JP5858497B2 - 携行型放射線線量計 - Google Patents
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Description
こうした状況から、地域周辺や除染などの作業場の放射線量を計測・モニタするだけでなく、人体に放射線の被曝量センサを設け、一日の活動を通して、どの程度の放射線を被曝したかを長期にわたり計測し、この計測データに基づき周辺地域の除染や、個人毎の被曝防止対策に役立てることが強く求められている。
下記特許文献1、特許文献2では、シリコン半導体素子からなる放射線検出器、マイクロコンピュータ、LCD等の表示部などからなる手首装着型あるいはクリップ装着型の携行型放射線量計が提案されている。
LED素子は、化合物半導体をPN接合したダイオードであるため、光を当てると光起電力を生じ、この電圧は、マイクロコントローラ(CPU)内の処理におけるロジックのLowレベルかHighレベルかを決める閾値より高く、光をデジタル信号とすることができる。
本発明では、この現象を利用してLEDを受光素子としても用い、携行型放射線線量計の入力装置としても利用する。
(1)放射線検出用の素子と、該素子による検出出力から被曝した放射線線量を測定して記録する携行型の放射線線量計において、被曝した放射線線量が所定の閾値を超えた場合、LEDにより使用者に警告を発するとともに、前記LEDを、表示装置を備えた放射線量管理機器に設けられた電気的に非接触な入力装置の発光・受光部と対向させ、記録した放射線量データ及び前記非接触式入力装置から送信されたコマンドやデータの送受信に利用するようにした。
上記(2)により、圧電ブザーを追加すれば、LEDのみならず、音声によっても警報を発することができる。しかも、圧電ブザーに使用する圧電素子を衝撃センサとして用いることにより、放射線線量計の本体部に衝撃が加わったときにも、放射線検出用半導体を使用した際の放射線線量検出エラーを確実に防止できるので、信頼性を高めることができる。
また、上記(3)により、放射線線量計の本体を非接触式入力装置に設けられた差込口に差し込むだけで、自動的に記録した放射線量データや非接触式入力装置から送信されたコマンドやデータの送受信が開始されるので、操作性を向上させることができる。
さらに、上記(4)により、IDカード情報と連携させて個人毎の放射線被曝量を管理したり、紛失等を防止するとともに、IDカードのホルダーにより衝撃を吸収して、衝撃による誤検出の可能性をさらに低減することができる。
図1は、装置の全体構成を示す。
放射線線量計の本体部1は、ポケットやIDカードケース等に入れて携行できる程度の大きさであり、衣服等へ装着するためのクリップやピンなどが取り付けられていてもよい。
本体部1の内部には、放射線検出部2、マイクロコントローラ部(CPU)3、小型のLED4が設けられている。本体部1のLED4側端部を、表示装置5を備えたパソコン等の放射線管理機器に接続された入力装置6の差込口61に差し込むことで本体部1と入力装置6とを接続できるようになっている。なお、入力装置6には、本体部1が入力装置6の差込口61に差し込まれたとき、LED4と対向するよう配置された発光・受光素子62が設けられ、インターフェース回路63、ケーブル7を介して、表示装置5に接続されている。この発光・受光素子62は、LED等からなる発光素子とフォトダイオードあるいはフォトトランジスタからなる受光素子から構成されている。
この放射線検出用ダイオード8に放射線(γ線)が入ったとき、アノード側から特定波形の微弱電流が出力され、これを増幅器9で増幅した後、ノイズ除去を行う波形弁別器10で特定の波高が検出された時のみにパルス信号を出力し、このパルス信号はマイクロコントローラ部3に入力される。
放射線検出用ダイオード8からは、放射線(γ線)が入ったときに発生する微弱電流よりさらにレベルの低いノイズが発生するが、波形弁別器10により、こうしたノイズが除去され、マイクロコントローラ部3は、放射線(γ線)が入ったときに発生する電流パルスのみをカウントすることにより、放射線量を計測することができる。
このように構成することで、LED4は、自ら発光するだけではなく、光が照射されたとき、光起電力により電圧信号を出力するので、図3に示されるように、この出力を抵抗42、抵抗41を介してマイクロコントローラ部3に入力することにより、本体部1にコマンドやデータを送ることができるようになっている。
LED4と並列に抵抗42を接続しない場合、LED4の端子間の容量やマイクロコントローラの端子の入力容量によって、光の強度変化に対してLED4のアノード電圧信号に遅れが生ずるが、LED4と並列に抵抗42を接続することでLED4のアノード電圧を光の強度変化に追従させることができる。
本体部1のLED4が入力装置6の発光・受光素子62から所定のコマンドに対応するパルスパターンの信号を検知した場合、本体部1を通信モードに切り換えて本体部1のLED4と入出力装置2の発光・受光素子62との間の光通信を確立する。
なお、LED4は、同色あるいは異色のLEDを複数設け、装着時に線量率を点灯数で表すようにしてもよいし、線量率が増大するにつれ点滅周期を早めたり、LEDの色を変化させることにより線量率のレベルを示すようにしてもよい。
さらに、入力装置6に差込口61を設けることなく、発光・受光素子62を入力装置6の端面に配置し、本体部1のLED4をこれに対向させて、本端部に設けたスイッチをONにすることにより、両者間の送受信を行われるようにしてもよい。
この実施例では、図4に示すように、実施例1に、警報音を発する圧電ブザー12を追加したものである。
放射線線量計の本体部1をクリップを使用して、胸ポケットなどに装着した場合など、LED4の点灯、点滅のみでは、作業中の装着者が警報に気づかない場合もある。そこで、この実施例では、そのときの放射線量率や累計被曝放射線量が安全値を超過したとき、LED4の点灯だけでなく、圧電ブザー12を併用して警報音を発するようにする。
この場合、線量率に応じて、音量を変化させたり、警報音断続周期を変化させることで、線量計のレベルを装着者に報知することが可能となる。
このような場合、波形弁別器10からは、放射線(γ線)が入ったときに発生する線量に直接関係するパルスに加え、衝撃に伴い発生したパルスがマイクロコントローラ部3に入力されることになる。このため、本来より高い線量が計測されることになり、正確な線量率管理が不可能になるとともに、LED4の点灯警報や、圧電ブザー12の警報音により、装着者に大きな不安を与えることになる。
すなわち、本体部1を落下させたり、異物に衝突させたりして生じた衝撃や振動を、圧電ブザー12の圧電素子で検出する。圧電素子の出力を、放射線の検出信号に悪影響を及ぼす周波数帯域のみ信号を通過させ、低周波の信号等、その以外の周波数帯域の信号を遮断するフィルタ13、増幅器14、波形分別器15を介して、マイクロコントローラ部3に入力する。
波形分別器15は、波形分別器7と同様に、ある閾値を超えた場合にパルス信号を出力し、マイクロコントローラ部3に入力する。
そこで、図5に示すように、衝撃時に、圧電ブザー12の圧電素子から、フィルタ13、増幅器14、波形弁別器15を介して入力された電圧が閾値を超えた場合、増幅器9の出力が閾値を超えることになる。このような場合には、波形弁別器10からの出力パルスがある場合でも、不要情報としてこれを除外する。
また、波形弁別器10からの出力パルスがない場合でも、波形弁別器15からの出力パルスがある場合には、外部ノイズ等の影響が強いことが予想される。このような場合には、放射線量の計測が信頼できないものであるとして、この前後の所定の時間帯を計測時間から除外することにより、線量計測の信頼性を高めるとともに、誤警報を確実に防止することができる。なお、図5において、最上段の増幅器9の出力の矢印で示したピークは、強い衝撃や振動がないものとした場合を示しており、これが本来計測すべき放射線の信号を示している。
LED4による光通信だけではデータ転送速度が低いため、記録した詳細なデータを読み出したりコマンドを本体部1に送信するのに時間がかかる場合がある。これを解決するため、この実施例では、図6に示すように、実施例2に、無線あるいは赤外線による入出力回路16及び磁気スイッチ17を追加したものである。この磁気スイッチ17は、図1において、入力装置6の差込口61に本体部1を挿入した時に、入力装置6の内部に配置した永久磁石等によってオンになるものである。
また、LED4による光通信のみでは、本体部1に入力装置6が差し込まれていないにもかかわらず、外部の光の変動によって光通信と同様な信号が発生し、不必要な通信モードになる可能性がある。しかし、本体部1に入力装置6を差し込み、磁気スイッチ17がオンの間だけ通信モードにするようにすれば、ノイズにより通信モードが作動し、不要な電力消費を防止することもできる。
上記実施例1から3の線量計は、本体部1が表示装置を持つことなく、LED4や圧電ブザー12による警報にとどめ、LED4を電気的に非接触の入出力装置として兼用させることにより、職員等が常に持ち歩くIDカードよりも小さく、また薄くすることができる。
また、電気的に非接触で測定データを読み取ることができることから、本実施例では図7のように、本体部1をIDカードと接着あるいは一体成型により一体化したり、カードホルダーにIDカードと共に入れて本体部1とIDカードが一緒になるようにして線量を測定するように構成する。
各実施例において、放射線線量計の本体部1にGPS機能を搭載させ、その位置情報を放射線線量計が計測した被曝放射線量を時間とともに記録すれば、放射線線量の高い地域をより一層正確に特定でき、除染を行うべき地域の特定などの情報を自動的に収集することが可能となる。
なお、スリープモードの解除は、放射線線量計の本体部1に設けたスイッチや、放射線管理機器が設置された事務所の無線LAN等により行ってもよい。
しかし、電池交換や再較正の時間がかかり、異なる放射線線量計のIDのものを装着者に引き渡す場合は、放射線線量計IDと装着者IDとを関連づけることが必要になる。
こうした関連付けは、データーベース上で行ってもよいが、装着者に線量計を渡す前に管理システムを立ち上げ、IDの関連付けを行うことが好ましい。その際には、本体部1の不揮発性メモリ11に線量計IDとともに装着者IDを格納することで、データーベース等にアクセスしなくても、装着者を特定して電池交換後も記録を継続できる。これによって、電池交換が行われても、装着者毎の被曝線量を、継続的にしかも正確に管理することが可能となる。
2 放射線検出部
3 マイクロコントローラ部
4 LED
5 放射線管理機器のディスプレイ
6 入力装置
7 ケーブル
8 放射線検出用ダイオード
9、14 増幅器
10、15 波形弁別器
11 不揮発性メモリ
12 圧電ブザー
16 入出力装置
17 磁気スイッチ
Claims (3)
- 放射線検出用の素子を有し、該素子による検出出力から被曝した放射線線量を測定して記録する携行型の放射線線量計において、
被曝した放射線線量あるいは線量率が所定の閾値を超えた場合、LEDにより使用者に警告を発するとともに、前記LEDを、表示装置を備えた放射線量管理機器に設けられた電気的に非接触な入力装置の発光・受光部と対向させ、記録した放射線量データ及び前記非接触式入力装置から送信されたコマンドやデータの送受信に利用したことを特徴とする携行型の放射線線量計。 - 前記放射線検出用の素子として放射線検出用半導体を使用した請求項1記載の携行型の放射線線量計において、
被曝した放射線線量あるいは線量率が所定の閾値を超えた場合、圧電素子により使用者に警報音を発す圧電ブザーをさらに備え、前記放射線線量計に加わった衝撃、振動を前記圧電ブザーに使用する圧電素子により検出し、前記放射線検出用半導体による放射線量検出値から衝撃、振動によるノイズ分を除去するノイズ除去装置を備えたことを特徴とする携行型の放射線線量計。 - 請求項1または2に記載の携行型の放射線線量計において、
前記放射線線量計が、前記非接触式入力装置に設けられた差込口に差し込まれたとき、前記LEDが、前記差込口の内部に設けられた発光・受光素子に対向し、前記記録した放射線量データ及び前記非接触式入力装置から送信されたコマンドやデータの送受信を行うようにしたことを特徴とする携行型の放射線線量計。
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