以下に、本願の開示する通信制御システム、通信装置、及び通信制御方法の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する通信制御システム、通信装置、及び通信制御方法が限定されるものではない。
図1は、通信切断時における情報収集システム1の構成を示す図である。図1に示す様に、情報収集システム1は、ハブ10と4つの末端ノード(Relayed Node)20、30、40、50とを有する。情報収集システム1は、ハブ10の配下に4つの末端ノード20、30、40、50が存在するネットワークを構成する。ハブ10は、所定の周波数帯域により形成される無線通信チャネルを介して、各末端ノード20、30、40、50と接続される。換言すれば、末端ノード20、30、40、50の各々は、ハブ10を起点として無線接続され、ハブ10に対して、各種データを提供する。ハブ10は、各末端ノード20、30、40、50から各種データを収集し、収集したデータをユーザに提示する。
上記無線通信チャネルは、例えば、IEEE802.15.6の短距離無線通信規格に準拠した2.4GHz帯の周波数チャネルであり、チャネル識別子“Ch3”により識別される。ハブ10は、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)であるが、これらに限らず、末端ノード20、30、40、50との間で通信を行う様々な通信機器に対して適用可能である。ハブ10は、ユーザによって把持され、またはユーザ近傍に設置される。末端ノード20、30、40、50は、ユーザの身体に着脱可能に装着される医療機器であり、内蔵する各種センサによりユーザの状態を感知し、ハブ10に通知する。具体的には、末端ノード20、30、40、50は、例えば、無線通信機能を備えた心電計、心拍計、血圧計、血糖値計、3G加速度センサ、温度計、体重計、体脂肪率計、体組成計、ペースメーカ、内視鏡等である。
末端ノード20、30、40、50は、例えば、ハブ10のユーザの身体に装着されるため、ユーザの姿勢の変化等、何らかの要因により、ハブ10と末端ノード20との間の通信が切断されると、情報収集システム1は、図2に示す状態に遷移する。図2は、リレー時における情報収集システム1の構成を示す図である。ハブ10、末端ノード20間の通信が切断されると、ハブ10は、チャネルCh3を経由して、末端ノード20から提供されるデータを収集することができなくなる。そこで、情報収集システム1は、末端ノード40をリレー用の中間ノード(Relaying Node)60として機能させることにより、末端ノード20から提供された収集対象のデータの送信経路を、矢印Y1に示す様に迂回させる。
なお、末端ノード40と中間ノード60とは、物理的には同一の構成を有するノードであるが、リレー動作時であるか否か等の状況に応じて異なる機能を有する。したがって、以下の説明では、説明の便宜上、必要に応じて、末端ノード40を中間ノード60として記載するものとする。同様に、必要に応じて、末端ノード50を中間ノード70として記載するものとする。
このとき、末端ノード20と中間ノード60とは、チャネルCh3とは別のチャネルCh1により接続される。このため、末端ノード20、中間ノード60間の通信に使用されるチャネルが、他の末端ノード(例えば、末端ノード50、30)、ハブ10間の通信に使用されるチャネルと時間的に重なることはない。したがって、情報収集システム1は、使用チャネルの競合に起因するスループットの低下を抑制しつつ、ハブ10、末端ノード20間の通信を、リレーにより継続することができる。
まず、本実施例に係るハブ10の構成を説明する。図3は、本実施例に係るハブ10の機能構成を示す図である。図3に示す様に、ハブ10は、スケジューラ部11と、チャネルリスト管理部12と、中間ノード管理部13と、末端ノード管理部14と、使用可能帯域管理部15とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
スケジューラ部11は、通信帯域の割当て状況をチャネル毎に管理する。また、スケジューラ部11は、各チャネル毎のサブスケジューラとして、使用するチャネル数分のスケジューラ11a、11b、11cを有する。チャネルリスト管理部12は、ネットワーク内で使用されているチャネルを管理し、必要に応じて、各ノードが使用すべきチャネルID(例えば、Ch3、Ch1)及びネットワークで使用可能なチャネルリストを、報知情報として配下のノード20、30、40、50、60に通知する。中間ノード管理部13は、Relaying Node情報として、配下の中間ノード60及びリレー用チャネルを管理する。同様に、末端ノード管理部14は、Relayed Node情報として、配下の末端ノード20、30、40、50及びリレー用チャネルを管理する。使用可能帯域管理部15は、無線チャネルの使用状態を周波数毎に監視し、各チャネルの使用状態(例えば、使用中、未使用)を、後述のチャネル管理テーブルにより管理する。
次に、本実施例に係る末端ノード20の構成を説明する。図4は、本実施例に係る末端ノード20の機能構成を示す図である。図4に示す様に、末端ノード20は、帯域管理部21と、スキャン機能部22と、チャネル切替え制御部23とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。帯域管理部21は、主帯域の有効時間とリレー帯域(副帯域)の有効時間とを管理する。スキャン機能部22は、ハブ10または中間ノード60から通知されたチャネルリストを参照し、提供データの宛先となるハブ10、及び中継に用いる中間ノード60の検索を行う。チャネル切替え制御部23は、ハブ10へのデータ送信に使用するチャネルを、従前のチャネル(例えば、チャネルCh3)から、スキャン機能部22から通知されたチャネル(例えば、チャネルCh1)へ切り替える。
以上、末端ノード20の構成を代表的に説明したが、他の末端ノード30、40、50の構成は、上述した末端ノード20の構成と同様である。したがって、共通する構成要素には、末尾が同一の参照符号を用いると共に、その図示及び詳細な説明は省略する。
次に、本実施例に係る中間ノード60の構成を説明する。図5は、本実施例に係る中間ノード60の機能構成を示す図である。図5に示す様に、中間ノード60は、帯域管理部61と、チャネルリスト管理部62と、チャネル切替え制御部63とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。帯域管理部61は、主帯域管理部61aとリレー帯域管理部61bとを有する。主帯域管理部61aは主帯域の有効時間を管理し、リレー帯域管理部61bはリレー帯域の有効時間を管理する。チャネルリスト管理部62は、ハブ10から受信された上記報知情報に基づき、ネットワーク内で使用されているチャネルリストを取得し、取得されたチャネルリストを報知情報として末端ノード20宛に送信する。チャネル切替え制御部63は、帯域管理部61の管理する、各帯域の有効時間の満了(開始時間)を契機として、使用チャネルの切替えを行う。
次に、ハブ10、末端ノード20、30、40、50及び中間ノード60のハードウェア構成を説明する。図6は、本実施例に係るハブ10、末端ノード20、30、40、50及び中間ノード60のハードウェア構成を示す図である。以下、図6を参照して、ハブ10のハードウェア構成を代表的に説明するが、末端ノード20、30、40、50及び中間ノード60についても、ハードウェア的には同様の構成を有する。したがって、共通する構成要素には、末尾が同一の参照符号を用いると共に、その図示及び詳細な説明は省略する。
図6に示す様に、ハブ10は、プロセッサ10aと、RF(Radio Frequency)回路10bと、記憶装置10cと、入力装置10dと、表示装置10eとが、バスを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。プロセッサ10aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)である。記憶装置10cは、例えば、HD(Hard Disk)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置の他、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAMを含む。また、入力装置10dは、例えば、操作キー、タッチパネルにより構成され、表示装置10eは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、ELD(Electro Luminescence Display)により構成される。
図3に示したハブ10の機能的構成要素の内、スケジューラ部11は、ハードウェアとしてのプロセッサ10aにより実現される。また、チャネルリスト管理部12と、中間ノード管理部13と、末端ノード管理部14と、使用可能帯域管理部15とはそれぞれ、ハードウェアとしてのプロセッサ10a及び記憶装置10cにより実現される。同様に、図4に示した末端ノード20の機能的構成要素の内、帯域管理部21と、スキャン機能部22と、チャネル切替え制御部23とはそれぞれ、ハードウェアとしてのプロセッサ20aにより実現される。更に、図5に示した中間ノード60の機能的構成要素の内、帯域管理部61と、チャネルリスト管理部62と、チャネル切替え制御部63とはそれぞれ、ハードウェアとしてのプロセッサ60aにより実現される。
次に、情報収集システム1の動作を説明する。以下、説明の便宜上、情報収集システム1の動作を、(1)通常時、(2)リレー実施時、(3)リレー変更時、(4)リレー終了時の4つのフェーズに分けて説明を行う。通常時とは、末端ノード20がハブ10と直接通信を行うフェーズであり、リレー実施時とは、末端ノード20が末端ノード40を中継させるフェーズである。また、リレー変更時とは、末端ノード20が、中継するノードを末端ノード50に変更するフェーズであり、リレー終了時とは、末端ノード20が再びハブ10と直接通信を行うフェーズである。
(1)通常時
図7は、通常時におけるスケジューリングを説明するための図である。図7に示す様に、各末端ノード20〜50には、周期開始時間t1から所定のチャネル割当て周期T1で、チャネルCh3が時分割に割り当てられる。すなわち、末端ノード50には、チャネルCh3のチャネル割当て時間T1Aが周期T1の間隔で設定される。同様に、末端ノード40、20、30には、チャネルCh3のチャネル割当て時間T1B、T1C、T1Dが、それぞれ周期T1の間隔で設定される。これにより、ハブ10は、各末端ノードが同一のチャネル(チャネルCh3)を使用する時間が相互に重ならない様に調整を図り、ノード間での時間的競合を回避する。
ハブ10は、使用可能帯域管理部15にチャネル管理テーブル151aを保持し、このチャネル管理テーブル151aを参照しながら、チャネル毎の帯域割当て状況を管理する。図8は、通常時におけるチャネル管理テーブル151aのデータ格納例を示す図である。図8に示す様に、チャネル管理テーブル151aには、チャネルの使用状態、チャネル種別、及び帯域情報の各情報がチャネル識別子と対応付けて格納されている。例えば、図8は、末端ノード50、40、20、30の各ノードが、同一ネットワーク内において、チャネルCh3をメインチャネルとして、各ノードに割り当てられた所定の時間帯(割当て時間)毎に使用する状況を示す。なお、図8において、「割当て先ノード」は、データの送信元のノードを示す。また、チャネルCh6の“利用可能時間帯有り”は、周辺スキャンの結果、近隣のネットワークがそのチャネルを使用中であるが、依然として利用可能な空き時間帯が、対応するチャネル内に存在することを示す。
チャネルリスト管理部12は、ハブ10による周辺スキャンにより使用可能と判定されたチャネルに加えて、使用中のチャネルであっても未使用の時間帯を有するチャネルについても、使用可能なチャネルとして管理する。スケジューラ部11は、チャネルリスト管理部12からの指示に従い、同一の時間帯に同一のチャネルが割り当てられることのない様にノードを管理する。図9は、通常時におけるノード割当て管理テーブル152aのデータ格納例を示す図である。図9に示す様に、ノード割当て管理テーブル152aには、中間ノードか否かを示すノード種別、対応するノードが使用するチャネル種別、及び帯域情報の各情報がノード識別子と対応付けて格納されている。スケジューラ部11は、ノード割当て管理テーブル152aを参照して、チャネル及び帯域の割当て状況をノード毎に管理する。また、スケジューラ部11は、同一のチャネル(図9のCh3)を使用するノード間で、割当て時間(La、Lb、Lc、Ld)が重ならない様に、各末端ノード50、40、20、30毎にスケジューリングを行う。
続いて、図10、図11を参照しながら、各ノードにおける通常時のチャネル管理方法について説明する。図10は、通常時における末端ノード割当て管理テーブル231aのデータ格納例を示す図である。図10に示す様に、末端ノード20の末端ノード割当て管理テーブル231aには、対応するチャネルの使用状態、種別、及び帯域情報の各情報がチャネル識別子と対応付けて格納されている。帯域情報の内、リンク種別は、対応する識別子のチャネルがデータの伝送に際して何れのリンク(アップリンクまたはダウンリンク)として用いられているかを示す情報である。例えば、図10は、末端ノード20が、チャネルCh3を“メイン”チャネルとして使用すると共に、チャネルCh3の内、開始時間“cc:cc:cc”から割当て時間“Lc”が経過するまでの時間が、周期“Pc”で末端ノード20に割り当てられていることを示す。同時に、図10は、チャネルCh3が、末端ノード20にとって上り方向のチャネル(アップリンク)として使用されていることを示す。
以上、末端ノード20について代表的に説明したが、他の末端ノード30、40、50についても、同様のテーブルを更新可能に保持し、同様のチャネル管理手法を採る。末端ノード20〜50は、現在使用中の帯域を、末端ノード割当て管理テーブル231a〜531aに基づいて管理する。各末端ノード20〜50は、自ノードの保持する末端ノード割当て管理テーブル231a〜531aにそれぞれ登録されている割当て時間に、収集対象のデータの送信または受信の準備を行う。
図11は、通常時における中間ノード割当て管理テーブル631aのデータ格納例を示す図である。図11に示す様に、中間ノード60の中間ノード割当て管理テーブル631aには、対応するチャネルの使用状態、種別、及び帯域情報の各情報がチャネル識別子と対応付けて格納されている。帯域情報の内、リンク種別は、対応する識別子のチャネルがデータの伝送に際して何れのリンク(アップリンクまたはダウンリンク)として用いられているかを示す情報である。例えば、図11は、中間ノード60が、チャネルCh3を“メイン”チャネルとして使用すると共に、チャネルCh3の内、開始時間“bb:bb:bb”から割当て時間“Lb”が経過するまでの時間が、周期“Pb”で中間ノード60に割り当てられていることを示す。併せて、図11は、チャネルCh3が、中間ノード60からみて上り方向のチャネル(アップリンク)として使用されていることを示す。
中間ノード60は、上述した末端ノード20〜50と同様に、現在使用中の帯域を、中間ノード割当て管理テーブル631aに基づいて管理する。中間ノード60は、自ノードの保持する中間ノード割当て管理テーブル631aに登録されている割当て時間に、収集対象のデータの送信または受信の準備を行う。
(2)リレー実施時
図12は、リレー実施時におけるスケジューリングを説明するための図である。図12に示す様に、末端ノード20は、チャネル切替え開始時間t2の到来を契機として、従前まで時分割に割り当てられていたチャネルCh3をチャネルCh1に切り替え、以降、チャネルCh1によりデータの送信を行う(S1)。併せて、末端ノード40は、チャネル切替え開始時間t2以降、中間ノード60として機能し、上記チャネルCh1によりデータの受信を待機する。これに伴い、末端ノード50がチャネルを使用する時間と、末端ノード20、中間ノード60がチャネルを使用する時間とが重なることとなるが、使用されるチャネルの周波数が異なるため、S1におけるデータ通信が末端ノード50による通信を阻害することはない。
中間ノード60は、末端ノード20からのデータをチャネルCh1により受信すると、該データを、チャネルCh3を介して、その宛先であるハブ10に転送する(S2)。上述のように、末端ノード50においてもチャネルCh1が使用されるが、末端ノード50による使用時間とS2におけるデータ転送時間とは、時間的に重複しないため、互いの通信が阻害されることはない。したがって、末端ノード20を送信元とするデータは、チャネルCh1、中間ノード60、及びチャネルCh3を経由して、ハブ10に到達する。その後、末端ノード20は、再び、使用チャネルをCh1からCh3に切り替えて、ハブ10への上記データの到達を確認する(S3)。
図13は、リレー実施時におけるチャネル管理テーブル151bのデータ格納例を示す図である。末端ノード20から中間ノード60経由のリレー開始要求をハブ10が受信すると、ハブ10のチャネル管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図8に示した状態から、図13に示す状態に更新される。すなわち、ハブ10は、リレー開始要求を受信すると、スケジューラ部11により、末端ノード20に対する元の割当てチャネルを中間ノード60への割当てに置き換える。中間ノード60は、置き換えられたチャネルの帯域を、転送用(Hub−Relaying間の送受信用)の帯域として使用する。更に、ハブ10は、末端ノード20に対して、新たなチャネル識別子(チャネルCh1)を指定し、Relayed−Relaying間の送受信用の帯域を与える。なお、図13中の下線は、下線の付されたデータが更新されたデータであることを示す。
図14は、リレー実施時におけるノード割当て管理テーブル152bのデータ格納例を示す図である。末端ノード20から中間ノード60経由のリレー開始要求をハブ10が受信すると、ハブ10のノード割当て管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図9に示した状態から、図14に示す状態に更新される。図14に示す様に、末端ノード40のチャネル識別子Chは、従前の“3”から“1”に更新される。また、帯域情報の内、開始時間、割当て時間、周期、割当て種別の各情報は、それぞれ“ee:ee:ee”、“Le”、“Pe”、“リレー”に更新される。これにより、末端ノード40(中間ノード60)は、ハブ10において、中継ノード(Relaying Node)として管理される。
図15は、リレー実施時における末端ノード割当て管理テーブル231bのデータ格納例を示す図である。図15に示す様に、リレー実施時には、末端ノード20の割当て管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図10に示した状態から、図15に示す状態に更新される。すなわち、末端ノード20のスキャン機能部22は、ハブ10との到達性が失われた場合、付近の中継ノードを探索する。末端ノード20は、探索の結果、中継ノードを発見した場合、その中継ノード経由で、ハブ宛にリレー開始要求を送信する。末端ノード20が、該要求に対する応答としてリレー開始指示を受信すると、リレー用の帯域が割り当てられる。これを契機として、チャネル切替え制御部23は、使用チャネルを、チャネルCh3から、リレー用帯域であるチャネルCh1に切り替える。また、末端ノード20は、割当て管理テーブル231bに登録されている割当て時間“Le”に基づき、中間ノード60とのデータ送受信を準備する。
末端ノード20は、ハブ10との直接通信に復帰するため、ハブ10への到達性を定期的に確認する必要がある。末端ノード20は、監視対象のチャネルを、ハブ10と末端ノード40間の割当てチャネルであるメインチャネルCh3に切り替えて、フレームの送受信を監視することで、ハブ10との到達性を確認する。なお、図15において、リンク種別の“リレー”は、対応するチャネル(図15ではCh3)が現時点でリレー転送用に使用されていることを示し、“バイリンク”は、対応するチャネル(図15ではCh1)が双方向の通信に使用可能であることを示す。また、“アップリンク”は、対応するチャネルが上り方向(片方向)の通信に使用されていることを示す。
図16は、リレー実施時における中間ノード割当て管理テーブル631bのデータ格納例を示す図である。リレー実施時には、中間ノード60の割当て管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図11に示した状態から、図16に示す状態に更新される。図16に示す様に、中間ノード60のチャネル識別子Chは、従前の“3”から“1”に更新され、チャネル種別は、“メイン”から“サブ”に更新される。また、帯域情報の内、開始時間、割当て時間、周期、リンク種別の各情報は、末端ノード20と同様、“ee:ee:ee”、“Le”、“Pe”、“バイリンク”にそれぞれ更新される。
すなわち、中間ノード60は、ハブ10から送信されたリレー開始指示に従い、割当て管理テーブル631bを更新する。上記指示により、ハブ10から、データ転送用の帯域が中間ノード60に割り当てられる。併せて、チャネル指定により、末端ノード20、中間ノード60間に、データ送受信用の帯域が割り当てられる。チャネル切替え制御部63は、帯域管理部61にて管理されているチャネル割当て時間に従い、ハブ10−中間ノード60間または中間ノード60−末端ノード20間におけるデータ送受信の準備を行う。
図17は、リレー実施時における情報収集システム1の動作を説明するための図である。S11では、末端ノード20のスキャン機能部22は、ハブ10との直接的な無線通信中、電波状態の劣化を検出する。電波状態が劣化しているとき、末端ノード20は、ハブ10から報知情報にて通知されたチャネルリストに従ってチャネルを切り替えてスキャンを行い、末端ノード20が、中間ノード60が自ノードの存在を示すための報知情報をT−Pollにより受信すると(S12)、これにより、中間ノード60が検出される(S13)。
S14、S15では、中間ノード60の検出を契機とするConnectionRequestの送受信が行われる。ConnectionRequestは、リレーの開始を要求するフレームであり、末端ノード20からハブ10に向けて送信される。ハブ10は、ConnectionRequestを受信すると、その内容により、リレー開始の要求があったことを検知する。ハブ10のスケジューラ部11は、末端ノード20の要求する帯域(周波数、通信周期、通信時間等)を考慮して、各ノードの使用するチャネル及びその使用可能時間帯を決定することにより、チャネル毎のスケジューリングを行う(S16)。
S17、S18では、スケジューリングの完了を契機として、ConnectionAssignmentの送受信が行われる。ConnectionAssignmentは、末端ノード20に対してリレーの開始を指示するフレームであり、ハブ10から末端ノード20に向けて返信される。ConnectionAssignmentには、例えば、リレー用の割当て開始時間、割当て終了時間、及び割当て対象となるチャネルの識別子等が含まれる。中間ノード60に対しても同様に、ハブ10から、上記ConnectionAssignmentが送信される(S19)。末端ノード20及び中間ノード60は、ConnectionAssignmentを受信すると、上記指示に従い、リレー動作を開始する。
(3)リレー変更時
図18は、リレー変更時におけるスケジューリングを説明するための図である。リレー変更時におけるスケジューリングの実行方法は、リレー実施時におけるスケジューリングの実行方法と同様である。したがって、詳細な説明は省略するが、図18に示す様に、末端ノード20は、チャネル切替え開始時間t3の到来を契機として、チャネルCh3をチャネルCh1に切り替え、以降、チャネルCh1によりデータの送信を行う(S4)。末端ノード50は、チャネル切替え開始時間t3以降、中間ノード70として機能し、上記チャネルCh1によりデータの受信を待機する。これに伴い、末端ノード30がチャネルを使用する時間と、末端ノード20、中間ノード70がチャネルを使用する時間とが重なる可能性があるが、使用チャネル(Ch3、Ch1)が相互に異なるため、周波数帯域の衝突は回避される。
中間ノード70は、末端ノード20からのデータをチャネルCh1により受信すると、該データを、チャネルCh3を介して、その宛先であるハブ10に転送する(S5)。これにより、末端ノード20を送信元とするデータは、チャネルCh1、中間ノード70、及びチャネルCh3を経由して、ハブ10に到達する。その後、末端ノード20は、使用チャネルをCh1からCh3に戻し、ハブ10との到達性を再確認する(S6)。
続いて、何らかの要因により、末端ノード20が、中間ノード60との通信が困難となった場合に、別の末端ノードである中間ノード70に中継ノードを切り替える場合を例に採り、各ノードの動作を説明する。図19は、リレー変更時におけるチャネル管理テーブル151cのデータ格納例を示す図である。末端ノード20から中間ノード70経由のリレー開始要求をハブ10が受信すると、ハブ10のチャネル管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図13に示した状態から、図19に示す状態に更新される。すなわち、ハブ10は、リレー開始要求を受信すると、スケジューラ部11により、中間ノード60に対する従前の割当てチャネルを中間ノード70への割当てに置き換える。以降、中間ノード70は、置き換えられたチャネルの帯域を、転送用(Hub−Relaying間の送受信用)の帯域として使用する。更に、ハブ10は、末端ノード20に対して、新たなチャネル識別子(チャネルCh1)を指定し、Relayed−Relaying間の送受信用の帯域を与える。
図20は、リレー変更時におけるノード割当て管理テーブル152cのデータ格納例を示す図である。末端ノード20から中間ノード70経由のリレー開始要求をハブ10が受信すると、ハブ10のノード割当て管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図14に示した状態から、図20に示す状態に更新される。図20に示す様に、末端ノード50のチャネル識別子Chは、従前の“3”から“1”に更新される。また、帯域情報の内、開始時間、割当て時間、周期、割当て種別の各情報は、それぞれ“ff:ff:ff”、“Lf”、“Pf”、“リレー”に更新される。これにより、ハブ10の中間ノード管理部13は、末端ノード50を中継ノード(Relaying Node)として管理する。
図21は、リレー変更時における末端ノード割当て管理テーブル231cのデータ格納例を示す図である。図21に示す様に、リレー変更時には、末端ノード20の割当て管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図15に示した状態から、図21に示す状態に更新される。すなわち、末端ノード20のスキャン機能部22は、中間ノード60との到達性が失われた場合、付近の中継ノードを探索する。末端ノード20は、探索の結果、中継ノードを発見した場合、その中継ノード経由で、ハブ宛にリレー開始要求を送信する。末端ノード20が、該要求に対する応答としてリレー開始指示を受信すると、チャネル指定により、リレー用の帯域が割り当てられる。これを契機として、チャネル切替え制御部23は、使用チャネルを、チャネルCh3から、リレー用帯域であるチャネルCh1に切り替える。また、末端ノード20は、割当て管理テーブル231cに登録されている割当て時間“Lf”に基づき、中間ノード70とのデータ送受信を準備する。
末端ノード20は、ハブ10との直接通信に復帰するため、ハブ10への到達性を定期的に確認する必要がある。末端ノード20は、監視対象のチャネルを、ハブ10と中間ノード60間の割当てチャネルであるメインチャネルCh3に切り替えて、フレームの送受信を監視することで、ハブ10との到達性を確認する。なお、図21において、リンク種別の“リレー”は、対応するチャネル(図21ではCh3)が現時点でリレー転送用に使用されていることを示し、“バイリンク”は、対応するチャネル(図21ではCh1)が双方向の通信に使用可能であることを示す。
図22は、リレー変更時における旧中間ノードの割当て管理テーブル631cのデータ格納例を示す図である。リレー変更時には、中間ノード60の割当て管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図16に示した状態から、図22に示す状態に更新される。中間ノード60は、中継ノードとしての役割を終えたことから、図22に示す様に、チャネルCh3の開始時間“cc:cc:cc’”に対応するデータ、及びチャネルCh1に対応するデータは削除され、初期に格納されたチャネルCh3のデータのみがテーブル内に残る。
一方、図23は、リレー変更時における新中間ノードの割当て管理テーブル731cのデータ格納例を示す図である。図23に示す様に、中間ノード70のチャネル識別子Chは、従前の“3”から“1”に更新され、チャネル種別は、“メイン”から“サブ”に更新される。また、帯域情報の内、開始時間、割当て時間、周期、リンク種別の各情報は、末端ノード20と同様、“ff:ff:ff”、“Lf”、“Pf”、“バイリンク”にそれぞれ更新される。すなわち、中間ノード70は、ハブ10から送信されたリレー開始指示に従い、割当て管理テーブルを更新する。上記指示により、ハブ10から、データ転送用(Hub−RelayingNode送受信用)の帯域が中間ノード70に割り当てられる。同時に、チャネル指定により、末端ノード20、中間ノード70間に、データ送受信用の帯域が割り当てられる。チャネル切替え制御部73は、帯域管理部71にて管理されているチャネル割当て時間に従い、ハブ10−中間ノード70間または中間ノード70−末端ノード20間におけるデータ送受信の準備を行う。
図24は、リレー変更時における情報収集システム1の動作を説明するための図である。図24は、リレー実施時における動作の説明において参照した図17と、同様の処理を複数含むことから、共通するステップには、末尾が同一の参照符号を付すと共に、その詳細な説明は省略する。具体的には、図24のステップS21〜S29の各処理は、図17に示したステップS11〜S19の各処理にそれぞれ対応する。
図24では、S23において、末端ノード20のスキャン機能部22は、ハブ10または中間ノード60から報知情報にて通知されたチャネルリストに従ってスキャンを行うことにより、データをリレーするための新たな中間ノード70を検出する。これに伴い、ハブ10は、S30において、中間ノード60のリレー動作を終了させる。すなわち、ハブ10のスケジューラ部11は、従前まで中継ノードとして使用していた中間ノード60に対して、リレーの終了を指示するフレームであるConnectionAssignmentを送信する。これにより、ハブ10は、中間ノード60に割り当てていた無線リソースを開放すると共に、中間ノード70への新たなリソース割当てを完了する。
(4)リレー終了時
末端ノード20が、ハブ10との通信を回復した場合に、中間ノード70からハブ10との通信に切り替える動作について説明する。図25は、リレー終了時におけるスケジューリングを説明するための図である。末端ノード20とハブ10との通信の回復に伴い、ハブ10は、リレー動作開始前の通常時のスケジューリング(図7参照)を再開する。各末端ノード20、30、40、50は、ハブ10によるスケジューリング結果に従い、図25に示す様に、同一チャネルCh3に対する時分割多重を行う。これにより、末端ノード20、30、40、50の各々には、それぞれチャネル割当て時間T1A、T1B、T1C、T1Dにおいて、チャネル割当て周期T1で、チャネルCh3が割り当てられる。
図26は、リレー終了時におけるチャネル管理テーブル151dのデータ格納例を示す図である。末端ノード20からリレー開始要求をハブ10が直接受信すると、ハブ10のチャネル管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図19に示した状態から、図26に示す状態に更新される。すなわち、ハブ10は、リレー開始要求を受信すると、スケジューラ部11により、末端ノード20に対して、元のチャネルCh3を割り当てる。また、ハブ10は、中間ノード管理部13により、中間ノード70の中継ノード(Relaying Node)設定を解除する。これにより、チャネルCh1の帯域情報(“ee:ee:ee”、“Le”、“Pe”、“末端ノード20”、“NW1”)は、チャネル管理テーブルから消去され、チャネルの使用状態は、“使用中”から“未使用”に更新される。
図27は、リレー終了時におけるノード割当て管理テーブル152dのデータ格納例を示す図である。リレー開始要求の直接受信に伴い、ハブ10のノード割当て管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図20に示した状態から、図27に示す状態に更新される。図27に示す様に、末端ノード50のチャネル識別子Chは、従前の“1”から“3”に再び更新される。また、帯域情報の内、開始時間、割当て時間、周期、割当て種別の各情報は、それぞれ“aa:aa:aa”、“La”、“Pa”、“通常”に更新される。これにより、末端ノード50(中間ノード70)は、ハブ10において、中継ノード(Relaying Node)としての管理を解除される。
図28は、リレー終了時における末端ノード割当て管理テーブル231dのデータ格納例を示す図である。図28に示す様に、リレー終了時には、末端ノード20の割当て管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図21に示した状態から、図28に示す状態に更新される。すなわち、末端ノード20は、スキャン機能部22により、ハブ10との到達性が回復された場合、ハブ10に対してリレーの終了を要求する。末端ノード20は、当該要求への応答であるリレー終了指示を受信すると、チャネル切替え制御部23により、使用していたチャネルCh1を開放し、使用チャネルを元のチャネルCh3に切り替える。同時に、末端ノード20は、末端ノード割当て管理テーブル231cに登録されている割当て時間を開放する。その結果、チャネルCh1に対応するデータは削除されると共に、メインチャネルCh3の使用状態は、再び“使用中”に変更される。また、メインチャネルCh3の帯域情報の内、開始時間、割当て時間、周期、リンク種別の各情報は、それぞれ“cc:cc:cc”、“Lc”、“Pc”、“アップリンク”に更新される。
図29は、リレー終了時における中間ノード割当て管理テーブル731dのデータ格納例を示す図である。リレー終了時には、中間ノード70の割当て管理テーブルにおけるデータ格納状態は、図23に示した状態から、図29に示す状態に更新される。中間ノード70は、中継ノードとしての役割を終えたことから、ハブ10から受信されたリレー終了指示に従い、リレー帯域管理部61bにより、転送用のチャネルCh1の“使用中”状態を解除する。図29に示す様に、メインチャネルCh3の開始時間“aa:aa:aa”及び“cc:cc:cc’”に対応するデータと、チャネルCh1に対応するデータとは、削除される。その結果、中間ノード70の割当て管理テーブル731dは、旧中間ノード60の割当て管理テーブル631c(図22参照)と同一の状態、すなわち、メインチャネルCh3に対応する帯域情報として、“bb:bb:bb”、“Lb”、“Pb”、“アップリンク”の各情報が格納された状態となる。
図30は、リレー終了時における情報収集システム1の動作を説明するための図である。S31では、ハブ10が自装置の存在を示すための報知情報を含むフレームが、T−Pollにより、ハブ10から末端ノード20に送信される。末端ノード20は、受信されたフレームを用いて、チャネル切替え制御部23により、ハブ10との間の電波状態の回復を検出する(S32)。S33では、電波状態の回復したチャネルCh3の検出を契機とするConnectionRequestの送受信が行われる。ConnectionRequestは、リレーの終了処理を要求するフレームであり、末端ノード20からハブ10に向けて送信される。ハブ10は、当該ConnectionRequestを受信すると、その内容を参照し、リレー終了の要求があったことを検知する。
S34では、上記ConnectionRequestに対する応答フレームとしてのConnectionAssignmentの送受信が行われる。ConnectionAssignmentは、末端ノード20に対してリレーの終了を指示するフレームであり、ハブ10から末端ノード20に向けて返信される。また、中間ノード70に対しても同様に、ハブ10から、上記ConnectionAssignmentが送信される(S35)。末端ノード20及び中間ノード70は、ConnectionAssignmentを受信すると、上記指示に従い、リレー動作を終了する。これにより、末端ノード20は、ハブ10との直接の無線通信を回復し、中間ノード70は、末端ノード20からのデータ受信を終了する。その結果、リレー用に使用されていたチャネルCh1は開放される。
以上説明したように、情報収集システム1は、末端ノード20と、末端ノード20から送信されたデータを受信するハブ10とを有する。情報収集システム1は、末端ノード20と中間ノード60とハブ10とを有する。末端ノード20は、スキャン機能部22とチャネル切替え制御部23とを有する。スキャン機能部22は、チャネルCh3を用いたハブ10との通信状態の劣化を検知する。チャネル切替え制御部23は、スキャン機能部22により上記通信状態の劣化が検知されると、チャネルCh3と異なる周波数のチャネルCh1を用いて、ハブ10と通信可能な中間ノード60にデータを送信する。中間ノード60のチャネル切替え制御部63は、チャネルCh1を用いて上記データを受信すると共に、チャネルCh3を用いて上記データをハブ10に転送する。ハブ10のスケジューラ部11は、チャネルCh3を用いて、中間ノード60から上記データを受信する。
情報収集システム1において、チャネルCh3は、チャネルCh1を用いた、末端ノード20と中間ノード60との通信中、他の末端ノード50とハブ10との通信に用いられるものとしてもよい。換言すれば、チャネルCh1は、別の末端ノード50の使用するチャネルCh3と時間的に重複する。しかしながら、これらのチャネルは、使用周波数帯域が異なるため、時間的に重なっても、末端ノード20と中間ノード60とによるチャネルCh1の使用が、末端ノード50によるチャネルCh3の使用を妨げることがない。したがって、末端ノード50は、リレー動作中も、チャネルCh3を使用して、通常通り、ハブ10との通信を行うことができる。
また、情報収集システム1において、末端ノード20のチャネル切替え制御部23は、中間ノード60へのデータ送信後、チャネルCh1をチャネルCh3に切り替え、該チャネルCh3を用いて、ハブ10への上記データの到達を確認するものとしてもよい。上述したように、情報収集システム1は、中間ノード60において、複数の通信帯域の使用・未使用の時間を管理し、中継の開始時に、当該使用・未使用の時間に基づき、通信帯域の割当て制御を行う。
本実施例に係る情報収集システム1によれば、中間ノードの追加に伴う使用帯域の増加が回避されるため、従来の方式と比較して、ネットワーク全体におけるスループットが向上する。また、情報収集システム1において使用可能な帯域が減少しないため、中間ノード数の増加による収容ノード数の減少が未然に防止されるという効果もある。本実施例に係る情報収集システム1は、ネットワーク構成が動的に変化し易い短距離無線ネットワークにおいて、特に、上述の効果を発揮する。
以下、図31〜図33を参照し、本実施例に係る情報収集システム1による効果を具体的に説明する。図31は、従来の非リレー動作時におけるスケジューリングを説明するための図である。図31に示す様に、末端ノード20から送信された、ハブ10宛のデータD1は、時間t軸方向のリソースにより形成される。データD1は、中間ノードを中継することなく、無線チャネルを介してハブ10に到達する。
一方、図32は、従来のリレー動作時におけるスケジューリングを説明するための図である。図32に示す様に、ハブ10宛のデータD2は、末端ノード20からの送信後に中間ノード60にて転送される。このため、リレー動作時は、占有帯域Y2に示す様に、非リレー動作時と比較して2倍の帯域が占有されることとなる。これにより、他のノードの使用する帯域が圧迫される。すなわち、他のノードが、占有帯域Y2に示す時間帯に同一のチャネルを用いてデータ送信を試行すると、当該データ(例えば、データD3)が同一チャネル内で他のデータD2と衝突する可能性がある。したがって、他のノードは、衝突を回避するために、データ送信の開始を待機することとなり、その分ネットワークのスループットが低下する。また、情報収集システムが所望のスループットを維持するためには、各ノードに対して十分なリソースを供給可能な様に、収容するノード数を減らす必要がある。これに伴い、システムに収容可能なノードの数は減少する。
そこで、本実施例に係る情報収集システム1では、上記データD2に対して、他のデータとは異なるチャネルを一時的に充当することで、リレー動作を継続しつつ、スループットの低下を抑制する。図33は、本実施例のリレー動作時におけるスケジューリングを説明するための図である。図33に示す様に、本実施例のリレー動作時には、メインチャネルとしての主帯域と、サブチャネルとしてのリレー用帯域という異なる複数のチャネルが使用される。これら2チャネルは、それぞれ2MHz程度の幅を有し、同一の周波数帯である2.4GHz帯域に属するため、周波数帯域の切替えは、容易かつ迅速に完了する。本実施例に係る情報収集システム1では、転送後のデータD4及び他のデータD5の送受信には、従前通り、チャネルCh3が使用されるのに対し、転送前のデータD4の送受信には、新規に別途形成されたチャネルCh1が、別の周波数帯のチャネルとして使用される。
転送後のデータD4及び他のデータD5の送受信に際しては、同一のチャネルCh3が使用されるため、送信時間が競合しない様に、時分割制御による時間帯の調整が図られる。これに対して、転送前のデータD4の送受信に際しては、チャネルCh3とは別のチャネルCh1が使用される。このため、データD4の送信時間が、他のノード30を送信元とするデータD5の送信時間と重なった場合でも、データD5送信用の帯域が、データD4送信用の帯域によって圧迫されることはない。したがって、末端ノード20から中間ノード60へのデータ送信中であっても、他のノード30は、使用帯域を圧迫されることなく、従前通り、高速にデータを送信することができる。その結果、ネットワーク全体としてのスループットが維持される。
また、ハブは、ノードとの間に所定量の帯域を確保する必要があるため、ネットワーク内にリレー機能を利用するノードが増加する度に、1つのハブの配下に収容することのできるノードの数は減少することとなる。本実施例に係る情報収集システム1では、各ノードの使用可能な帯域が減少しないため、収容可能なノードの数の減少も防止される。
以下、具体的な数値を用いて、所定の条件下における効果を、より具体的に説明する。IEEE802.15.6において、下記の条件を想定する。まず、データ送信には、2.4GHz帯域を使用し、最大ビットレートは約600kbpsとする。また、医療機器の1つであるカプセル内視鏡が、10kbyteの画像データを3フレーム/秒で送信するユースケースを想定する。当該ケースでは、末端ノード20は、約300ms周期で、計10kbyteのデータ送信を行うため、ビットレートは、240kbps(=10000バイト×8ビット×3フレーム)と推測される。
従来の方式では、カプセル内視鏡が電波品質の悪化等によりリレー機能を動作させた場合、リレーを行うノードは、480kbps(=240kbps×2)分の帯域を占有することとなる。したがって、残りの120kbps(=600kbps−480kbps)分の帯域が、他のノード(リレーに関らないノード)間で分け合って使用されることとなる。つまり、ネットワークスループットの低下による制限の影響が、他のノードに及ぶこととなる。かかるスループットの低下に対し、情報収集システムは、収容するノード数を減らすことで対応することもできるが、この場合、空き帯域の減少に伴う、収容ノード数の制限の影響が、他のノードに及ぶこととなる。
これに対して、本実施例では、情報収集システム1は、リレー機能を動作させたとしても、末端ノードから中間ノードまでのデータ送信には、別の周波数帯を使用する。このため、元の周波数帯における占有帯域は、リレーを行わない場合と同様、240kbpsのままである。したがって、他のノード(リレーに関らないノード)は、360kbps(=600kbps−240kbps)分の帯域を、分け合って使用することができる。また、情報収集システム1は、収容するノード数を減らすことなく、リレー動作によるデータ転送を行うことができる。その結果、従来の120kbpsと比較して、3倍のスループットが実現される。
なお、上記実施例では、末端ノード20は、リレー動作時に使用するチャネルを、チャネルCh3からチャネルCh1に切り替える態様を例示した。しかしながら、これに限らず、切替え先のチャネルは、チャネルCh2、4等、別のチャネルであってもよい。但し、切替え先のチャネルは、チャネル変更をスムーズかつ確実に行う観点から、切替え元の隣接または周辺の周波数帯域のチャネルであることが望ましい。
同様に、データを転送する中継ノードに関しても、末端ノード20は、末端ノード40、50に限らず、末端ノード30等、他のノードを中間ノードとして使用してもよい。かかる態様では、データの送信元ノードは、ハブ10と正常に通信を行っているノードの中から、所定の基準に従い、中間ノードとするノードを選択する。このとき、末端ノード20は、最寄りのノード、隣接ノード、周辺ノード等を、所定の優先順位に基づいて優先的に選択するものとすれば、より高速かつ効率的なデータ転送を行うことができる。その結果、更なるスループットの向上が可能となる。
上記所定の選択基準としては、例えば、送信元ノードである末端ノード20との距離が短い順、末端ノード20とのリンクの品質の高い順、あるいは、ノードが移動している場合には移動速度の低い順等が適用可能である。リンク品質の判断指標としては、例えば、受信電力強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)、PER(Packet Error Rate)、BER(Bit Error Rate)、FER(Frame Error Rate)、SINR(Signal-to-Interference and Noise power Ratio)等のリンク状態を表すパラメータを用いることができる。その他として、末端ノード20は、各ノードのバッファメモリの空き容量、残り電力(バッテリ残量)、ホップ数、ノードの設置位置、リンク寿命(リンクの有効時間)、帯域幅、経路数(経路選択の柔軟性)等を参照して、中間ノードとして使用するノードを選択するものとしてもよい。
また、上記実施例では、末端ノード20とハブ10との間のリレー動作は、2ホップの転送により行われるものとしたが、送信元である末端ノード20の設置位置や通信環境に応じて、ホップ数を変えてもよい。すなわち、2ホップの転送に用いるチャネルとは別の使用中チャネルに空き時間(利用可能時間帯)がある場合、あるいは、未使用のチャネルがある場合等には、末端ノード20は、ハブ10へのデータ転送に際し、そのチャネルを追加的または補完的に使用して、3ホップ以上の転送により、データを宛先に送信するものとしてもよい。例えば、末端ノード20とハブ10との間の離間距離が長い場合(例えば、1〜3m)には、末端ノード20は、ホップ数の増加に拘らず、より通信品質の高いチャネルを使用可能な近距離のノードを経由して、データを送信してもよい。
更に、中間ノード60、70は、リレー動作の開始に伴い、リレーが開始されたことを、報知情報等によりハブ10に通知するものとしてもよい。これにより、ハブ10は、リレーの開始が反映された適確なスケジューリングを簡易迅速に行うことができる。他方、末端ノード20は、リレー動作の終了に伴い、リレーが終了したことを、報知情報等によりハブ10に通知するものとしてもよい。これにより、ハブ10は、リレーに使用されていた帯域の開放を、確実かつ迅速に行うことができる。
また、上記実施例では、情報収集システム1がリレー動作を開始する契機として、末端ノード20とハブ10との通信品質(電波強度)の劣化を挙げたが、劣化以外の要因を契機としてもよい。劣化以外の要因は、例えば、チャネル異常の検出、末端ノード20とハブ10との距離の増大、末端ノード20の速度上昇である。劣化は、必ずしも通信の切断に至るものでなくてもよく、また、劣化の要因についても、遮蔽物の存在や移動、干渉、反射、ノイズ等、任意である。
末端ノード20、30、40、50は、必ずしもネットワーク(例えば、アドホックネットワーク)の端部に位置するノードでなくてもよい。これらのノード20〜50は、中継ノードとして機能しているか否かに拘らず、更に別のノードを配下に有し、下り方向(ハブ10とは反対方向)の通信を行うものとしてもよい。同様に、ハブ10は、必ずしもデータの最終的な宛先となるノードでなくてもよく、別のノードとの間で、更に上り方向(末端ノードとは反対の方向)の通信を行うものとしてもよい。
情報収集システム1の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的態様は、図示のものに限らず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状態等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することもできる。例えば、ハブ10のチャネルリスト管理部12と使用可能帯域管理部15、あるいは、中間ノード60の主帯域管理部61aとリレー帯域管理部61bをそれぞれ1つの構成要素として統合してもよい。反対に、例えば、末端ノード20のスキャン機能部22に関し、提供データの宛先となるハブ10を検索する部分と、中継に用いる中間ノード60の検索を行う部分とに分散してもよい。更に、記憶装置10c〜60cを、それぞれハブ10、末端ノード20、30、40、50、及び中間ノード60の外部装置として、ネットワークやケーブル経由で接続するようにしてもよい。