JP5868602B2 - 部品の補修方法および補修された部品 - Google Patents
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Description
しかしながら、溶接により補修する場合、溶接時の高温加熱の影響で部品が変形し易いため、表面減肉による減肉量が多い場合などには変形量が許容値を超えてしまう。このように変形量が大きいと想定される場合には、部品を廃却し、新しい部品に交換することが多いが、廃却せずに補修する場合には、変形防止のために部品の形状を保持する治具を使用したり、多くの工数を掛けて補修後の歪みを修正したりしている。
一方、シールブロックを用いる場合には、様々な形状の損傷部に対応し難い。つまり、損傷部の形状に合わせてシールブロックを作製しなくてはならない。また、ろう材塗布のため凹部から突出したシールブロックの部分を除去する手間が掛かる。
また、ろう付作業時に治具の設置や除去が不要であり、開口部の端縁近傍に板状部材等を壁部として配置するか、または溶接等によって開口部の端縁近傍に壁部を設けてからろう付を行うだけでよいので、補修作業が繁雑とならずに効率良く行える。
さらに、ろう材が壁部によって補強されるので、ろう材と壁部とが一体となったろう付部の強度を向上させることができる。
以上により、部品の損傷部に係るろう付部の品質向上と、ろう付による補修作業の効率向上とを両立できる。
そのため、ろう材が、加熱により本体と壁部および隔壁部の少なくとも一方とに拡散される成分を含むろう材粉体と、ろう材粉体よりも融点が高い高融点粉体とを含有し、ろう材粉体の成分が、加熱により高融点粉体にも拡散されることが好ましい。
また、高融点粉体としては、ろう材粉体よりも融点の高い単体金属、合金、および金属組成物を用いることができるが、特に、強度、耐食性、および耐熱性に優れたNi基合金、Co基合金を好適に用いることができる。
また、加熱時に溶融したろう材粉体が高融点粉体間に充填された状態となるので、ろう付部の強度が向上する。
さらに、ろう材粉体の成分が、本体と、壁部および隔壁部の少なくとも一方とに加え、高融点成分にも拡散されることで、ろう付後のろう材の融点をより高くできる。
すなわち、部品の損傷部に係るろう付部の品質向上と、ろう付による補修作業の効率向上とを両立できる。
なお、ろう付後、必要に応じて、角部の形状精度を得るため研磨等を行う成形処理を行ってもよい。
本発明の部品の補修方法においては、加熱により、ろう材を開口部内で溶融させて固化させる際に、ろう材の成分を、本体と、壁部および隔壁部の少なくとも一方とに拡散させることが好ましい。
また、本発明の部品の補修方法において、ろう材が、加熱により本体と壁部および隔壁部の少なくとも一方とに拡散される成分を含むろう材粉体と、ろう材粉体よりも融点が高い高融点粉体とを含有し、ろう材粉体の成分を、加熱により高融点粉体にも拡散させることが好ましい。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスタービン部品1の補修された部分を示す。ガスタービン部品1は、例えば航空機用や発電プラント用のガスタービンを構成する動翼、静翼、分割環、および燃焼器などであり、高温下の過酷な環境で使用されるため、本体11に亀裂が生じたり、本体11の表面部分がえぐり取られて減肉する場合がある。
したがって、開口部12は、例えばY方向長さが10cm以上に及ぶ大面積で、かつ深い形状(少なくとも数mm以上)になりがちである。このような大面積の減肉は、静翼や分割環において生じ易い。この開口部12は、Y方向に沿った稜線にそれぞれ交差するX方向およびZ方向の二方向に向いている。
なお、図3以降の各図においては、実際は不定形な開口部12の形状を簡略化して直線的に示している。開口部12の形状は様々であって、図示のように直線的な形状に研磨されるとは限らない。
なお、ろう材粉体の融点を下げる元素としては、ボロンの他、シリコン、リン等が挙げられる。但し、ろう付部の耐熱強度、耐食性等に悪影響を与えない観点から、ボロンが用いられることが好ましい。
また、ろう材16の溶融時、溶融したろう材粉体が毛細管現象によって高融点粉体間に充填された状態となるので、固化したろう材16の強度が向上する。これにより、高温下での部品強度をより一層向上させることができる。
以上により、図1に示したガスタービン部品1が完成する。
加えて、ろう材16が側壁部15によって補強されることで、ろう材16と側壁部15とが一体となったろう付部の強度が向上し、高温下の部品強度の確保に寄与することができる。
このような側壁部18は、ろう付後の成形処理工程S6において、切削、研磨などによって除去される。図4のような側壁部18が用いられる場合であっても、第1実施形態と同様の作用および効果を奏する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以降の説明において、既に説明した構成と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を簡略化もしくは省略する。
図5は、本発明の第2実施形態に係るガスタービン部品2の補修部を示す。ガスタービン部品2には、3つの稜線13A,13B,13Cを含む部分が減肉することにより形成された開口部22が形成されている。開口部22は、X方向、Y方向、およびZ方向の3つの方向に向いている。
側壁部17は、上述の側壁部15と同様に、板状の焼結体またはバルクであるか、あるいは溶接による肉盛部である。側壁部17の材料は、側壁部15の材料と同様のものを用いることができる。本実施形態の側壁部17は、側壁部15とは別体であるが、これら側壁部15,17が一体に設けられていてもよい。これら側壁部15,17は、稜線13A,13B,13Cを境界とするXY面、YZ面、およびZX面のうち1つの面であるXY面以外の2つの面であるYZ面およびZX面にそれぞれ沿って設けられている。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図7は、本実施形態のガスタービン部品3の補修部を示す。本実施形態のガスタービン部品3には、上述の開口部12,22よりも大面積の開口部23が形成されている。
ガスタービン部品3は、本体11の稜線13を含む部分に形成された開口部23と、開口部23の端縁近傍に設けられた側壁部15と、開口部23内を仕切る複数の隔壁部25とを備えている。
また、本実施形態の隔壁部25は、ろう付補修後も除去されずに補修部に残るため、部品強度を向上させることができる。
例えば、ガスタービン部品の本体の形状は様々であって、例えば、稜線の両側の面がXYZ軸に交差する傾斜面である場合もある。この場合には、この傾斜面に沿って壁部を設ければよい。また、稜線の近傍部分である角部が直角に形成される場合に限らず、面取りされた形状である場合にも、本発明を適用できる。この場合には、面取りされた部分の例えば中央部分に稜線があるとみなすことができる。さらに、稜線は、直線に限らず、曲線の場合もある。この場合には、開口部の端縁近傍に曲面状の壁部を設けてもよい。
ろう材は、ろう材粉体および高融点粉体を含むものに限定されないが、ろう材がろう材粉体および高融点粉体を含む場合に、ろう材粉体の融点があまりに低いとろう付部の再溶融が防止されにくくなるので、ろう材粉体の融点と、ろう付温度との差が0℃以上100℃以下、特には10℃以上50℃以下であることが好ましい。また、ろう付温度及びその後の熱処理温度の微妙な制御が必要ないとの観点から、ろう材粉体の融点と高融点粉体の融点との差は50℃以上、特には100℃以上であることが好ましい。
11 本体
11A 側面
12,22,23 開口部
12A 端部
13 稜線
13A,13B,13C 稜線
15,17,18,19 側壁部(壁部)
16 ろう材
25 隔壁部
d1〜d4 区画
W 区画の幅
Claims (8)
- 部品の本体における稜線を含む部分が減肉することにより前記本体に形成された開口部と、
前記開口部において前記稜線を境界とする面のうち1つの面を除いた他の面に沿って設けられた壁部と、
前記開口部内に設けられて前記本体と前記壁部とを接合しているろう材と、を備え、
前記壁部は、
前記本体の前記他の面と面一に配置されるか、あるいは前記開口部の端縁よりも内側に配置されている、
ことを特徴とする部品。 - 前記開口部内を2以上の区画に分ける隔壁部を備え、
前記ろう材が、前記区画のそれぞれに設けられている、請求項1に記載の部品。 - 前記本体と前記壁部および前記隔壁部の少なくとも一方とは、含まれる元素のうち重量比が最大である主成分が同一である、請求項1または2に記載の部品。
- 前記部品は、タービン装置を構成し、静翼、分割環、および動翼のいずれかである、請求項1から3のいずれか1項に記載の部品。
- 部品の本体における稜線を含む部分が減肉することにより前記本体に形成された開口部において、前記稜線を境界とする面のうち1つの面を除いた他の面に沿って壁部を設け、
前記1つの面である開口面から前記開口部内に、前記本体と前記壁部とを接合するろう材を設け、
加熱により、前記ろう材を前記開口部内で溶融させて固化させ、
前記壁部の少なくとも一部が残存しており、かつ、残存している前記壁部が、前記本体の前記他の面と面一に配置されているか、あるいは前記開口部の端縁よりも内側に配置されている前記部品を得ることを特徴とする部品の補修方法。 - 前記開口部内を隔壁部によって2以上の区画に仕切り、
前記区画のそれぞれに、ろう材を設ける、請求項5に記載の部品の補修方法。 - 加熱により、前記ろう材を前記開口部内で溶融させて固化させる際に、
前記ろう材の成分を、前記本体と、前記壁部および前記隔壁部の少なくとも一方とに拡散させる、請求項5または6に記載の部品の補修方法。 - 前記ろう材が、加熱により前記本体と前記壁部および前記隔壁部の少なくとも一方とに拡散される成分を含むろう材粉体と、前記ろう材粉体よりも融点が高い高融点粉体とを含有し、
前記ろう材粉体の成分を、加熱により前記高融点粉体にも拡散させる、請求項7に記載の部品の補修方法。
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