JP5852916B2 - 貴金属の回収方法 - Google Patents

貴金属の回収方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5852916B2
JP5852916B2 JP2012084958A JP2012084958A JP5852916B2 JP 5852916 B2 JP5852916 B2 JP 5852916B2 JP 2012084958 A JP2012084958 A JP 2012084958A JP 2012084958 A JP2012084958 A JP 2012084958A JP 5852916 B2 JP5852916 B2 JP 5852916B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
noble metal
gold
electrolysis
aqueous solution
cathode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012084958A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013213267A (ja
Inventor
広宣 小久保
広宣 小久保
鋭児 藤原
鋭児 藤原
光 阿部
光 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Pretec Corp
Original Assignee
Asahi Pretec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Pretec Corp filed Critical Asahi Pretec Corp
Priority to JP2012084958A priority Critical patent/JP5852916B2/ja
Priority to CN201280071376.0A priority patent/CN104169473B/zh
Priority to PCT/JP2012/061237 priority patent/WO2013150664A1/ja
Priority to TW102100073A priority patent/TWI443227B/zh
Publication of JP2013213267A publication Critical patent/JP2013213267A/ja
Priority to HK15101584.3A priority patent/HK1201082A1/xx
Application granted granted Critical
Publication of JP5852916B2 publication Critical patent/JP5852916B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25CPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC PRODUCTION, RECOVERY OR REFINING OF METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25C1/00Electrolytic production, recovery or refining of metals by electrolysis of solutions
    • C25C1/20Electrolytic production, recovery or refining of metals by electrolysis of solutions of noble metals

Description

本発明は、水溶性硫黄化合物と貴金属とを含む水性溶液から貴金属を回収する方法に関するものである。
水溶性硫黄化合物と貴金属を含む水性溶液(以下、水性溶液ということがある)は、様々な分野において発生している。代表的には金、銀、白金、ロジウム、ルテニウム、およびパラジウムなどの貴金属を用いたメッキ工程での使用が挙げられる。
金メッキには、一般に水溶性硫黄含有金化合物(例えば、チオ硫酸金化合物や亜硫酸金化合物など)を含む金メッキ液や、塩化金化合物を含む金メッキ液が用いられている。また、金メッキ後に排出される水性のメッキ廃液や、洗浄液には、金メッキ液程ではないが、相当量の金が含まれている。例えば、金メッキ液には一般的に1〜30g/L程度の金が含まれているため、金メッキ後の水性溶液にも同程度の金が含まれている。金以外の貴金属メッキ廃液中にも同様に貴金属が含まれている。またメッキ後の洗浄液にも微量(0.1g/L程度)の貴金属が含まれている。
メッキ以外にも水溶性硫黄化合物と貴金属とを含む廃液として、例えば銀塩写真の現像廃液には銀(チオ硫酸銀化合物)が含まれている。
このように貴金属はメッキなど様々な用途で使用されているが、貴金属は非常に高価な金属であるから、水性溶液に残留している貴金属を効率よく回収する必要がある。
貴金属を含む水性溶液から貴金属を回収する方法として電気分解法が知られている。電気分解法は、貴金属を含む水性溶液を電気分解して陰極表面に貴金属を析出させて回収する方法である。電気分解法によれば、水性溶液から貴金属を選択的に回収できる。ところが水溶性硫黄化合物と貴金属を含む水性溶液は非常に不安定であり、電気分解する際に陰極以外の陽極表面や電解槽の壁面に貴金属が析出することがある。そして析出・成長した貴金属によって陽極と陰極、陰極と電解槽の壁面、あるいは陽極と電解槽の壁面が短絡し、電解不能になることがある。
このため、電気分解法における金属の不要な析出・成長を抑制し効率的な貴金属回収を行えることが望まれている。
このような状況に鑑み、本発明者らは特に金を回収するにあたり、水性溶液を強塩基性(pH11以上)に調整した後、水性溶液を電気分解する金の回収方法を開示している(特許文献1)。この方法は水性溶液を強塩基性に調整しているため水溶性硫黄化合物と金を含む水性溶液が安定化し、貯槽や電解槽等の壁面などに金が析出するのを防止でき、効率よく金を回収することができる。
しかしながらこの方法は、水性溶液を強塩基性に調整するために水酸化ナトリウム等の所謂劇物を使用する必要があり、皮膚や粘膜を損傷する恐れがあることから、取扱い性に問題があった。
特許第4699105号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、水溶性硫黄化合物と貴金属を含む水性溶液から電気分解法によって貴金属を回収するにあたり、薬品を使わずに陽極や電解槽等の壁面など陰極以外に貴金属が析出するのを防止できる方法を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明に係る貴金属の回収方法は、水溶性硫黄化合物と貴金属とを含む水性溶液から電気分解法によって貴金属を回収するにあたり、電気分解中の前記水性溶液の酸化還元電位が−500mV〜+100mVとなるように、前記水性溶液中に気体を供給することに要旨を有する。
また上記本発明の回収方法は、前記水性溶液中に供給する前記気体の平均供給量を電解電流1Aあたり0.1L/分〜10L/分とすることも好ましい。
上記本発明の回収方法で対象とする貴金属は、金、または銀であることが好ましい。
本発明の貴金属の回収方法によれば、気体を供給することによって電気分解中の酸化還元電位(Oxidation Reduction Potential:ORP)を所定の範囲に制御しているため、水溶性硫黄化合物と貴金属を含む水性溶液が安定化し、陽極や電解槽等の壁面など陰極以外に貴金属が析出するのを防止できる。従って電気分解法による貴金属の回収を効率よく行うことが可能となる。特に本発明の回収方法では、水酸化ナトリウム等の薬品を添加せずに安全、かつ簡便な方法で効率よく貴金属を回収できる。
図1は、本発明に係る貴金属の回収装置(電解槽)の一構成例を示す概略図である。 図2は、本発明に係る貴金属の回収装置(電解槽)の他の構成例を示す概略図である。
上述したように水溶性硫黄化合物と貴金属とを含む水性溶液は、強塩基性とせずにそのまま電気分解した場合、貴金属が陰極以外でも析出するため、安定して電気分解を行うことが難しかった。このような問題に対し、本発明者らは安定して電気分解できる方法について研究を重ねた。その結果、電気分解の進行に応じて水性溶液の酸化還元電位が徐々に低下すること、そして酸化還元電位が−500mVを下回ると、貴金属が陰極以外でも析出することを知見として得た。このような知見に基づいて本発明者らは酸化還元電位の低下を抑制、ないし酸化還元電位を−500mV以上に維持しつつ電気分解する方法について更に研究を重ねた。その結果、電気分解中の水性溶液中に気体を供給することが有効であることを見出し、本発明に至った。以下本発明の貴金属の回収方法について詳述する。
本発明に係る貴金属の回収方法では、水溶性硫黄化合物を含有する水性溶液の酸化還元電位を−500mV〜+100mVに調整することが陰極以外に貴金属が析出するのを防止するために重要である。水性溶液の酸化還元電位を調整することで、水性溶液を安定化できる。そのため水性溶液を電気分解しても陽極や電解槽の壁面に貴金属が析出することがなく、貴金属を陰極に析出させて効率よく回収することが可能となる。
本発明において、水溶性硫黄化合物とは、硫黄原子を含む水溶性の化合物である。水溶性硫黄化合物としては例えば亜硫酸塩、チオ硫酸塩などが挙げられる。
本発明で水性溶液から回収する対象となる貴金属は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)である。本発明の方法はこれらの中でも、メッキ等で汎用されている金や銀の回収に好適である。水性溶液に含まれる貴金属の種類、濃度は特に限定されない。また水性溶液中の貴金属は、上記水溶性硫黄と化合物を形成していてもよく、例えば亜硫酸金ナトリウム、亜硫酸金カリウム、亜硫酸金アンモニウムなどの亜硫酸金化合物、チオ硫酸金ナトリウム、チオ硫酸金カリウムなどのチオ硫酸金化合物などが例示される。なお、水性溶液には例えば重金属や被メッキ物の残渣などの不純物が含まれていてもよい。
水性溶液の液性も特に限定されず、塩基性、中性、酸性のいずれであってもよい。もっとも処理液のpHが強塩基性や強酸性であると被メッキ物にダメージを与える恐れがあるため、処理液のpHは4〜10程度に適宜調整されていることが多い。したがって使用後の処理液(水性溶液)もおおむねpHは4〜10程度である。例えば金メッキなどのメッキ浴に用いられた後の金含有廃液のpHはおおむねpH6〜10程度である。また写真現像液などに用いられた後の銀含有廃液のpHはおおむねpH4〜10程度である。本発明ではこのような水性溶液のpHを特に調整せずに安定して電解処理することができる。
また水性溶液中の貴金属の濃度も特に限定されない。例えば金メッキ浴や金メッキ後の洗浄液などの金含有廃液や、写真現像廃液などの銀含有廃液には、金または銀はおおむね0.1〜30g/L程度含まれている。本発明の特徴である酸化還元電位の制御は貴金属の濃度に影響を受けないため、水性溶液中の貴金属の濃度の多少に関わらず、安定して電解処理することができる。
水性溶液を電気分解するに際しては、各種公知の電気分解装置を用いることができる。電気分解の方式も特に限定されず、板状の陽極と陰極を並べた平行板方式でもよいし、円筒状の陰極の周囲に陽極を配置した方式でもよい。電極材質も特に限定されず、カーボンなどの不溶性の電極やステンレスなどの不動態を形成する電極でもよく、目的とする貴金属に応じて各種公知の電極を用いることができる。陽極としては、例えばステンレス、カーボンやチタンに酸化物を被覆したものなどが使用でき、陰極としては、例えばステンレスやチタンなどが使用できる。
本発明の貴金属の回収方法では、電気分解法によって貴金属を回収するため、陰極と陽極との間に印加する電圧は目的とする貴金属により異なるが、周知の貴金属の電気化学列を参照にして適宜決定すればよい。
本発明では電気分解中の酸化還元電位を気体を供給することによって−500mV〜+100mVに調整する。電気分解中の酸化還元電位が−500mV〜+100mVの範囲内であれば、貴金属が陰極以外で析出することを防止できる。本発明で酸化還元電位は、基準電極として銀−塩化銀電極を用いて水性溶液中に挿入された基準電極と金属電極との電位差を測定して得られる値(mV)である。よって基準電極を変えれば上記の酸化還元電位の値も変わり、例えば基準電極を水素標準電極とした場合は−300mV〜+300mVとなる。
電気分解中の水性溶液の酸化還元電位は、電流値に影響を受け、電流値が大きいほど酸化還元電位が大きく低下する。そのため電流値を下げて酸化還元電位の低下を抑制することも可能であるが、電流値を下げると電気分解速度が低下し、装置の大型化が必要となる。
そこで本発明では、電気分解中の水性溶液(電解液)中に気体を供給することによって酸化還元電位を−500mV〜+100mVに調整する。酸化還元電位を調整する効果を有する気体としては、水性溶液中の貴金属に対する還元性を有しないものであれば特に限定されない。例えば窒素、アルゴンなどの不活性ガス、空気、酸素などの酸化性ガス、あるいはこれらの混合ガスが挙げられる。これらの中でも入手容易性と取扱い性に優れている空気が望ましい。
また気体の供給量は、電気分解中の水性溶液の酸化還元電位に応じて決定すればよい。例えば気体の供給量が少なすぎると、水性溶液の酸化還元電位の低下を十分に抑制できず、貴金属が陰極以外に析出することがある。具体的には上述したように、電気分解中の水性溶液の酸化還元電位が−500mVを下回らないように気体の供給量を調整する必要があり、好ましくは−450mV以上、より好ましくは−400mV以上である。一方、気体の供給量が多くなりすぎると、酸化還元電位が上昇し、水性溶液が酸化性(酸化還元電位がプラスになる)になり、電気分解中の水性溶液の安定性がかえって低下して貴金属が陰極以外の部分で析出するようになる。したがって電気分解中の水性溶液の酸化還元電位が+100mVを超えないように気体の供給量を調整することが必要であり、好ましくは+50mV以下、より好ましくは0mV以下とすることが望ましい。
電気分解中の水性溶液の酸化還元電位は、電流値に影響を受け、電流値が大きいほど酸化還元電位は大きく低下する。電流値に関わりなく酸化還元電位を上記範囲内に制御するには、気体の供給量を電気分解中の電流値に応じて調整すればよい。すなわち、電解電流1Aあたりの気体の供給量が少なすぎると、酸化還元電位の低下を十分に抑制できず、−500mVを下回ることがある。一方、電解電流1Aあたりの気体の供給量が多すぎると、酸化還元電位が高くなり過ぎて、+100mVを上回ることがある。したがって効率的に酸化還元電位を調整するには、電解電流1Aあたりの平均気体供給量を0.1L/分〜10L/分程度とすることが好ましく、より好ましくは1L/分〜10L/分程度である。
電気分解中の気体の供給時期については特に限定されず、酸化還元電位が−500mV〜+100mVとなるように、連続的、あるいは間欠的に供給することができる。また気体は同一、または異なる量を供給することができる。たとえば気体を電気分解開始から電気分解終了まで常時供給してもよいし、あるいは電気分解中に必要に応じて気体を供給してもよい。
また気体は気体供給源から気体供給口を介して水性溶液中に供給されるが、気体供給口の設置位置、及び気体供給口の数は限定されない。したがって気体供給口から放出された気体が、電極に接触するように気体の供給口を設置してもよいし(例えば図1)、あるいは気体が電極と接触しないように設置してもよい(例えば図2)。また例えば電解槽に水性溶液の循環槽が設置されている場合には、循環槽に気体を供給してもよい。気体供給口の数は気体供給源の能力や供給する気体量などを考慮して単独、または複数設置することができる。
気体供給口の形状は特に限定されず、多孔を有する供給機構(例えば散気管)、単孔の供給機構(気体供給源と気体供給口で気体の圧力が同じ)、アスピレーターのように液流で気体を吸い込むノズルなどを用いたノズル供給機構(気体の噴出供給)など所望の形状を採用できる。
なお、上記気体の供給では、水性溶液の攪拌性が低いため、必要に応じて攪拌機やポンプなどを併設して、電気分解中の水性溶液を攪拌させて、液の均一性を向上させてもよい。
上記本発明の方法によれば、水性溶液の電気分解中の貴金属は陰極に析出する。陰極に析出した貴金属は、必要に応じて任意の手段で回収すればよく、例えばスクレーパーなどの掻き取り手段によって、容易に回収できる。
以下、実験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実験例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実験例1(気体供給有無)
実験例1では気体の供給の有無による酸化還元電位の変化、及び水溶性硫黄化合物と金を含む水性溶液(以下、原料溶液という)の安定性(陰極以外の部分への金の析出の有無)について調べた。
No.1−1(気体供給有)
原料溶液には、亜硫酸塩を含む金メッキ廃液(3L、pH8、金含有量9g/L)を用いた。金の回収に用いる回収装置(容量5L)として図1に示す電解槽を用いた。陽極はステンレス製の電極を2枚用い、陰極はチタン製の電極を用いた。各電極の大きさは、横20cm×縦10cm×厚み2mmである。陽極は陰極を挟むようにして陰極の両側に配置した。また電解槽中央付近の底部に気体(空気)導入用の棒状の散気管(直径2cm、長さ20cm、気体供給口の各孔径20μm)を配置した。
この電解槽に上記亜硫酸塩を含む金メッキ廃液3Lを充填した後、電解槽の電圧を1.5〜2.0V、電流を2Aに設定して15時間電気分解を行った。空気は電気分解開始直後から、電気分解終了まで散気管から電解槽に一定量(10L/分)を供給した。電気分解中の金濃度(mg/L)、および酸化還元電位(ORP(mV))を測定すると共に、陰極以外の部分(陽極、電解槽)への金の析出の有無を目視で観察した。金濃度はICP発光分析装置で測定した。また酸化還元電位はORP計(堀場製作所社製ORP電極:基準電極は銀−塩化銀電極)で測定した。
No.1−2(気体供給無し)
No.1−2では、散気管から空気を供給しなかった以外はNo.1−1と同じ条件で亜硫酸塩を含む金メッキ廃液の電気分解を15時間行った。
表1より、電気分解中の気体(空気)供給の有無について次のことがわかる。
No.1−1の金濃度は電気分解開始後12時間で10mg/L未満となったが、酸化還元電位は−300mVまでしか低下しなかった。その後、電気分解を15時間まで行ったが、酸化還元電位は−300mVを維持していた。また15時間経過しても陰極以外の部分には金の析出は認められなかった。No.1−1では約12時間で原料溶液に含まれているほとんどの金を陰極において析出・回収できた。
一方、No.1−2は電気分解開始後6時間経過した時点で酸化還元電位が−500mVを下回ると共に、陰極だけでなく陽極や電解槽の内壁等にも金の析出が確認された。また電気分解を15時間まで行った結果、酸化還元電位は−700mVまで低下していた。
なお、No.1−2では電気分解開始後9時間で金濃度が10mg/L未満となっており、No.1−1と比べて原料溶液中の金濃度の低下が速いが、これは金が陰極以外に析出した結果、金濃度の低下が速くなったためである。
これらの結果から、No.1−1、1−2共に電気分解開始後、酸化還元電位は低下したが、低下幅は空気を供給しなかったNo.1−2の方が大きかった。原料溶液に空気を供給した場合(No.1−1)、酸化還元電位の低下が抑制されると共に、陰極以外への金の析出も抑止できた。したがって原料溶液に気体を供給することによって電気分解を安定して行うことが出来る。一方、原料溶液に空気を供給しなかった場合(No.1−2)、酸化還元電位が急激に低下して陰極以外で金が析出してしまうため、電気分解を安定して行うことが出来なかった。
実験例2(電解電流1Aあたりの気体の供給量)
空気の供給量(実験中は一定の供給量を維持)を表2に示すように変更した以外は、実験例1のNo.1−1と同じ条件で亜硫酸塩を含む金メッキ廃液の電気分解を行った。電気分解開始から12時間経過した時点で、陰極以外の部分の金の析出の有無を確認した。結果を表2に示す。なお、No.2−4は上記No.1−1である。
表2に示すとおり、No.2−1〜2−6において電気分解開始後12時間の金濃度は10mg/L未満であったが、酸化還元電位及び陰極以外への金の析出有無については電解電流1Aあたりの気体の供給量によって異なっていた。つまり、No.2−1(0.05L/min/A)では電気分解開始後12時間で酸化還元電位が−600mVまで低下しており、陰極以外の部分で金の析出が確認された。またNo.2−6(20L/min/A)では電気分解開始後12時間で酸化還元電位が+150mVまで上昇しており、陰極以外の部分で金の析出が確認された。一方、No.2−2〜2−5では、電気分解開始後12時間での酸化還元電位はいずれも−500mV〜+100mVの範囲内であり、陰極以外への金の析出も認められなかった。
これらの結果から、酸化還元電位を−500mV〜+100mVの範囲に制御すれば、陰極以外への金の析出を防止できることがわかる。また酸化還元電位は電解電流1A当たりの空気供給量によって影響を受けることが分かる。すなわち、電解電流1Aあたりの空気供給量が少なすぎると酸化還元電位の低下を抑制できないが(No.2−1)、空気供給量を多くすると酸化還元電位の低下を抑制でき(No.2−2〜2−5)、更に空気供給量を多くすると酸化還元電位が上昇するようになる(No.2−6)ことがわかる。
実験例3(pHと酸化還元電位の関係)
pHの異なる亜硫酸塩を含む金メッキ廃液を用いた以外は、実験例1のNo.1−1と同じ条件で電気分解を行った(No.3−1、3−3)。なお、No.3−2は実験例1のNo.1−1であり、No.3−4はNo.1−2である。電気分解開始時(0時間)と電気分解開始後12時間の金濃度と酸化還元電位を調べると共に、電気分解開始後12時間経過した時点で陰極以外での金の析出の有無を確認した。結果を表3に示す。
表3から次のことがわかる。まず、原料溶液に空気を供給しなかったNo.3−4では、酸化還元電位が−500mVを下回ると共に、陰極以外での金の析出が認められた(上記No.1−2参照)。一方、原料溶液に空気を供給したNo.3−1〜3−3では、pHが弱酸性〜弱塩基性(pH6〜10)の原料溶液を電気分解しているが、原料溶液に空気を供給することで、いずれも酸化還元電位は−500mV以上であり、また陰極以外での金の析出は認められなかった。電解分解開始後12時間の金濃度は全て10mg/L未満であった。
これらの結果から、原料溶液のpHを薬品で調整しなくても、気体を原料溶液に供給することで、酸化還元電位を−500mV〜+100mVの範囲に調整しつつ、陰極以外への金の析出を抑制できることがわかる。
実験例4(気体供給口の形状、および供給位置の変更)
散気管を球状の散気管(直径2.5cm、気体供給口の各孔径20μm)に変更すると共に、散気管を図2に示すように電解槽端側、かつ電解槽内の原料溶液の深さに対して1/2程度の高さに設置した。なお、散気管から供給された空気は直接電極に当たらないようにすると共に、電解槽に設置した散気管と反対側の側面に循環ポンプを設けた以外は実験例1のNo.1−1と同じ条件で亜硫酸塩を含む金メッキ廃液の電気分解を行った。実験例1と同様にして金濃度と酸化還元電位を測定すると共に、金の析出の有無を目視で観察した。結果を表4に示す。
電気分解開始後12時間で金濃度が10mg/L未満となったが、酸化還元電位は−300mVまでしか低下しなかった。また12時間経過しても陰極以外の部分には金の析出は認められず、約12時間で原料溶液に含まれるほとんどの金を陰極において析出・回収できた。また電解槽底部に散気管(棒状)を設けた場合(No.1−1)と比べても、時間の経過に伴う酸化還元電位や金濃度の低下度合いはほぼ同じであり、散気管の形状、設置位置にかかわらず、安定して電気分解できることがわかる。
実験例5(気体を空気から窒素に変更)
電解槽に供給する気体を空気から窒素に変更した以外は実験例1のNo.1−1と同じ条件で電気分解を行った。結果を表5に示す。
表5に示すとおり、電気分解開始後12時間で金濃度が10mg/L未満となったが、酸化還元電位は、−350mV程度までしか低下しなかった。また12時間経過しても陰極以外の部分には金の析出は認められず、約12時間で原料溶液に含まれるほとんどの金を陰極において析出・回収できた。空気を供給した実験例1のNo.1−1と比べても、金の析出防止効果は同等であり、また時間の経過に伴う酸化還元電位や金濃度の低下度合いはほぼ同じであり、気体の種類に係わらず、同等の気体導入効果が得られた。
実験例6(チオ硫酸塩含有銀廃液と気体供給の有無)
No.6−1
亜硫酸塩を含む金メッキ廃液をチオ硫酸塩を含む銀廃液(3L、pH5、銀濃度3g/L)に変更すると共に、電解槽への空気の導入開始を酸化還元電位が−400mV付近(電気分解開始後1時間経過した時点)まで低下してから行った以外は実験例1のNo.1−1と同じ条件で電気分解を行った。結果を表6に示す。
No.6−2
電解槽へ空気を供給しなかった以外は、No.6−1と同じ条件で電気分解を行った。結果を表6に示す。
表6より、銀廃液の電気分解中の気体供給の有無について次のことが分かる。
電気分解開始後1時間経過した時点で空気の供給を開始したNo.6−1の銀濃度は電気分解開始後2時間で10mg/L未満となったが、酸化還元電位は−200mVまでしか低下しておらず、陰極以外の部分には銀の析出は認められなかった。No.6−1では、約2時間で原料溶液に含まれているほとんどの銀を陰極において析出・回収できた。
一方、空気を供給しなかったNo.6−2では、銀濃度が電気分解開始後2時間で10mg/L未満となったが、酸化還元電位は−600mVまで低下しており、陰極以外の部分で銀の析出が確認された。
これらの結果から、No.6−1、6−2共に電気分解開始後、酸化還元電位は低下したが、空気を供給したNo.6−1は酸化還元電位の低下を抑制できたのに対し、空気を供給しなかったNo.6−2は酸化還元電位が−600mVまで低下した(陰極以外の部分に銀析出有り)。またNo.6−1からは電気分解の途中で空気を供給しても酸化還元電位の低下を抑制できることがわかる。
なお、銀についても金と同様に酸化還元電位を−500mV〜+100mVの範囲内に制御することが陰極以外の部分で銀が析出するのを防止するために必要であることを実験により確認している。

Claims (6)

  1. 水溶性硫黄化合物と貴金属とを含む水性溶液から電気分解法によって貴金属を回収するにあたり、電気分解中の前記水性溶液中に気体を供給し、前記水性溶液の酸化還元電位が−500mV〜+100mVとなるように制御することを特徴とする貴金属の回収方法。
  2. 前記水性溶液中に供給する前記気体の平均供給量を電解電流1Aあたり0.1L/分〜10L/分とするものである請求項1に記載の貴金属の回収方法。
  3. 前記貴金属は、金、または銀である請求項1または2に記載の貴金属の回収方法。
  4. 前記水性溶液のpHは4〜10である請求項1〜3のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
  5. 前記水性溶液の前記酸化還元電位を制御して陰極以外での貴金属の析出を防止するものである請求項1〜4のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
  6. 前記貴金属は陰極表面に析出させて回収するものである請求項1〜5のいずれかに記載の貴金属の回収方法。
JP2012084958A 2012-04-03 2012-04-03 貴金属の回収方法 Active JP5852916B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012084958A JP5852916B2 (ja) 2012-04-03 2012-04-03 貴金属の回収方法
CN201280071376.0A CN104169473B (zh) 2012-04-03 2012-04-26 贵金属的回收方法
PCT/JP2012/061237 WO2013150664A1 (ja) 2012-04-03 2012-04-26 貴金属の回収方法
TW102100073A TWI443227B (zh) 2012-04-03 2013-01-03 Precious metal recycling method
HK15101584.3A HK1201082A1 (en) 2012-04-03 2015-02-13 Method for recovering precious metal

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012084958A JP5852916B2 (ja) 2012-04-03 2012-04-03 貴金属の回収方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013213267A JP2013213267A (ja) 2013-10-17
JP5852916B2 true JP5852916B2 (ja) 2016-02-03

Family

ID=49300181

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012084958A Active JP5852916B2 (ja) 2012-04-03 2012-04-03 貴金属の回収方法

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JP5852916B2 (ja)
CN (1) CN104169473B (ja)
HK (1) HK1201082A1 (ja)
TW (1) TWI443227B (ja)
WO (1) WO2013150664A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113621995B (zh) * 2021-07-16 2023-12-26 武汉理工大学 一种基于电化学联合催化技术回收硫代硫酸盐浸出液中贵金属的方法

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1272231A (en) * 1968-12-09 1972-04-26 B J S Electro Plating Company Silver electrolytes
JPS57207190A (en) * 1981-06-15 1982-12-18 Nippon Mining Co Ltd Ruthenium plating method
GB8605278D0 (en) * 1986-03-04 1986-04-09 Fixersave Ltd Photographic processing
JP2676644B2 (ja) * 1990-04-27 1997-11-17 富士写真フイルム株式会社 写真処理液の銀回収方法及び装置
JPH06256988A (ja) * 1993-03-02 1994-09-13 Japan Energy Corp ルテニウムめっき方法
JP2745449B2 (ja) * 1994-07-07 1998-04-28 株式会社ミカサ 水の酸化還元電位制御装置
FI113667B (fi) * 2002-04-23 2004-05-31 Outokumpu Oy Menetelmä kullan talteenottamiseksi
JP4699105B2 (ja) * 2005-06-24 2011-06-08 アサヒプリテック株式会社 金の回収方法および装置
JP4397961B1 (ja) * 2008-12-10 2010-01-13 小島化学薬品株式会社 銀の電解回収装置
TWI412628B (zh) * 2008-12-10 2013-10-21 Kojima Chemicals Co Ltd Gold or silver electrolytic recovery unit
JP2011105969A (ja) * 2009-11-13 2011-06-02 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 含銅硫化物からの銀の回収方法
CN101838828B (zh) * 2010-03-25 2011-11-30 福州大学 一种无氰镀金电镀液

Also Published As

Publication number Publication date
CN104169473A (zh) 2014-11-26
TWI443227B (zh) 2014-07-01
CN104169473B (zh) 2017-03-01
HK1201082A1 (en) 2015-08-21
TW201341595A (zh) 2013-10-16
WO2013150664A1 (ja) 2013-10-10
JP2013213267A (ja) 2013-10-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH08127886A (ja) 電解水製造装置
JPS6347778B2 (ja)
US6899803B2 (en) Method and device for the regulation of the concentration of metal ions in an electrolyte and use thereof
EP0133920A1 (en) Automatically controlled system for sanitizing water bodies
Idhayachander et al. Electrolytic recovery of nickel from spent electroless nickel bath solution
US7520973B2 (en) Method for regenerating etching solutions containing iron for the use in etching or pickling copper or copper alloys and an apparatus for carrying out said method
JP5852916B2 (ja) 貴金属の回収方法
KR101192731B1 (ko) 귀금속의 회수방법
JP6162554B2 (ja) Agの電解精製装置、および該装置を用いたAgの電解精製方法
JP6386625B2 (ja) Agの電解精製装置
KR100991229B1 (ko) 금과 은 합금으로부터 금과 은의 분리 및 회수 방법
JP4565182B2 (ja) 難分解性有機金属錯体の分解方法
JP2006241568A (ja) 酸性塩化物水溶液からの鉄の電解採取方法
US20030189011A1 (en) Process and method for recovery of halogens
RU2652938C1 (ru) Способ электрохимической переработки золотосодержащего сплава
JP2689076B2 (ja) エッチング液の能力回復維持方法
JP5612145B2 (ja) 電気銅の製造方法
JP6847477B1 (ja) 電解水製造装置及びこれを用いる電解水の製造方法
WO2022038817A1 (ja) 過硫酸成分を含む硫酸溶液中の過硫酸成分の濃度低下抑制方法及び過硫酸成分の濃度低下抑制装置
AU2001272231B2 (en) Process and method for recovery of halogens
RU2467082C1 (ru) Способ электрохимического извлечения серебра из серебросодержащих токопроводящих отходов
JPH01162790A (ja) 電解還元法
JP2007000827A (ja) 水処理方法および装置
AU2015210369A1 (en) Production method for electrolytic copper
JP2012111997A (ja) 錫めっき液へのSnイオン補給方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151019

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151201

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151207

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5852916

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250