JP5858183B2 - 圧電素子、液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 - Google Patents

圧電素子、液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 Download PDF

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本発明は、一対の電極および電極に接続された配線を有する圧電素子、この圧電素子を備えた液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置に関する。
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等に代表される結晶を含む圧電体は、自発分極、高誘電率、電気光学効果、圧電効果、焦電効果等を有しているため、圧電素子等の広範なデバイスに応用されている。圧電効果を利用する場合、圧電素子に一対の電極を形成し、電極間に電圧を印加することにより、電圧に応じて圧電体を変形させる。ここで、圧電素子の電極には、駆動回路等との接続を取るための配線が接続される。
また、液体としてのインクを吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させ、圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインクを吐出させる液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッドおよび液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置が知られている。
圧電素子は、例えば、湿気等の外部環境に起因して破壊され易いという問題を有する。このような圧電素子の破壊を防止する構造として、圧電素子を構成する上電極の上面の少なくとも周縁および圧電体層の側面を覆うように、保護膜としての絶縁体膜を設け、保護膜に設けられた開口部を介して配線としてのリード電極を上電極に接続した圧電素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
圧電素子の電極の表面に、保護膜、圧電体層等が形成されている場合、開口部を介して配線を電極に接続する必要がある。開口部の形成は、エッチングによって少なくとも電極が露出するまで行い、開口部の内面を配線で覆うことによって配線と電極とを接触させて接続する。また、電極は、材料の使用を抑えて製造コストを低減するために、数十nm〜数百nm程度の厚さに形成される。
特開2007−118193号公報
開口部をエッチングによって形成する際、保護膜、圧電体層および電極の厚みの面内ばらつき、エッチングのばらつきを考慮して、電極を確実に露出させるために、オーバーエッチング気味にエッチングを行なう。
このとき、電極が完全に除去されて開口部が電極を貫通する場所では、電極の貫通孔の側面と配線との接触となる。薄く形成された電極では、配線と接触する電極の貫通孔の側面の面積が狭くなる。電極と配線との接触面積が小さくなると、接触抵抗が高くなり、接触面での電圧降下により所定の電圧が印加されなかったり、発熱してさらに高抵抗になったり、破壊したりする。したがって、配線に印加する電圧に応じて機能する圧電素子を得るのが困難になり、安定した液体の噴射を行なう液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置を得るのが困難になる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
基板上に形成された下電極と、前記下電極上に形成された圧電体層と、前記圧電体層上に形成された上電極と、前記下電極または前記上電極のいずれか一方の電極に接続された配線を有する圧電素子であって、前記電極には貫通孔が形成され、前記配線は、前記貫通孔の側面で前記電極と接触し、前記側面で接触する前記電極と前記配線とが同じ金属を含んでいることを特徴とする圧電素子。
この適用例によれば、電極に形成された貫通孔の側面で電極と配線とが接触し、接触面である側面で、電極の側面に含まれる金属と同じ金属を配線が含んでいる。異種金属が接触している場合と比較して、同種の金属が接触している場合は、接触による電位差の発生が少なくなるほか、接触面の荒さ、酸化皮膜等も同等になり、接触抵抗が低くなる。したがって、接触抵抗による電圧降下および発熱を低減でき、配線に印加する電圧に応じて機能する圧電素子が得られる。
[適用例2]
上記圧電素子において、前記金属は、イリジウムであることを特徴とする圧電素子。
この適用例では、イリジウムを含んだ電極を備えた圧電素子で前述の効果が得られる。
[適用例3]
上記圧電素子において、前記配線は、前記側面で前記電極と接触する接続層を有し、前記接続層は、前記貫通孔内および前記貫通孔の周辺に形成され、イリジウムを含んでいることを特徴とする圧電素子。
この適用例では、イリジウムを含んだ接続層は応力が大きいが、接続層が貫通孔内および貫通孔の周辺にしか形成されていないので、応力による配線の剥離を抑えた圧電素子が得られる。
[適用例4]
上記記載の圧電素子と、液体を吐出するノズルに連通した圧力発生室と、前記圧電素子と該圧力室との間に介在する振動板と、を備える液体噴射ヘッド。
この適用例によれば、液体噴射ヘッドは、接触抵抗による電圧降下および発熱が低減され、配線に印加する電圧に応じて所定量変形する圧電素子を備えている。したがって、振動板が圧電素子により所定量変形され、圧力発生室の液体が安定して加圧され、ノズル開口からの液体の噴射が安定し、安定した液体の噴射を行なう液体噴射ヘッドが得られる。
ここで、所定量変形されとは、配線に印加する電圧に応じて、設計上要求される変形量変形することをいう。
[適用例5]
上記に記載の液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置。
この適用例によれば、液体噴射装置は、安定した液体の噴射を行なう液体噴射ヘッドを備えている。したがって、安定した液体の噴射を行なう液体噴射装置が得られる。
第1実施形態におけるインクジェット式記録装置の一例を示す概略斜視図。 インクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解部分斜視図。 (a)はインクジェット式記録ヘッドの部分平面図、(b)は(a)におけるA−A部分断面図。 開口部付近の部分拡大断面図。 第2実施形態におけるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解部分斜視図。 (a)はインクジェット式記録ヘッドの部分平面図、(b)は(a)におけるB−B部分断面図。 開口部付近の部分拡大断面図。
以下、実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置1000の一例を示す概略斜視図である。インクジェット式記録装置1000は、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド1を備えている。
図1において、インクジェット式記録装置1000は、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを備えている。記録ヘッドユニット1Aおよび1Bには、インク供給手段を構成するカートリッジ2Aおよび2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。
記録ヘッドユニット1Aおよび1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物およびカラーインク組成物を吐出する。そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動する。
一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
記録ヘッドユニット1Aおよび1Bは、インクジェット式記録ヘッド1を記録シートSに対向する位置に備えている。図では、インクジェット式記録ヘッド1は、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bの記録シートS側に位置しており、直接図示されていない。
図2に、本実施形態にかかるインクジェット式記録ヘッド1を示す分解部分斜視図を示した。インクジェット式記録ヘッド1の形状は略直方体であり、図2は、インクジェット式記録ヘッド1の長手方向(図中の白抜き矢印方向)に直交する面で切断した分解部分斜視図である。
また、図3(a)には、インクジェット式記録ヘッド1の部分平面図を、(b)には、(a)におけるA−A部分断面図を示した。
図2および図3において、インクジェット式記録ヘッド1は、流路形成基板10とノズルプレート20と保護基板30とコンプライアンス基板40と駆動回路200とを備えている。
流路形成基板10とノズルプレート20と保護基板30とは、流路形成基板10をノズルプレート20と保護基板30とで挟むように積み重ねられ、保護基板30上には、コンプライアンス基板40が形成されている。
流路形成基板10は、面方位(110)のシリコン単結晶板からなる。流路形成基板10には、異方性エッチングによって、複数の圧力発生室12が列をなすように形成されている。圧力発生室12のインクジェット式記録ヘッド1の幅方向の断面形状は台形状で、圧力発生室12は、インクジェット式記録ヘッド1の幅方向に長く形成されている。
また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、さらに、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12に設けられた液体供給路としてのインク供給路14を介して連通されている。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に、外部と連通するノズル開口21が穿設されている。
なお、ノズルプレート20は、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板または不錆鋼などからなる。
流路形成基板10とノズルプレート20とは、マスク膜51を介して、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。マスク膜51は、窒化シリコン(SiN)等からなり、マスク膜51を介して流路形成基板10を異方性エッチングすることにより、流路形成基板10に圧力発生室12、連通部13およびインク供給路14等を形成する。
流路形成基板10のノズルプレート20が固着された面と対向する面には、振動板を構成する弾性膜50が形成されている。弾性膜50は、熱酸化により形成された酸化膜からなる。
流路形成基板10の弾性膜50上には、酸化ジルコニウム膜からなる絶縁体膜55が形成されている。絶縁体膜55は、例えば、以下のようにして形成する。
まず、ジルコニウム膜を形成する。ジルコニウム膜は、スパッタリング法等により形成できる。ジルコニウム膜を500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。
また、基板としての振動板の絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.01〜0.10μmの下電極60と、厚さが例えば、約0.5〜5μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.01μmの上電極80とからなる圧電素子300が形成されている。
一般的には、圧電素子300のいずれか一方の電極を共通電極とし、他方の電極を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされたいずれか一方の電極および圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。また、圧電素子300と圧電素子300の駆動により変位が生じる弾性膜50および絶縁体膜55とを合わせて圧電アクチュエーターと称する。
本実施形態における圧電素子300は、下電極60が個別電極で、上電極80が共通電極となっている。下電極60の表面には、圧電体層70が連続的に形成されている。また、圧電体能動部の間には、圧電体層70が除去された領域71が形成され、圧電素子300の間は、振動板のみの薄肉部となり、振動板が変形しやすい構造となっている。
以下に、本実施形態に係る圧電素子300の構造について詳しく説明する。
図3(a)において、圧電素子300を構成する下電極60は、各圧力発生室12に対向する領域毎に設けられて各圧電素子300の個別電極を構成している。下電極60には、圧力発生室12の外側の領域で、例えば、配線としての下電極用リード電極90がそれぞれ接続され、上電極80には、上電極用リード電極91が接続されており、下電極用リード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。一方、圧力発生室12の長手方向他端部側の下電極60の端部は、圧力発生室12に対向する領域内に位置している。
下電極60は、少なくともイリジウム(Ir)を含み、白金(Pt)等の金属や、ニッケル酸ランタン(LNO)、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO)等の金属酸化物を含んでいてもよい。下電極60は、下電極膜を絶縁体膜55の表面に形成後、所定形状にパターニングすることにより得られる。下電極60の厚みは、電極材料の抵抗値によって異なる。
圧電体層70は、下電極60の圧力発生室12の長手方向の幅よりも広い幅で設けられている。圧力発生室12の長手方向においては、圧電体層70の両端部は、圧力発生室12の端部の外側まで延設されている。すなわち圧電体層70は、圧力発生室12に対向する領域の下電極60の上面および端面を完全に覆うように設けられている。
圧電体層70としては、一般式ABO3で示されるペロブスカイト型酸化物を好適に用いることができる。具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)(以下、「PZT」と略す。)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O3)(以下、「PZTN(登録商標)」と略すことがある。)、チタン酸バリウム(BaTiO3)およびニオブ酸カリウムナトリウム((K,Na)NbO3)などが挙げられる。圧電体層70は、下電極60および上電極80によって電圧が印加されることで伸縮変形し、機械的な出力を行うことができる。
圧電体層70の製造方法としては、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体膜を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いることができる。
なお、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal−Organic Decomposition)法等を用いてもよい。さらに、これらの液相法による圧電体膜の製造方法に限定されず、スパッタリングなどの蒸着法を用いた圧電体膜の製造方法であってもよい。
ゾル−ゲル法を詳しく説明すると、まず金属有機化合物を含むゾル(溶液)を塗布する。次いで、塗布により得られる圧電体前駆体膜を、所定温度に加熱して一定時間乾燥させ、ゾルの溶媒を蒸発させることで圧電体前駆体膜を乾燥させる。さらに、大気雰囲気下において一定の温度で一定時間、圧電体前駆体膜を脱脂する。
なお、ここで言う脱脂とは、ゾル膜の有機成分を、例えば、NO2、CO2、H2O等として離脱させることである。
このような塗布・乾燥・脱脂の工程を、所定回数、例えば、2回繰り返すことで、圧電体前駆体膜を所定厚に形成し、この圧電体前駆体膜を拡散炉等で加熱処理することによって結晶化させて圧電体膜を形成する。すなわち、圧電体前駆体膜を焼成することで結晶が成長して圧電体膜が形成される。
焼成温度は、650〜850℃程度であることが好ましく、例えば、約700℃で30分間、圧電体前駆体膜を焼成して圧電体膜を形成する。このような条件で形成した圧電体膜の結晶は(100)面に優先配向する。
上述した塗布・乾燥・脱脂・焼成の工程を、複数回繰り返すことにより、多層の圧電体膜からなる所定厚さの圧電体膜を形成する。圧電体膜を形成した後は、所定形状にパターニングして圧電体層70を得る。
圧電体膜の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛等の強誘電性圧電材料に、ニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマスまたはイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等を用いてもよい。また、鉛を圧電材料に含まない、いわゆる非鉛の圧電材料を用いてもよい。
上電極80は、複数の圧力発生室12に対向し、長手方向に垂直な方向に連続的に形成され、また圧力発生室12の長手方向両端部の圧電体膜上でパターニングされている。上電極80は、例えば、上電極膜を圧電体層70に形成し、パターニングして上電極80を得る。上電極膜は、スパッタリング法、例えば、DCまたはRFスパッタリング法によって形成できる。
上電極80の厚みは、例えば2〜10nmで、イリジウムまたは白金から選ばれる少なくともひとつを含むのが好ましい。
本実施形態では、圧電体層70に形成された開口部72を介して下電極用リード電極90が下電極60に接続されている。
図4に、開口部72付近の部分拡大断面図を示した。
図3および図4において、開口部72は、圧電体層70および下電極60を貫通して絶縁体膜55まで形成されている。したがって、下電極60には、貫通孔61が形成されている。
本実施形態における開口部72の開口73は、下電極60に向かうほど、開口の大きさが小さくなり、側面74が下電極60の表面に対して傾斜している。
一方、下電極用リード電極90は、接続層96と密着層901と導電層902とを備えている。
下電極用リード電極90は、開口部72を埋めるように形成されている。
貫通孔61および開口部72の開口73の周りと側面74には、下電極60を構成するイリジウムを含む接続層96が形成され、接続層96を覆うように密着層901が形成されている。この密着層901の上に、導電層902が形成されている。
接続層96は、少なくとも側面74に露出する下電極60の側面610と密着層901との間に形成されている。したがって、接続層96は、貫通孔61内および貫通孔61の周辺に形成されている。
一方、上電極80に接続される上電極用リード電極91は、上電極80の表面に形成されている膜が存在しないので、上電極80に直接形成できる。
図3(b)において、圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、保護基板30が接着剤35によって接着されている。
図2および図3において、保護基板30は、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態の圧電素子保持部31を有する。
なお、本実施形態では、各圧電素子保持部31は、各圧力発生室12の列に対応する領域に一体的に設けられているが、圧電素子300毎に独立して設けられていてもよい。
保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成する。
また、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバー部32が設けられている。このリザーバー部32は、実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の列に沿って設けられており、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド130を構成している。
下電極用リード電極90および上電極用リード電極91の延設された先端部は、保護基板30に形成された貫通孔33の底部に露出している。下電極用リード電極90および上電極用リード電極91の先端部は、圧電素子300を駆動する駆動回路200と接続配線210を介して接続されている。
保護基板30上には、封止膜41および固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバー部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成されている。この固定板42のマニホールド130に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド130の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
インクジェット式記録ヘッド1では、カートリッジ2Aおよび2Bからインクを取り込み、マニホールド130からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極60と上電極80との間に電圧が印加される。電圧の印加によって、弾性膜50および圧電体層70がたわみ変形し、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
このような本実施形態によれば、以下の効果がある。
(1)下電極60に形成された貫通孔61の側面610で下電極60と下電極用リード電極90とが接触し、接触面である側面610で、下電極用リード電極90が下電極60の側面610に含まれるイリジウムを含んでいる。異種金属が接触している場合と比較して、同種の金属が接触している場合は、接触抵抗が低くなる。したがって、接触抵抗による電圧降下および発熱を低減でき、下電極用リード電極90に印加する電圧に応じて機能する圧電素子300を得ることができる。
(2)開口部72の側面74が、下電極60の表面に対して傾斜していることにより、側面610の面積がより広くなるので、側面610で接触する下電極60と下電極用リード電極90との接触面積もより広くでき、接触抵抗をより低下できる。したがって、接触抵抗による電圧降下および発熱がより低減でき、下電極用リード電極90に印加する電圧に応じてより所定量変形する圧電素子300を得ることができる。
(3)イリジウムを含んだ接続層96は応力が大きいが、接続層96が貫通孔61内および貫通孔61の周辺にしか形成されていないので、応力による剥離を抑えた圧電素子300を得ることができる。
(4)インクジェット式記録ヘッド1は、接触抵抗による電圧降下および発熱が低減され、下電極用リード電極90に印加する電圧に応じて所定量変形する圧電素子300を備えている。したがって、弾性膜50が圧電素子300により所定量変形され、圧力発生室12のインクを安定して加圧でき、ノズル開口21からのインクの吐出が安定し、安定したインクの吐出を行なうインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。
(5)インクジェット式記録装置1000は、安定したインクの吐出を行なうインクジェット式記録ヘッド1を備えている。したがって、安定したインクの吐出を行なうインクジェット式記録装置1000を得ることができる。
(第2実施形態)
図5に、本実施形態にかかるインクジェット式記録ヘッド2を示す分解部分斜視図を示した。また、図6(a)に、本実施形態におけるインクジェット式記録ヘッド2の部分平面図、(b)に(a)におけるB−B部分断面図を示した。
本実施形態と第1実施形態とは、圧電素子310の構造が主に異なる。本実施形態の圧電素子310は、下電極62を共通電極とし、上電極81を個別電極としている。その他同一の部材等には、同じ符号を付して説明も省略する。本実施形態では、上電極81は、少なくともイリジウムを含んでいる。
図5および図6において、圧電素子310を構成する下電極62は、複数の圧力発生室12に対向する領域に連続的に形成されている。
また、圧電体層75および上電極81は、圧力発生室12ごとに形成されている。ここで、圧電素子310を構成する下電極62、圧電体層75および上電極81は、耐湿性を有する絶縁材料からなる保護膜100によって覆われている。
このように圧電素子310を保護膜100で覆うことにより、大気中の水分等に起因する圧電素子310の破壊を防止できる。ここで、このような保護膜100材料としては、耐湿性を有する材料であればよいが、例えば、酸化シリコン(SiOX)、酸化タンタル(TaOX)、酸化アルミニウム(AlOX)等の無機絶縁材料を用いるのが好ましく、特に、無機アモルファス材料である酸化アルミニウム(AlOX)、例えば、アルミナ(Al23)を用いるのが好ましい。保護膜100の材料として酸化アルミニウムを用いた場合、保護膜100の膜厚を100nm程度と比較的薄くしても、高湿度環境下での水分透過を十分に防ぐことができる。
なお、本実施形態では、保護膜100を図6(a)に示すように、複数の圧電素子310に亘って連続して設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、保護膜100を圧電素子310毎に設けるようにしてもよい。
この保護膜100上には、例えば、イリジウムを含む上電極用リード電極93が設けられている。上電極用リード電極93は、保護膜100および上電極81に形成された開口部110を介して一端部が上電極81に接続されている。
図7に、開口部110付近の部分拡大断面図を示した。
図6および図7において、開口部110は、保護膜100および上電極81を貫通して圧電体層75まで形成されている。したがって、上電極81には、貫通孔82が形成されている。
本実施形態における開口部110の側面112は、第1実施形態と比較して、上電極81の表面に対して傾斜していない。
一方、上電極用リード電極93は、接続層98と密着層931と導電層932とを備えている。
上電極用リード電極93は、開口部110を埋めるように形成されている。
貫通孔82および開口部110の開口111の周りと側面112には、上電極81を構成するイリジウムを含む接続層98が形成されている。接続層98を覆うように密着層931が形成され、密着層931の上に導電層932が形成されている。
接続層98は、少なくとも側面112に露出する上電極81の側面820と密着層931との間に形成されている。したがって、接続層98は、貫通孔82内および貫通孔82の周辺に形成されている。
このような本実施形態によれば、以下の効果がある。
(6)上電極81に形成された貫通孔82の側面820で上電極81と上電極用リード電極93とが接触し、接触面である側面820で、上電極用リード電極93が上電極81の側面820に含まれるイリジウムを含んでいる。異種金属が接触している場合と比較して、同種の金属が接触している場合は、接触抵抗が低くなる。したがって、接触抵抗による電圧降下および発熱を低減でき、上電極用リード電極93に印加する電圧に応じて機能する圧電素子310を得ることができる。
(7)イリジウムを含んだ接続層98は応力が大きいが、接続層98が貫通孔82内および貫通孔82の周辺にしか形成されていないので、応力による剥離を抑えた圧電素子310を得ることができる。
(8)インクジェット式記録ヘッド2は、接触抵抗による電圧降下および発熱が低減され、上電極用リード電極93に印加する電圧に応じて所定量変形する圧電素子310を備えている。したがって、インクの吐出が安定し、安定したインクの吐出を行なうインクジェット式記録ヘッド2を得ることができる。
(9)インクジェット式記録装置1000は、安定したインクの吐出を行なうインクジェット式記録ヘッド2を備えている。したがって、安定したインクの吐出を行なうインクジェット式記録装置1000を得ることができる。
実施形態以外にも、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、側面610で接触する下電極60と接続層96とに含まれる同じ金属および側面820で接触する上電極81と接続層98とに含まれる同じ金属は、イリジウムに限らず、金、白金等であってもよい。
また、側面820の傾斜は、上電極81に向かって開口の大きさが大きくなるような傾斜であってもよい。
上述した実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用できる。
その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
1,2…インクジェット式記録ヘッド、1A,1B…記録ヘッドユニット、2A,2B…カートリッジ、3…キャリッジ、4…装置本体、5…キャリッジ軸、6…駆動モーター、7…タイミングベルト、8…プラテン、10…流路形成基板、12…圧力発生室、13…連通部、14…インク供給路、20…ノズルプレート、21…ノズル開口、30…保護基板、31…圧電素子保持部、32…リザーバー部、33,61,82…貫通孔、35…接着剤、40…コンプライアンス基板、41…封止膜、42…固定板、43…開口部、50…弾性膜、51…マスク膜、55…絶縁体膜、60,62…下電極、70,75…圧電体層、72,110…開口部、73,111…開口、80,81…上電極、90…下電極用リード電極、91,93…上電極用リード電極、96,98…接続層、100…保護膜、130…マニホールド、200…駆動回路、300,310…圧電素子、610,820…側面、1000…インクジェット式記録装置。

Claims (5)

  1. 基板上に形成された下電極と、前記下電極上に形成された圧電体層と、前記圧電体層上に形成された上電極と、前記下電極または前記上電極のいずれか一方の電極に接続された接続層と導電層を含む配線を有する圧電素子であって、
    前記電極の前記配線側で積層する前記圧電体層または絶縁性を有する保護膜は、前記電極を露出する開口部を有し、
    前記接続層は、前記導電層の端部で覆われ、前記開口部を経て前記電極と接続し、前記電極と同種の金属を含んでいることを特徴とする圧電素子。
  2. 請求項1に記載の圧電素子において、
    前記金属は、イリジウムであることを特徴とする圧電素子。
  3. 請求項2に記載の圧電素子において、
    前記電極には貫通孔が形成され、
    前記接続層は、前記貫通孔内で前記電極と接続されていることを特徴とする圧電素子。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の圧電素子と、
    液体を吐出するノズルに連通した圧力発生室と、
    前記圧電素子と該圧力発生室との間に介在する振動板と、を備えることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  5. 請求項4に記載の液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置。
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