JP5836901B2 - 空気作動弁制御システム及び方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、空気作動弁制御システム及び方法に関する。
蒸気タービンは、緊急時等にその動作を停止させるため、蒸気加減弁や主蒸気止め弁等の蒸気タービンの運転に係る主要な弁を閉止する必要がある。蒸気タービンを停止させるため、これらの主要な弁を速やかに閉止させることは、蒸気タービンの保安上重要である。これら主要な弁は、非常用の油圧駆動装置を備えており、緊急時にタービンを停止する場合、この非常用油圧の動作により閉止することができる。
具体的には、これら主要弁は、非常用油圧が喪失した状態(以下、タービントリップとする)の時は、閉止する。逆に、非常用油圧が確立されている状態(以下、タービンリセットとする)の時は、開弁することが可能となる。
一方、主要弁に用いられる油圧駆動方式は高価であるため、低廉な空気により駆動する方式である空気作動弁がある。空気作動弁は、駆動するための空気源を供給し又は喪失させることで開閉を行うものである。
空気作動弁は、抽気逆止弁、ベンチレータ弁や中圧ロータリング弁等が例示される。代表例である抽気逆止弁は、蒸気タービンで発生する蒸気を給水加熱器へ抽気する途中に設置される。このため、タービントリップ時、抽気逆止弁が閉止されないと、給水加熱器からドレン水が逆流し、蒸気タービン内に流入してタービンを損壊させる恐れがある。したがって、タービントリップ時に、空気作動弁を主要弁とともに確実に閉止動作させることも蒸気タービンの保安上重要となる。
従来から、非常用油圧と連動して駆動する機械式のリレーダンプ弁を使用して、タービントリップ時またはタービンリセット時において空気作動弁の開閉を行ってきた。(例えば、特許文献1)。
特開昭63−297705号公報
特許文献1の技術は、単数のリレーダンプ弁により、空気作動弁を駆動している。このため、リレーダンプ弁が故障すると、空気作動弁を駆動することができなくなるという課題がある。また、空気作動弁の駆動には、主要弁が備える非常用油圧の取り出しが必要となる。このため主要弁については、コストメリットの高い代替品への変更を容易にすることができない。これは、設計の合理化を進める上で課題となる。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、冗長性を実現しつつ、信頼性の高い空気作動弁制御システム及び方法を提供することを目的とする。
本実施形態の空気作動弁制御システムは、三つのポートP、A及びEを有する電磁弁のP−A間を開通させる第一信号、またはE−A間を開通させる第二信号を出力する制御部と、空気圧を供給する空気供給部にポートPが接続される第一電磁弁と、ポートPが前記空気供給部と接続され、ポートEがベント解放され、ポートAが前記第一電磁弁のポートEと接続される第二電磁弁と、ポートPが前記第一電磁弁のポートAと接続され、ポートEがベント解放される第三電磁弁と、ポートPが前記第一電磁弁のポートAと接続され、ポートEが前記第三電磁弁のポートAと接続され、ポートAが前記空気圧により作動する空気作動弁と接続される第四電磁弁と、を備えることを特徴とするものである。
本実施形態に係る空気作動弁制御システムの構成図。 本実施形態に適用される制御回路の構成図。 本実施形態に適用されるリレーダンプ弁故障検知回路に係る各信号の出力を、時系列で表したタイミングチャート。 タービンリセット時又はタービントリップ時における、本実施形態に係る空気作動弁制御システムの構成図。 タービンリセット時に、各電磁弁が一つ故障した場合における、本実施形態に係る空気作動弁制御システムの構成図。 タービントリップ時に、各電磁弁が一つ故障した場合における、本実施形態に係る空気作動弁制御システムの構成図。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明の実施形態に係る空気作動弁制御システム10(以下、単に「システム10」という)は、三つのポートP、A及びEを有する電磁弁12(12a〜12d)のP−A間を開通させる第一信号d1、またはE−A間を開通させる第二信号d2を出力する制御部14と、空気圧bを供給する空気供給部11にポートPが接続される第一電磁弁12aと、ポートPが空気供給部11と接続され、ポートEがベント解放され、ポートAが第一電磁弁のポートEと接続される第二電磁弁12bと、ポートPが第一電磁弁12aのポートAと接続され、ポートEがベント解放される第三電磁弁12cと、ポートPが第一電磁弁12aのポートAと接続され、ポートEが第三電磁弁12cのポートAと接続され、ポートAが空気圧bにより作動する空気作動弁16と接続される第四電磁弁12dと、から構成される。圧力検出部15は、リレーダンプ弁13の出口に設置され、リレーダンプ弁13の出口における圧力値を検出する。
電磁弁12は、三つのポートP、A及びEを有する三方電磁弁である。電磁弁12は、ソレノイドSが励磁された場合、ポートP−A間を連絡し開通させる。このとき、ポートE−A間は遮断される。逆に、ソレノイドSが無励磁の場合、ポートE−Aを連絡し開通させる。このとき、ポートP−A間は遮断される。
リレーダンプ弁13は、4個の電磁弁12で構成され、空気供給部11から供給される空気圧bが入力される。リレーダンプ弁13は、空気作動弁16に空気圧bを供給する時は、空気圧bをリレー(中継)する。一方、供給しない時は、空気圧bを遮断して、空気作動弁16を大気解放(ダンプ)する。次に、4個の電磁弁12の接続方法について説明する。
第一電磁弁12aは、ポートPが空気圧bを供給する空気供給部11に、配管17を介して接続される。
第二電磁弁12bは、ポートPが空気供給部11に、配管17を介して接続される。そして、ポートEが配管22を介してベント解放(大気解放)される。そして、ポートAが第一電磁弁12aのポートEに配管20を介して接続される。
第三電磁弁12cは、ポートPが第一電磁弁12aのポートAに配管18を介して接続される。そして、ポートEが配管23を介してベント解放される。
第四電磁弁12dは、ポートPが第一電磁弁12aのポートAに配管18を介して接続される。そして、ポートEが第三電磁弁12cのポートAと配管21を介して、接続される。そして、ポートAが空気作動弁16と配管19を介して接続される。
空気作動弁16は、リレーダンプ弁13を介して、空気供給部11から空気圧bが供給し又は喪失されることにより開閉弁動作を行う。つまり、空気作動弁16は、空気圧bが到達した時は、駆動空気が供給されて開弁し、空気圧bが到達しない時は、空気作動弁16が大気解放され、駆動空気を喪失し閉止する。
制御部14は、各電磁弁12を励磁及び無励磁として制御する第一信号d1または第二信号d2をそれぞれ出力する。第一信号d1を出力する場合は、4個の電磁弁12すべてを励磁する。第二信号d2を出力する場合は、4個の電磁弁12すべてを無励磁にする。なお、第二信号d2は、第一信号d1が成立しない信号、つまり第一信号d1の否定信号とすることができる。
図2は、システム10の制御回路についての構成図である。制御部14は、電磁弁制御回路24とリレーダンプ弁故障検知回路25から構成される。まず、電磁弁制御回路24の具体的な動作について、信号の流れとともに説明する。
タービンリセット信号生成部50は、タービンリセット時は、タービンリセット信号sを生成し、電磁弁制御回路24へ出力する。一方、タービントリップ時には、タービンリセット信号sは生成されない。
電磁弁制御回路24は、電磁弁励磁指令部51から構成される。電磁弁励磁指令部51は、タービンリセット信号sが入力された場合には、各電磁弁12に対して励磁指令を行うための第一信号d1を出力する。一方、タービンリセット信号sが生成されず否定されている場合は(タービントリップの場合)、各電磁弁12に対して無励磁とするための第二信号d2を出力する。ここで、第二信号d2は、第一信号d1の否定信号とする。
第一信号d1又は第二信号d2は、4つに分岐されて4個の電磁弁12の各々に入力される。4個の電磁弁12に入力された第一信号d1又は第二信号d2は、各々の電磁弁12の内部で2つに分岐され一方は励磁の動作の指令となる。他方は、否定演算子31〜34を介して無励磁の動作の指令となる。
否定演算子31〜34は、第一信号d1が成立の時は否定を出力し、入力信号d1が否定の時(すなわち第二信号d2が入力された時)は成立を出力するものである。
したがって、電磁弁12は、第一信号d1が入力された時は、励磁の動作が成立となり、無励磁の動作は否定となる。一方、第二信号d2が入力された時は、励磁の動作が否定となり無励磁の動作が成立となる。4個の電磁弁12は、励磁の動作と無励磁の動作は相互に排他的に成立する。
図4は、タービンリセット時またはタービントリップ時における、システム10を表す構成図である。説明のため、制御部14等を省略しているが、図1の構成と同様である。
まず、タービンリセット時(図4(a))について検討する。タービンリセット信号sが成立の時には、制御部14によって、4個の電磁弁12は励磁の動作に制御される。電磁弁12の各々は、ソレノイドSが励磁となり、ポートEが閉鎖されポートPとポートAを連絡する経路が確立する。
これにより、第一電磁弁12aのポートPからポートAへ、更に第四電磁弁12dのポートPからポートAへ通じる経路が確立する。空気供給部11から供給された空気圧bが、この経路を辿り、空気作動弁16は駆動空気が供給され開弁する。
この時、空気供給部11から第二電磁弁12bのポートPに供給された空気圧bは、ポートAから出力され第一電磁弁12aのポートEに供給される。しかし、第一電磁弁12aは、ポートEが閉鎖されており、空気圧bはここで遮断される。
同様に、第一電磁弁12aのポートAから電磁弁12cのポートPに供給された空気圧bは、ポートAから出力され電磁弁12dのポートEに供給される。しかし、電磁弁12dは、ポートEが閉鎖されており空気圧bはここで遮断される。
次にタービントリップ時(図4(b))について検討する。タービンリセット信号sが否定の時には、制御部14によって、各電磁弁12は無励磁の動作に制御される。電磁弁12の各々はソレノイドSが、無励磁となりポートPが閉鎖されポートAとポートEを連絡する経路が確立する。
これにより、空気供給部11から供給される空気圧bは、第一電磁弁12aのポートP及び第二電磁弁12bのポートPで遮断される。また電磁弁12dのポートAからポートEへ、更に電磁弁12cのポートAからポートEへ通じる経路が確立する。これにより、空気作動弁16は、この経路を辿って大気解放されるため、駆動空気を喪失し閉止される。
したがって、4個の電磁弁12により電気式のリレーダンプ弁13を構成することにより、タービンリセット時またはタービントリップ時に、空気作動弁16の開閉弁を制御することができる。また、この電気式のリレーダンプ弁13は、機械式のものと異なり非常用油圧の取り出しを必要としない。
次に、電磁弁12のいずれか一つが故障した場合について説明する。図5は、タービンリセット時に電磁弁12のいずれか一つが故障した場合の、システム10の状態を表した構成図である。図5では、制御部14等を省略しているが、構成は図1と同様である。
タービンリセット信号sが成立し、4個の電磁弁12には励磁の動作が指令される。しかし、いずれか1個の電磁弁12は、故障のため励磁することができず、無励磁のままであるとする。タービンリセット時には、空気作動弁16へ駆動空気が供給される必要がある。
まず、第一電磁弁12aが、故障している場合について検討する(図5(a))。つまり、電磁弁12aが、故障のためポートの切り替え動作が行われずに無励磁の動作が保持される。残りの電磁弁12b、12c、及び12dは正常であり励磁の動作となっている。
空気供給部11から出力された空気圧bは、電磁弁12bのポートPからポートA、電磁弁12aのポートEからポートA、そして電磁弁12dのポートPからポートAへの経路を通ることができる。よって、空気作動弁16へ駆動空気を供給することが可能である。
次に第二電磁弁12bが、故障している場合について検討する(図5(b))。つまり、電磁弁12bが、故障のためポートの切り替え動作が行われずに無励磁の動作が保持される。残りの電磁弁12a、12c、及び12dは正常であり励磁の動作となっている。
空気供給部11から供給された空気圧bは、電磁弁12aのポートPからポートA、電磁弁12dのポートPからポートAへの経路を通ることができる。よって、空気作動弁16へ駆動空気を供給することが可能である。
次に、第三電磁弁12cが、故障している場合について検討する(図5(c))。つまり、電磁弁12cが、故障のためポートの切り替え動作が行われずに無励磁の動作が保持される。残りの電磁弁12a、12b、及び12dは正常であり励磁の動作となっている
空気供給部11から供給された空気圧bは、電磁弁12aのポートPからポートA、電磁弁12dのポートPからポートAへの経路を通ることができる。よって、空気作動弁16へ駆動空気を供給することが可能である。
次に、第四電磁弁12dが、故障している場合について検討する(図5(d))。つまり、電磁弁12dが、故障のためポートの切り替え動作が行われずに無励磁の動作が保持される。残りの電磁弁12a、12b、及び12cは正常であり励磁の動作となっている。
空気供給部11から供給された空気圧bは、電磁弁12aのポートPからポートA、電磁弁12cのポートPからポートA、更に電磁弁12dのポートEからポートAへの経路を通ることができる。よって、空気作動弁16へ駆動空気を供給することが可能である。
図6は、タービントリップ時に電磁弁12のいずれか一つが故障した場合の、システム10の状態を表した構成図である。図6では、制御部14等を省略しているが、構成は図1と同様である。
このとき、タービンリセット信号sが否定されているため、制御部14から4個の電磁弁12に無励磁の動作が指令される。しかし、いずれか1個の電磁弁12は、故障のため励磁することができず、無励磁のままであるとする。タービントリップ時には、空気作動弁16は、駆動空気を喪失する必要がある。
まず、第一電磁弁12aが、故障している場合について検討する(図6(a))。つまり、電磁弁12aが、故障のためポートの切り替え動作が行われずに励磁の動作が保持される。残りの電磁弁12b、12c、及び12dは正常であり無励磁の動作となっている。
空気供給部11から供給された空気圧bは、電磁弁12aのポートPからポートAを通り、電磁弁12dのポートP及び電磁弁12cのポートPで遮断される。また、電磁弁12bのポートPに供給された空気圧bは、電磁弁12bのポートPで遮断される。
一方、空気作動弁16は、電磁弁12dのポートAからポートE、電磁弁12cのポートAからポートEの経路を通ってベント解放される。よって、空気作動弁16は、駆動空気を喪失し閉止される。
次に、第二電磁弁12bが、故障している場合について検討する(図6(b))。つまり、電磁弁12bが、故障のためポートの切り替え動作が行われずに励磁の動作が保持される。残りの電磁弁12a、12c、及び12dは正常であり無励磁の動作となっている。
空気供給部11から供給された空気圧bは、電磁弁12aのポートPで遮断され、また電磁弁12bのポートPに供給された空気圧bは、電磁弁12bのポートPからポートAの経路を通り、電磁弁12dのポートP及び電磁弁12cのポートPで遮断される。
一方、空気作動弁16は、電磁弁12dのポートAからポートE、電磁弁12cのポートAからポートEの経路を通ってベント解放される。よって、空気作動弁16は、駆動空気を喪失し閉止される。
次に、第三電磁弁12cが、故障している場合について検討する(図6(c))。つまり、電磁弁12cが、故障のためポートの切り替え動作が行われずに励磁の動作が保持される。残りの電磁弁12a、12b、及び12dは正常であり無励磁の動作となっている。
空気供給部11から供給された空気圧bは、電磁弁12aのポートPで遮断される。また電磁弁12bのポートPに供給された空気圧bは、電磁弁12bのポートPで遮断される。
一方、空気作動弁16は、電磁弁12dのポートAからポートE、電磁弁12cのポートAからポートP、電磁弁12aのポートAからポートE、更に電磁弁12bのポートAからポートEの経路を通ってベント解放される。よって、空気作動弁16は、駆動空気を喪失し閉止される。
次に、第四電磁弁12dが、故障している場合について検討する(図6(d))。つまり、電磁弁12dが、故障のためポートの切り替え動作が行われずに励磁の動作が保持される。残りの電磁弁12a、12b、及び12cは正常であり無励磁の動作となっている。
空気供給部11から供給された空気圧bは、電磁弁12aのポートPで遮断される。また電磁弁12bのポートPに供給された空気圧bは、電磁弁12bのポートPで遮断される。
一方、空気作動弁の駆動空気は電磁弁12dのポートAからポートP、電磁弁12aのポートAからポートE、更に電磁弁12bのポートAからポートEの経路を通ってベント解放される。よって、空気作動弁16は、駆動空気を喪失し閉止される。
よって、タービンリセット時(図5)及びタービントリップ時(図6)において、電磁弁12のいずれか一個が故障した場合において、リレーダンプ弁13はその動作を維持することができる。したがって、4個の電磁弁12のいずれか1個が故障した場合でも、残りの3個の電磁弁12が正常に動作すればリレーダンプ弁13の健全性を維持することができる。
次に、リレーダンプ弁故障検知回路25の動作について説明する。図2は、リレーダンプ弁故障検知回路25についての構成図を示す。
リレーダンプ弁13(図1)は、4個の電磁弁12のうち、同時に2個以上故障した場合は、その動作の健全性を保持することはできない。リレーダンプ弁故障検知回路25は、圧力検出部15で検知されるリレーダンプ弁出口圧力t(以下、単に「圧力t」と省略する)を利用して、リレーダンプ弁13の異常を検知するものである。リレーダンプ弁故障検知回路25による異常検知方法について具体的に説明する。
圧力tは、リレーダンプ弁故障検知回路25の内部で2つに分岐され、第一比較器36と第二比較器37に入力される。
第一比較器36は、この第一比較器36の設定値x(例えば0.54MPa)と圧力tを比較する。そして、圧力tが設定値xより低い時は、成立の信号を出力する。一方、圧力tが設定値x以上の時は、否定の信号を出力する。ここで設定値xは、空気作動弁16へ駆動空気である空気圧b(図1)が、供給されていることを検知する基準値となる。つまり、設定値x以上の場合は、空気作動弁16に駆動空気が供給されている状態と判断することができる。
第二比較器37は、この第二比較器37の設定値y(例えば0.2MPa)と圧力tを比較する。そして、圧力tは、設定値yより高い時に成立の信号を出力する。一方、圧力tが設定値y以下の時は、否定の信号を出力する。この設定値yは、空気作動弁16が駆動空気を喪失していることを検知する基準値となる。つまり、設定値y以下の場合は、空気作動弁16が駆動空気を喪失している状態と判断することができる。
オンディレイタイマ38は、タービンリセット信号sを入力し、タービンリセット信号sが否定から成立に変化した時は、15秒の遅れを持って成立の信号を出力する。逆に、タービンリセット信号sが成立から否定に変化した時は、遅れなく否定の信号を出力する。
タービンリセット信号sが成立すると、空気作動弁16に駆動空気が供給される。これにより、圧力tが空気供給部11の空気圧bまで増加していく。オンディレイタイマ38の設定時間である15秒は、圧力tが増加して、第一比較器36の設定値x以上となるのに十分な待ち時間を意味する。
AND演算子40は、オンディレイタイマ38の出力と第一比較器36の出力とが入力される。AND演算子40は、オンディレイタイマ38の出力と第一比較器36の出力が、共に成立した時に成立の信号を出力する。したがって、オンディレイタイマ38の出力と第一比較器36の出力のいずれか片方だけが成立の時や出力の両方が否定の時は、AND演算子40は否定の信号を出力する。
否定演算子35は、タービンリセット信号sを入力して、この信号sが成立の時は否定を出力し、否定の時は成立を出力する。
オンディレイタイマ39は、否定演算子35の出力を入力し、この出力が否定から成立に変化した時に15秒の遅れを持って成立の信号を出力する。逆に、否定演算子35の出力が成立から否定に変化した時には遅れなく否定の信号を出力する。
タービンリセット信号sが否定されると、空気作動弁16は駆動空気を喪失する。これにより、圧力tが減少していく。オンディレイタイマ39の設定時間である15秒は、駆動空気が喪失してから圧力tが減少していき、第二比較器37の設定値y以下となるのに十分な待ち時間を意味する。
AND演算子41は、オンディレイタイマ39の出力と第二比較器37の出力とが入力される。AND演算子41は、オンディレイタイマ38の出力と第二比較器37の出力が共に成立の時には成立の信号を出力する。オンディレイタイマ39の出力と第二比較器37の出力のいずれか片方だけが成立の時や出力の両方が否定の時は、AND演算子41は否定の信号を出力する。
OR演算子42は、AND演算子40の出力とAND演算子41の出力が入力される。OR演算子42は、AND演算子40の出力とAND演算子41の出力のいずれかが成立のときは、成立の信号を出力する。
リレーダンプ弁故障警報器53は、OR演算子42から成立信号が入力されるとリレーダンプ弁13が異常であるとして警報を行う。
リレーダンプ弁故障検知回路25は、タービンリセット信号sが成立し、空気作動弁16へ駆動空気が供給となると、圧力tが、空気供給部11の空気圧bまで変化することを利用する。圧力tが、基準値x以上の条件を満たさない場合、リレーダンプ弁13の動作は異常であるとして判断することができる。
また、タービンリセット信号sが否定の時は、空気作動弁16は駆動空気を喪失し、大気解放となることを利用する。このとき、圧力tが、基準値y以下の条件を満たさない場合、リレーダンプ弁13の動作は異常として判断することができる。
なお、オンディタイマ38、39の設定時間は、適宜変更することが可能である。また、圧力検出部15とリレーダンプ弁故障警報器53は、圧力スイッチや圧力トランスミッタ等で一つの計器として構成することもできる。
図3は、リレーダンプ弁故障検知回路25の各信号の時系列的な変化を示す。なお、図3では、第一比較器36、第二比較器37の設定値x、yをそれぞれ0.54MPa、0.2MPaとする。図3(a)は、タービンリセット信号sを、時系列で表したものである。
タービンリセット信号sが否定から成立に変化した時は、空気作動弁16は駆動空気を喪失状態から供給状態へ変化する。圧力検出部15で検出する圧力tは、大気解放を示す約0.1MPaから空気供給部11が供給する空気圧bまで上昇する。(図3(b))。
一方、タービンリセット信号sが成立から否定に変化した時は、空気作動弁16の駆動空気を供給状態から喪失状態へ変化する。圧力検出気器15で検出する圧力tは、空気供給部11が供給する空気圧bから大気解放つまり約0.1MPaまで下降する。(図3(b))。
なお、ここで圧力tの上昇および下降は、電磁弁12の機械的動作速度およびリレーダンプ弁13下流側容積の影響を受けるため、時間幅を持って完了する。
図3(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)は、それぞれ第一比較器36、第二比較器37、オンディレイタイマ38、否定演算子35、及びオンディレイタイマ39の出力を示す。リレーダンプ弁13が正常の場合、第一比較器36の出力とオンディレイタイマ38の出力とは、同時に両方の信号が成立となることはない。よって、AND演算子40(図2)の出力は常に否定となる。
同様に、リレーダンプ弁13が正常の場合、第二比較器37の出力とオンディレイタイマ39の出力は同時に両方の信号が成立となることはない。よって、AND演算子41(図2)の出力は常に否定となる。
リレーダンプ弁13が正常動作している場合は、AND演算子40およびAND演算子41の出力は常に否定となる。このため、OR演算子42の出力は常に否定となり、リレーダンプ弁故障警報器53は動作しない。
しかし、タービンリセット信号sが成立している時、圧力tが第一比較器36の設定値0.54MPa以上とならない場合は、第一比較器36とオンディレイタイマ38の出力の両方が成立となる。このため、これらを入力とするAND演算子40の出力が成立し、OR演算子42の出力は成立信号となる。OR演算子42から成立信号が入力されるため、リレーダンプ弁故障警報器53は、リレーダンプ弁13を異常として警報を行う。
また、タービンリセット信号sが否定の時、圧力tが第二比較器37の設定値0.2MPa以下とならない場合は、第一比較器36とオンディレイタイマ39の出力の両方が成立となる。このため、これらを入力とするAND演算子41の出力が成立し、OR演算子42の出力は成立信号となる。OR演算子42から成立信号が入力されるため、リレーダンプ弁故障警報器53は、リレーダンプ弁13を異常として警報を行う。
したがって、複数の電磁弁12が同時に故障してリレーダンプ弁13としての健全性を喪失した場合であっても、その異常を検知することが可能である。
以上述べた空気作動弁制御システムによれば、4個の電磁弁で構成された電気式のリレーダンプ弁13を使用することにより、冗長性を実現するとともに、信頼性の高い空気作動弁制御システムを構成することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…空気作動弁制御システム、11…空気供給部、12…電磁弁、12a(12)…第一電磁弁、12b(12)…第二電磁弁、12c(12)…第三電磁弁、12d(12)…第四電磁弁、13…リレーダンプ弁、14…制御部、15…圧力検出部、16…空気作動弁、17、18、19、20、21、22、23…配管、24…電磁弁制御回路、25…リレーダンプ弁故障検知回路、31、32、33、34、35…否定演算子、36…第一比較器、37…第二比較器、38、39…オンディレイタイマ、40、41…AND演算子、42…OR演算子、50…タービンリセット信号生成部、51…電磁弁励磁指令部、53…リレーダンプ弁故障警報器、b…空気圧、s…タービンリセット信号、t…リレーダンプ弁出口圧力、d1…第一信号、d2…第二信号。

Claims (6)

  1. 三つのポートP、A及びEを有する電磁弁のP−A間を開通させる第一信号、またはE−A間を開通させる第二信号を出力する制御部と、
    空気圧を供給する空気供給部にポートPが接続される第一電磁弁と、
    ポートPが前記空気供給部と接続され、ポートEがベント解放され、ポートAが前記第一電磁弁のポートEと接続される第二電磁弁と、
    ポートPが前記第一電磁弁のポートAと接続され、ポートEがベント解放される第三電磁弁と、
    ポートPが前記第一電磁弁のポートAと接続され、ポートEが前記第三電磁弁のポートAと接続され、ポートAが前記空気圧により作動する空気作動弁と接続される第四電磁弁と、
    を備えることを特徴とする空気作動弁制御システム。
  2. 請求項1に記載の空気作動弁制御システムにおいて、
    4個の前記電磁弁は、蒸気タービンの保安のためのリレーダンプ弁であることを特徴とする空気作動弁制御システム。
  3. 請求項2に記載の空気作動弁制御システムにおいて、
    前記制御部は、タービンリセットのときは、前記第一信号を出力し、またはタービントリップのときは、前記第二信号を出力する、ことを特徴とする空気作動弁制御システム。
  4. 請求項2または請求項3に記載の空気作動弁制御システムにおいて、
    前記リレーダンプ弁の出力側に圧力検出部を、さらに備えることを特徴とする空気作動弁制御システム。
  5. 請求項4に記載の空気作動弁制御システムにおいて、
    前記制御部は、前記圧力検出部で検出された圧力を用いる、前記リレーダンプ弁の故障検知回路を備えることを特徴とする空気作動弁制御システム。
  6. 三つのポートP、A及びEを有する4個の電磁弁が、第一電磁弁のポートPを空気供給部に接続し、第二電磁弁のポートPを前記空気供給部と接続しポートEをベント解放しポートAを前記第一電磁弁のポートEと接続し、第三電磁弁のポートPを前記第一電磁弁のポートAと接続しポートEをベント解放し、第四電磁弁のポートPを前記第一電磁弁のポートAと接続しポートEを前記第三電磁弁のポートAと接続しポートAを空気作動弁と接続して成るリレーダンプ弁を構成し、
    ポートP−A間を開通させる第一信号を出力するステップと、
    ポートE−A間を開通させる第二信号を出力するステップと、
    を含むことを特徴とする空気作動弁制御方法。
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