JP5862791B2 - 飛行時間型質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明はイオンリフレクタ(反射器)を用いた飛行時間型質量分析装置(Time of Flight mass spectrometer、以下「TOFMS」と称す)に関し、さらに詳しくは、イオンリフレクタの構造に関する。
TOFMSでは、一定の運動エネルギを付与されてイオン源から射出されたイオンパケット(イオンの集合体)が検出器に到達するまでの飛行時間を測定し、その飛行時間からイオン毎の質量(厳密には質量電荷比m/z)を算出する。質量分解能を低下させる大きな要因の一つが、イオンの初期エネルギの広がりである。イオン源から射出されるイオンの初期エネルギに広がりがあると、同一質量のイオンの飛行時間に広がりが生じて質量分解能が低下する。このイオンの初期エネルギ広がりに起因する飛行時間広がりを補償するため、イオンリフレクタが広く用いられている。以下の説明では、イオンリフレクタを利用したTOFMSを慣用に従ってリフレクトロンと称す。
イオンリフレクタはイオンの進行方向に増加する電位分布を有し、電場が存在しない無電場ドリフト空間を飛行してくるイオンを反射させる機能を持つ。大きな初期エネルギ(初期速度)を持つイオンほどイオンリフレクタの奥深くまで侵入するため、反射される際のイオンリフレクタ内部における飛行時間は長くなる。一方、大きな初期エネルギを持つイオンほど速度が大きいため、無電場ドリフト空間での飛行時間は短くなる。したがって、イオンリフレクタ内部での飛行時間の増加分と、無電場ドリフト空間部での飛行時間の減少分とが相殺するように適切にパラメータを調整しておけば、イオン源から検出器までの総飛行時間は、或るエネルギ範囲において初期エネルギに殆ど依存しなくなる(詳しくは非特許文献1参照)。
リフレクトロンはこれまでに様々なタイプのものが開発されているが、よく知られているものとしてマミリン(Mamyrin)らにより最初に開発されたデュアルステージ式リフレクトロンがある(非特許文献2参照)。図8(a)はデュアルステージ式リフレクトロンにおけるイオン軌道を示す概略図、図8(b)は中心軸上の電位分布の概略図である。
デュアルステージ式リフレクトロンにおいて、イオンリフレクタは、第1ステージ部S1及び第2ステージ部S2という2段階の一様電場(電位が距離に対して比例する電場)により構成され、無電場ドリフト部と1段目の一様電場(第1ステージ部S1)との境界、及び1段目の一様電場と2段目の一様電場(第2ステージ部S2)との境界には、それぞれイオンが通過可能な開口が多数形成されたグリッド電極G1、G2が設置されている。即ち、グリッド電極G1により無電場ドリフト部と第1ステージ部S1とは仕切られ、グリッド電極G2により第1ステージ部S1と第2ステージ部S2とが仕切られている。通常、第1ステージ部S1は第2ステージ部S2よりも短く、第1ステージ部S1でイオンが初期エネルギの2/3程度を失うときに、トータルの飛行時間の広がりはエネルギの2次微分まで補正される(つまり2次のエネルギ収束が達成される)。このため、或る程度広がった初期エネルギを持つイオンパケットに対しても飛行時間の広がりは小さくなり、結果として高い質量分解能が得られる。こうしたデュアルステージ式リフレクトロンは、市販されている飛行時間型質量分析装置で最も広く用いられている。
上述したように、デュアルステージ式リフレクトロンでは、基本的には、イオンリフレクタの各ステージにおいて電場は一様電場であるが、この一部の電場の電位分布を適宜補正して非一様電場とすることで、エネルギ収束性を改善できることが知られている。例えば、本願発明者らは特許文献1において、デュアルステージ式リフレクトロンにおいて第2ステージ部S2の電位分布を僅かに補正することにより、或るエネルギ閾値以上のエネルギを持ち中心軸上を飛行するイオンパケットに対して等時性を実現した新規のTOFMSを提案している。
図9は、特許文献1に記載されているデュアルステージ式リフレクトロンにおける電位分布の概念図である。図9中の位置Pは、補正電位を重畳していない従来のデュアルステージ式リフレクトロンにおける2次収束位置である。この2次収束位置Pを始点とする奥側の空間において、一様電場による電位ZA(U)に対し、{U(Z)−E03.5に比例する補正電位ZC(U)を重畳する。補正電位ZC(U)が重畳されていない場合には、飛行時間の広がりはエネルギの2次微分まで補償される(従来技術であるマミリン解)が、補正電位ZC(U)の重畳によってマミリン解で打ち消されない3次以上の無限に続く高次微分まで補償されるようになる。これにより、補正電位部で反射されるイオンに対して完全等時性を実現することができる。また、2次収束位置Pの前後で電位分布曲線は滑らかに繋がり、さらに補正電位ZC(U)は一様電場による電位ZA(U)と比べて圧倒的に小さいので、理論の上のみならず、こうした補正電位ZC(U)を実際に重畳することも比較的容易である。なお、ここでZはイオンリフレクタの中心軸に沿った座標、Uは座標Zでの電位値、E0は2次収束位置Pにおける電位値である。
上記手法によれば、原理的にほぼ理想的なリフレクトロンを実現することが可能であるが、そのためにはイオンリフレクタ内部の中心軸上に理論的に求めた理想的な補正電位分布を形成する必要がある。しかしながら、従来の一般的なイオンリフレクタにより高精度の電位分布を形成するのはかなり困難である。その理由を以下に説明する。
イオンリフレクタは一般に、その内部空間にイオン反射電場を形成するために、複数枚のガードリング電極を含んで構成される。図10は複数のガードリング電極から成る一般的なイオンリフレクタ4の構成図である。1枚のガードリング電極401は中央に開口を有する略環状の金属板である。開口の形状は、イオンの軌道の形状に応じて円形や長方形など様々である。1枚のガードリング電極401の厚さはTeであり、隣接する2枚のガードリング電極401の間には厚さがTsである絶縁性のスペーサ402が配置されている。したがって、隣接する2枚のガードリング電極401の間隔はTsである。図示するように、従来一般的なデュアルステージ式リフレクトロンでは、第1ステージ部S1と第2ステージ部S2とで同一形状のガードリング電極401及びスペーサ402が用いられている。これは、主として、ガードリング電極401とスペーサ402とをそれぞれ共通化することでコストを下げるためである。
現在市販されている一般的なTOFMSの質量分解能は10000以上であるが、この程度の高い質量分解能を実現しようとすると、ガードリング電極401をミクロンオーダーの高い位置精度で配置する必要がある。そのため、高い機械精度で以てガードリング電極401やスペーサ402を加工する必要があるとともに、組立ても高い精度で行う必要がある。特許文献2には、ガードリング電極を高い位置精度で配置し、しかも廉価に実現する方法が述べられている。該文献においても、複数のガードリング電極の厚さは全て同一であり、隣接する電極の間隔、つまりはスペーサの厚さも同一であることが前提となっている。
上述したようにイオンリフレクタ内部の中心軸に沿って非一様の理想的な電位分布を形成するためには、できるだけ多くの枚数のガードリング電極をできるだけ狭い間隔で(つまりできるだけ高い密度で)配置することが望ましい。そして、ガードリング電極はできるだけ薄いほうがよい。また、ガードリング電極の中央開口に向いた内周縁部はできるだけ中心軸に近い位置であることが望ましい。
上記のような配置や形状が好ましいことを、ガードリング電極内空間での電位分布のシミュレーション計算例を用いて説明する。ここで計算を行ったガードリング電極の具体的な構成及び形状は図11(a)に示すとおりである。即ち、このガードリング電極はZ軸に関して回転対称形状であり、イオンが通過する開口の直径は100[mm]である。また、ガードリング電極の厚さTe及びスペーサの厚さTs(隣接する電極の間隔)はいずれも10[mm]であり、グリッド電極Gはガードリング電極の厚さの1/2の位置、つまり、ちょうどTf=Te/2=5[mm]厚の位置に設けられている。このような形状のガードリング電極に対し、Z軸に沿って一様な電場が形成されるよう、各ガードリング電極への印加電圧を入射端側電極から順に0、200、400、600、800、1000[V]とした。
図11(b)はガードリング電極内空間に形成される電位分布の計算結果であり、等電位面を20[V]間隔で表示している。図12は、Z軸上(Y=0)及びY=50[mm]でZ軸と平行である線上の電位分布である。さらに、図13は、理想的な一様電場による電位(Videal)、並びに、その理想的な一様電場による電位とZ軸上及びY=10、20、30、40、50[mm]でZ軸と平行である線上に実際に形成される電位とのずれ(ΔV=V−Videal)の分布である。
図11〜図13に示した結果から、以下のことが判る。
(1)図12及び図13から、イオンリフレクタの中心軸(Y=0)付近では、実際の電位分布は一様電場による理想的な電位に近いものの、中心軸から外れてガードリング電極401に近づくほど(つまりYが大きいほど)、理想電位と実際の電位とのずれは大きくなる。
(2)図11(b)に示すように、ガードリング電極401に近づくほど等電位面の曲がりが大きくなっている。ガードリング電極401が薄ければ、この曲がりの程度が緩和されることは明らかであるから、(1)で述べた電位のずれの原因はガードリング電極401の厚みであることが判る。換言すれば、ガードリング電極401が薄いほど、中心軸から所定の距離Yだけ離れた位置における電位のずれ量は小さくなる(ガードリング電極が無限に薄ければこのずれは無い)と考えられる。
上述したように、イオンリフレクタにおいて理想的な電位分布を形成するにはガードリング電極は薄ければ薄いほうがよいが、実際には次のような制約がある。即ち、図8(b)及び図9に示したように、無電場ドリフト部とイオンリフレクタの第1ステージ部S1との境界、及び、イオンリフレクタの第1ステージ部S1と第2ステージ部S2との境界には、それら境界を挟んで両側で異なる強度の電場を形成し且つイオンを通過させるために、グリッド電極G1、G2が備えられている。このグリッド電極G1、G2に撓みや弛みがあるとイオンリフレクタ内部での電位分布の歪みの一因となるため、高い性能を実現するためには高い平坦度でグリッド電極を張設することが要求される。例えば非特許文献3には、グリッド電極を弛みなく張設する方法が述べられている。上記構成のようにガードリング電極の中央開口に向く内周壁面にグリッド電極を張設する場合、構造上、ガードリング電極には或る程度の厚さが必要である。典型的には、グリッド電極を弛まないように張設するためには、ガードリング電極の厚さは5〜10[mm]程度以上必要である。
一部のメーカーで製品化されている、第1ステージ部の前後の境界にグリッドを用いない、いわゆるグリッドレス・リフレクタでは、ガードリング電極の厚さは2[mm]程度以下とかなり薄くなっている場合もみられるが、こうした厚さではグリッド電極を張設することは実際的に不可能である。なお、こうしたグリッドレス・リフレクタにおいても、同一形状のガードリング電極及びスペーサをそれぞれ全てにおいて共通に用いていることは上述したグリッドありのイオンリフレクタと同様である。
上記シミュレーションでは、こうした事情を考慮してガードリング電極の厚さを10[mm]に定めていたが、上記結果から明らかなように、ガードリング電極がこの程度厚くなると、特に中心軸から径方向に離れた位置における電位分布の凸凹が顕著になる。その結果、例えば上述したように一様電場による電位に補正電位を重畳して理想的な電位分布を形成しようとしても、実際に得られる電位と理想的な電位とのずれが大きくなり、イオンパケットに対する等時性の低下が大きくなる。
なお、以降の説明では、イオンリフレクタを構成するガードリング電極として「厚い電極」及び「薄い電極」との用語を用いるが、上述したような従来技術との関係から、「厚い電極」とは5〜10mm程度以上の厚さを有する電極を指すものとし、他方、「薄い電極」とは2[mm]程度以下の厚さを有する電極を指すものとする。
国際公開WO2012/086630号パンフレット 米国特許第6849846号明細書
コター(R.J. Cotter)、「タイム・オブ・フライト・マス・スペクトロメトリー:インストゥルメンテイション・アンド・アプリケイション・イン・バイオロジカル・リサーチ(Time-of-Flight Mass Spectrometry:Instrumentation and Applications in Biological Research)」、アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(American Chemical Society)、1997年 マミリン(B.A. Mamyrin)、ほか3名、「ザ・マス・リフレクトロン、ア・ニュー・ノンマグネティック・タイム・オブ・フライト・マス・スペクトロメーター・ウィズ・ハイ・リゾリューション(The mass-reflectron, a new nonmagnetic time-of-flight mass spectrometer with high resolution」、Sov. Phys. -JETP 37、1973年、p.45-48 ベルグマン(T. Bergmann)、ほか2名、「ハイ・リゾリューション・タイム-オブ-フライト・マス・スペクトロメーターズ.パート III.リフレクター・デザイン(High resolution time-of-flight mass spectrometers. Part III. Reflector design)」、レビュー・オブ・サイエンティフィック・インスツルメンツ(Review of Scientific Instruments)、61(10)、1990年、p.2592-2600
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、コストを抑えながら、形成される反射電場を理想的な状態により近づけることができるイオンリフレクタを備えたTOFMSを提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明は、分析対象であるイオンに一定のエネルギを付与するイオン射出部と、イオンを自由に飛行させるための無電場イオンドリフト部と、該無電場イオンドリフト部を飛行して来たイオンを電場の作用により反射して折り返すべくイオン軌道に沿って複数配設された板状の電極を含むイオンリフレクタと、該イオンリフレクタで反射されて前記無電場イオンドリフト部を経て戻って来たイオンを検出する検出器と、を具備する飛行時間型質量分析装置において、
前記イオンリフレクタによるイオンの飛行空間は、前記無電場イオンドリフト部を通り抜けて来たイオンを減速させる減速電場が形成される第1領域と、該第1領域で減速されたイオンを反射させる反射電場が形成される第2領域とに区分され、前記第2領域に配置される複数の電極の厚さを前記第1領域に配置される複数の電極の厚さに比べて薄くしたことを特徴としている。
なお、本発明において、第2領域に形成される反射電場は、第1領域における減速電場で減速されたイオンをその各イオンの初期エネルギに応じた位置で反射させるような電場であればよい。
前述のように従来の一般的なリフレクトロンでは、イオンリフレクタを構成する全てのガードリング電極の厚さは同一であったのに対し、本発明に係るTOFMSでは、イオンに対する減速のみの作用を有する第1領域とイオンを反射させる作用を有する第2領域とで電極の厚さを変えており、第1領域では第2領域よりも電極を厚くしている。具体的な一態様として、第2領域に配置される複数の電極の厚さを略2mm以下とし、第1領域に配置される複数の電極の厚さを5〜10mm以上とするとよい。
上述したようにイオンリフレクタを構成する電極(ガードリング電極)を厚くすると、特に中心軸から径方向に離れた位置での等電位面の曲がりが大きくなり、理想的な電位とのずれが大きくなる。しかしながら、本願発明者のシミュレーション計算による検討によれば、イオンの減速しか行わない第1領域での上記のような電位のずれはイオンの時間収束にはあまり影響せず、等時性を実質的に損なわない。一方、イオンに対する反射を行う第2領域での上記のような電位のずれはイオンの時間収束に大きく影響するが、本発明に係るTOFMSでは、この第2領域では電極(ガードリング電極)が薄いため、第1領域に比べれば、中心軸から径方向に離れた位置においても理想的な電位とのずれが抑えられる。これにより、イオンパケットの等時性を確保することができ、高い質量分解能を達成することができる。
本発明に係る飛行時間型質量分析装置の典型的な態様としては、無電場イオンドリフト部とイオンリフレクタの第1領域、及び、該イオンリフレクタの第1領域と第2領域は、それぞれイオンリフレクタを構成する電極の開口に張設された格子状電極により仕切られてなる構成とすることができる。即ち、このTOFMSはグリッドレス・リフレクトロンではなくグリッド有りリフレクトロンであり、格子状電極(グリッド電極)により、無電場イオンドリフト部とイオンリフレクタの第1領域、及び、イオンリフレクタの第1領域と第2領域とがそれぞれ仕切られ、それを境界として電場が互いに干渉しないようになっている。
上記態様の飛行時間型質量分析装置では、無電場イオンドリフト部とイオンリフレクタの第1領域とを仕切る格子状電極は、第1領域に配置される複数電極の同一厚さ(Te1)の半分(Tf1=Te1/2)以上の厚さを有する電極に張設され、格子状電極の張設位置はリフレクタ奥側よりTf1の位置とするとよい。イオンリフレクタの第1領域と第2領域とを仕切る格子状電極は、第1領域に配置される複数電極の同一厚さ(Te1)と、第2領域に配置される複数電極の同一厚さ(Te2)の半分の厚さ((Te1/2)+(Te2/2))を有する電極に張設され、格子状電極の張設位置はリフレクタ奥側よりTf2の位置とするとよい。
この構成によれば、第2領域に配置される薄い電極ではなく、該電極に比べて厚い電極に格子状電極を張設すればよい。そのため、第2領域には薄い電極を用いながら、格子状電極を撓みや弛みなく張ることができ、これらに起因するイオンリフレクタ内部での電位分布の歪みを回避することができる。
なお、上述したように第1領域に配置される電極が厚いことによる等時性に与える影響は小さいが、さらに一層、質量分解能を改善するために、第1領域に配置される厚い電極の開口を第2領域に配置される薄い電極の開口よりも広くした構成とするとよい。
電極が厚いことによる等電位面の曲がりは開口に面した電極内周縁部の近傍で大きいから、開口を広くすることで、中心軸からの同一距離の位置における等電位面の曲がりを小さくすることができる。それによって、中心軸からの同一距離の位置における実施の電位と理想的な電位とのずれが小さくなり、第1領域内で中心軸から外れた軌道を通るイオンに生じる飛行時間の広がりは小さくなる。それにより、総合的な等時性の改善に繋がる。
また、イオンリフレクタの製造コストをさらに引き下げるために、第1領域に配置される厚い電極を構成する部材と第2領域に配置される薄い電極を構成する部材とを共通化してもよい。即ち、第2領域に配置される薄い電極を複数重ねることによって、第1領域に配置する厚い電極を形成する。エッチング又はパンチングなどの汎用的な加工技術を用いることで、薄く大きな金属板から同一形状の薄い電極を大量に廉価で作成することができる。そのため、薄い電極を利用して厚い電極を形成すれば、機械加工によって厚い電極を製造する場合に比べて、コストを引き下げることができる。
また本発明に係る飛行時間型質量分析装置において、好ましくは、イオンリフレクタを構成する電極の中で隣接する電極の間にはスペーサが配置されてなり、全てのスペーサの厚さが同一であるように電極の厚さ及び電極の配置が調整されてなる構成とするとよい。この構成によれば、全てのスペーサを共通化することができるので、イオンリフレクタの製造コストを引き下げることができるとともに、組立時の調整も容易になる。
本発明に係る飛行時間型質量分析装置によれば、第2領域に配置される電極が薄いことにより高い密度で配置が可能となり、電極の厚みによる等電位面の歪みも最小限に抑えられるので、特許文献1に記載のような理想的な補正電位を形成することができる。それにより、理想状態に近いリフレクトロンを実現することができ、高い質量分解能を実現することができる。また、第1領域に配置される電極を厚くするとともにその電極間隔を広げることで、第1領域に配置される電極の数自体を少なくすることができる。その場合でも、質量分解能等の装置性能は第2領域における電位補正で確保できるので、性能に影響しない範囲で電極枚数を減らすことでコストダウンを図ることができる。
本発明の一実施例によるTOFMSの概略構成図。 本実施例のTOFMSにおけるイオンリフレクタの電極構造を示す図。 本実施例のTOFMSにおけるイオンリフレクタの電極構造の変形例を示す図。 本実施例のTOFMSにおけるイオンリフレクタの電極構造の変形例を示す図。 図4に示した構造のイオンリフレクタにおける、中心軸上及び中心軸から外れた軌道上の電位分布のシミュレーション結果を示す図。 図4に示した構造のイオンリフレクタにおける、中心軸上及び中心軸から外れた軌道上をイオンが飛行する場合の、相対エネルギ広がりdU/Uに対する相対時間広がりdT/Tのシミュレーション結果を示す図。 本実施例のTOFMSにおけるイオンリフレクタの電極構造の他の変形例を示す図。 従来技術のデュアルステージ式リフレクトロンにおけるイオン軌道を示す概略図(a)、及び中心軸上の電位分布の概略図(b)。 特許文献1に記載されているデュアルステージ式リフレクトロンにおける電位分布の概念図。 一般的なイオンリフレクタの構成図。 シミュレーションに用いたガードリング電極の構成及び形状を示す図(a)、ガードリング電極内空間に形成される電位分布のシミュレーション結果を示す図(b)。 Z軸上(Y=0)及びY=50[mm]でZ軸と平行である線上の電位分布を示す図。 理想的な一様電場による電位分布、並びに、その理想的な一様電場による電位分布とZ軸上及びY=10、20、30、40、50[mm]でZ軸と平行である線上に実際に形成される電位とのずれの分布を示す図。 本発明によるイオンリフレクタの対比としてシミュレーションに用いた従来のイオンリフレクタのガードリング電極の構造を示す図。 図14に示した構造のイオンリフレクタにおける、中心軸上及び中心軸から外れた軌道上の電位分布のシミュレーション結果を示す図。 図14に示した構造のイオンリフレクタにおける、中心軸上及び中心軸から外れた軌道上をイオンが飛行する場合の、相対エネルギ広がりdU/Uに対する相対飛行時間広がりdT/Tのシミュレーション結果を示す図。
本発明の実施例についての説明を行う前に、上述した従来のイオンリフレクタの電極構造での電位のずれとそれに起因する相対エネルギ広がりと相対飛行時間広がりとの関係の詳細なシミュレーション結果について説明する。図14は、シミュレーションで想定した従来のイオンリフレクタの電極構造を示す図である。なお、ここで想定しているイオンリフレクタはX軸方向に平面対称構造で、X-Z面に関して鏡映対称であるスリット形状の電極であるので、図14ではX-Z面を含む+Y方向のみの端面で電極構造を描出している。これは後述の図2〜図4、図7でも同様である。
図14に示すように、このイオンリフレクタは、第1ステージ部S1、第2ステージ部S2ともに、同一厚さのガードリング電極で、スペーサも同一厚さで共通化された構成であり、無電場ドリフト部の長さは1000[mm]、第1ステージ部S1の長さは100[mm]、第2ステージ部S2の長さは300[mm]である。また、1枚のガードリング電極の厚さはTe1=Te2=5[mm]であり、これはグリッド電極の張設が容易であるいわゆる厚い電極である。スペーサの厚さはTs1=Ts2=5[mm]である。第1グリッド電極G1は先頭のガードリング電極の厚さ方向の1/2、つまり厚さTf1=2.5[mm]の位置に取り付けられ、第2グリッド電極G2も所定のガードリング電極の厚さ方向の1/2、つまり厚さTf1=Tf2=2.5[mm]の位置に取り付けられている。ガードリング電極のスリット型開口幅は40[mm]である。
上記のように設定したイオンリフレクタの各ガードリング電極にそれぞれ電圧を印加して、中心軌道(図14中のZ軸)上で理想的な電位分布が得られるように電圧を調整し、イオンの初期エネルギを変えてイオンの飛行時間をシミュレーションにより調べた。ここでは、理想的な電位分布を得るために特許文献1に記載の手法を用いた。即ち、第2ステージ部S2中に定められる2次収束位置を始点として奥側(図14では右方)の空間において、一様電場による電位ZA(U)に対し{U(Z)−E03.5に比例する補正電位ZC(U)を重畳させることで、3次以上の高次の時間収差も打ち消すようにする。
図15は図14に示した構造のイオンリフレクタにおける、中心軸上(Y=0[mm])及び中心軸から外れた軌道上(Y=2.5、5、7.5[mm])の電位分布のシミュレーション結果を示す図である。図中、Videalは一様電場による電位に補正電位が重畳された理想的な電位分布であり、ΔVは理想的な電位と実際の電位との電位ずれの分布である。
また図16は図14に示した構造のイオンリフレクタにおける、中心軸上及び中心軸から外れた軌道上をイオンが飛行する場合の、相対エネルギ広がりdU/Uに対する相対飛行時間広がりdT/Tのシミュレーション結果を示す図である。図16の縦軸dT/Tは、イオンの相対エネルギ広がりdU/Uが0で且つY=0(つまり中心軸上)であるときの飛行時間を基準として、飛行時間を相対値で表したものである。図16において、相対エネルギ広がりdU/Uが−0.2であるイオンは2次収束位置(補正電位開始点)で反射されるイオンに対応し、−0.2<dU/U<0.2であるイオンは一様電場による電位に補正電位が重畳された領域で反射されるイオンに対応し、中心軸上を飛行するこれらイオンパケットに対しては等時性が実現される。
図15に示されるイオンリフレクタ内部での電位分布を見ると、上述したように補正電位を重畳しているため、Z=1180付近である補正開始点近傍よりも奥側では電位分布のY座標依存性が顕著であることが判る。そして、中心軸上(Y=0[mm])では電位ずれΔVがほぼゼロであって理想電位がほぼ実現できている一方、中心軸から離れるに従い、電位のずれΔVが大きくなるとともに電位のずれに凹凸が明瞭に観察されるようになる。この凹凸のピッチがガードリング電極のピッチと一致することから、この電位のずれの凹凸はガードリング電極の厚さに起因するものであることが判る。
図16に示される飛行時間の初期エネルギ依存性を見ると、Y座標が大きくなる(中心軸から離れる)に伴い、電位の凹凸に起因する飛行時間のばらつきが明確に大きくなることが判る。質量分解能はR=(1/2)(T/dT)で与えられることから、時間差dT/T=1E-5の飛行時間広がりは質量分解能50000に対応し、dT/T=2E-5の飛行時間広がりは分解能25000に対応している。これら結果から、従来のイオンリフレクタの構成では、イオンの飛行空間を中央軸周辺の狭い範囲に限定すれば高い質量分解能が得られるものの、中心軸から5[mm]以上離れると、第2ステージ部S2でのガードリング電極により形成される電位の凹凸のために飛行時間が広がってしまい、質量分解能の低下を招くことが判る。
上述したように、このような質量分解能低下の原因は、イオン反射領域(この例の場合には第2ステージ部S2)におけるガードリング電極の厚さである。そこで、本発明では、イオン反射領域においてガードリング電極を従来よりも薄くすることで、特に中心軸から離れた軌道を通るイオンに対しても質量分解能を改善するようにしている。
以下、本発明の一実施例であるTOFMSについて、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例のTOFMSの概略構成図、図2は本実施例のTOFMSにおけるイオンリフレクタの電極構造を示す図、図3及び図4はそれぞれイオンリフレクタの電極構造の変形例を示す図である。
図1において、イオン源1で生成された試料由来のイオンはイオン加速部2に導入される。そして、所定のタイミングで加速電圧源7からイオン加速部2にパルス的に印加される電圧により形成される電場によって、それらイオンは初期エネルギを付与され、フライトチューブ3内の飛行空間に送られる。フライトチューブ3内にはイオン光軸に沿って配設された複数のガードリング電極41、42、43、終端電極44、を含んで構成されるイオンリフレクタ4が設置されている。それら電極のうち、イオン加速部2に最も近い位置のガードリング電極41の開口には第1グリッド電極G1が張設され、また別のガードリング電極43の開口には第2グリッド電極G2が張設されている。
イオンリフレクタ4を構成する各ガードリング電極41、42、43、及び終端電極44にはリフレクタ直流電圧源6からそれぞれ所定の直流電圧が印加され、それによりイオンリフレクタ4の内部空間には所定のポテンシャル形状を有する静電場(直流電場)が形成される。この電場の作用によってイオンリフレクタ4においてイオンは反射される。反射されて戻って来たイオンは検出器5に到達し、検出器5は到達したイオンの量に応じた検出信号を出力する。制御部8は、加速電圧源7、リフレクタ直流電圧源6などをそれぞれ制御する。また、データ処理部9は制御部8からイオンの加速のタイミング情報、つまり飛行開始時刻の情報を取得してこれを基準とし、各イオンによる検出信号に基づいて飛行時間を計測し、飛行時間を質量電荷比m/zに換算してマススペクトルを作成する。
イオン源1は、試料の形態に応じて、MALDI、ESI、APCI、EI、CI等、任意のイオン化法によるイオン源とすることができる。イオン加速部2は3次元四重極型イオントラップやリニアイオントラップなどとすればよい。また、イオン源1がMALDI等のイオン源である場合に、イオン加速部2はイオン源1で生成されたイオンを引き出して加速する単なる加速電極でもよい。また、イオンが持つ初期エネルギのばらつきを抑えるには、イオン源1から引き出されたイオンを、その引出し方向と直交する方向に加速してフライトチューブ3に送り込む直交加速方式とするとよく、その場合、イオン加速部2は押出し電極と1又は複数のグリッド電極から構成することができる。
図2に示すように、先頭のガードリング電極を含め、第1グリッド電極G1と第2グリッド電極G2との間(つまりは第1ステージ部S1)に配置されたガードリング電極41は厚さTe1が8[mm]であるのに対し、第2グリッド電極G2と終端電極44との間(つまりは第2ステージ部S2)に配置されたガードリング電極42は厚さTe2が2[mm]である。即ち、この例では、本発明における第1領域に相当する第1ステージ部S1に配置されたガードリング電極41の厚さTe1は本発明における第2領域に相当する第2ステージ部S2に配置されたガードリング電極42の厚さTe2の4倍であり、前者はいわゆる厚い電極であり、後者は薄い電極に相当する。第1ステージ部S1、第2ステージ部S2ともに、ガードリング電極41、42のピッチは10[mm]としており、そのため、第1ステージ部S1では隣接するガードリング電極41の間の間隙はTs1=2[mm]、第2ステージ部S2では隣接するガードリング電極42の間の間隙はTs2=8[mm]である。また、ガードリング電極41、42、43のスリット型開口幅は40[mm]である。
第1グリッド電極G1は先頭のガードリング電極41に、リフレクタの奥側から、第1ステージS1に配置されたガードリング電極41の厚さ方向の1/2、つまり厚さTf1=Te1/2=4[mm]の位置に取り付けられている。したがって、この先頭のガードリング電極のうち、第1グリッド電極G1を挟んで第1ステージ部S1に面する(含まれる)部分の厚さは4[mm]である。一方、第2グリッド電極G2が取り付けられるガードリング電極43の厚さは、第1ステージ部S1に配置されたガードリング電極41の厚さTe1=8[mm]の1/2と第2ステージ部S2に配置されたガードリング電極42の厚さTe2=2[mm]の1/2とを加算した、5[mm]である。第2グリッド電極G2は、ガードリング電極43の第1ステージ部S1側の端部から4[mm]の位置に取り付けられ、第2グリッド電極G2を挟んで第1ステージ部S1に面する(含まれる)部分の厚さは4[mm]、第2ステージ部S2に面する(含まれる)部分の厚さは1[mm]である。このように、各ステージの端部(始端及び終端)の電極の実質的な厚さを各ステージに含まれる電極の厚さの1/2とすることで、グリッド電極至近でも理想的な一様電場を形成することができる。
図2に示したように、第2ステージ部S2に配置されたガードリング電極42は5〜10[mm]という従来の一般的な厚さに比べてかなり薄いため、中心軸から径方向に離れた位置でも等電位面の曲がりは小さく、それにより飛行時間の広がりは小さくなる。しかしながら、この構成では、第1ステージ部S1と第2ステージ部S2とで隣接するガードリング電極41、42、43の間の間隙(Ts1及びTs2)が異なるので、図10に示した従来の構成のように、ガードリング電極間に挿設されるスペーサを共通化することができない。その分、コストアップに繋がることになる。そこで、図2に示した構成の改良版として、第1ステージ部S1と第2ステージ部S2とのそれぞれにおいて、ガードリング電極のピッチとガードリング電極の厚さを調整したのが図3に示した変形例の構成である。
即ち、図3に示した変形例の構成では、第2ステージ部S2に配置されるガードリング電極42の厚さをさらに薄くTe2=0.4[mm]とし、隣接電極間の間隔、つまりスペーサの厚さを第1ステージ部S1、第2ステージ部S2とで共通のTs1=Ts2=9.6[mm]に調整している。これに伴い、第1ステージ部S1に配置されるガードリング電極41の電極ピッチは20[mm]と広くし、電極41の厚さはさらに厚く、Te1=10.4[mm]である。このような構成では、同一サイズのスペーサを全てのスペーサとして用いることができるので、サイズの相違する2種類のスペーサが必要となる図2の構成に比べるとコストダウンが可能である。また、第1ステージ部S1に配置されるガードリング電極41の数も、9個から4個と少なくなり、高い精度で以て加工する必要がある電極の数が少なくなるのでコストダウンに寄与する。
その反面、第1ステージ部S1に配置されるガードリング電極41がさらに厚くなったため、第1ステージ部S1における中心軸上での電位の凹凸が大きくなる。後述するように、実際上、第1ステージ部S1における電位の凹凸は全体の等時性に殆ど影響をあたえないものの、より高い等時性を実現することを考慮すると、第1ステージ部S1における電位の凹凸もできる限り抑えるほうがよい。そこで、図3に示した構成のさらなる改良版として、第1ステージ部S1に配置されるガードリング電極41の中央開口を大きくしたのが図4に示した変形例の構成である。
図4に示すように、この変形例の構成では、第1ステージ部S1に配置されるガードリング電極41のスリット幅を60[mm]に広げているが、それ以外の点は図3の構成と同じである。そこで、コストの点では図2に示した構成よりも有利であり、性能の点では図3に示した構成と同等又はそれよりも高い、図4に示したイオンリフレクタの電極構造について、従来のイオンリフレクタと同様の手法によるシミュレーション計算を行い、従来のイオンリフレクタによる結果と対比した。なお、このときにも、特許文献1に記載の手法を用い、第2ステージ部S2中に定められる2次収束位置を始点として奥側(図4では右方)の空間において、一様電場による電位ZA(U)に対し{U(Z)−E03.5に比例する補正電位ZC(U)を重畳させることで、中心軸上で理想的な電位分布を形成するようにしている。
図5は図4に示した変形例によるイオンリフレクタにおける、中心軸上(Y=0[mm])及び中心軸から外れた軌道上(Y=2.5、5、7.5[mm])の電位分布のシミュレーション結果を示す図であり、図15と同様に、Videalは理想的な一様電場による電位に補正電位が重畳された理想的な電位分布であり、ΔVは理想的な電位と実際の電位との電位ずれの分布である。また図6は図4に示した変形例によるイオンリフレクタにおける、中心軸上及び中心軸から外れた軌道上をイオンが飛行する場合の、相対エネルギ広がりdU/Uに対する相対飛行時間広がりdT/Tのシミュレーション結果を示す図である。
図5と図15とを比較すれば明らかなように、図4に示す構成では、第2ステージ部S2に配置されたガードリング電極42が薄くなったため、特に中心軸から離れたY=5、7.5[mm]で顕著であった電位の凹凸が大幅に縮小していることが判る。このように電位の乱れが大きく改善されるため、図6に示すように、中心軸から離れた軌道上でも飛行時間の広がりが大きく改善されていることが判る。したがって、本実施例のTOFMSによれば、中心軸上を飛行するイオンパケットのみならず、中心軸から離れた軌道上を飛行するイオンパケットについても、高いレベルの等時性を実現することができ、高い質量分解能を達成できることが判る。また、図3及び図4の構成によれば、質量分解能に大きく影響するイオン反射領域における電位の凹凸を小さくできるのみならず、従来の構成に比べて、第1ステージ部S1に配置されるガードリング電極41の数を減らすことができるという利点もある。これにより、上述したようにスペーサを共通化することと併せて、コストダウンに有効である。
また、イオンリフレクタの製造コストをさらに引き下げるために、第1ステージ部S1に配置される厚い電極を構成する部材と第2ステージ部S2に配置される薄い電極を構成する部材とを共通化してもよい。図3と同様の電極配置であって、第1ステージ部S1に配置された厚いガードリング電極を複数の薄い電極の積層構造体とした場合の、イオンリフレクタの電極構造の変形例を図7に示す。この例では、第2ステージ部S2に配置される厚さがTe2=0.4[mm]であるガードリング電極42を26枚積層させることよって、第1ステージ部S1に配置される厚さがTe1=10.4[mm]であるガードリング電極41bを形成している。また、第2グリッド電極G2が取り付けられるガードリング電極43bは、厚さがTe2=0.4[mm]であるガードリング電極42を13枚積層させ、さらにそ厚さが0.2[mm]である金属板を1枚積層させることで形成している。同一形状、同一厚さの薄い金属板は、エッチング又はパンチングなどの汎用的な加工技術を用いることで、薄く大きな金属板から廉価で大量に作成することができる。そのため、このように薄い電極に利用される金属板部材を用いて厚い電極も形成することで、機械加工によって厚い電極を製造する場合に比べて、コストを引き下げることができる。
なお、図7の例では、厚さが0.4[mm]である金属板を電極41b、42ともに利用したが、金属板の厚さを0.2[mm]とすることで、電極43bや終端電極44における厚さTf2の部分の金属板部材も共通化することができる。
図5と図15の電位分布を比較すると判るように、本実施例によるイオンリフレクタでは第2ステージ部S2における電位の凸凹は小さくなるものの、その代わりに第1ステージ部S1における電位の凹凸は大きくなる。これは、第1ステージ部S1に配置されるガードリング電極41が厚くなることの影響である。しかしながら、上記シミュレーション結果で示されているとおり、第1ステージ部S1における電位の凹凸は大きくなっているにも拘わらず、例えば中心軸上を飛行するイオンの飛行時間の広がりは殆ど増加していない。このことから、第1ステージ部S1の電位の凹凸は等時性に大きく影響しないと結論付けることができる。
なお、上記シミュレーションでは、特許文献1に記載の手法を用い、第2ステージ部S2に非一様電場を導入することで理想的な電位分布を形成していたが、一様電場のみを形成する従来のイオンリフレクタを用いたTOFMSに本発明を適用しても充分な利点がある。一様電場を形成する従来のデュアルステージ式(又はそれ以上の多段式)のイオンリフレクタにおいても、質量分解能を高めるために、イオン反射領域において電位の凹凸を抑えなければならないことは同様である。そのため、従来のイオンリフレクタでは、電位の凸凹が充分に小さい中心軸付近の領域をイオン飛行空間として用いている。これに対し、ガードリング電極を薄くするほど、電位の凸凹が充分に小さい中心軸付近の領域は広くなることから、イオンが反射する領域に配置されるガードリング電極として薄い電極を用いることで、イオンリフレクタの径を小さくし装置全体の小型化を優位に進めることができる。
また、上記シミュレーションでは、イオンリフレクタのガードリング電極の開口形状が丸穴又は無限に長いスリット形状であると想定したが、それに限らず、開口形状が長方形状又は長穴形状であるガードリング電極を利用することも可能である。イオン射出部と検出器とを空間的に離して配置するために、リフレクトロンの中心軸に対して斜めにイオンを入射する構成の場合には、開口形状が長方形状又は長穴形状であるガードリング電極を用いたほうが、高質量分解能を達成できる空間領域を一方向に広く確保できるので都合がよい。この場合においても、開口形状が丸穴又は無限に長いスリット形状であるガードリング電極の場合と同様の、良好な性能を達成できる。
また、上記シミュレーションは、本発明をデュアルステージ式リフレクトロンに対して適用した場合の例であるが、3段以上のステージを有するイオンリフレクタに本発明を適用することも可能である。3段以上のステージを有するイオンリフレクタの場合には、最終段がイオン反射領域、その他はイオン減速領域となる。
さらにまた、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜、変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
1…イオン源
2…イオン加速部
3…フライトチューブ
4…イオンリフレクタ
41、42、43、41b、43b…ガードリング電極
44…終端電極
5…検出器
6…リフレクタ直流電圧源
7…加速電圧源
8…制御部
9…データ処理部
G、G1、G2…グリッド電極
S1…第1ステージ部
S2…第2ステージ部

Claims (8)

  1. 分析対象であるイオンに一定のエネルギを付与するイオン射出部と、イオンを自由に飛行させるための無電場イオンドリフト部と、該無電場イオンドリフト部を飛行して来たイオンを電場の作用により反射して折り返すべくイオン軌道に沿って複数配設された板状の電極を含むイオンリフレクタと、該イオンリフレクタで反射されて前記無電場イオンドリフト部を経て戻って来たイオンを検出する検出器と、を具備する飛行時間型質量分析装置において、
    前記イオンリフレクタによるイオンの飛行空間は、前記無電場イオンドリフト部を通り抜けて来たイオンを減速させる減速電場が形成される第1領域と、該第1領域で減速されたイオンを反射させる反射電場が形成される第2領域とに区分され、前記第2領域に配置される複数の電極の厚さを前記第1領域に配置される複数の電極の厚さに比べて薄くしたことを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  2. 分析対象であるイオンに一定のエネルギを付与するイオン射出部と、イオンを自由に飛行させるための無電場イオンドリフト部と、該無電場イオンドリフト部を飛行して来たイオンを電場の作用により反射して折り返すべくイオン軌道に沿って複数配設された板状の電極を含むイオンリフレクタと、該イオンリフレクタで反射されて前記無電場イオンドリフト部を経て戻って来たイオンを検出する検出器と、を具備する飛行時間型質量分析装置において、
    前記イオンリフレクタによるイオンの飛行空間は、前記無電場イオンドリフト部を通り抜けて来たイオンを減速させる減速電場が形成される第1領域と、該第1領域で減速されたイオンを反射させる反射電場が形成される第2領域とに区分され、前記第2領域に配置される複数の電極の厚さは略2mm以下、前記第1領域に配置される複数の電極の厚さは5〜10mmの範囲又はそれ以上、であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  3. 請求項1又は2に記載の飛行時間型質量分析装置において、
    前記無電場イオンドリフト部と前記イオンリフレクタの第1領域、及び、該イオンリフレクタの第1領域と第2領域は、それぞれイオンリフレクタを構成する電極の開口に張設された格子状電極により仕切られてなることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  4. 請求項3に記載の飛行時間型質量分析装置において、
    前記無電場イオンドリフト部と前記イオンリフレクタの第1領域とを仕切る格子状電極は前記第1領域に配置される複数の電極のうちの最初の電極に張設され、該電極の厚さは該第1領域に配置される同一厚さの他の複数の電極の厚さの1/2以上であり、
    前記イオンリフレクタの第1領域と第2領域とを仕切る格子状電極は、該第1領域に配置される複数の同一厚さの電極の厚さの1/2と該第2領域に配置される複数の同一厚さの電極の厚さの1/2との和に等しい厚さを有する電極に張設されてなることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の飛行時間型質量分析装置において、
    前記第1領域に配置される厚い電極の開口を前記第2領域に配置される薄い電極の開口よりも広くしたことを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の飛行時間型質量分析装置において、
    前記イオンリフレクタを構成する電極の中で隣接する電極の間にはスペーサが配置されてなり、全てのスペーサの厚さが同一であるように電極の厚さ及び電極の配置が調整されてなることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の飛行時間型質量分析装置において、
    前記第1領域に配置される厚い電極は、前記第2領域に配置される薄い電極を複数重ねることで形成されてなることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の飛行時間型質量分析装置において、
    前記第1領域に配置される複数の電極のピッチが、前記第2領域に配置される複数の電極のピッチと比べて広く、該第2領域に比べて第1領域では単位長さ当りの電極数が少なくなっていることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
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