図15(a)、(b)に示す従来の支持具1では、基部8とベース材9との間、及びベース材9と外壁面2aとの間は、弾性部材9b、9bによって密封されているので、それらの間からは、雨水が外壁2及び基部8内に浸入し難くなっているが、例えば年月の経過によって、基部8のアンカーボルト7に対する締付け力が低下すると、基部8とベース材9との間、及びベース材9と外壁面2aとの間の密封力が低下したり、弾性部材9b、9bが劣化することがあり、それらの間から雨水が外壁2内及び基部8内に浸入することがある。これによって、外壁2及び支持具1の強度が低下したり、寿命が短くなることがある。
つまり、図15(a)、(b)に示す従来の支持具1では、外壁面2aに互いに所定の間隔を隔ててアンカーボルト7用の穴を開けて、その穴にアンカーボルト7を打ち込み、このアンカーボルト7に当該支持具1を取り付けるようにしているので、外壁面2aに予め防水処理を施しても、このアンカーボルト7用の穴から雨水等が外壁2内に浸入することがある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、緑化用板状部材の防水性能や強度が低下しないように、補助部材取付具を緑化用板状部材に取り付けることができる補助部材取付具、壁面等の緑化構造及び緑化用板状部材を提供することを目的としている。
本発明に係る緑化用板状部材は、壁部又は屋根を形成し、外表面に沿って植物の蔓を巻き付ける植物伸長用補助部材を取り付ける補助部材取付具を係止することができる緑化用板状部材であって、前記外表面には、突出する複数のリブと、当該複数のリブとリブとの間に形成される溝部とを備え、前記リブには、前記補助部材取付具を係止する係合凸部が、前記溝部の底面と隙間をあけて当該リブから前記溝部に向かって突出するように設けられていることを特徴とするものである。
本発明に係る緑化用板状部材によると、外表面に設けられた複数のリブとリブとの間に形成された溝部の底面と、リブから溝部に向かって突出する係合凸部とによって、補助部材取付具を溝部に取り付けることができる。
この発明に係る緑化用板状部材において、前記係合凸部は、前記溝部の延びる方向に設けられていてもよい。
このようにすると、溝部の延びる方向に設けられた係合凸部により、溝部のいずれの位置でも補助部材取付具を取り付けることができる。
本発明に係る補助部材取付具は、本発明に係る緑化用板状部材に取り付ける補助部材取付具であって、前記溝部の底面と前記リブに設けられた係合凸部との間に装着されて前記溝部に取り付けられる固定部と、前記固定部に結合され、前記溝部から前記緑化用板状部材の外表面方向に突出して前記植物伸長用補助部材を取り付けるための取付部とを備えることを特徴とするものである。
本発明に係る補助部材取付具が取り付けられる緑化用板状部材は、例えば建物、土木構造物、若しくは塀の壁部や屋根を形成するために使用されるものである。そして、この補助部材取付具によると、この補助部材取付具が備えている固定部を緑化用板状部材の溝部の底面とリブに設けられた係合凸部との間に装着することによって、この補助部材取付具を溝部に取り付けることができる。また、この補助部材取付具が備えている取付部は、植物伸長用補助部材を取り付けることができる。この植物伸長用補助部材は、緑化用板状部材の外表面に沿って伸長する植物の蔓が巻き付くことができるものである。
よって、この補助部材取付具を緑化用板状部材の溝部に取り付けると共に、この補助部材取付具に植物伸長用補助部材を取り付けて、この植物伸長用補助部材に所望の植物を巻き付かせることができる。これによって、壁面や屋根の緑化を図ることができる。
この発明に係る補助部材取付具において、ゴム様弾性体で形成され、その弾性力によって前記固定部を前記リブの前記係合凸部側、又は前記溝部の底面側に押圧する押圧部材を更に備え、前記取付部は、前記植物伸長用補助部材が係合される切欠き部が形成されているものとしてもよい。
このようにすると、ゴム様弾性体で形成された押圧部材の弾性力によって、固定部をリブの係合凸部側、又は溝部の底面側に押圧してこの固定部を溝部に取り付けることができる。そして、この押圧部材は、ゴム様弾性体で形成されているので、溝部に装着されたときに、緑化用板状部材を損傷させることがなく、緑化用板状部材の寿命を長引かせることができる。また、植物伸長用補助部材は、切欠き部に係合させることによって取付部に取り付けることができる。
この発明に係る補助部材取付具において、前記固定部に形成され、前記溝部に向かう軸方向に形成された第1雌ねじ部と、前記取付部に形成され、前記溝部に向かう軸方向に形成された第2雌ねじ部と、前記第1雌ねじ部に螺合し、かつ、先端部が前記溝部の底面に当接して、前記固定部を前記リブに設けられた前記係合凸部の内面側に押し付けて、前記固定部を前記溝部に取り付ける留めボルトとを備え、前記取付部は、前記植物伸長用補助部材の受け部と押さえ部とを有し、前記受け部は、前記留めボルトが螺合する前記第2雌ねじ部によって支持され、前記植物伸長用補助部材を受ける形状に形成されており、前記押さえ部は、前記留めボルトに螺合する留めナットによって前記受け部側に押し付けられて、前記植物伸長用補助部材を当該押さえ部と前記受け部との間に挟持するように構成されているものとしてもよい。
このようにすると、補助部材取付具を緑化用板状部材の溝部に取り付けるときは、第1雌ねじ部に螺合する留めボルトの先端部を溝部の底面に当接させて、この留めボルトを所定方向に回転させる。これによって、固定部をリブに設けられた係合凸部側に押し付けることができ、固定部及び留めボルトを溝部に取り付けることができる。
そして、植物伸長用補助部材を補助部材取付具の取付部に取り付けるときは、留めボルトが螺合する第2雌ねじ部によって支持されている受け部と、押さえ部との間に植物伸長用補助部材を挟み込んだ状態にして、留めボルトに螺合する留めナットを所定方向に回転させる。これによって、押さえ部を受け部側に押し付けることができ、押さえ部と受け部との間に植物伸長用補助部材を挟持することができる。このようにして、植物伸長用補助部材を取付部に取り付けることができる。
本発明に係る壁面等の緑化構造は、本発明に係る緑化用板状部材に、本発明に係る補助部材取付具を取り付けた壁面等の緑化構造であって、前記緑化用板状部材の外表面に設けられた前記リブの前記係合凸部と前記溝部との間に前記補助部材取付具が取り付けられ、前記補助部材取付具に前記植物伸長用補助部材が取り付けられていることを特徴とするものである。
本発明に係る壁面等の緑化構造によると、本発明に係る補助部材取付具を備えており、これと同様に作用する。そして、補助部材取付具に取り付けられている植物伸長用補助部材に所望の植物を巻き付かせることができ、これによって、壁面や屋根の緑化を図ることができる。
この発明に係る壁面等の緑化構造において、前記植物伸長用補助部材は、網状体又は線状体であるものとしてもよい。
このようにすると、この網状体又は線状体に植物を巻き付かせることができるので、この植物伸長用補助部材を所望の形状に形成することによって、緑化用板状部材の外表面において、所望の範囲での緑化を図ることができる。
この発明に係る壁面等の緑化構造において、前記溝部の開口に被覆部が設けられ、前記被覆部によって、前記溝部に取り付けられた前記補助部材取付具の前記固定部が被覆されているものとしてもよい。
このようにすると、溝部の開口に設けられた被覆部によって、溝部に取り付けられた補助部材取付具の固定部を被覆することができ、これによって、この補助部材取付具が取り付けられた緑化用板状部材の外観の見栄えを良くすることができる。
この発明に係る壁面等の緑化構造において、前記リブの先端部の表面に、植物の蔓が張り付くための多数の凹凸部を設けたものとしてもよい。
このようにすると、植物の蔓が、リブの先端部の表面に設けられた多数の凹凸部に引っ掛かることによって、このリブの先端部の表面に張り付き易くすることができる。これによって、植物伸長用補助部材に巻き付いている植物が、リブの先端部の表面に張り付くことができるので、この植物が緑化用板状部材の表面から離脱して落下することを防止できる。
この発明に係る壁面等の緑化構造において、前記凹凸部は、前記溝部と平行する方向に延びる断面形状がV字形溝、コ字形溝若しくはあり溝、又はエンボス加工によって施された凹凸部、又は前記リブの先端部の表面に付着する粒状体、又は前記リブの先端部に設けられたタイルの表面の凹凸部によって形成されているものとしてもよい。
このように、凹凸部は、溝部と平行する方向に延びる断面形状がV字形溝、コ字形溝若しくはあり溝、又はエンボス加工によって施された凸部若しくは凹部、又はリブの先端部の表面に付着する粒状体、又はリブの先端部に設けられたタイルの表面の凹凸部によって形成することができる。そして、この凹凸部によって、リブが設けられている緑化用板状部材の表面に対して所望のデザインを施すことができる。
そして、凹凸部をあり溝とすることによって、植物の蔓がこのあり溝に入り込むことで、植物がリブの先端部の表面にしっかりと張り付くことができる。また、凹凸部をエンボス加工によって施すようにすると、エンボス加工に使用する押し型を所望の形状に形成することによって、種々の模様や図柄の凹凸部をリブの表面に施すことができる。
本発明に係る補助部材取付具によると、この補助部材取付具が備えている固定部を緑化用板状部材の溝部に装着して取り付けることができ、この固定部と結合する取付部に植物伸長用補助部材を取り付けることができる構成であるので、緑化用板状部材に穴を開けることなく、補助部材取付具を緑化用板状部材に取り付けることができる。よって、緑化用板状部材の防水性能や強度が低下しないように、補助部材取付具を緑化用板状部材に取り付けることができるし、植物伸長用補助部材を、補助部材取付具を介して緑化用板状部材に取り付けることができる。そして、この補助部材取付具は、緑化用板状部材の溝部が形成されている範囲内の任意の位置に取り付けることができる。
これによって、所望の形状や寸法の植物伸長用補助部材を、緑化用板状部材の上記任意の位置に取り付けることが可能となるし、補助部材取付具を緑化用板状部材に取り付けるための施工コストの低減を図ることができる。
そして、本発明に係る壁面等の緑化構造によると、緑化用板状部材が取り付けられる建物、土木構造物、又は塀の壁部や屋根の周囲環境及び周囲の景色等に応じて、所望の様々な植物を植物伸長用補助部材に巻き付かせることができ、これによって、壁面や屋根に対して周囲環境及び周囲の景色等に応じた緑化を図ることができる。
本発明に係る緑化用板状部材によると、補助部材取付具が備えている固定部を緑化用板状部材の溝部に装着して取り付けることができる構成であるので、緑化用板状部材に穴を開けることなく、補助部材取付具を当該緑化用板状部材に取り付けることができる。
以下、本発明に係る補助部材取付具、これを備える壁面等の緑化構造、及び緑化用板状部材の第1実施形態を、図1〜図5を参照して説明する。この補助部材取付具14は、図4及び図5に示すように、例えば建物、土木構造物、若しくは塀の壁部、又は屋根を形成することができる緑化用板状部材16の外表面の溝部17に取り付けることができ、かつ、緑化用板状部材16の外表面に沿って伸びる植物18の蔓が巻き付くことができる植物伸長用補助部材19を取り付けることができるものである。そして、壁面等の緑化構造15は、緑化用板状部材16、補助部材取付具14、及び植物伸長用補助部材19を備えている。
この植物伸長用補助部材19に巻き付かせる植物18は、公知の壁面緑化や屋上緑化に使用される植物18を用いることができる例えば蔓系植物である。この蔓系植物18として、吸着系植物と登坂系植物がある。吸着系植物として、ナツヅタ、オオイタビ、キヅタ等があり、登坂系植物として、ヘデラゴールデンチャイルド、ヘデラピッツバーグ、ハツユキカヅラ等がある。
図1に示す緑化用板状部材16は、例えば壁部を形成するための略矩形の板状体16aを備えている。この板状体16aの一方の表面には、互いに一定間隔を隔てて略平行して設けられた複数(例えば6つ)のリブ20を備えている。そして、互いに隣合うリブ20とリブ20との間の空間が、補助部材取付具14を取り付けるための溝部17として形成されている。
このリブ20は、図1及び図2に示すように、長さ方向に直交する断面形状が高さの低い略T字形であり、先端部には、溝部17に向かって突出する係合凸部aが形成されている。
従って、溝部17は、図1及び図2に示すように、長さ方向に直交する断面形状が高さの低い略逆T字形であり、底部は、リブ20側に向かって広がるように形成されている。そして、この緑化用板状部材16のリブ20が設けられている側の外表面の全体には、防水処理を施してある。
この図1に示す緑化用板状部材16は、例えば押出成形セメント板であり、その押出方向に平行して板状体16aに中空部21が形成され、各リブ20が板状体16aと一体に押出成形されている。
この実施形態の壁面等の緑化構造15における緑化用板状部材16の取付方向は、図4に示すように、例えば中空部21の長さ方向が縦方向(鉛直方向)となるように、この緑化用板状部材16が建物の躯体(図示せず)に取り付けられている(所謂、「縦張り」されている。)。
そして、図4及び図5に示すように、緑化用板状部材16の一方の側辺部に凸部22が形成され、他方の側辺部に凹部23が形成されており、左右に隣接して配置されている緑化用板状部材16どうしは、これら凸部22と凹部23とを嵌合させて連結されている。また、緑化用板状部材16の各辺部どうしの間に形成される目地には、ガスケットやシーリングが設けられている。
また、この緑化用板状部材16は、図5に示すように、例えば建物の躯体側に設けられた下地材24に、パネル取付金具、ボルト26及びナット27によって取り付けられている。
ただし、緑化用板状部材16を押出成形セメント板としたが、これに代えて、金属製又は合成樹脂製の板状部材としてもよい。緑化用板状部材16の材質は、その緑化用板状部材16が使用される例えば建物、土木構造物、又は塀の各壁部や、屋根等の用途に適した金属製又は合成樹脂製とすることができる。
そして、緑化用板状部材16を構成する板状体16aとリブ20とは、一体に形成してもよいし、別個の部品として製造して、リブ20を板状体16aに取り付けるようにしてもよい。
また、図1に示すように、緑化用板状部材16の表面には、6つのリブ20が設けられているが、このリブ20の数は、緑化用板状部材16の横方法(幅方向)の寸法に応じて適切な数に設定することができる。また、リブ20及び溝部17の大きさや形状は、この緑化用板状部材16によって形成された建物等の外壁面及び屋根の外観や、補助部材取付具14の大きさや形状等に応じて適宜設定することができる。そして、リブ20どうしの間隔も、補助部材取付具14の大きさや形状等に応じて適宜設定することができる。
次に、図1〜図5を参照して補助部材取付具14を説明する。この補助部材取付具14は、図2に示すように、補助部材取付体28、及び押圧部材29を備えており、リブ20とリブ20との間に形成されている溝部17に取り付けることができるものである。そして、この補助部材取付体28に植物伸長用補助部材19を取り付けることができる。この植物伸長用補助部材19は、図4に示すように、緑化用板状部材16の外表面に沿って伸長する植物18の蔓が巻き付くことができるようにするためのものである。
また、図4に示すように、補助部材取付具14は、例えば緑化用板状部材16に形成されている5つの各溝部17のうち、両端の2つの各溝部17と中央の1つの溝部17に着脱自在に取り付けられており、これら3つの各溝部17には、補助部材取付具14が上下方向に互いに間隔を隔てて4つずつ取り付けられている。勿論、補助部材取付具14を緑化用板状部材16の溝部17に取り付ける位置や個数は、これ以外の位置や個数としてもよく、要は、植物伸長用補助部材19をしっかりと緑化用板状部材16の溝部17に取り付けることができるようにすればよい。
この補助部材取付体28は、例えば金属製又は合成樹脂製であり、図2及び図3(a)の正面図に表れているように、正面形状が略逆T字形状であり、固定部30と取付部31とを備えている。
固定部30は、矩形の板状体であり、図2に示すように、この固定部30の下面と溝部17の底面17aとの間に例えば合成ゴム製(ゴム様弾性体)の押圧部材29を配置した状態で、溝部17の底側部に装着することができる形状である。この押圧部材29は、固定部30と同等の形状及び大きさである。そして、図2に示すように、固定部30は、溝部17の底側部に装着された状態で、押圧部材29の弾性力によって、固定部30の左右の各縁部が、互いに隣合う2つの各リブ20に形成されている一対の各係合凸部20aの内面(図2に示す下面)に押し付けられている。このようにして、補助部材取付具14が溝部17に取り付けられている。
ただし、図2に示すように、固定部30の下面と溝部17の底面17aとの間に押圧部材29を配置して、この押圧部材29の弾性力によって固定部30をリブ20に形成されている一対の各係合凸部20aに押し付けてこの溝部17に取り付けるようにしたが、これに代えて、固定部30の上面と2つの各係合凸部20aの内面との間にそれぞれ押圧部材を配置して、この一対の押圧部材の弾性力によって固定部30を溝部17の底面17aに押し付けてこの溝部17に取り付けるようにしてもよい。
取付部31は、植物伸長用補助部材19を着脱自在に取り付けることができるものであり、図2及び図3に示すように、その下縁部が固定部30の上面中央部に結合している。この取付部31は、図3(b)の側面図に表れているように、矩形の板状体であり、切欠き部32が形成されている。この切欠き部32は、植物伸長用補助部材19の線状体19aが係合されることによって、この植物伸長用補助部材19を取付部31に取り付けることができるものである。
切欠き部32は、図3(b)に示すように、取付部31の正面縁部の略中央に形成された開口から、固定部30に略平行する方向に延びて形成され、取付部31の略中央で略直角に屈曲してこの取付部31の上縁部側に向かうように形成されて終端する。この切欠き部32の終端に形成された奥側部32aに、植物伸長用補助部材19の線状体19aが係合されて取り付けられる。そして、この奥側部32aに取り付けられた線状体19aが切欠き部32から外れないようにするために、この奥側部32aは、この取付部31の正面縁部側に向かって少し広がっており、外れ止め部32bが形成されている。
つまり、図4に示すように、緑化用板状部材16に形成された溝部17に補助部材取付体28が取り付けられ、この補助部材取付体28の取付部31に形成された切欠き部32の開口は上方に向かって開口し、この切欠き部32の奥側部32aに植物伸長用補助部材19の線状体19aが係合されて取り付けられている。この切欠き部32の奥側部32aの底縁部で植物伸長用補助部材19を保持しているので、植物伸長用補助部材19が取付部31から外れ難いようになっている。
また、補助部材取付体28に取り付けられた植物伸長用補助部材19は、図5に示すように、緑化用板状部材16の各リブ20の表面から所定の間隔を隔てて配置されている。このようにしているのは、植物18の蔓が植物伸長用補助部材19の線状体19aに巻き付き易くするためである。
植物伸長用補助部材19は、図4に示すように、例えば外形が矩形の網状体であり、植物18を巻き付かせるためのものである。この植物伸長用補助部材19は、例えば金属製又は合成樹脂製の線状体19aを格子状に配置して形成したものであり、各線状体19aの交差する部分は、互いに結合している。そして、この植物伸長用補助部材19は、緑化用板状部材16よりも少し小さい四角形に形成され、各緑化用板状部材16に対して植物伸長用補助部材19が、例えば1つずつ取り付けられている。
ただし、この実施形態では、図4に示すように、植物伸長用補助部材19を緑化用板状部材16よりも少し小さい四角形に形成して、各緑化用板状部材16に対して植物伸長用補助部材19を1つずつ取り付けたが、これに代えて、この植物伸長用補助部材19を所望の形状に形成して、複数ずつ取り付けたり、所望の数ずつ取り付けることもできる。このように、植物伸長用補助部材19を所望の形状に形成することによって、緑化用板状部材16の外表面において、所望の範囲での緑化を図るようにすることができる。また、植物伸長用補助部材19を網状体としたが、これに代えて、線状体としてもよい。このように、植物伸長用補助部材を線状体としたときは、鉛直方向に延びるように、補助部材取付体28に取り付けるとよい。
次に、上記のように構成された補助部材取付具14及び壁面等の緑化構造15の作用を説明する。この補助部材取付具14が取り付けられる緑化用板状部材16は、図1、図4及び図5に示すように、例えば建物、土木構造物、又は塀の壁部や屋根を形成するために使用することができる。そして、この補助部材取付具14によると、図2に示すように、この補助部材取付体28が有している固定部30を緑化用板状部材16の溝部17の底面17aと、各リブ20に設けられた一対の係合凸部20aとの間に装着することによって、この補助部材取付体28を溝部17に着脱自在に取り付けることができる。また、この補助部材取付体28が備えている取付部31は、網状の植物伸長用補助部材19を着脱自在に取り付けることができる。そして、この植物伸長用補助部材19には、図4及び図5に示すように、緑化用板状部材16の外表面に沿って伸長する植物18の蔓が巻き付くことができる。
よって、この補助部材取付具14を緑化用板状部材16の溝部17に取り付けると共に、この補助部材取付具14に植物伸長用補助部材19を取り付けて、この植物伸長用補助部材19に所望の蔓系植物18の蔓を巻き付かせることができる。これによって、壁面や屋根の緑化を図ることができる。
なお、この実施形態では、図には示さないが、植物18は、例えば地面に植えられており、植物18が成長すると共に、その蔓が植物伸長用補助部材19に巻き付きながら上方に向かって伸びていき、この植物18が緑化用板状部材16の表面を覆うようになる。また、補助部材取付具14は、例えば緑化用板状部材16に形成されている溝部17の端部から挿入して、所望の位置に装着することができる。
また、図2に示すように、補助部材取付具14によると、補助部材取付体28が備えている固定部30を緑化用板状部材16の溝部17に装着して取り付けることができ、この固定部30と結合する取付部31に植物伸長用補助部材19を取り付けることができる構成であるので、緑化用板状部材16に穴を開けることなく、補助部材取付体28を緑化用板状部材16に取り付けることができる。よって、緑化用板状部材16の防水性能や強度を低下させることなく、補助部材取付体28を緑化用板状部材16に取り付けることができ、更に、この植物伸長用補助部材19を、簡単で短時間に確実に補助部材取付体28を介して緑化用板状部材16に着脱自在に取り付けることができる。
そして、この補助部材取付具14は、緑化用板状部材16の溝部17が形成されている範囲内の任意の位置に取り付けることができる。これによって、所望の形状や寸法の植物伸長用補助部材19を、緑化用板状部材16の上記任意の位置に取り付けることが可能となる。そして、補助部材取付具14を緑化用板状部材16に取り付けるための施工コストの低減を図ることができる。
また、図4及び図5に示す壁面等の緑化構造15によると、緑化用板状部材16が取り付けられる建物、土木構造物、又は塀の壁部や屋根の周囲環境及び周囲の景色等に応じて、所望の様々な植物を植物伸長用補助部材19に巻き付かせることができ、これによって、壁面や屋根の緑化を図ることができる。
更に、図2に示す補助部材取付具14によると、合成ゴムで形成された押圧部材29の弾性力によって、補助部材取付体28の固定部30をリブ20の係合凸部20a側(又は溝部17の底面17a側)に押圧してこの固定部30を溝部17に取り付けており、この押圧部材29は、合成ゴムで形成されているので、補助部材取付体28が溝部17に装着されたときに、緑化用板状部材16を損傷させることがなく、緑化用板状部材16の寿命を長引かせることができる。また、植物伸長用補助部材19は、図3(b)及び図4に示すように、切欠き部32の奥側部32aに着脱自在に係合させることによって、取付部31に着脱自在に確実に取り付けることができる。
次に、本発明に係る補助部材取付具、壁面等の緑化構造及び緑化用板状部材の第2実施形態を、図6〜図8を参照して説明する。この図6に示す第2実施形態の補助部材取付具35、及び壁面等の緑化構造36と、図1に示す第1実施形態の補助部材取付具14、及び壁面等の緑化構造15とが相違するところは、以下のところである。
つまり、図2に示す第1実施形態の壁面等の緑化構造15では、これに使用される緑化用板状部材16の溝部17の断面形状が略逆T字形であり、この溝部17を形成する左右の各リブ20は、略T字形である。そして、補助部材取付体28は、図2に示すように、正面形状が逆T字形状であり、その固定部30が溝部17の底側部に装着された状態で、押圧部材29の弾性力によって、固定部30の左右の各縁部が、リブ20に形成されている一対の各係合凸部20aの内面に押し付けられ、このようにして、補助部材取付具14が溝部17に取り付けられる。
これに対して、図7に示す第2実施形態の壁面等の緑化構造36では、これに使用される緑化用板状部材37の溝部38の断面形状が略L字形であり、この溝部38を形成する左側のリブ39には係合凸部が形成されていないが、右側のリブ39には係合凸部20aが形成されている。そして、補助部材取付具35が有する補助部材取付体40は、正面形状が略L字形状であり、その固定部41が溝部38の底側部に装着された状態で、押圧部材42の弾性力によって、固定部41が、右側リブ39に形成されている係合凸部20aの内面に押し付けられている。
また、図7に示すように、溝部38に装着された補助部材取付体40が、係合凸部20aが形成されていない左側リブ39側に移動しないように、この左側リブ39と補助部材取付体40との間であって、溝部38の底面38aに接触するように留め部材43が装着されている。そして、溝部38の開口に被覆部44が例えば充填によって設けられている。この被覆部44は、留め部材43が溝部38の開口から外れないように留めておくと共に、補助部材取付体40の固定部41及び取付部31の下部を被覆するためのものである。
この留め部材43は、押圧部材42と同等の例えば合成ゴム製のゴム様弾性体であり、断面が矩形であって固定部41と略同一の長さに形成されている。そして、被覆部44は、例えばシール材であり、溝部38の開口の全体を被覆するように設けられている。このようにして、補助部材取付具35が溝部38に取り付けられている。
これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの説明を省略する。図8は、第2実施形態の補助部材取付体40を示す図であり、図8(a)は、拡大正面図、図8(b)は、拡大側面図である。
この図6及び図7に示す第2実施形態の補助部材取付具35によると、この補助部材取付具35が有する補助部材取付体40は、図7に示すように、正面形状が略L字形状の部材であるので、その固定部41を溝部38の長さ方向のいずれの位置からでも、その溝部38の開口から挿入して溝部38に装着することができるように形成されている。つまり、第1実施形態の補助部材取付体28のように、この補助部材取付体28を溝部17の端部から溝部17内に挿入する必要が無いので、緑化用板状部材37を建物の躯体側に設けられた下地材24に取り付けた後であっても、又は、下地材24に取り付ける前のいずれの状態でも、この第2実施形態の補助部材取付具35を溝部38に簡単に着脱自在に取り付けることができ、取付け作業の作業性が良い。
そして、壁面等の緑化構造36は、図6及び図7に示すように、溝部38の開口に設けられた被覆部44によって、溝部38に取り付けられた補助部材取付体40の固定部41及び取付部31の下部を被覆することができ、これによって、この補助部材取付具35が取り付けられた緑化用板状部材37の外観の見栄えを良くすることができる。
次に、本発明に係る補助部材取付具、壁面等の緑化構造及び緑化用板状部材の第3実施形態を、図9〜図11を参照して説明する。この図9に示す第3実施形態の補助部材取付具47、及び壁面等の緑化構造48と、図1に示す第1実施形態の補助部材取付具14、及び壁面等の緑化構造15とが相違するところは、補助部材取付具47と14とが相違するところである。これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの説明を省略する。
この図10及び図11に示す第3実施形態の補助部材取付具47は、例えば金属製又は合成樹脂製であり、固定部49、取付部50、留めボルト51、及び留めナット52、53を備えている。
固定部49は、矩形の板状体であり、図11(a)、(b)に示すように、2つの第1雌ねじ部54が互いに間隔を隔てて形成されており、これら2つの各第1雌ねじ部54に留めボルト51が螺合している。
そして、図10に示すように、これら2つの各留めボルト51の先端部が溝部17の底面17aに当接して、固定部49をリブ20に設けられた係合凸部20aの内面に押し付けている。このようにして、固定部49を溝部17に取り付けている。なお、図10及び図11(a)に示す留めボルト51に螺合する留めナット52は、留めボルト51を固定部49に固定するためのものである。
取付部50は、図10及び図11に示すように、受け部55と押さえ部56とを有している。この受け部55及び押さえ部56は、略同一形状の矩形の板状体である。この受け部55は、図11(a)、(b)に示すように、2つの第2雌ねじ部57が互いに間隔を隔てて形成されており、これら2つの各第2雌ねじ部57には、固定部49に螺合する2本の各留めボルト51が螺合している。
押さえ部56は、図10及び図11に示すように、受け部55と互いに重なり合った状態で、網状の植物伸長用補助部材19が有する線状体19aを挟み込んで保持することができるものである。この押さえ部56には、2本の各留めボルト51が挿通する挿通孔を有し、各挿通孔に挿通する各留めボルト51に留めナット53が螺合しており、これら各留めナット53によって、押さえ部56を受け部55側に押し付けている。このようにして、植物伸長用補助部材19の線状体19aを押さえ部56と受け部55との間に挟み込んで保持している。そして、この押さえ部56及び受け部55の略中央には、網状の植物伸長用補助部材19が有する線状体19aを位置決めして保持するための保持部58、58が形成されている。これら各保持部58、58は、略半円筒形に形成されている。
この図10に示す補助部材取付具47を緑化用板状部材16の溝部17に取り付けるときは、例えばまず、固定部49の第1雌ねじ部54に螺合する留めボルト51の先端部を溝部17の底面17aに当接させて、この留めボルト51を所定方向に回転させて締め付ける。この締付けによる反力によって、固定部49の左右の各縁部を、左右の各リブ20に設けられた一対の各係合凸部20aの内面に押し付けることができ、固定部49及び留めボルト51を溝部17に固定して取り付けることができる。そして、留めナット52を締め付けて、留めボルト51が固定部49に対して緩まないようにする。
そして、網状の植物伸長用補助部材19を補助部材取付具47の取付部50に取り付けるときは、留めボルト51に螺合する受け部55と、押さえ部56との間に植物伸長用補助部材19の線状体19aを挟み込んだ状態にして、留めボルト51に螺合する留めナット53を締め付ける。これによって、押さえ部56を受け部55側に押し付けることができ、押さえ部56と受け部55との間に植物伸長用補助部材19の線状体19aを挟み込んで保持することができる。このようにして、植物伸長用補助部材19を取付部50に着脱自在に取り付けることができる。
次に、本発明に係る壁面等の緑化構造の他の実施形態を、図12〜図14を参照して説明する。これら図12〜図14に示す3つの各実施形態の壁面等の緑化構造61、62、63と、図1等に示す上記各実施形態の壁面等の緑化構造15等とが相違するところは、上記各実施形態の壁面等の緑化構造15等では、緑化用板状部材16等に形成されている各リブ20等の先端部の表面を平坦面として形成したのに対して、図12〜図14に示す3つの各実施形態の壁面等の緑化構造61、62、63では、緑化用板状部材16に形成されている各リブ20の先端部の表面に、植物18の蔓が張り付き易くするための多数の凹凸部64、65、66を設けたところである。
これ以外は、上記各実施形態の壁面等の緑化構造と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの説明を省略する。なお、図12〜図14に示す各壁面等の緑化構造61、62、63では、補助部材取付具14等を省略している。
このように、各リブ20の先端部の表面に多数の凹凸部64、65、66を設けた構成とすると、植物18の蔓が、リブ20の先端部の表面に設けられた多数の凹凸部64、65、66に引っ掛かることによって、このリブ20の先端部の表面に張り付き易くすることができる。これによって、植物伸長用補助部材19に巻き付いている植物18が、リブ20の先端部の表面に張り付くことができるので、この植物18が緑化用板状部材16の表面から離脱して落下することを防止できる。
図12に示すリブ20の先端部の表面に設けられている多数の凹凸部64は、小さな多数の砂等から成る粒状体をリブ20の表面に付着させて形成したものである。そして、図13に示すリブ20の先端部の表面に設けられている多数の凹凸部65は、溝部17と平行する方向に延びる断面形状がV字形溝を複数形成したものである。また、図14に示すリブ20の先端部の表面に設けられている多数の凹凸部66は、溝部17と平行する方向に延びるあり溝を複数形成したものである。
このように、凹凸部64等を、多数の粒状体で形成したり、溝部17と平行する方向に延びる断面形状がV字形溝、又はあり溝で形成することによって、緑化用板状部材16の表面に対して所望のデザインを施すことができる。
そして、凹凸部66をあり溝とすることによって、植物18の蔓がこのあり溝に入り込むことで、植物18がリブ20の先端部の表面にしっかりと張り付くことができる。また、図示しないが、凹凸部をエンボス加工によって施すようにすることもできる。このようにすると、エンボス加工に使用する押し型を所望の形状に形成することによって、種々の模様や図柄の凹凸をリブの表面に施すことができる。
また、図には示さないが、凹凸部として、溝部17と平行する方向に延びる断面形状がコ字形溝を複数形成したものとしてもよい。更に、例えば表面に多数の凹凸部が形成されたタイルをリブ20の表面に設けたものとしてもよい。
そして、これらのV字形溝、あり溝、又はコ字形溝等の溝は、例えば緑化用板状部材16が押出成形される際に、押出成形用金型によって形成されるようにすることができる。また、緑化用板状部材16が成形された後で、リブ20の表面にエンボス加工によって凹凸部を施すこともできる。
ただし、上記第1及び第3実施形態では、図2及び図10に示すように、溝部17の開口に被覆部44を設けていない構成としたが、図6に示す第2実施形態のように、溝部17の開口に被覆部44を設けた構成としてもよい。
そして、上記第3実施形態では、図10及び図11等に示すように、第1雌ねじ部54が固定部49に形成されていると共に、第2雌ねじ部57が受け部55に形成されている構成としたが、これに代えて、第1及び第2雌ねじ部54、57のいずれか一方若しくは両方が、固定部49及び受け部55とは別物のナットである構成としてもよい。
つまり、固定部49及び留めボルト51を溝部17に取り付ける取付け作業、及び植物伸長用補助部材19を取付部50に取り付ける取付け作業のそれぞれの作業性に応じて、上記いずれかの構成を採用して使用することができる。