本発明の一実施形態に係るパチンコ機について図1〜図15を用いて説明する。
図1に示す本実施形態に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に開き戸状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2の前面に開き戸状に開閉自在に取り付けられたガラス扉3と、前面枠2の下側に開き戸状に開閉自在に設けられ、遊技球を収容する受皿5を上部に有する前面ボード4と、この前面ボード4の前面の右側の個所に突出して設けられたハンドル6とを備えている。ガラス扉3の中央には開口部3aが形成されており、この開口部3aはガラス扉3の背面側からガラス板3bにより塞がれている。また、ガラス扉3の左上部および右上部のそれぞれには、スピーカ80が1個ずつ取り付けられている。
図2に示すように、前面枠2の内側には遊技盤30が収容されている。この遊技盤30の前面には、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33とによって略円形状に区画形成された遊技領域31が設けられている。この遊技領域31はガラス扉3のガラス板3bを通じて目視可能である。前面枠2の下部には、その遊技領域31に遊技球を発射するための発射装置10が設けられている。遊技領域31に発射された遊技球は遊技領域31を流下することになる。
遊技領域31内の右下部には、特別図柄表示装置40と普通図柄表示装置41とが設けられている。遊技領域31の略中央には、視認窓50aおよびステージ51が設けられている。ステージ51の中央部の下方には、始動口60および電動チューリップ61がこの順番で上下に並んで設けられている。遊技領域31内の左部にはスルーチャッカ62が設けられている。遊技領域31内の中央下部にはアタッカー装置63が設けられている。遊技領域31内の右下部および左下部のそれぞれには、一般入賞口64が2個ずつ設けられている。遊技領域の31内の最下部にはアウト口65が設けられている。遊技領域21内には遊技釘や風車も設けられているが、図示省略した。
始動口60は遊技球を受入可能な開口であり、特別図柄に係る電子抽選の契機を生じさせるものである。ステージ51は、始動口60と視認窓50aとの間の領域で左右方向に延び、前方向において下る階段状に形成された構造部である。このステージ51に流下した遊技球は、左右方向に転動しながら一時的に滞在する。ステージ36の中央部には前方向に下り傾斜の溝が形成されており、この溝の真下の位置には始動口60が位置する。その溝から前方に落下した遊技球は、高い確率で始動口60へと導かれるようになっている。スルーチャッカ62は遊技球が通過可能な環状構造をなし、普通図柄に係る電子抽選の契機を生じさせるものである。電動チューリップ61は、左右方向において対向して位置する1対の羽根部材を備えている。1対の羽根部材の間には、図示してない始動口が設けられている。それら1対の羽根部材は遊技盤3の盤面(前面)に直交する軸を中心にした回動が可能に設けられており、ソレノイドにより駆動される。このソレノイドに電力が供給されると、それら1対の羽根部材は互いに離れる方向に回動して始動口の入口を拡大し、かつ遊技球をその始動口に導き入れる姿勢をなすようになっている。電動チューリップ61の始動口も、前出の始動口60と同様に特別図柄に係る電子抽選の契機を生じさせるものである。アタッカー装置63は、遊技盤3の盤面に対して平行な軸を中心に回動可能に設けられた可動板を備えており、この可動板により大入賞口63aを塞いでいる。可動板はソレノイドにより駆動されるものであり、このソレノイドに電力が供給されると、可動板が前方向に突出した姿勢をなして大入賞口63aを開放するようになっている。可動板に受け止められた遊技球は大入賞口63aに導かれやすくなっている。一般入賞口64は遊技球を受入可能な開口である。アウト口65は、始動口60、電動チューリップ61の始動口、大入賞口63a、一般入賞口64のいずれにも入らなかった遊技球を回収するための開口である。
特別図柄表示装置40は、始動口60または電動チューリップ61の始動口(図示してない)への遊技球の入賞を契機に主制御処理部100(後述)で行われた電子抽選の結果に相当する特別図柄を表示する特別図柄表示手段であり、例えば複数のセグメントのそれぞれの選択的な発光により種々の図柄を表示可能なセグメント表示器からなる。この特別図柄表示装置40は、特別図柄が変動した後に停止するという態様の表示を行うよう制御される。変動後に停止した特別図柄、すなわち停止図柄が、特別図柄に係る電子抽選の結果(種々の大当たりまたはハズレ)に対応している。
普通図柄表示装置41は、スルーチャッカ62を遊技球が通過したことを契機に主制御処理部100で行われた電子抽選の結果に相当する普通図柄を表示する手段である。この普通図柄表示装置41は、例えば2個のLEDランプにより図柄を表示するものであり、普通図柄が変動した後に停止するという態様の表示を行うよう制御される。変動後に停止した普通図柄(停止図柄)が電子抽選の結果(当たりまたはハズレ)に対応している。当たりに相当する普通図柄の停止図柄は2個のLEDランプのうち予め定められた一方のみの点灯で示され、ハズレに相当する普通図柄の停止図柄は他方のみの点灯で示される。
前出の視認窓50a(図2参照)の背面側には、図4に示す演出表示装置50が設けられている。この演出表示装置50は液晶ディスプレーからなり、特別図柄に係る電子抽選の結果(大当たりまたはハズレ)に相当するダミー図柄(数字や絵柄)を表示するよう制御されるものである。そのダミー図柄を含む画面は、視認窓50aを通じて目視可能である。ダミー図柄は変動した後に停止するという態様で表示されるようになっている。ダミー図柄の表示開始から表示終了は、特別図柄の表示開始から表示終了と同期して行われる。なお、図2に示すように、前出の特別図柄表示装置40は、特別図柄とダミー図柄とが遊技者の視界に同時に入らないよう遊技盤3の右下部に離れて設けられている。
演出表示装置50は、後述の保留球乱数記憶手段114により記憶されている特別図柄用保留球乱数の個数を表示する保留表示手段を兼ねている。特別図柄用保留球乱数の個数の表示は、画面の下部に設定された保留個数表示領域51においてなされる。この保留個数表示領域51は、保留球乱数記憶手段114による特別図柄用保留球乱数の上限個数と同数、すなわち4個の円形領域51a〜51dが左右方向に並んで構成されたものである。
保留球乱数記憶手段114により記憶されている特別図柄用保留球乱数が0個の場合、円形領域51a〜51dが背景色と同色になる。特別図柄用保留球乱数が4個の場合、図5に黒く塗り潰して示すように、円形領域51a〜51dの全てが画面の背景色と異なる所定の色に発色する。円形領域51a〜51dはこの順番で、4個のうちの最も先に記憶された1個目の特別図柄用保留球乱数、2個目の特別図柄用保留球乱数、3個目の特別図柄用保留球乱数、4個目の特別図柄用保留球乱数に対応付けられている。したがって、特別図柄用保留球乱数が3個の場合には円形領域51a〜51dのうち円形領域51a,51b,51cの3個が所定の色で発色し、特別図柄用保留球乱数が2個の場合には円形領域51a〜51dのうち円形領域51a,51bの2個が所定の色で発色し、特別図柄用保留球乱数が1個の場合には円形領域51a〜51dのうち円形領域51aのみが所定の色で発色する。
パチンコ機Pでは、特別図柄表示装置40、普通図柄表示装置41、演出表示装置50とは別に、遊技者の視覚に作用するよう作動する視覚的報知手段としての回転灯70を、演出表示装置50の上部前方に備えている。この回転灯70は、図5に示すように、発光素子71と、この発光素子71の周囲を回転して発光素子71の光を反射する反射板72と、透光性および光拡散性を有する材料から形成されて発光素子71および反射板72を覆う椀状のカバー部材73とを備えている。反射板72は図示してないモータにより駆動される。このモータは、回転速度、加速度レートおよび回転角度などのパラメータを1フレームとして制御されるものである。
図3に示すように、パチンコ機Pはその背面に、主制御処理部100と、副制御処理部としての演出制御処理部200、特別図柄制御処理部300、普通図柄制御処理部400、ランプ制御処理部500、払出制御処理部600および発射制御処理部700と、賞球払出装置601とを備えている。主制御処理部100、演出制御処理部200、特別図柄制御処理部300、普通図柄制御処理部400、ランプ制御処理部500および払出制御処理部600はいずれも、制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、制御プログラムおよびデータを書き換え不能に格納するROM(Read Only Memory)と、CPUにより生成された処理情報が一時記憶されるRAM(Random Access Memory)とを備えたものであり、ROMに格納された制御プログラムをCPUが読み込んで実行するものである。これらによって、パチンコ機Pの制御に係る種々の処理が行われるようになっている。
図5に示すように、パチンコ機Pは、始動口検知センサ90、スルーチャッカ検知センサ91、大入賞口検知センサ92、一般入賞口検知センサ93を備えている。これらの検知センサ90〜94はいずれも磁気センサからなる。始動口検知センサ90は始動口60の内部に設けられており、始動口60への遊技球の入賞を検知して始動口入賞検知信号(電気信号)を出力するものである。スルーチャッカ検知センサ91はスルーチャッカ62の内部に設けられており、遊技球がスルーチャッカ62を通過したことを検知して通過検知信号(電気信号)を出力するものである。大入賞口検知センサ92は大入賞口63aの内部に設けられており、大入賞口63aへの遊技球の入賞を検知して大入賞口入賞検知信号(電気信号)を出力するものである。一般入賞口検知センサ93は、一般入賞口64の内部に設けられており、一般入賞口64への遊技球の入賞を検知して一般入賞口入賞検知信号(電気信号)を出力する。なお、図5では、始動口60とは別の電動チューリップ61の始動口にも始動口検知センサが設けられているがその図示を省略し、以下では、それら2つの始動口検知センサをまとめて始動口検知センサ90等という。また、4個の一般入賞口64のそれぞれに対して一般入賞口検知センサ93が設けられているのだが、図の簡略化のため1個のみを描いた。
始動口検知センサ90、スルーチャッカ検知センサ91、大入賞口検知センサ92、一般入賞口検知センサ93、遊技球払出検知センサ94のそれぞれから出力された始動口入賞検知信号、通過検知信号、大入賞口入賞検知信号、一般入賞口入賞検知信号のそれぞれの入力を契機に、主制御処理部100はパチンコ機Pの制御に係る各種処理を実行するようになっている。それら各種処理の実行のために、主制御処理部100は、ROMに格納された制御プログラムおよびデータにより設定された手段、すなわち、特別図柄用電子抽選手段110、特別図柄決定手段120、変動パターンコマンド抽選手段130、大当たり遊技制御手段140、先読みコマンド作成手段150、普通図柄用電子抽選手段160および電動チューリップ制御手段170を備えている。これらの手段について次に説明する。
特別図柄用電子抽選手段110は、始動口60または電動チューリップ61の始動口への遊技球の入賞を契機に特別図柄に係る電子抽選を行うものであり、特別図柄用乱数発生手段111と、特別図柄用乱数取得手段112と、特別図柄用乱数当否判定手段113と、保留球乱数記憶手段114とを備えている。
特別図柄用乱数発生手段111は、所定周期(例えば2ミリ秒毎)でループカウンタの値を1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数である特別図柄用乱数を発生させるものである。特別図柄用乱数取得手段112は、始動口60または電動チューリップ61の始動口に遊技球が入賞したことを契機として、すなわち、始動口検知センサ90等からの始動口入賞検知信号を主制御処理部100が入力したタイミングで、特別図柄用乱数を1つ取得(ラッチ)するものである。
特別図柄用乱数当否判定手段113は、特別図柄用乱数取得手段112により取得された特別図柄用乱数(特別図柄用保留球乱数を含む)が大当たりであるかどうかの当否の判定を、その特別図柄用乱数に基づき遊技の開始にあたって行うものである。その当否の判定は、主制御処理部100のROMに予め格納された特別図柄用当否判定テーブル113a中の複数種類の大当たりのそれぞれに対応付けられた少数の数値、および、ハズレに対応付けられた多数の数値のうちのいずれに、特別図柄用乱数が合致するかどうかを照合することによる。
保留球乱数記憶手段114は、特別図柄用乱数取得手段112により新たな特別図柄用乱数が取得されたとき、この新たな特別図柄用乱数よりも先に取得された特別図柄用乱数に基づく特別図柄の変動が行われている最中である場合に、その新たな特別図柄用乱数を特別図柄用保留球乱数として、2個以上の上限個数(例えば4個)まで記憶するものである。その特別図柄用保留球乱数の記憶には、主制御処理部100のRAMが利用される。
保留球乱数記憶手段114に複数の特別図柄用保留球乱数が記憶されている場合、特別図柄用乱数当否判定手段113は、最も先に記憶されている特別図柄用保留球乱数から順番に当否判定を行うようになっている。保留球乱数記憶手段114により記憶された特別図柄用乱数は、その特別図柄用乱数の遊技の開始にあたって特別図柄用乱数当否判定手段113により当否判定が終了したときに、消去されるようになっている。
特別図柄決定手段120は、特別図柄用乱数当否判定手段113による当否判定の結果に相応する特別図柄の停止図柄を決定するものである。
変動パターンコマンド抽選手段130は、図7に示すように、変動パターン用乱数発生手段131と、変動パターン用乱数取得手段132と、変動パターンコマンド決定手段133とを備えている。変動パターン用乱数発生手段131は、所定周期(例えば2ミリ秒毎)でループカウンタの値を0〜63の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数である変動パターン用乱数を発生させるものである。変動パターン用乱数取得手段132は、始動口60または電動チューリップ61の始動口に遊技球が入賞したことを契機として、すなわち、始動口検知センサ90等からの始動口入賞検知信号を主制御処理部100が入力したタイミングで、さらに言い換えると、特別図柄用乱数取得手段112による特別図柄用乱数の取得と同じタイミングで、変動パターン用乱数を1つ取得(ラッチ)するものである。変動パターンコマンド決定手段133は、変動パターン用乱数取得手段132により取得された変動パターン用乱数と、ROMに予め格納されているコマンド参照テーブル134とに基づき、変動パターンコマンドを決定するものである。変動パターンコマンドは、特別図柄の変動パターンの種類と変動時間の種類とを含む情報に相当する電気信号であり、演出制御処理部200および特別図柄制御処理部300に与えられるようになっている。
コマンド参照テーブル134は、図9に示すように、変動パターン用乱数として使用される全ての数値(0〜63)と、複数の変動パターンコマンドのそれぞれに割り当てられたNo.(No.1〜No.127)との対応関係を規定したものであり、特別図柄用乱数に対する当否判定の結果が大当たりのときに使用される大当たり時参照テーブル134aと、特別図柄用乱数に対する当否判定の結果がハズレのときに使用されるハズレ時参照テーブル134bとから構成されている。
大当たり時参照テーブル134aにおいては、変動パターン用乱数0〜63のそれぞれと、No.1〜No.64の変動パターンコマンドのそれぞれとの対応関係が規定されている。つまり、変動パターンコマンド抽選手段130は、特別図柄用乱数に対する当否判定の結果が大当たりのときには、No.1〜No.64の変動パターンコマンドのいずれか1個を、特別図柄表示装置40および演出表示装置50に与える変動パターンコマンドとして決定するようになっている。以下では、No.1〜No.64の変動パターンコマンドをまとめて大当たり変動パターンコマンドと呼ぶ。
ハズレ時参照テーブル134bにおいては、変動パターン用乱数0〜63のそれぞれと、No.65〜No.127の変動パターンコマンドのそれぞれとの対応関係が規定されている。つまり、変動パターンコマンド抽選手段130は、特別図柄用乱数に対する当否判定の結果がハズレのときには、No.65〜No.127の変動パターンコマンドのいずれか1個を、演出制御処理部200および特別図柄制御処理部300に与える変動パターンコマンドとして決定するようになっている。以下では、No.65〜No.127の変動パターンコマンドをまとめてハズレ変動パターンコマンドと呼ぶ。
大当たり遊技制御手段140は、特別図柄に係る電子抽選の結果が大当たりとなり、この大当たりを示す特別図柄の表示が終了した後に、大当たりの種類に対応付けられた所定のラウンド数だけ可動板が大入賞口63aを開放するようアタッカー装置63のソレノイドを制御するものである。遊技球は可動板が開いたときのみ大入賞口63aに入賞可能になる。大入賞口63aに遊技球が入賞すると、始動口60等や一般入賞口64への入賞よりも多くの賞球が払い出されるようになっているとともに、大入賞口63aには始動口60等や一般入賞口64よりも多くの遊技球を入賞させやすい。つまり、アタッカー装置63の可動板を所定のラウンド数だけ開放する状態は、遊技者に対し通常の遊技よりも有利な大当たり遊技を提供している状態である。
先読みコマンド作成手段150は、保留球乱数記憶手段114により新たな特別図柄用保留球乱数が記憶されたときに、その新たな特別図柄用保留球乱数が大当たりかどうかの判定を、演出制御処理部200の先読み判定手段240に実行させるための先読みコマンドを作成するものである。具体的には、その新たな特別図柄用保留球乱数が保留球乱数記憶手段114により記憶された時点で、その新たな保留球乱数に対して大当たりかどうかの当否判定を、特別図柄用乱数当否判定手段113による当否判定とは別に行い、その当否判定の結果と、その新たな特別図柄用保留球乱数とともに発生した変動パターン用乱数に基づき、前述のコマンド参照テーブル134(図9に示す)とを用いて、変動パターンコマンドと同じものからなる先読みコマンドを作成するものである。先読みコマンドに含まれる情報は大当たりかどうかを判定できる情報のみであればよいのだが、本実施形態ではコマンド参照テーブルの流用により先読みコマンドが作成されるようになっている。以下では、変動パターンコマンドと同じものからなる先読みコマンドと、遊技の開始にあたって作成された変動パターンコマンドとを明確に区別するため、前者は「先読みコマンド」と呼び、後者は「正規の」を冠させて呼ぶ。
普通図柄用電子抽選手段160は、所定周期(例えば2ミリ秒毎)でループカウンタの値を1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数である普通図柄用乱数を生成する普通図柄用乱数発生手段(図示してない)と、スルーチャッカ62を遊技球が通過したことを契機に、すなわち、スルーチャッカ検知センサ91からの通過検知信号を主制御処理部100が入力したタイミングで、普通図柄用乱数を1つ取得(ラッチ)する普通図柄用乱数取得手段(図示してない)と、普通図柄用乱数取得手段により取得された普通図柄用乱数が当たりかどうかの当否の判定を行う普通図柄用当否判定手段(図示してない)と、普通図柄用乱数取得手段により新たな普通図柄用乱数が取得されたとき、その新たな普通図柄用乱数よりも先に取得された普通図柄用乱数に基づく普通図柄の変動が行われている最中である場合に、その新たな普通図柄用乱数を保留球乱数として、2個以上の上限個数(例えば4個)まで記憶する普通図柄用保留球乱数記憶手段(図示してない)とを備えている。普通図柄用保留球乱数の記憶にも、主制御処理部100のRAMが利用される。
電動チューリップ制御手段170は、普通図柄電子抽選手段160による電子抽選で当選したときに、電動チューリップ61のソレノイドを制御して所定回数だけ羽根部材を開閉させるものである。
このように構成された主制御処理部100は、副制御処理部である演出制御処理部200、特別図柄制御処理部300、普通図柄制御処理部400、ランプ制御処理部500および払出制御処理部600に対し、正規の変動パターンコマンド、先読みコマンドなどの電気信号を与えるようになっている。それらの副制御処理部について次に説明する。
演出制御処理部200は、正規の変動パターンコマンドおよび先読みコマンドに基づき処理を実行するものであり、図8に示すように、演出態様決定手段210と、演出表示制御手段220と、保留表示制御手段230と、先読み判定手段240と、先読み抽選手段250と、予告抽選手段260と、視覚的予告制御手段270と、聴覚的予告制御手段280とを備えている。
演出態様決定手段210は演出態様を、正規の変動パターンコマンドに基づき演出テーブル211を用いて演出を決定するものである。演出テーブル211は、図10に示すように、正規の変動パターンコマンドのNo.と、複数種類の演出態様との対応関係を規定したものであり、大当たり用演出テーブル211aと、ハズレ用演出テーブル211bとから構成されている。大当たり用演出テーブル211aにおいて、演出態様の種類である「ロングリーチA」「ロングリーチB」、「スーパーリーチA」、「超スーパーリーチA」、「プレミアリーチA」、「プレミアリーチB」、「プレミアリーチC」等のそれぞれは、大当たり時に選択される大当たり変動パターンコマンド(No.1〜No.64)のそれぞれに対応付けられている。ハズレ用演出テーブル211bにおいて、演出態様の種類である「リーチなしA」〜「リーチなしG」、「ロングリーチA」、「スーパーリーチA」、「スーパーリーチB」等のそれぞれは、ハズレ時に選択されるハズレ変動パターンコマンド(No.65〜No.127)のそれぞれに対応付けられている。
図8に戻り、演出表示制御手段220は、演出態様決定手段210により決定された演出態様のダミー図柄が表示されるよう演出表示装置50を制御するとともに、画面に対応した音声や効果音が発されるようスピーカ80を制御するものである。
先読み判定手段240は、保留球乱数記憶手段114に記憶されている特別図柄用保留球乱数が大当たりかどうかを、その特別図柄用保留球乱数に基づく遊技の開始前に判定するものである。具体的には、演出制御処理部200に入力された先読みコマンドが、先読みコマンド作成手段150によって大当たりと判定された特別図柄用保留球乱数に基づいて作成されたものかどうか、すなわち大当たり変動パターンコマンドかどうかを判定し、これによって、保留球乱数記憶手段114に記憶されている特別図柄用保留球乱数が大当たりかどうかを、その特別図柄用保留球乱数に基づく遊技の開始前に判定する。保留に判定するものである。以下、先読み判定手段240による判定を「先読み判定」と呼ぶ。
先読み判定は、先読み大当たり判定テーブル241を用いて行われる。この先読み大当たり判定テーブルは、先読み大当たりテーブル261aと先読みハズレテーブル261bとから構成されている。先読み大当たりテーブル261aは、先読みコマンドがNo.1〜No.64の大当たり変動パターンコマンドと同じものである場合に、この先読みコマンドに対応する特別図柄用保留球乱数を大当たりと判定することに規定したものである。先読みハズレテーブル261bは、先読みコマンドがNo.65〜No.127のハズレ変動パターンコマンドと同じものである場合に、この先読みコマンドに対応する特別図柄用保留球乱数をハズレと判定することに規定したものである。
先読み判定手段240は、前述の構成から分かるように、保留球乱数記憶手段114により記憶されている特別図柄用保留球乱数が大当たりであるかどうかを、その特別図柄用保留球乱数に基づく遊技の開始前に、先読みコマンド(変動パターンコマンドと同じもの)に基づき間接的に判定するものである。
先読み抽選手段250は、主制御処理部100からの先読みコマンドを演出制御処理部200が入力したときに、先読み判定を行うかどうかを抽選するものであり、図12に示すように、先読み用乱数発生手段271と、先読み用乱数取得手段272と、先読み用乱数当否判定手段273とを備えている。先読み用乱数発生手段271は、所定周期(例えば2ミリ秒毎)でループカウンタの値を1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数である先読み用乱数を発生させるものである。先読み用乱数取得手段272は、主制御処理部100からの先読みコマンドを演出制御処理部200が入力したことを契機に、先読み用乱数を1つ取得(ラッチ)するものである。先読み用乱数当否判定手段273は、先読み用乱数取得手段272により取得された先読み用乱数が当たりであるかどうかの当否の判定を行うものである。この当否の判定の際は、演出制御処理部200のROMに予め格納された先読み用乱数当否判定テーブル273aが用いられる。この先読み用乱数当否判定テーブル273aは、先読み用乱数発生手段271が発生させ得る先読み用乱数の種類(ループカウンタで使用される数値の種類)の一部と当たりとの対応関係、および、その一部を除いた残りの先読み用乱数の種類とハズレと対応関係を規定したものであり、先読み用乱数取得手段272により取得された先読み用乱数が当たりとハズレのどちらに対応付けられた数値に合致するかが照合されることによって先読み用乱数の当否が判定される。以下では、先読み抽選手段250による抽選を「先読み抽選」と呼ぶ。
予告抽選手段260は、先読み判定の結果が大当たりである場合に、その大当たりの判定結果を報知するかどうかを抽選するものであり、図13に示すように、予告用乱数発生手段281と、予告用乱数取得手段282と、予告用乱数当否判定手段283と、予告当選・非当選フラグ記憶手段284とを備えている。予告用乱数発生手段281は、所定周期(例えば2ミリ秒毎)でループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数である予告用乱数を発生させるものである。予告用乱数取得手段282は、前出の先読み判定の結果が大当たりとなったことを契機に、予告用乱数を1つ取得(ラッチ)するものである。予告用乱数当否判定手段283は、予告用乱数取得手段282により取得された予告用乱数が当たりであるかどうかの当否の判定を行うものである。この当否の判定の際は、演出制御処理部200のROMに予め格納された予告用乱数当否判定テーブル283aが用いられる。この予告用乱数当否判定テーブル283aは、予告用乱数発生手段281が発生させ得る先読み用乱数の種類(ループカウンタで使用される数値の種類)の一部と当たりとの対応関係、および、その一部を除いた残りの予告用乱数の種類とハズレと対応関係を規定したものであり、予告用乱数取得手段282により取得された予告用乱数が当たりとハズレのどちらに対応付けられた数値に合致するかが照合されることによって、予告当選乱数の当否が判定される。予告当選・非当選フラグ記憶手段284は、予告用乱数に対する当否判定の結果に相当するフラグ、すなわち当選を示す予告当選フラグと、非当選を示す予告非当選フラグとを合計で、特別図柄用保留球乱数の上限個数から1個減じた個数、すなわち3個まで記憶するものである。以下では予告抽選手段260による抽選を「予告抽選」と呼ぶ。
予告当選フラグまたは予告非当選フラグが予告当選・非当選フラグ記憶手段284から消去されるタイミングは、その予告当選フラグまたは予告非当選フラグに対応する特別図柄用保留球乱数の1個先の特別図柄用保留球乱数に基づく正規の変動パターンコマンド(先読み当選乱数に対応する変動パターンコマンドと同じもの)を演出制御処理部200が入力した後であって、その予告当選フラグまたは予告非当選フラグに対応する特別図柄用保留球乱数に基づく正規の変動パターンコマンドを演出制御処理部200が入力する前に設定されている。なお、予告当選フラグまたは予告非当選フラグに対応する特別図柄用保留球乱数とは、予告当選フラグまたは予告非当選フラグが作成されるまでの処理、すなわち、はじめに先読みコマンド作成手段150により新たな特別図柄用保留球乱数とコマンド参照テーブル134とに基づき先読みコマンドが作成され、次に、この先読みコマンドを演出制御処理部200が入力したことを契機に予告用乱数取得手段282により予告用乱数が取得され、次に、この予告用乱数が予告用乱数当否判定手段283によって当たりまたはハズレと判定されて、予告当選フラグまたは予告非当選フラグが作成されて予告当選・非当選フラグ記憶手段284により記憶される、という処理の流れを逆にたどれば分かるように、予告当選フラグまたは予告非当選フラグの起源となった特別図柄用保留球乱数のことである。以下では、予告当選フラグに対応する特別図柄用保留球乱数、すなわち予告抽選で当選した特別図柄用保留球乱数を予告当選保留球乱数と呼び、予告非当選フラグに対応する特別図柄用保留球乱数、すなわち先読み判定で大当たりと判定され、かつ、予告抽選で非当選となった特別図柄用保留球乱数を予告非当選乱数と呼ぶ。
予告抽選手段260はさらに、保留表示制御手段230によって特別図柄用保留球乱数の表示個数が3個以上になっている状態であって、すなわち、保留球乱数記憶手段114により3個以上の特別図柄用保留球乱数が記憶されている状態であって、それら3個以上の特別図柄用保留球乱数中の3個目以降の特別図柄用保留球乱数が予告非当選保留球乱数である場合に、この予告非当保留球乱数に対して当選するまで再抽選(予告抽選)を行うようになっている。この再抽選は、予告非当選保留球乱数よりも先に保留球乱数記憶手段114により記憶されている保留球乱数に基づく特別図柄の表示の開始から終了までの期間内で行われるようになっている。本実施形態においては、4個目の特別図柄用保留球乱数が予告非当選保留球乱数となった場合、その4個目の特別図柄用保留球乱数が3個目の特別図柄用保留球乱数になるときに、予告抽選手段260は再度(2回目)の抽選を行い、この抽選でも当選しなかった場合には、3個目から2個目の特別図柄用保留球乱数になるときに再度(3回目)の抽選が行われる、というように、予告抽選は、4個目の特別図柄用保留球乱数が先読み判定で大当たりと判定された場合、4個目のときを1回目として、最大3回行われるようになっている。
なお、先読み抽選、先読み判定、および、予告抽選をこの順番で行う処理は、2個目以降の特別図柄用保留球乱数に基づいて作成された先読みコマンドの入力を契機として、すなわち、保留球乱数記憶手段114により2個目以降の特別図柄用保留球乱数が記憶されたことを契機として開始され、その特別図柄用保留球乱数に基づく遊技の開始前に終了するようになっている。
保留表示制御手段230は、演出表示装置50により表示された画面のうちの保留個数表示領域51における特別図柄用保留球乱数の表示個数を、主制御処理部100の保留球乱数記憶手段114により記憶されている特別図柄用保留球乱数の増減に連動するよう演出表示装置50を制御するものである。具体的には、演出制御処理部200が先読みコマンドを入力したときに、保留個数表示領域51中の円形領域51a〜51dのうち所定の色で発色していない最も左側に位置する円形領域を、その所定の色で発色させるようになっている。また、演出制御処理部200が変動パターンコマンドを入力したときに、円形領域51a〜51dのうち所定の色で発色した最も右側に位置する円形領域を、背景色と同じ色に変化させるようになっている。すなわち、特別図柄用保留球乱数に基づく特別図柄の変動が開始されるときに、保留球乱数の表示個数を減少させるようになっている。
視覚的予告制御手段270は、回転灯70の発光素子71と、反射板72を駆動するモータ(図示してない)とを制御するものである。具体的には、予告当選・非当選フラグ記憶手段284に予告当選フラグが記憶されている状態で、演出制御処理部200が正規の変動パターンコマンドを入力したときに、回転灯70を瞬間的に作動させる、すなわち発光素子71の点灯と反射板72の所定角度(360°以下の範囲)の回転とを瞬間的に行わせるようになっている。つまり、視覚的予告制御手段270は、2個目以降の特別図柄用保留球乱数が予告当選保留球乱数である場合、その予告当選保留球乱数よりも先に保留球乱数記憶手段114により記憶されている特別図柄用保留球乱数に基づく特別図柄の変動の開始と同期させて、回転灯70を瞬間的に作動させるようになっている。なお、回転灯70の瞬間的な作動とは、瞬きしたら見逃してしまうような時間(例えば1/30秒)で行われることである。以下では回転灯70の瞬間的な作動による先読み予告演出を「瞬き予告演出」と呼ぶ。
視覚的予告制御手段270はさらに、正規の大当たり変動パターンコマンドを演出制御処理部200が入力したときに、発光素子71を点灯させた状態で反射板72を所定回数回転させるようになっている。以下では、回転灯70の発光素子71を点灯させた状態で反射板72を所定回数回転させることによる予告演出を「回転予告演出」と呼ぶ。なお、視覚的予告制御手段270は、予告当選・非当選フラグ記憶手段284により予告当選フラグが記憶されている状態で正規の大当たり変動パターンコマンドを演出制御処理部200が入力した場合には、瞬き演出よりも回転予告演出を優先して回転灯70に行わせさるようになっている。
聴覚的予告制御手段280は、演出表示制御手段220とは別にスピーカ80を制御するものであり、正規の大当たり変動パターンコマンドを演出制御処理部200が入力した場合に、金切り音からなる効果音(擬音語で表現すると「キュイン」)が発せられるようスピーカ80を制御するものである。つまり、スピーカ80は、金切り音からなる効果音を発する聴覚的報知手段として利用されている。
視覚的予告制御手段270による回転予告演出と、聴覚的予告制御手段280により効果音「キュイン」を発報する予告演出は、先読みコマンドに基づいて行われることではなく、正規の大当たり変動パターンコマンドに基づいて行われることであり、したがって、それらの予告演出は、先読み予告演出ではない。
図6に戻り、特別図柄制御処理部300は、主制御処理部100の特別図柄決定部120により決定された特別図柄のコマンドと正規の変動パターンコマンドとに基づいて特別図柄表示装置40を制御し、この特別図柄表示装置40に特別図柄を、変動した後に停止するという態様で表示させるものである。
普通図柄制御処理部400は、普通図柄用電子抽選手段160による電子抽選の結果に応じて作成された正規の変動パターンコマンド(特別図柄に係る正規の変動パターンコマンドとは別のもの)を与えられ、この正規の変動パターンコマンドに基づいて普通図柄表示装置41を制御し、この普通図柄表示装置41に普通図柄を、変動した後に停止するという態様で表示させるものである。
ランプ制御処理部500は、主制御処理部100からのコマンドを受けて各種ランプや電飾の点灯制御を行うものである。
払出制御処理部600は、球貸信号制御装置602からの球貸コマンド(電気信号)に従って所定個数の遊技球が受皿5に貸し出されるよう賞球払出装置601を制御する他、主制御処理部100からの賞球コマンド(電気信号)に従って受皿5に遊技球が払いだされるよう賞球払出装置601を制御するものである。賞球払出装置601は、遊技球を1個ずつ保持する切欠きが形成されたスプロケット(図示してない)と、このスプロケットを駆動するモータ(図示してない)とを備えている。始動口検知センサ90等により遊技球が検知された場合、一般入賞口検知センサ93により遊技球が検知された場合、および、大入賞口検知センサ92により遊技球が検知された場合に、払出制御処理部600は主制御処理部100からの賞球コマンドを受け、それぞれの場合に予め対応付けられた個数の遊技球が払い出されるようモータの回転を制御するようになっている。
発射制御処理部700はハンドル6からの発射強度指令信号(電気信号)に基づいて発射装置10を制御するものである。発射強度指令信号は、ハンドル6に内蔵されたロータリボリューム(図示してない)により生成されるものであり、ハンドル6の初期位置からの回動角度に相当する電気信号である。受皿5から発射装置10に対しては、遊技球が1個ずつ供給されるようになっており、発射装置10はハンドル6の回動角度に応じた発射強度で遊技球を打撃し、遊技領域31に発射する。なお、この発射制御処理部700は払出制御処理部600と接続されている。払出制御処理部600は、この払出制御処理部600が球貸信号制御装置602を介してCRユニット603と接続されていない場合に、発射停止信号を発射制御処理部700に与えて、遊技球の発射を停止させるようになっている。
このように構成されたパチンコ機Pの動作について図14−1〜図14−5を用いて説明する。
図14−1に示すように、遊技領域31に打ち出された遊技球が始動口60等に入賞すると、特別図柄用乱数取得手段112は、特別図柄用乱数発生手段111により発生された新たな特別図柄用乱数と、変動パターン用乱数発生手段131により発生された新たな変動パターン用乱数を取得する(ステップS1でYES→ステップS2)。このとき、新たな特別図柄用乱数よりも前に取得された特別図柄用乱数に基づく特別図柄が変動中であり(ステップS3でYES)、保留球乱数記憶手段114に記憶されている特別図柄用保留球乱数が3個以下の場合(ステップS4でYES)、保留球乱数記憶手段114は、その新たな特別図柄用乱数を、新たな特別図柄用保留球乱数として記憶する(ステップS4でYES→ステップS5)。
新たな特別図柄用保留球乱数が記憶されたとき、先読みコマンド作成手段150は、その新たな特別図柄用保留球乱数に基づき先読みコマンド(保留表示個数増加コマンド)を作成する(ステップS6)。この先読みコマンドは、演出制御処理部200に特別図柄用保留球乱数の表示個数を増加させることを指令する保留表示個数増加コマンドを兼ねており、演出制御処理部200に入力されると、この演出制御処理部200の保留表示制御手段230は、演出表示装置50の画面上の保留個数表示領域51における4個の円形領域51a〜51dのうち所定の色で発色していない最も左側の円形領域を発色させて、特別図柄用保留球乱数の表示個数を増やす(ステップS7)。
新たな特別図柄用保留球乱数が保留球乱数記憶手段114に記憶されることで、保留球乱数記憶手段114により記憶されている特別図柄用保留球乱数が2個以上となった場合、パチンコ機Pは図14−2に示す動作を行うことになる(ステップS8でYES→「A」)。
なお、ステップS2で新たな特別図柄用乱数を取得したときに特別図柄が変動中でない場合、また、新たな特別図柄用保留球乱数が1個目の特別図柄用保留球乱数である場合には、図14−4に示す動作を行う(ステップS3でNO→「C」、ステップS8でNO→「C」)。
図14−2に示す動作では、はじめに、演出制御処理部200の先読み抽選手段250が先読み抽選を行う、すなわち、新たな特別図柄用保留球乱数の当否判定を行うかどうかを抽選する(ステップS9)。この先読み抽選に当選すると、先読み判定手段240は先読み判定を行う、すなわち、先読みコマンド(大当たり変動パターンコマンドまたはハズレ変動パターンコマンドと同じもの)に基づいて新たな特別図柄用保留球乱数が大当たりかどうかを判定する(ステップS10でYES→ステップS11)。この先読み判定の結果が大当たりの場合、予告抽選手段260は予告抽選を行う、すなわち、その大当たりの判定結果を瞬き予告演出(先読み予告選出)により報知するかどうかを抽選する(ステップS12でYES→ステップS13)。この予告抽選に当選するとパチンコ機Pは図14−3に示す動作を行う(ステップS14でYES→「B」)。
先読み抽選で当選しなかった場合、先読み判定の結果がハズレとなった場合、および、予告抽選で当選しなかった場合のいずれの場合も、パチンコ機Pは図14−4に示す動作を行う(ステップS10でNO→「C」、ステップS12でNO→「C」、ステップS14でNO→「C」)。
図14−3に示す動作では、はじめに、保留球乱数記憶手段114により最も先に記憶されている特別図柄用保留球乱数の当否判定を、特別図柄用乱数当否判定手段113が行う(ステップS15)、次にこの当否判定の結果に基づき、特別図柄決定手段120が特別図柄の停止図柄、すなわち大当たりを示す大当たり図柄、またはハズレを示すハズレ図柄を決定する(ステップS16)。次に、変動パターンコマンド抽選手段130は、当否判定の結果(大当たりまたはハズレ)と変動パターン用乱数とに基づき、コマンド参照テーブル134を用いて正規の変動パターンコマンドを決定する(ステップS17)。この正規の変動パターンコマンドが演出制御処理部200に入力され、その正規の変動パターンコマンドが大当たり変動パターンコマンドである場合(ステップS18でYES)にはステップS19の動作が続き、ハズレ変動パターンコマンドの場合(ステップS18でNO)にはステップS23の動作が続く。
ステップS19の動作について次に説明する。
特別図柄の停止図柄(大当たり図柄)の情報と正規の大当たり変動パターンコマンドが特別図柄制御処理部300に入力されると、この特別図柄制御処理部300は特別図柄表示装置40による特別図柄の表示を開始する。また、演出制御処理部200においては、正規の大当たり変動パターンコマンドが入力されたことに伴い、演出態様決定手段210がその正規の大当たり変動パターンコマンドのNo.に基づいて演出態様を決定し、決定された演出態様でダミー図柄が表示されるよう演出表示制御手段220が演出表示装置50の制御を開始する。また、保留表示制御手段230は正規の大当たり変動パターンコマンドが演出制御処理部200に入力されたことに基づき、保留個数表示領域51において所定の色で発色している円形領域のうち、最も右側の円形領域を背景色と同色に変化させて表示個数を減らす。また、視覚的予告制御手段270は演出制御処理部200に正規の大当たり変動パターンコマンドが入力されたことに基づき、回転灯70に回転予告演出を行わせる。また、聴覚的予告制御手段280は演出制御処理部200に正規の大当たり変動パターンコマンドが入力されたことに基づき、スピーカ80に効果音「キュイン」を発報させる。回転予告演出と効果音「キュイン」の発報は、特別図柄用保留球乱数の表示個数の1個の減少と特別図柄およびダミー図柄の表示開始とに同期して行われる。
次に、特別図柄制御手段が特別図柄の表示を終了させ、これと同期して演出表示制御手段220がダミー図柄の表示を終了させると(ステップS20)、主制御処理部100はアタッカー装置63を制御して大入賞口63aの所定ラウンド数の開放を開始する、すなわちパチンコ機Pが大当たり遊技状態に移行する(ステップS21)。この大当たり遊技状態を終了すると(ステップS22)、パチンコ機Pの動作はステップS1に戻る。
ステップS23の動作について次に説明する。
特別図柄の停止図柄(ハズレ図柄)と正規のハズレ変動パターンコマンドが特別図柄制御処理部300に入力されると、この特別図柄制御処理部300は特別図柄表示装置40による特別図柄の表示を開始する。また、演出制御処理部200においては、正規のハズレ変動パターンコマンドが入力されたことに伴い、演出態様決定手段210がその正規のハズレ変動パターンコマンドのNo.に基づき演出態様を決定し、決定された演出態様でダミー図柄が表示されるよう演出表示制御手段220が演出表示装置50の制御を開始する。また、保留表示制御手段230は正規のハズレ変動パターンコマンドが演出制御処理部200に入力されたことに基づき、保留個数表示領域51において所定の色で発色している円形領域のうち、最も右側の円形領域を背景色と同色に変化させで表示個数を減らす。また、視覚的予告制御手段270は演出制御処理部200にハズレ変動パターンコマンドが入力されたことと、予告当選フラグ記憶手段284により予告当選フラグが記憶されている状態であること、すなわち予告当選保留球乱数が有ることとに基づき、回転灯70に「キラッ」と瞬き予行演出(先読み予告演出)を行わせる。この瞬き予告演出は、特別図柄用保留球乱数の表示個数の1個の減少と特別図柄およびダミー図柄の表示開始とに、同期して行われる。なお、今回は効果音「キュイン」は発報されない。
次に、特別図柄制御手段が特別図柄の表示を終了させ、これと同期して演出表示制御手段220がダミー図柄の表示を終了させると(ステップS24)、パチンコ機Pの動作はステップS1に戻る。
新たな特別図柄用乱数を取得したときに特別図柄が変動中でない場合(ステップS3でNO)、新たな特別図柄用保留球乱数が1個目の特別図柄用保留球乱数である場合(ステップS8でNO)、先読み抽選で当選しなかった場合(ステップS10でNO)、先読み判定の結果がハズレとなった場合(ステップS12でNO)、予告抽選で当選しなかった場合(ステップS14でNO)、パチンコ機Pは図14−4に示す動作を行うことは既に触れた。その図14−4に示す動作について次に説明する。
図14−4に示す動作では、はじめに、新たな特別図柄用乱数(特別図柄用保留球乱数ではない)、または、保留球乱数記憶手段114により最も先に記憶されている特別図柄用保留球乱数に対する当否判定を、特別図柄用乱数当否判定手段113が行う(ステップS25)、次にこの当否判定の結果に基づき、特別図柄決定手段120が特別図柄の停止図柄(大当たり図柄またハズレ図柄)を決定する(ステップS26(ステップS16と同じ))。次に、変動パターンコマンド抽選手段130は、当否判定の結果(大当たりまたはハズレ)と変動パターン用乱数とに基づき、コマンド参照テーブル134を用いて正規の変動パターンコマンドを決定する(ステップS27(ステップS17と同じ)。この正規の変動パターンコマンドが演出制御処理部200に入力され、その正規の変動パターンコマンドが大当たり変動パターンコマンドである場合(ステップS28でYES)にはステップS29の動作が続き、ハズレ変動パターンコマンドの場合(ステップS28でNO)にはステップS33の動作が続く。
ステップS29〜ステップS32の動作は、前述のステップS19〜ステップS22の動作と同じである。ステップS33→ステップS34の動作は、前述のステップS23→ステップS24の動作から「瞬き予告演出」を除いた動作である。
前述の図14−3の動作が終了してステップS1からの動作が再開され、その後、始動口60等に新たな遊技球が入賞しない場合、パチンコ機Pは図14−5に示す動作を行う(ステップS1でNO→「D」)。前回のステップS1からの動作で図14−3中のステップS17において作成された正規の変動パターンコマンドが、ステップS13で生じた予告当選保留球乱数の1個先に記憶された特別図柄用保留球乱数に基づく正規の変動パターンコマンドでない場合、予告当選・非当選フラグ記憶手段284は、その予告当選保留球乱数に対応する予告当選フラグを引き続き記憶している状態である。この状態は、保留球乱数記憶手段114によって特別図柄用保留球乱数が記憶されており、その特別図柄用保留球乱数が予告当選保留球乱数である状態なので、図14−3に示す動作が再び行われる(図14−5参照、ステップS35でYES→ステップS36でYES→「B」)。そして、その予告当選保留乱数よりも先に記憶されている正規の変動パターンコマンドがハズレ変動パターンコマンドであれば(図14−3参照、ステップS18でNO→ステップS23)、再び瞬き予告演出が行われる。つまり、予告当選保留乱数が発生した後は、その予告当選保留乱数が保留球乱数記憶手段114に最も先に記憶されている1個目の特別図柄用保留球乱数になるまで、特別図柄およびダミー図柄の表示開始と保留表示個数の減少の度に、これらに同期して瞬き予告選出が行われる。
また、保留球乱数記憶手段114により特別図柄用保留球乱数が記憶されてはいるが(図14−5参照、ステップS35でYES)、前述の図14−2中のステップS13での予告抽選で当選しなかったために、予告非当選フラグが予告当選・非当選フラグ記憶手段284により引き続き記憶されている状態である場合、予告抽選手段260は再抽選(予告抽選)を行う(ステップS36でNO→ステップS37でYES→「ステップS13へ」)。つまり、先読み判定により大当たりと判定された後は、当選するまで再度の予告抽選が行われる。
そして、その再度の予告抽選で当選すると(ステップS14でYES)、前回予告非当選保留乱数であった特別図柄用保留球乱数は予告当選保留乱数になるので、この予告当選保留乱数よりも先に記憶されている正規の変動パターンコマンドがハズレ変動パターンコマンドであれば、瞬き予告演出が行われる(図14−3参照、ステップS18でNO→ステップS23)。
また、保留球乱数記憶手段114により特別図柄用保留球乱数が記憶されてはいるが(図14−5参照、ステップS35でYES)、予告当選保留乱数も、予告非当選保留乱数もない場合には、前述の図14−4に示す動作が再び行われる(ステップS36でNO→ステップS37でNO→「C」)。
図14−1〜図14−5を用いて説明した動作の瞬き予告演出に係る具体例を図15を用いて説明する。この具体例は、4個目の特別図柄用保留球乱数が大当たりとなる内部当選保留球乱数(○)であり、1個目から3個目までの特別図柄用保留球乱数はハズレとなる内部非当選保留球乱数(×)である。「○」,「×」は保留個数表示領域51における表示個数の変化と、4個の特別図柄用保留球乱数との関係を明確にするために描いたものであり、実際に演出表示装置50に表示されるものではない。また、図15において、演出表示装置50が表示する画面上には長短2種類の下向きの矢印を描いた。長い矢印はダミー図柄Z0の変動中を示し、短い矢印はダミー図柄Z1,Z2の変動開始直前および直後を示し、これらの矢印も実際に演出表示装置50に表示されるものではない。また、保留個数表示領域51の上部に、保留個数表示領域51の右端から左端まで延びた矢印と、左端まで延びていない矢印とを描いた。延びた矢印は保留個数表示領域51における表示個数が減少した直後であることを示し、延びていない矢印は表示個数が減少する直前であることを示す。これらの矢印も実際に演出表示装置50に表示されるものではない。
図15(a)に示すように、4個目の特別図柄用保留球乱数(内部当選保留球乱数)が保留球乱数記憶手段114によって記憶される前、ダミー図柄Z0は変動中であり、保留個数表示領域51における表示個数は3個である。始動口60等に遊技球が入賞して4個目の特別図柄用保留球乱数(内部当選保留球乱数)が保留球乱数記憶手段114によって記憶されると、保留個数表示領域51における表示個数が3個から4個に増加する(図15(b)参照)。次に、ダミー図柄Z0の変動が停止し、図柄が確定する(図15(c)参照)。ここまでの期間内に、4個目の特別図柄用保留球乱数(内部当選保留球乱数)に対する予告抽選が終了し、この4個目の特別図柄用保留球乱数(内部当選保留球乱数)はその予告抽選に当選する。その後、1個目の特別図柄用保留球乱数(内部非当選保留球乱数)に基づくダミー図柄Z1の変動が開始され、これに同期して保留個数表示領域51における表示個数が4個から3個に減少する。このとき、4個目の特別図柄用保留球乱数(内部当選保留球乱数)が予告抽選に当選していることに基づき、回転灯70によって「キラッ」と瞬き予告演出が行われる(図15(d)→(e))。2個目の特別図柄用保留球乱数(内部非当選保留球乱数)に基づくダミー図柄Z2の変動が開始され、保留球乱数記憶手段51における表示個数が3個から2個に減少するときにも、回転灯70によって「キラッ」瞬き予告演出が行われる(図15(f)参照)。さらに、3個目の特別図柄用保留球乱数(内部非当選保留球乱数)に基づくダミー図柄の変動が開始され、保留個数表示領域51における表示個数が2個から1個に減少するときにも、回転灯70によって「キラッ」と瞬き予告演出が行われる(図示してない)。
一方、4個目の特別図柄用保留球乱数(内部当選保留球乱数)が記憶されたときに行われた予告抽選の結果が非当選となった場合、瞬き予告演出は行われずに、1個目の特別図柄用保留球乱数(内部非当選保留球乱数)に基づくダミー図柄Z1の変動が開始され、保留個数表示領域51における表示個数が4個から3個に減少する。このとき、4個目の特別図柄用保留球乱数(内部当選保留球乱数)に対して予告抽選が再び行われ、この予告抽選に当選した場合には、2個目の特別図柄用保留球乱数(内部非当選保留球乱数)に基づくダミー図柄Z2の変動が開始され、保留個数表示領域51における表示個数が3個から2個に減少するときに、「キラッ」と瞬き予告演出が行われる(図15(g)→(f))。その後、3個目の特別図柄用保留球乱数(内部非当選保留球乱数)に基づくダミー図柄の変動が開始され、保留個数表示領域51における表示個数が2個から1個に減少するときにも、回転灯70によって「キラッ」と瞬き予告演出が行われる(図示してない)。
1個目の特別図柄用保留球乱数(内部非当選保留球乱数)に基づくダミー図柄Z1の変動が開始されるときの再度(2回目)の予告抽選の結果も非当選であった場合には、2個目の特別図柄用保留球乱数(内部非当選保留球乱数)に基づくダミー図柄Z2が開始されるときに3回目の予告抽選が行われる。この予告抽選で当選すれば、3個目の特別図柄用保留球乱数(内部非当選保留球乱数)に基づくダミー図柄の変動が開始され、保留個数表示領域51における表示個数が2個から1個に減少するときに、回転灯70によって「キラッ」と瞬き予告演出が行われる(図示してない)。3回目の予告抽選の結果も非当選となった場合には、瞬き予告演出は行われない。
本実施形態に係るパチンコ機Pによれば次の効果を得られる。
本実施形態に係るパチンコ機Pにおいて、瞬き予告演出(先読み予告演出)は、2個目以降の特別図柄用保留球乱数に対して行われることであり、遊技者にとって特別図柄用保留球乱数との対応関係が分かりにくい。また、予告当選保留球乱数よりも先に記憶されている特別図柄用保留球乱数が複数個ある場合には、それらの特別図柄用保留球乱数のそれぞれに基づく特別図柄の変動開始の度に行われる。また、遊技者は1回の瞬き予告演出(先読み予告演出)だけではその先読み予告演出の有無を明確には認識できない(見逃す)こともあり、瞬き予告演出が複数回繰り返されることで明確に認識することになりやすい。これらによって、特別図柄用保留球乱数が複数個ある場合、それらの特別図柄用保留球乱数の中に大当たりがある旨の先読み予告演出がなされた特別図柄用保留球乱数が含まれていることは認識できたが、その特別図柄用保留球乱数が何個目の特別図柄用保留球乱数であるかまでは把握できていない状態を遊技者に生じさせることができ、これにより、先読み予告演出がなされなかった特別図柄用保留球乱数に対する遊技者の関心が小さくなるのを防止できる。
本実施形態に係るパチンコ機Pは、保留球乱数記憶手段114により3個以上の特別図柄用保留球乱数が記憶されている状態において、予告非当選保留球乱数よりも先に保留球乱数記憶手段114により記憶されている特別図柄用保留球乱数に基づく特別図柄の表示の開始から終了までの期間内で、予告抽選手段260による再抽選を行う。これにより、保留球乱数記憶手段114による特別図柄用保留球乱数の記憶時には予告抽選に当選しなかったために先読み予告演出が行われないが、その後、先に記憶されているいくつかの特別図柄用保留球乱数に基づく特別図柄が表示されていく中で、再度の予告抽選で当選して先読み予告演出が行われる、というように先読み予告演出のタイミングにバリエーションが生じる。この結果、瞬き予告演出がどの保留球乱数に基づいて行われたのかを遊技者に把握させにくくすることができ、これによって、瞬き予告演出がなされなかった保留球乱数に対する遊技者の関心が小さくなるのを、より確実に防止することができる。
本実施形態に係るパチンコ機Pは、回転灯70により瞬き予告演出を行う。回転灯70は日常生活においてパトカー、救急車、消防車に代表されるように緊急事態の報知や、注意を喚起するために限定的に使用されている。このため、回転灯70の作動は、単純な発光による光よりも遊技者の注意を引き、特別な演出であることを認識させやすい。
本実施形態に係るパチンコ機Pは、予告当選保留球乱数に基づく特別図柄の変動が開始されるとき、効果音「キュイン」の伴った回転予告演出を行う。遊技者は、瞬き予告とは異なるその予告演出に触れ、瞬き予告演出がなされていた特別図柄用保留球乱数に基づく特別図柄の変動が開始されたことを知ることができる。つまり、どの特別図柄用保留球乱数についての瞬き予告演出(先読み予告演出)がなされていたかの答え合わせを行うことができる。
なお、前述の実施形態に係るパチンコ機Pは、視覚的報知手段として回転灯70を備えていたが、本発明における視覚的報知手段は回転灯に限定されるものではなく、発光により遊技者の視覚に作用する報知を行うもの、画面の表示により遊技者の視覚に作用する報知を行うもの、可動体の動作(移動、回転)により遊技者の視覚に作用する報知を行うもの、これらのいずれか、または全てを組み合わせたものであってもよい。