膜バイオリアクター(MBR)は、本来なら廃棄される選択されたブロス成分の再利用を発酵と組み合わせることによってイソプレンガスの発酵による生成量を高めることができる。MBRは、クロスフローフィルター又はタンジェンシャルフローフィルターなどの膜フィルターとともに使用される、イソプレン生成細胞を培養する液体発酵バイオリアクターを備えている。MBRは、発酵ブロスを濾過して非透過成分(フィルターの「保持成分」)をリアクターに戻すことにより、細胞の比生産性は維持しながら、細胞、細胞片、及び他のブロス固形分のリアクター濃度を効果的に高める。これにより、イソプレンの力価、総生成量、及び体積生成効率が大幅に高められ、資本コスト及び運営コストの低減につながる。
濾液(「透過液」)はリアクターには戻されず、ブロスの抜き取り液を回収する場合と同様に、リアクター体積が効果的に低減される。しかしながら、ブロスの抜き取りと異なり、回収される透過液は、通常の容器中での保存後に濾過によって容易に滅菌することが可能な透明な液体である。したがって、透過液は、栄養分及び/又は水の再利用源として容易に再使用することが可能であり、運営コストが更に低減される。可溶性の「使用済み培地」を含む透過液を同じか又は別の発酵に加えることによってイソプレン生成を促進することができる。
MBRは、他の文献に述べられる(例えば国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号を参照)、再生可能な資源からイソプレンを生成する方法の、潜在的に拡張性を有する、有利な態様の1つである。MBRを使用しない場合に可能なイソプレン力価と比較して大幅に高いイソプレン力価を与え、体積生産性を高めることに加え、MBRは、栄養分及び水の供給源として使用可能な透明な透過液を生成することにより、原材料の消費を低減し、プロセスの持続性を改善するものである。
したがって、一態様において、本明細書は、イソプレンを生成するための改良された方法であって、(a)イソプレンシンターゼポリペプチドをコードした異種核酸を有する細胞を、イソプレンの生成に適した培養条件下で培養する工程であって、細胞が、(i)40g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成するか、又は、(ii)イソプレン約500mg/Lブロス/時間よりも高い平均のイソプレンの体積生産性を有するものである、工程と、(b)培養の一部を取り出す工程と、(c)培養の取り出した一部を濾過して透過液と保持成分とを生成する工程と、(d)保持成分を培養に戻す工程と、(e)イソプレンを生成する工程と、場合に応じて(f)イソプレンを回収する工程と、を含み、(b)、(c)及び(d)工程を行った培養細胞が、(b)、(c)及び(d)工程を行わずに培養した同じ細胞よりも(i)より高い力価でイソプレンを生成するか、又は(ii)より高い平均のイソプレンの体積生産性を有する、方法を提供する。
別の態様において、本明細書は、イソプレンを生成するための改良された方法であって、(a)イソプレンシンターゼポリペプチドをコードした異種核酸を有する細胞を、増殖培地が入った発酵装置中で、イソプレンの生成に適した培養条件下で培養する工程であって、細胞が、(i)40g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成するか、又は、(ii)イソプレン約500mg/Lブロス/時間よりも高い平均のイソプレンの体積生産性を有するものである、工程と、(b)発酵装置から細胞培養の一部を取り出す工程と、(c)細胞培養の取り出した一部をフィルターに移す工程と、(d)細胞培養の取り出した一部を濾過して、(i)使用済み増殖培地を含む透過液と、(ii)細胞及び他の培養固形分を含む保持成分と、を生成する工程と、(e)保持成分を発酵装置に戻す工程と、(f)透過液を回収する工程と、(g)イソプレンを生成する工程と、(h)イソプレンを回収する工程と、を含み、(b)、(c)、(d)及び(e)工程を行った培養細胞が、(b)、(c)、(d)及び(e)工程を行わずに培養した同じ細胞よりも(i)より高い力価でイソプレンを生成するか、又は(ii)より高い平均のイソプレンの体積生産性を有する、方法を提供する。
一般的方法
本発明の実施においては、特に断らないかぎりにおいて、当業者の技能の範囲内に含まれる従来の分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の技術を用いる。こうした技術は、以下の文献に詳細に説明されている。すなわち、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」,second edition(Sambrookら、1989);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait編、1984);「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney編、1987);「Methods in Enzymology」(Academic Press,Inc.);「Current Protocols in Molecular Biology」(F.M.Ausubelら編、1987、及びperiodic updates);「PCR:The Polymerase Chain Reaction」,(Mullisら編、1994)である。Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed.,J.Wiley & Sons(New York,N.Y.1994)、及びMarch,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 4th ed.,John Wiley & Sons(New York,N.Y.1992)は、本願において使用する用語の多くについて一般的な指標を当業者に与えるものである。
バイオリアクター中の遺伝子操作された細胞培養は、例えば、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられるように、より効率的に、より大量に、より高純度で、かつ/又は固有の不純物プロファイルにてイソプレンを生成するものである。
用語の定義
「イソプレン」なる用語は、2−メチル−1,3−ブタジエン(CAS番号78−79−5)のことを指す。イソプレンは、3,3−ジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)からのピロリン酸の脱離による直接的かつ最終的な揮発性のC5炭化水素生成物でありうる。場合によっては、IPP分子のDMAPP分子への結合又は重合が行われない場合もある。「イソプレン」なる用語は、本明細書において特に断らないかぎりは、その生成方法に限定されることを通常は意図していない。
本明細書において使用するところの「生物学的に生成されたイソプレン」又は「バイオイソプレン」とは、遺伝子操作された細胞培養、天然の微生物、植物又は動物によって生成されるもののような、任意の生物学的手段によって生成されたイソプレンのことである。バイオイソプレン組成物は、通常、石油化学系の原料から生成されるイソプレンと比較して含まれる炭化水素不純物が少なく、重合グレードとするのに必要な処理はしばしば最小で済む。バイオイソプレン組成物はまた、石油化学的に生成されたイソプレン組成物とは異なる不純物プロファイルを有している。
本明細書において使用するところの「透過液」なる用語は、増殖培地及び細胞が入った(すなわち培養細胞が入った)発酵装置又はバイオリアクターの内容物を、例えばクロスフロー濾過によって濾過することによって生成される濾液(すなわち使用済み増殖培地)のことを指す。細胞は、例えば、プロモーターと機能的に連結されたイソプレンシンターゼポリペプチド、DXSポリペプチド、IDIポリペプチド、及び/又はMVA経路ポリペプチドをコードした1つ以上の異種核酸を含むものなどの、本明細書において述べられる代表的なイソプレン生成細胞又は細胞型のいずれのものであってもよい。
本明細書において使用するところの「保持成分」とは、増殖培地及び細胞が入った(すなわち培養細胞が入った)発酵装置又はバイオリアクターの内容物を、例えばクロスフロー濾過によって濾過した後にフィルター上に保持される固形分(すなわち細胞、破片、及び他の培養固形分)のことを指す。細胞は、例えば、プロモーターと機能的に連結されたイソプレンシンターゼポリペプチド、DXSポリペプチド、IDIポリペプチド、及び/又はMVA経路ポリペプチドをコードした1つ以上の異種核酸を含むものなどの、本明細書において述べられる代表的なイソプレン生成細胞又は細胞型のいずれのものであってもよい。
本明細書において使用するところの「ポリペプチド」なる用語には、ポリペプチド、タンパク質、ペプチド、ポリペプチドのフラグメント、及び融合ポリペプチドが含まれる。
本明細書において使用するところの「単離ポリペプチド」とは、2、5、10、20、50又はそれよりも多い異なるポリペプチドのライブラリーのようなポリペプチドのライブラリーの一部ではなく、自然界で混在する少なくとも1種類の成分から分離されたもののことである。単離ポリペプチドは、例えば、ポリペプチドをコードした組換え核酸を発現させることによって得ることができる。単離ポリペプチドは自然に存在しないポリペプチドであってもよい。
「異種ポリペプチド」とは、そのアミノ酸配列が、同じホスト細胞内で自然に発現される別のポリペプチドのアミノ酸配列と同一ではないポリペプチドのことを意味する。詳細には、異種ポリペプチドは、自然界で同じホスト細胞内に見出される野性型ポリペプチドと同一ではない。
本明細書において使用するところの「核酸」とは、一本鎖又は二本鎖の形で互いに共有結合された2つ以上のデオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドのことを指す。
「組換え核酸」とは、対象とする核酸が由来する生物において自然に存在するゲノムにおいて、対象とする核酸に隣接する1つ以上の核酸(例えば遺伝子)を含まない、対象とする核酸のことを意味する。したがって、この用語には、例えば、ベクター中に、自己複製型のプラスミド若しくはウイルス中に、又は原核生物若しくは真核生物のゲノムDNA中に組み込まれるか、あるいは、他の配列とは独立した別の分子(例えばcDNA、ゲノムDNAフラグメント、又はPCR若しくは制限エンドヌクレアーゼによる消化によって生成するcDNAフラグメント)として存在する組換えDNAが含まれる。場合によっては、組換え核酸は自然に存在しないポリペプチドをコードした核酸である。
「異種核酸」とは、その核酸配列が同じホスト細胞内に自然に見出される別の核酸の配列と同一ではない核酸のことを意味する。詳細には、異種核酸は、自然界で同じホスト細胞内に見出される野性型核酸と同一ではない。
本明細書において使用するところの「ベクター」とは、1つ以上の対象とする核酸をホスト細胞内に導入し、望ましくは発現させることが可能なコンストラクトのことを意味する。ベクターの例としては、これらに限定されるものではないが、プラスミド、ウイルスベクター、DNA又はRNA発現ベクター、コスミド、及びファージベクターが挙げられる。
本明細書において使用するところの「発現調節配列」とは、対象とする核酸の転写を指示する核酸配列のことを意味する。発現調節配列は、構成的若しくは誘導性プロモーターなどのプロモーター、又はエンハンサーであってよい。「誘導性プロモーター」は、環境的な、又は発生における調節下で活性を有するプロモーターである。発現調節配列は、転写される核酸のセグメントと機能的に連結される。
「選択マーカー」又は「選択可能なマーカー」とは、導入された核酸又はベクターを有するホスト細胞の選択を容易にする、ホスト細胞中で発現可能な核酸のことを指す。選択可能なマーカーの例としては、これらに限定されるものではないが、抗生物質耐性核酸(例えば、カナマイシン、アンピシリン、カルベニシリン、ゲンタマイシン、ヒグロマイシン、フェロマイシン、ブレオマイシン、ネオマイシン又はクロラムフェニコール)、及び/又はホスト細胞に栄養的な利点などの代謝的な利点を与える核酸が挙げられる。代表的な栄養的選択マーカーとしては、当該技術分野においてamdS、argB及びpyr4として知られるマーカーが挙げられる。
本明細書において特に定義しないかぎり、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において述べられるものと同様又は同等のあらゆる方法及び材料を本発明の実施において使用することができるが、好ましい方法及び材料については本明細書に述べる。したがって、以下に定義する用語は、明細書全体を参照することでより完全に記載される。引用される文献はすべて、その関連部分において、本明細書に参照によりその全容を援用するものである。しかしながら、いずれの文献の引用も、当該文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
本明細書において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」には、内容的に明らかに示されていないかぎり、複数の対象物が含まれる。
本明細書の全体を通じて与えられるすべての最大の数値的限定には、これよりも小さいすべての数値的限定が、あたかもこうしたより小さい数値的限定が本明細書に明確に記載されているものと同様に含まれるものとする。本明細書の全体を通じて与えられるすべての最小の数値的限定には、これよりも大きいすべての数値的限定が、あたかもこうしたより大きい数値的限定が本明細書に明確に記載されているものと同様に含まれる。本明細書の全体を通じて与えられるすべての数値的範囲には、これよりも狭い数値的範囲が、あたかもこうしたより狭い数値的範囲がすべて本明細書に明確に記載されているものと同様に含まれる。
バイオイソプレンの生成量を増大させるための方法
本明細書では、イソプレンを生成するための改良された方法を提供する。特定の態様では、改良された方法は、(a)イソプレンシンターゼをコードした異種核酸を有する細胞を、イソプレンの生成に適した培養条件下で培養する工程であって、細胞が、(i)40g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成するか、又は、(ii)イソプレン約500mg/Lブロス/時間よりも高い平均の体積生産性を有するものである、工程と、(b)培養の一部を取り出す工程と、(c)培養の取り出した一部を濾過して透過液と保持成分とを生成する工程と、(d)保持成分を培養に戻す工程と、(e)イソプレンを生成する工程と、場合に応じて(f)イソプレンを回収する工程と、を含み、(b)、(c)及び(d)工程を行った培養細胞が、(b)、(c)及び(d)工程を行わずに培養した同じ細胞よりも(i)より高い力価でイソプレンを生成するか、又は(ii)より高い平均のイソプレンの体積生産性を有する。特定の態様では、細胞は発酵装置、バイオリアクター、又は商業的規模での細胞培養に適した他の容器中で培養される。特定の態様では、発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器は、ステンレス鋼、ガラス又は銅である。特定の態様では、発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器は、イソプレン貯蔵タンクに接続されたイソプレン回収出口を更に有する。特定の態様では、イソプレン回収出口は、イソプレン回収出口を通じたイソプレンの流れを制御するための弁を更に有する。
特定の態様では、改良された方法は、(a)イソプレンシンターゼをコードした異種核酸を有する細胞を、増殖培地が入った発酵装置中で、イソプレンの生成に適した培養条件下で培養する工程であって、細胞が、(i)40g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成するか、又は、(ii)イソプレン約500mg/Lブロス/時間よりも高い平均の体積生産性を有するものである、工程と、(b)発酵装置から細胞培養の一部を取り出す工程と、(c)細胞培養の取り出した一部をフィルターに移す工程と、(d)細胞培養の取り出した一部を濾過して、(i)使用済み増殖培地を含む透過液と、(ii)細胞及び他の培養固形分を含む保持成分と、を生成する工程と、(e)保持成分を発酵装置に戻す工程と、(f)透過液を回収する工程と、(g)イソプレンを生成する工程と、場合に応じて(h)イソプレンを回収する工程と、を含み、(b)、(c)、(d)及び(e)工程を行った培養細胞が、(b)、(c)、(d)及び(e)工程を行わずに培養した同じ細胞よりも(i)より高い力価でイソプレンを生成するか、又は(ii)より高い平均のイソプレンの体積生産性を有する。特定の態様では、細胞は発酵装置、バイオリアクター、又は商業的規模での細胞培養に適した他の容器中で培養される。特定の態様では、発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器は、ステンレス鋼、ガラス又は銅である。特定の態様では、発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器は、イソプレン貯蔵タンクに接続されたイソプレン回収出口を更に有する。特定の態様では、イソプレン回収出口は、イソプレン回収出口を通じたイソプレンの流れを制御するための弁を更に有する。特定の態様では、イソプレン回収出口は、本明細書において述べられる任意の適当な可撓性チューブ又は剛性チューブを有する。
特定の態様では、発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器は循環ループ及び循環ポンプによってフィルターと接続される。特定の態様では、循環ループは、循環ループを通じた物質の(すなわち、細胞培養の一部又は保持成分の)流れを制御するための1つ以上の弁を更に有する。一般的に、流速及び圧力を正確に調節又は制御する能力を有するあらゆる種類のポンプを本明細書において述べられる方法とともに使用することができる。特定の態様では、循環ポンプは、ペリスタルティックポンプ、往復動ポンプ、又はロータリーポンプなどの容積移送式ポンプを含む。特定の態様では、循環ポンプはペリスタルティックポンプである。特定の態様では、循環ポンプは、遠心ポンプ、渦巻ポンプ、軸流ポンプ、混合流ポンプ、又は重力ポンプなどの速度ポンプである。特定の態様では、循環ポンプは遠心ポンプである。
特定の態様では、循環ループは可撓性チューブを有する。特定の態様では、可撓性チューブは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(例えばSuperthane(登録商標))、シリコーン(例えばSilcon(登録商標))、熱可塑性ゴム(TPR、例えばSuprene(登録商標))、フルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン(例えばProlite(登録商標))、ラテックス又は金属チューブである。特定の態様では、PVCチューブは、編組強化されたもの(例えばNylobrade(登録商標))、鋼線強化されたもの(例えばVardex(登録商標))、又は螺旋強化されたもの(例えばNewflex(登録商標))である。特定の態様では、ポリウレタンチューブは編組強化されたものである(例えばUrebrade(登録商標)Pneumatic)。特定の態様では、シリコーンチューブは、編組強化されたもの(例えばSilbrade(登録商標))、白金硬化された医療グレードチューブ(例えばSilcon(登録商標)Med−X)、又はポリエステル及びワイア強化されたもの(例えばSilvac(登録商標))である。特定の態様では、フルオロポリマーチューブは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、例えばCONTEF(商標))、フッ素化エチレンプロピレン(FEP、例えばCoiltef(商標))、ペルフルオロアルコキシ(PFA、例えばCoiltef(商標))、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)ポリエーテルイミド(PEI)、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。特定の態様では、ポリエチレンチューブは、直鎖状低密度ポリエチレンチューブ(LLDPE、例えばZelite(商標))である。
特定の態様では、循環ループは、剛性チューブ又はパイプを有する。特定の態様では、剛性チューブは金属である。特定の態様では、金属は炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛めっき鋼、銅、黄銅、若しくは他の任意の適当な金属又は合金である。特定の態様では、剛性チューブはプラスチックである。特定の態様では、プラスチックは、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)、繊維強化プラスチック(FRP)、強化ポリマーモルタル(RPMP)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、架橋高密度ポリエチレン(PEX)、ポリブチレン(PB)、高密度ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、又は他の任意の適当な材料である。
特定の態様では、透過液は透過液回収出口及び透過液ポンプによりフィルターから回収され、透過液回収タンク内に貯蔵される。特定の態様では、透過液回収出口は、透過液回収出口を通じた透過液の流れを制御するための弁を更に有する。特定の態様では、透過液回収出口は、本明細書において述べられる任意の適当な可撓性チューブ又は剛性チューブを有する。特定の態様では、透過液回収出口は、透過液回収出口内の圧力(P透過液)を監視するための透過液圧力ゲージを更に有する。一般的に、流速及び圧力を正確に調節又は制御する能力を有するあらゆる種類のポンプを本明細書において述べられる方法とともに使用することができる。特定の態様では、透過液ポンプは、ペリスタルティックポンプ、往復動ポンプ、又はロータリーポンプなどの容積移送式ポンプを含む。特定の態様では、透過液ポンプはペリスタルティックポンプである。特定の態様では、透過液ポンプは、遠心ポンプ、渦巻ポンプ、軸流ポンプ、混合流ポンプ、又は重力ポンプなどの速度ポンプである。特定の態様では、透過液ポンプは遠心ポンプである。特定の態様では、透過液回収タンクはタンク内の圧力を解放するための通気口を更に有する。
特定の態様では、改良された方法は、同じ細胞培養又は別の培養中に透過液を再循環させる工程を更に含む。透過液を再循環させることにより、所定の時間におけるイソプレンの生成量を増大させること、例えば、1Lのブロスにつき1時間当たりのイソプレンの生成量を増大させることが可能となる。したがって、一態様では、再循環された透過液の存在下で培養された細胞は、再循環された透過液の非存在下で培養された同じ細胞よりも高い平均のイソプレンの比生産性を有する。特定の態様では、細胞は、再循環された透過液の非存在下で培養された同じ細胞よりも約2倍高い平均のイソプレンの比生産性を有する。特定の態様では、細胞は、再循環された透過液の非存在下で培養された同じ細胞よりも約3倍高い平均のイソプレンの比生産性を有する。特定の態様では、透過液は同じ細胞培養又は別の細胞培養中に再循環される前に滅菌される。特定の態様では、透過液は濾過により滅菌される。特定の態様では、透過液はオートクレーブにより滅菌される。特定の態様では、透過液は紫外線又はγ線照射により滅菌される。特定の態様では、透過液は同じ細胞培養又は別の細胞培養中に再循環される前に滅菌されない。
この本明細書において述べられるシステムの利点の1つは、透過液の再循環又は廃棄の際に失われる所望の生成物(すなわちイソプレン)の量が最小に抑えられる点である。一態様では、循環が開始される前に発酵装置内で生成したイソプレンの少なくとも約50%は、循環が完了した後に回収可能であり、したがって透過液の再循環又は廃棄の際に失われない。別の態様では、発酵装置内で生成したイソプレンの少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、又は少なくとも約99.9%が回収可能であり、透過液中で失われない。
特定の態様では、循環ループは、フィルターの入口圧力(P入口)を監視するための入口圧力ゲージを更に有する。特定の態様では、循環ループは、フィルターの出口圧力(P出口)を監視するための出口ゲージを更に有する。特定の態様では、循環ループは、フィルターの入口圧力(P入口)を監視するための入口圧力ゲージ、及びフィルターの出口圧力(P出口)を監視するための出口ゲージを更に有する。特定の態様では、改良された方法は、(i)フィルターの入口圧力(P入口)を入口圧力ゲージによって監視する工程と、(ii)フィルターの出口圧力(P出口)を出口圧力ゲージによって監視する工程と、(iii)透過液回収出口内の圧力(P透過液)を透過液圧力ゲージによって監視する工程を更に含むことによってフィルターの膜間圧力を測定する。
特定の態様では、濾過は精密濾過による。特定の態様では、精密濾過はクロスフロー濾過による。特定の態様では、濾過は限外濾過による。特定の態様では、限外濾過はクロスフロー濾過による。クロスフロー濾過では、濾過される溶液は、透過液側に対して正の膜間圧力(TMP)で接線方向にフィルター膜を通過させられる。膜の孔径よりも小さい、材料の所定の割合が、濾液(すなわち透過液)として膜を通過するのに対して、溶液の残りの部分は保持成分として供給側に残る。クロスフロー濾過では、膜の両側のまとまった量の流体の接線方向の運動によって、フィルター表面上に残留する捕捉された粒子や固形分が剥離するため、クロスフローフィルターは汚れずに比較的高い固形分負荷で連続して動作することが可能である。更に、保持成分は、循環ループを介して発酵装置に戻すのに適した流動性のスラリーの形に維持される。特定の態様では、濾過は遠心分離又はスピン濾過による。特定の態様では、濾過は渦流濾過による。特定の態様では、濾過はハイドロサイクロンによる。本明細書において述べられる任意の態様において、濾過は精密濾過による。本明細書において述べられる任意の態様において、濾過は限外濾過による。
特定の態様では、濾過は精密濾過による。特定の態様では、精密濾過はクロスフロー濾過である。特定の態様では、クロスフロー濾過はタンジェンシャルフロー濾過である。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、中空繊維膜、螺旋状濾過膜、管状膜、又はプレートフレーム膜からなる群から選択される膜の形態を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、中空繊維膜を有する。特定の態様では、中空繊維膜、螺旋状濾過膜、管状膜、又はプレートフレーム膜は、ポリエーテルスルホン(PES)膜、ポリスルホン(PS)膜、二フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜、ポリアリールスルホン膜、ポリアミド膜、ポリプロピレン膜、ポリエチレン膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜、酢酸セルロース膜、ポリアクリロニトリル膜、ビニルコポリマー膜、セルロース膜、再生セルロース膜、ポリカーボネート膜、セラミック膜、鋼膜、又はステンレス鋼膜を含む。
タンジェンシャルフロー膜などの限外濾過膜の孔径は、膜の材料及び用途に応じて変わりうる。本明細書において述べられる膜の形態及び膜の種類のいずれも、異なる範囲のフィルター孔径を有しうる。
特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、例えば、プロモーターと機能的に連結されたイソプレンシンターゼポリペプチド、DXSポリペプチド、IDIポリペプチド、及び/又はMVA経路ポリペプチドをコードした1つ以上の異種核酸を有するものを含む、本明細書において述べられる代表的なイソプレン生成細胞又は細胞型のいずれかと使用するうえで適したフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.005μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.005μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.005μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.005μm〜約5μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.005μm〜約2μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.005μm〜約1μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.05μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.05μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.05μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.05μm〜約5μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.05μm〜約2μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.05μm〜約1μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.5μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.5μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.5μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.5μm〜約5μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.5μm〜約2μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.5μm〜約1μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約1μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約1μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約1μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約5μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約5μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約5μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.05μm〜約0.5μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.5μm〜約1μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約1μm〜約5μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約5μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約10μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約10μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。
特定の態様では、濾過は限外濾過による。特定の態様では、限外濾過はクロスフロー濾過である。特定の態様では、クロスフロー濾過はタンジェンシャルフロー濾過である。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、中空繊維膜、螺旋状濾過膜、管状膜、又はプレートフレーム膜からなる群から選択される膜の形態を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、中空繊維膜を有する。特定の態様では、中空繊維膜、螺旋状濾過膜、管状膜、又はプレートフレーム膜は、ポリエーテルスルホン(PES)膜、ポリスルホン(PS)膜、二フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜、ポリアリールスルホン膜、ポリアミド膜、ポリプロピレン膜、ポリエチレン膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜、酢酸セルロース膜、ポリアクリロニトリル膜、ビニルコポリマー膜、セルロース膜、再生セルロース膜、ポリカーボネート膜、セラミック膜、鋼膜、又はステンレス鋼膜を含む。
タンジェンシャルフロー膜のような限外濾過膜の公称分画分子量(NMWC)は、膜の材料及び用途に応じて変わりうる。本明細書において述べられる膜の形態及び膜の種類のいずれも、異なる範囲のNMWCを有しうる。
特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、例えば、プロモーターと機能的に連結されたイソプレンシンターゼポリペプチド、DXSポリペプチド、IDIポリペプチド、DXP経路ポリペプチド及び/又はMVA経路ポリペプチドをコードした1つ以上の異種核酸を有するものを含む、本明細書において述べられる代表的なイソプレン生成細胞又は細胞型のいずれかと使用するうえで適した公称分画分子量(NMWC)を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは1000〜750,000のNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、1000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、5000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、10,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、15,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、20,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、25,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、50,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、75,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、100,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、150,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、200,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、250,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、300,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、350,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、400,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、450,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、500,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、600,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、750,000よりも大きいNMWCを有する。
特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、1mmの内径を有する中空繊維膜を備えた、公称分画分子量(NMWC)が500,000のGE Healthcare Xampler(商標)Ultrafiltration Cartridge(GE Healthcare Bio−Sciences,Corp.,Piscataway,NJ)である。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、例えば、プロモーターと機能的に連結されたイソプレンシンターゼポリペプチド、DXSポリペプチド、IDIポリペプチド、及び/又はMVA経路ポリペプチドをコードした1つ以上の異種核酸を有するものを含む、本明細書において述べられる代表的なイソプレン生成細胞又は細胞型のいずれかと使用するうえで適した公称分画分子量を有するフィルターを使用した、OPTISEP(登録商標)3000フィルターモジュール(NCSRT,Inc.,Apex,NC)、OPTISEP(登録商標)7000フィルターモジュール、又はOPTISEP(登録商標)11000フィルターモジュールである。
特定の態様では、フィルターは、例えば、プロモーターと機能的に連結されたイソプレンシンターゼポリペプチド、DXSポリペプチド、IDIポリペプチド、DXP経路ポリペプチド及び/又はMVA経路ポリペプチドをコードした1つ以上の異種核酸を有するものを含む、本明細書において述べられる代表的なイソプレン生成細胞又は細胞型のいずれかと使用するうえで適した公称分画分子量(NMWC)を有するタンジェンシャルフローフィルターである。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは1000〜750,000のNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは10,000〜750,000のNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは100,000〜750,000のNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは250,000〜750,000のNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、1000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、5000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、10,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、15,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、20,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、25,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、50,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、75,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、100,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、150,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、200,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、250,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、300,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、350,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、400,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、450,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、500,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、600,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、750,000よりも大きいNMWCを有する。
特定の態様では、発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器は、循環ループ及び循環ポンプを有しておらず、濾過は浸漬型膜バイオリアクターによる。特定の態様では、浸漬型膜バイオリアクターは、発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器内で細胞培養中に浸漬された濾過モジュールを有する。特定の態様では、濾過モジュールはフィルターを有し、透過液側はフィルターのみを介して細胞培養と流体接触している。特定の態様では、フィルターは、ポリエーテルスルホン(PES)膜、ポリスルホン(PS)膜、二フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜、ポリアリールスルホン膜、ポリアミド膜、ポリプロピレン膜、ポリエチレン膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜、酢酸セルロース膜、ポリアクリロニトリル膜、ビニルコポリマー膜、セルロース膜、再生セルロース膜、ポリカーボネート膜、セラミック膜、鋼膜、又はステンレス鋼膜を含む。
特定の態様では、浸漬型膜バイオリアクター内のフィルターは、例えば、プロモーターと機能的に連結されたイソプレンシンターゼポリペプチド、DXSポリペプチド、IDIポリペプチド、及び/又はMVA経路ポリペプチドをコードした1つ以上の異種核酸を有するものを含む、本明細書において述べられる代表的なイソプレン生成細胞又は細胞型のいずれかと使用するうえで適した公称分画分子量(NMWC)を有する限外濾過フィルターである。特定の態様では、フィルターは1000〜750,000のNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは1000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは5000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは10,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは15,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは20,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは25,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは50,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは75,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは100,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは150,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは200,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは250,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは300,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは350,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは400,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは450,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは500,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは600,000よりも大きいNMWCを有する。特定の態様では、フィルターは750,000よりも大きいNMWCを有する。
特定の態様では、浸漬型膜バイオリアクター内のフィルターは、例えば、プロモーターと機能的に連結されたイソプレンシンターゼポリペプチド、DXSポリペプチド、IDIポリペプチド、DXP経路ポリペプチド及び/又はMVA経路ポリペプチドをコードした1つ以上の異種核酸を有するものを含む、本明細書において述べられる代表的なイソプレン生成細胞又は細胞型のいずれかと使用するうえで適したフィルター孔径を有する精密濾過フィルターである。特定の態様では、フィルターは約0.005μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.005μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.005μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.005μm〜約5μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.005μm〜約2μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.005μm〜約1μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.05μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.05μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.05μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.05μm〜約5μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.05μm〜約2μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.05μm〜約1μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.5μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.5μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.5μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.5μm〜約5μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、タンジェンシャルフローフィルターは、約0.5μm〜約2μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.5μm〜約1μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約1μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約1μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約1μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約5μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約5μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約5μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.05μm〜約0.5μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約0.5μm〜約1μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約1μm〜約5μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約5μm〜約10μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約10μm〜約50μmのフィルター孔径を有する。特定の態様では、フィルターは約10μm〜約100μmのフィルター孔径を有する。
特定の態様では、濾過モジュールは、透過液回収出口及び透過液ポンプを更に有する。特定の態様では、濾過モジュールは、透過液回収タンクを更に有する。特定の態様では、透過液ポンプは、ペリスタルティックポンプ、往復動ポンプ、又はロータリーポンプなどの容積移送式ポンプを含む。特定の態様では、透過液ポンプはペリスタルティックポンプである。特定の態様では、透過液ポンプは、遠心ポンプ、渦巻ポンプ、軸流ポンプ、混合流ポンプ、又は重力ポンプなどの速度ポンプである。特定の態様では、透過液ポンプは遠心ポンプである。特定の態様では、透過液回収タンクはタンク内の圧力を解放するための通気口を更に有する。
特定の態様では、改良された方法は、以下のように計算される正の膜間圧力を維持する工程を更に含む。すなわち、TMP=([P入口+P出口]/2)−P透過液)特定の態様では、改良された方法は、TMPを逆転させる(すなわち、TMPを負にする)ことによりフィルターを掃除する工程を更に含む。TMPを逆転させることにより、透過液は濾過しようとする溶液中に逆流し、これによりフィルターを汚すすべての固形物を膜の表面から浮かせ、フィルター及び循環ループを通じた流れを改善する。TMPを逆転させるには、通常、膜の透過液側を加圧する必要がある。TMPの逆転は、その本来の強度のために損傷しにくいセラミック及び鋼製の膜フィルターについて、より一般的に適用される。透過液の加圧は、他の方法の中でも特に、透過液線を圧縮空気又は水に接続することによって実現することができる。螺旋型のポリマー膜においてTMPを逆転させるための具体的な方法に関する代表的な教示については、例えば、Daniscoによる国際特許出願公開第WO 2009/035700号を参照されたい。
特定の態様では、濾過ユニット内における滞留時間は25秒であり、発酵ブロス中のグルコース濃度は3〜25g/Lである。特定の態様では、濾過ユニット内における滞留時間は10秒であり、発酵ブロス中のグルコース濃度は1〜3g/Lである。特定の態様では、濾過ユニット内における滞留時間は5〜60秒であり、発酵ブロス中のグルコース濃度は0.2〜25g/Lである。
特定の態様では、培養の一部の取り出しは、培養が標的体積に達した時点で最初に開始する。特定の態様では、標的体積は経験的に求められる。特定の態様では、標的体積は、発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器の総体積の1/2(2分の1)、1/3(3分の1)、1/4(4分の1)、1/5(5分の1)、1/6(6分の1)、1/7(7分の1)、1/8(8分の1)、1/9(9分の1)、1/10(10分の1)、又はそれ未満である。特定の態様では、標的体積は、細胞を培養するために使用される発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器の作動容量である。特定の態様では、培養の一部の取り出しは、細胞培養の開始(すなわち発酵の開始)の5時間後、10時間後、15時間後、20時間後、25時間後、30時間後、35時間後、又はそれよりも後に最初に開始する。
循環ループの連続作動はエネルギーを消費し(圧力に抗した圧送)、細胞にストレスを与える。このため、濾過を遅延又は延期する、すなわち、使用済み培地を発酵の間の特定の時点において回収するか、あるいは連続的にではなく一定間隔で回収するという選択肢により、経済的な効果が得られ、発酵の結果が改善されうる。特定の態様では、培養の一部は、発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器から連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、1mL/分、5mL/分、10mL/分、15mL/分、20mL/分、25mL/分、30mL/分、35mL/分、40mL/分、45mL/分、50mL/分、100mL/分、250mL/分、500mL/分、1000mL/分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、1mL/15分、5mL/15分、10mL/15分、15mL/15分、20mL/15分、25mL/15分、30mL/15分、35mL/15分、40mL/15分、45mL/15分、50mL/15分、100mL/15分、250mL/15分、500mL/15分、1000mL/15分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、1mL/30分、5mL/30分、10mL/30分、15mL/30分、20mL/30分、25mL/30分、30mL/30分、35mL/30分、40mL/30分、45mL/30分、50mL/30分、100mL/30分、250mL/30分、500mL/30分、1000mL/30分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、1mL/60分、5mL/60分、10mL/60分、15mL/60分、20mL/60分、25mL/60分、30mL/60分、35mL/60分、40mL/60分、45mL/60分、50mL/60分、100mL/60分、250mL/60分、500mL/60分、1000mL/60分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、1g/分、2g/分、3g/分、4g/分、5g/分、6g/分、7g/分、8g/分、9g/分、10g/分、20g/分、30g/分、40g/分、50g/分、60g/分、70g/分、80g/分、90g/分、100g/分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、1g/15分、2g/15分、3g/15分、4g/15分、5g/15分、6g/15分、7g/15分、8g/15分、9g/15分、10g/15分、20g/15分、30g/15分、40g/15分、50g/15分、60g/15分、70g/15分、80g/15分、90g/15分、100g/15分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、1g/30分、2g/30分、3g/30分、4g/30分、5g/30分、6g/30分、7g/30分、8g/30分、9g/30分、10g/30分、20g/30分、30g/30分、40g/30分、50g/30分、60g/30分、70g/30分、80g/30分、90g/30分、100g/30分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、1g/60分、2g/60分、3g/60分、4g/60分、5g/60分、6g/60分、7g/60分、8g/60分、9g/60分、10g/60分、20g/60分、30g/60分、40g/60分、50g/60分、60g/60分、70g/60分、80g/60分、90g/60分、100g/60分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、0.2kg/分、0.4kg/分、0.6kg/分、0.8kg/分、1.0kg/分、1.2kg/分、1.4kg/分、1.6kg/分、1.8kg/分、2.0kg/分、3.0kg/分、4.0kg/分、5.0kg/分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、0.2kg/15分、0.4kg/15分、0.6kg/15分、0.8kg/15分、1.0kg/15分、1.2kg/15分、1.4kg/15分、1.6kg/15分、1.8kg/15分、2.0kg/15分、3.0kg/15分、4.0kg/15分、5.0kg/15分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、0.2kg/30分、0.4kg/30分、0.6kg/30分、0.8kg/30分、1.0kg/30分、1.2kg/30分、1.4kg/30分、1.6kg/30分、1.8kg/30分、2.0kg/30分、3.0kg/30分、4.0kg/30分、5.0kg/30分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、0.2kg/60分、0.4kg/60分、0.6kg/60分、0.8kg/60分、1.0kg/60分、1.2kg/60分、1.4kg/60分、1.6kg/60分、1.8kg/60分、2.0kg/60分、3.0kg/60分、4.0kg/60分、5.0kg/60分、又はそれよりも大きな速度で連続的に取り出される。
特定の態様では、培養の一部は、発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器から所望の時間間隔で非連続的に取り出される。特定の態様では、培養の一部は、発酵装置、バイオリアクター、又は細胞培養容器から、5分おき、10分おき、15分おき、20分おき、25分おき、30分おき、35分おき、40分おき、45分おき、50分おき、55分おき、60分おき、又はそれよりも大きな間隔で取り出される。特定の態様では、それぞれの間隔において、1mL、5mL、10mL、15mL、20mL、25mL、30mL、35mL、40mL、45mL、50mL、75mL、100mL、125mL、150mL、175mL、200mL、225mL、250mL、又はそれよりも多くが培養から取り出される。特定の態様では、それぞれの間隔において、0.2kg、0.4kg、0.6kg、0.8kg、1.0kg、1.2kg、1.4kg、1.6kg、1.8kg、2.0kg、又はそれよりも多くが培養から取り出される。
特定の態様では、本明細書において述べられる改良された方法のいずれかによって培養される細胞は、プロモーターと機能的に連結されたイソプレンシンターゼポリペプチド、DXSポリペプチド、IDIポリペプチド、DXP経路ポリペプチド及び/又はMVA経路ポリペプチドをコードした1つ以上の異種核酸を有する、本明細書において述べられるイソプレン生成細胞のいずれかである。特定の態様では、イソプレンシンターゼをコードした異種核酸を有する細胞は、(i)40g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成するか、又は(ii)イソプレン約500mg/Lブロス/時間よりも高い平均の体積生産性を有する。
特定の態様では、DXP経路ポリペプチドは、DXS(1−デオキシ−D−キシルロース−5−リン酸シンターゼ)、DXR(1−デオキシ−D−キシルロース−5−リン酸リダクトイソメラーゼ)、MCT(4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリスリトールシンターゼ)、CMK(4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリスリトールキナーゼ)、MCS(2C−メチル−D−エリスリトール−2,4−シクロ二リン酸シンターゼ)、HDS(1−ヒドロキシ−2−メチル−2−(E)−ブテニル−4−二リン酸シンターゼ)、HDR(1−ヒドロキシ−2−メチル−2−(E)−ブテニル−4−二リン酸レダクターゼ)、及びIDIポリペプチドからなる群から選択される。
特定の態様では、MVA経路ポリペプチドは、上流MVA経路ポリペプチドである。特定の態様では、上流MVA経路ポリペプチドは、(i)アセトアセチル−CoAシンターゼ(チオラーゼ)ポリペプチド、(ii)3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAシンターゼポリペプチド、及び(iii)3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼポリペプチドからなる群から選択される。特定の態様では、上流MVA経路ポリペプチドは、エンテロコッカス(Enterococcus)属に由来するものである。特定の態様では、上流MVA経路ポリペプチドは、エンテロコッカス・フィカリスに由来するものである。特定の態様では、上流MVA経路ポリペプチドは、エンテロコッカス・フィカリスに由来するアセトアセチル−CoAシンターゼ(チオラーゼ)ポリペプチド、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼポリペプチド、及び3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAシンターゼポリペプチドを含む。
特定の態様では、MVA経路ポリペプチドは下流MVA経路ポリペプチドである。特定の態様では、下流MVA経路ポリペプチドは、(i)メバロン酸キナーゼ(MVK)、(ii)ホスホメバロン酸キナーゼ(PMK)、(iii)ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(MVD)、及び(iv)イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IDI)からなる群から選択される。特定の態様では、下流MVA経路ポリペプチドは、メタノサルシナ属に由来するものである。特定の態様では、下流MVA経路ポリペプチドは、メタノサルシナ・マゼイに由来するものである。特定の態様では、下流MVA経路ポリペプチドは、メタノサルシナ・マゼイに由来するMVKポリペプチドを含む。特定の態様では、下流MVA経路ポリペプチドは、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に由来するMVKポリペプチド、PMKポリペプチド、MVDポリペプチド、及びIDIポリペプチドを含む。特定の態様では、下流MVAポリペプチドは、メタノサルシナ・マゼイに由来するMVKポリペプチド、並びに、サッカロマイセス・セレビシエに由来するMVKポリペプチド、PMKポリペプチド、MVDポリペプチド、及びIDIポリペプチドを含む。
特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチドは、プエラリア属に由来する天然ポリペプチドである。特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチドは、プエラリア・モンタナに由来する天然ポリペプチドである。特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチドは、ヤマナラシ属に由来する天然ポリペプチドである。特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチドは、ギンドロに由来する天然ポリペプチドである。
特定の態様では、上流MVA経路ポリペプチドは、エンテロコッカス・フィカリスに由来するアセトアセチル−CoAシンターゼ(チオラーゼ)ポリペプチド、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼポリペプチド、及び3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAシンターゼポリペプチドを含み、下流MVA経路ポリペプチドは、メタノサルシナ・マゼイに由来するMVKポリペプチド、並びに、サッカロマイセス・セレビシエに由来するMVKポリペプチド、PMKポリペプチド、MVDポリペプチド、及びIDIポリペプチドを含み、イソプレンシンターゼポリペプチドは、ギンドロに由来するものである。
特定の態様では、細胞は、約40g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約50g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約60g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約70g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約80g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約90g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約100g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約110g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約120g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約130g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約140g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約150g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約160g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約170g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約180g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約190g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約200g/Lよりも高い力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約40g/L〜約100g/Lの力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約60g/L〜約100g/Lの力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約60g/L〜約120g/Lの力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約40g/L〜約150g/Lの力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約40g/L〜約200g/Lの力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約80g/L〜約150g/Lの力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約100g/L〜約150g/Lの力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約100g/L〜約180g/Lの力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約100g/L〜約200g/Lの力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、約120g/L〜約200g/Lの力価でイソプレンを生成する。特定の態様では、細胞は、イソプレン500mg/Lブロス/時間よりも高い平均の体積生産性を有する。特定の態様では、細胞は、イソプレン1,000mg/Lブロス/時間よりも高い平均の体積生産性を有する。特定の態様では、細胞は、イソプレン1,500mg/Lブロス/時間よりも高い平均の体積生産性を有する。特定の態様では、細胞は、イソプレン2,000mg/Lブロス/時間よりも高い平均の体積生産性を有する。特定の態様では、細胞は、イソプレン約500mg/Lブロス/時間〜約2,000mg/Lブロス/時間の平均の体積生産性を有する。
特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチドは、植物のイソプレンシンターゼポリペプチドである。特定の態様では、細胞は、IDIポリペプチドをコードした異種核酸を更に有する。特定の態様では、細胞は、IDIポリペプチドをコードした内因性核酸の染色体コピーを更に有する。特定の態様では、細胞は、DXSポリペプチドをコードした異種核酸を更に有する。特定の態様では、細胞は、DXP経路ポリペプチドをコードした異種核酸を更に有する。特定の態様では、細胞は、DXSポリペプチドをコードした内因性核酸の染色体コピーを更に有する。特定の態様では、細胞は、IDIポリペプチド、及びDXSポリペプチド又はDXP経路ポリペプチドをコードした1つ以上の核酸を更に有する。特定の態様では、1つの核酸が、イソプレンシンターゼポリペプチド、IDIポリペプチド、及びDXSポリペプチド又はDXP経路ポリペプチドをコードする。特定の態様では、1つのプラスミドが、イソプレンシンターゼポリペプチド、IDIポリペプチド、及びDXSポリペプチド又はDXP経路ポリペプチドをコードする。特定の態様では、細胞は、MVA経路ポリペプチドをコードした異種核酸を更に有する。特定の態様では、細胞は、MVA経路ポリペプチドをコードした内因性核酸の染色体コピーを更に有する。特定の態様では、MVA経路ポリペプチドはメバロン酸キナーゼ(MVK)である。特定の態様では、MVKは、メタノサルシナ属に由来するポリペプチドである。特定の態様では、MVKは、メタノサルシナ・マゼイに由来するポリペプチドである。
特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチドは、プエラリア属に由来する天然ポリペプチドである。特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチドは、プエラリア・モンタナに由来する天然ポリペプチドである。特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチドは、ヤマナラシ属に由来する天然ポリペプチドである。特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチドは、ギンドロに由来する天然ポリペプチドである。特定の態様では、細胞は、MVA経路ポリペプチドをコードした異種核酸を更に有する。特定の態様では、MVA経路ポリペプチドはメバロン酸キナーゼ(MVK)である。特定の態様では、MVKは、メタノサルシナ属に由来するポリペプチドである。特定の態様では、MVKは、メタノサルシナ・マゼイに由来するポリペプチドである。特定の態様では、細胞は細菌細胞である。特定の態様では、細胞はグラム陽性細菌細胞である。特定の態様では、細胞はバシラス細胞である。特定の態様では、細胞はバシラス・サブティリス細胞である。特定の態様では、細胞はグラム陰性細菌細胞である。特定の態様では、細胞はエシェリキア又はパントエア細胞である。特定の態様では、細胞は大腸菌又はパントエア・シトレア細胞である。特定の態様では、細胞は真菌細胞である。特定の態様では、細胞はトリコデルマ細胞である。特定の態様では、細胞はトリコデルマ・リーゼイ細胞である。特定の態様では、細胞は酵母細胞である。特定の態様では、細胞はヤロウィア細胞である。特定の態様では、細胞はヤロウィア・リポリティカ細胞である。
核酸を単離する代表的な方法
イソプレンシンターゼ、DXS、IDI、DXP経路ポリペプチド、MVA経路ポリペプチド、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子の核酸は、標準的な方法を用いて単離することが可能である。対象とする供給源生物(細菌ゲノムなど)から所望の核酸を得る方法は、一般的なものであり、分子生物学の技術分野では周知のものである(例えば国際特許出願公開第WO 2004/033646号及び当該明細書の引用文献を参照)。既知の配列のPCR増幅、核酸の合成、ゲノムライブラリーのスクリーニング、コスミドライブラリーのスクリーニングなどの標準的な核酸の単離方法については、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。
代表的なプロモーター及びベクター
本明細書において述べられるイソプレンシンターゼ、DXS、DXP経路ポリペプチド、IDI、MVA経路ポリペプチド、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子の核酸は、いずれも1つ以上のベクターに含ませることができる。したがって、本明細書では、本明細書において述べられるイソプレンシンターゼ、DXS、IDI、DXP経路ポリペプチド、MVA経路ポリペプチド、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子のポリペプチドのいずれかをコードした1つ以上の核酸を有するベクターについても述べる。特定の態様では、ベクターは発現調節配列の制御下の核酸を有する。特定の態様では、発現調節配列は天然の発現調節配列である。特定の態様では、発現調節配列は非天然の発現調節配列である。特定の態様では、ベクターは選択マーカー又は選択可能なマーカーを有する。特定の態様では、イソプレンシンターゼ、DXS、IDI、DXP経路、MVA経路、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化又は転写調節の核酸は、選択可能なマーカーなしで細胞の染色体に組み込まれる。
適当なベクターは、使用されるホスト細胞と適合性を有するものである。適当なベクターは、例えば細菌、ウイルス(バクテリオファージT7、又はM−13由来ファージ)、コスミド、酵母、又は植物に由来するものであってよい。適当なベクターは、ホスト細胞中で、低、中、又は高コピー数で維持されうる。こうしたベクターを取得及び使用するためのプロトコールは、当業者には周知のものである(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor,1989を参照)。本明細書において述べられる細胞及び方法と適合性を有する適当なベクターについては、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。
プロモーターは、当該技術分野では周知のものである。ホスト細胞内で機能する任意のプロモーターを、イソプレンシンターゼ、DXS、DXP経路、IDI、MVA経路、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子の核酸を、ホスト細胞内で発現させるために使用することができる。様々なホスト細胞内で、イソプレンシンターゼ、DXS、DXP経路、IDI、MVA経路、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子の核酸の発現を誘導するうえで有用な開始調節領域又はプロモーターには多くのものがあり、当業者には周知のものである(例えば国際特許出願公開第WO 2004/033646号及び当該明細書の引用文献を参照)。グルコースイソメラーゼプロモーターなどの、これらの核酸を誘導可能な実質上すべてのプロモーターを使用することができる(例えば米国特許第7,132,527号及び当該明細書の引用文献を参照)。本明細書において述べられる細胞及び方法と適合性を有する適当なプロモーターについては、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。
特定の態様では、発現ベクターはまた、ターミネーター配列を有する。ターミネーター調節領域は、ホスト細胞に自然に存在する様々な遺伝子に由来するものであってもよい。特定の態様では、ターミネーター配列及びプロモーター配列は同じ供給源に由来するものである。本明細書において述べられる細胞及び方法と適合性を有する適当なターミネーター配列は、いずれも参照により本明細書に援用するところの国際特許出願公開WO 2009/076676 A2号、及び米国特許出願第12/335,071号に述べられている。
イソプレンシンターゼ、DXS、DXP経路、IDI、MVA経路、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子の核酸は、標準的な技術を用いて発現ベクターなどのベクターに組み込むことができる(Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,1982)。本明細書において述べられる細胞及び方法と適合性を有する適当な技術については、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。
特定の態様では、イソプレンシンターゼ、DXP経路ポリペプチド、IDI、MVA経路ポリペプチド、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子の核酸は、天然細胞内で一般に見られるよりも大幅に高いレベルで過剰発現させることが望ましい場合がある。特定の態様では、イソプレンシンターゼ、DXP経路ポリペプチド、IDI、MVA経路ポリペプチド、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子又は転写因子のポリペプチドをコードした核酸は、天然細胞内で一般に見られるよりも大幅に低いレベルで過小発現させる(例えば突然変異、不活性化、又は欠失させる)ことが望ましい場合もある。本明細書において述べられる細胞及び方法と適合性を有するイソプレンシンターゼ、DXP経路ポリペプチド、IDI、MVA経路ポリペプチド、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子の核酸を過剰又は過小に発現させるのに適した方法については、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。
代表的な供給源生物
イソプレンシンターゼ、DXP経路、IDI、MVA経路、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子の核酸(及びこれらがコードするポリペプチド)は、イソプレンシンターゼ、DXP経路、IDI、MVA経路、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子の核酸を自然に含む任意の生物から得ることができる。上記に述べたように、イソプレンは、細菌、酵母、植物、及び動物などの様々な生物によって自然に生成される。生物は、イソプレンを生成するためのMVA経路、DXP経路、又はMVA及びDXP経路の両方を有している(図1A及び1B)。したがって、DXP経路の核酸は、例えばDXP経路を有するか、又はMVA及びDXP経路の両方を有するあらゆる生物から得ることができる。IDI及びイソプレンシンターゼの核酸は、例えばMVA経路、DXP経路、又はMVA及びDXP経路の両方を有するあらゆる生物から得ることができる。MVA経路の核酸は、例えばMVA経路を有するか、又はMVA及びDXP経路の両方を有するあらゆる生物から得ることができる。ヒドロゲナーゼの核酸は、例えば水素を酸化するか、又は水素イオンを還元するあらゆる生物から得ることができる。発酵副生成物の遺伝子は、例えば、解糖のような、酸素が制限された、すなわち嫌気的呼吸を行うあらゆる生物から得るか又は同定することができる。
イソプレンシンターゼ、DXP経路、IDI、MVA経路、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子の核酸の核酸配列は、細菌、真菌、植物、藻類、又はシアノバクテリアから単離することができる。代表的な供給源生物としては例えば、サッカロマイセス属の種(例えば、S.セレビシアエ)、又はヤロウィア属の種(例えば、ヤロウィア・リポリティカ)などの酵母、トリコデルマ属の種(例えばT.リーゼイ(T.reesei))などの他の真菌、バシラス属の種(例えば、B.サブティリス(B.subtilis))、エシェリキア属の種(例えば大腸菌(E.coli))、メタノサルシナ属の種(例えば、メタノサルシナ・マゼイ)、又はパントエア属の種(例えば、P.シトレア(P.citrea))などの細菌、クズ若しくはポプラ(例えば、ギンドロとヨーロッパヤマナラシとの雑種(Populus alba x tremula)CAC35696)又はヤマナラシ(例えば、アメリカヤマナラシ(Populus tremuloides))などの植物が挙げられる。代表的なホスト生物については、米国特許仮出願第61/187,959号、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。
代表的なホスト細胞
様々なホスト細胞を、イソプレンシンターゼ、DXS、IDI、DXP経路ポリペプチド、MVA経路ポリペプチド、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子ポリペプチドを発現させ、本明細書において述べる方法でイソプレン及び水素を同時生成させる目的で使用することができる。代表的なホスト細胞としては、「代表的な供給源生物」の見出しで前項において列記した生物のいずれかに由来する細胞が挙げられる。ホスト細胞は、イソプレンを自然に生成する細胞であっても、イソプレンを自然には生成しない細胞であってもよい。特定の態様では、ホスト細胞はDXP経路を使用してイソプレンを自然に生成し、この経路を使用したイソプレンの生成を促進するためにイソプレンシンターゼ、DXS、及び/又はIDI核酸が加えられる。特定の態様では、ホスト細胞はMVA経路を使用してイソプレンを自然に生成し、この経路を使用したイソプレンの生成を促進するためにイソプレンシンターゼ及び/又は1つ以上のMVA経路の核酸が加えられる。特定の態様では、ホスト細胞はDXP経路を使用してイソプレンを自然に生成し、MVA経路及びDXP経路の一部又は全体を使用してイソプレンを生成するために1つ以上のMVA経路の核酸が加えられる。特定の態様では、ホスト細胞は、DXP及びMVA経路の両方を使用してイソプレンを自然に生成し、これらの経路の一方又は両方によるイソプレンの生成を促進するために1つ以上のイソプレンシンターゼ、DXS、IDI、又はMVA経路の核酸が加えられる。
DXP及びMVA経路の両方を使用してイソプレンを自然に生成する細胞を含む、本明細書において述べられる方法との使用に適した様々な種類のホスト細胞が、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。非限定的なホスト細胞としては、大腸菌、パントエア・シトレア、バシラス・サブティリス、ヤロウィア・リポリティカ、及びトリコデルマ・リーゼイが挙げられる。
代表的な形質転換方法
イソプレンシンターゼ、DXS、IDI、MVA経路、PGL、ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ成熟化因子及び/又は転写因子の核酸、又はこれらを含むベクターは、形質転換、エレクトロポレーション、核マイクロインジェクション、トランスダクション、トランスフェクション(例えばリポフェクション媒介若しくはDEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、又は組換えファージウイルスを使用したトランスフェクション)、リン酸カルシウムDNA沈殿物とのインキュベーション、DNAコーティングした微粒子による高速ボンバードメント、及びプロトプラスト融合などの、ホスト細胞内にDNAコンストラクト又はベクターを導入するための標準的な技術を使用してホスト細胞(例えば本明細書において述べられるような植物細胞、真菌細胞、酵母細胞、又は細菌細胞)内に挿入することができる。一般的な形質転換技法は、当該技術分野では周知のものである(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら(編)Chapter 9,1987;Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor,1989;及びCampbellら、Curr.Genet.16:53〜56,1989を参照)。導入された核酸は、染色体DNAに組み込まれるか、染色体外の複製配列として維持されうる。形質転換体は、当該技術分野では周知の任意の方法によって選択することができる。形質転換体の選択に適した方法については、米国特許仮出願第61/187,959号、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。
代表的な細胞培地
「培養中の細胞」とは、細胞が1回以上の細胞分裂を行うことを可能とする溶液(例えば細胞増殖培地)中の2つ以上の細胞のことを意味する。「培養中の細胞」には、植物組織に分化した細胞を有する生きた多細胞植物の一部をなす植物細胞は含まれない。様々な態様では、細胞培養は、少なくとも、又は約10、20、50、100、200、500、1,000、5,000、10,000、若しくはこれよりも多い細胞を含む。
任意の炭素源を使用してホスト細胞を培養することができる。「炭素源」なる用語は、ホスト細胞又は生物によって代謝されうる1つ以上の炭素含有化合物のことを指す。例えば、ホスト細胞を培養するために使用される細胞培地は、生存率を維持するか又はホスト細胞を増殖させるのに適した任意の炭素源を含みうる。
本明細書において述べられる方法に基づく、イソプレン生成細胞を培養するのに適した様々な炭素源については、いずれも参照によりその全容を本明細書に援用する国際特許出願公開第WO 2009/076676A2号及び米国特許出願第12/335,071号に述べられている。
特定の態様では、細胞を、生理学的塩類及び栄養素を含む標準培地中で培養する(例えば、Pourquie,J.ら、Biochemistry and Genetics of Cellulose Degradation、Aubertら編、Academic Press,pp.71〜86,1988及びIlmenら、Appl.Environ.Microbiol.63:1298〜1306,1997を参照)。代表的な増殖培地は、ルリア−ベルターニ(LB)ブロス、サブローデキストロース(SD)ブロス、又は酵素培地(YM)ブロスなどの一般的な商業的に調製された培地である。他の限定又は合成増殖培地を使用することも可能であり、特定のホスト細胞の増殖に適した培地は、微生物学又は発酵科学の当業者には周知のものである。
細胞培地は、適当な炭素源以外に、適当なミネラル、塩類、補因子、バッファー、及び培養の増殖又はイソプレン生成の促進に適した当業者には周知の他の成分を含むことが望ましい(例えば、国際特許出願公開第WO 2004/033646号及び当該明細書の引用文献、並びに国際特許出願公開第WO 96/35796号及び当該明細書の引用文献を参照)。イソプレンシンターゼ、DXS、IDI、及び/又はMVA経路の核酸が誘導性プロモーターの制御下にあるような特定の態様では、誘導物質(例えば、糖、金属塩又は抗微生物剤など)を、イソプレンシンターゼ、DXS、IDI、DXP経路ポリペプチド及び/又はMVA経路ポリペプチドの発現を誘導するうえで有効な濃度で培地に加えることが望ましい。特定の態様では、細胞培地は、1つ以上のイソプレンシンターゼ、DXS、IDI、DXP経路の核酸又はMVA経路の核酸を有するベクター上の抗生物質耐性核酸(カナマイシン耐性核酸など)に対応した抗生物質(カナマイシンなど)を有する。
代表的な細胞培養条件
細菌培地の維持及び増殖に適した材料及び方法は、当該技術分野では周知のものである。代表的な技術は、Manual of Methods for General Bacteriology Gerhardtら編、American Society for Microbiology,Washington,D.C.(1994)又は、Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,Second Edition(1989)Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MAに見ることができる。特定の態様では、細胞は、ホスト細胞内に挿入される核酸によってコードされた1つ以上のイソプレンシンターゼ、DXS、IDI、DXP経路ポリペプチド及び/又はMVA経路ポリペプチドの発現を可能とする条件下で培地中で培養される。
標準的な細胞培養条件が細胞の培養に適している(例えば、国際特許出願公開第WO 2004/033646号、及び当該明細書の引用文献を参照)。細胞は、適当な温度、混合気体、及びpH(約20℃〜約37℃、約6%〜約84% CO2、及び約5〜約9のpH)で増殖及び維持される。特定の態様では、細胞を適当な細胞培地中、35℃で増殖させる。特定の態様では、例えば、培養は、振盪培養又は発酵装置中、適当な培地中で約28℃で、所望の量のイソプレン及び水素の同時生成が実現されるまで培養される。特定の態様では、発酵のpH範囲は、約pH 5.0〜約pH 9.0(約pH 6.0〜約pH 8.0、又は約6.5〜約7.0)である。反応は、ホスト細胞の要求条件に基づいて、好気的、無酸素的、又は嫌気的条件下で行うことができる。
標準的な培養条件及び、回分発酵、流加発酵、又は連続発酵といった発酵の方式については、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。回分発酵及び流加発酵は一般的かつ当該技術分野では周知のものであり、その例は、Brock,Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,Second Edition(1989)Sinauer Associates,Inc.に見ることができる。
特定の態様では、構成的又はリーキー(leaky)なプロモーター(Trcプロモーターなど)が使用され、プロモーターと機能的に連結されたイソプレンシンターゼ、DXS、IDI、DXP経路の核酸、又はMVA経路の核酸の発現を誘導するために化合物(IPTGなど)は添加されない。特定の態様では、プロモーターと機能的に連結されたイソプレンシンターゼ、DXS、IDI、DXP経路の核酸、又はMVA経路の核酸の発現を誘導するために所定の化合物(IPTGなど)が添加される。
代表的なイソプレンシンターゼポリペプチド及び核酸
特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチドをコードした異種核酸が大腸菌細胞に含まれる。特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチド又は核酸は、マメ亜科などのマメ科に由来するものである。特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチド又は核酸は、プエラリア・モンタナ(クズ)(Sharkeyら、Plant Physiology 137:700〜712,2005)、プエラリア・ロバタ(Pueraria lobata)、ポプラ(ギンドロ、ヨーロッパクロヤマナラシ(Populus nigra)、ハコヤナギ(Populus trichocarpa)、又はギンドロとヨーロッパヤマナラシとの雑種)(CAC35696)Millerら、Planta 213:483〜487,2001)、ヤマナラシ(アメリカヤマナラシなど)Silverら、JBC 270(22):13010〜1316,1995)、又はヨーロッパナラ(Quercus robur)(Zimmerら、国際特許出願公開第WO 98/02550号)に由来するポリペプチド又は核酸である。特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチド又は核酸は、天然のイソプレンシンターゼポリペプチド又は核酸である。特定の態様では、イソプレンシンターゼポリペプチド又は核酸は、天然のイソプレンシンターゼポリペプチド又は核酸ではない。代表的なイソプレンシンターゼポリペプチド及び核酸、並びにイソプレンシンターゼ活性を測定するための方法については、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号により詳細に述べられている。
代表的なDXP経路ポリペプチド及び核酸
代表的なDXP経路ポリペプチドとしては、これらに限定されるものではないが、以下のポリペプチドが挙げられる。すなわち、DXSポリペプチド、DXRポリペプチド、MCTポリペプチド、CMKポリペプチド、MCSポリペプチド、HDSポリペプチド、HDRポリペプチド、IDIポリペプチド、及び、1種、2種、又はそれ以上のDXP経路ポリペプチドの活性を有するポリペプチド(例えば融合ポリペプチド)。詳細には、DXP経路ポリペプチドとしては、DXP経路ポリペプチドの少なくとも1つの活性を有するポリペプチド、ポリペプチドのフラグメント、ペプチド、及び融合ポリペプチドが挙げられる。代表的なDXP経路の核酸としては、ポリペプチド、ポリペプチドのフラグメント、ペプチド、又はDXP経路ポリペプチドの少なくとも1つの活性を有する融合ポリペプチドをコードする核酸が挙げられる。代表的なDXP経路ポリペプチド及び核酸としては、本明細書において述べられる供給源生物のいずれかに由来する天然ポリペプチド及び核酸、並びに本明細書において述べられる供給源生物のいずれかの突然変異ポリペプチド及び核酸が挙げられる。
代表的なDXSポリペプチドとしては、DXS経路ポリペプチドの少なくとも1つの活性を有するポリペプチド、ポリペプチドのフラグメント、ペプチド、及び融合ポリペプチドが挙げられる。あるポリペプチドがDXSポリペプチド活性を有するか否かは、標準的な方法(本明細書において述べられるものなど)を使用して、インビトロ、細胞抽出物中、又はインビボでピルビン酸とD−グリセルアルデヒド−3−リン酸を1−デオキシ−D−キシルロース−5−リン酸に変換するそのポリペプチドの能力を測定することによって判定することが可能である。代表的なDXSポリペプチド及び核酸、並びにDXS活性を測定するための方法については、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号により詳細に述べられている。
詳細には、DXSポリペプチドは、ピルビン酸とD−グリセルアルデヒド−3−リン酸を1−デオキシ−d−キシルロース−5−リン酸(DXP)に変換する。あるポリペプチドがDXSポリペプチド活性を有するか否かは、標準的な方法を使用して、インビトロ、細胞抽出物中、又はインビボでピルビン酸とD−グリセルアルデヒド−3−リン酸を変換するそのポリペプチドの能力を測定することによって判定することが可能である。
DXRポリペプチドは、1−デオキシ−d−キシルロース−5−リン酸(DXP)を、2−C−メチル−D−エリスリトール4−リン酸(MEP)に変換する。あるポリペプチドがDXRポリペプチド活性を有するか否かは、標準的な方法を使用して、インビトロ、細胞抽出物中、又はインビボでDXPを変換するそのポリペプチドの能力を測定することによって判定することが可能である。
MCTポリペプチドは、2−C−メチル−D−エリスリトール4−リン酸(MEP)を、4−(シチジン5’−ジホスホ)−2−メチル−D−エリスリトール(CDP−ME)に変換する。あるポリペプチドがMCTポリペプチド活性を有するか否かは、標準的な方法を使用して、インビトロ、細胞抽出物中、又はインビボでMEPを変換するそのポリペプチドの能力を測定することによって判定することが可能である。
CMKポリペプチドは、4−(シチジン5’−ジホスホ)−2−C−メチル−D−エリスリトール(CDP−ME)を、2−ホスホ−4−(シチジン5’−ジホスホ)−2−C−メチル−D−エリスリトール(CDP−MEP)に変換する。あるポリペプチドがCMKポリペプチド活性を有するか否かは、標準的な方法を使用して、インビトロ、細胞抽出物中、又はインビボでCDP−MEを変換するそのポリペプチドの能力を測定することによって判定することが可能である。
MCSポリペプチドは、2−ホスホ−4−(シチジン5’−ジホスホ)−2−C−メチル−D−エリスリトール(CDP−MEP)を、2−C−メチル−D−エリスリトール2,4−シクロ二リン酸(ME−CPP又はcMEPP)に変換する。あるポリペプチドがMCSポリペプチド活性を有するか否かは、標準的な方法を使用して、インビトロ、細胞抽出物中、又はインビボでCDP−MEPを変換するそのポリペプチドの能力を測定することによって判定することが可能である。
HDSポリペプチドは、2−C−メチル−D−エリスリトール2,4−シクロ二リン酸(ME−CPP又はcMEPP)を、(E)−4−ヒドロキシ−3−メチルブト−2−エン−1−イル二リン酸(HMBPP又はHDMAPP)に変換する。あるポリペプチドがHDSポリペプチド活性を有するか否かは、標準的な方法を使用して、インビトロ、細胞抽出物中、又はインビボでME−CPP又はcMEPPを変換するそのポリペプチドの能力を測定することによって判定することが可能である。
HDRポリペプチドは、(E)−4−ヒドロキシ−3−メチルブト−2−エン−1−イル二リン酸(HMBPP又はHDMAPP)を、イソペンテニル二リン酸(IPP)とジメチルアリル二リン酸(DMAPP)に変換する。あるポリペプチドがHDRポリペプチド活性を有するか否かは、標準的な方法を使用して、インビトロ、細胞抽出物中、又はインビボでHMBPP又はHDMAPPを変換するそのポリペプチドの能力を測定することによって判定することが可能である。
IDIポリペプチドは、イソペンテニル二リン酸をジメチルアリル二リン酸に変換する。あるポリペプチドがIDIポリペプチド活性を有するか否かは、標準的な方法を使用して、インビトロ、細胞抽出物中、又はインビボでイソペンテニル二リン酸を変換するそのポリペプチドの能力を測定することによって判定することが可能である。
代表的なIDIポリペプチド及び核酸
イソペンテニル二リン酸イソメラーゼポリペプチド(イソペンテニル−二リン酸Δ−イソメラーゼ、すなわちIDI)は、イソペンテニル二リン酸(IPP)とジメチルアリル二リン酸(DMAPP)との相互変換を触媒する(例えばIPPをDMAPPに変換する、及び/又はDMAPPをIPPに変換する)。代表的なIDIポリペプチドとしては、IDI経路ポリペプチドの少なくとも1つの活性を有するポリペプチド、ポリペプチドのフラグメント、ペプチド、及び融合ポリペプチドが挙げられる。あるポリペプチドがIDIポリペプチド活性を有するか否かは、標準的な方法(本明細書において述べられるものなど)を使用して、インビトロ、細胞抽出物中、又はインビボでIPPとDMAPPとを相互変換するそのポリペプチドの能力を測定することによって判定することが可能である。代表的なIDIポリペプチド及び核酸、並びにIDI活性を測定するための方法については、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号により詳細に述べられている。
代表的なMVA経路ポリペプチド及び核酸
代表的なMVA経路ポリペプチドとしては、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ(AA−CoAチオラーゼ)ポリペプチド、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAシンターゼ(HMG−CoAシンターゼ)ポリペプチド、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ(HMG−CoAレダクターゼ)ポリペプチド、メバロン酸キナーゼ(MVK)ポリペプチド、ホスホメバロン酸キナーゼ(PMK)ポリペプチド、ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(MVD)ポリペプチド、ホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(PMDC)ポリペプチド、イソペンテニルリン酸キナーゼ(IPK)ポリペプチド、IDIポリペプチド、及び、2種以上のMVA経路ポリペプチドの活性を有するポリペプチド(例えば融合ポリペプチド)が挙げられる。詳細には、MVA経路ポリペプチドとしては、MVA経路ポリペプチドの少なくとも1つの活性を有するポリペプチド、ポリペプチドのフラグメント、ペプチド、及び融合ポリペプチドが挙げられる。代表的なMVA経路ポリペプチド及び核酸、並びにIDI活性を測定するための方法については、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号により詳細に述べられている。
特定の態様では、細胞は、AA−CoAチオラーゼ、HMG−CoAシンターゼ、及びHMG−CoAレダクターゼの核酸を含む上流MVA経路を有する。特定の態様では、細胞は、MVK、PMK、MVD、及びIDIの核酸を含む下流MVA経路を有する。特定の態様では、細胞は、AA−CoAチオラーゼ、HMG−CoAシンターゼ、HMG−CoAレダクターゼ、MVK、PMK、MVD、及びIDIの核酸を含むMVA経路全体を有する。特定の態様では、細胞は、AA−CoAチオラーゼ、HMG−CoAシンターゼ、HMG−CoAレダクターゼ、MVK、PMDC、IPK、及びIDIの核酸を含むMVA経路全体を有する。
本明細書において述べられる改良された方法は、イソプレン及び水素などの副生成物を生成するために用いることもできる。代表的なヒドロゲナーゼのポリペプチド及び核酸、発酵副生成物の生成に関連する遺伝子のポリペプチド及び核酸、並びに水素の再取り込みに関連する遺伝子のポリペプチド及び核酸を、本明細書において述べられる組成物及び方法とともに使用することもできる。こうしたポリペプチド及び核酸については、米国特許仮出願第61/141,652号、米国特許仮出願第61/187,934号、米国特許出願公開第2010/0196988号、国際特許出願公開第WO 2010/078457号、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。
再生可能な資源から生成されるイソプレン組成物
再生可能な資源から生成されるイソプレン組成物(例えばバイオイソプレン)は、バイオイソプレンが、アルコール、アルデヒド、ケトンなどの、石油系イソプレン中に存在しないか又は大幅に低い濃度で存在する他の生体副生成物(生物学的供給源に由来する、及び/又は、バイオイソプレンとともに得られる生物学的プロセスと関連した化合物)とともに生成される点において石油系イソプレン組成物とは区別される。生体副生成物としては、これらに限定されるものではないが、エタノール、アセトン、メタノール、アセトアルデヒド、メタクロレイン、メチルビニルケトン、2−メチル−2−ビニルオキシラン、cis−及びtrans−3−メチル−1,3−ペンタジエン、C5プレニルアルコール(3−メチル−3−ブテン−1−オール、又は3−メチル−2−ブテン−1−オール)、2−ヘプタノン、6−メチル−5−ヘプテン−2−オン、2,4,5−トリメチルピリジン、2,3,5−トリメチルピラジン、シトロネラール、メタンチオール、酢酸メチル、1−プロパノール、ジアセチル、2−ブタノン、2−メチル−3−ブテン−2−オール、酢酸エチル、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタナール、3−メチル−2−ブタノン、1−ブタノール、2−ペンタノン、3−メチル−1−ブタノール、イソ酪酸エチル、3−メチル−2−ブテナール、酢酸ブチル、酢酸3−メチルブチル、酢酸3−メチル−3−ブテン−1−イル、酢酸3−メチル−2−ブテン−1−イル、3−ヘキセン−1−オール、酢酸3−ヘキセン−1−イル、リモネン、ゲラニオール(trans−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール)、シトロネロール(3,7−ジメチル−6−オクテン−1−オール)、(E)−3,7−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン、(Z)−3,7−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン、2,3−シクロヘプテノールピリジン、又は直鎖状イソプレンポリマー(複数のイソプレン単位の重合によって得られる直鎖状イソプレンダイマー又は直鎖状イソプレントリマーなど)が挙げられる。バイオイソプレンに由来する生成物は、1つ以上の生体副生成物又は副生成物のいずれかに由来する化合物を含む。更に、バイオイソプレンに由来する生成物は、後の化学変換においてこれらの副生成物から生成される化合物を含みうる。このような化合物の例としては、イソプレンへの求ジエン体のディールス・アルダー環化付加反応、又はイソプレンの酸化から誘導されるものが挙げられる。
特定の副生成物又は不純物を含む再生可能な資源から生成されるイソプレン組成物については、米国特許仮出願第61/187,959号、米国特許出願第12/818,090号、国際特許出願第PCT/US10/039088号、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号により詳細に述べられている。
代表的な精製方法
特定の態様では、本明細書において述べられる方法のいずれも、イソプレンを回収する工程を更に含む。イソプレンを生成及び回収するための効率的な方法の更なる例が、米国特許仮出願第61/187,959号及び同第61/187,934号、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。イソプレン及び水素などの副生成物を生成及び回収するための効率的な方法の更なる例が、米国特許仮出願第61/141,652号、同第61/187,934号、及び同第61/187,959号、並びに国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられている。更に、回収は、米国特許出願第12/969,440号に述べられるように吸収ストリッピングによって行うこともできる。
他の技術
本明細書において述べられる方法による細胞内でのイソプレンの生成量は、米国特許仮出願第61/187,959号、米国特許出願第12/496,573号、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられるように、イソプレン生成を細胞増殖から分離することによって増大させることができる。本明細書において述べられる方法による、細胞内でイソプレンを生成する方法の安全性は、米国特許仮出願第61/187,959号、米国特許出願第12/496,573号、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられるように、安全な操作範囲内でイソプレンを生成することによって高めることができる。本明細書において述べられるイソプレンを生成するための改良された方法によって実現されるような、高いイソプレン力価における細胞生存率は、米国特許仮出願第61/187,959号、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、及び米国特許出願公開第2010/0003716号に述べられるようにして高めることができる。
イソプレンを生成及び回収するための効率的な方法の更なる例が、米国特許仮出願第61/187,959号、国際特許出願公開第WO 2009/076676号、米国特許出願第12/335,071号(米国特許出願公開第2009/0203102号)、国際特許出願公開第WO 2010/003007号、米国特許出願公開第2010/0048964号、国際特許出願公開第WO 2009/132220号、米国特許出願公開第2010/0003716号、及び米国特許出願第12/969,440号に述べられている。イソプレン及び水素などの副生成物を生成及び回収するための効率的な方法の更なる例が、米国特許仮出願第61/141,652号、米国特許仮出願第61/187,934号、米国特許出願公開第2010/0196977号、及び国際特許出願公開第WO 2010/078457号に述べられている。
以下の実施例を参照することによって更に本発明の理解が深められる。なお、実施例は説明を目的として与えられるものであって、限定を意図するものではない。
実施例1:S.セレビシアエのgi1.2KKDyIオペロン、ギンドロイソプレンシンターゼ、M.マゼイのメバロン酸キナーゼ、pCL Upper MVA(E.フィカリス(E.faecalis)のmvaE及びmvaS)、及びybhE(pgl)を発現する大腸菌株の構築
(i)EWL201株(BL21,Cm−GI1.2−KKDyI)の構築
大腸菌BL21(Novagen brand,EMD Biosciences,Inc.)をレシピエント株とし、MCM331 P1ライセートにより形質導入した(ライセートは、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Inc.に述べられる方法にしたがって調製した)。MCM331細胞は、S.セレビシアエのメバロン酸キナーゼ、メバロン酸リン酸キナーゼ、メバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ、及びIPPイソメラーゼをコードした染色体コンストラクトgi1.2KKDyI(すなわち、S.セレビシアエに由来するgi1.2−KKDyIオペロン)を有する。形質導入体は、細胞をLAgar及び20μg/μLのクロラムフェニコール上に播くことによって選択した。各プレートを30℃で一晩インキュベートした。形質導入体を分析したところ、コントロールプレート(復帰変異については水+細胞のコントロールプレート、ライセートの汚染については水+P1ライセートのコントロールプレート)上にコロニーは示されなかった。
4つの形質導入体を選び、5mLのLブロス+20μg/μLのクロラムフェニコールに接種するのに用いた。培養を200rpmで振盪しながら30℃で一晩増殖させた。PCR分析用の各形質導入体のゲノムDNA調製物を調製するため、1.5mLの一晩細胞培養物を遠心した。この細胞ペレットを400μLの再懸濁バッファー(20mM Tris、1mM EDTA、50mM NaCl、pH 7.5)に再懸濁し、4μLのRNase、DNaseフリー(Roche)を加えた。各チューブを37℃で30分間インキュベートした後、4μLの10% SDS及び4μLの10mg/mLプロテイナーゼK保存溶液(Sigma−Aldrich)を加えた。各チューブを37℃で1時間インキュベートした。この細胞ライセートを2mL Phase Lock Light Gelチューブ(Eppendorf)に移し、各200μLの飽和フェノールpH 7.9(Ambion Inc.)及びクロロフォルムを加えた。各チューブをよく混合し、5分間微小遠心した。400μLのクロロフォルムで2回目の抽出を行い、水相を新しいエッペンドルフチューブに移した。1mLの100%エタノールを添加し、5分間遠心することによりゲノムDNAを沈殿させた。このゲノムDNAのペレットを1mLの70%エタノールで洗浄した。エタノールを除去し、ゲノムDNAのペレットを大まかに風乾した。このゲノムDNAのペレットを200μLのTEで再懸濁した。
Pfu Ultra II DNAポリメラーゼ(Stratagene)及びテンプレートとしての200ng/μLのゲノムDNAを使用して、製造者のプロトコールにしたがって異なる2組のPCR反応チューブを調製した。1組目については、形質導入体がattTn7遺伝子座に首尾よく確実に組み込まれるようにプライマーとしてMCM130及びGB Cm−Rev(表1)を使用した。1組目のPCRパラメータは、95℃で2分間(最初のサイクルのみ)、95℃で25秒間、55℃で25秒間、72℃で25秒間(ステップ2〜4を28サイクル繰り返す)、72℃で1分間とした。2組目については、gi1.2−KKDyIオペロンが適切に確実に組み込まれるようにプライマーとしてMVD For及びMVD Rev(表1)を使用した。2組目のPCRパラメータは、95℃で2分間(最初のサイクルのみ)、95℃で25秒間、55℃で25秒間、72℃で10秒間(ステップ2〜4を28サイクル繰り返す)、72℃で1分間とした。PCR増幅物を1.2% E−ゲル(Invitrogen Corp.)上で分析したところ、4つの形質導入体のクローンがいずれも正しいものであることが示された。1つを選び、EWL201株と命名した。
(ii)EWL204株(BL21,loopout−GI1.2−KKDyI)の構築
Datsenko及びWanner(2000)により述べられるように、プラスミドpCP20を使用してEWL201株からクロラムフェニコールマーカーをループアウトした(Datsenkoら、Proc Natl.Acad.Sci USA 97:6640〜6645,2000)。PCR生成物を使用して大腸菌K−12の染色体遺伝子を1ステップで不活性化した(Datsenkoら、PNAS 97:6640〜6645,2000)。EWL201細胞をLブロス中で対数増殖期中期まで増殖させた後、氷冷した滅菌水で3回洗った。細胞懸濁液の50μLのアリコートを1μLのpCP20と混合し、細胞懸濁混合物をGene Pulser Electroporator(Bio−Rad Inc.)を使用して2mmキュベット(Invitrogen Corp.)中、2.5V及び25μFdでエレクトロポレーションした。1mLのLBを細胞に直ちに加えてから、金属キャップを有する14mLポリプロピレンチューブ(Sarstedt)に移した。細胞を30℃で1時間増殖させることによって回復させた。Lアガー+20μg/μLクロラムフェニコール+50μg/μLカルベニシリン上で形質転換体を選択し、30℃で一晩インキュベートした。翌日、1つのクローンを10mLのLブロス+50μg/μLカルベニシリン中、30℃で対数増殖期初期まで増殖させた。次いで増殖培地の温度を42℃に2時間シフトさせた。連続希釈を行い、次いで細胞をLAプレート(抗生物質による選択なし)上に播き、30℃で一晩インキュベートした。翌日、20のコロニーを選び、Lアガー(抗生物質無添加)及びLA+20μg/μLクロラムフェニコールのプレート上にパッチした。次いで各プレートを30℃で一晩インキュベートした。LAプレート上では増殖したがLA+20μg/μLクロラムフェニコールのプレート上では増殖できなかった細胞は、クロラムフェニコールマーカーがループアウトしたものと考えられた(1つを選び、EWL204株と命名した)。
(iii)プラスミドpEWL230(pTrc P.alba)の構築
ギンドロイソプレンシンターゼ(P.alba HGS)をコードした合成遺伝子の生成を、大腸菌で発現させるためのコドン最適化法に基づいてDNA2.0 Inc.(Menlo Park,CA)に外注した。合成遺伝子をプラスミドpET24a(Novagen brand,EMD Biosciences,Inc.)にカスタムクローニングし、凍結乾燥したものを与えた(図2、3A〜B、配列番号1)。
製造者のプロトコールにしたがって、テンプレートとしてのpET24 P.alba HGS、プライマーMCM182及びMCM192、及びHerculase II Fusion DNAポリメラーゼ(Stratagene)を使用してPCR反応を行ってギンドロイソプレンシンターゼ(P.alba HGS)遺伝子を増幅した。PCR条件は以下の通りとした。すなわち、95℃で2分間(最初のサイクルのみ)、95℃で25秒間、55℃で20秒間、72℃で1分間を25サイクル繰り返し、最後の延長を72℃で3分間。ギンドロイソプレンシンターゼのPCR生成物を、QIAquick PCR Purificationキット(Qiagen Inc.)を使用して精製した。
次いでギンドロイソプレンシンターゼのPCR生成物を、1μLのBspHIエンドヌクレアーゼ(New England Biolabs)及び2μLの10X NEBバッファー4を含む20μLの反応液中で消化した。反応液を37℃で2時間インキュベートした。次いでQIAquick PCR Purificationキットを使用して消化されたPCRフラグメントを精製した。2回目の制限酵素による消化を、1μLのPstIエンドヌクレアーゼ(Roche)及び2μLの10×バッファーHを含む20μLの反応液中で行った。反応液を37℃で2時間インキュベートした。次いでQIAquick PCR Purificationキットを使用して消化されたPCRフラグメントを精製した。プラスミドpTrcHis2B(Invitrogen Corp.)を、1μLのNcoIエンドヌクレアーゼ(Roche)、1μLのPstIエンドヌクレアーゼ、及び2μLの10XバッファーHを含む20μLの反応液中で消化した。反応液を37℃で2時間インキュベートした。消化されたpTrcHis2Bベクターを1.2% E−ゲル(Invitrogen Corp.)を使用してゲル精製し、QIAquick Gel Extractionキット(Qiagen)を使用して抽出した(図4)。BspHI及びNcoI部位の適合する粘着末端を用い、5μLのギンドロイソプレンシンターゼインサート、2μLのpTrcベクター、1μLのT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)、2μLの10Xリガーゼバッファー、及び10μLのddH2Oを含む20μLのライゲーション反応液を調製した。このライゲーション混合物を室温で40分間インキュベートした。0.025μmのニトロセルロース膜フィルター(Millipore)をペトリ皿内のddH2Oに浮かべ、ライゲーション混合物を室温で30分間、ニトロセルロース膜フィルター上に静かに置くことによってライゲーション混合物を脱塩した。MCM446細胞(第2項を参照)をLB中で対数増殖期中期まで増殖させた後、氷冷した滅菌水で3回洗った。細胞懸濁液の50μLのアリコートを、5μLの脱塩したpTrc P.alba HGSライゲーションミックスと混合した。この細胞懸濁混合物を、Gene Pulser Electroporatorを使用して2mmキュベット中、2.5V及び25μFdでエレクトロポレーションした。1mLのLBを細胞に直ちに加えてから、金属キャップを有する14mLポリプロピレンチューブ(Sarstedt)に移した。細胞を30℃で2時間増殖させることによって回復させた。Lアガー+50μg/μLカルベニシリン+10mMメバロン酸上で形質転換体を選択し、30℃でインキュベートした。翌日、6つの形質転換体を選び、5mLのLブロス+50μg/μLカルベニシリンのチューブ内で一晩、30℃で増殖させた。QIAquick Spin Miniprepキット(Qiagen)を使用してこの一晩培養物でプラスミド調製を行った。プラスミドの増殖におけるBL21細胞の使用のため、高品質のプラスミドDNAを得るために標準的な製造者のプロトコールに、スピンカラムをPBバッファーで5回及びPEバッファーで3回洗浄するという改変を組み込んだ。プラスミドを、20μLの反応液中、PstIで消化して適正なサイズの直鎖状フラグメントとした。6つのプラスミドはいずれも適正なサイズであり、Quintara Biosciences(Berkeley,CA)に送付してプライマーMCM65、MCM66、EL1000(表1)により配列決定した。DNAの配列決定の結果、6つのプラスミドはいずれも正しいものであることが示された。1つのプラスミドを選び、プラスミドEWL230と命名した(図5、6A〜B、配列番号2)。
iv)プラスミドpEWL244(pTrc P.alba−mMVK)の構築
製造者のプロトコールにしたがって、テンプレートとしてのMCM376(下記第(v)項を参照)、プライマーMCM165及びMCM177(表1参照)、及びPfu Ultra II Fusion DNA ポリメラーゼ(Stratagene)を使用してPCR反応を行ってメタノサルシナ・マゼイ(M.マゼイ)のMVK遺伝子を増幅した。PCR条件は以下の通りとした。すなわち、95℃で2分間(最初のサイクルのみ)、95℃で25秒間、55℃で25秒間、72℃で18秒間を28サイクル繰り返し、最後の延長を72℃で1分間。M.マゼイMVKのPCR生成物をQIAquick PCR Purificationキット(Qiagen Inc.)を使用して精製した。
次いでM.マゼイMVKのPCR生成物を、8μLのPCR生成物、2μLのPmeIエンドヌクレアーゼ(New England Biolabs)、4μLの10X NEBバッファー4、4μLの10X NEB BSA、及び22μLのddH2Oを含む40μLの反応液中で消化した。反応液を37℃で3時間インキュベートした。次いでQIAquick PCR Purificationキットを使用して消化されたPCRフラグメントを精製した。2回目の制限酵素による消化を、2μLのNsiIエンドヌクレアーゼ(Roche)、4.7μLの10XバッファーH、及び40μLのPmeI消化したM.マゼイMVKのフラグメントを含む47μLの反応液中で行った。反応液を37℃で3時間インキュベートした。次いで消化されたPCRフラグメントを1.2% E−ゲルを使用してゲル精製し、QIAquick Gel Extractionキットを使用して抽出した。プラスミドEWL230を、10μLのプラスミド、2μLのPmeIエンドヌクレアーゼ、4μLの10X NEBバッファー4、4μLの10X NEB BSA、及び20μLのddH2Oを含む40μLの反応液中で消化した。反応液を37℃で3時間インキュベートした。次いでQIAquick PCR Purificationキットを使用して消化されたPCRフラグメントを精製した。2回目の制限酵素による消化を、2μLのPstIエンドヌクレアーゼ、4.7μLの10XバッファーH、及び40μLのPmeI消化したEWL230の直鎖状フラグメントを含む47μLの反応液中で行った。反応液を37℃で3時間インキュベートした。次いで消化されたPCRフラグメントを1.2% E−ゲルを使用してゲル精製し、QIAquick Gel Extractionキットを使用して抽出した(図7)。NsiI及びPstI部位の適合する粘着末端を用い、8μLのM.マゼイMVKインサート、3μLのEWL230プラスミド、1μLのT4 DNAリガーゼ、2μLの10Xリガーゼバッファー、及び6μLのddH2Oを含む20μLのライゲーション反応液を調製した。ライゲーション混合物を16℃で一晩インキュベートした。翌日、0.025μmのニトロセルロース膜フィルターをペトリ皿内のddH2Oに浮かべ、ライゲーション混合物を室温で30分間、ニトロセルロース膜フィルター上に静かに置くことによってライゲーション混合物を脱塩した。MCM446細胞をLB中で対数増殖期中期まで増殖させた後、氷冷した滅菌水で3回洗った。細胞懸濁液の50μLのアリコートを、5μLの脱塩したpTrc P.alba−mMVKライゲーションミックスと混合した。この細胞懸濁混合物を、Gene Pulser Electroporatorを使用して2mmキュベット中、2.5V及び25μFdでエレクトロポレーションした。1mLのLBを細胞に直ちに加えてから、金属キャップを有する14mLポリプロピレンチューブに細胞を移した。細胞を30℃で2時間増殖させることによって回復させた。LA+50μg/μLカルベニシリン+5mMメバロン酸のプレート上で形質転換体を選択し、30℃でインキュベートした。翌日、6つの形質転換体を選び、5mLのLB+50μg/μLカルベニシリンのチューブ内で一晩、30℃で増殖させた。QIAquick Spin Miniprepキットを使用してこの一晩培養物でプラスミド調製を行った。プラスミドの増殖におけるBL21細胞の使用のため、高品質のプラスミドDNAを得るために標準的な製造者のプロトコールに、スピンカラムをPBバッファーで5回及びPEバッファーで3回洗浄するという改変を組み込んだ。プラスミドを、20μLの反応液中、PstIで消化して適正なサイズの直鎖状フラグメントとした。6つのプラスミドのうちの3つは適正なサイズであり、Quintara Biosciencesに送付してプライマーMCM65、MCM66、EL1000、EL1003、及びEL1006(表1)により配列決定した。DNAの配列決定の結果、3つのプラスミドはいずれも正しいものであることが示された。1つを選び、プラスミドEWL244と命名した(図8及び9A〜B、配列番号3)。
v)pET200DにM.マゼイ古細菌下流配列を組み込んだプラスミドMCM376−MVKの構築
M.マゼイ古細菌の下流経路オペロン(図10A〜C、配列番号4)から、MVKのORFを、Invitrogen Platinum HiFi PCRミックスを使用し、プライマーMCM161及びMCM162(表1)を使用してPCR増幅した。45μLのPCRミックスを、1μLのテンプレート、10μMの各1μLずつのプライマー、及び2μLの水と合わせた。反応サイクルを以下のようにして行った。すなわち、94℃で2:00分間;94℃で0:30分間、55℃で0:30分間、及び68℃で1:15分間を30サイクル;次いで72℃で7:00分間、及び4℃で冷却するまで。3μLのこのPCR反応液を、製造者のプロトコールにしたがってInvitrogen pET200Dプラスミドにライゲートした。3μLのこのライゲーション液をInvitrogen TOP10細胞に導入し、形質転換体をLA/kan50上で選択した。形質転換体からプラスミドを単離し、インサートを配列決定してMCM376を得た(図11A〜C)。
vi)EWL251株(BL21(DE3),Cm−GI1.2−KKDyI,pTrc P.alba−mMVK)の構築
MCM331細胞(S.セレビシアエのメバロン酸キナーゼ、メバロン酸リン酸キナーゼ、メバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ、及びIPPイソメラーゼをコードした染色体コンストラクトgi1.2KKDyIを有する)をLB中で対数増殖期中期まで増殖させた後、氷冷した滅菌水で3回洗った。50μLの細胞懸濁液を1μLのプラスミドEWL244と混合した。この細胞懸濁混合物を、Gene Pulser Electroporatorを使用して2mmキュベット中、2.5V及び25μFdでエレクトロポレーションした。1mLのLBを細胞に直ちに加えてから、金属キャップを有する14mLポリプロピレンチューブに細胞を移した。細胞を30℃で2時間増殖させることによって回復させた。LA+50μg/μLカルベニシリン+5mMメバロン酸のプレート上で形質転換体を選択し、37℃でインキュベートした。1つのコロニーを選択し、EWL251株と命名した。
vii)EWL256株(BL21(DE3),Cm−GI1.2−KKDyI,pTrc P.alba−mMVK,pCL Upper MVA)の構築
EWL251細胞をLB中で対数増殖期中期まで増殖させた後、氷冷した滅菌水で3回洗った。50μLの細胞懸濁液を1μLのプラスミドMCM82(E.フィカリスのmvaE及びmvaSをコードしたpCL PtrcUpperPathway(「pCL Upper MVA」としても知られる)を含む)と混合した。プラスミドpCL Ptrc Upper Pathwayは、いずれも参照によりその全容にわたって本願に援用する国際特許出願公開第WO 2009/076676A2号及び米国特許出願第12/335,071号の実施例8に述べられるようにして構築した。この細胞懸濁混合物を、Gene Pulser Electroporatorを使用して2mmキュベット中、2.5V及び25μFdでエレクトロポレーションした。1mLのLBを細胞に直ちに加えた。次いで細胞を金属キャップを有する14mLポリプロピレンチューブに移した。細胞を30℃で2時間増殖させることによって回復させた。LA+50μg/μLカルベニシリン+50μg/μLスペクチノマイシンのプレート上で形質転換体を選択し、37℃でインキュベートした。1つのコロニーを選択し、EWL256株と命名した。
viii)RM111608−2株(Cm−GI1.2−KKDyI,pTrc P.alba−mMVK,pCL Upper MVA,pBBRCMPGI1.5−pgl)の構築
複製プラスミドpBBR1MCS5(ゲンタマイシン)上でybhE遺伝子(大腸菌6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードする)を構成的に発現する、イソプレンを生成する大腸菌のBL21株(EWL256)を構築した(ルイジアナ州立大学K.Peterson博士より入手)。
FRTに基づいた組換えカセット、及びRed/Etにより媒介される挿入及び抗生物質マーカーループアウト用のプラスミドをGene Bridges GmbH(Germany)より入手した。これらの材料を使用する手順は、Gene Bridgesのプロトコールにしたがって行った。プライマーPgl−F(配列番号25)及びPglGI1.5−R(配列番号26)を使用し、Stratagene Herculase II Fusionキットを製造者のプロトコールにしたがって使用してFRT−gb2−Cm−FRTのテンプレートから耐性カセットを増幅した。PCR反応液(最終体積50μL)は以下を含むものとした。すなわち、5μLバッファー、1μLテンプレートDNA(Gene Bridgesから得たFRT−gb2−Cm−F)、10pmolの各プライマー、及び1.5μLの25mM dNTPミックスをdH2Oで50μLとしたもの。反応サイクルを以下のようにして行った。すなわち、1×2分間、95℃、次いで(95℃で30秒間、63℃で30秒間、72℃で3分間)を30サイクル。
得られたPCR生成物を、QIAquick(登録商標)PCR Purificationキット(Qiagen)を使用して精製し、pRed−ETリコンビナーゼ含有プラスミドを有するエレクトロコンピテントなMG1655細胞内に以下のようにしてエレクトロポレーションした。MG1655細胞を、5mLのLブロス中、30℃でOD600=約0.6となるまで増殖させることによりエレクトロポレーション用に調製した。4%アラビノースを添加することにより細胞にリコンビナーゼの発現を誘導し、30℃で30分間増殖させた後、37℃で30分間増殖させた。1.5mLのこの細胞のアリコートを、氷冷dH2O中で3〜4回洗った。最終的な細胞ペレットを40μLの氷冷dH2Oに再懸濁し、2〜5μLのPCR生成物を加えた。Gene Pulser Electroporator(Bio−Rad Inc.)内で1mm間隔のキュベット中、1.3kVでエレクトロポレーションを行った。細胞を30℃で1〜2時間回復させ、クロラムフェニコール(5μg/mL)を含むLアガー上に播いた。5つの形質転換体を、挿入部位に隣接したプライマー(2つのプライマーの組:pgl及び49 rev及び3’EcoRV−pglstop;Bottom Pgb2及びTop GB’s CMP(946))を使用したPCR及び配列決定により分析した。正しい形質転換体を選択し、この株をMG1655 GI1.5−pgl::CMPと命名した。
MG1655 GI1.5−pgl::CMPの染色体DNAをテンプレートとして用いてFRT−CMP−FRT−GI1.5−ybhEコンストラクトを含むPCRフラグメントを生成した。このコンストラクトを以下のようにしてpBBR1MCS5(ゲンタマイシン)内にクローニングした。このフラグメント(ここではCMP−GI1.5−pglと呼ぶ)を、5’末端側のプライマーPglconfirm−F(配列番号27)及び3’末端側のプライマー3’EcoRV−pglstop(配列番号28)を用いて増幅した。得られたフラグメントをInvitrogen TOPO−Bluntクローニングキットを製造者の推奨するところにしたがって使用してプラスミドベクターpCR−Blunt II−TOPO内にクローニングした。CMP−GI1.5−pglフラグメントを有するNsiIフラグメントを、pBBR1MCS5(ゲンタマイシン)のPstI部位にクローニングした。5μLのCMP−GI1.5−pglインサート、2μLのpBBR1MCS5(ゲンタマイシン)ベクター、1μLのT4DNAリガーゼ(New England Biolabs)、2μLの10Xリガーゼバッファー、及び10μLのddH2Oを含む20μLのライゲーション反応液を調製した。ライゲーション混合物を、室温で40分間インキュベートした後、2〜4μLを上記に開示したパラメータを用いてエレクトロコンピテントなTop10細胞(Invitrogen)内にエレクトロポレーションした。10μg/mLのクロラムフェニコール及び5μg/mLのゲンタマイシンを含むLアガー上で形質転換体を選択した。選択されたクローンの配列を、上記に述べたプライマーのうちの幾つか、及びSequetech,CAにより提供されるインハウスのT3及びReverseプライマーを使用して決定した。このプラスミドをpBBRCMPGI1.5−pglと命名した(図12、13A〜B、及び配列番号6)。
プラスミドpBBRCMPGI1.5−pglを、本明細書において述べるようにしてEWL256内にエレクトロポレーションし、形質転換体をクロラムフェニコール(10μg/mL)、ゲンタマイシン(5μg/mL)、スペクチノマイシン(50μg/mL)、及びカルベニシリン(50μg/mL)を含むLアガー上に播いた。1つの形質転換体を選択し、RM111608−2株と命名した。
プライマー:
Pgl−F
5’−ACCGCCAAAAGCGACTAATTTTAGCTGTTACAGTCAGTTGAATTAACCCTCACTAAAGGGCGGCCGC−3’(配列番号25)
PglGI1.5−R
5’−GCTGGCGATATAAACTGTTTGCTTCATGAATGCTCCTTTGGGTTACCTCCGGGAAACGCGGTTGATTTGTTTAGTGGTTGAATTATTTGCTCAGGATGTGGCATAGTCAAGGGCGTGACGGCTCGCTAATACGACTCACTATAGGGCTCGAG−3’(配列番号26)
3’EcoRV−pglstop:
5’−CTT GAT ATC TTA GTG TGC GTT AAC CAC CAC(配列番号28)
pgl+49 rev:CGTGAATTTGCTGGCTCTCAG(配列番号29)
Bottom Pgb2:GGTTTAGTTCCTCACCTTGTC(配列番号30)
Top GB’s CMP(946):ACTGAAACGTTTTCATCGCTC (配列番号31)
Pglconfirm−F
5’−ACCGCCAAAAGCGACTAATTTTAGCT−3’(配列番号27)
実施例2:大腸菌内でのybhE(pgl)の構成的発現によるイソプレン生成の改良
この実施例では、野生型のレベルでybhEを発現するコントロール株(すなわちEWL256)と比較した、大腸菌ybhE(pgl)を構成的に発現する株におけるイソプレンの生成を示す。遺伝子ybhE(pgl)は、異種細胞で発現されたタンパク質の翻訳後グルコニル化を抑制し、生成物の溶解度及び収率を高める一方で更にペントースリン酸経路を通じてバイオマス収率及び流量を高める大腸菌6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードしている(Aonら、Applied and Environmental Microbiology 74(4):950〜958,2008)。
i)小規模分析
培地の組成(発酵培地1L当たり):K2HPO4 13.6g、KH2PO4 13.6g、MgSO4・7H2O 2g、クエン酸一水和物2g、クエン酸鉄アンモニウム0.3g、(NH4)2SO4 3.2g、酵母エキス1g、1000X微量金属溶液1mL。すべての成分を加え合わせ、diH2Oに溶解した。pHを水酸化アンモニウム(30%)で6.8に調整し、一定の体積とした。培地を0.22μmフィルターでフィルター滅菌した。滅菌及びpH調整後にグルコース5.0g及び抗生物質を加えた。
1000X微量金属溶液(発酵培地1L当たり):クエン酸・H2O 40g、MnSO4・H2O 30g、NaCl 10g、FeSO4・7H2O 1g、CoCl2・6H2O 1g、ZnSO4・7H2O 1g、CuSO4・5H2O 100mg、H3BO3 100mg、NaMoO4・2H2O 100mg。各成分を1成分ずつdiH2Oに溶解する。pHをHCl/NaOHで3.0に調整した後、溶液を一定体積とし、0.22μmフィルターでフィルター滅菌する。
(a)実験手順
MicroReactor Technologies,Inc.によるCellerator(商標)内で上記の株を増殖させることによってイソプレン生成を分析した。24ウェルのそれぞれの作業容量は4.5mLであった。温度を30℃に維持し、pHの設定を7.0とし、酸素流の設定を20sccmとし、攪拌速度を800rpmとした。凍結容器から取り出した大腸菌株の接種物をLBブロスアガープレート(抗生物質を添加したもの)上にストリークし、30℃でインキュベートした。シングルコロニーを抗生物質を添加した培地中に接種し、一晩増殖させた。細菌を、抗生物質を添加した4.5mLの培地に、550nmで測定した光学密度が0.05となるまで希釈した。
イソプレンのオフガス分析を、ガスクロマトグラフ−マススペクトロメータ(GC−MS)(Agilent)ヘッドスペースアッセイを用いて行った。以下のようにして試料を調製した。100μLの全ブロスを密封したGC容器に入れ、30℃で30分間の一定時間にわたってインキュベートした。70℃で5分間のインキュベーションによる熱殺菌処理の後、試料をGCに導入した。
測定の間にマイクロプレートリーダー(Spectramax)を使用して波長550nmにおける光学密度(OD)を得た。イソプレン濃度(μg/L)をODの測定値及び時間(時)で割ることによって比生産性を得た。
EWL256及びRM111608−2の2種類の株について、200及び400μMのIPTG誘導レベルで評価を行った。各試料を、イソプレン生成量及び細胞増殖(OD550)について誘導の1、2.5、4.75、及び8時間後に分析した。各試料について2重に行った。
(b)結果
この実施例では、2つの異なるIPTGの濃度において、ybhE(pgl)を発現する株のイソプレンの比生産性がコントロール株と比較して2〜3倍に劇的に上昇することが実証された。
ii)Cm−GI1.2−KKDyI、M.マゼイのメバロン酸キナーゼ、ギンドロイソプレンシンターゼ、及びybhE(pgl)(RM111608−2)を発現し、15Lスケールで流加培養で増殖させた大腸菌からのイソプレン発酵
培地の組成(発酵培地1L当たり):K2HPO4 7.5g、MgSO4・7H2O 2g、クエン酸一水和物2g、クエン酸鉄アンモニウム0.3g、酵母エキス0.5g、1000X改変微量金属溶液1mL。すべての成分を加え合わせ、diH2Oに溶解した。この溶液をオートクレーブで滅菌した。pHを水酸化アンモニウム(30%)で7.0に調整し、所定の体積とした。滅菌処理及びpH調整後にグルコース10g、チアミン・HCl 0.1g、及び抗生物質を添加した。
1000X改変微量金属溶液:クエン酸・H2O 40g、MnSO4・H2O 30g、NaCl 10g、FeSO4・7H2O 1g、CoCl2・6H2O 1g、ZnSO4・7H2O 1g、CuSO4・5H2O 100mg、H3BO3 100mg、NaMoO4・2H2O 100mg。各成分を1成分ずつDi H2Oに溶解し、pHをHCl/NaOHにより3.0に調整した後、一定の体積とし、0.22μmフィルターによりフィルター滅菌する。
上流メバロン酸(MVA)経路(pCL Upper)、統合された下流MVA経路(gi1.2KKDyI)を有し、M.マゼイ由来のメバロン酸キナーゼ及びギンドロ由来のイソプレンシンターゼを高発現し(pTrcAlba−mMVK)、大腸菌pglを高発現(pBBR−pgl)するBL21(DE3)大腸菌細胞を用い、15Lバイオリアクターで発酵を行った。この実施例は、望ましい発酵pH 7.0及び温度34℃においてグルコースからのイソプレン生成を観測する目的で行った。大腸菌株の凍結容器を解凍し、トリプトン−酵母エキス培地中に接種した。550nmで測定したODが1.0となるまで接種物が増殖した後、500mLを15Lバイオリアクターへの接種に使用して初期体積を5Lとした。
細胞が静止期に達するまでグルコースを指数関数的速度で供給した。この後、代謝要求量を満たす量までグルコース供給量を低減させた。40時間(59時間)の発酵中にバイオリアクターに供給されたグルコースの総量は、3.1kg(59時間で4.2kg)であった。IPTGを添加することによって誘導を行った。550nmでの光学密度(OD550)の値が4となった時点でIPTGの濃度を110μMとした。OD550が150に達した時点でIPTG濃度を192μMに上昇させた。時間に対するバイオリアクター内のOD550プロファイルを図14Aに示す。バイオリアクターからのオフガス中のイソプレン濃度を、Hiden質量分析器を使用して測定した。イソプレンの力価は、発酵過程において40時間における最大値33.2g/Lにまで増大した(59時間では48.6g/L)(図14B)。イソプレンの力価は、発酵過程において40時間における最大値40.0g/Lにまで増大した(59時間では60.5g/L)(図14C)。40時間(59時間)の発酵の間に生成したイソプレンの総量は281.3g(59時間では451.0g)であり、生成の経時的変化を図14Dに示す。体積生産性の経時的変化を図14Eに示したが、この図は0〜40時間の間に1.0g/L/時の平均速度が維持されたことを示している(19〜59時間の間では1.4g/L/時)。CERで測定した代謝活性プロファイルを図14Fに示す。発酵中にイソプレンの生成に利用された炭素のモル収率は40時間で19.6%であった(59時間で23.6%)。グルコースからのイソプレンの重量収率(%)は40時間で8.9%であった(59時間で10.7%)。
実施例3:再生可能な資源から生成されたイソプレンの回収
活性炭への吸着による発酵オフガス流からのイソプレンの除去、及びこれに続く、液体バイオイソプレンを与えるオフラインでの蒸気脱着及び凝縮を行う2工程の操作で4つの15Lスケールの発酵のセットからイソプレンを回収した(図16A及び16B)。4つの発酵装置によって生成されたイソプレンの総量は1150g(16.9mol)であり、そのうち953g(14mol、83%)がカーボンフィルターによって吸着された。蒸気脱着/凝縮工程の後、回収された液体イソプレンの量は810gであり、70%の全体の回収収率に相当した。回収されたイソプレンを不純物の存在について分析した。
再生可能な資源から生成されたイソプレン液の分析及び不純物プロファイル
回収されたバイオイソプレン液を、GC/MS及びガスクロマトグラフィー/水素炎イオン化検出法(GC/FID)によって分析して不純物の性状及び濃度を調べた。生成物を測定したところ純度>99.5%であり、幾つかの主要な不純物以外にも多くの微量成分を含んでいた。GC/FIDクロマトグラムを図17に示し、不純物の典型的な濃度を表2に示す。不純物プロファイルは、このスケールで生成された他のバイオイソプレンバッチと同様であった。
再生可能な資源から生成されたイソプレンの吸着剤処理による精製
吸着剤は、炭化水素原料から微量不純物を除去するために産業界で広く用いられている。適当な吸着剤としては、ゼオライト、アルミナ、及びシリカ系材料が挙げられる。イソプレンはシリカゲルに通すことによりほぼ精製することが可能であり、アルミナではより低い精製度で精製される。図18は、アルミナ(B)又はシリカ(C)による処理の前(A)及び後のイソプレン試料のGC/FIDクロマトグラムを示す。BASFより販売されるSelexsorb(商標)吸着剤製品は、再生可能な資源から生成されるイソプレンから極性不純物を除去するために選択される吸着剤の1つである。詳細には、Selexsorb CD及びCDX製品が、イソプレン及びブタジエン原料から極性不純物を除去するうえでその有用性が証明されていることから好ましい。
実施例4:膜バイオリアクターシステムを使用したイソプレンガスの生成量の増加
I.大腸菌CMP234株の構築
P1形質導入によれば、最大で100kbのDNAを細菌株の間で移動させることが可能である(Thomasonら、2007)。大腸菌BL21(DE3)における17,257bpの欠失を、P1形質導入を用いて大腸菌K12MG1655から大腸菌BL21(DE3)へと細菌染色体の小片を移動させることによって置き換えた。
組換えられた細菌染色体を有するコロニーを特定するため、異なる選択可能なマーカーを用いた2つの方法を用いた。第1に、出願人らは、その欠失が菌株に悪影響を与えないような、導入しようとする17,257bpの配列に近い遺伝子に抗生物質マーカーを挿入した。その抗生物質マーカーを含む菌株は、マーカーと同時に形質導入される17,257bpの細菌染色体の小片を有している可能性が高い。この場合では、出願人らは、カナマイシン耐性遺伝子(「kanR」)をコードした遺伝子を、126のアミノ酸からなる機能が不明なタンパク質をコードしているybgS遺伝子に挿入した。第2に、ガラクトースの利用に関与している多くの遺伝子が、大腸菌BL21(DE3)に形質導入しようとする17,257bpの小片内においてpglの近くに位置することが知られていることから、大腸菌K12MG1655(大腸菌BL21(DE3)において欠失させられた17,257bpの配列を有する)から得られたP1ライセートによって形質導入し、0.4%(w/v)ガラクトースを含むM9培地(6g/L Na2HPO4、3g/L KH2PO4、0.5g/L NaCl、0.5g/L NH4Cl、0.1mM CaCl2、2mM MgSO4)中で単離されたコロニーは、この17,257bpの細菌染色体の小片を含んでいる可能性が高い。
プライマーMCM120(配列番号32)及びMCM224(配列番号33)を使用し、Stratagene Herculase(商標)II Fusionキット(Agilent Technologies,Stratagene Products Division,La Jolla,California)を製造者のプロトコールにしたがって使用してGeneBridges FRT−gb2−Cm−FRTテンプレートからクロラムフェニコール耐性(「CmR」)カセットを増幅した。以下のようにして4つの50μLのPCR反応サイクルを行った。すなわち、95℃/2分間;95℃/20秒間、55℃/20秒間、72℃/1分間を30サイクル;及び72℃/3分間。この後、各反応液を4℃に冷却した。4つの反応液をプールし、Qiagen PCRカラムに製造者のプロトコールにしたがって導入し、60μLの溶出バッファー(「EB」)により55℃で溶出させた。
標準的な手順を用いてプラスミドpRedET−カルベニシリンR(GeneBridges,Heidelberg,Germany)を大腸菌BL21(DE3)MCM446株(CmR,gi1.6mKKDyI A1−3)内にエレクトロポレーションした。SOC培地中、30℃で1時間振盪した後、LB+50μg/mLカルベニシリン(「LB/carb50」)プレート上、30℃で一晩選択することによって形質転換体を回収した。カルベニシリン耐性コロニーをMCM508株として凍結した。
MCM508株を、5mLのLB/carb50中、30℃で新鮮なストリークから約0.5のOD600となるまで増殖させた。この時点で40mMのL−アラビノースを加え、培養を37℃で1.5時間インキュベートした。次いで遠心分離により細胞を収穫し、3μLの上記に述べた精製したアンプリコンでエレクトロポレーションした後、500μLのSOC培地中、37℃で1.5〜3時間回復させた。形質転換体をLB+10μg/mLカナマイシン(LB/kan10)プレート上、37℃で選択した。
標的遺伝子座におけるアンプリコンの組換えを、プライマーGB−DW(配列番号34)及びMCM208(配列番号35)を用いたPCRによって確認した。得られたアンプリコンを配列決定して下記に示す配列を有する4つのクローンを特定した。4つのカルベニシリン感受性クローンをMCM518〜MCM521株として凍結した。
MCM518〜MCM521株をLB/kan10上に再びストリークし、37℃で一晩増殖させた。MCM518〜MCM521株のコロニーを選び、LB/kan10中、37℃で培養し、プラスミドpCP20により電気的に形質転換した。プラスミドpCP20は、酵母Flpリコンビナーゼ、クロラムフェニコール、及びアンピシリン耐性遺伝子をコードし、ホスト細胞に温度感受性の複製能を与えるものである(Cherepanov,P.P.ら、Gene 158(1):9〜14(1995))。細胞を500μLのSOC培地中、30℃で1時間振盪することによって回復させた。形質転換体を、LB/carb50プレート上、30℃で一晩選択した。翌朝、各プレートからのコロニーを、LB/carb50培地中、30℃で目視にて濁りが分かるまで増殖させた。この後、培養を37℃に少なくとも3時間シフトさせた。細胞をこの培養からLBプレート上にストリークし、37℃で一晩増殖させた。
翌日、各コロニーをLB、LB/carb50及びLB/kan10にパッチした。カルベニシリン及びカナマイシンの両方に対して感受性を示したクローン(すなわちcarb50及びkan10上で増殖できなかったもの)を液体LB中で培養し、MCM528〜MCM531株として凍結した。
MCM518〜MCM521株の染色体に組み込まれたアセンブリは、バクテリオファージ(λ)に由来する新たなPLプロモーター及びmMVK ORFのごく最初の部分を含み、Gene BridgesのFRT−gb2−Cm−FRTカセットからの配列を有してプロモーター/mMVKアセンブリの上流に組み込まれており、更にmMVK ORFの残りの部分に続くMCM508株由来の下流MVA経路のインテグロンの残りの部分を含んでいる。
MCM518に組み込まれたプロモーター/mMVK配列(配列番号36):
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MCM519に組み込まれたプロモーター/mMVK配列(配列番号37):
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MCM520に組み込まれたプロモーター/mMVK配列(配列番号38):
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MCM521に組み込まれたプロモーター/mMVK配列(配列番号39):
aaagaccgaccaagcgacgtctgagagctccctggcgaattcggtaccaataaaagagctttattttcatgatctgtgtgttggtttttgtgtgcggcgcggaagttcctattctctagaaagtataggaacttcctcgagccctatagtgagtcgtattaaattcatataaaaaacatacagataaccatctgcggtgataaattatctctggcggtgttgacgtaaataccactggcggtgatactgagcacatcagcaggacgcactgaccaccatgaaggtgcaaaggaggtaaaaaaacatggtatcctgttctgcgccgggtaagatttacctgttcggtgaacacgccgtagtttatggcgaaactgcaattgcgtgtgcggtggaactgcgtacccgtgttcgcgcggaactcaatgactctatcactattcagagc
次に、PTrcプロモーターの制御下にあるギンドロイソプレンシンターゼの短縮型(MEA変異体)を有するイソプレン生成大腸菌株である大腸菌DW199株を構築した。
短縮型のギンドロイソプレンシンターゼ(IspS)を有するプラスミドは、テンプレートとしてのpEWL244(pTrc−P.alba(MEA)−mMVKとも呼ばれる(その構築については参照により本願にその全容を援用するところの米国特許出願第12/335,071号の実施例10に述べられている。))からQuikchange(商標)(Agilent Technologies,Stratagene Products Division,La Jolla,California)PCR突然変異誘発キット(mutagenesis)によって構築した。PCR反応液は以下の成分を含むものであった。すなわち、1μLのpEWL244(pTrc P.alba−mMVKをコードしたもの)、5μLの10X PfuUltra High Fidelityバッファー、1μLの100mM dNTP、1μLの50μM QC EWL244 MEA Fプライマー(配列番号40)、1μLの50μM QC EWL244 MEA Rプライマー(配列番号41)、2μLのDMSO、1μLのPfuUltra High Fidelityポリメラーゼ(Agilent Technologies,Stratagene Products Division,La Jolla,California)、及び39μLのdiH2O。PCR反応サイクルを以下のようにして行った。すなわち、95℃/1分間;及び95℃/30秒間、55℃/1分間、68℃/7.3分間を18サイクル。次いでこの反応液を4℃まで冷ました。
このPCR生成物をE−ゲル(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用したゲル電気泳動によって可視化した後、1μLのDpnI制限エンドヌクレアーゼ(Roche,South San Francisco,CA)により37℃で3時間処理した。次いで10μLのPCR生成物を、微小透析膜(MilliPore,Billerica,MA)を使用して脱塩し、標準的な分子生物学の方法を用いてエレクトロコンピテントな大腸菌MCM531株(上記のようにして調製したもの)に形質転換した。細胞を1mLのLB培地中、30℃で1.5時間回復させ、50μg/mLのカルベニシリン及び5mMのメバロン酸を含むLBアガープレート上に播いてから37℃で一晩インキュベートした。翌日、陽性のコロニー(DW195株、下記参照)を選択して増殖、プラスミド精製(Qiagen,Valencia,CA)し、下記に示すプライマーを用いたDNA配列決定(Quintara Biosciences,Berkeley,CA)によって確認した。最終的なプラスミドであるpDW34(図19A〜D;配列番号156)は、P.alba IspSの短縮型をコードするオープンリーディングフレームを有していることが確認された。
pDW34及びMCM82(その構築については参照により本願にその全容を援用するところの米国特許出願第12/335,071号の実施例8に述べられている)をエレクトロコンピテントなMCM531(上記のように調製したもの)内に形質転換することによってDW199株が生成された。細胞を1mLのLB培地中、37℃で1時間回復させ、50μg/mLのスペクチノマイシン及び50μg/mLのカルベニシリンを含むLBアガープレート上に播いてから37℃で一晩インキュベートした。翌日、DW199株の抗生物質耐性コロニーを更なる実験用に選択した。
この実施例では、大腸菌CMP215、CMP258及びCMP234株の構築について述べる。これらの菌株はいずれも、大腸菌MG1655のゲノムDNAを有するP1ファージにより形質導入し、MG1655には存在するがBL21及びBL21(DE3)には存在しない17,257bpの小片の組換えについて選択されたBL21に由来するものである。
Keioコレクション(Babaら、2006)より入手したカナマイシン耐性遺伝子(「KanR」)でybgS遺伝子を置換した(すなわち、ybgS::KanR突然変異)JW0736株からP1ライセートを調製した。このライセートを使用してMCM531株(上記に述べたもの)に感染させ、CMP215株を作出した。CMP215の遺伝子型は、プライマーgalM R(5’−GTC AGG CTG GAA TAC TCT TCG−3’;配列番号9)及びgalM F(5’−GAC GCT TTC GCC AAG TCA GG−3’;配列番号8)を使用したPCRによって確認した。これらのプライマーは、図20に示されるようにgalM遺伝子にアニールするが、17,257bpが欠失した大腸菌BL21(DE3)の染色体DNAからのPCR生成物のみを生成する。
P1形質導入後のこの17,257bpのフラグメントの挿入を、以下のプロトコールによるPCRによって確認した。1つの細菌コロニーを30μLのH2O中で攪拌し、95℃に5分間加熱した。得られた溶液を遠心沈降させ、2μLの上清を以下のPCR反応においてテンプレートとして使用した。すなわち、2μLのコロニーH2O溶液、5μLのHerculase(登録商標)バッファー、1μLの100mM dNTP、1μLの10μM順方向プライマー、1μの10μM逆方向プライマー、0.5μのHerculase(登録商標)Enhanced DNAポリメラーゼ(Agilent Technologies,Stratagene Products Division,La Jolla,California)、及び39.5μLのdiH2O。PCR反応サイクルは、PCR Express Thermal Cycler(Thermo Hybaid,Franklin,MA)で以下のようにして行った。すなわち、95℃/2分間;95℃/30秒間、52℃/30秒間、72℃/60秒間を30サイクル;及び72℃/7分間。次いでこの反応液を4℃まで冷ました。52℃のアニーリング温度は、プライマーペアの低いTmよりも3℃低い温度である。得られたPCRフラグメントのサイズは、プレキャストした0.8% E−ゲル(登録商標)(Invitrogen,Carlsbad,CA)上でDNA Molecular Weight Marker X(75〜12,216bp)(Roche Diagnostics,Mannheim,Germany)をサイズマーカーとして使用して測定した。形質導入の成功は、CMP215株がガラクトース上で増殖可能であったことによっても確認された。
別の方法として、大腸菌MG1655のライセートを使用してMCM531株(上記に述べたもの)に形質導入した。0.4%(w/v)ガラクトースを添加したM9培地上で選択したコロニーをCMP258と命名した。pglを含む17,257bpの領域の存在を、基本的には上記に述べたようにしてプライマーgalM R(配列番号9)及びgalM F(配列番号8)を使用したPCRによって確認した。
CMP215株を、mvaE及びmvaSを発現するプラスミドpCLPtrcUpperPathway(参照により本願にその全容を援用するところの米国特許出願第12/335,071号の実施例8に述べられるようにして調製したもの)及びプラスミドpDW34(上記に述べたような、短縮型のギンドロイソプレンシンターゼ及びM.マゼイメバロン酸キナーゼを有するもの)をエレクトロポレーションすることによって同時形質転換した。形質転換体を、50μg/mLカルベニシリン+50μg/mLスペクチノマイシンを含むLBアガープレート上で選択した。1つのコロニーを選び、CMP234と命名した。
II.MBRを使用した発酵はイソプレン生成を増大させる
イソプレンの生成量の増大:膜バイオリアクターシステムでの大腸菌株CMP234による15L流加発酵。大腸菌BL21(DE3)CMP234株(上記に述べたようにして構築したもの)は、M.マゼイメバロン酸キナーゼ及びギンドロイソプレンシンターゼを過剰発現し、大腸菌K12 MG1655株に由来する6−ホスホグルコノラクトナーゼ(PGL)の挿入されたコピーを有している。イソプレンは、膜バイオリアクター(MBR)内で15Lスケールで最小培地中で流加培養で増殖させたCMP234細胞により生成された。
培地の組成(1L当たり):7.5gのK2HPO4、2gのMgSO4・7H2O、2gのクエン酸一水和物、0.3gのクエン酸鉄アンモニウム、0.5gの酵母エキス、及び1mLの1000X改変微量金属溶液(下記に組成を示す)を蒸留脱イオン水(diH2O)に同時に溶解し、123℃で20分間加熱滅菌した。pHを28%水酸化アンモニウムで7.0に調整し、滅菌水で最終体積とした。滅菌処理及びpH調整後に10gのグルコース、8mLのビタミン溶液(下記に組成を示す)、及び適当な抗生物質を加えた。
1000X改変微量金属溶液(1L当たり):40gのクエン酸・H2O、30gのMnSO4・H2O、10gのNaCl、1gのFeSO4・7H2O、1gのCoCl2・6H2O、1gのZnSO4・7H2O、100mgのCuSO4・5H2O、100mgのH3BO3、及び100mgのNaMoO4・2H2Oを1成分ずつdiH2Oに溶解した。pHをHCl/NaOHにより3.0に調整し、溶液を最終体積とし、0.22μmフィルターを使用して滅菌した。
ビタミン溶液(1L当たり):1gの塩酸チアミン、1gのD−(+)−ビオチン、1gのニコチン酸、4.8gのD−パントテン酸、及び4.0gの塩酸ピリドキシンを1成分ずつdiH2Oに溶解した。pHをHCl/NaOHにより3.0に調整し、溶液を最終体積とし、0.22μmフィルターで滅菌した。
マクロ塩溶液(1L当たり):296gのMgSO4・7O、296gのクエン酸一水和物、及び49.6gのクエン酸鉄アンモニウムを同時に水に溶解し、最終体積とし、0.22μmフィルターで滅菌した。
グルコース供給溶液(1kg当たり):0.57kgのグルコース、0.38kgのdiH2O、7.5gのK2HPO4、及び10gの100% Foamblastを互いに混合し、オートクレーブで滅菌した。5.6mLのマクロ塩溶液、0.8mLの1000X改変微量金属溶液、及び6.7mLのビタミン溶液を、溶液が25℃に冷めた後に加えた。
上流メバロン酸(MVA)経路(pCL Upper)、統合された下流MVA経路(PL.2mKKDyI)、M.マゼイ由来のメバロン酸キナーゼ、及びギンドロ由来の短縮型イソプレンシンターゼ(pTrcAlba(MEA)mMVK(pDW34))を発現し、修復された染色体pgl遺伝子(t ybgS::Kan)を有する大腸菌BL21細胞(菌株名CMP234)により、15Lバイオリアクター中で発酵を行った。
この実施例は、別の「非MBR」無膜型リアクターをコントロールとして用い、MBR内の望ましい発酵pH 7.0及び温度34℃でグルコースからのイソプレンの生成を観測する目的で行った。大腸菌BL21 CMP234株の凍結容器を解凍し、各リアクターについてトリプトン−酵母エキス培地中に接種した。550nmで測定した光学密度(OD)が1.0となるまで接種材料が増殖した後、500mLを用いて15Lリアクターに接種し、初期発酵槽体積を5Lとした。
図21は、大腸菌株CMP234を増殖させる15Lバイオリアクターを備えたタンジェンシャルフローフィルター装置を有する膜バイオリアクターを示す。図22は、15Lスケールの発酵運転中のMBRの操作パラメータを示す。
供給溶液は、6.4g/分の最大供給速度に達するまで指数関数的速度で加えた。次いで、代謝要求量を満たすように6.4g/分以下の速度でグルコースを供給した。88時間の発酵中にMBRリアクターに供給されたグルコースの総量は、非MBRコントロールリアクターに供給されたグルコースが8.4kgであったのに対して、9.2kgであった。タンパク質発現の誘導は、イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することにより達成された。IPTG濃度を、ODが5に達した時点で110μMとし、ODが100に達した時点で200μMに上昇させた。
透明化された発酵ブロス(透過液)を、MBR(図21)を使用して、発酵30時間後から開始して、リアクター重量を9.7kgに維持するのに必要な量だけ除去した(図28、88時間の発酵中7.8kgの透過液が除去された)。細胞を含んだ全ブロスを、非MBRコントロールリアクターから、発酵30時間後から開始して、リアクター重量を9.7kgに維持するのに必要な量だけ除去した(図28、88時間の発酵中6.6kgの全ブロスが除去された)。MBRリアクター及び非MBRリアクター内の時間に対するODプロファイルを図23に示す。
リアクターのオフガス中のイソプレン濃度をHiden質量分析器を使用して測定した。発酵中のイソプレン力価は、MBRでは88時間後の100.5g/Lに、非MBRコントロールでは84.3g/Lに上昇した(図25)。88時間の発酵中に生成した総イソプレンは、非MBRコントロールでは721.0gであったのに対して、MBRでは843.9gであった。生成量の経時的変化を図26に示す。比生産性の経時的変化は、両方のリアクターで極めて似通ったプロファイルを示しており、MBRは細胞の生理学的性質を大きく変化させなかったようである(図24)。発酵中のグルコース炭素からのイソプレンのモル収率は、非MBRコントロールでは88時間後に18.8%であったのに対して、MBRでは88時間後に20.1%であった。グルコースからのイソプレンの重量収率(%)は、非MBRコントロールでは88時間後に8.7%であったのに対して、MBRでは88時間後に9.3%であった。
イソプレン生成速度、イソプレン力価、総イソプレン量、体積生産性、及び比生産性を以下の式に基づいて計算した。
であり、積分は台形公式によって推定することができる。
実施例5:MBRから再循環される透過液は、イソプレンの比生産性を向上させる。
MBRからの透過液の再循環。MVA経路(E.フィカリス由来の上流MVA経路及びS.セレビシアエ由来の統合された下流MVA経路+M.マゼイ由来のMVK)及びイソプレンシンターゼ(ギンドロ由来)を有する、イソプレン生成大腸菌DW202株(DW199株(上記に述べたようにして生成されたもの)+pBBR gi1.5−pgl(上記に述べたようにして生成されたもの))の15Lスケールの発酵からの培地を、接種38時間後にバイオリアクターから単離した。上記に述べたようにして15Lスケールの発酵を行った。細胞塊を遠心分離により速やかに除去した。残りの培地(透過液に相当する)を50,000rpm、4℃で30分間、超遠心し、すべての固形分を確実に除去した。得られた透明化された使用済み培地を、新鮮なTM3最小培地中に0〜30%の範囲の濃度に希釈した。
大腸菌MCM597株(ギンドロイソプレンシンターゼの短縮型(MEA変異体)、大腸菌DXS、及びS.セレビシアエのIDIを発現する大腸菌BL21(DE3)pLysS(参照により本願にその全容を援用するところの米国特許出願第12/335,071号の実施例7に述べられるようにして調製したもの)を一晩増殖させ、上記培地に接種した。MCM597株におけるタンパク質発現を200μM IPTGにより誘導し、誘導された菌株を微小発酵槽中で30℃で増殖させた。培養の増殖(すなわち細胞塊形成)後、プレートリーダーを使用して600nmの光学密度を測定した。イソプレンの生成後、接種4時間後に採取した100μLのヘッドスペース試料のGC分析を行った。イソプレン生成量を光学密度で割ることによって比生産性を計算した。
培地に30%(w/w)の使用済み培地(すなわち透過液)を添加することによって、増殖率が約25%低くなったにもかかわらず、イソプレンの比生産性が3倍以上高くなった(図29)。比生産性がより高いほど、単位細胞量につき単位時間当たり、より多くのイソプレンが生成されることを意味する。この結果は、使用済み培地を含むMBR透過液を使用することによって、イソプレン生成細胞の比生産性を向上させることが可能であることを示唆するものであり、これにより製造コストを低減させることが可能である。
本明細書において示される見出しは、明細書全体を参照することによって把握可能な発明の様々な態様を限定するものではない。
上記の発明は、理解を明確にする目的で実例及び例示としてある程度詳細に説明したものであるが、本発明に対しては、付属の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく特定の変更及び改変を行うことが可能である点は、本発明の教示に照らすことで当業者には直ちに明らかとなるであろう。