JP5859845B2 - 通板異常検出装置 - Google Patents
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Description
製造設備に鋼板を設置すると、コイル状に巻かれた状態から巻き戻してライン内に通板を開始する。連続ラインにおいては、入側に巻き戻し設備を複数基用意して順次巻き戻し、連続操業する。このとき、先行材尾端と後行材先端とを溶接して設備内で1本にし、連続運転を実現している。
そこで、本発明は、鋼板のプロセスラインにおける鋼板先端の突っ掛り異常を適切に検出することができる通板異常検出装置を提供することを課題としている。
さらに、このように、短時間であれば連続する2つの画像間で画素の輝度が大きく変化しないことを利用し、輝度情報が一致する画素の動きを追いかけるので、比較的簡易に鋼板の異常な動きを検出することができる。
このように、撮像画像に通板異常の検出対象領域を設け、必要な箇所のみ処理を行うようにするので、外乱影響を低減し誤動作を抑制すると共に処理時間の短縮を図ることができる。
このように、複数のエリアの特徴量を用いて異常判定を行うので、検出対象領域を1エリアとして特徴量を算出し異常判定する場合と比較して誤動作を抑制することができ、適切に鋼板の動作の異常を検出することができる。
このように、正常状態の画像や異常状態の画像を複数集めて学習により識別器を構築するので、通板異常の判定ロジックのロバスト性を向上させることができ、安定した異常検出が可能となる。
これにより、高精度な識別器を構築することができ、安定した異常判定を行うことができる。
このように、画像中の物体のアピアランス(見え)とモーション(動き)の2つの情報をもった時空間特徴を用いて鋼板の移動方向識別を行うので、コンベアのキャンパスベルト等の動的な背景をもつ場合であっても鋼板の突っ掛りの異常状態を適切に検出することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における通板異常検出装置が適用される連続焼鈍設備の入側ラインを示す図である。
図中、符号1は巻き戻し設備である。この巻き戻し設備1は、ウェルダー11の入側に複数基(ここでは2基)配置されており、それぞれペイオフリール(POR)2、レベラー3、シャー4等を備え、巻き戻した鋼板10を、コンベアを介してウェルダー11に向けて搬送している。そして、この巻き戻し設備1は、通板時に鋼板先端の突っ掛りが発生し得る位置(例えば、符号Aで示す位置)に、それぞれ通板異常検出装置を備える。
鋼板先端の突っ掛りとは、コイルの反りや腰の弱さによって、コンベアの乗せ換え部分やレベラー、シャー、ピンチロール等の操業設備の凹凸に鋼板10の先端が突っ掛る現象である。
このように突っ掛りが発生すると、図3(a)に示すように余剰の鋼板10がループ状態となり、その後、図3(b)に示すように先端がジャミングする。本実施形態における通板異常検出装置では、鋼板先端がジャミングする前のループ状態(図3(a))を検出する。
なお、鋼板10の先端の反りが上向きであっても下向きであっても、突っ掛り後も鋼板10の送り出しはあるため、突っ掛りが発生した箇所の上流では上方向のループが発生する。したがって、通板異常検出装置では、上方向のループ状態を検出するものとする。
鋼板10の突っ掛りは、シャー4の周辺で発生する可能性が高い。シャー4の周辺における突っ掛り発生箇所を図4の星印で示すように、シャー4入側のガイド4aや刃4b、出側のコンベア4c等、様々な箇所で発生する。ここでは、通板異常検出装置をシャー4の入側に設置した場合について説明する。
図5は、通板異常検出装置の構成を示すブロック図である。
この図5に示すように、通板異常検出装置20は、カメラ(ビデオカメラ)21及び照明22を備える。カメラ21は、図6(a)の平面図に示すように、シャー4の入側で且つラインからやや離れた外側に設置されている。カメラ21は、シャー4が動いている時間だけ画像採取を行い、撮像した画像データを図5に示すオンライン処理部23に出力する。このカメラ21からは、例えば1/30秒に1画面の画像データが得られる。
ここでは、カメラ21から取得した時間的に連続する2つの画像の中から輝度情報が一致する画素を抽出し、抽出した2つの画素の画像上の位置差から、当該画素を含む物体(画素周辺)の移動ベクトルを求める処理を行う。すなわち、図8に示すように、カメラ21によって1/30秒に1画面得られる画像データから明るさの同じ画素を探索し、当該画素の移動ベクトルを求める。これは、微小時間では鋼板10内の同一箇所の輝度は変化しないことを利用したものであり、同一輝度の画素の動きを捉えることで鋼板10の通板方向を認識し、鋼板10の通板異常(ループ発生)の判定を行う。
例えば、図7に示すように検出対象領域を6×6分割して細分割エリアを設定した場合、36個の細分割エリアの特徴量(方向,大きさの計72個)が得られる。
また、ここでは検出対象領域を6×6分割しているが、分割数はこれに限定されるものではない。例えば11×11分割とし、121個の細分割エリアと22個の縦横加算とで143個の特徴量を用いることもできる。
図9は、異常判定の概念を示す図である。この図9に示すように、時間的に連続する2つの入力画像から細分割エリア毎に特徴量を算出し、これらを事前に構築した識別器に入力することで正常/異常の判定を行う。ここで、識別器には、細分割エリア毎に異常として検出したい特徴量が比較値として設定されており、入力画像から算出した特徴量を当該比較値と比較し、一致または近似している(比較差の少ない)場合に一定の出力値を返す。
異常が発生していると判断した場合には、所定の異常時処理を行う(異常動作出力23e)。異常時処理としては、例えば警報を発してラインを停止し、その後鋼板を再挿入する処理等を行う。
すなわち、カメラ21からオンライン処理部23に入力されノイズ対策や明るさ調整等の処理が施された画像データは、オフライン処理部24に入力されると共に、観察者が認識可能なようにモニター25に表示される。
録画された画像データは、観察者による判定入力により正常サンプル画像と異常サンプル画像となって、上述したオンライン処理のエリア分割23bと同様に、図7に示すように細分割エリアが設定される(エリア分割24b)。次に、細分割したエリア毎に画素の動きを示す特徴量を算出する(特徴量算出24c)。ここでも、特徴量としてオプティカルフローを用いる。
図10は、識別器構築の概念を示す図である。この図10に示すように、取得した正常サンプル画像(ポジティブサンプル画像)と異常サンプル画像(ネガティブサンプル画像)とからそれぞれ細分割エリア毎に特徴量を算出し、これをReal AdaBoostによって学習することで、一般的な異常現象に当てはめられる特徴量を算出し、識別器を構築する。
この手法により、比較的容易に異常として検出したい特徴量を求めることができると共に、重み付けも自動的に求めることができるので、最適な特徴量データとすることができる。なお、識別器にReal AdaBoostを用いなくても、人手を使って多数の特徴量から異常検出に有効なものを選別するようにしてもよい。
図11(a)に示すように鋼板10の先端がシャー4の刃4bに突っ掛ると、シャー4の入側で鋼板10が撓む。このときカメラ21で撮像した画像から、検出対象領域では図11(b)の矢印に示すような移動方向ベクトルが細分割エリア毎に得られる。この移動方向ベクトルは、正常な通板状態では通板方向である水平方向に発生する。
突っ掛り発生を早い段階で検出するために、図11(a)に示すような鋼板10の撓みを通板異常として設定している場合、撮像画像から得られた特徴量と識別器に設定された比較値が一致し、異常判定される。そのため、この場合には異常時処理が行われ、ラインが停止する。
このように、鋼板10の突っ掛りが発生したとき、撓み発生程度の早い段階で異常出力しラインを停止することで、簡単な手入れ作業のみで再通板の自動制御介入を可能とすることができる。
このように、鋼板10の突っ掛りが発生したとき、撓み発生程度では異常出力しないようにすることで、頻繁にラインが停止されるのを防止し、操業低下を抑制することができる。
この図11(a)に示す状態から鋼板10の送り出しが継続されると、撓みは徐々に大きくなり、図11(c)に示すような大きな反りとなる。このときカメラ21で撮像した画像からは、検出対象領域で図11(d)の矢印に示すような移動方向ベクトルが細分割エリア毎に得られる。
このように、鋼板10の突っ掛りが発生したとき、鋼板10がジャミングする前の大きな反りが発生した段階で異常出力することで、鋼板の先端を取り除くことが必要な状態となる前の再通板が可能な状態でラインを停止することができる。これにより、復旧処置が早く行えるため、操業設備の停止時間の短縮が図れる。
その後、図11(c)に示す状態から鋼板10の送り出しが継続されると、図11(e)に示すように鋼板10に大きなループが発生する。このときカメラ21で撮像した画像からは、検出対象領域で図11(f)の矢印に示すような移動方向ベクトルが細分割エリア毎に得られる。
このように、鋼板10の突っ掛りが発生したとき、鋼板10がジャミングする前の大きなループが発生した段階で異常出力することで、鋼板10がジャミングしてから異常出力した場合と比較して、鋼板10の取り除き作業等の復旧処置を行う時間を短縮することができる。そのため、この場合にも、操業設備の停止時間の短縮が図れる。
以上のように、異常として検出したい状況にあわせて識別器を設計することで、操業の運用状況にあわせた通板異常検出が可能となる。
また、鋼板10がジャミングする前の上方向のループ状態を突っ掛り異常として検出するので、再通板の自動制御が可能な状況や復旧処置が早く行える状況でラインを停止することができる。そのため、操業設備の停止時間を短縮することができ、生産性の低下を抑制することができる。
また、特徴量の算出に際し、ビデオカメラ21で取得した画像に対して検出対象領域を設定し、更に検出対象領域をブロック分割してブロック毎の平均化を行うので、ノイズを低減して大きな特徴量を得ることができる。そのため、外乱による誤判定を低減することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態において、鋼板画素の動きを捉える方法として、オプティカルフロー処理を用いた方法を採用しているのに対し、よりノイズに強い画像処理方法を採用するようにしたものである。
本実施形態では、鋼板画素の動きを捉える方法として、画面間の時間的な動きも捉えて微小空間の動き正常度を演算するロジックにより物体の挙動を判定できる、Space−Time Patch(ST−patch)処理を用いた方法を採用する。
ST−patch特徴は、画像を時間方向に重ねた3次元データである時空間画像の局所領域から得られる特徴であり、画像中における物体のアピアランス(見え)とモーション(動き)の2つの情報を持つ。図12において、x,yは画像の座標軸、tは時間軸、3つのラインは個々の画素の動き、[u v w]TはST−patch中の個々の画素の動き方向ベクトル、▽Pi(i=1,2,…)は個々の画素の勾配方向ベクトルである。
画像中の動きが一定の場合、それぞれの画素の勾配▽Pi=(Pxi,Pyi,Pti)は、画素の動き方向ベクトル[u v w]Tに対して垂直となる。よって、次式の関係が成り立つ。
また、ST−pacth特徴の画像空間特性は、次式のように表すことができる。
Δr=λ2・λ3/λ1 ◇・λ2 ◇ ………(6)
ここで、行列M、行列M◇は共に対称行列であり、行列Mの固有値λ1≧λ2≧λ3、行列M◇の固有値λ1 ◇≧λ2 ◇はすべて実数であり、固有値の関係はλ1≧λ1 ◇≧λ2≧λ2 ◇≧λ3である。また、0≦Δr≦1である。
このようにして求められたCRIMΔrの値は、ST−patch内の動きベクトルが一定のときにΔr≒0となり、動きが激しいときにΔr≒1となる。これにより、ST−patch内の動きベクトルの定常度を求めることができる。
図13は、異常判定の概念を示す図である。この図13に示すように、時間的に連続する少なくとも3つの入力画像から細分割エリア毎に特徴量(CRIM)を算出し、これらを事前に構築した識別器に入力することで正常/異常の判定を行う。ここで、識別器には、細分割エリア毎に異常として検出したい特徴量(CRIM)が比較値として設定されており、入力画像から算出した特徴量を当該比較値と比較し、一致または近似している(比較差の少ない)場合にそのCRIM値を返す。
異常が発生していると判断した場合には、所定の異常時処理を行う(異常動作出力23e)。異常時処理としては、例えば警報を発してラインを停止し、その後鋼板を再挿入する処理等を行う。
事前に、図15(a)に示すように、検出対象領域内において鋼板10の突っ掛り時に発生する反り部分を特徴部分(色つきブロック部分)とし、この部分に重み付けをしてCRIMを試算した。すなわち、上記特徴部分に相当する各エリアのCRIMを演算し、それらの平均値を試算した。その結果を図16(a)に示す。
すなわち、図15(a)に示すように鋼板10が撓むと、このときカメラ21で撮像した画像から、上記特徴部分に相当する各エリアで動きベクトルが一定でないことを示すCRIM値が演算される。
図16(b)に示すように、図15(b)の特徴部分にループ画像がはまったときはCRIM値が0.8程度と非常に大きくなることがわかる。また、シャー4によるカットタイミングでは鋼板10に撓みが発生するが、撓み程度ではループ状態となったときに比べてCRIM値は小さく、その値は0.4程度であることがわかる。したがって、この場合、上記異常判定閾値をCRIMの数値で0.8程度(若しくは0.6程度)に設定すれば、図15(b)に示すような鋼板10のループが発生したことを検出できることがわかった。
すなわち、図15(b)に示すように鋼板10がループ状態となると、このときカメラ21で撮像した画像から、上記特徴部分に相当する各エリアで動きベクトルが一定でないことを示すCRIM値が演算される。
このように、特徴部分の選択と重み付けに応じて、異常として検出できる鋼板10の状態を選定することができる。本実施形態では、CRIMの演算の後でReal AdaBoostを用い、異常状態を多く学習させることにより、特徴部分の選択と重み付けを最適に行うことができるので、異常として検出したい鋼板10の状態を効果的に検出することができる。
また、CRIM結果をReal AdaBoostなどの学習可能なプログラムで処理することにより、さらに安定な判定結果を得ることができる。
上述したように、シャー設備では、鋼板10がループ状態となる突っ掛りが発生しても、ループがシャーに入り込み、ループをまとめてカットできてしまうことがあり、運転を続けると突っ掛りが解消する場合がある。そこで、このような状態をさらに監視するために、ループが発生した後にシャー出側に鋼板10の先端が出てこないと判定した場合に、完全に突っ掛りが発生したと判断するようにする。
ここではカメラ26を設置し、画像処理により出側の鋼板を監視する場合について説明したが、出側の鋼板の有無のみを検出可能であればよく、光学式、磁気式の検出器でも設置が可能であれば適用可能である。
なお、上記各実施形態においては、連続焼鈍設備の入側ラインに本発明を適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、鋼板先端の突っ掛りが発生し得るプロセスラインであれば、連続酸洗設備や連続めっき設備等の入側ライン等にも本発明を適用可能である。
Claims (6)
- プロセスラインにおける鋼板先端が製造設備に突っ掛る通板異常を検出する通板異常検出装置であって、
前記鋼板先端を通板させる画像を連続して撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像した前記鋼板先端を通板させる画像内のジャミングする前のループ状態である前記鋼板先端の各画素の動きを示す特徴量として、前記撮像手段から取得した時間的に連続する2つの画像の中から輝度情報が一致する画素を抽出し、前記抽出した2つの画素の画像上の位置差から、当該画素を含む画素周辺の移動ベクトルを求めて、前記鋼板の動きを算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段で算出した特徴量に基づいて、前記通板異常として前記鋼板の先端が前記プロセスライン内の設備に突っ掛る前記鋼板の前記移動ベクトルによる動きを検出し、前記鋼板がジャミング状態となる前に前記プロセスラインを自動停止する通板異常検出手段と、を備えることを特徴とする通板異常検出装置。 - 前記特徴量算出手段は、前記撮像手段で撮像した画像領域に前記鋼板先端が前記製造設備に突っ掛る通板異常を検出する所定の検出対象領域を設定し、当該検出対象領域について前記ジャミングする前のループ状態である前記鋼板先端の前記移動ベクトルによる動きの特徴量を算出することを特徴とする請求項1に記載の通板異常検出装置。
- 前記特徴量算出手段は、前記検出対象領域を複数のブロックに分割し、分割したブロック毎に前記ジャミングする前のループ状態である前記鋼板先端の前記移動ベクトルによる動きの特徴量を算出することを特徴とする請求項2に記載の通板異常検出装置。
- 前記通板異常検出手段は、前記特徴量算出手段で算出したジャミングする前のループ状態である前記鋼板先端の前記移動ベクトルによる動きの特徴量に基づいて、識別器を用いて前記通板異常を検出するものであって、
前記撮像手段で撮像した複数の画像を学習画像とし、当該学習画像から前記通板異常を検出するのに有効な前記ジャミングする前のループ状態である前記鋼板先端の前記移動ベクトルによる動きの特徴量を抽出し、前記識別器を構築する識別器学習手段を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の通板異常検出装置。 - 前記識別器学習手段は、Real AdaBoostを用いて前記識別器を構築することを特徴とする請求項4に記載の通板異常検出装置。
- 前記特徴量算出手段は、前記撮像手段で撮像した時間的に連続する少なくとも3つの画像から、ST−patch法を用いて前記ジャミングする前のループ状態である前記鋼板先端の前記移動ベクトルによる動きの特徴量として動きの定常度を算出することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の通板異常検出装置。
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