JP5843287B2 - 鍵盤装置および鍵盤センサユニット - Google Patents

鍵盤装置および鍵盤センサユニット Download PDF

Info

Publication number
JP5843287B2
JP5843287B2 JP2012002711A JP2012002711A JP5843287B2 JP 5843287 B2 JP5843287 B2 JP 5843287B2 JP 2012002711 A JP2012002711 A JP 2012002711A JP 2012002711 A JP2012002711 A JP 2012002711A JP 5843287 B2 JP5843287 B2 JP 5843287B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
speed
key
hammer
virtual hammer
virtual
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012002711A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013142767A (ja
Inventor
英紀 召田
英紀 召田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Korg Inc
Original Assignee
Korg Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Korg Inc filed Critical Korg Inc
Priority to JP2012002711A priority Critical patent/JP5843287B2/ja
Publication of JP2013142767A publication Critical patent/JP2013142767A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5843287B2 publication Critical patent/JP5843287B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Description

本発明は、アコースティックピアノにおける押鍵タイミング、押鍵強さ等を正確にシミュレートした鍵盤装置および鍵盤センサユニットに関する。
ハンマーの動作が鍵操作により駆動されるアコースティックピアノにおいて、鍵の動作を検出して、この検出結果に基づいてハンマーの動作を推定する発明が種々提案されている。例えば、鍵の複数の位置における速度を検出して、この検出した複数の位置の速度に基づいて、ハンマーの速度を推定し、この推定したハンマー速度に応じた打弦速度を求めるものや、鍵の押下動作を多数の位置で検出して押鍵速度信号を発生し、次いで、この押鍵速度信号を微分して押鍵加速度信号を発生し、この押鍵加速度信号を想定するハンマーの加速度信号を表わす「疑似ハンマ加速度信号」に変換し、この「疑似ハンマ加速度信号」を積分して疑似ハンマ速度信号としてハンマー速度を求めるものがある。しかしながら、これら提案された発明にあっては、ハンマーによる打弦機構の複雑さ等により、鍵の動作から実際のハンマーの動作を正確に求めることができなかった。換言すれば、演奏者が意図する押鍵タイミング、押鍵強さ等を正確にシミュレートした装置を実現することはできなかった。
これらの発明の改良を行うために、次のような発明が提案されている。この発明によれば、先ず、鍵の変位(鍵変位)とこの鍵の速度(鍵速度)とを検出する。次に、鍵により駆動され鍵との接触から離脱して運動する仮想的(実際にハンマーが設けられない場合もあるので「仮想的」と表現)なハンマーである「仮想ハンマー」が鍵に接触しているか否かを判定する。そして、鍵が「仮想ハンマー」に接触していると判定された場合に、前記検出された鍵変位及び鍵速度に基づいて、「仮想ハンマー」の変位であるハンマー変位と「仮想ハンマー」の速度であるハンマー速度とを求め、この求めたハンマー変位およびハンマー速度に基づいて音源の動作を制御して、楽音の発生を指示する鍵盤装置である(例えば、特許文献1参照。)。
特開2009−204743号公報(第10−16頁、第6図)
確かに、この特許文献1の発明によれば、鍵により駆動されるハンマーの状態を簡単な構成によって、従来よりも正確に求めることが可能な鍵盤装置が実現可能である。ところで、アコースティックピアノの押鍵操作に着目すると、「鍵に指を置いた状態」と、「指が離れている状態」の2つに分けられる。図11(a)、図11(b)は、横軸に経過時間(t)、縦軸に押鍵量(押鍵深さ)を示したグラフであり、この内、図11(a)は「鍵に指を置いた状態から押鍵した場合の軌跡」を示すもので、曲線L1は強く押鍵した場合、曲線L2は弱く押鍵した場合の模式的な説明である。また、図11(b)は「鍵から指を離した状態から押鍵した場合の軌跡」を示すものであり、曲線L4は強く押鍵した場合、曲線L3はより強く押鍵した場合の模式的な説明図である。
図11(a)に示すように、鍵盤に指を置いた状態から押鍵すると、鍵は押鍵量に応じて徐々に加速されスムースに動く。鍵が最後まで移動すると、フェルト等の弾性体でストロークを超えて沈み、その後、振動が収まり安定する。この場合、押鍵強さによって軌跡の勾配が変わるものの、鍵の動きは同等と考えてよい。また、図11(b)に示すように、鍵盤から指を離した状態から押鍵すると、ハンマー等の慣性体によって鍵盤の動きが停滞する停滞区間(図8(b)の符号Sで示す)が存在する。これは、ハンマー等の慣性体がある場合には必ず存在するものである。
しかしながら、特許文献1に記載の鍵盤装置においては、鍵の動きが停滞する時間帯(停滞区間)の特性が全く考慮されていないため、「仮想ハンマー」は押鍵直後の押鍵速度で動き出し、鍵の動きが停滞している状態になると鍵から仮想ハンマーが離れてしまい、押鍵速度によっては、鍵の停滞区間中に「仮想ハンマー」の動きが先行してしまい、以降、ハンマーに鍵が追いつかない状態が発生し得る。特に、樹脂製鍵盤にあっては、鍵盤自体の慣性が小さく変形を起こしやすいため、押鍵直後の鍵の速度が速めに出る傾向がある。そのため、鍵の動きが停滞する停滞区間の特性を考慮しないと、押鍵強さによっては、強めに早いタイミングで発音されたり、逆に、弱めで遅いタイミングで発音されたりして、押鍵操作と発音動作とに違和感が生じる場合があった。例えば、速いフレーズを強く弾こうとする場合、アコースティックピアノでは浅い打鍵で強く弾く奏法が可能である。これを電子楽器で実現しようとすると先行技術文献に示されている様に、初速から算出される打鍵力で発音条件を決める方法でも発音は可能であるが、深い打鍵と浅い打鍵の差は配慮されていないため、アコースティックピアノで演奏した場合よりも遥かに強い打鍵の発音(深い打鍵で強く弾いた場合と同じ発音)となってしまう。したがって、特許文献1の発明によっても、演奏者が意図する押鍵タイミング、押鍵強さ等を正確にシミュレートした押鍵装置を実現することはできなかった。
本発明は、かかる従来の課題を解決するためになされたもので、停滞区間の存在を考慮し、アコースティックピアノにおける押鍵タイミング、押鍵強さ等の感覚を演奏者が意図するものとなるように、一層正確にシミュレートした鍵盤装置や鍵盤センサユニットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、複数の鍵からなる鍵盤部を有する鍵盤装置において、
或る鍵が押鍵されてその鍵の動きが停滞する停滞区間を検出すると、その鍵の平均速度を求め、求めた平均速度に基づいて、実際には存在しない仮想的なハンマーである仮想ハンマーの暫定の速度である仮想ハンマー暫定速度を求める暫定速度演算手段と、
前記或る鍵の実際の速度である実速度に基づいて、前記仮想ハンマーの実際の速度である仮想ハンマー実速度を求める実速度演算手段と、
前記仮想ハンマー暫定速度と前記仮想ハンマー実速度とを比較してより速い方の速度を採用する速度採用手段と、
前記速度採用手段で採用した速度に対応する、前記仮想ハンマーの移動量を積算していく積算手段と、
この積算値が所定値を超えた場合に、前記或る鍵に対応する音を発音するように音源を制御する音源制御手段と、を備えたことを特徴とするようにした。
より詳細には、前記積算手段は、前記速度採用手段によって前記仮想ハンマー暫定速度が採用された場合には前回採用された仮想ハンマー暫定速度に今回採用された前記仮想ハンマー暫定速度を加算していく処理を行っていく一方、前記速度採用手段によって前記仮想ハンマー実速度が採用された場合には前回採用された仮想ハンマー実速度に今回採用された前記仮想ハンマー実速度を加算していく処理を行っていく手段である。そして、前記暫定速度演算手段と前記実速度演算手段とは、並列(パラレル)に演算処理を実行するように構成されている。
また、本発明の他の態様は、上記鍵盤装置において、鍵盤部を備えずに構成され、電子鍵盤楽器等にユニットとして装着可能な鍵盤センサユニットである。つまり、本発明の他の態様は、押鍵された鍵の動きが停滞する停滞区間が検出されたと判断した場合に、その押鍵の平均速度に基づいて、実際には存在しない仮想的なハンマーである仮想ハンマーの暫定の速度である仮想ハンマー暫定速度を求める暫定速度演算手段と、前記鍵の実際の速度である実速度に基づいて、前記仮想ハンマーの実際の速度である仮想ハンマー実速度を求める実速度演算手段と、前記仮想ハンマー暫定速度と前記仮想ハンマー実速度とを比較してより速い方の速度を採用する速度採用手段と、前記速度採用手段で採用した速度に対応する、前記仮想ハンマーの移動量を積算していく積算手段と、この積算値が所定値を超えた場合に、前記鍵に対応する音を発音するように音源を制御する音源制御手段と、を備えた鍵盤センサユニットを提供する。
本発明によれば、ハンマーのアクション機構を有するアコースティックピアノに対する押鍵操作やハンマー移動の感覚が、このアクション機構を有さない電子鍵盤楽器等においても同じものとなるという効果が得られる。
電子鍵盤楽器1000の構成図である。 仮想ハンマー暫定速度を求める処理を示す説明図である。 仮想ハンマー実速度を求める処理を示す説明図である。 仮想ハンマー暫定速度を求める処理の説明図である。 仮想ハンマー実速度を求める処理の説明図である。 発音処理を含み処理の説明図である。 押鍵状態の側面を示す模式的な説明図である。 ハンマーと弦との関係を示す模式的な説明図である。 一般的なハンマーアクション機構の構成図である。 移動量の積算の他の形態の説明図である。 従来技術の問題点の説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
(アコースティックピアノのハンマー動作を行うアクション機構の構成)
図9は、アコースティックピアノとしてのグランドピアノのハンマー動作を行うアクション機構の構成図である。図9は、例えば88個の鍵(白鍵と黒鍵とがある)を備えた鍵盤部を有するグランドピアノにおける、鍵盤配列方向と垂直な方向における断面図である。なお、鍵盤部は、図の手前側から図の奥側に複数(例えば88個)の鍵を配列して構成されているが、図9においては、理解の容易化のため1つの鍵(白鍵)のみを図示している。鍵400はバランスピン3を支点として押鍵操作に応じて揺動可能に構成されており、この揺動動作を確実に行うために、フロントピン2が設けられている。フロントピン2は、平面視中空の円盤状の弾性部材であって押鍵時の衝撃を吸収するフロントパンチング4の中空部を貫通して鍵400内の不図示のフロントピン移動穴を利用して上下動可能に構成されていると共に、このフロントパンチング4は基板1の上面に載置されている。
また、符号500は打鍵機構であり、鍵400を押鍵すると、打鍵機構500が働きハンマー501が図面上方向に回動して弦11を打弦する。この時、鍵400の先端部が、突起部6を押し上げてクランク部7を作動させ金属線9を押し上げ、弦11を静止させていたダンパー8の静止制御を解除する構成となっている。なお、図9では、完全離鍵時の様子を示しており、この完全離鍵時の鍵400の位置を基準位置とし、鍵盤400が押鍵されるにつれてこの基準位置から離れる距離(鍵変位量)を「押鍵深さ」と称する。つまり、「X」を押鍵深さとすると、離鍵状態であると押鍵深さ「X」は「0」であり(基準位置)、押鍵操作を行っていくに従って押鍵深さ「X」が深くなっていく(換言すれば「X」が大きくなっていく)。
図7はこの様子を模式的に示す説明図である。位置Oは、鍵400が完全に指から離されている状態である「完全離鍵位置」を示しており、この完全離鍵位置での鍵400を実線で図示している。一方、位置Pは、鍵400が完全に押し込まれた状態である「完全押鍵位置」を示しており、この完全押鍵位置での鍵400を点線で図示している。そして、完全離鍵位置Oから、鍵400が押鍵されて図中下向きに移動した距離「X」が押鍵深さ「X」となる。また、完全離鍵位置Oと完全押鍵位置Pとの中間位置よりも、やや完全押鍵位置側に「レットオフ(LO)」と呼ばれるポイントが存在する。完全離鍵状態からこのレットオフ(LO)までは鍵の作用が及ぶ範囲、即ち、押鍵操作に応じてハンマーアクションが行われる範囲であり、逆に、押鍵深さ「X」がこのレットオフ(LO)を超えると押鍵操作に応じたハンマーアクションが行われない。つまり、レットオフ(LO)は鍵作用範囲の限界点であり、所定押鍵深さ「XLO」がレットオフ位置に対応している。したがって、この押鍵深さ「XLO」よりも深い押鍵深さ「X」においては鍵の作用が及ばない。なお、このレットオフ(LO)は一般的なテクニカルタームである。
また、基板1の上面の図中真ん中よりやや右側にはセンサ100が設けられている。センサ100は、不図示のLED(発光素子)とフォトトランジスタ(受光素子)とを近接して配置しており、LEDからの光が鍵400の裏面で反射され、この反射光をフォトトランジスタが受光する構成となっている。このフォトトランジスタに流れる電流を抵抗で電圧として取り出した電圧がセンサ電圧となる。そして、押鍵深さ「X」とセンサ出力電圧との関係は正の相関を有していて、押鍵深さ「X」が深くなるにしたがって単調にセンサ出力電圧が増加するようになっている。したがって、押鍵深さ「X」とセンサ出力電圧とは1対1に対応していて、センサ電圧が把握できれば押鍵深さ「X」も把握可能になっている。なお、アコースティックピアノの構造にセンサ100を設けたのは、本願の発明者が、センサ100からの信号を利用して、アコースティックピアノのハンマーアクション機構の押鍵に対する動きをシミュレートするためである。
そして、以上のようなアコースティックピアノのハンマーアクション機構の押鍵に対する動きをシミュレートしたプログラムを、このアクション機構を備えない電子鍵盤楽器に適用したのが本発明である。電子鍵盤楽器に適用した場合には、実際には存在しないハンマーの押鍵による動きをシミュレートしたソフトウエアを用いる。そこで、このハンマーは仮想的なものであるので「仮想ハンマー」と称する。以下、このソフトウエアを用いた鍵盤装置の一例としての電子鍵盤楽器について説明する。
図1は電子鍵盤楽器1000の構成図である。この電子鍵盤楽器1000は、88個の鍵で成る鍵盤部40と、その88個の鍵の一つ毎に対して設けられた88個のセンサ(1)10a、センサ(2)10b、…、センサ(88)10nと、装置全体の動作制御を行うCPU20と、シミュレートで得られたプログラム等が記録されたROM25と、ワークエリア等を有するRAM30と、各種つまみやスイッチ等で成る操作子70と、所要の音を発音する音源50と、88個のセンサのセンサ(1)10a、センサ(2)10b、…、センサ(88)10nの出力信号をA/D変換(アナログデジタル変換)するA/D変換部15とが互いに所要の情報を送受信可能にバス80で接続されている。そして、音源50には音を放音するためのスピーカ60が接続されている。なお、A/D変換器15は、各センサからの信号を鍵毎(1番目の鍵から88番目の鍵まで)に順番にA/D変換する動作を繰り返して行う。したがって、或る鍵から見れば、アナログデジタル変換のサンプリング時間(ΔTad)の間隔は一定となる。そして、各鍵毎のセンサ出力電圧(デジタル値)はRAM30に順次記憶されていき所要の時にクリアされる。また、センサは先に説明したアクション機構に採用されたセンサ100と同じ構成の光学式のものであるので再度説明することは避ける。もちろん、他の方式、例えば出力線形性の良いGMR素子(巨大磁気抵抗)を利用したセンサを用いたもの等を採用しても良い。
次に、図2と図4を参照して、或る鍵を押鍵した場合の鍵の平均速度と仮想ハンマーの暫定的な速度である「仮想ハンマー暫定速度」を求める処理について説明する。なお、図4は横軸に経過時間(t)、縦軸に押鍵深さ「X」(換言すればセンサ出力電圧)をとっている。図4において、横方向等間隔に記載されている黒丸は一定時間(ΔTad)毎にA/Dサンプリングされたセンサの出力電圧値である。先ず、ステップS1において、CPU20が基準電圧(図4参照)を超えたことを検出した場合には押鍵操作が行われたと判定する。次に、ステップS2において、CPU20は、一定時間(Tad)毎にサンプリングされたセンサの電圧変化(ΔV)を監視し、この電圧変化(ΔV)が所定電圧「Vs」以下となったことが、所定時間「Ts」以上継続したと判断した場合、これを停滞区間として検出する。例えば、図4の例では、V8からV9の電圧変化が先ず「Vs」以下となり、以降、V16までの時間「t」において隣り合う黒丸間の電圧変化は「Vs」以下であり、且つ、tは「Ts」以上であると判定すると、V8からV16までが停滞区間と検出される。停滞区間においては鍵の動きが小さなものとなりその動きが停滞している。
次に、ステップS3において、CPU20は鍵の平均速度を求める。図4に示すように、停滞区間が検出された場合には、鍵が動き出した(換言すれば基準電圧以上になった点)点であるV1からV16までの2点間の電圧差の合計値をその時間で除する。具体的には、鍵の平均速度=「((V2−V1)+(V3−V2)+(V4−V3)+…+(V16−V15))/T1」として求める。そして、ステップS4において、CPU20は、仮想ハンマーの暫定の速度である仮想ハンマー暫定速度を「仮想ハンマーの暫定速度=鍵の平均速度×4.7」として求める。なお、ここで「4.7」は、一般的なアクション機構においては、押鍵深さが「010(mm)」、ハンマー位置が「047(mm)」だからである。かくして、或る鍵が押鍵されてその鍵の動きが停滞する停滞区間を検出されると、その鍵の平均速度を求め、求めた平均速度に基づいて、実際には存在しない仮想的なハンマーである仮想ハンマーの暫定の速度である仮想ハンマー暫定速度を求めることができる。なお、速いフレーズを「浅い」強い打鍵で演奏するような場合には、浅い打鍵位置での実速度を用いるよりも、この暫定速度(平均速度)に対応する発音強度の方が自然な発音となることを実験により確認した。

次に、図3と図5を参照して、或る鍵を押鍵した場合の鍵の実際の速度である実速度と仮想ハンマーの実際の速度である「仮想ハンマー実速度」を求める処理について説明する。なお、図5は横軸に経過時間(t)、縦軸に押鍵深さ「X」(換言すればセンサ出力電圧)をとっている。図5において、横方向等間隔に記載されている黒丸は一定時間(Tad)毎にA/Dサンプリングされたセンサ出力電圧のデジタル値である。先ず、ステップS10において、CPU20が基準電圧(図5参照)を超えたことを検出した場合には押鍵操作が行われたと判定する。次に、ステップS20において、CPU20は、一定時間毎(Tad毎)にサンプリングされたセンサの電圧変化(ΔV)を監視し、この電圧変化(ΔV)が所定電圧である計測電圧「Vm」以上となったか否かを検出する。例えば、図5の例では、V1からV5の電圧変化が「Vm」以上となり、計測電圧「Vm」以上の変化があったことを把握する。次いで、ステップS30において、CPU20は、鍵の実速度を求める。図5の具体例では、V1からV5までの変化に要した時間を「T2」として、「鍵の実速度=(V5−V1)/T2」なる演算で求める。
そして、ステップS4において、CPU20は、仮想ハンマーの実際の速度である仮想ハンマー実速度を「仮想ハンマーの実速度=鍵の実速度×4.7」として求める。先に説明したレットオフまでは、ステップS20〜ステップ40までの処理を繰り返して実行する。例えば、図5においては、先ずV1〜V5までで仮想ハンマーの実速度が求まったのであれば、次にV5を新たな開始点として仮想ハンマーの実速度を求めていくこととなる。かくして、或る鍵の実速度に基づいて、仮想ハンマーの実速度を求めることができる。なお、1つの鍵の鍵操作に応じて、図2の処理と図3の処理とは並列(パラレル)に実行される。このためにはCPU20をマルチプロセッサ化したり、RAM30の領域の一部を実速度演算用領域と暫定速度演算領域とに分けて演算のワークエリアにしたりすることが一例として挙げられる。なお、「実速度」は、1回以上のハンマー暫定速度を求めた後の値を用いる。
次に、図6を参照して発音処理を含む処理について説明する。先ず、ステップS100において、CPU20は、鍵がレットオフ位置を超えているか否かを判定する。このためには、前述したように押鍵深さ「X」が所定押鍵深さ「XLO」以上になっている場合にレットオフを超えていると判定する。レットオフを超えていると判定された場合(ステップS100のYes)、ステップS300に移行する。超えていないと判断された場合(ステップS100のNo)には、ステップS200において、鍵が仮想ハンマーを追い越す状態か否かを判定する。このためには、押鍵深さを「X」、ハンマーアクション機構におけるハンマーの上部先端と弦との距離を「Y」とすると、「(Y/4.7)≦X」が成立する場合、鍵が仮想ハンマーを追い越す状態にあると判定する(ステップ200SのYes)。なお、図8に、鍵とハンマーとの関係を模式的に示している。図8は、理解容易化のため図9における、打弦機構500と弦11とハンマー501とを抜き出して模式的に図示している。図8に示すように、完全離鍵時でハンマー501が鉛直方向において最も下側に位置する場合における、ハンマー501の鉛直方向の上端と弦11との距離が「Y」である。そして、CPU20は、ステップS200において「Yes」の場合にはステップS250に移行する一方、「No」の場合にはステップS300に移行する。
次いで、ステップS250において、CPU20は、仮想ハンマー暫定速度を仮想ハンマー実速度で置き換える処理を実行する。つまり、鍵の押鍵操作が進み、仮想ハンマーの位置を追い越す状態になることがあるが、このような状態になった場合に、仮想ハンマー速度よりも鍵速度の方が速いため、仮想ハンマー暫定速度をその時の仮想ハンマー実速度で置き換えるのである。追い越さない場合(ステップS200の「No」)には、仮想ハンマー速度は重力により鉛直下方に加速されて減速していくことになる(ステップS260)。次いで、ステップS300において、CPU20は、仮想ハンマー実速度が仮想ハンマー暫定速度よりも速いか否かを判定する。ステップS300で「Yes」、即ち、仮想ハンマー実速度の方が速い場合にはステップS400に移行して、仮想ハンマー実速度を採用し、仮想ハンマー実速度に対応する移動量を積算する。一方、ステップS300で「No」、即ち、仮想ハンマー暫定速度の方が速い場合にはステップS410に移行して、仮想ハンマー暫定速度を採用し、仮想ハンマー暫定速度に対応する移動量を積算する。これは、より速い方が先に弦に到達して発音するに至るので、速い方の速度を採用するためである。
仮想ハンマー実速度に対応する移動量、仮想ハンマー暫定速度に対する移動量は夫々テーブル化して、仮想ハンマー実速度、仮想ハンマー暫定速度が求められたらこのテーブルを参照して夫々の移動量を得る構成にすれば良い。なお、移動量は、A/D変換部15によるA/D変換のサンプリングレート(Tad)が一定となるため、仮想ハンマー速度と等価となる。したがって、仮想ハンマー実速度に対応する移動量を積算することは「順次、得られる仮想ハンマー実速度を積算していくこと」と等しくなる。同様に、仮想ハンマー暫定速度に対応する移動量を積算することは「順次、得られる仮想ハンマー暫定速度を積算していくこと」と等しくなる。
ステップS400において、仮想ハンマー暫定速度が採用された場合には前回採用された仮想ハンマー暫定速度に今回採用された仮想ハンマー速度を加算していく処理を行っていく一方、ステップ410において、仮想ハンマー実速度が採用された場合には前回採用された仮想ハンマー実速度に今回採用された仮想ハンマー実速度を加算していく処理を行っていく。そして、ステップS500において、積算値が「4.7」を超えたと判定した場合(ステップS500のYes)には、ステップ600に移行し、CPU20は、当該鍵に対応する音を出力するように音源50を駆動制御する。ステップS500において「No」と判定された場合には、仮想ハンマーの暫定速度(平均速度)を求める処理、及び、鍵の実速度を求める処理に移行する(この両処理は並列に実行される)。より具体的には、並列処理される、図2のステップS2の「停滞区間検出処理」、及び、図3の「規定電圧変化検出処理」へと移行する。そして、ステップ600において発音処理が実行されると、次いで、ステップ700において、CPU20はRAM20内の対応する積算値をクリアする。かくして、発音動作が実行されることになる。
図10は、図6のステップS700に代わる別の方法での処理を示す模式的な説明図である。移動量R1、移動量R2、…と積算して行き、移動量R8を更に積算すると「4.7」を超えるため、CPU20が音源50の発音制御を行う。そして、この発音制御が行われた後の移動量R9は、今度は逆向きに積算する(マイナス値を加算することになる)。そして、移動量R10、…、移動量R11と積算して行くと「0」になるため、一旦「積算停止」状態とする。なお、次に、移動量R12が求まると再び積算を再開する(今度はプラス値を加算する)。このようにすれば、「4.7」を超えた時点でクリア処理を強制的に行わなくても良い。
(鍵盤センサユニット)
図1の構成において、鍵盤40を取り除いて他の構成要素を筺体に収納し、この筺体をユニットとして電子鍵盤楽器等に装着可能な鍵盤センサユニットを構成することができる。また、鍵盤40だけではなく音源50も既存のものを利用するとすれば、CPU20は既存の音源に対して発音動作を行うような指示信号を与える指示信号付与手段を備える構成とすれば良い。かくして、既存の電子鍵盤装置に装着可能な鍵盤センサユニットを実現することもできる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、適宜、処理の変更等が可能であることは言うまでもない。
以上説明してきたように、本発明の鍵盤装置は、電子鍵盤楽器等に応用して利用することができる。
1 基板
2 フロントピン
3 バランスピン
4 フロントパンチング
6 突起部
7 クランク部
8 ダンパー
9 金属線
10a、10b、…、10n センサ
11 弦
15 A/D変換部
20 CPU
25 ROM
30 RAM
40 鍵盤部
50 音源
60 スピーカ
70 操作子
80 バス
100 センサ
400 鍵
500 打弦機構
501 ハンマー
1000 電子鍵盤楽器

Claims (5)

  1. 複数の鍵からなる鍵盤部を有する鍵盤装置において、
    或る鍵が押鍵されてその鍵の動きが停滞する停滞区間を検出すると、その鍵の平均速度を求め、求めた平均速度に基づいて、実際には存在しない仮想的なハンマーである仮想ハンマーの暫定の速度である仮想ハンマー暫定速度を求める暫定速度演算手段と、
    前記或る鍵の実際の速度である実速度に基づいて、前記仮想ハンマーの実際の速度である仮想ハンマー実速度を求める実速度演算手段と、
    前記仮想ハンマー暫定速度と前記仮想ハンマー実速度とを比較してより速い方の速度を採用する速度採用手段と、
    前記速度採用手段で採用した速度に対応する、前記仮想ハンマーの移動量を積算していく積算手段と、
    この積算値が所定値を超えた場合に、前記或る鍵に対応する音を発音するように音源を制御する音源制御手段と、を備えたことを特徴とする鍵盤装置。
  2. 請求項1に記載の鍵盤装置において、
    前記停滞区間は、前記或る鍵の押鍵深さの変化量が所定値以下であることが所定時間継続された場合に検出されることを特徴とする鍵盤装置。
  3. 請求項1および2の内のいずれか一項に記載の鍵盤装置において、
    前記積算手段は、
    前記速度採用手段によって前記仮想ハンマー暫定速度が採用された場合には前回採用された仮想ハンマー暫定速度に今回採用された前記仮想ハンマー暫定速度を加算していく処理を行っていく一方、前記速度採用手段によって前記仮想ハンマー実速度が採用された場合には前回採用された仮想ハンマー実速度に今回採用された前記仮想ハンマー実速度を加算していく処理を行っていく手段であることを特徴とする鍵盤装置。
  4. 請求項1、2および3の内のいずれか一項に記載の鍵盤装置において、
    前記暫定速度演算手段と前記実速度演算手段とは、並列(パラレル)に演算処理を実行するように構成されていることを特徴とする鍵盤装置。
  5. 押鍵された鍵の動きが停滞する停滞区間が検出されたと判断した場合に、その押鍵の平均速度に基づいて、実際には存在しない仮想的なハンマーである仮想ハンマーの暫定の速度である仮想ハンマー暫定速度を求める暫定速度演算手段と、
    記鍵の実際の速度である実速度に基づいて、前記仮想ハンマーの実際の速度である仮想ハンマー実速度を求める実速度演算手段と、
    前記仮想ハンマー暫定速度と前記仮想ハンマー実速度とを比較してより速い方の速度を採用する速度採用手段と、
    前記速度採用手段で採用した速度に対応する、前記仮想ハンマーの移動量を積算していく積算手段と、
    この積算値が所定値を超えた場合に、前記鍵に対応する音を発音するように音源を制御する音源制御手段と、を備えた鍵盤センサユニット。
JP2012002711A 2012-01-11 2012-01-11 鍵盤装置および鍵盤センサユニット Active JP5843287B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012002711A JP5843287B2 (ja) 2012-01-11 2012-01-11 鍵盤装置および鍵盤センサユニット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012002711A JP5843287B2 (ja) 2012-01-11 2012-01-11 鍵盤装置および鍵盤センサユニット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013142767A JP2013142767A (ja) 2013-07-22
JP5843287B2 true JP5843287B2 (ja) 2016-01-13

Family

ID=49039355

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012002711A Active JP5843287B2 (ja) 2012-01-11 2012-01-11 鍵盤装置および鍵盤センサユニット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5843287B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3147490B2 (ja) * 1992-04-30 2001-03-19 ヤマハ株式会社 電子楽器
JP3584585B2 (ja) * 1995-12-08 2004-11-04 ヤマハ株式会社 電子楽器
JP4483636B2 (ja) * 2005-03-14 2010-06-16 ヤマハ株式会社 鍵盤楽器
JP5179224B2 (ja) * 2008-02-26 2013-04-10 ローランド株式会社 鍵盤装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013142767A (ja) 2013-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3887968B2 (ja) 鍵盤楽器および鍵速度判定装置
CN101345045B (zh) 用于音乐课程的电子辅助系统和装配该系统的乐器
JP5223490B2 (ja) 電子鍵盤楽器のペダルの力覚制御装置
US10902830B2 (en) Signal supply device, keyboard device and non-transitory computer-readable storage medium
US20150279343A1 (en) Apparatus and method to enhance the expressive qualities of digital music
CN105845117B (zh) 键盘单元
JP2010122268A (ja) 電子鍵盤楽器の楽音制御装置
JP6149354B2 (ja) 電子鍵盤楽器、方法及びプログラム
CN105741826B (zh) 交互式钢琴及交互方法
JP2005321576A (ja) 自動演奏ピアノ
JP2006126748A (ja) 力覚制御用基礎情報出力装置
JP5843287B2 (ja) 鍵盤装置および鍵盤センサユニット
JP5974756B2 (ja) 電子鍵盤楽器
JP4442531B2 (ja) 電子鍵盤楽器
JP5320545B2 (ja) 鍵盤ストローク検出装置
JP6507519B2 (ja) タッチ検出装置、方法、およびプログラム、電子楽器
Dolhansky et al. Designing an expressive virtual percussion instrument
JPH06266356A (ja) 電子鍵盤楽器の発音制御方法
JP2009204743A (ja) 鍵盤装置
JP2013137434A (ja) 電子鍵盤楽器
JP6394737B2 (ja) 電子鍵盤楽器、方法及びプログラム
JP5298437B2 (ja) 鍵盤楽器
JP5572941B2 (ja) 電子鍵盤楽器の力覚制御装置
JP2011197399A (ja) 楽音制御信号生成装置
JP2008046249A (ja) 電子鍵盤楽器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141003

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150626

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150629

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151111

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5843287

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250