JP5846871B2 - 鉄の酸化方法及び鉄酸化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄の酸化方法及び鉄酸化装置に関する。
2価鉄を含有する酸性廃液として金属鉱山から発生する鉱山廃水がある。金属鉱山では、主として硫化鉱物を採掘するため、採掘後には黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱等の鉱物が残り、これらが地下水及び空気中の酸素と反応して酸性で2価鉄、更には重金属等を含んだ鉱山廃水が発生する。
この鉱山廃水は2価鉄が平均で1,000mg/L〜1,200mg/Lと多量に含まれている上に、pHが2〜3程度と低いため、そのまま公共用水域に放流することはできない。このような鉱山廃水を公共用水域に放流するには、含有されている2価鉄を分離除去する必要がある。
2価鉄の除鉄法としては、2価鉄を3価鉄に酸化し、水酸化第二鉄として沈澱除去する方法がある。例えば、特許文献1には、鉄酸化細菌によって2価鉄を3価鉄に酸化する鉄酸化工程を含む酸性抗廃水の処理方法が提案されている。また、鉄酸化細菌を含む処理槽に空気を吹き込むこと(曝気処理)についても記載されている。しかし、この提案に記載の方法によれば、鉄の酸化は可能なものの、曝気による鉄酸化物の撹拌及び酸化処理には大型のブロワーが必要になるため、動力コストがかかりすぎるのが現状である。
特開2005−58955号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、2価鉄含有水中の2価鉄を効率よく3価鉄に酸化することができる鉄の酸化方法及び鉄酸化装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 2価鉄含有水に鉄酸化細菌を添加し、曝気及び曝気をしつつ撹拌を行うことにより、2価鉄を3価鉄に酸化することを特徴とする鉄の酸化方法である。
<2> 曝気で導入した空気を撹拌によるせん断力で気泡化する前記<1>に記載の鉄の酸化方法である。
<3> 鉄酸化細菌により2価鉄含有水中の2価鉄を3価鉄に酸化する鉄酸化槽を有する鉄酸化装置であって、
ブロワーによる曝気、及び撹拌機による撹拌を行う鉄酸化槽を2つ以上有することを特徴とする鉄酸化装置である。
<4> ブロワーにより鉄酸化槽内に曝気のための空気を吹き込む空気導入口の開口径が、10mm〜40mmである前記<3>に記載の鉄酸化装置である。
<5> 空気導入口が撹拌機の撹拌翼の回転径の外周近傍に設けられている前記<4>に記載の鉄酸化装置である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、2価鉄含有水中の2価鉄を効率よく3価鉄に酸化することができる鉄の酸化方法及び鉄酸化装置を提供することができる。
図1は、本発明の鉄の酸化方法の一例を示す工程図である。 図2は、本発明の鉄酸化装置の一例を示す概略図である。 図3は、本発明の鉄酸化装置の他の一例を示す概略図である。
(鉄の酸化方法)
本発明の鉄の酸化方法は、2価鉄含有水に鉄酸化細菌を添加し、曝気及び曝気をしつつ撹拌を行うことにより、2価鉄を3価鉄に酸化することを特徴とする。
前記鉄の酸化方法は、バッチ処理及び連続処理のいずれにも適用できるが、処理効率の点から連続処理が好ましい。また、曝気及び撹拌を行う工程は、複数回繰り返して行うことが処理効率の点から好ましい。前記「曝気及び曝気をしつつ撹拌」には、先に曝気を行い続いて撹拌を行う態様、曝気と撹拌を同時に行う態様、及び先に撹拌を行い続いて曝気を行う態様のいずれも含まれる。
<2価鉄含有水>
前記2価鉄含有水としては、2価鉄を含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)金属鉱山から発生する鉱山廃水、(2)鋼板表面のスケール、汚れ、酸化膜、錆等を除去するため硫酸又は塩酸による鋼板の洗浄後の排水、(3)亜鉛めっき、錫めっき等により表面処理鋼板を製造する際の洗浄排水などが挙げられる。
前記2価鉄含有水中の2価鉄の濃度は、2価鉄含有水の種類などによって異なり一概には規定できないが、500mg/L〜2,000mg/Lが好ましい。
前記2価鉄含有水のpHは、2〜3が好ましい。
前記2価鉄含有水には、2価鉄以外に重金属を含んでいてもよい。前記重金属としては、例えば、銅、鉛、鉄、亜鉛、マンガン、カドミウム、アンチモン、ウラニウムなどが挙げられる。
<鉄酸化細菌>
前記2価鉄含有水に鉄酸化細菌を添加する。前記鉄酸化細菌の添加は、一度に行ってもよいが、数回に分けて行ってもよい。また、連続酸化処理を行う場合には、鉄酸化細菌を適宜補充することが好ましい。鉄酸化細菌の添加及び補充方法としては、鉄酸化細菌を用いたバクテリア酸化処理により生成する鉄酸化物を回収し、返送する方法が好適である。
前記鉄酸化細菌による2価鉄の酸化反応は、以下の式で表される。
Fe2+ + H+1/4O → Fe3+ + 1/2H
前記鉄酸化細菌としては、2価鉄含有水中で酸化力を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チオバチルス・フェロオキシダント(Thiobachillus ferrooxidans)などが挙げられる。これらの中でも、チオバチルス・フェロオキシダントが特に好ましい。チオバチルス・フェロオキシダントは、pH2〜3で生息し、酸化活性を有するので、pHが低い環境下で2価鉄を3価鉄まで迅速に酸化することができる。そして、3価鉄をpH3〜4として水酸化第二鉄として沈殿除去し、回収することができる。このpHでは、2価鉄含有水中に含まれる亜鉛、錫等の金属は水酸化物を作らないので、鉄のみを分離して回収できる。
前記チオバチルス・フェロオキシダントは、排水処理におけるシックナー槽などで発生する沈降殿物泥中に生息しているので、沈降殿物泥をそのまま添加することで鉄酸化細菌を添加することができる。
前記鉄酸化細菌の前記2価鉄含有水中への添加量は、2価鉄含有水中の2価鉄の濃度などに応じて適宜選択することができるが、例えば、反応槽内部のスラッジを60分間沈降させた時の安定堆積(SV60)が10v/v%〜20v/v%となるように添加することが最適である。
<曝気>
前記曝気とは、水を空気に曝し、水中に空気を供給することを意味し、本発明においては、ブロワーなどにより空気を鉄酸化槽内にそのまま吹き込むことを意味する。
前記ブロワー(送風機)としては、空気に圧力をかけて送り出すことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出圧が0.1kgf/cm〜1.0kgf/cmのものが好ましい。
前記ブロワーによる空気量は、処理水量と含有2価鉄濃度により決まる。空気量の効率は、0.3〜3m(air)/m(鉱水)/min/kg-Fe(II)が好ましい。前記効率が、0.3m(air)/m(鉱水)/min/kg-Fe(II)未満であると、鉄酸化細菌による鉄の酸化に必要な空気を補えなく、かつ鉄酸化槽内部のスラッジを混合できないため鉄を完全に酸化できなくなることがあり、3m(air)/m(鉱水)/min/kg-Fe(II)を超えると、余剰な曝気により動力費が嵩むことがある。
前記曝気を行いながら撹拌を行う。2価鉄含有水に鉄酸化細菌を添加した際には、撹拌を行わず曝気のみを行えばよい。
<撹拌>
前記撹拌に用いる撹拌機としては、曝気による空気をせん断できればよく、インペラ(撹拌翼)を有する撹拌機が好ましい。
前記撹拌機としては、空気をせん断するためのインペラと、2価鉄含有水を撹拌するためのインペラとに機能別としたもの用いてもよい。前記インペラとしては、例えば、プロペラ型、タービン型などが挙げられる。
前記曝気を行いつつ撹拌を行う。前記撹拌機のインペラの回転により曝気で導入した空気をせん断し、気泡化すると共に、生じた乱流により2価鉄含有水の撹拌が行われ、発生した気泡が鉄酸化槽内に拡散される。
本発明においては、撹拌機の撹拌によるせん断力で空気を気泡化するため、大小さまざまな直径の気泡が生じる。大径気泡は鉄酸化槽内の沈殿物と2価鉄含有水の撹拌を促進する。一方、小径気泡は鉄酸化細菌の栄養、又は鉄酸化に寄与する。気泡が小さすぎると、沈殿物が巻き上がらず、酸化効率が悪くなることがあり、気泡が大きすぎると、鉄酸化細菌への酸素供給効率が悪くなることがある。
前記撹拌機の回転数は、100rpm〜500rpmが好ましく、150rpm〜300rpmがより好ましい。前記回転数が、100rpm未満であると、空気のせん断が不十分となり、溶存酸素の増加が低下する結果となることがあり、500rpmを超えると、鉄酸化槽内部の沈殿物をせん断し、発生殿物の沈降性を低下させるため、沈殿物の回収に大型の設備を要する結果となることがある。
本発明の鉄の酸化方法は、ブロワーによる曝気及び曝気をしつつ、攪拌機による撹拌を行うことにより、ブロワーから吹き出される空気を大小さまざまな直径の気泡にせん断でき、2価鉄含有水の溶存酸素濃度を上昇させ、鉄酸化細菌による酸化効率を向上させることができる。
ここで、図1は、鉄の酸化方法の一例を示す工程図である。2価鉄含有水に鉄酸化細菌を添加した後、ブロワーによる曝気を行う。次いで、曝気及び撹拌を行うことにより、2価鉄を3価鉄に酸化する。酸化された3価鉄を水酸化第二鉄として析出させる。その後、凝集剤を添加し、酸化シックナーで沈殿させる。
酸化シックナーの鉄酸化沈殿泥中には鉄酸化細菌が存在しているので、得られた鉄酸化沈殿泥をそのまま鉄酸化細菌として添加することができる。
(鉄酸化装置)
本発明の鉄酸化装置は、鉄酸化細菌により2価鉄含有水中の2価鉄を3価鉄に酸化する鉄酸化槽を有してなり、ブロワー、撹拌機、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
前記ブロワー及び前記撹拌機としては、上述したものを用いることができる。
前記鉄酸化装置は、ブロワーによる曝気、及び撹拌機による撹拌を行う鉄酸化槽を2つ以上有する。曝気及び撹拌を行う鉄酸化槽の数は、鉄酸化装置の大きさ、処理能力等に応じて適宜調整することができるが、2つ〜5つが好ましい。前記曝気及び撹拌を行う鉄酸化槽の数が2つ以上であると、酸化効率が大幅に向上する。
ブロワーにより鉄酸化槽内に曝気のための空気を吹き込む空気導入口は、各鉄酸化槽の底部に設けられており、各鉄酸化槽の鉛直方向に空気を吹き込むことができる。なお、鉄酸化槽の上部から撹拌機の撹拌翼の回転径の外周近傍に空気導入管を配置して空気を導入することもできる。前記空気導入口は、1つに限られず複数個であってもよい。前記空気導入口の開口径は、10mm〜40mmが好ましい。前記空気導入口の開口径が、10mm未満であると、空気導入口が閉塞してしまうことがあり、40mmを超えると、発生する気泡が大きくなり、気泡の滞留時間が短く、酸素供給及びせん断が不十分となり、鉄の酸化効率が低下することがある。
前記空気導入口が撹拌機の撹拌翼の回転径の外周近傍に設けられていることが、鉄酸化沈殿泥を巻き上げ、撹拌する効果も生じる点から好ましい。
撹拌翼(インペラ)の回転径は、50cm〜100cmが好ましい。
ここで、図2は、本発明の鉄酸化装置の一例を示す概略図である。この図2の鉄酸化装置100は、S1〜S6の各鉄酸化槽を備えている。各鉄酸化槽S1〜S6は連続して通水可能に連結されており、連続酸化処理を行えるように構成されている。
まず、処理対象である2価鉄含有水はS1槽に導入され、S1槽からS2槽へはアンダーフロー、S2槽からS3槽へはオーバーフロー、S3槽からS4槽へはアンダーフロー、S4槽からS5槽へはオーバーフロー、S5槽からS6槽へはアンダーフローで順次通水できるように構成されている。
S4槽は、酸化シックナー10と連結されており、酸化シックナー10の鉄酸化沈殿泥を投入可能に構成されている。酸化シックナー10の鉄酸化沈殿泥中には、鉄酸化細菌(チオバチルス・フェロオキシダンス)が含まれている。
S5槽は5.5kWの撹拌機を配置している。S6槽は7.5kWの撹拌機を配置している。この実施形態では、撹拌機としては、回転径(直径)40cm、2段羽のスクリュー型の撹拌翼(インペラ)を用いている。各撹拌機の回転数は、260rpmである。
ブロワー11の作動により、S4槽、S5槽、及びS6槽の各鉄酸化槽に空気量3.3m/分で送風されるように構成されている。
ブロワーにより鉄酸化槽内に曝気のための空気を吹き込む空気導入口は、S4槽、S5槽、及びS6槽の各鉄酸化槽の底部に設けられており、ブロワーにより空気導入口から各鉄酸化槽の鉛直方向に空気を吹き込むことができる。この実施形態では、空気導入口が撹拌機の撹拌翼の回転径の外周近傍に設けられている。前記空気導入口の開口径は、23mmであった。
また、図3に示すように、鉄酸化槽15の上部から撹拌機12の撹拌翼14の回転径の外周近傍に空気導入管13を配置して空気を導入することもできる。
なお、図3に示すように、撹拌機の大きさ(撹拌翼14の回転径)は、鉄酸化槽15の容量に比べてかなり小さいので、曝気で導入した空気のせん断効果は高いが、撹拌機12による2価鉄含有水16の撹拌効果は小さい。
本発明の鉄の酸化方法及び鉄酸化装置により、2価鉄含有水中の2価鉄が3価鉄に酸化され、3価鉄を水酸化第二鉄として析出させる。その後、凝集剤などを添加し、シックナー槽で沈殿させてスラリーとし、このスラリーを脱水してケーキに加工することによって処理される。
本発明の鉄の酸化方法及び鉄酸化装置は、2価鉄含有水中の2価鉄を効率よく3価鉄に酸化することができるので、例えば、金属鉱山から発生する鉱山廃水、鋼板表面のスケール、汚れ、酸化膜、錆等を除去するため硫酸又は塩酸による鋼板の洗浄後の排水、亜鉛めっき、錫めっき等により表面処理鋼板を製造する際の洗浄排水などから2価鉄を除鉄するのに好適に用いられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実験例1)
撹拌機とブロワーを備えた50mの鉄酸化槽を用いて、下記条件で曝気における撹拌の有無の効果を確認した。
2価鉄の濃度1.05g/Lの2価鉄含有水を用い、ブロワーによる空気量が3.3m/分・槽、撹拌機(撹拌翼は直径40cm、2段羽のスクリュー型)が5.5kW、流入水が180m/hr、鉄酸化細菌(チオバチルス・フェロオキシダント)をSV60=10v/v%の条件で、24時間酸化処理試験を行った。
酸化処理試験後、以下のようにして、溶存酸素濃度及び2価鉄の濃度を測定した。結果を表1に示す。
<溶存酸素濃度の測定>
溶存酸素(DO)濃度の測定には、ハンディータイプの溶存酸素計(株式会社堀場製作所製、HORIBA OM 51−10)を用いた。溶存酸素は、鉄酸化槽液面下20cm程度となるように電極を浸漬し、測定を行った。
<2価鉄の濃度の測定>
2価鉄の測定用試料は採取後、直ちに密栓した。採取した試料は、1時間以内に過マンガン酸カリウムによる滴定法で2価鉄の濃度を測定した。滴定の終点は、着色により判断した。
表1の結果から、曝気と撹拌による通気せん断を行うと2価鉄含有水中の溶存酸素濃度が増え、2価鉄の濃度が減少することから、2価鉄が酸化されており、酸化効率が向上していることが分かった。即ち、溶存酸素濃度の増加は10%程度の差であるが、2価鉄の濃度の減少は30%程度の差となり、溶存酸素が効率良く、鉄酸化細菌により消費され、2価鉄の濃度が減少していることから、2価鉄が3価鉄に効率よく酸化されていることが分かった。
(実験例2)
撹拌機とブロワーを備えた50mの鉄酸化槽を用いて、下記条件で溶存酸素濃度と曝気における撹拌の有無の効果を確認した。
2価鉄を含まない水を用い、ブロワーによる空気量10m/分、撹拌機(撹拌翼は直径40cm、2段羽のスクリュー型)5.5kW、流入水180m/hr、鉄酸化細菌(チオバチルス・フェロオキシダント)のスラッジの返送なしの条件で、24時間酸化処理試験を行った。
酸化処理試験後、上記実験例1と同様にして、溶存酸素濃度を測定した。結果を表2に示す。
表2の結果から、曝気と撹拌による通気せん断を行うと、溶存酸素濃度が30%以上増えることが分かった。
実験例1及び実験例2の結果から、曝気と撹拌を併用することにより水中の溶存酸素濃度が顕著に増大することが分かった。
実験例1と実験例2では、溶存酸素濃度の上昇率が異なり、実験例1では変化が少なかった。実験例1のように鉄酸化細菌が添加されていると、鉄酸化細菌により2価鉄の酸化が促進され、酸素は2価鉄の酸化に消費されるため溶存酸素濃度の上昇は抑えられていた。このことから、曝気及び撹拌を行うことにより鉄酸化細菌による酸化効率が向上することが分かった。
(実施例1)
図2に示すS1〜S6の6つの鉄酸化槽を有する鉄酸化装置100を用いて、以下の条件で、2価鉄含有水の酸化実験を行った。
<2価鉄含有水>
処理対象である2価鉄含有水としては、柵原鉱山(岡山県)の鉱水を用いた。
2価鉄の濃度は1.05g/Lであり、3価鉄は含まれていなかった。2価鉄含有水の温度は300K(27℃)、pHは3であった。
<鉄酸化細菌>
鉄酸化細菌としては、チオバチルス・フェロオキシダンス(Thiobachillus ferrooxidans)を用いた。このチオバチルス・フェロオキシダンスは酸化シックナーの鉄酸化沈殿泥(比重2)中に含まれているので、鉄酸化沈殿泥ごとS4槽に投入(60m/hr)することにより鉄酸化細菌を添加した。
<鉄酸化装置>
図2に示すS1〜S6の各鉄酸化槽の容量は50mであり、各鉄酸化槽は連続して通水可能に連結されており、連続酸化処理を行えるように構成されている。
まず、処理対象である2価鉄含有水はS1槽に導入され、その流量は180m/hrであった。
S1槽からS2槽へはアンダーフロー、S2槽からS3槽へはオーバーフロー、S3槽からS4槽へはアンダーフロー、S4槽からS5槽へはオーバーフロー、S5槽からS6槽へはアンダーフローで順次通水できるように構成されている。
S1〜S3槽では酸化処理は行っておらず、S4槽〜S6槽の各槽における処理時間はそれぞれ0.25時間であり、合計0.75時間の酸化処理を行った。
S4槽は、酸化シックナー10と連結されており、酸化シックナーの鉄酸化泥を投入可能に構成されている。酸化シックナー10の鉄酸化沈殿泥中には、鉄酸化細菌(チオバチルス・フェロオキシダンス)が含まれている。
S5槽は、5.5kWの撹拌機12を配置している。S6槽は7.5kWの撹拌機12を配置した。撹拌機の撹拌翼は、直径40cm、2段羽のスクリュー型である。各撹拌機の回転数は、260rpmであった。
ブロワー11の作動により、S4槽、S5槽、及びS6層の各鉄酸化槽に空気量が3.3m/分で送風されるように構成されている。
ブロワー11により各鉄酸化槽内に曝気のための空気を吹き込む空気導入口は、各鉄酸化槽の底部に設けられている。この空気導入口から各鉄酸化槽内に鉛直方向に空気を吹き込むことができる。その際、空気導入口を撹拌機の撹拌翼の回転径の外周近傍に配置することにより、沈殿物を巻き上げ、撹拌する効果が生じる。この実施例1では、空気導入口の開口径は、23mmであった。
各鉄酸化槽における2価鉄の濃度を、実験例1と同様にして測定した。結果を表3に示す。
表3の結果から、2価鉄含有水が鉄酸化槽に通水しているだけのS1槽〜S3槽では、2価鉄濃度の変化はなく、2価鉄の酸化反応は生じていない。
S4槽では、鉄酸化細菌の添加と曝気を行っているので、2価鉄が3価鉄に20%程度酸化され、2価鉄濃度が減少した。
S5槽では、曝気と撹拌を行うことにより2価鉄の酸化が向上し、2価鉄濃度が顕著に低下し、初期の2価鉄の80%以上が酸化された状態となった。即ち、鉄酸化細菌の添加と曝気では20%程度の酸化であったものが、撹拌を行うと80%以上まで酸化されることが分かった。
S5槽〜S6槽では、2槽にわたって撹拌及び曝気を繰り返した結果、更に2価鉄の酸化が行われ、90%以上まで2価鉄を酸化することができた。
なお、酸化処理中に通気配管の閉塞はなく、長期間にわたり連続運転が可能であった。
(比較例1)
実施例1において、S5槽及びS6槽において撹拌を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、鉄酸化を行った。
各鉄酸化槽における2価鉄の濃度を、実験例1と同様にして測定した。結果を表4に示す。
表4の結果から、撹拌を行わなかった比較例1では、S5槽及びS6槽での2価鉄の濃度は、0.4g/L〜0.5g/Lであり、実施例1に比べて酸化効率が低かった。
(比較例2)
実施例1において、S5槽及びS6槽で鉄酸化細菌の添加と、微小気泡の通気(空気排出口が5mm以下となるように吐出口を加工した)を行った以外は、実施例1と同様にして、鉄酸化を行った。その結果、酸化処理中に通気配管が閉塞してしまい、2価鉄の酸化は一部できたが、継続的な実施は不可能であった。
本発明の鉄の酸化方法及び鉄酸化装置は、2価鉄含有水中の2価鉄を効率よく3価鉄に酸化することができるので、例えば、金属鉱山から発生する鉱山廃水、鋼板表面のスケール、汚れ、酸化膜、錆等を除去するため硫酸又は塩酸による鋼板の洗浄後の排水、亜鉛めっき、錫めっき等により表面処理鋼板を製造する際の洗浄排水などから2価鉄を分離除去するのに好適に用いられる。
10 酸化シックナー
11 ブロワー
12 撹拌機
13 空気導入管
14 撹拌翼
15 鉄酸化槽
16 2価鉄含有水
100 鉄酸化装置
S1〜S6 鉄酸化槽

Claims (5)

  1. 鉄酸化細菌により2価鉄含有水中の2価鉄を3価鉄に酸化する鉄酸化方法であって、
    2価鉄含有水に鉄酸化細菌を添加し、曝気する工程と、
    曝気をしつつ撹拌を行う工程と、
    曝気をしつつ撹拌を更に行う工程と、
    発生した沈殿物を回収する工程とを含み、
    前記曝気で導入した空気が、撹拌によるせん断力で気泡化され、
    前記鉄酸化細菌の添加が、60分間沈降させた時の安定堆積(SV60)が10v/v%〜20v/v%となるように前記沈殿物を添加することを含むことを特徴とする鉄の酸化方法。
  2. 曝気における空気の導入量が、0.3〜3m (air)/m (2価鉄含有水)min/kg−Fe(II)である請求項1に記載の鉄酸化方法。
  3. 鉄酸化細菌により2価鉄含有水中の2価鉄を3価鉄に酸化する鉄酸化槽を有する鉄酸化装置であって、
    2価鉄含有水に鉄酸化細菌を添加し、曝気する第1の鉄酸化槽と、
    ブロワーによる曝気、及び撹拌機による撹拌を行う2つ以上の第2の鉄酸化槽と、
    前記鉄酸化槽で発生した沈殿物を回収する酸化シックナーと、
    前記沈殿物を、60分間沈降させた時の安定堆積(SV60)が10v/v%〜20v/v%となるように前記第1の鉄酸化槽に添加する手段とを有し、
    ブロワーにより鉄酸化槽内に曝気のための空気を吹き込む空気導入口の開口径が、10mm〜40mmであり、
    空気導入口から導入された空気が、撹拌機の撹拌翼の回転によるせん断力で気泡化されることを特徴とする鉄酸化装置。
  4. ブロワーによる空気の導入量が、0.3〜3m (air)/m (2価鉄含有水)min/kg−Fe(II)である請求項3に記載の鉄酸化装置。
  5. 撹拌機の回転数が、100rpm〜500rpmである請求項3から4のいずれかに記載の鉄酸化装置。
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