JP5857765B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、有機物質を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視されており、活発な研究開発が進められている。
有機EL素子は、基板上に形成された第1電極(陽極または陰極)と、その上に積層された有機発光材料を含有する有機化合物層(単層部または多層部)と、この有機化合物層上に積層された第2電極(陰極または陽極)とを有する薄膜型の素子である。この有機EL素子に電圧を印加すると、有機化合物層に陰極から電子が注入されるとともに、陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出することにより発光が得られることが知られている。
1個または複数個の有機EL素子が基板上に形成された有機ELパネルをバックライト等の面光源として利用した場合には、上記したように有機EL素子は薄膜型の素子であることから、面光源を備えた装置を容易に薄型にすることができる。また、基板上に画素としての有機EL素子が所定個数形成された有機ELパネルをディスプレイパネルとして用いて表示装置を構成した場合には、視認性が高く、視野角依存性がないなど、液晶表示装置では得られない利点がある。
ところで、有機EL素子に用いられる有機発光材料等の有機化合物は水分や酸素等に弱く、性能が劣化してしまう。また、電極も大気中では酸化により特性が急激に劣化する。
これらの劣化を防止するため、金属缶や掘りガラス等で形成された封止キャップ缶を素子基板に接着剤で貼り合わせ封止する方法が提案されている。封止キャップ缶と素子基板との間には密閉封止空間が形成され、この密閉封止空間内には不活性ガスが充填され、さらに吸湿剤が配置されている。有機EL素子と封止部材との間に空間を設けることで、有機EL素子への外部応力による劣化を防止している。
しかし、封止部材の厚みと吸湿剤を配置するための空間の厚みを持つため、全体として厚みのある発光パネルとなっている。
一方、有機EL素子面上に空間を設けず、封止部材を貼り合せる密着型の封止方法が提案されている。
密着型の封止方法としては、第2電極上に接着剤を介して封止部材を貼り合せて封止する技術が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。しかし、この封止構成では、接着剤層中に拡散した水分が第2電極の欠陥を経由して有機化合物層に到達し、ダークスポットと呼ばれる非発光部の発生や成長の原因となり、発光特性が劣化してしまう。
また、真空環境下で第2電極上に窒化シリコン等の無機化合物からなる保護膜を形成し、さらにその上に、大気圧環境下で接着剤(光硬化性樹脂等)を介してフィルム基板を固着して封止する技術が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。無機保護膜を設けることにより、水分に対するバリア性を向上させ、パネル内への水分侵入を防止している。しかし、この封止構成では、高温高湿環境下における水分の透過に対して効果が不十分であり、また無機化合物の保護膜形成時には異物が混入しやすく、異物を発端とした局所的な応力により、保護膜が破損してしまう。さらには、フィルムラミネート時の押圧により、無機保護膜にクラックが生じやすく、本来の無機保護膜のバリア性を発揮できないという問題があった。
そこで、無機保護膜上にAl膜を形成し、無機保護膜に対する応力を緩和することで、無機保護膜の破損を防止し、水分に対するバリア性を向上させる技術が開示されている(たとえば、特許文献3参照)。しかし、有機ELパネルのさらなる高信頼性を追求すると、この封止構成ではバリア性が不十分であり、かつフィルムラミネート封止時の物理的ダメージに対しても脆弱であることが課題であった。
他方で、第2電極(陰極および陰極封止層)上に金−ゲルマニウムからなる保護層を形成することでダークスポットの成長を抑制する技術が開示されている(たとえば、特許文献4参照)。金−ゲルマニウムからなる保護層は膜厚200nmで形成され、保護層の膜厚を十分に確保することでバリア性を向上させている。
特開2008−77855号公報 国際公開第2007/029586号 特開2010−198969号公報 特許第3774897号
したがって、本発明の主な目的は、水分や酸素に対する耐性を向上させるとともに、封止時の耐衝撃性を向上させた有機EL素子を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明によれば、
基板上に、第1の電極、有機化合物層、第2の電極、電極保護層がこの順で積層された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記電極保護層が、前記第2の電極上に形成され、珪素を含む化合物からなる無機膜層と、該無機膜層上に層状に形成される吸湿剤層と、該吸湿剤層上に形成されるAu基はんだ層とを有し、
前記吸湿剤層が、アルカリ金属のフッ化物からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
本発明によれば、水分や酸素に対する耐性を向上させるとともに、封止時の耐衝撃性を向上させた有機EL素子を提供することができる。
本発明の有機ELパネルの概略構成を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
《有機ELパネルの層構成》
図1に示すとおり、有機ELパネル1は、有機EL素子10と封止層20とから構成されている。
有機EL素子10は、基板11上に、電極12、有機化合物層13、電極14、電極保護層15が順次積層され、構成されている。
電極保護層15は、電極14側から順に、無機膜層15a、Au基はんだ層15cを有している。無機膜層15aとAu基はんだ層15cとの間には、吸湿剤層15bを設けてもよい。吸湿剤層15bは、好ましくは層状に形成される。
無機膜層15aは、有機化合物層13、電極14の全面を被覆するように形成され、さらに、その無機膜層15aの全面を被覆するようにAu基はんだ層15cが形成されている。
なお、電極12,14の電源供給用端子部として機能する部分は露出した構成となっている(図示略)。
封止層20は、接着剤層22と封止部材24とから構成されている。
封止部材24と電極保護層15とは、接着剤層22を介して、貼合されている。
以下、電極12を陽極、電極14を陰極として説明する(いわゆるボトムエミッション方式)が、これとは反対に電極12を陰極、電極14を陽極とする構成(いわゆるトップエミッション方式)としてもよい。
(1)有機EL素子の層構成
有機EL素子10において、電極12に正電圧を、電極14に負電圧を印加すると、電極12から正孔、電極14から電子が有機化合物層13へそれぞれ注入され、当該電子および正孔が有機化合物層(発光層)13内で再結合して発光が起こる。
基板11上に形成される有機EL素子10の層構成は、最も単純には、陽極/発光層/陰極からなる構造であるが、たとえば、下記のような構成としてもよい。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
《基板》
基板11としては、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどの透明ガラス基板や、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等に代表される透明樹脂フィルムなどを用いることができる。
また、樹脂フィルムの表面は無機物、有機物の被膜またはそのハイブリッド被膜等が形成されたガスバリア性の高いフィルムでもよい。
ガスバリア性フィルムとしては、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(40℃、90%RH)が、0.01g/m/day以下、さらには、10−3g/m/day以下であることが好ましい。また、JIS K 7126−1992に準拠した方法で測定された酸素透過度(20℃、100%RH)が、10−3g/m/day以下であることが好ましい。特に、水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10−5g/m/day以下であることが好ましい。
ガスバリア性フィルムとするために樹脂フィルム表面に形成されるバリア膜材料は、たとえば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。
《陽極》
陽極としては、仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物からなる電極材料を用いるのが好ましく、特に仕事関数が4eV以上の電極材料を用いることが好ましい。
このような電極材料としては、具体的には、金などの金属、CuI、ITO(インジウムチンオキサイド)、IZO、SnO、ZnO等の導電性透明材料があげられる。
陽極は、これらの電極材料を基板11上に、たとえば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の方法で薄膜に形成し作製することができる。
基板11として透明ガラス基板を用い、電極12として陽極を積層して、これらを透過させて基板11側から外部に発光を取り出す場合には、陽極の光透過率が10%以上であることが好ましい。また、陽極のシート抵抗は数百Ω/□以下であることが好ましく、特に100Ω/□以下であることが好ましい。さらに、陽極の膜厚は、陽極の光透過率、シート抵抗等の特性を上記のように制御するため、材料により異なるが、通常500nm以下が好ましく、より好ましくは10〜200nmの範囲である。
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましい。
このような電極材料としては、具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物などを挙げることができる。
陰極は、これら電極材料を、たとえば、真空蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜に形成し作製することができる。
また、発光を陰極を透過させ外部に取り出す場合には、陰極は光透過率が10%以上であることが好ましい。陰極の膜厚は、材料により異なるが、通常500nm以下が好ましく、より好ましくは100〜300nmの範囲である。
《有機化合物層》
(1)発光層
発光層中に含有される有機発光材料としては、カルバゾール、カルボリン、ジアザカルバゾール等の芳香族複素環化合物、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリーレン、芳香族縮合多環化合物、芳香族複素縮合環化合物、金属錯体化合物等およびこれらの単独オリゴ体あるいは複合オリゴ体等があげられるが、これらに限定されるものではない。
また発光層中には、好ましくは0.1〜20質量%程度のドーパントが発光材料中に含まれる。ドーパントとしては、ペリレン誘導体、ピレン誘導体等公知の蛍光色素等が挙げられる。また、リン光発光タイプの発光層の場合、たとえば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトナート)イリジウム、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジン)(ピコリナート)イリジウム、などに代表されるオルトメタル化イリジウム錯体等の錯体化合物が挙げられる。
発光層の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に0.5〜200nmが好ましい。
(2)正孔注入層・正孔輸送層
正孔注入層、正孔輸送層としては、フタロシアニン誘導体、ヘテロ環アゾール類、芳香族三級アミン類、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)などに代表される導電性高分子等の高分子材料、また、発光層に用いられる、たとえば、4,4′−ジカルバゾリルビフェニル、1,3−ジカルバゾリルベンゼン等のカルバゾール系発光材料、(ジ)アザカルバゾール類、1,3,5−トリピレニルベンゼンなどのピレン系発光材料に代表される低分子発光材料、ポリフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類、ポリビニルカルバゾール類などに代表される高分子発光材料などが挙げられる。
(3)電子注入層・電子輸送層
電子注入層、電子輸送層としては、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物または含窒素五員環誘導体がある。
含窒素五員環誘導体としては、たとえば、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましく用いられる。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられる。
以上の有機化合物層13中における各層の膜厚は、0.05〜0.3μm程度必要であり、好ましくは0.1〜0.2μm程度である。
《電極保護層》
(1)無機膜層
無機膜層15aとしては、珪素を含む化合物が用いられ、具体的には、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン等が挙げられる。
無機膜層15aの形成方法としては、プラズマCVD法、スパッタ法、イオンプレーティング法などを挙げることができるが、水蒸気透過率(係数)が小さく、さらには低膜応力で緻密な膜が形成できる方法であれば何でもよく、これらに限定されるものではない。
無機膜層15aの膜厚については特に限定されないが、通常5nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、10nm〜200nmの範囲である。
(2)吸湿剤層
吸湿剤層15bとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属の単体、合金または化合物が挙げられる。具体的には、カルシウム、バリウム、マグネシウムやそれらの酸化物、カリウムやセシウムのフッ化物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
吸湿剤層15bは、真空成膜法を用いて成膜することができる。たとえば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられる。
吸湿剤層15bの膜厚は、たとえば、10〜100nmの範囲である。
(3)Au基はんだ層
Au基はんだ層15cとしては、Auとの合金で、かつ共晶融点が400℃以下のもので、Au−Sn系、Au−Si系、Au−Ge系等が使用でき、好ましくは金−ゲルマニウム(組成比Au:88wt%−Ge:12wt%)が用いられる。
Au基はんだ層15cは、真空成膜法を用いて成膜することができる。たとえば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられる。真空成膜法で形成された金−ゲルマニウム膜の結晶粒は非常に小さく、同様の方法で成膜された他の金属膜と比較して、薄膜でも非常に緻密な膜を得ることができるため、成膜に使用される量はごく少量で済むというメリットがある。
Au基はんだ層15cの膜厚は、特に限定されるものではないが、好ましくは5〜100nmの範囲である。
《封止層》
(1)接着剤層
接着剤層22としては、液状接着剤、シート状接着剤、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
液状接着剤としては、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化および熱硬化型シール剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤、エポキシ系などの熱および化学硬化型(二液混合)等の接着剤、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤等を挙げることができる。液状接着剤には必要に応じてフィラーを添加することが好ましい。フィラーの添加量としては、接着力を考慮し、5〜70体積%が好ましい。また、添加するフィラーの大きさ(粒径)は、接着力、貼合圧着後の接着剤厚み等を考慮し、1μm〜100μmが好ましい。
添加するフィラーの種類としては特に限定はなく、たとえば、ソーダガラス、無アルカリガラス或いはシリカ、二酸化チタン、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニアや酸化タングステン等の金属酸化物等が挙げられる。
液状接着剤を使用して封止部材24と有機EL素子10とを接着する場合、接着安定性や内部への気泡混入防止、可撓性封止部材の平面性保持等を考慮して、10〜1×10−5Paの減圧条件で行うことが好ましい。
シート状接着剤とは、常温(25℃程度)では非流動性を示し、かつ、加熱すると50℃〜100℃の範囲で流動性を発現する、シート状に成形された接着剤を言う。
シート状接着剤としては、たとえば、分子の末端または側鎖にエチレン性二重結合を有する化合物と、光重合開始剤とを主成分とする光硬化性樹脂が挙げられる。
使用方法としては、たとえば、予め封止部材24側に貼合して常温(25℃程度)以下で使用することが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、JIS K 7210規定のメルトフローレートが5〜20g/10minである熱可塑性樹脂が好ましく、さらに好ましくは、6〜15g/10min以下の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
これは、メルトフローレートが5g/10min以下の樹脂を用いると、各電極の取り出し電極の段差により生じる隙間部を完全に埋めることが出来ず、20g/10min以上の樹脂を用いると引っ張り強さや耐ストレスクラッキング性、加工性などが低下するためである。
熱可塑性樹脂は、上記数値を満たすものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、機能性包装材料の新展開(株式会社東レリサーチセンター)に記載の高分子フィルムである低密度ポリエチレン(LDPE)、HDPE、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン(CPP)、OPP、ONy、PET、セロファン、ポリビニルアルコール(PVA)、延伸ビニロン(OV)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVOH)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン(PVDC)等の使用が可能である。これらの熱可塑性樹脂の中で、LDPE、LLDPEおよびメタロセン触媒を使用して製造したLDPE、LLDPE、または、LDPE、LLDPEとHDPEフィルムを混合使用した熱可塑性樹脂を使用することがより好ましい。
また、これらの熱可塑性樹脂をフィルム状に成形し、可撓性封止部材(帯状可撓性封止部材、枚葉シート状可撓性封止部材)に貼合して使用することが好ましい。貼合方法としては、たとえば、ウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、熱ラミネート法等の公知の貼合方法を使用することができる。
(2)封止部材
封止部材24としては、基板11と同様に、透明ガラス基板、樹脂フィルム等、その種類は特に限定されるものではなく、また封止部材24は透明であっても不透明であっても良い。
樹脂ラミネート(ポリマー膜)された金属箔(たとえば、アルミ箔)等も、低コスト、低透湿性の点から、好適に用いられる。
以上の本実施形態によれば、有機化合物層13と電極14とが、無機膜層15aとAu基はんだ層15cとに被覆されているから、水分や酸素による素子の劣化を防止することができる。
一般に、珪素を含む化合物は多孔質であることが知られており、バリア性の点においては十分とはいえない。Au基はんだ層15cは、この無機膜層15aの欠陥を補完するものであるから、膜厚を非常に小さくすることができ、従来と比較して、高バリア性を有し、かつ薄膜型の有機ELパネル1を作製することができる。加えて、Au基はんだ層15cの膜厚が小さくてもよいから、製造コストを抑えることもできる。
また、Au基はんだ層15cを設けることにより、ラミネート時の物理的衝撃に対して、耐衝撃性を付与することも可能となり、無機膜層15aのクラックを防止し、バリア性を向上させることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《サンプルの作製》
(1)有機ELパネル1の作製
(1−1)有機EL素子の作製
厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板上に、陽極としてITO膜が蒸着された基板を用い、リソグラフィー法によりパターニングし、その上に公知の有機化合物層および陰極としてアルミニウムを100nmの膜厚になるように、3Å/秒の速度で蒸着した。
次いで、真空環境を維持したまま、スパッタ装置に搬送し、無機膜層を形成した。具体的には、ターゲット材料として窒化珪素(Si)を用い、このターゲット材料を円筒形状に形成し、円筒ターゲットの上端と、基板との距離を7cmとした。スパッタガスに酸素2体積%を含むアルゴンを用いて、ガス圧力を1.33×10−2Paとした。電源は、周波数13.56MHzの交流電源を用い、投入電力が100Wのときの成膜レートを水晶振動子によりモニターすると1Å/秒であった。この条件下で、膜厚100nmの無機膜層を形成した。
最後に、真空環境下のまま蒸着槽へ搬送し、無機膜層上に金−ゲルマニウムを膜厚10nmになるように3Å/秒の速度で蒸着して、Au基はんだ層を形成し、有機EL素子を作製した。
以上のようにして得られた有機EL素子は、発光パターンが20×16.5mm×4画素の4分割発光パターンとなっている(4画素分合計で41×34mmの面積となる)。
(1−2)封止作業
厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板上に、熱硬化型シート状接着剤(株式会社スリーボンド社製 TB1655)をラミネートし、封止層を作製した。
次いで、準備された有機EL素子、封止層に対し、100℃、1×10−2Paの減圧環境下、真空ラミネーターを用い押圧力0.1MPaで60秒間圧着し、さらに硬化処理として120℃で30分間加熱し、密着封止して有機ELパネル1を作製した。
(2)有機ELパネル2の作製
無機膜層(Si)上に、吸湿剤層としてフッ化カリウムを10nmの膜厚になるように、0.2Å/秒の速度で形成した後、真空環境下のまま蒸着槽へ搬送し、さらにその上に金−ゲルマニウムを10nmの膜厚になるように3Å/秒の速度で蒸着して、Au基はんだ層を形成した以外は有機ELパネル1と同様にして、有機ELパネル2を作製した。
(3)有機ELパネル3の作製
電極保護層を形成しなかった以外は有機ELパネル1と同様にして、有機ELパネル3を作製した。
(4)有機ELパネル4の作製
電極保護層として、無機膜層のみを形成した以外は有機ELパネル1と同様にして有機ELパネル4を作製した。
(5)有機ELパネル5の作製
金−ゲルマニウムに代えて、スパッタリング法にてAlを50nmの膜厚になるように形成した以外は有機ELパネル1と同様にして、有機ELパネル5を作製した。
《有機ELパネルの評価》
作製した有機ELパネル1〜5について、ダークスポット(スポット状の非発光部)の発生割合を下記試験法で試験し、下記評価ランクに従って評価した。
(1)ダークスポット試験法
有機ELパネル1〜5を60℃、90%RHの環境条件で保存し、有機ELパネル作製直後と1000時間経過後とに各パネルを点灯し、有機ELパネル作製直後はダークスポット(スポット状の非発光部)の数、1000時間経過後は発生割合を面積比で評価した。
なお、パネルの点灯は定電圧電源を用いて1画素あたり直流5Vを印加し、4画素分(41×34mm)のダークスポットを計数した。
得られた結果を表1に示す。
〔封止後初期の評価〕
○:ダークスポット個数0〜10個
△:ダークスポット個数11〜50個
×:ダークスポット個数51〜100個
〔60℃、90%RHで300時間経過後の評価〕
◎:ダークスポット発生率0%(新たなダークスポットの発生が全く無い)
○:ダークスポット発生率1%以上5%未満
△:ダークスポット発生率5%以上10%未満
×:ダークスポット発生率10%以上
Figure 0005857765
(2)まとめ
表1に示すとおり、有機ELパネル3は電極保護層を有していないため、高温高湿に対する耐久性が不十分で、封止時の圧力に対しても脆弱であることがわかる。また、有機ELパネル4,5においては、電極保護層としてSiやAlを形成しているが、未だ耐久性が不十分であることがわかる。
これに対して、本発明の有機ELパネル2は、パネル形成直後のダークスポットの発生数が少なく、保存経過後においてもダークスポット発生率が低く、無機膜層とAu基はんだ層とを設けることが、水分や酸素に対するバリア性を向上させるのに有効であることがわかる。
1 有機ELパネル
10 有機EL素子
11 基板
12,14 電極
13 有機化合物層
15 電極保護層
15a 無機膜層
15b 吸湿剤層
15c Au基はんだ層
20 封止層
22 接着剤層
24 封止部材

Claims (5)

  1. 基板上に、第1の電極、有機化合物層、第2の電極、電極保護層がこの順で積層された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記電極保護層が、前記第2の電極上に形成され、珪素を含む化合物からなる無機膜層と、該無機膜層上に層状に形成される吸湿剤層と、該吸湿剤層上に形成されるAu基はんだ層とを有し、
    前記吸湿剤層が、アルカリ金属のフッ化物からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記Au基はんだ層が、金−ゲルマニウムからなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記Au基はんだ層の膜厚が、5〜100nmであることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記無機膜層が、窒化酸化シリコン、窒化シリコンまたは酸化シリコンからなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記電極保護層上には、封止部材と接着剤層とからなる封止層が積層され、
    前記封止部材が、前記接着剤層を介して前記電極保護層と貼合されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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