JP5867223B2 - 測位システム,サーバ,携帯端末,測位方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本件は、携帯端末に係る測位システム,サーバ,携帯端末,測位方法,プログラムに関する。
従来、携帯電話機,多機能携帯電話機(スマートフォン)等の携帯端末では、GPS(Global Positioning System)や基地局情報から割り出されるユーザの所在地情報を利用した多数の位置情報サービスが提供されている。位置情報サービスの例としては、現在位置の地図情報を提供する地図サービスや、携帯端末の紛失時に紛失位置を特定する検索サービスなどが挙げられる。これらのサービスで用いられる位置情報は、基本的には、ある時刻における携帯端末の瞬間的な位置の情報である。
一方、近年では、ユーザの生活に関する履歴情報(ライフログ)に基づいて健康管理情報や店舗情報等を提供するライフログサービスも展開されている。ライフログとしての移動履歴は、例えば一日の歩行履歴や旅先での行動履歴のように、比較的長時間にわたる履歴の情報となる。したがって、ライフログサービスでは位置情報を継続的に把握することが求められ、効率的な常時測位技術を確立することが望まれる。
移動履歴の情報は、瞬間的な位置の情報を継続的に測定することで把握可能である。例えば、GPS機能で位置情報を間欠的に測定するとともに、自律航法による測位情報を補完的に利用することで、実際の移動経路に沿った履歴情報が取得される。あるいは、自律航法による測位を定常的に実施し、GPS機能を補完的に利用することも考えられる(例えば、特許文献1参照)。複数の測位手法を併用することで、継続的な移動履歴を把握することができる。
しかし、GPS機能はその消費電力の高さから、利用時間が長くなるに連れて携帯端末の連続稼働時間を短縮させうる。したがって、長時間の歩行履歴や行動履歴を測定するには不向きである。また、GPS機能は、GPS衛星からの電波が届く屋外での利用が想定された機能であり、屋内における位置情報の測定精度を向上させることが難しい。そのため、GPS機能に依存することなくユーザの移動履歴を継続的に測定する低消費電力の測位システムの実現が待望されている。
GPSを利用しない測位技術としては、方位センサやジャイロセンサ,歩数計等を利用した自律航法が存在する。これは、測定対象が移動した方角及び距離から移動軌跡を求める手法である(例えば、特許文献2参照)。GPSに頼ることなくユーザの歩行状態を判定することで、演算量を削減することができ、消費電力を低減することが可能となる。
特開2011-209057号公報 特開2011-214832号公報
しかしながら、方位センサの検出値は、携帯端末の内部に存在する金属部品の帯磁や電磁波の影響を受けやすく、測定精度を向上させることが難しい。また、ジャイロセンサは旋回角度の検出誤差が比較的大きく、移動距離が長くなるほど誤差の蓄積量が増大しやすい。
また、GPSの代わりに無線LAN(Local Area Network)の基地局情報を利用して測位することも考えられる。しかし、昨今ではインターネット接続機能を持った無線LANルータが安価に入手可能であることやモバイル型の無線LANルータが普及していることから、無線LANの基地局情報は日々、流動的に変化しうる。したがって、大規模なインフラ整備を実施しない限り、基地局情報に関するデータベースを固定化することが難しく、測位精度を向上させることは困難である。
本件の目的の一つは、このような課題に鑑み創案されたもので、GPS機能に依存することなく測位精度及び演算速度を向上させることである。なお、ここでいう「GPS機能に依存することなく」とは「GPS機能を必須としない」ことを意味し、GPS機能の併用を妨げない。
また、前記目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
開示の測位システムは、携帯端末の移動経路に対応するリンク及びノードを含むリンク列の情報と時刻情報とを取得する取得部と、前記取得部で取得された前記リンク列を前記ノード単位で分割した単位リンクを生成する生成部とを備える。
また、前記生成部で生成された前記単位リンクと地図情報との照合により、前記単位リンクに対応する経路候補を抽出する照合部と、前記照合部で抽出された前記経路候補を時系列に沿って接続した時系列経路に基づき、前記携帯端末の移動経路を算出する算出部とを備える。
前記算出部は、一の前記単位リンクに対応する複数の前記経路候補を、他の前記単位リンクに対応する前記経路候補への接続性を基準として選別するとともに、共通の時刻情報を持つリンクの形状の類似度に基づき、前記接続性を判断する。
開示の技術によれば、測位精度及び演算速度を向上させることができる。
実施形態に係る測位システムのブロック構成を例示する図である。 図1の携帯端末のブロック構成を例示する図である。 図1のサーバのブロック構成を例示する図である。 図1のサーバが記憶するトポロジマップを例示する図である。 図1のサーバに記録されるデータベースのフォーマット例である。(a)は第一センサ情報、(b),(c)は第二センサ情報のうちメタ情報(WLAN情報)に関するものである。 図1のサーバに記録されるデータベースのフォーマット例である。(a)はGPS情報、(b)は基地局情報、(c)はリンク情報、(d)はエリア情報に関するものである。 図1のサーバで生成される単位リンクを説明するための模式図である。(a)はリンク列、(b)は(a)のリンク列から生成される単位リンクを示し、(c)は各単位リンクの形状を特定するためのパラメータ設定例を示すものである。 図1のサーバで設定されるエリア範囲を説明するための模式図である。 図1のサーバにおけるエリア設定手法を説明するための模式図であり、トポロジマップ上のリンクに紐付けされたメタ情報を示すものである。 図1のサーバにおけるエリア設定手法を説明するための図であり、携帯端末から伝達されたメタ情報とトポロジマップ上のリンクとの関係を例示するものである。 図1のサーバにおけるエリア設定手法を説明するための模式図である。 図1のサーバにおけるエリア設定手法を説明するための模式図である。 図1のサーバにおけるエリア設定手法を説明するための模式図である。 図1のサーバにおけるエリア設定手法を説明するための模式図である。 図1のサーバで合成される正経路候補を説明するための模式図であり、(a)は単位リンク列、(b)は経路候補、(c)は正経路候補を示すものである。 図1の携帯端末及びサーバ間の通信手順を示すプロセスチャートである。 図1のサーバで実施されるエリア範囲の特定に係る制御のフローチャートの例である。 図1のサーバで実施される経路候補の抽出に係る制御のフローチャートの例である。 図1のサーバで実施される照合に係る制御のフローチャートの例である。 図19のフローチャート内における経路候補の絞り込み処理のフローチャートの例である。 図19のフローチャート内における時系列マッチング処理のフローチャートの例である。 図1のサーバで実施されるメタ情報の登録に係る制御のフローチャートの例である。
以下、図面を参照して測位システム,サーバ,携帯端末,測位方法及びプログラムに係る実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(実施形態及び各変形例を組み合わせる等)して実施することができる。
[1.構成]
[1−1.システム構成]
図1は、実施形態に係る経路推定システム30(測位システム)を例示する構成図である。この経路推定システム30は、ネットワーク25上に配置されたサーバ20と、ネットワーク25を介したサーバ20との通信機能を有する携帯端末10とを含むシステムである。本システム30では、携帯端末10から伝達される情報がサーバ20で解析され、解析結果に基づいて携帯端末10の移動経路が推定される。また、携帯端末10から伝達される情報には時刻の情報が付属し、サーバ20で推定される移動経路の情報にも時刻情報が含まれる。したがって、移動経路の履歴から携帯端末10の過去の位置情報や現在の位置情報を推定可能である。
携帯端末10は、有線通信機能又は無線通信機能を持つ携帯型の情報処理装置であり、例えば携帯電話機やスマートフォン,PDA(Personal Digital Assistant),ミュージックプレイヤー,携帯ゲーム機,ノート型パーソナルコンピュータ等である。また、ネットワーク25は、インターネットや携帯電話機用の無線通信網,その他のディジタル無線通信網等を含むコンピュータネットワークであり、所定の技術規格に基づいて情報の送受信を実現する。ネットワーク25上には、携帯端末10と無線通信又は有線通信を行うためのさまざまな基地局が設けられる。基地局の具体例としては、携帯電話機用基地局31や構内無線通信網(Wireless Local Area Network)基地局32,短距離無線通信による個人無線通信網(Personal Area Network)基地局33,無線周波数認証(Radio Frequency Identification)基地局34等が挙げられる。
サーバ20は、ネットワーク25上に設けられたパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータであり、例えば上述の基地局内や経路推定システム30による測位サービスを運営,管理する管理会社の元に設置される。本実施形態の経路推定システム30では、携帯端末10からサーバ20に伝達される情報に基づき、トポロジマッチングの手法で携帯端末10の位置,移動経路が推定され、推定結果の情報が携帯端末10に伝達される。
[1−2.携帯端末]
図2は、携帯端末10の構成を例示するブロック図である。携帯端末10には、測位部1,制御部11,通信部12,入力部13及び表示部14が設けられる。
測位部1は、携帯端末10の移動軌跡の形状を把握するための第一センサ情報と、携帯端末10が存在するものと推定されるエリア範囲を特定するための第二センサ情報とを取得し、かつ、各々の情報が取得された時刻情報を取得するものである。
第一センサ情報とは、長さ及び角度を持つ複数の線分の集合として携帯端末10の移動経路を表現するときに用いられるパラメータに関する情報であり、携帯端末の姿勢や動作に関する情報である。第一センサ情報のサンプリングレートは任意であり、例えば1×10-1〜1×10[Hz]の範囲内で設定される。
一方、第二センサ情報とは、携帯端末10のおおよその存在位置を特定するための情報である。本経路推定システム30における第二センサ情報は、携帯端末10の測位及び経路推定で補助的に活用される情報であり、測位部1が第二センサ情報を必ずしも定周期で常に取得する設定とする必要はない。
測位部1には、第一センサ情報を取得するための手段として、ジャイロ情報測位部1a,地磁気情報測位部1b,加速度情報測位部1cが設けられる。
ジャイロ情報測位部1aは、携帯端末10に内蔵されたジャイロセンサでの検出情報に基づき、携帯端末10の角速度の大きさ及び方向を取得するものである。ジャイロセンサは、例えば三軸式の角速度検出装置であり、携帯端末10に固定された直交座標系の三軸周りの角速度を検出する。
地磁気情報測位部1bは、携帯端末10に内蔵された地磁気センサでの検出情報に基づき、携帯端末10に作用する地磁気の大きさ及び方向を取得するものである。地磁気センサは、例えば三軸式の磁場検出装置であり、上述の直交座標系の三軸に沿った磁束密度を検出する。
加速度情報測位部1cは、携帯端末10に内蔵された三軸式の加速度センサでの検出情報に基づき、携帯端末10に作用する加速度の大きさ及び方向を取得するものである。加速度センサは、上述の直交座標系の三軸に沿った加速度を検出する。
また、測位部1には、第二センサ情報を取得するための手段として、基地局情報測位部1d,全地球位置情報測位部1e,メタ情報測位部1fが設けられる。
メタ情報測位部1fは、携帯端末10とサーバ20との通信に係るメタ情報を取得するものである。メタ情報とは、携帯端末10とサーバ20との通信情報について記述した情報である。メタ情報には、データ取得時の携帯端末10の状態に関する情報,データ構造の情報,データ変換に関する情報,データ内容に関する属性,特性,意味付け等の情報が含まれる。
例えば、基地局31〜34のサービスセット識別子(Service Set Identifier)や固有装置番号(Media Access Control address),受信信号強度表示信号(Received Signal Strength Indicator)等の情報が取得される。以下、メタ情報測位部1fで取得されるメタ情報のことをWLAN情報とも呼ぶ。
全地球位置情報測位部1eは、携帯端末10に内蔵されたGPS機能を利用して、地球上における携帯端末10の絶対位置に関するGPS情報を取得するものである。ここでは、GPS衛星から送信される測位信号に基づき、携帯端末10の緯度,経度,精度の情報が取得される。ただし、全地球位置情報測位部1eは、携帯端末10の経路探索に際し、メタ情報測位部1fで取得されたメタ情報に対応するデータがサーバ20側に記録されていない場合に限り、GPS情報を取得する。メタ情報に対応するデータがサーバ20側に記録されている状態では、GPS機能が休止状態とされる。
基地局情報測位部1dは、携帯端末10とサーバ20との通信に係る基地局情報を取得するものである。ここでは、ネットワーク25上の基地局31〜34に関連する情報や基地局31〜34に固有の情報が基地局情報として取得される。例えば、携帯端末10が携帯電話機用基地局31を介してサーバ20と通信しているときには、携帯電話機用基地局31が存在する地域番号や、個々の携帯電話機用基地局31に割り当てられた基地局番号等の情報が取得される。ただし、基地局情報測位部1dは、全地球位置情報測位部1eでのGPS情報の取得に失敗した場合に限り、基地局情報を取得する。
本実施形態の第一センサ情報には、上記のジャイロ情報,地磁気情報及び加速度情報が含まれる。また、本実施形態の第二センサ情報には、上記の基地局情報,GPS情報及びメタ情報(WLAN情報)が含まれる。なお、測位部1には、情報の取得時刻を測定,検出するための計時部が内蔵される。したがって、各測位部1a〜1fで得られる各々の情報には、時刻情報が個別に付与される。
通信部12は、携帯端末10における電波の送受信を担うものであり、少なくとも二つの機能を持つ。第一の機能は、測位部1で取得された第一センサ情報及び第二センサ情報(WLAN情報を含む)と各々の情報が取得された時刻の情報とをサーバ20に送信する機能である。これらの各種情報は、サーバ20による携帯端末10の位置,移動経路の推定演算に使用される。第二の機能は、その推定結果をサーバ20から受信する機能である。
携帯端末10が携帯電話機やスマートフォンである場合には、上記の二つの機能に加えて、通信部12が周知の音声通話に係る信号授受機能を持つ。また、標準的な携帯電話機,スマートフォンでは、通信部12が電子メールの授受機能やウェブ閲覧に係る通信機能を含むインターネット接続機能を持つ。
入力部13は、ユーザから携帯端末10への入力操作を受け付ける入力インターフェースの一つであり、例えばテンキーやキーボード,タッチパッド,タッチパネル等である。ここでは、携帯端末10の電源のオン/オフ操作や、携帯端末10の位置,移動経路の推定演算をサーバ20側に要求するための操作(コマンド)が入力される。
表示部14は、携帯端末10の出力インターフェースの一つであり、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等である。携帯端末10の位置や移動経路に対応する地図情報は、表示部14に表示される。また、表示部14には、携帯端末10に搭載される各種機能のメニュー画面やダイアログボックス,各種情報等も表示される。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit),MPU(Micro Processing Unit)といったプロセッサやROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),記憶装置等を有するコンピュータである。制御部11は、測位部1,通信部12,入力部13及び表示部14のそれぞれに対して接続され、携帯端末10の内部での情報処理全般を統括管理する。
制御部11の内部では、ROM,RAM,記憶装置に格納されているソフトウェアプログラムがCPUで実行され、そのソフトウェアプログラムの機能が達成される。例えば、ユーザによる入力部13への入力操作や測位部1での測位結果に基づき、ソフトウェアプログラム上で通信部12,表示部14の動作が制御される。通信部12では、通信内容や通信手法が制御され、あるいは表示部14では表示内容や表示手法が制御される。
[1−3.サーバ]
図3は、サーバ20の構成を例示するブロック図である。サーバ20は、携帯端末10の位置,移動経路の推定演算を実施するものであり、制御部21,通信部22,記憶部6を有する。
通信部22は、サーバ20における情報の送受信を担うものであり、携帯端末10の通信部12の機能に対応する少なくとも二つの機能を持つ。第一の機能は、携帯端末10から伝達された各種情報を受信する機能である。また、第二の機能は、携帯端末10の位置,移動経路の推定結果を携帯端末10に送信する機能である。
記憶部6は、推定演算に関する情報を記憶するものであり、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶装置である。記憶部6には、経路推定時に参照される地図データを記憶する地図データ記憶部6aと、経路推定に係る携帯端末10のデータを記憶するログデータ記憶部6bとが設けられる。
地図データ記憶部6aは、地図上の歩行可能な道路の形状をノード及びリンクの集合に変換したトポロジマップ(トポロジカルマップ,地図情報)と、各リンクに付随するメタ情報(WLAN情報)とを記憶するものである。トポロジマップとは、地図上の道路形状を点及び線からなる図形に抽象化したものである。このトポロジマップでは、それぞれのリンクが所定の長さ及び角度を持つ線分で与えられる。ノードは各リンクの両端点をなすものであり、複数のリンク同志を繋ぐ接続点となる。図4にトポロジマップを例示する。
また、トポロジマップ上の各リンクに付随するメタ情報とは、後述する算出部5における移動経路の推定演算の過程で、メタ情報測位部1fで取得されたメタ情報が検出された位置に対応するトポロジマップ上のリンクに付与される情報である。このメタ情報は、トポロジマッチングの対象範囲を限定する際に利用される。トポロジマップへのメタ情報の登録処理に関しては後述するが、例えば図4に示すように、トポロジマップ上の個々のリンクに対して様々なメタ情報が付加される。図4中の記号a〜c,e〜hはそれぞれ異なるメタ情報を意味する。
前述の通り、メタ情報とは「携帯端末10とサーバ20との通信に係る情報」を記述したものである。一方、トポロジマップ上の各リンクに付加されるメタ情報は、そのメタ情報で記述される「携帯端末10とサーバ20との通信」が当該リンクの近傍で成立したという実績を示す情報として利用される。
ログデータ記憶部6bは、携帯端末10で取得された第一センサ情報にその取得時刻の情報を関連づけたデータを記憶するとともに、携帯端末10で取得された第二センサ情報にその取得時刻の情報を関連づけたデータを記憶するものである。第一センサ情報及びその時刻情報は、例えば図5(a)に示すようなフォーマットでログデータ記憶部6bに累積的に記録され、データベース化される。第一センサ情報のデータベースでは、ある時刻での携帯端末10の状態が一つのレコードとして記録される。つまり、第一センサ情報には取得時間が一致する同一種類のレコードが存在しないため、それらのレコードを時系列に配置することが可能である。
第二センサ情報及びその時刻情報も、ログデータ記憶部6bに累積的に記録され、データベース化される。第二センサ情報のうちのメタ情報(WLAN情報)は、例えば図5(b)や図5(c)に示すようなフォーマットでログデータ記憶部6bに記録される。メタ情報は、内容の異なる複数の情報が同時に取得されうることから、メタ情報のデータベースでは、取得時刻が一致する複数のレコードが存在しうる。
図5(b)は、携帯端末10から伝達されたメタ情報を取得時刻及びメタ情報の種類(無線通信の種類)毎に分類した場合のデータベースのフォーマットである。ここでは、メタ情報に含まれるサービスセット識別子(SSID)毎に、かつ、取得時刻毎に一つのレコードを作成している。例えば、ある時刻に取得されたメタ情報にN個のSSIDが含まれている場合には、同一の時刻情報を持ったN個のレコードが作成される。
図5(c)は、携帯端末10から伝達されたメタ情報を取得時刻のみで分類した場合のデータベースのフォーマットである。この場合には、一つの時刻情報に対応するレコードがただ一つ作成され、その一つのレコード内に複数のSSIDの情報が関連付けられる。
第二センサ情報のうちGPS情報は、例えば図6(a)に示すようなフォーマットでログデータ記憶部6bに累積的に記録される。このフォーマットでは、図5(c)に示すメタ情報のフォーマットに時間情報を対応させた場合の書式を示している。なお、GPS情報は、携帯端末10から伝達される第二センサ情報の中に常に含まれているわけではない。これは、携帯端末10で得られたメタ情報に対応するデータがサーバ20側のトポロジマップ上に記録されていない場合に限って、携帯端末10でGPS情報が取得されるからである。したがって、このフォーマットのデータベースでは、GPS情報が記録されないレコードが存在しうる。例えば、図6(a)中で時刻情報が「13:40:20.254」であるレコードや「13:45:50.982」であるレコードは、GPS情報を持たないレコードであり、省略可能である。
本実施形態では、後述する照合部4の特定部4aにおいて、トポロジマッチングの対象となるエリア範囲が特定される。このとき、特定部4aでは、まずメタ情報のデータベースが参照され、エリア範囲内に存在すると推定されるトポロジマップ上のリンクが検索される。一方、携帯端末10から伝達されたメタ情報と同一のメタ情報が、トポロジマップ上に存在しない場合には、その旨の情報がサーバ20から携帯端末10へと伝達される。これを受けて、携帯端末10は、全地球位置情報測位部1eでGPS情報を取得したのち、そのGPS情報と時刻情報とをサーバ20側に再び伝達する。このGPS情報が、ログデータ記憶部6bにデータベースとして記録される。
GPS情報のデータベース内では、GPS情報とそれが取得された時刻情報とを関連づけてデータベースが作成される。あるいは、図6(a)に示すように、GPS情報が取得された時刻の代わりに、そのGPS情報を取得する原因となった時刻情報を用いてデータベースが作成される。前者を第一時刻と呼び、後者を第二時刻と呼べば、第二時刻は第一時刻よりもやや遅れた時刻となる。また、第一時刻から第二時刻までの遅延時間は、以下の処理を実施するのに要する時間となる。
(1)携帯端末10から伝達されたメタ情報のトポロジマップ上での検索時間
(2)メタ情報の不存在を携帯端末10に伝達する時間
(3)携帯端末10でのGPS機能の起動にかかる時間
(4)携帯端末10でのGPS情報の取得にかかる時間
第二センサ情報のうち基地局情報は、例えば図6(b)に示すようなフォーマットでログデータ記憶部6bに累積的に記録される。このフォーマットでは、図5(c)に示すメタ情報のフォーマットに時間情報を対応させた場合の書式を示している。基地局情報のデータベースにおいても、GPS情報のデータベースと同様に、基地局情報が記録されないレコードが存在する場合があり、これを省略することも可能である。これは、GPS情報の取得に失敗した場合に限って、携帯端末10で基地局情報が取得されるからである。
制御部21は、CPU,といったプロセッサやROM,RAM,記憶装置等を有するコンピュータである。この制御部21は、記憶部6及び通信部22のそれぞれに対して接続され、サーバ20の内部での経路推定演算に係る情報処理全般を統括管理する。ここでは、地図情報に対応するトポロジマップと携帯端末10の移動経路に対応するリンク情報とを照合させるトポロジマッチングにより、経路の推定がなされる。
制御部21には、トポロジマッチングを実施するためのハードウェア(電子回路)又はソフトウェアプログラムとして、取得部2,生成部3,照合部4,算出部5が設けられる。
[1−3−1.取得部]
取得部2は、記憶部6が記憶する第一センサ情報,第二センサ情報及び時刻情報に基づき、携帯端末10の移動経路に対応するリンク情報と時刻情報とメタ情報とを取得するものである。リンク情報とは、移動経路を長さ(直線移動距離)及び角度(旋回角度)を持つ複数の線分の集合として表現したときの長さ及び角度の情報群の総称である。取得部2は、例えば図6(c)に示すフォーマットで、リンク情報と時刻情報とを関連づけたデータをログデータ記憶部6bに記憶させる。このときリンク情報は、リンクに対応する時刻の古い順に時系列で配列される。
個々のリンクは、移動経路のうち直進した区間に相当する長さを持つ線分である。また、ノードは二つのリンクの端部同士を接続する接続点に相当し、移動経路の始点又は終点に対応するノードを除く全てのノードは、それぞれが二つのリンクを接続するように配置される。したがって、携帯端末10の移動経路は、一本の折れ線(ポリライン)に変換される。具体的なリンク情報の取得手法は任意であり、例えば特開2011-209057号公報や特開2011-214832号公報に記載の手法を用いてもよい。以下、携帯端末10の移動経路に対応する複数のリンクを一連なりに接続してなる折れ線のことを、リンク列とも呼ぶ。
[1−3−2.生成部]
生成部3は、取得部2で取得されたリンク列をノード単位で分割した単位リンクを生成するものである。単位リンクとは一又は複数のリンクからなるリンク列を意味し、好ましくは三本又は四本のリンクが含まれるものとする。単位リンクに含まれるリンク数をAとおくと、その単位リンクに含まれるノード数はA+1である。ここで生成された単位リンクの情報は、照合部4に伝達される。
なお、単位リンクに含まれるリンク数が少ないほど、一回のトポロジマッチングの演算量が減少する反面、単位リンクと符合する(あるいは単位リンクに類似する)トポロジマップ上の対象箇所数が増加し、すなわち絞り込みが弱化される。一方、単位リンクに含まれるリンク数が多いほど、絞り込みが強化される反面、演算量が増加する。また、絞り込みの強化により、後述する照合部4での照合に係る誤差が累積的に増大し、正しい経路が算出されにくくなる可能性がある。したがって、演算量と絞り込みの効率とのバランスを考慮して、単位リンクに含まれるリンク数を設定することが好ましい。本実施形態では、単位リンクが3本のリンクを含むものとする。
図解すると、図7(a)に示すような八本のリンク列が与えられるとき、生成部3は、このリンク列に含まれる全リンクの組み合わせのうち、三本のリンクが連続する全ての組み合わせを取り出し、それらを全て単位リンクとして生成する。この場合、図7(b)に示すように、六種類の単位リンクが生成されることになる。リンク列に含まれるリンク数がBであるとき、生成部3で生成される単位リンク数はB-2種類である。また、単位リンクの形状は、図7(c)に示すように、三つのリンク長l1〜l3(各リンクの長さ)の情報と、二つの旋回角度θ1,θ2(隣接するリンクがなす角度)の情報とで定義することができる。また、三つのリンク長を合算した合計リンク長L(L=l1+l2+l3)は、単位リンクに対応する経路の距離となる。
演算量を削減すべく単位リンクの数を削減する場合には、三本のリンクが連続する全ての組み合わせを取り出す代わりに、それらの組み合わせのうちの一部を取り出すことも考えられる。この場合、全ての単位リンクが、少なくとも他の単位リンクの一つと共通のリンクを共有するように、組み合わせを取り出すことが好ましい。
また、最初にリンク列の先頭(最も時刻情報が古いもの)から三本のリンクを複写してこれを第一の単位リンクとし、次にリンク数Nをずらした位置から三本のリンクを複写してこれを第二の単位リンクとする、といったように、複写範囲をリンク数N単位でずらしながら単位リンクを生成する制御構成としてもよい。
[1−3−3.照合部]
[1−3−3−1.特定部]
照合部4は、生成部3で生成された単位リンクと、地図データ記憶部6aが記憶するトポロジマップとのトポロジマッチングを実施するものである。この照合部4には、特定部4a及び抽出部4bが設けられる。
特定部4aは、トポロジマッチングの対象となるエリア範囲をある程度の狭い範囲に特定する処理を実施するものである。ここでは、ログデータ記憶部6bが記憶する第二センサ情報のうち、メタ情報測位部1fで取得されたメタ情報と、地図データ記憶部6aが記憶するトポロジマップに付随するメタ情報とに基づいて、エリア範囲が限定される。
例えば、単位リンクに含まれる三本のリンクのそれぞれについて、前者のメタ情報と同一のメタ情報を持つトポロジマップ上のリンクが検索され、少なくともそのリンクが含まれるようにエリア範囲が限定される。また、同一のメタ情報を持つトポロジマップ上のリンクが複数存在する場合には、それらの全てが含まれるエリア範囲が設定される。
エリア範囲は、緯度及び経度で表現される中心位置とその中心位置からの半径とで規定される円形領域の集合として定義される。以下、エリア範囲に関するデータのことをエリア情報と呼ぶ。エリア情報は、図6(d)に示すようなフォーマットで、そのエリア情報が取得された時刻情報と関連づけられた形式で、ログデータ記憶部6bにデータベースとして記録される。
具体的なエリア範囲の設定手法は種々考えられる。例えば、図8に示すように、同一のメタ情報を持つトポロジマップ上の全リンクについて、両端点のノードの重心位置を求め、その重心位置を中心として全てのノードが内包される円の内側の領域を、トポロジマッチングの対象となるエリア範囲としてもよい。図8の例では、少なくとも両端点のノードのうちの何れか一方がエリア範囲内に位置するリンクのみが太実線で示されている。
なお、細実線の円は、エリア範囲を示すものであり、一つの円は、携帯端末10から一回に送信された第二センサ情報に基づいて設定されたエリア範囲に対応する。このとき、メタ情報に含まれる受信信号強度表示信号に基づいて、エリア範囲の半径を補正する演算構成としてもよいし、あるいは、受信信号強度が低いトポロジマップ上のリンクについてはエリア範囲から除外する演算構成としてもよい。
[1−3−3−2.エリア範囲の特定(メタ情報)]
図9〜図11を用いて、メタ情報によるエリア範囲の特定手法について詳述する。まず、図9に示すトポロジマップ上のリンクに対して、メタ情報Wa,Wb,Wcが紐付けされているものとする。図9中の記号L1,L2,…,L16は個々のリンクの名称である。また、メタ情報Wa,Wb,Wcは、例えばサービスセット識別子(SSID)や固有装置番号(MAC ADRESS),あるいはこれらの組み合わせ等である。
図9中の地点Kで携帯端末10からサーバ20に第一センサ情報及び第二センサ情報が伝達され、その第二センサ情報に含まれるメタ情報(WLAN情報)として、四種類のサービスセット識別子(SSID)及び受信信号強度表示信号(RSSI)が確認されたとき、特定部4aはこれらの四種類のメタ情報のうちの少なくとも何れか一つを紐付けられたリンクがトポロジマップ上に存在するか否かを検索し、その結果を携帯端末10に伝達するとともに、その結果をログデータ記憶部6bに記録する。
また、特定部4aは、検索結果に基づいてエリア範囲に対応するエリア情報を得るための演算を実施する。この演算を実施するタイミングは、検索が完了した直後であってもよいし、その後の経路探索時であってもよい。図9に示す例でのメタ情報とリンクとの対応関係は、図10に示す通りとなる。すなわち、メタ情報Waに対応するリンクはL1〜L10となり、メタ情報Wbに対応するリンクL5〜L13となり、メタ情報Wcに対応するリンクはL10〜L16となる。メタ情報Wdに対応するリンクはトポロジマップ上に存在しないが、メタ情報Wa〜Wcに対応するリンクはトポロジマップ上に存在する。このような情報が特定部4aから携帯端末10に伝達される。
次に、特定部4aは、メタ情報Wa,Wb,Wcに対応するリンクL1〜L16に基づいてエリア範囲を特定する演算を実施する。このとき、各リンクL1〜L16の両端点のノードの重心位置がエリア範囲の中心位置Cとされる。
なお、リンクL5〜L9は、二種類メタ情報Wa,Wbのそれぞれに対して紐付けされている。また、リンクL10は三種類のメタ情報Wa,Wb,Wcのそれぞれに対して紐付けされ、リンクL11〜L13は二種類メタ情報Wb,Wcのそれぞれに対して紐付けされている。これらのリンクの重複を考慮して、リンクL5〜L9,L11〜L13の両端点のノードに関しては、通常のノードの二倍の重みを持つノードであるものとみなして、重心位置を演算してもよい。同様に、リンクL10の両端点のノードに関しては、通常のノードの三倍の重みを持つノードであるものとみなして、重心位置を演算してもよい。さらに、重心位置の演算に際し、受信信号強度表示信号に応じた重み付け係数を用いてもよい。ここで演算される中心位置は、図6(d)に示すエリア情報の緯度及び経度の情報に相当する。
中心位置Cの座標は、必ずしも携帯端末10からサーバ20に第一センサ情報及び第二センサ情報が伝達された地点Kとは一致しない。一方、この中心位置Cはあくまでトポロジマッチングの照合対象となる領域を大まかに把握するための円形領域の中心座標に過ぎない。したがって、仮にここで演算された中心位置Cと実際の携帯端末10の通信位置である地点Kとがずれていたとしても、経路推定の演算精度はほとんど低下しない。
続いて、特定部4aは、エリア範囲の半径Rを演算する。半径Rは、四辺が緯線又は経線に平行な長方形のうち、各リンクL1〜L16の両端点のノードを内包する最小の長方形における長辺の長さとされる。例えば、図11に示すように、各リンクL1〜L16の両端点のノードの中から最北端,最南端,最西端,最東端に位置するものを選び出して、南北方向の距離と東西方向の距離とを演算するとともに、南北距離,東西距離のうちの長い方を半径Rとする。
[1−3−3−3.エリア範囲の特定(GPS情報,基地局情報)]
前者のメタ情報と同一のメタ情報を持つトポロジマップ上のリンクが存在しない場合や、前者のメタ情報が存在しない場合には、メタ情報以外の第二センサ情報に基づいてエリア範囲が設定される。例えば、単位リンクに含まれる三本のリンクのそれぞれについて、基地局番号やGPS情報等から推定される中心位置を持った円の内側の領域をエリア範囲として設定すればよい。特定部4aにおけるエリア範囲の設定は、好ましくは以下に列挙する何れかのタイミングで実施する。
A.携帯端末10から第二センサ情報が入力されたとき
B.前回のエリア範囲の設定時から半径分の距離を移動したとき
C.前回のエリア範囲の設定時から半径の半分の距離を移動したとき
D.前回のエリア範囲の設定時から所定時間が経過したとき
上記Aは、第二センサ情報が入力される度にエリア範囲を再設定するものである。また、上記Bは、GPS機能による測位信号や、基地局31の情報に基づいてエリア範囲を設定した場合、又は、メタ情報に基づいてエリア範囲を設定した場合に用いて好適である。少なくとも携帯端末10の移動距離が半径分の距離に相当する距離となった時点でエリア範囲を再設定することで、前回設定されたエリア範囲と今回新たに設定されるエリア範囲との重合部分を生じさせることができ、後述する抽出部4bでの抽出精度の向上が図れる。
上記Cは、WLAN情報に基づいてエリア範囲を設定した場合に用いて好適である。これは、WLAN情報をサーバ20に送信した際の実際の携帯端末10の位置と、そのWLAN情報に基づいて設定されたエリア範囲の中心位置との距離が一致する(あるいは近接する)とは限らないからである。仮に、実際の携帯端末10の位置がエリア範囲の中心位置から離れた位置であって、携帯端末10のユーザがエリア範囲の外縁方向に向かって移動した場合には、前回設定されたエリア範囲と今回新たに設定されるエリア範囲とが重合しなくなる可能性が高まる。一方、上記Cの条件でエリア範囲を再設定すれば、このような事態を回避しやすくなる。
上記Dは、携帯端末10の移動距離の代わりに、前回のエリア設定時からの経過時間を用いるものである。携帯端末10のユーザの歩行速度が大きく変化しない限り、移動距離と時間との関係は一定である。したがって、上記Dの手法は上記A〜Cの手法と同様の作用,効果を奏するものとなる。
図6(d)に示されたエリア情報に対応するエリア範囲を図12に例示する。図12中における実線の円はメタ情報によって特定されたエリア範囲を示し、図6(d)中で時刻が「13:40:20.254」,「13:45:50.982」のレコードに対応するものである。一方、一点鎖線の円はGPS情報によって特定されたエリア範囲を示し、図6(d)中で時刻が「13:42:16.586」のレコードに対応する。また、破線の円は基地局情報によって特定されたエリア範囲を示し、図6(d)中で時刻が「13:44:07.233」のレコードに対応する。個々の円形領域は、それぞれが異なる中心位置,異なる半径を持ち、他の円形領域の内部に包括されるものもある。連設される複数の円形領域のうちの少なくとも一つに内包される領域が、最終的なエリア範囲となる。
[1−3−3−4.抽出部]
抽出部4bは、特定部4aで設定されたエリア範囲内をトポロジマッチングの対象として、単位リンクに対応する経路候補を抽出するものである。ここでは、ユーザからの経路推定命令が伝達された時点で生成されている全ての単位リンクと、トポロジマップ内のリンクのうち特定部4aで設定されたエリア範囲内に含まれるリンクの組み合わせとが照合される。
最初の経路候補の抽出作業では、トポロジマップ上のリンクについて、特定部4aで特定されたエリア範囲内に含まれる全てリンクが抽出される。例えば、図13中に示すような一つのエリア範囲に着目すると、トポロジマップ上のリンクのうち、少なくとも両端点のうちの何れか一方のノードがエリア範囲内に位置するリンクが抽出される。その結果、図13中に破線で示すリンクは経路候補から除外され、実線で示すリンクのみが抽出される。
このような操作を全てのエリア範囲に対して実施することで、経路候補となるトポロジマップ上のリンクが抽出される。図14は、図12に示すトポロジマップから、候補外となったリンクを除外したものである。これらの各リンクのことを経路候補と呼ぶ。
続いて、抽出部4bは、経路候補に含まれる全てのノードを始点として、3リンクの組み合わせを形成する4ノードを探索する。これらの4ノードとノード間を接続する3リンクとからなる照合用リンクを生成し、照合用リンクのリンク長tl1〜tl3,旋回角度θtl1,θtl2及び合計リンク長tLを算出する。
さらに、単位リンクと照合用リンクとを照合し、単位リンクと形状が一致又は類似する照合用リンクを経路候補として抽出する。例えば、抽出部4bは照合用リンク以下の全ての条件を満たすときに、単位リンクと類似するものと判断する。照合回数は、単位リンクと照合用リンクとの組み合わせ数に応じた回数となる。
E.各リンクのリンク長の誤差が所定長さ以下である
F.各旋回角度の誤差が所定角度以下である
G.合計リンク長の誤差が所定値以下である
これらの条件E〜Gにより、歩行リンク形状にそぐわないトポロジが経路候補から除外される。したがって、後述する算出部5における移動経路の推定演算に係る候補数が減少し、演算負荷が削減される。
経路候補の具体的な抽出条件を以下に例示する。式1は、単位リンクの旋回角度を基準として、照合用リンクの旋回角度が±x%の範囲内にあるか否かを判定するための条件式である。式中のiはリンク番号(本実施形態では、i=1,2,3)である。
同様に、式2は、単位リンクのリンク長を基準として、照合用リンクのリンク長が±y%の範囲内にあるか否かを判定するための条件式である。また、式3は照合用リンクの合計リンク長が単位リンクの合計リンク長の±z%の範囲内にあるか否かを判定するための条件式である。これらの条件に加えて、二つの旋回角度の合計が単位リンクと照合用リンクとで一致又は類似しているか否かを判定してもよい。
Figure 0005867223
また、抽出部4bは、上記の手法で抽出された経路候補をさらに絞り込む演算を実施する。すなわち、単位リンクに含まれるノードと、経路候補に含まれるノードとの間を仮想的な弾性体で繋ぎ、全ての弾性体が安定となる状態でのバネエネルギー(最小バネエネルギー)を算出する。この最小バネエネルギーが閾値未満であるものが、新たな経路候補として選別される。単位リンク及び経路候補がともに3リンクであるときのバネエネルギーの演算式を以下に例示する。
Figure 0005867223
上記のバネエネルギーの値は、単位リンクと経路候補とを重ね合わせて配置するときのアライメント手法(重ね合わせ方,配置の基準位置の設定)によって変化する。一方、本実施形態で演算されるバネエネルギーは、単位ノードと経路候補とのマッチングの度合い(一致の度合い,近似の度合い,類似の度合い)を把握するためのパラメータとしての意味あいが強く、「仮想的な弾性体が仕事を為し得る能力」といった厳密な意味でのエネルギーではない。
したがって、演算の前提条件となるアライメント手法は、演算精度や演算速度に応じて任意に設定することが可能である。例えば、以下に列挙するアライメント手法の何れか又は組み合わせを適用することができる。
H.最も長いリンク同志を重ね合わせて配置する
I.重心位置を重ね合わせて配置する
J.端部ノードの位置を重ね合わせて配置する
K.リンク同志のずれ角度が最小となる配置とする
L.バネエネルギーが最小となる配置とする
抽出部4bでは、単位リンクを基準として、トポロジマップの中から単位リンクに似た形状の経路候補が二段階に選別されて抽出される。ここで抽出された経路候補の情報は算出部5に伝達される。
[1−3−4.算出部]
算出部5は、抽出部4bで抽出された経路候補に基づいて、携帯端末10の移動経路を算出するとともに、算出結果に基づいて地図データ記憶部6aのトポロジマップを更新するものである。算出部5には、選択部5a,第二選択部5b及び更新部5cが設けられる。
選択部5aは、他の経路候補への接続の容易性(接続性)を考慮して、多数の経路候補の中から適切な(尤もらしい)経路候補を選別(選択)し、選別された経路候補を組み合わせることで新たな経路候補を合成するものである。ここでは、時間的に隣接又は重複するリンクを共有する経路候補同志の接続性が考慮される。以下、接続性が高い経路候補同志を接続したもののことを、正経路候補と呼ぶ。
図15に示すように、ある単位リンクM0に対して三本の経路候補M1〜M3が存在し、他の単位リンクN0に対して三本の経路候補N1〜N3が存在し、さらに他の単位リンクO0に対して三本の経路候補O1〜O3が存在するものとする。また、二つの単位リンクM0,N0は、同じリンクを二本共有し、時間的に隣接しているものとする。同様に、単位リンクN0,O0もそれぞれが、同じリンクを二本共有するものとする。
選択部5aはまず、三本の経路候補M1〜M3と三本の経路候補N1〜N3との全ての組み合わせにおいて、共有部分のリンク形状が一致又は類似する組み合わせを探索する。ここで、共有部分のリンク形状の一致又は類似の度合いが所定度合い以上である場合に、それらの経路候補の組み合わせが適切であると判断され、両者を繋いだ新たな経路候補が正経路候補として合成される。
例えば、選択部5aは、経路候補M2及び経路候補N1の組み合わせを考慮する際に、二つの単位リンクM0,N0に共通する共通リンクを探索し、共通リンクに対応する経路候補M2上の第一照合リンクS1を設定する。同様に、共通リンクに対応する経路候補N1上の第二照合リンクS2を設定する。これらの第一照合リンクS1と第二照合リンクS2とが一致又は類似した場合に、選択部5aは経路候補M2及び経路候補N1の組み合わせが適切であると判断し、経路候補M2及び経路候補N1を接続して正経路候補M2N1を合成する。
正経路候補M2N1は、経路候補M2及び経路候補N1に含まれるリンクを時系列に沿って配置した形状に合成される。例えば、第一照合リンクS1と第二照合リンクS2とが一致した場合には、経路候補N1から第二照合リンクS2を取り除いたものが経路候補M2の末尾に接続されて、正経路候補M2N1が合成される。第一照合リンクS1と第二照合リンクS2とが類似する場合には、同様の操作で正経路候補M2N1を合成してもよいし、経路候補M2から第二照合リンクS2を取り除いたものを経路候補N1の先頭に接続することで正経路候補M2N1を合成してもよい。あるいは、第一照合リンクS1及び第二照合リンクS2の長さやリンク勾配を平均化した平均リンクを生成し、経路候補M2から第二照合リンクS2を取り除いたものと、平均リンクと、経路候補N1から第二照合リンクS2を取り除いたものとを接続することで正経路候補M2N1を合成してもよい。
単位リンクM0及び単位リンクN0に対応する全ての経路候補の組み合わせについての演算が完了すると、選択部5aは引き続き、単位リンクO0に対応する経路候補との組み合わせについての演算を実施する。図15に示す例では、正経路候補M2N1と三本の経路候補O1〜O3との全ての組み合わせにおいて、共有部分のリンク形状が一致又は類似する組み合わせが探索され、新たな正経路候補が合成される。
上記のように、選択部5aでは共通の時刻情報を持つリンクの形状の類似度に基づいて経路候補の接続性が判断され、正経路候補が生成される。経路候補に含まれるリンク数がPであり、合成対象となる経路候補と共通のリンク数がQであるとき、経路候補の合成後に得られる正経路候補に含まれるリンク数の増分はP-Qとなる。リンク数Qは少なくともリンク数Pよりも小さいことから、正経路候補のリンク数は経路候補が合成される度に増加する。
選択部5aは、正経路候補のリンク数が取得部2で取得されたリンク列のリンク数と一致するまで合成操作を繰り返し、携帯端末10の移動経路に対応するリンク数を持った正経路候補を合成する。ただし、最終的に合成される正経路候補の数は、必ずしも一つになるわけではなく、複数の正経路候補が得られる場合もある。そこで、このような繰り返しの合成操作の過程で、あるいは全ての合成操作の完了時に、正経路候補の中で最も尤もらしい経路を第二選択部5bが判断する。
第二選択部5bは、選択部5aで合成された正経路候補に基づき、携帯端末10の移動経路を算出,推定するものである。正経路候補が一つのみである場合、第二選択部5bはその正経路候補が携帯端末10の移動経路に対応するものと判断する。一方、正経路候補が複数存在する場合、第二選択部5bはトポロジマッチングの手法を用いてさらなる絞り込みを実施する。
照合部4での照合操作が「単位リンク」とトポロジマップとの照合であるのに対し、第二選択部5bでの照合操作は「正経路候補」とトポロジマップとの照合である。選択部5aで合成された正経路候補の数が一つである場合には、このような照合は不要である。
また、選択部5aでの合成過程で(すなわち、正経路候補のリンク数がリンク列のリンク数にまだ達していないときに)、ある単位リンクに対して一対一で対応する経路候補(単独で単位リンクに対応する経路候補)を合成した場合や、選別の結果として合成対象の経路候補が一つに絞り込まれた場合、第二選択部5bはその時点での正経路候補をトポロジマップと照合する。
これは、合成対象の経路候補が一つに絞り込まれた時点で、それまでに正経路候補であると判断された経路候補が選択部5aでの選別から漏れることがなくなるからである。例えば、合成対象の経路候補が一つに絞り込まれた時点で8列の正経路候補が存在する場合、選択部5aで最終的に絞り込まれる正経路候補の数は、少なくとも8列以上となる。つまり、合成対象の経路候補が一つに絞り込まれた時の正経路候補の数は、最終的に絞り込まれる正経路候補の下限値に相当する。
したがって、正経路候補の下限値が確定した時点で正経路候補とトポロジマップとの照合を実施することで、それ以降に同様の照合を実施する場合と比較して、照合に係る演算量を削減することが可能となる。
第二選択部5bでの具体的な照合手法は種々考えられ、例えば抽出部4bでの照合手法と同様の手法を適用可能である。すなわち、正経路候補に含まれるノードと、正経路候補に対応するリンク列に含まれるノードとの間を仮想的な弾性体で繋ぎ、全ての弾性体が安定となる状態でのバネエネルギー(最小バネエネルギー)を算出する。この最小バネエネルギーが閾値未満であるものが、尤もらしい正経路候補として選別される。
上記の選別により、リンク列に含まれるリンク数と、正経路候補に含まれるリンク数とが同数になったとき、算出部5はその正経路候補が携帯端末10の移動経路に相当する経路であると推定する。
更新部5cは、選択部5a及び第二選択部5bによる正経路候補の絞り込み時、あるいは絞り込みの完了時に、その過程で得られたメタ情報を地図データ記憶部6aのトポロジマップに関連づけて記憶させるものである。ここでは、地図データ記憶部6aのトポロジマップに含まれる各リンクに対してメタ情報が付加された結果、データベースが更新される。ただし、携帯端末10から伝達されたメタ情報の全てがトポロジマップに関連づけられるのではなく、尤もらしい正経路候補として絞り込まれたものについてのメタ情報のみがデータベースに反映される。
例えば、第二選択部5bでの正経路候補の絞り込みの結果、リンク列に含まれるリンク数と正経路候補に含まれるリンク数とが同数になったときには、その正経路候補に含まれる全てのリンクに付随するメタ情報が、トポロジマップに関連づけられる。また、正経路候補に含まれるリンク数がリンク列に含まれるリンク数に達していない場合であっても、その正経路候補に含まれるリンクのうち、他の候補リンクが存在しないものに関しては、最終的に正しいリンクとして絞り込まれることになる。したがって、このようなリンクに付随するメタ情報も、トポロジマップに関連づけられる。
このように、推定結果が確定したリンクに対応する経路上で検出されたメタ情報が、トポロジマップ上の個々のリンクに付随する情報として取り扱われ、データベースが更新される。ここで追加されたメタ情報は、照合部4における次回以降のトポロジマッチングでエリア範囲を特定する際に利用される。
[2.制御手順]
[2−1.システム全体のアルゴリズム]
図16は、携帯端末10及びサーバ20間での経路推定に係る通信手順を例示するプロセスチャートである。
ステップA1では、携帯端末10の経路推定用のアプリケーションが携帯端末10上で起動したか(あるいは、携帯端末10の電源スイッチがオンであるか)否かが判定される。
この判定条件が成立するとステップA2へ進み、携帯端末10の測位部1で第一センサ情報及び第二センサ情報が取得される。ここで取得される第二センサ情報には、少なくともメタ情報が含まれていればよく、基地局情報及びGPS情報は含まれていなくてもよい。なお、ステップA1の判定条件が不成立の場合には今回の演算周期での制御が終了し、次回の演算周期で再びステップA1の判定が実施される。
続くステップA3では、所定の通信条件が成立したか否かが判定される。ここでは例えば、以下の通信条件の何れかが成立するか否かが判定される。これらの何れかが成立する場合には、ステップA2で取得された第一センサ情報及び第二センサ情報が取得時刻の情報とともに、携帯端末10の通信部12からサーバ20へと送信される。
A.アプリケーションの起動直後である
B.以前に通信条件が成立した時刻から所定時間が経過した
C.以前に通信条件が成立した位置から所定距離移動した
一方、サーバ20側では、ステップB1で第一センサ情報,第二センサ情報及び時刻情報が受信される。続くステップB2では、ステップB1で受信した第二センサ情報中に含まれるメタ情報と地図データ記憶部6aに記録されているデータベースとの照合により、携帯端末10から送信されたメタ情報に対応するトポロジマップ上の位置に関する過去のメタ情報(WLAN情報)が存在するか否かが検索される。
また、ステップB3では、前ステップB2で判定されたWLAN情報の有無に関する情報が、サーバ20の通信部22を介して携帯端末10に送信される。その後、ステップB1でサーバ20が受信した第一センサ情報,第二センサ情報及び時刻情報は、ステップB4においてログデータ記憶部6bにデータベースとして保存される。このように、サーバ20は、携帯端末10からのデータ送信を受けて、データの蓄積とWLAN情報の有無判定とを繰り返し実施する。
サーバ20から送信されたWLAN情報の有無に関する情報は、ステップA4で携帯端末10に受信される。続くステップA5では、サーバ20側にWLAN情報が存在したか否かが判定される。ここでWLAN情報が存在していた場合にはステップA10に進み、存在しない場合にはステップA6に進む。
ステップA6では、全地球位置情報測位部1eにおいて、GPS情報が取得される。また、続くステップA7では、前ステップ6でGPS情報を取得したか否かが判定される。ここでGPS情報が取得できた場合にはステップA10へ進み、取得できなかった場合にはステップA8に進む。
ステップA8では、基地局情報測位部1dにおいて、基地局情報が取得される。続くステップA9では、前ステップ8で基地局情報を取得したか否かが判定される。ここで基地局情報が取得できた場合にはステップA10へ進み、取得できなかった場合には今回の演算周期での制御が終了し、次回の演算周期では再びステップA1から制御が開始される。
上記のステップA6〜A9は、WLAN情報を用いたトポロジマップの特定ができない場合にのみ実施される。つまり、サーバ20側にWLAN情報が存在する場合には、ステップA6〜A9がスキップされるため、全地球位置情報測位部1e及び基地局情報測位部1dを休止状態とすることが可能である。また、GPS情報の位置精度は基地局情報の位置精度よりも高く、トポロジマップの照合範囲を特定する上で有用である。したがって、本フローでは、基地局情報よりもGPS情報を優先的に取得する。
ステップA10では、携帯端末10のユーザから歩行経路の履歴要求があるか否かが判定される。ここでいう履歴要求とは、例えば歩行経路や現在位置等に関する推定演算をサーバ20に要求する入力操作である。ここで履歴要求がある場合には、履歴要求に係る信号とともに、第一センサ情報,第二センサ情報,時刻情報がサーバ20に送信される。また、履歴要求がない場合にはステップA13に進む。
履歴要求に係る信号を受けたサーバ20では、ステップB5において、受信した第一センサ情報,第二センサ情報,時刻情報と記憶部6のデータベースとに基づき、携帯端末10の移動経路の探索(推定演算)が実施される。また、続くステップB6では、前ステップB5で演算された移動経路の情報が携帯端末10に送信され、ステップB7ではその移動経路の情報に基づき、地図データ記憶部6aのデータベースにWLAN情報が記録される。したがって、地図データ記憶部6aのデータベースは、移動経路の推定演算が完了する毎に更新される。
サーバ20から送信された移動経路の情報は、ステップA11で携帯端末10に受信される。続くステップA12では、その移動経路の情報が携帯端末10の表示部14に表示され、移動経路に対応する地図情報がユーザに提供される。ステップA13では、経路推定用のアプリケーションが携帯端末10上で終了したか(あるいは、携帯端末10の電源スイッチがオフであるか)否かが判定される。この判定条件の成立時には本フローが終了する。また、不成立時には今回の演算周期での制御が終了し、次回の演算周期で再びステップA2以降の制御が実施される。
[2−2.エリア範囲の特定]
図17は、サーバ20の特定部4aにおけるエリア範囲の特定手順を例示するフローチャートであり、例えば上記のプロセスチャートのステップB2〜B4の間やステップB5で実施される。
ステップC1では、携帯端末10から伝達された第二センサ情報の中からWLAN情報が抽出される。続くステップC2では、取得済みの個々のWLAN情報について、ステップC12までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。
続くステップC3では、地図データ記憶部6aのトポロジマップ上に存在する全てのリンクに対して、ステップC11までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。また、ステップC4では、WLAN情報とトポロジマップ上のリンクとが照合され、対象のリンクがWLAN情報を持つリンクであるか否かが判定される。ここでWLAN情報を持つリンクは、続くステップC5で「登録リンク」として制御部21内の記憶装置等に登録される。この登録リンクは、エリア範囲の中心位置を特定するために選択された暫定的なリンクのである。また、ステップC4で対象のリンクがWLAN情報を持たない場合には、ステップC11に進む。
また、ステップC5では、個々の登録リンクに対して、ステップC10までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。続くステップC6では、登録リンクの始点ノード(登録リンクの両端点のうちの一方に相当するノード)の座標を取得し、その座標が最北端,最南端,最西端,最東端の何れかに位置するものであるか否かが判定される。つまりこのステップでは始点ノードが他の始点ノードの集合よりも外側に位置するものであるか否かが判定される。ここで、始点ノードの座標が最北端,最南端,最西端,最東端の何れかに位置するものであるときにはステップC7に進み、そうでない場合にはステップC8に進む。
ステップC7では、始点ノードがそれぞれの位置の属性を持つものとして記録される。また、ステップC8,C9では、ステップC6,7と同様の演算が登録リンクの終点ノード(登録リンクの両端点のうちの他方に相当するノード)に対して実施される。なお、始点ノードの座標が最北端,最南端,最西端,最東端の何れにも該当しない場合には、各属性に対応する始点ノードの情報は更新されず、それまでの記録が維持される。
ステップC10では、ステップC5に対応するループ端処理が実施され、全ての登録リンクに対してループ処理が完了したか否かが判定される。ステップC6〜9の処理は、個々の登録リンクに対して繰り返し実施されるため、全ての登録リンクについての処理が完了したときには、登録リンクのノードが分布する領域の最北端,最南端,最西端,最東端に相当する四つ以下の座標が得られる。全ての登録リンクに対してループ処理が完了した場合には、制御がステップC11に進む。
ステップC11ではステップC3に対応するループ端処理が実施され、ステップC12ではステップC2に対応するループ端処理が実施される。これにより、地図データ記憶部6aのデータベース上で携帯端末10から伝達されたWLAN情報が付加されている全ての登録リンクについて、分布領域の情報が把握される。
本フローでは、ステップC1で携帯端末10から伝達された第二センサ情報の中からWLAN情報が抽出される毎に、登録リンク,最北座標,最南座標,最西座標,最東座標が取得される。なお、図5(b)に示すように、抽出されたWLAN情報の中にサービスセット識別子が異なる複数のデータが存在する場合に、サービスセット識別子毎に登録リンク,最北座標,最南座標,最西座標,最東座標を取得するような制御構成としてもよい。
ステップC13では、エリア範囲の中心座標が演算される。中心座標は、例えば全登録リンクの始点ノード及び終点ノードの重心点として求めることができる。あるいは、登録リンクに付随するメタ情報に含まれる受信信号強度の情報を利用して、重み付けした始点ノード及び終点ノードの重心点を求めてもよい。
ステップC14では、エリア範囲の半径が演算される。半径は、最北座標と最南座標の距離と、最西座標と最東座標の距離とのうち、何れか長い方として求めることができる。または、受信信号強度に応じた係数をその半径に乗じて補正してもよい。このようにして得られたエリア範囲の情報は、サーバ20の制御部21に内蔵されたROM,RAM,記憶装置等に記録される。
[2−3.トポロジデータの抽出]
図18は、サーバ20の抽出部4bにおけるトポロジデータの抽出手順を例示するフローチャートであり、例えば上記のプロセスチャートのステップB5や上記のエリア範囲の特定後に実施される。
ステップD1では、中心座標及び半径で規定される個々のエリア範囲に対して、ステップD10までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。
また、ステップD2では、地図データ記憶部6aのトポロジマップ上に存在する全てのノードに対して、ステップD5までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。
ステップD3では、エリア範囲とトポロジマップ上のノードとが照合され、対象のノードがエリア範囲内に位置するか否かが判定される。ここでエリア範囲内に位置するノードは、続くステップD4で「抽出ノード」として制御部21内の記憶装置等に登録される。また、対象のノードがエリア範囲外に位置する場合には、ステップD5に進む。
この「抽出ノード」は、経路候補を抽出するために選択された暫定的なノードの情報であるとともに、少なくとも経路候補に含まれるリンクに接続されたノードであって、経路候補に関連するノードである。なお、経路候補となるリンクは、必ずしもエリア範囲の内部に完全に入るもののみではない。
また、ステップD5ではステップD2に対応するループ端処理が実施され、全てのエリア範囲内のノードに対してループ処理が完了したか否かが判定される。ここで、全てのエリア範囲内のノードについての照合が完了すると、制御がステップD6に進む。
ステップD6では、地図データ記憶部6aのトポロジマップ上に存在するリンクのうち、「抽出ノード」に接続された全てのリンクに対して、ステップD9までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。続くステップD7では、エリア範囲とトポロジマップ上のリンクとが照合され、それぞれのリンクの少なくとも一部がエリア範囲内に存在するか否かが判定される。ここでは例えば、リンクの両端点に相当する始点ノード及び終点ノードの少なくとも何れか一方が、エリア範囲内に位置するか否かが判定される。この条件が成立する場合にはステップD8に進み、不成立の場合にはステップD9に進む。
エリア範囲上を通るリンクは、続くステップD8で「抽出リンク」として制御部21内の記憶装置等に登録される。「抽出リンク」は、経路候補を形成するための材料となるリンクである。また、ステップD9ではステップD6に対応するループ端処理が実施され、全ての対象リンクに対してループ処理が完了したか否かが判定される。ここで、一つのエリア範囲内の対象リンクについての照合が完了すると、制御がステップD10に進む。なお、ステップD10ではステップD1に対応するループ端処理が実施される。ここで、全てのエリア範囲についての処理が完了すると、本フローが終了する。
[2−4.移動経路の推定]
図19は、サーバ20の抽出部4bにおける経路候補の抽出及び推定手順を例示するフローチャートであり、例えば上記のプロセスチャートのステップB5や上記のトポロジデータの抽出後に実施される。
ステップE1では、生成部3で生成された個々の単位リンクに対して、ステップE7までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。続くステップE2では、制御部21内の記憶装置等に登録された抽出リンクの中から、単位リンクに含まれるリンク数と同数のリンクの組み合わせが「経路候補」として抽出される。またステップE3では、経路候補の絞り込み処理が実施される。
続くステップE4では、ステップE2で生成された経路候補がその単位リンクに対する最初の経路候補であるか否かが判定される。ここで最初の経路候補である場合にはステップE7に進み、他の単位リンクについての制御が継続される。また、最初の経路候補でない場合には、ステップE5に進み、時系列マッチング処理が実施される。
その後のステップE6では、スタートリンクを1リンクずらす処理が実施される。このステップでは、その時点でのマッチング対象である単位リンクのノードを時系列に沿って移動させる操作がなされる。また、ステップE7では、ステップE1に対応するループ端処理が実施され、全ての単位リンクについての経路候補の絞り込み処理及びマッチング処理が完了したか否かが判定される。
この条件が成立しない場合には制御がステップE1に進み、他の単位リンクについての経路候補の絞り込み処理及びマッチング処理が継続される。このとき、処理対象とされる単位リンクは、時系列のリンク列の中で、直前に処理対象だった単位リンクよりも1リンク分だけ未来側にずれた位置に存在するものとなる。
全ての単位リンクのマッチングが完了するとステップE8に進み、経路探索結果が携帯端末10側に通知される。ステップE8は、前述のプロセスチャート中のステップB6に対応するステップである。
[2−5.経路候補の絞り込み]
図20は、図19中のステップE3で実施される「経路候補の絞り込み処理」の手順を例示するフローチャートである。このフローの開始時には、単位リンクに含まれるリンク数と同数のリンクの組み合わせが「経路候補」として生成されている。しかし、生成直後の経路候補の数は、エリア範囲内に存在する抽出リンクの組み合わせ数と同数であり、マッチング対象としては数が膨大である。そこで本フローでは、単位リンクとのマッチングにより経路候補数を絞り込む処理が実施される。
ステップF1では、経路候補に含まれるリンクの両端点をなす全てのノードに対して、ステップF20までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。続くステップF2では、経路候補の絞り込みの始点となるノードS(始点ノードS)が設定される。このノードSは、経路候補に含まれるリンクのうち最も早い時刻情報を持つリンクのノードであって、他のリンクに接続されていないノードである。
ステップF3では、ノードSに隣接する全ての接続ノードについて、ステップF17までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。続くステップF4では、ノードSに隣接する接続ノードが決定される。ここでいう「接続ノード」とは、ノードSに対して一本のリンクを隔てて存在するノードを意味する。接続ノードの数は、ノードSに対して接続されたリンク数と同数である。
ステップF5では、ノードS及び接続ノード間のリンクが単位リンクと照合される。ここで、単位リンクに含まれる3本のリンクを、時刻情報が古い順に1リンク目,2リンク目,3リンク目と呼ぶ。照合対象のリンクの序数を変数kで表現すれば、ステップF5では、変数kが1〜3の何れであるかが判定される。ここで変数kが1のときにはステップF6に進み、変数kが2のときにはステップF9に進み、変数kが3のときにはステップF11に進む。
ステップF6では、ノードS及び接続ノード間のリンクと単位リンクの1リンク目とが照合される。例えば、それぞれのリンク長の差が閾値以下であるか否かが判定される。この条件が成立する場合にはステップF8に進み、不成立の場合にはステップF17に進む。ステップF17では、ステップF3に対応するループ端処理が実施され、全ての接続ノードに対してループ処理が完了したか否かが判定される。したがって、制御がステップF3に戻り、異なる接続ノードでの照合が継続される。
一方、ステップF8に進んだ場合には、変数kにk+1が代入されるとともに、接続ノードの位置が制御部21内の記憶装置等に記録され、ステップF3からの処理が継続される。この場合、ステップF4で前回の接続ノードに隣接する新たな接続ノードが決定されるとともに、ステップF5からステップF9に進み、ノードSから新たな接続ノードに至る2リンクと単位リンクの1リンク目から2リンク目までが照合される。例えば、単位リンクの2リンク目のリンク長と前回の接続ノード(1番目の接続ノード)から今回の接続ノード(2番目の接続ノード)までのリンク長との差が、閾値以下であるか否かが判定される。この条件が成立する場合にはステップF10に進み、不成立の場合にはステップF17に進む。
ステップF10では、単位リンクの1リンク目及び2リンク目の旋回角度と、これに対応する経路候補の旋回角度との差が閾値以下であるか否かが判定される。この条件が成立する場合には再びステップF8に進み、不成立の場合にはステップF17に進む。ステップF17に進んだ場合には、再びステップF4に進んだときに、2番目の接続ノードが変更される。
一方、ステップF8に進んだ場合には、再びステップF4に進んだときに、2番目の接続ノードに隣接する新たな接続ノード(3番目の接続ノード)が決定される。ステップF5からステップF11に制御が進むと、単位リンクの3リンク目のリンク長と、2番目及び3番目の接続ノード間のリンク長との差が閾値以下であるかが判定される。この条件が成立する場合にはステップF12に進み、不成立の場合にはステップF17に進む。
ステップF12では、単位リンクの2リンク目及び3リンク目の旋回角度と、これに対応する経路候補の旋回角度との差が閾値以下であるか否かが判定される。この条件が成立する場合にはステップF13に進み、不成立の場合にはステップF17に進む。
ステップF13では、単位リンクの合計リンク長と、ノードSから3番目の接続ノードまでのトータルの長さとの差が閾値以下であるか否かが判定される。この条件が成立する場合にはステップF14に進み、不成立の場合にはステップF17に進む。ここまでの照合結果から、歩行リンク形状にそぐわないトポロジが経路候補から除外される。
ステップF14では、単位リンクに含まれるノードと、経路候補に含まれるノードとの間を仮想的な弾性体で繋いだときの最小バネエネルギーが算出される。続くステップF15では、最小バネエネルギーが閾値以下であるか否かが判定される。この条件が成立する場合にはステップF16に進み、ノードSから1番目,2番目の接続ノードを経て3番目の接続ノードに至る経路候補が制御部21内の記憶装置等に登録される。
つまり、ステップF15までの判定条件が不成立となる経路候補は破棄される。また、ステップF17において全ての接続ノードについての処理が完了すると、制御がステップF18に進む。
ステップF18では、変数kが1であるか否かが判定される。ここでk=1の場合には、ステップF20に進み、k≠1(すなわち、k=2又はk=3)の場合には、ステップF19に進む。
ステップF19では、変数kにk−1が代入されるとともに、その時点での接続ノードが新たなノードSとして設定されて、ステップF3からの処理が継続される。この場合、ステップF4で新たなノードSを始点とした1番目の接続ノードが決定され、照合が継続される。
また、ステップF20では、ステップF1に対応するループ端処理が実施され、経路候補に含まれるリンクに繋がる全てのノードについての処理が完了したか否かが判定される。ここで全てのノードについての処理が完了していなければ制御が再びステップF1に進み、完了した時点で本フローが終了して、図19中のステップE4が実施される。
[2−6.経路候補のマッチング]
図21は、図19中のステップE5で実施される「マッチング処理」の手順を例示するフローチャートである。図20の「経路候補の絞り込み処理」では、単位リンクとのトポロジマッチングによって経路候補が絞り込まれるのに対し、「マッチング処理」では、経路候補同志の接続性を考慮して新たな正経路候補が生成され、さらなる絞り込みが実施される。
ステップG1では、全ての経路候補について、ステップG4までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。続くステップG2では、時刻情報の古いものから順に、時間的に隣接する経路候補同志の接続の容易性が判定される。ここで、経路候補Maに含まれるノードに対し、時刻情報に基づいて序数を付し、古いものから順にMa1,Ma2,Ma3,Ma4と表記する。同様に、経路候補Nbと時間的に隣接する経路候補Nn(経路候補Nbよりも最近の経路候補であって、経路候補Nbの次に古い経路候補)に含まれるノードについても、古いものから順にNb1,Nb2,Nb3,Nb4と表記する。
ステップG2では、以下の全ての条件が成立するか否かが判定される。
A.ノードMa2とノードNb1との距離が閾値以下である
B.ノードMa3とノードNb2との距離が閾値以下である
C.ノードMa4とノードNb3との距離が閾値以下である
なお、上記の条件A〜Cを一般化して、以下のように記述することができる。
D.前回までの候補ノードnと今回の候補ノード2との距離が閾値以下である
E.前回までの候補ノードn-1と今回の候補ノード1との距離が閾値以下である
F.前回までの候補ノードn-2と今回の候補ノード0との距離が閾値以下である
「前回までの候補ノード」とは、時間的に隣接する二つの経路候補のうち時刻情報の古いものに含まれるノードに対応する。また「候補ノードn」とは、その経路候補に含まれるノードの最遅ノード(時刻情報が新しいノード)である。また「今回の候補ノード」とは、時間的に隣接する二つの経路候補のうち時刻情報の新しいものに含まれるノードに対応し、「候補ノード0」はその経路候補に含まれる最先ノード(時刻情報が古いノード)である。
上記の条件A〜C,又はD〜Fが成立する場合には、接続の容易度(あるいは、一致度,類似度,近似度と言い換えてもよい)が所定度以上であると判断されてステップG3に進み、経路候補Maと経路候補Nbとを合成した正経路候補MaNbが合成される。一方、何れかの条件が成立しない場合には、ステップG4に進む。
ステップG4では、ステップG1に対応するループ端処理が実施され、全ての経路候補についての処理が完了したか否かが判定される。ここで全ての経路候補についての処理が完了していなければ制御が再びステップG1に進み、完了した時点で本フローが終了して、図19中のステップE6が実施される。
[2−7.メタ情報の登録]
図22は、記憶部6の地図データ記憶部6aにおけるトポロジマップへのメタ情報の付加処理に関するフローチャートであり、例えば携帯端末10の移動経路の推定演算時や推定演算が完了した時点でサーバ20の算出部5によって実施される。上記のプロセスチャートでは、ステップB5〜ステップB7で実施される。
ステップH1では、算出部5での絞り込みを通して携帯端末10の移動経路に相当するものと特定された正経路候補に含まれる全てのリンクに対し、ステップH10までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。続くステップH2では、処理対象となるリンクの始点ノード及び終点ノードが、全ての正経路候補に含まれるノード中でただ一つのみ存在するか否かが判定される。
つまりここでは、処理対象となるリンクが全経路候補中に一つしか無いリンク(ユニークリンク)であるか否かが判定される。この条件が成立する場合にはステップH3に進み、当該リンクの情報がサーバ20の制御部21に内蔵されたROM,RAM,記憶装置等に記録される。また、続くステップH4では、ステップH1に対応するループ端処理が実施され、正経路候補に含まれる全てのリンクに対する処理が完了したか否かが判定される。ここで全てのリンクについての処理が完了した場合にはステップH5に進み、未完了の場合にはステップH1に進んで他のリンクの固有性についての検証作業が続行される。なお、ステップH2の条件が不成立の場合には、ステップH3をスキップしてステップH4に進む。
ステップH5では、ステップH3で記録された全てのユニークリンクについて、ステップH10までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。続くステップH6では、サーバ20側に送信された全てのメタ情報(WLAN情報)について、ステップH9までの制御を繰り返し実施するループ処理を開始する。
ステップH7では、携帯端末10のユーザがそのユニークリンクに対応する経路を歩行したと推測される時間帯と、メタ情報がサーバ20側に送信された時刻(あるいはメタ情報が取得された時刻)とが照合され、これらが時間的に対応するか否かが判定される。これは、図6(c)に示すように、正経路候補に含まれるリンクに対応する時刻情報が必ずしもメタ情報の送信時刻や取得時刻と完全には一致しない場合があるからである。したがって、ユニークリンク及びメタ情報の時刻情報の差が閾値以下であるときに、これらが時間的に対応するものと判断すればよい。
ステップH7の条件が成立する場合にはステップH8に進み、不成立の場合にはステップH9に進む。ステップH8では、メタ情報とユニークリンクとの相関が認められるものと判断され、ユニークリンクに対応するトポロジマップ上のリンクに対してメタ情報が関連づけられて記録される。つまり、確定した携帯端末10の経路上で検出されたWLAN情報が、トポロジマップ上の個々のリンクに付随する情報として取り扱われ、データベースが更新される。ここで追加されたWLAN情報は、照合部4における次回以降のトポロジマッチングでエリア範囲を特定する際に利用される。
ステップH9では、ステップH6に対応するループ端処理が実施され、全てのメタ情報についての処理が完了したか否かが判定される。ここで全てのメタ情報についての処理が完了した場合にはステップH10に進み、未完了の場合にはステップH6に進んで他のメタ情報の信憑性についての検証作業が続行される。
また、ステップH10では、ステップH5に対応するループ端処理が実施され、ステップH3で記録された全てのユニークリンクについての処理が完了したか否かが判定される。ここで全てのユニークリンクについての処理が未完了であれば、ステップH5に進んで他のユニークリンクについての検証作業が継続される。全てのユニークリンクについての処理が完了した時点で、本フローが終了する。
[3.効果]
(1)開示の測位システム,サーバ,携帯端末,測位方法及びプログラムに係る実施形態(以下、上述の実施形態と略す)では、携帯端末10の測位部1で取得された第一センサ情報に基づいて移動経路が推定,特定され、GPS機能や無線LANの基地局情報は第一センサ情報によるトポロジマッチングのエリア範囲を狭める際に補助的に使用されるに留まる。したがって、GPSを利用できない場合であっても携帯端末10の移動経路を推定することができる。
また、上述の実施形態では、メタ情報(WLAN情報)によるエリア範囲の特定が可能な場合には、GPS情報や基地局情報が使用されず、基地局情報測位部1dや全地球位置情報測位部1eを必要以上に機能させることがない。したがって、測位中のGPS機能等を停止させておくことができ、携帯端末10のバッテリ消費量を抑えることができ、携帯端末の稼働時間を延長することができる。このようなメリットは、音声通話を備えた携帯電話機やスマートフォンの連続待受時間を確保する上で特に有用である。
(2)また、上述の実施形態は、トポロジマッチングの手法を用いて移動経路を推定しており、移動経路の全体的な形状やその変化の傾向を捉えやすいというメリットがある。すなわち、GPS情報や基地局情報といった局所的な座標情報に基づく経路推定手法と比較して、測定誤差やノイズといった外乱に対する耐性を高めることができ、推定に係る演算精度を向上させることができる。
(3)また、上述の実施形態では、携帯端末10で得られた第一センサ情報及び時刻情報から携帯端末10の移動経路を一本の折れ線(ポリライン)をなすリンク列を生成し、このリンク列とトポロジマップ(地図情報)とを照合することでトポロジマッチングを実現している。一方、トポロジマッチングの手法では、照合リンク数が増加するほど照合精度を向上させることが可能である。したがって、移動経路の誤判断や誤検出の発生率を減少させることができ、推定精度を向上させることができる。
なお、一回のマッチングにおける照合リンク数が多ければ、演算精度が向上する反面、照合に係る演算量が増加し、推定演算に係る処理時間が長くなるおそれが生じる。また、演算手法によっては個々のリンクの照合に係る誤差が積算されやすくなり、推定結果が実際の移動経路に一致しにくくなる場合もある。
一方、上述の実施形態では、リンク列をノード単位で分割した単位リンクを生成し、単位リンク毎にトポロジマップと照合する演算構成としている。これにより、照合に係る演算量を削減することができ、推定演算時間を大幅に短縮することができる。なお、上述の実施形態に係る測位システムを近年の携帯電話機やスマートフォンに適用することを想定した場合、単位リンクに含まれるリンク数を3本〜4本に設定すれば、リアルタイムでの経路推定が可能である。
(4)また、上述の実施形態では、ノード単位で分割した単位リンク毎の照合によって得られる経路候補を時系列に沿って接続した時系列経路に基づいて、携帯端末の移動経路を算出している。このように、トポロジデータを時系列管理することにより、個々の経路候補間の関係を容易に把握することができ、適切な移動経路を推定することができる。また、単位リンクの分割単位がノード単位であることから、単位リンク毎の時刻推定にかかる推定精度を向上させることができ、トポロジデータの時系列管理が容易となるだけでなく、推定精度の信頼性を高めることができ、測位精度を向上させることができる。
(5)また、上述の実施形態では、算出部5の選択部5aにおける経路候補の絞り込み処理において、他の経路候補への接続の容易性を考慮した選別が実施される。このような経路候補の絞り込み手法を用いることで、単位リンクを基準とした小単位での照合だけでなく、単位リンクを組み合わせた巨視的な照合をも併せて実施することができ、移動経路の推定精度を向上させることができる。
(6)また、上述の実施形態では、共通の時刻情報を持つリンクの形状の類似度に基づいて、経路候補の絞り込みが実施される。例えば、選択部5aでは、経路候補同志の共有部分のリンク形状が一致又は類似する組み合わせが探索され、一致又は類似の度合いが所定度合い以上であるものが適切な組み合わせの正経路候補として合成される。このように、時刻情報が共通するリンクの形状の類似度を用いることで、異なる単位リンクに対応する経路候補同志の不整合を回避することができ、時系列経路の信頼性を向上させることができる。
(7)また、上述の実施形態では、リンクに付随するメタ情報がトポロジマップのリンクの付随情報として関連づけられて、地図データ記憶部6aに記録される。このメタ情報は、携帯端末10とサーバ20との通信で使用される情報(通信を目的として通信部12,22間で授受される情報)であり、特別な検出装置を用いることなく取得可能な情報である。このようなメタ情報を測位システムのエリア範囲の設定に適用することで、マッチングの演算負荷を軽減することができ、経路推定に要する時間をさらに短縮することができる。
なお、メタ情報を利用する既存の測位システムとしては、メタ情報の発信源の絶対位置(例えば、基地局や無線通信装置の所在地)を特定し、その絶対位置を基準とした測位を実施するものが存在する。しかし、このような測位システムでは、メタ情報そのものの信頼性が直接的に推定演算の信頼性に影響を及ぼすため、メタ情報と絶対位置との関係を記述したデータベースを構築し、常に更新しなければならない。
これに対し、上述の実施形態では、メタ情報(WLAN情報)を直接的な測位情報として使用するのではなく、トポロジマップ上のリンクに関連づけて使用している。つまり、上述の実施形態では、移動経路の照合対象となるトポロジマップ上のリンクから、不要なリンクを除外するための指標としてメタ情報が利用されており、メタ情報そのものの信頼性の高低が推定演算の信頼性に影響を及ぼすことがない。このような点で、上述の実施形態に係る測位システムは、メタ情報を利用する既存の測位システムと比較して、測位精度を向上させることができ、かつ、システムの運用,保全に係るコストを削減することができる。
(8)また、上述の実施形態では、単位リンク及び経路候補間の類似度を仮想的なバネエネルギーの最小値に基づいて、経路候補を絞り込む手法を採用している。このような演算手法により、単位ノードと経路候補とのマッチングの度合いを定量的に把握することができ、推定精度を容易に調節することができる。例えば、絞り込みに係る最小バネエネルギーの閾値を増大させて経路候補数を増加させることができ、反対に閾値を減少させて経路候補数を減少させることができる。
(9)また、上述の実施形態では、経路候補の絞り込みだけでなく、その経路候補を時系列に沿って接続した時系列経路の尤もらしさを確認する際にも、仮想的なバネエネルギーの最小値を用いてその妥当性を判断している。時系列経路の全体での最小バネエネルギーに基づいて正経路候補を選別することで、最終的に得られる移動経路の尤もらしさ(正確さ)を定量的に確認することができ、移動経路の推定精度を向上させることができる。
[4.変形例]
開示の実施形態の一例に関わらず、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、選択部5aにおいて、時間的に重複するリンクを共有する経路候補同志の接続性を考慮して正経路候補を選別するものを例示したが、正経路候補の選別手法はこれに限定されない。例えば、図15中に示す経路候補M1〜M3を第一経路候補群とし、経路候補N1〜N3を第二経路候補群として、第一経路候補群と第二経路候補群との間に仮想的な弾性体を介装させたときのバネエネルギーに基づいて経路候補を選別する演算手法を採用してもよい。つまり、経路候補M1〜M3の終点ノードと経路候補N1〜N3の始点ノードとの間に仮想的な弾性体を介装させ、バネエネルギーが最小となる(又は所定値以下となる)組み合わせで正経路候補を合成する。
この手法は、第一経路候補群と第二経路候補群とが時間的に重複するリンクを共有しない場合(一の単位リンクに含まれるリンク群Aと、他の単位リンクに含まれるリンク群Bとが互いに同一のリンクを持たない場合)に用いて好適である。例えば、生成部3が複写範囲をリンク数N単位でずらしながら単位リンクを生成する場合には、リンク数Nが3以上のときに本演算手法を適用することで、適切な正経路候補を合成することができ、携帯端末10の経路推定に係る精度を向上させることができる。
また、上述の実施形態では、3リンクからなる単位リンクを用いたトポロジマッチングの手法について詳述したが、単位リンクに含まれるリンク数はこれに限定されない。少なくとも1本以上のリンクを含むように単位リンクを生成すれば、トポロジマップとの照合を実施することが可能である。
また、上述の実施形態は、携帯端末10及びサーバ20を含む経路推定システム30で携帯端末10の移動経路を推定するものを例示したが、サーバ20が有する機能を携帯端末10に付与することで、携帯端末10単体で上述の実施形態と同様の測位システムを構築することも可能である。
また、上述の実施形態では、便宜的に地図情報及び移動経路が二次元で表現されたものを例示したが、これらを三次元空間内の立体図形として取り扱うことも可能である。
[5.付記]
以上の実施形態および変形例に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
携帯端末の移動経路に対応するリンク及びノードを含むリンク列の情報と時刻情報とを取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記リンク列を前記ノード単位で分割した単位リンクを生成する生成部と、
前記生成部で生成された前記単位リンクと地図情報との照合により、前記単位リンクに対応する経路候補を抽出する照合部と、
前記照合部で抽出された前記経路候補を時系列に沿って接続した時系列経路に基づき、前記携帯端末の移動経路を算出する算出部と、を備える
ことを特徴とする、測位システム。
(付記2)
前記算出部が、一の前記単位リンクに対応する複数の前記経路候補を、他の前記単位リンクに対応する前記経路候補への接続性を基準として選別する
ことを特徴とする、付記1記載の測位システム。
(付記3)
前記取得部が、前記リンクに付随するメタ情報を取得するとともに、
前記算出部で算出された前記移動経路に含まれる前記リンクに付随する前記メタ情報を、前記地図情報と関連づけて記憶する記憶部を備える
ことを特徴とする、付記1記載の測位システム。
(付記4)
前記リンクに付随する前記メタ情報と前記記憶部に記憶された前記メタ情報とに基づき、前記地図情報の照合範囲を設定する特定部を備える
ことを特徴とする、付記3記載の測位システム。
(付記5)
前記照合部が、前記照合において、前記単位リンクに含まれるノードと前記地図情報に含まれるノードとの間に弾性体を仮想的に介装したときに生じる弾性エネルギー量に基づき、前記経路候補を抽出する
ことを特徴とする、付記1記載の測位システム。
(付記6)
前記算出部が、共通の時刻情報を持つリンクの形状の類似度に基づき、前記接続性を判断する
ことを特徴とする、付記2記載の測位システム。
(付記7)
前記算出部が、前記時系列経路に含まれるノードと前記地図情報に含まれるノードとの間に弾性体を仮想的に介装したときに生じる弾性エネルギー量に基づき、前記携帯端末の移動経路を算出する
ことを特徴とする、付記1記載の測位システム。
(付記8)
移動量及び移動方向に相関するデータを検出するセンサを備えた携帯端末との通信網を介した通信により前記携帯端末の移動経路を推定するサーバであって、
地図情報を記憶する記憶部と、
前記携帯端末から伝達された前記データに基づき、前記携帯端末の直線移動距離及び旋回角度に対応するリンクと前記リンクの接続点であるノードと時刻情報とを取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記リンクを前記ノード単位で分割した単位リンクを生成する生成部と、
前記生成部で生成された前記単位リンクと前記地図情報との照合により、前記単位リンクに対応する経路候補を抽出する照合部と、
前記照合部で抽出された前記経路候補を時系列に接続した時系列経路に基づき、前記携帯端末の移動経路を算出する算出部と、を備える
ことを特徴とする、サーバ。
(付記9)
前記算出部が、一の前記単位リンクに対応する複数の前記経路候補を、他の前記単位リンクに対応する前記経路候補への接続性を基準として選別する
ことを特徴とする、付記8記載のサーバ。
(付記10)
前記取得部が、前記リンクに付随するメタ情報を取得するとともに、
前記算出部で算出された前記移動経路に含まれる前記リンクに付随する前記メタ情報を、前記地図情報と関連づけて記憶する記憶部を備える
ことを特徴とする、付記8記載のサーバ。
(付記11)
前記リンクに付随する前記メタ情報と前記記憶部に記憶された前記メタ情報とに基づき、前記地図情報の照合範囲を設定する特定部を備える
ことを特徴とする、付記10記載のサーバ。
(付記12)
前記照合部が、前記照合において、前記単位リンクに含まれるノードと前記地図情報に含まれるノードとの間に弾性体を仮想的に介装したときに生じる弾性エネルギー量に基づき、前記経路候補を抽出する
ことを特徴とする、付記8記載のサーバ。
(付記13)
前記算出部が、共通の時刻情報を持つリンクの形状の類似度に基づき、前記接続性を判断する
ことを特徴とする、付記9記載のサーバ。
(付記14)
前記算出部が、前記時系列経路に含まれるノードと前記地図情報に含まれるノードとの間に弾性体を仮想的に介装したときに生じる弾性エネルギー量に基づき、前記携帯端末の移動経路を算出する
ことを特徴とする、付記8記載のサーバ。
(付記15)
携帯端末の移動経路に対応するリンク及びノードを含むリンク列の情報と時刻情報とを取得し、
前記リンクを前記ノード単位で分割した単位リンクを生成し、
前記単位リンクと地図情報との照合により、前記単位リンクに対応する経路候補を抽出し、
前記経路候補を時系列に沿って接続した時系列経路に基づき、前記携帯端末の前記移動経路を算出し、
前記移動経路の情報を前記携帯端末に出力する
ことを特徴とする、測位方法。
(付記16)
前記抽出する処理で抽出された前記経路候補の数が複数であるときに、他の前記単位リンクに対応する前記経路候補への接続性を基準として、複数の前記経路候補を選別し、
前記算出する処理において、前記選別する処理で選別された前記経路候補を時系列に沿って接続する
ことを特徴とする、付記15記載の測位方法。
(付記17)
前記取得する処理において、前記リンクに付随するメタ情報を取得し、
前記算出する処理で算出された前記移動経路に含まれる前記リンクに付随する前記メタ情報を、前記地図情報と関連づけて記憶する
ことを特徴とする、付記15記載の測位方法。
(付記18)
前記リンクに付随する前記メタ情報と、前記記憶する処理で記憶された前記メタ情報とに基づき、前記地図情報の照合範囲を設定する
ことを特徴とする、付記17記載の測位方法。
(付記19)
前記抽出する処理において、前記単位リンクに含まれるノードと前記地図情報に含まれるノードとの間に弾性体を仮想的に介装したときに生じる弾性エネルギー量に基づき、前記経路候補を抽出する
ことを特徴とする、付記15記載の測位方法。
(付記20)
前記算出する処理において、共通の時刻情報を持つリンクの形状の類似度に基づき、前記接続性を判断する
ことを特徴とする、付記16記載の測位方法。
1 測位部
2 取得部
3 生成部
4 照合部
4a 特定部
4b 抽出部
5 算出部
5a 選択部
5b 第二選択部
5c 更新部
6 記憶部
6a 地図データ記憶部
6b ログデータ記憶部
10 携帯端末
20 サーバ
30 経路推定システム(測位システム)

Claims (9)

  1. 携帯端末の移動経路に対応するリンク及びノードを含むリンク列の情報と時刻情報とを取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記リンク列を前記ノード単位で分割した単位リンクを生成する生成部と、
    前記生成部で生成された前記単位リンクと地図情報との照合により、前記単位リンクに対応する経路候補を抽出する照合部と、
    前記照合部で抽出された前記経路候補を時系列に沿って接続した時系列経路に基づき、前記携帯端末の移動経路を算出する算出部と、を備え
    前記算出部が、一の前記単位リンクに対応する複数の前記経路候補を、他の前記単位リンクに対応する前記経路候補への接続性を基準として選別するとともに、共通の時刻情報を持つリンクの形状の類似度に基づき、前記接続性を判断する
    ことを特徴とする、測位システム。
  2. 前記取得部が、前記リンクに付随するメタ情報を取得するとともに、
    前記算出部で算出された前記移動経路に含まれる前記リンクに付随する前記メタ情報を、前記地図情報と関連づけて記憶する記憶部を備える
    ことを特徴とする、請求項記載の測位システム。
  3. 前記リンクに付随する前記メタ情報と前記記憶部に記憶された前記メタ情報とに基づき、前記地図情報の照合範囲を設定する特定部を備える
    ことを特徴とする、請求項記載の測位システム。
  4. 前記照合部が、前記照合において、前記単位リンクに含まれるノードと前記地図情報に含まれるノードとの間に弾性体を仮想的に介装したときに生じる弾性エネルギー量に基づき、前記経路候補を抽出する
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の測位システム。
  5. 前記算出部が、前記時系列経路に含まれるノードと前記地図情報に含まれるノードとの間に弾性体を仮想的に介装したときに生じる弾性エネルギー量に基づき、前記携帯端末の移動経路を算出する
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の測位システム。
  6. 移動量及び移動方向に相関するデータを検出するセンサを備えた携帯端末との通信網を介した通信により前記携帯端末の移動経路を推定するサーバであって、
    地図情報を記憶する記憶部と、
    前記携帯端末から伝達された前記データに基づき、前記携帯端末の直線移動距離及び旋回角度に対応するリンクの情報と前記リンクの接続点であるノードの情報と時刻情報とを取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記リンクを前記ノード単位で分割した単位リンクを生成する生成部と、
    前記生成部で生成された前記単位リンクと前記地図情報との照合により、前記単位リンクに対応する経路候補を抽出する照合部と、
    前記照合部で抽出された前記経路候補を時系列に接続した時系列経路に基づき、前記携
    帯端末の移動経路を算出する算出部と、を備え
    前記算出部が、一の前記単位リンクに対応する複数の前記経路候補を、他の前記単位リンクに対応する前記経路候補への接続性を基準として選別するとともに、共通の時刻情報を持つリンクの形状の類似度に基づき、前記接続性を判断する
    ことを特徴とする、サーバ。
  7. 地図情報を持つサーバとの通信網を介した通信により移動経路を推定する携帯端末であって、
    前記携帯端末の移動量及び移動方向に相関するデータを検出するセンサと、
    前記センサで検出されたデータに基づき、前記携帯端末の直線移動距離及び旋回角度に対応するリンクの情報と前記リンクの接続点であるノードの情報と時刻情報とを取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記リンクを前記ノード単位で分割した単位リンクを生成する生成部と、
    前記生成部で生成された前記単位リンクと前記地図情報との照合により、前記単位リンクに対応する経路候補を抽出する照合部と、
    前記照合部で抽出された前記経路候補を時系列に接続した時系列経路に基づき、前記携帯端末の移動経路を算出する算出部と、を備え
    前記算出部が、一の前記単位リンクに対応する複数の前記経路候補を、他の前記単位リンクに対応する前記経路候補への接続性を基準として選別するとともに、共通の時刻情報を持つリンクの形状の類似度に基づき、前記接続性を判断する
    ことを特徴とする、携帯端末。
  8. 携帯端末の移動経路に対応するリンク及びノードを含むリンク列の情報と時刻情報とを取得し、
    前記リンクを前記ノード単位で分割した単位リンクを生成し、
    前記単位リンクと地図情報との照合により、前記単位リンクに対応する経路候補を抽出し、
    前記経路候補を時系列に沿って接続した時系列経路に基づき、一の前記単位リンクに対応する複数の前記経路候補を、他の前記単位リンクに対応する前記経路候補への接続性を基準として選別するとともに、共通の時刻情報を持つリンクの形状の類似度に基づき、前記接続性を判断して、前記携帯端末の前記移動経路を算出し、
    前記移動経路の情報を前記携帯端末に出力する
    ことを特徴とする、測位方法。
  9. コンピュータに携帯端末の移動経路を推定させるプログラムであって、
    前記携帯端末の移動経路に対応するリンク及びノードを含むリンク列の情報と時刻情報とを取得し、
    前記リンクを前記ノード単位で分割した単位リンクを生成し、
    前記単位リンクと地図情報との照合により、前記単位リンクに対応する経路候補を抽出し、
    前記経路候補を時系列に沿って接続した時系列経路に基づき、一の前記単位リンクに対応する複数の前記経路候補を、他の前記単位リンクに対応する前記経路候補への接続性を基準として選別するとともに、共通の時刻情報を持つリンクの形状の類似度に基づき、前記接続性を判断して、前記携帯端末の前記移動経路を算出し、
    前記移動経路の情報を前記携帯端末に出力する
    処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
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