以下に、図面を参照しながら開示された発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。また、後続の実施形態においては、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分に百以上の位だけが異なる参照符号を付することにより対応関係を示し、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
図1において、本発明の第1実施形態に係る給湯装置1は、給湯用流体系統2と、冷媒サイクル3とを備える。給湯装置1は、水道施設から給水口を経由して供給される水を、冷媒サイクル3によって加熱する。給湯装置1は、湯を生成し、湯を蓄える。給湯装置1は、蛇口などの出湯口に向けて湯を供給する。
給湯用流体系統2は、湯を蓄える貯湯タンク4を備える。給湯用流体系統2は、貯湯タンク4内の水を加熱するために、貯湯タンク4から水を抜出し、加熱した後に、再び貯湯タンク4内に戻す給水経路5を有する。給水経路5には、給水ポンプ6と、水冷媒熱交換器10とが設けられている。給水ポンプ6は、電動ポンプである。給水ポンプ6は、ポンプ機構部6aと、このポンプ機構部6aを駆動する電動機6bとを備える。給水ポンプ6は、給水経路5内に水を流す。給水ポンプ6は、貯湯タンク4の水を給水経路5へ導入し、給水経路5から貯湯タンク4へ再び戻す。給水ポンプ6により、水冷媒熱交換器10に水が流される。
冷媒サイクル3は、外気などの熱源から得た熱を水冷媒熱交換器10において水に供給する。冷媒サイクル3はヒートポンプサイクルを提供する。冷媒サイクル3は、超臨界冷媒サイクルである。冷媒サイクル3は、高圧部分において超臨界状態となる冷媒を用いている。冷媒サイクル3は、二酸化炭素を冷媒として用いている。二酸化炭素は冷媒サイクル3の高圧部分において超臨界状態に加圧される。
冷媒サイクル3は、圧縮機7、減圧弁8、蒸発器9、および水冷媒熱交換器10を備える。圧縮機7は、電動機によって駆動される電動圧縮機である。圧縮機7は、冷媒サイクル3の低圧部分から低圧冷媒を吸入し、圧縮し、圧縮された高圧冷媒を冷媒サイクル3の高圧部分に吐出する。減圧弁8は、冷媒サイクル3の高圧部分と低圧部分との間に位置付けられている。減圧弁8は、開度を調節可能な弁である。減圧弁8は、電磁アクチュエータによって開度を調節可能な電磁弁である。減圧弁8は、高圧部分の高圧冷媒を減圧し、減圧された低圧冷媒を低圧部分に供給する。蒸発器9は、冷媒サイクル3の低圧部分に設けられている。蒸発器9は、熱源としての室外空気と低圧冷媒との間の熱交換を提供する。この結果、低圧冷媒は蒸発器9において熱源から吸熱し、蒸発する。
水冷媒熱交換器10は、給湯用流体系統2と冷媒サイクル3との間に設けられている。水冷媒熱交換器10は、給水経路5内を流れる水が通過する水経路11と、冷媒サイクル3内を流れる高圧冷媒が通過する冷媒経路12とを有する。
水冷媒熱交換器10は、水と、冷媒との間の熱交換を提供する。水は、水冷媒熱交換器10において冷媒から吸熱し、加熱される。水は、水冷媒熱交換器10において加熱され、湯となって貯湯タンク4に戻される。冷媒は、水冷媒熱交換器10において水へ放熱する。水冷媒熱交換器10は、対向流型の熱交換器として構成され、利用されている。
貯湯タンク4は、給水を受け入れるための給水口14と、出湯口へ湯を供給するための出湯口15とを有する。給水口14は、貯湯タンク4の下部に設けられている。出湯口15は、貯湯タンク4の上部に設けられている。貯湯タンク4は、給水経路5から戻される水、すなわち沸き上げられた湯を受け入れる入口16と、給水経路5へ水を供給する出口17とを有する。入口16は、貯湯タンク4の上部、図示された例では、最上部に設けられている。出口17は、貯湯タンク4の下部、図示された例では、最下部に設けられている。
この構成により、電動機6bによって駆動される給水ポンプ6によって給湯用流体系統2に流される給湯用流体を冷媒サイクル3によって沸き上げる給湯装置1が提供される。
給湯装置1は、給湯用流体系統2および冷媒サイクル3を制御するための制御装置20を備える。制御装置20は、複数のセンサ21、および減圧弁8を含む複数のアクチュエータとともに制御システムを構成している。制御装置20は、給水ポンプ6を制御する。制御装置20は、貯湯タンク4内の水を沸き上げるための沸上運転のときに、給水ポンプ6を作動させる。制御装置20は、圧縮機7を制御する。制御装置20は、沸き上げ運転のときに圧縮機7を作動させ、冷媒サイクル3をヒートポンプとして機能させる。制御装置20は、冷媒サイクル3を高い成績係数で運転するように減圧弁8を制御する。
給湯装置1は、複数のセンサ21を備える。複数のセンサ21は、給湯装置1を制御するためのセンサである。給湯装置1は、例えば、水冷媒熱交換器10に供給される給水の給水温度を検出する給水温度検出器、および水冷媒熱交換器10において沸き上げられた水(湯)の温度を検出する沸上温度検出器を備えることができる。給湯装置1は、例えば、冷媒サイクル3の高圧部分における高圧冷媒圧力を検出する高圧冷媒圧力検出器、および冷媒サイクル3の圧縮機7と水冷媒熱交換器10との間の高圧部分における吐出冷媒温度を検出する吐出冷媒温度検出器を備えることができる。
制御装置20は、ポンプ駆動部31を備える。ポンプ駆動部31は、給水ポンプ6の電動機6bに供給される駆動電力、すなわち駆動電圧および/または駆動電流を調節することにより給水ポンプ6を制御する。電動機6bは、直流電動機または交流電動機によって提供することができる。例えば、電動機6bは、同期電動機、またはブラシレスモータによって提供することができる。電動機6bは、回転位置、および回転数を検出するための回転センサを内蔵する。電動機6bの駆動電圧および駆動電流は、単に、給水ポンプ6の駆動電圧および駆動電流と呼ぶことがある。
ポンプ駆動部31は、電動機6bの駆動電圧を調節することにより、給水ポンプ6の回転数を制御する。これにより、給水ポンプ6によって循環される水量が制御される。ポンプ駆動部31は、給水ポンプ6の回転数Nmtを目標回転数Ntにフィードバック制御するフィードバック制御部を構成することができる。制御装置20は、回転センサから給水ポンプ6の回転数Nmtを入力し、この回転数Nmtを目標回転数Ntに一致させるように電動機6bに供給する電力を制御する。また、ポンプ駆動部31は、給水ポンプ6の電動機に一定の電圧、または一定の電流を供給することができる。
ポンプ駆動部31は、給水ポンプ6の電動機6bを、過負荷および過回転から保護するための保護部31aを備える。保護部31aは、電動機6bの作動状態が保護状態に到達すると電動機6bを保護するために電動機6bを停止させる。保護部31aは、電動機6bの過電圧および/または過電流を検出すると、電動機6bへの電力供給を遮断する。また、保護部31aは、電動機6bの過回転を検出すると、電動機6bへの電力供給を遮断する。具体的には、保護部31aは、電動機6bの駆動電圧が所定の保護時間Tvpにわたって保護電圧Vptを上回ると、電力供給を遮断する。具体的には、保護部31aは、電動機6bの回転数が所定の保護時間Tnpにわたって保護回転数Nptを上回ると、電力供給を遮断する。保護時間Tvpは、電動機6bの損傷を防止するためのものであって、比較的長い時間に設定されている。保護時間Tnpは、電動機6bの損傷を防止するためのものであって、比較的長い時間に設定されている。保護電圧Vptは、電動機6bの損傷を防止するためのものであって、給湯装置1の通常の運転において電動機6bに与えられる上限電圧より高い電圧に設定されている。保護回転数Nptは、電動機6bの損傷を防止するためのものであって、給湯装置1の通常の運転において電動機6bが到達する上限回転数より高い回転数に設定されている。
制御装置20は、複数のセンサ21の少なくともひとつからの信号を監視するセンサ監視部32を備える。センサ監視部32は、センサ21からの信号に基づいて給湯装置1の異常を判定する。センサ監視部32は、少なくともひとつの温度センサ21からの信号に基づいて給湯装置1の異常を判定する。センサ監視部32は、給湯装置1を制御するためのセンサ21からの信号に基づいて、給水ポンプ6と関連する異常を含む給湯装置1の異常を検出する。
センサ監視部32は、給湯装置1を設置し、配管などを施工した後の試運転において起動される。試運転においては、給湯装置1が所定の運転状態で運転される。センサ監視部32は、試運転においてセンサ21からの信号を監視する。センサ監視部32は、試運転においてセンサ21からの信号が異常値になると、給湯装置1の異常を検出する。例えば、センサ監視部32は、吐出冷媒温度と所定の閾値(異常値)とを比較し、吐出冷媒温度が異常値である場合に、給湯装置1の異常を検出する。例えば、センサ監視部32は、高圧冷媒圧力と所定の閾値(異常値)とを比較し、高圧冷媒圧力が異常値である場合に、給湯装置1の異常を検出する。
制御装置20は、センサ監視部32による給湯装置1の異常の検出に応答して異常処理を実行する異常処理部33を備える。異常処理は、検出された異常に対応するため、言い換えると異常に起因する損害を抑制するための処理である。異常処理部33は、給湯装置1の異常の検出に応答して、例えば、試運転を中断する。また、異常処理部33は、給湯装置1の異常の検出に応答して、例えば、給湯装置1の施工者または利用者に異常の存在を通知する。
さらに、制御装置20は、給水ポンプ6、すなわち電動機6bの作動状態を監視するポンプ監視部34を備える。ポンプ監視部34は、電動機6bの作動状態が異常状態であるか否かを判定し、給水ポンプ6と関連する異常を検出する。ポンプ監視部34は、給水ポンプ6の作動状態を示す信号を監視する。ポンプ監視部34は、給水ポンプ6の作動状態が予め設定された異常範囲にあるか否かを判定する。給水ポンプ6の作動状態が異常範囲にある場合、ポンプ監視部34は、給水ポンプ6と関連する異常を検出する。ポンプ監視部34は、少なくとも試運転において起動される。
給水ポンプ6の作動状態は、例えば、電動機6bに供給される駆動電圧および/または駆動電流によって示される。駆動電圧および/または駆動電流は、ポンプ駆動部31における駆動信号によって検知することができる。ポンプ監視部34は、駆動電圧および/または駆動電流と所定の閾値とを比較する。閾値は、正常範囲と異常範囲とを識別するために設定される。ポンプ監視部34は、駆動電圧および/または駆動電流が異常範囲にあるか否かを判定する。ポンプ監視部34は、駆動電圧および/または駆動電流が異常範囲にあると判定すると、給水ポンプ6と関連する異常を検出する。給水ポンプ6と関連する異常は、給湯装置1の異常のひとつである。この実施形態では、ポンプ監視部34は、電動機6bに供給される駆動電圧を監視する。
異常処理部33は、ポンプ監視部34による異常の検出に応答して、異常処理を実行する。異常処理部33は、異常の検出に応答して、例えば、給湯装置1の施工者または利用者に異常の存在を通知する。また、異常処理部33は、異常の検出に応答して、例えば、試運転を中断する。
制御装置20は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクによって提供されうる。プログラムは、制御装置20によって実行されることによって、制御装置20をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される制御方法を実行するように制御装置20を機能させる。制御装置20が提供する手段は、所定の機能を達成する機能的ブロック、またはモジュールとも呼ぶことができる。
図2に図示される試運転処理150は、制御装置20によって実行される。給湯装置1を設置した施工者は、給湯装置1の制御装置20に試運転を指示する。制御装置20は、指示に応答して、試運転処理150を実行する。試運転処理150において、制御装置20は、給湯装置1の機能が正常に発揮されることを確認するために給湯装置1を通常の状態で、または試運転のために設定された特別の状態で運転する。図中には、試運転における電動機6bの制御に関連する部分だけが図示されている。
ステップ160では、制御装置20は、給水ポンプ6を所定の状態で運転するように給水ポンプ6を制御する。ステップ160は、給湯装置1を試運転するための試運転部を提供する。ステップ160には、冷媒サイクル3を運転するための処理などが含まれている。ステップ160には、給水ポンプ6の電動機6bを制御するための処理が含まれている。ステップ160は、電動機6bを制御するためのポンプ駆動部31を提供する。
ステップ161では、制御装置20は、給水ポンプ6の回転数Nmtを検出する。ステップ162では、制御装置20は、検出された実際の回転数Nmtと目標回転数Ntを比較する。ここでは、回転数Nmtが目標回転数Ntを下回るか否かを判定する。Nmt<Ntである場合、処理はステップ163へ進む。ステップ163では、制御装置20は、回転数Nmtを上昇させるために、駆動電圧を増加させる。Nmt≧Ntである場合、処理はステップ164へ進む。ステップ164では、制御装置20は、回転数Nmtを下降させるために、駆動電圧を減少させる。ステップ160−164は、給水ポンプ6の回転数Nmtを目標回転数Ntに一致させるフィードバック制御部を提供する。 ステップ160−164は、給水ポンプ6の回転数Nmtを目標回転数Ntに制御するポンプ駆動部を提供する。
ステップ170では、制御装置20は、センサ21の信号を監視する。ステップ170は、センサ21の信号を監視するためのセンサ監視部32を提供する。ステップ170は、給湯装置1を制御するためのセンサ21からの信号に基づいて、給水ポンプ6と関連する異常を含む給湯装置1の異常を検出するセンサ監視部32を提供する。
ステップ171では、制御装置20は、センサ21からセンサ信号を入力する。ステップ172では、制御装置20は、センサ信号が異常値であるか否かを判定する。この処理は、センサ信号が予め設定された正常範囲内にあるか、または正常範囲外の異常範囲にあるかを判定する処理によって提供することができる。センサ信号が異常値である場合、所定はステップ190へ進む。センサ信号が正常値である場合、処理はステップ180へ進む。
ステップ180では、制御装置20は、給水ポンプ6を監視する。ステップ180は、給水ポンプ6を監視するためのポンプ監視部34を提供する。ステップ180においては、ポンプ監視部34は、電動機6bの駆動信号を監視するための駆動信号監視部として構成されている。この実施形態では、ポンプ監視部34は、試運転のときだけ起動される。
ステップ181では、制御装置20は、予め設定された検出タイミングが到来したか否かを判定する。検出タイミングは、正常時に、試運転の開始後に給水ポンプ6の回転が安定するまでの期間に基づいて設定することができる。例えば、試運転の開始から数秒の時間が経過した後に、検出タイミングが到来したと判定することができる。検出タイミングが到来していない場合、ステップ180を終了する。検出タイミングが到来した場合、処理は、ステップ182へ進む。
ステップ182では、制御装置20は、電動機6bの駆動電圧Vmtを取得する。駆動電圧Vmtは、ステップ163またはステップ164から取得することができる。
ステップ183では、制御装置20は、駆動電圧Vmtと上限値VHとを比較するとともに、それらの関係の継続時間を判定する。ここでは、駆動電圧Vmtが上限値VHを上回るか否かを判定する。さらに、駆動電圧Vmtと上限値VHとの関係が所定の閾値時間THを上回って継続したか否かを判定する。Vmt>VHが閾値時間THを上回って継続した場合、駆動電圧Vmtは異常値である。この場合、処理はステップ190へ進む。Vmt≦VHであるか、継続時間が閾値時間TH以下である場合、処理はステップ184へ進む。
ステップ184では、制御装置20は、駆動電圧Vmtと下限値VLとを比較するとともに、それらの関係の継続時間を判定する。ここでは、駆動電圧Vmtが下限値VLを下回るか否かを判定する。さらに、駆動電圧Vmtと下限値VLとの関係が所定の閾値時間TLを上回って継続したか否かを判定する。Vmt<VHが閾値時間TLを上回って継続した場合、駆動電圧Vmtは異常値である。この場合、処理はステップ190へ進む。Vmt≧VLであるか、継続時間が閾値時間TL以下である場合、試運転処理150が繰り返される。
ステップ183とステップ184とは、駆動電圧Vmtが異常範囲にあるか否かを判定する判定部を提供する。言い換えると、ステップ183とステップ184とは、駆動電圧Vmtが正常範囲にあるか否かを判定する判定部を提供する。ここでは、下限値VLと上限値VHとの間の範囲が正常範囲である。上限値VHを上回る範囲と、下限値VLを下回る範囲とが異常範囲である。駆動電圧Vmtが異常範囲にある場合、給水ポンプ6と関連する異常が検出される。一方、VH≧Vmt≧VLである場合、駆動電圧Vmtは正常値である。よって、この場合は、給水ポンプ6と関連する異常を検出することなく、試運転処理150が繰り返される。
ステップ183は、駆動電圧Vmtが上限値VHを上回る場合に給水ポンプ6と関連する異常を検出する上限判定部を提供する。ステップ184は、駆動電圧Vmtが下限値VLを下回る場合に給水ポンプ6と関連する異常を検出する下限判定部を提供する。ステップ180は、電動機6bの作動状態が異常状態であるか否かの判定を、電動機6bに供給される駆動電圧Vmtに基づいて実行するポンプ監視部34を提供する。ステップ180は、電動機6bの作動状態が所定の閾値時間TH、TLにわたって異常状態であるか否かを判定するポンプ監視部34を提供するように構成されている。
上限値VHは、保護部31aにおいて設定されている保護電圧Vptより低い(VH<Vpt)。また、閾値時間THは、保護部31aにおいて設定されている保護時間Tvpより短い(TH<Tvp)。これにより、保護部31aが作動する前に、給水ポンプ6の異常が検出される。このように、ポンプ監視部34における判定のための閾値は、保護部31aにおける閾値よりも、通常値の近くに設定されている。ポンプ監視部34において複数の閾値が判定のために利用されている場合、その少なくともひとつ、例えば上限値NHまたは閾値時間TH、を通常値の近くに設定してもよい。ポンプ監視部34は、給水ポンプ6と関連する異常を保護部31aより早く検出するように構成されている。これにより、保護部31aが作動する前に、給水ポンプ6と関連する異常が検出される。
また、閾値時間THおよびTLは、ステップ180によって検出可能な施工不良、すなわち給水ポンプ6と関連する異常が、センサ監視部32(ステップ170)によって検出されるより前に、ポンプ監視部34(ステップ180)によって検出されるように設定されている。センサ監視部32(ステップ170)は、給湯用流体系統2および冷媒サイクル3の応答遅れと、センサ監視部32(ステップ170)自身の検出遅れとを含む遅れ時間の後に給湯装置1の異常を検出する。閾値時間THおよびTLは、センサ監視部32(ステップ170)の上記遅れ時間より短い時間に設定されている。ステップ180が提供するポンプ監視部34は、給水ポンプ6と関連する異常をセンサ監視部32(ステップ170)より早く検出する。
ステップ190では、制御装置20は、予め設定された試運転における異常処理を実行する。ここでは、制御装置20は、給湯装置1に付随する表示装置によって給湯装置1の異常を施工者または利用者に通知する。さらに、ここでは、制御装置20は、試運転を停止する。給湯装置1に異常があるままで給湯装置1の試運転を継続することは好ましくないからである。ステップ180からステップ190に到達した場合にも、上記と同様の通知処理と試運転停止処理とが実行される。給水ポンプ6に異常がある場合にも、試運転を継続することは望ましくないからである。
ステップ190の後、試運転処理150は終了される。この後、施工者または利用者は、不具合を修理し、再び試運転を起動することがある。この場合、試運転処理150は、再度初期状態から実行される。
図3には、給湯用流体系統2において施工不良があった場合の給水ポンプ6の作動状態が図示されている。図中には、時間Tの経過に対応して、給水ポンプ6の回転数Nmtの変化と、駆動電圧Vmtの変化とが図示されている。実線は、施工不良のない正常な状態での挙動を示す。破線は、電動機6bに過大な負荷を与える施工不良がある場合の挙動を示す。このような施工不良は、例えば、給湯用流体系統2を通水可能にするバルブの開け忘れのような施工不良である。一点鎖線は、電動機6bの負荷が過剰に少なくなる施工不良がある場合の挙動を示す。このような施工不良は、例えば、給湯用流体系統2への注水忘れのような施工不良である。図示の例では、時刻t1において試運転が開始されている。
給水ポンプ6と関連する異常がない場合、回転数Nmtは時刻t2において目標回転数Ntに到達する。また、駆動電圧Vmtは、時刻t2において、通常電圧VNに到達している。時刻t1と時刻t2との間の時間は、ステップ181における検出タイミングの判定に利用することができる。通常電圧VNは、下限値VLより大きく、しかも上限値VHより小さい。
給水ポンプ6と関連する異常に起因して電動機6bに過大な負荷が与えられる場合、破線で示されるように、回転数Nmtはゆっくりと上昇する。駆動電圧Vmtは、電動機6bに与えられた過大な負荷に対抗して回転数Nmtを増加させるために、通常電圧VNを越えて上昇する。この場合、駆動電圧Vmtは、上限値VHを上回る水準で安定する。
給水ポンプ6と関連する異常に起因して電動機6bに与えられる負荷が軽すぎる場合、一点鎖線で示されるように、回転数Nmtは急激に上昇する。ポンプ駆動部31のフィードバック制御は、通常の負荷において給水ポンプ6を安定的に制御するように調節されているから、負荷が軽すぎる場合、回転数Nmtは、オーバーシュートを生じることがある。駆動電圧Vmtは、電動機6bに与えられた軽い負荷に起因して、ゆっくりと上昇する。この場合、駆動電圧Vmtは、下限値VLを下回る水準で安定する。
図中に破線または一点鎖線で図示された異常がある場合、給水ポンプ6は所定の流量を流すことができない。この結果、制御装置20は、センサ監視部32(ステップ170)によって給湯装置1の異常を検出する。しかし、給水ポンプ6と関連する異常が、給湯装置1の異常な運転状態として現れ、センサ監視部32(ステップ170)によって検出されるまでには、相当の遅れ時間が生じる。例えば、給湯用流体系統2に水が流れない場合、それに起因して冷媒サイクル3の高圧冷媒圧力が異常に上昇するまでには、冷媒サイクル3の高圧圧力が上昇するための応答遅れに起因して、相応の時間を要する。この結果、センサ監視部32(ステップ170)だけでは、遅れ時間の間にわたって給水ポンプ6が駆動され続ける。
これに対して、この実施形態によると、駆動電圧Vmtが上限値VHと超えると、ステップ183からステップ190へ分岐し、異常処理が実行される。また、駆動電圧Vmtが下限値VLを下回ると、ステップ184からステップ190へ分岐し、異常処理が実行される。このように、ポンプ監視部34(ステップ180)は、センサ監視部32(ステップ170)より早く異常を検出するように設定されている。言い換えると、ポンプ監視部34(ステップ180)による異常検出の感度は、センサ監視部32(ステップ170)による異常検出の感度より敏感に設定されている。
以上に述べたように、この実施形態では、センサ監視部32(ステップ170)によって、給湯装置1の挙動を示すセンサ信号が監視され、センサ信号に基づいて給湯装置1の異常が検出される。給湯装置1が正常に機能できるように施工されている場合、給湯用流体系統2における水の状態(例えば温度)、および冷媒サイクル3における冷媒の状態(例えば温度または圧力)は、正常に変化する。このため、センサ信号は、水の状態の正常な変化、および冷媒の状態の正常な変化を反映する。
給湯装置1が施工不良によって正常に機能できない場合、水の状態、および冷媒の状態は、正常時とは異なる異常な変化を示す。このような異常な変化は、給湯用流体系統2および冷媒サイクル3の応答遅れに起因して、相応の遅れ時間を伴ってセンサ信号に現れてくる。このため、センサ監視部32(ステップ170)による異常検出は、給湯用流体系統2および冷媒サイクル3の応答遅れ、およびセンサ監視部32(ステップ170)自身の検出遅れに起因して、比較的大きい遅れ時間を伴っている。特に、センサ監視部32(ステップ170)が温度、または圧力を示すセンサ信号を監視する場合、温度または圧力が給湯装置1の異常を反映するためには、給湯用流体系統2および冷媒サイクル3の応答遅れに起因して、長い時間を要する。
この実施形態では、ポンプ監視部34(ステップ180)によって、給水ポンプ6の作動状態が監視され、この作動状態に基づいて給湯装置1の異常が検出される。給水ポンプ6の作動状態は、給水ポンプ6に関連する駆動信号から検知される。このため、給湯用流体系統2および冷媒サイクル3の応答遅れの影響を受けることなく、給水ポンプ6と関連する給湯装置1の異常が迅速に検出される。言い換えると、給水ポンプ6の作動状態を監視することにより、給水ポンプ6と関連する異常を、センサ監視部32(ステップ170)より早く検出することができる。給水ポンプ6と関連する異常には、給湯用流体系統2の施工不良、例えばバルブの開け忘れや、注水忘れが含まれる。給水ポンプ6の作動状態を監視することにより、給水経路5における施工不良が迅速に検出されるともいえる。
さらに、この実施形態では、センサ監視部32(ステップ170)によって給湯装置1の異常が検出された場合にも、ポンプ監視部34(ステップ180)によって給湯装置1の異常が検出された場合にも、異常処理部33(ステップ190)によって異常処理が実行される。よって、給湯装置1に異常があるままで給湯装置1が過剰に長い時間にわたって試運転されることを回避することができる。
(第2実施形態)
この実施形態では、先行する実施形態と同じ構成が採用される。ただし、この実施形態では、先行する実施形態とは異なるポンプ監視部34が採用される。上記実施形態では、給水ポンプ6の作動状態を電動機6bの駆動信号に基づいて監視した。これに代えて、給水ポンプ6の作動状態が異常状態であるか否かの判定を、給水ポンプ6、すなわち電動機6bの回転数Nmtに基づいて監視する。この実施形態でも、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
この実施形態では、給水ポンプ6の作動状態は、給水ポンプ6の回転数Nmtによって示される。電動機6bに一定の電力が供給される場合、給水ポンプ6に与えられる負荷は、給水ポンプ6の回転数Nmtに表れる。回転数Nmtは、ポンプ駆動部31における制御信号によって検知することができる。ポンプ監視部34は、回転数Nmtと所定の閾値とを比較する。閾値は、正常範囲と異常範囲とを識別するために設定される。ポンプ監視部34は、回転数Nmtが異常範囲にあるか否かを判定する。ポンプ監視部34は、回転数Nmtが異常範囲にあると判定すると、給水ポンプ6と関連する異常を検出する。
この実施形態では、図4に図示される試運転処理250が制御装置20によって実行される。ステップ260は、電動機6bに供給される駆動電圧Vmtを一定に保持するポンプ駆動部31を提供する。ステップ261では、制御装置20は、電動機6bに一定の電圧を供給する。すなわちステップ261では、制御装置20は、電動機6bを定電力駆動する。給湯装置1が正常に施工されている場合、一定の電力を供給された給水ポンプ6は、水の負荷に対応した所定の範囲内の回転数で回転する。
ステップ280は、電動機6bの作動状態が所定の閾値時間TH、TLにわたって異常状態であるか否かを判定するポンプ監視部34を提供する。ステップ282では、制御装置20は、給水ポンプ6の回転数Nmtを取得する。回転数Nmtは、制御装置20の内部において、例えばポンプ駆動部31から取得することができる。
ステップ283では、制御装置20は、回転数Nmtと上限値NHとを比較するとともに、それらの関係の継続時間を判定する。ここでは、回転数Nmtが上限値NHを上回るか否かを判定する。さらに、回転数Nmtと上限値NHとの関係が所定の閾値時間THを上回って継続したか否かを判定する。Nmt>NHが閾値時間THを上回って継続した場合、回転数Nmtは異常値である。この場合、処理はステップ190へ進む。Nmt≦NHであるか、継続時間が閾値時間TH以下である場合、処理はステップ284へ進む。
ステップ284では、制御装置20は、回転数Nmtと下限値NLとを比較するとともに、それらの関係の継続時間を判定する。ここでは、回転数Nmtが下限値NLを下回るか否かを判定する。さらに、回転数Nmtと下限値NLとの関係が所定の閾値時間TLを上回って継続したか否かを判定する。Nmt<NHが閾値時間TLを上回って継続した場合、回転数Nmtは異常値である。この場合、処理はステップ190へ進む。Nmt≧NLであるか、継続時間が閾値時間TL以下である場合、試運転処理250が繰り返される。
ステップ283とステップ284とは、回転数Nmtが異常範囲にあるか否かを判定する判定部を提供する。言い換えると、ステップ283とステップ284とは、回転数Nmtが正常範囲にあるか否かを判定する判定部を提供する。ここでは、下限値NLと上限値NHとの間の範囲が正常範囲である。上限値NHを上回る範囲と、下限値NLを下回る範囲とが異常範囲である。回転数Nmtが異常範囲にある場合、給水ポンプ6と関連する異常が検出される。一方、NH≧Nmt≧NLである場合、回転数Nmtは正常値である。よって、この場合は、給水ポンプ6の異常を検出することなく、試運転処理150が繰り返される。
ステップ283は、回転数Nmtが上限値NHを上回る場合に給水ポンプ6と関連する異常を検出する上限判定部を提供する。ステップ284は、回転数Nmtが下限値NLを下回る場合に給水ポンプ6と関連する異常を検出する下限判定部を提供する。
上限値NHは、保護部31aにおいて設定されている保護回転数Nptより低い(NH<Npt)。また、閾値時間THは、保護部31aにおいて設定されている保護時間Tnpより短い(TH<Tnp)。このように、ポンプ監視部34における判定のための閾値は、保護部31aにおける閾値よりも、通常値の近くに設定されている。ポンプ監視部34において複数の閾値が判定のために利用されている場合、その少なくともひとつ、例えば上限値NHまたは閾値時間TH、を通常値の近くに設定してもよい。ポンプ監視部34は、給水ポンプ6と関連する異常を保護部31aより早く検出するように構成されている。これにより、保護部31aが作動する前に、給水ポンプ6の異常が検出される。
また、閾値時間THおよびTLは、ステップ280によって検出可能な施工不良、すなわち給水ポンプ6と関連する異常が、センサ監視部32(ステップ170)によって検出されるより前に、ポンプ監視部34(ステップ280)によって検出されるように設定されている。センサ監視部32(ステップ170)は、給湯用流体系統2および冷媒サイクル3の応答遅れと、センサ監視部32(ステップ170)自身の検出遅れとを含む遅れ時間の後に給湯装置1の異常を検出する。閾値時間THおよびTLは、センサ監視部32(ステップ170)の上記遅れ時間より短く設定されている。ステップ280が提供するポンプ監視部34は、給水ポンプ6と関連する異常をセンサ監視部32(ステップ170)より早く検出する。
(他の実施形態)
以上、開示された発明の好ましい実施形態について説明したが、開示された発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、開示された発明の技術的範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。開示された発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
例えば、制御装置が提供する手段と機能は、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置をアナログ回路によって構成してもよい。
第1実施形態では、駆動信号として駆動電圧Vmtを利用した。これに代えて、電動機6bに供給される駆動電流を利用して異常を検出してもよい。また、電動機6bに供給される駆動電圧と駆動電流との両方を利用して、例えば駆動電力に基づいて異常を検出してもよい。上記第1実施形態では、保護部31aとポンプ監視部34との関係は、VH<Vpt、かつTH<Tvpに設定した。これに代えて、上記関係を、VH<Vpt、またはTH<Tvpに設定してもよい。また、上記第2実施形態では、保護部31aとポンプ監視部34との関係は、NH<Npt、かつTH<Tnpに設定した。これに代えて、上記関係を、NH<Npt、またはTH<Tnpに設定してもよい。
また、上記実施形態では、ポンプ監視部34(ステップ180、280)は、試運転の時にだけ起動された。これに代えて、通常の給湯装置1の運転時にも、ポンプ監視部34(ステップ180、280)による異常検出を実行してもよい。例えば、通常の給湯装置1の運転時において、電源スイッチが投入され給湯装置1が起動された後の所定期間内だけ、ポンプ監視部34(ステップ180、280)による異常検出を活性化してもよい。