JP5849381B2 - 室内残響音低減システム - Google Patents

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本発明は、高い吸音効果を持ち、室内に配置しても室内の環境を圧迫せず、室内にいる聴者との配置関係において、本来は室内の壁面で反射を繰り返して生じる残響音を効果的に低減し、聴者が残響音を感得しにくくする室内残響音低減システムに関するものである。
音楽はストレス解消法として身近な存在であり、音楽を楽しむ者が増えている。従来は家庭やオフィス内の室内において音楽が流れているだけでも満足感が得られていたが、近年の生活水準の向上に伴い、家庭やオフィス内の室内においても高品質な音を楽しむ環境が求められている。たとえ室内で個人的な楽しみとして休息または自由な時間・余暇を楽しむだけであっても、高品質な音質環境を実現する室内空間が求められている。
また、近年の生活水準の向上に伴い、家庭やオフィス内の室内においてインテリア志向が高まっている。心身ともにリラックスするために身体を預けるソファは必須のアイテムでありデザインや機能性も求められている。
従来技術において、吸音効果を持ち残響音を低減する素材として厚い繊維が知られている。そこで、厚い絨毯を床面に敷いたり厚いカーテンを窓から離して吊したりするなどの方法が知られている。
厚い絨毯や厚いカーテンは室内に配置しても室内の環境を圧迫せず、むしろ室内環境を快適にし、インテリア性にも優れているため有効な対策の一つと言える。しかし、それでは決して吸音効果が十分に発揮されるとは言えないものであった。
そこで、吸音効果が高い素材を壁面上に仕上げた、いわゆる「吸音パネル」と言われるものが知られている。
吸音パネルには様々なものが知られているが、例えば、特開2003−293326号公報の吸音パネルが知られている。図13に示すように、特開2003−293326号公報の吸音パネルは、繊維強化プラスチック製遮音パネル部と、吸音部と、繊維強化プラスチック製有孔パネル部の少なくとも三層構造からなることを特徴とする繊維強化プラスチック製複合パネルとされている。繊維強化プラスチック製遮音パネル部は、相対する繊維強化プラスチック製スキン部材間に芯材を内包するサンドイッチ構造体のものや、繊維強化プラスチック製単板に縦横両方向またはいずれか一方向に実質的に一体化された繊維強化プラスチック製補強部材を有するスチフナ構造体のものが開示されている。また、吸音部は多孔質材料であることが開示されている。
また、特開2006−095115号に開示された什器が知られている。
特開2006−095115号に開示された什器は、講義室等の室内で使用されるものであって、図14に示すように、音源から放射される音波を略反射する什器本体と、この什器本体に着脱可能に取り付けられた吸音パネルを備えた構造となっている。什器としては学校で使用される机などが例示されている。吸音部材を什器本体における前板などに露出させて取り付けた例が開示されている。このように、室内の机などの什器に吸音パネルを貼り付けることにより、室内に特別な音響対策工事を不要としつつ室内全体の残響時間をコントロールするものである。
特開2003−293326号公報 特開2006−095115号公報
しかし、上記従来技術には様々な問題があった。
例えば、特開2003−293326号公報に開示された吸音パネルは、吸音効果自体はそれなりに認められておりその効果が見込めるものと言えるが、板状のものであって壁面に設置することが前提となっている。音響は本来無指向性で拡散するものであり、スピーカーなどでは音響はスピーカーの背面方向よりも前面方向に大きなエネルギーで放射されるものの、音の拡がりや重厚感を出す必要性もあり、音響が空間内の周囲に拡散するようになっている。不要な残響音はその周囲に拡散した音が周囲の壁面から反射して返ってくるものであるため、壁面に設置する吸音パネルにて不要な残響音を一定程度に抑制するためには、周囲の壁面の大きな面積を占める程度に吸音パネルを多数配設する必要が生じてしまう。吸音パネルは一般には機能重視でデザイン性に欠けるため、室内の居住環境の悪化を招くこととなり、吸音パネルを一般家庭や一般オフィスに多数枚設置することは現実的ではない。
次に、特開2006−95115号に開示された什器は、室内の机などの什器に吸音パネルを貼り付けることにより残響音を抑制するものである。これは室内の居住環境の悪化を招くことは少ないと言える。しかし、同号には、什器本体において、通常の使用状態で使用者が触れ得る領域を避けるように吸音パネルを露出させること、また、物品を配置する領域を避けるように吸音パネルを露出させることが開示されており、そのような条件に合致する什器の面積はそう大きくないと言える。例示されている机の前板はその条件に合致する領域ではあるが、吸音パネルタイプの吸音材にて残響音を低減するにはやはりその面積は小さいものと言わざるを得ない。
そこで、上記問題に鑑み、本発明は、デザイン性や趣向性の高い室内空間に吸音性能を付加したい場合において、従来の性能重視の壁面型吸音パネルを用いればどうしても生じてしまうデザインミスマッチや室内の居住環境の悪化やストレス増加を招くことなく、デザイン性の優れた室内空間を維持しつつ、効果的に室内の残響音を抑制することができる室内残響音低減システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の室内残響音低減システムは、特別な音響的考慮がなされていない室内に設置されるものであって、室内に設置される可座物を利用した室内残響音低減システムである。その構成は、座部と、背もたれ部と、聴者が座る前記座部内部の空間に挿入され、前記聴者に対する上下方向の音波に対向して吸音するよう充填された上下方向吸音部材と、前記聴者がもたれる前記背もたれ部内部の空間に挿入され、前記聴者に対する前後方向の音波に対向して吸音するように充填された前後方向吸音部材を備え、前記上下方向吸音部材および前記前後方向吸音部材それぞれにおいて、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材との2層構造とし、前記第1の吸音材と前記第2の吸音材の界面を斜面として相互に楔形に組み合わせたことを特徴とするものである。
上記構成により、室内において存在することに違和感がなく、居住環境の悪化を招くことなくストレスのない室内空間に仕上げつつ効率的に残響音を抑制することができる。特に、聴者に対して少なくとも上下方向と前後方向という直交する2方向で吸音部材によって適切に吸音することにより効率的に残響音を抑制できる。いずれも聴者に対して近くに配設され、かつ座面・背もたれ部分に直交して配置されるため、聴者を包み込むように吸音材が配置されることとなり、効果的に聴者が感得し得る残響音を抑制することができる。
また、室内残響音低減システムでは使用する吸音材が多くなるが、吸音材は高価であり、その有用成分の密度に応じてコストが増大する。そこで、コストを低減しつつ大きな室内残響音低減効果が得られる工夫が求められる。発明者は、吸音材は後背空気層を持つことによって吸音効果を上げることができるという事実を踏まえ、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さな第2の吸音材との組み合わせを鋭意研究し、密度の大きな第1の吸音材に対して密度の小さい第2の吸音材を空気層と見立て、その空気層の形を第2の吸音材の構造によって保持すること、そして、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材の組み合わせの界面を斜面として相互に楔形に組み合わせる工夫に至った。この工夫によって、特に残響音として影響の大きい音の周波数帯において、音の吸収率が向上する構造を開発し、その特殊構造を組み込んだ室内残響音低減システムを得た。
このように楔形に組み合わせて残響音低減効果が高まることは、音は一つの媒体から他の媒体へ伝搬して行く際にその境界面で反射吸収が起こるが、本発明の室内残響音低減システムでは内部に多数の境界面が存在することとなり、反射吸収が多くなることが考えられる。
ここで、上下方向吸音部材とは聴者が座る座部内部の空間に挿入されたものであり、一例としてはソファの座部の内部に仕込まれた吸音性能を備えた部材である。利用者がソファに座れば利用者の腰の下方に配設されており、室内で利用者に対して上下方向に伝播する音を効果的に捉える。もっとも上下方向吸音部材はシート状のものではなく幅・奥行き・高さを持った立体的なものが好ましく、利用者の足元において前後方向に流れる音や左右方向に流れる音も上下方向吸音部材を通過する音波であれば有効にその残響音を低減させる効果がある。
特に、上下方向吸音部材において、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材を組み合わせ、それらの界面を斜面として相互に楔形に組み合わせることにより、残響音として影響の大きい音の周波数帯において音の吸収率が向上する。例えば、第1の吸音材と第2の吸音材の2層構造として、座部の上面側に第1の吸音材を配し、座部の底面側に前記第2の吸音材を配した構造とすることができる。
また、前後方向吸音部材とは聴者が座る背もたれ部内部の空間に挿入されたものであり、一例としてはソファの背もたれ部内部に仕込まれた吸音性能を備えた部材である。利用者がソファに座れば利用者の背中の後方に配設されており、室内で利用者に対して前後方向に伝播する音を効果的に捉える。もっとも前後方向吸音部材はシート状のものではなく幅・奥行き・高さを持った立体的なものが好ましく、利用者の背中後方において上下方向に流れる音や左右方向に流れる音も前後方向吸音部材を通過する音波であれば有効にその残響音を低減させる効果がある。
特に、前後方向吸音部材において、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材を組み合わせ、それらの界面を斜面として相互に楔形に組み合わせることにより、残響音として影響の大きい音の周波数帯において音の吸収率が向上する。例えば、背もたれ部の前面側に第1の吸音材を配し、背もたれ部の背面側に第2の吸音材を配した構造とすることができる。
また、さらに、上記構成に加え、前記聴者が座る前記座部および前記聴者がもたれる前記背もたれ部の横に設けられた肘掛部と、前記聴者が肘掛ける前記肘掛部内部の空間に挿入され、前記聴者に対する左右方向の音波に対向して吸音するよう充填された左右方向吸音部材を備えた構成とすることもできる。
上記構成により、聴者に対して少なくとも上下方向と前後方向と左右方向という直交する3方向で吸音部材によって適切に吸音することにより効率的に残響音を抑制できる。
ここで、左右方向吸音部材とは聴者が座る肘掛部内部の空間に挿入されたものであり、一例としてはソファの肘掛部内部に仕込まれた吸音性能を備えた部材である。利用者がソファに座れば利用者の両脇に配設されており、室内で利用者に対して左右方向に伝播する音を効果的に捉える。もっとも左右方向吸音部材はシート状のものではなく幅・奥行き・高さを持った立体的なものが好ましく、利用者の左右付近において上下方向に流れる音や前後方向に流れる音も左右方向吸音部材を通過する音波であれば有効にその残響音を低減させる効果がある。
特に、左右方向吸音部材において、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材を組み合わせ、それらの界面を斜面として相互に楔形に組み合わせることにより、残響音として影響の大きい音の周波数帯において音の吸収率が向上する。肘掛部の内面側に第1の吸音材を配し、肘掛部の外面側に第2の吸音材を配した構造とすることができる。
また、さらに、上記構成に加え、前記聴者がもたれる前記背もたれ部の上に配置されたヘッドレスト部と、前記聴者が頭を載せる前記ヘッドレスト部内部の空間に挿入され、前記聴者の後頭部付近に配置する後頭部領域吸音部材を備えた構成とすることもできる。
また、さらに、ヘッドレスト部において、上部の両端に突起体を設け、突起体の中に耳周辺領域吸音部材を充填させた構造とすることもできる。
上記構成により、聴者に対して少なくとも上下方向と前後方向と左右方向という直交する3方向のみならず、聴者の頭付近に近接して吸音部材が配置されるため、聴者を包み込むように吸音材が配置されることとなり、さらに効果的に聴者が感得し得る残響音を抑制することができる。
ここで、後頭部領域吸音部材とは聴者が頭を載せるヘッドレスト部内部の空間に挿入されたものであり、一例としてはソファに外付けで据え付けるヘッドレスト内部に仕込まれた吸音性能を備えた部材である。利用者がソファに座って頭をヘッドレストに載せれば利用者の後頭部付近に配設されており、室内で利用者の耳元に伝播する音を効果的に捉える。もっとも後頭部領域吸音部材はシート状のものではなく幅・奥行き・高さを持った立体的なものが好ましい。
ヘッドレストとしては、背もたれ部上部に固定されたものでも良く、分離可能なものでも良い。
なお、上下方向吸音部材が挿入された座部および前後方向吸音部材が挿入された背もたれ部を1対に備えたものを単体の可座物とし、室内において、それら可座物を複数個配置することに違和感がない場合、複数個配設することができる。たとえ聴者が1人であっても、複数個の可座物を室内に配置することにより、室内に存在する吸音部材の面積・体積は増えるため、残響音低減効果は増大する。また、聴者を取り囲む吸音部材の配置箇所や配置方向が多様となるため、聴者が感得し得る残響音が低減する。
また、さらに、左右方向吸音部材が挿入された肘掛部を備えた可座物の場合も複数個配置すればさらに残響音低減効果が大きく得られる。
また、さらに、後頭部領域吸音部材が挿入されたヘッドレスト部を備えた可座物の場合も複数個配置すればさらに残響音低減効果が大きく得られる。
可座物としては、座部がソファ座部、背もたれ部がソファ背もたれ部となったソファータイプの家具、また、座部が椅子座部、背もたれ部が椅子背もたれ部となった椅子タイプの家具などを挙げることができる。
ソファータイプの家具、椅子タイプの家具は、概ね室内で中央付近に配置しても違和感がなく、吸音部材を室内の中央付近に配設することにより、効率的に室内の残響音を低減することができる。
吸音部材の吸音効果は、吸音部材の面積が大きいことが重要であるが、体積や高さも関係する。さらに、聴者との位置関係も影響がある。さらに、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材を組み合わせ、それらの界面を斜面として相互に楔形に組み合わせることにより、残響音として影響の大きい音の周波数帯において音の吸収率が向上する。本発明において、それら要素を所定条件となるように設計すれば効果的に残響音を低減できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の室内残響音低減システムの実施形態を説明する。ただし、本発明の技術的範囲は以下の実施形態に示した具体的な用途や形状・寸法などには限定されない。
図1は本発明の室内残響音低減システム100の構成例を簡単に示す図である。図1では内部の構造が分かりやすいように、本発明を理解する上で必要な部材のみを図示しており、他の一部の部材については図示していない場合もある。
なお、室内は、特別な音響的考慮がなされていない普通の家屋の室内や、普通のオフィスの室内を想定している。
図1の構成例では、室内残響音低減システム100は、ソファータイプのものであり、座部110、上下方向吸音部材120、背もたれ部130、前後方向吸音部材140、肘掛部150、左右方向吸音部材160を備えたものとなっている。
なお、この構成例では、背もたれ部130の上端面の高さと肘掛部150の上端面の高さが略同一になっているが、これはデザインの一例であり、背もたれ部130の上端面の高さが肘掛部150の上端面の高さより高いデザインなど他のデザインも可能であることは言うまでもない。
座部110は、図1に示した構成例では、筐体である座部本体フレーム111と、座部本体フレーム111の少なくとも上面に配置されたクッション材112と、クッション材の上面であって利用者が腰掛け得る座面113と、座部110全体の表面を覆う布地や革地などの被覆材114と、筐体である座部本体フレーム111の内部空間115を備えたものとなっている。座部110の構造は一例であって、いわゆる通常のソファが備える構造であっても良い。
一例として、座部110として、その幅が1600mm、その奥行きが635mm、その高さが420mmのものを用意した。なお、ソファの構造上、座部110と背もたれ部130の交差箇所はどちらの部分に分類するかは、その呼び方、分類の仕方による(つまり、座部110の上に背もたれ部130が立設されていると見るか、背もたれ部130は底面まで立設されたものでありその前に座部110が配設されていると見るか)。ここでは、フレームとしては、背もたれ部130は底面まで立設されたものでありその前に座部110が配設されているものとして説明する。
次に、上下方向吸音部材120は、塊状の吸音部材を略矩形上に成形したものであって、聴者が座る座部110の座部本体フレーム111の内部空間115に挿入されるものであり、聴者に対する上下方向の音(いわゆる頭方向、下腹方向から来る音)に対向して吸音するよう配設されたものとなっている。
上下方向吸音部材120は吸音性に優れた素材を用いて成形したものであれば良く、その形を自由に成形できるものであれば従来の吸音性素材を採用することができる。この実施例では、一例として市販されているグラスウール素材の繊維系断熱材を用いた。一般にグラスウール繊維系断熱材には高い吸音効果があることが知られており、ここでもグラスウール繊維系断熱材を吸音材として用いた。一例として高密度のものとして96kg/mのタイプと、低密度のものとして32kg/mのタイプの2種類を組み合わせた。この実施例では図1に示すように、両者の界面を斜めにして互いに楔形で組み合されている。なお、楔形の組み合わせ方は複数通りあり得るが、ここで示された界面はその一例である。なお、図面上は楔形の組み合わせが1つしかないが、実際には後述する図9のように多数の楔形の組み合わせを設けることは可能である。
この実施例では、この2層の組み合わせたものの全体の幅が500mm、奥行きが750mm、高さを160mmに成形したものを3個用意し、座部本体フレーム111の内部空間115に収まるように3個横に並べて配設した。なお、ここでは、上下方向吸音部材120の奥端の一部が背もたれ部130の内部空間135の内部に突き出ているものとして説明する。そのため、前後方向吸音部材140は上下方向吸音部材120の上に立設するように配設されている)。
ちなみに上記サイズでは上下方向吸音部材120の水平断面積は、500mm×750mm×3個≒1.1mとなっている。上記例は2人掛け用であるが、1人掛け用であれば単純に0.55mとなる。実際には聴者の下方に0.4m以上あれば或る程度の吸音効果が期待できる。
ソファのクッション材やシートなどの部材の厚みを考えても、上下方向吸音部材120と座面113に座る聴者との間隔は100mm以下に近接することとなる。
図2は、図1の構成において上下方向吸音部材120を挿入する箇所を分かりやすく示した図である。座部110の内部が分かりやすいように、座部110は輪郭のみを示し、内部の上下方向吸音部材120をハッチングで示したものとなっている。高密度のものと低密度のものでハッチングの種類を分けている。また、側面図は内部の構造が分かりやすいように、肘掛部150を省略している。図2に示すように、座部本体フレーム111の内部空間115を埋め尽くすように上下方向吸音部材120が敷き詰められている。
次に、背もたれ部130は、筐体である背もたれ部本体フレーム131と、背もたれ部本体フレーム131の少なくとも前面に配置されたクッション材132と、クッション材132の上面であって利用者が背もたれる背もたれ面133と、背もたれ部130全体の表面を覆う布地や革地などの被覆材134と、筐体である背もたれ部本体フレーム131の内部空間135を備えたものとなっている。背もたれ部130の構造は一例であって、いわゆる通常のソファが備える構造であっても良い。
一例として、背もたれ部130として、その幅が1600mm、その奥行きが165mm、その高さが700mmのものを用意した。つまり、フレームとしては、背もたれ部130は底面まで立設されたものでありその前に座部110が配設されているものとして説明する。
なお、ヘッドレスト部170があるものについては、実施例2以降で説明する。
次に、前後方向吸音部材140は、塊状の吸音部材を略矩形上に成形したものであって、聴者が背もたれる背もたれ部130の背もたれ部本体フレーム131の内部空間135に挿入されるものであり、聴者に対する前後方向の音(いわゆる胸腹方向、背中方向から来る音)に対向して吸音するよう配設されたものとなっている。
前後方向吸音部材140は吸音性に優れた吸音素材を用いて成形したものとし、ここでは、上下方向吸音部材120と同じ吸音材を用いた。この実施例では、上下二段(前後方向吸音部材140aと前後方向吸音部材140b)に分け、それぞれにおいて、高密度のものとして96kg/mのものと、低密度のものとして32kg/mのものの2種類を組み合わせて形成した。この実施例では図1に示すように、両者の界面を斜めにして互いに楔形で組み合されている。なお、楔形の組み合わせ方は複数通りあり得るが、ここで示された界面はその一例である。なお、図面上は楔形の組み合わせが1つしかないが、実際には後述する図9のように多数の楔形の組み合わせを設けることは可能である。
この実施例では、この2層の組み合わせた状態で上段のものとして幅が500mm、奥行きが80mm、高さが300mmのものを3個用意し、下段のものとして幅が500mm、奥行きが160mm、高さが170mmのものを3個用意し、背もたれ部本体フレーム131の内部空間135に収まるように3個それぞれを横に並べて配設した。
なお、上下方向吸音部材120の奥端の一部が背もたれ部130の内部空間135の内部に突き出ているので、前後方向吸音部材140は上下方向吸音部材120の上に立設するように配設されている。つまり背もたれ部130の高さが700mmのところ、上段の前後方向吸音部材140aの高さ300mm、下段の前後方向吸音部材140bの高さ170mm、上下方向吸音部材120の高さ160mmの合計630mmの吸音材が充填されていることとなる。
ちなみに上記サイズでは前後方向吸音部材140の垂直横断面積は500mm×(300mm+170mm)×3個≒0.7mとなっている。上記例は2人掛け用であるが、1人掛け用であれば単純に0.35mとなる。実際には聴者の後方に0.25m以上あれば或る程度の吸音効果が期待できる。
ここで、ソファのクッション材やシートなどの部材の厚みを考えても、前後方向吸音部材140と背もたれ部130にもたれる聴者との間隔は100mm以下に近接することとなる。
図3は、図1の構成において前後方向吸音部材140を挿入する箇所を分かりやすく示した図である。背もたれ部130の内部が分かりやすいように、背もたれ部130は輪郭のみを示し、内部の前後方向吸音部材140をハッチングで示したものとなっている。高密度のものと低密度のものでハッチングの種類を分けている。また、側面図は内部の構造が分かりやすいように、肘掛部150を省略している。図3に示すように、背もたれ部本体フレーム131の内部空間135において、上段と下段の2つのパーツが埋め込まれるように前後方向吸音部材140aおよび前後方向吸音部材140bが挿入されている。
次に、肘掛部150は、筐体である肘掛部本体フレーム151と、肘掛部本体フレーム151の少なくとも上面に配置されたクッション材152と、クッション材152の上面であって利用者が肘を掛ける肘掛面153と、肘掛部150全体の表面を覆う布地や革地などの被覆材154と、筐体である肘掛部本体フレーム151の内部空間155を備えたものとなっている。肘掛部150の構造は一例であって、いわゆる通常のソファが備える構造であっても良い。
一例として、肘掛部150として、その幅が200mm、その奥行きが800mm、その高さが700mmのものを用意した。また、この例では、右肘掛部と左肘掛部の中心部同士の間隔が1800mm、右肘掛部と左肘掛部の対向し合う面同士の間隔は1600mmである。
次に、左右方向吸音部材160は、塊状の吸音部材を略矩形上に成形したものであって、聴者が肘掛ける肘掛部150の肘掛部本体フレーム151の内部空間155に挿入されるものであり、聴者に対する左右方向の音(いわゆる横方向から来る音)に対向して吸音するよう配設されたものとなっている。
左右方向吸音部材160は吸音性に優れた素材を用いて成形したものであれば良く、この実施例では上下方向吸音部材120と同じ吸音材を用いて成形した。高密度のものとして96kg/mのものと、低密度のものとして32kg/mのものの2種類を組み合わせて形成したものとなっている。この実施例では図4に示すように、両者の界面を斜めにして互いに楔形で組み合されている。なお、楔形の組み合わせ方は複数通りあり得るが、ここで示された界面はその一例である。なお、図面上は楔形の組み合わせが1つしかないが、実際には後述する図9のように多数の楔形の組み合わせを設けることは可能である。
この実施例では、この2層の組み合わせた状態で幅が80mm、奥行きが750mm、その高さが620mmに成形したものを右肘掛部用と左肘掛部用に2個用意し、それぞれを左右の肘掛部本体フレーム151の内部空間155に収まるものとした。なお、内部空間155はこの左右方向吸音部材160が収まる容量の空間となっている。ちなみに上記サイズでは左右方向吸音部材160の垂直縦断面積は750mm×620mm×2個≒0.93mとなっている。上記例は2人掛け用であるが、1人掛け用であっても肘掛部は同じ大きさとなるため左右両方併せて0.93mとなる。実際には聴者の左右に合計0.5m以上あれば或る程度の吸音効果が期待できる。
ソファの幅や聴者の座る位置にもよるが、この例では、右肘掛部と左肘掛部の間隔が1600mmであることを鑑みれば利用者がどの位置に座っても左右方向吸音部材160と聴者との間隔は1600mm以下となる。
図4は、図1の構成において左右方向吸音部材160を挿入する箇所を分かりやすく示した図である。肘掛部150の内部が分かりやすいように、肘掛部150は輪郭のみを示し、内部の左右方向吸音部材160をハッチングで示したものとなっている。高密度のものと低密度のものでハッチングの種類を分けている。図4に示すように、肘掛部本体フレーム151の内部空間155を埋め尽くすように左右方向吸音部材160が挿入されている。
実施例1の室内残響音低減システム100を試作した。
図5は、試作したソファータイプの室内残響音低減システム100の外観を示す図である。座部110と背もたれ部130と肘掛部150の各構成が見える。外見はオーソドックスな落ち着きのある普通のソファとして仕上がっている。
図6は、試作した座部110、背もたれ部130および肘掛部150のフレーム例を示す図である。図6に示すように、座部110の座部本体フレーム111に内部空間115、背もたれ部130の背もたれ本体フレームに内部空間135、肘掛部150の肘掛部本体フレーム151に内部空間155が形成されている。これらの内部空間に上下方向吸音材120、前後方向吸音材140、左右方向吸音材160を挿入する。
上記のように構成したソファータイプの室内残響音低減システムを配置した室内200における音源210から発せられた音により生じ得る残響音を抑制する効果について検証した。
残響音等の測定については、鳥取県産業技術センターに計測を依頼して実験結果を得た。
検証は、2段階で行った。まず、室内環境に、ソファータイプの室内残響音低減システムの配置により、何も置かない環境や、従来型の吸音パネルが壁面に配置された環境よりも優れた残響音の低減効果があることを検証(第1の検証)し、次に、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材との2層構造とし、第1の吸音材と第2の吸音材の界面を斜面として相互に楔形に組み合わせることの効果を検証(第2の検証)した。
つまり、第1の検証では、まず、従来型の吸音パネルに対してソファータイプに組み上げること自体の効果を検証するため、比較に使用した従来型の吸音パネルに使用されている吸音材(32kg/m)と同じ吸音材(32kg/m)1層のみを充填したソファータイプのものを試作して検証に用いた。第二段階として、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材との2層構造として相互に楔形に組み合わせる効果は第2の検証として行う。
(第1の検証)
図7は、室内の環境を変えてその残響音の持続時間を比較した図である。
実験条件は、室内に何も置かない室内環境A、従来型の吸音パネルを壁面に設けた室内環境B、一般普及品のソファのみを配置した室内環境C、吸音材充填のソファータイプの室内残響音低減システムを配置した室内環境Dを用意し、音源から発する周波数が63kHから10000kHまでの周波数別の残響音の持続時間を調べた。
従来の吸音パネルは、谷水加工板工業株式会社製の吸音パネルを用いた。
図7に示すように、全体的に、室内に何も置かない室内環境Aでは残響音の持続時間がもっとも長くなっている。高周波領域では残響音はどのタイプでも短くなるものの、特に低周波領域では室内に何も置かない室内環境Aでは残響音の持続時間が顕著に長くなっている。
従来型の吸音パネルを壁面に設けた室内環境Bは、室内に何も置かない室内環境Aよりもすべての周波数領域において残響音が短くなっている。特に周波数400〜3000Hzあたりの中周波数領域では4つのタイプのうちもっとも残響音低減効果があることが分かった。しかし、ソファータイプの室内残響音低減システムを配置した室内環境Dに比べて大きな差はない。その一方、周波数60から400Hz程度の低周波数領域では、本発明と同じ外形を持つソファのみを配置した室内環境C、ソファータイプの室内残響音低減システムを配置した室内環境Dに比べて残響音が長く維持されてしまうことが分かった。
次に、同じ外形を持つソファのみを配置した室内環境Cは、ソファ表面の布地により音響エネルギーを吸収するものと考えられるが、吸音材充填ソファータイプの室内残響音低減システム100を配置した室内環境Dに比べてすべての周波数領域において残響音が長く維持されてしまうことが分かる。
次に、ソファータイプの室内残響音低減システムを配置した室内環境Dでは、周波数60から400Hz程度の低周波数領域では、4つのタイプのうち一番残響音持続時間の低減効果が大きいことが分かった。従来型の吸音パネルを壁面に設けた室内環境Bと比べても低周波数領域では低減効果が十分大きく、特に、周波数100Hz〜200Hz付近では残響音持続時間が半分近くまで低減できることが分かった。周波数400Hzから3000Hzあたり中周波数領域では従来型の吸音パネルを壁面に設けた室内環境Bの方が残響音反射の低減効果が大きいものの、その差はわずかである。
以上をまとめると、ソファータイプの室内残響音低減システムを配置した室内環境Dは、低周波数領域では優れた残響音低減効果が高く、中周波数領域以上においても、従来型の吸音パネルを壁面に設けた室内環境Bに比べてもほぼ同等近くの効果を発揮できることが分かった。
ソファータイプの室内残響音低減システムを用いるとすべての可聴周波数帯において残響音の反射を効果的に低減することができ、特に、低音領域の50Hz〜600Hzにおいて、従来型の吸音パネルに比べて顕著な優位性が見られる。
ソファータイプの室内残響音低減システムは室内に配置しても違和感なくまた室内環境を圧迫することがないため、従来の壁面型吸音パネルを用いればどうしても生じてしまうデザインミスマッチや室内の居住環境の悪化やストレス増加を招くことないという「デザイン性の優れた室内空間の維持」と、吸音性能により室内の残響音を効果的に低減する「残響音の低減効果」という2つの効果が得られることとなる。
ここで、ソファータイプの室内残響音低減システムを室内の中央付近に配置することにより達成できる残響音低減効果と、同様の効果を従来型の吸音パネル(谷水加工板工業株式会社製の吸音パネル580mm×850mm)を室内の壁面に敷き詰めることにより得ようとすると、どの程度の従来の吸音パネルの面積に相当するかを算出してみる。
残響時間は次の[数1]で与えられる。
一方、室内の吸音力は次の[数2]で与えられる。
また、[数1]と[数2]を組み合わせると[数3]が導ける。
[数1] 残響時間=(0.16×室全体の容積)/室全体の吸音力
[数2] 吸音力=吸音率×その表面積
[数3] 残響時間=(0.16×室全体の容積)/(吸音率×その表面積)
ここで、グラフの増減が一定でないため、一例として、ウーファー領域で中心的な周波数である160Hzの数値を取り出して比較を行う。
実験に用いた従来型の吸音パネルの吸音率の仕様は図8に示すものである。なお、仕様を計測したときの従来型の吸音パネルの合計表面積は7.78mであった。
当該吸音パネルの160Hzにおける吸音率は0.09である。
当該吸音パネルの160Hzにおける残響時間は図7(a)より11.07秒である。
これら数値を[数1]に入れると、室内の容積は、
室内容積=(11.07×7.78×0.09)/0.16=48.45m
実際の実験室の室内容積は正確に計測するのは難しいが、概ね正しい数値であった。
次に、ソファータイプの室内残響音低減システムの160Hzにおける残響時間は図7(a)より5.58秒である。
ここで、従来型の吸音パネルを敷き詰めることにより、ソファータイプの室内残響音低減システムと同等の残響時間5.58秒を達成するための想定表面積を[数3]より求めると、
想定表面積=(0.16×48.45)/(5.58×0.09)=15.43m
ここで、従来の吸音パネルの基本サイズは1枚あたり580mm×850mmのものとすると0.49mであるので、
15.43m/0.49m≒31
以上より、ソファータイプの室内残響音低減システムは、従来の基本サイズの吸音パネル31枚分相当の吸音効果を発揮することができることがわかった。
(検証2)
次に、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材との2層構造とし、第1の吸音材と第2の吸音材の界面を斜面として相互に楔形に組み合わせることの効果を検証する。
実験に用いた吸音材は、実施例1に示したグラスウール繊維系断熱材(96kg/m)を密度の大きな第1の吸音材とし、グラスウール繊維系断熱材(32kg/m)を密度の小さな第2の吸音材として用いた。
図9は、実験に用いた吸音材の構成を簡単に説明する図である。
図9(a)は、本発明の構造である第1の吸音材と第2の吸音材の界面を斜面として相互に楔形に組み合わせた2層構造である試験体Aを示す図である。下側に比較的密度の小さい第2の吸音材を配し、上側に比較的密度の大きい第1の吸音材を配し、両者を組み合わせている。
図9(b)は、比較対象とした構造を示す図である。比較対象としては、上下単純に積層した2層構造である試験体Bを選んだ。ただし、使用する第1の吸音材の量と第2の吸音材の量を図9(a)のものと同じ量、同じ比率とし、その2層の界面を平面になるようにした。
つまり、図9(a)の試験体Aおよび図9(b)の試験体Bの両者において、外形は同じで使用されている吸音材の種類と量も同じであるが、界面形状のみが異なっている試験サンプルとなっている。両者とも平面積は9.72m(900mm×1800mm×6ブロック)、厚みは100mmとなるサンプルとした。
上記のように構成した試験サンプルを音源210から発せられた音により生じ得る残響音を抑制する効果について検証した。
検証1と同様の方法で、鳥取県産業技術センターに計測を依頼して実験結果を得た。
図10は、検証2の実験結果を示す図である。
図10に示すように、両者の残響音を抑制する効果は、中音域から高音域にかけては両者に有意な違いは特段ないことが分かる。しかし、低音域、特に低音域ウーファースピーカーから出る中心音域となる200Hzあたりの周波数帯において、本発明の界面を楔形構造とした試験体Aの方が、単純に界面を積層構造とした試験体Bよりも残響音抑制効果が高くなっていることが分かる。
密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材との2層構造とし、界面を斜面として相互に楔形に組み合わせると一定の効果が得られる。
本発明の室内残響音低減システム100は、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材を組み合わせて製造コストを低減しつつ、検証1で得られたソファータイプへ組み上げた効果に加えて、検証2で得られた密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材の界面を楔形にした効果が盛り込まれたものとなっている。
実施例2は、ヘッドレストを追加し、そのヘッドレストの内部にも吸音部材を組み込んだ例である。
図11(a)は、ヘッドレスト部を簡単に示す図である。
図11(b)は、ヘッドレストを追加した本発明のソファータイプの室内残響音低減システム100を簡単に示す図である。
図11では、実施例1の構成に対してヘッドレスト部170が追加されている。ヘッドレスト部170以外の部材については実施例1と同様であるのでここでの説明は省略する。
ヘッドレスト部170は、聴者がもたれる背もたれ部の上に配置されるものである。この構成例ではヘッドレスト部170は外付けのものであり、支持フレーム171を背もたれ部130の表面とクッション200との間に挟みこむようにして支持し、ヘッドレスト部170が背もたれ部130の上方に位置するような仕組みとなっている。一例として、ヘッドレスト部170は幅450mm、縦断面の直径が100mmの円筒形のものとする。
ヘッドレスト部170の内部の空間には後頭部領域吸音部材180が充填されており、ちょうど聴者の後頭部付近で耳元に届く残響音を効率的に吸音するものとなっている。
この実施例2の後頭部領域吸音部材180の素材についても実施例1に示した上下方向吸音部材120と同じくグラスウール繊維系断熱材を吸音材として用いた。その幅を400mm、縦断面の直径を50mmの円筒形に成形し、ヘッドレスト部170の内部空間に収まるものとした。ちなみに上記サイズでは後頭部領域吸音部材180の垂直横断面積は400mm×50mm≒0.02mとなっている。
ヘッドレスト部170の直径と後頭部領域吸音部材180の直径の関係から、後頭部領域吸音部材180と聴者の耳元との間隔は25mmとなる。
ヘッドレスト部170は聴者の耳元にも近く、室内における音源から発せられた音により生じ得る残響音が耳に届くのを効率的に抑制することができる。
次に、ヘッドレスト部において、さらに、上部の両端に突起体172を設け、突起体172の中に充填された耳周辺領域吸音部材を備えた構造とした構成例を説明する。
図12は、オフィスチェアに連結されたタイプのヘッドレスト部170aの両端に突起体172aを設けた例である。この突起体172aの内部に耳周辺領域吸音部材が充填されている。
以上、本発明の室内残響音低減システムの実施例を説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
本発明は、残響音を効果的に低減して聴者が残響音を感得しにくくする室内残響音低減システムとして広く適用することができる。
本発明の室内残響音低減システム100の構成例を簡単に示す図である。 図1の構成において上下方向吸音部材120を挿入する箇所を分かりやすく示した図である。 図1の構成において前後方向吸音部材140を挿入する箇所を分かりやすく示した図である。 図1の構成において左右方向吸音部材160を挿入する箇所を分かりやすく示した図である。 試作したソファータイプの室内残響音低減システム100の外観を示す図である。 試作した座部110、背もたれ部130および肘掛部150のフレーム例を示す図である。 室内の環境を変えてその残響音の持続時間を比較した図である。 実験に用いた従来型の吸音パネルの吸音率の仕様を示す図である。 実験に用いた吸音材の構成を簡単に説明する図である。 実験に用いた従来型の吸音パネルの吸音率を示した図である。 実施例2にかかるヘッドレスト部およびヘッドレスト部を追加した実施例2にかかる室内残響音低減システム100を簡単に示す図である。 オフィスチェアに連結されたタイプのヘッドレスト部170の両端に突起体171を設けた例を示す図である。 従来技術の特開2003−293326号公報の吸音パネルを示す図である。 従来技術の特開2006−95115号公報に開示された什器を示した図である。
100 室内残響音低減システム
110 座部
111 座部本体フレーム
112 クッション材
113 座面
114 被覆材
115 内部空間
120a,b 上下方向吸音部材
130 背もたれ部
131 背もたれ本体フレーム
132 クッション材
133 背もたれ面
134 被覆材
135 内部空間
140a,b 前後方向吸音部材
150 肘掛部
151 肘掛け本体フレーム
152 クッション材
153 肘掛け面
154 被覆材
155 内部空間
160a,b 左右方向吸音部材
170 ヘッドレスト部
171 支持フレーム
172 突起体
180 後頭部領域吸音部材

Claims (8)

  1. 室内に設置される可座物を利用した、前記室内にある音源音により生じ得る残響音を抑制する室内残響音低減システムであって、
    座部と、
    背もたれ部と、
    聴者が座る前記座部内部の空間に挿入され、前記聴者に対する上下方向の音波に対向して吸音するよう充填された上下方向吸音部材と、
    前記聴者がもたれる前記背もたれ部内部の空間に挿入され、前記聴者に対する前後方向の音波に対向して吸音するように充填された前後方向吸音部材を備え、
    前記上下方向吸音部材および前記前後方向吸音部材それぞれにおいて、密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材との2層構造とし、前記第1の吸音材と前記第2の吸音材の界面を斜面として相互に楔形に組み合わせたことを特徴とする室内残響音低減システム。
  2. さらに、前記聴者が座る前記座部および前記聴者がもたれる前記背もたれ部の横に設けられた肘掛部と、
    前記聴者が肘掛ける前記肘掛部内部の空間に挿入され、前記聴者に対する左右方向の音波に対向して吸音するよう充填された左右方向吸音部材を備え、
    前記左右方向吸音部材も密度の大きな第1の吸音材と密度の小さい第2の吸音材との2層構造とし、前記第1の吸音材と前記第2の吸音材の界面を斜面として相互に楔形に組み合わせたことを特徴とする請求項1に記載の室内残響音低減システム。
  3. 前記第1の吸音材と前記第2の吸音材の2層構造として、前記座部の上面側に前記第1の吸音材を配し、前記座部の底面側に前記第2の吸音材を配した構造であり、前記背もたれ部の前面側に前記第1の吸音材を配し、前記背もたれ部の背面側に前記第2の吸音材を配した構造であることを特徴とする請求項1または2に記載の室内残響音低減システム。
  4. さらに、前記聴者がもたれる前記背もたれ部の上に配置されたヘッドレスト部と、
    前記聴者が頭を載せる前記ヘッドレスト部内部の空間に挿入され、前記聴者の後頭部付近に配置されるよう充填された後頭部領域吸音部材を備え、
    前記室内における音源から発せられた音により生じ得る残響音を抑制する請求項1から3のいずれか1項に記載の室内残響音低減システム。
  5. 前記ヘッドレスト部において、さらに、上部の両端に突起体を設けられ、前記突起体の中に充填された耳周辺領域吸音部材を備えた構造とした請求項4に記載の室内残響音低減システム。
  6. 前記可座物を単体の可座物とし、前記可座物を複数個組み合わせて前記室内に配設した請求項1に記載の室内残響音低減システム。
  7. 前記可座物がソファータイプの家具であって、
    前記座部がソファ座部、前記背もたれ部がソファ背もたれ部である請求項1からのいずれかに記載の室内残響音低減システム。
  8. 前記可座物が椅子タイプの家具であって、
    前記座部が椅子座部、前記背もたれ部が椅子背もたれ部である請求項1からのいずれかに記載の室内残響音低減システム。
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