JP5845133B2 - 通信制御システム及び通信制御方法 - Google Patents
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Description
慶應義塾大学理工学部情報工学科の寺岡研究室ではノード内におけるレイヤ間協調アーキテクチャとしてCEAL(Cross layer information Exchange between Arbitrary Layers)を提案している(例えば、非特許文献1参照。)。図5にCEALのアーキテクチャを示す。図において、PE11はISO(International Standardization Organization)のOSI(Open Systems Interconnection)のモデルで定義されているProtocol Entityであり、プロトコルを解釈実行する実体である。PE11は各レイヤに存在し、異なるレイヤのPE11間のデータ交換はレイヤの境界に存在するSAP(Service Access Point)17を介して行われる。これに対し、CEALではAE12(Abstract Entity)とILS(Inter−Layer System)13を導入している。AE12はPE11ごとに設けられ、PE11がもつプロトコル依存あるいはデバイス依存の制御情報を、プロトコルやデバイスに依存しない制御情報に変換する。そしてこの制御情報はILS13を介して任意のレイヤ間で交換される。
図8にCEALによる高速ハンドオーバの実行手順を示す(例えば、非特許文献2参照。)。まずL3とL2はL2−LinkStatusChanged.req/confおよびL2−LinkUp.req/confの交換を済ませておく(S301〜S304)。やがてリンクのシグナルレベルが閾値よりも低くなるとL2はL3にL2−LinkStatusChanged.indを送信する(S305)。L3はL2−PoAList.req/confにより使用可能なアクセスポイントのリストを得る(S306〜S307)。そしてL3は最適なアクセスポイントを選択し、L2にL2−LinkConnect.reqを送信してハンドオーバ実行を指示する(S308〜S309)。その後L2がハンドオーバを完了すると、L2−LinkUp.indがL3に送信される(S310)。その後L3はシグナリング処理を行い、ハンドオーバが完了する。
SCTP(Stream Control Transmission Protocol)はTCPの後継プロトコルとしてIETF(Internet Engineering Task Force)で標準化されたプロトコルである。TCPのコネクションに相当するものをSCTPではアソシエーションと呼ぶ。SCTPの1つのアソシエーション内には複数のパスを持つことができる。パスとはTCPのコネクションに相当するものと言える。そしてアソシエーション内の1つのパスをプライマリパスとして通信に使用し、他のパスをセカンダリパスとして障害対策のために未使用としておく。プライマリパスに障害が発生するとセカンダリパスの1つをプライマリパスとすることにより、通信を継続させることができる。この動作をフェイルオーバと呼ぶ。しかしSCTPの仕様ではパス障害をタイムアウトで検出することになっており、障害が発生してからSCTPがそれを検出するまでには30秒以上の時間を要する。
まず、図6に示すリンクレイヤ(L2)プリミティブに加えて図9に示すネットワークレイヤ(L3)プリミティブを定義した。図10において、Host−Aは2つのネットワークインタフェース、L2−1とL2−2、を持ち、最初はL2−1をプライマリパスに割り当ててHost−Bと通信している。するとL2−1のリンクに障害が発生し、これを検知したL2−1はL3(すなわちIP)にL2−LinkDown.indを送信する(S401)。するとL3はL4(すなわちSCTP)にL3−ReachabilityLost.indを送信する(S402)。L4は代替経路を知るため、L3にL3−Route.reqを送信する(S403)。L3はセカンダリパスとなっているL2−2とL2−LinkStatus.req/confを交換し、L2−2の状態を知る(S404)。この結果、L3はHost−Bに到達するにはL2−2を使用すれば良いことが分かるので、L3はこの情報を格納したL3−Route.confをL4に返す(S405)。L4はL2−2のパスをプライマリパスにすることを決定し、これをHost−BのL4(すなわちSCTP)に通知する。
IEEE 802.21(例えば、非特許文献4を参照。)はクロスレイヤ協調を利用して異種無線技術(たとえばWiFiやWiMAXなど)間でのスムーズなハンドオーバの実現を目的としたMedia Independent Handover Function(MIHF)を定義している。IEEE 802.21の参照モデルを図11に示す。MIHFは前述のCEALと同様にES、CS及びISを提供する。MIHFはMIH LINK SAPを介してリンクレイヤと制御情報を交換し、MIH SAPを介して上位レイヤプロトコルにリンクレイヤ情報を受け渡す。さらにMIHFはMIH NET SAPを介して他ノードのMIHFと制御情報を交換する。
・利用可能な無線ネットワークのリスト(IEEE802.11/16/22及びGSM(登録商標)等)
・リンクレイヤの情報(近隣のマップ)
・上位レイヤのサービス(ISP及びMMS等)
・IEEE 802.21は高速ハンドオーバを目的としており、汎用的なクロスレイヤアーキテクチャとはなっていない。
・IEEE 802.21はインフォメーションサーバを利用してさまざま情報をノードが取得することを想定しているが、インフォメーションサーバの詳細は規格の範囲外となっている。
・CEALは汎用的なクロスレイヤアーキテクチャだが、ノード内部での制御情報交換しか考慮していない。
複数ノードの備わる通信ネットワークを制御するための通信制御システムであって、
各ノードに備わり、ノードに関する情報を管理する知識ベース部と、
各ノードに備わり、ノード間で制御情報を送受信する制御情報送受信部と、
各ノードに備わり、各レイヤに共通の形式で表された自ノード内の各レイヤからの制御情報を交換するレイヤ間協調部と、
各ノードに備わり、前記レイヤ間協調部からの制御情報を取得し、当該制御情報の内容に応じてノードを指定して当該制御情報を前記制御情報送受信部へ出力するか又は前記知識ベース部へ出力するとともに、前記制御情報送受信部の受信した他のノードからの制御情報を取得し、当該制御情報の内容に応じてレイヤを指定して前記レイヤ間協調部へ出力するか又は前記知識ベース部へ出力するとともに、前記知識ベース部からの制御情報を取得し、レイヤを指定して前記レイヤ間協調部へ出力するか又はノードを指定して当該制御情報を前記制御情報送受信部へ出力するノード間協調部と、
を備え、
いずれかのノードの前記知識ベース部は、全ノードについてのノードに関する情報を提供する知識ベースサーバとして機能し、
前記ノード間協調部は、
前記制御情報として、自ノード内のいずれかのレイヤから、他ノード内の対象とするレイヤの情報の取得を要求するIN−ISプリミティブが前記レイヤ間協調部を介して入力されると、該IN−ISプリミティブを前記知識ベース部に出力し、前記知識ベース部に該IN−ISプリミティブを前記知識ベースサーバへの問い合わせ形式に変換させ、該変換されたIN−ISプリミティブを前記制御情報送受信部を介して前記知識ベースサーバを有するノードへ送信し、
前記知識ベースサーバを有するノードから、前記IN−ISプリミティブに対する応答を前記制御情報送受信部を介して受信すると、該受信した応答を前記レイヤ間協調部を介して前記IN−ISプリミティブの要求元のレイヤに出力することを特徴とする。
複数ノードの備わる通信ネットワークを制御するための通信制御方法であって、
各ノードは、ノードに関する情報を管理する知識ベース部と、ノード間で制御情報を送受信する制御情報送受信部と、レイヤ間協調部と、ノード間協調部とを備え、
前記レイヤ間協調部が、各レイヤに共通の形式で表された自ノード内の各レイヤからの制御情報を交換するレイヤ間協調手順と、
前記ノード間協調部が、前記レイヤ間協調部からの制御情報を取得し、当該制御情報の内容に応じてノードを指定して当該制御情報を前記制御情報送受信部へ出力するか又は前記知識ベース部へ出力するとともに、前記制御情報送受信部の受信した他のノードからの制御情報を取得し、当該制御情報の内容に応じてレイヤを指定して前記レイヤ間協調部へ出力するか又は前記知識ベース部へ出力するとともに、前記知識ベース部からの制御情報を取得し、レイヤを指定して前記レイヤ間協調部へ出力するか又はノードを指定して当該制御情報を前記制御情報送受信部へ出力するノード間協調手順と、
を順に有し、
いずれかのノードの前記知識ベース部は、全ノードについてのノードに関する情報を提供する知識ベースサーバとして機能し、
前記ノード間協調手順では、前記ノード間協調部が、
前記制御情報として、自ノード内のいずれかのレイヤから、他ノード内の対象とするレイヤの情報の取得を要求するIN−ISプリミティブが前記レイヤ間協調部を介して入力されると、該IN−ISプリミティブを前記知識ベース部に出力し、前記知識ベース部に該IN−ISプリミティブを前記知識ベースサーバへの問い合わせ形式に変換させ、該変換されたIN−ISプリミティブを前記制御情報送受信部を介して前記知識ベースサーバを有するノードへ送信し、
前記知識ベースサーバを有するノードから、前記IN−ISプリミティブに対する応答を前記制御情報送受信部を介して受信すると、該受信した応答を前記レイヤ間協調部を介して前記IN−ISプリミティブの要求元のレイヤに出力する
ことを特徴とする。
図1に、本実施形態に係る通信制御システムの一例を示す。本実施形態に係る通信制御システムは、複数のノード10の備わる通信ネットワークを制御するための通信制御システムである。本実施形態では、一例として、通信ネットワークが4つのノード10を備える場合を示し、さらに、ノード10のうちの第1のノード10が、(n−m)レイヤから(n+2)レイヤまでを有する例について示した。
レイヤ間協調手順では、各ノードにおけるAE12を用いて、各レイヤから出力された制御情報を、各レイヤに共通の形式で表された制御情報に変換し、ILS13へ出力する。
ノード間協調手順では、各ノードにおけるINS14を用いて、ILS13からの制御情報を、当該制御情報の内容に応じて、他ノード10に送信するか又はKBクライアント16へ問い合わせる。
第1のノード10内の(n+1)レイヤにおけるPE11は、あるノード(例えば第nのノード)との通信中に経路(パス)が切断した場合は即座にこのイベントを知りたいとする。(n+1)レイヤにおけるPE11はまずL3−PathStatChanged.reqを(n+1)レイヤにおけるAE12を介してILS13に発行する。このとき、引数としてパスの終点アドレス(この例では第nノードのアドレス)と知りたいパス状態の種類(この例ではパスの切断)を指定する。ILS13はこのL3−PathStat.Changed.reqの終点アドレスが別ノードであることを判別し、L3−PathStatChanged.reqをINS14に渡す。INS41はL3−PathStatChanged.reqを第nのノード10に向けて送信する。L3−PathStatChanged.reqは第1のノード10のL3制御プレーン15を介して第2のノード、第3のノード、・・・と第nのノードに向かって転送されていく。各ノード10では転送の際、L3制御プレーン15とINS14にこの要求が登録される。第nのノード10がL3−PathStatChanged.reqを受信すると、第nのノード10におけるINS14がL3−PathChanged.confを生成し、第1のノード10に返送する。L3−PathChanged.confはL3−PathChanged.reqが転送された経路の逆をたどって第1のノード10のL3制御プレーン15に到達し、最終的には(n+1)レイヤにおけるPE11に到達する。
第1のノード10の(n+2)レイヤのPE11は、あるノード(第nのノード10)への経路の中で、帯域が1Mbps、遅延が20ms以下の経路を知りたいとする。PE11はまずAE12を介してL3−PathStat.reqをILS13に発行する。このとき引数として終点アドレス(この例の場合は第nのノード10のアドレス)および取得したい情報(この例の場合は経路とその条件である帯域1Mbpsと遅延20ms)を指定する。ILS13はこのL3−PathStatの終点アドレスが他ノードであることを判別し、L3−PathStat.reqをINS14に渡す。INS14はさらにこれをKBクライアント16に渡す。KBクライアント16はL3−PathStat.reqの内容を知識ベース問い合わせ言語に変換し、第4のノード10に存在するKBサーバに向けて知識ベース問い合わせを送信する。この知識ベース問い合わせは第2のノード10を経て第4のノード10上のKBサーバに到達する。KBサーバは知識ベース問い合わせへの回答を生成し、第1のノード10上のKBクライアント16に送信する。
本実施形態では、図4に示すように、列車95に移動ルータ91が設置され、WiFiや3G無線技術などでインターネットに接続する場合を考える。移動ルータ91は車内にはWiFiによるLANを提供し、車内の携帯機器94は移動ルータ91を介してインターネットに接続する。列車95の移動により、移動ルータ91はハンドオーバしながら通信を継続する。たとえば移動ルータ91がWiFiアクセスルータ92のエリアから3Gアクセスルータ93のエリアにハンドオーバする際、ハンドオーバの前後で利用可能帯域が大きく減少する。このとき、携帯機器94のTCP(トランスポートレイヤ(L4))は利用可能帯域が大きく減少したことに気づかないため、ハンドオーバ前の状況での輻輳制御を行うため、無線リンクが輻輳してしまい、多くのパケットロスが発生することが考えられる。
11:PE
12:AE
13:ILS
14:INS
15:L3制御プレーン
16:KBクライアント
17:SAP
91:移動ルータ
92:WiFiアクセスルータ
93:3Gアクセスルータ
94:携帯機器
95:列車
96:通信相手
Claims (4)
- 複数ノードの備わる通信ネットワークを制御するための通信制御システムであって、
各ノードに備わり、ノードに関する情報を管理する知識ベース部と、
各ノードに備わり、ノード間で制御情報を送受信する制御情報送受信部と、
各ノードに備わり、各レイヤに共通の形式で表された自ノード内の各レイヤからの制御情報を交換するレイヤ間協調部と、
各ノードに備わり、前記レイヤ間協調部からの制御情報を取得し、当該制御情報の内容に応じてノードを指定して当該制御情報を前記制御情報送受信部へ出力するか又は前記知識ベース部へ出力するとともに、前記制御情報送受信部の受信した他のノードからの制御情報を取得し、当該制御情報の内容に応じてレイヤを指定して前記レイヤ間協調部へ出力するか又は前記知識ベース部へ出力するとともに、前記知識ベース部からの制御情報を取得し、レイヤを指定して前記レイヤ間協調部へ出力するか又はノードを指定して当該制御情報を前記制御情報送受信部へ出力するノード間協調部と、
を備え、
いずれかのノードの前記知識ベース部は、全ノードについてのノードに関する情報を提供する知識ベースサーバとして機能し、
前記ノード間協調部は、
前記制御情報として、自ノード内のいずれかのレイヤから、他ノード内の対象とするレイヤの情報の取得を要求するIN−ISプリミティブが前記レイヤ間協調部を介して入力されると、該IN−ISプリミティブを前記知識ベース部に出力し、前記知識ベース部に該IN−ISプリミティブを前記知識ベースサーバへの問い合わせ形式に変換させ、該変換されたIN−ISプリミティブを前記制御情報送受信部を介して前記知識ベースサーバを有するノードへ送信し、
前記知識ベースサーバを有するノードから、前記IN−ISプリミティブに対する応答を前記制御情報送受信部を介して受信すると、該受信した応答を前記レイヤ間協調部を介して前記IN−ISプリミティブの要求元のレイヤに出力する
ことを特徴とする通信制御システム。 - 前記ノード間協調部は、
前記制御情報として、他ノード内のいずれかのレイヤから、自ノード内の対象とするレイヤで発生したイベントの通知を要求するIN−ESプリミティブを前記制御情報送受信部を介して受信すると、該受信した前記IN−ESプリミティブに対応する要求を登録し、
登録されている前記要求に一致するイベントが発生すると、当該要求の送信元に向けた応答用の制御情報を生成し、前記制御情報送受信部を介して前記IN−ESプリミティブの要求元のノードに送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信制御システム。 - 複数ノードの備わる通信ネットワークを制御するための通信制御方法であって、
各ノードは、ノードに関する情報を管理する知識ベース部と、ノード間で制御情報を送受信する制御情報送受信部と、レイヤ間協調部と、ノード間協調部とを備え、
前記レイヤ間協調部が、各レイヤに共通の形式で表された自ノード内の各レイヤからの制御情報を交換するレイヤ間協調手順と、
前記ノード間協調部が、前記レイヤ間協調部からの制御情報を取得し、当該制御情報の内容に応じてノードを指定して当該制御情報を前記制御情報送受信部へ出力するか又は前記知識ベース部へ出力するとともに、前記制御情報送受信部の受信した他のノードからの制御情報を取得し、当該制御情報の内容に応じてレイヤを指定して前記レイヤ間協調部へ出力するか又は前記知識ベース部へ出力するとともに、前記知識ベース部からの制御情報を取得し、レイヤを指定して前記レイヤ間協調部へ出力するか又はノードを指定して当該制御情報を前記制御情報送受信部へ出力するノード間協調手順と、
を順に有し、
いずれかのノードの前記知識ベース部は、全ノードについてのノードに関する情報を提供する知識ベースサーバとして機能し、
前記ノード間協調手順では、前記ノード間協調部が、
前記制御情報として、自ノード内のいずれかのレイヤから、他ノード内の対象とするレイヤの情報の取得を要求するIN−ISプリミティブが前記レイヤ間協調部を介して入力されると、該IN−ISプリミティブを前記知識ベース部に出力し、前記知識ベース部に該IN−ISプリミティブを前記知識ベースサーバへの問い合わせ形式に変換させ、該変換されたIN−ISプリミティブを前記制御情報送受信部を介して前記知識ベースサーバを有するノードへ送信し、
前記知識ベースサーバを有するノードから、前記IN−ISプリミティブに対する応答を前記制御情報送受信部を介して受信すると、該受信した応答を前記レイヤ間協調部を介して前記IN−ISプリミティブの要求元のレイヤに出力する
ことを特徴とする通信制御方法。 - 前記ノード間協調手順では、前記ノード間協調部が、
前記制御情報として、他ノード内のいずれかのレイヤから、自ノード内の対象とするレイヤで発生したイベントの通知を要求するIN−ESプリミティブを前記制御情報送受信部を介して受信すると、該受信した前記IN−ESプリミティブに対応する要求を登録し、
登録されている前記要求に一致するイベントが発生すると、当該要求の送信元に向けた応答用の制御情報を生成し、前記制御情報送受信部を介して前記IN−ESプリミティブの要求元のノードに送信する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信制御方法。
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