以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲
をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[インライン方式(4ドラム系)のカラー画像形成装置の構成図]
図1はインライン方式(4ドラム系)のカラー画像形成装置10の構成図である。ピックアップローラ13によって繰り出された記録媒体12は、レジストセンサ111によって先端位置が検出された後、搬送ローラ対14,15に先端が少し通過した位置で搬送を一旦停止される。
一方、スキャナユニット20a〜20dは、回転駆動される感光体としての感光ドラム22a〜22dに順次レーザ光21a〜21dを照射する。この時、感光ドラム22a〜22dは、帯電ローラ23a〜23dによって予め帯電されている。各帯電ローラからは例えば−1200Vの電圧が出力されており、感光ドラム表面は例えば−700Vで帯電されている。この帯電電位においてレーザ光21a〜21dの照射によって静電潜像を形成すると、静電潜像が形成された箇所の電位は例えば−100Vとなる。現像器25a〜25dおよび現像スリーブ24a〜24dは例えば−350Vの電圧を出力し、感光ドラム22a〜22dの静電潜像にトナーを載せ、感光ドラム上にトナー像を形成する。1次転写ローラ26a〜26dは、例えば+1000Vの正電圧を出力し、感光ドラム22a〜22dのトナー像を、中間転写ベルト30(無端状ベルト)に転写する。尚、スキャナユニット及び感光ドラムを含む、帯電ローラ、現像器及び1次転写ローラのトナー像を形成するのに直接的に係る部材群のことを画像形成部と称する。場合によってはスキャナユニット20を含めずに画像形成部と称しても良い。また、感光ドラムの周囲に近接して配置され、感光ドラムに作用する各部材(帯電ローラ、現像器及び1次転写ローラ)のことを、プロセス手段と称する。このようにプロセス手段には、複数種類の部材を相当させることができる。
中間転写ベルト30は、ローラ31,32,33によって周回駆動され、トナー像を2次転写ローラ27の位置へ搬送する。この時、記録媒体12は2次転写ローラ27の位置で搬送されたトナー像とタイミングが合うよう搬送が再開され、2次転写ローラ27によって中間転写ベルト30から記録材上(記録媒体12上)にトナー像が転写される。
その後、定着ローラ対16,17によって記録媒体12のトナー像を加熱定着した後、記録媒体12を機外へ出力する。ここで、2次転写ローラ27によって、中間転写ベルト30から記録媒体12へ転写されなかったトナーは、クリーニングブレード35によって廃トナー容器36に回収される。また、トナー像検出を行う色ずれ検出センサ40の動作については後述する。ここで、各符号の英文字aはイエロー、bはマゼンタ、cはシアン、dはブラックの構成およびユニットを示す。
尚、図1においては、スキャナユニットにより光照射を行う系を説明した。しかし、それに限定されることはなく、色ずれ(位置ずれ)が生じてしまうという意味では、例えば、光照射手段としてLEDアレイを備えた画像形成装置を以下の各実施例に適用することもできる。以下の説明においては、一例として、光照射手段としてスキャナユニットを備えた場合を説明していくこととする。
[高圧電源装置の構成図]
次に、図2(a)(b)を用いて図1の画像形成装置における高圧電源装置の構成を説明する。図2(a)に示す高圧電源回路装置は、帯電高圧電源回路43、現像高圧電源回路44a〜44d、1次転写高圧電源回路46a〜46d、2次転写高圧電源回路48を備えている。帯電高圧電源回路43は、帯電ローラ23a〜23dに電圧を印加することで、感光ドラム22a〜22dの表面にバックグラウンド電位を形成し、レーザ光の照射
によって静電潜像を形成可能な状態にする。現像高圧電源回路44a〜44dは、現像スリーブ24a〜24dに電圧を印加することで、感光ドラム22a〜22dの静電潜像にトナーを載せ、トナー像を形成する。1次転写高圧電源回路46a〜46dは、1次転写ローラ26a〜26dに電圧を印加することで、感光ドラム22a〜22dのトナー像を中間転写ベルト30に転写する。2次転写高圧電源回路48は、2次転写ローラ27に電圧を印加することで、中間転写ベルト30のトナー像を記録媒体12へ転写する。
また、1次転写高圧電源回路46a〜46dは、電流検出回路47a〜47dを備えている。これは、1次転写ローラ26a〜26dにおけるトナー像の転写性能が、1次転写ローラ26a〜26dに流れる電流量に応じて変化するためである。電流検出回路47a〜47dの検出結果に応じて1次転写ローラ26a〜26dに電圧を印加するバイアス電圧(高圧)を調整し、装置内の温度や湿度が変化しても転写性能を一定に保つよう構成されている。尚、1次転写中には、この1次転写ローラ26a〜26dに流れる電流量が目標値になるようにして設定されたバイアス電圧を目標にして定電圧制御が行われる。
また、図2(b)は、図2(a)に対して、帯電高圧電源回路43a〜43dが各帯電ローラ23a〜23dに対して個別に設けられている。また、帯電高圧電源回路43a〜43dには、電流検出回路50a〜50dが夫々設けられている。その他の構成は、図2(a)と同様なので、ここでの詳しい説明を省略する。
[プリンタシステムのハードウェアブロック図]
次に、図3を用いてプリンタシステムの一般的なハードウェア構成を説明する。まずビデオコントローラ200の説明を行う。204は、ビデオコントローラ全体の制御を司るCPUである。205は、CPU204が実行する各種制御コードを格納する不揮発性記憶部であり、ROM、EEPROM、ハードディスク等に相当する。206は、CPU204の主メモリ、ワークエリア等として機能する一時記憶用のRAMである。
207は、ホストコンピュータ等の外部機器100との印刷データ、制御データの入出力部であるホストインターフェイス部(図中、ホストI/Fと記載)である。ホストインターフェイス部207により受信した印字データは圧縮データとしてRAM206に格納される。208は圧縮データを伸張するためのデータ伸張部である。RAM206に格納された任意の圧縮データを、ライン単位に画像データに伸張する。また、伸張された画像データはRAM206に格納される。
209は、DMA(DirectMemoryAccess)制御部である。DMA制御部209は、CPU204からの指示によりRAM206内の画像データをエンジンインターフェイス部211(図中、エンジンI/Fと記載)に転送する。210は、操作者からの諸設定、指示をカラー画像形成装置10本体プリンタ本体1に設けられたパネル部から受け取るパネルインターフェイス部(図中、パネルI/Fと記載)である。211は、プリンタエンジン300との信号の入出力部であるエンジンインターフェイス部(図中、エンジンI/Fと記載)であり、不図示の出力バッファレジスタからデータ信号送出を行うとともにプリンタエンジン300との通信制御を行う。212は、アドレスバス及びデータバスを持つシステムバスである。上述の各構成要素は、システムバス212に接続され、互いにアクセス可能となっている。
次に、プリンタエンジン300の説明を行う。プリンタエンジン300は大きく分けて、エンジン制御部54(以下単に制御部54と記す)とエンジン機構部から構成される。エンジン機構部は制御部54からの各種指示により動作する部分であるが、まず、このエンジン機構部の詳細を説明し、その後に制御部54を詳しく説明する。
レーザ/スキャナ系331は、レーザ発光素子、レーザドライバ回路、スキャナモータ、ポリゴンミラー、スキャナドライバ等を含む。ビデオコントローラ200から送られてくる画像データに従い感光ドラム22をレーザ光にて露光走査することにより感光ドラム22上に潜像を形成する部位である。このレーザ/スキャナ系331及び次に説明する作像系332が、図1で説明した画像形成部と称する部分に該当する。作像系332は、画像形成装置の中枢をなす部分であり、感光ドラム22上に形成された潜像に基づくトナー画像をシート上(記録媒体12上)に形成させる部位である。また先に説明した感光ドラム22に作用する各プロセス手段(複数種類のプロセス手段)からなる。プロセスカートリッジ11、中間転写ベルト30、定着器等のプロセス要素、及び作像を行う上での各種バイアス(高電圧)を生成する高圧電源回路で構成される。また例えば感光ドラム22を駆動するモータ等の、各部材を駆動する為のモータも含まれている。
プロセスカートリッジ11には、除電器、帯電器23(帯電ローラ23)、現像器25、感光ドラム22等が含まれる。また、プロセスカートリッジ11には、不揮発性のメモリタグが備えられており、CPU321あるいはASIC322は、当該メモリタグに各種情報の読み書きを行う。
給紙・搬送系333は、シート(記録媒体12)の給紙、搬送を司る部分であり、各種搬送系モータ、給紙トレイ、排紙トレイ、各種搬送ローラ(排紙ローラ等)等で構成される。
センサ系334は、レーザ/スキャナ系331、作像系332、給紙・搬送系333を、後述するCPU321、ASIC322が制御する上で、必要な情報を収集するためのセンサ群である。このセンサ群には、定着器の温度センサ、画像の濃度を検知する濃度センサなど少なくとも既に周知の各種センサが含まれる。また先に説明したトナー像検出を行う色ずれ検出センサ40も含まれている。尚、図中のセンサ系334について、レーザ/スキャナ系331、作像系332、給紙・搬送系333と分けて記載したが、いずれかの機構に含めるように考えても良い。
次に、制御部54の説明を行う。321はCPUであり、RAM323を主メモリ、ワークエリアとして利用し、EEPROM324に格納される各種制御プログラムに従い、上に説明したエンジン機構部を制御する。より具体的に、CPU321は、ビデオコントローラ200からエンジンI/F211、エンジンI/F325を介して入力されたプリント制御コマンド及び画像データに基づき、レーザ/スキャナ系331を駆動する。尚、バックアップ電池付きの揮発性メモリにより不揮発性メモリの代替をしても良い。また、CPU321は、作像系332、給紙・搬送系333を制御することで、各種プリントシーケンスを制御する。また、CPU321はセンサ系334を駆動することで、作像系332、給紙・搬送系333を制御する上で、必要な情報を取得する。
一方、ASIC322は、CPU321の指示のもと、上に述べた、各種プリントシーケンスを実行する上での各モータの制御、現像バイアス等の高圧電源制御を行う。326は、アドレスバス及びデータバスを持つシステムバスである。制御部54の各構成要素は、システムバス326に接続され、互いにアクセス可能となっている。尚、CPU321の機能の一部あるいは全てをASIC322に行わせても良く、また、逆にASIC322の機能の一部あるいは全てをCPU321に代わりに行わせても良い。
[高圧電源の回路図]
次に、図4を用いて、図2の高圧電源装置における1次転写高圧電源回路46aの回路構成を説明する。他の色の1次転写高圧電源回路46b〜46dについては、これと同じ回路構成であるので説明を省略する。
図4で、変圧器62は、駆動回路61によって生成される交流信号の電圧を数十倍の振幅に昇圧する。ダイオード64、65及びコンデンサ63、66によって構成される整流回路51は、昇圧された交流信号を整流・平滑する。そして整流・平滑化された電圧信号は、出力端子53に直流電圧として出力される。比較器60は、検出抵抗67、68によって分圧された出力端子53の電圧と、制御部54によって設定された電圧設定値55とが等しくなるよう、駆動回路61の出力電圧を制御する。そして、出力端子53の電圧に従い、1次転写ローラ26a及び感光ドラム22a及びグランドを経由して電流が流れる。
ここで、電流検出回路47aは、変圧器62の2次側回路500と接地点57との間に挿入されている。さらにオペアンプ70の入力端子はインピーダンスが高く、電流が殆ど流れないので、接地点57から変圧器62の2次側回路500を経て出力端子53へ流れる直流電流は、ほぼ全て抵抗71に流れるよう構成されている。また、オペアンプ70の反転入力端子は、抵抗71を介して出力端子と接続されている(負帰還されている)ので、非反転入力端子に接続されている基準電圧73に仮想接地される。従って、オペアンプ70の出力端子には、出力端子53に流れる電流量に比例した検出電圧56が現れる。言い換えれば、出力端子53に流れる電流が変化すると、オペアンプ70の反転入力端子ではなく、オペアンプ70の出力端子の検出電圧56が変化する形で、抵抗71を介して流れる電流が変化することとなる。尚、コンデンサ72は、オペアンプ70の反転入力端子を安定させるためのものである。
1次転写ローラ26a〜26dの電流特性は、各種部材の劣化具合や機内温度などの環境などの要因により変わってくる。この為、制御部54は、印刷開始直後の、トナー像が1次転写ローラ26aに到達する前のタイミングで、電流検出回路47aの検出値56(検出電圧56)をA/D入力ポートで測定し、検出値56(検出電圧)が予め定めた値となるよう、電圧設定値55を設定する。これにより、周囲の温度や湿度などが変化してもトナー像の転写性能を一定に保つことができる。
[色ずれ補正制御の説明]
以下、上述にて説明した画像形成装置により、まず中間転写ベルト30上に色ずれ検出用のマークを形成し、色ずれ量を少なくともより小さくする。そして、色ずれ状態をなくした(少なくとも小さくした)うえで、静電潜像80が1次転写ローラ26aの位置に到達する時間を、1次転写電流の変化を検出することで測定し、これを色ずれ補正制御の基準値として設定する。
そして、連続印刷などで装置内温度が変化した際に行う色ずれ補正制御においては、再度1次転写電流の変化を検出し、静電潜像80が1次転写ローラ26aの位置に到達する時間を測定する。ここで測定された到達時間の変化は、そのまま色ずれ量を反映したものである。従って、印刷時にはこれを打ち消すようスキャナユニット20aがレーザ光21aを照射するタイミングを調整し、色ずれを補正する。以下、詳細に説明を行う。尚、色ずれの補正に関する画像形成条件の制御については、光照射タイミングの制御に限定されるものではない。例えば後述の実施例2で説明する感光ドラムの速度制御や、或いはスキャナユニット20a〜20dの各々に含まれる反射ミラーのメカ的な位置調整でも良い。
[基準値取得処理のフローチャート]
図5のフローチャートは、色ずれ補正制御における基準値取得処理を示すフローチャートである。まず、図5のフローチャートは、色ずれ検出センサ40のトナーマーク(図6)の検出による色ずれ補正制御(以下、通常色ずれ補正制御と称する)が行われることに引続き実行される。また、感光ドラム22および現像スリーブ24などの部品が交換されて通常色ずれ補正制御が実行されるとき等、特定のタイミングの通常色ずれ補正制御のみに対応させて図5のフローチャートを実行しても良い。また、図5のフローチャートは各色について独立して行われるものとする。尚、色ずれ検出センサ40は、LED等の発光素子を備え、該発光素子によりベルト上に形成された色ずれ検出用トナー像に光を照射し、そのときの反射光の光量変化を、トナー像の位置(検出タイミング)として検出するよう構成されている。このことは既に多数の文献により周知の技術であり、ここでの詳しい説明は省略することとする。
図5の説明を行う。ステップS501により制御部54は、画像形成部により中間転写ベルト30上に色ずれ検出用のトナーマークを形成させる。この色ずれ検出用のトナーマークは、色ずれ補正に用いられるトナー像なので、色ずれ補正用トナー像と称することもできる。ここで、色ずれ検出用のトナーマークの形成様子を図6に示す。このステップS501の処理により、後続の色ずれ補正用の静電潜像による制御において、色ずれ量を少なくとも小さくした状態を基本にできる。
図6において、400と401は用紙搬送方向(副走査方向)の色ずれ量を検出する為のパターンを示す。また402と403は用紙搬送方向と直交する主走査方向の色ずれ量を検出する為のパターンを示し、この例では45度傾いている。また、tsf1〜4、tmf1〜4、tsr1〜4、tmr1〜4、は各パターンの検出タイミングを、矢印は中間転写ベルト30の移動方向を示す。
中間転写ベルト30の移動速度をvmm/s、Yを基準色とし、用紙搬送方向用パターン(400、401)の各色とYパターン間の理論距離をdsMmm、dsCmm、dsBkmmとする。Yを基準色とし、搬送方向に関して、各色の色ずれ量δesは、次の[式1]〜[式3]のようになる。
δesM=v×{(tsf2−tsf1)+(tsr2−tsr1)}/2−dsM…式1
δesC=v×{(tsf3−tsf1)+(tsr3−tsr1)}/2−dsC…式2
δesBk=v×{(tsf4−tsf1)+(tsr4−tsr1)}/2−dsBk…式3
主走査方向に関して、左右各々の各色の位置ずれ量δemf、δemrは、
dmfY=v×(tmf1−tsf1) … 式4
dmfM=v×(tmf2−tsf2) … 式5
dmfC=v×(tmf3−tsf3) … 式6
dmfBk=v×(tmf4−tsf4) … 式7
と、
dmrY=v×(tmr1−tsr1) … 式8
dmrM=v×(tmr2−tsr2) … 式9
dmrC=v×(tmr3−tsr3) … 式10
dmrBk=v×(tmr4−tsr4) … 式11
から、
δemfM=dmfM−dmfY … 式12
δemfC=dmfC−dmfY … 式13
δemfBk=dmfBk−dmfY … 式14
と、
δemrM=dmrM−dmrY … 式15
δemrC=dmrC−dmrY … 式16
δemrBk=dmrBk−dmrY … 式17
となり、計算結果の正負からずれ方向が判断でき、δemfから書き出し位置を、δem
r−δemfから主走査幅(主走査倍率)を補正する。尚、主走査幅(主走査倍率)に誤差がある場合は、書き出し位置はδemfのみでなく、主走査幅補正に伴い変化した画像周波数(画像クロック)の変化量を加味して算出する。
そして、演算された色ずれ量を解消するように、制御部54は、画像形成条件としてのスキャナユニット20aによるレーザ光の出射タイミングを変更する。例えば、副走査方向の色ずれ量が−4ライン分の量であれば、制御部54は、ビデオコントローラ200に、レーザ光の出射タイミングを+4ライン分早めるよう指示する。
尚、図6での説明は、中間転写ベルト30上に色ずれ検出用のトナーマークを形成するよう説明を行ったが、色ずれ検出用のトナーマークをどこに形成し光学センサ(色ずれ検出センサ40)により検出するかについて、その形態に限定されない。例えば、色ずれ検出用のトナーマークを感光ドラム22上に形成し、それを検出可能に配置された色ずれ検出センサ(光学センサ)の検出結果を用いても良い。或いは、色ずれ検出用のトナーマークを紙上(記録材上)に形成し、それを検出可能に配置された色ずれ検出センサ(光学センサ)の検出結果を用いても良い。色ずれ検出用のトナーマークは様々な被転写体上、或いはトナー像担持体上に形成することが想定される。
図5のフローチャートの説明に戻る。ステップS502で、制御部54は、感光ドラム22a〜22dの回転速度(周面速度)に変動がある場合の影響を抑制すべく、感光ドラム22a〜22d間の回転位相関係(回転位置関係)を所定の状態に合わせる。具体的には、制御部54の制御のもと、基準色の感光ドラムの位相に対して、他の色の感光ドラムの位相を調整する。また、感光ドラムの軸に感光ドラム駆動ギアが設けられているような場合は、実質的には各感光ドラムの駆動ギアの位相関係を調整する。これにより、各感光ドラムに現像されたトナー像が中間転写ベルト30に転写されるときの感光ドラムの回転速度が略同じ、或いは同様の速度変動傾向になる。具体的には、制御部54は不図示の感光ドラムを駆動するモータに対して、感光ドラム22a〜22d間の回転位相関係を所定の状態に合わせるよう速度制御指示を行う。尚、感光ドラムの回転速度変動が無視できる程度の場合は、ステップS502の処理を省略しても良い。
ステップS503で、制御部54は、回転している各感光ドラムにおいて、所定の回転位相にて、スキャナユニット20a〜20dにレーザ光を発光させ、感光ドラム上に色ずれ補正用の静電潜像(第1の色ずれ補正用静電潜像)を形成する。
図7は、イエローの感光ドラム22aを用いて、静電潜像(位置ずれ補正用静電潜像とも称することができる)が感光ドラム上に形成された様子を示す図である。図中で80が形成された静電潜像を示している。静電潜像80は、走査方向の画像領域幅において最大限幅広く描かれ、搬送方向に5ライン程度の幅を持つものである。尚、主走査方向の幅については、良好な検出結果を得る意味で、最大幅の半分以上の幅で形成するようにすることが望ましい。また、画像領域(紙への印刷画像領域)の外側の用紙領域を更に超えた幅の領域で、且つ静電潜像を形成可能な領域にまで静電潜像80の幅を広げるとなお好適である。この時、例えば、現像スリーブ24aを感光ドラム22aから離した状態(離隔)とすることで、静電潜像80は、トナーが付着されることなく1次転写ローラ26aの位置まで搬送される。また、制御部54の指示のもと、現像バイアス高圧電源回路(現像高圧電源回路)44a〜44dから出力される電圧をゼロにしたり、通常とは逆極性のバイアス電圧を印加することで、トナーを付着させないようにしても良い。このように、感光ドラムの回転方向において、1次転写ローラ26aよりも上流側に配置される現像スリーブ24aを、離隔、或いは画像形成部による通常のトナー画像形成時よりも感光ドラムへの作用が少なくとも小さくなるよう動作させる必要がある。
また、制御部54は、ステップS503の処理と同時或いは略同時にYMCKの夫々に対応して用意されたタイマーをスタートさせる(ステップS504)。また、電流検出回路47aの検出値のサンプリングを開始する。このとき、サンプリング周波数は、例えば10kHzである。
そして、制御部54は、ステップS505で、ステップS504のサンプリングにより取得されたデータを基に、静電潜像80の検出によって1次転写電流の検出値が極小になる時間(タイマー値)を測定する。この測定により感光ドラム上に形成された静電潜像80の1次転写ローラに対向する位置への通過を検出することができる。図8に検出結果の一例を示す。
図8は、静電潜像80が、プロセス手段としての1次転写ローラ26aに到達した時の、電流検出回路47aからの、感光体(感光ドラム22a)の表面電位に係る出力値を検出したものである。後述の図9にて詳しく説明するが、この図8の情報は、感光ドラム22aの表面電位に応じたものであり、その意味で感光ドラム22aの表面電位情報と称することができる。図8において縦軸は検出した電流を、横軸は時間を示し、横軸の1目盛は、レーザスキャナが1ラインを走査する時間を示したものである。電流波形90、91は、夫々別のタイミングで検出したものである。電流波形90、91の何れにおいても、静電潜像80が1次転写ローラ26aに到達したことで、時刻92において極小となり、その後復帰してゆく特性を示している。
ここで、検出される電流値が減少する理由について説明する。図9は、静電潜像上にトナー付着が有る場合と無い場合とにおける、感光ドラム22aの表面電位を示す模式図である。横軸は感光ドラム22aの搬送方向の表面位置を示し、領域93は静電潜像80が形成された位置を示している。また縦軸は電位を示し、感光ドラム22aの暗電位をVD(例えば−700V)、明電位をVL(例えば−100V)、1次転写ローラ26aの転写バイアス電位をVT(例えば+1000V)として記載した。
静電潜像80の領域93では、1次転写ローラ26aと感光ドラム22aとの電位差96が、それ以外の領域における電位差95と比べ小さくなる。このため、静電潜像80が1次転写ローラ26aに到達すると、1次転写ローラ26aに流れる電流値は減少する。これが上で説明した図8の極小値が検出される理由である。このように検出される電流値は感光ドラム22aの表面電位を反映したものとなっている。また、図9では、感光ドラム表面電位と1次転写ローラ26aの出力電圧と、の差分を例に説明を行ったが、電流量変化については、同様のことが、感光ドラム表面電位と帯電電圧又は現像電圧との間でもいえる。
図5のフローチャートの説明に戻る。最後に、制御部54は、ステップS506において、ステップS505で測定した時間(タイマー値)を、基準値としてEEPROM324に記憶する。ここでの記憶情報が、色ずれ補正制御を行う場合に目標となる基準状態を示すものとなる。制御部54は、色ずれ補正制御の際には、この基準状態からのずれを解消するように、言い換えれば基準状態に戻すように制御を行う。
ここで、ステップS506で求められるタイマー値はステップS503でのスキャナユニット20a〜20dによる静電潜像形成のタイミングが基(基準)になっている。静電潜像形成のタイミングが基になっているとは、静電潜像形成のタイミングそのものでなくとも、例えば静電潜像形成の1秒前等、静電潜像形成のタイミングに関連したタイミングでもよいということである。尚、EEPROM324は、例えばバックアップ電池付きのRAM等でも良い。また、記憶される時間の情報は時間を特定できるものであれば良く、例えば秒数そのものの情報でも良いし、クロックカウント値でも良い。
[ステップS505の詳細説明]
ここで、検出波形(電流波形)90、91が極小となる時間を測定することが好適な理由を説明する。これは、検出波形(電流波形)90と91の様に測定した電流の絶対値が異なった場合においても、静電潜像80が1次転写ローラ26aに到達するタイミングを正確に測定することができる為である。また、検出用パターン(色ずれ補正用の静電潜像)を図7の静電潜像80の様な形状にした理由は、主走査方向に広いパターンとすることで電流値の変化を大きくする為である。また、感光ドラム22の搬送方向(副走査方向)に数ライン分の幅とすることで電流値の大きな変化を保ちつつ極小となる点が鋭く現れるようにしている。従って静電潜像80の最適な形は装置の構成によって異なり、本実施例で用いた搬送方向に5ラインの幅を持つ形などに限定するものでは無い。
また、図8に示した検出結果が好適ではあるが、例えば静電潜像80の搬送方向に5ラインよりも多い20ラインとすることで、検出結果にフラットとなる領域を作り、その中点を検出するようにしても良い。即ち、後述の図10のフローチャートを実行したときに、検出結果から、図5のフローチャートで検出した特定の条件(特徴的位置)と合致する位置を検出できればよい。そのような態様であれば、上述した極小位置に限らず様々な検出結果の特徴的位置を図5、図10のステップS505の判断対象に適用することができる。また、後述の図12、13についても同様である。
尚、以上の説明では、図5のフローチャートによる色ずれ検出時に、現像スリーブ24aを感光ドラム22aから離し、静電潜像80にトナーを載せずに検出する構成を説明した。しかしこれに限定されるものでは無い。トナーを載せた状態でも色ずれを検出可能である。
図9(b)は、静電潜像80にトナーを載せた時の、感光ドラム22aと1次転写ローラ26aの電位差を示した模式図である。図9(a)と同じ要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。静電潜像80にトナーを載せた場合、静電潜像80の領域93では、1次転写ローラ26aと感光ドラム22aとの電位差97が、トナーを載せなかった時の電位差96と比べ大きい。また、それ以外の領域における電位差95との差が小さくなる。しかし変化を十分に検出可能である。ここで、色ずれ検出後に感光ドラム22や中間転写ベルト30上のトナーを清掃する必要が生じてしまうが、濃度が濃くなければ、簡易なクリーニングでよく、実質問題は無い。少なくとも中間転写ベルト30等に100%濃度の色ずれ補正における検出用トナー像を転写し、それをクリーニングする場合と比べれば短い時間でクリーニングを行える。
[色ずれ補正制御のフローチャート]
次に、図10のフローチャートを用いて、本実施例における色ずれ補正制御について説明を行う。尚、図10のフローチャートは各色について独立して行われるものとする。また図10のフローチャートは、上述したように、連続印刷などで装置内温度が変化した場合や、ユーザの操作により図10の色ずれ補正制御の指示が制御部54に入力された場合や、装置内部環境が大幅に変化した等、所定条件下で実行される。このことは後述する図13、図21、図25、図27についても同様である。
まずステップS502〜ステップS505については、図5のフローチャートと同様の処理を行う。感光ドラム22aの軸に偏りが有る場合、上で説明した静電潜像80が1次転写ローラ26aに到達するまでの時間も変化してしまう。この変化を検出する為に、図10のステップS503でも、図5のステップS503と同じ位置で静電潜像80を形成する。ここでの同じ位置(位相)とは、厳密に同じでも良いし、任意な位置で静電潜像80を形成する場合に比べ、色ずれ検出の精度を向上させることができる範囲であれば、略同じ位置、或いは概ね同じ位置であれば良い。ここで、図5のステップS503と、図10のステップS503と、の夫々で感光ドラム上に形成される色ずれ補正用の静電潜像を第1の色ずれ補正用静電潜像、第2の色ずれ補正用静電潜像などと区別することができる。
そして、制御部54は、ステップS1001で電流極小を検出した時のタイマー値を、図5のフローチャートのステップS506で保存した基準値と比較する。制御部54は、ステップS1002でタイマー値が基準値より大きい場合は、画像形成条件としてのレーザビーム発光タイミングに関して、印刷時にレーザビーム発光タイミングを早めるよう補正する。制御部54が、どれだけレーザビーム発光タイミングを早める設定を行うかは、測定された時間が基準値よりどれだけ大きいかに応じて調整すれば良い。他方、制御部54は、ステップS1003で検出されたタイマー値が基準値より小さい場合は、印刷時にレーザビームを発光するタイミングを遅くする。制御部54が、どれだけレーザビーム発光タイミングを遅める設定を行うかは、測定された時間が基準値よりどれだけ小さいかに応じて調整すれば良い。このステップS1002、S1003の画像形成条件補正処理により現在の色ずれ状態を、基準とした色ずれ状態(基準状態)に戻すことが可能となる。
尚、図10のフローチャートのステップS1001で、制御部54は電流極小を検出した時のタイマー値と、ステップS506で保存した基準値と比較するよう説明したが、それに限定されない。あるタイミングにおける色ずれ状態を維持するという観点では、任意の色ずれ発生状態においてステップS502〜ステップS506を実行し、記憶された基準値をステップS1001の比較対象としても良い。これは後述の図12及び13においても同様である。
[効果の説明]
以上のように、制御部54により図10のフローチャートが実行されることで、感光ドラムから像担持体(ベルト)に、色ずれ補正制御における検出用トナー像(100%濃度)を転写しなくとも、色ずれ補正制御を実現できる。即ち、画像形成装置のユーザビリティーをできるだけ維持して持たせつつ、色ずれ補正制御を行える。
一方、装置内温度の変化量に対する色ずれ量の変化傾向を予め測定しておき、測定した装置内温度を基に色ずれ量を予測演算し、色ずれ補正制御を行うことも、従来から知られている。この色ずれ補正制御の方法によれば、検出用のトナー像を像担持体上に形成する必要がないメリットがある。しかし、色ずれ量を予測演算する色ずれ補正制御方法では、トナー消費を抑えることができるものの、実際に発生している色ずれ量が必ずしも予測演算結果と一致しているとは限らず、精度の面で難点があった。これに対して、図10のフローチャートによれば、トナー消費を抑えることを可能にしつつも、一定の色ずれ補正制御の精度を確保することができる。
また、静電潜像による色ずれ補正制御として、例えば、中間転写ベルト上に色ずれ補正用の静電潜像を転写し、それを検出する電位センサを設ける形態も考えられる。しかし、この場合、中間転写ベルト上に転写した静電潜像を、電位センサで検出するまでの待機時間が発生してしまう。これに対して、上記実施例によれば、より待機時間を短くでき、ユーザビリティーを低下させない。
また、中間転写ベルト上に色ずれ補正用の静電潜像を転写する方式では、中間転写ベルト上における色ずれ補正用の静電潜像の電位を検出まで保持し続けなければならない。この為に、ベルト上の電荷が瞬時(例えば0.1秒)に抜けないよう、ベルト材料を高抵抗(e13Ωcm以上)とするなどし、時定数τを大きくする必要がある。しかし、時定数τの大きな中間転写ベルトでは、ベルトチャージアップに起因したゴーストや放電マーク
等の画像不良を生じ易いというデメリットを持ってしまう。これに対して、上記実施例によれば、中間転写ベルトの時定数τを小さくすることができ、チャージアップに起因した画像不良を軽減することができる。
図11は、実施例1とは別の形態の画像形成装置の構成図である。実施例1と同じ構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。図1で説明した画像形成装置と異なる点は、図11の構成では、現像スリーブ24a〜24dが、感光ドラム22a〜22dから常に離間(離隔)し、感光ドラムに作用していない点である。印刷時は、現像高圧電源回路44a〜44dが現像スリーブ24a〜24dに交流のバイアス電圧を印加することで、感光ドラム22a〜22dと現像スリーブ24a〜24dとの間にトナーを往復運動させ、静電潜像にトナーを付着させる。この構成では、現像高圧電源回路44a〜44dを停止するだけで感光ドラム22上の静電潜像80にトナーが付着しなくなる。
また、図11の構成では、感光ドラム22a〜22dを独立した駆動源28a〜28dによって駆動し、それぞれ回転速度を設定することができるよう構成されている。そこで、感光ドラム22a〜22dの回転速度を夫々変化させることによって、レーザ光21a〜21dの照射から、静電潜像80が1次転写ローラ26a〜26dに到達するまでの時間を一定に調整し、検出した搬送方向の色ずれ量を打ち消すよう構成されている。尚、例えば感光ドラムの回転速度を速めた場合には感光ドラム上の静電潜像の副走査方向間隔が広がる。しかし、中間転写ベルト30の回転速度(移動速度)を変更していなければ、副走査方向のトナー像の転写位置の間隔は逆に狭まることとなる。従って、中間転写ベルト30上に形成される画像の副走査方向の伸縮は実質的に問題とならない。
一方、本実施例では、各感光ドラム22a〜22dの位相を検出していない構成を想定している。しかし、感光ドラム22aの軸に無視できない偏りが有る場合、前述した静電潜像80が1次転写ローラ26aに到達する時間の測定結果も変化してしまう。そこで本実施例では、複数回の測定を行い、その平均を基に色ずれを補整する。尚、以下に示す各フローチャートの処理が、図1で説明した画像形成装置を利用した場合にも適用可能であることはいうまでもない。
図12のフローチャートは、実施例2における基準値取得処理を示すフローチャートである。尚、図12のフローチャートは各色について独立して行われるものとする。
まずステップS1201乃至S1205の処理は、図5のステップS501乃至S505の処理と同様であり、ここでの詳しい説明は省略する。
そして、ステップS1206で、感光ドラム22a〜22dの軸が偏っていた時の影響を打ち消すため、極小を検出するタイマー値測定をn回繰り返すまで、制御部54は、ステップS1203乃至S1205の処理を繰り返し実行するよう制御を行う。尚、nは2以上の整数値とする。また、n回分の色ずれ補正用の静電潜像が、例えば感光ドラムの半周分であるなど、感光ドラム1周分未満の場合に、ステップS1203における所定の回転位相での色ずれ補正用静電潜像の形成が特に有効になってくる。
そして、ステップS1206で、n回の測定が終了したと制御部54が判断すると、ステップS1207で、制御部54は、n回の測定で得られたタイマー値(時間)の平均値を算出する。そして、ステップS1208で、制御部54は、平均値のデータ(代表時間)を代表値(基準値)としてEEPROM324に記憶する。ここでの記憶情報が、色ずれ補正制御を行う場合に目標となる基準状態を示すものとなる。制御部54は、色ずれ補正制御の際には、この基準状態からのずれを解消するように、言い換えれば基準状態に戻すように制御を行う。尚、平均の演算方法については、単純平均や重み付け平均など様々な演算方法が想定される。また、感光ドラムの偏心など、感光ドラムの回転周期の成分をキャンセルするという意味では、平均値を算出する方式に限定されるものではない。感光ドラムの回転周期の成分をキャンセルする為の演算であれば、例えば単純合計や重み付け合計などでも良い。尚、ここでのキャンセルとは、完全なキャンセルを意味するのではなく、感光ドラムの回転周期の成分の影響を少なくとも軽減させるという意味で用いらえている。勿論、完全にキャンセルできるようであれば、そのようにしても良い。このように、ステップS1208では、複数の取得されたデータに基づき基準値を算出するので、少なくとも単一のデータに基づき基準値を算出するよりは精度を向上させることができる。
[色ずれ補正制御のフローチャート]
次に、図13のフローチャートの説明を行う。図12と同じ処理には同じステップ符号を付してある。尚、図13のフローチャートは各色について独立して行われるものとする。
まず、図13のステップS1202乃至S1205の処理は、今述べたように図12の対応する処理と同様である。感光ドラム22a〜22dの回転軸が偏っていた場合の影響を抑制すべく、極小を検出するタイマー値測定をn回繰り返すまで、制御部54は、ステップS1203乃至S1205の処理を繰り返し実行する。
そして、ステップS1301でn回の測定が終了したと制御部54が判断すると、制御部54は、ステップS1302で、n回測定した各タイマー値の平均を算出する。ステップS1303で、制御部54は、記憶部(EEPROM324)より図12のステップS1208で記憶保存した基準値を読み出す。そして制御部54は、算出した平均値と、読み出した代表値(基準値)とを比較する。尚、感光ドラム周期の成分をキャンセルするという意味では、平均値に限定されるものでないことは、ステップS1207、S1208で説明した通りである。
平均値が基準値より大きい場合、制御部54は、ステップS1304で、印刷時にその時間分だけ、画像形成条件としての感光ドラムの回転速度を速める、即ちモータを加速させる。一方、平均値が基準値より小さい場合、制御部54は、ステップS1305で、印刷時にその時間分だけ、画像形成条件としての感光ドラムの回転速度を遅くする、即ちモータを減速させることによって、色ずれを補正する。このようにこのステップS1304、S1305の処理により、現在の色ずれ状態を、基準とした色ずれ状態(基準状態)に戻すことが可能となる。尚、この図13のステップS1304、S1305において、画像形成条件の補正として、図10のフローチャートで説明したステップS1002やステップS1003の処理を行っても良い。
[感光ドラム位相の分散]
図12、図13のステップS1203の静電潜像走査の処理を、各ページ間における非画像領域で実行する場合、図12のステップS1206、図13のステップS1301における判断回数nは、画像形成装置の各部材の寸法で決まる。具体的には、用紙サイズと、感光ドラムのドラム周長と、画像の移動方向(感光ドラムの回転方向)における非画像領域の幅とから決まる。
例えば、用紙サイズがA4(297mm)で、非画像領域の画像移動方向幅が64.0mmで、ドラム周長が75.4mmの場合に、各非画像領域の中心における感光ドラムの位相がどのように変化していくかを図14(a)のグラフに示す。また、用紙サイズ、非画像領域幅、ドラム周長が異なる数値の場合の一例を図14(b)に示す。この図14で説明することは各色について同様にいえることである。
これら図14のグラフは、各非画像領域の中央で、図12、13のステップS1203を実行したときに、静電潜像がどの感光ドラム位相に対応して形成されるかを示した図である。図14(a)、(b)の何れにおいても、複数回の各非画像領域で図12、13のステップS1203における静電潜像を形成すれば、感光ドラムの位相条件が平均化/分散化されることが示されている。
ここで、図15は、用紙サイズ、非画像領域幅の夫々がどのような事項を指すのかを説明する為の図である。図15は、中間転写ベルト上に仮にトナー像が転写されたときの1次転写位置と、そのトナー像に対応する露光を行ったときの感光ドラムの位相と、の対応関係を示している。また非画像領域とは、画像形成において静電潜像を形成し得る領域(有効画像領域)以外の感光ドラム上の領域や、ページ間領域(紙間領域)など、感光ドラム上における領域としても定義できる。また、スキャナユニット20が各ページの画像形成の為のレーザ照射を行わない期間(時間)としても定義できる。
図15において、非画像領域1505(1509)の開始位置1502(1506)、中心1504(1508)及び終了位置1503(1507)の夫々の位相は、1501の位置に対応する感光ドラムの位相と、用紙サイズにより決まる。尚、夫々の感光ドラムの位相は、上で説明したように、仮にトナー像が1次転写されるとして、そのトナー像を露光したときの感光ドラムの位相である。
また図15では、1501の位相がゼロで示されているが、他の任意の値でも問題ない。即ち、1501の位相がゼロでなくとも、図14で示される位相の変化が、幾つ目(何枚目)の非画像領域で出てくるかに関して、出現タイミングがシフトするのみである。即ち、図12、13のステップS1203の静電潜像形成時の感光ドラム位相が分散されるという意味では大差ない。
以上のように、制御部54により図12、図13のフローチャートが実行されることで、実施例1と同様の効果に加え、平均値を用いたより精度の高い色ずれ補正制御を実現できる。また、色ずれ補正用の静電潜像を形成するときの感光ドラムの位相に依存しない色ずれ補正制御を行うことができ、色ずれ補正制御の開始タイミングについてより自由度を持たせることができる。
上記実施例では、出力端子53の出力電圧に従い、1次転写ローラ26a及び感光ドラム22a及びグランドを経由して流れる電流値を、感光ドラム22aの表面電位に係る出力値として検出するよう説明した。しかしこれに限定されない。感光ドラム22a〜22dの周囲には、1次転写ローラ26a〜26dの他に、帯電ローラ23a〜23dや現像スリーブ24a〜24dなどが設けられている。これら帯電ローラ23a〜23dや現像スリーブ(現像ローラ)24a〜24dに、上記実施例1或いは2を適用することもできる。即ち、上の説明の如く感光ドラム22a〜22d上に形成された静電潜像80が、プロセス手段としての帯電ローラ23a〜23dや現像スリーブ(現像ローラ)24a〜24dに到達したときの感光ドラム22a〜22dの表面電位に係る出力値を検出してもよい。
以下、一例として、帯電ローラ23及び感光ドラム22を経由して流れる電流値を、感光ドラム22の表面電位に係る出力値として検出する場合について説明を行う。この場合、帯電ローラ毎に接続された帯電高圧電源回路43a〜43d(図2(b))を設け、各帯電高圧電源回路について図4で示した高圧電源回路と同様の回路を設け、その出力端子53を対応する帯電ローラ23に接続すれば良い。
この場合の帯電高圧電源回路43aを図16(a)に示す。図4との違いは、1つの出力端子53が帯電ローラ23aに接続されている点がある。また、ダイオード64、65に対して、カソード・アノードの向きが逆のダイオード1601、1602が高圧電源回路を構成している点も異なる。これは、本実施例の画像形成装置においては、1次転写バイアス電圧が正電圧であるのに対して、帯電バイアス電圧が負電圧であるからである。尚、他の色の帯電高圧電源回路43b〜43dについては、図16(a)に示される回路構成と同じであるので、1次転写高圧電源回路のときと同様に詳しい説明を省略する。
そして、図5及び図10、図12及び図13のフローチャートを、1次転写高圧電源回路46a〜46dにかわって、帯電高圧電源回路43a〜43d(不図示)を動作させ実行すれば良い。尚、このとき、検出電圧56に対して予め設定された電流目標値は、帯電ローラ23の特性、及び他部材との関係等を考慮して適宜設定されているものとする。
また、帯電高圧電源回路43a〜43dの電流検出回路50a〜50dを動作させ、各感光ドラムに形成された潜像マーク(静電潜像80)が、感光ドラムと中間転写ベルト30とのニップ部を通過するときに、1次転写ローラ26a〜26dをベルトから離間させると良い。また離隔することなく、1次転写ローラ26a〜26dの高圧出力をオフ(ゼロ)にするようにしても良い。これは、感光ドラム上の暗電位VD(例えば−700V)の部分のほうが、明電位VL(例えば−100V)の部分よりも1次転写ローラから供給されるプラス電荷で、より多くプラス化されるからである。つまり、暗電位VDと明電位VLとのコントラスの幅が、今説明したプラス化により小さくなってしまう。逆に、このことを回避すれば、暗電位VDと明電位VLとのコントラス幅を維持でき、検出電流の変化レンジを広いままに保つことができる。
また図16(b)は、別の帯電高圧電源回路43aを示す。図16(a)との違いは、検出電流量を示す検出電圧56が、コンパレータ74の負極の入力端子(反転入力端子)に入力されている点である。コンパレータ74の正極入力端子には閾値であるVref75が入力されており、反転入力端子の入力電圧が閾値を下回った場合に出力がHi(正)になり、二値化電圧値561(Hiになった電圧)が制御部54に入力される。閾値Vref75は、色ずれ補正用の静電潜像がプロセス手段に対向する位置を通過するときの検出電圧561の極小値と、通過する前の検出電圧561の値と、の間の値に設定され、一度の静電潜像の検出で、検出電圧561の立上がりと立下がりとが検出される。制御部54は例えば検出電圧561の立上がりと立下がりの中点を検出位置とする。また制御部54が検出電圧561の立上がり及び立下がりの何れか一方のみを検出しても良い。
尚、実施例1や2では、高圧電源回路の出力が所定条件を満たすことを検出する場合に、その所定条件として、検出電圧56が、ある一定値を下回る極小をとったことを説明してきた。しかし、この所定条件は、感光ドラム上に形成された静電潜像80のプロセス手段の対向位置の通過を示すものであれば良い。例えば、図16(b)で説明したように、検出電圧561が閾値を下回ることを所定条件としても良い。尚、このことは、図8を用いた、実施例1のステップS505の詳細説明において、既に説明を行ってもいる。従って、既に説明したフローチャートや後述するフローチャートにおいて静電潜像80を検出する条件としては様々な場合が想定される。
また、帯電、転写の他にも現像もあるが、その現像について、現像高圧電源回路44a〜44d(電流検出回路を含む)を動作させ、図5及び図10、図12及び図13のフローチャートを実行しても良い。このときの目標電流値については、帯電高圧電源回路43a〜43dの場合と同様であり、現像スリーブ24の特性、及び他部材との関係等を考慮して適宜設定すればよい。
尚、現像高圧電源回路44a〜44dを動作させる場合に、トナーが感光ドラムに付着しないように、その出力電圧をVLよりも電位を高くする必要がある。例えば、VLが負電圧で−100Vの場合には、現像高圧電源回路44a〜44dの出力を、負電圧で絶対値がVLよりも小さな−50Vの電圧に設定すればよい。或いは、図4で説明した高圧電源回路と同様の回路を現像高圧電源回路44a〜44dに追加し、VLが負電圧で−100Vの場合に、逆極性の電圧(逆バイアス)を出力するようにしても良い。
以上のように、実施例3によれば、帯電ローラ23や現像スリーブ24を用いて色ずれ補正用の静電潜像を検出することができる。これによれば、実施例1及び2と同様の効果に加え以下の効果を得ることができる。即ち、1次転写ローラ26を用いる場合には、1次転写ローラ26と感光ドラム22との間にベルトが介在しているのに対し、帯電ローラ23や現像スリーブを用いる場合には、そのような介在がない状況下で感光ドラムの表面電位に係る検出を行うことができる。
上述の実施例1乃至3の高圧電源回路では、各プロセス手段の夫々に対して、個々に電流検出回路47が設けられていた。しかし、この形態には限定されない。図17(a)(b)に別の高圧電源装置例を示す。図17(a)に示す構成は、各色の1次転写ローラ26a〜26dに対して独立した1次転写高圧電源回路146a〜146dと、各色の1次転写ローラ26a〜26dに対して共通の電流検出回路147と、を備えている。また、図17(b)は、図17(a)に対して、更に1次転写高圧電源回路46が、複数の1次転写ローラ26a〜26dで共通化されている。尚、図17(a)(b)の両方において図2と共通する構成については同じ符号を付してあり、ここでの詳しい説明を省略する。
[高圧電源の回路図]
図18を用いて、図17(a)の1次転写高圧電源回路146a〜146d及び電流検出回路147の回路構成を説明する。尚、図4と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。図18においては、比較器60a〜60dに対して設定する設定値55a〜55dに基づいて、制御部54が駆動回路61a〜61dを制御し、出力53a〜53dに所望の電圧を出力する。また、1次転写高圧電源回路146a〜146dから出力される電流が、1次転写ローラ26a〜26d、感光ドラム22a〜22d及び接地点57を経由し、電流検出回路147を流れる点も図4と同様である。そして、検出電圧56には、出力端子53a〜53dの電流を重畳した値に比例した電圧が現れる。
また図18においても、図4と同様に、オペアンプ70の反転入力端子は、基準電圧73に仮想接地され一定電圧となっている。従って、他の色の1次転写高圧電源回路の動作によって70の反転入力端子の電圧が変動してしまい、それが別の色の1次転写高圧電源回路の動作に影響することは略ない。言い換えれば、複数の1次転写高圧電源回路146a〜146dは互いに影響されず、図4の1次転写高圧電源回路46と同様の動作をする。
一方、図17(b)に示される1次転写高圧電源回路46や電流検出回路47の詳細は、図2で説明した1次転写高圧電源回路46aや電流検出回路47aと同様であり、その詳細についても図2における説明と同様である。
図17(a)と図17(b)とでは、電流発生源が単数か複数かで異なるのみであり、電流検出に関しては同様の仕組みで動作する。従って、以下の電流検知においては一例として図17(a)の高圧電源装置を例に取り上げ説明を行っていくこととする。
[色ずれ補正制御の説明]
次に、図17及び18で説明した構成により、複数の1次転写高圧電源(プロセス手段)に対して共通の電流検出回路により、静電潜像80a乃至80dを検出し、色ずれ補正制御を行う処理について説明する。
[基準値取得処理のフローチャート]
図19は、色ずれ補正制御における基準値取得処理のフローチャートである。最初のステップS501、S502の処理は図5で説明した通りである。
次に、ステップS1901乃至ステップS1904において、n=1〜4のループ処理を行い、色ずれ補正用の静電潜像を形成する。ここで形成される静電潜像を第1の色ずれ補正制御用静電潜像とすると、後述の図21のフローチャートで形成される静電潜像を第2の色ずれ補正用静電潜像として区別することができる。図20は、このループ処理を終えた直後の感光ドラム22a〜22d上に色ずれ補正用の静電潜像80a〜80dが形成された様子を示す図である。
ここでは先ず、n=1のループ処理におけるステップS1902で、制御部54は、イエロー色のスキャナユニット20aにレーザ光を発光させ、感光ドラム22a上に色ずれ補正用の静電潜像80aを形成する。このとき、制御部54は、現像スリーブ24aを感光ドラム22aから離した状態(離隔)に動作させる。またステップS503で説明したように、高圧電源回路(現像高圧電源回路)44aから出力される電圧をゼロにしたり、通常とは逆極性のバイアス電圧を印加しても良い。また、ステップS1902でも、1次転写ローラ26aよりも上流側に配置される現像スリーブ24aを、離隔させる、或いは画像形成部による通常のトナー画像形成時よりも感光ドラムへの作用が少なくとも小さくなるよう動作させている。また、この対応はフローチャートが終了するまで継続される。
その後ステップS1903で、制御部54は、一定時間の待機処理を行う。これは、各色で形成する静電潜像の検出結果が重ならない様にする為であり、画像形成装置で想定される最大の色ずれが発生したとしても、静電潜像同士が重ならないように待機時間が設定されている。また、待機処理の時間は、感光ドラムが1回転する時間未満であることが望ましい。
そして制御部54は以下同様に、n=2のループ処理において静電潜像80bを、n=3のループ処理において静電潜像80cを、n=4のループ処理において静電潜像80dをn=1のときと同様に夫々感光ドラム上に形成する。尚、本実施例ではn=1でイエロー、n=2でマゼンタ、n=3でシアン、n=4でブラックの順で感光ドラム22a〜22dに静電潜像80a〜80dを形成したものの、この順番に限定するものではなく勿論これと順番が異なっていても実施可能である。
図19のフローチャートの説明に戻る。次のステップS1905で、制御部54は、電流検出回路47の検出値のサンプリングを開始する。このときのサンプリング周波数は、例えば10kHz程度である。
次に、ステップS1906で、制御部54は、サンプリングにより取得されたデータを基に、静電潜像80の検出によって1次転写電流の検出値が極小をとったか否かを判定する。ここで、検出値が極小値を示したということは、最初に形成した静電潜像80aが1次転写ローラ26aの位置に到達したということである。言い換えればこのステップS1906の検出により、感光ドラム上に形成された静電潜像80のプロセス手段としての1次転写ローラに対向する位置への通過を検出することができる。尚、ここでの電流検出回路47の検出電流は、抵抗71を経由して1次転写ローラ26a〜26dに流れる電流を重畳した値である。そして、ステップS1906で、極小の電流値を検出すると、ステップS1907でタイマーをスタートさせる。
その後、制御部54は、ステップS1908乃至S1911で、n=1〜3のループ処理を行う。このループ処理において制御部54は、基準色の検出値が極小となったタイミングと、測定色(Y、M、C)の検出値が極小となったタイミングと、の時間的差分を測定する。ステップS1909で、2色目(n=1)乃至4色目(n=3)の静電潜像80b〜80dによって検出値が極小となった時間(タイマー値)を測定し、ステップS1910でn番目の基準値としてEEPROM324に記憶する。ここでの記憶情報が、色ずれ補正制御を行う場合に目標となる基準状態を示すものとなる。制御部54は、色ずれ補正制御の際には、この基準状態からのずれを解消するように、言い換えれば基準状態に戻すように制御を行う。また、ここで記憶される基準値は、n=1でイエローの静電潜像の到達タイミングからマゼンタの到達タイミングの差分を示している。また、n=2でイエローの静電潜像の到達タイミングからシアンの到達タイミングの差分を示し、n=3でイエローの静電潜像の到達タイミングからブラックの到達タイミングの差分を示している。
[色ずれ補正制御のフローチャート]
図21は、本実施例における色ずれ補正制御を示すフローチャートである。先ず、ステップS502〜ステップS1907については、図19のフローチャートと同様の処理なので説明を省略する。
次に、ステップS2101乃至S2106で制御部54は、n=1〜3のループ処理を行う。制御部54はステップS2102において、先ずn=1とし、図19のステップS1909と同様に、基準色の検出結果が極小になってから検出値が極小となるまでの時間(タイマー値)を測定する。そして、ステップS2103で、制御部54は、ステップS2102で測定した時間と、図19のステップS1910で記憶したn値に対応する基準値とを比較する。
制御部54は、測定した時間が記憶していた基準値より大きい場合は、ステップS2104で、印刷時のマゼンタ色のレーザビーム発光タイミングを早めるよう補正する。制御部54が、どれだけレーザビーム発光タイミングを早める設定を行うかは、測定された時間が基準値よりどれだけ大きいかに応じて調整すれば良い。他方、制御部54は、検出されたタイマー値が基準値より小さい場合は、ステップS2105で印刷時のマゼンタ色のレーザビーム発光タイミングを遅くするよう補正する。制御部54が、どれだけレーザビーム発光タイミングを遅める設定を行うかは、測定された時間が基準値よりどれだけ小さいかに応じて調整すれば良い。このようにステップS2104、S2105の処理により、現在の色ずれ状態を、基準とした色ずれ状態(基準状態)に戻すことが可能となる。以下同様にして、n=2とし、シアン色についてステップS2101乃至S2106の処理を行い、またn=3とし、ブラック色についてステップS2101乃至S2106の処理を行う。
尚、上記の説明では、電流検出を行うプロセス手段として1次転写ローラ26a〜26dを例に説明を行ったが、電流検出を行うプロセス手段として帯電ローラや、現像スリーブを適用することもできる。
帯電ローラの場合には、一又は複数の帯電高圧電源回路に対し共通した電流検出回路を設け、その電流検出回路により、図19及び図21のフローチャートを実行すれば良い。これは後述の実施例5で説明する帯電高圧電源回路に相当し、また、帯電高圧電源回路の電流検出回路を用いるときの各現像スリーブや各転写ローラの動作についても、実施例5にて詳しく説明することとする。
また、現像スリーブの場合には、一又は複数の現像高圧電源回路に共通して電流検出回路を設け、電流検出回路により、図19及び図21のフローチャートを実行すれば良い。尚、一又は複数の現像高圧電源回路からの出力電圧をどのように制御するかは実施例3にて説明した通りである。
このように、本実施例では、制御部54が、各静電潜像同士の検出タイミングが重ならないように、S1903の待機処理を行うので、静電潜像プロセス手段としての1次転写高圧電源回路46a〜46dに対して共通の電流検出回路147を用いることができる。これにより、電流検出回路に係る構成を簡略化することができる。
また、本実施例では、基準としたイエロー色の位置ずれを測定及び補正はできないものの、イエロー色を基準としたときの他の色(測定色/検出色)の相対的な色ずれ量を補正することができ、これにより各色の絶対的な位置ずれは殆ど判別できない。従って上記実施例と同様に十分な印刷品質を得ることができる。尚、本実施例では、イエロー色を基準色としたものの、他の色を基準色として上記実施例を実施することも可能であることはいうまでもない。
一方、実施例4で説明した共通の電流検出回路147を用いて、実施例1乃至3で説明した、図5及び図10のフローチャートや、図12及び図13のフローチャートと同様の処理を実行することもできる。この場合には、図19のステップS1906の処理を省略し、ステップS1908乃至S1911のループ処理をn=1〜4について実行する。そして、その後に、図21のフローチャートにおいて、S1906の処理を省略し、ステップS2101乃至S2106の処理をn=1〜4について実行すれば良い。また1次転写高圧電源回路のかわりに、帯電高圧電源回路や現像高圧電源回路を用いる場合も同様に上述した処理を実行すれば良い。
上述の実施例においては、複数のプロセス手段に対して共通の電流検出回路を利用し、且つ感光ドラム22a〜22dの特定の位置(位相)に補正用の静電潜像80a〜80dを形成するよう説明してきた。更に、複数色のプロセス手段で共通の電流検出回路を利用する場合において、実施例2で説明したように、色ずれ補正用の静電潜像を、感光ドラムの位置(位相)に係らないで形成し、色ずれ補正を行うことも可能である。以下、その形態について説明を行っていく。
[高圧電源装置の構成図]
図22に実施例5における高圧電源装置の構成を示す。図2や図17と同じ構成については同じ参照符号を付してある。異なる点は、帯電高圧電源回路43に、複数のプロセス手段としての帯電ローラ23a〜23dに対して共通の電流検出回路50を設けた点である。つまり、本実施例では、帯電ローラ23及び感光ドラム22を経由して流れる電流値を検出する処理について説明する。尚、帯電高圧電源回路43、電流検出回路50の回路構成の詳細については図16(43a、50a)で説明した通りであり、ここでの詳しい説明を省略する。
また、図22では、帯電高圧電源回路が帯電ローラ23a〜23dに共通している場合のみが示されているが、形態としてそれに限定されない。図17(a)で説明した1次転写高圧電源回路146a〜146dと同様に、帯電ローラ23a〜23dの夫々に個別の帯電高圧電源回路が設けられている場合を適用しても良い。電流発生源が単数か複数かで異なるのみであり、電流検出に関しては同様の仕組みで動作するからである。
[基準値取得処理のフローチャート]
まず、図23A、Bと図24とを併用し、本実施例における色ずれ補正制御における基準値取得処理を示すフローチャートを説明する。まず図23Aのフローチャートにおいて最初に実行されるステップS501の処理は図5で説明した通りである。そして、図23のステップS1907の処理の前に、図24中のタイミングT1〜T3で、色ずれ補正用の静電潜像を感光ドラム上に形成する準備が行われる。尚、図24のタイミングT1の前の状態は、ステップS501の色ずれ補正制御が行われた直後の状態を示している。ここでの直後とはステップS501の色ずれ補正制御が略そのまま反映されている状態のことを指す。
まず、制御部54は、タイミングT1で現像スリーブ24a〜24dを離隔させる為のカムを駆動する駆動信号を出力する。そしてタイミングT2で現像スリーブ24a〜24dが感光ドラム22a〜22dに当接した状態から離隔した状態になるよう動作する。また制御部54は、タイミングT3で1次転写高圧をオン状態からオフ状態に制御する。この1次転写高圧のオフに関して、具体的には、制御部54が、図4の回路において、設定値55をゼロに設定する。また、図18の回路においては、制御部54が、設定値55a〜55dをゼロに設定する。尚、上記実施例にて説明したように、タイミングT1で現像スリーブ24を離隔させるのではなく、現像高圧電源回路44a〜44dから出力される電圧をゼロにしたり、或いは通常とは逆極性の電圧を印加するようにしても良い。また、1次転写ローラ26a〜26dについて、1次転写高圧をオフにするのではなく、離隔させるようにしても良い。
図23Aの説明に戻ると、制御部54は、タイミングT3の後にステップS1907でタイマースタートさせ、ステップS1905でサンプリングスタートさせる。これら処理は先の実施例で説明した通りである。
次に、制御部54は、ステップS2301乃至2304で、n=1〜12のループ処理を行う。そしてループ処理におけるステップS2302において、制御部54は、レーザ信号90a〜90d、91a〜91d、92a〜92dの計12個の信号を順次出力する。ここで出力された静電潜像の信号によってスキャナユニット20a〜20dが光照射を行う。静電潜像の検出が行われる各帯電ローラ23a〜23dよりも上流側に配置される現像スリーブ24a〜24d、1次転写ローラ26a〜26が、離隔或いは通常のトナー画像形成時よりも感光ドラムへの作用が少なくとも小さくなるよう動作している点は上記各実施例と同様である。またこの対応が図23のフローチャートが終了するまで継続される点も同様である。また、ステップS2303の待機処理の待機時間は、図19のS1903と同様の技術的理由で設定される。
図24のT1〜T6のタイミングが、n=1〜12のループ処理に対応しており、色ずれ補正用の各静電潜像が順次形成されている様子が示されている。また、図24では、タイミングT4〜T6の期間で、各色の感光ドラムに関して、感光ドラムの約3分の1の周期毎に色ずれ補正用の静電潜像が形成されている。また、図中では、レーザ信号90a、90b、90c、90d、91a、91b、91c、91d、92a、92b、92c、92dの順で、各静電潜像を形成している。尚、図18の電流検出回路147で説明したときに同様に、検出される電流値は、帯電ローラ23a〜23dに流れる電流を重畳した値である。また同図に示される電流検出信号95a〜95d、96a〜96d、97a〜97dは全て重なっておらず、このようになるよう静電潜像が形成されている。ここで電流検出信号とは上に説明した検出電圧56や、検出電圧561に相当する。
次に、図23Bの説明を行う。図23Bは図23Aのフローチャートの処理で形成された色ずれ補正用の各静電潜像を検出する処理を示す。図24のタイミングT5で示される
ように、色ずれ補正用の静電潜像の形成が終了する前に、色ずれ補正用の静電潜像の検出が開始する。従って、図23Bに示される一部の処理は図23Aの処理と並行して制御部54により実行される。
まず制御部54は、ステップS2311〜S2314で、i=1〜12のループ処理を行う。制御部54は、ステップS2312において、図23Aの処理で形成された12個の静電潜像の基準タイミングからの到達時間ts(i)(i=1〜12)を測定する。このステップS2312の検出処理により感光ドラム上に形成された各静電潜像の帯電ローラに対向する位置への通過を検出することができる。そして、ステップS2313において実測結果をRAM323に一時記憶する。このステップS2313の処理で、複数個の検出結果が記憶され、その複数の検出結果が感光ドラムの回転周期の成分を少なくとも軽減した実測結果(第1の実測結果)となる。
図24中のタイミングT5〜T7の間で、電流検出に変化があった様子が示されている。95a〜95dはレーザ信号90a〜90dで形成した静電潜像による電流の変化を検出した結果である。同様に96a〜96dはレーザ信号91a〜91dの検出結果であり、97a〜97dはレーザ信号92a〜92dの検出結果である。検出タイミングが重複しておらず、これにより複数の検出対象のプロセス手段(帯電ローラ)に対して共通の電流検出回路を適用することができる。
その後、制御部54は、ステップS2315乃至S2318において、k=1〜3のループ処理を行う。そしてステップS2316で制御部54は各k値に対して、以下の論理演算を行う。尚、演算手法については、CPU321がプログラムコードに基づき演算を行っても良いし、ハードウェア回路やテーブルを用いて行っても良く、特に限定されない。
δesYM(k)=ts(4×(k−1)+1+1)−ts(4×(k−1)+1)・・・式18
δesYC(k)=ts(4×(k−1)+1+2)−ts(4×(k−1)+1)・・・式19
δesYBk(k)=ts(4×(k−1)+1+3)−ts(4×(k−1)+1)・・・式20
更に具体的に説明すると、制御部54は、ステップS2316において、上記式18〜式20に基づき、まずk=1で、ts(1)〜ts(4)の測定値から1回目のイエローを基準にしたときの各色の副走査色ずれ量δesYM(1)、δesYC(1)、δesYBk(1)を演算する。図24にも示されるようにts(1)からts(4)は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの夫々に対応した実測結果である。そして制御部54は、ステップS2317で演算されたδesYM(1)、δesYC(1)、δesYBk(1)をRAM323に記憶する。このステップS2317で記憶される情報も、感光ドラムの回転周期の成分が少なくとも軽減された実測結果(第1の実測結果)となっている。また制御部54は、k=2のループでts(5)〜ts(8)の検出結果を用いて同様の処理を行い、またk=3のループでts(9)〜ts(12)の検出結果を用いて同様の処理を行う。
最後に、ステップS2319で制御部54は、ステップS2315〜S2318のループ処理で演算された、イエローを基準とした各色の副走査方向の色ずれ量を示しているデータであって、感光ドラムの回転周期の成分をキャンセルしたデータを式21〜23により演算する。尚、色ずれ量を示しているデータとは、色ずれ状態に相関したデータであれば、色ずれ量そのものでなくとも良い。
そして、制御部54は、ステップS2320で、演算したδes’YM、δes’YC(1)、δes’YBkを感光ドラムの回転周期の成分をキャンセルした色ずれ量を示すデータとしてEEPROM324に基準値として記憶する。このようにステップS2320で記憶される情報は、感光ドラムの回転周期の成分が少なくとも軽減された実測結果(第1の実測結果)となっている。そして、ここでの記憶情報が、色ずれ補正制御を行う場合に目標となる基準状態を示すものとなる。制御部54は、色ずれ補正制御の際には、この基準状態からのずれを解消するように、言い換えれば基準状態に戻すように制御を行う。また、このステップS2320で記憶される情報のもととなるステップS2313やステップS2317で記憶される情報も、色ずれ補正の際の基準状態と見なすこともできる。
[色ずれ補正制御のフローチャート]
次に、図25A、Bのフローチャートを用いて、本実施例における色ずれ補正制御について説明を行う。図25Aは静電潜像を形成する処理を、図25Bは静電潜像を検出し、且つ画像形成条件としてのレーザビームの出射タイミングを補正する処理を夫々示している。尚、図25Aの各ステップの処理は、図23AのステップS1907乃至S2304と同様なので説明を省略する。また図25BのステップS2311乃至S2318の処理も、図23BのステップS2311乃至S2318と同様なので説明を省略する。以下では、図23との差異を中心に説明を行っていく。
制御部54は、ステップS2501で、図25Bの、ステップS2317で記憶された実測結果に基づき、(dδes’YM)、(dδes’YC)及び(dδes’YBk)を演算する。頭文字の「d」は、実際に検出された値という意味で添えてある。具体的な演算の詳細については、実質的に上記の式21乃至23にて説明した通りである。そして、制御部54は、その演算結果(第2の実測結果)をステップS2502でRAM323に一旦記憶しておく。
そして、ステップS2503で、ステップS2502で演算したdδes’YMと、図23のステップS2320で記憶したδes’YMとの差分をとる。そして、差分が0以上、即ちイエローを基準にしたときのマゼンタの検出タイミングが基準よりも遅れている場合に、図5のS1002と同様に、制御部54は、マゼンタ色のレーザビーム発光タイミングを、差分値に応じただけ早める。他方、差分が0未満、即ちイエローを基準にしたときのマゼンタの検出タイミングが基準よりも早い場合に、制御部54は、マゼンタ色のレーザビーム発光タイミングを、差分値に応じただけ遅める。これによりイエローとマゼンタとの色ずれ量を抑制することができる。
また、ステップS2506乃至2511においても制御部54は、マゼンタの場合と同様に、シアン及びブラックについて、画像形成条件としてのレーザビーム発光タイミングを補正する。このようにして、図25Bのフローチャートにおいても、現在の色ずれ状態
を、基準とした色ずれ状態(基準状態)に戻すことができる。
尚、本実施例の説明では、まず、複数の感光ドラム位相にて静電潜像80を形成し、その検出結果により予め感光ドラム回転周期の成分をキャンセルした基準値をステップS2319で記憶していた。そして、その後に、図25において、複数の感光ドラム位相にて再度静電潜像80を形成し、その検出結果から取得される感光ドラム回転周期成分をキャンセルした実測結果を取得し、予め演算し記憶させた基準値と比較を行うよう説明した。しかし、例えば平均値として予め求められたような基準値との比較を行わない他の演算方法も想定される。例えば、図23AのステップS2301と図25AのステップS2301とで取得されたデータを夫々記憶しておき、制御部54が、記憶しておいた複数のデータを用いて、最後に感光ドラムの回転周期成分をキャンセルした色ずれ量相当のデータを演算しても良い。
イエローとマゼンタの相対的色ずれ量の演算を例に具体的に説明する。ここで、まず図23BのステップS2311乃至S2314で取得されたデータをts(i)(i=1〜12)、図25BのステップS2311乃至S2314で取得されたデータをts’(i)(i=1〜12)とする。そして、まず基準色のイエローと測定色のマゼンタとの差分は、制御部54により、下記の式24で算出される。
{(ts’(2)+ts’(6)+ts’(10))―(ts’(1)+ts’(5)+ts’(9))}―{(ts(2)+ts(6)+ts(10))―(ts(1)+ts(5)+ts(9))}・・・式24
式24の(ts’(2)+ts’(6)+ts’(10))が感光ドラムの回転周期成分をキャンセルしたマゼンタの第2の実測結果に相当し、(ts’(1)+ts’(5)+ts’(9))がイエローのそれに相当する。また、(ts(2)+ts(6)+ts(10))が感光ドラムの回転周期成分をキャンセルしたマゼンタの第1の実測結果に相当し、(ts(1)+ts(5)+ts(9))がイエローのそれに相当する。また、他の色の差分についても、制御部54により同様に算出すれば良い。
そして、制御部54の式24による演算結果において、例えばマゼンタとイエローとの初期の差に対して、経時後の差の方が小さいときには、制御部54は、測定色であるマゼンタのレーザビーム発光タイミング(光照射タイミング)を遅らせる。これは、図25BのSステップS2505、S2508、S2511の処理と同様の対応である。また演算結果が正の場合は負の場合のときと逆の制御が制御部54により行われる。そして他の色についても同様の画像形成条件制御(光照射タイミグ制御)が行われる。
このように、例えば平均値として予め求められた基準値との比較を行わない他の演算方法によっても、感光ドラムの回転周期成分をキャンセルしたうえでの色ずれ量を求めることができる。また、このことは、図23及び図25のフローチャートに限らず、例えば図12及び図13のフローチャートにも応用することができる。
尚、上記の説明では、電流検出を行うプロセス手段として帯電ローラ23a〜23dを例に説明を行ったが、電流検出を行うプロセス手段として1次転写ローラや、現像スリーブを適用することもできる。
1次転写ローラの場合には、一又は複数の1次転写高圧電源回路に対し共通した電流検出回路を設け、その電流検出回路により、図23A及びBと、図25A及びBと、のフローチャートを実行すれば良い。これは実施例4の図17で説明した1次転写高圧電源回路に相当する。但し、電流検出を行うプロセス手段を1次転写ローラとするので、図24におけるT3のタイミング以降でも、1次転写高圧電源回路のオンを継続する。
また、現像スリーブの場合には、一又は複数の現像高圧電源回路に共通して電流検出回路を設け、電流検出回路により、図23A及びBと、図25A及びBと、のフローチャートを実行すれば良い。尚、一又は複数の現像高圧電源回路からの出力電圧をどのように制御するかは実施例3にて説明した通りである。
このように、本実施例では、制御部54が、各静電潜像同士の検出タイミングが重ならないように、S1903の待機処理を行うので、静電潜像プロセス手段としての1次転写高圧電源回路46a〜46dに対して共通の電流検出回路147を用いることができる。これにより、電流検出回路に係る構成を簡略化することができる。
一方、本実施例で説明した共通の電流検出回路50を用いて、実施例1乃至3で説明した、図5及び図10のフローチャートや、図12及び図13のフローチャートと同様の方式で色ずれ補正制御を実行することもできる。それを、図26及び図27のフローチャートにて説明する。
この場合には、まず、制御部54が、上にて説明した図24のタイミングチャートを実行する。このときに図23Aと図26のフローチャートが並行して実行されている。図26のフローチャートの説明を行うと、ステップS2311乃至S2314の処理は、図23Bと同様である。
そして、ステップS2601乃至S2604において、制御部54は、k=1〜4のループ処理を行う。k=1のループ処理で、ステップS2602において、制御部54は、図26のステップS2313で記憶した12個の測定値から、1番目、1+4番目、1+4+4番目の測定値の平均値を算出し、ステップS2603において1番目の基準値として記憶する。尚、各データの感光ドラム偏心の影響が異なる場合などには、重み付けによる平均値の演算を制御部54に行わせても良い。そして制御部54は、n=2〜4についても、同様に平均値の算出を行う。そして、このループ処理での記憶情報が、色ずれ補正制御を行う場合に目標となる基準状態を示すものとなる。そして、制御部54は、色ずれ補正制御の際には、この基準状態からのずれを解消するように、言い換えれば基準状態に戻すように制御を行う。
その後、所定条件が成立すると、その所定条件下で、再度、図24のタイミングチャートが実行され、次に、図25Bと図27のフローチャートが並行して実行される。図27のフローチャートにおいて、ステップS2311乃至S2314の処理は図25Bと同様である。
そして、ステップS2701乃至S2706においては、制御部54は、k=1〜4のループ処理を行う。k=1のループ処理で、ステップS2702において、制御部54は、図27のステップS2313で記憶した12個の測定値から、再度、1番目、1+4番目、1+4+4番目の測定値の平均値を算出する。そして、制御部54は、ステップS2703で、k=1に対してステップS2702で算出した平均値と、ステップS2603で記憶された1番目の基準値と大小を比較する。
ステップS2703の比較結果で、k=1に対してステップS2702で算出した平均値が、ステップS2603で記憶された1番目の基準値よりも大きい場合には、ステップS2704で1番目の色(イエロー)のレーザビーム発光タイミングを早める。一方、基準値より小さい場合には、ステップS2705で1番目の色の出射を遅らせる。そして、以後、n=2〜4についても同様のループ処理を行う。これにより現在の色ずれ状態を、基準とした色ずれ状態(基準状態)に戻すことが可能となる。
また、上記実施例5の説明では、帯電高圧電源回路を備えた画像形成装置を説明してきたが、帯電高圧電源回路のかわりに、1次転写高圧電源回路や現像高圧電源回路を用い図26、図27のフローチャートを実行することも想定される。
このように、実施例5で説明した図23及び図25のフローチャートの処理を、各色の自己基準に基づいて実行することもできる。また、このときの色ずれ量の算出に関しても、例えば平均値として予め求められた基準値との比較を行わない演算形態が想定される。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックについて、制御部54は、下記式25〜28により、基準値との比較を行わない演算方式で色ずれ量を求める。
(ts’(1)+ts’(5)+ts’(9))―(ts(1)+ts(5)+ts(9))・・・式25
(ts’(2)+ts’(6)+ts’(10))―(ts(2)+ts(6)+ts(10))・・・式26
(ts’(3)+ts’(7)+ts’(11))―(ts(3)+ts(7)+ts(11))・・・式27
(ts’(4)+ts’(8)+ts’(12))―(ts(4)+ts(8)+ts(12))・・・式28
そして、例えば式26を説明すると、制御部54の式26による演算結果が負の場合は、制御部54は、測定色であるマゼンタのレーザビーム発光タイミング(光照射タイミング)を遅らせる。これは、例えば図10のステップS1001で基準値よりも小さいと判断する場合、図12のステップS1303で基準より小さいと判断する場合、図21のステップS2103で基準値よりも小さいと判断する場合、図27のステップS2703で基準値よりも小さいと判断する場合に相当する。また演算結果が正の場合は負の場合のときと逆の制御が制御部54により行われる。そして他の色についても同様の画像形成条件制御(光照射タイミグ制御)が行われる。
以上説明したように、複数のプロセス手段に対して共通の電流検出回路を利用する場合においても、色ずれ補正用の静電潜像を、感光ドラムの位置(位相)に依らないで形成することができる。尚、本実施例では各感光ドラム1周に合計3回に色ずれ補正用の静電潜像を形成したものの、回数を多くすればするほど精度は向上するものであり、3回に限定されるものではない。
上記各実施例においては、図5、図12、図19、図23A及び図23Bにおいて、色ずれ状態の判断基準となる基準値取得処理を、図10、図13、図21、図25A及びBの色ずれ補正制御処理を行う前に行うよう説明した。しかしながら、機内昇温から通常機内温度に戻る場合に、概ね固定的な機械的状態に戻るのであれば、必ずしも基準値取得処理を行う必要はない。
設計段階又は製造段階でわかっている予め定められた基準値(基準状態)をかわりに用いても良い。この予め定められた基準値とは、図5のステップS506、図12のステップS1208、図19のステップS1910、図23のステップS2313又はS2317又は2320、図26のステップS2603で記憶される値にかわる。色ずれ状態を補正する際の目標となるこの予め定められた基準状態は、例えば図3のEEPROM324に記憶されており、制御部54により適宜参照される。そして、その参照により上に説明した各フローチャートが実行される。このように、上記の各実施例の実施は、色ずれ補正制御における基準状態をその都度検出し記憶する形態に限定されない。
尚、ステップS506、ステップS1208で記憶される値にかわる基準値を予めEE
PROM324に記憶する場合に、その記憶される基準値には、所定の回転位相が対応づけられ記憶されている。そして、制御部54は、記憶された所定の回転位相の情報を参照し、参照された所定の回転位相で、ステップS503やステップS1203などの色ずれ補正用の静電潜像形成を行う。但し、ステップS1203乃至S1205で形成されるn回分の色ずれ補正用の静電潜像が、例えば感光ドラムの1周分以上であるなどの場合は、予め定められた基準値に所定の回転位相を関連付けて記憶しておく必要はない。
[変形例]
尚、上の説明においては、中間転写ベルト30を有する画像形成装置について述べたが、その他の方式の画像形成装置にも転用できる。例えば、記録材搬送ベルトを備え、各感光ドラム22に現像されたトナー像を記録材搬送ベルト(無端状ベルト)により搬送されてくる転写材(記録材)に直接転写する方式を採用した画像形成装置にも転用できる。また、このときは、図6で説明したようなトナー色ずれ検出用マークはこの記録材搬送ベルト(無端状ベルト)上に形成されることとなる。
また、1次転写手段として1次転写ローラ26aを例に説明を行ったが、例えば、転写ブレードによる接触式の1次転写手段を適用しても良い。また、特開2007−156455号公報に示されるような面押圧により1次転写ニップ部を形成するような1次転写手段を適用しても良い。
また上の説明では、感光ドラムの表面電位を反映した表面電位情報として、電流検出回路47aにより電流情報を検出するよう説明した。これは制御部54が画像形成時の1次転写中に定電圧制御を行うからである。他方、別の1次転写方式として、定電流印加方式にて1次転写手段に対して転写電圧を印加することも知られている。即ち、画像形成時の1次転写方式として定電流制御を採用することも想定される。そして、この場合には、感光ドラムの表面電位を反映した表面電位情報として電圧の変動が検出される。そして図8の場合と同様に電圧変化の特徴的形状が検出されるまでの時間について、上述で説明したフローチャートと同様の処理を行えば良い。また、このことは、実施例3で説明した帯電高圧電源回路43a〜43d、現像高圧電源回路44a〜44dや、実施例4、5で説明した高圧電源装置についても、同様のことがいえる。
また、実施例4、実施例5においては、電流検出回路が複数のプロセス手段に対して共通化されている高圧電源回路を用いる場合を説明したがそれに限定されない。例えば、図2(a)(b)で説明した高圧電源回路や、実施例3の図16(a)(b)説明した現像高圧電源回路44a〜44dを用いても実施することができる。
また上述の各実施例では、カラー画像形成装置を例に説明を行ってきたが、上記の色ずれ補正用の静電潜像は、他の用途の検出用の静電潜像としても利用できる。例えば、白黒プリンタにおいて、記録材上におけるトナー画像の形成位置を適正に制御する場合に利用できる。この場合には、検出用の静電潜像を感光ドラム上に形成してから、現像ニップ部や、転写ニップ部や、帯電ニップ部において検出用の静電潜像の通過が検出されるまでの理想的な時間をEEPROM324に予め記憶しておく。そして、制御部54は、図10のステップS505で測定した結果や図13のステップS1302で演算した結果と、予め記憶された理想的な時間とを比較する。この理想的な時間が図10や図13のフローチャートにおける基準値に相当することになる。そして、その大小により、図10のステップS1001乃至S1003や、図13のステップS1303乃至S1305と同様の処理を行えば良い。これにより、感光ドラム上における光照射位置を適正な位置に補正でき、記録材上におけるトナー像の形成位置を良好な状態に補正することができる。これにより、例えば、プレプリント紙に帳票印刷などを行うようなケースでレイアウトの整った印刷物を得ることができる。