JP5851886B2 - 地熱利用システム、シリカライト合成方法、並びに炭酸リチウム回収方法 - Google Patents
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Description
本発明は、生産井からの地熱流体を気水分離器により蒸気及び熱水に分離し、前記分離した蒸気を利用してタービンを駆動させ発電を行い、前記分離した熱水を還元井から地下に還元する地熱利用システムであって、界面活性剤を添加する界面活性剤添加手段、及び、沈降した固形物を収集する固形物収集手段を有し、地下に還元する前の前記分離した熱水からシリカ成分を回収するシリカ回収装置と、鋳型剤及び前記シリカ回収装置で回収されたシリカ成分からシリカライトを合成するシリカライト合成炉と、を備える地熱利用システムを提供する。
地熱流体から分離した熱水から直接にイオン交換酸化物法を用いてリチウムを回収しようとすると、シリカ成分が多く含まれるため高濃度シリカが同時に析出してリチウムの回収が困難となる。上記発明の一態様によれば、シリカ回収装置を経由した熱水は、シリカ成分が大きく除去されているため、リチウムを容易に回収することが可能となる。また、イオン交換酸化物法は、熱水の温度を下げることなく実施できるため、熱水の温度を変化させる熱交換器も不要でとなり、配管や環元井へ流れる熱水に含まれる不純物の析出抑制に好ましい。また、イオン交換酸化物法は、リチウムの回収率が高いという利点がある。
本発明の一態様によれば、シリカ回収装置の後段にリチウム回収装置を設けることで、回収されたリチウムは有用な資源となる。
本発明の一態様によれば、シリカ回収装置を気水分離器に設けることで、タービン内部へのシリカスケールの発生を大きく抑制が可能となり、メンテナンス周期や部品交換寿命を延長することができる。
〔第1実施形態〕
図1に、本実施形態に係る地熱利用システム1の概略構成図を示す。地熱利用システム1は、気水分離器2、第1発電部3、第2発電部4、シリカ回収装置5、及びシリカライト合成炉6を備えている。また、地熱利用システム1は、シリカ回収装置5の後段にリチウム回収装置7が設けられていることが好ましい。
固形のシリカ成分収集と、シリカ回収装置5からの熱水(温水)排出は、所定の時間(数10分から1時間程度)毎にバッチ式運用を行っても良いし、所定の滞在時間(数10分から1時間程度)を得られるような流量で排出されても良い。熱水貯留容器25内のプールできる容積は、所定時間もしくは所定滞在時間を設けることが出来るような大きな容積を保有し、本実施形態では数100tonの熱水貯留容積となるよう、複数系統のシリカ回収装置5で構成している。
前段階で、シリカ回収装置5でシリカ成分が回収され、溶融シリカが大幅に減縮されているので、リチウム回収装置7では、シリカ成分の析出による阻害が少なく安定してリチウムの回収を行うことができる。
詳細には、プールされた熱水(温水)は、所定濃度のマンガン酸化物(H+MnOx)がマンガン酸化物添加手段33により添加されるとともに、撹拌手段34により穏やかに撹拌されH+MnOxが全体に行き届くようにする。これにより、反応式(1)が生じ、熱水(温水)に含まれるリチウムからリチウムマンガン酸化物(Li+MnOx)を形成して沈殿する。
Li++H+MnOx→Li+MnOx+H+・・・(1)
沈殿したLi+MnOxは熱水貯留容器42にバルブ41を動作させて移動し、炭酸リチウムとして安定化させて回収される。詳細には、プールされた熱水(温水)は、所定濃度のNa2CO3が含有されるよう炭酸ナトリウム(Na2CO3)添加手段44からNa2CO3が添加されるとともに、撹拌手段45により穏やかに撹拌されNa2CO3が全体に行き届くようにする。また、Li+MnOxはHClを添加して、H+MnOxと再分離して、その後に炭酸リチウムとして回収される。これにより、反応式(2)及び反応式(3)が生じ、熱水(温水)に含まれるリチウムから炭酸リチウムとして安定化させて回収される。
Li+MnOx+HCl→H+MnOx+Li++Cl−・・・(2)
2Li++2Cl−+Na2CO3→Li2CO3+2NaCl・・・(3)
また、Li+MnOxにHClを添加して再分離したH+MnOxはマンガン酸化物添加手段33より熱水貯留容器32に回送される。また、NaClは環境に問題なければ還元井21から地中に戻してもよいし、ろ過装置で分離回収してもよい。
リチウム回収装置7からの熱水(温水)排出は、所定の時間(数10分程度)毎にバッチ式運用を行っても良いし、所定の滞在時間(数10分程度)を得られるような流量で排出されても良い。熱水貯留容器32、42のプールできる容積は、所定時間もしくは所定滞在時間を設けることが出来るような大きな容積を保有し、本実施形態では数10tonの熱水貯留容積となるよう、複数系統のリチウム回収装置7で構成している。
リチウムの回収にはイオン交換樹脂を利用するものがあるが、熱水(温水)を冷却してイオン交換樹脂のダメージを抑制する必要があるので、この際に残留している溶融性シリカが析出してイオン交換樹脂の性能を低下させるとともに寿命を短縮する。これに対して本実施形態は熱水(温水)のままでリチウムを回収することができるので、残留している溶融性シリカの析出がなく好ましい。
本実施形態に係る地熱利用システム101は、気水分離器にシリカ回収機能を付与した以外は、第1実施形態と同様の構成とされる。図2に、本実施形態に係る地熱利用システムの概略構成図を示す。同図において、第1実施形態と同様の構成は同じ符号を付与した。
界面活性剤添加手段104には界面活性剤が収容されており、地熱流体貯留容器103内に所定量の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤は、溶解性シリカの重合を促進させ得る化合物であり、カチオン高分子化合物が選択されることが好ましい。カチオン高分子化合物は、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(商品名:シャロール(登録商標) DC−902Pなど)などとされる。
2,102 気水分離器
3 第1発電部
4 第2発電部
5 シリカ回収装置
6 シリカライト合成炉
7 リチウム回収装置
8 生産井
9 蒸気タービン
10,15 復水器
11,16 冷却塔
12 蒸発器
13 熱媒タンク
14 熱媒蒸気タービン
17 熱媒
18 熱水経路
19 冷却水循環経路
20,31 ポンプ
21 環元井
22 還元経路
23 バルブ
24 熱交換部
25,32,42 熱水貯留容器
26,104 界面活性剤添加手段
27,34,45,105 撹拌手段
28,48,106 固形物収集手段
29,46,110 回転部材
30,47,111 網状ベルト
33 マンガン酸化物添加手段
38 加熱管
41 バルブ
43 HCl添加手段
44 Na2CO3添加手段
103 地熱流体貯留容器
107 地熱流体供給口
108 蒸気排出口
109 熱水排出口
Claims (7)
- 生産井からの地熱流体を気水分離器により蒸気及び熱水に分離し、前記分離した蒸気を利用してタービンを駆動させ発電を行い、前記分離した熱水を還元井から地下に還元する地熱利用システムであって、
界面活性剤を添加する界面活性剤添加手段、及び、沈降した固形物を収集する固形物収集手段を有し、地下に還元する前の前記分離した熱水からシリカ成分を回収するシリカ回収装置と、
鋳型剤及び前記シリカ回収装置で回収されたシリカ成分からシリカライトを合成するシリカライト合成炉と、
を備え、
前記シリカライト合成炉の反応熱源として、前記生産井からの地熱流体を利用した加熱手段を有する地熱利用システム。 - 前記界面活性剤添加手段から添加される界面活性剤が、カチオン高分子化合物である請求項1に記載の地熱利用システム。
- 前記鋳型剤が、結晶化調整剤または構造規定剤である請求項1または請求項2に記載の地熱利用システム。
- マンガン酸化物を用いたイオン交換酸化物法により前記シリカ回収装置を経由した熱水からリチウムを炭酸リチウムとして回収するリチウム回収装置を更に備え、
前記リチウム回収装置が、
前記シリカ回収装置を経由した熱水にマンガン酸化物を添加し、前記熱水からリチウムマンガン酸化物を生成させるマンガン酸化物添加手段と、
前記リチウムマンガン酸化物に炭酸ナトリウムを添加する炭酸ナトリウム添加手段と、
沈降した固形物を収集する固形物収集手段と、
を備える請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地熱利用システム。 - 前記気水分離器が、界面活性剤を添加する界面活性剤添加手段、及び、沈降した固形物を収集する固形物収集手段を備える請求項1または請求項2に記載の地熱利用システム。
- 生産井からの地熱流体を気水分離器により蒸気及び熱水に分離し、前記分離した蒸気を利用してタービンを駆動させ発電を行い、前記分離した熱水を還元井から地下に還元する地熱利用システムにおいてシリカライトを合成する方法であって、
界面活性剤を添加する界面活性剤添加ステップ、及び、沈降した固形物を収集する固形物収集ステップを有し、地下に還元する前の前記分離した熱水からシリカ成分を回収するシリカ回収工程と、
鋳型剤、及び、前記シリカ回収工程で回収されたシリカ成分を、前記生産井からの地熱流体を利用した加熱手段により加熱し、シリカライトを合成する合成工程と、
を備えるシリカライト合成方法。 - 生産井からの地熱流体を気水分離器により蒸気及び熱水に分離し、前記分離した蒸気を利用してタービンを駆動させ発電を行い、前記分離した熱水を還元井から地下に還元する地熱利用システムにおいて炭酸リチウムを回収する方法であって、
マンガン酸化物を用いたイオン交換酸化物法により、請求項6に記載のシリカ回収工程を経た熱水からリチウムを炭酸リチウムとして回収するリチウム回収工程を備え、
前記リチウム回収工程が、
前記シリカ回収工程を経た熱水にマンガン酸化物を添加し、前記熱水からリチウムマンガン酸化物を生成させるマンガン酸化物添加ステップと、
前記リチウムマンガン酸化物に炭酸ナトリウムを添加する炭酸ナトリウム添加ステップと、
沈降した固形物を収集する固形物収集ステップと、
を備える炭酸リチウム回収方法。
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