以下、本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
〔実施の形態1〕
先ず、図1〜図10を用いて、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1に全体を符号1で示すシート加工装置は、シート2を供給するシート供給装置としての給紙装置3と、シート2に糊付けの処理をする糊付けユニット4と、コールド・フォイル・スタンプ加工ユニット5と、五組の印刷ユニット6A〜6Fからなる印刷部6と、ニスコーティングユニット7と、乾燥ユニット8と、エンボス加工ユニット9と、排出装置としての排紙装置10とを備えている。
すなわち、このシート加工装置1では、給紙装置3から給紙されたシート2が複数の搬送胴によって搬送され排紙装置10に排紙されるまでの一つのラインに、コールド・フォイル・スタンプ加工、印刷処理、ニスコーティング処理、エンボス加工といった各種の加工が施される。
給紙装置3は、積載されたシート2のうちの最上層のシートからサッカ装置(図示せず)によって一枚ずつ吸引し、フィーダボード11上に送り出す。フィーダボード11に送り出されたシート2は、フィーダボード11上を搬送され、前端が揃えられた状態でスイング装置(図示せず)の爪にくわえられ、渡し胴12のくわえ爪装置にくわえ替えられる。
糊付けユニット4は、周面に版が装着された版胴13と、版胴13に対接されたゴム胴14と、ゴム胴14に対向する倍径の圧胴15とを備え、版胴13の版には糊が供給される。したがって、渡し胴12のくわえ爪装置から圧胴15のくわえ爪装置にくわえ替えられたシート2は、圧胴15とゴム胴14との間を通過するときに、所定の絵柄の糊が供給される。
コールド・フォイル・スタンプ加工ユニット5は、箔17を巻き出す巻出側フォイル18と、箔17を巻き取る巻取側フォイル19と、周面にブランケットが装着され、圧胴15に対向する箔押出胴20とを備える。したがって、渡し胴21を介して圧胴15のくわえ爪装置にくわえ替えられたシート2は、箔押出胴20と圧胴15との間を通過するときに、表面に糊付けユニット4によって供給された所定の絵柄の糊に箔が押し出される。
印刷部6の五組の印刷ユニット6A〜6Eのそれぞれは、周面に版が装着された版胴13と、版胴13に対接されたゴム胴14と、ゴム胴14に対向する倍径の圧胴15と、版にインキを供給するインキ装置22と、版に水を供給する給水装置23とを備える。したがって、渡し胴21を介して、一色目の印刷ユニット6Aの圧胴15のくわえ爪装置にくわえ替えられたシート2は、圧胴15とゴム胴14との間を通過するときに、表面に一色目が印刷される。以降、印刷ユニット6B〜6Eにおいて、シート2の表面に順次二色目〜五色目が印刷される。24は五色目の印刷ユニット6Eの圧胴15のくわえ爪装置にくわえられ搬送されるシート2の表面に印刷されたインキを乾燥するUVランプである。
ニスコーティングユニット7は、圧胴15のくわえ爪装置にくわえられ搬送されるシート2の表面にニスをコーティングするニス供給胴25を備える。
乾燥ユニット8は、圧胴15のくわえ爪装置にくわえられ搬送されるシート2の表面に印刷されたインキおよびコーティングされたニスを乾燥または硬化する三個のUVランプ26を備える。
次に、図2〜図10を用いて、本発明の特徴であるエンボス加工ユニット9におけるカセット30について説明する。図2および図3に全体を符号30で示すカセットは、互いに対向する原動側サブフレーム31Aと操作側サブフレーム31Bと、これらサブフレーム31A,31B間に回転自在に支持され互いに周面が対接された二本の胴、すなわち胴としてのエンボッシング・シリンダ32および搬送胴としてのカウンター・シリンダ33と、これらシリンダ32,33の原動側サブフレーム31Aの端軸32a,33aに軸着された駆動伝達部材としての被動歯車37,34とを備える。
エンボッシング・シリンダ32の周面には、加工部材としての凹凸状の上型のダイ35がシリンダの胴軸方向およびこれと直交する円周方向に移動調整自在に取り付けられている。カウンター・シリンダ33の周面にも、加工部材としての凹凸状の下型のダイ36がシリンダ33の胴軸方向およびこれと直交する円周方向に移動調整自在に取り付けられている。これら対向する二つのシリンダ32,33上で、凹状または凸状のダイ35と凸状または凹状のダイ36とが噛合する位置に固定されている。
被動歯車34,37が位置付けられる原動側サブフレーム31Aには、これら被動歯車34,37を覆うカバー38が取り付けられ、図2に示すようにカバー38の一部に被動歯車34の一部が露呈する切欠部38aが設けられている。これら被動歯車34,37は、原動側サブフレーム31Aの外側に位置付けられている。
カウンター・シリンダ33は、後述するように被動歯車34が駆動歯車75に噛合することにより、図1中反時計方向に回転する。一方、エンボッシング・シリンダ32は、被動歯車34に噛合する従動歯車37を介して、カウンタ・シリンダ33と反対方向である反時計方向に回転する。
図2および図3において、39はサブフレーム31A,31Bの両側部に枢支された四個のガイドコロであって、後述するガイドレール76A,76Bのガイド部76aおよび保持台90の収容部材91の案内面91b上を転動する。
カウンター・シリンダ33の外周部に設けられた切欠き40内には、図4に示すようにカウンター・シリンダ33の胴軸方向に延在する爪軸41が左右のベアラに軸受(いずれも図示せず)を介して回動自在に軸架されている。
切欠き40の壁面の外周側端部には、カウンター・シリンダ33の胴軸方向に延在する長尺状に形成された爪台43が複数個のボルト44によって固定されている。爪軸41上には爪台43とともに形成される複数個のくわえ替え装置45が軸方向に並設されている。
すなわち、爪軸41には、ばね受け46aとストッパ受け46bとを有するブラケット46がボルト47によって割締め固定されている。48は爪ホルダーであって、ばね受け46aと対向するばね受け48aとストッパ受け46aと対向し進退調整自在なストッパ49とを備え、ブラケット46に隣接し軸方向への移動が規制された状態で爪軸41に回動自在に軸装されている。
ばね受け46aとばね受け48aとの間には、これらを互いに離間させる方向の回動力を爪ホルダー48に付与する爪ばね50が弾装されており、その弾発力による爪ホルダー48の回動限はストッパ49によって規制されている。爪ホルダー48の遊端部には、爪台43とでシート2をくわえるくわえ爪51がねじ止めされており、このくわえ爪51と爪台43とでくわえ爪装置を形成する。
図5において、52は原動側サブフレーム31Aに固定された爪開閉用のカムであって、爪軸41に軸着された揺動部材53の揺動端部に枢支されたカムフォロアー54が圧接されている。
したがって、被動歯車34を介してカウンター・シリンダ33を回転させると、爪開閉用のカム52およびカムフォロアー54の協働で爪軸41を所定角度ずつ往復回動させることにより、爪ばね50を介し爪ホルダー48が回動してくわえ爪51が爪台43に対して開閉するように構成されている。
図2および図3において、56は原動側サブフレーム31Aと操作側サブフレーム31Bとの間に架設された天井板であって、両端部には、凹凸状のダイ36と凹凸状のダイ35との押し込み力および押し込み深さを調整する調整手段57A,57Bが設けられている。
この調整手段57A,57Bは、天井板56に互いに対向するように立設された一対の支持板58,58と、これら支持板58,58間に横架された支軸59を介して揺動自在に支持された揺動板60A,60Bと、揺動板60A,60Bの一方側と天井板56との間に介装されたバルーン61A,61Bと、揺動板60A,60Bの他方側にナット62によって固定され、エンボッシング・シリンダ32の端軸32aを回転自在に支持する支持板122A,122Bに取り付けられたボルト63(図10参照)とによって概略構成されている。支持板122A,122Bはサブフレーム31A,31Bに上下方向(エンボッシング・シリンダ32をカウンタ・シリンダ33に遠近させる方向)に移動自在に支持されている。
このような構成において、二つのバルーン61A,61Bにエアーを供給し膨張させると、図3において、調整手段57Aの揺動板60Aが支軸59を揺動中心として反時計方向へ揺動し、調整手段57Bの揺動板60Aが支軸59を揺動中心として時計方向へ揺動する。
したがって、揺動板60Aに固定されたボルト63が下方にわずかに移動するため、エンボッシング・シリンダ32の端軸32aを回転自在に支持する支持板122Aも下方に移動するから、カウンター・シリンダ33に取り付けられた凹凸状の下型のダイ36とエンボッシング・シリンダ32に取り付けられた凹凸状の上型のダイ35との押し込み深さが大きくなる。
一方、二つのバルーン61A,61B内のエアーの圧力を低下させると、図3において、圧縮ばね123,123の弾発力によって調整手段57Aの揺動板60Aが支軸59を揺動中心として時計方向へ揺動し、調整手段57Bの揺動板60Bが支軸59を揺動中心として反時計方向へ揺動する。
したがって、揺動板60Bに固定されたボルト63が上方にわずかに移動するため、エンボッシング・シリンダ32の端軸32aを回転自在に支持する支持板122Bも上方に移動するから、カウンター・シリンダ33に取り付けられた凹凸状の下型のダイ36とエンボッシング・シリンダ32に取り付けられた凹凸状の上型のダイ35との押し込み深さが小さくなる。
図2において、64,64は互いに平行となるようにサブフレーム31Aから水平方向に突設された一対の支持棒であって、カセット30を後述する保持台90の収容部91内に収容したとき係入孔91aに係入されることにより、カセット30の保持台90からの位置ずれや脱落を規制する。
次に、図6〜図10を用いて、エンボス加工ユニット9の構造について説明する。エンボス加工ユニット9は、図6に示すように互いに対向する原動側フレーム70Aと操作側フレーム70Bとを備えており、後述する駆動歯車75が位置付けられる原動側フレーム70Aには、カセット30を挿抜するための開口部としての第1開口部71が設けられている。ここで、特許請求の範囲に記載された「本機内部」とは両フレーム70A,70B間の空間のことを云い、「本機外部」とは両フレーム70A,70Bの外側の空間のことを云う。
72は第1開口部71を囲むように設けられた枠部材であって、この枠部材72には第1開口部71を開閉するための扉72aが設けられている。73は左右のフレーム70A,70B間に設けられた第2開口部74を開閉するためのカバーである。
75は渡し胴21の原動側フレーム70A側の端軸に軸着され本機の駆動に連動して回転する駆動歯車であって、歯幅方向が渡し胴21Aの胴軸方向と一致するように原動側フレーム70Aの外側において回転自在に支持されており、後述するようにカウンター・シリンダ33の被動歯車34が噛合する。
これら被動歯車34および駆動歯車75は、共に同一のモジュールによって形成されたはすば歯車であり、後述するようにカセット30をエンボス加工ユニット9内に装着するとき、歯幅の方向が、共に後述するステップ80上のガイド溝81の延設方向、すなわちカウンター・シリンダ33の胴軸方向(矢印A−B方向)を指向している。
76A,76Bは、原動側フレーム70Aと操作側フレーム70Bとの間に掛け渡された案内部材としての一対のガイドレールであって、エンボス加工ユニット9の前端側と後端側において、互いに平行となるように渡し胴21Aの胴軸方向に延設されている。
ガイドレール76は断面L字状に形成され、図9に示すように底部にガイド部76aが形成されている。77,77はカセット30のガイドコロ39をガイドレール76のガイド部76aへ案内するための載置部材であって、上端面77aがガイドレール76のガイド部76aに連設するように、フレーム70Aから扉72a側に向かって突出している。
図6において、80はオペレータが生産時にシート加工装置1の操作およびメンテナンス等の作業を行うためのステップであって、第1開口部71に対応してガイドレール76の延設方向と同じ方向に延びる二本のガイド溝81,81が設けられている。
図7において、85は案内台であって、底板86上に立設した二対のスタッド86A,86Bには、互いに平行なガイド板87A,87Bが架設されており、これらガイド板87A,87Bには、上記したガイド溝81,81に連設するガイド溝88,88が設けられている。この案内台85は底板86に取り付けられたキャスター89によって移動可能になっている。
90は保持台であって、上述したカセット30を一定の姿勢で収容する上方および第1開口部71と対向する側方(矢印A方向の側方)が開口し箱状に形成された収容部材91を備えており、この収容部材91は底板93に立設された四本の脚部92によって支承されている。
収容部材91のカセット30の原動側サブフレーム31Aが位置付けられる側部(矢印B方向の側部)には、カセット30の支持棒64,64が係入される係入孔91a,91aが設けられている。また、この収容部材91の上端面には、当該収容部材91内に収容されたカセット30のガイドコロ39を矢印A−B方向へ転動させる案内面91bが設けられている。
この保持台90は、底板93の裏面に枢支したコロ(図示せず)を介して上記したステップ80および案内台85の各ガイド溝81,88に沿って移動させることが可能になる。
図1において、95,96は渡し胴であって、これら渡し胴95,96を介してカウンター・シリンダ33のくわえ爪51にくわえ替えられたシート2は、排紙チェーン99の排紙爪(図示せず)にくわえ替えされる。
97は渡し胴96に対向する排紙胴であって、この排紙胴97と同軸上に設けられたスプロケット(図示せず)と排紙装置10の後端部に設けられたスプロケット98との間に排紙チェーン99が張架されている。
排紙チェーン99の排紙爪にくわえられ排紙チェーン99の走行により搬送されるシート2は、排紙爪が排紙カム(いずれも図示せず)によってくわえを解除されることで排紙パイル上に落下する。
次に、このように構成されたシート加工装置における加工動作について説明する。先ず、予めダイ36とダイ35との押し込み深さおよびダイ35とダイ36との相対位置が調整され、かつカウンター・シリンダ33のくわえ爪装置とダイ35,36との相対位置が調整されたカセット30をエンボス加工ユニット9に装着させておく。
この状態で、シート加工装置1による加工動作を開始する。すなわち、図1において、給紙装置3のサッカ装置(図示せず)によって積載されたシート2のうちの最上層のシートから一枚ずつ吸引され、フィーダボード11に送り出される。フィーダボード11に送り出されたシート2は、フィーダボード11上を搬送され、前端が揃えられた状態でスイング装置(図示せず)の爪にくわえられ、渡し胴12のくわえ爪装置にくわえ替えられる。
次いで、渡し胴12のくわえ爪装置から圧胴15のくわえ爪装置にくわえ替えられたシート2は、圧胴15とゴム胴14との間を通過するときに、所定の絵柄の糊が供給される。さらに、圧胴15から渡し胴21を介して、コールド・フォイル・スタンプ加工ユニット5の圧胴15のくわえ爪装置のくわえ替えられたシート2は、箔押出胴20と圧胴15との間を通過するときに、表面に糊付けユニット4において供給された所定の絵柄の糊に箔が押し出される。
次いで、渡し胴21を介して一色目の印刷ユニット6Aの圧胴15のくわえ爪装置にくわえ替えられたシート2は、圧胴15とゴム胴14との間を通過するときに、表面に一色目の絵柄が印刷される。以降、印刷ユニット6B〜6Eにおいて、シート2の表面に順次二色目〜五色目の絵柄が印刷される。五色の絵柄が印刷されたシート2は五色目の印刷ユニット6Eの圧胴15に搬送されるときに、UVランプ24によって表面に印刷されたインキが乾燥される。
五色の絵柄が印刷されたシート2は、渡し胴21を介してニスコーティングユニット7の圧胴15のくわえ爪装置にくわえ替えされ、圧胴15とゴム胴14との間を通過するときに、表面にニスがコーティングされる。
次いで、渡し胴21を介して乾燥ユニット8の圧胴15のくわえ爪装置にくわえ替えられたシート2は、圧胴15によって搬送されるときに、UVランプ26によってインキと表面にコーティングされたニスが乾燥または硬化される。
表面のインキとニスが乾燥または硬化されたシート2は、渡し胴21Aを介してエンボス加工ユニット9のカウンター・シリンダ33のくわえ爪装置にくわえ替えられ、カウンター・シリンダ33とエンボッシング・シリンダ32との間を通過するときにエンボス加工が施される。
エンボス加工が施されたシート2は、渡し胴95,96を介して排紙チェーン99の排紙爪にくわえ替えられ、排紙チェーン99の走行によって搬送され、排紙カムによって排紙爪のくわえが解除されることにより、排紙パイル上に落下し積載される。
ここで、エンボス加工ユニット9を交換する場合には、シート加工装置1を稼動させたままとして、予め、新たなカセット30の各種の調整作業を、シート加工装置1の外側、例えばシート加工装置1の設置場所とは別の場所において行う。
すなわち、カセット30には、サブフレーム31A,31Bにエンボッシング・シリンダ32とカウンター・シリンダ33とが回転自在に支持され、エンボッシング・シリンダ32の端軸32aには被動歯車34が軸着され、カウンター・シリンダ33の端軸33aには被動歯車34に噛合する従動歯車37が軸着されている。
したがって、カウンター・シリンダ33のくわえ爪51にシート2をくわえさせた状態で、被動歯車34を駆動させ、実際にシート2をエンボッシング・シリンダ32とカウンター・シリンダ33との間を通し、互いのダイ35,36によるエンボス加工の状態を確認する。
この確認結果に基づき、エンボッシング・シリンダ32およびカウンター・シリンダ33に対するダイ35,36の取付位置を調整したり、調整手段57A,57Bによるダイ36とダイ35との押し込み深さを調整する。このように、実際にシート2をエンボッシング・シリンダ32およびカウンター・シリンダ33の間を通してダイ35,36による加工状態を確認することができるため、調整が確実かつ容易に行うことができる。
このような調整が終了したら、この調整済みのカセット30に交換する作業を行う。先ず、本機が所定の位相角で停止するようにシート加工装置1の駆動をエンコーダの出力に基づいて制御する。
シート加工装置1の駆動が待機状態になったら、図7に示すように扉72aを開き第1開口部71を開放する。次いで、保持台90のコロ(図示せず)を案内台85のガイド溝88に一致させ、保持台90をステップ80に載置する。さらに、案内台85を互いのガイド溝81,88を対応させるようにしてステップ80に対接させる。
この状態で、エンボス加工ユニット9内に装着されているカセット30を矢印B方向に移動させ、第1開口部71を通過させ保持台90の収容部材91に収容する。次いで、保持台90をステップ80上で矢印B方向へ移動させ、案内台85のガイド板87A,87B上に移し替えた後、案内台85を移動させ、保持台90とともに使用していたカセット30を撤去する。
次いで、収容部材91内が空である保持台90を新たな案内台85のガイド板87A,87B上に載置し、上述した調整済みのカセット30を保持台90の収容部材91内に収容して保持台90に保持させる。保持台90を載置させた状態で、図7に示すように案内台85を互いのガイド溝81,88を対応させるようにしてステップ80に対接させる。
この状態で、保持台90を案内台85のガイド板87A,87B上を矢印A方向へ移動させ、ステップ80上に移し替える。さらに、カセット30を保持台90の収容部材91内で矢印A方向へ移動させることにより、カセット30のガイドコロ39が収容部材91のガイド面91b上を転動し、カセット30は操作側サブフレーム31Bから原動側フレーム70Aの第1開口部71を通りエンボス加工ユニット9内に挿入される。
この場合、カセット30を原動側フレーム70Aの第1開口部71からエンボス加工ユニット9内に挿入するにあたって、カセット30を持ち上げたりすることなく、水平方向の移動によって挿入することができるので、オペレータの負担が軽減される。
エンボス加工ユニット9内に挿入されたカセット30は、ガイドコロ39がガイドレール76のガイド部76aに案内されてエンボス加工ユニット9内に装着される。このとき、エンボッシング・シリンダ32の被動歯車34と本機側の駆動歯車75とは、共にモジュールが同一に形成されたはすば歯車であり、かつ歯幅の方向が共にカセット30の移動方向である矢印A方向を指向しているので、互いの噛合を妨げるようなことなく噛合が許容される。
エンボス加工ユニット9内に装着されたカセット30は、エンボッシング・シリンダ32およびカウンター・シリンダ33に対するダイ35,36の取付位置や、ダイ36とダイ35との押し込み力および押し込み深さが、既に調整されているため、装着後にほとんど調整作業をする必要がない。
したがって、シート加工装置1は、稼動の待機時間がわずかとなるから生産性が低下するようなことがない。カセット30がエンボス加工ユニット9内に装着されると、アクチュエータが作動し規制部材(いずれも図示せず)が第1開口部71に進出するので、カセット30の第1開口部71への移動(矢印B方向への移動)が規制される。オペーレータは扉72aによって第1開口部71を閉める。
このように、カセット30の原動側サブフレーム31Aの外側に被動歯車34があり、そのカセット30をシート加工装置1の原動側フレーム70Aの第1開口部71を通じて挿抜することで、駆動歯車75と被動歯車34とが噛合・噛合解除されるので、噛合のための装置が不要となり、部品点数が削減されて装置の大型化を防止することができる。
〔実施の形態2〕
次に、図11および図12を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態が、上述した第1の実施の形態と異なる点は、乾燥ユニット8の渡し胴21Aのシート搬送方向下流に、エンボス加工ユニット9の替わりにホット・フォイル・スタンプ加工ユニット110を設けたことにある。
このホット・フォイル・スタンプ加工ユニット110には、上記したカセット30が備えられており、このカセット30には、サブフレーム31A,31Bに回転自在に支持された箔押出胴112と、これと対接する箔受胴113とが設けられている。
箔押出胴112の周面には凹凸状のダイ115が装着され、くわえ爪装置が設けられた箔受胴113の周面にはダイ115と噛合するように凹凸状のダイ116が装着されている。117は箔押出胴112のダイ115を加熱するヒータ、118は箔受胴113のダイ116を加熱するヒータである。
なお、図12において、119,120はセーブローラであって、中央部を揺動支点121aとして揺動自在に支持された揺動部材121の両端部に回転自在に支持されており、ダイ115,116によって箔押しが行われないとき、揺動部材121が揺動支点121aを中心に反時計方向に揺動し、フォイル17を繰り戻し、無駄なフォイルの発生を抑制する。
このような構成において、給紙装置3から給紙されたシート2は、糊付けユニット4において所定の絵柄の糊付け処理が施され、次いで、コールド・フォイル・スタンプ加工ユニット5において、糊付け処理が施された部位に箔が押し付けられ、さらに、五組の印刷ユニット6A〜6Eにおいて、表面に五色の印刷が施される。
その後、ニスコーティングユニット7において、シート2の表面にニスがコーティングされ、乾燥ユニット8において、シート2の表面が乾燥される。そして、渡し胴21Aから箔受胴113にくわえ替えられたシート2は、箔押出胴112と箔受胴113との間を通過するときに、表面に所定の絵柄の箔が押し出され、排紙装置10において排紙パイル上に落下され積載される。
ここで、ホット・フォイル・スタンプ加工ユニット110を交換する場合には、シート加工装置101を稼動させたままとし、上述した第1の実施の形態と同様に、予め、新たなカセット30をシート加工装置1の外側、例えばシート加工装置1の設置場所とは別の場所において調整する。
ホット・フォイル・スタンプ加工ユニット110内に装着されるカセット30は、箔押出胴112および箔受胴113に対するダイ115,116の取付位置や、シートに対するダイの取付位置、さらにダイ116とダイ115との押し込み深さが、既に調整されているため、装着後にほとんど調整作業をする必要がない。
このため、上述した第1の実施の形態と同様に、ダイ115,116の交換に当たって、シート加工装置1の稼動の待機時間を最小限とすることができるから、生産性を向上させることができる。また、箔押出胴112および箔受胴113に対するダイ115,116の取付位置の調整作業ならびにシートに対するダイの位置の調整作業を、シート加工装置1の外側において行うことができるため、オペレータの負担を軽減することもできる。
なお、本実施の形態においては、カウンター・シリンダ33の被動歯車34と、これと噛合する本機側の駆動歯車75とを、カセット30の交換時に互いの噛合を妨げないように、共にはすば歯車としたが、平歯車としてもよい。
また、コールド・フォイル・スタンプ加工ユニット5では、箔押出胴20の周面にブランケットを装着させ、箔押出胴20に対接する胴を圧胴15としたが、箔押出胴20に凹凸状の上型のダイを装着させ、箔押出胴20に対接する胴として圧胴15に替えて凹凸状の下型のダイを装着させた箔受胴としてもよく、その場合、ホット・フォイル・スタンプ加工ユニット110と同様に、これら箔押出胴20と箔受胴とをサブフレーム31A,31Bに回転自在に支持させ、カセット30を適用させてもよい。