JP5841168B2 - 抗腫瘍剤 - Google Patents

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Description

本発明は、抗腫瘍剤に関する。
従来、癌の治療及び症状の軽減に適した治療方法を開発するべく多くの研究が行われている。癌の治療方法として、化学療法、放射線療法及び外科療法のいわゆる三大療法が適宜用いられている。放射線療法には、急性反応及び晩期反応としての副作用があり、放射線が癌細胞とともに正常細胞にもダメージを与えるため、倦怠感、食欲不振、紅斑等の皮膚障害、消化器官からの出血、白血球等の減少、脱毛等の多様な問題を引き起こす恐れがある。また、外科療法は、精神的・体力的に患者の負担が大きく、手術による後遺症や合併症の恐れがある。また、癌が外科的に切除し難い部位に発生した場合には適用できないという問題もある。
一方、化学療法の分野においては、抗生物質、代謝拮抗物質、アルキル化剤、ホルモン剤等が癌細胞に有効な抗腫瘍剤として見出されている。しかし、これらの抗腫瘍剤は、癌細胞を攻撃するだけでなく、正常細胞にも作用することから、嘔吐、悪心、食欲不振、脱毛等の副作用を引き起こし、患者のQOLを著しく低下させるという問題が発生している。したがって、より安全性が高く、副作用の少ない新規な抗腫瘍剤の開発が望まれている。
抗腫瘍剤として、(特許文献1)には、キシロオリゴ糖分子中にウロン酸残基を有する酸性キシロオリゴ糖とハタケシメジ抽出物を有効成分とする抗腫瘍剤が開示されている。また、(特許文献2)には、単糖類又は二糖類と脂肪酸との糖エステルからなる抗腫瘍物質が開示されている。これらの抗腫瘍剤は、抗腫瘍効果が不十分であり、なお改良の余地があった。
ところで、(特許文献3)には、セロビオース等のセロオリゴ糖を有効成分とする腸内細菌賦活剤が開示されている。この発明によれば、セロオリゴ糖が腸内の有用細菌を選択的に増加させ、有害細菌の増加を抑制することができる。しかし、セロビオース等のセロオリゴ糖の抗腫瘍活性に関して従来検討されたことはなかった。
また、(特許文献4)には、セロビオースを含む医薬品の癌細胞に対する殺細胞作用が開示されている。しかし、後述するように、(特許文献4)で用いられているのは植物からの抽出物であるセロビオースの不純物であり、このことは該(特許文献4)に記載されているNMRデータからも明らかである。また、(特許文献4)に記載されている癌細胞の生存率に関する試験において該抽出物が殺細胞作用を有することが示されているが、このことからも該抽出物がセロビオースの不純物であることが分かる。
特開2008−208093号公報 特開2002−179577号公報 特開2007−330177号公報 国際公開第2011/110190号
そこで本発明は、上記従来の状況に鑑み、優れた抗腫瘍活性を有し、また安全性が高く、副作用の少ない抗腫瘍剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意研究を行った結果、オリゴ糖の一種であるセロビオースが、発癌性物質により誘発される癌の発生を抑制することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)セロビオースを有効成分とする抗腫瘍剤。
(2)上記(1)に記載の抗腫瘍剤を含有する医薬品。
(3)上記(1)に記載の抗腫瘍剤を含有する食品。
本発明により、優れた抗腫瘍活性を有し、且つ安全性の高い抗腫瘍剤、並びにそれを利用した医薬品及び食品を得ることができる。
実施例における各群の体重推移を示すグラフである。 実施例における各群の腫瘍発生個体数推移を示すグラフである。 実施例における各群の推定腫瘍体積推移を示すグラフである。 実施例における各群の腫瘍湿重量を示すグラフである。 参考例における被験物質(セロビオース)の13C NMRスペクトルである。 参考例における被験物質(セロビオース)のH NMRスペクトルである。 参考例における被験物質(セロビオース)の赤外吸収スペクトルである。 HeLaに対する被験物質(セロビオース)の殺細胞活性を示すグラフである。 HaCaTに対する被験物質(セロビオース)の殺細胞活性を示すグラフである。 Hep−G2に対する被験物質(セロビオース)の殺細胞活性を示すグラフである。 デキサメタゾン濃度に対する生存率の変化を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る抗腫瘍剤は、セロビオースを有効成分とすることを特徴とする。セロビオースは、2つのグルコース分子がβ1、4結合でつながった二糖であり、化学式はC122211である。このようなセロビオースは、セルロース系物質をセルラーゼで分解する方法、グルコース糖の単糖類又はその誘導体を縮合もしくは糖転移させる方法、スクロースから合成する方法等により適宜製造することができる。
セルラーゼにより分解されるセルロース系物質としては、植物性及び動物性のいずれも適用可能である。具体的には、コットン、木材、竹、ケナフ、ムギ、イネ、バクテリアセルロース等に含有される天然物由来の繊維質物質や、それらを一旦溶剤に溶解させ再生させた再生セルロース、又はそれらの化学処理を施しセルロース誘導体としたもの等を用いることができる。これらのセルロース系物質は、いずれか1種を用いても良いし、2種以上を併用しても良い。特に、溶解又は化学処理を経ない天然のセルロース系物質は、得られるセロビオースに人体に有害な溶剤又は化学物質が含まれないため好ましい。
セルラーゼとしては、セルロースに対する分解活性を有するものであれば適用可能である。セルラーゼ酵素源としては、セルラーゼ産生菌体そのもの、セルラーゼ産生菌が分泌する酵素を精製したもの、あるいは、精製酵素を賦形剤、安定化剤等の添加剤とともに製剤化したもの等が挙げられる。製剤中の添加剤の種類には特に制限はなく、その剤形は、粉末、顆粒、液体等のいずれであっても良い。
セルラーゼによる酵素分解方法としては、例えば、セルロース系物質を水性媒体中に懸濁させ、その懸濁液にセルラーゼを添加し、攪拌又は振とうしながら、加温して糖化反応を行う方法等を挙げることができる。その際の懸濁方法、攪拌方法、セルロース系物質及びセルラーゼの添加方法及び添加順序、それらの濃度等の反応条件は、セロビオースの収率等の観点から適宜設定することができる。また、反応液のpH及び温度等の条件は、セルラーゼが失活しない条件であれば良く、具体的には、常圧で反応を行う場合、温度は5〜95℃、pHは1〜11の範囲とすることができる。
好適な例として、本発明におけるセロビオースは、綿花(脱脂綿)を酵素分解して得ることができる。この方法は、木質系を原料とする方法と比べプロセス時間が極めて短い点で有利である。綿花の酵素分解により得られる生成物は、HPLC測定により、およそ75%のセロビオース、22%のグルコース、及び3%のセロトリオースを含むことを確認している。
製造したセロビオースは、必要に応じて、酵素除去、脱塩、脱色等の精製処理を施すことができる。精製方法は、公知の方法を特に制限されることなく用いることができ、例えば、クロマトグラフィー処理、精密濾過、限外濾過、逆浸透膜濾過等の濾過処理、晶析処理、イオン交換樹脂による処理、活性炭処理等を挙げることができ、これらの処理のいずれかを単独で、または複数の処理を組み合わせて行うことができる。
以上のようにして得られたセロビオースは、乳癌等の種々の癌に対し、腫瘍の発生を抑制し、あるいは腫瘍の成長を抑制する抗腫瘍活性を有し、医薬品として利用することができる。セロビオースの抗腫瘍剤を医薬品として用いる場合、その形態は特に制限されるものではなく、投与方法や適用される腫瘍の種類、形状及び存在部位等の条件に応じて、錠剤、カプセル、散剤、顆粒剤、ドリンク剤等の種々の形態の中から適宜選択することができる。すなわち、セロビオースの抗腫瘍剤をそのまま医薬品として用いることができ、あるいは、必要に応じて担体、希釈剤もしくは賦形剤等の通常の添加物と組み合わせて医薬品としても良い。
本発明に係る抗腫瘍剤の摂取もしくは投与量は、治療上有効量であり、腫瘍の種類等により一概にはいえないが、体重60kgの成人の場合、1日当たり上記セロビオースの量として通常240mg以上、好ましくは2400mg以上である。投与量の上限は特に限定されるものではないが、4800mg未満とすることが好ましい。また、本発明の抗腫瘍剤は、公知の抗腫瘍剤あるいは他の治療剤と併用することもできる。
さらに、本発明に係るセロビオースの抗腫瘍剤は、食品一般に含有させ、抗腫瘍活性を有する機能性食品として利用することができる。また、セロビオースをゼラチン等を用いてカプセル化し、このカプセルをサプリメント食品として用いたり、飲料、菓子、ガム、キャンディー等に配合しても良い。
次に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。ただし、以下の実施例は単に例示するのみであり、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例)
1.試験目的
ラットDMBA誘発乳癌モデルを用いて、セロビオースの抗腫瘍作用を検討した。
2.適用する基準
本試験は、以下の法律、基準及び指針を準用した。
・動物の愛護及び管理に関する法律〔法律第105号、昭和48年10月1日(平成23年8月30日最終改正:法律第105号)〕
・実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(環境省告示第88号、平成18年4月28日)
・動物の殺処分方法に関する指針〔総理府告示第40号、平成7年7月4日(平成19年11月12日一部改正:環境省告示第105号)〕
なお、本試験は、試験実施施設内動物実験委員会が規定する動物実験計画書の審議・承認を得た後に実施した。
3.試験の概要
ラットDMBA誘発乳癌モデルを用いて、セロビオースの抗腫瘍作用を検討した。具体的には、7週齢の雌性ラットを体重を指標にして群分け後、7,12−ジメチルベンゾ[a]アントラセン(DMBA)を20mg/mL/匹で強制経口投与した。そして、被験物質を4及び40mg/kg/日の2用量で、群分け日の翌日より1日1回12週間連続で強制経口投与した。
その結果、低用量及び高用量群では、ともに腫瘍の発生時期が対照群と比較して遅く、高用量群は腫瘍重量についても対照群と比較して有意ではないが、低い値を示した。このことから、被験物質であるセロビオースは、発癌性物質であるDMBAにより誘発される乳がんに対して、その発生を抑制することが示唆された。
4.試験材料及び器材
(1)被験物質及び媒体
イ)被験物質
名称 :セロビオース
性状 :粉末
保存条件 :低温保存
取扱い上の注意 :吸湿性が高いので、使用後は密閉し、湿気に注意した。
ロ)蒸留水
名称 :注射用水
保存条件 :室温
製造元 :大塚製薬工場(株)
取扱い上の注意 :特になし。
ハ)CMC
名称 :カルボキシメチルセルロースナトリウム
保存条件 :室温
製造元 :関東化学(株)
取扱い上の注意 :特になし。
(2)使用試薬
発癌剤として、以下の試薬を使用した。
イ)DMBA
名称 :7,12−ジメチルベンゾ[a]アントラセン
保存条件 :室温
製造元 :SIGMA
取扱い上の注意 :吸入及び皮膚への付着を避けるために、マスク、安全メガネ及び手袋を着用した。
ロ)ごま油
名称 :ごま油
保存条件 :室温
製造元 :SIGMA
取扱い上の注意 :特になし。
(3)使用動物
6週齢のラット、Crl:CD(SD)(SPF)、雌性を日本チャールス・リバー(株)より2012年3月28日に52匹購入した(発注数:50匹)。
動物は入荷日に耳パンチ法により個体識別し、入荷から群分け日まで馴化した。一般状態観察を毎日行い、一般状態及び体重推移に異常が見られなかった動物を選択し使用した。各ケージには、群分け前は試験番号、性別及び個体識別番号(耳パンチ番号)を記入したカードを付し、群分け後は群及び動物番号を追記した。
(4)飼育方法
馴化飼育及び実験期間を通じ、温度22±3℃、湿度50±20%、照明12時間(8:00〜20:00)、換気回数13〜17回/時間の環境下で、ステンレス製可動ラック(1790W×470D×1650H、mm)に設置したステンレス製金網2連ケージの1区画(255W×185D×200H、mm)に個別で収容した。飼料は、固型飼料CRF−1(オリエンタル酵母工業(株))を、ステンレス製固型飼料給餌器を用いて自由に与えた。水は、ポリサルフォン製給水器(先管ステンレス製)により、水道水を自由に与えた。
5.試験方法
(1)群分け
検疫・馴化期間中の一般状態観察において異常が認められない動物を選択し、体重を指標として、層別連続無作為化法により下記群構成表(表1)に基づき群分けを行った。残余動物については、群分け実施日に試験群から除外し、エーテルの過剰麻酔により安楽死させ処分した。
Figure 0005841168
(2)モニタリング動物の設定
飼育環境のモニタリングをするために、群分け後の残余動物のうち検疫・馴化期間に異常の見られなかった3匹の動物を、個体識別番号の若い順に選定して、モニタリング動物を設定した。モニタリング動物は、試験群と同一の動物室で、試験群の最終剖検日まで飼育した。
(3)発癌剤の投与
イ)発癌剤の調製
DMBAを、電子上皿天秤Sartorius Laboratory(ザルトリウス(株))を用いて必要量秤量した。秤量したDMBAは、ごま油の入ったビーカーに入れ、マイティーマグネチックスターラー(小池精密機器製作所)を用いて完全に溶解するまで攪拌した。溶解後、メスシリンダーに移して20 mg/mLの濃度になるようにメスアップした。調製時には、吸入及び皮膚への付着を避けるためにマスク、安全メガネ及び手袋を着用し、ケミカルハザード対策を行った。用時調製とした。投与後の残余発癌剤は、医療廃棄物として処理した。
ロ)発癌剤の投与
群分け後のそれぞれの動物に発癌剤を投与した。すなわち、経口ゾンデ(ディスポーザブル経口ゾンデ、(有)フチガミ器械)と注射筒(ディスポーザブルシリンジ、テルモ(株))を用いて、1mL/匹の投与量で強制経口投与した。投与時には、吸入及び皮膚への付着を避けるために、マスク、安全メガネ及び手袋を着用した。
(4)被験物質の投与
イ)被験物質投与液の調製
媒体の調製は、CMCを電子上皿天秤Sartorius Laboratory(ザルトリウス(株))を用いて必要量秤量した。秤量したCMCは、ビーカーに入れた蒸留水をマイティーマグネチックスターラー(小池精密機器製作所)を用いて撹拌しながら、少しずつ加えた。メスシリンダーに移して0.5%(W/V)にメスアップした。調製した媒体は、調製日を含めて9日間を限度に冷蔵下で保存し使用した。
次に、被験物質を電子分析天秤Sartorius Analytic(ザルトリウス(株))を用いて必要量秤量した。秤量した被験物質を媒体に溶解させ、メスシリンダーに移して0.8及び8.0mg/mLの濃度にメスアップした。用時調製とした。投与後の残余の被験物質投与液は大量の水道水で希釈して廃棄した。
ロ)被験物質の投与
群分け日の翌日から投与を開始した(1日目とした)。1日1回12週間連続で強制経口投与した。
投与の際には、経口ゾンデ(ディスポーザブル経口ゾンデ、(有)フチガミ器械)と注射筒(ディスポーザブルシリンジ、テルモ(株))を用いて、群構成表に従って5mL/kg/dayで強制経口投与した。投与液量は、投与時に最も近い日に測定した体重値から算出した。
(5)一般状態観察及び体重測定
発癌剤の投与後、一般状態観察を毎日行った。体重測定を週1回の割合で行った。
(6)被験物質投与期間中における推定腫瘍体積の算出
腫瘍の発生が確認される場合は、発生している腫瘍の個数を測定し、各腫瘍の推定腫瘍体積(mm)を週1回の割合で算出した。なお、各腫瘍の推定腫瘍体積(mm)は、腫瘍付近の剃毛を行いノギスを用いて腫瘍径(長径a及び短径b、mm)を測定後、下記式に従って算出し、各腫瘍における推定腫瘍体積の総和を求めた。
各腫瘍の推定腫瘍体積(mm)=0.5×a×b
(7)糞便採取
投与期間終了日に糞便採取を行った。採取日の午前中に、2連ケージから繁殖ケージに個体別に動物を移した。1時間放置し、繁殖ケージに排泄された糞便を動物ごとに回収し、−80℃に設定したディープフリーザーで保存した。
(8)解剖
投与期間終了日の翌日に解剖を行った。エーテルによる麻酔下で開腹し、腹大動脈から放血して安楽死させた。その後、各個体の腫瘍を全て摘出し、電子天秤TX323L((株)島津製作所)を用いて湿重量を測定した。湿重量測定後の腫瘍は廃棄した。
(9)統計処理
得られた数値(体重、推定腫瘍体積及び解剖時摘出腫瘍重量)は、各群で平均値及び標準誤差を算出した。
各群間の有意差は、Bartlett法により等分散性の検定を行い、等分散の場合はさらに一元配置分散分析を行い、有意である場合はTukey法により平均値の比較を行った。不等分散の場合はKruskal−WallisのH検定を行い、有意である場合はTukey法により平均順位の比較を行った。Bartlett法、一元配置分散分析及びKruskal−WallisのH検定については、有意水準を危険率5%、Tukey法については有意水準を危険率5%及び1%とした。
6.試験結果
(1)一般状態及び体重推移
各群の体重推移を図1に示す。対照群は、試験期間を通じて増加した。低用量群と高用量群は、対照群とほぼ同様の推移を示した。各群間に有意差は認められなかった。
また、一般状態については、対照群で8日目に1匹死亡が認められた(動物番号:007)。低用量群で4日目に1匹死亡が認められた(動物番号:106)。高用量群で76日目に1匹死亡が認められた(動物番号:209)。
(2)腫瘍発生個体数推移
各群の腫瘍発生個体数推移を図2に示す。対照群は35日目に腫瘍の発生が認められた個体数は1匹であった。その後、発生個体は増加し84日目では10匹であった。低用量群は42日目まで腫瘍の発生は認められなかった。49日目に腫瘍の発生が認められた個体数は4匹であった。その後、発生個体は増加し84日目では11匹であった。高用量群は42日目まで腫瘍の発生は認められなかった。49日目に腫瘍の発生が認められた個体数は2匹であった。その後、発生個体は増加し84日目では11匹であった。
(3)推定腫瘍体積推移
各群の推定腫瘍体積推移を図3に示す。対照群は、35日目(5週後)から腫瘍の発生が確認された。その後、新たな腫瘍発生が確認され、それぞれの腫瘍体積も増加を示した。低用量群は、49日目(7週後)から腫瘍の発生が確認された。その後、新たな腫瘍発生が確認され、それぞれの腫瘍体積は増加を示した。42日目の時点では、対照群と比較して有意に低い値であった。高用量群は、49日目(7週後)から腫瘍の発生が確認された。その後、新たな腫瘍発生が確認され、それぞれの腫瘍体積は増加を示した。42及び49日目に、対照群と比較して有意に低い値であった。
(4)腫瘍湿重量
各群の腫瘍湿重量を図4に示す。低用量群は、対照群とほぼ同様の湿重量であった。高用量群は、対照群と比較して有意ではないが、低い値を示した。
7.考察及び総括
低用量及び高用量群では、ともに腫瘍の発生時期が対照群と比較して遅く、高用量群は腫瘍重量についても対照群と比較して有意ではないが低い値を示した。このことから、被験物質であるセロビオースは、発癌性物質であるDMBAにより誘発される乳がんに対して、その発生を抑制することが示唆された。
(参考例1)
セロビオースについての13C NMR、H NMR及びIR測定を行った。得られたNMRスペクトル及び赤外吸収スペクトルを図5〜7に示す。
図6と上記(特許文献4)のFIGURE 4のNMRチャートとの比較から明らかなように、セロビオース特有のピークが両チャートに確認されたが、FIGURE 4のNMRチャートにおいては、さらに別の位置にピークが確認された。この結果から、図5〜7で示されているものは高純度のセロビオースであるのに対して、(特許文献4)に記載されているものはセロビオースの不純物であることが明らかとなった。
(参考例2)
セロビオースを用いて細胞生存率に関する試験を次の方法で行った。
<被験物質(セロビオース)による細胞生存性に対する作用検討試験>
各種株化細胞に対する被験物質(セロビオース)の選択的殺細胞活性の有無を検討した。
1.試験材料
(1)被験物質
名称 :セロビオース
保管方法 :冷蔵、暗所、除湿
(2)使用細胞
細胞種 :HeLa(ヒト子宮頸ガン由来細胞株)、HaCaT(ヒト由来不死化角化細胞)及びHep−G2(ヒト肝ガン由来細胞株)
(3)使用培地
培地名 :HeLa専用培地、HaCaT専用培地及びHep−G2専用培地
(4)使用試薬(XTTアッセイ用)
試薬名 :Cell Proliferation Kit(XTT)
メーカー名 :コスモ・バイオ(株)
カタログNo. :20−300−1000
2.試験方法
(細胞の解凍・継代)
(1)HeLa、HaCaT及びHep−G2を解凍し、各種専用培地で培養した。
(2)2〜3回細胞継代を行った。
(3)増殖性が回復した細胞を試験に使用した。
(細胞培養及びXTTアッセイ)
(1)HeLa、HaCaT及びHep−G2を96ウェルプレート2枚のそれぞれに1×10細胞/100μL/ウェルで24ウェル分播種した。
(2)24時間、COインキュベーター内で培養した。
(3)被験物質を0(対照)、0.001、0.01、0.1、1及び10mg/mLの6段階の濃度で添加した(N=4)。
(4)添加後、3時間COインキュベーターで培養した。
(5)培養後、細胞の写真撮影を行った。
(6)写真撮影後、各種細胞を培養した96ウェルプレート1枚の被験物質が含まれる培地を除去し、通常の培地に交換した。
(7)XTT reagentを50μL添加した。
(8)添加後、3時間COインキュベーターで培養した。
(9)450〜500nmの吸光度を測定した(ref.:630〜690nm)。
(Cell Proliferation Kit(XTT)の性能確認)
(1)HeLaを96ウェルプレート1枚に1×10細胞/100μL/ウェルで16ウェル分播種した。
(2)24時間、COインキュベーター内で培養した。
(3)デキサメタゾンを、0(対照)、10、100及び500μMの3段階の濃度で添加した(N=4)。
(4)添加後、3時間COインキュベーターで培養した。
(5)XTT reagentを50μL添加した。
(6)添加後、3時間COインキュベーターで培養した。
(7)450〜500nmの吸光度を測定した(ref.:630〜690nm)。
3.試験結果
HeLa、HaCaT及びHep−G2についてのXTTアッセイの結果を図8〜10に示す。図8〜10から明らかなように、HeLa及びHaCaTは被験物質10mg/mLの濃度においても、生存率はコントロールと比較して、ほとんど変化は認められなかった。また、Hep−G2では被験物質の高濃度群において最大約15%の生存率の減少が認められた。また、使用キットの性能確認として、HeLaを用いて、アポトーシス誘導剤であるデキサメタゾンを使用してアッセイを行った。その結果を図11に示す。デキサメタゾン500μMにおいて約40%の生存率の低下が認められたことから、キットの性能には問題ないことが確認された。
また、顕微鏡写真によれば、HeLa、HaCaT及びHep−G2について、被験物質のいずれの濃度においても、添加前と比較して、死細胞の増加、細胞の形態変化等の影響は認められなかった。
図8〜10は、本発明の目的物質である高純度のセロビオースが癌細胞に対して殺細胞作用を有していないことを示している。一方、(特許文献4)のFIGURE 9においては、化合物が癌細胞に対して殺細胞作用を有することが示されている。このことから、(特許文献4)に記載の化合物はセロビオースの不純物であり、癌細胞に対して殺細胞作用を有している成分はセロビオース以外の成分であることが判明した。すなわち、(特許文献4)にはセロビオースの抗腫瘍作用に関する技術思想は開示されていない。なお、図8〜10に示すように、高純度のセロビオースが直接的に癌細胞に対して殺細胞作用を有さないことは、上述の実施例で証明したようにセロビオースが発癌性物質により誘発される癌の発生を抑制することと矛盾しない。すなわち、本発明においては、セロビオースが直接細胞に作用するのではなく、生体の免疫系に作用し、免疫を高めることによって結果的に抗腫瘍作用を示すものと考えられる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (4)

  1. セロビオースを有効成分とする乳癌の腫瘍の発生又は成長を抑制するための医薬。
  2. 殺細胞作用を有しない請求項1に記載の医薬。
  3. セロビオースが、綿花の酵素分解である請求項1又は2に記載の医薬。
  4. 乳癌が、7,12−ジメチルベンゾ[a]アントラセンにより誘発されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の医薬。
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