JP5857653B2 - デスケーリング装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されたデスケーリングノズルは、ノズルから水を吐出させて被圧延材表面のスケールを除去するためのものであり、ノズルが、先端部の凹面又は凹部で開口した吐出孔と、この吐出孔から延びるテーパ部と、このテーパ部に連なる径大部とで構成されたノズル孔を備えているものである。
図6(A)に示すデスケーリング装置101は、有底円筒管状なすデスケーリング用ヘッダー10と、デスケーリング用ヘッダー10にアダプタ121を介して取付けられた複数のデスケーリングノズル120とを備えている。
このような高圧水でデスケーリングを行う際に、問題となるのはデスケーリング用ヘッダー110における機械的強度が弱い部分の損傷や破壊であり、特に、ノズル用連通孔112の部分(隣接するノズル用連通孔112間の壁部分)が最も薄肉で応力集中がり、損傷や破壊のおそれがある。水圧が高くなれば高くなるほど、十分な強度を確保する必要があるため、薄肉部を厚肉にするために隣接するノズル用連通孔112間の距離を大きくする必要がある。
従って、本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、デスケーリング用ヘッダーにおいて、隣接するノズル用連通孔間の壁部の強度を確保したまま、隣接するノズル用連通孔間の距離を小さくすることができるデスケーリング装置を提供することにある。
ヘッダー10は、有底円筒管状に形成され、内部に中心軸CLを中心とした断面円形状で中心軸CLが延びる方向に沿って片端(図1(A)における左端)から右方に延びる水供給用通路11を有している。水供給用通路11は、ヘッダー10の左端に開口し、右方において閉鎖され、その開口側が図示しない水供給源に接続されている。ヘッダー10は、水供給用通路11の中心軸CLが被圧延材130の幅方向に延びるように設置されている。
ここで、図1及び図6を参照して、ノズル用連通孔を真円からヘッダー10の内径側を楕円形状とした場合に、ノズル20の先端から噴射水の被圧延材当たり面の幅方向端部までの距離D1が、ノズル120の先端から噴射水の被圧延材当たり面の幅方向端部までの距離D2よりも小さくなることについて説明する。
従って、D2/D1=COS(θ1/2)/COS(θ2/2)が成立する。ここで、前述したように、各ノズル20からの噴射水の噴射角θ1は各ノズル120からの噴射水の噴射角θ2よりも小さいので、D2はD1よりも大きく、D1はD2よりも小さくなる。
各ノズル用連通孔12の楕円形状12aは、図4において、隣接するノズル用連通孔12間のピッチPを50〜100mmとし、仮想の真円形状のノズル用連通孔を想定し、その直径dを10〜50mmとした場合において、短半径aと長半径bとの関係が、a:b=1:2〜5となるように設定される。ここで、「仮想の真円形状のノズル用連通孔」とは、デスケーリング装置に存在はしないが、前記隣接するノズル用連通孔12間のピッチPよりも小さい任意の直径を有する真円形状のノズル用連通孔を仮に想定したものを意味する。
当該真円形状のノズル用連通孔12において、ヘッダー10の水供給通路の中心軸が延びる方向のA部でのヘッダー10の断面を考えたとき、ノズル用連通孔12の分だけヘッダー10の肉厚が減少しており(図4における上の図を参照)、ヘッダー10の肉厚は図中の斜線部のみとなる。従って、このA部でのヘッダー断面を考えたときのヘッダー肉厚の断面充填率nAを次のように設定する。
nA=(P−d)/P …(1)
また、当該真円形状のノズル用連通孔12において、ヘッダー10の水供給通路の中心軸が延びる方向と直交する水供給通路の円周方向のB部でのヘッダー10の断面を考えたとき、そのヘッダー肉厚の断面充填率nBを次のように設定する。
nB=(1+nA)/2=(2P−d)/2P …(2)
σA0=3×1/nA×σ0=3(P−d)/P×σ0 …(3)
σB0=1/nB×σ0=2P/(2P−d)×σ0 …(4)
σA=σB …(6)
σA/σA0=1+2(a/b) …(8)
σB/σB0=1+2(b/a) …(9)
σA=(1+2(a/b))σA0 …(10)
σB=(1+2(b/a))σB0 …(11)
(6)式及び(10)、(11)式より、以下の(12)式が導かれる。
(1+2(a/b))σA0=(1+2(b/a))σB0 …(12)
σB0/σA0=〔a/b〕〔(b+2a)/(a+2b)〕 …(13)
そして、(3)式、(4)式、及び(13)式より、σA0とσB0を消去し、一般的なヘッダーの仕様である、隣接するノズル用連通孔12間のピッチPを50〜100mmとし、仮想の真円形状のノズル用連通孔12の直径dを10〜50mmとした場合、短半径aと長半径bとの関係が、a:b=1:2〜5となる。
その一方、長半径bが短半径aの2倍よりも小さいと、楕円形状のノズル用連通孔12において、ヘッダー10の水供給通路の中心軸が延びる方向のA部での応力σAが真円形状のノズル用連通孔12におけるA部での応力σA0に近くなりA部での応力σAがあまり小さくならない可能性がある。
そして、ノズル用連通孔12を真円形状とした場合と、ノズル用連通孔12をヘッダー10の内径側を楕円形状12aとした場合との発生応力の比較を図5に示す。ここで、比較されるノズル用連通孔12を真円形状とした場合の直径dは36mm、隣接するノズル用連通孔12間のピッチPは65mmである。また、ノズル用連通孔12の楕円形状は、隣接するノズル用連通孔12間のピッチPを65mmとし、仮想の真円形状のノズル用連通孔を想定しその直径dを36mmとした場合において、短半径aを21mmとし、長半径を50mmに設定してある。
また、図5を参照すると、前述の(1)〜(13)式を用いて簡易な方法で短半径a及び長半径bを手計算により算出した値と、有限要素法(FEM)解析による解析値とがほぼ同じ値となることもわかる。
例えば、各ノズル用連通孔12のヘッダー10の内径側の形状は、水供給用通路11の中心軸CLが延びる方向を短径とするとともに水供給用通路11の円周方向を長径とした楕円形状となっていればよく、楕円形状の設定として、隣接するノズル用連通孔間のピッチPを50〜100mmとし、仮想の真円形状のノズル用連通孔を想定し、その直径dを10〜50mmとした場合において、短半径aと長半径bとの関係が、a:b=1:2〜5となるように設定する必要は必ずしもない。
更に、ヘッダー10は、管状に形成され、中心軸CLを中心とした断面円形状で中心軸CLが延びる方向に沿って延びる水供給用通路11を有するものであれば、必ずしも有底円筒管状に形成される必要はない。
本発明例のデスケーリング装置1及び比較例のデスケーリング装置101を用いて操業する際の共通の操業条件としては、デスケーリング圧力(水供給用通路に送水される水の圧力)を49.03MPa、ヘッダー水量(デスケーリング水量)を5.0m3/min、被圧延材の厚さを30mm〜55mm、通板速度を0.67m/sとした。
また、比較例のデスケーリング装置1を用いて操業する際の共通の操業条件としては、隣り合うノズル用連通孔間の距離を130mm、ノズル数を上側14本、下側13本、ヘッダーの幅を上ヘッダー1820mm、下ヘッダー1690mm、各ノズル用連通孔の真円形状をφ36mmとした。
従って、本発明例のデスケーリング装置1を用いて操業した場合の衝突圧は、比較例のデスケーリング装置1を用いて操業した場合の衝突圧に対し、〔(4.43/3.84)−1〕×100=15%高くなった。この結果、デスケーリング効率も15%上昇した。
10 デスケーリング用ヘッダー
11 水供給用通路
12 ノズル用連通孔
12a 楕円形状
12b 真円形状
13 アダプタ取付凹部
20 デスケーリングノズル
21 アダプタ
30 被圧延材
CL 水供給用通路の中心軸
Claims (2)
- 管状に形成されるとともに、中心軸を中心とした断面円形状で中心軸が延びる方向に沿って延びる水供給用通路を有し、該水供給用通路の中心軸が被圧延材の幅方向に沿うように設置されたデスケーリング用ヘッダーと、該デスケーリング用ヘッダーの外壁面に前記水供給用通路の中心軸に沿って所定ピッチで取り付けられた複数のデスケーリングノズルと、前記デスケーリング用ヘッダーの内径面と外壁面との間に形成され、前記水供給用通路と、前記複数のデスケーリングノズルの各々に設けられたノズル孔との間を連通させる複数のノズル用連通孔とを備え、水を前記水供給用通路に送水し、当該水が前記水供給用通路から前記各ノズル用連通孔を通って前記デスケーリングノズルから前記被圧延材の表面に向けて噴射されるデスケーリング装置において、
前記各ノズル用連通孔は、前記デスケーリング用ヘッダーの内径側を、前記水供給用通路の中心軸が延びる方向を短径とするとともに前記水供給用通路の円周方向を長径とした楕円形状とし、前記デスケーリング用ヘッダーの外壁側を、真円形状とし、前記デスケーリング用ヘッダーの内径側から外壁側に向けて楕円形状から真円形状に連続的に変化する形状で形成されていることを特徴とするデスケーリング装置。 - 前記水供給用通路に送水される水が14.71MPa以上の圧力を有する高圧水であることを特徴とする請求項1記載のデスケーリング装置。
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