JP5862497B2 - 触媒劣化判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の排気通路に設けられた酸化触媒が劣化しているか否かを判定する触媒劣化判定装置に関する。
一般に、内燃機関の排気通路には排気を浄化するために酸化触媒(以下、単に「触媒」と称する場合もある)が設けられている。酸化触媒は、排気に含まれる有害な炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等を浄化させることを目的としているが、この酸化触媒が種々の原因によって劣化して酸化機能が低下すると、未浄化の排気が大気に放出されることになる。特に自動車においては、OBDシステムによって酸化触媒の劣化を診断することが各国の法規等によって要請されているため、酸化触媒の劣化状態をより的確に判定できる技術が要求されている。
例えば特許文献1には、ディーゼルエンジンの排気通路に設置された酸化触媒の異常判定を、当該酸化触媒の下流側に設置されたDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)の再生処理中に行う技術が開示されている。この技術においては、DPFに流入する排気を強制昇温させるために燃料の添加が開始されてから、正常触媒であれば排気の昇温が完了している時間の経過後に、酸化触媒へ流入する排気の温度と当該酸化触媒から流出する排気の温度との差を検出して劣化判定を行っている。
特開2008−128170号公報 特開2009−191789号公報 特開2006−291834号公報 特開2005−105871号公報 特開2009−046988号公報 特開2002−339790号公報
一般に、酸化触媒は想定外の熱負荷が加わることなどによって経時的に劣化して酸化浄化機能が低下する。従来、劣化の程度が著しく、交換を必要とする程度まで酸化浄化機能が低下した酸化触媒は、OBDシステムによって的確に異常が検出されて劣化判定が下されていた(完全故障検出)。これに対し、劣化の程度が比較的に少なく、ある程度の酸化浄化機能が残存している状態にあるために、完全故障検出によって検出されない酸化触媒が存在する。以下、このような状態をクライテリア状態と称し、クライテリア状態にある酸化触媒をクライテリア触媒と称する。
例えば、酸化触媒の酸化浄化機能への依存度が高い、HCやCOが比較的多く含まれる排気を排出する内燃機関の排気浄化システムに使用されている触媒が、劣化によってクライテリア状態に至った場合は、排出される排気のエミッションがOBD規制値を超えてしまう可能性がある。したがって、このような場合にはクライテリア触媒であっても的確に劣化判定される必要がある。しかしながら、クライテリア触媒には劣化していてもある程度の酸化浄化機能が残存しているため、流入する排気の温度(入口温度)がある程度高い場合には、排気内に含有されているHCやCO等がある程度酸化発熱されて、劣化していない正常な触媒(正常触媒)と同程度の温度の排気が排出されることがある。つまり、D
PFの再生処理時に燃料が添加された場合には、クライテリア触媒であっても、正常触媒と同程度の温度まで昇温された排気が排出されることがある。このような現象が生じた場合、触媒の正常・異常判定を酸化触媒から流出する排気の温度に基づいて行う従来技術では、的確な判定を下せないおそれがある。
また、昨今の排出ガス規制の強化によって、より精度良く酸化触媒の劣化判定を実行できるOBDシステムが要求されてきている。つまり、劣化の程度が比較的に少なく、ある程度の酸化浄化機能が残存している状態にある上述のクライテリア触媒を、精度良く検出できる技術の要求が高まってきている。
本発明は、上述した課題を解決するべく、クライテリア触媒であっても精度良く劣化判定をすることができる触媒劣化判定装置を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために本発明に係る触媒劣化判定装置は、内燃機関の排気通路に設けられた酸化触媒と、前記酸化触媒内で酸化発熱する還元剤を添加する添加手段と、前記添加手段による還元剤の添加の開始から所定時間経過後に前記酸化触媒の発熱率に基づいて前記酸化触媒の劣化判定を行う判定手段と、を備え、前記所定時間は、前記酸化触媒が劣化したものに相当する酸化触媒モデルへの還元剤の添加を想定した場合における前記酸化触媒モデルの推定床温が、前記想定された還元剤の添加が開始された時から、当該還元剤の酸化発熱によって昇温された後に、当該還元剤の添加時間の経過に伴って進行する前記酸化触媒モデルの活性低下に起因して所定の閾床温に低下するまでの時間に設定される。
酸化触媒に添加された燃料(HC)やCO等の還元剤は、酸化触媒内で酸化発熱(燃焼)されて酸化触媒の床温を上昇させる。ここで、酸化触媒が劣化していない正常触媒であれば、添加された燃料が酸化触媒内で連続的に酸化されることによって床温が上昇し、その後その温度が維持される。これに対し、劣化の程度が比較的に少なく、ある程度の酸化浄化機能が残存している上述のクライテリア触媒に還元剤が添加される場合、添加の初期段階では還元剤がある程度酸化発熱されることによって床温が上昇するが、その後クライテリア触媒の活性が低下して床温が低下する(詳細は後述)。つまり、活性低下に起因して酸化発熱反応によって生成される発熱量が減少するため、結果的に床温が低下していく。
ここで、酸化触媒に添加された還元剤の発熱反応によって発生した実発熱量と、酸化触媒の床温を目標床温まで昇温させるのに必要な目標発熱量を用いて「実発熱量/目標発熱量」で表わされる発熱率を定義する。正常触媒に還元剤が添加された場合は、目標発熱量程度の実発熱量を得ることができるために発熱率は高水準で維持される。一方、クライテリア触媒に還元剤が添加された場合、添加の初期段階では発熱率は上昇するが、上述したように活性が低下すると発熱率も低下し始める。したがって、燃料添加が開始されてから活性が低下するまでの所定時間が経過した後のクライテリア触媒の発熱率は、同時間経過した後の正常触媒の発熱率に対して明確な差異を有することになる(明確に小さくなる)。
したがって、本発明は、酸化触媒への還元剤の添加中において、クライテリア触媒であれば活性が低下して発熱率が明確に低下したタイミング、即ち、添加手段による還元剤の添加の開始から活性が低下するまでの所定時間経過後に、前記酸化触媒の発熱率に基づいて前記酸化触媒の劣化判定を実行する。そこで、本発明は、当該所定時間を以下に説明する方法で設定する。
本発明においては、本発明に係る酸化触媒が劣化したもの、つまりクライテリア状態まで劣化した酸化触媒に相当する酸化触媒モデルに還元剤を添加した場合を想定し、前記所定時間は、前記酸化触媒モデルの推定床温が、前記想定された還元剤の添加が開始された時から、当該還元剤の酸化発熱によって昇温された後に、当該還元剤の添加時間の経過に伴って進行する前記酸化触媒モデルの活性低下に起因して所定の閾床温に低下するまでの時間に設定される。
このようにして上述の所定時間が設定されることにより、本発明は、クライテリア触媒であれば活性が低下して発熱率が明確に低下したタイミングで、前記酸化触媒の劣化判定を実行することができる。したがって、本発明は、正常触媒とクライテリア触媒の差異を確実かつ的確に検出できるタイミングで劣化判定を実行できるため、精度良く劣化判定を実行することができる。
ここで、本発明においては、前記閾床温は、前記還元剤の添加を想定した場合における前記酸化触媒モデルの推定発熱率が、前記酸化触媒モデルの活性低下に起因して所定の閾発熱率に低下したときの温度であるようにしてもよい。これにより、正常触媒とクライテリア触媒の差異をより的確に検出できるタイミングで前記酸化触媒の劣化判定を実行することができる。
また、本発明においては、前記閾床温は、前記還元剤の添加を想定した場合における前記酸化触媒モデルの推定発熱率の低下量が、前記酸化触媒モデルの活性低下に起因して所定の閾低下量に到達したときの温度であるようにしてもよい。つまり、このような推定発熱率が比較的急に低下しているときの温度に前記閾床温を設定しても、正常触媒とクライテリア触媒の差異をより的確に検出できるタイミングで前記酸化触媒の劣化判定を実行することができる。
また、本発明においては、前記判定手段は、前記発熱率が所定の閾発熱率以下のときに、前記酸化触媒が劣化していると判定を下す。つまり、本発明は、正常触媒とクライテリア触媒の差異を確実かつ的確に検出できるタイミングにおいて、前記酸化触媒の発熱率を閾発熱率と比較して劣化判定を実行するため、精度良く劣化判定を実行することができる。
また、本発明においては、前記判定手段は、前記酸化触媒モデルの前記推定床温と前記推定発熱率に基づいて設定された重み付け係数を用いて前記発熱率の重み付け平均値を算出する。そして、当該重み付け平均値が所定の閾重み付け平均値以下のときに、前記酸化触媒が劣化していると判定を下す。
つまり、劣化判定の検出精度を向上させる必要がある場合には、算出された発熱率と閾発熱率を比較する代わりに、発熱率の重み付け平均値を算出し、当該重み付け平均値と閾重み付け平均値を比較してもよい。ここで、当該重み付け平均値を算出する際に用いる重み付け係数は、前記酸化触媒モデルの推定床温と推定発熱率に基づいて設定されたものである。したがって、例えば、劣化判定を下す際に特に重要となる推定床温の範囲が予め判明している場合等には、当該範囲により高い重み付けを付与することによって、劣化判定の精度をより向上させることができる。
また、本発明の触媒劣化判定装置は、前記酸化触媒の下流側に排気中の粒子を捕集するフィルタを更に備え、前記判定手段が、前記フィルタに捕集された粒子を酸化除去する再生処理中における、前記添加手段による還元剤の添加の開始から前記所定時間経過後に前記酸化触媒の劣化判定を行ってもよい。
このような構成とすることで、前記フィルタの再生処理のために還元剤が添加されているときに前記酸化触媒の劣化判定を実行させることができる。したがって、劣化判定に要する還元剤(燃料)の消費量を低減させることができる。
本発明によれば、触媒の劣化判定を精度良く行うことができる。
実施例1に係る内燃機関システムの概略構成を示す図である。 実施例1に係る酸化触媒の床温と発熱率の関係を示すグラフである。 実施例1に係る酸化触媒の床温と発熱率の推移を示すグラフである。 実施例1に係る触媒劣化判定処理のフローを示すフローチャートである。 実施例2に係る触媒劣化判定処理のフローを示すフローチャートである。 実施例2に係る算出モデルの模式断面図である。 実施例2に係る算出モデルの、還元剤の酸化反応がないと仮定した場合における第iセルでの熱移動を示す模式図である。 実施例2に係る算出モデルの第iセルでの熱移動を示す模式図である。 実施例2に係る算出モデルの第iセルでの酸化反応時の物質移動を示す模式図である。 実施例3に係る酸化触媒の発熱特性と床温領域を示すグラフである。 実施例3に係る触媒劣化判定処理のフローを示すフローチャートである。
[実施例1]
以下、本発明に係る触媒劣化判定装置の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る触媒劣化判定装置が適用される内燃機関システムの概略構成を示す図である。なお、本実施例においては、内燃機関として自動車用ディーゼルエンジンを例にしているが、自動車以外の他の用途に用いられるディーゼルエンジンであってもよいし、他の燃料や着火方式を用いる内燃機関であってもよい。
4本の気筒を有する内燃機関2には、各気筒内の燃焼室4に吸気を添加する吸気通路6が吸気マニホールド8を介して接続されている。また、内燃機関2には、燃焼室4内で発生した排気を排出する排気通路10が排気マニホールド12を介して接続されている。なお、以下においては、吸気および排気の流れの方向にしたがって上流及び下流を定義する。
吸気通路6には、上流側から順に、吸気に含まれる粉塵などを除去するエアクリーナ14、該吸気の流量Gaを検出するエアフローセンサ16、該吸気を加圧するターボチャージャ18のコンプレッサハウジング18a、加圧された吸気の温度を低下させるインタークーラ20及び運転者のアクセルワーク等に基づいて燃焼室に添加される吸気量を制御するスロットルバルブ22が設けられている。なお、エアフローセンサ16及びスロットルバルブ22は、内燃機関2に関する種々の制御(本発明に係る触媒劣化判定処理を含む)を実行する電子制御ユニットであるECU100に電気的に接続されている。したがって、エアフローセンサ16によって検出された吸気流量GaはECU100へ電気信号として出力される。また、スロットルバルブ22はECU100からの制御信号によってコントロールされる。
各燃焼室4内に設置されている燃料噴射弁24は、図示しないコモンレール等を介して
あらかじめ蓄圧されている燃料を各燃焼室4内へ噴射する。なお、各燃料噴射弁24は電気的にECU100と接続されており、燃料噴射の時期や量がECU100によって制御される。また、ECU100は、詳細は後述する筒内噴射流量Gafを算出するために、各気筒の1ストローク当たりの噴射量eqfinを記憶する。なお、内燃機関2には、ECU100と電気的に接続された回転計26が設置されており、内燃機関の回転数NEがECU100に対して出力される。
また、排気通路10には、上流側から順に、排気に燃料を噴射添加する燃料添加弁28、前述のターボチャージャ18のタービンハウジング18b、内部を通過する排気を酸化浄化させる酸化触媒である触媒30、及び排気内に存在するパティキュレート・マター(以下、「PM」という)を捕集するDPF32が設けられている。触媒30の上流側近傍には触媒30に流入する排気(以下、「入ガス」という)の温度を検出する第1温度センサ34が設置されており、下流側近傍には触媒30から流出する排気(以下、「出ガス」という)の温度を検出する第2温度センサ36が設置されている。また、触媒30の外部近傍には、触媒30周辺の温度を検出する外気温センサ38が設置されている。これらのセンサは電気的にECU100に接続されており、検出結果が出力される。更に、DPF32へ流入する排気とDPF32から流出する排気との差圧を検出する差圧センサ40が設置されており、電気的に接続されているECU100に対して検出結果が出力される。
ここで、ECU100によって行われるDPF32の再生処理について説明する。内燃機関2の燃焼が続くと、排出される排気内に含まれるPMがDPF32の内部に堆積されていくため、DPF32のフィルタ機能が低下する。差圧センサ40の検出値や自動車の走行距離等からフィルタ機能の低下が判定された場合には、ECU100は、DPF32の再生処理を実行するために燃料添加弁28に燃料添加を指令する。ここで、燃料添加弁28から添加される燃料量は、触媒30内でその全量が酸化反応に供されたときに、DPF32に流入する排気の温度を、再生処理に必要な所望の温度まで昇温させることができる量である。ここで、触媒30が劣化していない正常状態にある場合には、入ガスと共に触媒30内へ流入した燃料が触媒30内で連続的に酸化されることによって、当該入ガスの温度がDPF32の再生処理に必要な温度まで上昇され、その後維持される。そして、触媒30から流出した出ガス(排気)は、DPF32内へ流入し、DPF32内に堆積しているPMを十分に酸化除去する。
なお、図1の構成は本発明の実施形態の概略構成に過ぎず、実施形態を何ら限定するものではない。例えば、排気を還流させるEGR装置や排気内の窒素酸化物(NOx)の浄化を目的とする尿素SCRシステム等を適宜追加してもよい。また、燃料添加弁28による燃料の添加に替えて、燃料噴射弁24による燃焼室4内へのポスト噴射によって触媒30に燃料を添加してもよい。
ところで、一般に、DPFの再生処理が実行されるときには、本実施例と同様に、DPFの上流に設置されている酸化触媒に燃料が添加されて、排気温度が再生処理に必要な目標温度まで強制的に上昇させられる(強制昇温)。ここで、実際の昇温結果は当該酸化触媒の状態、即ち劣化の有無及びその程度に影響される。既に述べたように、酸化触媒が劣化していない正常触媒である場合には、添加される燃料が連続的に酸化されることによって十分な発熱が継続して排気温度が目標温度に到達する。これに対し、酸化触媒が劣化の程度が著しい異常触媒である場合には、当該酸化触媒が十分な酸化機能を有していないため、添加される燃料はほとんど酸化されることがなく、排出される排気温度もほとんど上昇しない。したがって、正常触媒から排出される排気温度と異常触媒から排出される排気温度には明確な差異が現れるため、従来技術においても、酸化触媒から排出される排気温度に基づいて当該酸化触媒の劣化判定を実施することができた。上述した従来のOBDシステムによる完全故障検出や特許文献1に記載の判定方法は、このような判定原理に基づ
くものである。
ここで、劣化した酸化触媒であっても、劣化の程度が比較的に少なく、ある程度の酸化浄化機能が残存している状態にある酸化触媒が存在する。以下、酸化触媒のこのような劣化状態を「クライテリア状態」と称し、クライテリア状態にある酸化触媒を「クライテリア触媒」と称する。HCやCOを比較的多く排出する内燃機関の排気浄化システムに使用されている酸化触媒がクライテリア状態に至った場合には、酸化能が十分でないためエミッション規制値を超える排気が排出される可能性がある。したがって、OBDシステムによって的確にクライテリア状態にあることが劣化判定される必要があるが、上述の通り、クライテリア触媒には酸化機能がある程度残っているため、DPFの再生処理時に燃料が添加された際には、当該燃料がある程度酸化されて排出される排気が目標温度程度まで昇温される可能性がある。そのため、酸化触媒から流出する排気温度に基づいて触媒劣化判定を行う従来のOBDシステムでは、当該酸化触媒においてクライテリア状態であることを的確に検出することができなかった。
そこで、本発明は、燃料添加が実行されたときにおけるクライテリア触媒の発熱特性に着目することで、判定対象の酸化触媒がクライテリア触媒であるか否かを精度良く検出することを可能にした。以下、本発明に係るクライテリア触媒の検出方法について図を用いて説明する。
まず、燃料添加が実行されたときの正常触媒とクライテリア触媒の発熱特性について説明する。図2は、本発明に係る酸化触媒である触媒30に燃料が添加されたときにおける床温と発熱率の関係である発熱特性を示すグラフである。ここで、発熱率とは、触媒30に添加された還元剤の発熱反応によって実際に発生した実発熱量と、DPF32の再生処理中に触媒30の床温を目標床温まで上昇させるために必要な目標発熱量を用いて「実発熱量/目標発熱量」で算出される数値である。
図2において、L1で表わされるグラフは、劣化のない正常状態にある触媒30(以下、「正常触媒」という)に燃料が連続的に添加された場合における、時間taからteまでの、床温と発熱率の関係である発熱特性の推移を示している。一方、L2で表わされるグラフは、クライテリア状態にある触媒30(以下、「クライテリア触媒」という)に燃料が連続的に添加された場合における、時間tfからtmまでの、床温と発熱率の関係である発熱特性の推移を示している。
グラフL1に示されるように、正常触媒では、燃料添加が実行されている時間taからteにおいて、床温が上昇し、発熱率が略1で推移している。このことは、正常触媒の活性は床温にかかわらず安定していることを意味している。また、発熱率の定義に基づけば、このことは、各床温において目標発熱量を発生させるために添加された還元剤が十分に酸化されて、目標発熱量と略同等の発熱量が実際に発生していることを意味している。つまり、正常触媒に還元剤が連続的に添加された場合は、触媒活性が低下しないことにより発熱率が安定しているため、目標床温まで上昇された床温がその温度で維持される。
一方、グラフL2に示されるように、クライテリア触媒では、燃料添加が実行されているにもかかわらず、時間tfからtmにおいて発熱率と床温が共に低下している。以下、この現象について詳述する。触媒30内へ燃料が添加されると、触媒30に坦持されているPt等の貴金属の表面において燃料が酸化発熱される。触媒30が劣化のない正常触媒であれば、貴金属の有効表面積が十分に存在しているため、添加される燃料は十分に酸化される。これに対し、クライテリア触媒では劣化のために貴金属の有効表面積が減少している。ゆえに、添加された燃料はある程度は酸化されるものの十分には酸化しきれず、未反応の燃料が貴金属の表面に付着していくHC被毒が発生する。HC被毒が発生すると触
媒活性が経時的に低下していくため、発熱率及び床温も経時的に低下していく。したがって、クライテリア触媒に燃料が添加された場合には、グラフL2に示されるような、発熱率及び床温が経時的に低下していく発熱特性が現れる。なお、グラフL2では、クライテリア触媒の床温が温度Tであるときの時間thにおいて、活性低下に起因する発熱率と床温の低下が開始した場合が示されている。
以上のように、触媒30内に継続的に燃料が添加された場合、触媒30が正常触媒であれば、触媒活性が低下しないために発熱率が安定して床温が低下しないのに対し、クライテリア触媒であれば、触媒活性の低下が発生して発熱率及び床温が低下し始める。したがって、触媒30が正常触媒であるときの発熱特性の時間推移とクライテリア触媒であるときの発熱特性の時間推移に着目すれば、両推移にはいずれ明確な差異が現れることが分かる。
次に、触媒30が正常触媒である場合の発熱特性の時間推移と、クライテリア触媒である場合の発熱特性の時間推移に基づく触媒劣化の検出原理と判定方法について説明する。
図3は、触媒30に燃料が継続的に添加されたときにおける床温と発熱率の推移を示している。なお、グラフL3は、クライテリア触媒の床温の推移を示しており、グラフL4は、クライテリア触媒の発熱率の推移を示している。また、グラフL5は、正常触媒の発熱率の推移を示している。なお、図3において燃料添加は時間tに開始されている。
ここで、上述したクライテリア触媒のHC被毒に起因する活性の低下が時間t1で生じるとすると、燃料添加の初期期間である時間t〜tにおいては、グラフL3及びL4に示されるように、添加された燃料がある程度酸化発熱されることによって、床温と発熱率が共に上昇する。しかしながら、時間tが経過すると、活性の低下が始まるため床温と発熱率が共に減少し始める。
これに対し、上述したように、正常触媒の活性は低下しないため、その発熱率はL5に示されるような高い状態(略1)で推移していく。
ここで、グラフL4とL5に着目すると、時間t以降では、正常触媒の発熱率とクライテリア触媒の差異は経時的に増大している。そして、時間tにおいて、クライテリア触媒の床温がTthreshまで低下したときには、クライテリア触媒の発熱率はηthreshまで低下しており、正常触媒の発熱率との差異が十分に大きくなっている。したがって、クライテリア触媒の活性低下に起因して発熱率が明確に低下したタイミングである時間t、即ち、燃料の添加開始から時間(t−t)経過後に、触媒30の実際の発熱率に基づいて劣化判定を行えば、正常触媒であるかクライテリア触媒であるかを明確に検出することができる。
そこで、燃料の添加開始から時間(t−t)に相当する所定時間経過後に劣化判定が実行できるように、本実施例では、クライテリア状態まで劣化した触媒30に相当する酸化触媒であるクライテリアモデルに燃料が添加された場合を想定する。そして、当該クライテリアモデルにおける床温の推移と発熱率の推移に基づいて当該所定時間を設定する。具体的には、当該所定時間は、クライテリアモデルの床温が、想定された添加の開始時からTthreshに低下するときまで、つまり、クライテリアモデルの発熱率がηthreshに低下するときまでの時間に設定される。
このようにして上述の所定時間が設定されることにより、本実施例では、クライテリア触媒であれば発熱率が十分に低下したタイミングで、確実に触媒30の劣化判定を実行することができる。これにより、正常触媒とクライテリア触媒の差異を確実かつ的確に検出
できるタイミングで劣化判定を実行できるため、精度良く劣化判定を実行することができる。
次に、本実施例に係る触媒劣化判定装置が行う触媒劣化判定処理についてフローチャートを用いて説明する。図4は、本発明に係る触媒劣化判定装置に相当するECU100が行う触媒劣化判定処理のフローを示したフローチャートである。なお、本実施例に係る触媒劣化判定処理(以下、単に「判定処理」という)は、DPF32の再生処理が開始されていることを前提としている。
DPF32の再生処理が開始されると、まずステップS101において、ECU100は、今回の判定処理時において触媒30が置かれている状況に関する情報である現在情報を取得する。ここで、現在情報とは、例えば、燃料噴射弁24によって噴射されている燃料量、回転計26によって検出されている回転数などの内燃機関2の運転状態に関する情報や、各温度センサによって検出されている排気温度等である。
ステップS102では、ECU100に予め用意されているクライテリアモデルマップに基づいて判定処理実行時間tsが設定される。ここで、クライテリアモデルマップには、クライテリアモデルに対してDPF32の再生処理時における燃料添加を模擬的に実行した実験から得られた、燃料添加の開始から、クライテリアモデルの床温が一旦上昇した後に閾床温Tthreshに低下するまでの経過時間が記憶されている。なお、これらの経過時間は添加開始時のクライテリアモデルが置かれている状況(内燃機関2の運転状態に関する情報や各温度センサによって検出される排気温度等)に対応させて記憶されている。そして、本ステップにおいては、これらの経過時間の中から、前ステップで取得された現在情報に対応するものが、今回の判定処理における判定処理実行時間tsとして設定される。なお、Tthreshは、当該実験において、クライテリアモデルの発熱率が閾発熱率ηthreshまで低下したときのクライテリアモデルの床温である。ここで、ηthreshは、クライテリアモデルの発熱率が、正常触媒の発熱率に対して明確な差異を持つ程までに低下したときの発熱率であり、本実施例では0.2に設定されている。また、ηthreshは、後のステップにおいて触媒30の劣化判定が実行される際に、触媒30の発熱率と比較される判定値として機能する。
ステップS103では、燃料添加弁28によって触媒30への燃料添加が開始される。このとき、ECU100は、燃料添加時間taのカウントを開始する。
ステップS104では、燃料添加時間taが判定実行時間tsまで経過したかが判定される。経過していないときは待機状態となり、経過したときにはステップS105へ進む。
ステップS105においては、触媒30の発熱率ηが算出される。ここで、発熱率は上述のように「実発熱量/目標発熱量」で求められるが、より具体的には、「(出ガス温度−発熱無し推定出ガス温度)/(目標床温−入ガス温度)」で求められる。ここで、出ガス温度は第2温度センサ36によって検出される触媒30から流出する排気(出ガス)の温度であり、発熱無し推定出ガス温度は、触媒30に流入する排気(入ガス)に含有された燃料が触媒30内で一切酸化発熱されることなく触媒30内を通過したと仮定した場合における出ガスの推定温度である。また、目標温度はDPF32の再生処理に必要な排気(出ガス)温度であり、入ガス温度は第1温度センサ34によって検出される入ガス温度である。なお、発熱無し推定出ガス温度は、排気が触媒30内を通過する際における、排気から触媒30に伝達する熱伝達量、触媒30の基材内で伝導する熱伝導量、当該基材から外部へと放熱される放熱量を考慮することで算出される温度である(詳細は後述する実施例2に係る図5のステップS205を参照)。
ステップS106では、算出された発熱率ηが、上述の閾発熱率ηthresh以下であるかが判定される。肯定的な判定がなされた場合は、今回の判定処理時における触媒30の発熱率ηが、時間ts経過後におけるクライテリア触媒の発熱率ηthreshまで実際に低下していることを意味する。このことは、触媒30の活性が、劣化によってクライテリア触媒の活性程度まで実際に低下していることを意味する。したがって、ステップS107において、触媒30はクライテリア触媒であると判定されて本フローは終了する。
一方、ステップS106で否定的な判定がなされた場合は、今回の判定処理時における触媒30の発熱率ηが、時間ts経過後のクライテリア触媒の発熱率ηthreshまで低下していないこと、即ち、触媒30が、クライテリア状態まで劣化していないことを意味する。したがって、ステップS108において、触媒30は正常触媒であると判定されて本フローは終了する。
なお、本実施例では、燃料添加弁28が本発明における添加手段に相当し、ステップS106を実行するECU100が本発明における判定手段に相当する。また、ステップS102で設定された判定実行時間tsが本発明における所定時間に相当し、クライテリアモデルを用いた実験におけるクライテリアモデルの床温と発熱率がそれぞれ本発明における推定床温と推定発熱率に相当する。また、Tthreshとηthreshがそれぞれ本発明における閾床温と閾発熱率に相当する。
以上より、本実施例に係る触媒劣化判定装置では、DPF32の再生処理時の燃料添加中において、触媒30がクライテリア触媒であれば活性が低下して発熱率が明確に低下したタイミングで劣化判定処理を実行できるように、クライテリアモデルの床温が閾床温まで低下するまでの所定時間が設定されて、燃料添加が開始されてから当該所定時間経過後に触媒30の劣化判定処理が実行される。したがって、本発明によれば、正常触媒とクライテリア触媒の差異を確実かつ的確に検出できるタイミングで劣化判定を実行することができる。また、当該所定時間経過後に算出された触媒30の発熱率を、クライテリアモデルの床温が閾床温まで低下した時における閾発熱率と比較することによって、触媒30が、実際にクライテリア触媒であるか否かを明確に区別することができる。したがって、本発明によれば、触媒の劣化判定を精度よく行うことができる。
また、本実施例に係る触媒劣化装置は、DPF32の再生処理時の燃料添加中に判定処理を実行することによって、劣化判定に要する還元剤(燃料)の消費量を低減させることができる。
なお、本実施例においては、ステップS102で用いたTthreshを、クライテリアモデルの発熱率の低下量が閾低下量Δηthreshに到達した時の床温としてもよい。ここで、Δηthreshは、上述のクライテリアモデルを用いた実験の結果に基づいて、例えば連続する2つの発熱率データの差を算出することによって予め求められる値である。このようにして設定されたTthreshを用いてステップS102において判定実行時間tsが設定されることにより、正常触媒とクライテリア触媒の差異を確実かつ的確に検出できるタイミングで劣化判定を実行することができる。
[実施例2]
次に、本発明に係る他の実施例における触媒劣化判定処理について説明する。なお、実施例1では、クライテリアモデルを用いて予め実施した実験によって得られたクライテリアモデルマップを用いて上述の所定時間を設定したが、本実施例においては、触媒30に燃料が添加されているときの推定床温を算出することによって上述の所定時間の経過を判
断する。なお、本実施例における内燃機関システムの構成は実施例1と同様であるので説明は省略する。
図5は、本実施例に係る触媒劣化判定装置が行う触媒劣化判定処理(判定処理)のフローを示したフローチャートである。当該判定処理は、ECU100内にプログラムとして記憶されており、例えば所定の実行周期Δt毎に実行される処理である。
初めにステップS201において内燃機関2の始動後フラグがオンであるかが確認され、オンの場合はステップS204へ進む。ここで、始動後フラグとは、内燃機関2が始動してから所定時間が経過して内燃機関2の暖機が完了すると共に、触媒30も十分に暖機されて触媒活性の開始温度まで昇温されたときにオンとなるフラグである。始動後フラグがオフの場合はステップS202へ進み、暖機が完了するまでの所定の暖機時間が経過するまで待機状態となる。
ステップS202において、当該暖機時間が経過したことが確認されると、ステップS203へ進んで始動後フラグがオンとなり、ステップS204へ進む。
ステップS204では、当該判定処理時に触媒30に流入する入ガス流量Gall[g/s]が算出される。ここで、Gallは、エアフローセンサ16によって検出された吸気流量Ga[g/s]、燃料噴射弁24によって燃焼室4内に噴射された筒内噴射流量Gaf[g/s]及び燃料添加弁28によって添加された添加燃料流量Gad[g/s]を用いて以下に示す数式で算出される。
Figure 0005862497
なお、筒内噴射流量Gafは、内燃機関2の全4気筒に噴射される単位秒当たりの燃料重量であり、数式(2)に示されるように、内燃機関2の回転数NE[rpm]、内燃機関2の気筒数Ncyl(本実施例では4)、1ストローク当たりの噴射量eqfin[mm/ストローク]及び燃料密度density[g/cm]から求められる。また、添加燃料流量Gadは、燃料添加弁28によって触媒30に流入する排気に添加される単位秒当たりの燃料重量であり、数式(3)に示されるように、判定処理の実行周期Δt[s]、Δt間に燃料添加弁28によって添加された添加燃料量eqadf[mm]及び上述の燃料密度densityから求められる。
次に、ステップS205では、今回の判定処理時における発熱無し推定出ガス温度Tgasが算出される。なお、発熱無し推定出ガス温度とは、上述のように、触媒30に流入する入ガス(排気)に含有された還元剤が触媒30内で一切酸化発熱されることなく触媒30内を通過したと仮定した場合における出ガスの推定温度である。ここで、本実施例においては、より精度の高いTgasを算出するために、触媒30内で発生する各種熱移動を想定した算出モデルを用いる。なお、本ステップにおけるTgasの算出過程は複雑であるので算出過程を分割して説明する。
<算出モデルについて>
図6は、本実施例における触媒30内で発生する熱移動を想定するための算出モデル300を模式的に示す断面図である。なお、算出モデル300は、触媒30と同一の大きさ、重量、熱容量等を有し、同一の部品から構成されたものとして想定されており、触媒30が適用される内燃機関システムと同一のシステムに適用されている。図6に示されるように、算出モデル300のケーシング301内に収容された基材310を第1セル311から第5セル315まで、入ガスの流れ方向に垂直な面で仮想的に5分割し、算出モデル300に流入した入ガス(以下、「中ガス」という)の各セルにおける温度変化を考える。なお、便宜上、第1温度センサ34、第2温度センサ36、外気温センサ38及びECU100も図示している。ここで、第1温度センサ34が検出する算出モデル300の上流近傍における入ガス温度をTin[K]、第2温度センサ36が検出する算出モデル300の下流近傍における出ガス温度をTout[K]、外気温センサ38が検出する算出モデル300の外部近傍の温度をTamb[K]とする。
<各セルにおける熱移動について>
以下、第1セル311から第5セル315までの各セルにおいて発生する熱移動について図面を用いて説明する。図7は、中ガスに含まれる還元剤が算出モデル300内で一切酸化発熱されることがないまま算出モデル300内を通過すると仮定した場合(以下、「発熱無しの場合」という)の、今回の判定処理時における第i−1セルから第iセルまでの熱移動を模式的に示した図である(1≦i≦5)。ただし、i=1のときは、第i−1セルは存在しないため、入ガスが第1セル311に直接流入する場合を考える。また、i=5のときは、第5セル315を通過した中ガスがケーシング301内へ出ガスとして直接流出する場合を考える。
図7に示されている太矢印Xは第iセルを通過する中ガスを模式的に示している。また、矢印Bは中ガスから第iセルに熱伝達する熱伝達量Qconv(i)[J/s](=[W])を、矢印Cは第i−1セルから下流側の第iセルへ熱伝導する正味の熱伝導量Qcond(i)[W]を、矢印Dは第iセルからケーシング301を介して外部へと放熱される放熱量Qloss(i)[W]をそれぞれ表わしている。なお、「正味の」とは、第i−1セルから第iセルへ熱伝導する熱伝導量から、第iセルから第i+1セル(不図示)へ熱伝導する熱伝導量を差し引いたことを意味している。また、図7に示されているTin(i)[K]は中ガスが第iセルの上流側の仮想端面を通過したときの温度を表わし、Tgas(i)[K]は中ガスが第iセルの下流側の仮想端面を通過したときの発熱無し推定温度を表わしている。ここで、2≦i≦5のときは、Tin(i)=Tgas(i−1)と考えてよい。また、Test(i)[K]は、発熱無しの場合における第iセルの推定床温を表わしている。
<発熱無し推定出ガス温度の算出について>
そして、今回の判定処理時を時間tとし、発熱無しの場合の時間tにおける算出モデル300の推定床温(発熱無し推定床温)をTest(t)[K]とすると、上述の熱量と温度には以下の関係が成り立つ。
Figure 0005862497
ただし、hは入ガスと基材310間の熱伝達率[J/(s・m・K)]、hambはケーシング301を介した基材310と外気間の熱伝達率[J/(s・m・K)]、Aは各セルにおける基材310のガス接触面積[m]、Aambは各セルにおける基材310の外部表面積(ケーシング接触面積)[m]、δxは各セルの幅[m]、msolidは基材310の質量[kg]、Cpsolidは基材310の比熱[J/(kg・K)]、εは熱伝達係数、NTUはヌセルト数、Δtは判定処理の実行周期[s]である。また、ΣQconvは各セルにおいて中ガスからセルへ熱伝達した熱伝達量の総和、ΣQcondは各セルにおいて下流側のセルから上流側のセルへ熱伝導した正味の熱伝導量の総和、ΣQlossは各セルにおいてケーシング301を介して外部へと放熱された放熱量の総和である。
ECU100は、上述の数式に所定の初期条件や境界条件を用いて、今回の判定処理時(時間t)における発熱無し推定出ガス温度Tgas、即ち、第5セル315を通過した中ガスがケーシング301内へ流出するときの温度であるTgas(5)を算出し、ステップS206へと進む。
ステップS206では、クライテリア触媒推定床温Tmon[K]を算出する。ここで、Tmonとは、触媒30内で中ガスに含有される還元剤が酸化発熱される場合における触媒30の推定床温である。なお、本ステップにおけるTmonの算出過程は複雑であるので算出過程を分割して説明する。
<各セルにおける熱移動について>
より精度の高いTmonを算出するために、ステップS205におけるTgasの算出方法と同様に、図6に示される算出モデル300を用いて、第1セル311から第5セル315までの各セルにおいて発生する熱移動について考察する。
図8は、算出モデル300内で中ガスに含有された還元剤が酸化発熱した場合の、今回の判定処理時における第i−1セルから第iセルまでの熱移動を模式的に示した図である(1≦i≦5)。ただし、i=1のときは、第i−1セルは存在しないため、入ガスが第1セルに直接流入する場合を考える。また、i=5のときは、中ガスが第5セルからハウジング300内へ出ガスとして直接流出する場合を考える。
図8に示されている太矢印Xは第iセルを通過する中ガスを模式的に示しており、矢印B、C、Dは図7と同様の熱移動量を示している。一方、矢印Eは、第iセル内に坦持されているPt等の貴金属によって還元剤が酸化されたときに生成される酸化発熱量Qreac(i)[W]を表わしている。また、Tout(i)[K]は中ガスが第iセルの下
流側の仮想端面を通過したときの温度を表わしている。なお、2≦i≦5のときは、Tin(i)=Tout(i−1)と考えてよい。
<酸化発熱量Qreac(i)について>
ここで、Qreac(i)を算出するために、各セル内に坦持されている貴金属の周りで発生する物質移動を考える。図9は、図8において矢印Eで表わされるQreac(i)を算出するために、今回の判定処理時において、第iセル内(1≦i≦5)に坦持されている貴金属(Pt)周りで発生している気相から固相への物質移動を模式的に示す図である。図9に示されるように、流速vg[m/s]で第iセル内のPt近傍を通過する中ガスに含まれる還元剤(HC及びCO)の体積モル濃度が、Cgin(i)[kmol/m]からCg(i)[kmol/m]に変化する場合を考える。このとき、Pt周りでの酸化反応に供される還元剤の物質移動量、即ち気相から固相に転移する還元剤の物質移動量MT=k・GA・(Cg(i)−Cs(i))[kmol/s/m]は以下の式から求められる。
Figure 0005862497
ただし、kは物質移動係数、GAは単位体積当たりの接触面積[m/m]、εはボイド率、Cg(i)は第iセル内の気相における還元剤の体積モル濃度[kmol/m]、Cs(i)は第iセル内の固相における還元剤の体積モル濃度[kmol/m]、Rは固相で発生している化学反応の反応率、N(i)は第iセル内で当該化学反応に供せられた物質量[kmol]である。なお、z軸は中ガスの流れる方向を正とした軸である。
ここで、Pt周りで酸化される還元剤としてはHCとCOが考えられる。なお、HCは再生処理中に燃料添加弁28から添加された燃料と内燃機関2から排出された未燃燃料に由来し、COは内燃機関2から排出されたものである。そこで、第iセル内の気相におけるHCとCOの体積モル濃度をそれぞれCg_hc(i)とCg_co(i)、第iセル内の固相におけるHCとCOの体積モル濃度をそれぞれCs_hc(i)とCs_co(i)とし、上述の数式(9)及び(10)を用いてHCとCOの物質移動量を個別に求めると、触媒内で発生する酸化発熱反応の熱化学方程式(反応式)は以下で表わされる。
Figure 0005862497
ただし、h及びhはそれぞれ反応式(11)及び(12)におけるエンタルピー[J/kmol]、N(i)及びN(i)はそれぞれ第iセル内で反応式(11)及び(12)で示される化学反応に供せられた物質量[kmol]である。また、R及びRはそれぞれ反応式(11)及び(12)で示される化学反応の反応率であり、以下の式で表わされる。
Figure 0005862497
ここで、Tは温度[K]である。また、k、k、Kは、化学反応速度定数であり、アレニウスの式を用いて以下の式で表わされる。
Figure 0005862497
ここで、定数A及びAはそれぞれ反応式(11)及び(12)で表わされる化学反応の頻度因子、定数E及びEはそれぞれ反応式(11)及び(12)で表わされる化学反応の活性化エネルギーである。また、A及びEはそれぞれCOが生成される化学反応の頻度因子と活性化エネルギーである。
<CO、CH1.84、Oのガス濃度について>
数式(13)及び(14)におけるガス濃度[CO]、[CH1.84]、[O]は以下のようにして求められる。
まず、第iセル内を通過する中ガス中のCO、CH1.84及びOのガス濃度[CO]、[CH1.84]、[O]は気体の状態方程式より以下の式で求められる。
Figure 0005862497
ここで、Cs_hc(i)及びCs_co(i)は上述の第iセル内の固相におけるHC及びCOの体積モル濃度であり、Cs_o(i)は第iセル内の固相におけるOの体積モル濃度である。また、Rは気体定数[J/kmol/K]、Tin(i)は第iセルに流入する中ガスの温度[K]、Pは第iセル内における中ガスの圧力[Pa]である。
ここで、第iセル内の気相におけるHC、CO及びOの体積モル濃度をそれぞれCg_hc(i)、Cg_co(i)及びCg_o(i)とする。図9に示される太矢印F
、Gを参照すると、Cg_in(i)=Cg(i)+Cs(i)が成立することが分かるから、隣接するセル内の気相と固相における各ガスの体積モル濃度について、1≦i≦4のときに以下の関係が成立する
Figure 0005862497
以上より、第1セル311内の気相における各ガスの体積モル濃度が判明すれば、第2セル312以降のセル内の気相及び固相における各ガスの体積モル濃度を求めることができる。そこで、i=1、即ち第1セル311に流入する入ガス内の各ガス濃度を以下の方法で求める。
第1セル311に流入する入ガス内の各ガス濃度は、入ガス流量Gallと、入ガスに含まれるHC、CO、Oの流量を具体的に求めることによって得ることができる。まず、入ガス流量Gallは、上述の数式(1)〜(3)から算出される。
次に、入ガスに含まれるHC、CO、Oの流量であるGhc、Gco、Go(単位は全て[g/s])は、内燃機関2から排出された排気であるエンジン出ガス内のCO、HC、Oの流量であるGhc_out、Gco_out、Go_out(単位は全て[g/s])を用いて、以下の式で表わされる。
Figure 0005862497
なお、Ghc_out、Gco_out、Go_outは、例えば内燃機関2を用いた実験結果から構成されたマップデータを予めECU100内に用意しておき、今回の判定処理時の内燃機関2の運転状態に基づいて適切な値を適宜選択すればよい。そうすると、第1セル311に流入する入ガス内の各ガス成分の体積モル濃度Cg_hc(i)、Cg_co(i),Cg_o(i)は以下の式で求められる。
Figure 0005862497
ただし、Mhc、Mco、Moは各物質のモル質量[kg/kmol]、Rは気体定数[J/kg/K]、Pは排気圧力[Pa]、Tinは入ガス温度[K]である。
<まとめ>
以上のようにして反応式(11)及び(12)で示される化学反応の反応率R及びRを求めることにより、当該反応式で示されるHC及びCOの酸化発熱反応によって発生する発熱量h・R・N(i)及びh・R・N(i)が求められる。そうすると、第iセル内におけるHC及びCOの酸化反応によって発生した酸化発熱量Qreac(i)は次の式で表わされる。
Figure 0005862497
また、第iセル内における熱伝達量Qconv(i)、熱伝導量Qcond(i)及び放熱量Qloss(i)は、ステップS205で用いた数式(4)、(5)及び(6)において、Test(i)を本ステップ(中ガスに含有される還元剤が酸化発熱される場合)における第iセルの推定床温Tmon(i)[K]に置き換えることで求められる。そうすると、ステップS205で算出された、各セルにおいて中ガスからセルへ熱伝達した熱伝達量の総和ΣQconv、各セルにおいて下流側のセルから上流側のセルへ熱伝導した正味の熱伝導量の総和ΣQcond、各セルにおいてケーシング301を介して外部へと放熱された放熱量の総和ΣQloss、及び各セルにおいて発生した酸化発熱量の総和ΣQreacを用いると、今回の判定処理時(時間t)における算出モデル300の推定床温床温Tmon(t)[K]は次の式で求められる。
Figure 0005862497
ECU100は、上述の数式に所定の初期条件や境界条件を用いて、今回の判定処理時における算出モデル300の推定床温Tmon(t)、即ち、触媒30のクライテリア触媒推定床温Tmonを算出して記憶した後にステップS207へと進む。
次に、ステップS207では、DPF32の再生処理が実行中であるか否かが判断され、既に実行中であればステップS210へ進む。一方、実行中でない場合には、ステップS208へ進んでDPF32の再生処理が必要か否か判断される。
ステップS208では、差圧センサ40の検出値や自動車の走行距離等に基づいて、ECU100がDPF32の再生処理が必要か否かを判断する。再生処理が必要と判断された場合には、ステップS209へ進んで燃料添加弁28に燃料添加が指令されて燃料添加が開始される。一方、必要がないと判断された場合には、ステップS201へ戻る。
ステップS210では、ステップS206において算出されたTmonが上述の閾床温Tthresh以下であるか否かが判定される。本ステップで肯定的な判定がなされた場合には、今回の判定処理時おける発熱率を算出するために、実施例1と同様のステップS105へ進む。一方、否定的な判定がなされた場合には、劣化判定を行う必要はないと判断されてステップS201へ戻る。
ステップS105以降は、実施例1で説明した同様の処理が実行されて触媒30の劣化
が判定される。なお、ステップS105で算出される発熱率ηは、上述のステップS205において算出された発熱無し推定出ガス温度Tgasを用いて次の式によって算出される。
Figure 0005862497
ここで、Toutは第一温度センサ34によって検出された出ガス温度、Ttargetは今回の判定処理時に実行されている再生処理の目標床温、Tinは第2温度センサ36によって検出された入ガス温度である。なお、Ttargertは、例えばECU100に用意されているデータマップから予め選択される。
ところで、本実施例では、ステップS106における劣化判定そのものの処理は、内燃機関2の始動後、ステップS208においてDPFの再生処理が必要と判定されて、ステップS209で再生処理が開始されてから行われる。つまり本実施例では、ステップS209で再生処理のための燃料添加が開始されてから、ステップS210で肯定判定されるまでの時間が、本発明における所定時間に相当する。これにより、本実施例に係る触媒劣化判定装置は、触媒30がクライテリア触媒であれば発熱率が十分に低下したタイミングで、確実に触媒30の劣化判定を実行することができる。したがって、このタイミングにおいて判定対象である酸化触媒の発熱率に基づいて劣化判定を行うことによって、正常触媒とクライテリア触媒との差異を明らかにすることができるため、精度良く酸化触媒の劣化判定を行うことができる。
[実施例3]
本実施例では、触媒劣化判定の検出精度を向上させるべく、クライテリア触媒の床温と発熱率の関係である発熱特性に基づいて設定された重み付け係数を用いて判定対象触媒の発熱率の重み付け平均値を算出し、当該重み付け平均値が所定の閾重み付け平均値以下のときに、当該判定対象触媒は劣化していると判定を下す。つまり、図10に示されるような、再生処理時の燃料添加中に触媒活性が低下し始めたときのクライテリア触媒の床温と発熱率の関係である発熱特性に着目し、床温と共に低下していく発熱率の重み付け平均値を算出する。なお、本実施例に係る触媒劣化判定処理は、実施例2に係る図5に示される判定処理のフローにおいて、ステップS105より後のステップが異なるものであるため、以降は本実施例特有の事項のみについて説明する。
図10は、本実施例に係る酸化触媒の発熱特性の重み付け係数を説明するグラフである。図10において、L6で表わされるグラフは、クライテリア触媒に燃料が一定期間連続的に添加された場合において、活性の低下によって床温と発熱率が共に低下するときの発熱特性を示すグラフである。なお、グラフL6上の各点は、所定時間毎に検出された床温と発熱率をプロットしたものであり、時間の経過に伴って右上から左下へ推移していく。
ここで、本実施例における重み付け発熱率ηavは、床温Tの所定の範囲をn個の床温領域に分割した上で次のように求められる。まず、分割された床温領域毎に当該床温領域に属する発熱率の平均値を求め、それらを順にx1、x2、…xnとする。また、各床温領域に対応する重み付け係数を順にw1、w2、…wnとする。すると、重み付き発熱率ηavは次の式で表わされる。
Figure 0005862497
ここで、例として、数式(33)においてn=3の場合を考える。図10に示すように、床温Tについて3つの床温領域A、B、Cを、床温領域A:Ta≦T≦Tb、床温領域B:Tb≦T≦Tc、床温領域C:Tc≦T≦Tdと定義する。また、床温領域毎に求められた当該床温領域に属するデータの発熱率の平均値をxa、xb、xcとし、各床温領域に対応する重み付け係数をwa、wb、wcとすると、この場合の重み付き発熱率ηavは次の式で表わされる。
Figure 0005862497
次に、重み付け係数wa、wb、wcの設定方法について説明するために、クライテリア触媒に対して実施された燃料添加実験の結果から、図10に示されるような発熱特性のデータが予め得られている場合を想定する。ここで、例えば、クライテリア触媒の活性が低下し始める床温領域等、所定の床温領域に属するデータの重要性が相対的に高いと判明している場合には、当該データの重要性(ηavへの寄与度)が高まるように、当該床温領域に対応する重み付け係数を設定すればよい。
次に、フローチャートを用いて本実施例に係る触媒劣化判定処理について説明する。図11は、本実施例に係る触媒劣化判定装置が行う判定処理のフローを示したフローチャートである。なお、上述したように、図11に示すステップS201からステップS105までのステップは、上述の図5に示されるステップと同一であるので説明は省略する。
ステップS105において、上述の数式(32)を用いて今回の判定処理時における発熱率ηを算出すると、ECU100は、ステップS306において、今回及び過去の判定処理で算出された発熱率ηを用いて、各床温領域毎の平均発熱率xi(i=1,2,…,n)を算出する。具体的には、各判定処理時においてステップS206で算出されたクライテリア触媒推定床温Tmonに基づいて、当該判定処理時に算出されたηが属する床温領域が決定され、移動平均の算出に似た算出方法によって当該床温領域の平均発熱率が算出される。
ステップS307では、ECU100は、前ステップで算出した平均発熱率xiを用いて数式(33)から今回の判定処理時における触媒30の重み付き平均発熱率ηavを算出する。なお、数式(33)に用いられている重み付け係数wiは、上述したように各床温領域の重要性に応じて予め設定されている。
ステップS308では、前ステップで算出されたηavが閾重み付き発熱率ηav_thresh以下であるか否かが判定される。ここで、ηav_threshは、クライテリア触媒に燃料添加を行った場合において、一定時間経過後に活性が低下したときの重み付き発熱率であり、クライテリア触媒の発熱率が、正常触媒の発熱率に対して明確な差異を持つ程までに低下したときの発熱率である。なお、ηav_threshは、例えばク
ライテリア触媒を用いて予め実施した実験結果等に基づいて予め設定されている値であり、本実施例では0.2に設定されている。本ステップで肯定的な判定がなされた場合には、今回の判定処理時における触媒30の活性が、クライテリア触媒の活性或いはそれ以下まで実際に低下していることを意味する。したがって、この場合には、ステップS309へ進み、触媒30はクライテリア触媒であると劣化判定が下されて本フローは終了する。
一方、ステップS308で否定的な判定がなされた場合は、今回の判定処理時における触媒30の活性が、クライテリア触媒の活性程度まで低下していないことを意味する。したがって、ステップS310へ進み、触媒30は正常触媒であると判定されて本フローは終了する。
以上より、本実施例においては、触媒劣化判定を下す際に重要である床温領域や重要ではない床温領域が予め判明している場合には、それらの床温領域毎に設定された重み付け係数を用いて重み付け平均発熱率を算出することによって、酸化触媒の劣化検出の精度を向上させることができる。
[その他の実施例]
上述の実施例1〜3においては、DPF32の再生処理時において燃料添加弁28から燃料が添加されている間に触媒劣化判定処理が実行されているが、本発明の他の実施例としては、例えば、内燃機関2の燃料噴射弁24によるポスト噴射中にこの判定処理が実行されるようにしてもよい。この場合には、燃料噴射弁24が本発明における添加手段に相当する。また、DPF32の再生処理が実行されていることを前提とせずに、劣化判定そのものを目的として触媒30に燃料を添加して本発明に係る判定処理を実行してもよい。
また、DPFを備えていない内燃機関の排気浄化システムに設置された触媒の劣化判定装置についても、内燃機関から排出されて当該触媒に到達する未燃燃料やCO等の還元剤の量が推定できる限りにおいて、本発明に係る判定処理を適用することができる。
また、DPFの有無にかかわらず、本発明の触媒劣化判定装置が適用された内燃機関システムでは、クライテリア状態にある酸化触媒を確実に検出することができるため、未検出のクライテリア触媒が放置されるような事態を回避できる。つまり、クライテリア触媒が検出された場合には速やかに対処することができるため、酸化触媒が正常状態にある通常時には、内燃機関から排出される排出ガスのエミッションの制約が大幅に緩和される。これにより、内燃機関における燃焼条件の制約も緩和されて、エンジン適合の自由度が格段に向上するため、例えば、より燃費側に振られた燃焼条件を設定することも可能となる。
2 内燃機関
6 吸気通路
10 排気通路
24 燃料噴射弁
28 燃料添加弁
30 触媒
32 DPF
34 第1温度センサ
36 第2温度センサ
100 ECU
300 算出モデル
310 基材

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられた酸化触媒と、
    前記酸化触媒内で酸化発熱する還元剤を添加する添加手段と、
    前記添加手段による還元剤の添加の開始から所定時間経過後に前記酸化触媒の発熱率に基づいて前記酸化触媒の劣化判定を行う判定手段と、を備え、
    前記所定時間は、
    前記酸化触媒が劣化したものに相当する酸化触媒モデルへの還元剤の添加を想定した場合における前記酸化触媒モデルの推定床温が、前記想定された還元剤の添加が開始された時から、当該還元剤の酸化発熱によって昇温された後に、当該還元剤の添加時間の経過に伴って進行する前記酸化触媒モデルの活性低下に起因して所定の閾床温に低下するまでの時間に設定されることを特徴とする触媒劣化判定装置。
  2. 前記閾床温は、
    前記還元剤の添加を想定した場合における前記酸化触媒モデルの推定発熱率が、前記酸化触媒モデルの活性低下に起因して所定の閾発熱率に低下した時の温度であることを特徴とする請求項1に記載の触媒劣化判定装置。
  3. 前記判定手段は、
    前記発熱率が前記閾発熱率以下のときに、前記酸化触媒が劣化していると判定を下すことを特徴とする請求項2に記載の触媒劣化判定装置。
  4. 前記閾床温は、
    前記還元剤の添加を想定した場合における前記酸化触媒モデルの推定発熱率の低下量が、前記酸化触媒モデルの活性低下に起因して所定の閾低下量に到達した時の温度であることを特徴とする請求項1に記載の触媒劣化判定装置。
  5. 前記判定手段は、
    前記酸化触媒モデルの前記推定床温と前記推定発熱率に基づいて設定された重み付け係数を用いて前記発熱率の重み付け平均値を算出し、当該重み付け平均値が所定の閾重み付け平均値以下のときに、前記酸化触媒が劣化していると判定を下すことを特徴とする請求項2または4に記載の触媒劣化判定装置。
  6. 前記酸化触媒の下流側に排気中の粒子を捕集するフィルタを更に備え、
    前記判定手段が、
    前記フィルタに捕集された粒子を酸化除去する再生処理中における、前記添加手段による還元剤の添加の開始から前記所定時間経過後に前記酸化触媒の劣化判定を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の触媒劣化判定装置。
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