JP5853658B2 - 感光体・プロセスカートリッジ・画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、感光体、これを用いたプロセスカートリッジならびに電子写真方式の画像形成装置に関する。
一般的に、電子写真方式によると、光導電性物質等の像担持体上に静電荷による潜像を形成し、この静電潜像に対して帯電したトナーを付着させて可視像を形成し、形成されたトナー可視像を最終的に紙等の記録媒体に転写後、熱、圧力や溶剤気体等によって転写媒体に定着して出力画像を形成している。
このような画像形成では、可視像化のためのトナーを帯電させる方法により、トナーとキャリアの攪拌及び混合による摩擦帯電を用いる二成分現像方式と、キャリアを用いずトナーへの電荷付与を行う一成分現像方式とに大別される。この一成分現像方式では、更に、現像ローラへのトナーの保持に磁気力を使用するか否かにより、磁性一成分現像方式、非磁性一成分現像方式に分類される。
これまで、高速性及び画像再現性を要求される複写機、又は複写機をベースとした複合機等では、トナーの帯電安定性、立ち上がり性、画像品質の長期的安定性等の要求から、二成分現像方式が多く採用されている。一方、省スペース性、低コスト化等の要求が大きい、小型のプリンタ、ファクシミリ等には、一成分現像方式が多く採用されている。
昨今、いずれの現像方式においても、出力画像のカラー化が進み、画像の高画質化や画像品質の安定化に対する要求は、これまでにも増して強くなっている。このような高画質化を図るため、トナーの平均粒径は小さくなり、その粒子形状は角張った部分がなくなり、トナーはより丸い形状になってきている。
また、電子写真方式の画像形成装置は、現像方式の違いによらず、一般的に、ドラム形状やベルト形状をした像担持体を回転させつつ一様に帯電し、レーザー光等により像担持体上に潜像パターンを形成し、該潜像パターンをトナーで可視像(トナー像)化して、記録媒体上に転写を行っている。そして、記録媒体へトナー像を転写した後の像担持体上には、転写されなかったトナー成分が残存する。これらの残存物が、そのまま帯電工程に搬送されると、像担持体の均等な帯電を阻害するため、必要に応じて、転写工程を経た後に、像担持体上に残存するトナー等を、クリーニングブレード等のクリーニング手段にて除去し、像担持体表面を十分に清浄な状態とした上で、帯電が行われる。
また、像担持体に用いる感光層としては、一般的に、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光層と、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光層に大別される。
市場では、物質自体の安全性や、製造の容易さ、コストの面から、有機感光層を用いた像担持体が多く使用されている。
この有機感光層を用いた像担持体は、通常、それぞれ機能の異なる複数の層を、導電性円筒等の基体表面に、塗布・乾燥を必要な層の数だけ繰り返して、順次、層を形成して作成する。
特に近年は、市場におけるコスト低減や環境意識の高まりから、感光体を含む作像システムの長寿命化に対する要求が大きくなっている。
そのため、これまでにも、感光体の長寿命化を図るため、感光体としての特性を維持しつつ、その表面の機械的耐久性を向上するための試みが材料面や構成面で数多く行われてきている。
例えば特許文献1(特開2004−302451号公報)では、材料面での工夫として、架橋構造を有する特定の表面層を像担持体表面に設けることにより、機械的な耐久性を向上させている。
また、特許文献2(特開平9−190004号公報)では、別の材料面での工夫として、有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化することによって得られる樹脂による表面層を像担持体表面に設けることにより、機械的な耐久性を向上させている。
他の無機表面被覆層による感光体の高耐久化の工夫として特許文献3(特開2006−267507号公報)では、ガリウム系の化合物で表面被覆層を形成することにより、感光体の耐久性が向上し、また感光体表面へ放電生成物が付着しづらくなっている。
他方、特許文献4(特開平1−170951号公報)では、感光体表面の構成面の工夫として、保護層に高硬度粒子を含有させることにより、保護層中の高硬度粒子の作用により、保護層表面の硬度が増し、特にクリーニングブレード、紙粉とりローラ等との当接に対して効果的に保護層の減耗、削れを防止でき、特に耐刷性が著しく向上するとしている。
この他にも、感光体を含む作像システムの構成の工夫として、感光体表面に表面保護剤の供給を行い、感光体寿命を延ばす検討も数多く行われている。
一方、均一で緻密な表面コートを行うための方法として、CVD法(ケミカルベイパーデポジション法)が知られ、無機被膜、有機被膜ともに、さまざまな材料開発が行われている。
近年、半導体基板の絶縁処理等を目的として、パリレン(パラキシリレン樹脂)系の材料開発が進み、例えば、特許文献5の特許第3595094号公報等では、耐熱性を備えた材料の被膜も開発されてきている。しかしながら、これらの耐熱性被膜を、感光体表層のように、帯電によるハザードが繰り返し加わり、かつ、露光による電位減衰を必要とする部材に用いた場合の耐久性能や機能の維持については、これまでに全く検討されず未知であった。優れた耐久性の表面保護材料として例えば、テフロン(登録商標)に代表されるフッ素樹脂や、ポリイミド樹脂が多くの分野で知られ使われているが、これら材料は一般的に「焼付け」と称する数百度の加熱下での塗装処理により設けられるものである。しかし、有機材料感光体は、無機材料感光体と異なり、硬度や機械的強度のみならず耐熱性にも劣る場合が多いので、有機材料感光体に保護層を設けるためそのような高温に曝すと、感光体自体の変質、性能劣化を齎す危険性がある。つまり、弱い感光体には高強度の表面保護層が必要であるが焼付塗装を施すことが適当でなくできず、焼付塗装処理に対する耐久性がより強い無機感光体には表面保護層を設ける必要性がより少ないという一見矛盾した現実があると云えるので、この問題を避け得る技術の開発が好ましいと思われるが、そのような特定技術は現在まで提案されていない。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、電子写真方式による画像形成装置に用いる感光体において、電子写真感光体、特に有機感光体の電子写真特性の損傷劣化を招くことなく、感光体表面に高強度の薄い被覆層を簡便かつ精度良く形成し、電気的及び機械的耐久性が高く、長期間にわたって安定して静電潜像の形成を行うことができる感光体を提供することを目的とする。また本発明は、該感光体を用いることにより、高い画像品質を長期間維持できるプロセスカートリッジ並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
上述したように、画像形成装置では、一定の画像品質を長期間にわたって安定して得ることが重要であるが、そのためには感光体上に静電潜像を安定して形成し、その経時変化を極力小さくすることが必要となる。
そこで本発明者らは、感光体の最表面層について、上記課題を解決するための検討を続けてきた結果、特定材料を感光体表面で直接重合して被覆層を形成し、該被覆層を一定厚み以下に設けることにより、被覆層形成前の感光体表面との密着性に優れ、被覆層表面の機械的強度が高く、露光による潜像形成が十分に制御された、感光体を再現性良く実現でき、長期間にわたり感光体としての性能維持が実現できることを確認するに至り、本発明を完成した。
即ち、上記課題を解決するために本発明に係る「電子写真感光体」、「電子写真感光体の製造方法」、「プロセスカートリッジ」及び「画像形成装置」は、具体的には下記(1)〜(12)に記載の技術的特徴を有する。
(1)「少なくとも支持体上に感光層を有し、該感光層表面に表面被覆層を形成した感光体において、該表面被覆層が化学式(1)で表されるポリ−α,α,α’,α’−テトラフルオロ−パラキシリレンを含有し、該表面層の厚さが0.1乃至5μmであることを特徴とする電子写真感光体;
(ここで、nは正の整数を表わす。)」。
(2)「該表面被覆層が、電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記(1)項に記載の電子写真感光体」。
(3)「該感光層が、少なくとも、電荷発生層上に熱可塑性樹脂を含む電荷輸送層を積層した有機感光層であることを特徴とする前記(1)項または(2)項に記載の電子写真感光体」。
(4)「該表面被覆層形成後の感光体を前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度で熱保存処理(アニール処理)されたものであることを特徴とする前記(3)項に記載の電子写真感光体」。
(5)「少なくとも減圧下で加熱して昇華させた化学式(2)の化合物を、熱分解し反応性モノマーまたは熱ラジカルを生成し、生成した反応性モノマーまたは熱ラジカルを感光層と接触させ感光層表面で化学式(1)で表されるポリ−α,α,α’,α’−テトラフルオロ−パラキシリレンを含有する表面被覆層を重合することにより得られたものであることを特徴とする前記(1)項乃至(4)のいずれかに記載の電子写真感光体;
(ここで、nは正の整数を表わす。)
(6)「前記化学式(2)の化合物を昇華させた際の制御圧力及び制御温度をP1(Pa)、T1(℃)とし、昇華した化学式(2)の化合物を更に加熱して熱分解し反応性モノマーまたは熱ラジカルを生成させた際の制御圧力及び制御温度をP2(Pa)、T2(℃)とし、生成した反応性モノマーまたは熱ラジカルを感光層と接触させ感光層表面で化学式(1)で表されるポリ−α,α,α’,α’−テトラフルオロ−パラキシリレンを含有する表面被覆層を重合する工程における、制御圧力及び制御温度をP3(Pa)、T3(℃)としたとき、
P3<P2<P1、かつ、T3<T1<T2・・・状態式(1);
であることを特徴とする前記(5)項に記載の電子写真感光体」。
(7)「少なくとも電子写真感光体、該感光体を帯電する帯電手段と、該感光体上の残存トナーをクリーニングするクリーニング手段を有するプロセスカートリッジにおいて、該感光体が、前記(1)項乃至(6)項のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ」。
(8)「少なくとも電子写真感光体と、該感光体を帯電する帯電手段と、感光体上に静電潜像を形成するための書き込み手段と、トナーにより静電潜像を可視像化する現像手段と、感光体上のトナー可視像を、中間転写媒体を介してまたは介さずに、記録媒体上へ転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着固定化する定着手段とを有する画像形成装置において、上記感光体が、前記(1)項乃至(6)項のいずれかに記載の感光体であることを特徴とする画像形成装置」。
(9)「少なくともプロセスカートリッジと、電子写真感光体上に静電潜像を形成するための書き込み手段と、トナーにより静電潜像を可視像化する現像手段と、感光体上のトナー可視像を、中間転写媒体を介してまたは介さずに、記録媒体上へ転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着固定化する定着手段とを有する画像形成装置において、上記プロセスカートリッジが、前記(7)項に記載のプロセスカートリッジであることを特徴とする画像形成装置」。
(10)「画像形成装置が、更に可視像化したトナー像を像担持媒体に転写後、帯電手段に至るまでの間に、感光体の少なくとも像形成領域の全幅を露光する露光手段を有することを特徴とする、前記(8)項または(9)項のいずれかに記載の画像形成装置」。
(11)「少なくとも支持体上に感光層を有し、該感光層表面に表面被覆層を形成した感光体において、該表面被覆層が化学式(1)を含有し、該表面層の厚さが0.1乃至5μmであることを特徴とする感光体の製造方法において、
少なくとも化学式(2)の化合物を減圧下で加熱して昇華する工程、昇華した化学式(2)の化合物を更に加熱して熱分解し反応性モノマーまたは熱ラジカルを生成する工程、生成した反応性モノマーまたは熱ラジカルを感光層と接触させ感光層表面で化学式(1)で表されるポリ−α,α,α’,α’−テトラフルオロ−パラキシリレンを含有する表面被覆層を重合する工程を、この順で含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法」。
(ここで、nは正の整数を表わす。)
(12)「少なくとも前記化学式(2)の化合物を減圧下で加熱して昇華する工程における、制御圧力及び制御温度をP1(Pa)、T1(℃)、昇華した化学式(2)を更に加熱して熱分解し反応性モノマーまたは熱ラジカルを生成する工程における、制御圧力及び制御温度をP2(Pa)、T2(℃)、生成した反応性モノマーまたは熱ラジカルを感光層と接触させ感光層表面で化学式(1)を含有する表面被覆層を重合する工程における、制御圧力及び制御温度をP3(Pa)、T3(℃)としたとき、
P3<P2<P1、かつ、T3<T1<T2・・・状態式(1);
であることを特徴とする前記(11)項に記載の電子写真感光体の製造方法」。
以下の詳細かつ具体的な説明からよく理解されるように、本発明の感光体、作像装置、画像形成装置によれば、感光体上に画像乱れのない静電潜像を形成することができ、且つ、その画像品質を長期間維持することができる。
すなわち、本発明によれば、帯電時のハザードに対する耐久性に優れ、かつ、高強度な表面被覆層を極めて薄膜で実現できるため、露光による十分な電位の減衰が可能となり、感光体上への静電潜像の形成を阻害することなく、長期間にわたって安定した潜像形成を行うことができる。
また、表面被覆層が、電荷輸送物質を含有することにより、表面保護層内を確実に電荷輸送させることができ、より安定した静電潜像の形成ができるため、画像品質を向上させることができる。また、感光体上に形成したトナー像を転写後に、感光体に残留した電荷を全面露光等の除電手段によって容易に除去できる。
さらに、感光層が置かれる蒸着の際の温度(T3)及び圧力(P3)は、反応性モノマー又は熱ラジカルの生成温度(T2)や、原材料の昇華温度(T1)に比し非常に低くてよい。また、感光層が、少なくとも、電荷発生層上に熱可塑性樹脂を含む電荷輸送層を積層した感光層の有機電子写真感光体であるである場合には、基体が導電性であるため、連続使用時でも帯電部材に電荷の蓄積が生じることなく、本発明の効果をより確実に実現できる。薄膜形成法の1つとしての真空蒸着法(熱蒸着法)は、イオンビームスパッタ法やマグネトロン加速法を含むスパッタリング法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等の他の方法に比し、より温和な条件で薄膜形成できるが、フラシッシュ蒸着法、アーク蒸着法、レーザ加熱法、電子ビーム加熱法、分子エピタキシー(MBE)法等を含む真空蒸着法のうちでも最も温和な方法である抵抗加熱蒸着法でも、極めて薄くかつ高耐久性の表面被覆層を、感光体の電子写真特性の損傷劣化を招くことなく、形成することができる(知られているように、1eVに相当する感光体表面の衝撃は、エネルギーでは1.60×10−19J(=×10−12erg)、電磁波の波長で1.24×10−6m(=×10−4cm)、周波数では2.42×1014sec−1であるが、温度では1.16×10Kである)。
該表面被覆層形成後の感光体を前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度で熱保存処理(アニール処理)を行う場合には、感光層と表面被覆層界面近傍における電荷輸送物質濃度のギャップが緩和されるため、静電潜像形成過程や除電過程で、よりスムーズに電荷移動が行われるため、安定して高品質な画像を持続的に得ることができ、静電潜像の履歴を消去し、均一に感光体の帯電を行うことができるため、より画像品質が高い安定した画像を長期間にわたって提供することができる。
さらに、本発明の前記「感光体の製造方法」によれば、極めて薄くかつ高耐久性の表面被覆層を、感光体の電子写真特性の損傷劣化を招くことなく、比較的容易に形成することができ、下層に対して影響を与えない程度の温和な条件(前記蒸着の際の低い温度(T3)及び圧力(P3)参照)で安定して製造することができ、生産性を上げられるため、感光体のコストを低減することができる。
また、本発明に上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジにおいては、上記本発明の効果を確実に実現できる。
また、本発明に上記電子写真感光体又はプロセスカートリッジを用いた画像形成装置によれば、上記感光体を用いているため、安定した画像を長期間にわたって提供することができる。
画像形成装置の全体図を示した図。 プロセスカートリッジを示した図。 感光体の層構成を拡大して示した部分図。 表面被覆層を生成するための製造装置概念図。
[用語の説明]
実施例の説明の前に、用語の説明を行う。本明細書における「画像形成装置」とは例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機などである。
また、「記録媒体」は、例えば、紙、糸、繊維、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなどの媒体である。以下では、記録媒体を用紙として説明する。
「画像形成」とは、文字や図形、パターンなどの画像を記録媒体に付与すること、着色または非着色の粉体(例えば、トナー)により静電潜像を可視像化し、必要により中間転写媒体を介して、これを記録媒体に転写して定着することを意味する。
また、「着色または非着色の粉体」とは、単一の樹脂粉末、複合粉末、単一または複数の色材、樹脂と色材の複合物やこれにワックス成分や無機材料を加えた粉末、これらを高次に形態制御した機能粉末を始めとするトナーなど、画像形成を行うことができる全ての粉体の総称として用い、例えば、光沢抑制粉体、光沢付与粉体、焼付け粉体、発泡性粉体なども含まれる。以下では、粉体をトナーとして説明する。
「プロセスカートリッジ」とは、画像形成を行うために必要な構成要素の全部または一部を一体化したものであり、少なくとも、感光体を含む。また、感光体を所定の電位するための帯電、静電潜像を形成するための書き込み、感光体上の静電潜像をトナー像にするための現像、感光体上のトナー像を記録媒体または中間転写媒体上に移すための転写、感光体上のトナー像残分を除去するためのクリーニングを行うために、必要な構成部材の全部または一部を含んでもよい。また、これら各過程の内、必要な過程が実施できるように各部材を配設可能な形態で構成する。
[画像形成装置]
図1に本実施例の画像形成装置(100)の一構成例の断面図を示す。画像形成装置(100)の画像形成部(10)は、像担持体の典型例としての電子写真感光体(1Y)、(1M)、(1C)、(1K)を含む。該像担持体(1Y)、(1M)、(1C)、(1K)は、中間転写ベルト(5)の搬送方向に沿って設けられている。以下では、感光体(1Y)、(1M)、(1C)、(1K)をまとめていう場合は、感光体(1)という。感光体(1Y)、(1M)、(1C)、(1K)は、各色のトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)による画像を担持可能なものであり、光導電層を有する。該画像は、書き込み装置(3)により感光体(1)に対して、書き込まれる。
ドラム状の像担持体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)の周囲には、それぞれ帯電装置(2)、書き込み装置(3)、現像装置(4)、中間転写ベルト(5)、及びクリーニング機構(6)が配置される。
中間転写ベルト(5)は、ローラ(50)、(51)に架け回されている。中間転写ベルト(5)の内側には各像担持体(1)に対応して1次転写手段としての1次転写ローラ(52Y)、(52C)、(52M)、(52K)が配置されている。また、ローラ(51)に対向する位置には、中間転写ベルト(5)上の重ね合わせ画像を記録媒体上に一括転写するための2次転写手段としての2次転写ローラ(53)が配置されている。
[静電潜像形成手段]
前記静電潜像形成手段は、帯電装置(2)を用いて前記感光体(1)を帯電したのち、前記感光体(1)上に静電潜像を形成させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
帯電の方法としては、以下の帯電装置(2)を用いて前記感光体(1)の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電装置(2)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電装置、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電装置、等が挙げられる。中でも、前述の理由から、導電性又は半導電性のロールを像担持体に対して、接触帯電及び近接帯電のいずれかを行う、帯電ローラを有する帯電装置が、好ましい。また、接触帯電及び近接帯電のいずれかの帯電ローラを有する帯電手段を用いる場合には、当接部分で大きな押圧力が加わらないように、軟質の接触帯電ローラの使用や、加圧部材を配設しない帯電手段構成をとる事がより好ましい。
また、前記帯電装置(2)としては、交流成分を有する電圧を印加する電圧印加手段を有するものが好ましい。
前記書き込み装置(3)は、例えば、書き込み露光装置を用いて感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記書き込み露光装置としては、帯電装置(2)により帯電された感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、等の各種書き込み露光装置が挙げられる。
なお、感光体の裏面側から像様に書き込み露光を行う光背面方式を採用してもよい。
[現像手段]
前記現像装置(4)は、前記感光体(1)に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像して可視像を形成する手段であり、現像スリーブと、現像剤攪拌搬送機構を有する。
前記現像スリーブは、現像剤を担持すると共に、前記像担持体との対向位置まで搬送する。
前記感光体と前記現像スリーブとの間には隙間として画成される現像ギャップが形成される。
前記現像ギャップは、現像剤の汲み上げ量や、現像剤を現像スリーブ上へ保持するための磁界の強さ、現像剤中のキャリアの磁化、現像スリーブ回転速度等を考慮の上、略均等の間隙に調整して形成されるため、必ずしも特定できるものではないが、概ね、平均値として0.2〜0.4mm程度であることが好ましい。
前記現像装置としては、これらの構成を有するものであれば、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、現像剤を収容し、静電潜像に現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好ましい。
[現像剤]
前記現像剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、トナーとキャリアからなる二成分現像剤である。
前記トナーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記数式(2)で表される円形度SRの平均値である平均円形度が0.93〜1.00のものが好ましく、0.95〜0.99がより好ましい。
円形度SR=[トナー面積/(トナー周囲長)]×4π 計算式(2)
円形度は、例えばフロー式粒子像分析装置(FPIA−1000、東亜医用電子社製)を用いて測定することができる。
この平均円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
前記トナーの質量平均粒径(D4)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm〜10μmが好ましく、4μm〜8μmがより好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。前記質量平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすいことがあり、10μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しいことがある。
[クリーニング手段]
前記クリーニング装置(6)としては、前記感光体の表面をクリーニングする手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、該手段を実現可能なクリーニング装置を挙げることができ、中でも、前記感光体表面をクリーニングするためのクリーニングブレードを有することが好ましい。
一般に、像担持体のクリーニング方法としては、前記クリーニングブレードを用いた方法のほかに、像担持体上に残存するトナーと逆極性となるように電圧を印加したブラシを用いた、静電クリーニング方式が挙げられる。
[プロセスカートリッジ]
次に、各感光体(1)や現像装置(4)等を一体に構成し、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジとして構成することもできる。
図2に本実施例のプロセスカートリッジ(300)の構成例を示す。但し、識別符号は省略する。
上述した感光体(1)、帯電装置(2)、現像装置(4)、及びクリーニング装置(6)はプロセスカートリッジ(300)内に一体に収容されている。
帯電装置(2)は、この例の画像形成装置では帯電部材としての帯電ローラ(20)を有している。
現像装置(4)は、現像スリーブ(40)と、現像ケーシング内の現像剤を攪拌・搬送して循環させる現像剤攪拌搬送部材(41)、(42)を有している。現像剤攪拌搬送部材(42)の上部には図示しないトナー補給部が設けられている。
クリーニング装置(6)は、感光体(1)の表面にリーディング方向で接触するクリーニングブレード(60)を有している。また、感光体上のトナー像を転写後、クリーニング装置に至るまでの間に、画像形成装置本体に配設した発光素子からの光を感光体の全幅方向に照射して全面露光(クリーニング前露光)させるための導光路を形成する光ガイド部材(9)を有する。
[感光体]
図3に感光体(1)の一例の部分拡大図(概略図)を示す。感光体(1)は、支持体(10)と、下引き層(11)と、感光層(12)と、表面被覆層(13)を含む。
[支持体]
感光体(1)に用いる支持体(10)としては、体積抵抗1.0×1010Ω・cm以下の導電性を示すものが好ましく用いられ、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、プラスチック、強化ガラス等に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどを、押し出し、引き抜きなどの工法でドラム状に素管化後、切削、仕上げ、研摩などの表面処理した管などが挙げられる。画像形成時の位置合わせ精度や、寸法安定性等の面から、支持体(10)は、硬質の円管状または十分な引っ張り強度を持った薄い筒状であることが好ましい。
支持体(10)の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mm〜150mmが好ましく、24mm〜100mmがより好ましく、28mm〜70mmが特に好ましい。前記直径が20mm未満であると、感光体周辺に帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程を配置することが物理的に困難となることがあり、150mmを超えると、画像形成装置(100)が大きくなってしまうことがある。
[下引き層]
前記下引き層(11)としては、特に制限はなく、一層であっても、複数の層で構成してもよく、例えば(i)樹脂を主成分としたもの、(ii)白色顔料と樹脂を主成分としたもの、(iii)導電性支持体表面を化学的又は電気化学的に酸化させた酸化金属膜等が挙げられる。これらの中でも、白色顔料と樹脂を主成分とするものが好ましい。
前記白色顔料としては、特に制限はなく、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられ、これらの中でも、導電性支持体からの電荷の注入防止性が優れる酸化チタンが特に好ましい。
前記樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂;アクリル、フェノール、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記下引き層(11)の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜10μmが好ましく、1μm〜5μmがより好ましい。
[感光層]
前記感光層(12)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、電荷発生物質と電荷輸送物質を混在させた単層型、電荷発生物質を含有する電荷発生層の上に電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する順層型、又は電荷輸送層の上に電荷発生層を有する逆層型が挙げられる。
また、各層には必要に応じて可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。
前記感光層(12)の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜50μmが好ましい。
また、前記下引き層(11)、感光層(12)の合計厚みとしては、20から60μmの範囲を満たすことが好ましい。
これらの関係を満たすと、長期間に渡り均等な可視像の形成を実現できるため、経時変動の小さい安定した画像形成装置を提供することができる。厚みが20μm未満の場合には、感光体としての電気的な均一性を確保することが困難となる事があり、60μmを超える場合であると、静電潜像解像度の低下を引き起こすことがあるため好ましくない。
前記感光層における電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキスアゾ顔料等のアゾ顔料、トリアリールメタン系染料、チアジン系染料、オキサジン系染料、キサンテン系染料、シアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系染料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、インダスロン系顔料、スクアリリウム系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機系顔料又は染料;セレン、セレン−ヒ素、セレン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アモルファスシリコン等の無機材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記感光層における電荷輸送物質としては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、テトラゾール誘導体、メタロセン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチリルヒドラゾン化合物、エナミン化合物、ブタジエン化合物、ジスチリル化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリフェニルメタン誘導体等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記感光層における結着樹脂としては、電気絶縁性であり、それ自体公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂及び光導電性樹脂等を使用することができる。
該結着樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネ−ト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記感光層における酸化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、などが挙げられる。
前記フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類などが挙げられる。
前記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
前記ハイドロキノン類としては、例えば、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
前記有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
前記有機燐化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどが挙げられる。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
前記酸化防止剤の添加量としては、添加する層の総質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましい。
前記感光層における可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100質量部に対して0質量部〜30質量部程度が適当である。
また、前記感光層中にはレベリング剤を添加してもよい。該レベリング剤としては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、又はオリゴマーが使用される。前記レベリング剤の使用量は、前記バインダー樹脂100質量部に対して、0質量部〜1質量部が好ましい。
[表面被覆層]
本発明の感光体(1)について必須の構成要素となる表面被覆層(13)に使用する材質について説明する。表面被覆層(13)に使用する材料としては、下記化学式(1)で示される、メチレンの水素を全てフッ素置換したパラキシリレン(パリレン)の重合体を、含有する。
(ここで、nは正の整数を表わす。)
化学式(1)の高分子材料は、一般的なモノマーの溶液や分散液による重合を行うことはできず、化学式(2)のフッ素置換パラキシリレンダイマーを減圧下で120から180℃に加熱して気化し、気化したダイマーを更に650から700℃程度の高温にして反応性モノマーまたは熱ラジカルとした後に、減圧常温で保持した表面被覆層形成前の感光体の感光層表面に接触させその表面で直接重合して高分子量化することにより堆積して表面被覆層(13)を形成する。
表面被覆層(13)の厚さは、モノマー流量と時間によって制御することができ、表面被覆層形成後の感光体の表面電気抵抗が高くなりすぎないようにするには0.1乃至5μmの範囲とすれば良く、1乃至3μmとすることがより好ましい。
表面被覆層(13)の厚さが0.1μmを下回っても感光体の表面電気抵抗は高くなることはないが、帯電、現像、転写、必要によりクリーニングが、繰り返し行われる過程で、表面被覆層の電気的または機械的なストレスによる磨耗を十分に抑制できないため、長期間使用する上で実用的ではない。
一方、表面被覆層(13)の厚さが5μmを上回ると、感光体の表面電気抵抗が高くなり、帯電過程で感光体表面に載った電荷を、書き込み過程での露光で十分に減衰させられない場合があるため、画像品質を維持する上で実用的ではない。また、表面被覆層を形成するための工程に時間を要するため、製造コストが高くなってしまうことがある。
また、表面被覆層は薄い厚みであれば、電荷輸送能力を有していなくても支障はないが、電荷輸送能力を有しない表面被覆層を厚く形成すると、感光体の感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇を引き起こしやすいため、表面被覆層中に前述の電荷輸送物質を含有させものを用いることが好ましい。
表面被覆層に電荷輸送能力を持たせる方法としては、例えば感光層に用いられる上述の電荷輸送物質のうち、減圧下で過熱した時に昇華性を有する電荷輸送材料を、表面被覆層形成過程で同時に被覆層中に導入すればよい。
[画像形成プロセス]
画像形成のための一連のプロセスについて、ネガ−ポジプロセスで説明を行なう。なお、全ての感光体、現像装置に共通する内容の場合には感光体を単に符号(1)で示し、現像装置を符号(4)で示す。
光導電層を有する感光体(1)は、除電ランプ(図示せず)等で除電され、後述する帯電部材を有する帯電装置(2)で均一にマイナスに帯電される。
帯電装置(2)による感光体(1)の帯電が行われる際には、後述する電圧印加装置から上記帯電部材に、感光体1を所望の電位に帯電させるに適した適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧を重畳した帯電電圧が印加される。
帯電された感光体(1)は、レーザー光学系等の書き込み装置(3)によって照射されるレーザー光(L)で潜像形成(露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行なわれる。
レーザー光は半導体レーザーから発せられて、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴンミラー)等により感光体(1)の表面を、感光体(1)の回転軸方向に走査する。
このようにして形成された静電潜像が、現像装置4にある現像剤担持体としての現像スリーブ(40)上に供給されたトナー粒子、又はトナー粒子及びキャリア粒子の混合物からなる現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。
静電潜像の現像時には、上記電圧印加装置から上記現像スリーブに、感光体(1)の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
各色に対応した感光体(1Y)、(1C)、(1M)、(1K)上に形成されたトナー像は、1次転写手段としての1次転写ローラ(52Y)、(52C)、(52M)、(52K)により中間転写ベルト(5)上に順次重ねて転写される。このとき、1次転写ローラ(52)には、転写バイアスとしてトナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後、中間転写ベルト(5)は感光体(1)から分離され、転写像が得られる。
中間転写ベルト(5)上に転写された重ね合わせトナー像は、給紙装置(200)から給送された紙などの記録媒体上に2次転写ローラ(53)により一括転写される。
給紙装置(200)の選択された給紙カセットから給紙された記録媒体はレジストローラ対で一旦停止されて斜めずれを修正された後、2次転写ローラ(53)の2次転写部位へ所定のタイミングで搬送される。
重ね合わせ画像を一括転写された記録媒体は、定着装置(7)に送られてここで熱と圧力によりトナー像を定着される。定着を終えた記録媒体は排紙ローラ対により排紙トレイ(8)に排出・スタックされる。
1次転写後感光体(1)上に残存するトナー粒子は、クリーニング装置(6)により除去・回収され、2次転写後中間転写ベルト(5)上に残存するトナー粒子は中間転写ベルト用クリーニング装置により除去・回収される。
本実施形態では、画像形成装置として、中間転写ベルト(5)を用いて2次転写する構成としたが、記録媒体を搬送ベルトで搬送しながら複数の感光体(1)のトナー像を順次記録媒体上に重ね転写する構成としてもよい。
[評価結果]
次に、評価結果について説明する。後述の表1に、評価結果を示す。まず、表1の記載について説明する。
表1における感光層厚さには、下引き層の厚さも含まれる。感光層厚さ(下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層の合計)は、渦電流式の膜厚測定器(万能型膜厚計 LZ−200 (株)ケット科学研究所製、LHP−20(NFe)型プローブ)を用いて、像担持体回転軸方向に沿って10箇所測定して平均した。
表面被覆層の厚さは、表面被覆層を形成した感光体の試料片断面のSEM(走査電子顕微鏡)観察像を計測して求めた。
初期画像品質とは、大略、1〜4枚目の用紙に形成された画像の品質をいう。200000枚後画像品質は、200000枚目の用紙に形成された画像の品質をいう。また、画像の品質については、ドットの均一性を、目視または25倍のルーペで観察して、評価したものである。また、A4版テキストチャートを用紙に形成された初期画像の品質をいう。また、200000枚後画像品質は、画素密度5%のA4版テキストチャートを200000枚通紙後に、再度行い、安定性を確認した画像の品質である。
目視2by2とは、600dpi、画素密度25%の、2by2全面トーンのA4版の用紙に、形成された画像を目視したものである。ここで、画素密度25%の、2by2全面トーンとは、4×4画素で形成される方形領域において、2×2画素分の方形の画像領域、該方形の画像領域以外を非画像領域として、これを全面に亘り画像形成することで、4/16=25%の画素密度の画像を形成することである。
目視ベタとは、画素密度100%の、全面ベタに形成された画像を目視したものである。全面ベタ画像とは、画素密度100%で、全面に形成された画像をいう。
目視白紙とは、画素密度0%の、画像が形成されていない白紙を目視したものである。
拡大2by2とは、画素密度25%の、2by2全面トーンのA4版の用紙に、形成された画像を25倍のルーペで拡大して目視したものである。
また、表1中の◎等について説明する。
≪目視2by2画像≫
◎:極めて優れている(全面にわたってムラが感知できないレベル)
○:実用上問題ないレベル(◎と並べて見るとわずかにムラが感知できるレベル)
△:実用上許容できるレベル(◎と並べて見るとムラが感知できるレベル)
×:使用不可(単独で明らかにムラが感知できる)
≪目視ベタ≫
◎:極めて優れている(全面にわたってムラが感知できないレベル)
○:実用上問題ないレベル(◎と並べて見るとわずかにムラが感知できるレベル)
△:実用上許容できるレベル(◎と並べて見るとムラが感知できるレベル)
×:使用不可(単独で明らかにムラが感知できる)
≪目視白紙≫
◎:極めて優れている(全面にわたって異常な細線が感知できないレベル)
○:実用上問題ないレベル(◎と並べるとわずかに汚れが感知できるレベル)
△:実用上許容できるレベル(◎と並べて見ると汚れが感知できるレベル)
×:使用不可(単独で明らかに汚れが感知できる)
≪拡大2by2≫
◎:極めて優れている(ドットが非常にそろっている;Rrが0.9以上)
○:実用上問題ないレベル(視野毎のドットの大きさに差異がある場所が少数ある;Rrが0.8以上0.9未満)
△:実用上許容できるレベル(視野毎のドットの大きさに差異がある場所がある;Rrが0.6以上0.8未満)
×:使用不可(複数領域のドットの大きさが明らかに異なる;Rrが0.6未満)
次に、実施例1〜実施例20の詳細について以下に説明する。以下の説明中「部」及び「%」は、別段の断りない限り「重量部」及び「重量%」を表わす。
[実施例1]
<表面被覆層を有しない感光体の作成>
導電性円筒状支持体として、外径40mm、肉厚0.8mmのアルミニウムシリンダーを用いた。このアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、浸漬塗布、乾燥を繰り返すことにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、約30μmの電荷輸送層を形成して、感光体1を得た。
〔下引き層用塗工液〕
下記組成の下引き層用塗工液を前記アルミニウムシリンダー上に浸漬塗布した後、120℃で25分間加熱乾燥して、3.5μmの下引き層を形成した。
−下引き層用塗工液組成−
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業社製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業社製)
酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 40部
メチルエチルケトン 200部
〔電荷発生層用塗工液〕
下記組成の電荷発生層用塗工液を前記下引き層上に浸漬塗布した後、120℃で20分間加熱乾燥して、0.2μmの電荷発生層を形成した。
−電荷発生層用塗工液組成−
オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
(特開2009−007271号公報の段落「0029」、図3に記載のものと同じオキソチタニウムフタロシアニン顔料)
ポリビニルブチラール 0.2部
(エスレックBM−S、積水化学工業(株)製)
テトラヒドロフラン 50部
〔電荷輸送層用塗工液〕
下記組成の電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗布した後、135℃で20分間加熱乾燥して、電荷輸送層を形成した。浸漬塗布工程では、引き上げ速度及び周辺雰囲気調整し、塗工液の付着量が均等になるようにした。
−電荷輸送層用塗工液組成−
下記構造式で表される電荷輸送物質(D−1) 10部
ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050:帝人化成社製)
シリコーンオイル 0.002部
(KF−50、信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン 100部
続いて、得られた感光体1の感光層厚さは30.0±0.2μmの範囲であった。
これにより、本発明の比較対象の一つとなる、表面被覆層を有しない感光体を得た。
この感光体1の両端にフランジを設けた。
<プロセスカートリッジの作成>
リコー製、imagio MP C4500の作像ユニットに作成したフランジ付きの感光体1を組み込んだ。この時、クリーニング部に配設した潤滑剤塗布機構及び塗布ブレードは取り外した。また、カートリッジは黒用を使用した。
<画像品質の確認>
作成したプロセスカートリッジを、リコー製、imagio MP C4500の黒用カートリッジと置き換え、上記の手順により画像評価を行った。
評価結果を、表1に示す。
[実施例2]
<表面被覆層を有する感光体の作成>
実施例1により作成した感光体1の内側面をマスキングした後、図4に示される表面被覆層を生成するための製造装置の真空室(3)内で前記化学式(2)のオクタフルオロ[2,2]パラシクロフアンの熱分解により生じた反応性モノマー、及び、前記電荷輸送物質(D−1)の昇華物を流入して、感光層の外側面に化学式(1)の表面被覆層を蒸着積層した。
化学式(2)のダイマーは、約130Paに減圧調整した真空室(1)で150℃に加熱して気化(昇華)し、真空室(1)と真空室(2)を繋ぐ流路を通って約60Paで約680℃に調整した真空室(2)に流入された。気化した化学式(1)ダイマーは、真空室(2)で、熱分解により反応性モノマーとなる。
更に、反応性モノマーは真空室(2)と真空室(3)を繋ぐ流路を通って、約13Paで常温(約20℃)に調整した真空室(3)に流入され、内部に設置した感光体表面で直接重合し表面被覆層を生成した。
他方で、電荷輸送物質(D−1)は、約60Paに調整した真空室(4)で120℃に加熱して気化(昇華)し、真空室(4)と真空室(3)を繋ぐ流路を通って真空室(3)へ流入された。電荷輸送物質(D−1)の昇華物は、表面被覆層の生成時に化学式(1)の重合被膜中に取り込まれ、表面被覆層内に導入された。
表面被覆層の厚さは、反応性モノマーの真空室(3)への流入量および流入時間により、2.0μmに制御した。
また、表面被覆層中の電荷輸送物質(D−1)の含有量は、反応性モノマー及び電荷輸送物質(D−1)の昇華物の真空室(3)への流入量および流入時間により、重量基準で約30重量%に制御した。
表面被覆層を形成した感光体のマスキングを除去したのち、電気炉にて大気雰囲気の常圧下で、加熱温度80℃で2時間の熱処理を行い、表面被覆層を有する感光体(2)を作成した。
実施例2により作成した感光体2の表面被覆層の厚さは2.0μmであった。
感光体2を用いた以外は、実施例1と同様にして、<プロセスカートリッジの作成>及び、<画像品質の確認>を行った。
評価結果を、表1に示す。
[実施例3]
真空室(3)への反応性モノマー流入量及び表面被覆層形成時間を調節し、表面被覆層の厚さを0.05μmとして感光体3を作成した。それ以外の条件は実施例1と同様である。
[実施例4]
真空室(3)への反応性モノマー流入量及び表面被覆層形成時間を調節し、表面被覆層の厚さを0.1μmとして感光体4を作成した。それ以外の条件は実施例1と同様である。
[実施例5]
真空室(3)への反応性モノマー流入量及び表面被覆層形成時間を調節し、表面被覆層の厚さを1.0μmとして感光体5を作成した。それ以外の条件は実施例1と同様である。
[実施例6]
真空室(3)への反応性モノマー流入量及び表面被覆層形成時間を調節し、表面被覆層の厚さを3.0μmとして感光体6を作成した。それ以外の条件は実施例1と同様である。
[実施例7]
真空室(3)への反応性モノマー流入量及び表面被覆層形成時間を調節し、表面被覆層の厚さを5.0μmとして感光体7を作成した。それ以外の条件は実施例1と同様である。
[実施例8]
真空室(3)への反応性モノマー流入量及び表面被覆層形成時間を調節し、表面被覆層の厚さを8.0μmとして感光体8を作成した。それ以外の条件は実施例1と同様である。
[実施例9]
実施例9では、表面被覆層中に電荷輸送物質を含まない感光体による画像品質の安定性を確認するために、実施例2における電荷輸送物質(D−1)を使用せずに表面被覆層を形成した以外は、実施例2(表面被覆層の厚さ=2.0μm)と同様にして、<表面被覆層を有する感光体の作成>、<プロセスカートリッジの作成>及び、<画像品質の確認>を行った。
[実施例10]
実施例10では、表面被覆層中に電荷輸送物質を含まない感光体による画像品質の安定性を確認するために、実施例2における電荷輸送物質(D−1)を使用せずに表面被覆層を形成し、真空室(3)への反応性モノマー流入量及び表面被覆層形成時間を調節し、表面被覆層の厚さを5.0μmとした以外は、実施例2と同様にして、<表面被覆層を有する感光体の作成>、<プロセスカートリッジの作成>及び、<画像品質の確認>を行った。評価結果を、表1に示す。
[実施例11]
実施例11では、本発明とは異なるポリパラキシリレンによる表面層の性能を確認するために、実施例2における化学式(2)のダイマーに替えて、下記化学式(4)のダイマー(テトラフルオロ−[2,2]−パラシクロフアン)を用いて、化学式(3)をそれぞれ含有する表面被覆層を形成した感光体を用いた以外は、実施例2と同様にして、<表面被覆層を有する感光体の作成>、<プロセスカートリッジの作成>及び、<画像品質の確認>を行った。評価結果を、表1に示す。
(ここで、nは正の整数を表わす。)
[実施例12]
実施例12では、本発明とは異なるポリパラキシリレンによる表面層の性能を確認するために、実施例2における化学式(2)のダイマーに替えて、化学式(6)のダイマー([2,2]−パラシクロフアン)を用いて、化学式(5)のポリマーを含有する表面被覆層を形成した感光体を用いた以外は、実施例2と同様にして、<表面被覆層を有する感光体の作成>、<プロセスカートリッジの作成>及び、<画像品質の確認>を行った。
評価結果を、表1に示す。
[実施例13]
実施例13では、感光体の熱処理により、表面被覆層を有しない感光体でも画像品質の安定性が向上するかどうかを確認するため、実施例1の感光体に対して実施例2と同様の熱処理を行い、<表面被覆層を有する感光体の作成>、<プロセスカートリッジの作成>及び、<画像品質の確認>を行った。
評価結果を、表1に示す。
[実施例14]
実施例14では、感光体の熱処理をしなかった場合でも、表面被覆層を有する感光体の画像品質の安定性が許容できるかどうかを確認するため、実施例2の感光体の熱処理を行わなかった以外は、実施例2と同様にして、<表面被覆層を有する感光体の作成>、<プロセスカートリッジの作成>及び、<画像品質の確認>を行った。
評価結果を、表1に示す。
[実施例15]
実施例15では、感光体温度が表面被覆層生成の安定性に与える影響を確認するために、真空室3の温度を真空室1の温度と同じ150℃とした以外は、実施例2と同様にして、<表面被覆層を有する感光体の作成>を行った。この感光体の総膜厚を測定したところ、感光層表面で均一な重合が行われず、測定場所による総膜厚のバラツキが認められ、十分な均一性を持った感光体は得られなかった。
[実験結果1〜14の比較結果についての評価]
<実施例2、4、5、6、7と実施例1、3、8の比較>
化学式(1)の組成物及び電荷輸送物質よりなり、厚みが良好な範囲(0.1μm〜5μm)である表面被覆層を有する感光体による実施例2、4、5、6、7と、表面被覆層を持たない感光体による実施例1、表面被覆層厚みが良好な範囲外となる実施例3、8との比較結果について説明する。表1では、表面被覆層厚みが該良好な範囲の場合、画像品質の評価が良くなることが示されている。表面被覆層を持たない、または、表面被覆層厚みが薄い場合には、感光体表面の耐久性が十分ではないことがあり、通紙試験により感光体表面がダメージを受け、画像品質が悪化した。逆に、表面層厚みが厚すぎると、感光体表面の電位を制御性良く十分に減衰させづらく、初期から静電潜像にムラが生じ、画像品質が悪化した。またこの感光体の耐久性は良好であるため、表面被覆層の状態は通紙試験によっても維持されつづけ、この画像品質が改善されることはなかった。
従って、化学式(1)の組成物よりなり、表面被覆層厚みが0.1μm〜5μmであることが好ましいことが証明された。
また、実施例2、5、6は、実施例4、7より画像品質が良好であり、表面被覆層厚みが1μm〜3μmであることが、より好ましいことが証明された。
<実施例2、5と実施例9、10の比較>
化学式(1)の組成物及び電荷輸送物質よりなり、厚みが良好な範囲(2μm,5μm)である表面被覆層を有する感光体による実施例2、5と、化学式(1)の組成物のみよりなり、同じ厚みの表面被覆層を有する感光体による実施例9、10との比較結果について説明する。表1では、表面被覆層中に電荷輸送物質を含む場合と比較して、電荷輸送物質を含まない場合の方が、僅かに画像品質に劣ることが示されている。
従って、表面被覆層中に電荷輸送物質を含むことが好ましいことが証明された。
<実施例2と実施例11、12の比較>
実施例2と実施例11、12との比較結果について説明する。化学式(1)の組成物を用いた実施例2に対して、化学式(3)、化学式(5)の組成物を用いた実施例11、12では、いずれも、十分な感光体の耐久性を得ることができず、通紙試験により画像品質の劣化が認められた。
従って、化学式(1)の組成物を用いた表面被覆層によって、特異的に良好な耐久性を持つ表面被覆層が形成できることが証明された。
<実施例1と実施例13の比較>
上記の様に実施例2では、表面被覆層の形成後熱処理をしている点で、実施例1と異なっているため、感光体の熱処理が感光体の耐久性に影響を及ぼすかについて、実施例13で確認したところ、本願構成の表面被覆層を持たない感光体においては感光体の熱処理の有無に関係なく、長期間にわたる耐久性は得られないことが証明された。
<実施例2と実施例14の比較>
表面被覆層を有する実施例2について、感光体の熱処理の効果を確認するために、熱処理を行わない実施例14で確認したところ、熱処理をした実施例2の場合と比較して、初期の評価、通紙試験後の評価ともに、僅かに画像品質が劣ることが示された。従って、表面被覆層の形成後に感光体の熱処理を施すことが好ましいことが証明された。
これらの結果より、表面被覆層が化学式(1)を含有し、該表面被覆層の厚さが0.1乃至5μmである感光体、これを用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置の画像品質の優位性が示された。
(図1〜3について)
1Y、C、M、K 感光体
2 帯電装置
3 書き込み装置
4 現像装置
5 中間転写ベルト
6 クリーニング装置
7 定着装置
8 排紙トレイ
9 光ガイド部材
10 感光体支持体
11 下引き層
12 感光層
13 表面被覆層
20 帯電ローラ
21 帯電クリーニングローラ
40 現像スリーブ
41 現像剤攪拌搬送部材
42 現像剤攪拌搬送部材
50 中間転写ベルト支持ローラ
51 中間転写ベルト支持ローラ
52Y、C、M、K 1次転写ローラ
53 2次転写ローラ
60 クリーニングブレード
100 画像形成装置
120 電荷発生層
121 電荷輸送層
200 給紙機構
300 プロセスカートリッジ
(図4について)
1 昇華用真空室
2 熱分解用真空室
3 被覆層形成用真空室
4 (第2)昇華用真空室
特開2004−302451号公報 特開平9−190004号公報 特開2006−267507号公報 特開平1−170951号公報 特許第3595094号公報

Claims (10)

  1. 少なくとも支持体上に感光層を有し、該感光層表面に表面被覆層を形成した感光体において、該表面被覆層が化学式(1)で表されるポリ−α,α,α’,α’−テトラフルオロ−パラキシリレンを含有し、該表面層の厚さが0.1乃至5μmであることを特徴とする電子写真感光体。
    (ここで、nは正の整数を表わす。)
  2. 該表面被覆層が、電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 該感光層が、少なくとも、電荷発生層上に熱可塑性樹脂を含む電荷輸送層を積層した有機感光層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 該表面被覆層形成後の感光体が前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度で熱保存処理(アニール処理)されたものであることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体を製造する方法であって、
    少なくとも減圧下で加熱して昇華させた化学式(2)の化合物を、熱分解し反応性モノマーまたは熱ラジカルを生成して、生成した反応性モノマーまたは熱ラジカルを感光層と接触させ感光層表面で化学式(1)で表されるポリ−α,α,α’,α’−テトラフルオロ−パラキシリレンを含有する表面被覆層を重合することにより
    前記感光層表面に前記表面被覆層を形成する工程を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法
    (ここで、nは正の整数を表わす。)
  6. 前記化学式(2)の化合物を昇華させた際の制御圧力及び制御温度をP1(Pa)、T1(℃)とし、昇華した化学式(2)の化合物を更に加熱して熱分解し反応性モノマーまたは熱ラジカルを生成した際の制御圧力及び制御温度をP2(Pa)、T2(℃)とし、生成した反応性モノマーまたは熱ラジカルを感光層と接触させ感光層表面で化学式(1)で表されるポリ−α,α,α’,α’−テトラフルオロ−パラキシリレンを含有する表面被覆層を重合する工程における、制御圧力及び制御温度をP3(Pa)、T3(℃)としたとき、
    P3<P2<P1、かつ、T3<T1<T2・・・・・状態式(1)
    であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法
  7. 少なくとも電子写真感光体、該感光体を帯電する帯電手段と、該感光体上の残存トナーをクリーニングするクリーニング手段を有するプロセスカートリッジにおいて、該感光体が、請求項1乃至請求項のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 少なくとも電子写真感光体と、該感光体を帯電する帯電手段と、感光体上に静電潜像を形成するための書き込み手段と、トナーにより静電潜像を可視像化する現像手段と、感光体上のトナー可視像を、中間転写媒体を介してまたは介さずに、記録媒体上へ転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着固定化する定着手段とを有する画像形成装置において、上記感光体が、請求項1乃至請求項のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  9. 少なくともプロセスカートリッジと、電子写真感光体上に静電潜像を形成するための書き込み手段と、トナーにより静電潜像を可視像化する現像手段と、感光体上のトナー可視像を、中間転写媒体を介してまたは介さずに、記録媒体上へ転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着固定化する定着手段とを有する画像形成装置において、上記プロセスカートリッジが、請求項7に記載のプロセスカートリッジであることを特徴とする画像形成装置。
  10. 画像形成装置が、更に可視像化したトナー像を像担持媒体に転写後、帯電手段に至るまでの間に、感光体の少なくとも像形成領域の全幅を露光する露光手段を有することを特徴とする、請求項8または請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
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