高くなっている。言い換えれば、突起12Aの底面より突起12Bの底面のほうが板状体裏面11B側に配されている。したがって、A3>B3となっている。また、上記A1>B1、A3>B3なる関係を満たしていれば、板状体表面11S(突起12Aの底面)から突起頂部12ATまでの高さ(突起12A自体の高さ)A2は、板状体表面11BS(突起12Bの底面)から突起頂部12BTまでの高さ(突起12B自体の高さ)B2よりも高くても低くてもまたは同等であってもよい。好ましくはA2≧B2であり、より好ましくは、A2>B2である。このようにA2>B2であれば、A1とB1との差が十分にとれる。A1とB1との差は、好ましくは0.5mmから10mmであり、更に好ましくは1.0mmから5.0mmである。
さらに、突起12は、隣り合う別の突起12で取り囲むように間隔を置いて配置されている。例えば、突起12Aは高さの異なる隣り合う別の突起12Bで取り囲まれている。ここで、高さが異なるとは前述の高さA3と高さB3とが異なることである。また取り囲まれているとは、第1方向Xと第2方向Yが直交する場合、突起12Aに対して第1方向Xと第2方向Yとで隣り合う突起12Bの配置状態をいう。また、第1方向Xと第2方向Yが直交していない場合の隣り合う突起とは、突起12Aに対して第1方向X、第2方向Y、それらと異なる第3方向W(図示せず)で隣り合う高さの異なる突起12Bの配置状態をいう。
なお、板状体表面11S,11BSはコンベアベルトで構成する場合には、平面を成していることが好ましく、ドラムで構成する場合には、曲面を成していることが好ましい。
上記複数の突起12は、それぞれに対向する第1面12SAと第2面12SBとを有する。第1面12SAと第2面12SBは、平面であってもよいが、曲面であってもよい。この第1面12SAのそれぞれは第1方向X(例えばCD方向)に向き、第2面12SBのそれぞれは第1面12SAとは当該突起12を介してCD方向の反対方向に向いている。また、突起12は、平面視すると、第1面12SA、第2面12SBが第2方向Y(例えばMD方向)に沿うように配されており、例えば角部を丸くした長方形となっている。このように、突起12の横断面の形状は、頂部を除き、角に丸みを有する長方形、長円形または楕円形が好ましい。また、突起12の縦断面(MD方向断面)は、先または角が曲面になった長方形、台形または三角形が好ましい。
さらに、突起12の第1面12SAと第2面12SBとの間にはそれぞれの面の周縁に接続する第3面(側面)12SCを有することが好ましい。この第3面12SCと前述の板状体表面11S,11BS(突起12A,12Bの底面)との成す角度である側面傾斜角θA,θBは、異なっている。例えばθA<θBとなっていることが好ましい。このようにθA<θBとなっている場合には、突起頂部12BTの角度αBが突起頂部12ATの角度αAよりも小さくなるので、支持体に下面に位置する繊維ウエブでも、賦形後の支持体10から剥がしやすくなる。θAとθBの角度の差は双方の大小関係問わず、好ましくは2度から40度であり、さらに好ましくは5度から20度である。
上述のMD方向とは、機械方向であり不織布製造時における繊維ウエブの送給方向であり、上述のCD方向とは支持体10の表面11SにおけるMD方向に対して直交する方向である。例えば、繊維ウエブの配向がMD方向に整列している繊維が多い場合、繊維ウエブは、突起12と概ね並行に存在することにより、支持体に入り込みやすくなり、また離型しやすくなる。また突起12と孔13は、MD方向とそれに直交するCD方向とに交互に配置されている。このため、孔13の存在により支持体10に吹き付けられた空気は、突起12の先端から孔13にスムーズに流れ、且つ、板状体11Sの表面で跳ね返ることがほとんどなく孔13内に収束される。よって、繊維ウエブを効率的に凹凸形状に賦形することができる。
また、突起12の第1面12SA、第2面12SBおよび第3面12SCのうち少なくとも1面は粗面化されていることが好ましい。この面粗さは、繊維ウエブの繊維の種類、繊維径等によって、適宜選択される。
上記支持体10の高さの異なる突起12A,12Bの配置例を以下に説明する。突起12の高さが2種類の場合は、前述したような配置となる。
突起の高さが突起12A,12B,12Cでそれぞれ異なり、突起12Aの高さ>突起12Bの高さ>突起12Cの高さとなる3種類の場合は以下のようになる。
図3に示すように、第1方向X(CD方向)で図面右から左に順に突起12A,12B,12Cの順で繰り返し配置され、第2方向Y(MD方向)に図面上側から下側に向かって突起12A,12B、12Cの順に繰り返し配置されている。このような配置では、どの突起をみても、その突起の第1方向Xおよび第2方向Yに隣り合う突起によって囲まれている。
例えば、突起12Aに着目すると、第1方向Xに隣り合う突起は突起12Bと突起12Cであり、第2方向Yに隣り合う突起は突起12Cと突起12Bである。突起12Bに着目すると、第1方向Xに隣り合う突起は突起12Cと突起12Aであり、第2方向Yに隣り合う突起は突起12Aと突起12Cである。突起12Cに着目すると、第1方向Xに隣り合う突起は突起12Aと突起12Bであり、第2方向Yに隣り合う突起は突起12Bと突起12Aである。このように、どの突起12も高さの異なる突起12によって囲まれている。
また、突起の高さが突起12A,12B,12C,12Dでそれぞれ異なり、突起12Aの高さ>突起12Bの高さ>突起12Cの高さ>突起12Dの高さとなる4種類の場合は以下のようになる。
図4に示すように、第1方向X(MD方向)で図面右から左に順に突起12A,12B,12C,12Dの順で繰り返し配置され、第2方向Y(CD方向)に図面上側から下側に向かって突起12D,12C,12B,12Aの順に繰り返し配置されている。このような配置では、どの突起をみても、その突起の第1方向Xおよび第2方向Yに隣り合う突起によって囲まれている。
例えば、突起12Aに着目すると、第1方向Xに隣り合う突起は突起12Bと突起12Dであり、第2方向Yに隣り合う突起は突起12Sと突起12Dである。突起12Bに着目すると、第1方向Xに隣り合う突起は突起12Cと突起12Aであり、第2方向Yに隣り合う突起は突起12Cと突起12Aである。突起12Cに着目すると、第1方向Xに隣り合う突起は突起12Dと突起12Bであり、第2方向Yに隣り合う突起は突起12Dと突起12Bである。さらに突起12Dに着目すると、第1方向Xに隣り合う突起は突起12Aと突起12Bであり、第2方向Yに隣り合う突起は突起12Aと突起12Bである。このように、どの突起12も高さの異なる突起12によって囲まれている。
本発明の支持体10は、繊維ウエブに熱風を吹き付ける賦形処理における繊維ウエブを支持する賦形不織布用支持体として用いることで、支持体10の凹凸形状に沿わせて賦形不織布に凸部の高さが異なる凹凸形状を賦形することができる。また賦形処理時に吹き付けた熱風によって繊維ウエブの繊維を乱すことなく、かつ支持体10に配した孔13を通しての繊維同士の融着や交絡を起こすことがない。したがって、高さの異なる突部を有する立体的な凹凸不織布を少ない目付(密度)で効果的に厚みのある不織布に成形できるという繊維ウエブの賦形性に優れ、しかも連続生産を可能にする。
また突起12の両側に孔13が配置されていることから、孔13を十分な大きさに存在させることができるので、支持体10に吹き付けられた空気は板状体11の表面で跳ね返ることがほとんどなく孔13内に収束される。しかも、突起12Bが配される板状体表面11BSは、突起12Aが配される板状体表面11Sよりも一段低い位置に存するので、さらに吹き付けられた空気は孔13内に導かれやすくなるので、繊維ウエブの賦形がよりしっかりとできるようになる。これによって、繊維ウエブを明瞭な高さの異なる凸部を有する凹凸形状に効率的に賦形することができる。
また、支持体10が線材を編んで構成されたものではなく、突起12が対向する第1面12SAと第2面12SBとを有することから、突起12内に繊維が入り込んで絡まることがない。
さらに隣接する突起列が間隔を置いて配されていることから、突起列方向をMD方向とすることにより、支持体10から賦形された繊維ウエブを剥がしやすくなる。よって、本発明の支持体10を用いることにより、賦形後の繊維ウエブの剥がれ性がよくなる。
これらによって、連続生産が可能になり、生産性が向上する。
また、板状体表面11S,11BSが平面を成しているため、上記支持体10を用いて繊維ウエブを賦形する際に繊維ウエブに空気を吹き付けると、繊維ウエブは孔13内に押し込まれた状態でその平面の板状体表面11S,11BSに面接触することから、仕上がった不織布が毛羽立ちにくくなる。
また、上記支持体10を用いて繊維ウエブを凹凸形状に賦形する際に、上記突起12が、平面視、第1、第2面12SA、12SB方向に長く構成されていることから、繊維ウエブの繊維を第1、第2面12SA、12SBの面方向に沿って配向させることで、繊維の選り分けが容易になる。また、賦形時に膨大な風速を必要としない利点がある。
また、突起12の第1面12SA、第2面12SB、第3面12SCの少なくとも1面が粗面化されている構成では、繊維ウエブに空気を吹き付けて賦形する際に、繊維が突起12表面を滑り落ちることなく、粗面化された面に適度に引っかかりやすくなる。このため、突起12表面にそって繊維ウエブを凹凸形状に賦形しやすくなる。
さらに、上記支持体10においては、突起12に第1面12SAと第2面12SBとの間を貫通する貫通孔(図示せず)を有していてもよい。ただし、突起12の第3面12SCと貫通孔との距離を十分に確保する必要がある。すなわち、貫通孔を通して繊維ウエブの繊維が絡み合わない距離が必要である。
このような貫通孔を有することから、支持体10の質量を軽くすることができる。特に支持体10が金属製の場合に軽量化の効果が大きい。これによって、支持体搬送の動力を小さくすることができ、また支持体10の構成材料を少なくすることができ、省エネルギー、省資源化が達成できる。
次に、本発明に係る不織布製造用支持体(以下、支持体という)の好ましい一実施形態(第2実施形態)について、図5を参照しながら、以下に説明する。
図5に示すように、本発明の支持体20は、並列に配された複数の棒状体21と、各棒状体21間に配された複数の突起22(22A,22B)と、各棒状体21間でかつ各突起22間に存する孔23を有するものである。突起22と孔23は、棒状体21間で棒状体21に沿う第1方向Xに交互に配されている。
また突起22は、上記第1方向Xと異なる第2方向Yに直列状に配されている。突起22は、対向する第1面22SAと第2面22SBとを有していて、棒状体最下端21Bから突起頂部22AT,22BTまでの高さが少なくとも2種類以上である。この棒状体21の断面形状は、円形、長円形、楕円形、多角形(例えば、四角形、六角形、八角形等)等の如何なる形状であってもよい。好ましくは、賦形した後の不織布を支持体からの剥離性が良いという理由から丸や四角形の棒状体が用いられる
さらに突起22(22A)は、隣り合う別の突起22(22B)で取り囲むように各突起22が間隔を置いて配置され、かつ取り囲まれる突起22Aの高さと取り囲む突起22Bの高さとが異なっている。
すなわち、突起22(22A,22B)は、棒状体21の最下端21Bから突起頂部22AT,22BTまでの高さが少なくとも2種類以上の高さを有している。図示例では、棒状体21の最下端21Bから突起頂部22ATまでの高さA1と、棒状体21の最下端21Bから突起頂部22BTまでの高さB1とが異なる。すなわち、A1>B1となっている。さらに、突起22Aが配される位置の棒状体21の高さA3と、突起22Bが配される位置の棒状体21の高さB3とは同一になっている。また、上記A1>B1、A3=B3なる関係を満たしていれば、棒状体21の断面形状が同じサイズとすれば、各棒状体最上端21Sから突起頂部22ATまでの高さA2と棒状体最上端21Sから突起頂部22BTまでの高さB2とが異なる。すなわち、棒状体最上端21Sから突起頂部22ATまでの高さA2は、棒状体最上端21Sから突起頂部22BTまでの高さB2はことなっており、A2>B2となっている。
さらに、突起22は、隣り合う別の突起22で取り囲むように間隔を置いて配置されている。例えば、突起22Aは高さの異なる隣り合う別の突起22Bで取り囲まれている。ここで、高さが異なるとは前述の高さA3と高さB3とが異なることである。また取り囲まれているとは、第1方向Xと第2方向Yが直交する場合、突起22Aに対して第1方向Xと第2方向Yとで隣り合う突起22Bの配置状態をいう。また、第1方向Xと第2方向Yが直交していない場合の隣り合う突起とは、突起22Aに対して第1方向X、第2方向Y、それらと異なる第3方向W(図示せず)で隣り合う高さの異なる突起22Bの配置状態をいう。
なお、棒状体21は、コンベアベルトを構成する場合には直線状の棒状体を成していることが好ましく、ドラムを構成する場合にはドラムの曲面を成していることが好ましい。
上記複数の突起22は、それぞれに対向する第1面22SAと第2面22SBとを有する。第1面22SAと第2面22SBは、平面であってもよいが、曲面であってもよい。この第1面22SAのそれぞれは第1方向X(例えばCD方向)に向き、第2面22SBのそれぞれは第1面22SAとは当該突起22を介してCD方向の反対方向に向いている。言い換えれば、突起22は、第1面22SA、第2面22SBが第2方向Y(例えばMD方向)に沿うように配されている。また、突起22は、平面視、第1、第2面22SA、22SB方向に長く、例えば角部を丸くした長方形となっている。このように、突起22の横断面の形状は、頂部を除き、角に丸みを有する長方形、長円形または楕円形が好ましい。また、突起22の縦断面(MD方向断面)は、先または角が曲面になった長方形、台形または三角形が好ましい。さらに、突起22の第1面22SAと第2面22SBとの間にはそれぞれの面の周縁に接続する第3面(側面)22SCを有することが好ましい。この第3面22SCと前述の棒状体最下端21Bを含む面との成す角度である側面傾斜角θA,θBは、異なっている。
また、突起22の第1面22SA、第2面22SBおよび第3面22SCのうち少なくとも1面は粗面化されていることが好ましい。この面粗さは、繊維ウエブの繊維の種類、繊維径等によって、適宜選択される。
上記支持体20の高さの異なる突起22の配置例は、前記第1実施形態で説明した配置例に準じる。
すなわち、突起22の高さが2種類の場合は、前述したような配置となる。
突起の高さが突起22A,22B,22Cでそれぞれ異なり、突起12Aの高さ>突起12Bの高さ>突起12Cの高さとなる3種類の場合は、第1方向X(MD方向)で図面右から左に順に突起22A,22B,22Cの順で繰り返し配置され、第2方向Y(CD方向)に図面上側から下側に向かって突起22A,22B、22Cの順に繰り返し配置される。
また、突起の高さが突起22A,22B,22C,22Dでそれぞれ異なり、突起22Aの高さ>突起22Bの高さ>突起22Cの高さ>突起22Dの高さとなる4種類の場合は、第1方向X(MD方向)で図面右から左に順に突起22A,22B,22C,22Dの順で繰り返し配置され、第2方向Y(CD方向)に図面上側から下側に向かって突起22D,22C,22B,22Aの順に繰り返し配置される。このような配置では、どの突起をみても、その突起の第1方向Xおよび第2方向Yに隣り合う突起によって囲まれている。
本発明の支持体20は、繊維ウエブに熱風を吹き付ける賦形処理における繊維ウエブを支持する賦形不織布用支持体として用いることで、支持体20の凹凸形状に沿わせて賦形不織布に凸部の高さが異なる凹凸形状を賦形することができる。また賦形処理時に吹き付けた熱風によって繊維ウエブの繊維を乱すことなく、かつ支持体20に配した孔23を通しての繊維同士の融着や交絡を起こすことがない。したがって、高さの異なる突部を有する立体的な凹凸不織布を少ない目付(密度)で効果的に厚みのある不織布に成形できるという繊維ウエブの賦形性に優れ、しかも連続生産を可能にする。
また突起22の両側に孔23が配置されていることから、孔23を十分な大きさに存在させることができるので、支持体20に吹き付けられた空気は棒状体21の表面で跳ね返ることがほとんどなく孔23内に収束されるので、繊維ウエブの賦形がよりしっかりとできるようになる。これによって、繊維ウエブを明瞭な高さの異なる凸部を有する凹凸形状に効率的に賦形することができる。
また、支持体20が線材を編んで構成されたものではなく、突起22が対向する第1面22SAと第2面22SBとを有することから、突起22内に繊維が入り込んで絡まることがない。
さらに隣接する突起列が間隔を置いて配されていることから、突起列方向をMD方向とすることにより、支持体20から賦形された繊維ウエブを剥がしやすくなる。よって、本発明の支持体20を用いることにより、賦形後の繊維ウエブの剥がれ性がよくなる。
これらによって、連続生産が可能になり、生産性が向上する。
また、上記支持体20を用いて繊維ウエブを凹凸形状に賦形する際に、上記突起22が、平面視、第1、第2面22SA、22SB方向に長く構成されていることから、繊維ウエブの繊維を第1、第2面22SA、22SBの面方向に沿って配向させることで、繊維の選り分けが容易になる。また、賦形時に膨大な風速を必要としない利点がある。
また、突起22の第1面22SA、第2面22SB、第3面22SCの少なくとも1面が粗面化されている構成では、繊維ウエブに空気を吹き付けて賦形する際に、繊維が突起22表面を滑り落ちることなく、粗面化された面に適度に引っかかりやすくなる。このため、突起22表面にそって繊維ウエブを凹凸形状に賦形しやすくなる。
さらに、上記支持体20においては、突起22に第1面22SAと第2面22SBとの間を貫通する貫通孔(図示せず)を有していてもよい。ただし、突起22の第3面22SCと貫通孔との距離を十分に確保する必要がある。すなわち、貫通孔を通して繊維ウエブの繊維が絡み合わない距離が必要である。
このような貫通孔を有することから、支持体20の質量を軽くすることができる。特に支持体20が金属製の場合に軽量化の効果が大きい。これによって、支持体搬送の動力を小さくすることができ、また支持体20の構成材料を少なくすることができ、省エネルギー、省資源化が達成できる。
次に、図6を参照して、本発明の支持体10または20を用いた賦形不織布の製造方法の実施に好ましく用いられる賦形不織布の製造装置の一例について説明する。以下の説明では一例として支持体10を用いる。
図6に示すように、賦形不織布の製造装置101は、熱可塑性繊維を含有する繊維ウエブ50を搬送する支持体10を有する。上記繊維ウエブ50は支持体10の表面に供給され、支持体10の表面に載った状態でエアースルー方式により賦形処理と熱処理が行われ、所定の方向に送り出される。
上記支持体10は、コンベアで構成され、通気性を有するコンベアベルト110Bが上側両端と下側両端の4か所に配された回転支持ローラ110R(110Ra、110Rb、110Rc、110Rd)に支持されて回転するように構成されている。この回転支持ローラ110Rは、4か所に限定されず、コンベアベルト110Bが円滑に回転するように配されていればよい。コンベアベルト110Bの表面側には前述した支持体10が配置され、その支持体10の表面には、前述したように複数の突起12と複数の孔13が配されている。
支持体10は、コンベアベルト10Bが回転支持ローラ10Rに支持されて回転することにより、突起12(前記図1,2参照)を有する面側で、突起12で繊維ウエブ50を掛け止めるようにして繊維ウエブ50を搬送する。支持体10の突起12が配されている上方には、繊維ウエブ50の供給方向にそって順に、賦形処理をする第1の熱風(例えば高速空気)W1を噴射する第1エアースルー工程を行う第1ノズル111と、第2の熱風W2を噴射して熱処理を行う第2エアースルー工程を行う第2ノズル112とが配されている。
第1ノズル111は、第1の熱風W1を、突起12が配されている支持体10の表面に対して、例えばほぼ垂直に噴射する。この第1ノズル111から噴射された第1の熱風W1が繊維ウエブ50の表面の幅方向に均一に吹き付けられることが好ましい。
第2ノズル112は、図示しない第2ヒータで加熱された第2の熱風W2を、突起12を有する支持体10の表面に対して、例えばほぼ垂直に噴射する。第2ノズル112から噴射される第2の熱風W2が繊維ウエブ50の表面の幅方向に均一な温度で吹き付けられることが好ましい。この第2の熱風W2には、上記第2ヒータによって加熱された空気、窒素等を用いることができ、好ましくは、コストがかからず加熱した際の安定性、安全性が高い空気を用いる。
上記第1ノズル111の吹き出し方向には、第1ノズル111から噴射され、繊維ウエブ50、支持体10等を通ってきた第1の熱風W1を排気する図示しない吸引部が配されている。この吸引部には、吸引された第1の熱風W1を排出する排気装置(図示せず)が接続されていてもよい。またさらに、第2ノズル112の吹き出し方向には、第2ノズル112から噴出され、繊維ウエブ50、支持体10等を通ってきた第2の熱風W2を排気する図示しない吸引部が配されている。この吸引部には、吸引された第2の熱風W2を排出する排気装置(図示せず)が接続されていてもよい。また、それぞれの排気装置は一つの排気装置として、それぞれの吸引部に接続されたものでもよい。
次に、本発明の賦形不織布の製造方法に係る好ましい一実施形態(第1実施形態)について、前述の図6を参照しながら、以下に説明する。
前述の図6に示すように、第1実施形態の賦形不織布の製造方法は、前述の賦形不織布の製造装置101によって実現される。
まず、繊維ウエブ50を支持体10の突起12(前記図1,2参照)が配された上面側に供給する。
繊維ウエブ50の繊維に用いることができる繊維材料は特に限定されない。具体的には、下記の繊維などが挙げられる。ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維がある。また、芯鞘(同芯や偏芯)型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維がある。本発明では複合繊維を用いるのが好ましい。ここでいう複合繊維とは、高融点成分が芯部分で低融点成分が鞘部分とする芯鞘繊維、また高融点成分と低融点成分とが並列するサイドバイサイド繊維が挙げられる。その好ましい例として、鞘成分がポリエチレンまたは低融点ポリプロピレンである芯鞘構造の繊維が挙げられ、該芯/鞘構造の繊維の代表例としては、PET(芯)とPE(鞘)、PP(芯)とPE(鞘)、PP(芯)と低融点PP(鞘)等の繊維が挙げられる。さらに具体的には、上記構成繊維は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン複合繊維を含むのが好ましい。ここで、該ポリエチレン複合繊維の複合組成は、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンであり、該ポリプロピレン複合繊維の複合組成が、ポリエチレンテレフタレートと低融点ポリプロピレンであるのが好ましく、より具体的には、PET(芯)とPE(鞘)、PET(芯)と低融点PP(鞘)が挙げられる。また、これらの繊維は、単独で用いて不織布を構成してもよいが、2種以上を組み合わせた混繊として用いることもできる。
そして、上記繊維ウエブ50に第1の熱風W1を吹き付けて、通気性の支持体10に追随させる第1エアースルー工程を行う。このとき、第1の熱風W1は、繊維ウエブ50が載っている支持体10の表面に対して垂直方向から吹き付ける。この第1の熱風W1によって、支持体10の高さの異なる突起12の形状に沿った凹凸形状に繊維ウエブ50が賦形される。この時、第1の熱風W1は、繊維を軟化させる程度の温度あるいはその凹凸形状が維持できる程度に繊維ウエブ50の繊維同士の融着が起こる温度でよい。このとき、第1の熱風W1の温度は、繊維の種類、加工速度、熱風の風速などによって変わるので一義的に定まるものではないが、繊維ウエブ50の繊維が、芯部がポリエチレンテレフタレート(PET)であり鞘部がポリエチレン(PE)の芯鞘構造の複合繊維である場合、80℃以上155℃以下とし、好ましくは120℃以上135℃以下とする。
なお、第1の熱風W1の温度が低すぎる場合、繊維の戻りが生じ賦形性が低下する。一方、温度が高すぎる場合、繊維同士が一気に融着し、自由度の低下により賦形性が損なわれることとなる。
また第1の熱風W1は、20m/sec以上120m/sec以下、好ましくは、40m/sec以上80m/sec以下の風速とする。第1の熱風W1の風速が遅すぎると十分な賦形ができず、賦形性が損なわれることがある。一方、風速が速すぎると、繊維ウエブ50の繊維が突起12により選り分けられ、賦形され過ぎた状態になる。よって、第1の熱風W1の風速は上記の範囲とする。
さらに第1の熱風W1の吹き付け時間は、0.001秒以上0.1秒以下、好ましくは、0.003秒以上0.05秒以下とする。吹き付け時間が短すぎると繊維ウエブ50の繊維同士の融着が不十分になり凹凸形状に十分に賦形ができなくなる。一方、吹き付け時間が長すぎると繊維ウエブ50の繊維同士の融着が進み過ぎ、自由度の低下により賦形性が損なわれることとなる。
そして繊維ウエブ50を通過した第1の熱風W1は、支持体10の孔13を通って吸引部から外部に排出される。
次に、繊維ウエブ50を支持体10のコンベアベルト110Bの回転とともに第2ノズル112の第2の熱風W2の吹き付け位置まで搬送する。第2ノズル112によって第2の熱風W2を噴射し繊維ウエブ50に吹き付け、繊維ウエブ50の凹凸形状を維持した状態で繊維同士を融着させて凹凸形状を固定する第2エアースルー工程を行う。このとき、第2の熱風W2は、繊維ウエブ50の表面に対して垂直方向から吹き付ける。また第2ノズル112の吹き出し数は繊維ウエブ50の送給方向にそって複数個所とすることが好ましい。
第2の熱風W2の温度は、繊維の種類、加工速度、熱風の風速などによって変わるので一義的に定まるものではないが、繊維ウエブ50の繊維が上述のようなPETとPEとの芯鞘構造の複合繊維である場合、繊維ウエブ50の繊維の低融点成分の融点以上、繊維ウエブ50の繊維の高融点成分の融点未満とする。好ましくは135℃以上155℃以下、より好ましい温度として135℃以上150℃以下とする。
なお、第2の熱風W2の温度が繊維ウエブ50の繊維の低融点成分の融点より低くなると、凹凸形状の保持性が低下し、繊維ウエブ50の繊維の高融点成分の融点以上になると、風合いが悪くなり、また嵩がでにくくなる。
また第2の熱風W2は、好ましくは第1の熱風W1の風速よりも遅く設定する。具体的には、1m/sec以上10m/sec以下、より好ましくは、2m/sec以上8m/sec以下とする。第2の熱風W2の風速が遅すぎると繊維ウエブ50の内部まで第2の熱風W2がいきわたらず接続に繊維同士の融着が不十分になる。一方、風速が速すぎると繊維ウエブ50の繊維が乱れ、賦形形状が乱れることになる。よって、第2の熱風W2の風速は上記の範囲とする。
さらに第2の熱風W2の吹き付け時間は、0.03秒以上5秒以下、好ましくは、0.1秒以上1秒以下とする。吹き付け時間が短すぎると繊維ウエブ50の繊維同士の融着が十分にできず凹凸形状を固定することが難しくなる。一方、吹き付け時間が長すぎると繊維ウエブ50の繊維同士が融着され過ぎて、液浸透性が得られ難くなる。
上述の第1実施形態の賦形不織布の製造方法では、図7に示すように、突起12(12A,12B)の高さの違いにより、賦形された繊維ウエブ50は、凸部の高さの異なる不織布系不織布になる。また、支持体10を用いた賦形処理では、吹き付けた熱風によって繊維ウエブ50の繊維が乱れることなく、かつ支持体10に配した孔13を通しての繊維同士の融着や交絡を起こすことがない。したがって、立体的な凹凸を有し、かつ高さの異なる凸部(50AT,50BT)を有する賦形不織布を、少ない目付(密度)で効果的に成形できる。特に厚みのある吸収体に用いることができる液残りの少ない賦形不織布にも成形できる。このように、本製造方法は、繊維ウエブ50の賦形性に優れ、しかも連続生産を可能にする。
そして、この製造方法で製造された賦形不織布を吸収性物品に用いることで、通気性が良く、肌触りが良い吸収性物品を得ることができる。
次に、本発明に係る賦形不織布の製造方法に用いる製造装置の好ましい別例について、図8を参照しながら、以下に説明する。
図8に示すように、賦形不織布の製造装置201は、熱可塑性繊維を含有する繊維ウエブ50を搬送する支持体10を有する。上記繊維ウエブ50は図示しない送給コンベアによって支持体10の表面に供給され、賦形された繊維ウエブ50は支持体10より図示しない案内ローラよって所定の方向に送り出される。
上記支持体10は、ドラム形状を成し、その表面には、前述したようにMD方向および複数の突起12と複数の孔13(前記図1,2参照)が交互に等間隔に配されている。支持体10がドラム形状を成しているため、突起12および孔13を除く支持体10の表面は円筒表面であり、MD方向に曲率を有する曲面になっている。
支持体10の突起12が形成されている外方には、繊維ウエブ50の供給方向にそって順に、第1の熱風W1を噴射する第1ノズル211と、第2の熱風W2を噴射する第2ノズル212とが備られている。
第1ノズル211は、図示しないヒータを備え、このヒータで加熱された第1の熱風W1を突起12が配されている支持体10の表面に対して、例えば均一な温度でほぼ垂直に噴射する。第2ノズル212は、図示しないヒータを備え、このヒータで加熱された第2の熱風W2を支持体10の突起12が配されている表面に対して、例えば均一な温度で、ほぼ垂直に噴射する。
さらに、第1ノズル211の吹き出し方向には、第1ノズル211から繊維ウエブ50、支持体10を通して噴射された第1の熱風W1を吸引する図示しない吸引部が配されている。この吸引部には、吸引された第1の熱風W1を排気する図示しない排気装置が接続されている。またさらに、第2ノズル212の吹き出し方向には、第2ノズル212から繊維ウエブ50、支持体10を通して噴射された第2の熱風W2を吸引する図示しない吸引部が配されている。この吸引部には、吸引された第2の熱風W2を排気する図示しない排気装置が接続されている。また、それぞれの排気装置は一つの排気装置として、それぞれの吸引部に接続されたものでもよい。
次に、本発明の賦形不織布の製造方法に係る第1実施形態の別例について、前記図8を参照しながら、以下に説明する。
前記図8に示すように、賦形不織布の製造方法の別例は、前述の賦形不織布の製造装置201によって実現される。
まず、図示しない送給部によって繊維ウエブ50を支持体10の突起12(前記図1,2参照)が形成された表面に送給する。繊維ウエブ50の繊維に用いることができる繊維材料は特に限定されない。具体的には、上述の第1実施形態で説明した繊維などが挙げられる。
そして、第1ノズル211より第1の熱風W1が噴射され、支持体10表面に送給された繊維ウエブ50に吹き付ける。このとき、第1の熱風W1は、支持体10の表面に対して垂直方向から吹き付ける。この第1の熱風W1によって、支持体10の突起12の形状に沿った凹凸形状に繊維ウエブ50が賦形される。そのときの第1の熱風W1の温度は、繊維を軟化させる温度または、繊維ウエブ50の繊維同士の融着が、その凹凸形状が維持できる程度の仮融着でよい。このとき、熱風の温度は、繊維の種類、加工速度、熱風の風速などによって変わるので一義的に定めることはできないが、通常、第1の熱風W1の温度を、繊維ウエブ50の繊維の低融点成分の融点前後の温度に制御するのが好ましく、好ましくは80℃以上150℃以下、より好ましくは120℃以上140℃以下に制御する。
なお、第1の熱風W1の温度が低すぎる場合には、繊維の戻りが生じ賦形性が悪くなり、高すぎる場合には、繊維同士が一気に融着し自由度の低下により賦形性が損なわれることとなる。
そして繊維ウエブ50を通過した第1の熱風W1は、支持体10の孔13を通して吸引部より排気装置によって外部に排気される。
次に、繊維ウエブ50を支持体10の回転とともに第2ノズル212の第2の熱風W2の噴射位置まで搬送する。そして、第2ノズル212によって第2の熱風W2を噴射し、繊維ウエブ50の凹凸形状を保持した状態で繊維ウエブ50の繊維同士を融着させて凹凸形状を固定する。このとき、第2の熱風W2は、支持体10の表面に対して垂直方向から吹き付ける。また第2ノズル212の吹き出し数は繊維ウエブ50の送給方向にそって複数箇所とすることが好ましい。このときの第2の熱風W2の温度を、繊維ウエブ50の繊維の低融点成分の融点以上、繊維ウエブ50の繊維の高融点成分の融点未満に制御する。好ましくは135℃以上155℃以下に制御する。
なお、第2の熱風W2の温度が低すぎると凹凸形状の保持性が悪くなり、高すぎると風合いが悪くなり、また嵩がでにくくなる。
その後、賦形された繊維ウエブ50は支持体10より案内部としての案内ローラ(図示せず)よって所定の方向に送り出される。
上述の賦形不織布の製造方法の第2実施形態では、前述の賦形不織布の製造方法の第1実施形態と同様なる作用効果が得られる。
次に、本発明の賦形不織布の製造方法に係る第2実施形態について、図9を参照しながら以下に説明する。
図9に示すように、前記図6によって説明したように、賦形不織布の製造装置101によって、高さの異なる複数の突起(図示せず)と複数の孔(図示せず)とを有する支持体10上に熱可塑性繊維を含有する繊維ウエブ50を搬送して第1の熱風W1,第2の熱風W2を吹き付け、繊維ウエブ50を該支持体10の凹凸形状に沿わせて繊維ウエブ50を高さの異なる凸部(図示せず)を有する凹凸形状に賦形する賦形処理を行う。その後、繊維ウエブ50を支持体10から剥す。次に、第3ノズル113によって繊維ウエブ50に第3の熱風W3を吹き付けて熱処理する。この熱処理によって、繊維ウエブ50の凹凸形状を保持した状態で繊維ウエブ50の毛羽立ち繊維面は、例えばネット面(図示せず)に押さえられ、且つ、寝かせられるので、融着した面が滑らかになる。このときの第3の熱風W3の温度は、繊維の種類、加工速度、熱風の風速などによって変わるので一義的に定まるものではないが、繊維ウエブ50の繊維が、上述のようなPETとPEとの芯鞘構造の複合繊維である場合、好ましくは130℃以上155℃以下とし、より好ましくは130℃以上145℃以下とする。
なお、第3の熱風W3の温度が低すぎると毛羽立ち繊維面の融着ができずに毛羽立ちを低減することが困難になる。一方、第3の熱風W3の温度が高すぎると、毛羽立ち繊維以外の繊維同士も過度に融着されて、風合いが硬くなることがある。
また第3の熱風W3は、前記の第1の熱風W1の風速よりも遅い風速で、かつ繊維ウエブ50の毛羽立ち繊維をネット面(図示せず)に押さえ、寝させる風速とする。具体的には、好ましくは1.0m/sec以上5m/sec以下とする。第3の熱風W3の風速が遅すぎると毛羽立ち繊維を融着させることができず、毛羽立ちの低減が不十分になる。一方、風速が速すぎると、風圧で不織布の厚みが小さい状態になり、その状態で加熱されるため毛羽立ち繊維以外の繊維同士の融着が多く起こるため、厚みが小さくなり、感触と液浸透性が不十分になる。よって、第3の熱風W3の風速は上記の範囲とし、より好ましくは、1m/sec以上2m/sec以下とする。
さらに第3の熱風W3の吹き付け時間は、好ましくは0.3秒以上10秒以下とし、より好ましくは、2秒以上6秒以下とする。吹き付け時間が短すぎると毛羽立ち繊維と他の繊維同士の融着が十分にできず毛羽立ちを低減することが難しくなる。一方、吹き付け時間が長すぎると繊維ウエブ50の毛羽立ち繊維以外の繊維同士が融着され過ぎて、液透過性が得られ難くなる。
この熱処理工程では、第3の熱風W3の熱により毛羽立ち繊維が軟化され、その毛羽立ちしている部分が風圧によって寝せられて、毛羽立ち繊維の毛羽立ちしていた部分と他の繊維(基部の繊維)の毛羽立ちしていない部分同士が新たな融着点で融着する。そしてこの熱処理工程後、毛羽立ち繊維と他の繊維同士の融着点が固化され、毛羽立ちがない賦形不織布が製造される。このとき、賦形不織布の基部がしっかり固定されているので、この熱処理工程で繊維ウエブ50の厚みが薄くなることはなく、十分な厚みが得られる。さらに、賦形不織布の表面に外力をかけて使用状態を再現しても、毛羽立ち繊維が起き上がって毛羽立つことはない。
なお、この製造方法では、第3の熱風W3の吹き付けによって毛羽立ち繊維を軟化させて変形させているが、第2の熱風W2の吹き付けによって毛羽立ち繊維を軟化させて寝せるように変形させてもよい。
以下に、上述の支持体10および20を用いた前述の第1実施形態の賦形不織布の製造方法により賦形不織布を製造した実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、支持体10の各部位の寸法について以下に説明する。
前記図1によって説明したように、高さの異なる突起12A,12Bの板状体裏面11Bからの高さをA1,B1、突起12A,12B自体の高さをA2,B2、板状体裏面11Bから突起12A,12Bが配される位置までの高さA3,B3(板状体11の厚み)とする。また図10に示すように、突起12については、MD方向のピッチをPpm、CD方向のピッチをPpc、MD方向の突起12の基部幅をWpm、CD方向の突起12の基部幅をWpcとする。図示はしていないが、CD方向から投影した突起12A,12B側面の頂部の丸み半径をRAts,RBts、MD方向から投影した突起12A,12B頂部の丸み半径をRAt,RBtとする。さらに、突起12の側面の側面傾斜角をθA,θBとする。
また孔13については、MD方向のピッチをPhm、CD方向のピッチをPhc、孔13のMD方向の径または長さをφm、孔13のCD方向の径または長さをφcとする。
まず、支持体20の各部位の寸法について以下に説明する。
前記図5によって説明したように、高さの異なる突起22A,22Bの棒状体最下端21Bからの高さをA1,B1、突起22A,22B自体の高さをA2,B2、棒状体最下端21Bから突起22A,22Bが配される位置までの高さA3,B3(棒状体21の厚み)とする。また図11に示すように、突起22については、MD方向のピッチをPpm、CD方向のピッチをPpc、MD方向の突起22の基部幅をWpm、CD方向の突起22の基部幅をWpcとする。図示はしていないが、CD方向から投影した突起22A,22B側面の頂部の丸み半径をRAts,RBts、MD方向から投影した突起22A,22B頂部の丸み半径をRAt,RBtとする。さらに、突起22の側面の側面傾斜角をθA,θBとする。
また孔23については、MD方向のピッチをPhm、CD方向のピッチをPhc、孔23のMD方向の径または長さをφm、孔23のCD方向の径または長さをφcとする。
[実施例1−2]
実施例1の支持体10は、一体成型された金属製(例えばアルミニウム製)のものである。板状体11の厚みはT=3mmである。突起12および孔13は、MD方向に交互に配置されていて、かつ突起12同士が等間隔に配置され、突起の両側に孔13が配されている。
突起12A、12BのMD方向のピッチはPpm=8mm,8mm、CD方向のピッチはPpc=5mm,5mm、突起12A,12Bの高さはA1=6.0mm,B1=3.0mm、MD方向の突起12A,12Bの基部幅はWpm=2.5mm,2.2mm、CD方向の突起12の基部幅はWpc=1mm,1mmである。
また、CD方向から見た突起12Aの形状は先端に丸みを有する三角形状であり、MD方向からみた突起12の形状は角部に丸みを有する四角形状である。CD方向から見た突起12Bの形状は先端に丸みを有する三角形状であり、MD方向からみた突起12の形状は四角形状である。さらにCD方向から投影した突起12A,12Bの側面の頂部の丸み半径はRts=0.6mm、MD方向から投影した突起12A,12Bの上部の丸み半径はRt=0.5mm,0.5mmである。また、突起12A,12Bの側面傾斜角はθA=30°,θB=75°、またはθA=20°,θB=80°である。
孔13は、MD方向の長さがφm=3.5mm、CD方向の長さがφc=1.2mmである。
実施例2の支持体20は、一体成型されたものである。棒状体21の厚みはT=3mmである。突起22および孔23は、CD方向にそれぞれ交互に配置されていて、かつ突起12同士が等間隔に配置され、さらに孔13同士が等間隔に配置されている。また、MD方向には、突起22が棒状体21を介して直列状に配され、また孔23が棒状体21を介して直列状に配されている。
突起22のMD方向のピッチはPpm=15mm、CD方向のピッチはPpc=7.5mm、突起22Aの高さはA1=10.5mm、突起22Bの高さはB1=6.0mm、MD方向の突起22A,22Bの基部幅はWpm=7.5mm、CD方向の突起22A,22Bの基部幅はWpc=1.5mmである。
また、CD方向から見た突起22Aの形状は先端に丸みを有するおおむね三角形状であり、MD方向からみた突起22Aの形状は角部に丸みを有するおおむね四角形状である。さらにCD方向から投影した突起22Aの側面の頂部の丸み半径はRts=0.6mm、MD方向から投影した突起22A上部の丸み半径はRt=0.5mmである。
また、CD方向から投影した突起22Bの頂部を除く外形状も曲率を有する形状となっている。また、CD方向から見た突起22Bの形状は先端に丸みを有するおおむね三角形状であり、MD方向からみた突起22Bの形状は角部に丸みを有するおおむね四角形状である。さらにCD方向から投影した突起22Bの側面の頂部の丸み半径はRts=0.6mm、MD方向から投影した突起22B上部の丸み半径はRt=0.5mmである。また、CD方向から投影した突起22Bの頂部を除く外形状も曲率を有する形状となっている。
棒状体21の断面形状は、直径3mmの円形状である。したがって、棒状体21の厚みはTb=3.0mmであり、幅はWb=3.0mmである。
孔23は、MD方向のピッチがPhm=15mm、CD方向のピッチがPhc=7.5mm、MD方向の長さがφm=4.9mm、CD方向の長さがφc=2.3mmである。
[比較例1]
比較例1は、前述の特許文献1に開示された支持体であり、の高さはA1=9.5mmであり、A2=5mm、A3=5mmであり、MD方向のピッチはPpm=18mm、CD方向のピッチはPpc=5mmである。線径=1.5mmのワイヤーを使用している。
[参考例1]
参考例1の支持体は、一体成型された金属製(例えばアルミニウム製)のものである。板状体の厚みA3=3mmである。高さの等しい突起および孔は、MD方向およびCD方向にそれぞれ交互に配置されていて、かつ突起同士が等間隔に配置され、さらに孔同士が等間隔に配置されている。
突起のMD方向のピッチはPpm=8.0mm、CD方向のピッチはPpc=5.0mm、突起の高さはA2=3.0mm、MD方向の突起の基部幅はWpm=2.5mm、CD方向の突起の基部幅はWpc=1.0mmである。また、CD方向から見た突起の形状は先端に丸みを有する三角形状であり、MD方向からみた突起の形状は角部に丸みを有する四角形状である。さらにCD方向から投影した突起の側面の頂部の丸み半径はRts=0.6mm、MD方向から投影した突起の上部の丸み半径はRt=0.5mmである。また、側面の傾斜角度θ=75度である。突起の基部間距離は1.8mmである。
孔は、MD方向のピッチがPhm=8.0mm、CD方向のピッチがPhc=5.0mm、MD方向の径がφm=2.8mm、CD方向の径がφc=2.8mmである。
孔の位置は、孔の周囲に配置される四つの突起の中心位置に孔の中心が配置され、孔同士の配置パターンはひし形である。
実施例1は、芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維を目付25g/mとなるようカード機(図示せず)から図9に示す製造装置101に供給した。次いで、上記実施例1に記載の支持体10上に繊維ウェブ50を定着させ、繊維ウェブ50に第1の熱風W1(温度125℃、風速50m/sec)を吹きつけて、前記支持体10上の突起12にそって繊維ウェブ50を賦形した後、第2の熱風W2(温度145℃、風速5m/sec)を吹きつけて各芯鞘構造の繊維を融着させた。次いで賦形した不織布を取り出し、第3の熱風W3(温度139℃、風速1.5m/sec)を吹きつけて、不織布試験体を作製した。
実施例2および比較例1、参考例1も上記実施例1と同様にして、それぞれの不織布試験体を作製した。
次に、評価方法について説明する。評価は、賦形された繊維ウエブ(以下、賦形不織布という)の支持体からの剥がし易さ、賦形不織布のMD方向の摩擦(肌触り)、および賦形不織布の液の徐放性を調べた。
上記「剥がし易さ」は、支持体から賦形不織布を剥す際の官能評価であり、不織布の凹凸形状(支持体形状を転写した形状)が型崩れせず、気にすることなくスムーズに剥せた場合を表1中に◎印で示し、不織布の型崩れが気になるが、剥せた場合を表1中に○印で示し、不織布が多少型崩れしつつ剥せた場合を表1中に△印で示した。
上記「MD方向の摩擦(肌触り)」は、ウレタンフォーム(イノアック社製MF−30)をアクリル板に固定した状態で、賦形不織布に200gの荷重がかかるように賦形不織布を押し当てるとともに賦形不織布を振幅30.0mm、賦形不織布の移動速度10mm/s、往復移動回数5回として摩擦試験を行った。
摩擦力の測定装置は、新東科学株式会社製、TYPE:33(商品名)を用いた。サンプルには10×10cmに裁断したものを用い、そのサンプルをシワや弛みが無い様に測定用テーブル上に設置した。摩擦力(g)は、極大点を10点読み、その平均値とした。摩擦力が700g以下の場合、極めて良好であるとし、表1中に◎印で示した。摩擦力が700gより大きく750g未満の場合、良好であるとし、表1中に○印で示した。摩擦力が750g以上の場合、ややざらつきがあり、表1中に△印で示した。摩擦力が1000g以上の場合、ざらつきがあり、表1中に×印で示した。
上記「液の徐放性」は、賦形不織布を100mm×100mmに切り出して試験体とし、バット内に十分に満たしたイオン交換液中にその試験体を漬けて、その液を含侵させた後、ろ紙(ADVANTEC社製、グレード5C)10枚を試験体表面に載せる。続いて、上記ろ紙上に、100mm×100mm角の面積に3.5kPaの荷重をかけ、1分間放置する。次いで、試験体からろ紙を剥がし取り、ろ紙への液の転着量を調べた。転着量は、測定前後のろ紙の重量差を測定した値を用いた。転着量(g)の評価は、2.2g以下を良好とし、表1に○印で表した。3.5g以上はべたつくとし、表1に△印で表した。
Figure 0005869325
表1に示した結果から明らかなように、各実施例1、2のそれぞれの支持体10,20は、いずれの評価項目においても良好な結果(◎または○の評価)を得た。
これらの実施例1,2のそれぞれの支持体10,20は、一体成型されたものであり、いずれも、突起12Aと突起12Bの高さが異なるものであった。
したがって、本発明の支持体10,20を用いて繊維ウエブを賦形処理して賦形不織布を製造することにより、上記各評価項目において優れた結果(◎または○の評価)を有する、凸部の高さが異なる凹凸形状を有する賦形系不織布を作ることができる。
上記実施例1、2のそれぞれの支持体10、20は、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また一体成形品であるので、部品間に隙間を生じていないため、連続運転であっても、部品間の隙間に繊維が挟まり、賦形不織布の繊維を引き抜いて、パターン不明瞭や汚れの原因となることがない。
また摩擦力の測定後の実施例1,2の各賦形不織布の表面状態を観察した。その結果、摩擦が低いため表面の毛羽立ちは見受けられず、表面状態は良好であった。
実施例1,2の賦形不織布を吸収性物品の表面シートに用いた場合、肌面等の被接触面への接触面積が少なくなり、シート面方向の通気性が向上する。そのため、吸収性物品を装着した際に、快適な装着感が得られる。
比較例1は、繊維が三角らせん状の線材に挟まる場合があるため、賦形不織布の支持体からの剥がし易さがやや劣る(△の評価)。また、繊維ウエブから繊維が引き抜かれる場合があるので、賦形不織布の摩擦がやや大きくなり、肌触り感がやや劣る場合がある(△の評価)。さらに突出部の高さが同一のため、圧力に対して力の分散が起きないので、保持している液を一気に放出する。このため、液の徐放性がやや劣る(△の評価)。
参考例1は、賦形不織布の支持体からの剥がし易さはよいが(〇の評価)、繊維ウエブから繊維が引き抜かれる場合があるので、賦形不織布の摩擦がやや大きくなり、肌触り感がやや劣る場合がある(△の評価)。さらに突出部の高さが同一のため、圧力に対して力の分散が起きないので、保持している液を一気に放出する。このため、液の徐放性がやや劣る場合がある(△の評価)。
なお、繊維ウエブに凹凸を付ける賦形処理において、凸部の高さを変えて作る方法として、参考例1の支持体を用い、賦形時の風速を部分的に変えて作ることが考えられる。しかし、部分的に風速を変えることは困難であり、また風速の違いにより繊維ウエブの繊維が飛散しやすくなり、繊維ウエブを安定した形状に賦形することが難しくなる。
したがって、上述の実施例1、実施例2に記載された寸法形状を有するそれぞれの支持体10,20を用いて、繊維ウエブ50に凸部の高さが異なる凹凸形状を賦形する処理を行うことによって、繊維ウエブ50の繊維を乱すことなく、かつ支持体10,20に配した孔13を通しての繊維同士の融着や交絡を防ぎつつ、均一で十分な厚さが確保でき、肌触りが良く、毛羽立ちがほとんどない賦形不織布を製造することができる。
10,20 支持体
11 板状体
11S 板状体表面
11B 板状体裏面
12 突起
12SA 第1面
12SB 第2面
12SC 第3面(側面)
13 孔
21 棒状体
21B 棒状体最下端
22 突起
22SA 第1面
22SB 第2面
22SC 第3面(側面)
23 孔

Claims (9)

  1. 板状体と、
    前記板状体の表面側に配した複数の突起と、
    前記表面側から前記板状体の裏面側に貫通している複数の孔を有し、
    前記突起と前記孔は、前記板状体を平面視した面内の第1方向に交互に配され、
    前記突起は、対向する第1面と第2面とを有し、前記平面視した面内において前記第1方向と異なる第2方向に直列状に配され、前記板状体の裏面から突起頂部までの高さが少なくとも2種類以上であり、隣り合う別の突起で取り囲むように間隔を置いて配置され、かつ前記取り囲まれる突起の前記板状体の裏面から突起頂部までの高さA1と前記取り囲む突起の前記板状体の裏面から突起頂部までの高さB1とが異なる不織布製造用支持体。
  2. 前記高さA1およびB1の異なる突起は、前記平面視した面内において、前記第1方向に交互に配され、かつ前記第1方向と直交する第2方向に交互に直列に配されている請求項1に記載の不織布製造用支持体。
  3. 前記突起の底面が位置する高さが異なる請求項1または2に記載の不織布製造用支持体。
  4. 前記突起の底面から突起頂部までの高さA2およびB2が異なる突起であって、前記突起の底面と、前記第1面と第2面とで挟まれた側面とのなす角度が、前記高さの異なる突起で各々異なる請求項1ないし3のうちのいずれか1項に記載の不織布製造用支持体。
  5. 並列に配置された複数の棒状体と、
    前記棒状体間の表面側に配された複数の突起と、
    前記各棒状体間でかつ前記各突起間に存する前記表面側から前記棒状体の裏面側に貫通している複数の孔を有し、
    前記突起と前記孔は、前記棒状体間で前記複数の棒状体で形成される面に沿う第1方向に交互に配され、
    前記突起は、対向する第1面と第2面とを有し、前記第1方向と異なる第2方向に直列状に配され、前記棒状体の最下端から突起頂部までの高さが少なくとも2種類以上であり、隣り合う別の突起で取り囲むように各突起が間隔を置いて配置され、かつ前記取り囲まれる突起の前記棒状体の最下端から突起頂部までの高さA1と前記取り囲む突起の前記棒状体の最下端から突起頂部までの高さB1とが異なる不織布製造用支持体。
  6. 前記高さA1およびB1の異なる突起は、前記第1方向と直交する第2方向に交互に直列に配されている請求項5に記載の不織布製造用支持体。
  7. 前記棒状体の最上端から突起頂部までの高さA2およびB2が異なる突起であって、前記突起の底面と、前記第1面と第2面とで挟まれた側面とのなす角度が、前記高さの異なる突起で各々異なる請求項5または請求項6に記載の不織布製造用支持体。
  8. 前記高さA1およびB1の異なる複数の突起と複数の孔とを有する支持体上に熱可塑性繊維を含有する繊維ウエブを搬送して熱風を吹き付け、該繊維ウエブを該支持体に沿わせて該繊維ウエブを賦形する賦形不織布の製造方法であって、
    前記支持体に前記請求項1ないし7のいずれか1項に記載の不織布製造用支持体を用いて、前記繊維ウエブを高さの異なる凸部を有する凹凸形状に賦形する賦形不織布の製造方法。
  9. 前記高さA1およびB1の異なる複数の突起と複数の孔とを有する支持体上に熱可塑性繊維を含有する繊維ウエブを搬送して熱風を吹き付け、該繊維ウエブを該支持体に沿わせて該繊維ウエブを高さの異なる凸部を有する凹凸形状に賦形する工程と、
    前記繊維ウエブを支持体から剥す工程と、
    前記繊維ウエブに熱風を吹き付けて熱処理する工程を有し、
    前記支持体に前記請求項1ないし7のいずれか1項に記載の不織布製造用支持体を用いる賦形不織布の製造方法。
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