JP5847606B2 - 食品試料中のアミラーゼ活性の分析法 - Google Patents

食品試料中のアミラーゼ活性の分析法 Download PDF

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Description

本発明は、澱粉及び/又は澱粉加水分解物を含有する食品試料中のアミラーゼ活性を高感度で分析する方法に関する。
澱粉を加水分解する酵素であるアミラーゼの活性の分析法としては、合成基質にアミラーゼを反応させ、基質分解物の発色スペクトルを検出する方法が知られている。
生体試料中でのアミラーゼ活性は診断指標として有用である。臨床検査のために用いられるアミラーゼ活性の分析法として、非特許文献1、特許文献1等に記載された方法が知られている。
これらの臨床検査を目的としたアミラーゼ活性分析法は、血液、膵液、唾液、尿などの生体試料中に高濃度に存在するアミラーゼ活性(典型的には1-1000 U/ml)を分析するために適した方法であるが、低濃度のアミラーゼ活性(例えば10-100 mU/mlの活性)を分析する方法としては適したものではない。
低濃度のアミラーゼ活性を高感度に検出する分析法としては、非特許文献2に記載されているような、アミラーゼ活性により蛍光発光性の基質分解物を生じる蛍光基質を使用する方法が知られている。
特許第3124435号公報
臨床化学 34巻,350-361頁,2005年「ヒト血清中酵素活性測定法の勧告法 α-アミラーゼ」 ライフテクノロジーズ社ウェブサイト製品取扱説明書「EnzChek Ultra Amylase Assay kit E33651」、インターネット <URL: http://www.invitrogen.jp/products/pdf/mp33651.pdf>
カレー、シチュー、スープ等の、澱粉の糊化により粘性が付与された澱粉含有食品にアミラーゼが混入すると、澱粉が加水分解されて粘度が低下し、品質が著しく損なわれるという問題がある。アミラーゼは、唾液、洗剤、蜂蜜、野菜、肉類、微生物等に存在しており、調理の段階で意図せず混入すると考えられる。
本発明者らは、澱粉含有食品の粘度が低下する問題が発生した場合には、原因究明のために、澱粉含有食品中のアミラーゼの混入の有無、アミラーゼの混入量を分析することが有用であると考えた。しかしながら、食品中でのアミラーゼ活性は10-100 mU/ml程度の低活性であるため、特許文献1、非特許文献1等に記載されているような臨床検査用の分析法を用いることはできない。
一方、非特許文献2等に記載されている蛍光基質を用いたアミラーゼ活性分析法を澱粉含有食品の分析に直接利用することはできない。なぜなら、澱粉又はその加水分解物は、蛍光基質のアミラーゼ活性による分解を競合的に阻害するからである。
そこで本発明は、澱粉又はその加水分解物を含有する食品試料中におけるアミラーゼ活性を分析する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、分析対象とする食品試料から、該食品試料中に存在し得るアミラーゼを含有する画分を、澱粉及び/又は澱粉加水分解物とは分離されるように取得することを含む方法によって、該食品試料中に存在し得るアミラーゼを含有し、澱粉及び/又は澱粉加水分解物を実質的に含有しないアミラーゼ活性測定用試料を調製し、該アミラーゼ活性測定用試料中のアミラーゼ活性を測定することにより、澱粉又はその加水分解物を含有する食品試料中における低いアミラーゼ活性を分析することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は具体的には以下の特徴を備える。
(1) 澱粉及び/又は澱粉加水分解物を含有する食品試料中のアミラーゼ活性を分析する方法であって、
分析対象とする食品試料から、該食品試料中に存在し得るアミラーゼを含有する画分を、澱粉及び/又は澱粉加水分解物とは分離されるように取得することを含む、該食品試料中に存在し得るアミラーゼを含有し、澱粉及び/又は澱粉加水分解物を実質的に含有しないアミラーゼ活性測定用試料を調製する工程1と、
アミラーゼ活性測定用試料中のアミラーゼ活性を測定する工程2と
を含む前記方法。
(2) アミラーゼ活性測定用試料における、澱粉及び澱粉加水分解物の合計濃度(澱粉としての換算濃度)が0.03重量%以下である、(1)の方法。
(3) 食品試料中のアミラーゼ活性が100 mU/ml以下である、(1)又は(2)の方法。
(4) 食品試料中の澱粉及び/又は澱粉加水分解が、糊化澱粉及び/又は糊化澱粉の加水分解物を含有する、(1)〜(3)のいずれかの方法。
(5) 食品試料が、糊化澱粉及び/又は糊化澱粉の加水分解物を含有する流動性食品である、(4)の方法。
(6) 工程1における前記画分の取得が、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム沈殿、親和性クロマトグラフィー、イムノクロマトグラフィー、及び、固定化酵素による澱粉の加水分解からなる群から選択される少なくとも1つの手段を用いて行われる、(1)〜(5)のいずれかの方法。
(7) 食品試料が無機塩類を更に含有し、且つ
工程1が、食品試料から無機塩類を除去することを更に含む
(1)〜(6)のいずれかの方法。
(8) 工程2が、
アミラーゼ活性測定用試料と、アミラーゼ活性の存在下で蛍光物質を遊離可能な基質とを反応させる工程2-1と、
工程2-1後の反応系から前記蛍光物質を分離する工程2-2と、
分離された蛍光物質を検出する工程2-3と
を含む、(1)〜(7)のいずれかの方法。
本発明によれば、従来アミラーゼ活性の分析が困難であった、澱粉又はその加水分解物を含有する食品試料中におけるアミラーゼ活性の分析が可能である。
図1は本発明のアミラーゼ分析法の手順の一実施形態を説明するための図である。 図2は本発明のアミラーゼ分析法における工程2の一実施形態を説明するための図である。
<アミラーゼ活性>
本発明において活性が分析される「アミラーゼ」とは、澱粉を加水分解する酵素の総称である。アミラーゼとしては具体的にα-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、グルコシダーゼ等が包含される。アミラーゼの起源は、ヒト及び動物類の唾液、洗剤、蜂蜜、野菜、肉類、微生物等が挙げられる。
アミラーゼ活性は、ユニット数により示すことができる。1分間に1μmolのグルコース当量を生成する酵素活性量を1単位とし、ユニット(U)で表す。
<食品試料>
本発明で分析対象として用いる食品試料は、澱粉及び/又は澱粉加水分解物を含有する食品試料であれば特に限定されない。
食品試料中に含まれる澱粉の種類は特に限定されないが、例えば、小麦、米、とうもろこし、馬鈴薯、甘藷、タピオカ、又は豆類に由来する澱粉が挙げられる。
澱粉加水分解物とは、食品調製時における加熱や、食品中に存在するアミラーゼ活性によって、澱粉が加水分解されて生じる生成物であって、単糖までは完全に分解されておらず依然としてアミラーゼによる加水分解反応の基質となり得る生成物を指す。
食品試料中の澱粉及び/又は澱粉加水分解物の濃度は、例えば、食品試料の全量に対して、両者の合計濃度が澱粉としての換算濃度で0.1〜15重量%、典型的には1〜5重量%であることができる。
なお、本発明では、澱粉及び澱粉加水分解物の合計濃度は、標準試料として澱粉を用いて作成された検量線に基づいて求められる、標準試料として用いた澱粉としての換算濃度を指す。澱粉及び澱粉加水分解物の合計濃度は、ヨウ素澱粉反応による発色を指標として評価することができる。標準試料として用いる澱粉は、どのような澱粉であってもよく、分析対象とする食品試料中の澱粉又は澱粉加水分解物の起源が既知の場合は同一起源の澱粉を標準試料として用いることができ、典型的には小麦澱粉である。分析対象とする食品試料中の澱粉又は澱粉加水分解物が、糊化澱粉又は糊化澱粉の加水分解物を含む場合には、同様の処理を施した糊化澱粉又は糊化澱粉の加水分解物を標準試料として用いることができる。
本発明の方法は特に、糊化澱粉及び/又は糊化澱粉の加水分解物を含有する食品試料の分析に適している。このような食品試料としては、典型的には、澱粉の糊化により粘性が付与された流動性食品が挙げられる。このような流動性食品はアミラーゼ活性による粘度の低下が特に問題視されており、本発明を適用する必要性が高い。糊化澱粉及び/又は糊化澱粉の加水分解物を含有する流動性食品としては、カレーソース、ホワイトソース、ポタージュ、トマトソース、デミグラスソース、粥や、これらの1つ以上と他の食品素材とを組み合わせて調理されたカレー、シチュー、スープ類、ハヤシ、グラタン、フィリング、パスタ、リゾット、麻婆豆腐等の食品が挙げられる。
水を基調とする流動性食品はそれ自体を食品試料として使用することができる。食品を適宜水等の溶媒で希釈したものや、粗大な成分を除去したものなどを、食品試料として使用してもよい。
食品試料は無機塩類を、食品試料全量に対して典型的には0.1〜3重量%、より典型的には0.8〜1.5重量%含有する。無機塩類としては、例えば食塩、塩化カリウム等が挙げられ、好ましくは食塩である。
本方法によれば、アミラーゼ活性が100 mU/ml以下という低活性の食品試料であっても、高精度でアミラーゼ活性の分析を行うことが可能である。本発明によるアミラーゼ活性の検出の下限は、典型的には食品試料あたり10 mU/mlである。
澱粉及び/又は澱粉加水分解物を含有する食品試料、糊化澱粉及び/又は糊化澱粉の加水分解物を含有する食品試料、無機塩類を上記のような高濃度で含有する食品試料、及び/又は、アミラーゼ活性が上記のように低い食品試料においてアミラーゼ活性を分析することは従来検討されていない。本発明者は驚くべきことに、このような、分析の妨げとなる条件を備えた食品試料であっても、以下の方法によりアミラーゼ活性を分析することが可能であることを見出した。
<工程1>
本発明の工程1は、食品試料中に存在し得るアミラーゼを含有し、澱粉及び/又は澱粉加水分解物を実質的に含有しないアミラーゼ活性測定用試料を調製する工程である。工程1は、分析対象とする食品試料から、該食品試料中に存在し得るアミラーゼを含有する画分を、澱粉及び/又は澱粉加水分解物とは分離されるように取得する工程を少なくとも含む。
本発明において「分析対象とする食品試料から、該食品試料中に存在し得るアミラーゼを含有する画分を・・・取得する」とは、食品試料中にアミラーゼが存在する場合には当該アミラーゼを含有することとなる画分を取得することを意味する。食品試料中にアミラーゼが存在しない場合には、取得された画分中にアミラーゼが含まれないことは当然である。同様に、「該食品試料中に存在し得るアミラーゼを含有」するアミラーゼ活性測定用試料は、食品試料中にアミラーゼが存在する場合には当該アミラーゼを含有する試料を指す。食品試料中にアミラーゼが存在しない場合には前記アミラーゼ活性測定用試料がアミラーゼを含有しないことは当然である。
工程1において「澱粉及び/又は澱粉加水分解物を実質的に含有しない」とは、最終的に調製されるアミラーゼ活性測定用試料の澱粉及び/又は澱粉加水分解物の含有量が、アミラーゼ活性測定を阻害しない程度に低いことを意味する。好ましい実施形態では、アミラーゼ活性測定用試料における澱粉及び澱粉加水分解物の合計濃度(澱粉としての換算濃度)は、0.03重量%以下、より好ましくは0.006重量%以下である。このような低濃度であれば、微弱なアミラーゼ活性を検出することが可能である。
以下、工程1について適宜図1を参照しながら詳述する。
工程1では、「分析対象とする食品試料から、該食品試料中に存在し得るアミラーゼを含有する画分を、澱粉及び/又は澱粉加水分解物とは分離されるように取得する」工程1-3を必須の工程とする。工程1-3で得られた画分はそれ自体をアミラーゼ活性測定用試料として使用しても良いし、該画分に、必要に応じて、水等の溶媒や、アミラーゼ安定化のための成分(例えばウシ血清アルブミン)等の他の成分を適宜添加してアミラーゼ活性測定用試料としてもよい。工程1は、必要に応じて、水不溶性成分を除去する工程1-1、塩類を除去する工程1-2、画分を安定化する工程1-4等の任意の工程を行うことができる。図1に示す工程1-1〜工程1-4の順序は一例であり、この順序には限定されない。
任意の工程1-1では、食品試料中の、糊化していない澱粉や、香辛料等に由来する粒子等の水不溶性成分を除去する。不溶性成分を除去は遠心分離、ろ過等の任意の固液分離手段を用いて行うことができる。食品試料を必要に応じて適宜、水等の溶媒で希釈したうえで、水不溶性成分を除去することもできる。
任意の工程1-2は、食品試料が食塩、塩化カリウム等の無機塩類を含有する場合に、食品試料から無機塩類を除去する工程である。無機塩類は、工程1-3における画分の取得、特に陰イオン交換クロマトグラフィー又は陽イオン交換クロマトグラフィーを用いた画分の取得の効率を妨げることがあるため、工程1-3よりも前に工程1-2を実施することが好ましい。無機塩類の除去は脱塩クロマトグラフィー(サイズ排除クロマトグラフィーとも呼ばれる)等の任意の無機塩除去手段を用いて行うことができる。
工程1-3は、食品試料中に存在し得るアミラーゼを含有する画分を、澱粉及び/又は澱粉加水分解物とは分離されるように取得する工程である。工程1-3の好適な実施形態では澱粉及び/又は澱粉加水分解物に加えて、食品試料に含まれる糖類等も除去された画分を取得することができる。工程1-3は酵素活性が損なわれないような条件で実施される限り任意の手段により行うことができる。
例えば、陰イオン交換クロマトグラフィーでは、食品試料(他の工程を経た処理物も包含する)を、陰イオン交換体に、存在し得るアミラーゼは吸着され、澱粉及び澱粉加水分解物は吸着されない条件において接触させて、陰イオン交換体に、存在し得るアミラーゼを吸着させる。次いで、吸着していない澱粉及び澱粉加水分解物を洗浄除去する。その後、陰イオン交換体から吸着成分を溶出させることにより、食品試料中に存在し得るアミラーゼを含有する画分を、澱粉及び/又は澱粉加水分解物とは分離して取得することができる。陰イオン交換体に対しては、食品組成物中の糖類も、澱粉及び澱粉加水分解物と同様の挙動を示すため、澱粉及び/又は澱粉加水分解物に加えて、食品試料に含まれる糖類の除去も可能である。陰イオン交換体としては、イオン交換基として4級アンモニウム基を有する強塩基型、ジエチルアミノエチル基(DEAE)などの1〜3級アミノ基を有する弱塩基型のどちらも使用することができるが、特に弱塩基型が好ましい。陰イオン交換体においてイオン交換基を保持する担体の種類は特に限定されず、無機担体でも有機担体でもよいが好ましくは有機担体である。有機担体を有する陰イオン交換体としては陰イオン交換樹脂が挙げられ、具体的な陰イオン交換樹脂としては東ソー株式会社製 DEAE-Toyopearl 650M、TSKgel DEAE-5PW等がある。
工程1-3を実施する他の手段としては、陽イオン交換クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム沈殿、親和性クロマトグラフィー、イムノクロマトグラフィー、固定化酵素による澱粉の加水分解除去等が挙げられる。複数の手段を組み合わせて工程1-3を実施してもよい。固定化酵素による澱粉の加水分解除去とは、ビーズ等の担体に固定化した澱粉分解酵素で食品試料中の澱粉及び/又は澱粉加水分解物をグルコースまで加水分解して、澱粉及び/又は澱粉加水分解物を実質的に含まないアミラーゼ含有画分を調製し取得する方法である。
植物の粉砕物等の、水不溶性の未糊化澱粉と、アミラーゼとを混合して含有する組成物から、アミラーゼを分離して取得することは一般的に従来から行われている。しかしながら、水可溶性である糊化澱粉及び糊化澱粉の加水分解物と、水可溶性であるアミラーゼとの混合系から、アミラーゼ含有画分を分離取得することは従来検討されていない。本発明者らは、上記の手段を用いることにより、可溶性である糊化澱粉又は糊化澱粉の加水分解物を含む食品試料からアミラーゼ含有画分を分離することが可能となることを見出した。
工程1-3で得られた画分はそれ自体をアミラーゼ活性測定用試料として使用しても良いし、該画分に、必要に応じて、水等の溶媒や、アミラーゼ安定化のための成分(例えばウシ血清アルブミン)等の他の成分を適宜添加してアミラーゼ活性測定用試料としてもよい。好ましい実施形態では、任意の工程1-4として、工程1-3で得られた画分に、ウシ血清アルブミン水溶液を混合して酵素を安定化し、アミラーゼ活性測定用試料とする。
<工程2>
工程2は、アミラーゼ活性測定用試料中のアミラーゼ活性を測定する工程である。工程2を実施するための手段は特に限定されないが、アミラーゼ活性測定用試料中のアミラーゼ活性は通常は微弱であることから、アミラーゼ活性の存在下で蛍光物質を遊離することが可能な基質(以下「蛍光基質」ともいう)を用いることが好ましい。蛍光基質としては、BODIPY(商標)基が修飾された消光澱粉(未反応時は蛍光発光性を示さないが、アミラーゼ活性による反応生成物が蛍光発光性を示す澱粉)、ピリジルアミン基が修飾されたデキストリン等が挙げられる。
蛍光基質を用いた工程2の好適な実施形態を図2に示す。
この実施形態では工程2は、
アミラーゼ活性測定用試料と蛍光基質とを反応させる工程2-1と、
工程2-1後の反応系から、蛍光基質から遊離した蛍光物質を分離する工程2-2と、
分離された蛍光物質を検出する工程2-3と
を含む。
工程2-1を実施するための条件は、アミラーゼ活性測定用試料におけるアミラーゼ活性、蛍光基質の種類等の諸条件を考慮して適宜決定することができる。工程2-1における反応は、適当な時間経過後に、アセトニトリルの添加等の方法により酵素活性を失活させることにより停止させればよい。
食品試料から調製されるアミラーゼ活性測定用試料には、食品に由来する色素が含まることがあり、色素が蛍光物質の検出を妨げる場合がある。また、反応系に含まれる未反応の蛍光基質が蛍光物質の検出を妨げる場合がある。そこで、工程2-1後の反応系から、蛍光物質を分離する工程2-2を行うことが好ましい。工程2-2において蛍光物質を分離する手段は特に限定されないが、例えば、遠心分離、固相抽出カラム、高速液体クロマトグラフィー内の分離カラム等を用いることができる。固相抽出カラム及び高速液体クロマトグラフィー内の分離カラムとしては、C18炭化水素鎖等の疎水性基が結合した固相を用いる逆相クロマトグラフィー、親水性相互作用クロマトグラフィー (HILIC)、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー等の各種分離モードを用いたカラムを利用することができる。複数種類のカラムを組み合わせて使用してもよい。
工程2-3は分離された蛍光物質を検出する工程である。検出は蛍光検出器を備えたマイクロプレートリーダー、蛍光検出器を備えた先述の高速液体クロマトグラフィーなどの適当な手段を用いて行うことができる。
工程2で測定されたアミラーゼ活性測定用試料中のアミラーゼ活性に基づいて、食品試料中のアミラーゼ活性を評価することが可能である。
以下、具体的な実施形態に基づいて本発明を説明するが、本発明は以下の実施形態には限定されない。
<試料>
試料は1.1%食塩含有3%澱粉液、及びカレーソースを用意した。
1.1%食塩含有3%澱粉液は、食塩1.1%、小麦澱粉3%を含む水を5分間煮込んでスラリー状とし調製したものである。カレーソースは市販のカレー用ルウ10%を5分間煮込んだものであり、1.1%の食塩と3%の小麦澱粉を含む。各試料を小分けしてオートクレーブ121℃で15分間殺菌後に保存した。分析する前に、100℃水浴で5分間加熱した後、40℃水浴で30分間冷却した。
40℃の澱粉試料25 mlに添加用アミラーゼ(枯草菌(Bacillus subtilis), 111 U/mg固体、和光純薬工業製)溶液0.1 ml及び25% BSA溶液0.1 mlを加えて、3、10、30、100 mU/mlアミラーゼ及び0.1%BSAとなるようにした。直ちに40℃水浴中で30分間インキュベートして澱粉を加水分解した。これを分析試料とした。
試料ブランクは予めオートクレーブで失活したアミラーゼを澱粉試料に100 mU/ml相当を添加した。
<本発明のアミラーゼ活性分析法>
インキュベート直後の試料を20,000×gで10分間遠心分離、上清を5B濾紙でろ過した溶液を抽出液とした。
抽出液1.0 mlを脱塩カラムPD MiniTrap G-25、3.5mlゲル(GEヘルスサイエンス製)に負荷(溶出液は捨てた)、20 mM tris-HCl pH 8.0緩衝液(buffer A)を1.5 ml注入した。buffer Aの溶出液を陰イオン交換カラムDEAE -Toyopearl 650M, 1.5mlゲル(東ソー製)に負荷した(溶出液は捨てた)。buffer Aを6 ml注入して糖類、澱粉、澱粉加水分解物等を洗浄除去した(溶出液は捨てた)。次いで0.2 M食塩含有buffer A (buffer B) 4.0 mlを注入してアミラーゼを溶出して回収した。精製後のアミラーゼを安定化させるため溶出液1mlに25% BSA 4 μlを添加した(0.1% BSA)。精製後のアミラーゼを「アミラーゼ精製液」と称する。アミラーゼ精製液をアミラーゼ活性測定用試料として以下で用いた。
アミラーゼ精製液50μlを0.2 mg/ml DQ(商標)スターチ基質(BODIPY (商標) 基が修飾された蛍光基質, ライフテクノロジーズ製)50μlと混合し、室温、暗所で30分間反応させた。アミラーゼ100 mU/mlの試料から調製されたアミラーゼ精製液は緩衝液Bで1/2倍希釈してからDQ(商標)スターチ基質と反応させた。検量線用のアミラーゼ標準液0.75、2.5、7.5、12.5 mU/ml(試料中3、10、30、50 mU/ ml相当)は精製することなく蛍光基質と反応させた。
反応液にアセトニトリル100μlを加えて反応停止後、13,800×gで10分間遠心分離した。遠心後の上清200μlを固相抽出カラムBOND ELUTE C18 100 mg(アジレント製)に負荷した。20 mM酢酸アンモニウム水とアセトニトリルの1:1混合液で溶出し、溶出液の全量を1.0mlとした。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で蛍光基質分解物を測定した。測定条件を以下に記す。アジレント製1100シリーズHPLCに蛍光検出器及びカラムL-column2 C18(150mm、2.1mmID、3μm、化学物質評価研究機構製)を装着し、移動相として20 mM酢酸アンモニウム水とアセトニトリルを0.2 ml/分で送液した。検出波長はEx 502 nm、Em 512 nm。保持時間17分に蛍光基質分解物のピークを得た。測定された各試料のピーク面積から、ブランク試料のピーク面積を差し引いた面積を、各試料のピーク面積とみなした。アミラーゼ標準液のピーク面積に対するアミラーゼ添加試料のピーク面積の割合をアミラーゼ添加試料の回収率とした。
<競合阻害を及ぼす澱粉濃度の評価法>
(1) アミラーゼ精製液中の澱粉濃度を分析した。1.1%食塩含有3%小麦澱粉液に10 mU/mlとなるようにアミラーゼを添加、40℃で30分間インキュベートした分析試料を、上記の通り抽出、脱塩カラム、陰イオン交換カラムで精製した。アミラーゼ精製液50μlと2 mMよう素溶液50μlを混合し、マイクロプレートリーダー(DSファーマ製)、検出波長620 nmで測定した。検量線用の標準試料は0.0003〜0.03% 小麦澱粉液 (糊化したもの) を用いた。
(2) 競合阻害を及ぼす澱粉濃度を調べた。10 mU/mlアミラーゼを含む0.0003〜0.03% 小麦澱粉液 (糊化したもの) 50μlと0.2 mg/ml DQ(商標)スターチ基質50μlを混合し、室温、暗所で30分間反応させた。反応後の蛍光基質分解物をマイクロプレートリーダー、検出波長Ex 485 nm、Em 528 nmで測定した。
<従来のアミラーゼ活性分析法>
インキュベート直後の分析試料を0.2 mg/ml DQ(商標)スターチ基質50μlと混合し、室温、暗所で30分間反応させた。反応後の蛍光基質分解物をマイクロプレートリーダー、検出波長Ex 485 nm、Em 528 nmで測定した。
<結果>
<アミラーゼの回収率>
1.1%食塩含有3%澱粉液、カレーソースに添加したアミラーゼ活性の回収率を表1、表2にそれぞれ示した。本発明の分析法では、回収率は一般的な酵素実験の目安である50%を上回っており、分析試料中のアミラーゼの活性に応じた蛍光基質分解物の蛍光強度を測定することができた。本発明の分析法は、従来法では全く検出できなかった10-100 mU/mlのアミラーゼ活性を定量することができた。すなわち、本発明の分析法では、従来法とは異なり、アミラーゼと蛍光基質の反応を競合阻害する澱粉及び糖類、並びに、蛍光基質分解物の検出を阻害する未反応の蛍光基質及び食品由来の色素、の双方を除去したことで、澱粉含有食品中の低濃度のアミラーゼ活性を定量することが可能である。なお、100 mU/mlより高濃度のアミラーゼ活性を持つ澱粉含有食品が試料である場合は、試料を希釈してから蛍光基質反応させることで定量が可能である。
Figure 0005847606
Figure 0005847606
<競合阻害を及ぼす澱粉濃度>
(1) 10 mU/mlアミラーゼを含む分析試料の精製液中の澱粉濃度は0.006%であった。本分析法の精製は分析試料中の澱粉を十分に除去することができた。
(2) 10 mU/mlアミラーゼに澱粉を混在させたときのアミラーゼ回収率は、0.003% 澱粉では74%、0.03%澱粉では57%であった。よって、分析試料中の澱粉濃度を0.03%以下にまで除去すると、分析試料中のアミラーゼの活性を検出することができる。

Claims (7)

  1. 澱粉及び/又は澱粉加水分解物からなる成分を含有する食品試料中のアミラーゼ活性を分析する方法であって、
    分析対象とする食品試料から、該食品試料中にアミラーゼが存在する場合には該アミラーゼを含有することとなる画分を、前記成分とは分離されるように取得することを含む、該食品試料中にアミラーゼが存在する場合には該アミラーゼを含有し、前記成分を実質的に含有しないアミラーゼ活性測定用試料を調製する工程1と、
    アミラーゼ活性測定用試料中のアミラーゼ活性を測定する工程2と
    を含み、
    食品試料中の前記成分が、糊化澱粉及び/又は糊化澱粉の加水分解物を含有する
    前記方法。
  2. アミラーゼ活性測定用試料における、澱粉及び澱粉加水分解物の合計濃度(澱粉としての換算濃度)が0.03重量%以下である、請求項1の方法。
  3. 食品試料中のアミラーゼ活性が100 mU/ml以下である、請求項1又は2の方法。
  4. 食品試料が流動性食品である、請求項1〜3のいずれか1項の方法。
  5. 工程1における前記画分の取得が、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム沈殿、親和性クロマトグラフィー、イムノクロマトグラフィー、及び、固定化酵素による前記成分の加水分解からなる群から選択される少なくとも1つの手段を用いて行われる、請求項1〜4のいずれか1項の方法。
  6. 食品試料が無機塩類を更に含有し、且つ
    工程1が、食品試料から前記画分を取得するよりも前に、食品試料から無機塩類を除去することを更に含み、
    工程1における前記画分の取得が、陰イオン交換クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィーからなる群から選択される少なくとも1つの手段を用いて行われる、
    請求項1〜5のいずれか1項の方法。
  7. 工程2が、
    アミラーゼ活性測定用試料と、アミラーゼ活性の存在下で蛍光物質を遊離可能な基質とを反応させる工程2-1と、
    工程2-1後の反応系から前記蛍光物質を分離する工程2-2と、
    分離された蛍光物質を検出する工程2-3と
    を含む、請求項1〜6のいずれか1項の方法。
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