JP5837477B2 - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばホイールローダ、ホイール式ショベル等の作業車両に搭載され、原動機の回転を走行用の出力軸に伝達する車両用動力伝達装置に関する。
一般に、ホイールローダ、ホイール式ショベル等を代表例とするホイール式の作業車両は、車輪を回転駆動することにより作業現場に向けて一般道路を走行するものである。この場合、ホイール式の作業車両は、エンジン(原動機)によって油圧モータを駆動し、この油圧モータの回転を車輪に伝達するものと、エンジンの回転をトルクコンバータを含む動力伝達装置を介して車輪に伝達するものとがある。
エンジンの回転を動力伝達装置を介して車輪に伝達する作業車両は、通常、エンジンと車輪との間に変速機構を備えた動力伝達装置が設けられ、この動力伝達装置によって、作業車両の前進走行、後進走行、走行速度等を切換える構成となっている。この場合、作業車両の走行時における低燃費化を推進するため、車両用の動力伝達装置は、できるだけ多くの変速段(例えば、前進6速)を備えることが望ましい。
一方、動力伝達装置には、通常、作業車両に搭載された油圧アクチュエータに圧油を供給するメインポンプ、チャージングポンプ等の油圧ポンプが取付けられ、この油圧ポンプはエンジンによって駆動されるものである(特許文献1参照)。
特表平10−510612号公報
ところで、上述した従来技術では、動力伝達装置を構成する複数個のクラッチを、入力軸と出力軸を除いた各中間軸に対して1個ずつ取付ける構成となっている。この結果、クラッチを取付ける軸の本数、及び軸を支持する軸受の個数が増大してしまい、動力伝達装置の部品点数が増えることにより、組立工数が増大し、製造コストの増加を招くという問題がある。
一方、動力伝達装置に対する油圧ポンプの配置は、通常、原動機の出力軸と油圧ポンプの入力軸とが同一軸線上に配置される構成(センタPTO)と、原動機の出力軸と油圧ポンプの入力軸とが並行に配置される構成(サイドPTO)とに大別されている。
これに対し、作業車両を小型化した場合には、車体内部における動力伝達装置の設置スペースが狭くなるため、原動機の出力軸と油圧ポンプの入力軸とを同一軸線上に配置する構成(センタPTO)を採用するのが困難になることが考えられる。この場合には、原動機の出力軸と油圧ポンプの入力軸とを並行に配置する構成(サイドPTO)を採用することにより、動力伝達装置に対して油圧ポンプをコンパクトに取付ける必要がある。
しかし、車体内部における機器配置スペースが狭い場合には、動力伝達装置の入力軸の周囲に、この入力軸と並行して油圧ポンプの入力軸を配置するだけのスペースを確保することが困難であるという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、部品点数を削減することができ、かつ入力軸の周囲に油圧ポンプを配置するための大きなスペースを確保することができるようにした車両用動力伝達装置を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため本発明は、車両に搭載された原動機によって回転する入力軸と、前記車両の車輪に回転を出力する出力軸と、前記入力軸の回転を前記出力軸に伝達する複数の中間軸とを備え、前記中間軸は、前記入力軸の回転が伝達される高速走行用の高速軸および低速走行用の低速軸と、前記高速軸または前記低速軸の回転を変速して前記出力軸に伝達する第1変速軸、第2変速軸および第3変速軸とにより構成してなる車両用動力伝達装置に適用される。
そして、請求項1の発明の特徴は、前記入力軸には、該入力軸に後進用歯車を接続する後進クラッチを設けると共に、前記入力軸に対して固定された入力軸固定歯車を設け、前記高速軸には、該高速軸に高速用歯車を接続する高速クラッチを設けると共に、前記高速軸に対して固定された高速軸固定歯車を設け、前記低速軸には、該低速軸に低速用歯車を接続する低速クラッチを設けると共に、前記低速軸に対して固定された低速軸固定歯車を設け、前記第1変速軸には、該第1変速軸に第1変速用歯車を接続する第1変速クラッチを設けると共に、前記第1変速軸に対して固定された2個の第1変速軸固定歯車を設け、前記第2変速軸には、該第2変速軸に第2変速用歯車を接続する第2変速クラッチを設けると共に、前記第2変速軸に対して固定された2個の第2変速軸固定歯車を設け、前記第3変速軸には、該第3変速軸に第3変速用歯車を接続する第3変速クラッチを設けると共に、前記第3変速軸に対して固定された1個の第3変速軸固定歯車を設け、前記入力軸の入力軸固定歯車は、前記高速軸の高速軸固定歯車と前記低速軸の低速軸固定歯車とに噛合い、前記後進クラッチの後進用歯車、前記高速クラッチの高速用歯車、前記低速クラッチの低速用歯車、および前記第3変速クラッチの第3変速用歯車は、前記第1変速軸の一方の第1変速軸固定歯車に噛合い、前記第1変速軸の他方の第1変速軸固定歯車は、前記第2変速クラッチの第2変速用歯車に噛合い、前記第1変速クラッチの第1変速用歯車は、前記第2変速軸の一方の第2変速軸固定歯車に噛合い、前記第2変速軸の他方の第2変速軸固定歯車と前記第3変速軸の第3変速軸固定歯車とは、前記出力軸に固定された出力軸固定歯車に噛合う構成としたことにある。
請求項2の発明は、前記入力軸と前記出力軸とは互いの軸線を結ぶ直線P−P上に間隔をもって配置し、前記第1変速軸は前記入力軸と前記出力軸との間に配置し、前記高速軸と前記低速軸とは前記入力軸と前記第1変速軸との間に位置して前記直線P−Pを挟んで対向するように配置し、前記第2変速軸と前記第3変速軸とは前記第1変速軸と前記出力軸との間に位置して前記直線P−Pを挟んで対向するように配置し、前記第1変速軸は、前記入力軸、前記高速軸、前記低速軸、前記第2変速軸、前記第3変速軸および前記出力軸によって周囲を取囲まれる構成としたことにある。
請求項3の発明は、前記入力軸の軸線をAとし、前記入力軸の軸線Aから前記高速軸に設けられた高速用歯車の外周に延ばした接線をACとし、前記入力軸の軸線Aから前記低速軸に設けられた低速軸固定歯車の外周に延ばした接線をADとしたときに、前記接線ACおよび前記接線ADを挟んで前記高速軸および前記低速軸とは反対側に形成されるスペースを機器配置空間として確保する構成としたことにある。
請求項1の発明によれば、入力軸に後進クラッチを設けることにより、後進クラッチを設けるための後進用の軸を1本減らすことができ、この後進用の軸を支持する軸受等の部品を不要とすることができる。これにより、車両用動力伝達装置の部品点数を削減し、車両用動力伝達装置の組立工数を削減することができるので、製造コストの低減にも寄与することができる。
また、請求項1の発明によれば、後進クラッチによって入力軸に後進用歯車を接続することにより、入力軸の回転を後進用歯車に直接的に伝達することができる。従って、後進クラッチを設けるための後進用の軸を入力軸とは別に設け、入力軸の回転を歯車の噛合いによって後進用の軸に伝達する場合に比較して、歯車の噛合い回数を低減することができる。この結果、歯車の噛合いに伴う動力の損失を抑えることができ、動力伝達装置を搭載した車両の燃料消費率(燃費)を向上させることができる。
しかも、後進クラッチの後進用歯車、高速クラッチの高速用歯車、低速クラッチの低速用歯車が、第1変速軸に固定された一方の第1変速軸固定歯車に噛合うことにより、前進走行時および後進走行時における入力軸の回転は、必ず第1変速軸を経由して第2変速軸または第3変速軸に伝達されることになる。即ち、入力軸から出力軸に至る複数の動力伝達経路は、必ず第1変速軸を経由するので、入力軸、高速軸、低速軸、第2変速軸、第3変速軸を第1変速軸の周囲に集約して配置することができる。
請求項2の発明によれば、入力軸、高速軸、低速軸、第2変速軸、第3変速軸および出力軸によって第1変速軸の周囲を取囲むことにより、動力伝達装置全体をコンパクトに形成することができる。この結果、小型車両等の機器配置スペースが狭い車両に対しても、動力伝達装置を余裕をもって搭載することができる。
請求項3の発明によれば、入力軸の周囲に油圧ポンプを取付けるための大きな機器配置空間を確保することができる。この結果、油圧ポンプの入力軸を原動機の出力軸と並行に配置する構成(サイドPTO)を採用した場合でも、車両用動力伝達装置に余裕をもって油圧ポンプを取付けることができ、車両用動力伝達装置の設計の自由度を高めることができる。
本発明に係る車両用動力伝達装置を搭載したホイールローダを示す正面図である。 第1の実施の形態による車両用動力伝達装置を構成する軸、歯車、クラッチ等を示す概略構成図である。 図2中の軸、歯車の配置図である。 ホイールローダの走行状態と動力伝達経路との関係を示す説明図である。
以下、本発明に係る車両用動力伝達装置の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図中、1はホイール式の作業車両の代表例としてのホイールローダを示している。このホイールローダ1は、左,右の前車輪2が設けられた前部車体3と、左,右の後車輪4が設けられた後部車体5とが、連結機構6を介して左,右方向に屈曲可能に連結されている。そして、ホイールローダ1は、ステアリングシリンダ7によって前部車体3と後部車体5とを左,右方向に屈曲させることによって操舵を行う、アーティキュレート式の作業車両として構成されている。
ここで、ホイールローダ1の前部車体3には、ローダバケット8Aを備えた作業装置8が俯仰動可能に設けられている。一方、ホイールローダ1の後部車体5には、運転室を画成するキャブ9、原動機としてのエンジン10、後述する車両用の動力伝達装置21等が搭載されている。
また、前部車体3の下側には、左,右方向に延びるフロントアクスル(前車軸)11が設けられ、該フロントアクスル11の両端側には左,右の前車輪2が取付けられている。一方、後部車体5の下側には、左,右方向に延びるリヤアクスル(後車軸)12が設けられ、該リヤアクスル12の両端側には左,右の後車輪4が取付けられている。そして、フロントアクスル11は、プロペラシャフト13を介して後述する動力伝達装置21の出力軸48に接続され、リヤアクスル12は、プロペラシャフト14を介して動力伝達装置21の出力軸48に接続されている。
次に、本実施の形態に用いられる動力伝達装置21について説明する。
即ち、21はホイールローダ1の後部車体5に搭載された動力伝達装置を示している。図1に示すように、動力伝達装置21は、エンジン10に接続され、エンジン10の回転出力を変速してフロントアクスル11及びリヤアクスル12に伝達するものである。この動力伝達装置21は、前進走行時には1速から6速まで6段の速度切換えを行うことができ、後進走行時には1速から3速まで3段の速度切換えを行うことができる構成となっている。
ここで、動力伝達装置21は、ケーシング22内に設けられた後述のトルクコンバータ23と、入力軸24と、中間軸としての高速軸27、低速軸30、第1変速軸33、第2変速軸40および第3変速軸45と、出力軸48と、各クラッチ26,29,32,39,44,47と、各歯車25,26A,28,29A,31,32A,34,35,41,42,44A,46,47A,49とにより構成されている。
23はトルクコンバータを示し、該トルクコンバータ23は、エンジン10のクランク軸(図示せず)に接続されている。このトルクコンバータ23は、エンジン10の回転出力をオイルを用いて後述の入力軸24に伝達するものである。
24はエンジン10によって回転する入力軸を示し、該入力軸24は、トルクコンバータ23を介してエンジン10の回転出力が伝達されるものである。ここで、入力軸24には、当該入力軸24に対して固定された入力軸固定歯車25が設けられ、該入力軸固定歯車25は、後述する高速軸固定歯車28と低速軸固定歯車31とに常時噛合うものである。この場合、入力軸24は、その軸線(軸中心)Aと後述する出力軸48の軸線(軸中心)Bとを結ぶ直線P−P上に配置され、入力軸24と出力軸48とは、上,下に間隔をもって互いに並行に延びている。
26は入力軸24に設けられた後進クラッチを示している。この後進クラッチ26は、入力軸24に対して回転可能に設けられた後進用歯車26Aと入力軸24との間に配置されている。後進クラッチ26は、クラッチ圧の給排により入力軸24に対して後進用歯車26Aを選択的に接続するものである。また、後進用歯車26Aは、後述する一方の第1変速軸固定歯車34に常時噛合うものである。
27は入力軸24と後述する第1変速軸33との間に位置し、直線P−Pを挟んで後述の低速軸30と対向するように配置された高速軸を示している。この高速軸27は、ホイールローダ1が高速で前進走行を行うときに入力軸24の回転が伝達されるものである。高速軸27には、当該高速軸27に対して固定された高速軸固定歯車28が設けられ、この高速軸固定歯車28は入力軸固定歯車25に噛合っている。従って、高速軸27と入力軸24とは常に一体に回転するものである。
29は高速軸27に設けられた高速クラッチを示している。この高速クラッチ29は、高速軸27に対して回転可能に設けられた高速用歯車29Aと高速軸27との間に配置されている。高速クラッチ29は、クラッチ圧の給排により入力軸24に対して高速用歯車29Aを選択的に接続するものである。また、高速用歯車29Aは、後述する一方の第1変速軸固定歯車34に常時噛合うものである。
30は入力軸24と第1変速軸33との間に位置し、直線P−Pを挟んで高速軸27と対向するように配置された低速軸を示している。この低速軸30は、ホイールローダ1が低速で前進走行を行うときに入力軸24の回転が伝達されるものである。低速軸30には、当該低速軸30に対して固定された低速軸固定歯車31が設けられ、この低速軸固定歯車31は入力軸固定歯車25に噛合っている。従って、低速軸30と入力軸24とは常に一体に回転するものである。
32は低速軸30に設けられた低速クラッチを示している。この低速クラッチ32は、低速軸30に対して回転可能に設けられた低速用歯車32Aと低速軸30との間に配置されている。低速クラッチ32は、クラッチ圧の給排により入力軸24に対して低速用歯車32Aを選択的に接続するものである。また、低速用歯車32Aは、後述する一方の第1変速軸固定歯車34に常時噛合うものである。
33は第1変速軸を示し、該第1変速軸33は、高速軸27および低速軸30よりも下側に位置し、入力軸24と後述する出力軸48との間に配置されている。この第1変速軸33は、高速軸27、低速軸30あるいは後進走行時における入力軸24の回転を変速して、第2変速軸40または第3変速軸45に伝達するものである。
ここで、第1変速軸33には、軸方向に間隔をもって固定された2個の第1変速軸固定歯車34,35が設けられ、一方の第1変速軸固定歯車34と他方の第1変速軸固定歯車35とは、互いに異なる歯数を有している。この場合、一方の第1変速軸固定歯車34は、低速クラッチ32の低速用歯車32Aに噛合うと共に、図2中の破線36で示すように、高速クラッチ29の高速用歯車29Aに噛合っている。さらに、第1変速軸固定歯車34は、図2中の破線37で示すように、後進クラッチ26の後進用歯車26Aに噛合うと共に、図2中の破線38で示すように、後述する第3変速クラッチ47の第3変速用歯車47Aに噛合っている。また、他方の第1変速軸固定歯車35は、後述する第2変速クラッチ44の第2変速用歯車44Aに噛合っている。
39は第1変速軸33に設けられた第1変速クラッチを示し、該第1変速クラッチ39は、第1変速軸33に対して回転可能に設けられた第1変速用歯車39Aと第1変速軸33との間に配置されている。この第1変速クラッチ39は、クラッチ圧の給排により第1変速軸33に対して第1変速用歯車39Aを選択的に接続するものである。また、第1変速用歯車39Aは、後述する一方の第2変速軸固定歯車41に噛合っている。
40は第1変速軸33と後述する出力軸48との間に位置し、直線P−Pを挟んで後述の第3変速軸45と対向するように配置された第2変速軸を示している。この第2変速軸40は、第1変速軸33の回転を変速して後述の出力軸48に伝達するものである。ここで、第2変速軸40には、当該第2変速軸40に対して軸方向に間隔をもって固定された2個の第2変速軸固定歯車41,42が設けられ、一方の第2変速軸固定歯車41と他方の第2変速軸固定歯車42とは、互いに異なる歯数を有している。この場合、一方の第2変速軸固定歯車41は、第1変速クラッチ39の第1変速用歯車39Aに噛合し、他方の第2変速軸固定歯車42は、図2中の破線43で示すように、後述する出力軸固定歯車49に噛合っている。
44は第2変速軸40に設けられた第2変速クラッチを示し、該第2変速クラッチ44は、第2変速軸40に対して回転可能に設けられた第2変速用歯車44Aと第2変速軸40との間に配置されている。この第2変速クラッチ44は、クラッチ圧の給排により第2変速軸40に対して第2変速用歯車44Aを選択的に接続するものである。また、第2変速用歯車44Aは、第1変速軸33の第1変速軸固定歯車35に噛合っている。
45は第1変速軸33と出力軸48との間に位置し、直線P−Pを挟んで第2変速軸40と対向するように配置された第3変速軸を示している。この第3変速軸45は、第1変速軸33の回転を変速して後述の出力軸48に伝達するものである。ここで、第3変速軸45には、当該第3変速軸45に対して固定された1個の第3変速軸固定歯車46が設けられ、この第3変速軸固定歯車46は、後述する出力軸固定歯車49に噛合うものである。
47は第3変速軸45に設けられた第3変速クラッチを示し、該第3変速クラッチ47は、第3変速軸45に対して回転可能に設けられた第3変速用歯車47Aと第3変速軸45との間に配置されている。この第3変速クラッチ47は、クラッチ圧の給排により第3変速軸45に対して第3変速用歯車47Aを選択的に接続するものである。また、第3変速用歯車47Aは、第1変速軸33の第1変速軸固定歯車34に噛合っている。
48は各変速軸33,40,45よりも下側に配置された出力軸を示し、該出力軸48は、その軸線Bと入力軸24の軸線Aとを結ぶ直線P−P上に配置され、入力軸24と上,下方向に間隔をもって互いに並行に延びている。この出力軸48は、各変速軸33,40,45によって変速された回転を、図1に示すプロペラシャフト13,14を介して、ホイールローダ1のフロントアクスル11、リヤアクスル12に伝達するものである。
ここで、出力軸48には、当該出力軸48に対して固定された1個の出力軸固定歯車49が設けられ、この出力軸固定歯車49は、第2変速軸40の第2変速軸固定歯車42と、第3変速軸45の第3変速軸固定歯車46とに噛合っている。
この場合、本実施の形態による動力伝達装置21は、第1変速軸33の周囲に、入力軸24、高速軸27、低速軸30、第2変速軸40、第3変速軸45および出力軸48を取囲むように配置することにより、動力伝達装置21全体をコンパクトに形成することができる構成となっている。
また、図3に示すように、入力軸24の軸線Aから高速軸27に設けられた高速用歯車29Aの外周に延ばした接線をACとし、入力軸24の軸線Aから低速軸30に設けられた低速軸固定歯車31の外周に延ばした接線をADとすると、接線ACおよび接線ADを挟んで高速軸27および低速軸30とは反対側には、ハッチングを付して示す大きなスペース50が形成される構成となっている。
本実施の形態による動力伝達装置21は上述の如き構成を有するもので、以下、ホイールローダ1の走行時における動力伝達装置21の変速動作について説明する。
まず、ホイールローダ1が前進走行するときの1速から6速の変速動作について説明する。
エンジン10が作動すると、このエンジン10の回転出力がトルクコンバータ23を介して入力軸24に伝達され、入力軸24が入力軸固定歯車25と共に回転する。これにより、入力軸固定歯車25に噛合う高速軸固定歯車28を有する高速軸27と、入力軸固定歯車25に噛合う低速軸固定歯車31を有する低速軸30とが、入力軸24と一体に回転する。
ここで、ホイールローダ1を1速で前進走行させる場合には、低速クラッチ32を低速軸30に接続すると共に、第1変速クラッチ39を第1変速軸33に接続する。このため、低速用歯車32Aが低速軸30と一体に回転し、この低速用歯車32Aと第1変速軸固定歯車34との噛合いにより、第1変速軸33が回転する。
このとき、第1変速軸33には第1変速クラッチ39が接続されているので、第1変速用歯車39Aが第1変速軸33と一体に回転する。この第1変速用歯車39Aは、第2変速軸固定歯車41に噛合うので、第1変速用歯車39Aの回転は、第2変速軸固定歯車41を介して第2変速軸40に伝達される。これにより、第2変速軸固定歯車42が回転し、この第2変速軸固定歯車42と出力軸固定歯車49との噛合いにより、第2変速軸固定歯車42の回転が出力軸48に伝達される。
従って、ホイールローダ1を1速で前進走行させる場合には、図4の「前進1速」欄に記載したように、入力軸固定歯車25、低速軸固定歯車31、低速クラッチ32の低速用歯車32A、第1変速軸固定歯車34、第1変速クラッチ39の第1変速用歯車39A、第2変速軸固定歯車41,42、出力軸固定歯車49等を介して入力軸24の回転を出力軸48に伝達することができる。この動力伝達経路において、歯車が噛合う回数は4回となっている。
次に、ホイールローダ1を2速で前進走行させる場合には、高速クラッチ29を高速軸27に接続すると共に、第1変速クラッチ39を第1変速軸33に接続する。このため、高速用歯車29Aが高速軸27と一体に回転し、この高速用歯車29Aと第1変速軸固定歯車34との噛合いにより、第1変速軸33が回転する。
このとき、第1変速軸33には第1変速クラッチ39が接続されているので、第1変速用歯車39Aが第1変速軸33と一体に回転する。この第1変速用歯車39Aは、第2変速軸固定歯車41に噛合うので、第1変速用歯車39Aの回転は、第2変速軸固定歯車41を介して第2変速軸40に伝達される。これにより、第2変速軸固定歯車42が回転し、この第2変速軸固定歯車42と出力軸固定歯車49との噛合いにより、第2変速軸固定歯車42の回転が出力軸48に伝達される。
従って、ホイールローダ1を2速で前進走行させる場合には、図4の「前進2速」欄に記載したように、入力軸固定歯車25、高速軸固定歯車28、高速クラッチ29の高速用歯車29A、第1変速軸固定歯車34、第1変速クラッチ39の第1変速用歯車39A、第2変速軸固定歯車41,42、出力軸固定歯車49等を介して入力軸24の回転を出力軸48に伝達することができる。この動力伝達経路において、歯車が噛合う回数は4回となっている。
次に、ホイールローダ1を3速で前進走行させる場合には、低速クラッチ32を低速軸30に接続すると共に、第2変速クラッチ44を第2変速軸40に接続する。このため、低速用歯車32Aが低速軸30と一体に回転し、この低速用歯車32Aと第1変速軸固定歯車34との噛合いにより、第1変速軸33が回転する。
このとき、第2変速クラッチ44は第2変速軸40に接続されているので、第1変速軸33の回転は、第1変速軸固定歯車35に噛合う第2変速用歯車44Aを介して第2変速軸40に伝達される。これにより、第2変速軸固定歯車42が回転し、この第2変速軸固定歯車42と出力軸固定歯車49との噛合いにより、第2変速軸固定歯車42の回転が出力軸48に伝達される。
従って、ホイールローダ1を3速で前進走行させる場合には、図4の「前進3速」欄に記載したように、入力軸固定歯車25、低速軸固定歯車31、低速クラッチ32の低速用歯車32A、第1変速軸固定歯車34,35、第2変速クラッチ44の第2変速用歯車44A、第2変速軸固定歯車42、出力軸固定歯車49等を介して入力軸24の回転を出力軸48に伝達することができる。この動力伝達経路において、歯車が噛合う回数は4回となっている。
次に、ホイールローダ1を4速で前進走行させる場合には、高速クラッチ29を高速軸27に接続すると共に、第2変速クラッチ44を第2変速軸40に接続する。このため、高速用歯車29Aが高速軸27と一体に回転し、この高速用歯車29Aと第1変速軸固定歯車34との噛合いにより、第1変速軸33が回転する。
このとき、第2変速クラッチ44は第2変速軸40に接続されているので、第1変速軸33の回転は、第1変速軸固定歯車35に噛合う第2変速用歯車44Aを介して第2変速軸40に伝達される。これにより、第2変速軸固定歯車42が回転し、この第2変速軸固定歯車42と出力軸固定歯車49との噛合いにより、第2変速軸固定歯車42の回転が出力軸48に伝達される。
従って、ホイールローダ1を4速で前進走行させる場合には、図4の「前進4速」欄に記載したように、入力軸固定歯車25、高速軸固定歯車28、高速クラッチ29の高速用歯車29A、第1変速軸固定歯車34,35、第2変速クラッチ44の第2変速用歯車44A、第2変速軸固定歯車42、出力軸固定歯車49等を介して入力軸24の回転を出力軸48に伝達することができる。この動力伝達経路において、歯車が噛合う回数は4回となっている。
次に、ホイールローダ1を5速で前進走行させる場合には、低速クラッチ32を低速軸30に接続すると共に、第3変速クラッチ47を第3変速軸45に接続する。このため、低速用歯車32Aが低速軸30と一体に回転し、この低速用歯車32Aと第1変速軸固定歯車34との噛合いにより、第1変速軸33が回転する。
このとき、第3変速クラッチ47は第3変速軸45に接続されているので、第1変速軸33の回転は、第1変速軸固定歯車34に噛合う第3変速用歯車47Aを介して第3変速軸45に伝達される。これにより、第3変速軸固定歯車46が回転し、この第3変速軸固定歯車46と出力軸固定歯車49との噛合いにより、第3変速軸固定歯車46の回転が出力軸48に伝達される。
従って、ホイールローダ1を5速で前進走行させる場合には、図4の「前進5速」欄に記載したように、入力軸固定歯車25、低速軸固定歯車31、低速クラッチ32の低速用歯車32A、第1変速軸固定歯車34、第3変速クラッチ47の第3変速用歯車47A、第3変速軸固定歯車46、出力軸固定歯車49等を介して入力軸24の回転を出力軸48に伝達することができる。この動力伝達経路において、歯車が噛合う回数は4回となっている。
次に、ホイールローダ1を6速で前進走行させる場合には、高速クラッチ29を高速軸27に接続すると共に、第3変速クラッチ47を第3変速軸45に接続する。このため、高速用歯車29Aが高速軸27と一体に回転し、この高速用歯車29Aと第1変速軸固定歯車34との噛合いにより、第1変速軸33が回転する。
このとき、第3変速クラッチ47は第3変速軸45に接続されているので、第1変速軸33の回転は、第1変速軸固定歯車34に噛合う第3変速用歯車47Aを介して第3変速軸45に伝達される。これにより、第3変速軸固定歯車46が回転し、この第3変速軸固定歯車46と出力軸固定歯車49との噛合いにより、第3変速軸固定歯車46の回転が出力軸48に伝達される。
従って、ホイールローダ1を6速で前進走行させる場合には、図4の「前進6速」欄に記載したように、入力軸固定歯車25、高速軸固定歯車28、高速クラッチ29の高速用歯車29A、第1変速軸固定歯車34、第3変速クラッチ47の第3変速用歯車47A、第3変速軸固定歯車46、出力軸固定歯車49等を介して入力軸24の回転を出力軸48に伝達することができる。この動力伝達経路において、歯車が噛合う回数は4回となっている。
このように、本実施の形態による動力伝達装置21では、ホイールローダ1が1速から6速で前進走行を行うときの各動力伝達経路において、歯車が噛合う回数を4回とすることができる。一方、従来技術として例示した特表平10−510612号公報の動力伝達装置においては、1速で前進走行を行うときの動力伝達経路における歯車の噛合い回数が6回となり、2速から6速で前進走行を行うときの動力伝達経路における歯車の噛合い回数が4回となっている。
従って、本実施の形態による動力伝達装置21は、ホイールローダ1が1速で前進走行を行うときの動力伝達経路において、歯車の噛合い回数を低減することができ、この分、動力の損失を抑えることができる。この結果、ホイールローダ1が1速で前進走行するときの燃料消費率(燃費)を向上させることができる。
次に、ホイールローダ1が後進走行するときの1速から3速の変速動作について説明する。
ホイールローダ1を1速で後進走行させる場合には、後進クラッチ26を入力軸24に接続すると共に、第1変速クラッチ39を第1変速軸33に接続する。このため、後進用歯車26Aが入力軸24と一体に回転し、この後進用歯車26Aと第1変速軸固定歯車34との噛合いにより、第1変速軸33が回転する。
このとき、第1変速軸33には第1変速クラッチ39が接続されているので、第1変速用歯車39Aが第1変速軸33と一体に回転する。この第1変速用歯車39Aは、第2変速軸固定歯車41に噛合うので、第1変速用歯車39Aの回転は、第2変速軸固定歯車41を介して第2変速軸40に伝達される。これにより、第2変速軸固定歯車42が回転し、この第2変速軸固定歯車42と出力軸固定歯車49との噛合いにより、第2変速軸固定歯車42の回転が出力軸48に伝達される。
従って、ホイールローダ1を1速で後進走行させる場合には、図4の「後進1速」欄に記載したように、後進クラッチ26の後進用歯車26A、第1変速軸固定歯車34、第1変速クラッチ39の第1変速用歯車39A、第2変速軸固定歯車41,42、出力軸固定歯車49等を介して入力軸24の回転を出力軸48に伝達することができる。この動力伝達経路において、歯車が噛合う回数は3回となっている。
次に、ホイールローダ1を2速で後進走行させる場合には、後進クラッチ26を入力軸24に接続すると共に、第2変速クラッチ44を第2変速軸40に接続する。このため、後進用歯車26Aが入力軸24と一体に回転し、この後進用歯車26Aと第1変速軸固定歯車34との噛合いにより、第1変速軸33が回転する。
このとき、第2変速クラッチ44は第2変速軸40に接続されているので、第1変速軸33の回転は、第1変速軸固定歯車35に噛合う第2変速用歯車44Aを介して第2変速軸40に伝達される。これにより、第2変速軸固定歯車42が回転し、この第2変速軸固定歯車42と出力軸固定歯車49との噛合いにより、第2変速軸固定歯車42の回転が出力軸48に伝達される。
従って、ホイールローダ1を2速で後進走行させる場合には、図4の「後進2速」欄に記載したように、後進クラッチ26の後進用歯車26A、第1変速軸固定歯車34、第2変速クラッチ44の第2変速用歯車44A、第2変速軸固定歯車42、出力軸固定歯車49等を介して入力軸24の回転を出力軸48に伝達することができる。この動力伝達経路において、歯車が噛合う回数は3回となっている。
次に、ホイールローダ1を3速で後進走行させる場合には、後進クラッチ26を入力軸24に接続すると共に、第3変速クラッチ47を第3変速軸45に接続する。このため、後進用歯車26Aが入力軸24と一体に回転し、この後進用歯車26Aと第1変速軸固定歯車34との噛合いにより、第1変速軸33が回転する。
このとき、第3変速クラッチ47は第3変速軸45に接続されているので、第1変速軸33の回転は、第1変速軸固定歯車34に噛合う第3変速用歯車47Aを介して第3変速軸45に伝達される。これにより、第3変速軸固定歯車46が回転し、この第3変速軸固定歯車46と出力軸固定歯車49との噛合いにより、第3変速軸固定歯車46の回転が出力軸48に伝達される。
従って、ホイールローダ1を3速で後進走行させる場合には、図4の「後進3速」欄に記載したように、後進クラッチ26の後進用歯車26A、第1変速軸固定歯車34、第3変速クラッチ47の第3変速用歯車47A、第3変速軸固定歯車46、出力軸固定歯車49等を介して入力軸24の回転を出力軸48に伝達することができる。この動力伝達経路において、歯車が噛合う回数は3回となっている。
このように、本実施の形態による動力伝達装置21では、ホイールローダ1が1速から3速で後進走行を行うときの各動力伝達経路において、歯車が噛合う回数を3回とすることができる。一方、従来技術として例示した特表平10−510612号公報の動力伝達装置においては、1速から3速で後進走行を行うときの動力伝達経路における歯車の噛合い回数が5回となっている。
従って、本実施の形態による動力伝達装置21は、ホイールローダ1が1速から3速で後進走行を行うときの動力伝達経路において、歯車の噛合い回数を低減することができ、この分、動力の損失を抑えることができる。この結果、ホイールローダ1が後進走行するときの燃料消費率(燃費)を向上させることができる。
かくして、本実施の形態による動力伝達装置21は、入力軸24に後進用歯車26Aを接続する後進クラッチ26を設けることにより、後進クラッチを設けるための後進用の軸を1本減らすことができ、かつ後進用の軸を支持するための軸受等の部品を不要とすることができる。この結果、動力伝達装置21の部品点数を削減することができ、組立工数の低減を図ることができるので、動力伝達装置21の製造コストの低減にも寄与することができる。
しかも、本実施の形態による動力伝達装置21は、後進クラッチ26によって入力軸24に後進用歯車26Aを接続することにより、入力軸24の回転を後進用歯車26Aに直接的に伝達することができる。従って、例えば後進クラッチを設けるための後進用の軸を入力軸24とは別に設け、入力軸24の回転を歯車の噛合いによって後進用の軸に伝達する場合に比較して、歯車の噛合い回数を低減することができる。この結果、歯車の噛合いに伴う動力の損失を抑えることができ、動力伝達装置21を搭載したホイールローダ1の燃料消費率(燃費)を向上させることができる。
さらに、本実施の形態による動力伝達装置21は、後進クラッチ26の後進用歯車26A、高速クラッチ29の高速用歯車29A、低速クラッチ32の低速用歯車32Aが、第1変速軸33に固定された一方の第1変速軸固定歯車34に噛合う構成としている。これにより、ホイールローダ1の前進走行時および後進走行時における入力軸24の回転は、必ず第1変速軸33を経由して第2変速軸40または第3変速軸45に伝達されることになる。即ち、入力軸24から出力軸48に至る複数の動力伝達経路は、必ず第1変速軸33を経由することになる。このため、入力軸24、高速軸27、低速軸30、第2変速軸40、第3変速軸45を、第1変速軸33の周囲に集約して配置することができる。
従って、入力軸24、高速軸27、低速軸30、第2変速軸40、第3変速軸45および出力軸48を、第1変速軸33の周囲を取囲むように配置することができる。この結果、動力伝達装置21全体をコンパクトに形成することができ、ホイールローダ1の後部車体5内に動力伝達装置21を余裕をもって搭載することができる。
一方、図3に示すように、入力軸24の軸線Aから高速軸27に設けられた高速用歯車29Aの外周に延ばした接線ACと、入力軸24の軸線Aから低速軸30に設けられた低速軸固定歯車31の外周に延ばした接線ADとを挟んで高速軸27および低速軸30とは反対側には、機器配置空間となる大きなスペース50を確保することができる。この結果、例えば油圧ポンプの入力軸(いずれも図示せず)をエンジン10の出力軸と並行に配置する構成(サイドPTO)を採用する場合において、スペース50内に余裕をもって油圧ポンプを配置することができる。従って、油圧ポンプを動力伝達装置21に取付けるときの設計の自由度を高めることができる。
なお、上述した実施の形態では、動力伝達装置21を搭載する作業車両としてホイールローダ1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式ショベル等の建設車両、リフトトラック等の運搬車両、トラクタ等の農業車両といった他の作業車両に搭載される動力伝達装置に広く適用することができる。
1 ホイールローダ(車両)
2 前車輪
4 後車輪
10 エンジン(原動機)
21 動力伝達装置
24 入力軸
25 入力軸固定歯車
26 後進クラッチ
26A 後進用歯車
27 高速軸(中間軸)
28 高速軸固定歯車
29 高速クラッチ
29A 高速用歯車
30 低速軸(中間軸)
31 低速軸固定歯車
32 低速クラッチ
32A 低速用歯車
33 第1変速軸(中間軸)
34 一方の第1変速軸固定歯車
35 他方の第1変速軸固定歯車
39 第1変速クラッチ
39A 第1変速用歯車
40 第2変速軸(中間軸)
41 一方の第2変速軸固定歯車
42 他方の第2変速軸固定歯車
44 第2変速クラッチ
44A 第2変速用歯車
45 第3変速軸(中間軸)
46 第3変速軸固定歯車
47 第3変速クラッチ
47A 第3変速用歯車
48 出力軸
49 出力軸固定歯車

Claims (3)

  1. 車両に搭載された原動機によって回転する入力軸と、前記車両の車輪に回転を出力する出力軸と、前記入力軸の回転を前記出力軸に伝達する複数の中間軸とを備え、前記中間軸は、前記入力軸の回転が伝達される高速走行用の高速軸および低速走行用の低速軸と、前記高速軸または前記低速軸の回転を変速して前記出力軸に伝達する第1変速軸、第2変速軸および第3変速軸とにより構成してなる車両用動力伝達装置において、
    前記入力軸には、該入力軸に後進用歯車を接続する後進クラッチを設けると共に、前記入力軸に対して固定された入力軸固定歯車を設け、
    前記高速軸には、該高速軸に高速用歯車を接続する高速クラッチを設けると共に、前記高速軸に対して固定された高速軸固定歯車を設け、
    前記低速軸には、該低速軸に低速用歯車を接続する低速クラッチを設けると共に、前記低速軸に対して固定された低速軸固定歯車を設け、
    前記第1変速軸には、該第1変速軸に第1変速用歯車を接続する第1変速クラッチを設けると共に、前記第1変速軸に対して固定された2個の第1変速軸固定歯車を設け、
    前記第2変速軸には、該第2変速軸に第2変速用歯車を接続する第2変速クラッチを設けると共に、前記第2変速軸に対して固定された2個の第2変速軸固定歯車を設け、
    前記第3変速軸には、該第3変速軸に第3変速用歯車を接続する第3変速クラッチを設けると共に、前記第3変速軸に対して固定された1個の第3変速軸固定歯車を設け、
    前記入力軸の入力軸固定歯車は、前記高速軸の高速軸固定歯車と前記低速軸の低速軸固定歯車とに噛合い、
    前記後進クラッチの後進用歯車、前記高速クラッチの高速用歯車、前記低速クラッチの低速用歯車、および前記第3変速クラッチの第3変速用歯車は、前記第1変速軸の一方の第1変速軸固定歯車に噛合い、
    前記第1変速軸の他方の第1変速軸固定歯車は、前記第2変速クラッチの第2変速用歯車に噛合い、
    前記第1変速クラッチの第1変速用歯車は、前記第2変速軸の一方の第2変速軸固定歯車に噛合い、
    前記第2変速軸の他方の第2変速軸固定歯車と前記第3変速軸の第3変速軸固定歯車とは、前記出力軸に固定された出力軸固定歯車に噛合う構成としたことを特徴とする車両用動力伝達装置。
  2. 前記入力軸と前記出力軸とは互いの軸線を結ぶ直線P−P上に間隔をもって配置し、
    前記第1変速軸は前記入力軸と前記出力軸との間に配置し、
    前記高速軸と前記低速軸とは前記入力軸と前記第1変速軸との間に位置して前記直線P−Pを挟んで対向するように配置し、
    前記第2変速軸と前記第3変速軸とは前記第1変速軸と前記出力軸との間に位置して前記直線P−Pを挟んで対向するように配置し、
    前記第1変速軸は、前記入力軸、前記高速軸、前記低速軸、前記第2変速軸、前記第3変速軸および前記出力軸によって周囲を取囲まれる構成としてなる請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
  3. 前記入力軸の軸線をAとし、前記入力軸の軸線Aから前記高速軸に設けられた高速用歯車の外周に延ばした接線をACとし、前記入力軸の軸線Aから前記低速軸に設けられた低速軸固定歯車の外周に延ばした接線をADとしたときに、
    前記接線ACおよび前記接線ADを挟んで前記高速軸および前記低速軸とは反対側に形成されるスペースを機器配置空間として確保する構成としてなる請求項2に記載の車両用動力伝達装置。
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