以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態例に限定されるものではない。
図1に、本発明を適用する整線用器具1を示す。整線用器具1は、複数本の電線を束ねる際の整線作業に使用するものである。整線用器具1は、本体2と、本体2に形成されたガイド溝3と、脱落防止手段7とを備えている。
図2に、本体2を示す。本体2は、作業者が手で外周を持てる程度の太さの径(中央部の直径が一例として40〜100mm)の柱状(円柱状)に形成されている。ここでは、本体2は、一端部(図の左端部)側が太く、他端部(図の右端部)側が細いテーパー付きの柱状である錐台形状(円錐台形状)に形成された例を示している。ここで、錐台とは、錐体の頭部を底面に平行な面で切り取ったときの残りの部分である。
本明細書では、本体2の太い一端部側の最大径部を大径部11、本体2の細い他端部側の最小径部を小径部12という。同図に示すように、大径部11側の径D1、小径部1側の径D2としたときに、径D1>径D2の関係になっている。尚、本体2には、大径部11側の端部の中心に短く細い円柱状の突起15が形成されているが、この突起15は製造上の都合で設けられたものであるので無くてもよい。又、小径部12側に突起15が設けられていてもよい。
本体2は、角柱状又は角錐台形状に形成されていてもよい。又、本体2は、作業者が持つことができる形であれば、球状、多面体形状などどのような形状で形成されていてもよい。
本体2の長さは、作業者が持って作業できる程度の長さ(一例として50〜300mm)に形成されている。
本体2は、樹脂製、金属製、又は木製である。作業者が持って作業するため、本体2は、軽い樹脂製であることが好ましい。本体2が、樹脂製、金属製、又は木製である場合、母材から本体2の形状に削り出して製作してもよい。本体2が、樹脂製又は金属製である場合、熱で溶けた原材料を金型を用いて成形することで製作してもよいし、3Dプリンターを用いて製作してもよい。
同図に示すように、本体2の外周には複数のガイド溝3が形成されている。ガイド溝3は、柱状の縦の中心軸P方向に沿う方向に形成されている。この例では、本体2が錐台形状であるので、ガイド溝3は大径部11側から小径部12側に向かうに連れて、錐台形状の縦の中心軸P(中心部)に近くなるように、中心軸Pに対して所定角度で傾斜して形成されている。したがって、複数のガイド溝3は、それらの延長線が錐台の頂点を通るように同じ方向を向いている。
複数のガイド溝3は、柱状の本体2の外周に一例として等間隔で形成されている。同図には、ガイド溝3が8本形成されている例を示している。8本の場合、本体2の中心軸Pから360/8=45°の所定角度毎に引かれた放射線(図示せず)上にガイド溝3が配置されている。ガイド溝3の本数は、整線する電線の本数に合わせて設ければよく、例えば3〜15本程度の本数で形成する。
ガイド溝3同士は、壁部5で仕切られている。壁部5の壁厚さは、大径部11側から小径部12側に向かうにつれて薄くなっている。小径部12側の壁部5の厚さが製造可能な下限の薄さになる程度まで、小径部12側の本体2の径を小さくすることが好ましい。
同図に示す壁部5の頂部に形成された螺子孔21は、脱落防止手段7を螺子止めするための孔である。
図示しないが、大径部11側及び小径部12側のガイド溝3の端部(壁部5の端部)の角は、電線が擦れないように面取りされていることが好ましい。又、図示しないが、壁部5の頂部(本体2の外周)に、手が滑らないように、細かい凹凸又は浅いスリットなどの滑り止めを付けてもよい。
本体2の中心軸Pを中心として、本体2を縦に貫く穴が開けられていてもよい。本体2の中心に穴を開けることで、本体2を軽量化することができる。
図3に、ガイド溝3部分の拡大横断面図を示す。ガイド溝3の溝幅W及び溝深さGは、本体2のどの位置であっても同様に形成されており、溝の上空から1本の電線90が溝内に入れられるサイズに形成されている。具体的には、ガイド溝3は、電線90の最大径K<溝幅W、電線90の最大径K<溝深さGの関係になっている。ガイド溝3の底は平底であってもよいし、丸底であってもよい。ガイド溝3には、1本の電線90がガイド溝3の上空(図の上側)から溝に沿わせて溝内に入れられる。電線90は、ガイド溝3内を溝に沿う方向に移動可能である。ガイド溝3の溝内(壁部5)には、電線90の滑りをよくするために、シリコーンでコーティングしたシリコーン被膜が形成されていてもよい。本体2自体がシリコーンで形成されていてもよい。電線90として、1本の金属線91を絶縁被膜92で被覆した断面が円形のものを例示しているが、多芯電線や、断面が楕円形、平形のものを使用してもよい。
図1に示す脱落防止手段7は、ガイド溝3内から電線90の脱落を防止するためのものである。
同図には、脱落防止手段7として、面ファスナーを使用した例を示している。この面ファスナーは、帯状に形成されおり、柱状の本体2の外周を周回可能な長さに形成されている。本体2を周回した面ファスナーの重なり合う部分(貼り合わせる部分)を長くした方が、面ファスナーの固定強度が増す。面ファスナーの一端部は、本体2の外周(図1に示す壁部5の螺子孔21)に、螺子22で固定されている。このように、面ファスナーの一端部を本体2に固定したほうが、面ファスナーが位置決めされると共に、紛失しないため好ましい。脱落防止手段として、本体2に固定されていない面ファスナーを使用してもよい。
同図では、脱落防止手段7として2本の面ファスナーが、適当な間隔を開けて本体2に取り付けられている例を示している。脱落防止手段として用いる面ファスナーの数は、1本であってもよく、複数本であってもよく任意である。面ファスナーの幅は適宜設定すればよい。面ファスナーに換えて、腕時計に使われるような皮製又は樹脂製のベルトを用いてもよい。
図4に、本発明を適用する整線用器具1の使用方法を図示する。
最初に、図4(a)に示すように、作業者は、複数本の電線90を本体2の複数のガイド溝3に1本ずつセットする(入れる)。ガイド溝3の上空側から電線90を溝内に入れられるので、電線90の一端部(又は両端部)が電気機器(図示せず)に接続されていたとしても、又、電線90のどのような位置であっても、ガイド溝3に電線90を簡便にセットすることができる。通常は、電線90の一端部を電気機器に接続しておき、その電気機器に近い側の電線90をガイド溝3にセットする。本体2は、小径部12(図の右端部)が接続された電気機器側を向き、大径部11(図の左端部)が電線90の未接続端(開放端)側を向くようにセットする。同図の例では、電線90の右方向の少し先に電気機器が接続されていて、電線90の左方向の先が何も接続されていない未接続端になっているものとする。
次に、図4(b)に示すように、脱落防止手段7である2本の面ファスナーを、本体2に各々周回させて貼り合わせ固定する。これでガイド溝3内から電線90が外部に脱落してしまうことを防止できる。面ファスナーは誰でも簡便に取扱うことができる。複数のガイド溝3は小径部12側で互いに近づくため、複数本の電線90同士の距離が近づき纏まる。作業者は、本体2の小径部12側の複数の電線90を絶縁テープ951で巻いて1本に束ねる。
次に、図4(c)に示すように、作業者は、一方の手(例えば右手)Hrで整線用器具1を持ち、他方の手(例えば左手)Hlで小径部12側の電線90を持つ。続いて、作業者は、整線用器具1を持った手Hrを、大径部11側の先方へとスライド移動させる。整線用器具1をスライドさせているときに、複数本の電線90が各々のガイド溝3内を通るため、交差したり絡んだりしていた複数の電線90同士がまっすぐに揃って整然と並ぶ。又、複数のガイド溝3がテーパー状に小径部12側で互いに近づくことから、複数本の電線90が自然に近づいてスムーズに一つに纏まる。
整線用器具1は大径部11から小径部12までテーパー状に太さが変わるので、作業者は握りやすい径の位置を持つことができる。さらに、径の太い大径部11側が手の滑り止めになるので、押す力を掛け易いため、整線用器具1を簡便にスライド移動させることができる。
図4(d)に示すように、作業者は、絶縁テープを巻くべき間隔の所定距離分だけ整線用器具1をスライド移動させて停止させる。作業者は、本体2の小径部12側で、絶縁テープ951から所定距離だけ離れた位置Mを、絶縁テープ952で巻いて電線90を1本に束ねる。位置Mにおける電線90は整線用器具1の作用で既に整線されているので、作業者は手で整線する必要が無く、絶縁テープ952を巻くだけでよいので簡便、迅速に複数本の電線90を束ねることができる。
絶縁テープ951と絶縁テープ952との間の所定距離は、その間の複数本の電線90同士の整然と揃った纏まりが維持できる程度の距離であり、例えば50〜500mmである。
次に、作業者は、絶縁テープ952辺りの位置を手Hlで持ち、図4(c)〜図4(d)と同様の作業を行う。この図4(c)〜図4(d)の作業を電線90の先方へと繰り返し行うことで、複数本の電線90が整線された状態で左端部側まで1本に束ねられる。最後は、電線90の開端から整線用器具1を引き抜けばよい。電線90の左端部(先端)側に電気機器が接続されていたとしても、脱落防止手段7である面ファスナーの貼り合わせを外すことで、整線用器具1を電線90から取り外すことができる。
このように、整線用器具1を使用することで、複数本の電線90を平行に揃った状態に簡便に整線することができる。例え、電線90の一端側又は両端側に電気機器に接続されていても、整線用器具1を使用して整線することができる。
尚、本発明を適用する別の整線用器具1aとして、図5に示す脱落防止手段7a及び本体2を用いてもよい。本体2は整線用器具1と同様のものである。
同図には、脱落防止手段7aとして、本体2の外周にちょうど嵌る径の筒を使用した例を示している。この筒状の脱落防止手段7aは、本体2の錐台形状に合わせて、一端側(図の左側)の径が太く、他端側(図の右側)の径が細くなるように、テーパー状に形成されている。脱落防止手段7aを本体2に被せることで、脱落防止手段7がガイド溝3の蓋となり、ガイド溝3内から電線90の脱落を防止できる。脱落防止手段7aは本体2とほぼ同様の長さで形成されている。
筒状の脱落防止手段7aには、一端側から他端側まで1本のスリット71が形成されている。脱落防止手段7aは、可撓性を有する樹脂製又はゴム製であり、スリット71を押し開くことができるようになっている。スリット71を押し開くことで、スリット71の部分から筒内に、本体2や電線90を簡便に通すことができる。脱落防止手段7aには、不必要にスリット71が開かないように、スリット71を跨ぐ留め金72を設けてもよい。
この整線用器具1aでは、図示しないが、本体2の複数のガイド溝3に複数の電線90をセットし、スリット71から電線90を筒内に通して、本体2に脱落防止手段7aを被せるように嵌める。作業者は、筒状の脱落防止手段7aを持って、本体2の大径部11側に整線用器具をスライド移動させて整線作業を行う。本体2及び脱落防止手段7aはテーパー形状であるので嵌り合って一体化するため、脱落防止手段7aから本体2が抜け落ちることなく整線作業を行うことができる。整線作業が終了したら、整線用器具1aを電線90から引き抜いてもよいし、スリット71を押し開いて、本体2及び電線90から脱落防止手段7aを取り外してもよい。
脱落防止手段7、7aとして、面ファスナーやテーパー状の筒を用いた例について説明したが、ガイド溝3からの電線90の抜けを防止できる構造であれば脱落防止手段として用いることができる。例えば、脱落防止手段として、各々のガイド溝3に開閉式の蓋又はシャッターを設けてもよい。
次に、本発明を適用する別の整線用器具1bについて説明する。
整線用器具1bは、図6、図7に示す本体2bと、例えば既に説明した脱落防止手段7又は脱落防止手段7aとを組み合わせて使用するものである。尚、既に説明した構成と同様の構成については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図6に示す本体2bは、本体2(図2参照)と同様に、一端部側が太い大径部11、他端部側が細い小径部12になっているテーパー付きの柱状である錐台形状に形成されている。
この本体2bは、1本の電線90が入れられるサイズの1本用のガイド溝3、及び、複数本(この例では2本)の電線90が入れられるサイズの複数本用(この例では2本用)のガイド溝8が外周に形成されているものである。ガイド溝8の溝深さGcは、(電線90の最大径K)×2 < 溝深さGc の関係である。ガイド溝3及びガイド溝8は同様の溝幅W(図3参照)で形成されている。
本体2bの外周には、一例としてガイド溝3が6本、及びガイド溝8が1本の計7本が等間隔で形成されている。これらガイド溝3及びガイド溝8が7本形成されている場合、本体2bの中心軸Pから360/7=約51.4°の所定角度毎に引かれた放射線(図示せず)上にガイド溝3及びガイド溝8が配置されている。
図7(a)に、本体2bのガイド溝3及びガイド溝8に、電線90をセットした使用状態を示す。同図では、本体2bの小径部12側の端面を示すと共に、電線90を断面(内部構造の図示省略)で示している。整線用器具1bは、ガイド溝8に電線90を2本入れること以外は、図4に示した整線用器具1の使用方法と同様に使用することができる。
図7(b)に示すように、8本の電線90を1つに束ねた場合、中央部に1本の電線90(c)が入り、その周りを7本の電線90が取り囲むような形で束ねられる。これは、複数本の電線90を絶縁テープで束ねるときに、手で握って締め付けることで外周が円形に近くなると共に、断面面積が小さくなるような配置に複数本の電線90が整列するためである。
本体2bを使用することで、ガイド溝8に入れられた2本の電線90のうちの溝の奥側(中心軸P側)の電線90(c)が、そのまま中央部に入って8本の電線90が図7(b)のように整列する。そのため、より一層スムーズに電線90の整線作業を行うことができる。
他の本数の電線90の場合、複数本の電線90を整線して一つに纏まったときの配置に近くなるように、中央部に入る電線90(c)の本数や位置を考慮して、ガイド溝3、ガイド溝8を配置すればよい。電線90の数が多いときには、ガイド溝8の数を複数配置してもよく、ガイド溝8だけを配置してもよい。電線90の数によっては、2本以上の電線90が入るガイド溝を設けてもよい。ガイド溝3及びガイド溝8を例えば不等間隔で並べるように任意の位置に配置してもよい。
尚、図8に示すように、一端端から他端側まで太さ(径)が同じ柱状(一例として円柱状)の本体2cを用いてもよい。この例では、中心軸Pとガイド溝3とガイド溝8とが互いに平行に形成されている。この本体2cでは、複数の電線90が中心軸P側に近づくように本体2cの径を小さくした方が、スムーズに整線することができる。
次に、本発明を適用する別の整線用器具1dについて説明する。
図9に、整線用器具1dを示す。整線用器具1dは、本体2dが柱状(一例として円柱状)に形成され、その縦軸方向に2分割可能に形成されている。2分割可能な本体2dは、部分体31a及び部分体31bで構成されている。部分体31a及び部分体31bは、一例として、円柱の中心軸を通るように半分に2分割されている。
部分体31aと部分体31bとは、開閉手段になる蝶番37で互いを跨いで開閉可能に繋がれている。ここでは、蝶番37によって部分体31aと部分体31bとを繋いだ例を図示したが、折り曲げ可能な可撓性を有する樹脂で、部分体31aと部分体31bとを繋ぐように全体を一体的に成形することで、開閉可能にしてもよい。
又、部分体31aと部分体31bとを開閉手段で接続せず、分離可能に別体で構成してもよい。この場合、使用時に部分体31aと部分体31bとが分離しないように固定手段になる面ファスナーで外周を締め付けたり、掛け金を互いに掛けたりして1つに固定すればよい。
部分体31a及び部分体31bの円柱外壁面には、浅いスリット又は細かい凹凸などの滑り止め28が付けられていると、作業者の手が滑り難くなるため好ましい。
図10に、本体2dを蝶番37で開いて2分割にした状態を示す。本体2dを分割したときに部分体31a側に分割面32aが現れ、部分体31b側に分割面32bが現れる。分割面32aには、円柱の縦軸方向に沿って、ガイド溝91、92、93が形成されている。分割面32bには、円柱の縦軸方向に沿って、ガイド溝94、95、96が形成されている。分割面32a及び分割面32bは、一つに合わせたときに互いの形状が相補的にちょうど合わさる形状であれば、平坦面に限られず、曲面又は段差面であってもよい。
ガイド溝91〜94、96は、同図に示すように、1本又は複数本(この例では2本)の電線90が溝の上空から溝に沿って入れられるように形成されている。ガイド溝95は、対向するガイド溝92と合わせることで、電線90が溝内に入るようになっている(図9参照)。
ガイド溝91〜96の形状や配置は、1つに束ねたときの複数本の電線90の配置に近くなるように設定することが好ましい。この整線用器具1dは、8本の電線90を整線するものである。8本の電線90の場合、1つに束ねると図7(b)のような配置になる。図7(b)の配置に近くなるように、一例として、図9、図10に示すガイド溝91〜96が形成されている。
図9に示すように、分割面32aと分割面32bとを対向するように合わせて、部分体31a及び部分体31bを柱状にすると、ガイド溝91〜96の溝上には対向する部分体31a、31bがあるため、ガイド溝91〜96を含む閉領域が形成される。そのため、ガイド溝91〜96内から電線90が脱落することが防止される。つまり、ガイド溝91〜96に対向する部分体31a及び部分体31b(本体2d)が脱落防止手段を兼用している。言い換えると、脱落防止手段として、分割面32aと分割面32bとを合わせたときに閉領域になるようにガイド溝91〜96が形成されている。
図10に示すように、部分体31bには、可撓性を有する樹脂製の掛け爪34が設けられている。掛け爪34は、部分体31bと樹脂で一体的に成形されていてもよい。掛け爪34に対応する位置の部分体31aには、爪掛け孔35が形成されている。部分体31aと部分体31bとを閉じたときに、掛け爪34が爪掛け孔35に入って掛け止めされ、本体2dが柱状に固定される。掛け爪34及び爪掛け孔35は、本体2dが分割しないように固定する固定手段になる。部分体31aと部分体31bとを開くときには、掛け爪34を爪掛け孔35から外せばよい。
この整線用器具1の使用方法について説明する。図10に示すように、作業者は、整線用器具1d(本体2d)を分割して開き、ガイド溝91〜94、96に電線90(同図では一部を図示)をセットする。ガイド溝91〜94、96の上空側から電線90を溝内に入れられるので、電線90の一端部(又は両端部)が電気機器(図示せず)に接続されていたとしても、又、電線90のどのような位置であっても、ガイド溝91〜94、96に電線90を簡便にセットすることができる。
続いて、図9に示すように、整線用器具1d(本体2d)を閉じることで、整線作業の準備が完了する。
作業者は、図4を用いて説明したように、整線用器具1dを電線90に沿ってスライド移動させることで、複数本の電線90を整線することができる。作業者は、所定間隔毎に絶縁テープを巻いて複数本の電線90を束ねる。複数本の電線90は、ガイド溝91〜96によって、1つに束ねられたときの配置と同様の配置になるように整線されるため、スムーズに束ねることができる。
図11(a)に、7本の電線90を整線するための整線用器具1eの側面図を示す。尚、蝶番37や掛け爪34の図示は省略している。この整線用器具1eは、本体2eが部分体41a及び部分体41bによって2分割可能に構成されている。部分体41aの分割面には、ガイド溝491〜493が縦軸方向に沿って形成されており、部分体41bの分割面には、ガイド溝494、495が縦軸方向に沿って形成されている。
ガイド溝491〜495の形状や配置は、図11(b)に示す7本の電線90を1つに束ねたときの形状に近くなるように、設定されている。
この整線用器具1eを使用することで、7本の電線90をスムーズに整線することができる。
図12(a)に、10本の電線90を整線するための整線用器具1fの側面図を示す。この整線用器具1fは、本体2fが部分体51a及び部分体51bによって2分割可能に構成されている。部分体51aの分割面には、ガイド溝591〜593が縦軸方向に沿って形成されており、部分体51bの分割面には、ガイド溝594〜596が縦軸方向に沿って形成されている。
ガイド溝591〜596の形状や配置は、図12(b)に示す10本の電線90を1つに束ねたときの形状に近くなるように、設定されている。
この整線用器具1fを使用することで、10本の電線90をスムーズに整線することができる。
尚、整線用器具1d、1e、1fで示したガイド溝9、49、59の形状は一例である。ガイド溝9、49、59の形状や数、配置は適宜設定すればよい。又、整線用器具1d、1e、1fでは、本体2d、2e、2fが2分割可能な例を示したが、2分割以上の複数(例えば3分割、4分割)に分割可能に構成してもよい。本出願の特許請求の範囲中、「形成され」「設けられ」という用語は、物を製造方法で特定しているのではなく、単に状態を示すことにより構造又は特性を特定するために用いている。例えば「状態になっている」「有る」という意味で用いている。