JP5858514B2 - スズ含有化合物を用いた乳酸類の製造方法 - Google Patents

スズ含有化合物を用いた乳酸類の製造方法 Download PDF

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本発明は、炭水化物含有原料からスズ含有化合物を触媒として用いて乳酸類を製造する方法に関する。さらに、本発明は、スズ含有化合物をインジウム化合物、レニウム化合物、マグネシウムまたは第一遷移系列金属の化合物などと組み合わせて触媒として用いて、炭水化物含有原料から乳酸類を製造する方法に関する。
現在、工業的に実施されている乳酸の製造法は糖類の乳酸発酵によるものである(特許文献1参照)。しかしながらこの方法でセルロースを乳酸発酵の原料とするには、酸又は酵素などを用いた糖化工程を経る必要がある。また一般に発酵による乳酸製造法は反応速度が遅く、巨大な発酵槽が必要となり、生成する乳酸の濃度が低いため、精製のためのエネルギー消費量が大きくなる問題がある。加えて、乳酸発酵は発酵の進行とともに溶液のpHが低下することにより、乳酸菌の発酵効率が低下してしまうため、塩基で中和させながら発酵が行われる。従って、この乳酸発酵法により生成するのは乳酸塩であり、乳酸塩より乳酸を遊離させるために酸で処理することが行われ、そこから生じる中和塩の処理もプロセス上大きな問題となっている。
生物学的な方法によらない乳酸の製造法としては、炭水化物をアルカリ存在下で水熱処理する化学的な方法が知られている。例えば糖類(非特許文献1、2参照)、セルロース(特許文献2、非特許文献3参照)、又は有機性廃棄物(非特許文献4参照)をこの方法で処理すると、高温高圧の反応条件下で分解した炭水化物の一部が異性化して乳酸が生成する。しかし、この方法では乳酸は触媒として加えられたアルカリと反応し、乳酸塩となっているため、乳酸を酸として分離するためには反応液になんらかの無機酸を添加して酸性にしなければならず、アルカリと無機酸が量論的に消費されるという問題がある。
アルカリを使わない乳酸の化学的製造法としては、金属ハロゲン化物を触媒として、デンプン、オリゴ糖又は単糖を、アルコールと反応させることにより、乳酸エステルに変換する方法が報告されている(特許文献3参照)。しかし、本発明者らが検討したところ、この方法は200℃未満ではセルロース系の原料を分解できず、乳酸や乳酸エステルの生成が認められなかった。
またアルカリを使用せず、セルロース系の原料を化学的な反応により直接、乳酸へ変換した例も報告されているが、これは非常に高温高圧(温度350℃以上400℃未満、圧力20MPa以上35MPa)の反応条件を必要としておりエネルギー消費量が大きい上、乳酸の収率も不十分である(特許文献4参照)。
またセルロース系の原料より一段階で乳酸を製造した報告として、第3族金属塩を触媒として用いた例(特許文献5、6参照)および希土類金属酸化物を触媒として用いた例(特許文献7参照)が報告されている。これらの方法では比較的、原料濃度の低い条件でのみ乳酸収率が高く、実用上より高い原料濃度で乳酸収率の良好な製造法が求められている。
特開平6−311886号公報 特開2005−232116号公報 特開2004−359660号公報 特開2004−323403号公報 特開2008−120796号公報 特開2009−263242号公報 特開2009−263241号公報
Byung Y.Y. and Montgomery R., Carbohydrate Research, Vol.280 (1996) p.27-45 Byung Y.Y. and Montgomery R., Carbohydrate Research, Vol.280 (1996) p.47-57 Niemelae K. and Sjoestroem E., Biomass, 11 (1986) p.215-221 Armando T.Q. et al., Journal of Hazardous Materials, B93 (2002)
本発明は、セルロース等の炭水化物含有原料から乳酸類を効率的に製造するための代替法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩を触媒として用いることにより、触媒使用量が少量でも、炭水化物含有原料から乳酸類(乳酸及び/又は乳酸エステル)を効率的に製造できることを見出した。さらに、本発明者らは、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩を、インジウム化合物、レニウム化合物、マグネシウムまたは第一遷移系列金属の化合物などと組み合わせて、触媒として用いることにより、炭水化物含有原料から乳酸類(乳酸及び/又は乳酸エステル)を効率的に製造できることを見出した。これらの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩の少なくとも1種を含む、水及び/又はアルコールを含有する溶媒中で、炭水化物含有原料を加熱処理することを特徴とする、乳酸及び/又は乳酸エステルの製造方法。
[2] 水及び/又はアルコールを含有する溶媒が、スズもしくは有機スズのハロゲン化物、インジウム化合物、レニウム化合物、マグネシウム化合物、及び第一遷移系列金属の化合物からなる群より選択される少なくとも1種を、水及び/又はアルコールを含有する溶媒中にさらに含む、上記[1]の方法。
上記[1]または[2]の方法の一実施形態では、上記のパーフルオロアルキルスルホン酸塩が、トリフルオロメタンスルホン酸塩であることが好ましい。
また上記[1]または[2]の方法の一実施形態では、炭水化物含有原料がセルロースを含むものであることが好ましい。
さらに上記[1]または[2]の方法の一実施形態では、水及び/又はアルコールを含有する溶媒がフェノール性化合物をさらに含むことも好ましい。
本発明の方法では、セルロース等の炭水化物含有原料から、少量の触媒を用いて、乳酸類を効率的に製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、触媒として機能する、少なくとも1種の、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩を含めた、水及び/又はアルコールを含有する溶媒中で、炭水化物含有原料を加熱処理することにより、乳酸及び/又は乳酸エステルを含む反応生成物を取得することができる。
本発明の方法を用いれば、炭水化物含有原料中の炭水化物、好ましくはセルロースから、少量の触媒を使用しても、乳酸及び/又は乳酸エステルを簡便かつ高効率に製造することができる。
炭水化物からの乳酸又は乳酸エステルの生成反応は、セルロースを出発原料とする場合には、例えば、以下のように進行する。
Figure 0005858514
セルロースはアルコール中又は水中、高温高圧下で加溶媒分解されて糖類を生成する。この反応条件下では、生成された糖類はさらに分解して低分子化合物に変化するか、逆に重合して炭素質の高分子化合物となる。その分解反応としては、脱水反応とレトロアルドリゼーションがある。脱水反応では5−メトキシメチルフルフラール、レトロアルドリゼーションでは、グリコールアルデヒド(二炭糖)、ジヒドロキシアセトン又はグリセルアルデヒド(三炭糖)、エリスリトール(四炭糖)が生成する。このうち三炭糖は、異性化により、乳酸に変換することができる。さらに乳酸は、アルコールとの脱水縮合反応により乳酸エステルへと変換される。
本発明の方法において原料として使用できる炭水化物含有原料は、炭水化物を含有する任意の原料であってよい。限定するものではないが、炭水化物含有原料は、単糖、オリゴ糖(単糖が2〜9個結合したもの)、若しくは多糖(単糖が10個以上結合したもの)などの任意の炭水化物、又はそれを含む生物由来材料であってよい。多糖としては、限定するものではないが、セルロースが好ましい。炭水化物含有原料は、例えば、セルロース、ホロセルロース、セロビオース、デンプン(例えば、可溶性デンプン)、マルトース、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、グロース等の六炭糖を含む炭水化物、ヘミセルロース、キシロース、アラビノース等の五炭糖を含むヘミセルロース系物質、又はそれらの少なくとも1つを含有する、例えばリグノセルロース系の原料であってもよい。炭水化物含有原料は、特に限定されないが、例えば、上記のような炭水化物(例えば、セルロース等)を含むバイオマス材料であってもよい。炭水化物含有原料の例としては、古紙、製材残材、麦藁、コーンストーバー、コーンコブ、トウモロコシの穂などの農産廃棄物をはじめとするリグノセルロース系バイオマス材料、デンプンやグルコース等の糖類を含む食品廃棄物等が挙げられる。本発明の方法において使用する炭水化物含有原料はセルロース等の炭水化物に加えて水を含んでいることも好ましい。
本発明の方法では、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩を、セルロースの分解反応、及び糖の分解・異性化反応のための触媒として使用する。本発明において「有機スズ」とは、1つ以上の有機置換基(炭化水素基)が結合したスズ(Sn)をいう。本発明で使用され得る有機スズのスズ原子上に結合する置換基としては、特に限定されないが例えば、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などが挙げられる。スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩は、スズ(II)塩であってもスズ(IV)塩であってもよい。「パーフルオロアルキルスルホン酸塩」としては、特に限定されないが、例えばトリフルオロメタンスルホン酸塩、ペンタフルオロメタンスルホン酸塩、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸塩、ノナフルオロブタンスルホン酸塩等が挙げられる。本発明において、より好ましいパーフルオロアルキルスルホン酸塩は、トリフルオロメタンスルホン酸塩(慣用名:トリフラート)である。スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)(Sn(OTf))(Tfはトリフルオロメチルスルホニル基CFSO−を表す。以後同様。)をとりわけ好適に使用することができる。有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸ジブチルスズ(II)をとりわけ好適に使用することができる。1つの反応系で、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩を1種類を使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の方法に用いる、水及び/又はアルコールを含有する溶媒は、水若しくはアルコール、又はその両方を含む溶液である。この溶媒は、水又はアルコール単独であってもよいし、水とアルコールの混合液であってもよいし、それらに他の成分、例えば他の有機溶媒が混合された溶液であってもよい。水としては、蒸留水、イオン交換水、工業用水等を使用することができる。アルコールとしては、特に限定されないが、炭素数1から8までの脂肪族アルコールが好ましい。例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコールなどを挙げることができる。含水アルコールも本発明において溶媒として好適に使用できる。1種又は2種以上のアルコールが溶媒に含まれていてもよい。また本発明の方法において、乳酸を製造する場合は水を溶媒として使用し、乳酸エステルを製造する場合は、アルコールを含有する溶媒を使用すればよい。
炭水化物含有原料に対する、水及び/又はアルコールを含有する溶媒の使用量は、当業者が適宜選択することができ、特に限定されるものではないが、通常、重量比で原料:溶媒=1:1〜1:1000であり、好ましくは1:5〜1:100である。
水及び/又はアルコールを含有する溶媒に含有させる、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩の合計量(使用量)としては、限定するものではないが、炭水化物含有原料中のグルコース残基1 mol当たり、質量比で0.001〜1.0 mol、好ましくは0.005 mol〜0.1 mol、例えば0.01〜0.05 molに相当する量を使用できる。使用量が少な過ぎるとセルロースの分解が進行しにくく、多過ぎると副反応のため乳酸または乳酸エステルの収率が低下するため好ましくない。
本発明の方法では、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩に、パーフルオロアルキルスルホン酸塩以外のスズ化合物をさらなる触媒として組み合わせて使用することもできる。スズ化合物としては、例えば、スズ又は有機スズのハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物を含む)が挙げられ、そのようなスズ又は有機スズのハロゲン化物としては、限定されるものではないが、例えば、塩化スズ(II)、ジ−n−ブチルスズ(II)塩化物が挙げられる。パーフルオロアルキルスルホン酸塩以外のスズ化合物の使用量としては、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩の使用量1.0 molに対して0〜1000 molに相当する量を使用できる。パーフルオロアルキルスルホン酸塩と同量又はそれより多い量を用いることが好ましく、パーフルオロアルキルスルホン酸塩の使用量1.0 molに対して1.0〜50 mol、例えば2.0〜5.0 molの範囲で使用することがさらに好ましい。
本発明の方法では、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩に、1種類以上のインジウム化合物をさらなる触媒として組み合わせて使用することもできる。インジウム化合物としては、例えばインジウムのハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、アセチルアセトン化合物、アルコキシド化合物、カルボン酸塩化合物、リン酸塩化合物、硫酸塩化合物、硝酸塩化合物などが挙げられ、限定されるものではないが、例えば、臭化インジウム(InBr)が挙げられる。インジウム化合物の使用量としては、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩の使用量1.0molに対して0〜1000molに相当する量を使用できる。スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩と同量又はそれより多い量を用いることが好ましく、パーフルオロアルキルスルホン酸塩の使用量1.0molに対して1.0〜50mol、例えば2.0〜5.0molの範囲で使用することがさらに好ましい。
また本発明の方法では、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩に、レニウム化合物およびマグネシウムもしくは第一遷移系列金属の化合物からなる群より選択される1種類以上の化合物をさらなる触媒として組み合わせて使用することもできる。レニウム化合物としては、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、アセチルアセトン化合物、アルコキシド化合物、カルボン酸塩化合物、リン酸塩化合物、硫酸塩化合物、硝酸塩化合物などが挙げられ、そのようなレニウム化合物としては、限定されるものではないが、例えば、レニウムカルボニル(Re(CO)10)が挙げられる。また、マグネシウムもしくは第一遷移系列金属の化合物としては、マグネシウム、又は第一遷移系列金属(すなわち、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛)のハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、アセチルアセトン化合物、アルコキシド化合物、カルボン酸塩化合物、リン酸塩化合物、硫酸塩化合物、硝酸塩化合物などが挙げられ、限定されるものではないが、例えば、塩化マグネシウム四水和物(MgCl・4HO)、塩化マグネシウム六水和物(MgCl・6HO)、塩化マンガン四水和物(MnCl・4HO)などが挙げられる。
レニウム化合物の使用量としては、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩の使用量1.0molに対して0〜100molに相当する量を使用できる。パーフルオロアルキルスルホン酸塩の使用量1.0molに対して0.01〜10.0mol、例えば0.1〜1.0molの範囲で使用することがさらに好ましい。
マグネシウムもしくは第一遷移系列金属の化合物の使用量としては、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩の使用量1.0molに対して0〜1.0molに相当する量を使用できる。パーフルオロアルキルスルホン酸塩と同量又はそれより少ない量を用いることが好ましく、パーフルオロアルキルスルホン酸塩の使用量1.0molに対して0.01〜0.9mol、例えば0.2〜0.8molの範囲で使用することがさらに好ましい。
さらに本発明の方法では、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩に、スズもしくは有機スズのハロゲン化物、インジウム化合物、レニウム化合物、マグネシウム化合物、及び第一遷移系列金属の化合物からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種またはそれ以上をさらなる触媒として組み合わせて使用することもできる。これらの触媒を適宜組み合わせて使用することによって、相加的または相乗的効果を得ることができる。
本発明の方法では、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸と、パーフルオロアルキルスルホン酸塩以外のスズ化合物、インジウム化合物、レニウム化合物、マグネシウム化合物、及び第一遷移系列金属の化合物からなる群より選択される1種類以上の化合物に加えて、さらにフェノール性化合物を溶媒に添加して使用することもできる。フェノール性化合物としては、特に限定するものではないが、例としてカテコール、3−フルオロカテコール、2,2’−ビフェノール、3−キノリノールなどが挙げられる。フェノール性化合物の使用量は、当業者であれば適宜調節することができるが、パーフルオロアルキルスルホン酸塩以外のスズ化合物、インジウム化合物、レニウム化合物、マグネシウム化合物、及び第一遷移系列金属の化合物からなる群より選択される化合物の使用量1.0molに対して0.1〜10.0molであることが好ましく、1.0molから4.0molの範囲であることがさらに好ましい。
本発明の方法では、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩を含む、水及び/又はアルコールを含有する溶媒中で、炭水化物含有原料を加熱処理する。パーフルオロアルキルスルホン酸塩以外のスズ化合物、フェノール性化合物、インジウム化合物、レニウム化合物、マグネシウムまたは第一遷移系列金属の化合物などを共に使用する場合には、それらも、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩と共に、水及び/又はアルコールを含有する溶媒中に加えればよい。加熱処理の条件は、原料に含まれる糖類やアルコールの種類などによって当業者であれば適宜調節することができるが、100℃〜300℃が好ましく、100℃〜250℃がより好ましく、例えば150℃〜195℃を好適に使用できる。本発明の方法ではこのように比較的低めの加熱温度で実施できる。
本発明の方法では、加熱処理を、酸素の非存在下で行うことも好ましい。酸素の非存在条件にするためには、加熱処理前に不活性ガスを反応容器に充填して、空気をパージ(排除)することが好適である。不活性ガスの種類は特に限定されるものではないが、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどが例として挙げられる。
本発明の加熱処理は、加圧下で行うことも好ましい。反応圧力は大気圧以上であることが好ましく、0.3MPa〜20MPaが好ましく、0.4MPa〜10MPaがさらに好ましい。
本発明方法における水及び/又はアルコールを含有する溶媒中での反応は、限定するものではないが、例えばオートクレーブ中で行うことが好ましい。また他の好ましい反応形態として、連続流通系反応方法(連続法)が挙げられる。原料・溶媒・触媒を混合した反応液を、所定温度、圧力に制御された反応器に連続的に供給して、所定時間反応器内に滞留させて反応させることができる。
本発明の方法では、例えば、電磁撹拌式オートクレーブにスズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩(触媒)、炭水化物含有原料、必要に応じてパーフルオロアルキルスルホン酸塩以外のスズ化合物(例えばスズ又は有機スズのハロゲン化物)、フェノール性化合物、インジウム化合物、レニウム化合物、マグネシウムまたは第一遷移系列金属の化合物など、並びに水及び/又はアルコールを含有する溶媒を仕込み、不活性ガスで空気をパージした後、上記加熱温度まで加熱して所定時間反応させればよい。加熱時間は、当業者であれば適宜調節でき、特に限定するものではないが、加熱温度に達してから3時間〜24時間とすればよく、5時間〜12時間が好ましい。所定の加熱時間経過後は、加熱を停止し、室温まで放冷させればよい。室温まで冷却した後、オートクレーブから反応生成物を取り出す。
また連続流通系反応方法を用いる本発明の方法では、炭水化物含有原料、水及び/又はアルコールを含有する溶媒、及びスズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩(触媒)、並びに必要に応じてパーフルオロアルキルスルホン酸塩以外のスズ化合物(例えばスズ又は有機スズのハロゲン化物)、フェノール性化合物、インジウム化合物、レニウム化合物、マグネシウムまたは第一遷移系列金属の化合物などを混合した反応液を、所定の加熱温度及び圧力に制御された反応器に連続的に供給し、所定の加熱時間にわたり反応器内に滞留させて反応させればよい。加熱時間経過後は、加熱を停止し、室温まで放冷させればよい。室温まで冷却した後、反応器から反応生成物を取り出す。
以上のような方法により、乳酸及び/又は乳酸エステルを高収率で生成させることができる。炭水化物含有原料がセルロースを含む場合、セルロースから効率よく加溶媒分解された糖類から乳酸類が多量に生成されることになる。本発明の方法によれば、乳酸及び/又は乳酸エステルを、炭水化物含有原料中の1グルコース残基当たりに生成されたモル数の基準で、9%〜50%の収率で得ることができる。尚、収率は、原料のセルロースより理論上生成される、1グルコース残基当たりの乳酸類のモル数(乳酸類/グルコース残基=2mol/1mol)に対する、乳酸及び/又は乳酸エステルのモル数(mol)の百分率(%)で表される。特に、使用した溶媒がアルコールを含有する場合には、炭水化物含有原料中の1グルコース残基当たりの基準で、例えば20%〜40%程度の収率で得ることができる。スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩に加えて、パーフルオロアルキルスルホン酸塩以外のスズ化合物(とりわけ、塩化スズ又はジ−n−ブチルスズ塩化物等のスズ又は有機スズのハロゲン化物)を使用する場合、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩単独の場合と比較して、乳酸及び/又は乳酸エステルの収率を例えば1〜10%増加させることもできる。スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩に加えて、インジウム化合物(とりわけ、インジウムハロゲン化物)、レニウム化合物、マグネシウム化合物、及び第一遷移系列金属の化合物からなる群より選択される1種類以上の化合物を使用する場合は、スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩単独の場合あるいはスズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩に加えて、パーフルオロアルキルスルホン酸塩以外のスズ化合物(とりわけ、塩化スズ又はジ−n−ブチルスズ塩化物等のスズ又は有機スズのハロゲン化物)を使用する場合と比較して、乳酸及び/又は乳酸エステルの収率を例えば1〜20%程度増加させることもできる。さらに、スズ若しくは有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩単独の場合、又はスズ若しくは有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩に加えて、パーフルオロアルキルスルホン酸塩以外のスズ化合物(とりわけ、塩化スズ又はジ−n−ブチルスズ塩化物等のスズ又は有機スズのハロゲン化物)を使用する場合、あるいはそれらにインジウム化合物(とりわけ、インジウムハロゲン化物)、レニウム化合物、マグネシウム化合物、及び第一遷移系列金属の化合物からなる群より選択される1種類以上の化合物を使用する場合に、さらにフェノール性化合物を加えて使用する場合、フェノール化合物を加えない場合と比較して、乳酸及び/又は乳酸エステルの収率を例えば1〜20%程度増加させることができる。
上記のようにして得られる反応液から、乳酸又は乳酸エステルを分離することも好ましい。この分離は、例えば液体クロマトグラフィー等の当業者に公知の有機酸分離方法によって行うことができる。
本発明の方法では、触媒として使用する酸の使用量を少量に抑えながらも乳酸エステルの収率を向上させることができて有用である。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
50mL容のステンレス製オートクレーブに、120℃の空気中で2時間以上乾燥させたセルロース0.405g(グルコース残基 2.5mmol相当)、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)(Sn(OTf);Tf=CFSO)8mg(0.02mmol)及びメタノール20mLと、撹拌子とを加え、蓋を閉めた。このオートクレーブ中の空気を窒素ガスでパージし、0.5MPaまで加圧した後、マグネティックスターラーで混合物を撹拌しながら、マントルヒーターを用いてオートクレーブ内部が190℃になるまで加熱した。その後10時間、190℃に保持しながら撹拌を続けた後、加熱を停止し室温中で放冷した。室温まで冷却したオートクレーブ中から反応溶液を取り出し、溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表1に示す。なお各収率は、原料のセルロースより理論上生成される、1グルコース残基当たりの乳酸類のモル数(乳酸類/グルコース残基=5 mmol/2.5 mmol)に対する、各生成物のモル数(mol)の百分率(%)で表した。表1中の「−」は検出限界以下であることを示し、「trace」は0.05%未満であることを示す。
(実施例2)
トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)に代えてトリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)((Bu)Sn(OTf))を用いた点以外は、実施例1と同様に反応を行い、各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表1に示す。
(実施例3)
メタノールに代えて純水を用いた点以外は、実施例2と同様に反応を行い、各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表1に示す。
(比較例1)
トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)に代えてトリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム(Al(OTf))(0.1mmol)を使用し、5時間の反応時間で加熱処理を行った。その他の条件は実施例1と同様に反応を行い、各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表1に示す。
(比較例2)
トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)に代えてトリフルオロメタンスルホン酸鉄(Fe(OTf))(0.1mmol)を使用し、5時間の反応時間で加熱処理を行った。その他の条件は実施例1と同様に反応を行い、各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表1に示す。
(比較例3)
トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)に代えてトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(Zn(OTf))(0.1mmol)を使用し、5時間の反応時間で加熱処理を行った。その他の条件は実施例1と同様に反応を行い、各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表1に示す。
(比較例4)
トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)(0.02mmol)に代えてp−トルエンスルホン酸一水和物(PTSA・HO)19mg(0.1mmol)を使用し、5時間の反応時間で加熱処理を行った。その他の条件は実施例1と同様に反応を行い、各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表1に示す。
(比較例5)
トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)に代えて塩化スズ(II)(SnCl)を使用した点以外は、実施例1と同様に反応を行い、各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表1に示す。
(比較例6)
トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)に代えてジ−n−ブチルスズ(II)塩化物((Bu)SnCl)を使用した点以外は、実施例1と同様に反応を行い、各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表1に示す。
(比較例7)
トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)に代えてジ−n−ブチルスズ(II)オキシド((Bu)SnO)を使用した点以外は、実施例1と同様に反応を行い、各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表1に示す。
(比較例8)
トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)に代えてジ−n−ブチルスズ(II)酢酸塩((Bu)Sn(OAc))を使用した点以外は、実施例1と同様に反応を行い、各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を表1に示す。
(結果)
表1に示すように、スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩であるSn(OTf)、ジ−n−ブチルスズのトリフルオロメタンスルホン酸塩である(Bu)Sn(OTf)を触媒として用いた結果、乳酸及び乳酸エステル(乳酸類)を高い収率で得ることができた。また、水中での反応では、乳酸を高い収率で得ることができた(実施例3)。
一方、スズ又は有機スズ以外の金属のトリフルオロメタンスルホン酸塩を用いた場合は、乳酸類が生成しても非常に少量であった(比較例1〜3)。
またp−トルエンスルホン酸一水和物(PTSA・HO)を酸触媒として用いた場合(比較例4)には、実施例1〜3と比べて5倍量の触媒を使用したにもかかわらず、乳酸類の収率は0.8%に過ぎず、これは例えば実施例1で得られた収率の32分の1以下であった。
さらに、トリフルオロメタンスルホン酸塩ではなく塩化物である塩化スズ(II)、ジ−n−ブチルスズ(II)塩化物を使用した場合には、乳酸類は生成しなかった。同様にジ−n−ブチルスズ(II)オキシド又はジ−n−ブチルスズ(II)酢酸塩を使用した場合にも、乳酸類は非常に少量しか生成しなかった(比較例5〜8)。
Figure 0005858514
(実施例4)
50mL容のステンレス製オートクレーブに、120℃の空気中で2時間以上乾燥させたセルロース0.405g(グルコース残基 2.5mmol相当)、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II) 8mg(0.02mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II) 11mg(0.02mmol)及びメタノール20mLと、撹拌子とを加え、蓋を閉めた。このオートクレーブ中の空気を窒素ガスでパージし、0.5MPaまで加圧した後、マグネティックスターラーで混合物を撹拌しながら、マントルヒーターを用いてオートクレーブ内部が190℃になるまで加熱した。その後10時間、190℃に保持しながら撹拌を続けた後、加熱を停止して室温中で放冷した。室温まで冷却させた後、オートクレーブから反応溶液を取り出し、実施例1と同様に溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。
その結果、乳酸メチルが19.0%、乳酸が2.3%の収率(合計収率21.3%)で得られた。このように本発明の方法では、2種類のスズ/有機スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩を触媒として用いた場合にも、乳酸及び乳酸エステルを高い収率で得ることができることが示された。
(実施例5)
以降の実施例では、スズ/有機スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩を、トリフルオロメタンスルホン酸塩以外のスズ化合物と共に使用して反応を行った。
まず、50mL容のステンレス製オートクレーブ(日東高圧製)に、120℃の空気中で2時間以上乾燥させたセルロース0.405g(グルコース残基 2.5mmol相当)、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)(触媒A) 8mg(0.02mmol)、塩化スズ(II)(SnCl)(触媒B)15mg(0.08mmol)及びメタノール20mLと、撹拌子とを加え、蓋を閉めた。このオートクレーブ中の空気を窒素ガスでパージし、0.5MPaまで加圧した後、マグネティックスターラーで混合物を撹拌しながら、マントルヒーターを用いてオートクレーブ内部が190℃になるまで加熱した。その後10時間、190℃に保持しながら撹拌を続けた後、加熱を停止して室温中で放冷した。室温まで冷却させた後、オートクレーブから反応溶液を取り出し、実施例1と同様に溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表2に示す。表2中の「trace」は0.05%未満であることを示す。
(実施例6)
塩化スズ(II)の代わりにジ−n−ブチルスズ塩化物((Bu)SnCl)24mg(0.08mmol)を使用した点以外は、実施例5と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表2に示す。
(実施例7)
50mL容のステンレス製オートクレーブに、120℃の空気中で2時間以上乾燥させたセルロース0.405g(グルコース残基 2.5mmol相当)、トリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)((Bu)Sn(OTf))11 mg(0.02 mmol)(触媒A)、塩化スズ(II)(SnCl)(触媒B)15mg(0.08mmol)及びメタノール20mLと、撹拌子とを加え、蓋を閉めた。このオートクレーブ中の空気を窒素ガスでパージし、0.5MPaまで加圧した後、マグネティックスターラーで混合物を撹拌しながら、マントルヒーターを用いてオートクレーブ内部が190℃になるまで加熱した。その後10時間、190℃に保持しながら撹拌を続けた後、加熱を停止して室温中で放冷した。室温まで冷却させた後、オートクレーブから反応溶液を取り出し、実施例1と同様に溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表2に示す。
(実施例8)
トリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)(触媒A)の使用量を43mg(0.08mmol)(触媒A)とし、塩化スズ(II)(触媒B)の使用量を4mg(0.02mmol)とした点以外は、実施例7と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表2に示す。
(実施例9)
セルロース、トリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)、塩化スズ(II)、及びメタノールに、さらにカテコール18mg(0.16mmol)を加えて反応を行った点以外は、実施例7と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表2に示す。
(実施例10)
塩化スズ(II)の代わりにジ−n−ブチルスズ塩化物((Bu)SnCl)24mg(0.08mmol)を用いた点以外は、実施例7と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表2に示す。
(比較例9)
トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)の代わりにp−トルエンスルホン酸一水和物(PTSA・HO)4mg(0.02mmol)を用いた点以外は、実施例6と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表2に示す。
(結果)
表2に示されるように、スズ/有機スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩を、トリフルオロメタンスルホン酸塩以外のスズ化合物と共に使用しても、乳酸類を高い収率で得ることができた。特にスズ/有機スズの塩化物との併用では、より高い収率が得られる傾向が強かった。一方、トリフルオロメタンスルホン酸塩以外のスズ化合物を触媒として使用した場合(比較例9)には、乳酸類はほとんど生成しなかった。
また、二種類の触媒の使用量比率を変えた実施例7及び8では、
触媒の合計使用量(触媒A+B)に対するトリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)(触媒A)の割合がより低い(20%;実施例7)方が、その割合がより高い(80%;実施例8)場合よりも乳酸類の収率は高かった。従って、スズ/有機スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩に他のスズ化合物を加える場合、触媒の合計使用量に対するスズのトリフルオロメタンスルホン酸塩の割合を比較的低くすることが、乳酸類を高い収率で得る上で有用であることが示された。
なお、実施例9においてフェノール性化合物であるカテコールをさらに加えて反応させた結果、カテコール不添加(実施例7)よりも高い収率で乳酸類が得られた。
Figure 0005858514
(実施例11)
以降の実施例では、有機スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩を、インジウム化合物と共に使用して反応を行った。50mL容のステンレス製オートクレーブに、120℃の空気中で2時間以上乾燥させたセルロース0.405g(グルコース残基 2.5mmol相当)、触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)(BuSn(OTf);Tf=CFSO)11mg(0.02mmol)および臭化インジウム(InBr)28mg(0.08mmol)ならびにメタノール20mLと、撹拌子とを加え、蓋を閉めた。このオートクレーブ中の空気を窒素ガスでパージし、0.5MPaまで加圧した後、マグネティックスターラーで混合物を撹拌しながら、マントルヒーターを用いてオートクレーブ内部が190℃になるまで加熱した。その後10時間、190℃に保持しながら撹拌を続けた後、加熱を停止し室温中で放冷した。室温まで冷却したオートクレーブ中から反応溶液を取り出し、溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表3に示す。表3中の「−」は検出限界以下であることを示す。
(実施例12)
セルロース、トリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)、臭化インジウム、及びメタノールに、さらにカテコール11mg(0.1mmol)を加えて反応を行った点以外は、実施例11と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表3に示す。
(比較例10)
触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)を用いず、臭化インジウム(InBr)18mg(0.05mmol)のみを用いた点以外は、実施例11と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表3に示す。
(結果)
表3に示されるように、有機スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩を、臭化インジウムと共に使用することによって、有機スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩を単独で用いる場合(上記実施例2(表1))よりも、乳酸類を高い収率で得ることができた。従って、スズ/有機スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩とインジウム化合物を併用することによって、乳酸類を高い収率で得る上で有用であることが示された。
なお、実施例12においてフェノール性化合物であるカテコールをさらに加えて反応させた結果、カテコール不添加(実施例11)よりも高い収率で乳酸類が得られた。
Figure 0005858514
(実施例13)
以降の実施例では、スズ/有機スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩を、レニウム化合物および/またはマンガン化合物もしくはマグネシウム化合物と共に使用して反応を行った。
50mL容のステンレス製オートクレーブに、120℃の空気中で2時間以上乾燥させたセルロース0.405g(グルコース残基 2.5mmol相当)、トリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)((Bu)Sn(OTf))53mg(0.1mmol)及びレニウムカルボニル(Re(CO)10)33mg(0.05mmol)ならびにメタノール20mLと、撹拌子とを加え、蓋を閉めた。このオートクレーブ中の空気を窒素ガスでパージし、0.5MPaまで加圧した後、マグネティックスターラーで混合物を撹拌しながら、電気炉を用いてオートクレーブ内部が190℃になるまで加熱した。その後10時間、190℃に保持しながら撹拌を続けた後、加熱を停止し室温中で放冷した。室温まで冷却したオートクレーブ中から反応溶液を取り出し、溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表4に示す。表4中の「−」は検出限界以下であることを示す。
(実施例14)
触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)(Sn(OTf);Tf=CFSO)42mg(0.1mmol)及びレニウムカルボニル(Re(CO)10)33mg(0.05mmol)を使用した。それ以外は、実施例13と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表4に示す。
(実施例15)
触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)((Bu)Sn(OTf))64mg(0.12mmol)及び塩化マンガン四水和物(MnCl・4HO)20mg(0.1mmol)を使用し、24時間の反応時間で200℃の加熱処理を行なった。それ以外は、実施例13と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表4に示す。
(実施例16)
触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)((Bu)Sn(OTf))32mg(0.06mmol)、塩化マンガン四水和物(MnCl・4HO)10mg(0.05mmol)及びレニウムカルボニル(Re(CO)10)16mg(0.025mmol)を使用し、24時間の反応時間で200℃の加熱処理を行なった。それ以外は、実施例13と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表4に示す。
(実施例17)
触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)((Bu)Sn(OTf))64mg(0.12mmol)、塩化マンガン四水和物(MnCl・4HO)20mg(0.1mmol)及びレニウムカルボニル(Re(CO)10)33mg(0.05mmol)を使用し、24時間の反応時間で200℃の加熱処理を行なった。それ以外は、実施例13と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表4に示す。
(実施例18)
触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸ジ−n−ブチルスズ(II)((Bu)Sn(OTf))32mg(0.06mmol)、塩化マグネシウム六水和物(MgCl・6HO)10mg(0.05mmol)及びレニウムカルボニル(Re(CO)10)16mg(0.025mmol)を使用し、62時間の反応時間で200℃の加熱処理を行った。それ以外は、実施例13と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表4に示す。
(実施例19)
触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)(Sn(OTf);Tf=CFSO)50mg(0.12mmol)、塩化マグネシウム六水和物(MgCl・6HO)20mg(0.1mmol)及びレニウムカルボニル(Re(CO)10)33mg(0.05mmol)を使用し、10時間の反応時間で200℃の加熱処理を行った。それ以外は、実施例13と同様に反応を行った。得られた反応溶液中の各種生成物を液体クロマトグラフィーにより定量分析した。その分析結果における乳酸類の収率を後掲の表4に示す。
(結果)
表4に示すように、スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩であるSn(OTf)もしくはジ−n−ブチルスズのトリフルオロメタンスルホン酸塩である(Bu)Sn(OTf)を、レニウムカルボニル(Re(CO)10)及び/又は塩化マンガン四水和物(MnCl・4HO)もしくは塩化マグネシウム六水和物(MgCl・6HO)と組み合わせて触媒として用いた結果、Sn(OTf)または(Bu)Sn(OTf)を単独で用いた場合(上記実施例1および2(表1))と比べて、乳酸類、特に乳酸エステルを高い収率で得られたが、実施例1および2と異なり乳酸は生成しなかった。
また、Sn(OTf)もしくはジ−n−ブチルスズのトリフルオロメタンスルホン酸塩である(Bu)Sn(OTf)、レニウムカルボニル(Re(CO)10)および塩化マンガン四水和物(MnCl・4HO)もしくは塩化マグネシウム六水和物(MgCl・6HO)と組み合わせて触媒として用いた場合(実施例16−19)、Sn(OTf)もしくはジ−n−ブチルスズのトリフルオロメタンスルホン酸塩である(Bu)Sn(OTf)とレニウムカルボニル(Re(CO)10)または塩化マンガン四水和物(MnCl・4HO)もしくは塩化マグネシウム六水和物(MgCl・6HO)の2種の触媒を用いた場合(実施例13−15)と比べて、乳酸類、特に乳酸エステルを高い収率で得ることができた。従って、スズ/有機スズのトリフルオロメタンスルホン酸塩とレニウム化合物およびマンガン化合物もしくはマグネシウム化合物と併用することによって、乳酸類を高い収率で得る上で有用であることが示された。
Figure 0005858514
本発明の方法は、セルロースに代表される単糖、多糖類を含むバイオマスを乳酸や乳酸エステルへ効率的に変換する新規な触媒反応系を提供する。本発明の方法を用いれば、炭水化物含有原料、例えばセルロース資源を含むバイオマスを利用した、乳酸及び/又は乳酸エステルの効率的な製造が可能となる。この方法によれば大量の強酸を用いることなく、副生成物の生成を抑制しつつ、乳酸及び/又は乳酸エステル、とりわけ乳酸エステルを高収率で製造することができる。

Claims (4)

  1. スズ又は有機スズのパーフルオロアルキルスルホン酸塩の少なくとも1種を含む、水及び/又はアルコールを含有する溶媒中で、単糖、オリゴ糖、又は多糖を加熱処理することを特徴とする、乳酸及び/又は乳酸エステルの製造方法。
  2. 水及び/又はアルコールを含有する溶媒が、スズもしくは有機スズのハロゲン化物、インジウムのハロゲン化物、レニウムカルボニル(Re (CO) 10 、マグネシウムのハロゲン化物、及びマンガンのハロゲン化物からなる群より選択される少なくとも1種を、水及び/又はアルコールを含有する溶媒中にさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. パーフルオロアルキルスルホン酸塩が、トリフルオロメタンスルホン酸塩である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 水及び/又はアルコールを含有する溶媒がフェノール性化合物をさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
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