JP5853756B2 - エレクトロクロミック材料および光学素子 - Google Patents

エレクトロクロミック材料および光学素子 Download PDF

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Description

本発明は、エレクトロクロミック材料および光学素子等に関する。
近年、酸化還元反応によって色が変化するエレクトロクロミック材料が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなエレクトロクロミック材料は、カラーフィルター、位相差フィルムや光量のスイッチングフィルム等の光学素子への利用が期待されている。
しかしながら、従来のエレクトロクロミック材料では、応答性が低く、光学素子に利用するのが困難で、実用化には十分でなかった。また、フィルムなどに加工するのが困難で、加工性が十分ではなかった。
特開2003−280042号公報
本発明の目的の一つは、加工性(成膜性)に優れるとともに、高速応答性にすぐれたエレクトロクロミック材料および応答性に優れた光学素子を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のエレクトロクロミック材料は、液晶性を有する官能基を有し、酸化還元反応により、分子構造が変わる刺激応答性化合物と、
架橋剤により架橋された液晶ポリマーと、を含み、
前記酸化還元反応よって色調が変化することを特徴とする。
これにより、エレクトロクロミック材料の応答速度を効果的に向上させることができる。また、架橋剤により架橋した液晶ポリマーを含むことにより、エレクトロクロミック材料を固体化することができる。その結果、加工性(成膜性)に優れるとともに、高速応答性にすぐれたエレクトロクロミック材料を提供することができる。
本発明のエレクトロクロミック材料では、酸化反応により発色し、還元反応により当該色が退色することが好ましい。
これにより、色調の変化をより顕著なものとすることができる。
本発明のエレクトロクロミック材料では、前記液晶ポリマーは、液晶性官能基を有するモノマー100molに対して、架橋剤を1mol以上10mol以下添加して架橋したものであることが好ましい。
これにより、エレクトロクロミック材料の成膜性をより効率よく向上させることができる。
本発明のエレクトロクロミック材料では、前記液晶ポリマーは、その分子内に、前記刺激応答性化合物の前記液晶性を有する官能基と同じ官能基を有していることが好ましい。
これにより、色調の変化を全体としてより均一なものとすることができるとともに、応答性をさらに向上させることができる。
本発明のエレクトロクロミック材料では、溶媒と電解質とを含むことが好ましい。
これにより、刺激応答性化合物(エレクトロクロミック材料)の応答速度をより効果的に向上させることができるとともに、刺激応答性化合物の伸縮にともなうエレクトロクロミック材料全体の変位をさらに増幅することができる。
本発明のエレクトロクロミック材料では、前記刺激応答性化合物は、回転軸として機能する結合を有するユニットAと、
前記ユニットAの第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
前記ユニットAの第2の結合部位に配置された第2のユニットBと、
第1のユニットCと、
第2のユニットCと、を含むものであり、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとが酸化還元反応によって結合し、
前記第1のユニットCおよび前記第2のユニットCが前記液晶性を有する官能基であることが好ましい。
これにより、エレクトロクロミック材料の応答速度をより効果的に向上させることができる。
本発明のエレクトロクロミック材料では、前記ユニットAは、下記式(1)、下記式(2)、下記式(3)からなる群から選択される1種であることが好ましい。
Figure 0005853756
これにより、刺激応答性化合物のより円滑な変形(変位)が可能となり、エレクトロクロミック材料はより低電圧で応答するものとなる。
本発明のエレクトロクロミック材料では、前記第1のユニットBおよび前記第2のユニットBは、下記式(4)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005853756
これにより、反応条件を調整することで、ユニットB同士の結合状態と非結合状態とを可逆的にかつ容易に進行させることができる。また、反応性が高いため、刺激応答性化合物は、より円滑で、かつ低電圧で変形が可能となる。
本発明のエレクトロクロミック材料では、前記液晶性を有する官能基は、複数の環構造を有し、
前記複数の環構造のうちの1つの環構造にハロゲン原子が1つ以上結合していることが好ましい。
これにより、液晶性を有する官能基の配向時における運動性能をより高いものとすることができ、配向への移行の速度がより早くなる。その結果、エレクトロクロミック材料は、より速くかつより円滑な色調の変化を行うことが可能となり、さらに低電圧で応答するものとなる。
本発明の光学素子は、本発明のエレクトロクロミック材料を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、高速応答性に優れた光学素子を提供することができる。
刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。 刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。 エレクトロクロミック材料の電圧を0Vから1.35Vまで引き上げていった時の、光吸収スペクトルである。 エレクトロクロミック材料(刺激応答性化合物)の電圧を0.3Vから−0.1Vまで引き下げていった時の、光吸収スペクトルである。
以下、本発明のエレクトロクロミック材料および光学素子の好適な実施形態について詳細に説明する。
まず、本発明のエレクトロクロミック材料の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明のエレクトロクロミック材料は、液晶性を有する官能基を有し、酸化還元反応により、分子構造が変わる刺激応答性化合物と、架橋剤により架橋された液晶ポリマーとを含むものである。
<刺激応答性化合物>
まず、刺激応答性化合物の好適な実施形態について説明する。
図1、図2は、本実施形態の刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。図1、図2中、○は官能基を意味し、線は結合を意味する。
図1(a)に示すように、刺激応答性化合物は、回転軸として機能する結合を有するユニットAと、ユニットAの両末端に結合した2つのユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)と、それぞれのユニットBに結合した2つのユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)とを有している。
刺激応答性化合物は、刺激によって、分子の形状を変形(変位)させる機能、言い換えると、分子鎖が伸縮する機能を有する化合物のことを指す。そして、この変形によって、当該化合物が吸収する光の波長が変化することにより、エレクトロクロミック材料の色調が変化する。
刺激応答性化合物を構成するユニットAは、回転軸として機能する結合を有しており、当該結合を軸に回転可能となっている基(ユニット)である。このようなユニットを有することにより、刺激応答性化合物は、変形(変位)可能となっている。
ユニットAとしては、例えば、2つの芳香環が結合した基を用いることができるが、中でも、下記式(1)から(3)なる群から選択される1種の基であるのが好ましい。このような基をユニットAとして用いることにより、刺激応答性化合物は、より円滑な変形(変位)が可能となり、より低電圧で応答するものとなる。
Figure 0005853756
ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)は、図1(a)に示すように、ユニットAの回転軸方向の両末端(ユニットAの第1の結合部位および第2の結合部位)に結合している基である。すなわち、第1のユニットBがユニットAの第1の結合部位に、第2のユニットBがユニットAの第2の結合部位に結合している。
また、ユニットBは、ユニットB同士で酸化還元反応によって結合を形成する基である(図1(b)参照)。言い換えると、外部から電子の受け取る(還元される)ことによって結合を形成する基である。また、外部に電子を放出する(酸化される)ことで結合を解除する基である。
ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)としては、ユニットB同士(第1のユニットBと第2のユニットBと)で酸化還元反応によって結合を形成する基であれば、特に限定されないが、ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)は、下記式(4)で表される基であるのが好ましい。これにより、反応条件を調整することで、ユニットB同士の結合状態と非結合状態とを可逆的にかつ容易に進行させることができる。また、反応性が高いため、刺激応答性化合物は、より円滑で、かつ低電圧で変形が可能となる。
Figure 0005853756
ユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)は、ユニットBに結合した基であり、液晶性を有する基である。第1のユニットBには第1のユニットCが結合しており、第2のユニットBには第2のユニットCが結合している。液晶性を有することにより、ユニットCは、液晶の配向技術を用いることにより、一定の配向性を示す。これにより、刺激応答性化合物は、その駆動に一定の方向性を有するものとなる。また、色調の変化を全体としてより均一なものとすることができるとともに、応答性をさらに向上させることができる。
ユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)としては、液晶性を示す基であれば特に限定されず、複数の環構造を有する基、例えば、複数のフェニル基をエステル基で連結したもの、ベンゼン環若しくはシクロヘキサン環が直接連結したものが挙げられる。
ユニットCとしては、特に、複数の環構造のうちの1つの環構造にハロゲン原子が1つ以上結合した基を用いるのが好ましい。これにより、ユニットCの配向時における運動性能をより高いものとすることができ、配向への移行の速度がより早くなる。その結果、刺激応答性化合物は、より速くかつより円滑に変形(変位)が可能となり、さらに低電圧で応答するものとなる。
また、ユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)は、重合性官能基を有しているのが好ましい。この重合性官能基によって、刺激応答性化合物が重合することで、より分子鎖の長い刺激応答性化合物を形成することができる。
ユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)の具体例としては、以下のようなものが挙げることができる。
Figure 0005853756
以上説明したように、刺激応答性化合物は、軸回転可能なユニットAと、ユニットAの両末端(第1の結合部位および第2の結合部位)に結合した2つのユニットであって、酸化還元反応によりユニット同士で結合を形成することが可能なユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)と、ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)に結合した2つのユニットであって、液晶性を有するユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)とを有している点に特徴を有している。このような特徴を有することにより、低電力で変形(変位)させることができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。
すなわち、液晶性を有するユニットCによって複数の刺激応答性化合物分子が配向した(並んだ)状態で存在することができ、その揃った状態で電圧等を印加して1分子内のユニットB同士が酸化還元反応により結合する(架橋する)。このように、ユニットCの配向性(液晶性)とユニットBの刺激による結合性とを利用することで、図1(a)に示す状態から、図1(b)に示す状態へと確実に変形(変位)することができる。特に、ユニットCの配向とユニットB同士の結合は、低い電圧で進行するので、低電圧で、大きな色調の変化が可能となる。
なお、ユニットCの重合性官能基を利用して重合した刺激応答性化合物を用いた場合、上述したように、低電圧で、さらに大きな変形が可能となる。
すなわち、電圧を印加する前(酸化還元反応が進行する前)は、図2(a)に示すように、長い分子が伸びた状態で存在している。そこへ電圧を印加すると、図2(b)に示すように、ユニットAを軸に回転し、隣接するユニットB同士が酸化還元反応により結合し、さらに、液晶性のユニットCが配向することにより、長い分子が折りたたまれた状態となる。このため、変位の度合いを大きなものとすることができる。
エレクトロクロミック材料中における刺激応答性化合物の含有率は、10質量%以上50質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上20質量%以下であるのがより好ましい。
<液晶ポリマー>
本発明のエレクトロクロミック材料は、上述したような液晶性を有する官能基を備えた刺激応答性化合物に加えて、架橋剤により架橋された液晶ポリマーを含むものである。すなわち、架橋構造を有する液晶ポリマーを含んでいる。
液晶性を有する官能基を備えた刺激応答性化合物とともに、液晶ポリマーを含むことにより、刺激応答性化合物の酸化還元反応による、液晶性を有する官能基(ユニットC)の配向の変化に伴い、液晶ポリマーの配向も変化することとなり、エレクトロクロミック材料全体としての変形を、その度合いが大きく、かつ、応答速度の速いものとすることができる。すなわち、エレクトロクロミック材料は、高速応答性に優れ、色調の変化の度合いが大きいものとなる。また、架橋剤により架橋した液晶ポリマーを含むことにより、エレクトロクロミック材料を固体化することができる。すなわち、架橋構造を備えた液晶ポリマーを含むことにより、その分子内に刺激応答性化合物を取り込み、エレクトロクロミック材料を固体化することができる。また、架橋構造を有することにより、エレクトロクロミック材料は適度な弾性を有するものとなる。
液晶ポリマーは、液晶性を有する官能基を備えたモノマーを重合させ、架橋剤により架橋されたものである。
液晶性を有する官能基としては、複数の環構造を有する基、例えば、複数のフェニル基をエステル基で連結したもの、ベンゼン環若しくはシクロヘキサン環が直接連結したものが挙げられる。
なお、液晶ポリマーは、その分子内に、上述した刺激応答性化合物の前記液晶性を有する官能基と同じ官能基を有しているのが好ましい。これにより、エレクトロクロミック材料の応答速度をより効果的に向上させることができるとともに、エレクトロクロミック材料全体の変位を効率よく増幅することができる。
モノマーとしては、例えば、液晶性を有する官能基とアクリル基とを備えたモノマー、液晶性を有する官能基とメタクリル基とを備えたモノマー等を挙げることができる。
このようなモノマーとしては、例えば、下記式(6)または(7)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0005853756
(式(6)、(7)中、nは6以上の整数、Rは炭素数が1以上のアルキル基を示す。)
このようなモノマーを用いることにより、エレクトロクロミック材料は、より速くかつより円滑に変形(変位)が可能となり、さらに低電圧で駆動するものとなる。
また、架橋剤としては、上記モノマーで形成されるポリマーを架橋し得るものであれば、特に限定されず、いかなるものを用いてもよいが、下記式(8)で示す架橋剤を用いることにより、液晶ポリマーの分子中に刺激応答性化合物をより容易に取り込むことができ、より確実にエレクトロクロミック材料を固体化することができる。
Figure 0005853756
(式(8)中、mは4以上の整数を示す。)
架橋剤としては、具体的には、例えば、ビスアクリロイルオキシヘキサン、N,N−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート等を挙げることができる。
液晶ポリマーは、液晶性官能基を有するモノマー100molに対して、架橋剤を1mol以上10mol以下添加して架橋したものであるのが好ましい。これにより、エレクトロクロミック材料の成膜性をより効率よく向上させることができる。
液晶ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、10000以上100000以下であるのが好ましく、10000以上50000以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような刺激応答性化合物と液晶ポリマーとを含むことによる本発明の効果が、より顕著に発揮される。
エレクトロクロミック材料中における液晶ポリマーの含有率は、90質量%以上95質量%以下であるのが好ましい。これにより、上述したような刺激応答性化合物と液晶ポリマーとを含むことによる本発明の効果が、より顕著に発揮される。
<電解質>
また、本発明のエレクトロクロミック材料は、電解質を含むものであってもよい。これにより、刺激応答性化合物への電荷の受け渡しをより速やかに進行させることができ、エレクトロクロミック材料の高速応答性を特に優れたものとすることができる。
電解質としては、各種酸、塩基、塩を用いることができるが、塩を用いるのが好ましい。これにより、エレクトロクロミック材料の耐久性を特に優れたものとすることができる。電解質の塩としては、例えば、過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の無機塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロホウ素等の有機塩等を用いることができる。
エレクトロクロミック材料中における電解質の含有率は、0.1質量%以上10質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上2質量%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
<溶媒>
また、本発明のエレクトロクロミック材料は、溶媒を含むものであってもよい。溶媒が上記液晶ポリマーの分子内に取り込まれると、エレクトロクロミック材料がゲル化するため、容易に固形化することができるとともに、エレクトロクロミック材料の取り扱い性を向上させることができる。
溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン等の有機溶媒を挙げることができる。
エレクトロクロミック材料中における溶媒の含有率は、1質量%以上50質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上30質量%以下であるのがより好ましい。これにより、エレクトロクロミック材料の取り扱い性をより高いものとすることができる。
また、本発明のエレクトロクロミック材料は、上述した以外の成分を含むものであってもよい。
上述したようなエレクトロクロミック材料は、軟化する温度で加熱した後に、延伸処理を施すことにより、調光機能を備えた位相差フィルム(光学素子)を形成することができる。
また、上記のようなエレクトロクロミック材料をカラーフィルター(光学素子)の色相に添加した場合、電圧の印加によって色調の変化させることが可能なカラーフィルター(光学素子)を提供することができる。
また、露光機器のフォトマスク(光学素子)としてエレクトロクロミック材料を利用した場合、露光の光量を容易に調整することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、刺激応答性化合物が、ユニットAと、第1のユニットBと第2のユニットBと第1のユニットCと第2のユニットCとを含むものである場合について中心的に説明したが、本発明において刺激応答性化合物は、液晶性を有する官能基を有し、酸化還元反応により、分子構造が変わるものであればよく、上記の各ユニットを全て備えたものに限定されない。
また、例えば、高速応答性を要求されない用途へも本発明の技術は適用が可能である。刺激応答性化合物は、酸化還元反応によりマクロな変形をすることが知られているが、その変形の状態を色調の変化によりモニタリングする等の実施形態も、本願の好適な実施形態である。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
[1]刺激応答性化合物の製造
[ユニットAおよびBの合成]
ブロモチオフェンを原料として亜鉛、ニッケルの触媒を用いた2量化、臭素化を行い、DMFによるアルデヒド基の導入(ホルミル化)を行った。
次に、アルデヒド基の保護を行い、ブチルリチウムと水により臭素を水素に変換した。その後ベンゼンジチオールのメタ位を臭素化した。
次に、脱保護を行い、酸触媒存在下、ベンゼンジチオールと反応させ2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)で処理し、4フッ化ホウ素を加え、ユニットAとユニットBが結合した化合物(下記式(9))を得た。
Figure 0005853756
[ユニットCの合成]
まず、ヒドロキシ安息香酸とアルキレンハライドとを反応させた。
その後、ジヒドロキシビフェニルと、上記ヒドロキシ安息香酸と、ヒドロキノンとのエステル化を行い、ユニットCとなる化合物を得た。
[刺激応答性化合物の製造]
ユニットAとユニットBが結合した化合物と、ユニットCとなる化合物とを、塩基存在下でのエーテル化することにより刺激応答性化合物を得た。
[2]液晶ポリマーの製造
[モノマーの合成]
1−(8−ヒドロキシオクチル−1−オキシ)−4−[2,3−ジフルオロ-4-(4−ブトキシフェニル)フェニル]ベンゼン(下記式(10))とトリエチルアミンをTHFに溶解し、0℃に冷却し、アクリロイルクロリドを滴下した。4時間撹拌後、水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して濃縮した。カラムクロマトグラフィーで精製し、目的化合物を得た。
Figure 0005853756
以上のようにして、上記式(6)(n=8)で表されるモノマーを得た。
[液晶ポリマーの製造]
上記モノマー:100質量部と、架橋剤としてのビスアクリロイルオキシヘキサン:10質量部と、開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル:1質量部とをシュレンク管に入れ、トルエンに溶解させ、凍結脱気を3回行い、溶媒中の溶存酸素を除去する。窒素雰囲気下で95℃で26時間撹拌した。溶液を冷却後、溶媒を留去したあと、最少量のテトラヒドロフランに溶解させ、アセトン中に滴下し、析出した沈殿をろ過して真空乾燥させた。
これを100μmのポリイミドテープをスペーサーとした基板上にのせ、160℃で圧着して液晶ポリマーを得た。
[3]エレクトロクロミック材料の製造
上記のようにして得られた刺激応答性化合物と、液晶ポリマーと、電解質としてのテトラブチルアンモニウムテトラフルオロホウ素と、溶媒としてのトルエンとを混合し、ゲル化させることによりエレクトロクロミック材料を得た。
(実施例2)
モノマーとして、上記式(7)(n=8)で表されるモノマーを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてエレクトロクロミック材料を製造した。
(実施例3)
架橋剤として、ビスアクリロイルオキシヘキサンの代わりにN,N−メチレンビスアクリルアミドを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてエレクトロクロミック材料を製造した。
(実施例4)
架橋剤として、ビスアクリロイルオキシヘキサンの代わりにエチレングリコールジメタクリレートを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてエレクトロクロミック材料を製造した。
(比較例1)
エレクトロクロミック材料として、アントラキノン系色素を用いた。
(比較例2)
架橋剤を添加せず合成した液晶ポリマーを用いた以外は前記実施例1と同様にして、エレクトロクロミック材料を製造した。
(応答性の評価)
評価は、各実施例および比較例のエレクトロクロミック材料に電圧5Vを加え、色調の変化を目視にて観測した。
その結果、本発明のエレクトロクロミック材料は、比較例のものに比べて、色調の変化が生じるのが速かった。
また、実施例1で製造したエレクトロクロミック材料の電圧を0Vから1.35Vまで引き上げていった時の、光吸収スペクトルを図3に示した。また、電圧を0.3Vから−0.1Vまで引き下げていった時の、光吸収スペクトルを図4に示した。図3から解るように、電圧を0Vから上げていくと環化体が酸化されてカチオン体となり440nmの吸収が増加し、発色することが解る。また、図4から解るように、電圧を0.3Vから−0.1Vに下げていくとカチオン体が還元されて環化体となり、440nmの吸収が消失し、退色することが解る。
A…ユニットA B…ユニットB C…ユニットC D…ユニットD

Claims (10)

  1. 液晶性を有する官能基を有し、酸化還元反応により、分子構造が変わる刺激応答性化合物と、
    架橋剤により架橋された液晶ポリマーと、を含み、
    前記酸化還元反応よって色調が変化することを特徴とするエレクトロクロミック材料。
  2. 酸化反応により発色し、還元反応により当該色が退色する請求項1に記載のエレクトロクロミック材料。
  3. 前記液晶ポリマーは、液晶性官能基を有するモノマー100molに対して、架橋剤を1mol以上10mol以下添加して架橋したものである請求項1または2に記載のエレクトロクロミック材料。
  4. 前記液晶ポリマーは、その分子内に、前記刺激応答性化合物の前記液晶性を有する官能基と同じ官能基を有している請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック材料。
  5. 溶媒と電解質とを含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック材料。
  6. 前記刺激応答性化合物は、回転軸として機能する結合を有するユニットAと、
    前記ユニットAの第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
    前記ユニットAの第2の結合部位に配置された第2のユニットBと、
    第1のユニットCと、
    第2のユニットCと、を含むものであり、
    前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとが酸化還元反応によって結合し、
    前記第1のユニットCおよび前記第2のユニットCが前記液晶性を有する官能基である請求項1ないし5のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック材料。
  7. 前記ユニットAは、下記式(1)、下記式(2)、下記式(3)からなる群から選択される1種である請求項6に記載のエレクトロクロミック材料。
    Figure 0005853756
  8. 前記第1のユニットBおよび前記第2のユニットBは、下記式(4)で表される基である請求項6または7に記載のエレクトロクロミック材料。
    Figure 0005853756
  9. 前記液晶性を有する官能基は、複数の環構造を有し、
    前記複数の環構造のうちの1つの環構造にハロゲン原子が1つ以上結合している請求項1ないし8のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック材料。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック材料を用いて製造されたことを特徴とする光学素子。
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