JP5856739B2 - 血行促進用身体化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、血行促進用身体化粧料に関する。
従来より、皮膚の血行を促進させる目的で、炭酸ガスあるいは炭酸ガス発生物を配合した入浴剤や化粧料が知られている(例えば、特許文献1〜2)。
一方、炭酸塩と酸を含有する浴用剤において、α−ピネンやリモネン等の芳香薬剤を含有させることも知られている(特許文献3)。
他方、さっぱりとした使用感や、高い防腐性を付与し得るエタノールは、種々の化粧料に好適な配合成分として用いられているが、あまり多く配合すると皮膚刺激性の点で望ましくないことが知られている(特許文献4)。
特開2005−97238号公報 特開2006−137722公報 特開昭64−13号公報 特開2008−050272号公報
しかし、炭酸ガスは皮膚に適用後速やかに大気中に放散され或いは生体内にて代謝されてしまうため、血行促進時間の持続性が課題となる。そこで、炭酸ガス含有組成物における血行促進作用を持続させる方法には検討の余地がある。
一方、炭酸ガス発生物含有浴用剤に芳香薬剤を配合すると血行促進効果等が相乗的に高められることが特許文献3に開示されている。しかしながら、単に炭酸ガス発生物と芳香薬剤とを併用したのでは、血行促進作用の持続において依然改善の余地がある。
従って、本発明の課題は、炭酸ガス含有組成物の血行促進作用の増強及び持続を可能とする皮膚刺激性の低い身体化粧料を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定量の炭酸ガスに、TRPV3アゴニスト(皮膚に局在するTRPV3(TRANSIENT RECEPTOR POTENTIAL CATION CHANNEL SUBFAMILY V3)チャネルを活性化する作働薬)と、多価アルコール及び/又はノニオン界面活性剤とを配合し、さらにエタノールを低含有量とすることによって、低刺激ながら血行促進作用を増強及び持続させることができる血行促進用身体化粧料を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(D):
(A)炭酸ガス100〜20000ppm
(B)TRPV3アゴニスト0.01〜5質量%
(C)多価アルコール及び/又はノニオン界面活性剤
(D)エタノール0〜5質量%
を含有する血行促進用身体化粧料を提供するものである。
本発明の血行促進用身体化粧料によれば、炭酸ガスとTRPV3アゴニストと多価アルコール及び/又はノニオン界面活性剤とを同時に身体へ適用することによって、TRPV3アゴニストを低含有量としつつ、高いレベルで血行促進作用を発現しながらその作用の持続させることができる。そのため、TRPV3アゴニスト由来の匂いの影響を低減できる上、エタノールの含有量が非常に低いことも相まって、皮膚刺激性が極めて低い。したがって、快適な使用感のもと、効果的に皮膚血流量を増強及び持続させることができ、使用者の健康や美容に大いに貢献し得る、肌に優しい安全な化粧料を実現することができる。
本発明の血行促進用身体化粧料を前腕内側部に貼付した後に剥離した際における、比較例1、実施例1〜6の血流変化結果を示す説明図である。図1(a)は比較例1、図1(b)は実施例1、図1(c)は実施例2、図1(d)は実施例3、図1(e)は実施例4、図1(f)は実施例5、及び図1(g)は実施例6を示す。 本発明の血行促進用身体化粧料を前腕内側部に貼付した後に剥離した際における、貼付後0〜2分経過までの血流増加作用時間を除いた実施例1〜10の最大血流量を示す説明図である。 本発明の血行促進用身体化粧料を前腕内側部に貼付した際における、5分経過時点での実施例11〜13及び比較例3〜4の血流変化結果を示す説明図である。 本発明の血行促進用身体化粧料を前腕内側部に貼付した後に剥離した際における、実施例14〜15及び比較例5の皮膚感覚や血流変化結果を示す説明図である。図4(a)は剥離した直後、図4(b)は剥離した後0.5分経過時点、及び図4(c)は剥離した後5分経過時点を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の血行促進用身体化粧料は、血行促進作用を増強及び持続させる身体化粧料であり、かかる血行促進用身体化粧料全量中に炭酸ガス(A)を100〜20000ppm含有する。好ましくは血行促進用身体化粧料は、血行促進用身体化粧料全量中に炭酸ガス(A)を300〜15000ppm、より好ましくは400〜10000ppm含有し、さらに好ましくは500〜3000ppm含有する。炭酸ガスの濃度が100ppm以上であれば充分な血行促進作用を得ることができるとともに、TRPV3アゴニストと併用することで血行促進作用の持続性の向上を図ることができる。一方、3000ppm以下であれば、炭酸ガスの溶解性の点から製造上好ましい。
本発明の血行促進用身体化粧料のpHは、7.5以下、特に4.5〜7.0であることが、血行促進作用が良好に奏される点で好ましく、適宜pH調整剤を用いることによって最終pHが上記範囲内となるように調整すればよい。かかるpH調整剤としては、例えばコハク酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸又はこれらの塩、あるいはリン酸又はその塩等が好適に使用される。
なお、本発明の血行促進用身体化粧料は、化粧料の使用直前に炭酸ガスを血行促進用身体化粧料へ溶解させる態様や、アルミピロー等の封入容器やエアゾール容器に封入して予め炭酸ガスを血行促進用身体化粧料へ溶解させておくいわゆる使い切り仕様の態様や、或いは炭酸塩と酸を反応させることで炭酸ガスを発生させて炭酸ガスを血行促進用身体化粧料へ溶解させる態様等を採用してもよい。
本発明の血行促進用身体化粧料は、血行促進作用の向上や持続性を図ることができ、匂いが強すぎることなく身体化粧料として適したものとするとともに、化粧料の安定性を確保する観点から、血行促進用身体化粧料全量中に(B)TRPV3アゴニストを0.01〜5質量%含有する。好ましくは血行促進用身体化粧料は、血行促進用身体化粧料全量中に(B)TRPV3アゴニストを0.03〜4質量%、より好ましくは0.05〜3質量%含有する。TRPV3アゴニストとしては、TRPV3チャネルを活性化する化合物であれば特に限定されず、例えば、1,8-シネオール、リモネン、α-ピネン、フローラマット、メチルシクロオクチルカルボネート、ポイレナート、カンファー、ボルネオール、イソボルネオール、チモール、カルバクロール、フェンコン、ピノカルベオール、キシレノール、クレオゾール、ジヒドロカルベオール、カルベオール、イソプレゴール、バニリン、エチルバニリン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、匂い又は皮膚作用時の皮膚感覚に対する皮膚刺激性の観点から、1,8-シネオール、リモネン、α-ピネン、フローラマット、メチルシクロオクチルカルボネート、ポイレナートが好ましく、特に1,8-シネオール、リモネン、α-ピネンが好ましい。なお、これらTRPV3アゴニストを含有させるにあたり、これらを含む植物や精油等を用いることもできる。
本発明の血行促進用身体化粧料は、(C)多価アルコール及び/又はノニオン界面活性剤を含有する。成分(C)を含有することにより、成分(B)TRPV3アゴニストを化粧料に均質に可溶化させ、成分(B)TRPV3アゴニストと成分(A)との相乗効果を充分に発揮させることができる。成分(C)として、これら多価アルコール又はノニオン界面活性剤を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよいが、特に好ましくは多価アルコール及びノニオン界面活性剤を併用したものが好ましい。
上記多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコ一ル、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。なかでも、成分(B)TRPV3アゴニストを化粧料に均質に可溶化させ、成分(B)TRPV3アゴニストと成分(A)との相乗効果を充分に発揮させる点及び汎用性の観点から、グリセリン、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、特に、グリセリン及びプロピレングリコールを併用することが好ましい。
上記ノニオン界面活性剤としては、親油性ノニオン界面活性剤、親水性ノニオン界面活性剤が挙げられる。かかる親油性ノニオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のブロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
親水性ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(POE)−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレート、POE−ソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POE−モノオレエート、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類;POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE−オクチルフェニルエーテル、POE−ノニルフェニルエーテル、POE−ジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;ブルロニック等のプルアロニック型類;POE・POP−セチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類;テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類;POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体;POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド;POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、アルキルグルコシド類、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
これらノニオン界面活性剤のなかでも、成分(B)TRPV3アゴニストを化粧料に均質に分散させ、成分(B)TRPV3アゴニストと成分(A)との相乗効果を充分に発揮させる点から、POEソルビット脂肪酸エステル類、POEアルキルエーテル類、POE硬化ヒマシ油誘導体が好ましい。
上記成分(C)多価アルコール及びノニオン界面活性剤の合計含有量は、上記相乗効果及び製剤安定性等の観点から、血行促進用身体化粧料全量中、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.2〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%である。
なお、上記成分(B)と成分(C)との含有量比(質量比、(B):(C))は、成分(B)の分散性及び製剤安定性等の観点から、好ましくは1:50〜2:1であり、より好ましくは1:30〜1:1であり、さらに好ましくは1:10〜1:2である。
本発明の血行促進用身体化粧料は、血行促進用身体化粧料全量中に(D)エタノールを5質量%未満含有する、又は成分(D)エタノールを含有しない。好ましくは血行促進用身体化粧料は、血行促進用身体化粧料全量中に成分(D)エタノールを3質量%未満含有する、又は成分(D)エタノールを含有しない。エタノールは、特にエタノール過敏症の人に対して、皮膚刺激性を与えるだけでなく、皮膚の高速乾燥を促し、これにより皮膚のヒビ割れ等を生じさせる可能性があることが懸念されることから、エタノールの含有量はできる限り低くすることが良く、更に実質的に含有しないことが好ましい。なお、実質的に含有しないとは、意図的にエタノールを添加しないことをいい、製造上不可避的に混入してしまうものは含まれる。ただし、成分(D)エタノールを全く含まないことがより好ましい。このことによって血行促進用身体化粧料の皮膚刺激性が高まることなく血行促進を持続することができる。
本発明の血行促進用身体化粧料には、上記成分の他に、通常化粧品や医薬品等に用いられる他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、合成エステル油、シリコーン、保湿剤、水溶性高分子化合物、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金屑イオン封鎖剤、エタノール及び多価アルコール以外のアルコール類、糖類、アミノ酸誘導体、有機アミン類、合成樹脂エマルション、公知の血行促進剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、防腐剤、色素、上記成分(B)以外の香料、水等を、その用途に応じて適宜配合することができる。
なお、上記成分(B)以外の香料としては、様々な文献、例えば、「合成香料化学と商品知識」、印藤元一著、1996年化学工業日報社刊;「パフューム アンド フレバー ケミカルス(Perfumeand Flavor Chemicals)」、ステファンアークタンダー(STEFFENARCTAMDER)著、1969年等の文献に記載された香料等が好適に使用できる。
本発明の血行促進用身体化粧料による身体中における使用部位は外皮に適用されるものを指し、その用途は多岐に亘るが、特に刺激の強い化粧料の使用に適さない部位、例えば、頭皮以外の身体、具体的には、顔や、首肩デコルテ部や、腹胸部や、手足の内側部等に適用されるものを指す。例えば、クリーム、化粧水、乳液、パック、美容液等のフェーシャル化粧料やスキンケア化粧料、ボディー化粧料、洗浄料、ジェル、軟膏等として用いることができる。それぞれ液状、乳液状、ペースト状、ゲル状、粉末状、顆粒状、ペレット状等の形態を呈していてもよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜10、比較例1〜2]
表1に示す処方に従って未架橋状態の含水ゲル原液を調製した後、各成分を含有するゲルシートを作製した。具体的には、グリセリンとプロピレングリコールの混合液を混練機に投入し、コハク酸水溶液に分散させたカルボキシメチルセルロース、乾燥水酸化アルミニウムゲル、パラオキシ安息香酸メチルを配合して未架橋ゲルを調製した。次いで、得られた未架橋ゲルに、TRPV3アゴニストを加温溶解させた多価アルコール及び/又はノニオン界面活性剤をTRPV3アゴニストが適濃度になるように混合し、この未架橋状態のゲルを、PE(ポリエチレン)フィルムと不織布を積層したEVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)フィルムとの間に挟み込み、ベーカー式アプリケーターにより、含水ゲルの厚さが1.5mmとなるように展延した。さらに、50℃で5日間熟成させて含水ゲルのイオン架橋反応を促進させて、架橋したゲルシートを得た。
得られたゲルシートを正方形(面積25cm2)に型抜きしてアルミピロー中に炭酸ガスとともに封入して、ゲル中の炭酸ガス濃度を約1800ppmとし、5日間保持したものを評価ゲルシートとした。使用時には、アルミピローを開封し、速やかに評価ゲルシートを皮膚に貼付して、前腕内側における皮膚感覚や血流増加作用(炭酸ガス共存時の皮膚感覚)を下記基準に従って評価した。評価ゲルシートのpHは、4.5〜7.0であった。また、比較例2以外はいずれもエタノールの含有量は、0質量%であった。比較例2のエタノールの含有量は10質量%であった。なお、あらかじめゲルシートにエタノールを配合することは困難であるため、皮膚に貼付する際にエタノールをゲルシートに塗布することで比較例2のゲルシートとした。
《炭酸ガス共存時の皮膚感覚》
5: 感覚なし
4: わずかに刺激感を感じる
3: 弱い刺激感を感じる
2: 強い刺激感を感じる
1: 非常に強い刺激感を感じる
Figure 0005856739
比較例1〜2及び実施例1〜10で得られたゲルシート(図1のCO2(+))について、各々炭酸ガスを含有しないシート(図1のCO2(−))を作製して、これらを比較しながら評価を行った。得られた各シートを前腕内側部に7分間貼付し、貼付前と貼付後の血流量と顔(頬)における皮膚感覚を評価した。血流量測定は、一定の条件(室温約26±1℃、湿度約60±10%)にて、約20分間馴化した後に、前腕部の血流をリアルタイム血流画像化装置FLPI(Moor Instruments Ltd.製、Moor FLPI)にて測定した。シート貼付前の前腕部の皮膚血流を100として、シートを7分間貼付してから剥離後からの血流量を約0.5分間毎に測定し、シート貼付前の血流量の相対値で示した。表及び図中の値は30歳代の健常人男性における測定結果の平均値(N=3以上)として算出した。皮膚感覚の結果を表1に示し、血流増加率を図1及び図2に示す。
図1によれば、炭酸ガスを含有しないシート剥離後の血流量はいずれもゲルシート貼付前よりも低く、TRPV3アゴニストを含有しない比較例1のシートでは貼付前の95%程度の血流量を示すことがわかる(図1(a)点線)。シート貼付後の血流量がシート貼付前の血流量よりも低いのは、ゲルシートに含有される水分が皮膚に移行し、水の蒸散熱によって皮膚表面温度が低下するために、血流量はシート貼付前に比べて減少すると考えられる。即ち、本実験における血行促進作用とは、ゲルシートを貼付した一定時間後に、シート貼付前の血流値の相対値が95%(TRPV3アゴニストを含有しない比較例1のシートによる血流値)を超えることを意味する。
炭酸ガスを溶存させたシート剥離後の血流量は、剥離後約2分間は100%を超える値を示した(図1(a)実線)。この100%を超える値は、シートに含有された炭酸ガスが経皮吸収されて血行促進作用が起こったためと予想でき、従って、この血行促進作用は、炭酸ガスの皮膚内部における代謝・消費や大気中への炭酸ガスの気散により、時間の経過に伴い弱くなる。よってシート剥離2分後以降の血行促進作用は認められなかった。この比較例1の血流量変化挙動を指標として、本発明のシートにおける炭酸ガスとTRPV3アゴニストとの血行促進作用について評価を行った。
実施例1のリモネン含有シートを貼付すると、炭酸ガス共存下で、比較例1では見られなかった血行促進作用(図1(b)中の3〜10分)が認められた。一方で、炭酸ガスを溶存しないシートでは、いずれの時間帯においても血行促進作用は認められなかった。これらの結果から、本発明の血行促進用身体化粧料であれば、シート剥離後約2分間の炭酸ガスによる血行促進作用に加えて、その後の3〜10分も血行促進作用がシート貼付前の血流値の95%を超え続け、血行促進作用が持続することが明らかとなった。その他、実施例2〜6についても、血行促進作用を発現する時間あるいは血行促進レベルは配合するTRPV3アゴニストごとに異なるものの、炭酸ガス溶存シート系で実施例1と同様な血行促進作用の持続性が認められた(図1(c)〜(g))。
図2では、実施例1〜10の最大血流量を比較した結果を示す(ただし、シート剥離後約2分間の炭酸ガスのみに由来する血行促進作用時間は除く)。図2によれば、実施例1〜10でそれぞれ含有したTRPV3アゴニストのみ(炭酸ガス(−))ではシート貼付前より血流が減少する条件において、炭酸ガスとTRPV3アゴニストとを併用すると、TRPV3アゴニストごとにその値は異なってはいるものの、血行促進作用が高まることが明らかとなった。
炭酸ガスとTRPV3アゴニストを併用させた系において、TRPV3アゴニストがカンファー、ボルネオールの時に、皮膚(頬)においては刺激性が多少確認されたものの、身体化粧料としては問題が無い範囲であった。これらの化合物はTRPV3チャネルを活性化するが、TRPV3チャネルのほかにTRPV1チャネルあるいはTRPA1チャネルを活性化することが知られている。したがって、刺激性を発現したこれらカンファー、ボルネオールはTRPV3チャネル以外のTRPチャネルも活性化し、刺激感覚を発現している可能性がある。そのため、特に低刺激の血行促進用化粧料を得るには、TRPV3のみを選択的に活性化するTRPV3アゴニストを用いることが望ましく、実施例1〜6のTRPV3アゴニストのように皮膚刺激性の低いものが好ましい。なお、エタノールを同時に皮膚に塗布した場合にも、刺激性が確認された(比較例2)。
[実施例11〜13、比較例3〜4]
表2に示す処方に従ってゲルシートを作製し、TRPV3アゴニストの溶解剤として多価アルコール又はノニオン界面活性剤の配合を検討した。カルバクロール及びリモネンは、多価アルコール又はノニオン界面活性剤に溶解させて、ゲル原液と混合し、熟成しゲルシートを調製した。裁断したゲルシートをアルミピロー中に炭酸ガスとともに封入し、5日間保持した後に皮膚に貼付して前腕における血流増加作用を評価した。結果を図3に示す。
Figure 0005856739
図3によれば、シート剥離5分後の血流量は、グリセリンなどの多価アルコールや、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットやポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル等のノニオン界面活性剤を配合した実施例11〜13のシートの方が、それらを配合しない比較例3〜4よりも高いことが示された(図3(a))。なかでも、多価アルコールとノニオン界面活性剤とを同時に配合すると、より血流増加作用が高まることが示された(図3(b)、実施例13)。これらの結果から、TRPV3アゴニストを炭酸ガス含有身体化粧料に配合する際には、同時に多価アルコール及び/又はノニオン界面活性剤、特に多価アルコール及びノニオン界面活性剤を配合すると、血行促進作用を持続させ、血流増加レベルを高められることが明らかとなった。
[実施例14〜15、比較例5]
炭酸ガス濃度と血行促進作用の関連を明らかにするために、アルミピローにゲルシートと共に封入する炭酸ガスの濃度を変動させた場合における、血行促進作用を評価した。本実験では、実施例1で得られたリモネン含有のシートを用い、炭酸ガス濃度を変動させたシートを作製し(表3)、得られたシートを前腕内側部に7分間貼付した後に剥離して、剥離した直後における皮膚紅潮レベルを目視により評価するとともに、0.5分後及び5分後における血流増加作用を評価した。結果を図4に示す。
Figure 0005856739
その結果、比較例5ではゲルシート剥離直後(図4(a))、及びその後においても皮膚紅潮は認められず、血行促進作用は認められなかった(図4(b))。一方、実施例14のゲルシートでは、ゲルシート剥離直後にうっすらと紅潮が認められ、また同時に血流測定においても、血流量の増加が認められた。さらにシート剥離後3〜6分で弱い紅潮及び血流増加作用が認められ、シート剥離後5分の血流増加率は105%程度であった(図4(c))。実施例15では、シート剥離直後のはっきりとした皮膚紅潮が観察され、その後3〜8分で血流増加作用が発現し、さらに血流増加作用の持続性が認められ、シート剥離5分後の血流量は実施例14よりも高かった。これらの結果から、炭酸ガス濃度が100ppm未満では、炭酸ガスとTRPV3アゴニストとを併用しても、血流増加作用及びその後の血流増加作用の持続性が得られないことが明らかとなった。
以下に、本発明に関する種々の血行促進用身体化粧料を例示するが、いずれの実施例も優れた血行促進作用及び血行促進作用の持続性を発揮し、同時に皮膚刺激性がなく使用性が良好であった。なお、これらの実施例における身体化粧料の製造方法は、それぞれにおける製造方法として一般的に用いられている方法に従った。
[実施例16:化粧水]
質量%
エタノール 3.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
グリセリン 5.0
プロピレングリコール 5.0
POE(15)ラウリルエーテル 0.5
リモネン 0.4
防腐剤 適量
精製水 残余
炭酸ガス 0.15
炭酸ガス以外の成分を混合、攪拌して均一とし、所定の量をアルミピローに入れた後に炭酸ガスを封入して血行促進用化粧水を得た。
[実施例17:乳液]
質量%
ステアリン酸 2.5
セチルアルコール 1.5
エタノール 0.5
ワセリン 5.0
1,8−シネオール 0.4
炭酸ガス 0.15
プロピレングリコール 3.0
流動パラフィン 10.0
POE(10)モノオレイン酸エステル 2.0
PEG1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
カルボキシビニルポリマー 0.05
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
炭酸ガス以外の成分を混合、攪拌して均一とし、所定の量をアルミピローに入れた後に炭酸ガスを注入して血行促進用乳液を得た。
[実施例18:スキンローション]
質量%
エタノール 3.0
乳酸 0.1
プロピレングリコール 2.0
乳酸ナトリウム 0.3
POE(20)硬化ヒマシ油 0.5
リモネン 0.1
炭酸ガス 0.15
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
炭酸ガス以外の成分を混合、攪拌して均一とし、所定の量をアルミピローに入れた後に炭酸ガスを注入して血行促進用スキンローションを得た。
[実施例19:入浴剤]
質量%
炭酸水素ナトリウム 30.0
炭酸ナトリウム 15.0
フマル酸 49.5
ポリエチレングリコール6000 5.0
ポリオキシエチレンステアリルエーテル 0.5
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 0.5
リモネン 0.5
香料 適量
[実施例20:エアゾール]
質量%
炭酸ガス 1.5
液化石油ガス 0.5
イソペンタン 1.0
ラウリルリン酸 3.9
モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
カルボキシビミニルポリマー 0.1
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.1
キサンタンガム 0.1
トリメチルグリシン 4.9
プロピレングリコール 1.6
L-アルギニン 3.0
ニコチン酸dl−α―トコフェロール 1.0
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.2
リモネン 0.1
香料 適量
精製水 残量
二酸化炭素及び液化石油ガス以外を混合して原液を調製し、その後原液と二酸化炭素と液化石油ガス及びイソペンタンの混合ガスを耐圧容器に密封して血行促進用エアゾール組成物を得た。

Claims (3)

  1. 次の成分(A)〜(D):
    (A)炭酸ガス100〜20000ppm
    (B)TRPV3アゴニスト0.01〜5質量%
    (C)多価アルコール及びノニオン界面活性剤
    (D)エタノール0〜5質量%
    を含有し、かつ
    前記成分(B)と成分(C)との含有量比(質量比)が(B):(C)=1:50〜2:1である血行促進用身体化粧料。
  2. 前記成分(B)が、1,8-シネオール、リモネン、α-ピネン、フローラマット、メチルシクロオクチルカルボネート及びポイレナートからなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の身体化粧料。
  3. 前記(C)成分の含有量が、0.1〜20質量%である請求項1又は2に記載の身体化粧料。
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