JP5861234B2 - 除振材 - Google Patents
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Description
a.小さい減衰能の例(小さいロスファクタ)
ks=11.4 (N/mm)
kd=14.8 (N/mm) (動倍率α=1.3)
ロスファクタ η=0.03
b.通常の広く使われる減衰能の例(通常のロスファクタ)
ks=11.4 (N/mm)
kd=18.2 (N/mm) (動倍率α=1.6)
ロスファクタ η=0.16
c.強い減衰能の例(大きいロスファクタ)
ks=11.4 (N/mm)
kd=28.5 (N/mm) (動倍率α=2.5)
ロスファクタ η=0.33
a.小さい減衰能の例(ロスファクタ : η=0.03)
天然ゴム系のゴム粘弾性体を用いる場合であり、分子間の摩擦、粘性抵抗が小さく、動倍率は1.3倍位である。ポンプなどのバランスの良い回転機械に使われる。固有振動数が小さく防振性能は良い。
b.通常の広く使われる高減衰能の例(ロスファクタ: η=0.16)
高減衰の合成ゴムが使われる。コンプレッサー、遠心分離機、振動コンベアーなど加振力の大きい機械で共振倍率βが問題になる場合に使われる。動倍率は1.6倍前後である。
c.強い減衰能の例(ロスファクタ : η=0.33)
ステージのある半導体製造検査設備、手動操作のある顕微鏡など、機械揺れの収束が問題となる場合に、減衰能を特に強化したゴム粘弾性体が使われる。動倍率は2倍以上に及ぶ。
また、除振材の除振性能、衝撃応答は、機械試運転後に調整されることがあるが、本実施形態においてはこの作業が防振ゴム、空気ばねに比べて容易である。
図9は本発明の除振材の基本となる構造モデルを示す図であり、図10は図1の実施形態のゴム粘弾性体の鉛直バネ定数を求める方法を説明する図である。図9、図10を用いて基本形の鉛直バネ定数を算出する。図9の(a)は2枚のゴム粘弾性体1、2の平面図であり、(b)は2枚のゴム粘弾性体1、2の側面図である。中央にコイルバネ20を嵌め込む円形の凹部を持つ板状のゴム粘弾性体1が2枚(1、2)、凹部を向かい合わせて配置され、ビスナット(3a、3b)で両端が締結されている。変位2aに従い曲げ、せん断変形する部分をビームと呼ぶ。図9では左右2本、上下の2段重ねで4本のビーム(11a、11b、12a、12b)がある。図10は図9のゴム粘弾性体の部分を取り出して示した。
図9、図10に示すように、鉛直荷重2pが作用して変位2aが発生している。従ってビーム1個に作用する荷重はpで、変位はaとなる。ビーム1個について変位と力の関係を求める。
p:除振材に作用する鉛直荷重2pの内、ビーム1個に作用する動荷重(N)
k:ビームの1個の動的鉛直バネ定数(N/mm)
a:ビームの動的たわみ(mm)
as:ビームの動的横方向たわみ(mm)
ac:ビームの動的縦方向たわみ(mm)
ps:ビーム1個に作用する動横方向の力(N)
pc : ビーム1個に作用する動縦方向の力(N)
ks:ビーム1個の横方向の動的バネ定数(N/mm)
kc:ビーム1個の縦方向の動的バネ定数(N/mm)
θ:ビームの角度
η:除振材のロスファクタ
η0:ゴム粘弾性体の材料自体のロスファクタ
k0:コイルバネの静ばね定数 (N/mm)
図10のようにたわみaはビームの横方向たわみasのcosθ成分と縦方向たわみacの
sinθ成分の和である。
以下にビーム1個当たりのバネ定数kを求める手順を示す。
a=ascosθ+acsinθ
横方向たわみasは横方向荷重を横方向バネ定数で除した as=ps/ksであり、
横方向たわみは縦方向荷重を縦方向バネ定数で除したac=pc/kcである。
従って
a=(ps/ks)cosθ+ (pc/kc)sinθ
図10によればpsはpのcosθ成分であり、はpのsinθ成分である。
a=(p/ks)cos2θ+ (p/kc)sin2θ=p(cos2θ/ks + sin2θ/kc)
よって、ビーム1個のバネ定数kは下式のように求まる。
k=p/a=kskc/(kc cos2θ+ks sin2θ)・・・・・・・(6)
kc=Ebh/L ・・・・・・・・・・・・・(7)
ビームの横方向バネ定数は
ks=(Gbh/L)(1+L2/3h2)-1 ・・・・・・・(8)
図10において本発明の場合は、おおむねL2/3h2>7 であるので括弧内の1を省略して
ks = 3Gbh3/L3 ・・・・・・・・・・・・・(9)
式(9)はビームの横方向の変形は曲げ変形が主体でksは柔かい曲げ変形で決まることを示している。
但し、E:動縦弾性係数(N/mm2)、 G:動横弾性係数(N/mm2)
h:ビームの厚さ(mm)、b:ビームの幅(mm)、 L:ビームの長さ(mm)
ここで、式(7)と(9)より比率ks/kcを求め、かつ、E=3Gがほぼ成立する事から下式を得る。
ks/kc =h2/L2 ・・・・・・・・・・・・・(10)
式(6)に式(10)を代入すると、ビーム1個のバネ常数kは
k = ks/(cos2θ+(h2L2)sin2θ)= ks/(cos2θ(1+(h2/L2)sin2θ/cos2θ))
図10では前述の様にL2/3h2>7であるので、h2/L2<1/21
また θ<35°であるから、
(h2/L2)sin2θ/cos2θ<<1 となる。
従って、
K:除振材の動バネ定数
η:除振材のロスファクタ
η0:粘弾性体自体のロスファクタ
α:除振材のバネ定数動倍率
k0:前出、コイルバネの静ばね定数(動バネ定数にほぼ等しい)
kst:ビーム1個の静ばね定数
n:片側1段のビームの個数
1/2:ビームの上下2段重ねで1/2となる。
K=k×n×1/2+k0 ・・・・・・・・・・・・・(12)
η=(k×n×1/2)η0(k×n×1/2+k0)・・・・(13)
α=(k×n×1/2+k0)/(kst×n×1/2+k0)
ここでkstは式(11)の動的横弾性係数Gを静的横弾性係数Gstに置き換えて求められる。本発明の高減衰材料に於いてGst<<Gより、kst<<kとなる。
本発明ではビームの動バネ定数はコイルバネのバネ定数k0と大差ない。よってkst<<k0となる。
kst×n×1/2 <<k0は実測においても確認されている。よって
α=1+(k×n×1/2)/k0 ・・・・・・・・・・(14)
ゴム粘弾性体として望まれる特性は、コイルバネを嵌め込むことのできる静弾性を有し、静動比が小さく、かつ、減衰能が大きい事である。減衰能が大きくなると静動比も大きくなり、動バネ定数が増大し除振性能が低下する傾向がある。
従ってビームの容積2bLhとコイルバネのバネ定数k0の比率(2bLh)×n/k0 (mm4/N) は、ある値以上が必要である。実施例の測定によれば、平均的に(2bLh×n)/k0 >1000が必要である。
共振倍率βが20dB以上でよい除振材では、天然ゴム系の粘弾性体が使われる。この場合、動倍率αは1.3倍以下が得られる。
以上のビームの解析を踏まえて、本発明の実施形態1は図1に示すように、方形の除振材のゴム粘弾性体1、2を上下2枚重ね合わせ、両端の中央部をビスナット3a、3bで結束している。図1(a)がその平面図、(b)が側面図、図1(c)はコイルバネの両端を嵌め込んだ状態の斜視図である。
ゴム粘弾性体1、2の中央部の凹部5、6はコイルバネの両端を嵌め込む凹部である。上部の凹部5と下部の凹部6が合わさった形となり、コイルバネの両端を嵌み込む。ゴム粘弾性体の凹部5、6の外側に4本のコの字状のスリット8a、8b、9a、9bを設け、ビーム11a、11b、12a、12bを形成している。2枚のゴム粘弾性体1、2の合わせ目を開き、所定のコイルバネを予圧縮力をもって、空間7に挿入する。
除振材の外形寸法の小さい割にはコイルバネ挿入前のビームの長さをコの字状に設けることにより実質的なビーム長さを稼ぐことができ、ビームに捩じり曲げ変形を加え動倍率αの小さい除振材の動バネ定数kdを得ることができる。
図2は図1の変形例で、(a)はゴム粘弾性体の平面図、(b)が側面図である。ゴム粘弾性体1、2の形状が円板状となっている。図1ではスリットがコの字状であるのに対して、図2では円弧状となっているが、ビームの長さを稼ぐ意味では変わらない。いずれの場合も小さい外形寸法で、支持荷重をうけたとき、ビームの角度θが小さくなり柔らかいバネ定数が得られる。
θ=40°の時、kは式(11)に示される様にks の1.7倍となり、硬くなる。またコイルバネ挿入の際に必要な予圧縮力が大きくなり、除振材の組立時のコイルバネ挿入に手間を要する。
図3は本発明の実施形態2の例を示す図で、図3の(a)は平面図、図3の(b)はコイルバネの両端を嵌め込んだ状態の斜視図である。
ゴム粘弾性体と一体成型された、4本のコイルバネ(20a〜20d)を嵌め込む凹部(5a〜5d、6a〜6d)を設けた十字状の金具が1組(31、32)、互いにコイルバネを挟んで配置され、四隅にはビスナット4本(3a、3b、3c、3d)で締結されている。
四隅のビスナットの内側にはこの場合は鉤状のスリットが上下のゴム粘弾性体にそれぞれ4本、合計8本(8a〜8d、9a〜9d)が、中央部に嵌め込んだ4本のコイルバネ(20a〜20d)を囲むように設けられている。
鉤状のスリットによって形成されたゴム粘弾性体のビームは上部に8本(11a〜11h)、下部に8本(12a〜12h)、合計16本形成されている。
図3の場合、中央部に嵌め込んだコイルバネは4本であるが、1本でも3本でもよい。1本の場合、コイルバネの高さHと中心径Dとの比率H/Dは座屈を避けるため、2以下にする必要があるが、ビームの個数が16本と多いとビームの水平方向の拘束力が大きくなり、座屈発生が抑制される。その結果、コイルバネの高さHと中心径Dとの比率H/Dは3.5まで広げることができる。
それぞれのスリット部にコイルバネの両端を嵌め込む凹部(5a〜5b、6a〜6b)を有する金属板一組(31、32)を対向して配置し、4本のコイルバネ(20a〜20d)を嵌め込み、ゴム粘弾性体の厚さ方向に2分するスリット部を設けて上下に2分するゴム粘弾性体のそれぞれの中央部を4本のビスナット(3a、3b、3c、3d)により対応する金属板に固定する。
スリット部はコイルバネにより広げられて2分され、2分されたゴム粘弾性体のそれぞれが上下2本のビームが形成される。図4では4個のゴム粘弾性体(2a〜2d)が金属板(31、32)の4辺に沿った形で配置されているが、2個のゴム粘弾性体を対向する2辺に沿って配置する構造としてもよい。
本実施形態でもこれにより、コイルバネには予圧力、前記スリットにより形成された上下のゴムのビームには予張力が加わるような構造とした除振材となっている。
構造を図1に示すゴム粘弾性体で、収納されるコイルバネの最大常用荷重10 kgの除振材を作成評価した。
ビームの厚さh = 6 mm、幅b = 8mm、長さL = 33 mmである。外径寸法は50×50mm、ゴム粘弾性体の材料特性は、動横弾性係数G=10.9(N/mm2)で、ロスファクタは0.8である。
式(11)、(12)により除振材のバネ定数Kとロスファクタを、式(1)と(4)により固有振動数、共振倍率を求め、表1に示す。
ビーム8個の容積とコイルバネのバネ定数の比率は2,539 (mm4/N)である。
また、支持荷重10kgに於ける除振材の振動伝達率(鉛直方向)の測定グラフを図5に示す。
実施例1と同様に図1の構造で外径寸法50×50mm、コイルバネの最大常用荷重20kgについて、ビームな厚さをh=7.5mmとし、幅、長さは実施例1と同様として製作評価した。ゴム粘弾性体材料は実施例1と同じである。
表2に特性値を示す。ビーム8個の容積とコイルバネのバネ定数の比率は1,389 mm4/N)である。
共振倍率の抑制がそれ程必要ではない送風機などの使用を想定して図3に示すような除振材を製作評価した。ゴム粘弾性体の材料は天然ゴム系である。
形状寸法:基本形 100×100×70 h
動的横弾性係数:2.0(N/mm2)
ビーム寸法:b=12 mm、h=10 mm、L =27 mm
コイルバネの静的ばね定数:18.68(N/mm) コイルバネ4個にて。
傾斜角:除振材1個の37.5kg負荷にて40°
ビーム16個の容積とコイルバネのバネ定数比率は、2,775 (mm4/N)である。
除振材:最大常用荷重50kgのものに37.5kgを負荷した特性を表3に示す。
ゴム粘弾性体の水平方向のバネ作用により、コイルバネの座屈が抑制された結果、コイルバネの中心径16mmに対して高さ50mmのコイルバネが使用できた。柔らかいバネ定数が得られている。通常の設計標準であれば40mmが最大値である。製作評価の結果中心径に対して3.5倍までのコイルバネ高さが得られる。
5、6・・・凹部 7・・・コイルバネ両端の嵌め込み用空間
8、9・・・スリット 11、12・・・ビーム
20・・・コイルバネ
Claims (4)
前記各ゴム状弾性板の前記コイルバネの両端と接する領域を含む外形と相似形の中央領域とその外周領域に沿って、互いに対向して対をなすスリットを形成するとともに、各スリットの中間点に対応する外周領域を、それぞれビスナットで固定して、前記ゴム粘弾性板の各スリットの外側の外周領域により、前記中央領域を前記コイルバネの弾発力に抗して保持するビーム部を形成してなることを特徴とする除振材。
前記ユニットの対向する複合板の四隅のゴム状弾性板の部分どうしを固定する複数のビスナットと、
前記一組の複合板の間に、端部を前記金属板の嵌合部に嵌合させて圧縮状態で介挿されたコイルバネとを備え、
前記ゴム状弾性板は、コイルバネの弾発力により前記スリット部分が拡開されて前記ゴム状弾性板の弾発力により張力が作用されていることを特徴とする除振材。
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