以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1.基本的な実施形態の構成 >>>
図1は、本発明の基本的な実施形態に係るコンテンツ提供システムの構成を示すブロック図である。図示のとおり、このシステムは、管理装置100と複数の端末装置200A〜200Eによって構成され、管理装置100からネットワーク300(この例の場合はインターネット)を介して送信されるコンテンツを、個々の端末装置200A〜200Eにおいて再生してユーザに提供する機能を有する。実用上、このシステムは多数のユーザによって利用されることになるが、図1では、説明の便宜上、5人のユーザA〜Eが、それぞれ端末装置200A〜200Eを利用して、このシステムを利用する単純な例が示されている。
各端末装置200A〜200Eは、パソコン、タブレット型電子デバイス、スマートフォンなど、デジタルコンテンツを再生する機能をもった様々な装置によって構成することができる。一方、管理装置100は、ネットワーク300を介してデジタルコンテンツを提供する機能をもったサーバコンピュータによって構成される。
管理装置100は、図示のとおり、コンテンツ格納部110、コンテンツ送信部120、販売管理部130、購入品リスト収集部140、推奨品リスト作成部150によって構成され、個々の端末装置200A〜200Eに対してネットワーク300を介して通信することができる。もっとも、上述したとおり、管理装置100の実体はサーバコンピュータであり、実際には、上記各構成要素110〜150は、このサーバコンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより実現される。
コンテンツ格納部110は、ユーザに対して提供する対象となるデジタルコンテンツを格納する構成要素であり、実際には、サーバコンピュータ用のハードディスク装置などの記憶装置を利用して構成される。本発明に係るコンテンツ提供システムは、書籍、音楽、映像など、様々なデジタルコンテンツを取り扱うことができるので、コンテンツ格納部110に格納されるコンテンツは、書籍、音楽、映像などの任意のデジタルデータでかまわない。ただ、ここでは説明の便宜上、コンテンツとして、電子書籍のデジタルデータを取り扱った実施例を述べることにする。したがって、ここで述べる実施例における管理装置100は、インターネット上に設けられた電子書店のサイトとして機能する。
コンテンツ送信部120は、個々の端末装置200A〜200Eからの送信要求に応じて、コンテンツ格納部110から当該送信要求に係るコンテンツを読み出し、これをネットワーク300を介して、送信要求があった端末装置に送信する機能を果たす。一方、販売管理部130は、個々の端末装置200A〜200Eからの購入要求に応じて、当該購入要求に係るコンテンツについて販売履歴を記録するとともに課金処理を行う機能を果たす。後述するように、販売履歴には、どのユーザが、いつ、どのコンテンツを、いくらで購入したか、という情報が記録され、課金処理としては、当該ユーザのクレジットアカウントに購入金額を計上する処理が行われる。このような販売履歴の記録や課金処理の具体的な方法は、インターネット上でオンライン販売サイトを開設する技術として広く知られた方法であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
一方、購入品リスト収集部140は、個々の端末装置200A〜200Eからそれぞれ購入品リストを収集し、これを格納する機能を果たす構成要素である。ここで、購入品リストは、個々のユーザごとにそれぞれ購入済のコンテンツを示す識別データを羅列したリストである。ここでは、各購入品リストを、「Purchase」の頭文字をとってP(A),P(B),P(C)なる符号で示すことにする。括弧内のA,B,Cは、それぞれユーザA,B,Cを示しており、たとえば、購入品リストP(A)は、ユーザAが利用する端末装置200Aから収集されたユーザAについてのリストということになる。
前述したとおり、各ユーザへの販売履歴は、販売管理部130に記録されるので、「ユーザAがどのコンテンツを購入したか」という情報であれば、販売管理部130を参照すれば足りる。ただ、本発明における購入品リストには、個々のユーザが購入したコンテンツを特定する情報だけでなく、その並び順を示す情報も含まれている。後述するように、各端末装置では、この並び順に応じた順序でコンテンツの一覧表示がなされることになる。したがって、購入品リスト収集部140には、「どのユーザが、どのコンテンツを購入し、どのような並び順で一覧表示をさせているか」という情報が収集されることになる。
また、推奨品リスト作成部150は、個々の端末装置200A〜200Eに与えるべき推奨品リストを、購入品リスト収集部140に収集されている多数のユーザの購入品リストを参照することにより作成し、これを個々の端末装置200A〜200Eに送信する機能を有する。後述するように、各端末装置200A〜200Eでは、この推奨品リストに応じて、推奨コンテンツの提示が行われる。
続いて、各端末装置200A〜200Eの基本構成を説明する。図2は、図1に示すコンテンツ提供システムにおいて、1台の端末装置200を管理装置100にネットワークを介して接続した状態を示すブロック図である。この図2の上段に示す管理装置100の構成は、図1の上段に示す管理装置100の構成と全く同じである。一方、図2の下段に示す端末装置200は、図1に示す端末装置100A〜100Eのうちの1台(ここでは、ユーザAが利用する端末装置100A)に対応するものである。
図示のとおり、端末装置200は、コンテンツ受信部210、コンテンツ再生部220、コンテンツ選択部230、購入処理部240、購入品リスト格納部250、順序変更部260、推奨品リスト格納部270、一覧表示部280によって構成されている。前述したように、この端末装置200は、パソコン、タブレット型電子デバイス、スマートフォンなど、ネットワーク300を介して管理装置100に対して通信を行うことができ、デジタルコンテンツを再生する機能をもった様々な装置(コンピュータが組み込まれた装置)によって構成することができる。したがって、実際には、上記各構成要素210〜280は、このコンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより実現される。
コンテンツ受信部210は、管理装置100側のコンテンツ送信部120とネットワーク300を介して交信する機能を有し、コンテンツ送信部120に対して所望のコンテンツについての送信要求を与え、当該送信要求に応じて送信されてきたコンテンツを受信する機能を果たす。上述したとおり、コンテンツ送信部120に対して送信要求を与えると、コンテンツ送信部120は、コンテンツ格納部110から当該送信要求に係るコンテンツを読み出し、これを返信する機能を果たすので、コンテンツ受信部210は、こうして返信されてきたコンテンツを受信すればよい。
コンテンツ再生部220は、コンテンツ受信部210が受信したコンテンツを再生する機能を果たす。ここに示す実施例では、コンテンツは電子書籍のデジタルデータであるため、コンテンツを再生する処理とは、電子書籍の内容をディスプレイ画面上に表示する処理ということになる。もちろん、コンテンツが音楽データである場合は、コンテンツ再生部220によって音楽の再生が行われ、コンテンツが動画データである場合は、コンテンツ再生部220によって動画の再生が行われる。
コンテンツ選択部230は、コンテンツ再生部220に再生させるべきコンテンツを選択するための構成要素である。ユーザが、コンテンツ選択部230に対して選択指示を行うと、当該指示がコンテンツ再生部220に伝達され、選択されたコンテンツの再生が行われることになる。
一方、購入処理部240は、ユーザの指示に基づいて、管理装置100側の販売管理部130に対して所望のコンテンツについての購入要求を与え、購入済コンテンツを特定する識別コードを購入品リスト格納部250内に格納されている購入品リストP(A)に追加する購入処理を行う。このような購入要求を受けて、販売管理部130が当該購入要求に係るコンテンツについての販売履歴を記録するとともに課金処理を行う点は既に述べたとおりである。
なお、ここに示す実施例の場合、コンテンツの購入処理とコンテンツの受信処理とは直接的には連動していないので、特定のコンテンツを購入する購入処理を行っても、当該購入処理に基づいて当該特定のコンテンツのデータがコンテンツ送信部120からコンテンツ受信部210に対して送信されるわけではない。すなわち、ここに示す実施例の場合、コンテンツの購入処理とは、販売管理部130において販売履歴を記録して課金を行うとともに、購入品リスト格納部250内に格納されている購入品リストP(A)を更新する処理であり、特定のコンテンツについての購入が行われた事実を示す情報を記録する処理と言うことができる。
別言すれば、ここに示す実施例では、コンテンツ再生部220は、いわゆるストリーミング再生を行う機能を有しており、コンテンツ再生部220は、特定のコンテンツの再生を行う際に、コンテンツ受信部210に対して再生対象コンテンツについての送信要求を行う。コンテンツ受信部210が、この送信要求をコンテンツ送信部120に伝達する。すると、コンテンツ送信部120は、この送信要求に応じて、コンテンツ格納部110内から再生対象コンテンツを読み出し、これを送信要求があった端末装置200に返信する(もちろん、この場合、送信要求を出したユーザを認証して、販売履歴を参照し、当該再生対象コンテンツを返信してよいかどうかの判断が行われる)。コンテンツ受信部210は、送信要求に応じて返信されてきた再生対象コンテンツを受信する。そして、コンテンツ再生部220が、コンテンツ受信部210が受信した再生対象コンテンツをストリーミング再生することになる。
このように、ここに示す実施例では、端末装置200において、コンテンツのストリーミング再生が行われるため、購入済コンテンツのデータを端末装置200側にダウンロードして保存しておく必要はない。したがって、コンテンツ受信部210には、再生に必要なコンテンツデータを一時的に格納しておく記憶領域を用意しておけばよく、再生終了時には、当該コンテンツデータを消去してかまわない。
購入品リスト格納部250は、購入品リストP(A)を格納する構成要素である。購入品リストP(A)は、ユーザAの購入済コンテンツを特定する識別コードを並べたリストであり、購入処理部240が新たなコンテンツを購入する処理を行うと、当該新たな購入済コンテンツを特定する識別コードが購入品リストP(A)に追加される。前述したとおり、この購入品リストP(A)には、購入済コンテンツの並び順を示す情報も含まれている。結局、購入品リストP(A)は、「ユーザAが購入した個々の購入済コンテンツを特定する識別コードを所定の並び順が認識できる態様で収録したリスト」ということができる。
順序変更部260は、ユーザの指示に基づいて、購入品リスト格納部250に格納されている購入品リストP(A)の並び順を変更する構成要素である。ユーザは、購入品リストP(A)に収録されている購入済コンテンツの識別コードを任意の順序に入れ替えることができる。後述するように、この並び順は、コンテンツの一覧表示を行う際に意味をもつ。
推奨品リスト格納部270は、この端末装置100を利用しているユーザ(この例の場合は、ユーザA)に対して推奨する推奨コンテンツを収録した推奨品リストを格納する構成要素である。ここでは、ユーザA用に作成された推奨品リストを、「Recommend」の頭文字をとってR(A)なる符号で示すことにする。前述したとおり、推奨品リストR(A)は、管理装置100側の推奨品リスト作成部150によって作成され、ネットワーク300を介して端末装置200側に送信され、推奨品リスト格納部270に格納される。
ユーザA用の推奨品リストR(A)には、ユーザAがまだ購入していないコンテンツであって、ユーザAの嗜好に合致すると推定される推奨コンテンツの識別コードが収録されている。ここで重要な点は、この推奨品リストR(A)は、単に、ユーザAに対する推奨コンテンツの識別コードを収録したリストではなく、購入品リスト格納部250に格納されている購入品リストP(A)において並び順が隣接する一対の購入済コンテンツについて、その間に挿入すべき推奨コンテンツの識別コードを定義したリストになっている点である。このような推奨品リストR(A)の特徴については、後に具体例を挙げて詳述する。
一覧表示部280は、購入品リスト格納部250に格納されている購入品リストP(A)と、推奨品リスト格納部270に格納されている推奨品リストR(A)と、に基づいて、購入済コンテンツの指標と推奨コンテンツの指標とを混在状態で並べた一覧画像を生成し、これを表示する機能をもった構成要素である。より具体的には、一覧表示部280は、購入済コンテンツの指標を購入品リストP(A)の並び順に基づいて並べ、更に、推奨品リストR(A)に基づいて推奨コンテンツの指標を購入済コンテンツの指標の間に挿入し、購入済コンテンツの指標と推奨コンテンツの指標とを混在状態で並べた一覧画像を生成して、これをディスプレイ上に表示する処理を行うことになる。この処理の具体的な内容についても、後に具体例を挙げて詳述する。
こうして、一覧表示部280によって生成表示された一覧画像は、コンテンツ選択部230による選択処理に利用される。すなわち、コンテンツ選択部230は、この一覧画像上で、再生対象となる特定のコンテンツの指標を指定するユーザの指示を入力することにより、当該特定のコンテンツを選択する処理を行う。一覧画像上には、購入済コンテンツの指標と推奨コンテンツの指標とが混在状態で並べられているので、ユーザは、再生対象として、購入済コンテンツを選択することもできるし、推奨コンテンツを選択することもできる。また、コンテンツ再生部220は、コンテンツ選択部230による選択結果に基づき、購入済コンテンツを再生することもできるし、推奨コンテンツを再生することもできる。
もっとも、購入済コンテンツは、ユーザが対価を支払って入取したコンテンツであるため、何ら制約なしに再生が可能であるが、推奨コンテンツは、ユーザがまだ購入をしておらず、ユーザの購入を促す販促活動の一環として提供されるコンテンツであるため、所定の制約下でのみ再生が可能になるような仕組が導入されている。したがって、コンテンツ再生部220は、コンテンツ受信部210が受信した購入済コンテンツもしくは推奨コンテンツのうち、コンテンツ選択部230によって選択されたコンテンツを再生する構成要素であるが、購入済コンテンツについては何ら制約なしに再生を行うものの、推奨コンテンツについては所定の制約下でのみ再生を行うことになる。
<<< §2.コンテンツの購入および再生に関する具体的な動作 >>>
前述した§1では、図1および図2のブロック図を参照しながら、本発明の基本的な実施形態に係るコンテンツ提供システムの構成を述べた。ここでは、このシステムにおけるコンテンツの購入および再生に関する具体的な動作を実例を示しながら述べることにより、各構成要素の処理機能を更に詳しく説明する。なお、§1でも述べたとおり、本発明に係るコンテンツ提供システムは、書籍、音楽、映像など、様々なデジタルコンテンツを取り扱うことができるが、ここでは説明の便宜上、コンテンツとして、電子書籍のデジタルデータを取り扱った実施例を述べることにする。また、端末装置200として、ディスプレイ画面上にタッチパネルを備えたタブレット型電子デバイスを用いた具体例を述べることにする。
はじめに、このシステムにおいて、ユーザが所望のコンテンツ(電子書籍)を購入する場合の動作を説明する。ユーザが、コンテンツの購入を行いたい場合、図2に示す購入処理部240に対して、所定の購入指示を与える操作を行えばよい。このシステムにおける購入処理は、購入処理部240と販売管理部130との連携動作によって行われる。たとえば、販売管理部130にWebサーバ機能をもたせておき、購入処理部240にWebブラウザ機能をもたせておけば、販売管理部130のWebサーバ機能によって実現される電子書店サイトに対して、購入処理部240のWebブラウザ機能を用いてアクセスすることにより、購入処理を行うことが可能である。
具体的には、販売管理部130に、コンテンツ格納部110内に格納されている多数のコンテンツ(電子書籍)の一覧をWebページ上に提示する機能をもたせておき、購入処理部240に、このWebページにアクセスして、ディスプレイ上に表示する機能をもたせておけばよい。
図3は、ユーザがタブレット型電子デバイス200(端末装置)を用い、電子書籍の購入作業を行う際にディスプレイ201上に表示された画面の一例を示す平面図である。この画面は、電子書店サイトの購入用Webページである。実際には、このタブレット型電子デバイス200に組み込まれた専用のアプリケーションプログラム(本発明に係る端末装置200として機能させるためのプログラム)を起動させ、メニューボタン202の操作によって表示されるメニュー画面から、電子書店サイトからの購入処理を行うメニューを選択し、更に、必要に応じて、アカウントおよびパスワードの入力画面を経て、図3に示す購入用Webページが表示されることになるが、ここではこのような手順の詳細な説明は省略する。
図示のとおり、この電子書店のサイトの購入用Webページには、複数のジャンル選択ボタン10が表示されている。必要があれば、ユーザは、この画面を上下にスクロールさせることができる。ユーザは、まず、購入対象となる電子書籍のジャンルを、所望のジャンル選択ボタン10をタップすることにより選択する。ここでは、「文学」なるボタンをタップしたものとしよう。この場合、ディスプレイ201上の画面は、図4に示すような内容に切り替わる。すなわち、作家ごとの作品を示すコンテンツ選択ボタン20が表示される。この画面も上下にスクロールさせることができる。
この図4に示す画面上で、ユーザが所望のコンテンツの選択ボタン20をタップして選択すると、当該コンテンツを購入することができる。ここでは、ユーザAが「吾輩は猫である」をタップして、当該コンテンツを購入したものとしよう。この場合、ユーザの指示に基づいて、購入処理部240から販売管理部130に対して、「吾輩は猫である」なるコンテンツについての購入要求が与えられることになり、§1で述べたとおり、管理装置100側では、ユーザAに対して「吾輩は猫である」なるコンテンツを販売した事実を示す販売履歴が販売管理部130に記録され、ユーザAに対する課金処理が行われる。一方、端末装置200側では、購入処理部240によって、「吾輩は猫である」なるコンテンツの識別コードを、購入品リスト格納部250内の購入品リストP(A)に追加する処理が行われる。
図5は、販売管理部130に記録された販売履歴の一例を示す図である(便宜上、9月25日以降の履歴のみ示す)。この例では、日付、ユーザID、コンテンツID、価格の各情報が販売履歴として記録されており、「いつ、どのユーザに、どのコンテンツを、いくらで販売したか」という事実が記録されることになる。この例において、ユーザID欄に記載されているU(x)なる識別コードは、ユーザxのユーザIDであり、コンテンツID欄に記載されているCxxxxxなる識別コードは、特定のコンテンツのコンテンツIDである。ユーザIDとしては、このシステムを利用する個々のユーザについて、それぞれユニークな識別コードを付与しておくようにし、コンテンツIDとしては、コンテンツ格納部110内に格納されている個々のコンテンツについて、それぞれユニークな識別コードを付与しておくようにすればよい。たとえば、電子書籍の場合、ISBNをそのままコンテンツIDとして利用することができる。
図5に示す例の場合、U(A)なるユーザIDで特定されるユーザAに関しては、9月25日にコンテンツID「C22222」で特定されるコンテンツを160円で販売し、翌26日にコンテンツID「C44444」で特定されるコンテンツを150円で販売したという販売履歴が記録されている。販売管理部130には、このように、多数のユーザに関する販売履歴が蓄積されてゆくことになる。
一方、図6は、購入品リスト格納部250内に格納される、ユーザAの購入品リストP(A)の一例を示す図である。この例では、並び順、コンテンツID、タイトルの各情報により購入品リストが構成されている。ここで、並び順第2位のコンテンツ「草枕(コンテンツID:C22222)」は、図5に示すように、9月25日に購入したものであり、並び順第1位のコンテンツ「吾輩は猫である(コンテンツID:C44444)」は、9月26日に購入したものである。ここに示す実施例の場合、購入処理部240は、新たにコンテンツの購入を行った場合に、これまで購入品リストに収録されていた各コンテンツの順位を1ずつ繰り下げ、新たに購入したコンテンツを第1位の並び順に追加する処理を行う。このため、図示の例の場合、最後に購入した「吾輩は猫である(コンテンツID:C44444)」が第1位の位置に追加されている。
もっとも、本発明における購入品リストは、個々の購入済コンテンツを特定する識別コード(コンテンツID)を所定の並び順が認識できる態様で収録したリストであればよいので、図6に示す購入品リストにおける「タイトル」や「並び順」の情報は、必ずしも必要なものではない。たとえば「タイトル」の情報は、必要があれば、「コンテンツID」に基づいて管理装置100に問い合わせを行うことにより入手可能である。また、「並び順」の情報がなくても、「コンテンツID」を所定の順序で羅列しておけば、個々の「コンテンツID」の並び順を確認することも可能である。ただ、購入品リストに「コンテンツID」とともに「並び順」および「タイトル」を収録しておけば、個々のコンテンツについての「並び順」および「タイトル」を直ちに認識できる。
§1で述べたとおり、この購入品リストP(A)の並び順は、一覧表示部280による一覧表示を行う際に意味をもつ。図7は、図2に示す一覧表示部280によって、ユーザAの購入済コンテンツの一覧表示を行った状態を示す平面図である。この例の場合、端末装置200のディスプレイ201には、陳列棚(本棚)30が表示され、その中に購入済コンテンツの指標40(各電子書籍の背表紙)が並べられている。ここで、この本棚30には、上段から下段に順序が定義され、同じ段の場合は、左から右に順序が定義されているため、背表紙として示された各電子書籍の並び順は、最上段の左端を第1位、最下段の右端を最下位とする順序になる。この並び順は、図6に示す購入品リストP(A)の並び順に対応している。
ユーザは、順序変更部260に対して指示を与えることにより、購入品リストP(A)に収録されている購入済コンテンツの識別コードを任意の順序に入れ替えることができる。ここに示す実施例の場合、端末装置200は、ディスプレイ201の画面上にタッチパネルを備えたタブレット型電子デバイスであるため、ユーザは、このタッチパネルに対して指による操作入力を行うことにより、順序を変更する指示を与えることができる。すなわち、図7に示すような一覧画像が表示されたディスプレイ201の画面上にはタッチパネルが設けられており、順序変更部260は、このタッチパネル上で行われたユーザのドラッグアンドドロップ操作により、購入品リストの並び順を変更する処理を行う。
たとえば、「草枕」と「羅生門」との位置を入れ替えたい場合、ユーザは、指先で「草枕」の指標40をタッチし、そのまま指先を「羅生門」の指標の右側位置までスライドさせ、指を離す操作を行えばよい。この操作により、図6に示す購入品リストP(A)の並び順第2位と第3位の内容が入れ替わり、一覧表示部280によって表示された一覧画像上でも、「草枕」と「羅生門」との位置が入れ替わることになる。
一般に、本棚では、多くの人が、ジャンルが共通した書籍をまとめて配置する傾向にある。本発明に係るシステムでも、ユーザは、順序変更部260に対して指示を与えることにより、購入済コンテンツの表示順序を自由に変更できるので、多くのユーザが、ジャンルが共通した購入済コンテンツがまとめて配置されるような並べ替えを行うことになろう。実際、図7に示す例は、このような並べ替えが行われた状態を示しており、購入した電子書籍12冊は、小説3冊、辞典3冊、実用書3冊、旅行書3冊という順序で配置されている。
§1で述べたとおり、この図7に示す一覧画像は、再生対象となるコンテンツを選択する操作に利用される。コンテンツ選択部230は、この一覧画像上で、再生対象となる特定のコンテンツの指標を指定するユーザの指示を入力することにより、当該特定のコンテンツを選択する処理を行う。選択結果は、コンテンツ再生部220に伝達され、選択したコンテンツの再生が行われる。
たとえば、コンテンツ選択部230が、一覧画像上で、再生対象となる特定のコンテンツの指標をダブルタップ(2回続けてタップ)するユーザの操作を選択指示として入力するように設定されていた場合、ユーザが、図7に示す一覧画像上で「草枕」の背表紙部分をダブルタップすると、図8に示すように、ディスプレイ201はコンテンツ表示画面45に切り替わることになる。これは、コンテンツ選択部230からコンテンツ再生部220に対して、「草枕」(コンテンツID:C22222)が選択された旨の指示が出され、コンテンツ再生部220からコンテンツ受信部210に対して、「草枕」(コンテンツID:C22222)の送信要求が出され、当該送信要求がコンテンツ送信部120に伝達され、管理装置100側からコンテンツデータがストリーミング配信されてきたためである。
このように、図7に示すような一覧画像は、購入済コンテンツの一覧を確認する用途に利用されるとともに、特定のコンテンツの再生指示を与えるランチャーとしての用途にも利用されることになる。なお、図7に示す一覧画像は、図6に示す購入品リストP(A)に収録された購入済コンテンツのみを一覧表示したものであるが、本発明では、このような購入済コンテンツに、更に、推奨コンテンツを追加した一覧表示が行われることになる(図7に示す一覧表示は、推奨品リスト格納部270内に推奨品リストR(A)が格納されていない場合の例ということになる)。
図9は、本発明において、購入品の間に推奨品を挿入して混在表示を行う概念を示す平面図である。ここでは、ディスプレイの画面に陳列棚30が表示され、そこに5つの購入品P1〜P5と、3つの推奨品R1〜R3が表示されている例が示されている。ここで、購入品P1〜P5は、購入品リストに収録された購入済コンテンツであり、リスト上の並び順に従って、左から右へと並べられている。これに対して、推奨品R1〜R3は、推奨品リストに収録された推奨コンテンツであり、推奨品リストで指示された所定の位置に挿入されている。具体的には、推奨品R1は、購入品P2/P3間に挿入すべき推奨コンテンツとして定義され、推奨品R2,R3は、購入品P3/P4間に挿入すべき推奨コンテンツとして定義されている。
このように、本発明では、購入品は、購入品リストに収録された並び順で配置されるのに対して、推奨品は、推奨品リストで指示された挿入位置に挿入されることになる。別言すれば、本発明における推奨品リストとは、購入品リストにおいて並び順が隣接する一対の購入済コンテンツについて、その間に挿入すべき推奨コンテンツの識別コードを定義したリストということになる。
図10は、このような推奨品リストR(A)の一例を示す図である。ここに示す推奨品リストR(A)は、図6に示すユーザAの購入品リストP(A)に基づいて、推奨品リスト作成部150によって作成されたユーザAのための推奨品リストであり、図6に示す購入品リストP(A)において並び順が隣接する一対の購入済コンテンツについて、その間に挿入すべき推奨コンテンツの識別コードを定義したリストになっている。すなわち、この推奨品リストR(A)には、挿入位置、コンテンツID、タイトルなる情報が含まれており、「特定のコンテンツIDをもつ特定のタイトルの推奨コンテンツを、特定の挿入位置に挿入すること」が示されている。
たとえば、この推奨品リストR(A)の1行目には、コンテンツID「C12345」,タイトル「こころ」なるコンテンツを、「[1&2]−1」なる位置に挿入すること、が示されている。ここで、挿入位置の[1&2]は、図6に示す購入品リストP(A)の並び順1と2の間に挿入すべきことを示している。なお、[1&2]に後続する「−1」は、並び順1と2の間に挿入すべきコンテンツが複数存在する場合の枝番である。すなわち、この例の場合、挿入位置[1&2]をもつコンテンツが「こころ」,「三四郎」,「坑夫」の3つであるため、挿入位置には、それぞれ枝番を付した「[1&2]−1」,「[1&2]−2」,「[1&2]−3」なる記号が収録されている。枝番が若いほど、並び順1のコンテンツに近い位置に挿入される。
図11は、図6に示す購入品リストP(A)と図10に示す推奨品リストR(A)とを合成することにより得られる、ユーザAの混在リストM(A)を示す図である。すなわち、この混在リストM(A)は、図6に示す購入品リストP(A)の行の間に、図10に示す推奨品リストR(A)の各行を、その挿入位置に応じて挿入することにより得られたものである。たとえば、購入品リストP(A)の並び順1の「吾輩は猫である」と並び順2の「草枕」の間には、3つの推奨品「こころ」,「三四郎」,「坑夫」が挿入されており、並び順2の「草枕」と並び順3の「羅生門」の間には、1つの推奨品「トロッコ」が挿入されており、並び順4の「人名大事典」と並び順5の「英和・和英辞典」の間には、1つの推奨品「歴史人物事典」が挿入されており、... といった具合である。
こうして得られた混在リストM(A)の各行をリナンバして新たな並び順を定義すれば、「吾輩は猫である」から「ヨーロッパ旅行」に至るまで、合計22冊の電子書籍の並び順が定義されることになる。この22冊のうちの12冊は、図6に示す購入済コンテンツであるが、残りの10冊は、図10に示す推奨コンテンツということになる。
図2に示す一覧表示部280は、推奨品リスト格納部270内に推奨品リストR(A)が格納されている場合(すなわち、購入品リスト格納部250内に格納されている購入品リストP(A)に基づいて、推奨品リスト作成部150で推奨品リストR(A)が作成され、端末装置200側に送信されてきている場合)、購入品リストP(A)と推奨品リストR(A)とを合成した混在リストM(A)を作成し、この混在リストM(A)に基づいて一覧画像を生成し、これをディスプレイの画面上に表示することになる。図12は、図11に示す混在リストM(A)に基づいて、購入済コンテンツおよび推奨コンテンツが混在する一覧表示を行った状態を示す平面図である。たとえば、購入済コンテンツである「吾輩は猫である」および「草枕」の指標40の間に、推奨コンテンツである「こころ」,「三四郎」,「坑夫」の指標50が挿入されている。
結局、ここに示す例では、ユーザAが実際に購入した購入済コンテンツのみを本棚30に並べて表示すると、図7に示すような一覧画像が得られるが、実際には、図12に示すように、購入済コンテンツとともに、管理装置100がユーザAに推奨する推奨コンテンツが混在した状態の一覧画像が表示されることになる。この一覧画像は、メニューボタン202の操作によって表示されるメニュー画面から、一覧表示を行うメニューを選択することにより、いつでも表示させることができる。
また、既に述べたとおり、この一覧画像の表示を行うディスプレイの画面上にタッチパネルを設けておけば、順序変更部260は、このタッチパネル上で行われたユーザのドラッグアンドドロップ操作により、購入品リストの並び順を変更することができるようになる。この場合、順序変更の対象となるのは、購入品リストの並び順だけであるので、購入済コンテンツについてはドラッグ可能であるが、推奨コンテンツについてはドラッグ不能となるような設定を行うようにすればよい。
この一覧画像には、特定のコンテンツの再生指示を与えるランチャーとしての役割も備わっており、ユーザが、図12に示す一覧画像上で「草枕」の指標40(背表紙部分)をダブルタップすると、コンテンツ再生部220による再生が行われ、図8に示すように、「草枕」の表示画面45(再生画面)が表示されることになる。コンテンツ再生部220は、購入済コンテンツだけでなく、推奨コンテンツについても再生する機能を有しており、ユーザが、図12に示す一覧画像上で、推奨コンテンツの指標50(背表紙部分)をダブルタップすると、当該推奨コンテンツの再生が行われる。
ただ、推奨コンテンツは、ユーザがまだ購入していないコンテンツであり、ユーザに購入を促すための販促活動の一環として提示されるものであるので、購入済コンテンツと同じ形で無条件に再生が行われるわけではなく、何らかの制約が課されることになる。コンテンツ再生部220は、購入済コンテンツについては制約なしに再生を行うことができるが、推奨コンテンツについては所定の制約下でのみ再生を行うことになる。
推奨コンテンツに制約を課す典型的な方法は、予め定められた所定のサンプル部分のみの再生を許可する方法である。たとえば、電子書籍の場合、予め所定の抜粋頁を定めておき、推奨コンテンツとして再生する場合には、当該抜粋頁のみが表示されるようにしておけばよい。図13は、図12に示す一覧表示において、推奨コンテンツ「こころ」を選択した場合に表示される抜粋頁(サンプル部分の内容)の画面61を示す図である。図示のとおり、この抜粋頁表示画面61には、上端に「推奨品の抜粋頁」なる注釈が明示されており、コンテンツ「こころ」のサンプル部分のみが表示されている。また、下端には、書店移動ボタン62と戻るボタン63が配置されている。
前述したとおり、ユーザが、図12に示す一覧画像上で購入済コンテンツ「草枕」の指標40(背表紙部分)をダブルタップすると、図8に示すように、「草枕」の表示画面45(再生画面)が現れ、スクロール操作を行えば、その全文を読むことができる。これに対して、ユーザが、図12に示す一覧画像上で推奨コンテンツ「こころ」の指標50(背表紙部分)をダブルタップすると、図13に示すように、「こころ」の抜粋頁表示画面61が現れる。この抜粋頁表示画面61では、サンプル部分の試読のみが可能であり、全文を読むことはできない。
ここに示す実施例の場合、この抜粋頁表示画面61から直接購入処理を行う頁へ移動できるようにしてある。すなわち、ユーザは、この抜粋頁表示画面61を試読した上で、推奨コンテンツ「こころ」を購入したいと思った場合は、書店移動ボタン62をタップすればよい。図14は、このようなタップ操作により、推奨コンテンツ「こころ」の購入画面64に移動した状態を示す図である。図13に示す抜粋頁表示画面61は、コンテンツ再生部220によって表示される画面であるが、図14に示す購入画面64は、購入処理部240が販売管理部130にアクセスすることによって表示される電子書店サイトの画面である。ユーザが、抜粋頁表示画面61上の書店移動ボタン62をタップする操作を行うことにより、処理は、コンテンツ再生部220から購入処理部240へ引き継がれ、推奨コンテンツ「こころ」についての購入処理の実行が行われることになる。
この図14に示す購入画面64を見たユーザが、購入ボタン65をタップすると、購入処理部240から販売管理部130に対して、推奨コンテンツ「こころ」についての購入要求が与えられる。販売管理部130は、この購入要求に応じて、コンテンツ「こころ」についての販売履歴を記録するとともに課金処理を行う。また、購入処理部240は、この時点で購入済コンテンツとなった「こころ」の識別コード(コンテンツID:C12345)を、購入品リスト格納部250内の購入品リストP(A)に追加する処理を行う。
結局、推奨品リストR(A)に推奨コンテンツとして収録されていたコンテンツ「こころ」は、購入品リストP(A)に購入済コンテンツとして新規収録されることになる。この場合、推奨品リストR(A)からコンテンツ「こころ」を削除するようにすれば、一覧画像上にコンテンツ「こころ」が重複して表示されることはない。あるいは、同一のコンテンツが購入品リストP(A)と推奨品リストR(A)に重複して収録されていた場合には、一覧表示部280が、購入品リストP(A)に収録されている内容のみを有効な情報として取り扱う運用をとれば、推奨品リストR(A)からコンテンツ「こころ」を削除する処理は不要である。また、§5で述べるように、購入品リストP(A)が更新されるたびに、推奨品リスト作成部150が新たな推奨品リストR(A)を作成して送信するようにすれば、購入品リストP(A)の更新とともに推奨品リストR(A)も更新されることになる。
なお、ここに示す実施例の場合、図14に示す購入画面64において、ユーザがキャンセルボタン66をタップした場合は、図13に示す抜粋頁表示画面61に戻り、更に、ここで戻るボタン63をタップした場合は、図12に示す一覧表示に戻ることになる。もちろん、推奨コンテンツ「こころ」を購入する方法は、図14に示す購入画面64を利用する方法に限られているわけではなく、図4に示す通常の購入画面から購入することも可能である。
以上、推奨コンテンツを再生する際に、所定のサンプル部分のみの再生を行う方法を説明したが、推奨コンテンツの再生方法は、このような方法に限定されるものではない。たとえば、個々のコンテンツについて、予め紹介情報(たとえば、電子書籍の場合、書誌情報を伴う書評など)を用意しておき、再生対象として推奨コンテンツが選択された場合に、コンテンツ再生部220が、この紹介情報を再生するようにしてもよい。
図15は、図12に示す一覧表示において、推奨コンテンツ「こころ」を選択した場合に表示される書評(紹介情報)の表示画面67を示す図である。図示のとおり、この書評頁表示画面67には、コンテンツ「こころ」の書誌情報と書評のみが表示されており、内容についての表示は一切ない。また、下端には、図13に示す抜粋頁表示画面61と同様に、書店移動ボタン62と戻るボタン63が配置されている。これらの各ボタンの機能は、既に述べたとおりである。このように、書評頁表示画面67を表示させる方法を採った場合、ユーザが、図12に示す一覧画像上で推奨コンテンツ「こころ」の指標50(背表紙部分)をダブルタップすると、図15に示す書評頁表示画面67が表示されることになる。
この書評を読んだユーザが、推奨コンテンツ「こころ」を購入したいと思った場合は、書店移動ボタン62をタップすればよい。前述した例と同様に、図14に示す購入画面64の表示に移行し、推奨コンテンツ「こころ」についての購入処理を行うことができる。
このように、推奨コンテンツの再生時に課す制約としては、図13に例示したように、当該コンテンツの一部分のみをサンプルとして提示する方法や、図15に例示したように、当該コンテンツの紹介情報のみを提示する方法を採ることができる。
実際にこのような方法を採るには、コンテンツ格納部110に、再生内容をすべて含む通常コンテンツと、この通常コンテンツの一部分(サンプル部分)のみ、もしくは、この通常コンテンツの紹介情報(たとえば、書評)のみを含むサンプルコンテンツと、の双方を格納しておくようにし、コンテンツ送信部120が、送信対象となるコンテンツが購入済コンテンツか推奨コンテンツかを判断し、購入済コンテンツである場合は通常コンテンツの送信を行い、推奨コンテンツである場合はサンプルコンテンツの送信を行うようにすればよい。そうすれば、コンテンツ再生部220は、購入済コンテンツが選択された場合には、送信されてきた通常コンテンツを再生することにより、何ら制約のない再生を行うことができ、推奨コンテンツが選択された場合には、送信されてきたサンプルコンテンツを再生することにより、所定の制約下での再生を行うことができる。
なお、コンテンツ送信部120が、送信対象となるコンテンツが購入済コンテンツか推奨コンテンツかを判断するには、販売管理部130内の販売履歴を参照すればよい。あるいは、コンテンツ受信部210が、コンテンツ送信部120に対して再生対象となるコンテンツについての送信要求を与える際に、購入品リスト格納部250内の購入品リストP(A)および推奨品リスト格納部270内の推奨品リストR(A)を参照して、再生対象となるコンテンツが購入済コンテンツか推奨コンテンツかを認識し、認識結果をコンテンツ送信部120に伝えるようにしてもよい。
推奨コンテンツの再生に制約を課す方法には、この他にも、時間制限や回数制限を課すという方法も可能である。すなわち、コンテンツ再生部220が、推奨コンテンツについては、所定の制限時間のみ再生する、もしくは、所定の制限回数だけ再生する、という制約下で再生を行うようにすればよい。たとえば、推奨コンテンツについては、5分間だけ再生可能とする、という制限時間を課しておいた場合、一見したところ、購入済コンテンツと同様の再生形態が得られるように見えるが、再生時間が5分経過した時点で再生は中断し、以後、当該推奨コンテンツは再生できなくなる。あるいは、推奨コンテンツについては、1回だけ再生可能とする、という制限回数を課しておいた場合、一見したところ、購入済コンテンツと同様の再生形態が得られるように見えるが、一度再生を中断した後は、以後、当該推奨コンテンツは再生できなくなる。
もちろん、推奨コンテンツについては、これまで述べた複数の制約を組み合わせた再生を行うようにしてもよい。たとえば、あるサンプル部分のみについて、5分間だけ再生が可能となるような制約を課すことも可能である。要するに、購入済コンテンツについては制約なしに再生が行われるのに対して、推奨コンテンツの再生については何らかの制約が課されるようにし、制約なしの再生を求めて、当該コンテンツの購入が促される効果が望めるのであれば、どのような制約を課すようにしてもよい。
また、本願にいう「制約」には、「全く再生できない」という制約も含まれる。たとえば、図15に例示した「書誌情報と書評のみを表示する」という制約は、実際のコンテンツの内容表示は全く行われていないため、コンテンツ自体については「全く再生できない」という制約を課したことになる。あるいは、図12に示す一覧画像上で推奨コンテンツ「こころ」の指標50(背表紙部分)をダブルタップすると、図14に示す購入画面64に切り替わるような運用を行った場合も、「全く再生できない」という制約を課したことになる。
<<< §3.推奨品リスト作成の基本原理 >>>
ここでは、まず、ユーザに図12に示すような一覧画像を提示するメリットを述べておこう。§2で詳述したとおり、この一覧画像は、一覧表示部280によって作成され、ディスプレイ201上に表示されたものであり、購入済コンテンツの指標と推奨コンテンツの指標とを混在状態で並べた画像である。
既に述べたとおり、電子書店をはじめとするインターネット上の電子商取引サイトでは、個々のユーザに対して未購入の推奨品を提示し、販売促進を行う手段が採られている。しかしながら、従来の方法では、推奨品を推奨品として、購入品とは別個独立して提示する手法を採っているため、ユーザから見ると、販売サイト側からの一方的な提示情報という印象が拭いきれず、押し売りをされているような違和感が生じかねない。特に、これまでの販促手法では、ユーザの立場から見ると、推奨品がどのような理由で自分に薦められているのかがわからないため、違和感が払拭されにくい。
これに対して、本発明では、図12に例示するように、購入済コンテンツの指標と推奨コンテンツの指標とが混在状態で並べた画像が提示される。この図12に示す一覧画像を見ると、あたかも実際の本棚30に、それぞれの本が並んでいるような心証をもつであろう。もちろん、実際には、このうちの一部のみが購入済コンテンツであり、残りの一部は未購入コンテンツ(推奨コンテンツ)であり、後者については、所定の制約下でのみ再生(閲覧)が可能であるという条件が課されている。しかしながら、このように同じ本棚30に混在させることにより、特定の推奨コンテンツを押し売りされているような違和感は軽減されることになり、ごく自然な態様で、推奨品の提示を行うことができるようになる。
ここで、紙媒体の実際の書籍について考えてみよう。通常、一般ユーザは、自宅の本棚に購入済の書籍を並べて保存しているであろう。そして、このユーザが街の書店で新たな書籍を購入する際には、書店に設置されている本棚に並んでいる数々の書籍を、その背表紙のタイトルを見ながら吟味し、興味をもった書籍を実際に手にとり、頁をペラペラとめくりながら概要をつかみ、購入すべきか否かを検討するであろう。
このような利用形態は、電子書籍の場合にも当てはまる。一般的な電子書籍の閲覧端末上には、ユーザの自宅の本棚に相当する陳列棚が表示され、そこに購入済の電子書籍が並べられる。一方、インターネット上の電子書店サイトには、街の書店の本棚と同様に、多数の書籍が並べられている。
このように、ユーザにとって、自宅の本棚と書店の本棚とは明確に区別され、新たな書籍を購入しようとするユーザは、自宅の本棚を離れて、書店の本棚に並んだ書籍に注意を払うことになる。もちろん、何らかの書籍を購入したいという積極的な意図をもつユーザであれば、実際の書店やインターネット上の電子書店サイトを訪問し、書店の本棚に並んだ書籍を物色し、目当ての書籍が見つかれば、購入行為に繋がることになる。しかしながら、特に新たな書籍を購入する意図がない消極的なユーザにとっては、実際の書店を訪問したり、インターネット上の電子書店サイトを閲覧したりすることは、ハードルの高い行為であり、おっくうになりやすい。未購入の書籍をユーザに購入させるためには、まず、当該書籍を手にとって閲覧させ、できるだけ当該書籍への接触回数を多くすることが重要であるが、ユーザにとって、未購入の書籍を手にとるという行為自体、ハードルの高い行為と言わざるを得ない。
本発明によってユーザに提示される一覧画像は、いわば、ユーザの自宅の本棚と街の書店の本棚とを融合した役割を果たすことになる。すなわち、ユーザが、購入済の電子書籍を閲覧する際には、図12に示す一覧画像を表示させ、この中から所望の書籍を選択する操作を行うことになる。この操作は、自宅の本棚から所望の書籍を取り出して読む行為に相当する。一方、この一覧画像には、未購入の書籍(推奨コンテンツ)も含まれており、ユーザが、この未購入の書籍を選択する操作を行うと、所定の制約下ではあるが、当該選択書籍の閲覧が可能になる。この操作は、街の書店の本棚から所望の書籍を取り出して内容を吟味する行為に相当する。結局、ユーザから見ると、自宅の本棚から書籍を取り出す操作と同様の操作で、街の書店の本棚から未購入の書籍を取り出して内容を吟味する行為を行うことができることになる。このように、本発明には、ユーザが書店を訪問するハードルを下げる効果があり、ユーザは、未購入の書籍を、違和感なく自然に手に取ることができるようになる。その結果、必然的に、当該未購入の書籍に対する接触回数が増えることになる。
このように、購入済コンテンツの指標と推奨コンテンツの指標とを混在状態で並べた一覧画像を提示することにより、違和感がなく自然な態様で推奨品の提示を行うことができるようになる、という点が、本発明の重要な特徴の1つである。すなわち、ユーザは、違和感がなく自然な態様で、購入済コンテンツと推奨コンテンツとの存在を確認することができるので、その関心は、購入済コンテンツのみならず推奨コンテンツにも向くことになり、推奨コンテンツを効果的に提示することができるようになる。そして、本発明のもう1つの重要な特徴は、個々のユーザに提示する推奨コンテンツの決定方法およびその配置方法を工夫することにより、個々のユーザに適した推奨品を、違和感がなく自然な態様で効果的に提示することができるようになる、という点である。
既に述べたとおり、個々のユーザに適した推奨コンテンツを示す推奨品リストは、管理装置100側の推奨品リスト作成部150において、購入品リスト収集部140内に収集された他人の購入品リストの内容を参照して決定される。しかも、この推奨品リストの実体は、購入品リストにおいて並び順が隣接する一対の購入済コンテンツについて、その間に挿入すべき推奨コンテンツを定義したものであり、推奨コンテンツは、一対の購入済コンテンツの間に挿入された状態でユーザに提示されることになる。このような方法を採ることにより、個々のユーザに適した推奨品を、違和感がなく自然な態様で効果的に提示することができるようになるのである。
ここでは、本発明における推奨品リスト作成方法の基本原理を説明するとともに、そのような方法で作成された推奨品リストを用いることにより、個々のユーザに適した推奨品を、違和感がなく自然な態様で効果的に提示することができる理由を述べることにする。
既に§1で述べたとおり、図1に示す購入品リスト収集部140は、個々の端末装置200A〜200Eから、それぞれ購入品リストP(A)〜P(E)を収集し、これを保存する機能を有している。§5で詳述するように、実際には、各購入品リストP(A)〜P(E)は、各端末装置200A〜200Eから所定のタイミングで購入品リスト収集部140に報告される。購入品リスト収集部140は、こうして報告された購入品リストP(A)〜P(E)を保存し、逐次、最新のものに更新する処理を行う。
一方、推奨品リスト作成部150は、特定の端末装置から購入品リストの報告があった場合に、当該特定の端末装置に与えるべき推奨品リストを、購入品リスト収集部140に収集されている、当該特定の端末装置以外の他の端末装置から収集された他者購入品リストを参照することにより作成し、これを当該特定の端末装置に送信して推奨品リスト格納部270に格納させる処理を行う。
たとえば、図1において、ユーザAが利用する端末装置200Aから購入品リストP(A)が管理装置100側に報告された場合、この購入品リストP(A)は、購入品リスト収集部140内に格納される。そして、推奨品リスト作成部150は、この購入品リストP(A)に応じた推奨品リストR(A)を作成し、これを端末装置200Aに送信し、推奨品リスト格納部270に格納させる処理を行う。このとき、ユーザAのための推奨品リストR(A)は、端末装置200A以外の端末装置(すなわち、端末装置200B〜200E)から収集された他者購入品リスト(すなわち、購入品リストP(B)〜P(E))を参照することにより作成される。別言すれば、ユーザAに対する推奨品を示す推奨品リストR(A)は、ユーザA以外の他者ユーザB〜Eについての他者購入品リストP(B)〜P(E)を参照することにより作成されることになる。
ここでは、まず、推奨品リスト作成部150によって行われる推奨品リストの作成作業の基本原理を説明する。図16(a) 〜(c) は、図1に示す3人のユーザA,B,Cの購入済コンテンツをそれぞれの購入品リストP(A),P(B),P(C)に基づいて並べた状態を示す平面図である。ここでは、説明の便宜上、3人のユーザはいずれも8冊の電子書籍を購入しているものとして、それぞれ自分の好みに合わせて、その並び順を変更しているものとしよう。各書籍の上に示す番号1〜8は、この並び順を示している。これらのコンテンツは、いずれも各ユーザが購入した購入品であり、各ユーザに実際に提示される一覧画像は、図9で説明したように、これら購入品の間に推奨品を挿入した状態の画像になる。
さて、この図16に示す例に基づいて、ユーザAのための推奨品リストR(A)を作成する基本手順を説明しよう。既に述べたとおり、図16(a) 〜(c) の購入品およびその並び順を示す購入品リストP(A),P(B),P(C)は、購入品リスト収集部140に格納されており、推奨品リスト作成部150は、これら購入品リストに基づいて、ユーザAのための推奨品リストR(A)を作成し、ユーザAが利用する端末装置200Aに送信することになる。
この場合、推奨品リスト作成部150は、次のような基本アルゴリズムで、推奨品リストR(A)を作成する処理を行う。まず、図16(a) に示す購入品リストP(A)において並び順が隣接する一対のコンテンツに着目する。ここでは、並び順の若い方から順番に一対のコンテンツに着目することにしよう。すなわち、最初は、並び順第1位の「吾輩は猫である」と第2位の「草枕」が一対の着目コンテンツになる。図では、これら一対の着目コンテンツを太枠で囲って示してある。ここでは、それぞれを第1の着目コンテンツT1,第2の着目コンテンツT2と呼ぶことにしよう。
こうして、ユーザAの購入品について、一対の着目コンテンツT1,T2が決まったら、その間に挿入すべき推奨品を他人の購入品の中から探し出す処理を行う。すなわち、図16に示す例の場合、他人であるユーザBの購入品(図16(b) )およびユーザCの購入品(図16(c) )を参照して、ユーザAの購入品である着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨品(ユーザAに推奨すべきコンテンツ)を決めることになる。その基本方針は、着目コンテンツT1,T2の双方を含む他者購入品リスト(他人であるユーザの購入品リスト)から、着目コンテンツT1,T2の間に並べられているコンテンツ(但し、自己購入品リストに含まれているものを除く)を候補コンテンツとして抽出し、当該候補コンテンツの一部もしくは全部を、自己購入品リストの着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツとする、というものである。
図16に示す例の場合、他人であるユーザB,Cの購入品リスト(他者購入品リスト)にも、着目コンテンツT1,T2(すなわち、「吾輩は猫である」と「草枕」)が含まれている。図では、これらのコンテンツも太枠で囲って示してある。これは、ユーザAと同様に、ユーザB,Cも、「吾輩は猫である」と「草枕」を購入したことを示している。もっとも、本棚に購入済コンテンツを並べる際の好みは、個々のユーザで異なっているから、「吾輩は猫である」と「草枕」の並び順は、通常、ユーザごとに別個独立したものになる。図示の例の場合、ユーザAは、着目コンテンツT1,T2を隣接配置しているが(これは、隣接する一対のコンテンツを着目コンテンツとしているので当然であるが)、ユーザBは第5位および第8位の位置に配置し(図16(b) )、ユーザCは第6位および第3位の位置に配置している。
さて、ここで、「一対の着目コンテンツT1,T2は、非常に類似度の高いコンテンツである」との前提をおいてみると、当該前提の信憑性は、かなり高くなるものと推定される。これは、一般的なユーザであれば、ジャンルが共通するなど、互いに類似度の高いコンテンツをまとめて配置する傾向にあるためである。実際、図16(a) に示すユーザAの例では、並び順1〜3が小説、並び順4〜6が辞書、並び順7〜8が実用書になっている。また、図16(b) に示すユーザBの例では、並び順1が辞書、並び順2〜3が地図、並び順4〜8が小説になっており、図16(c) に示すユーザCの例では、並び順1〜2が実用書、並び順3〜7が小説、並び順8が旅行書になっている。
また、同じジャンルの書籍であっても、作者ごとにまとめて並べるのが一般的であり、更に、第1巻,第2巻などの連続刊行書の場合、巻数順に並べるのが一般的である。したがって、一般論として、隣接配置された一対の着目コンテンツT1,T2は、互いに類似度が非常に高いと推定される。実際、図16(a) に示す着目コンテンツT1,T2は、「夏目漱石」という同じ作家の小説になっている。
このように、「一対の着目コンテンツT1,T2は、非常に類似度の高いコンテンツである」との前提をおくと、他者購入品リストにおいて、もし、着目コンテンツT1,T2の間に挟み込まれているコンテンツ(ここでは「挟込コンテンツ」と呼ぶ)があった場合、当該挟込コンテンツは、着目コンテンツT1もしくはT2に対する類似度が非常に高いと推定できる。たとえば、図16(b) に示すユーザBの購入品リストに注目すると、「こころ」および「三四郎」が挟込コンテンツということになるが、これらはいずれも「夏目漱石」の小説である。同様に、図16(c) に示すユーザCの購入品リストに注目すると、「坑夫」および「こころ」が挟込コンテンツということになるが、これらはやはり「夏目漱石」の小説である。
上述の例で、「こころ」,「三四郎」,「坑夫」といった挟込コンテンツが、着目コンテンツ「吾輩は猫である」,「草枕」に対して高い類似性をもったコンテンツになった理由は、各ユーザが、同じジャンルの書籍、同じ作家の書籍など、相互に類似性の高い書籍をまとめて並べる傾向にあるためである。したがって、「自己購入品リストにおいて、互いに隣接して配置されている一対の着目コンテンツT1,T2は、非常に類似度の高いコンテンツである」との前提が、ある程度の信憑性をもった合理的な前提であるのと同様に、「他者購入品リストにおいて、着目コンテンツT1,T2に挟み込まれて配置されている挟込コンテンツは、着目コンテンツT1,T2に対して非常に類似度の高いコンテンツである」との前提も、ある程度の信憑性をもった合理的な前提ということになる。
そこで、本発明では、こうして見つかった挟込コンテンツを推奨コンテンツの候補として抽出し、これらの候補の中から、着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツを決定するというアルゴリズムを採用している。すなわち、推奨品リスト作成部150は、特定の端末装置に与えるべき推奨品リストを作成する際に、当該特定の端末装置から収集した自己購入品リストにおいて並び順が隣接する一対のコンテンツに着目し、この一対の着目コンテンツのうちの一方を第1の着目コンテンツT1、他方を第2の着目コンテンツT2としたときに、第1の着目コンテンツT1と第2の着目コンテンツT2との双方を含む他者購入品リストから、第1の着目コンテンツT1と第2の着目コンテンツT2との間に並べられているコンテンツ(但し、自己購入品リストに含まれているものを除く)を候補コンテンツとして抽出し、当該候補コンテンツの一部もしくは全部を、自己購入品リストの第1の着目コンテンツT1と第2の着目コンテンツT2との間に挿入すべき推奨コンテンツとする処理を行う。自己購入品リストに既に含まれているコンテンツは、候補コンテンツとして抽出されることはないので、購入済コンテンツが推奨コンテンツに選ばれることはない。
具体的には、図16に示す例の場合、まず、図16(a) に示すユーザAの購入品リストP(A)(自己購入品リスト)において並び順が隣接する一対のコンテンツT1,T2を着目コンテンツとして、これら着目コンテンツT1,T2の双方を含む他のユーザの購入品リスト(他者購入品リスト)を探す処理が行われる。その結果、図16(b) ,(c) に示すように、「吾輩は猫である」と「草枕」の双方を含む他者購入品リストとして、ユーザBおよびCについての購入品リストP(B),P(C)が見つかることになる(ここでは、ユーザD,Eの購入品リストP(D),P(E)には、「吾輩は猫である」と「草枕」の双方は含まれていなかったものとする)。
続いて、これらの購入品リストP(B),P(C)から、着目コンテンツT1,T2の間に並べられている挟込コンテンツが候補コンテンツとして抽出される。すなわち、購入品リストP(B)からは「こころ」,「三四郎」が候補コンテンツとして抽出され、購入品リストP(C)からは「坑夫」,「こころ」が候補コンテンツとして抽出される。結局、「吾輩は猫である」と「草枕」を一対の着目コンテンツとした探索では、「こころ」,「三四郎」,「坑夫」の3つのコンテンツが候補コンテンツとして抽出されることになる(「こころ」は、購入品リストP(B),P(C)から重複して抽出されている)。
そこで、これら3つの候補コンテンツの一部もしくは全部を、自己購入品リストP(A)の着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツと決定すればよい。たとえば、「こころ」,「三四郎」,「坑夫」の3つすべてを推奨コンテンツとしてもよいし、複数のリストから重複して抽出された「こころ」のみを推奨コンテンツとしてもよい(候補の選別方法については、後に詳述する)。
以上が、図16(a) に示すユーザAの自己購入品リストP(A)の着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツを決定するアルゴリズムであるが、必要に応じて、別な一対の隣接コンテンツについても同様のアルゴリズムに基づいて、挿入すべき推奨コンテンツを決定する処理を行う。たとえば、図16(a) に示す例の場合、「草枕」を着目コンテンツT1とし、「羅生門」を着目コンテンツT2として同様の処理を行えば、両者間に挿入すべき推奨コンテンツが決定できる。以下、同様にして、「羅生門」と「人名大事典」との間に挿入すべき推奨コンテンツ、「人名大事典」と「英和・和英辞典」との間に挿入すべき推奨コンテンツ、...、「ビジネスマナー」と「原子力発電」との間に挿入すべき推奨コンテンツというように同じ処理を続けてゆけばよい。もちろん、すべての隣接コンテンツ対について、このような処理を行う代わりに、一部の隣接コンテンツ対のみについて、このような処理を行うようにしてもよい。
図10に示すユーザAのための推奨品リストR(A)は、このような処理によって作成されたリストである。並び順1,2の間に挿入すべき推奨コンテンツとして、「こころ」,「三四郎」,「坑夫」の3つのコンテンツが示されているが、これは、上述したアルゴリズムによって抽出された3つの候補コンテンツすべてを推奨コンテンツとして決定したためである。このように、位置によっては、複数のコンテンツが挿入すべき推奨コンテンツとして見つかる場合もあれば、推奨コンテンツが全く見つからない場合もある。たとえば、並び順3,4の間には挿入すべき推奨コンテンツが示されていない。これは、「羅生門」と「人名大事典」を一対の着目コンテンツとして、上記アルゴリズムに基づく探索を行った結果、該当する候補コンテンツが抽出されなかったか、あるいは、候補は抽出されたものの、後述するふるい分けにより推奨コンテンツにはならなかったためである。
こうして、図10に示す推奨品リストR(A)が得られると、これを図6に示す購入品リストP(A)と合成することにより、図11に示すような混在リストM(A)が作成され、これに基づいて図12に示すような一覧画像が提示されることは、既に§2で述べたとおりである。結局、図12に示す一覧画像において、購入品である「吾輩は猫である」と「草枕」の間に挿入されている3つの推奨品「こころ」,「三四郎」,「坑夫」は、ユーザB,Cの購入品リストP(B),P(C)から拾い出されたコンテンツということになる。
このように、ここに示すアルゴリズムでは、ある特定のユーザ向けの推奨コンテンツは、管理装置100側において、当該特定のユーザ以外の他のユーザの購入済コンテンツの並び順を参照することによって決定される。一般に、共通の趣味や共通の嗜好をもったユーザ同士は、同じコンテンツを好む傾向にある。したがって、ある特定のユーザが購入した、互いに類似度が高いと推定される隣接配置された一対のコンテンツに着目し、この一対の着目コンテンツの双方を購入している他のユーザの購入済みコンテンツを参照して、当該特定のユーザ向けの推奨コンテンツを決定することは合理的である。
特に、類似度の高いコンテンツを並べて配置する、というユーザの一般的な傾向を考慮すれば、一対の購入済コンテンツの間に挿入すべき推奨コンテンツを、他のユーザの購入済コンテンツの並び順を参照して決定する、という手法は、個々のユーザの嗜好に合致したコンテンツを推奨コンテンツとして提示する上で効果的である。しかも、一覧画像上では、個々の推奨コンテンツは、類似度が高いと推定される一対の購入済コンテンツの間に挿入された状態で提示される。たとえば、図12に示す例の場合、3つの推奨コンテンツ「こころ」,「三四郎」,「坑夫」は、類似度が高い一対の購入済コンテンツ「吾輩は猫である」,「草枕」の間に挿入された状態で提示される。したがって、ユーザは、これら3つの推奨コンテンツの存在を違和感なく受け入れることができ、購入済コンテンツと同様の関心をもって推奨コンテンツを認識するようになる。その結果、従来技術に比べて、推奨品に対する販促効果を格段に向上させることができる。
なお、上述したアルゴリズムで候補コンテンツとして抽出されるコンテンツは、あくまでも一対の着目コンテンツT1,T2の間に挟み込まれた挟込コンテンツである必要があるため、着目コンテンツT1,T2に対する類似度が高いにもかかわらず、抽出される候補から漏れるコンテンツが存在することは否めない。たとえば、図16(b) において、「吾輩は猫である」と「草枕」との間に挿入された「こころ」,「三四郎」は候補コンテンツとして抽出されるが、「坑夫」は挟込コンテンツではないので、候補としては抽出されない。同様に、図16(c) において、「草枕」と「吾輩は猫である」との間に挿入された「坑夫」,「こころ」は候補コンテンツとして抽出されるが、「三四郎」は挟込コンテンツではないので、候補としては抽出されない。
このように、一対の着目コンテンツT1,T2の間に挟み込まれた挟込コンテンツを候補にする、というアルゴリズムを採用すると、本来は推奨品とすべきコンテンツが候補から漏れることになるが、実際には、候補を抽出する際には、多数の他者購入品リストが参照されるため、このような漏れが生じる可能性は低減される。たとえば、図16に示す例の場合、ユーザBの購入品リストから抽出漏れとなった「坑夫」は、ユーザCの購入品リストから候補として抽出されており、ユーザCの購入品リストから抽出漏れとなった「三四郎」は、ユーザBの購入品リストから候補として抽出されている。本発明に係るシステムを実社会で運用する場合、実際には数万人以上という利用者が見込まれているので、実用上、個々の他者購入リストについて漏れが生じたとしても、全体的には大きな問題にはならない。
むしろ、一対の着目コンテンツT1,T2の間に挟み込まれた挟込コンテンツを候補にする、というアルゴリズムは、推奨品の適格性を向上させる上で非常に効果的である。たとえば、図16(b) において、候補として抽出された「こころ」および「三四郎」は、いずれも「吾輩は猫である」と「草枕」に対して高い類似度を有している。これは、ユーザBが、「坑夫」〜「草枕」までを同一ジャンル(同一作家)の書籍と把握して、まとまって配置しているためである。同様に、図16(c) において、候補として抽出された「坑夫」および「こころ」も、「吾輩は猫である」と「草枕」に対して高い類似度を有している。これは、ユーザCが、「草枕」〜「三四郎」までを同一ジャンル(同一作家)の書籍と把握して、まとまって配置しているためである。
もちろん、候補として抽出するコンテンツを、「着目コンテンツT1もしくはT2の近傍に配置されたコンテンツ」とするアルゴリズムを採用することも可能であるが、このようなアルゴリズムを採用すると、候補からの漏れを低減させることはできるものの、推奨品の適格性が低下する可能性がある。たとえば、「着目コンテンツT1もしくはT2に対して、並び順が2つ以内のコンテンツを候補として抽出する」というアルゴリズムを採用した場合、図16(b) に示す「坑夫」も候補として抽出され、図16(c) に示す「三四郎」も候補として抽出されるので、類似度の高いコンテンツが候補から漏れる事態は低減できる。しかしながら、図16(b) に示す「世界地図」や、図16(c) に示す「写真テクニック」,「パソコン入門」,「京都散策」も候補として抽出されることになるので、推奨品の適格性は低下せざるを得ない。したがって、実用上は、一対の着目コンテンツT1,T2の間に挟み込まれた挟込コンテンツを候補にする、というアルゴリズムを採用するのが好ましい。
ところで、上述した「一対の着目コンテンツT1,T2は、非常に類似度の高いコンテンツである」との前提は、必ずしも正しいものではない。たとえば、図16(a) において、並び順2および3において隣接配置された「草枕」(夏目漱石)と「羅生門」(芥川龍之介)は、小説というジャンルでは共通するが、異なる作家の書籍であるため、類似度は若干低下する。また、並び順3および4において隣接配置された「羅生門」と「人名大事典」は、異なるジャンルの書籍であり、類似度はかなり低下する。それにもかかわらず、一対の着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツを探す処理では、上述したアルゴリズムが共通して適用されることになる。このため、上記前提は常に正しいものにはならず、候補コンテンツが全く見つからなかったり、類似度が極めて低いコンテンツが候補コンテンツとして見つかる場合もあろう。
たとえば、「羅生門」と「人名大事典」というように、全く異なるジャンルの書籍を共に購入したユーザの数は非常に少ないと考えられ、他者購入品リストとしての条件を満たすリスト自体が存在しないケースもあろう。この場合、候補コンテンツは全く抽出されず、当然ながら、「羅生門」と「人名大事典」との間に挿入すべき推奨コンテンツは見つからない。実際、図12に示す例では、両者間には、何ら推奨コンテンツの挿入は行われていない。ただ、このように、推奨コンテンツが全く挿入されていない箇所が存在したとしても、何ら実害は生じない。
また、たまたま「羅生門」と「人名大事典」との双方を購入した別なユーザがいた場合、当該ユーザが「羅生門」と「人名大事典」との間に配置していたコンテンツが、候補コンテンツとして抽出され、推奨コンテンツとして選ばれる可能性がある。この場合、選ばれた推奨コンテンツの「羅生門」や「人名大事典」に対する類似度はあまり高くないものと予想される。したがって、「羅生門」と「人名大事典」との間に、類似度が低い推奨コンテンツが挿入された一覧画像が提示される可能性がある。それでも、もともと「羅生門」と「人名大事典」とは異なるジャンルの書籍であるので、その間に類似度が低い推奨コンテンツが挿入されたとしても、ユーザにとって大きな違和感は生じない。また、こうして挿入された推奨コンテンツは、少なくとも、「羅生門」と「人名大事典」との双方を購入した、という点において、共通した嗜好をもったユーザが購入しているコンテンツであるため、推奨品として、ある程度の適格性を備えたコンテンツということができる。
なお、できるだけ推奨品としての適格性が高いコンテンツを推奨コンテンツとして選択するためには、候補コンテンツに対してふるい分けを行うようにすればよい。このようなふるい分けの処理については、以下で述べる§4において実例を挙げて説明する。
<<< §4.推奨品リストの具体的な作成方法 >>>
さて、§3では、推奨品リスト作成部150において行われる推奨品リスト作成処理の基本原理を述べたが、ここでは、この基本原理に基づいて、推奨品リストを作成する具体的な方法を実例に即して説明する。
図16には、ユーザAの購入済コンテンツである「吾輩は猫である」と「草枕」の間に挿入すべき推奨コンテンツを、ユーザB,Cの購入済コンテンツから抽出する単純な例を示した。この例の場合、ユーザBの購入品からは「こころ」および「三四郎」の2つのコンテンツが、ユーザCの購入品からは「坑夫」および「こころ」の2つのコンテンツが、それぞれ候補として抽出され、重複抽出された「こころ」を含めて、合計3つのコンテンツが、ユーザAの購入済コンテンツである「吾輩は猫である」と「草枕」の間に挿入すべき推奨コンテンツとして選ばれている。
このように、§3で説明したアルゴリズムによって抽出された候補コンテンツのすべてを、自動的に推奨コンテンツとして選ぶようにすると、あまりに多量の推奨コンテンツが選ばれてしまう可能性がある。たとえば、図16(b) に例示するユーザBの場合、着目コンテンツT1,T2に挟み込まれた挟込コンテンツは「こころ」と「三四郎」の2つだけであるが、もし、このユーザBが100冊の電子書籍を購入済であり、並び順1に着目コンテンツT1を配置し、並び順100に着目コンテンツT2を配置していたとすると、これらの間に挟まれた98冊の電子書籍が候補コンテンツとして抽出されてしまう。
また、前述したとおり、本発明に係るシステムを実社会で運用する場合、数万人以上という利用者が見込まれているので、着目コンテンツT1,T2の双方を購入したユーザが多数存在する場合、個々のユーザの購入品リストから抽出される候補コンテンツが数冊程度であっても、候補コンテンツの総数は膨大な数にのぼる可能性がある。したがって、実用上は、抽出された候補コンテンツに対してふるい分けを行い、候補コンテンツの一部のみを着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨品として選び出すようにするのが好ましい。
この§4では、このようなふるい分けを行う基準として、着目コンテンツに対する近接度を定義する方法を述べる。図17は、この近接度を定義する方法の一例を示す平面図であり、推奨品リストの作成対象となるユーザとは異なるユーザの購入済コンテンツの配置を示すものである。図に太枠で囲って示すT1,T2は、一対の着目コンテンツであり、その間に配置されているC1〜C6は、T1,T2間に挟み込まれた挟込コンテンツである。§3で述べたように、これら挟込コンテンツC1〜C6は、候補コンテンツとして抽出されることになるが、ここでは、ふるい分けを行うために、各候補コンテンツC1〜C6について、それぞれ近接度を定義する。
ここで、近接度とは、着目コンテンツT1もしくはT2に対して、どれだけ近い位置に配置されているかを示す数値である。たとえば、図17に示す候補コンテンツC1は、第1の着目コンテンツT1に隣接して配置されているため、第1の着目コンテンツT1に対する近接度は非常に高くなるが、第2の着目コンテンツT2に対する近接度は低くなる。逆に、候補コンテンツC6は、第2の着目コンテンツT2に隣接して配置されているため、第2の着目コンテンツT2に対する近接度は非常に高くなるが、第1の着目コンテンツT1に対する近接度は低くなる。
そこで、推奨品リスト作成部150が、抽出した候補コンテンツのそれぞれについて、第1の着目コンテンツT1もしくは第2の着目コンテンツT2またはその双方に対する並び位置の近接度を求め、近接度が所定の基準以上の候補コンテンツを着目コンテンツの間に挿入すべき推奨コンテンツとする処理を行えば、近接度に基づくふるい分けが可能になる。
近接度が所定の基準以上の候補コンテンツのみを推奨コンテンツとする理由は、ユーザは、同じジャンルの書籍、同じ作家の書籍など、相互に類似性の高い書籍をまとめて並べる傾向にあるので、近接度が高い候補コンテンツほど、着目コンテンツに対する類似性が高いと推定されるためである。たとえば、図17に示す例において、候補コンテンツC1は、第1の着目コンテンツT1に隣接して配置されているため、第1の着目コンテンツT1に対する類似性は非常に高いと推定される。そして、この第1の着目コンテンツT1に対する類似性は、候補コンテンツC2,C3,C4,... と離れた位置に配置されたコンテンツほど低下してゆくものと推定される。
したがって、近接度に所定の基準を設け、当該基準以上の近接度をもった候補コンテンツのみを推奨コンテンツとして選択すれば、選択された推奨コンテンツは、着目コンテンツT1もしくはT2に対する類似性がある程度確保されている可能性が高いことになる。したがって、上述した近接度に基づくふるい分けは理にかなっている。
なお、実用上は、近接度が所定の基準以上であり、かつ、近接度の大きい順に並べたときに上位n番以内(nは所定の自然数)に入る候補コンテンツを着目コンテンツの間に挿入すべき推奨コンテンツとする、という運用を採るのが好ましい。このような運用を採れば、特定の着目コンテンツ間に挿入すべき推奨コンテンツの数をn個以内に制限することができる。たとえば、図11に示す混在リストM(A)の場合、第1の着目コンテンツ「吾輩は猫である」と第2の着目コンテンツ「草枕」の間に、3つの推奨コンテンツ「こころ」,「三四郎」,「坑夫」が挿入されている。このように1箇所に挿入される推奨コンテンツが3つ程度であれば、ユーザはそれほど違和感を感じないであろう。しかしながら、1箇所に数十個の推奨コンテンツが挿入されるような事態になれば、ユーザは煩わしさを感じることになろう。したがって、上述した方法により、1箇所に挿入される推奨コンテンツをn個以内に制限する運用を採ることは、実用上、極めて好ましい。あるいは、作成対象となる推奨品リスト全体で、上位n番以内に入る候補コンテンツのみを推奨コンテンツとする、という運用を採ることも可能である。この場合、推奨コンテンツの総量をn個以内に制限することができる。
ここでは、近接度を表す具体的なパラメータとして、近接ポイントなる値を定義した例を説明する。いま、図17に示すように、個々の候補コンテンツC1〜C6のそれぞれについて、第1の着目コンテンツT1からの距離αおよび第2の着目コンテンツT2からの距離βを定義する。もっとも、ここで言う「距離」とは、一般的な寸法を単位とした距離ではなく、並び順を単位とした距離であり、「着目コンテンツから何番目に並んでいるか」を示す数値を意味する。たとえば、図示する候補コンテンツC1,C2,C3,... の第1の着目コンテンツT1からの距離αは、それぞれ1,2,3,... であり、第2の着目コンテンツT2からの距離βは、それぞれ6,5,4,... である。
このような距離α,βを用いて、近接ポイントNを「N=1/α+1/β」なる式で定義する。また、位置ポイントQを「Q=β/α」なる式で定義する。図18は、図17に示す例において、各候補コンテンツC1〜C6についての近接ポイントNおよび位置ポイントQの算出結果を示す表である。ここで、1/αは、第1の着目コンテンツT1に対する近接度を示すパラメータであり、距離αが小さいほど値は大きくなる。また、1/βは、第2の着目コンテンツT2に対する近接度を示すパラメータであり、距離βが小さいほど値は大きくなる。結局、上述した式で定義される近接ポイントNは、第1の着目コンテンツT1に対する近接度と第2の着目コンテンツT2に対する近接度との和として与えられるパラメータであり、第1の着目コンテンツT1と第2の着目コンテンツT2との双方に対する並び位置の近接度を示すものである。
図18に結果を見ると、候補コンテンツC1,C6についてはN≒1.17、候補コンテンツC2,C5についてはN=0.70、候補コンテンツC3,C4についてはN≒0.58という結果が得られている。ここで、候補コンテンツC1,C6についての近接ポイントNが最も高い理由は、候補コンテンツC1は第1の着目コンテンツT1に非常に近い位置に配置されており、候補コンテンツC6は第2の着目コンテンツT2に非常に近い位置に配置されているためである。この結果により、候補コンテンツC1は第1の着目コンテンツT1に対する類似性が高いと推定され、候補コンテンツC6は第2の着目コンテンツT2に対する類似性が高いと推定される。このように、着目コンテンツT1もしくはT2に対する類似性が高い候補コンテンツを、推奨コンテンツとすることは理にかなっている。
一方、位置ポイントQは、「第1の着目コンテンツT1と第2の着目コンテンツT2とのどちらに近いか」を示すパラメータであり、Q=1の場合は、両者の中間位置にあることを示し、Qが1より大きくなればなるほど第1の着目コンテンツT1に近いことを示し、Qが1より小さくなればなるほど第2の着目コンテンツT2に近いことを示す。たとえば、図18に示す結果を見ると、候補コンテンツC1の位置ポイントは、Q=6.0であり最も高い値を示している。これは、候補コンテンツC1が最も着目コンテンツT1寄りに配置されていることを示している。これに対して、候補コンテンツC6の位置ポイントは、Q≒0.17であり最も低い値を示している。これは、候補コンテンツC6が最も着目コンテンツT2寄りに配置されていることを示している。候補コンテンツC1,C6の近接ポイントNは、いずれもN≒1.17であるが、位置ポイントQが大きく相違しており、この位置ポイントQを参照することにより、着目コンテンツT1,T2のどちら寄りであるのかを認識することができる。
図19は、図17とは別な事例について、近接ポイントNおよび位置ポイントQの算出結果を示す図である。図19(a) は、一対の着目コンテンツT1,T2の間に、3つの候補コンテンツC1〜C3が存在する例である。図示のとおり、コンテンツC1については、N≒1.33,Q=3、コンテンツC2については、N=1,Q=1、コンテンツC3については、N≒1.33,Q=1/3という結果が得られている。一方、図19(b) は、一対の着目コンテンツT1,T2の間に、1つの候補コンテンツC1のみが存在する例であり、N=2,Q=1という結果が得られている。
以上、個々の候補コンテンツに与える近接ポイントNおよび位置ポイントQの算出方法を、具体例を挙げながら説明したが、続いて、これら近接ポイントNおよび位置ポイントQを利用して、推奨品リスト作成部150が推奨品リストを作成する具体的な処理を説明する。
ここでは説明の便宜上、非常に単純な例に基づいて説明を行うことにする。すなわち、図1に示す5人のユーザA〜Eの購入済コンテンツが、それぞれ図20(a) 〜(e) に示すようなものであったものとしよう。この図20(a) 〜(e) は、各ユーザの購入品リストP(A)〜P(E)に基づいて、それぞれの購入済コンテンツを並べた状態を示す平面図である。たとえば、ユーザAは、コンテンツT1,T2という2冊を購入済みであり、端末装置200A上において、この順に並べて配置していることになる。また、ユーザBは、コンテンツT1,C1,C2,C3,C4,T2という5冊を購入済みであり、端末装置200B上において、この順に並べて配置していることになる。ユーザC,D,Eについても、同様に、それぞれ図示のとおりの順に並べて購入済コンテンツを配置しているものとする。
さて、このような状況において、推奨品リスト作成部150が、ユーザA用の推奨品リストR(A)を作成する処理を行う場合を考えてみよう。この場合、まず、ユーザAの購入品リストP(A)、すなわち、自己購入品リストに基づいて、第1の着目コンテンツT1と第2の着目コンテンツT2とが決定される。ここに示す単純な例では、ユーザAの購入済コンテンツは、たった2つのコンテンツT1,T2しかないので、この隣接配置された2つのコンテンツT1,T2が着目コンテンツになる。図では、これら着目コンテンツT1,T2を太枠で囲って示してある。
これから推奨品リスト作成部150が行う処理は、ユーザA以外のユーザ(すなわち、ユーザB〜E)の購入品リスト(すなわち、他者購入品リストP(B)〜P(E))を参照して、ユーザAの隣接する一対の着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツを決定することである。
そのために、まず、他者購入品リストP(B)〜P(E)から、一対の着目コンテンツT1,T2の双方を含むリストを探し出す。ここに示す例の場合、他者購入品リストP(B)〜P(E)は、いずれも着目コンテンツT1,T2の双方を含むリストになっている(しかも、便宜上、いずれも両端位置に含む例になっている)。そして、これらのリストに基づいて、一対の着目コンテンツT1,T2によって挟み込まれている挟込コンテンツを、候補コンテンツとして抽出する処理が行われる。図示の例の場合、ユーザBの購入品リストP(B)からは、4つの候補コンテンツC1,C2,C3,C4が抽出され、ユーザCの購入品リストP(C)からは、2つの候補コンテンツC3,C4が抽出され、ユーザDの購入品リストP(D)からは、4つの候補コンテンツC1,C4,C5,C6が抽出され、ユーザEの購入品リストP(E)からは、3つの候補コンテンツC1,C6,C3が抽出される。
結局、図示の例の場合、他者購入品リストP(B)〜P(E)から合計6個の候補コンテンツC1〜C6が抽出されることになる。ここで、もし、「抽出された候補コンテンツのすべてを推奨コンテンツとする」という運用を採った場合は、コンテンツC1〜C6のすべてが、ユーザAの一対の着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツに決定され、これらを含む推奨品リストR(A)が作成されることになる。このような推奨品リストR(A)の内容を、購入品リストP(A)に合成すれば、ユーザAの端末装置200A上では、T1,C1,C2,C3,C4,C5,C6,T2のように、8冊の書籍が並べられた一覧画像が表示されることになる。
ただ、ここで述べる実施例の場合、上述したとおり、個々の候補コンテンツについて第1の着目コンテンツT1および第2の着目コンテンツT2に対する並び位置の近接度を求め、この近接度が所定の基準以上の候補コンテンツのみを推奨コンテンツとする運用を採る。そこで、近接度を示すパラメータとして、上述した近接ポイントNを定義し、他者購入品リストP(B)〜P(E)から抽出した個々の候補コンテンツについて近接ポイントNを求める処理を行う。このとき、同一の候補コンテンツが複数のユーザのリストから抽出される場合もあるが、その場合は、それぞれのリストから抽出された候補コンテンツごとに、別個独立して近接ポイントNを求めるようにし、最後に合計を算出して、その合計値を当該候補コンテンツの近接度と定義する。たとえば、図20に示す例の場合、候補コンテンツC1は、ユーザB,D,Eのリストからそれぞれ抽出されることになるので、それぞれについて近接ポイントNを求め、3つの近接ポイントNの合計値を候補コンテンツC1の近接度と定義することになる。
図21は、図20に示す例において、各候補コンテンツC1〜C6についての近接ポイントNおよび位置ポイントQの算出結果を示す表である。近接ポイントNの欄には、他者購入品リストP(B)〜P(E)から抽出した個々の候補コンテンツごとに求めた近接ポイントNを別個独立して記載し、合計欄にその合計を示してある。位置ポイントQの欄には、同様に他者購入品リストP(B)〜P(E)から抽出した個々の候補コンテンツごとに求めた位置ポイントQを別個独立して記載し、平均欄にその平均を示してある。
たとえば、候補コンテンツC1についての近接ポイントNのB欄には、「1/1+1/4」なる近接ポイントN値が示されているが、これは、図20(b) におけるコンテンツC1の位置に基づいて、α=1(T1から1番目の位置),β=4(T2から4番目の位置)を求め、「N=1/α+1/β」なる式に基づいて算出したものである。また、位置ポイントQのB欄には、「4/1」なる位置ポイントQ値が示されているが、これは、α=1,β=4に基づいて、「Q=β/α」なる値を算出したものである。なお、表の斜線欄は、そのユーザのリストからは、当該候補コンテンツが抽出されなかったことを示している。
この図21に示す結果において、近接ポイントNの合計値を近接度と定義することにすれば、候補コンテンツC1の近接度が3.83と最大値を示しており、次いで、候補コンテンツC3の近接度が3.66と2番値を示している。この近接度は、第1の着目コンテンツT1の近くに配置されている程度を示すパラメータ「1/α」と、第2の着目コンテンツT2の近くに配置されている程度を示すパラメータ「1/β」と、の和として定義された値であり、コンテンツT1に対する並び位置の近接度とコンテンツT2に対する並び位置の近接度の合計を示すものである。別言すれば、着目コンテンツT1に対する類似性と着目コンテンツT2に対する類似性の和を示すパラメータということになる。
このように、近接ポイントNの合計値として定義された近接度は、当該候補コンテンツが、各着目コンテンツT1,T2のいかに近くに配置されているかを示すとともに、いかに多くのユーザのリストから共通して抽出されたかを示すパラメータになる。すなわち、近接度が大きければ大きいほど、より多くのユーザのリストから候補として抽出された傾向にあり、また、着目コンテンツT1もしくはT2により近い位置に配置されていた傾向にあることを示している。これは、近接度が大きい候補コンテンツほど、着目コンテンツT1もしくはT2に対する類似性が高い可能性があることを示すものである。したがって、この近接度が所定の基準以上の候補コンテンツを、ユーザAのリストにおける着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツとすることは理にかなっている。
たとえば、近接度(近接ポイントNの合計値)について、3という基準値を設定しておき、近接度が3以上の候補コンテンツのみをユーザAのリストにおける着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツとする、という運用を行えば、図21に示す例の場合、6つの候補コンテンツC1〜C6のうち、3つの候補コンテンツC1,C3,C4が推奨コンテンツとして選ばれ、残りの候補コンテンツはふるい落とされることになる。この場合、ユーザAの購入品リストP(A)における一対の着目コンテンツT1,T2の間に、3つの推奨コンテンツC1,C3,C4を挿入すべきことを示す推奨品リストR(A)が作成されることになる。図22は、図21に示す算出結果に基づいて決定されたユーザAに対する3つの推奨コンテンツC1,C3,C4を、ユーザAの購入済コンテンツT1,T2の間に挿入した状態を示す平面図である。
実際には、既に述べたとおり、近接度が所定の基準以上であり、かつ、近接度の大きい順に並べたときに上位n番以内(nは所定の自然数)に入る候補コンテンツを着目コンテンツの間に挿入すべき推奨コンテンツとすることにより、1箇所に挿入される推奨コンテンツをn個以内に制限する運用を採るのが好ましい。
なお、図20に示す単純な例では、ユーザAの購入済コンテンツは、たった2つのコンテンツT1,T2しかないので、ユーザA用の推奨品リストR(A)は、このコンテンツT1,T2間に挿入する3つの推奨コンテンツC1,C3,C4を示すだけのリストになるが、もちろん、ユーザAの購入済コンテンツがより多数存在する場合には、隣接する一対の購入済コンテンツ間のそれぞれについて、上記と同様の処理が行われ、当該購入済コンテンツ間に挿入すべき推奨コンテンツが決定されることになる。
要するに、上述した実施例では、特定の他者購入品リストから抽出された特定の候補コンテンツが、当該他者購入品リストにおいて第1の着目コンテンツT1からα番目、第2の着目コンテンツT2からβ番目の並び位置にある場合に、当該特定の候補コンテンツに対して、N=1/α+1/βなる近接ポイントNを付与し、異なる複数の他者購入品リストから同一の候補コンテンツが抽出された場合には、当該候補コンテンツについて、複数の他者購入品リストに基づいてそれぞれ付与された各近接ポイントNを加算した合計値を当該候補コンテンツについての近接度と定義し、近接度が所定の基準以上の候補コンテンツを着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツとする処理が行われることになる。
ところで、上述した実施例では、近接ポイントNの他に、位置ポイントQを求めているが、この位置ポイントQは、挿入対象となる推奨コンテンツの並び順を決定する際に用いるためのものである。すなわち、一対の着目コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツが複数存在する場合に、個々の他者購入品リストから抽出された推奨コンテンツについてそれぞれ位置ポイントQ=β/αを求め、この位置ポイントQの平均値が大きいコンテンツほど第1の着目コンテンツT1側にくるように、当該複数の推奨コンテンツの並び順を決定するようにすればよい。
図22に示す例は、このような方法で3つの推奨コンテンツC1,C3,C4の並び順を決定したものである。すなわち、図21の表を参照すると、3つの推奨コンテンツC1,C3,C4の位置ポイントQの平均値は、C1が3.67、C3が1、C4が0.75となっているので、当該平均値が大きいコンテンツほど第1の着目コンテンツT1側にくるように並び順を決定すれば、図22に示すように、左から右にC1,C3,C4という順番になる。このような並び順で推奨コンテンツを配置できるようにするには、ユーザA用の推奨品リストR(A)に、挿入位置を示す情報(コンテンツT1,T2の間を示す情報)と、挿入対象となる推奨コンテンツを示す情報(コンテンツC1,C3,C4を特定する情報)と、これら推奨コンテンツの並び順を示す情報(C1→C3→C4の順を示す情報)と、を組み込んでおくようにすればよい。
このように、位置ポイントQを利用して推奨コンテンツの並び順を決定すると、互いに類似性の高いコンテンツが、できるだけまとまって配置されるようになり、ユーザにとって違和感の少ない推奨品提示が可能になる、という固有の効果が得られる。上述した実施例のアルゴリズムでは、近接ポイントNの合計値は、第1の着目コンテンツT1に対する並び位置の近接度と第2の着目コンテンツT2に対する並び位置の近接度の合計値として算出されるので、当該合計値だけでは、どちらの着目コンテンツに対する近接度が高かったのかを示す情報は得られない。位置ポイントQは、これを補うためのパラメータということができる。
たとえば、図22に示す例は、上述したように、位置ポイントQを考慮して推奨コンテンツC1,C3,C4の並び順を決定した例であるため、「互いに類似性の高いコンテンツをできるだけまとめて配置する」という観点において、より好ましい例になっている。
図22において、推奨コンテンツC1が最も左側に配置されることになった理由は、図21に示す結果において、位置ポイントQの平均値が3.67という最も高い値を示していたためである。そして、この高い平均値は、多くのユーザが、コンテンツC1を、着目コンテンツT2に比べて着目コンテンツT1に近い位置に配置していたことを示している(平均値=1が、着目コンテンツT1,T2の中間位置を示す基準値になる)。実際、図20の例を見れば、ユーザB,D,Eは、いずれもコンテンツC1を着目コンテンツT1の直近に配置している。これは、「互いに類似する書籍は、まとまった位置に配置する」というユーザの一般的な傾向を考慮すると、「コンテンツC1のコンテンツT1に対する類似性の方が、コンテンツC1のコンテンツT2に対する類似性よりも高い」という推論を支持する事実ということになる。
一方、図22において、推奨コンテンツC4が最も右側に配置されることになった理由は、図21に示す結果において、位置ポイントQの平均値が0.75という最も低い値(推奨コンテンツとして選択された3つの候補コンテンツC1,C3,C4の中での最も低い値)を示していたためである。そして、この低い平均値は、多くのユーザが、コンテンツC4を、着目コンテンツT1に比べて着目コンテンツT2に近い位置に配置していたことを示している。実際、図20の例を見れば、ユーザB,Cは、いずれもコンテンツC4を着目コンテンツT2の直近に配置している。これは、「互いに類似する書籍は、まとまった位置に配置する」というユーザの一般的な傾向を考慮すると、「コンテンツC4のコンテンツT2に対する類似性の方が、コンテンツC4のコンテンツT1に対する類似性よりも高い」という推論を支持する事実ということになる。
結局、位置ポイントQを考慮して推奨コンテンツC1,C3,C4の並び順を決定した図22に示す例は、「互いに類似性の高いコンテンツをできるだけまとめて配置する」という方針に沿った結果になっている。すなわち、コンテンツT1に対してより類似性が高いと推定されるコンテンツC1は、コンテンツT1の近傍位置に配置され、コンテンツT2に対してより類似性が高いと推定されるコンテンツC4は、コンテンツT2の近傍位置に配置されている。このような配慮を行えば、ユーザAに対して、違和感のない、より好ましい推奨品提示が可能になる。
以上、近接ポイントNおよび位置ポイントQを利用した推奨品リストの具体的な作成方法の一例を、図示する具体例を参照しながら説明したが、もちろん、推奨品リスト作成部150において行われる推奨品リストの作成方法は、上述した方法に限定されるものではない。たとえば、上述した方法では、近接ポイントNを、「N=1/α+1/β」なる式で定義し、第1の着目コンテンツT1に対する並び位置の近接度(1/α)と、第2の着目コンテンツT2に対する並び位置の近接度(1/β)と、の和を求めているが、「N=1/α」もしくは「N=1/β」として、いずれか一方をとる(たとえば、より大きい方をとる)ようにしてもかまわない。
<<< §5.購入品リストの報告処理 >>>
§3で述べたとおり、図1に示す購入品リスト収集部140は、個々の端末装置200A〜200Eから、それぞれ購入品リストP(A)〜P(E)を収集し、これを保存する機能を有している。もちろん、この収集作業は、購入品リスト収集部140が自発的に行うこともできるが、実用上は、各端末装置200A〜200Eから所定のタイミングで、各購入品リストP(A)〜P(E)を購入品リスト収集部140に報告する処理を行うようにするのが好ましい。そうすれば、購入品リスト収集部140は、個々の端末装置200A〜200Eから報告されてきた購入品リストP(A)〜P(E)を受け取ることにより、自動的に収集を行うことができる。
このような報告処理を行うには、個々の端末装置200A〜200Eに、そのような報告機能をもたせておけばよい。すなわち、各端末装置200の購入品リスト格納部250に、予め設定されていた所定の報告条件が満足されたと判断したときに、格納中の購入品リストを管理装置100の購入品リスト収集部140に送信する機能をもたせておく。一方、購入品リスト収集部140は、購入品リスト格納部250からの購入品リストの送信を受けてこれを格納すればよい。この場合、同じ端末装置から過去に報告されてきた購入品リストが存在する場合には、逐次、最新のものに更新する処理を行えばよい。
一方、推奨品リスト作成部150は、端末装置200A〜200Eのいずれかの購入品リスト格納部250から、購入品リスト収集部140に対して購入品リストの送信があった場合には、当該購入品リストに挿入すべき推奨コンテンツを示す推奨品リストを作成し、これを当該購入品リストの送信元となる端末装置に送信して推奨品リスト格納部270に格納させる処理を行えばよい。
たとえば、端末装置200A内の購入品リスト格納部250が、所定の報告条件が満足されたと判断すると、格納中の購入品リストP(A)を購入品リスト収集部140に送信する報告処理を行うことになる。このような報告があった場合、当該購入品リストP(A)は、購入品リスト収集部140内に格納される(過去に報告された古い購入品リストP(A)が存在する場合は、新たな購入品リストP(A)に更新される)。続いて、推奨品リスト作成部150は、上記報告に基づいて、報告元の端末装置200Aに与えるべき推奨品リストR(A)を、購入品リスト収集部140に収集されている他者購入品リストP(B)〜P(E)を参照することにより作成し、これを端末装置200Aに送信して推奨品リスト格納部270に格納させる処理を行う。
結局、端末装置200A側から見ると、所定の報告条件が満足された時点で、購入品リストP(A)を管理装置100側にネットワーク経由で報告すると、当該購入品リストP(A)に応じた推奨品リストR(A)が返信されてくることになる。そもそも、推奨品リストR(A)は、購入品リストP(A)において隣接配置されている一対の購入済コンテンツの間に挿入すべき推奨コンテンツを示すものであるから、購入品リストP(A)の内容に変更が生じた場合には、変更後の購入品リストP(A)に基づいて、新たな推奨品リストR(A)を作成する必要がある。
したがって、購入品リスト格納部250の報告処理のトリガーとなる所定の報告条件としては、基本的には、「購入品リストP(A)の更新が行われる」という条件を設定しておけばよい。そうすれば、購入品リストP(A)が更新されるたびに、推奨品リスト作成部150から新たな推奨品リストR(A)の送信を受けることができ、購入品リストP(A)の更新とともに推奨品リストR(A)も更新されることになる。
もっとも、実際には、購入品リストP(A)の報告処理を行った後に、当該購入品リストP(A)に応じた推奨品リストR(A)の送信を受けるまでには、多少のタイムラグが生じる。特に、推奨品リスト作成部150がバッチ処理により推奨品リストの送信を行う運用を採る場合は、かなり長時間にわたるタイムラグの発生が予想される。また、ネットワークを介した接続環境が確保できない場合にも、新たな推奨品リストR(A)の送信を受けることができない。
このような場合、購入品リスト格納部250内に格納されている購入品リストP(A)に対応した推奨品リストR(A)が、推奨品リスト格納部270内に用意されていない状態になるが、その際には、単に、購入品リストP(A)に基づいて購入済コンテンツのみの一覧画像(たとえば、図7に示すような画像)を表示すればよい。そもそも、推奨コンテンツの提示は、購入済コンテンツの再生を行うために必須の事項ではないので、購入品リストP(A)に対応した推奨品リストR(A)が用意できていないときに、推奨コンテンツの提示を行わなくても、何ら支障は生じない。
ここに示す実施例の場合、上述した基本方針に基づき、次のいずれかの報告条件が満足された場合に、購入品リスト格納部250が、報告処理(購入品リストを購入品リスト収集部140に送信する処理)を行うようにしている。
(1) 端末装置が起動されたとき
ここで述べる実施例の場合、端末装置200は、パソコン、タブレット型電子デバイス、スマートフォンなど、コンピュータを内蔵した電子機器に専用のプログラムを組み込むことにより構成される。そこで、この端末装置200が起動されたとき(電子機器を本発明に係る端末装置200として機能させるためのアプリケーションプログラムが起動されたとき)に、報告条件が満足されたものとして、上述した報告処理を実行するようにしている。「端末装置200が起動されたとき」は、「購入品リストP(A)が更新されたとき」に合致するわけではないが、ここで述べる実施例の場合、アプリケーションプログラムの起動時に、毎回、管理装置100への報告処理を行い、新たな推奨品リストR(A)を取得する運用を行っている。これにより、新刊書などの最新情報を考慮した推奨品を提示することができる。
(2) 並び順が変更されたとき
既に述べたとおり、ユーザは、順序変更部260に対して指示を与えることにより、購入済コンテンツの表示順序を自由に変更できる。そこで、ここで述べる実施例の場合、順序変更部260による並び順の変更が行われたときに、報告条件が満足されたものと判断し、上述した報告処理を実行するようにしている。順序変更部260による並び順の変更は、購入品リストP(A)の更新を意味するものであり、当然、報告処理を実行して推奨品リストR(A)についても更新を行う必要がある。
(3) 購入処理が行われたとき
既に述べたとおり、ユーザは、購入処理部240に対して指示を与えることにより、新たなコンテンツを購入することができ、購入したコンテンツは、購入品リストP(A)に追加される。すなわち、購入処理部240による新たなコンテンツの購入により、購入品リストP(A)が更新されることになるので、報告処理を実行して推奨品リストR(A)についても更新を行う必要がある。
(4) 報告指示が入力されたとき
ここで述べる実施例の場合、ユーザが積極的に報告処理を行いたいと欲した場合にも、報告条件が満足されたものとして取り扱い、上述した報告処理を実行するようにしている。具体的には、ユーザからの報告指示を入力するための「報告ボタン」などを画面上に表示させ、当該ボタンがタップされた場合に、報告条件が満足されたものと判断し、購入品リストの送信を行うようにすればよい。これにより、ユーザは、最新の推奨品情報を入取することができる。
<<< §6.いくつかの変形例 >>>
これまで、本発明に係るコンテンツ提供システムを、基本的な実施形態に基づいて説明してきたが、最後に、いくつかの変形例を述べておく。
(1) 関連度テーブルを付加した変形例
図23は、本発明の変形例に係るコンテンツ提供システムの構成を示すブロック図である。この変形例に示す管理装置100′は、図2に示す基本的な実施形態に係る管理装置100に、更に、関連度テーブル格納部160を付加したものである。ここで、関連度テーブル格納部160は、コンテンツ格納部110に格納されている各コンテンツ相互の関連度を定めた関連度テーブルHを格納する機能を果たし、推奨品リスト作成部150は、端末装置200に与えるべき推奨品リストを、購入品リスト収集部140に収集されている他の端末装置から収集された他者購入品リストを参照するとともに、関連度テーブル格納部160に格納されている関連度テーブルHを参照することにより作成する機能を果たす。
図24は、図23に示す関連度テーブル格納部160内に格納されている関連度テーブルHの一例(「吾輩は猫である」についての部分のみ)を示す表である。この表は、コンテンツID=C44444で特定される「吾輩は猫である」なるコンテンツに対する、他のすべてのコンテンツの関連度を示すものである。具体的には、この表には、図示のとおり、コンテンツID,タイトル,関連度なる欄が設けられており、個々のコンテンツについて、「吾輩は猫である」なるコンテンツに対する関連度が数値で示されている。
たとえば、「こころ」,「三四郎」なるコンテンツについては、10という比較的大きな関連度が定義されている。これは、「こころ」,「三四郎」が、「吾輩は猫である」と同一作者による同一ジャンルのコンテンツであるためである。これに対して、「トロッコ」や「羅生門」には、若干低い8や7という関連度が定義されているが、これは同一ジャンルではあるが、作者が異なるコンテンツであるためである。一方、「原子力発電」には、最低の1という関連度が定義されているが、これは「吾輩は猫である」と「原子力発電」とは、ジャンルが全く異なり、相互の関連性が非常に低いコンテンツと判断されたためである。
このような関連度は、たとえば、管理装置100を管理するオペレータが、予め何らかの基準に基づいて設定し、関連度テーブルHという形で関連度テーブル格納部160に格納しておくようにすればよい。もちろん、ジャンルが共通するコンテンツについては5点、作家が共通するコンテンツについては3点、というような得点配分を決めておき、個々のコンテンツの書誌情報に基づいて、これらを加算するようにし、コンピュータによって自動的に関連度テーブルHが作成できるようにすることも可能である。
図24に示す表は、「吾輩は猫である」なるコンテンツに対する他のコンテンツの関連度を示す表であるが、実際には、関連度テーブルHには、コンテンツ格納部110に格納されている多数のコンテンツ相互間の関連度が定義されており、任意のコンテンツを2つ取り出すと、これら2つのコンテンツ相互間の関連度が認識できるようになっている(関連度の定義情報がないコンテンツ間については、関連度0と認識すればよい)。なお、図24では、説明の便宜上、タイトル欄を設けた表を示しているが、実際には、コンテンツIDと関連度とが特定できれば十分であり、タイトル欄の情報は省略することができる。
結局、図23に示す変形例の場合、推奨品リスト作成部150は、購入品リスト収集部140に収集されている他者購入品リストと、関連度テーブル格納部160に格納されている関連度テーブルHとの双方を参照することにより、推奨品リストを作成することが可能になる。具体的には、たとえば、推奨品リスト作成部150は、特定の端末装置に与えるべき推奨品リストを作成する際に、これまでの基本的な実施形態で述べた方法で決定した推奨コンテンツに加えて、次のような方法で、追加推奨コンテンツを決定することができる。
まず、当該特定の端末装置から収集した自己購入品リストにおいて並び順が隣接する一対のコンテンツに着目し、この一対の着目コンテンツのうちの一方を第1の着目コンテンツT1、他方を第2の着目コンテンツT2とし、第1の着目コンテンツT1に対する関連度もしくは第2の着目コンテンツT2に対する関連度またはこれら2つの関連度の和が所定の基準以上であるという条件を満たす関連コンテンツを、関連度テーブルHを参照することにより選出し、選出した関連コンテンツを、自己購入品リストの第1の着目コンテンツT1と第2の着目コンテンツT2との間に追加して挿入すべき追加推奨コンテンツとする処理を行えばよい。
図20に示す例について、§4で述べたアルゴリズムに基づいて推奨コンテンツを決定すると、図22に示すように、ユーザAの購入済コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツとして、3つのコンテンツC1,C3,C4が選ばれることは既に述べたとおりである。図23に示す変形例では、これに加えて、次のような方法で追加推奨コンテンツが選ばれることになる。すなわち、ユーザAの購入済コンテンツT1,T2をそれぞれ第1の着目コンテンツT1および第2の着目コンテンツT2として、関連度テーブルHを参照し、T1もしくはT2に対する関連度、またはこれら2つの関連度の和が所定の基準以上であるという条件を満たす関連コンテンツを追加推奨コンテンツとして選出する処理を行えばよい。
そのような処理によって、たとえば、追加推奨コンテンツC7が選出された場合、最終的には、合計4つの推奨コンテンツC1,C3,C4,C7が、ユーザAの購入済コンテンツT1,T2の間に挿入すべき推奨コンテンツとして、推奨品リストR(A)に収録されることになる。図25は、図23に示す変形例において、ユーザAに対する推奨コンテンツC1,C3,C4,C7を、購入済コンテンツT1,T2の間に挿入した状態を示す平面図である。図22に示す例と比較すると、新たに追加推奨コンテンツC7が付加されていることがわかる。
なお、図25に示す例において、追加推奨コンテンツC7の並び位置が、推奨コンテンツC3とC4の間になっている理由は、関連度テーブルHを参照することにより選出された追加推奨コンテンツについては、位置ポイントQを定義することができないため、便宜上、Q=1(着目コンテンツT1,T2の中間を示す位置ポイントQの値)を与えたためである。
もちろん、追加推奨コンテンツC7についても、何らかの位置ポイントQを定義し、着目コンテンツT1,T2間の挿入位置を決めるようにしてもかまわない。たとえば、関連度テーブルHを参照した結果、追加推奨コンテンツC7と着目コンテンツT1との関連度がγ、追加推奨コンテンツC7と着目コンテンツT2との関連度がδという結果が得られた場合に、位置ポイントQ=γ/δと定義すれば、着目コンテンツT1に対する関連度が高いほど図25の左側に、着目コンテンツT2に対する関連度が高いほど図25の右側に配置されるようになる(なお、関連度は0でない正の値を設定しておくようにする)。
以上、関連度テーブルHを参照することにより、追加推奨コンテンツを選出する例を述べたが、関連度テーブルHに収録されている関連度を付加条件として、推奨コンテンツのふるい分けを行うこともできる。すなわち、§4で述べた方法で推奨コンテンツとされたものの中で、関連度が所定の基準に満たないものをふるい落とすようにしてもよい。あるいは、関連度テーブルHに収録されている関連度を近接ポイントに加算することにより近接度を求め、候補コンテンツから推奨コンテンツのふるい分け作業に関連度が参酌されるようにすることも可能である。たとえば、図21の表に示す例の場合、候補コンテンツC1〜C6の近接度を、近接ポイントNの合計値として求めているが、これに更に、各候補コンテンツの着目コンテンツT1,T2に対する関連度を加算した値を近接度と定義するようにすればよい。
具体的には、たとえば、関連度テーブルHを参照した結果、候補コンテンツC6の着目コンテンツT1に対する関連度が1であり、着目コンテンツT2に対する関連度が0.5であることが判明し、その他の候補コンテンツC1〜C5については、いずれも関連度が0であった場合を考えてみよう。この場合、候補コンテンツC5については、近接ポイントNの合計値2.25に、更に、関連度1+0.5が加算されることになるので、最終的な近接度は3.75ということになる。したがって、近接度が3以上の候補コンテンツを推奨コンテンツとする、という運用を行っている場合、候補コンテンツC1,C3,C4に加えて、更に候補コンテンツC6が推奨コンテンツとして選出されることになる。
(2) コンテンツをダウンロードする変形例
これまで述べてきた基本的実施形態に係る端末装置200は、いわゆるストリーミング再生を行う機能を有しており、送信要求に応じて管理装置100から返信されてきた再生対象コンテンツをコンテンツ受信部210を介して受け取り、これを再生する処理を行う。したがって、コンテンツ受信部210には、再生に必要なコンテンツデータを一時的に格納しておく記憶領域を用意しておけばよく、再生終了時には、当該コンテンツデータを消去してかまわない。
これに対して、ここで述べる変形例は、端末装置200にコンテンツをダウンロードする機能をもたせたものである。すなわち、この変形例では、ユーザが所望のコンテンツを購入すると、コンテンツ送信部120が、販売管理部130に記録されている販売履歴に基づいて、コンテンツ格納部110内から購入済コンテンツを読み出して端末装置200へ送信する処理を行う。一方、端末装置200側では、コンテンツ受信部210が、送信されてきた購入済コンテンツを受信し、これを格納保存するダウンロード処理を行う。かくして、コンテンツ受信部210には、ダウンロードした購入済コンテンツが保存された状態になる。コンテンツ再生部220は、このコンテンツ受信部210に格納されているコンテンツを再生することになる。
もちろん、推奨コンテンツについても、同様にダウンロードすることができる。すなわち、推奨品リスト作成部150が新たな推奨品リストを作成し、これを端末装置200に送信したときに、コンテンツ送信部120が、当該推奨品リストに基づいて、コンテンツ格納部110内から、推奨コンテンツを読み出して送信すればよい。端末装置200側では、コンテンツ受信部210が、送信されてきた推奨コンテンツを受信し、これを格納保存するダウンロード処理を行えばよい。そうすれば、コンテンツ受信部210には、ダウンロードした推奨コンテンツも保存された状態になるので、コンテンツ再生部220は、この保存された推奨コンテンツについての再生も行うことができる。
このようにコンテンツをダウンロードする変形例では、管理装置100と端末装置200とを接続するネットワークが利用できない場合でも、端末装置200側では、支障なく各コンテンツの再生(オフライン再生)が可能になる。
(3) 一覧画像の表示に関する変形例
図12には、図11に示す混在リストM(A)に基づいて、購入済コンテンツおよび推奨コンテンツが混在する一覧表示を行った例を示した。この例は、本棚30に書籍が並べられている状態をデフォルメしたものであり、個々のコンテンツは、その背表紙を示す指標によって示されている。しかしながら、本発明において、一覧画像は、必ずしもこのような背表紙を示す指標を並べたものにする必要はなく、たとえば、個々のコンテンツの表紙をそれぞれアイコンで表示した指標を並べたものにしてもかまわない。
また、図12には、個々のコンテンツの指標として、背表紙にタイトル文字を割り付けた単純な指標を用いた例が示されているが、より精細なタイトル画像(たとえば、実際の書籍を写真撮影して得られる画像)を用意することができれば、そのようなタイトル画像を個々のコンテンツの指標として利用することもできる。
なお、図12に例示するように各書籍のタイトル文字を用いた指標や、より精細なタイトル画像を用いた指標を表示した一覧画像を作成するには、個々のコンテンツについて、それぞれタイトル文字やタイトル画像のデータが必要になる。このようなデータは、必要があれば、管理装置100側からダウンロードすることにより入手することが可能であるが、実用上は、購入品リストや推奨品リストに含ませておくようにするのが好ましい。
たとえば、購入処理部240が、新たにコンテンツを購入する処理を行ったときに、購入済コンテンツのタイトル文字データもしくはタイトル画像データを購入品リストに追加する処理を行うようにすれば、タイトル文字データもしくはタイトル画像データを含む購入品リストが購入品リスト格納部250に格納されることになる。同様に、推奨品リスト作成部150が、各推奨コンテンツのタイトル文字データもしくはタイトル画像データを含む推奨品リストを作成するようにすれば、タイトル文字データもしくはタイトル画像データを含む推奨品リストが推奨品リスト格納部270に格納されることになる。したがって、一覧表示部280は、これらのタイトル文字データもしくはタイトル画像データを用いて、各コンテンツの指標画像を作成し、これを並べることにより一覧画像を生成することができるようになる。
また、これまで述べた基本的な実施形態の場合、一覧表示部280は、購入品リスト格納部250に格納されている購入品リストP(A)と、推奨品リスト格納部270に格納されている推奨品リストR(A)とを合成して、図11に例示するような混在リストM(A)を作成し、この混在リストM(A)に基づいて、図12に例示するような一覧画像を表示する処理を行っているが、一覧表示部280に、購入品リスト格納部250に格納されている購入品リストP(A)のみに基づいて、購入済コンテンツの指標のみを並べて示す購入品表示処理(図7に示すような一覧画像を表示する処理)と、混在リストM(A)に基づいて、購入済コンテンツの指標と推奨コンテンツの指標とを混在状態で並べた混在表示処理(図12に示すような一覧画像を表示する処理)と、の双方を、ユーザの指示に基づいて選択的に実行する機能をもたせておけば、ユーザは、好みに応じて一覧画像を切り替えることができる。
なお、図12に示すような一覧画像では、購入済コンテンツの指標と推奨コンテンツの指標とが混在しており、どれが購入済のコンテンツであるかを認識することができない。そこで、必要があれば、一覧表示部280に、購入済コンテンツの指標と推奨コンテンツの指標とを、異なる態様で表示した一覧画像を生成する機能をもたせるようにしてもよい。たとえば、購入済コンテンツの指標についてはカラー表示し、推奨コンテンツの指標についてはモノクロ表示するようにすれば、ユーザは両者を一目で識別することが可能である。
(4) 電子書籍以外のコンテンツを取り扱う変形例
以上、提供対象となるコンテンツとして、電子書籍のデジタルデータを取り扱った実施例を述べたが、本発明に係るコンテンツ提供システムは、電子書籍に限られるわけではなく、音楽コンテンツ、映像コンテンツなど、様々なデジタルコンテンツを取り扱うことができる。
<<< §7.管理装置を複数のサーバで構成した応用例 >>>
図2の基本的な実施形態を示すブロック図では、管理装置100の構成要素となる5つのブロックを一点鎖線で囲って示してあるが、もちろん、このブロック図は発明の技術思想としての構成概念を説明するためのものであり、本発明を実施するにあたり、管理装置100は、必ずしも1台の装置(1台のコンピュータ)で構成する必要はない。
本発明を実社会で具現化する場合、むしろ管理装置100を複数台のコンピュータ(サーバ)で構成するケースが一般的になろう。図26は、このように、管理装置100を複数台のサーバで構成した応用例を示すブロック図である。図の上段左には、3台のサーバ101X,101Y,101Zが一点鎖線でそれぞれ囲って示されている。これらのサーバは、コンテンツを提供するためのコンテンツサーバである。一方、図の上段右には、1台のサーバ102が一点鎖線で囲って示されている。当該サーバは、推奨品リストを提供するための推奨サーバである。この応用例では、これら4台のサーバ101X,101Y,101Z,102によって、管理装置100が構成される。もちろん、コンテンツサーバの数は3台に限定されるわけではない。要するに、ここに示す応用例では、複数n台のコンテンツサーバと、1台の推奨サーバと、によって管理装置100を構成すればよい。
コンテンツサーバ101Xは、図示のとおり、コンテンツ格納部110X、コンテンツ送信部120X、販売管理部130Xを備えている。また、図示は省略するが、コンテンツサーバ101Y,101Zも同様の構成を備えている。すなわち、この応用例では、複数n台のコンテンツサーバのそれぞれが、コンテンツ格納部、コンテンツ送信部、販売管理部を備えており、これらの機能は、これまで述べた基本的な実施形態と同様である。
一方、推奨サーバ102は、購入品リスト収集部140および推奨品リスト作成部150を備えており、これらの機能は、これまで述べた基本的な実施形態と同様である。この応用例の場合、推奨サーバ102には、更に、コンテンツリスト格納部170X,170Y,170Zが設けられている。これらのコンテンツリスト格納部は、それぞれのコンテンツサーバに対応するものであり、複数n台のコンテンツサーバを用いる場合には、複数n個のコンテンツリスト格納部を設けることになる。そして、第i番目(1≦i≦n)のコンテンツリスト格納部170iには、第i番目のコンテンツサーバ101iから送信されてきた情報に基づいて当該第i番目のコンテンツサーバ101iに格納されているコンテンツの内容を示すコンテンツリストが格納されている。たとえば、コンテンツサーバ101X内のコンテンツ格納部110Xに格納されているコンテンツの品目は、ネットワークを介して推奨サーバ102に報告され、コンテンツリストとして、コンテンツリスト格納部170Xに格納されることになる。
推奨サーバ102が、端末装置200に対して、推奨品リストR(A)を提供する基本的な仕組は、これまで述べた基本的な実施形態と同じである。まず、購入品リスト収集部140によって、個々の端末装置200A〜200Eからそれぞれ購入品リストP(A)〜P(E)の収集が行われ、推奨品リスト作成部150が、特定の端末装置200に与えるべき推奨品リストを、この購入品リスト収集部140に収集されている他者購入品リストを参照することにより作成することになる。
このとき、推奨品リスト作成部150は、各コンテンツリスト格納部170X,170Y,170Zを参照し、推奨品リストR(A)にリストアップすべく抽出された候補コンテンツと、各コンテンツリスト格納部170X,170Y,170Zにリストアップされているコンテンツとのマッチングをとる作業を行うようにしている。これは、購入品リスト収集部140が収集した他者購入品リストの中に、コンテンツサーバ101X,101Y,101Zのいずれにも収録されていないコンテンツが含まれていた場合に、そのようなコンテンツが推奨リストに掲載されて推奨されることを排除するための念のための作業である。もし、マッチングしないコンテンツが候補コンテンツとして抽出された場合には、当該候補コンテンツは推奨品リストから排除される。結局、推奨品リスト作成部150は、各コンテンツリスト格納部170X,170Y,170Z内のコンテンツリストに掲載されているコンテンツのみを掲載した推奨品リストを作成することになる。
上記マッチング作業により排除されるコンテンツが生じる原因のひとつは、たとえば、販売中止となったコンテンツが存在した場合である。各コンテンツリスト格納部170X,170Y,170Z内のコンテンツリストは、常に、各コンテンツサーバ101X,101Y,101Zから送信される情報に基づいて更新されるので、販売中止となってコンテンツ格納部から取り除かれたコンテンツについては、コンテンツリストからも取り除かれる。このようなコンテンツは、ユーザはもはや入手できないので、推奨品とするのは不適切である。また、たとえば、コンテンツサーバ101Z全体が何らかの事情で活動を中止したような場合も、当該コンテンツサーバ101Zのみが取り扱っていたコンテンツを推奨品とするのは不適切になる。
また、これはユーザ側の事情に基づく原因であるが、この系の一員となっているコンテンツサーバ101X,101Y,101Z以外のコンテンツサーバからコンテンツを購入したり、あるいは、いわゆる「自炊」と呼ばれている行為(実在の書籍をスキャナなどでデータ化してコンテンツデータとして取り込む行為)によって、コンテンツを入手したりした場合、そのようなコンテンツを推奨品とするのも不適切である。上述したように、コンテンツリスト格納部170X,170Y,170Z内のコンテンツリストとマッチングしない候補コンテンツについては、推奨コンテンツから排除する運用を行えば、推奨品とするのに不適切なコンテンツが推奨されるのを防ぐことができる。
なお、上記マッチングをとる作業を行えば、個々の推奨コンテンツが、どのコンテンツサーバに格納されているコンテンツであるかを認識することができるので、推奨品リストに入手先サーバを特定する情報を付加することも可能である。たとえば、コンテンツリスト格納部170X内のリストに掲載されているコンテンツとマッチングがとれた推奨コンテンツについては、入手先が「コンテンツサーバ101X」であることを示す情報(たとえば、サーバ101XのURLなど)を付加しておけばよい。そうすれば、端末装置200側では、当該推奨コンテンツを購入あるいは再生する際に、どのコンテンツサーバにアクセスすればよいかを直ちに認識できる。
なお、コンテンツリスト格納部170X,170Y,170Zに格納されるコンテンツリストに、各コンテンツの識別コードだけでなく、書誌データや指標として表示すべき画像データ(表紙や背表紙の画像など)を含ませておけば、これらの情報を推奨品リストにも組み入れることができるので、端末装置200側では、これらの情報を利用して、書誌データの表示や、背表紙などの指標を表示することが可能になる。もちろん、表紙や背表紙などの画像データの代わりに、そのような画像データを入手可能なURLの情報をコンテンツリストに含ませておいてもよいし、URL以外の方法によって、何らかのサーバ内に格納されている画像データに紐付けする情報をコンテンツリストに含ませておいてもよい。
以上、管理装置100側の構成について述べたが、実用上は、端末装置200側の構成も、これに応じた構成にしておくのが好ましい。図26に示す例の場合、下段に示す端末装置200は、1台のコンピュータ(パソコン、タブレット型電子デバイス、スマートフォンなど)で構成されている点に変わりはないが、そこに組み込むアプリケーションプログラムをいくつかの構成に分けている。すなわち、図示の例の場合、端末装置200は、破線で囲って示すように、3個の再生処理ユニット205X,205Y,205Zと、1個のリスト提示ユニット206と、によって構成されている。これら4組のユニットは、実際には、端末装置200を構成するコンピュータに組み込まれた別個のアプリケーションプログラムによって実現される。
要するに、ここに示す応用例の場合、端末装置200を、複数n個(n台のコンテンツサーバに対応)の再生処理ユニットと、1個のリスト提示ユニットと、によって構成しておけばよい。ここで、複数n個の再生処理ユニットは、それぞれが、コンテンツ受信部、コンテンツ再生部、購入処理部を有している。たとえば、再生処理ユニット205Xは、コンテンツ受信部210X、コンテンツ再生部220X、購入処理部240Xを有しており、これらの構成要素の基本機能は、これまで述べてきた実施形態におけるコンテンツ受信部210、コンテンツ再生部220、購入処理部240の各機能と同じである。一方、リスト提示ユニット206は、購入品リスト格納部250と、順序変更部260と、推奨品リスト格納部270と、一覧表示部280と、コンテンツ選択部230と、を有しており、これらの構成要素の基本機能も、これまで述べてきた実施形態における同構成要素の機能と同じである。
ここで、第i番目(1≦i≦n)の再生処理ユニット205iは、第i番目のコンテンツサーバ101iと通信を行い、コンテンツのダウンロードや購入処理を行うことになる。そして、購入品リスト格納部250内の購入品リストP(A)には、各再生処理ユニット205X,205Y,205Z内の購入処理部による購入処理によって購入済コンテンツの識別コードが追加される。すなわち、いずれの再生処理ユニット205X,205Y,205Zで購入されたコンテンツも、購入品リスト格納部250内の購入品リストP(A)に掲載されることになり、その並び順は、順序変更部260によって変更可能であり、一覧表示部280による一覧表示の対象になる。
コンテンツ選択部230によるコンテンツの選択が行われた際には、当該選択コンテンツの購入処理を行った再生処理ユニット内のコンテンツ再生部により当該選択コンテンツの再生が行われる。たとえば、再生処理ユニット205Xがコンテンツサーバ101Xから購入したコンテンツが再生対象として選択された場合、当該選択の事実は、再生処理ユニット205Xに報知され、再生処理ユニット205X内のコンテンツ受信部210Xによるダウンロードやコンテンツ再生部220Xによる再生が行われることになる。選択されたコンテンツが推奨コンテンツであった場合も同様である。
このように、再生処理ユニット205X,205Y,205Zに分業(コンテンツごとの担当の振り分け)を行わせるには、購入品リストや推奨品リストに、個々のコンテンツがどのコンテンツサーバに格納されているコンテンツであるかを認識するための情報を含ませておけばよい。そうすれば、ユーザが特定のコンテンツを選択した際に、処理を担当する再生処理ユニット205X,205Y,205Zを直ちに特定することができ、コンテンツの再生処理や、特定のコンテンツサーバへのアクセス処理を行うことができる。なお、同一のコンテンツが、複数のコンテンツサーバに格納されているような場合は、対応する複数の再生処理ユニットのいずれに担当させてもかまわないし、推奨サーバ102側で予め代表を定めておき、推奨品リストには、代表の情報のみを入れるようにしてもよい。あるいは、推奨品リストに複数の担当情報を入れておき、端末装置200側において、ユーザに選択させるようにしてもよい。
以上、管理装置100を複数のサーバで構成した応用例を述べたが、この応用例は、特に、複数の事業者が参入しているデジタルコンテンツの提供ビジネスに適用するのに適している。たとえば、現在、複数の事業者が、電子書籍を提供するビジネスに参入しており、それぞれの事業者がインターネット上に独自の電子書店サイトを開設している。しかも、端末装置側で、電子書籍を閲覧したり、新たな電子書籍を購入したりするために用いる、いわゆる「ビューワー」のアプリケーションプログラムも、それぞれの事業者が独自のソフトウエアを頒布しているケースが多い。
たとえば、3つの事業者X,Y,Zが、それぞれ独自の電子書店サイトを開設し、それぞれ独自の「ビューワー」を頒布しているケースを考えてみよう。図26に示す応用例は、このようなケースに本発明を適用した例である。すなわち、コンテンツサーバ101X,101Y,101Zは、それぞれ事業者X,Y,Zが開設した電子書店サイトを運営するためのサーバによって構成されている。一方、端末装置200側の再生処理ユニット205X,205Y,205Zは、それぞれ事業者X,Y,Zが頒布した「ビューワー」のアプリケーションプログラムを組み込むことにより構築されたものである。
ここで、本発明の実施にあたり、第4の事業者Wが推奨品リストの提供役として参加したものとしよう。この場合、事業者Wは、推奨サーバ102を立ち上げ、ユーザに対して、リスト提示ユニット206としての機能を果たす「書棚管理」のアプリケーションプログラムを頒布すればよい。結局、ユーザは、パソコン、タブレット型電子デバイス、スマートフォンなどの端末装置200を構成するコンピュータに、事業者X,Y,Zが頒布した「ビューワー」のアプリケーションプログラムと、事業者Wが頒布した「書棚管理」アプリケーションプログラムと、を組み込むことにより、本発明に係るコンテンツ提供システムの恩恵に預かれる。
前述したとおり、各再生処理ユニット205X,205Y,205Zは、それぞれ各コンテンツサーバ101X,101Y,101Zと通信することによりその機能を果たすことができ、各コンテンツサーバ101X,101Y,101Zから入手したコンテンツは、それぞれ各再生処理ユニット205X,205Y,205Zによって再生されることになるので、3つの事業者X,Y,Zが、それぞれ独自の電子書店サイトを開設し、販売したコンテンツをそれぞれ独自の「ビューワー」で閲覧することを前提としていたとしても、何ら支障なく本発明の導入が可能である。
<<< §8.コンテンツ推奨システム >>>
本発明に係るコンテンツ提供システムの最も重要な特徴は、個々のユーザに適した推奨品を効果的に提示する機能であり、当該機能を実現するための中枢とも言うべき構成要素は、図2に示す購入品リスト収集部140と推奨品リスト作成部150である。ここでは、この本発明に係る本質的な機能のみを捉え、本発明をコンテンツ推奨システムとして把握した実施例を説明する。すなわち、図2に示す基本的な実施形態は、コンテンツの販売を目的とするコンテンツ提供システムとして本発明を具現化した例であるが、以下に述べる実施例は、ユーザが所有するコンテンツのリストに基づいて、当該ユーザに推奨品リストを提供するシステムとして本発明を具現化した例ということになる。
別言すれば、ここで述べるコンテンツ推奨システムは、複数の端末装置に対してネットワークを介して通信することができ、個々の端末装置内のコンテンツリストを解析することにより、当該端末装置に対して、当該コンテンツリストに掲載されていなかった推奨品を示す推奨品リストを提供するシステムということになる。個々の端末装置内のコンテンツリストは、必ずしも購入したコンテンツのリストである必要はなく、ユーザが利用可能な状態にあるコンテンツのリストであれば足りる。たとえば、前述した「自炊」によって、実在の書籍をスキャナなどでデータ化して得られたコンテンツもコンテンツリストに含めてかまわない。
また、極端な話として、データ化すらせずに、コンテンツリストに収録してもかまわない。たとえば、実在の本棚に実在の書籍が並んでいる場合に、ユーザが、これら書籍の識別コード(たとえば、ISBN)をコンピュータに入力し、実在の書籍の並び順どおりに識別コードを並べたリストを、当該ユーザのコンテンツリストとして用いることも可能である。この場合、ユーザは、実在の本棚に並べられた実在の書籍の情報(並び順も含めた情報)を本発明に係るコンテンツ推奨システムに送ると、当該ユーザに推奨すべきコンテンツを収録した推奨品リストが返送されてくることになる。
このように、本発明に係るコンテンツ推奨システムでは、推奨品リストを作成する際に解析すべきリストは、必ずしもユーザの購入済コンテンツである必要はない(著作権の問題が生じる可能性はあるが、他人から借りたコンテンツをリストに掲載してもかまわない)。したがって、以下の説明では、これまで「購入品リスト」と呼んでいたリストを、単に「コンテンツリスト」と呼ぶことにし、図2における構成において、「購入品リスト収集部140」および「購入品リスト格納部250」をそれぞれ「コンテンツリスト収集部140」および「コンテンツリスト格納部250」と読み替えることにする。
結局、本発明に係るコンテンツ推奨システムは、個々の端末装置から、コンテンツを所定の順序で並べて示すコンテンツリストを収集するコンテンツリスト収集部140(図2における購入品リスト収集部)と、特定の端末装置からコンテンツリストを収集したときに、コンテンツリスト収集部140に収集されている、当該特定の端末装置以外の他の端末装置から収集された他者コンテンツリストを参照することにより推奨コンテンツを決定し、当該推奨コンテンツを示す推奨品リストを作成し、これを当該特定の端末装置に提供する推奨品リスト作成部150と、によって構成されることになる。
ここで、推奨品リスト作成部150は、これまで述べてきた基本的な実施形態で説明した処理手順により、推奨品リストの作成を行う。すなわち、推奨品リスト作成部150は、特定の端末装置に提供すべき推奨品リストを作成する際に、当該特定の端末装置から収集した自己コンテンツリストにおいて並び順が隣接する一対のコンテンツに着目し、この一対の着目コンテンツのうちの一方を第1の着目コンテンツ、他方を第2の着目コンテンツとしたときに、第1の着目コンテンツと第2の着目コンテンツとの双方を含む他者のコンテンツリストから、第1の着目コンテンツと第2の着目コンテンツとの間に並べられているコンテンツ(但し、自己コンテンツリストに含まれているものを除く)を候補コンテンツとして抽出し、当該候補コンテンツの一部もしくは全部を推奨コンテンツとして推奨品リストを作成する処理を行うことになる。
なお、これまでの実施形態でも述べたとおり、推奨品リスト作成部150は、他者のコンテンツリストから、第1の着目コンテンツと第2の着目コンテンツとの間に並べられているコンテンツ(但し、自己コンテンツリストに含まれているものを除く)を候補コンテンツとして抽出し、当該候補コンテンツの一部もしくは全部を、自己コンテンツリストの第1の着目コンテンツと第2の着目コンテンツとの間に挿入すべき指示を含む推奨品リストを作成するようにするのが好ましい(たとえば、図10に示す例では、推奨品リストR(A)に、挿入位置を指示する情報が含まれている)。
一方、このようなコンテンツ推奨システムから推奨品リストR(A)の提供を受ける端末装置200側には、図2の下段に示すとおり、コンテンツリストを格納するコンテンツリスト格納部250(図2における購入品リスト格納部)と、受け取った推奨品リストR(A)を格納する推奨品リスト格納部270と、一覧表示部280とが設けられている。推奨品リストR(A)には、挿入位置を指示する情報が含まれているので、一覧表示部280は、コンテンツリスト格納部250に格納されているコンテンツリストP(A)内のコンテンツの指標をコンテンツリストの並び順に基づいて並べ、更に、推奨品リスト格納部270に格納されている推奨品リストR(A)に基づいて推奨コンテンツの指標を指示された位置に挿入し、コンテンツリストP(A)内のコンテンツの指標と推奨品リストR(A)内の推奨コンテンツの指標とを混在状態で並べた一覧画像を生成し、これを表示することができる。このような混在状態のリストが、ユーザに違和感がなく自然な態様で受け入れられる点は、既に述べたとおりである。