以下、本発明の実施の形態による空気圧縮機1を添付図面を参照して説明する。
図1(a)〜1(c)に示す空気圧縮機1は、釘打機等の空気工具へ圧縮空気を供給する。空気圧縮機1は、ハンドル11と、カバー10と、モータ5と、圧縮機構30と、タンク50(51、52)と、フレーム53と、制御回路7とを備えている。
以下の説明においては、図1(a)における左側を空気圧縮機1の左側、図1(a)の右側を空気圧縮機1の右側と定義する。また、図1(a)における上側を空気圧縮機1の後側、下側を空気圧縮機1の前側と定義する。また、図1(a)における紙面の裏側から表側へ向かう方向を空気圧縮機1の上方向、紙面の表側から裏側へ向かう方向を空気圧縮機1の下方向と定義して説明する。
図1(b)に示すように、カバー10は、タンク50(51、52)、フレーム53、及び、制御回路7を覆っている。カバー10の上面には、スイッチ77(図2)を有する操作パネル部12が設けられている。スイッチ77は、電源コード27を介して空気圧縮機1に供給される商用交流電源のオン/オフの切替えを行う。スイッチ77の切替えにより、制御回路7およびモータ5等への駆動電力の供給のオン/オフを切替える。操作パネル部12は、タンク50(51、52)内の圧力値や、過負荷等の警告を表示可能である。
タンク51、52は、左右方向に延びる軸を有する略円筒形状をなしており、その両端部は閉塞されている。タンク51、52は左右方向に平行であり、両端部が互いに一致している。タンク51、52はフレーム53によって固定されており、タンク51とタンク52との内部は図示せぬ連通管により連通している。
モータ5及び圧縮機構30は、タンク51の軸方向における中央位置に配置されている。モータ5は三相交流ブラシレスモータにより構成されており、ロータ5Aと、ステータ5Bと、ロータ5Aと一体回転する出力軸5Cとを備えている。モータ5は、その出力軸5Cがタンク51の軸方向に直交する方向(前後方向)に指向するように配置されている。出力軸5Cの前側の一部は、後述のクランクケース31を貫通している。
出力軸5Cの後部には、軸流ファン25、及び、ファン回転軸24が設けられている。軸流ファン25は、ファン回転軸24に対して同軸的に一体回転可能に固定されている。また、ファン回転軸24は、出力軸5Cに対して同軸的に固定されている。軸流ファン25が回転することによって外部の空気がカバー10の内部に取り込まれ、モータ5の後側から前側に空気が流れ、モータ5が冷却される。
圧縮機構30は、モータ5の前方に設けられており、モータ5と接続されている。圧縮機構30は、クランクケース31と、第1圧縮機32、第2圧縮機33とを有する。クランクケース31内には、図示せぬクランク軸が配置されている。第1圧縮機32、第2圧縮機33は、それぞれ、図示せぬシリンダと図示せぬピストンと図示せぬシリンダヘッドとを有している。図示せぬクランク軸は、モータ5の出力軸5Cと一体回転するように構成され、図示せぬピストンと駆動連結されている。モータ5の回転は、クランク軸を介して各シリンダ内に配置されたピストンの往復運動に変換される。第1圧縮機32は第2圧縮機33に接続されており、圧縮空気が移動可能になっている。また、第2圧縮機33は、タンク52に接続されている。
カバー10の図示せぬ貫通孔から流入した空気は、第1圧縮機32の図示せぬシリンダ内の図示せぬピストンの往復運動によって、第1圧縮機32の図示せぬシリンダ内で0.7〜0.8MPaの圧力まで圧縮される。第1圧縮機32で圧縮された空気は、第2圧縮機33の図示せぬシリンダ内に流入し、3.0〜4.35MPaの許容最高圧力まで圧縮される。第2圧縮機33で圧縮された空気は管部材56を通してタンク52に内に流入する。タンク52に流入した圧縮空気の一部は、連通管54(図1(b))を通してタンク51に流入する。このようにして、圧縮空気は、タンク51及びタンク52内において同一の圧力で圧縮空気を貯留されるように構成される。
タンク52上方の両端部には、圧縮空気取出し口(カプラ)60A、60Bとが設けられている。カプラ60A、60Bの各々には、ホースを介して釘打機等の空気工具が接続され、当該空気工具に圧縮空気を供給可能である。
図2に示すように、空気圧縮機1は、電源回路20と、制御回路7と、モータ5とが電気的に接続されている。制御回路7は、CPU70と、ドライバ71と、位置検出素子72と、スイッチング回路73と、EEPROM74と、圧力センサ75と、表示部76と、スイッチ77とを有する。
本実施の形態のモータ5は、3相のブラシレスDCモータであり、複数組のN極とS極を含む永久磁石からなるロータ5Aと、スター結線により結線された3相の固定子導線U、V、Wからなるステータ5Bと、を備えている。モータ5(ロータ5A)は、電流が流れる固定子導線が順次切替わることにより回転する。
回転子位置検出素子72は、ロータ5Aの永久磁石に対向する位置に、ロータ5Aの周方向に所定の間隔毎(例えば角度90°毎)に配置されており、回転子(ロータ5A)の回転位置に応じた信号を出力する。
CPU70は、回転子位置検出素子72からの信号に基づき回転子(ロータ5A)の回転位置を検出する。また、CPU70は、回転子(ロータ5A)の回転位置の変化から、回転子(ロータ5A)の回転数(以下、モータ5の回転数ともいう)を求める。ドライバ71は、回転子(ロータ5A)の回転位置、及び、回転数をCPU70に転送する。
スイッチング回路73は、モータ5のU、V、W相に対応する導線に電流を供給する。ドライバ71は、固定子(ロータ5A)の回転位置に基づいて、スイッチング回路73を制御し、適切なタイミングでU、V、W相に対応する導線に電流を供給している。
EEPROM74は不揮発性メモリである。EEPROM74には、後述の制御処理を実行する制御プログラムを保存されている。また、制御プログラム実行の際に必要な充填フラグ、圧力フラグ、4MPaフラグ、サブモード値なども各種設定値を保存されている。
圧力センサ75は、タンク50内の空気の圧力(以下、単に圧力とする)を測定し、測定した圧力値をCPU70に転送している。
表示部78は、空気圧縮機の動作状況を知らせるためのLEDライトからなる。
スイッチ77は、操作パネル部12(図1(b))に設けられ、ユーザが、電源のオン、オフを切替え、さらに、通常モード、学習モード、静音モードを切替えるものである。本実施の形態の空気圧縮機1が動作する際に、スイッチ77は通常モード、学習モード、静音モードのいずれか一つに設定される。
通常モードにおいて、圧力が4.0MPaより小さくなると、モータ5は再起動され、2800rpmで回転するように制御される。
詳細は後述するが、学習モードにおいて、サブモードA、B、Cの何れか一つに設定され、空気圧縮機1の使用状況に応じてサブモードは切替わる。サブモード値は、A、B、Cの何れか一つに設定され、それぞれ、サブモードA、B、Cが設定されていることを示している。サブモードA、Bにおいて、モータ5は2800rpmで回転するように制御され、サブモードCではモータ5は、電源起動時のみ2800rpmで回転するように制御され、それ以外は2000rpmで回転するように制御される。
サブモードAにおいて、圧力が4.0MPaより小さくなると、モータ5は再起動される。サブモードBにおいて、圧力が3.2MPaより大きく、4.0MPaより小さい範囲では、圧力変化率(=圧力の変化/時間)が、−0.05MPaより小さいときに、モータ5は再起動される。あるいは、サブモードBでは、圧力が3.2MPa以下になると、圧力変化率に関わらず、モータ5が再起動される。サブモードCでは、圧力が、2.3MPaより小さくなると、モータ5が再起動される。
即ち、サブモードA、B、Cは、モータ5の回転数と、再起動する圧力の何れか一つが互いに異なっている。
スイッチ77の操作により電源がオンに切替えられると、電源回路20から制御回路用駆動電流が制御回路7と、電源回路20と、モータ5とに供給される。
図3は、本実施の形態の制御プログラムのフローチャートである。制御処理は、スイッチ77によって電源がオンにされると実行される。
S10において、CPU70は、満充填フラグ、圧力フラグ、圧力変化率フラグ、の初期値として0を設定する。また、CPU70は、サブモード値の初期値としてBを設定する。以下では、充填フラグは、処理開始すなわち電源ON後に、タンク50に空気が満充填されたか否かを示す。即ち、満充填フラグは0に設定され、タンク50の空気の圧力が4.35MPaより大きいとき(満充填されているとき)、満充填フラグは1に設定される。圧力フラグは、タンク50内の空気の圧力が4.0MPaより大きいか否かを示す。タンク50内の空気の圧力が4.0MPa以上であるとき、圧力フラグは1に設定され、タンク50内の空気の圧力が4.0MPaより小さいとき、圧力フラグは0に設定される。圧力変化率フラグは、タンク50内の空気の圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であるかどうかを示す。即ち、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であるとき、圧力変化率フラグは1に設定され、それ以外では0に設定される。尚、4.0MPaフラグは、満充填後、タンク50内の空気の圧力が4.0MPaより大きいとき、すなわち圧縮空気の消費開始直後の期間の空気消費量が大きいことを示す。詳細は後述する。
S12において、CPU70は、圧力フラグが1であるかどうかを判断する。S12において、圧力フラグはモータ5を起動することを許可するかどうかを判断するため用いられる。即ち、圧力フラグはその値が0のとき、モータ5の起動を許可し、その値が1のときモータ5の起動を禁止する。この制御により、モータへの負荷が大きい状態でモータ起動することによる過負荷を防止できる。
S16では、CPU70は、圧力センサ75が測定した圧力値を元に、タンク50内の空気の圧力が4.35MPaより大きいか否かを判断している。圧力が4.35MPa以下のときには(S16:NO)、S18において、CPU70はモータ5を起動する。S20において、CPU70は、スイッチ77が通常モードに設定されているか否かを判断する。スイッチ77が通常モードに設定されているときには(S20:YES)、S22において、CPU70は、モータ5の回転数を通常モードに対応した2800rpmにて回転させ、タンク5に圧縮空気を供給する。
スイッチ77が通常モードに設定されていないときには、S26において、CPU70は、スイッチ77が静音モードに設置されているかどうかを判断する。スイッチ77が静音モードに設定されているときには(S26:YES)、S27において、CPU70は、圧力変化率フラグが1であるか否かを判断する。圧力変化率フラグが1であるときには(S27:YES)S28において、CPU70は、モータの回転数を1800rpmにて回転させ、タンク5に圧縮空気を供給する。圧力変化率フラグが0であるときには(S27:NO)、S29においてCPU70は、モータの回転数を1600rmpにて回転させ、タンク5に圧縮空気を供給する。
スイッチ77が静音モードに設定されていないとき(S26:NO)、即ち、スイッチ77が学習モードであるときには、CPU70は、サブモード値の値に応じて、以下のような回転数でモータを回転し、タンク5に圧縮空気を供給する。即ち、サブモード値が、AあるいはBであるときには回転数は2800rpmである。サブモード値がCであって、電源起動後一回目にS30を実行するとき、即ち、満充填フラグが0に設定されているときには、回転数は2800rpmである。サブモード値がCであって、2回目以降にS30を実行するとき、即ち、満充填フラグが1に設定されているときには回転数は2000rpmである。
一方、S16において、圧力が4.35MPaより大きければ(S16:YES)、S32において、CPU70はモータ5を停止する。かかる処理により、タンク50内の最大圧力が4.35MPaになるようにモータ5を制御している。その後、CPU70は、S34において満充填フラグ、圧力フラグを共に1に設定する。
S22、S28、S30、S34の何れかの処理が終了すると、S40において、CPU70はスイッチ77がオフになったかどうかを判断し、スイッチ77がオンであれば(S40:NO)、S12にもどり、オフであれば(S40:YES)、S41においてモータを停止し、処理を終了する。
次に、図4に示したフローについて説明する。まず、S102において、CPU70は圧力変化率を演算する。具体的には、所定時間間隔(本実施の形態では3秒)の圧力センサ75の測定した圧力値から、その圧力変化率を求める。圧力変化率は、圧力の変化を所定時間間隔で割ることによって求める。尚、求めた圧力変化率はEEPROM74に保存する。S104において、CPU70は、スイッチ77が学習モードに設定されているか否かを判断する。学習モードに設定されている場合には(S104:YES)、S132において、CPU70は、サブモード値がBであるか否かを判断する。サブモード値がBであるか(S132:YES)、あるいは、スイッチ77が学習モードに設定されていないときには(S104:NO)、S106において、CPU70は圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であるか否かを判断する。尚、以上の説明より明らかなように、S106以降の処理は、通常モード、静音モード、学習モードのうちサブモード値がBのときのいずれかの場合に実行される処理である。
圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいとき、即ち、圧力の減少速度が速くないときには(S106:NO)、S108において、CPU70は圧力が3.2MPaより小さいか否かを判断する。圧力が3.2MPa以上であれば(S108:NO)、図3のS12に戻る。圧力が3.2MPaより小さければ(S108:YES)、S110において、CPU70は、スイッチ77が学習モードに設定されているかどうかを判断し、設定されていれば(S110:YES)、S111において、CPU70は、S106において2回連続して圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいとされたか否かを判断する。具体的には、圧力変化率フラグが既に0になっていれば、2回連続で圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいと判断する。あるいは、CPU70が、圧力変化率を求めた際に、その値を履歴としてEEPROM74に保存しておき、かかる履歴を参照することで判断してもよい。S111において、肯定判断がなされると(S111:YES)、S112において、CPU70はサブモード値をCに設定する。2回連続で圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいと判断される場合には、ユーザは例えば、かなりの時間間隔をあけて釘を打つなどの作業をしており、しばらくは、タンク50内の空気は緩やかに消費されると予想される。そのため、CPU70はサブモード値をBからCに変更する。サブモードCでは、圧力が、2.3MPa以下になって初めてモータ5が起動される。そのため、必要以上にモータ5を起動することを抑制することができる。
スイッチ77が学習モードに設定されていないか(S110:NO)、2回連続で圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいと判断されていないか(S111:NO)、あるいは、S112の処理を実行した後に、S114において、CPU70は、圧力フラグ、圧力変化率フラグの値を共に0に設定し、図3のS12に戻る。
S106において、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下のときには(S106:YES)、S120において、CPU70は圧力が4.0MPaより小さいか否かを判断する。圧力が4.0MPa以上であれば(S120:NO)、S121において、CPU70は4MPaフラグを1に設定し、図3のS12に戻る。
圧力が4.0MPaより小さければ(S120:YES)、S124において、CPU70は、4MPaフラグが1であるか否かを判断する。4.0MPaフラグが1であることは、タンク50内の圧力が4.0MPaまで低下する前から、すなわち、作業者の作業開始後すぐに高い空気消費量があったことを示している。4MPaフラグが1であれば(S124:YES)、S126においてスイッチ77は学習モードに設定されているか否かを判断し、S128において2回連続で4.0MPaフラグが1である状態でモータを再起動したか否かを判断する。具体的には、例えば、S128を経由してモータを再起動した場合はその履歴をEEPROM74に保存しておき、かかる履歴を参照することで判断することができる。S128でYESと判断されたときには、S129においてCPU70はサブモード値をAに設定する。このように、2回連続して4.0MPaフラグが1である状態でモータを再起動したときには、ユーザは、例えば連続して釘を打つなどの作業をしており、しばらくは、タンク50内の空気は激しく消費されると予想される。そのため、CPU70は、サブモード値をBからAに変更する。サブモードAでは、圧力が4.0MPaより小さければ、ただちにモータ5が再起動し、最大回転数である2800rpmで回転するため、タンク50内の空気を早めに供給することができる。このため、空気圧縮機1の連続使用時間を長くすることができる。
S124、S126、S128の何れかが否定判定されるか、あるいはS129の処理を実行した後に、S130において、CPU70は圧力フラグを0に、圧力変化率フラグを1に設定し、図3のS12に戻る。
S132においてサブモード値がBでない場合(S132:NO)、S134において、CPU70は、サブモード値がAであるか否かを判断する。サブモード値がAであるときには(S134:YES)、S136においてCPU70は、圧力が4.0MPaより小さいか否かを判断する。圧力が4.0MPa以上であれば(S136:NO)、図3のS12に戻る。
S136において、圧力が4.0MPaより小さければ(S136:YES)、S138において、CPU70は、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であるか否かを判断する。圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であれば(S138:YES)、S140において、CPU70は圧力フラグの値を0に、圧力変化率フラグの値を1に設定し、図3のS12に戻る。
S138において、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいときには(S138:NO)、S142において、CPU70は2回連続で圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きかったか否かを判断する。具体的には、圧力変化率フラグが既に0になっていれば、2回連続で圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいと判断する。あるいは、CPU70が、圧力変化率を求めた際に、その値を履歴としてEEPROM74に保存しておき、かかる履歴を参照することで判断してもよい。2回連続で圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きかった場合には(S142:YES)、S144においてサブモード値をBに設定する。
このように、2回連続して圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいときには、ユーザは、例えば時間を空けて釘を打つなどの作業をしており、しばらくは、タンク50内の空気は激しく消費されることは無いと予想される。そのため、CPU70は、サブモード値をAからBに変更する。サブモードBでは、圧力が3.2MPaより大きく4.0MPaより小さいときに、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であるか、または、圧力が3.2MPa未満であればモータ5は再起動され、最大回転数である2800rpmで回転する。このため、圧力と、圧力変化率とに基づいて供給するタイミングを適切に設定することができる。
圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいという判定が連続して2回行われていないとき(S142:NO)、または、S144の処理の実行後、S146においてCPU70は圧力フラグ、圧力変化率フラグの値を共に0に設定する。
S134において,サブモード値がAでないとき、即ち、サブモード値がCのときには(S134:NO)、S150において、CPU70は、圧力が2.3MPaより小さいか否かを判断する。圧力が2.3MPaより小さいときにはS160において、CPU70は圧力フラグ、圧力変化率フラグの値を共に0に設定し、図3のS12に戻る。
S150において圧力が2.3MPa以上のとき(S150:NO)、S152において、CPU70は、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であるか否かを判断する。圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であれば(S152:YES)、S154において、CPU70はサブモード値をBに設定し、S156において、圧力フラグを0に、圧力変化率フラグを1に設定し、図3のS12に戻る。
圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいときには(S152:NO)、CPU70はS12に戻る。
上記の制御処理に従った学習モードにおける各サブモードの処理について説明する。図5〜7は、それぞれサブモードB、A、Cの処理を示したタイミングチャートである。図5〜7において横軸は時間を示し、縦軸は圧力(MPa)を示す。上記のようにサブモードBは、制御処理の初期に設定されるサブモードであり、サブモードA、Cは、必ずサブモードBから切替わる。従って、図5〜7において、時刻0において、サブモードはBに設定されている。尚、時刻0は、タンク50内に空気が充填され、モータ5が停止した後(S32)を示している。
区間IB1において、圧縮空気は使用され、タンク内圧力は減少している。時刻TB1において、CPU70はS106の判断を行い、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下である(単位時間あたりの空気の消費量が多い)と判断し(S106:YES)、続けて圧力が4.0MPaより小さいと判断する(S120:YES)。このときは、サブモードはAに変化せず(S129をスキップ)、CPU70は、サブモードBを維持したまま圧力フラグを0に、圧力変化率フラグを1に設定する(S134)。圧力フラグが0に設定されているため、S12において否定判定がなされ、区間IB2においてモータが2800rpmで回転して空気をタンク50に供給する(S30)。時刻TB2において、CPU70は圧力が4.35MPaより大きいと判断し(S16;YES)、モータを停止して(S32)、圧力フラグを1に設定する(S34)。
区間IB3において、ユーザが空気圧縮機1を使用することにより、タンク50内の空気は減少するものの、サブモードはBに設定されており、圧力変化率が、−0.05/3(MPa/秒)より大きく(単位時間あたりの空気の使用量が少ない)(時刻TB3、S106:NO)、また、圧力が3.2MPa以上であるため(S108:NO)、モータ5は再起動されない。
時刻TB4において、CPU70は、圧力が3.2MPaより小さいと判断し(S108:YES)、圧力フラグ、圧力変化率フラグを共に0に設定することで、モータ5を2800rpmで回転する(S30)。区間IB4では、タンク50内に空気が供給される、その後モータ5は停止される(S32)。
区間IB5において、時刻TB5では、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下ではなく(S106:NO)、圧力も3.2MPaより大きいため(S108:NO)、圧力フラグは1に維持され、モータ5は再起動しない。しかし、時刻TB6になると、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下になり(S106:YES)、CPU70は、S130において圧力フラグを0に設定する。CPU70は、モータを2800rpmで回転し(S30)、その後停止させる(S32)。
以上のように、サブモードBでは、タンク50内の空気の圧力が4.0MPaより小さく、3.2MPaより大きい範囲で、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下になれば、モータ5を再起動し、モータ5を2800rpmで回転している。また、圧力が3.2MPaより小さいときには、圧力変化率に関わらず(圧量変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きくても)、モータ5を再起動し、2800rpmで回転させている。このように、タンク50内の空気の圧力と、圧力変化率とに基づいて、モータ5の再起動のタイミングを設定しているため、適切なタイミングで空気を供給し、空気圧縮機1の連続使用時間を延ばすことが可能になる。
次に、サブモードAについて図6を参照して説明する。まず、区間IA1ではサブモードはBに設定されている。区間IA1では、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であり(S106:YES)、圧力が4.0MPa未満である(S120:YES)。但し、2回連続して4.0MPaフラグが1である状態でモータを再起動していないため(S128:NO)、CPU70はサブモードをAに設定しない(S129をスキップ)。S130においてCPU70は、圧力フラグを0に、圧力変化率フラグを1に設定する。圧縮フラグが0に設定されるため、続くS12の判定はNOとなり、時刻TA1において、モータ5が再起動し(S18)、区間IA2において、サブモードBの設定に基づいて2800rpmで回転し、(S30)、その後停止する(S32)。
次に、時刻TA3において、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であり(S106:YES)、圧力が4.0MPa以下であるため(S120:YES)、CPU70は、圧力フラグを0に、圧力変化率フラグを1に設定する(S130)。ここでは、2回連続して4.0MPaフラグが1である状態でモータを再起動したため(S128:YES)、CPU70はサブモードをAに設定する(S129)。圧縮フラグが0に設定されるため、続くS12の判定はNOとなり、時刻TA3において、モータ5が再起動し(S18)、サブモードAの設定に基づいて2800rpmで回転する(S30)。
区間IA4では、モータ5が2800rpmで回転するものの、空気の使用量が供給量を上回るため、タンク50内の空気は次第に減少する。時刻TA4で、空気の使用は中断される。引き続き区間IA4においてモータ5が2800rpmで回転し、時刻TA5でタンク50内の空気の圧力が4.35MPaになるため、モータ5は停止される(S32)。これにより、CPU70は、圧力フラグを1に設定する(S34)。区間IA6における時刻TA6において、圧力は4.0MPaより小さくなる(S136:YES)。区間IA6では、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいため(S138:NO)、S146において圧力フラグが0に設定される。これにより、区間IA7において、CPU70はモータ5を再起動し(S18)、回転数2800rpmで回転させる(S30)。尚、ここでは、CPU70は、2回連続で圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいと判断しないため(S142:NO)、S142はスキップされ、サブモードはAに維持される。
区間IA8では、区間IA6と同様に空気が消費されるため、時刻TA6と同様にして、時刻TA7で、圧力フラグが0に設定される(S146)。但し、ここでは、CPU70は2回連続で圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいと判断するため(S142:YES)、サブモードはBに変更される(S144)。
2回連続して4.0MPaフラグが1である状態でモータを再起動したときは、ユーザはしばらく多くの空気を消費する作業を行うと予想される。そのため、サブモードをBからAに変更し、圧力が4.0MPaより小さくなると、2800rpmでモータ5を回転している。これにより、空気の消費量が大きくても、すぐにモータ5が再起動して空気を供給するため、空気圧縮機1の連続使用時間を長くすることができる。
次に、サブモードCについて図7を参照して説明する。区間IC1ではサブモードはBに設定されている。区間IC1では圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいため(S106:NO)、時刻TC1において、圧力が3.2MPaより小さくなるまで、モータ5は再起動しない。時刻TC1において、CPU70は、圧力が3.2MPaより小さいと判断し(S108:YES)、CPU70は、圧力フラグを0に設定する(S114)。尚、ここでは、CPU70は2回連続で圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいと判断しないため(S111:NO)、サブモードはBに維持される。そのため、区間IC2において、CPU70は、モータ5を再起動し(S18)、2800rpmで回転させ(S30)、その後停止させる(S32)。
区間IC3においても区間IC1と同様に、時刻TC2において、CPU70が、圧力が3.2MPaより小さいと判断し(S108:YES)、CPU70は、圧力フラグを0に設定する(S114)。ここでは、CPU70は2回連続で圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいと判断するため(S111:YES)、サブモードをCに設定する(S112)。区間IC4において、CPU70はモータ5を再起動し(S18)、サブモードCに対応する回転数200rpmで回転させる(S30)。
区間IC5では、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいため(S152:NO)、圧力フラグは1に維持され、時刻TC3までモータ5は再起動しない。時刻TC3において、CPU70が圧力が2.3MPaより小さいと判断すると(S150:YES)、圧力フラグと圧力変化率フラグとが共に0に設定され(S160)、区間IC6において、CPU70は、モータ5を再起動し(S18)、2000rpmで回転させる(S30)。区間IC7では、CPU70は、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であると判断し(S152:YES)、サブモードをBに設定する(S154)。
圧力変化率が2回連続して−0.05/3(MPa/秒)より大きいときは、空気の消費量は緩やかである。この場合には、サブモードをBからCに変更することで、モータ5を2000rpmで回転する。空気の消費量は緩やかであるため、2000rpmのモータ5の回転によって、十分に空気を供給することができる。モータ5の回転数は2800rpmより低い2000rpmになるため、モータ5から発生する騒音や、発熱量を低減させることができる。
以上のように、学習モードにおいて、サブモードを適宜変更することにより、ユーザの使用状況(空気の消費量)に対応して圧縮空気を供給することができる。
次に、上記の制御処理による、静音モードについて図8を参照して説明する。図8では、横軸が時間を示し、縦軸が圧力(MPa)を示している。静音モードは、ユーザがスイッチ77を静音モードに設定することにより実行される。図8の時刻0では、タンク50内に空気が充填され、モータ5が停止した後(S32)を示している。
区間ID1において、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であるため、時刻TD1において、S106は肯定判定され、圧力フラグと、圧力変化率フラグとが共に0に設定される(S134)。これにより、区間ID2において、CPU70はモータ5を起動し(S18)、1800rpmで回転させ(S28)、その後停止させる(S32)。
区間ID3では、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいため、S106は否定判定される。時刻TD2で、CPU70は、圧力が3.2MPaより小さいと判断し(S108:YES)、圧力フラグと圧力変化率フラグとが共に0に設定される(S114)。これにより、区間ID4において、CPU70はモータ5を起動し(S18)、1600rpmで回転させる(S28)。
区間ID5の時刻TD3では、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいため(S106:NO)、モータ5は再起動されないが、時刻TD4では、−0.05/3(MPa/秒)以下であり(S106:YES)、タンク50内の空気の圧力が4.0MPaより小さい(S120:YES)ため、S130において圧力フラグが0に設定される。これにより、区間ID6において、CPU70はモータ5を起動し、1800rpmで回転させ(S28)、その後停止させる(S32)。
以上のように静音モードでは、圧力が4.0より小さく、3.2MPaより大きければ、圧力変化率が、−0.05/3(MPa/秒)以下になればモータ5を再起動し、1800rpmで回転している。このため、例えば、圧力変化率に関わらず、圧力が3.2MPaになるまでモータ5を再起動しない場合に比べると、空気圧縮機5の連続使用時間を延ばすことができる。また、圧力が4.0より小さく、3.2MPaより大きければ、圧力変化率が、−0.05/3(MPa/秒)より大きいときに、モータ5を再起動し、1600rpmで回転している。即ち、静音モードにおいて、圧力変化率に応じて1600rpmと1800rpmとの2つの回転数でモータ5を回転している。このため、静音モードにおいて、空気圧縮機5の使用状況に応じて適切にモータ5を回転させ、騒音を低減しつつ、連続使用時間を延ばすことができる。このため使用状況に応じてきめ細かく作業者の期待に対応できる。
また、静音モードにおいて、モータ5の回転数は1800rpmである。これは、最高回転数2800rpmより1000rpm低い回転数である。本願の発明者が音量を測定したところ、モータの回転数が2800rpmのときの音量は約62dbであり、2800rpmのときの音量は60dbであった。従って、回転数を約0.64倍(=1800/2800倍)することにより、音量は2db分下がる、即ち、音量を1/100倍にすることができる。従って、回転数を1800rpmに下げることは、音量を低減させる上で効果的である。また、住宅地などで空気圧縮機を使用する場合には、大きな動作音が発生すると周辺住民が不快に感じることがある。モータ5の回転数を1800rpmにすると、動作音がかなり低減されるため、周辺住民に不快さを与えない程度になる。本実施の形態では、モータ5の回転数を1800rpmにしたうえで、圧力変化率が、−0.05/3(MPa/秒)以下になればモータ5を起動している。そのため、動作音を低減しつつも、空気圧縮機1の連続使用時間を延ばすことが可能になる。なお、静音モードにおいてモータ5の回転数を1600rpmにしたときには、1800rpmより更に騒音を低減することができる。
また、静音モードでは、再起動する圧力の値が、3.2〜4.0MPaの間に設定されている。この圧力範囲はタンク50の最高圧力4.35MPaより低い値である。比較例の静音モードとして、再起動する圧力の値の上限がタンクの最高圧力と同じである空気圧縮機を想定する。例えば、再起動する圧力の値が3.2〜4.35MPaであり、タンクの最高圧力が4.35MPaである場合を想定する。この場合には、圧力が4.35MPaより少しでも下がり、そのときの圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であれば、モータが再起動する。従って、モータが再起動するタイミングは、空気圧縮機の使用開始直後になってしまう。さらに、空気がわずかしか使用されていない状況でモータが再起動するため、短い時間で最高圧力に達してモータが停止することになる。このため、モータの再起動と停止の時間間隔が極端に短くなる。さらに、ユーザの使用方法によっては、このような動作が繰返し行われてしまうこともある。周囲の者は、例えモータの回転数が低くてもこのように短期間に繰返されるモータ音を不快に感じる。これに対して、本願の空気圧縮機1では、再起動する圧力の値が、再起動圧力4.35より低い3.2〜4.0MPaの間に設定されている。このため、圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)以下であっても、しばらく時間が経った後にモータ5が再起動する。このため、周囲の者に比較例のような不快感を与えることがなくなる。
尚、本発明の空気圧縮機1は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、S111において、CPU70は、S106において2回連続して圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいとされたかを判断しているが、S111は実行されず、1回でもS106において圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいと判断されれば、S112においてサブモードをCに変更するようにしてもよい。
あるいは、S111において、S106において任意の回数連続して圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいとされたかを判断するようにしてもよい。
同様に、S142の判定を行わず、1回でもS138において圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいと判断されれば、S112においてサブモードをCに変更するようにしてもよい。あるいは、S142において、任意の回数連続して圧力変化率が−0.05/3(MPa/秒)より大きいと判断するようにしてもよい。
また、S128の判定を行わず、1回でも4.0MPaフラグが1である状態でモータを再起動したと判断されれば、S129においてサブモードをAに変更するようにしてもより。あるいは、S128において、任意の回数連続して4.0MPaフラグが1である状態でモータを再起動したかを判断するようにしてもよい。