JP5844383B2 - 酵素を産生するための方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酵素を産生するための方法に関する。とりわけ、本発明は発酵油脂(single cell oil)工程において酵素を産生するための方法および酵素を同じまたは他の工程で利用する方法に関する。
特定の微生物は、細胞内トリアシルグリセロール、発酵油脂を、適切な生理学的条件下蓄積することができる。この特性は、例えば化粧品および栄養的利用などの専門的な使用および付加価値の高い製品を主な目的として、発酵油脂を産生するために利用されてきた。現在まで、これらの目的のための発酵油脂の必要性は、低いかまたは中程度規模の製造工程であって、工程の経済性および製品の供給可能性が重要な役割を占めていない工程によって満たされてきた。
現在、輸送燃料の前駆体としての、化石原料の代替としての非化石原材料の使用に対する興味が高まっている。主要な課題は、発酵油脂の製造が大規模な水性の微生物工程に典型的な課題が避けられ得るように大きな規模で行われなければならないことであるように思われる。特徴的には発酵油脂製造工程は、大きなエネルギーインプットを必要とし、そして、大量の水性の副流および単細胞残渣(single cell debris)を製造する。したがって、超大規模な水性の微生物工程のための現在の技術は、経済的に実行可能であるとは思えず、かつ、環境問題に関するいくつかの問題を含んでいる。
炭水化物は地球上のバイオマスのもっとも豊富な単一の貯蔵物であり、そしてこれゆえ、大規模な発酵油脂製造のための唯一の現実的な基質である。リグノセルロースは、地球上で最も豊富な炭水化物源である。しかしながら、リグノセルロースまたは他の成分のバイオ材料は、それらを微生物にとって栄養素としておよび発酵油脂の供給源として利用可能にさせるために幅広い工程を必要とする。リグノセルロースバイオマスの処理に付随して、例えばリグニンなどの非発酵性の副流が生じるであろう。一方、発酵油脂製造工程それ自身が、かなりの量の栄養素を依然として含んでいる細胞マスおよび副流をもたらす。
様々な発酵工程の副供給流の再利用および全体の工程の経済性の改善が、先行技術におけるいくつかの刊行物に提案されてきている。発酵油脂製造の量的に最大の副流は、発酵排水および細胞からオイルを除去した後に残存する細胞残渣である。特許文献1は、ストラメノパイル界の微生物を増殖させることによる従属栄養発酵による生物学的オイルの製造を開示している。該刊行物は、脱脂されたバイオマスまたは加水分解されたバイオマスを微生物の培養のために使用される培地へリサイクルすることを提案している。
米国特許出願公開第2009/0064567号明細書
先行技術において直面する課題への解決法を提供することが本発明の1つの目的である。特には、本発明は発酵油脂の大規模製造において直面する課題への技術的に有用な解決法を提供することを目的とする。
特に、大規模な発酵油脂製造の経済性を向上させることが可能である解決法を提供することが本発明の1つの目的である。
大規模な発酵油脂製造によって引き起こされる環境的負荷を低減することができる解決法を提供することが本発明のさらに別の目的である。
本発明は、輸送用バイオ燃料の製造に関する問題を解決することを特に目的とする。
これらの目的を達成するために、本発明は、独立クレームに挙げられている特性によって特徴づけられる。他のクレームは発明のより好ましい実施態様を示している。
本発明による方法は、発酵油脂製造工程の副供給流が顕著な量の栄養素を含んでおり、例えばオイル産生微生物などの微生物のための炭素源として役立ち得るという発見に基づく。
驚くべきことに、発酵油脂製造工程の副供給流がまた、顕著な量のタンパク質、とりわけ酵素を含んでいることが発見された。したがって、微生物培養物またはその画分は酵素源として、または酵素調製物として、または酵素調製物の成分として使用され得る。
ある態様において、本発明は、発酵油脂(脂質)および酵素の両方を産生することのできる微生物を、脂質産生に適切かつ酵素産生に適切な条件下で培養することを含む、酵素を産生するための方法を提供し、そして、発酵油脂(脂質)および酵素が前記酵素によって産生される。
本発明の一実施態様において、微生物細胞および使用済み培養培地を含む微生物培養物は回収される。
本発明の別の実施態様において、上澄みおよび/または微生物細胞は微生物培養物から分離され、そして上澄みおよび/または細胞は回収される。
さらに本発明の別の実施態様において、タンパク質画分は微生物培養物中または上澄み中で富化され、そして、富化されたタンパク質画分が回収される。これは、例えば、微生物培養物または上澄みの水相(培養ブロース)を濃縮することなどによって達成され得る。
さらに本発明の別の実施態様において、微生物によって産生された細胞内酵素は、細胞の自己消化または誘発される溶解によって細胞から回収される。細胞から遊離された酵素は上澄みから採取され得る。
本発明の好ましい実施態様によれば、酵素は上澄みから回収される。培養培地に分泌されるまたは細胞溶解によって遊離される酵素は、細胞外であり、そして上澄みから回収され得る。
本発明のさらなる実施態様によれば、培養培地は、固体または半固体であり、そして酵素は水相へと導入され、そこから回収される。
本発明の様々な実施態様において、酵素は微生物培養物またはその画分から触媒的に活性な形で回収される。
本発明の一実施態様において、微生物培養物または触媒的に活性な酵素を含む液相は、同じバイオ技術的工程へと導入されるか、または、例えばポリマーバイオマスなどの、前記工程において使用されるフィードストックが、前記酵素を用いて前処理される。
本発明の別の実施態様において、微生物培養物または触媒的に活性な酵素を含む液相は、別の工程へと導入されるか、または、例えばポリマーバイオマスなどの、前記工程において使用されるフィードストックが前処理される。
本発明のさらなる一実施態様において、微生物培養物または微生物によって産生された酵素を含む液相は、酵素を産生することのできない微生物を使用するバイオ技術的工程へと導入されるか、または、例えばポリマーバイオマスなどの、前記工程において使用されるフィードストックが前処理される。
同じまたは別の工程は好ましくは発酵油脂産生工程である。
本発明の一実施態様によれば、工程は、フィードストックとしてポリマーバイオマスおよび/または例えばリグノセルロースなどのポリマー糖を使用する工程である。
別の実施態様において、タンパク質に富んだ、微生物培養物または上澄みの画分は、別の工業的工程へ導入されるか、または、別の工業的工程へと供給されるフィードストックを処理するために使用される。
別の実施態様において、タンパク質に富んだ、微生物培養物または上澄みの画分は、別のバイオ技術的工程へ導入されるか、または、別のバイオ技術的工程へと供給される例えばポリマーバイオマスおよび/またはポリマー糖などのフィードストックを処理するために使用される。
本発明のさらなる一実施態様において、微生物培養物中または上澄み中のタンパク質画分は、富化され、回収され、そして任意には精製され、安定化され、乾燥されおよび/または製剤化され、そして酵素調製物としてまたは様々な適用における酵素源として使用される。
本発明のさらなる一実施態様において、酵素は細胞内であり、そして、細胞から得られる。細胞内酵素は、回収され、そして任意には富化され、精製され、分離され、安定化され、乾燥されおよび/または製剤化される。
発酵油脂および酵素の産生における主な有利点は、発酵油脂産生のコスト効率および工程の副流と関連付けられる環境因子が大規模な発酵油脂製造との関連において考慮されることである。さらにまた、統合された工程はポリマーバイオマスのより効率的な利用をもたらし、一方、水性の発酵工程に典型的な副流の生物学的酸素必要量を減少させる。
本発明は、いくつかの経済的および環境的な有利点を提供する:
−リグノセルロース系材料または他のポリマー炭水化物バイオマスを含む材料の処理に関するエネルギーコストが、市販の酵素ならびに熱機械的および化学的処理の代わりに発酵油脂工程それ自身からの酵素を使用することによって低減される。
−発酵油脂産生発酵からの液体の残余物からの酵素タンパク質の除去は、発酵油脂産生から遊離される発酵液の生物学的酸素消費量を減少させる。
−細胞物質の除去の後、実質的に細胞を含まない発酵廃棄溶液は、再使用により適切である。
−発酵油脂工程の炭素バランスは、工程流において生物学的負荷を引き起こす代わりに、酵素タンパク質が減少し、または、発酵廃液から除去され、触媒的目的のために再使用され、または発酵油脂産生工程もしくは別の工業的もしくはとりわけバイオ技術的工程において栄養素として使用される場合に改善される。
−発酵溶液から回収される酵素は、微生物のポリマー化合物または微生物の構成成分の加水分解のために使用され得る。
−本発明の方法は、公知のおよび試験されたユニット操作ならびに工業的に応用可能な微生物種によって実行され得る。
−本発明は発酵油脂産生のためのリグノセルロース系材料の経済的および技術的有用性に寄与する。
工程スキームを示す図である。 加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのキシロースを示す図である。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。 加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのキシロースを示す図である。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。 加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのキシロースを示す図である。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。 加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのキシロースを示す図である。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。 加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのグルコースを示す図である。基質としては、1gのセルロースが使用された。 加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのグルコースを示す図である。基質としては、1gのセルロースが使用された。 加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのキシロースを示す図である。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。 加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのキシロースを示す図である。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。 加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのグルコースを示す図である。基質としては、1gのセルロースが使用された。使用された培養ブロース由来のヘミセルロースから、多少のキシロースが遊離された。 加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのグルコースを示す図である。基質としては、1gのセルロースが使用された。使用された培養物ブロース由来のヘミセルロースから、多少のキシロースが遊離された。 加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのキシロースを示す図である。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。 加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのキシロースを示す図である。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。 加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのグルコースを示す図である。基質としては、1gのセルロースが使用された。使用された培養ブロース由来のヘミセルロースから、多少のキシロースが遊離された。 加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのグルコースを示す図である。基質としては、1gのセルロースが使用された。使用された培養物ブロース由来のヘミセルロースから、多少のキシロースが遊離された。
本明細書において、「発酵油脂産生工程(a single cell oil production process)」とは、脂質合成微生物の生成またはその生成を可能にし、そして脂質を産生するおよび/または蓄える(store)(蓄積する(accumulate))ための生物マス(organism mass)を得ることを可能にする工程、液相から細胞を回収する工程、および細胞から脂質を抽出または回収する工程を含む工程を指す。本明細書中で後に開示されるように、様々な微生物群、例えばバクテリア、古細菌、真菌(糸状菌類)、酵母、および藻類などが発酵油脂産生微生物である。
本明細書中に記載されるように、本発明は、好ましくは脂質および酵素の両方を産生することが可能な微生物を使用する。本明細書のいくつかの実施態様において「微生物(a microorganism)」とは、2つまたはそれ以上の微生物を指す。ある実施態様では、酵素は1つの微生物によって産生され、そして発酵油脂(脂質)は別の微生物によって産生される。
用語「発酵油脂(single cell oil)」は、脂肪性物質であって、その分子が一般的に、脂肪族炭化水素鎖を部分的に含み、非極性有機溶媒に溶解するが水には溶解しにくい物質を意味する。発酵油脂は生体細胞における巨大分子の不可欠な一群である。発酵油脂としては例えば、脂質、脂肪、ワックス、ろうエステル、ステロール、テルペノイド、イソプレノイド、カロテノイド、ポリヒドロキシアルカノエート、核酸、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪アルデヒド、脂肪酸エステル、リン脂質、糖脂質、スフィンゴ脂質、および、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロールまたはモノアシルグリセロールなどのアシルグリセロールが挙げられる。
本発明における好ましい発酵油脂は、脂質、脂肪、ワックス、アシルグリセロールおよび脂肪酸ならびにその誘導体、特にはトリアシルグリセロールおよびろうエステルである。
本発明と関連して、「脂質(lipid)」は発酵油脂の同義語として使用される。
本発明の一態様において、脂質および酵素の両方を産生することが可能な微生物が、発酵油脂産生工程において脂質産生および酵素産生に適切な条件下で培養されることを含む、酵素を産生するための方法が提供される。微生物は脂質および酵素を産生することができる。発酵油脂(脂質)が微生物細胞および微生物培養物および/または培養培地またはその一部から回収されるか、または、微生物培養物および/または培養培地の様々な画分が酵素調製物としてまたは酵素源として使用される。
本発明の一実施態様において、微生物細胞および使用済み培養培地を含む微生物培養物の少なくとも一部が、酵素調製物としてまたは酵素源として使用される。
本発明の一実施態様において、微生物培養物もしくはその一部または上澄みもしくはその一部が、発酵油脂工程において再循環される。典型的には、10〜90%、好ましくは20〜80%、いくつかの実施態様では30〜70%、いくつかの実施態様では40〜60%、いくつかの実施態様では20〜50%の微生物培養物または上澄みが工程中で再循環され、好ましくは発酵油脂産生工程にまたはフィードストックの処理に戻されて再循環される。
別の実施態様において、上澄みおよび/または微生物細胞は、微生物培養物から分離され、そして、酵素調製物としてまたは酵素源として使用される。
上澄みとは実質的に細胞を含まない画分を表わしており、使用済み培養培地または培養物ブロースを含む。上澄みはまた、「発酵液(fermentation liquid)」または「液相(a liquid phase)」とも称され得る。
上澄みおよび細胞が完全に分離される必要はない。いくつかの実施態様において、上澄みは、1%〜50%の元々の微生物培養物の細胞を含む。いくつかの実施態様において、上澄みは、5%〜40%の、いくつかの実施態様では5〜30%の、いくつかの実施態様では10〜40%、または20〜30%、または40〜50%の元々の微生物培養物の細胞を含む。
いくつかの実施態様において、細胞画分は、1%〜50%の元々の微生物培養物の細胞を含む。いくつかの実施態様において、細胞画分はは、5%〜40%の、いくつかの実施態様では5〜30%の、いくつかの実施態様では10〜40%、または20〜30%、または40〜50%の元々の微生物培養物の細胞を含む。
上澄みおよび細胞の分離は、酵素の触媒活性を維持する任意の適切な方法によって行われ得る。
酵素の回収のための好ましい方法は、それによって微生物培養物、上澄みまたはそれらの任意の組み合わせが、当業者によって、その触媒活性を維持しながらの酵素の回収を達成するために処理され得るような方法である。
酵素は、微生物培養物、使用済み培養培地、上澄みおよび微生物細胞から、任意の公知のおよび適切な方法で、または将来において開発される任意の適切な方法で行われ得る。それによって所望の酵素活性を有する酵素を画分に分離し得るような方法についても同様のことが適用される。
それによって触媒的に活性な酵素(または複数の酵素)を含む、微生物培養物または上澄みまたは富化されたタンパク質画分が回収されるような方法は、それらの分子サイズ、イオン性の挙動、水への溶解度、種々の溶質の溶解性、または緩衝因子もしくは表面活性因子もしくは表面−活性化合物もしくは塩を含む溶質混合物中の溶解度に依存し得る。
酵素は、例えば遠心分離、ろ過、抽出、噴霧乾燥、エバポレーションまたは沈降などを含むがこれらに限定されるわけではない、様々な方法によって培養培地から回収され得る。
必要であれば、酵素は、クロマトグラフィー、電気泳動法、種々の溶解性、SDS−PAGE、または抽出などを含むがこれらに限定されるわけではない、様々な方法によって精製または単離されてもよい。
酵素は、例えば塩、糖、またはグリセロールなどによって安定化されてもよい。
さらに、酵素は、所望の適用のために製剤化されてもよい。
対応する方法は、微生物細胞から酵素を回収する際に適用されることも可能である。
一実施態様において、タンパク質画分は、微生物細胞から回収される。回収は酵素の触媒活性を維持する任意の適切な方法によって行われ得る。
「脂質回収(lipid recovery)」とは、そこで脂質(細胞内脂質)が、機械的、化学的、生化学的、熱機械的または自己触媒的な方法によって、または、これらの方法の組み合わせによって、微生物細胞から回収される工程を指す。
発酵油脂とは典型的には、微生物によって細胞内で合成された細胞内脂質、細胞によって分泌された脂質、そして細胞の構造的部分内、例えば膜系中などに存在する脂質を表わす。特定の場合においては、発酵油脂は、培養のあいだまたは培養後に細胞から培養培地中に分泌されるまたは遊離されるような細胞外であってもよい。
「残渣細胞マス(residual cell mass)」とは、細胞内脂質および/または細胞内酵素の回収のために処理される微生物を含む、固体、半固体または流動物質の画分を表わす。
「脂質含有単細胞マス(lipid-containing single-cell mass)」とは、独立栄養的に、従属栄養的におよび/または混合栄養的に形成される、微生物の乾燥物量の少なくとも3%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%(w/w)またはそれ以上の脂質量を有する単細胞マスおよび細胞の菌糸体を表わしている。
本明細書中に開示されるように得られる酵素調製物は、微生物培養物または上澄みまたは触媒的に活性な酵素を含む富化されたタンパク質画分である。典型的には、酵素調製物は、発酵油脂産生工程のプロセス水(水相、培養物ブロース、上澄み)、または、プロセス水(水相、培養物ブロース、上澄み)由来の富化されたタンパク質画分である。富化は、生物学的に活性な形でタンパク質を富化または濃縮するために使用される任意の適切な方法によって行われ得る。
本発明の一実施態様において、培養培地は、固体または半固体であり、そして酵素は回収前に水相へと導入される。
「タンパク質画分の富化(enrichiing a protein fraction)」とは、本明細書において、発酵油脂産生工程の任意の画分からのタンパク質を富化し、かつ、タンパク質の触媒活性を維持する任意の方法を指す。より具体的には、方法は、発酵油脂産生工程からの微生物培養物または上澄みの液相を、液相中のタンパク質を富化する少なくとも1つの方法によって処理することを含む。本発明のいくつかの実施態様において、富化工程は必ずしも必要ではない。
いくつかの実施態様において、タンパク質画分は、元々の液相と比較して、少なくとも10%、典型的には少なくとも20%、様々な実施態様では少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%富化される。適切な方法の例としては、タンパク質のイオン特性、分子サイズ、溶解度、表面活性特性または疎水性相互作用に基づく方法が挙げられる。好ましくは、酵素画分の回収は、温度が70℃またはそれより低い温度である条件下で行われる。
本発明の一実施態様において、タンパク質画分は、微生物培養物の水相中で、または上澄み中で富化される。富化は、例えば微生物培養物または上澄みの水相を濃縮することなどによって容易に行われ得る。
本発明の一実施態様において、微生物培養物の水相中または上澄み中のタンパク質画分は、容積当たりの酵素活性および/または総タンパク質当たりの酵素活性として計算して、少なくとも1倍(1×)、典型的には少なくとも2倍(2×)、好ましくは少なくとも3倍(3×)富化される。いくつかの実施態様において、微生物培養物の水相中または上澄み中のタンパク質画分は、容積当たりのおよび/または総タンパク質当たりの酵素活性として計算して、少なくとも5倍、いくつかの実施態様においては少なくとも10×、または20×、または30×、または40×、または50×、または60×、または70×、または80×、または90×、または100×富化される。
本発明の好ましい実施態様によれば、酵素は上澄みから回収される。「細胞外酵素(extracellular enzymes)」は、培養培地中へと分泌された、または細胞から培養培地へと細胞分解によって遊離された酵素である。細胞外酵素は、上澄みから回収され得る。
発酵油脂工程から遊離される「プロセス水(process water)」とは本明細書において酵素回収後に工程から遊離される水を意味している。プロセス水の一部は工程へと還流されてもよく、そしてプロセス水の一部は別の工程へと循環されてもまたは導かれてもよく、そして一部は環境に放出されてもよい。プロセス水はまた、環境に放出される前に、排水処理工程へと導かれ得る。
本発明の一実施態様において、典型的には10%〜90%、好ましくは20%〜80%、いいくつかの実施態様においては30%〜70%、いくつかの実施態様においては40%〜60%、いくつかの実施態様においては20%〜50%のプロセス水が工程中に再循環され、好ましくは発酵油脂産生工程へとまたはフィードストックの処理へと還流される。
本発明の一実施態様において、工程から放出されるプロセス水は、酵素回収なしの発酵油脂工程のプロセス水よりも、少なくとも5%、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、典型的には少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%より少ないタンパク質を含む。
本発明の一実施態様において、工程から放出されるプロセス水は、酵素回収なしの発酵油脂工程のプロセス水の生物学的酸素要求量と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、典型的には少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%より低い生物学的酸素要求量を有する。
本発明の一実施態様において、酵素は細胞内であり、そして、微生物細胞から得られる。
本発明の一実施態様において、酵素回収後の細胞残渣は、細胞からの酵素回収なしの発酵油脂工程の細胞残渣よりも、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%より少ないタンパク質を含む。
いくつかの実施態様において、酵素回収後の細胞残渣は、細胞からの酵素回収なしの発酵油脂工程の細胞残渣よりも、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%より少ないタンパク質を含む。
本発明の一実施態様において、酵素産生および発酵油脂産生は同時に、または、任意の順序で逐次的におこる。典型的には、酵素産生がより早く開始される。産生された酵素は、培養培地中のポリマーバイオマスを分解し、それにより、微生物の増殖のための成分を産生する。
本明細書中において「酵素(enzyme)」とは、任意の酵素を指し、そしていかなる特定の酵素または酵素群に限定されない。一実施態様において酵素とは炭水化物およびタンパク質の複合体への影響を有する酵素を指す。「酵素」とは好ましくは、ヒドロラーゼ(EC 3.x.x.)、酸化還元酵素(EC 1.x.x.)、リアーゼ(EC 4.x.x.)、イソメラーゼ(EC 5.x.x.)、トランスフェラーゼ(EC 2.x.x.)およびリガーゼ(EC 6.x.x.)を指す。最初の数字は酵素群を意味し、最初のxは結合の型を意味し、そして二番目のxは特定の反応を指している。
本発明において「酵素」とは、とりわけ炭水化物、タンパク質および脂質の複合体を分解することのできる細胞外酵素を意味する。より具体的には、酵素は反応性生物の官能基に水を導入し、そしてそれによってグリコシド、ペプチド、エステル、またはエーテル結合、または、窒素と炭素との、または窒素と酸素とのあいだの結合を分解する加水分解酵素である。酵素は、好ましくはセルラーゼ、キシラナーゼ、グルコシダーゼ、マンナーゼ、ガラクターゼ、アラビナーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、フォスフォリパーゼ、イソメラーゼまたはエステラーゼである。本発明における加水分解酵素とは、加水分解反応を行うことができる酵素、すなわち水に官能基を移すことが可能である酵素を指す。好ましくは、酵素は、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼまたはマンナーゼの群より選択される。
いくつかの実施態様において、酵素は、酸化還元反応を触媒する酸化還元酵素、基の付加または除去を触媒して二重結合を形成するリアーゼ、基の分子内転位を触媒するイソメラーゼまたはATP加水分解を使って2つの基質の連結を触媒するリガーゼである。
「セルラーゼ(cellulase)」または「セルロース分解性の酵素(cellulolytic enzyme)」とは、主に、例えば糸状菌類または酵母などの真菌、バクテリア、植物などによって、またはセルロースの加水分解(セルロース分解とも称される)を触媒する動物によって産生される酵素の群を意味する。いくつかの異なる種類のセルラーゼが公知であり、それらは構造的におよび反応機構的に異なっている。セルラーゼの概要としては、触媒される反応のタイプにしたがって、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、セルビアーゼ、またはベータグルコシダーゼ、酸化セルラーゼ、およびセルロースホスホリラーゼなどが挙げられる。これらの酵素は、例えば以下のEC番号のもとに見出すことができる:EC 3.2.1.4、EC 3.2.1.91、EC 3.2.1.21。
「ヘミセルラーゼ(hemicellulase)」とは、主に、例えば糸状菌類または酵母などの真菌、バクテリア、植物などによって、またはヘミセルロースの加水分解を触媒する動物によって産生される酵素の群を意味する。例えば、キシランの加水分解に関与する酵素としては、エンドキシラーゼ、アセチル−キシランエステラーゼ、α−D−グルクロニダーゼ、α−L−アラビノフラノシダーゼ、フェルラ酸エステラーゼおよびβ−キシロシダーゼが挙げられる。加えて、ガラクトグルコマンナンの加水分解に関与する酵素としては、エンドマンナーゼ、アセチル−マンナンエステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、β−マンノシダーゼが挙げられる。加えて、アラビノガラクタンの加水分解に関与する酵素としては、β−ガラクトシダーゼおよびエンド−α−L−アラビナーゼが挙げられる。これらの酵素は例えば以下のEC番号のもとに見出すことができる:EC 3.2.1.8, EC 3.2.1.37, EC 3.2.1.55, EC 3.2.1.99, EC 3.2.1.139, EC 3.2.1.78, EC 3.2.1.25, EC 3.2.1.22, EC 3.2.1.21, EC 3.2.1.89, EC 3.1.1.72, EC 3.1.1.6, EC 3.1.1.73。
「ヘミセルロース(hemicellulose)」とは、植物細胞のセルロース繊維を他の炭水化物(例えばペクチンなど)とともに取り巻いている、リグノセルロース系材料中に見出される炭水化物複合体の群を意味する。ヘミセルロースの構成成分は、植物の種類に依存する。ヘミセルロースの最も一般的な種類としては、キシラン、グルコノキシラン、グルコマンナン、ガラクトグルコマンナン、アラビノキシラン、キシログルカンおよびアラビノガラクタンが挙げられる。
微生物培養培地中に補充される栄養素とは、微生物の増殖および/または脂質の産生を可能にする、または増殖および脂質産生を促進する化合物および成分のことを指す。これらは典型的には、炭素、窒素およびリンの様々なソース、無機塩および微量元素を含む。培養培地は、炭水化物、好ましくはヘキソース糖、ペントース糖、これらのどちらか一つもしくは両方を含む炭水化物を含む天然のもしくは人工の画分、または、セルロース、でんぷん、非でんぷん性多糖類、キチン、リグノセスロースを含む画分で補充され得る。培養培地中の栄養素の補充は不可欠であるとは限らないが、特定の場合には望ましいであろう。
脂質の産生のために適切な培養条件とは、脂質の生成および/または蓄積が、培養培地の成分、培養条件、外部因子またはその両方に反応して起こる条件を指す。
酵素の産生のために適切な培養条件とは、そこで酵素の形成および蓄積が、培養培地の成分、培養条件、外部因子またはその両方に反応して起こることを指す。
本発明の実施態様において、酵素産生は、微生物培養物中に酵素誘導物質を添加することによって開始および/または維持される。一般的にこれは、産生される酵素の量を増大させる結果となる。特に、連続的な培養において、誘導物質の量を細胞外酵素の産生を維持するために十分なレベルに維持することは重要である。
本明細書中で記載される酵素は、誘導性でも、また、構成性でもあり得る。
酵素誘導(酵素の誘導性)とは誘導性因子の存在による酵素のデノボ合成の増加を指す。
本発明の好ましい実施態様によれば、例えば糖などの細胞外のポリマーまたはオリゴマー化合物を、例えば炭素および/またはエネルギー源など栄養素として使用することのできる微生物が、これらの化合物を含むポリマーバイオマスを含む培養培地上で培養される。微生物は脂質および酵素を産生できる。
「培養培地(a cultivation medium)」とは、本明細書において微生物を培養するために使用される培地を意味する。培養培地は、本明細書において例えば、ポリマー糖などの少なくとも部分的はポリマーであるかまたはオリゴマーである化合物を含むポリマーバイオマスを含む。培養培地は、無機物、微量栄養素、主要栄養素および緩衝剤で補充されてもよい。
本発明のいくつかの実施態様における好ましいフィードストックは、リグノセルロース、セルロース、ヘミセルロースまたはリグニン、または、単独でまたは組み合わせでのリグノセルロースでんぷんの他の成分を含むポリマーバイオマス、または、酵素の糖ポリマーへのアクセスを改善するために化学的もしくは物理的に、またはそれらの組み合わせによって処理されたバイオマスである。
前処理されたバイオマスとは、例えばヘキソースおよび/またはペントース糖またはそれらの誘導体を含むバイオマスである。バイオマスは、酵素処理の前または後に、化学的、物理的、熱機械的または生物学的方法によって、またはそれらの任意の組み合わせによって処理され、その後発酵油脂産生のために使用されてもよい。
「ポリマーバイオマス(polymeric biomass)」とは、天然の有機材料または種々の化学的または物理的方法によってまたはそれらの組み合わせによって処理された有機材料を指す。本明細書において、ポリマーバイオマスは例えば、発酵油脂工程などのバイオ技術的工程におけるフィードストックとして使用されるバイオマスを意味する。ポリマーバイオマスはまた、工業的製品、または、例えばヘミセルロースまたはセルロースを含む画分、でんぷん、でんぷんを含むバイオマス、非でんぷん性多糖類、キチン、ポリガラクツロン酸、ペクチン、タンパク質、微生物、または微生物の残渣などの、工業的工程の副供給流であってもよい。
本発明の一実施態様において、バイオマスは、例えば酵母、バクテリア、カビまたは藻類などの微生物またはそれらの成分またはこれらの微生物を含む工業的工程の副供給流である。
より具体的には、本発明において、発酵油脂産生工程は、例えば加水分解酵素などの酵素の産生または促進された産生を誘導し得ることが見出された。
本発明の一実施態様において、ポリマーバイオマスは、工程において得られた酵素によって処理され、そして、生成物はモノマー、ダイマー、オリゴマーの炭水化物および/または酵素産生を誘導するまたは維持する未分解の成分を含む。
リグノセルロース系材料(lignocellulosic material)」または「リグノセルロース系バイオマス(lignocellulosic biomass)」とは、セルロース、ヘミセルロース、および/またはリグニンまたはそれらの任意の画分からなるバイオマスを意味する。リグノセルロース系材料としては、木本植物または非木本植物の、草木植物またはセルロースおよび/またはヘミセルロースを含む他の材料などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。材料は、農業残渣(例えば麦わら、稲わら、まぐさ、さや、トウモロコシ茎葉、さとうきびバガス)、専用のエネルギー作物(例えばスイッチグラス、ススキ、リードカナリーグラス、ヤナギ、ホテイアオイなど)、木材材料または残渣(例えばヘミセルロース、亜硫酸パルプ廃液、屑繊維および/または一次汚泥などの、製材所およびパルプおよび/または製紙工場残渣または画分を含む)、コケまたは泥炭、微生物または都市紙くずであり得る。また、低リグニン含有材料である、例えば大型藻類または微細藻類バイオマスなどの材料もまた使用され得る。加えて、材料は産業活動からのヘミセルロースまたはセルロース画分であってもよい。本発明は任意の種類のセルロース画分を利用することができる。異なる起源、植物種または工業的工程由来の原材料、または、例えばヘミセルロースおよび/またはセルロースなどの原材料の特定の画分がともに混合され、そして、本発明によるバイオプロセスのための原材料として使用され得る。
「糖化(saccharification)」とは、ポリマー糖の、糖オリゴマーおよび単量体への加水分解を指す。糖化は典型的には、ポリマー糖を加水分解することのできる酵素の使用によって達成される。
「炭水化物(carbohydrates)」とは、アルデヒド、酸またはケト基、およびこれらに加えていくつかの水酸基が組入れられた有機分子を表わす。したがって、炭化水素の範囲としては、例えば単糖類、オリゴ糖、糖、セルロース、ヘミセルロース、でんぷんおよび非でんぷん性多糖類などの用語によって開示される化合物を含む。
「セルロース(cellulose)」とは、β−1−4グルコース結合によって形成されるポリマーからなる一次構造を有する、長鎖の多糖類である。
「でんぷん(starch)」とは、主としてα−1−4およびα−1−6グルコースユニットからなる長鎖の多糖類である。
単糖類は、炭水化物(C−H2O)nの単量体ユニットであり、典型的には3〜9の炭素原子からなり、そして1つまたはそれ以上の炭素原子において立体化学的不一致点をもつ。これらは、例えばグルコース、ガラクトース、マンノース、フラクトースなどの、6つの炭素原子を有するヘキソース、および、例えばキシロース、リボースおよびアラビノースなどの、5つの炭素原子を有するペントースで示される。
セルロースは通常、実際上水に溶解しない。セルラーゼとしては、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼおよびβ−グルコシダーゼが挙げられる。例えば、主にセルロースのアモルファスな部分に作用するエンドグルカナーゼ(EC 3.2.1.4)はセルロースの巨大分子の内部結合をランダムにアタックする。エキソグルカナーゼまたはセロビオヒドラーゼ(EC 3.2.1.91)はセルロース鎖の端部をアタックし、一度に主に1つのセロビオースユニットを加水分解する。エキソグルカナーゼはまた、結晶性セルロースポリマーを加水分解することもできる。最後に、セロビオースのグルコースモノマーへの加水分解がβ−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21)によって行われる。
ヘミセルロースを加水分解することのできる酵素は、例えばエンドキシラナーゼ、エンドアラビナーゼおよびエンドマンナナーゼである。エンド−ヘミセルラーゼ作用の後に、オリゴマーをアタックするヘミセルラーゼは、例えばβ−キシロシダーゼ、β−アラビノシダーゼ、β−マンノシダーゼおよびβ−グルコシダーゼなどである。オリゴマー中の残余の側鎖結合は、例えばα−グルクロニダーゼ、α−アラビノダーゼおよびα−D−ガラクトシダーゼなどの酵素によって分解され得る。アセチル成分は、エステラーゼによって除去され得る。
さらに、リグニンの酵素的加水分解は、リグニンペロキシダーゼ(LiP EC 1.11.1.14)、マンガネーゼ−依存性ペロキシダーゼ(MnP EC 1.11.1.13)およびラッカーゼ(EC 1.10.3.2)などの酸化酵素の活性を必要とする。化学構造およびリグニンのセルロースおよびヘミセルロースへの付加が、リグニンの量よりもより重要である。
副流または副流画分は、細胞の産生、酵素の産生、発酵油脂の産生、細胞の回収またはオイルの抽出、細胞内酵素の回収から遊離される任意の水溶液または上澄み、および、不定に分解されたおよびそのままの細胞(すなわち残余の細胞マスまたは細胞懸濁液または細胞マス)の脂質抽出後混合物を意味する。
本明細書において記載されるように発酵油脂産生工程は、連続的、回分または流加回分工程または発酵油脂産生を目的として組み合わされた任意の他の工程であり得る。
発酵油脂産生工程は、遊離水の量が少ないか、または産生が固体または半固体表面上で行われる反応器中でもまた行われ得る。水に溶解しない細胞マスまたは他のバイオマスは、酵素を溶解可能な形状で得るために水溶液を用いて抽出され得る。
酵素は、微生物培養物、上澄みおよび微生物細胞から、任意の公知かつ適切な方法で、または将来において開発される任意の適切な方法で行われ得る。それによって所望の酵素活性を有する酵素に画分が分離され得るような方法についても同様のことが適用される。
それによって触媒的に活性な酵素(または複数の酵素)を含む、微生物培養物または上澄みまたは富化されたタンパク質画分が回収されるような方法は、それらの分子サイズ、イオン性の挙動、水への溶解度、種々の溶質の溶解性、または緩衝因子もしくは表面活性因子もしくは表面−活性化合物もしくは塩を含む溶質混合物の溶解度に依存する。
脂質産生が可能である微生物は、本明細書において、例えば脂質を産生することのできるバクテリア、古細菌、藻類または真菌、典型的には糸状菌類または酵母などの微生物を指す。
「油性生物(oleaginous organisms)」とは、本明細書において、適切であるかまたは最適化されている培養条件で培養される場合に、そのバイオマスの少なくとも15%(w/w)を脂質として蓄積する微生物を指す。
「脂質および酵素の両方を産生することのできる微生物(A microorganism capable of producing both lipids and enzymes)」とは、典型的には、真菌、特には糸状菌類(カビ)または酵母、微細藻類またはバクテリアである。脂質産生カビ、二形性真菌および糸状菌類としては例えば、アブシディア(Absidia)、アスペルギルス(Aspergillus)、ブラケスレア(Blakeslea)、ケタマカビ(Chaetomium)、クラドスポリウム(Cladosporium)、麦角菌(Claviceps)、クラドスポリジウム(Clodosporidium)、クスダマカビ(Cunninghamella)、エメリセラ(Emericella)、ハエカビ(Entomophthora)、フザリウム(Fusarium)、ジベレラ(Gibberella)、グロムス(Glomus)、フミコーラ(Humicola)、ケカビ(Mucor)、クサレケカビ(Mortierella)、ペシロマイセス(Paecilomyces)、アオカビ(Penicillium)、プッキア(Puccia)、フハイカビ(Pythium)、クモノスカビ(Rhizopus)、ミズカビ(Saprolegnia)、トリコデルマ(Trichoderma)、黒穂菌(Ustilago)およびジゴリンクス(Zygorhynchus)の属であるもの、例えばアブシディア スピノサ(Absidia spinosa)の属のカビなど、例えばA.フィシェリ(A. ficheri)、A.フラブス(A. flavus)、A.ニデュランス(A. nidulans)、A.ニガー(A. niger)、A.オクラセウス(A. ochraceus)、A.オリザエ(A. oryzae)、A.ソーヤ(A. sojae)およびA.テレウス(A. terreus)などのアスペルギルス、ブラケスレア トリスポラ(Blakeslea trispora)、ケトミウム グロボーサム(Chaetomium globosum)、クラドスポリジウム ハーバルム(Cladosporidium herbarum)、クラビセプス プルプレア(Claviceps purpurea)、例えばC.エチヌラータ(C. echinulata)、C.ジャポニカ(C. japonica)およびC.エレガンス(C. elegans)などのクスダマカビの属のカビ、、エントモフトラ コロナタ(Entomophthora coronata)、フザリウム ブルギゲヌム(Fusarium bulbigenum)、フザリウム グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム種、ジベレラ フジクロイ(Gibberella fujikuroi)、グロムス カレドニウス(Glomus caledonius)、フミコーラ ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、フミコーラ グリセア(Humicola grisea)、例えばM.シルシネロイデス(M. circinelloides)、M.プランビアス(M. plumbeus)およびM.ロウクスィー(M. rouxii)などのケカビ属のカビ、例えばM.イザベリナ(M. isabellina)、M.アルピナ(M. alpina)およびM.ラマニアナ(M. ramanniana)などのクサレケカビ属のカビ、例えばP.ジャバニカム(P. javanicum)、P.リラキヌム(P. lilacinum)、P.スピナロサム(P. spinulosum)およびP.ソッピ(P. soppii)などのアオカビ属のカビ、パエシロマイセス ライラキナス(Paecilomyces lilacinus)、プッキア コロナタ(Puccia coronata)、ピシウム ウルティマム(Pythium ultimum)、ピシウム イレグラレ(Pythium irregulare)、リゾプス アリツス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス デレマ(Rhizopus delemar)、リゾプス オリザエ(Rhizopus oryzae)、ウスティラゴ ゼアー(Ustilago zeae)、トウモロコシ黒穂病菌(Ustilago maydis)、ジゴリンクス モエレーリ(Zygorhynchus moelleri)、および、マルブランケア プルケラ(Malbranchea pulchella)、ミロテシウム種(Myrothecium sp.)、スクレロチウム バタチコラ(Sclerotium bataticola)、ペリキュラリア プラティコラ(Pellicularia practicola)、スファセロテカ レイリアナ(Sphacelothea reiliana)、ティロポスポリジウム エーレンベルギー(Tyloposporidium ehren bergii)、アクルヤ アメリカーナ(Achyla americana)、レピスタ ヌダ(Lepista nuda)、チレチア・コントロベルサ(Tilletia controversa)、クロナルティウム フシホルメ(Cronartium fusiform)が含まれる。
本発明において、接合菌門(Zycomycota)または子嚢菌門(Ascomycota)であるカビを使用することが有用である。アスペルギルス、リゾプス、ケカビまたはクサレケカビ属のカビを使用することが特に有用である。
本発明の別の実施態様において、これらに限られるわけではないが、例えば、ストレプトマイセス(Streptomyces)、アクチノマイセス(Actinomyces)、アルスロバクター(Arthrobacter)、ノカルディア(Nocardia)、ロードコッカス(Rhodococcus)またはバチラス(Bacillus)などの属のバクテリアが使用され得る。
本発明のさらに別の実施態様において、これらに限られるわけではないが、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、アピオトリカム(Apiotrichum)、ハンゼヌラ(Hansenula)、リポマイセス(Lipomyces)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、カンジダ(Candida)、ヤロウイア(Yarrowia)、ロドトルラ(Rhodotorula)、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)、スポリディオボラス(Sporidiobolus)、トリコスポロン(Trichosporon)、トルロプシス(Torulopsis)、ウォルトマイセス(Waltomyces)、エンドミコプシス(Endomycopsis)、ガラクトマイセス(Galactomyces)、ピキア(Pichia)または例えばクリプトコッカス アルビダス(Cryptococcus albidus)、C.テリコラス(C. terricolus)などのクリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン クタネウム(Trichosporon cutaneum)、リポマイセス スターケイ(Lipomyces starkeyi)、L.リポフェラ(L. lipofera)、ロドスポリジウム トルロイデス(Rohodosporidium toruloides)、カンジダ クルバータ(Candida curvata)、ヤロウイア リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ロドトルラ グルチニス(Rhodotorula glutinis)、カンジダ sp.107(Candida sp. 107)、リポマイセス sp.33(Lipomyces sp. 33)、ロドトルラ グラシリス(Rhodotorula gracilis)、トリコスポロン プルランス(Trichosporon pullulans)またはT.フェルメンタス(T. fermentans)の属の酵母が使用され得る。
好ましい微生物は、真菌、より好ましくはアスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、リゾプス(Rhizopus)およびフミコーラ(Humicola)の群、または、酵母クリプトコッカス(Cryptococcus)より選択される属に属する。より好ましくは、微生物は、アスペルギルス属に属する。
ヘミセルロース中のポリマー糖を利用することができるように遺伝子組み換えされている油性生物もまた、本発明の一部分である。さらに、脂質の産生が向上するように遺伝子組み換えされた、セルロースおよびヘミセルロース中のポリマー糖を利用することのできる生物もまた、本発明に含まれる。
本発明の一実施態様において、酵素調製物は、加水分解酵素を産生することのできない微生物を使用するバイオ技術工程へと導入される。別の実施態様において、前記工程において使用されるバイオマスは、好ましくは触媒的に活性な加水分解酵素(または複数の酵素)を含む上澄みまたはタンパク質画分である、酵素調製物で前処理される。バイオ技術工程は典型的には、例えば酵母、バクテリア、藻類、古細菌、糸状菌類(カビ)またはそれらの成分などの微生物を使用する。
生物学的に活性なタンパク質の除去の後、発酵液は、別のバイオ技術工程へと導入されるか、もしくは、同じ工程へ戻されてリサイクルされるか、または、それは環境へ放出されてもよく、もしくは、廃棄水処理工程へと導かれてもよい。発酵液は、そのまま使用されてもよく、または、使用の前もしくは環境への放出の前に、微生物的、化学的および/または物理的に処理されてもよい。
本発明の好ましい実施態様によると、プロセス水、残余のバイオマスおよび酵素は、残余のバイオマスが回収された酵素で処理され、そして、その結果得られるバイオマスおよびプロセス水が同じまたはその後の発酵油脂産生工程へと導入されるような方法で工程内で再循環される。
本明細書中で記載されるように、本発明の工程によって製造される、実質的にタンパク質を含まない水は他の工程、応用、環境へと導入される。他の使用の前に、例えば有機物、無機塩または非タンパク質ベースの成分が除去または水中で減少されてもよい。
本発明の一実施態様において、ポリマーバイオマスまたはポリマー糖は、バイオマスの酵素分解生成物が、発酵性炭水化物および好ましくはまたオリゴマー炭水化物を含むような方法で、本明細書中に記載されるように回収される酵素で処理され、新規の発酵工程に導入された際に細胞外酵素産生をもたらし、かつ維持する。
本発明において回収される酵素画分または酵素は、リグノセルロースを例えばセルロース、ヘミセルロースまたはリグニン画分などの副画分へと加水分解するために使用され得る。
本発明の好ましい実施態様において、脂質、タンパク質、とりわけ加水分解酵素が本発明において回収される。
ある態様において、本発明はまた、本発明の様々な実施態様による工程によって得られる酵素調製物を提供する。酵素調製物は典型的には、微生物培養物の水相中または上澄み中のタンパク質画分を含み、そして、容積当たりおよび/または乾燥総タンパク質当たりの酵素活性として計算して、少なくとも1倍(1×)、好ましくは少なくとも2倍(2×)、より好ましくは少なくとも3倍(3×)富化される。
本発明のいくつかの実施態様において、酵素調製物は、微生物培養物からまたは上澄みから、容積当たりおよび/または総タンパク質当たりの酵素活性として計算して、少なくとも5倍、いくつかの実施態様においては少なくとも10×、または20×、または30×、または40×、または50×、または60×、または70×、または80×、または90×、または100×富化され得る。
ある態様において、本発明はまた、本発明の様々な実施態様によって産生される酵素または酵素調製物の、別の工業的工程における、または、同じもしくは別の発酵油脂産生工程における、または前記工程におけるフィードストックとして使用されるポリマーバイオマスを処理するための使用を提供する。
ある態様において、本発明はまた、本発明の様々な実施態様によって産生される脂質の使用、または、バイオ燃料の成分として、またはバイオ燃料製造のための出発物質としての脂質の使用を提供する。
本発明の好ましい実施態様によれば、本明細書において記載されるように産生される脂質は、バイオディーゼルまたは再生可能なディーゼル、ガソリン、もしくはジェット燃料として使用される。
脂質からのバイオ燃料産生
「バイオ燃料(biofuel)」は、主にバイオマスまたはバイオ廃棄物由来の固体、液体、ガス状の燃料を意味し、有史以前の植物および動物の有機遺物由来である化石燃料とは異なる。
EU指令(directive)2003/30/EUに従えば、「バイオディーゼル(biodiesel)」は植物油または動物油から製造されるメチルエステルであって、バイオ燃料として使用されるディーゼル品質のものを意味する。より広義には、バイオディーゼルは、ディーゼル品質の、植物油または動物油由来の、例えばメチル、エチルまたはプロピルエステルなどの、長鎖アルキルエステルを意味する。バイオディーゼルは微生物脂質からもまた製造されることができ、ここで微生物脂質は、バクテリア、真菌(酵母またはカビ)、藻類または別の微生物起源であり得る。
「再生可能ディーゼル(renewable diesel)」とは、動物、植物もしくは微生物起源の脂質またはそれらの混合物の水素処理によって製造される燃料を意味し、ここで微生物脂質は、バクテリア、真菌(酵母またはカビ)、藻類または別の微生物起源であり得る。再生可能ディーゼルはまた、ガス化およびフィッシャー−トロプシュ合成によりバイオマスに由来するワックスから製造され得る。任意には、水素処理に加えて、異性化または他の処理工程が行われてもよい。再生可能ディーゼル製造方法はまた、ジェット燃料および/またはガソリンの製造に使用され得る。再生可能ディーゼルの製造は、欧州特許第1396531号明細書、欧州特許第1398364号明細書、欧州特許第1741767号明細書および欧州特許第1741768号明細書の特許文献に記載されている。
バイオディーゼルまたは再生可能ディーゼルは、化石燃料と混合されてもよい。適切な添加物、例えば防腐剤および酸化防止剤などが燃料製品に添加されてもよい。
「潤滑剤(lubricant)」とは、例えばグリース、脂質またはオイルなどの、可動部への表面コーティングとして適用された場合に摩擦を減少させる物質を意味する。潤滑剤の他の2つの主な機能は、熱の除去および不純物を溶解させることである。潤滑剤の適用の例としては例えば、内燃エンジン内におけるエンジンオイルとしての使用、燃料中への添加物、例えばポンプおよび油圧装置などのオイル駆動機器における使用、または、種々のタイプの軸受部における使用などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。典型的には潤滑剤は、75〜100%のベースオイルを含み、そして、残りは添加物である。適切な添加物としては例えば、界面活性剤、貯蔵安定剤、酸化防止剤、腐食防止剤、曇り防止剤、抗乳化剤、消泡剤、共溶媒および潤滑性添加物(例えば米国特許第7,691,792号明細書などを参照のこと)が挙げられる。潤滑剤のためのベースオイルは鉱物油、植物油、動物油起源、または、バクテリア、真菌(酵母またはカビ)、藻類または別の微生物起源であり得る。ベースオイルはまた、バイオマスに由来するワックスからガス化およびフィッシャー−トロプシュ合成により生じ得る。粘度指数がベースオイルを特徴付けるために使用される。典型的には高い粘度指数が好ましい。
本発明において記載される方法を用いて産生される脂質は、バイオディーゼル、再生可能ディーゼル、ジェット燃料またはガソリンの製造のためのフィードストックとして使用され得る。バイオディーゼルは脂肪酸メチルエステルからなり、そして、典型的にはエステル交換によって製造される。エステル交換において、アシルグリセロールは長鎖脂肪酸アルキル(メチル、エチルまたはプロピル)エステルへと変換される。再生可能なディーゼルとは、脂質の水素処理(水素脱酸素化、水素化または水素化処理)によって製造される燃料を意味する。水素処理において、アシルグリセロールは対応するアルカン(パラフィン)へと変換される。アルカン(パラフィン)はさらに異性化によってまたは他の代替の工程によって修飾され得る。再生可能なディーゼルの製造工程はジェット燃料および/またはガソリンを製造するためにもまた使用され得る。加えて、脂質のクラッキングがバイオ燃料を製造するために行われてもよい。さらに、脂質は特定の適用においては直接的にバイオ燃料として使用され得る。
本方法によって産生される脂質は、潤滑剤(潤滑油)のためのベースオイルとして、または潤滑剤のためのベースオイルの製造のための出発材料として使用され得る。
用語「アシルグリセロール」とは、グリセロールおよび脂肪酸のエステルを意味する。アシルグリセロールは天然に脂肪および脂肪油として存在する。アシルグリセロールの例としては例えば、トリアシルグリセロール(TAGs、トリグリセリド)、ジアシルグリセロール(ジグリセリド)およびモノアシルグリセロール(モノグリセリド)が挙げられる。
オイルの回収
脂質を含む微生物は、例えばろ過または傾斜法などを用いることによってなど、任意の公知の方法によって、培養培地から分離され得る。代わりに、大容積容量の産業規模の工業用遠心分離器を用いた遠心分離が、所望の製品を分離するために使用されてもよい。
本発明の様々な実施態様において、オイル、またはオイルのための前駆物質は、細胞バイオマスまたは培養物ブロースから、当該技術において公知のまたは将来において開発される、任意の方法を用いて回収され得る。このような方法としては有機溶媒を用いた抽出などが挙げられるがこれに限定されるわけではない。本発明の様々な実施態様において、微生物細胞は、オイルおよび他の成分の分離を促進するために破砕されてもよい。例えば超音波処理、浸透圧ショック、機械的せん断力、コールドプレス、熱衝撃、酵素触媒のまたは自立の自己消化などの、細胞破砕のための公知の任意の方法が使用され得る。
オイルが抽出された細胞残渣は、例えば燃焼される、もしくは嫌気性分解方法で処理されるなど、エネルギー産生に使用されるか、または、動物試料として利用され得る。オイルが抽出された細胞残渣または細胞残渣の画分はまた、栄養源として使用されるべくバイオプロセスへとリサイクルされてもよい。
脂質および酵素の回収に加えて、他の経済的に利用可能な成分または発酵油脂工程の副供給流からの成分を回収することも本発明の範囲内である。
本発明の一実施態様が図1に示される。
ポリマーバイオマスは、機械的、熱機械的、化学的に、またこれらの方法の組み合わせによって前処理され得る。
処理された材料は酵素処理へと導入される。酵素は、少なくとも部分的に画分から、典型的には発酵油脂産生工程のプロセス水に由来する。酵素処理の後、任意には物理的または化学的処理またはその組み合わせが続く。これらの処理および酵素処理は、1またはそれ以上の回数繰り返されてもよい。
処理されたバイオマスは、発酵油脂産生工程へと導入され、微生物が脂質を産生することを可能にする。
細胞および固相は、液相(上澄み)から分離される。高分子成分は、実質的な酵素活性量を維持するような方法を用いて液相から回収される。酵素的に活性な成分は、発酵油脂産生工程において使用されるバイオマスを処理するために導入され得るが、または、発酵油脂産生工程に導入されてもよい。任意には、酵素調製物は、酵素的に活性な成分から調製されてもよく、そしてしたがって、得られた酵素量生物は販売されるかまたは他の工程で使用されてもよい。放出される水は、任意には発酵油脂産生工程へ、または他の使用のために導入されるか、または、システムから放出されてもよい。
発酵油脂産生工程から遊離される固形物画分は、好ましい成分、とくには脂質、いくつかの実施態様においてはまた酵素を分離および回収するために処理される。
要約すると、本発明の様々な実施態様が、1〜22の番号を付された以下の項を用いて以下に開示される。

1.酵素を産生する方法であって、前記方法が、
−発酵油脂産生工程において、発酵油脂産生および酵素産生に適切な条件下で、発酵油脂および酵素の両方を産生することのできる微生物を培養し、そして前記微生物によって発酵油脂および酵素を産生する工程、
−酵素調製物としての、または酵素源としての使用のために、発酵油脂および酵素を含む微生物培養物を得、そして、少なくとも一部の(i)微生物培養物、(ii)微生物培養物から分離された上澄みおよび/または微生物細胞、(iii)上澄みからの富化されたタンパク質画分、および/または(iv)細胞からのタンパク質画分を回収する工程、および
−微生物細胞から発酵油脂を回収する工程
を含む方法。
2.前記酵素が細胞外であり、そして、上澄みから回収可能である項1記載の方法。
3.培養培地が固体または半固体であり、そして、前記酵素が回収される前に水相へと導かれる項1または2記載の方法。
4.前記微生物培養物もしくはその一部または前記上澄みもしくはその一部が、工程に再循環される項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
5.プロセスから遊離されるプロセス水が、酵素回収なしの発酵油脂工程のプロセス水と比較して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%より少ないタンパク質を含む項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
6.プロセスから遊離されるプロセス水が、酵素回収なしの発酵油脂工程のプロセス水の生物学的酸素要求量と比較して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%より低い生物学的酸素要求量を含む項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
7.前記微生物培養物の水相または上澄みが濃縮される項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
8.前記酵素が細胞内であり、そして微生物細胞から得られ得る項1記載の方法。
9.酵素回収後の細胞残渣が、細胞からの酵素回収なしの発酵油脂工程の細胞残渣と比較して、少なくとも1%、好ましくは少なくとも10%より少ないタンパク質を含む項8記載の方法。
10.酵素産生が、微生物培養物中に酵素誘導物質を添加することによって開始および/または維持されるか、または、酵素産生が構成的に起こる項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
11.酵素産生および発酵油脂産生が、同時に、または、任意の順序で逐次的に起こる項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
12.前記微生物が、炭素源として例えばリグノセルロースまたはその画分などのポリマーバイオマスを含む培地上で培養される項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
13.前記酵素が、ヒドロラーゼ、酸化還元酵素、リアーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼもしくはリガーゼまたはそれらの任意の混合物を含む項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
14.前記酵素がグリコシド結合を加水分解する項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
15.前記微生物が、真菌または酵母、好ましくはアスペルギルス、トリコデルマ、リゾプスおよびフミコーラの群より選択される属に属している真菌、または、クリプトコッカス属に属する酵母、より好ましくはアスペルギルス属である真菌である項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
16.項1〜15のいずれか1項に記載の方法により得られる酵素調製物。
17.前記微生物培養物の水相中または上澄み中のタンパク質画分が、富化され、および任意には、精製され、安定化され、乾燥されおよび/または製剤化される項16記載の酵素調製物。
18.項1〜15のいずれか1項に記載の方法により産生される酵素または項16もしくは17記載の酵素調製物の、同じまたは別の工業的工程における使用。
19.項1〜15のいずれか1項に記載の方法により産生される酵素または項16もしくは17記載の酵素調製物の、バイオ燃料、バイオ燃料の成分としての、またはバイオ燃料製造のための出発物質としての使用。
20.前記バイオ燃料が、バイオディーゼルまたは再生可能なディーゼル、ガソリンおよび/またはジェット燃料である項19記載の使用。
本発明を説明することが以下の実施例の目的であって、本発明を限定するものとは決して解釈されるべきではない。
脂肪産生糸状菌の培養からの使用済み培養物ブロースにおける酵素活性が、基質として純粋なセルロースおよびキシランを用いた加水分解試験によって測定された。
方法
糖の規定:
溶液の糖濃度を規定するために、溶液は、適切な希釈液とされ、HPLC分析に先立ち、0.2μmを通してろ過された。
糖の規定のために使用されたカラムは、鉛型のShodex Sugar SP0810 イオン交換体(固定相)であった。カラム寸法は、8.0mm(ID)×300mmであった。溶出液は水(流量0.6mL/分)であり、カラム温度は60℃であった。検出器はRI Shimatzu RID 10Aであり、ポンプはA6、およびオートサンプラーはShimatzu SIL 20Aであった。結果の処理はClass−VPソフトウェアを用いて行われた。
脂肪酸分析:
サンプルの脂肪酸成分がSuutariら(1990)によって記載される方法で測定された。サンプル中の脂質は、初めに遊離脂肪酸へと加水分解され、そのナトリウム塩へとケン化され、そしてその後、メチルエステルへとメチル化された。脂肪酸メチルエステルはガスクロマトグラフィーを用いて分析された。
タンパク質濃度分析:
培養物ブロースのタンパク質濃度が、Whatman3ろ紙を通してブロースをろ過した後に分析された。タンパク質濃度は、Bio−Rad Protein Assay(ブラッドフォード法に基づく)によって分析された。
加水分解試験:
使用済み培養物ブロースは、加水分解試験前にWhatman3ろ紙を通してろ過された。
キシラーゼ活性は、以下のように測定された。100mLのエルレンマイヤーフラスコが反応容器として使用された。それを基質としての20mLの1%カバ材キシラン(Sigma)のリン酸緩衝溶液(0.02M、pH5)、10mLのろ過した培養物ブロースおよび20mLのリン酸緩衝液(0.02M、pH5)で満たした。加水分解反応が、50℃の攪拌(140rpm)水浴中で行われた。1mLのサンプルが培養物ブロースの添加のすぐ後、1、3、5、21/23時間後に反応容器から採取された。加水分解反応は、1mLのサンプルにおいて、1.33Mの硫酸50μLの添加によってpHを低下されることにより停止された。試料は、HPLC分析に適合するように塩およびポリマー糖除去のために処理された。遊離された糖が、マンニトールを基準としてHPLCによって(糖の規定を参照のこと)分析された。
セルラーゼ活性は、キシランの代わりにセルロース基質として1gのWhatmanろ紙を用いて測定された。反応容積は、基質として同じサイズの円である(直径約5mm)1gのWhatmanろ紙、10mLのろ過された培養物ブロースおよび40mLのリン酸緩衝液(0.02M、pH5)を含む50mLであった。実験はまたキシランを用いても行われた。
微生物株:
脂質産生微生物は、通常、例えばATCC、DSMなどの複数の公認の微生物培養物(株)保存機関によって一般に公開されている。本発明の様々な実施態様が、以下の実施例において、以下の微生物株を使用することにより議論される。アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae) DSM 1861、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae) DSM 1864、アスペルギルス テレウス(Aspergillus terreus) DSM 1958。
実施例1
本実施例は、脂質産生のための炭素源としてのヘミセルロースベース材料を用いたアスペルギルス オリザエの培養のあいだに培養物ブロース中に形成される酵素活性を示している。
アスペルギルス オリザエは、炭素源として、精製カバ材キシラン(Sigma)、加圧熱水抽出によって抽出されたトウヒ(spruce)およびカバ材ヘミセルロースを用いてフラスコ培養された。培養は、50mLの培養培地を含む250mLのエルレンマイヤーフラスコ中で行われた。増殖培地のベースは、水1リットル当たり1gの(NH42SO4、1gのMgSO4・7H2O、0.5gのK2HPO4、1gのKH2PO4および0.2gのCaCl2・2H2Oを含み、そして、炭素源、酵母エキスおよび任意には補助材料で補充された。培養培地は、1%(w/w)の真菌胞子を含む懸濁液で播種され、そして、培養物は28℃の温度でインキュベートされた。
精製キシランの場合、培養ベースは1リットル当たり40gの精製カバ材キシラン(Sigma)および1gの酵母エキスで補充された。2つ組みの培養物が6日間オービタルシェーカー(160rpm)中でインキュベートされた。
トウヒおよびカバ材ヘミセルロースの場合、培養ベースは1リットル当たり44gの熱水抽出によって製造された乾燥トウヒまたはカバ材ヘミセルロース、0.5gの酵母エキスおよび真菌の菌糸体のため機械的サポートを付与するための2gのセルロースで補充された。3つ組みの培養物が7日間オービタルシェーカー(180rpm)中でインキュベートされた。
インキュベーションの後、培養ブロースは、Whatman3ろ紙を通してろ過された。タンパク質濃度および酵素活性が、ろ液から測定された。残余分は蒸留水で洗浄され、そして乾燥された。バイオマス濃度および脂質含有量が乾燥された試料から測定された。
精製キシラン上での6日間の培養後、A.オリザエ真菌は、16g/Lのバイオマス(乾燥重量)を産生し、そして、バイオマスは10.5%の脂質/乾燥重量を含んでいた。水で抽出されたカバ材ヘミセルロース上で培養されたアスペルギルス オリザエは、7日間のインキュベーションのあいだで14g/Lの乾燥バイオマスを産生した。菌糸体、残余のヘミセルロースおよびセルロースを含むバイオマスは、8.9%の脂質/乾燥重量(培養培地1リットル当たり1.26の脂質に相等)を含んでいた。トウヒヘミセルロース上では、3.7%の脂質/乾燥重量を含む8.7g/Lの乾燥バイオマスが産生されており、脂質産生のためには、カバ材キシランおよびヘミセルロースの両方が、トウヒヘミセルロースと比べより優れていた。
培養ブロースのタンパク質濃度は、トウヒおよびカバ材ヘミセルロース培養物において0.06および0.02mg/mLであり、そして、カバ材キシラン培養物において0.05mg/mLであった。
1ミリリットルの培養物ブロース当たりおよび反応中の1ミリグラムのタンパク質当たりの、キシランの加水分解試験から遊離されたキシロースが、時間の関数として図2および3に示されている。図2は、加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのキシロースを示している。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。図3は、加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのキシロースを示している。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。
トウヒヘミセルロース培養物からの培養ブロース1ミリリットルは、21時間の培養で1.2mgのキシロースおよび20.1mg/mgタンパク質を遊離した。カバ材ヘミセルロース培養物からの培養ブロース1ミリリットルは、21時間の培養で5.2mgのキシロースおよび234.6mg/mgタンパク質を遊離した。カバ材キシラン培養物からの培養ブロース1ミリリットルは、23時間の培養で5.0mgのキシロースおよび101.4mg/mgタンパク質を遊離した。
ヘミセルロースまたはキシランを炭素源とするアスペルギルス オリザエ培養物からの培養物ブロースは、顕著なキシラナーゼ活性を示した。セルロース加水分解試験において遊離のグルコースが全く検出されなかったことから、培養ブロースは、検出可能なセルラーゼ活性を有さなかった。
実施例2
本実施例は、脂質産生のための炭素源としてのセルロースベース材料を用いたアスペルギルス オリザエの培養のあいだに培養物ブロース中に形成される酵素活性を示している。
アスペルギルス オリザエは、種々のセルロースをベースとするリグノセルロース材料上で、脂質産生のため培養された。増殖培地のベースは、水1リットル当たり40gの炭素源としてのリグノセルロース材料、0.5gの酵母エキス、1gのMgSO4・7H2O、0.5gのK2HPO4、1gのKH2PO4および0.2gのCaCl2・2H2Oを含み、そして、窒素源および微量金属で補充された。
実施例1〜4は、フラスコ培養で行われた。実施例1〜3において、培地ベースは、1リットル当たり3gのNaNO3および0.02gのFeSO4・7H2Oで補充され、そして、実施例4では培地ベースは、1リットル当たり1gの(NH42SO4で補充された。50〜100mLの培養培地を含む250mLエルレンマイヤーフラスコ中での培養が同時に行われた。培養培地は、1%(w/w)のアスペルギルス オリザエの胞子を含む懸濁液で播種された。培養物は6日間オービタルシェーカー(160rpm)中、28℃の温度でインキュベートされた。
実施例5〜6は、バイオリアクター発酵として行われた。
実施例5において、増殖培地ベースは、1リットル当たり、1.46gのペプトン、0.00015gのZnSO4・7H2O、0.0001gのCuCl・2H2Oおよび0.00625gのMnCl2・4H2Oで補充された。炭素源はセルロースであり、培養液に最終濃度が50g/Lとなるように添加された。培養培地は、48時間前培養されたアスペルギルス オリザエ懸濁液50mLを用いて播種された。発酵は、1Lの培養培地容量で、0.8L/分のエアレーションおよび350〜450rpmの攪拌下で28℃の温度で行われた。培養液のpHは5.7であり、培養のあいだ、3M NaOHを用いて調整された。酵素活性が188時間のインキュベーション後に測定された。
実施例6において、培養培地ベースは、増殖培地ベース1リットル当たり、6.5gのペプトン、0.00015gのZnSO4・7H2O、0.0001gのCuCl・2H2Oおよび0.00625gのMnCl2・4H2Oで補充された。炭素源はセルロースであり、培養液に最終濃度が55g/Lとなるように添加された。播種のために、胞子を形成しているA.オリザエの2つのPDAペトリプレート培養上に計24mLの滅菌水を適用することによって胞子懸濁液が調製された。胞子はスプレッダを用いて懸濁され、1Lの培養培地が懸濁液を用いて播種された。発酵は、0.6L/分のエアレーションおよび350〜450rpmの攪拌下で28℃の温度で行われた。培養液のpHは5.7であり、培養のあいだ、3M NaOHを用いて調整された。酵素活性が233時間のインキュベーション後に測定された。
培養物ブロースが分離され、タンパク質濃度ならびにキシラーゼおよびセルラーゼ活性が、上述されるようにアッセイされた。
Figure 0005844383
1 繊維原材料:リサイクル繊維
2 カバ材硫酸塩パルプ(Birch sulphate pulp)、さらし(bleached)、ヘミセルロース約10%。
3 限外ろ過(攪拌式セル(stirred ultrafiltration cell)Amicon Ultra 8200(Millipore製)中の10000Daフィルター in an Amicon Ultra 8200 stirred ultrafiltration cell from Millipore)により3倍濃縮されたブロース
実施例6において、脂質含有量は4%であると測定された。
1ミリリットルの培養物ブロース当たりのミリグラム単位の、および1ミリグラムのタンパク質当たりのミリグラム単位としての加水分解試験のあいだに遊離された糖が、時間の関数として4〜7に示されている。図4は、加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのキシロースを示している。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。図5は、加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのキシロースを示している。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。図6は、加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのグルコースを示している。基質としては、1gのセルロースが使用された。図7は、加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのグルコースを示している。基質としては、1gのセルロースが使用された。
全ての6つの試験された培養物からの培養物ブロースは、顕著なキシラナーゼ活性を示した。6つの培養物ブロースのうち3つだけがセルラーゼ活性を示しており、特定の条件においてこれらの酵素を産生する弱い能力を示している。
本実施例は、アスペルギルス オリザエがリグノセルロース分解性の酵素を培養ブロースへ産生できることを示している。本実施例は、A.オリザエがキシランおよびセルロース両方の分解活性を有していることを示す。
実施例3
本実施例は、脂質産生のための炭素源としてのヘミセルロースベース材料を用いたアスペルギルス テレウスの培養のあいだに培養物ブロース中に形成される酵素活性を示している。
アスペルギルス テレウスは、バイオリアクター中2リットルの容積で、炭素基質として麦わらヘミセルロース上で、脂質産生のため培養された。培養培地は、50mLの酵母ニトロゲンベース、アミノ酸・硫酸アンモニウム不含(Difco)の10倍ストック溶液を2Lの水に懸濁したものからなり、1リットル当たり、1.0gの酵母エキス、1gの(NH42SO4、1gのMgSO4・7H2O、0.5gのK2HPO4、1gのKH2PO4、0.2gのCaCl2・2H2Oおよび2gのセルロースで補充された。培養培地は、24時間前培養されたA.テレウス培養物150mLを用いて播種された。発酵は、3.0L/分のエアレーションおよび200〜430rpmの攪拌下で35℃の温度で行われた。培養液のpHは5.7であり、培養のあいだ、3M NaOHを用いて調整された。培養のあいだ、ヘミセルロース溶液が発酵槽へと供給された。酵素活性が165時間のインキュベーション後に測定された。
培養物ブロースが分離され、そして、10000Daフィルターを有するアミコン攪拌式セル(Millipore)中で限外ろ過により部分的に濃縮された。タンパク質濃度ならびに脂質濃度ならびにキシラーゼおよびセルラーゼ活性が、上述されるようにアッセイされた。
真菌の菌糸体、残余のヘミセルロースおよびセルロースを含むバイオマス中の脂質含有量は、乾燥重量当たり15%であった。タンパク質濃度は、非濃縮の培養ブロース中で0.72mg/mLであり、濃縮されたブロース中で2.15mg/mLであった。
1ミリリットルの培養物ブロース当たりのミリグラム単位の、および1ミリグラムのタンパク質当たりのミリグラム単位としての加水分解試験のあいだに遊離された糖が、時間の関数として図8〜11に示されている。
図8は、加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのキシロースを示している。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。図9は、加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのキシロースを示している。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。図10は、加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのグルコースを示している。基質としては、1gのセルロースが使用された。使用された培養ブロース由来のヘミセルロースから、多少のキシロースが遊離された。図11は、加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのグルコースを示している。基質としては、1gのセルロースが使用された。使用された培養ブロース由来のヘミセルロースから、多少のキシロースが遊離された。
本実施例は、アスペルギルス テレウスが、細胞内脂質と培養ブロースへの細胞外加水分解酵素との両方を産生できることを示している。本実施例は、A.テレウスが、キシランおよびセルロース分解活性の両方を有する酵素を産生し、そして増殖培地中に分泌することを示す。これらの酵素は、分離され、濃縮され、そして、リグノセルロース材料の加水分解に使用され得る。
実施例4
本実施例は、脂質産生のための炭素源としてのヘミセルロースベース材料を用いたアスペルギルス オリザエの培養のあいだに培養物ブロース中に形成される酵素活性を示している。
アスペルギルス オリザエは、バイオリアクター中バイオリアクター中2リットルの容積で、炭素基質として麦わらヘミセルロース上で、脂質産生のため培養された。培養培地は、50mLの酵母ニトロゲンベース、アミノ酸・硫酸アンモニウム不含(Difco)の10倍ストック溶液を2Lの水に懸濁したものからなり、1リットル当たり、1.0gの酵母エキス、1gの(NH42SO4、1gのMgSO4・7H2O、0.5gのK2HPO4、1gのKH2PO4および0.2gのCaCl2・2H2Oで補充された。
培養培地は、72時間前培養されたA.オリザエ培養物200mLを用いて播種された。発酵は、3.0L/分のエアレーションおよび200〜410rpmの攪拌下で30℃の温度で、2Lの培養培地容積中で行われた。培養液のpHは5.7であり、培養のあいだ、3M NaOHを用いて調整された。培養のあいだ、ヘミセルロース溶液が発酵槽へと供給された。酵素活性が144時間のインキュベーション後に測定された。
培養物ブロースが分離され、そして、タンパク質濃度ならびに脂質濃度ならびにキシラーゼおよびセルラーゼ活性が、上述されるようにアッセイされた。真菌の菌糸体および残余のヘミセルロースを含むバイオマス中の脂質含有量は、乾燥重量当たり21%であった。タンパク質濃度は、非濃縮の培養ブロース中で0.61mg/mLであり、濃縮されたブロース中で1.65mg/mLであった。
1ミリリットルの培養物ブロース当たりのミリグラム単位の、および1ミリグラムのタンパク質当たりのミリグラム単位としての加水分解試験のあいだに遊離された糖が、時間の関数として図12〜15に示されている。図12は、加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのキシロースを示している。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。図13は、加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのキシロースを示している。基質としては、200mgのカバ材キシランが使用された。図14は、加水分解試験中に遊離された、培養物ブロースの容積当たりのグルコースを示している。基質としては、1gのセルロースが使用された。使用された培養ブロース由来のヘミセルロースから、多少のキシロースが遊離された。図15は、加水分解試験中に遊離された、タンパク質当たりのグルコースを示している。基質としては、1gのセルロースが使用された。使用された培養ブロース由来のヘミセルロースから、多少のキシロースが遊離された。
本実施例は、アスペルギルス オリザエが、脂質、および、副生成物として、リグノセルロース材料の加水分解に使用され得る、加水分解活性を有する培養ブロースを産生し得ることを示している。
参考文献
Suutari M, Liukkonen K, Laakso S. 1990. Temperature adaptation in yeasts: the role of fatty acids. Journal of General Microbiology 136: 1469-1474.

Claims (15)

  1. 酵素を産生する方法であって、前記方法が、
    発酵油脂産生工程において、発酵油脂産生および細胞外酵素産生に適切な条件下で、発酵油脂および細胞外酵素の両方を産生することのできる微生物を培養し、そして前記微生物によって発酵油脂および酵素を産生する工程、
    酵素調製物としての、または酵素源としての使用のために、発酵油脂および細胞外酵素を含む微生物培養物を得、そして、上澄みからの富化されたタンパク質画分の少なくとも一部を回収する工程、および
    微生物細胞から発酵油脂を回収する工程
    を含む方法。
  2. 前記微生物培養物もしくはその一部または前記上澄みもしくはその一部が、工程に再循環される請求項記載の方法。
  3. 前記工程から遊離されるプロセス水が、酵素回収なしの発酵油脂工程のプロセス水と比較して、少なくとも5%少ないタンパク質を含む請求項1または2記載の方法。
  4. 前記工程から遊離されるプロセス水が、酵素回収なしの発酵油脂工程のプロセス水と比較して、少なくとも10%少ないタンパク質を含む請求項1または2記載の方法。
  5. 前記微生物培養物の水相または上澄みが濃縮される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 酵素産生が、微生物培養物中に酵素誘導物質を添加することによって開始および/または維持されるか、または、酵素産生が構成的に起こる請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記微生物が、炭素源としてポリマーバイオマスを含む培地上で培養される請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記ポリマーバイオマスが、リグノセルロースまたはその画分である請求項7記載の方法。
  9. 前記酵素が、ヒドロラーゼ、酸化還元酵素、リアーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼもしくはリガーゼまたはそれらの任意の混合物を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記酵素がグリコシド結合を加水分解する請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記微生物が、真菌または酵母である請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記真菌が、アスペルギルス、トリコデルマ、リゾプスおよびフミコーラの群より選択される属に属している真菌である請求項11記載の方法。
  13. 前記真菌が、アスペルギルス属に属する真菌である請求項12記載の方法。
  14. 前記酵母が、クリプトコッカス属に属する酵母である請求項11記載の方法。
  15. 生された前記素が同じまたは別の工業的工程において使用される請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法
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