JP5859911B2 - 有機薄膜太陽電池、これに用いられる組成物および半導体膜の製造方法 - Google Patents
有機薄膜太陽電池、これに用いられる組成物および半導体膜の製造方法 Download PDFInfo
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Description
近年、石油等の化石エネルギーでは大気中への二酸化炭素の放出が問題となることから、温暖化抑制による地球環境保全のため、太陽電池への需要が高まっている。有機光電変換素子を使用する有機太陽電池には、湿式である色素増感太陽電池(グレッツェルセル)と全固形型である有機薄膜太陽電池が知られている。後者は電解液を使用しないため、この電解液の蒸発や液漏れを考慮する必要がない。また、柔軟性をもたせることが可能であり、太陽電池の構造や製造が前者より簡便となる。
本発明は、かかる課題認識に基づき、光電変換効率が低温でも安定しており、しかも光電変換層製造時の塗布ムラが少なく安定した品質の有機薄膜太陽電池の提供を目的とする。さらに本発明は、上記太陽電池等に用いられる半導体材料として有用な組成物及びポリマー合成に用いられる単量体の提供を目的とする。
〔1〕第一の電極と、第二の電極と、その間に配置された光電変換層とを具備する有機薄膜太陽電池であって、前記光電変換層に下記式(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマーを含有させた有機薄膜太陽電池。
〔2〕前記ポリマーが共重合体である〔1〕に記載の有機薄膜太陽電池。
〔3〕前記共重合体における共重合成分が下記式(II−1)〜(II−23)のいずれかで表されるものを含む〔2〕に記載の有機薄膜太陽電池。
〔4〕前記光電変換層に、さらにn型有機半導体化合物を含有させた〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
〔5〕前記n型有機半導体化合物が、フラーレンもしくはその誘導体である〔4〕に記載の有機薄膜太陽電池。
〔6〕前記フラーレンもしくはその誘導体が、フェニル−C61−酪酸エステル、ジフェニル−C62−ビス(酪酸エステル)、フェニル−C71−酪酸エステル、フェニル−C85−酪酸エステルまたはチエニル−C61−酪酸エステルである〔5〕に記載の有機薄膜太陽電池。
〔7〕前記第一の電極と前記光電変換層との間にホール輸送層を有する〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
〔8〕前記第二の電極と前記光電変換層との間に電子輸送層を有する〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
〔9〕前記第一の電極が透明電極である〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
〔10〕前記第二の電極が金属電極である〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
〔11〕下記式(III−1)〜(III−4)のいずれかで表される化合物からなる単量体。
〔12〕下記式(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマーと有機溶媒とを含有する組成物。
〔13〕有機半導体材料用である〔12〕に記載の組成物。
〔14〕〔12〕または〔13〕に記載の組成物を用いて塗布形成する、光電変換能を有する半導体膜の製造方法。
(特定構成単位)
本発明においては、式(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマーを用いる。
式中、R1は水素原子、ハロゲン原子(例えばF、Cl、Br、I)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数6〜18)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20)または芳香族へテロ環基(好ましくは5〜7員環、ヘテロ原子N、O、S、Si)を表す。好ましくは水素原子、アルキル基であり、特に好ましくは水素原子である。R1どうしで結合して環を形成してもよい。
・X1、X3、X5、X7
X1、X3、X5、X7はS,Si(R4)2から選ばれる連結基を表す。R4は水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数6〜18)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20)または芳香族へテロ環基(好ましくは5〜7員環、ヘテロ原子N、O、S、Si)を表す。
・X2、X6、X8
X2、X6、X8はC(R3)2,N(R4),S,Si(R4)2から選ばれる連結基を表す。ここで、R3は水素原子、ハロゲン原子(例えばF、Cl、Br、I)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数6〜18)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20)または芳香族へテロ環基(好ましくは5〜7員環、ヘテロ原子N、O、S、Si)を表す。R4は前記と同義である。
・X4
X4はC(R3)2,S,Si(R4)2から選ばれる連結基を表す。R3、R4は前記と同義である。
―――――――――――――――――――――――
組合せ X1 X2
―――――――――――――――――――――――
1 S N(R4)2
2 S Si(R4)2
3 S C(R3)2
4 Si(R4)2 S
―――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――
組合せ X3 X4
―――――――――――――――――――――――
1 S Si(R4)2
2 S C(R3)2
3 Si(R4)2 S
―――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――
組合せ X5 X6
―――――――――――――――――――――――
1 S N(R4)2
2 S Si(R4)2
3 S C(R3)2
4 Si(R4)2 S
―――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――
組合せ X7 X8
―――――――――――――――――――――――
1 S N(R4)2
2 S Si(R4)2
3 S C(R3)2
4 Si(R4)2 S
―――――――――――――――――――――――
本発明に用いられる前記ポリマーは前記特定構成単位と他の共重合成分とを有するコポリマーであることが好ましい。共重合成分としては、ベンゼン構成単位、ナフタレン構成単位、アントラセン単位、フェナントレン単位、ベンゾジチオフェン構成単位、ナフトジチオフェン構成単位、カルバゾール構成単位、シラシクロペンタジチオフェン構造単位、シクロペンタジチアゾール構造単位、ベンゾチアジアゾール構造単位、チアジアゾロキノキサリン構造単位、シクロペンタジチオフェン構造単位、酸化シクロペンタジチオフェン構造単位、ベンゾイソチアゾール構造単位、ベンゾチアゾール構造単位、酸化チオフェン構造単位、チエノチオフェン構造単位、酸化チエノチオフェン構造単位、ジチエノチオフェン構造単位、酸化ジチエノチオフェン構造単位、テトラヒドロイソインドール構造単位、フルオレン構造単位、フルオレノン構造単位、チアゾール構造単位、セレノフェンもしくはチオフェン構造単位、シロール構造単位、チアゾロチアゾール部分、チエノチオフェン構造単位、ナフトチアジアゾール構造単位、チエノピラジン構造単位、オキサゾール構造単位、イミダゾール構造単位、ピリミジン構造単位、ベンゾオキサゾール構造単位、ベンゾイミダゾール構造単位、チエノチアゾール構造単位およびシクロペンタジピリジン構造単位が挙げられる。上記の構成単位が縮環したものも好ましい。共重合様式は特に限定されないが、モノマーが2成分であるときは交互共重合体となることが好ましい。
式(II)でのXaはC(Ra)2、C=C(Ra)2、Si(Ra)2、S、Se、S=O、SO2、C=O、NH、又はNRbを表す。
・Xb
式(II)でのXbはNH、O、又はSを表す。
・Xc
式(II)でのXcはCRa又はNを表す。
・Ra
Raは水素原子又は置換基を表す、互いに連結してあるいは縮環して環を形成していてもよい。なお、特定の符号で複数の置換基を表示するとき、それらは各々異なっていてもよい。また、置換基Raが縮環して芳香族環もしくは芳香族複素環を構成するとき、上記で示した共鳴構造と異なる構造をとっていてもよい。Raが置換基のときその好ましいものとしては、後記置換基Tの例が挙げられる。
・Rb
Rbは、水素原子、または後記置換基Tが挙げられ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基が好ましく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基がより好ましい。Rbが置換基をあらわす場合、Rbとしては後記置換基Tが挙げられ、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、アルキル基がより好ましい。Rbが置換基のとき、互いに連結してあるいは縮環して環を形成していてもよい。
・R5
R5は、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、トリアルキルスズ基、ホウ酸エステル基、またはホウ酸基を示す。
コポリマーはランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、周期的共重合体のいずれであってもよいが、交互共重合体または周期的共重合体であることが好ましく、交互共重合体であることがより好ましい。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基((好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルカンもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、アルカンもしくはアリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニルオキシ基、例えば、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ等)アルコキシもしくはアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシもしくはアリールオキシスルホニル基、例えば、メトキシスルホニル、エトキシスルホニル、フェノキシスルホニル等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、チオール基、ホルミル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、またはフッ素原子、塩素原子である。
また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tがさらに置換していてもよい。
本発明の前記特定構造単位を有するポリマーは、有機半導体ポリマーとして有用である。有機半導体ポリマーとは、半導体としての性質を示すことが可能な有機化合物のポリマーであり、本発明のポリマーは、とりわけp型有機半導体ポリマーとして有用である。なお、ポリマーを含むp型有機半導体化合物は、一般的に最高被占軌道(HOMO)準位が−4.5〜−6.0eVのπ電子共役系化合物である。
有機半導体ポリマーは有機エレクトロニクス分野で使用される、電気を流すと発光する有機エレクトロルミネッセンス素子、光照射で発電する有機光電変換素子、電流量や電圧量を制御する有機薄膜トランジスタ素子、電気化学センサー、プリンタブル回路等で利用される。本発明においては、光電池、特に有機薄膜太陽電池で使用するのが好ましい。
<有機半導体材料用組成物>
本発明の有機半導体材料用組成物に関して説明する。
本発明の前記特定構成単位を有するポリマー(特定ポリマー)は、p型有機半導体ポリマーとして有用であり、有機半導体材料用組成物は、この特定ポリマーを有機溶媒中に含有することが好ましい。当該組成物は、さらにn型半導体化合物を含有することが好ましく、特にn型有機半導体化合物を含有することが好ましい。また、必要によっては、特定構成単位を有するポリマー以外のp型有機半導体化合物、半導体以外の化合物(例えば、その他のp型半導体化合物として、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)や、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン(MEH−PPV)、ポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MDMO−PPV)、ポリ[(9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,8−ジイル)](F8BT)等が例示され、半導体以外の化合物としては、後述するポリエステル系樹脂やメタクリル樹脂等の他のポリマー)を含有してもよい。
(n型有機半導体化合物)
n型有機半導体化合物としては、特に限定されないが、一般的に、その最低空軌道(LUMO)準位が3.5〜4.5eVであるようなπ電子共役系化合物であり、例えば、フラーレンもしくはその誘導体、オクタアザポルフィリン等、p型有機半導体化合物の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(例えば、パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
フラーレンやその誘導体としては、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C84フラーレン、C240フラーレン、C540フラーレン、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
本発明の有機半導体材料用組成物には、本発明の特定構造単位を有するポリマーとともに、他のp型半導体化合物(例えば、縮合多環芳香族低分子化合物、オリゴマーまたはポリマー)を含有してもよい。
本発明における有機半導体材料用組成物は、光電変換層(特にバルクへテロ結合層)の塗工用組成物として好ましく使用される。電子供与材料であるp型有機半導体化合物と電子受容材料であるn型半導体化合物の混合比は光電変換効率が最も高くなるように調整されるが、通常は、質量比で、10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20の範囲から選ばれる。このような混合層の形成方法は、例えば、共蒸着法が用いられる。あるいは、両方の有機材料に共通する溶媒を用いて溶剤塗布することによって作製することも可能である。正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有するためには、塗布法が好ましい。
本発明に関わる光電変換素子においては、少なくとも第一の電極と第二の電極を有する。第一の電極と第二の電極は、いずれか一方が正極で、残りが負極となる。また、タンデム構成をとる場合には中間電極を用いることでタンデム構成を達成することができる。なお、本発明においては主に正孔(ホール)が流れる電極を正極と称し、主に電子が流れる電極を負極と称す。また透光性があるかどうかといった機能面から、透光性のある電極を透明電極と称し、透光性のない電極を対電極または金属電極と称す。通常、正極は透光性のある透明電極であり、負極は透光性のない対電極または金属電極であるが、第一の電極と第二の電極の両方を透明電極とすることもできる。
第一の電極は、正極であり、太陽電池の場合、好ましくは可視光から近赤外光(380〜800nm)の光を透過する透明電極である。材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を用いることができる。またポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性ポリマー等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせて正極とすることもできる。なお、光透過性が要求されない場合は、ニッケル、モリブデン、銀、タングステン、金などの金属材料によって正極を形成してもよい。透明な太陽電池とする場合は、正極の透過率は、太陽電池に使用する厚さ(例えば、0.2μmの厚さ)で、波長380nm〜800nm領域における平均光透過率が75%以上であることが好ましく85%以上であることがより好ましい。
第二の電極は負極であり、標準電極電位が正値である金属負極である。
負極は導電材単独層であってもよいが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。負極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。負極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
また、負極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の負極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記正極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性負極とすることができる。
本発明においては、第一の電極と光電変換層の間にホール輸送層を設けるのが好ましい。
ホール輸送層を形成する導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアジアゾール等や、これら導電骨格を複数有するポリマー等が挙げられる。
これらのなかではポリチオフェンおよびその誘導体が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリチエノチオフェンが特に好ましい。これらのポリチオフェンは導電性を得るために、通常、部分酸化されている。導電性ポリマーの電気伝導率は部分酸化の程度(ドープ量)で調節することができ、ドープ量が多いほど電気伝導率が高くなる。部分酸化によりポリチオフェンはカチオン性となるので、電荷を中和するための対アニオンを要する。そのようなポリチオフェンの例としては、ポリスチレンスルホン酸を対イオンとするポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)やp−トルエンスルホン酸を対アニオンとするポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−TsO)が挙げられる。
本発明においては、第二の電極と光電変換層の間に電子輸送層を設けることが好ましく、第一の電極と光電変換層の間にホール輸送層を設け、かつ光電変換層と第二の電極の間に電子輸送層を設けるのが特に好ましい。
電子輸送層に用いることのできる電子輸送材料としては、前記の光電変換層で挙げた電子受容材料であるn型半導体化合物および、ケミカルレビュー第107巻,953〜1010頁(2007年)にElectron−Transporting and Hole−Blocking Materialsとして記載されているものが挙げられる。本発明においては、無機塩や無機酸化物を使用することが好ましい。無機塩としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等が好ましい。各種金属酸化物は安定性が高い電子輸送層の材料として好ましく利用され、例えば、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、酸化ルテニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化バリウムが挙げられる。これらのうち比較的に安定な酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛がより好ましい。電子輸送層の膜厚は0.1〜500nmであり、好ましくは0.5〜300nmである。電子輸送層は、塗布などによる湿式製膜法、蒸着やスパッタ等のPVD法による乾式製膜法、転写法、印刷法など、いずれによっても好適に形成することができる。
光電池を構成する支持体は、その上に少なくとも第一の電極(正極)、光電変換層、第二の電極(金属負極)、より好ましい態様では、第一の電極(正極)、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、第二の電極(金属負極)を形成して保持することができるものであれば特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチックフィルムなど、目的に応じて適宜選択しうる。
下記のSchemeのように単量体(1−7)を合成した。
下記のSchemeのように単量体(2−7)を合成した。
下記のSchemeのように単量体(3−7)を合成した。
下記のSchemeのように単量体(4−6)を合成した。
下記のSchemeのように単量体(6−8)を合成した。
下記のSchemeのように単量体(7−7)を合成した。
[化合物(7−7):融点120℃、MS(m/z)773.3(M++H)]
引き続き、下記ポリマーex2−3をポリマーex1−1と同様に下記Schemeのように重合を行い、o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量35,000、数平均分子量22,000であった。
引き続き、下記ポリマーex3−1をポリマーex1−1と同様に下記Schemeのように重合を行い、o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量33,000、数平均分子量27,000であった。
引き続き、下記ポリマーex3−2をポリマーex1−1と同様に下記Schemeのように重合を行い、o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量41,000、数平均分子量35,000であった。
引き続き、下記ポリマーex3−4をポリマーex1−1と同様に下記Schemeのように重合を行い、o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量51,000、数平均分子量29,000であった。
引き続き、下記ポリマーex4−1をポリマーex1−1と同様に下記Schemeのように重合を行い、o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量55,000、数平均分子量40,000であった。
引き続き、下記ポリマーex4−2をポリマーex1−1と同様に下記Schemeのように重合を行い、o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量39,000、数平均分子量28,000であった。
引き続き、下記ポリマーex4−3をポリマーex1−1と同様に下記Schemeのように重合を行い、o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量35,000、数平均分子量26,000であった。
引き続き、下記ポリマーex4−4をポリマーex1−1と同様に下記Schemeのように重合を行い、o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量49,000、数平均分子量31,000であった。
公開特許WO2008/106019号公報p41に記載の方法で下記比較用ポリマーC−1を合成した。o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量31,000、数平均分子量19,000であった。
中国公開特許CN102286013号公報に記載の方法で下記単量体1および単量体2を合成し、下記Schemeに従って比較用ポリマーC−2を合成した。o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量31,000、数平均分子量19,000であった。
米国公開特許US2011/0178236号公報に記載の方法で下記比較用ポリマーC−3を合成した。o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量18,000、数平均分子量14,000であった。
米国公開特許US2011/0226999号公報に記載の方法で下記比較用ポリマーC−4を合成した。o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量65,000、数平均分子量37,000であった。
国際公開特許WO2011/078246号公報に記載の方法で下記比較用ポリマーC−5を合成した。o−ジクロロベンゼン(140℃)溶媒でのGPC測定の結果、重量平均分子量16,000、数平均分子量8,000であった。
各ポリマー試料を使用して、以下の手順にてガラスITO基板上に光電池を形成した。
UVオゾン処理した清浄な25個(5行×5列)の素子パターンを持つ100mm□ガラスITO基板上に、ホール輸送層として使用するPEDOT:PSS(H.C.Stark社CleviosP VP AI4083)層をスピンコートし、120℃×15分間乾燥させた。
引き続き、自動コーターを用いて各ポリマーの各p型半導体ポリマーとPC61BM(Solenne社製[60]PCBM)との混合物(質量比1:1)をo−ジクロロベンゼンに溶解させた後、上記PEDOT:PSS層の上にスピンコートし、120℃で15分間乾燥させ、光電変換層を形成させた。10mm間隔で10mm□の素子が25個となる様に不要部をエタノールの付いた綿棒で除去した。その後も上記と同様にして処理し、25個の素子が形成された光電池素子を10枚作製した(合計250素子)。
これら素子一つ一つについて光電変換層の厚みを測定し、その厚みの標準偏差を求めた。
さらに、この光電変換層上にチタンイソプロポキシド(シグマアルドリッチ社製)の脱水エタノール溶液(2質量%)をスピンコートし、室温で1時間乾燥させ酸化チタン層の電子輸送層を形成させた。
その後、アルミニウムの高真空蒸着により上部電極を形成させることにより、素子サイズ10mm□の光電池素子とした。
素子の電流密度−電圧(J−V)特性
上記のようにして作製した1cm□素子を以下のようにして性能評価した。
得られた素子を窒素雰囲気下(酸素濃度1ppm以下、水分濃度1ppm以下)で、ケースレー社(Keithley)製SMU2400型I−V測定装置を用いて、素子の電流密度−電圧(J−V)特性を評価した。オリエル(Oriel)社製太陽光シミュレータからの濾波キセノン灯光を使用して、100mW/cm2のAM1.5Gスペクトルに近づけた。上記装置にて、出力された光電変換効率を下記表1に記載した。
この際、測定温度環境を23℃および0℃の2水準にて評価を行った。実用上、0℃での光電変換効率が23℃での光電変換効率に対し50ないし60%以上であることが好ましい。
一方、比較例の有機半導体ポリマーを用いた太陽電池素子は、上記のいずれかの項目の特性で劣ることがわかる。
10 バルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池
11 透明電極(第1電極)
12 対極(第2電極)
21 ホール輸送層
22 電子輸送層
3 光電変換層
31 p型半導体相
32 n型半導体相
L 光
P 電動モータ(旋風機)
Claims (14)
- 第一の電極と、第二の電極と、その間に配置された光電変換層とを具備する有機薄膜太陽電池であって、前記光電変換層に下記式(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマーを含有させた有機薄膜太陽電池。
- 前記ポリマーが共重合体である請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
- 前記光電変換層に、さらにn型有機半導体化合物を含有させた請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
- 前記n型有機半導体化合物が、フラーレンもしくはその誘導体である請求項4に記載の有機薄膜太陽電池。
- 前記フラーレンもしくはその誘導体が、フェニル−C61−酪酸エステル、ジフェニル−C62−ビス(酪酸エステル)、フェニル−C71−酪酸エステル、フェニル−C85−酪酸エステルまたはチエニル−C61−酪酸エステルである請求項5に記載の有機薄膜太陽電池。
- 前記第一の電極と前記光電変換層との間にホール輸送層を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
- 前記第二の電極と前記光電変換層との間に電子輸送層を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
- 前記第一の電極が透明電極である請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
- 前記第二の電極が金属電極である請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
- 下記式(III−1)〜(III−4)のいずれかで表される化合物からなる単量体。
- 下記式(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマーと有機溶媒とを含有する組成物。
- 有機半導体材料用である請求項12に記載の組成物。
- 請求項12または13に記載の組成物を用いて塗布形成する、光電変換能を有する半導体膜の製造方法。
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