JP5835201B2 - 樹脂加熱溶融装置 - Google Patents
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Description
加熱シリンダは、導波管内に設けられ、上方から供給された樹脂材料がマイクロ波により加熱される。
プランジャは、加熱シリンダに摺動可能に収容され、加熱シリンダ内の樹脂材料を加圧可能である。プランジャ駆動手段は、プランジャを往復移動させるよう駆動する。
ノズルは、「加熱シリンダの内径よりも小径であって加熱シリンダ底部の絞り部に連通し、加熱シリンダ内で加熱溶融された溶融樹脂が逐次外部に排出される排出孔」を形成する。ここで、絞り部は、電界集中部に重なる位置に形成されていることを特徴とする。
そこで、加熱シリンダの内壁とプランジャの外壁との間に、樹脂材料の溶融時に発生し加熱シリンダ内の未溶融樹脂材料の隙間を上昇したガスが外部に排出されるガス抜き経路が形成されることが好ましい。
(一実施形態)
本発明の樹脂加熱溶融装置を、射出成形機に適用した実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
天板52は、固定プラテン55から支柱53によって、樹脂加熱溶融装置10の上方に配置され、プランジャ駆動手段45が取り付けられる。
これらの構成は一般の射出成形機と同様であるので、詳細な説明を省略する。さらに、一般の射出成形機に付随する制御盤、型温調装置、取出機等の周辺機器についても図示及び説明を省略する。
金型60の構成についても一般の射出成形金型と同様であるので、詳細な図示及び説明を省略する。
図1、図2に示すように、樹脂加熱溶融装置10は、高周波発振器11、導波管15、ポット25に形成された加熱シリンダ26、ノズル30、プランジャ40、プランジャ駆動手段45等を備えている。
高周波発振器11は、いわゆる「マグネトロン」であり、マイクロ波を発生する。高周波発振器11の周波数としては、例えば電子レンジ等に用いられる2.45GHz帯を用いることが好ましい。
加熱シリンダ26の底部には、加熱シリンダ26の内径よりも小径の排出孔28がノズル30側から連通している。加熱シリンダ26の底部は、大径部分から小径の排出孔28に縮径する略テーパ状の「絞り部27」となっている。
また、ノズル30の中心軸に沿って、小径の排出孔34が形成されている。排出孔34は、加熱シリンダ26の絞り部27から先端部33の開口35までを連通する。
金属部41は、プランジャ管20等と共に、導波管15の上板16に電気的に接続する導電体の経路の一部を構成する。逃がし部42及び摺動部43は、ポット25と同様、セラミック等の低誘電率かつ低誘電損失体で形成されている。摺動部43の外径は、加熱シリンダ26の内径よりもわずかに小さく設定されている。逃がし部42の外径は、摺動部43の外径よりも小さく設定されている。また、樹脂材料に対向する摺動部43の先端面44は、中央部から周縁に向かって上方に傾斜するテーパ状に形成されている。
プランジャ管20の一方の壁には材料供給口21が形成されている。シャッター管22は、材料供給口21を覆うようにプランジャ管20の周囲に回転可能に設けられている。図2に両矢印Shで示すようにシャッター管22を回転させることにより、シャッター管22の窓23と材料供給口21の位置とが一致する「開位置」と、シャッター管22の窓23と材料供給口21の位置とがずれる「閉位置」とを切り替えることができる。
また、導電体である金属部分は、導波管15の一部を構成する役割を担い、それ自体は誘電加熱されない。
ここで、誘電加熱における上昇温度ΔTに影響する、誘電体が吸収するマイクロ波電力P1の一般式は、式1のようである。
P1=2πf×ε0×εr×tanδ×E2 [W/m3] ・・・(1)
f:マイクロ波の周波数
ε0:真空の誘電率
εr:材料の誘電率
tanδ:材料の誘電正接
よって、絞り部27を電界集中部Ecに重なる位置に設けることで、マイクロ波のエネルギーを効率的に樹脂材料に吸収させることができる。
このとき、高周波発振器11はOFFであり、プランジャ40は停止している。
このとき、絞り部27よりも上部の樹脂材料71は、溶融温度に達することなく固形ペレット状を維持している。すなわち、高周波発振器11は、絞り部27の樹脂材料のみをピンポイントで加熱し、過剰な熱エネルギーによって上部の樹脂まで溶融させないよう、加熱時間等の条件が適切に設定されている。
本実施形態の樹脂加熱溶融装置10は、以下の作用効果を奏する。
(1)加熱シリンダ26内の樹脂材料71は、マイクロ波を用いた誘電加熱により、誘電体である樹脂の内部から直接加熱されるため、熱伝導、熱伝達、熱輻射等の間接加熱に比べて、周辺部分を不要に加熱する熱エネルギーロスを低減することができ、加熱効率が向上する。したがって、同一量の樹脂材料を加熱溶融するための装置の体格を小型化することができる。
上記実施形態では、射出成形機に適用され、ノズル30の排出孔34から金型に直接樹脂を充填する樹脂加熱溶融装置10について説明した。
その他、例えばプリプラ式射出成形機の樹脂加熱溶融側に本発明の樹脂加熱溶融装置を適用し、射出側に、溶融樹脂を金型内へ充填する射出プランジャを別途設ける構成としてもよい。この構成では、射出プランジャを用いることで射出圧等の制御性が向上する。
以上、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施することができる。
11 ・・・高周波発振器、
15 ・・・導波管、
26 ・・・加熱シリンダ、 27 ・・・絞り部、
30 ・・・ノズル、 34 ・・・排出孔、
40 ・・・プランジャ、
45 ・・・プランジャ駆動手段、
71 ・・・(固形の、未溶融)樹脂材料、 72 ・・・溶融樹脂、
Ec ・・・電界集中部。
Claims (4)
- 固形の樹脂材料(71)を加熱溶融する樹脂加熱溶融装置(10)であって、
マイクロ波を発生する高周波発振器(11)と、
前記高周波発振器が発生したマイクロ波を導き、波長に応じた位置に電界集中部(Ec)を生成する導波管(15)と、
前記導波管内に設けられ、上方から供給された樹脂材料がマイクロ波により加熱される加熱シリンダ(26)と、
前記加熱シリンダに摺動可能に収容され、前記加熱シリンダ内の樹脂材料を加圧可能なプランジャ(40)と、
前記プランジャを往復移動させるよう駆動するプランジャ駆動手段(51)と、
前記加熱シリンダの内径よりも小径であって前記加熱シリンダ底部の絞り部(27)に連通し、前記加熱シリンダ内で加熱溶融された溶融樹脂(72)が逐次外部に排出される排出孔(34)を形成するノズル(30)と、
を備え、
前記絞り部は、前記電界集中部に重なる位置に形成されていることを特徴とする樹脂加熱溶融装置。 - 前記加熱シリンダの内壁と前記プランジャの外壁との間に、樹脂材料の溶融時に発生し前記加熱シリンダ内の未溶融樹脂材料の隙間を上昇したガスが外部に排出されるガス抜き経路(29)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂加熱溶融装置。
- 前記プランジャは、樹脂材料に対向する先端面(44)が、中央部から周縁に向かって上方に傾斜するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂加熱溶融装置。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂加熱溶融装置と、
前記樹脂加熱溶融装置に樹脂材料を供給する材料供給手段(54)と、
前記樹脂加熱溶融装置の前記排出孔から排出された溶融樹脂が充填される金型(60)が取り付けられるプラテン(55、56)と、
前記金型を型締めする型締装置(58)と、
を備えることを特徴とする射出成形機(50)。
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