JP5833584B2 - 無線通信システム - Google Patents

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Description

本発明は、直接波の経路長差に依存する空間相関低減によりMIMO(Multiple−Input Multiple−Output)伝送を行う無線通信システムに関し、更に詳しくは、最適な無線周波数を選定することにより、アレーアンテナのアンテナ素子間隔等を電気的に調整して適正化するための技術に関する。
近年、ダウンロードキオスク形式の非接触高速無線伝送や、屋内ミリ波無線通信に代表されるように、見通しのある伝送路における無線通信方式の開発や実用化が進められている。また、従来、限られた周波数帯域を利用した高速伝送技術の一つに、MIMO伝送技術がある。MIMO伝送では、複数の送信アンテナから同一時間に同一周波数で異なる信号を送信し、送信機と受信機との間のマルチパス環境を利用することにより、受信側において信号処理により各信号を分離して復号する。これにより、使用する無線周波数帯域を広げることなく、送受信アンテナ素子数に応じて通信速度を向上させることができる。
一般に、MIMO伝送はマルチパスに富んだ環境で電波が伝搬すること、即ち、送受信アンテナ間の空間相関が低いことを前提としているが、送信機と受信機との間の環境がマルチパス環境でない場合、送受信される複数の信号の伝搬経路がほぼ等しくなり、アンテナ間の空間相関が増加する。このため、受信側において信号の分離が困難になり、チャネル伝送容量が減少する。ところが、非特許文献1に開示されているように、送信アンテナと受信アンテナとが近接して配置され、送受信アンテナ間の環境がマルチパス環境ではない近距離通信においてもMIMO伝送技術の適用が可能である。以下、近距離通信におけるMIMO伝送を近距離MIMO伝送と称す。非特許文献1に開示された技術によれば、近距離MIMO伝送において、送信機と受信機との間の伝送距離に応じてアレーアンテナのアンテナ素子間隔を適切に設定することにより、マルチパスのない環境でも送受信アンテナ間の空間相関が低くなり、高いチャネル伝送容量を達成することができる。
なお、非特許文献2には、近距離MIMO伝送において、非特許文献1に開示された技術に基づいてアンテナ素子間隔を最適化することにより復号処理を簡略化した簡易受信復号方式に関する技術が開示されている。
K. Nishimori, et al., "On the Transmission Method for Short-Range MIMO Communication," IEEE Transactions On Vehicular Technology, Vol. 60, No. 3, March 2011 pp.1247-1251. 平賀他、「マイクロストリップアンテナを用いた近距離MIMOの簡易受信復号」2012年電子情報通信学会総合大会講演論文集、B-1-211.
非特許文献1に示されているように、近距離MIMO伝送においては、最適なアンテナ素子間隔が設定された場合に最適なチャネル伝送容量を得ることができる。しかしながら、非特許文献1の技術によれば、例えば送信機と受信機との間の伝送距離の違いや伝送路の比誘電率の違い等により、最適なアンテナ素子間隔を与えるときの伝送路の条件に偏差が生じると、チャネル伝送容量が低下する。従って、例えばアレーアンテナの配置位置が伝送路の特性に応じた最適な位置からずれると、チャネル伝送容量が低下する。また、非特許文献2に開示された簡易受信復号方式によれば、上述の伝送路の条件に加え、最適なアンテナ素子間隔に偏差が生じると、チャネル伝送容量の低下は更に顕著になる。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、アレーアンテナの配置位置にずれがあっても、そのずれを電気的に補償し、チャネル伝送容量の低下を抑制することができる無線通信システムを提供することにある。
本発明の一態様による無線通信システムは、第1のアレーアンテナを有する第1の無線通信装置と、第2のアレーアンテナを有する第2の無線通信装置とを備え、前記第1のアレーアンテナと前記第2のアレーアンテナとの間を伝搬する直接波の経路長差に依存する空間相関の低減を利用して前記第1のアレーアンテナと前記第2のアレーアンテナとの間でMIMO伝送による無線通信を行う無線通信システムであって、前記第1のアレーアンテナを構成するアンテナ素子と前記第2のアレーアンテナを構成するアンテナ素子との間の伝送経路の電気長を取得する伝送路情報取得部と、前記伝送路情報取得部により取得された電気長に基づき、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置との間の無線通信に使用される無線周波数を取得する周波数取得部と、を具備することを特徴とする無線通信システムの構成を有する。
前記無線通信システムにおいて、例えば、前記周波数取得部は、前記電気長から、前記第1のアレーアンテナと前記第2のアレーアンテナとの間の送受信間隔と、前記第1および第2のアレーアンテナの各アンテナ素子間隔とを求め、前記送受信間隔とアンテナ素子間隔とから前記無線周波数を算出する。
前記無線通信システムにおいて、例えば、前記周波数取得部は、前記電気長から、前記第1のアレーアンテナと前記第2のアレーアンテナとの間の伝送経路の位相差を求め、前記位相差が所定値となるように前記無線周波数を選定する。
前記無線通信システムにおいて、例えば、前記周波数取得部は、前記第1の無線通信装置に備えられ、前記第2の無線通信装置は、前記第1の無線通信装置に備えられた前記周波数取得部により選定された前記無線周波数に関する情報の通知を受ける。
前記無線通信システムにおいて、例えば、前記周波数取得部は、前記第1の無線通信装置に備えられ、前記第2の無線通信装置は、前記第1の無線通信装置から受信された信号から、前記周波数取得部により選定された前記無線周波数を検出する。
本発明の一態様による無線通信システムは、第1のアレーアンテナを有する第1の無線通信装置と、第2のアレーアンテナを有する第2の無線通信装置とを備え、前記第1のアレーアンテナと前記第2のアレーアンテナとの間を伝搬する直接波の経路長差に依存する空間相関の低減を利用して前記第1のアレーアンテナと前記第2のアレーアンテナとの間でMIMO伝送による無線通信を行う無線通信システムであって、前記第1または第2のアレーアンテナにより受信された無線周波数信号を分岐し、前記分岐された各信号の位相および振幅を調整して合成を実施することにより前記無線周波数信号に重み付けを実施してMIMO多重化を実施する重み付け回路と、前記重み付け回路の出力端子において不要信号の電力が最小となるように前記無線周波数を選定する周波数取得部と、を具備することを特徴とする無線通信システムの構成を有する
本発明は、次のように言い換えることができる。
本発明の一態様による無線通信システムは、直接波の経路長差に依存する空間相関低減によりMIMO伝送を行う無線通信システムであって、MIMO伝送路のうちの各経路の電気長を取得し送信周波数を計算する最適周波数算出部を具備し、送信無線周波数および受信無線周波数を設定する機能を具備することを特徴とする無線通信システムの構成を有する
本発明によれば、アレーアンテナの配置位置のずれを電気的に補償することができる。これにより、アレーアンテナの配置位置にずれがあっても、チャネル伝送容量の低下を抑制することが可能になる。
本発明の原理を説明するための説明図である。 本発明の第1実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態による無線通信システムの動作(伝送路情報から無線周波数を直接的に選定する動作モード1)の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態による無線通信システムにおける伝送距離(D)と最適なアンテナ素子間隔(dopt/λ)との関係の一例を示す特性図である。 本発明の第1実施形態による無線通信システムの動作(伝送路情報のフィードバックに基づいて無線周波数を選定する動作モード2)の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の第4実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の第5実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の第6実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の第7実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の第7実施形態による無線通信システムが備える重み付け回路の構成例を示すブロック図である。 本発明の第8実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
(本発明の原理)
本発明の実施形態を説明するに先だって、図1および後述の図4を参照して、本発明の原理を説明する。
図1は、本発明の原理を説明するための説明図である。図1において、送信側のアレーアンテナARYTと受信側のアレーアンテナARYRは対向配置されており、これらのアレーアンテナ間の距離、即ち伝送距離はDである。また、送信側のアレーアンテナARYTおよび受信側のアレーアンテナARYRの各アンテナ素子間隔はdである。図4は、伝送距離Dと最適なアンテナ素子間隔doptとの関係の一例を示す特性図である。図4において、Mは、各アレーアンテナのブランチ数を示している。
図1において、送信側のアレーアンテナARYTと受信側のアレーアンテナARYRとの間の無線伝送路の特性を数値的に表現する伝送路行列Hは、一般に、式(1)のように2行2列の複素行列で表される。式(1)において、hjiは(i,jは、正の整数であり、本実施形態では2以下の整数)、図1に示す送信側のアレーアンテナARYTを構成するアンテナン素子Txi(i=1,2)から、受信側のアレーアンテナARYRを構成するアンテナ素子Rxj(j=1,2)への電波伝搬経路Hjiの伝送特性を示す複素数定数である。
Figure 0005833584
前述の非特許文献2によれば、チャネル伝送容量が最大となる伝送路行列Hは、式(2)で表される。式(2)において、αは正の実数、h11は式(1)と同じ複素数定数である。式(2)に示される伝送路行列Hにおける2行1列の成分と1行1列の成分との偏角の差(位相差)は90°である。これを図1の構成に適用すると、上述の式(1)において、2行1列の成分と1行1列の成分との偏角の差が90°+180°×k(k=0,1,2,3,…)のとき、空間相関が最小となりチャネル伝送容量が極大値をとる。また、上記の偏角の差が180°×kの値をとる場合には、空間相関が増大し、チャネル伝送容量が著しく低下して極小値をとる。
Figure 0005833584
ここで、伝送路を伝搬する電波の位相角(0から無限大までの任意の数で表される位相角)を用いて図1に示す電波伝搬経路Hjiの長さを定義することとし、この位相角を用いて定義された電波伝搬経路の長さを「電気長」と称す。例えば、360°の位相角で表される電気長は、1波長に相当する電波伝搬経路の長さを表し、540°の位相角で表される電気長は、1.5波長に相当する電波伝搬経路の長さを表す。電波伝搬経路を伝搬する電波の無線周波数が変化すると波長および位相角が変化するから、電気長は、無線周波数に依存する量である。従って、伝送距離Dやアンテナ素子間隔dに変化がなくても、無線周波数が変化すれば、電気長は変化する。
上記の偏角の差は、図1に示す電波伝搬経路H21(式(1)のh21で表される伝送特性を有する経路)の電気長と電波伝搬経路H11(式(1)のh11で表される伝送特性を有する経路)の電気長との差D’と一致し、この電気長の差D’は、伝送路を伝搬する電波の無線周波数に依存する。即ち、上記の偏角の差は、電波の無線周波数に依存する。本発明では、電波の無線周波数を変更することにより、上記の偏角の差を90°+180°×kに近づけ、これにより空間相関を低減させ、チャネル伝送容量を改善する。
ところで、図1に示す電波伝搬経路H21の電気長(位相角)と電波伝搬経路H11の電気長(位相角)との差D’は、伝送距離Dとアンテナ素子間隔dに依存する量でもある。従って、上記の電気長の差D’を変更することは、伝送距離Dとアンテナ素子間隔dを変更することと等価であるから、無線周波数を変更することにより電気長の差D’を変更することは、伝送距離Dとアンテナ素子間隔dを電気的に変更するものと言える。このように、本発明は、無線周波数を変更することにより、上記の偏角の差が90°+180°×kに近づくように、望ましくは、上記の偏角の差が90°+180°×kになるように、伝送距離Dとアンテナ素子間隔dを電気的に変更し、これにより空間相関を低減させ、チャネル伝送容量を改善する。
ところで、非特許文献1の技術によれば、図4に示されるように、伝送距離Dによって最適なアンテナ素子間隔doptは異なるため、伝送距離Dが変化した場合に最大のチャネル容量を得るには、この伝送距離Dの変化に合わせて、アンテナ素子間隔dを等価的に変化させる必要がある。この点について、上述したように、本発明の原理によれば、無線周波数を変更することにより、伝送距離Dとアンテナ素子間隔dを電気的に変更することができるので、変化後の伝送距離Dに対して最適なアンテナ素子間隔doptを実現することができる。従って、本発明によれば、例えば、伝送距離Dにずれが生じ、この伝送距離Dに対して最適なアンテナ素子間隔doptにずれが生じたとしても、最適なアンテナ素子間隔doptのずれを電気的に補償することができ、チャネル伝送容量の低下を抑制することが可能になる。
なお、上述の説明では、伝送路を伝搬する電波の位相角を用いて電気長を定義したが、波長を用いて電気長を定義してもよく、電波の他の任意の電気的特性を用いて電気長を定義してもよい。
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、送信ブランチ数が2であり、受信ブランチ数が2である場合、即ち、本発明を2×2MIMO伝送に適用した場合を例として本発明の実施形態を説明するが、本発明は、ブランチ数が3以上の場合にも同様に適用することが可能である。
[構成の説明]
図2は、本発明の第1実施形態による無線通信システム1の構成例を示すブロック図である。
本実施形態による無線通信システム1は、アンテナ素子100−1,100−2から構成された第1のアレーアンテナ(以下、「アレーアンテナARY1」と称す。)ARY1を有する無線通信装置(第1の無線通信装置)100と、アンテナ素子200−1,200−2から構成された第2のアレーアンテナ(以下、「アレーアンテナARY2」と称す。)を有する無線通信装置(第2の無線通信装置)200とを備え、アレーアンテナARY1とアレーアンテナARY2との間を伝搬する直接波の経路長差に依存する空間相関の低減を利用して、アレーアンテナARY1とアレーアンテナARY2との間でMIMO伝送による無線通信を行うものである。なお、上述のアレーアンテナARY1,ARY2およびアンテナ素子100−1,100−2,200−1,200−2は、それぞれ、図1のアレーアンテナARYT,ARYRおよびアンテナ素子Tx1,Tx2,Rx1,Rx2に対応している。
無線通信システム1を構成する無線通信装置100は、データ入出力インターフェース101、データ処理部102、変調部103、周波数変換部104、送信・受信アンテナ共用器(デュプレクサーまたはダイプレクサー)105、周波数変換部106、復調部107、伝送路情報取得部108、最適周波数算出部(周波数取得部)109、局部発振器110、アンテナ素子100−1,100−2から構成される。
ここで、データ入出力インターフェース101は、外部から送信データDX1を取り込むと共に受信データRX1を外部に出力するためのものである。データ処理部102は、符号化処理または復号化処理等を実施するものである。変調部103は、例えばBPSK(Binary Phase Shift Keying)等の変調処理を行うものである。周波数変換部104は、変調信号に基づいて、局部発振器110からの局部発振信号を周波数変換して送信信号を生成するものである。送信・受信アンテナ共用器105は、アンテナ素子100−1,100−2を送信アンテナまたは受信アンテナとして共用するためのものである。周波数変換部106は、局部発振器110からの局部発振信号を用いて受信信号を周波数変換するものである。復調部107は、周波数変換された受信信号を復調するためのものである。
伝送路情報取得部108は、無線通信装置100が備えるアレーアンテナARY1を構成するアンテナ素子100−1,100−2と、無線通信装置200が備えるアレーアンテナARY2を構成するアンテナ素子200−1,200−2との間の伝送経路の電気長を取得するものである。最適周波数算出部(周波数取得部)109は、伝送路情報取得部108により取得された電気長に基づき、無線通信装置100と無線通信装置200との間の無線通信に使用される無線周波数を取得するものである。
一方、無線通信システム1を構成する無線通信装置200は、データ入出力インターフェース201、データ処理部202、変調部203、周波数変換部204、送信・受信アンテナ共用器(デュプレクサーまたはダイプレクサー)205、周波数変換部206、復調部207、伝送路情報取得部208、最適周波数算出部(周波数取得部)209、局部発振器210、アンテナ素子200−1,200−2から構成され、それぞれ、無線通信装置100が備えるものと同様のものであり、その説明は省略する。
[動作の説明]
本発明の原理において説明したように、本実施形態による無線通信システム1は、無線周波数を変更することにより、アンテナ間の前述の電波伝搬経路間の偏角の差が90°+180°×kに近づくように(好ましくは、上記の偏角の差が90°+180°×kとなるように)、伝送距離Dとアンテナ素子間隔dを電気的に変更するが、本実施形態では、無線周波数の選定の手法として、アンテナ間の電気長から最適な無線周波数を直接的に求める手法と、アンテナ間の電気長の位相差が所定値(90°)となるようにフィードバック動作を実施することにより最適な無線周波数を求める手法の2つの手法を用いることができる。以下では、アンテナ間の電気長から無線周波数を直接的に求める手法に基づく動作を動作モード1とし、フィードバック動作により無線周波数を求める手法に基づく動作を動作モード2として順に説明する。
(1)動作モード1
動作モード1では、最適周波数算出部(周波数取得部)109は、アンテナ間の電気長から、無線通信装置100が備えるアレーアンテナARY1と無線通信装置200が備えるアレーアンテナARY2との間の伝送距離Dと、上記アレーアンテナARY1,ARY2の各アンテナ素子間隔d(d1,d2)とを求め、これら伝送距離Dとアンテナ素子間隔dとから無線周波数を算出する。ただし、本実施形態では、アンテナ素子間隔dは既知であるものとし、例えばd1=d2とするが、これに限定されない。
図3は、本実施形態による無線通信システム1の動作モード1による動作の流れの一例を示すフローチャートであり、アンテナ間の電気長等の伝送路情報から最適な無線周波数を直接的に算出する手法のフローを示す。
まず、各アンテナ素子からトレーニング信号を送受信して伝送路を測定する(ステップS2−1)。例えばアンテナ素子100−1とアンテナ素子200−1との間でトレーニング信号を送受信して、図1に示す電波伝搬経路H11における電波の伝搬時間を測定する。伝送路情報取得部108は、トレーニング信号を用いた測定結果から、MIMO伝送路内の各電波伝搬経路の電気長を求め、最適周波数算出部109に供給する(ステップS2−2)。ここで、電波伝搬経路H11の電気長は、例えば、アンテナ素子100−1からアンテナ素子200−1に電波が到達するまでの時間から算出することができる。電波伝搬経路H21や他の電波伝搬経路についても同様である。本実施形態では、上記の電気長からアンテナ間の伝搬距離Dを算出する。
最適周波数算出部109は、伝送路情報取得部108により取得された電気長(伝搬距離D)と既知のアンテナ素子間隔dとから、前述の偏角の差が90°+180°×kとなるような最適な無線周波数を計算して選定する(ステップS2−3)。この最適な無線周波数の計算は、例えば、ブランチ数が2の場合、後述の第7実施形態の式(4)等を用いて実施することができる。また、最適な無線周波数を選定する手法としては、上述の式(4)等を用いる手法のほか、図4に示す伝送距離(D)と最適なアンテナ素子間隔(dopt/λ)との関係に基づいて選定する手法を用いることができる。
図4は、本実施形態による無線通信システム1における伝送距離(D)と最適なアンテナ素子間隔(dopt/λ)との関係の一例を示す特性図であり、アンテナ素子100−1,100−2,200−1,200−2を正方形の頂点に配置した場合の関係を示す。この図において、Mはブランチ数を表す。例えば、図4のような特性の情報に基づき最適な無線周波数を計算してテーブルとして保持しておけば、上述の手法のような計算を実行することなく、テーブルを参照することにより最適な無線周波数を選定することができる。
最適周波数算出部109は、選定した最適な無線周波数に基づいて、周波数変換部104,106に供給される局部発振信号を生成する局部発振器110の発振周波数を設定する(ステップS2−3)。
以上により、無線周波数の選定が完了し(ステップS2−4)、その後、無線通信装置100は、選定した最適な無線周波数を用いて通信を開始する。
無線通信装置200の動作も無線通信装置1と同様に説明することができる。この場合、無線通信装置200が備える伝送路情報取得部208および最適周波数算出部209はそれぞれ、無線通信装置100が備える伝送路情報取得部108および最適周波数算出部109と同様に機能して、最適な無線周波数を選定する。
(2)動作モード2
次に、伝送路情報のフィードバックに基づき最適な無線周波数を求める手法を説明する。動作モード2では、最適周波数算出部(周波数取得部)109は、伝送路情報である上記の電気長から、アレーアンテナARY1とアレーアンテナARY2との間の伝送経路の位相差を求め、この位相差が所定値となるように無線周波数を選定する。本実施形態では、上記の所定値は、前述の本発明の原理で述べたチャネル伝送容量が極大となるときの偏角の差「90°+180°×k」である。
図5は、本実施形態による無線通信システム1の動作モード2による動作の流れの一例を示すフローチャートであり、伝送路情報のフィードバックに基づき最適な無線周波数を求める手法のフローを示す。
まず、無線通信装置100において、最適周波数算出部(周波数取得部)109は、局部発振器110の発振周波数の初期値として所定の周波数を設定する(ステップS3−1)。そして、伝送路情報取得部108は、上述の動作モード1と同様に、所定の周波数のトレーニング信号の送受信を実施して伝送路の特性を測定する(ステップS3−2)。続いて、伝送路情報取得部108は、受信信号から各電波伝搬経路の電気長を求める(ステップS3−3)。例えば、伝送路情報取得部108は、アンテナ素子100−1からアンテナ素子200−1に電波が到達するまでの時間から、図1の電波伝搬経路H11の電気長を測定する。
続いて、伝送路情報取得部108は、受信信号の無線周波数が、「伝送路内の各経路の位相差が最適値である」、または「設定可能な無線周波数上限に達している」、または「設定可能な無線周波数下限に達している」のいずれかの条件を満足しているかどうかを判定する(ステップS3−4)。ここで、ステップS3−4において、伝送路情報取得部108は、上記の判定の結果が真の場合(ステップS3−4:YES)、無線周波数の選定を完了する(ステップS3−5)。この場合、無線通信装置100は、初期値として選定した無線周波数で無線通信装置200との通信を開始する。
一方、伝送路情報取得部108は、上記の判定の結果が偽の場合(ステップS3−4:NO)、伝送路内の各電波伝搬経路の位相差が最適値より大きいかどうかを判定する(ステップS3−6)。ここで、伝送路情報取得部108は、この判定の結果が真の場合(ステップS3−6:YES)、ある決まった幅で無線周波数を下げる(ステップS3−7)。これに対し、上記判定の結果が偽の場合(ステップS3−6:NO)、ある決まった幅で無線周波数を上げる(ステップS3−8)。そして、処理をステップS3−2に戻してトレーニングを再試行する。
上記のステップS3−8において無線周波数を上げると、各経路を伝搬する電波の波長は短くなるため、電波伝搬経路長の差による位相差は大きくなる。逆に、上記のステップS3−7において無線周波数を下げると、各電波伝搬経路を伝搬する電波の波長は長くなるため、電波伝搬経路長の差による位相差は小さくなる。上記のステップS3−2〜S3−8は、ステップS3−4において、無線周波数が、「伝送路内の各経路の位相差が最適値である」、または「設定可能な無線周波数上限に達している」、または「設定可能な無線周波数下限に達している」のいずれかの条件nを満足するまで繰り返し実行される。最終的に、電波伝搬経路の位相差が最適値になるように無線周波数が選定される。
上述の第1実施形態では、無線周波数の選定手法として、無線通信装置100における動作モード1および動作モード2による手法を示したが、無線周波数の選定は無線通信装置100または線通信装置200どちらで実施しても良い。無線通信装置100,200のどちらか一方が無線周波数の選定を実施した後、他方の無線通信装置は、上記の一方の無線通信装置により選定された周波数に習って使用周波数を合わせれば良い。
本実施形態によれば、近距離MIMO伝送システムにおいて、チャネル伝送容量の最大化の観点から、使用する無線周波数を選定し、設定することができる。これにより、伝送距離Dの最適値からのずれ、あるいはアンテナ素子間隔dの最適値からのずれが存在する場合に、そのずれを電子的に補償し、チャネル伝送容量を最大化することができる。
本実施形態では、電気長に基づいて最適な無線周波数を選定するものとしたが、後述する第7実施形態と同様に、例えば、無線通信装置200の最適周波数算出部209が、非特許文献2に開示されている近距離MIMO伝送用簡易受信復号方式で用いられる重み付け回路の出力端子において不要信号の電力が最小となるように無線周波数を選定するように構成してもよい。
<第2実施形態>
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
図6は、本発明の第2実施形態による無線通信システム2の構成を示すブロック図である。本実施形態による無線通信システム2は、無線通信装置100および無線通信装置200aを備える。本実施形態による無線通信システム2では、無線通信装置100のみが最適周波数算出部109を備え、上述の第1実施形態と同様の動作により無線周波数の算出と設定を実施する。一方、無線通信装置200aは、第1実施形態の無線通信装置200における伝送路情報取得部208と最適周波数算出部209に相当する構成を備えていない。その代わり、無線通信装置200aは、使用する無線周波数に関する情報の通知を無線通信装置100から受けて、その無線周波数を局部発振器210に設定するように構成される。例えば、無線通信装置100は、例えば所定の周波数のSISO伝送を用いて、MIMO伝送で使用する無線周波数に関する情報をアンテナ素子100−1から送信する。無線通信装置200aは、無線通信装置100からMIMO伝送で使用する無線周波数に関する情報をアンテナ素子200−1により受信し、この情報に基づいて局部発振器210に無線周波数を設定する。その他の構成および動作は第1実施形態と同様である。
<第3実施形態>
次に、図7を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図7は、本発明の第3実施形態による無線通信システム3の構成を示すブロック図である。本実施形態による無線通信システム3は、無線通信装置100および無線通信装置200bを備える。本実施形態による無線通信システム3では、上述の第2実施形態と同様に、無線通信装置100のみが最適周波数算出部109を備え、上述の第1実施形態と同様の動作により無線周波数の算出と設定を実施する。無線通信装置200bは、第1実施形態の無線通信装置200における伝送路情報取得部208と最適周波数算出部209に代えて、無線周波数検出部220を備える。無線周波数検出部220は、無線通信装置100から受信された信号から、最適周波数算出部109により選定された無線周波数を検出し、この検出結果に基づいて無線通信装置200bが使用する無線周波数を選定し、この無線周波数に基づいて局部発振器210に発振周波数を設定する。その他の構成および動作は第1実施形態と同様である。
<第4実施形態>
次に、図8を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。
図8は、本発明の第4実施形態による無線通信システム4の構成を示すブロック図である。本実施形態による無線通信システム4は、無線通信装置100cおよび無線通信装置200cを備える。無線通信装置100cおよび無線通信装置200cは、それぞれ、第1実施形態における無線通信装置100および無線通信装置200と同様の動作により無線周波数の算出と設定を実施する。ただし、本実施形態では、第1実施形態で用いられていた伝送路情報取得部108,208を備えず、最適周波数算出部109,209が、それぞれ、データ処理部102,202から伝送路情報(電気長)を取得する。その他の構成および動作は第1実施形態と同様である。
<第5実施形態>
次に、図9を参照して、本発明の第5実施形態を説明する。
図9は、本発明の第5実施形態による無線通信システム5の構成を示すブロック図である。本実施形態による無線通信システム5は、無線通信装置100dおよび無線通信装置200dを備える、無線通信装置100dおよび無線通信装置200dは、第1実施形態と同様の動作により無線周波数の算出と設定を実施する。ただし、本実施形態では、第1実施形態で用いられていた伝送路情報取得部108,208と最適周波数算出部109,209を備えていない。その代わり、データ処理部102,202が、伝送路情報(電気長)に基づいて無線周波数を選定し、その無線周波数に基づいて局部発振器110,210の発振周波数を設定する。その他の構成および動作は第1実施形態と同様である。
<第6実施形態>
次に、図10を参照して、本発明の第6実施形態を説明する。
図10は、本発明の第6実施形態による無線通信システム6の構成を示すブロック図である。本実施形態による無線通信システム6は、無線通信装置100eおよび無線通信装置200eを備える。無線通信装置100eは、第1実施形態における無線通信装置100が備えるデータ処理部102、変調部103、周波数変換部104、送信・受信アンテナ共用器105、周波数変換部106、復調部107、伝送路情報取得部108、最適周波数算出部109、局部発振器110に代えて、それらの各動作に相当する処理をディジタル信号処理により実施する変復調データ処理部130を備える。また、無線通信装置200eは、第1実施形態における無線通信装置200が備えるデータ処理部202、変調部203、周波数変換部204、送信・受信アンテナ共用器205、周波数変換部206、復調部207、伝送路情報取得部208、最適周波数算出部209、局部発振器210に代えて、それらの各動作に相当する処理をディジタル信号処理により実施する変復調データ処理部230を備える。無線周波数の設定は、変復調データ処理部130,230におけるディジタル信号処理により実施される。その他の構成および動作は第1実施形態と同様である。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態を説明する。
図11は、本発明の第7実施形態による無線通信システム7の構成例を示すブロック図である。本実施形態による無線通信システム7は、非特許文献2に開示されている近距離MIMO伝送用簡易受信復号方式を用いることを前提として構成されている。この近距離MIMO伝送用簡易受信復号方式を使用する場合に本発明の効果が特に顕著になる。
ここで、非特許文献2に開示されている近距離MIMO伝送用簡易受信復号方式について簡単に説明する。近距離MIMO伝送用簡易受信復号方式においては、伝送路行列Hが前述の式(2)を満たす場合にMIMO伝送の信号分離をアナログ回路により実施する手法であるが、伝送路行列Hが式(2)の条件から離れるにつれて、チャネル伝送容量は低下する。式(2)において、2行1列の成分と1行1列の成分の間の偏角の差は90°であるから、電波伝搬経路H21の電気長と電波伝搬経路H11の電気長の差は90°である。言い換えると、電波伝搬経路H21と電波伝搬経路H11の長さの差はλ/4(λは使用する無線周波数における伝送路内での波長)である。各アレーアンテナを構成するアンテナ素子が、図1に例示するように、すべて同一平面内に配置されているとすると、式(3)が成り立つ。ここで、d=d1=d2である。
Figure 0005833584
式(3)の関係が満たされる場合、近距離MIMO伝送用簡易受信復号方式によれば最大のチャネル伝送容量が得られる。ここで、式(3)を変形すると、式(4)が得られ、最適な無線周波数foptは、式(4)から求められる。なお、式(4)において、cは伝送路内の媒質における光の速さを示す定数である。前述の第1実施形態による無線通信システム1では、式(4)を用いて無線周波数を直接的に選定している。
Figure 0005833584
本実施形態では、上述の非特許文献2に開示されている近距離MIMO伝送用簡易受信復号方式において用いられている重み付け回路の出力端子において不要信号の電力が最小となるように前記無線周波数を選定する。
図11に示す本実施形態による無線通信システム7は、アレーアンテナARY1を有する無線通信装置100fと、アレーアンテナARY2を有する無線通信装置200fとを備え、アレーアンテナARY1とアレーアンテナARY2との間を伝搬する直接波の経路長差に依存する空間相関の低減を利用して、アレーアンテナARY1とアレーアンテナARY2との間でMIMO伝送による無線通信を行うものである。本実施形態では、無線通信装置100fから無線通信装置200fに電波を送信する場合を想定して説明する。
無線通信装置100fは、データ入出力インターフェース101、データ処理部102、変調部103、周波数変換部104、送信・受信アンテナ共用器105、周波数変換部106、復調部107、局部発振器110、アンテナ素子100−1,100−2を備える。一方、無線通信装置200fは、データ入出力インターフェース201、データ処理部202、変調部203、周波数変換部204、送信・受信アンテナ共用器(デュプレクサーまたはダイプレクサー)205、重み付け回路250、レベル検出部240、周波数変換部206、復調部207、最適周波数算出部209、局部発振器210、アンテナ素子200−1,200−2を備える。なお、図11において、図2と同一符号が付された要素は同様の機能を有する。
本実施形態では、無線通信装置200fにおいて、アンテナ素子200−1,200−2と送信・受信アンテナ共用器205との間に重み付け回路250が備えられている。送信・受信アンテナ共用器205は、重み付け回路250の後段に設置され、送信・受信アンテナ共用器205の受信信号出力部には、受信信号レベルを検知する手段であるレベル検出部240が接続されている。
重み付け回路250は、アレーアンテナARY2により受信された無線周波数信号を分岐し、この分岐された各信号の位相および振幅を調整して合成することにより、無線周波数信号に重み付けを実施してMIMO多重化を実施するように構成されている。この重み付け回路250は、前述の式(2)に示す伝送路行列Hの逆行列に相当する信号処理を実施するように回路定数が設定されている。即ち、重み付け回路250の伝達関数は、無線周波数において、式(2)に示される伝送路行列Hの逆行列の特性もつマトリックスである。また、本実施形態では、最適周波数算出部(周波数取得部)209は、重み付け回路250の出力端子TB1,TB2において不要信号(干渉信号)の電力が最小となるように無線周波数を選定する。
図12は、無線通信システム7が備える重み付け回路250の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、重み付け回路250は、入力端子TA1,TA2、出力端子TB1,TB2、分配器251,252、移相器253,254、振幅調整器255,256、合成器257,258を備える。入力端子TA1,TA2には、それぞれ、図11に示すアンテナ素子200−1,200−2が接続される。分配器251の入力部は入力端子TA1に接続され、分配器251の第1出力部には移相器253の入力部が接続される。移相器253の出力部には合成器257の第1入力部が接続され、合成器257の出力部は出力端子TB2に接続される。分配器252の入力部は入力端子TA2に接続され、分配器252の第1出力部には移相器254の入力部が接続される。移相器254の出力部には合成器258の第1入力部が接続され、合成器258の出力部は出力端子TB2に接続される。また、分配器251の第2出力部には、振幅調整器255の入力部が接続され、この振幅調整器255の出力部には合成器258の第2入力部が接続される。分配器252の第2出力部には振幅調整器256の入力部が接続され、この振幅調整器256の出力部には合成器257の第2入力部が接続される。出力端子TB1,TB2には送信・受信アンテナ共用器205が接続される。
ここで、分配器251,252は、それぞれ、入力端子TA1,TA2からの信号を分岐(分配)するものである。移相器253,254は、それぞれ、分配器251,252からの分岐信号の移相を90°だけ遅らせるものである。振幅調整器255は、分配器251から移相器253を介して合成部257に供給される信号の振幅と、分配器251から振幅調整部255を介して合成器258に供給される信号の振幅との比が所定の振幅比を有するように、分配器251からの信号の振幅を調整するものである。本実施形態では、上記所定の振幅比は、例えば「1:2−1/2」である。分配器251は、上記振幅比の第1項「1」に対応する重み付けされた振幅を有する信号を、移相器253を介して合成器257に供給し、振幅調整器255は、上記振幅比の第2項「2−1/2」に対応する重み付けされた振幅を有する信号を合成器258に供給する。
振幅調整器256は、分配器252から移相器254を介して合成部258に供給される信号の振幅と、分配器252から振幅調整部256を介して合成器257に供給される信号の振幅との比が上記の所定の振幅比を有するように、分配器252からの信号の振幅を調整するものである。本実施形態では、分配器252は、上記振幅比の第1項「1」に対応する重み付けされた振幅を有する信号を、移相器254を介して合成器258に供給し、振幅調整器256は、上記振幅比の第2項「2−1/2」に対応する重み付けされた振幅を有する信号を合成器257に供給する。
上述のように重み付け回路250の回路定数を設定することにより、この重み付け回路250は、前述の式(2)により表される伝送路行列Hの逆行列に相当する信号処理を実施するものとして構成されている。その他の構成は第1実施形態等と同様である。
次に、本実施形態による無線通信システム7の動作を説明する。
無線通信装置100fのアンテナ素子100−2から、ある無線周波数の正弦波信号が送信されると、この信号は、無線通信装置200fのアンテナ200−1および200−2において受信される。このとき、非特許文献2に記載されているように、重み付け回路250の出力に該当する出力端子TB2のみから受信信号が出力され、出力端子TB1からは受信信号が出力されないことが理想的な状態(干渉のない状態)であり、この場合、最大のチャネル伝送容量を確保することが可能になる。同様に、無線通信装置100fのアンテナ100−1から送信される信号は無線通信装置200fのアンテナ200−1および200−2において受信されるが、重み付け回路250の出力に該当する端子TB1のみから受信信号が出力され、出力端子TB2からは受信信号が出力されないことが理想的である。つまり、重み付け回路250の出力端子TB1から後段の処理回路に送られる信号は、無線通信装置100fのアンテナ100−1から送信される信号が所望信号であり、無線通信装置100fのアンテナ100−2から送信される信号は干渉信号である。非特許文献2に記載の近距離MIMO簡易受信復号方式において、伝送路と重み付けの条件が最適化された状態にあれば、上記の所望信号と干渉信号の比(以下、「SIR」と称す。)は最大化され、理論上、SIRは無限大となる。
本実施形態では、上記の通り、最適な無線周波数の選定は、無線通信装置200fにおいて実施される。具体的には、まず、無線通信装置200fは、無線通信装置100fに、アンテナ100−1から正弦波の試験信号を送信するよう指示する。この指示を受けて、無線通信装置100fは、アンテナ100−1から正弦波の試験信号を送信する。この時点では、MIMO伝送路は最適化されていないため(即ち、アンテナの配置が電気的に調整されていないため)、例えばBPSK(Binary Phase Shift Keying)を用いたSISO(Single-input and Single-output)伝送などの通信方法を利用して上記の指示を送信しても良い。このとき、無線通信装置200fにおいて、重み付け回路250の出力端子TB1に出力される上記試験信号は所望信号であり、出力端子TB2に出力される試験信号は干渉信号に該当する。そこで、送信・受信アンテナ共用器205の受信信号出力部に接続されたレベル検出部240は、上記所望信号および上記干渉信号の各レベルを検出してSIRを最適周波数算出部209に通知する。最適周波数算出部209は、レベル検出部240から通知されたSIRに基づいて、局部発振器210の発振周波数を制御し、無線通信装置200fから無線通信装置100fに送信する無線周波数を設定する。無線通信装置100fは受信した無線周波数と同じ周波数で上記試験信号を送信する動作に戻る。
続いて、無線通信装置200fの最適周波数算出部209は、試験信号の無線周波数の変更を指示し、この変更された無線周波数の電波が無線通信装置100fから無線通信装置200fに送信される。このように試験信号の無線周波数を変更しながら、無線通信装置100fと無線通信装置200fとの間で上記の動作が繰り返される。最適周波数算出部209は、上記の繰り返し動作の過程で使用した試験信号の無線周波数の中から、SIRが最大となる試験信号の無線周波数を選択し、この選択された無線周波数を、データのMIMO伝送に使用する無線周波数として決定する。このとき、最適無線周波数算出部209は、無線通信装置100f,200fが利用可能な周波数の範囲で、SIRが最大となるMIMO伝送に最も適した無線周波数を選択する。このように、本実施形態では、無線通信装置200fの最適周波数算出部(周波数取得部)209が、アレーアンテナARY1とアレーアンテナARY2との間で伝送される試験信号を受信したときの重み付け回路250における干渉信号レベルが最小となるように無線周波数を選定する。
なお、無線通信装置200fから無線通信装置100fに使用周波数を通知するために、無線通信装置200fの最適周波数算出部209は、MIMO伝送に使用する無線周波数に関する情報を無線通信装置200f内のデータ処理部202に供給しても良い。
<第8実施形態>
次に、図13を参照して、本発明の第8実施形態を説明する。
図13は、本発明の第8実施形態による無線通信システム8の構成を示すブロック図である。
上述の第7実施形態では、無線通信装置200fがレベル検出部240と最適周波数算出部209を備えたが、本実施形態による無線通信システム8は、第7実施形態のレベル検出部240と最適周波数算出部209に相当する要素として、図13に示すように、無線通信装置100gがレベル検出部160と最適周波数算出部109を備える。重み付け回路250は第7実施形態と同様に無線通信装置200g内に存置されるが、レベル検出部240と最適周波数算出部209は無線通信装置200gから除去されている。その他の構成は第7実施形態と同様である。
本実施形態では、最適な無線周波数の選定は、無線通信装置100gにおいて実施される。具体的には、まず、無線通信装置100gは、無線通信装置200gに、重み付け回路250の出力端子TB1に正弦波の試験信号を送信するように指示する。この指示を受けて、無線通信装置200gは、アンテナ素子200−1およびアンテナ素子200−2から正弦波の試験信号を送信する。この時点では、MIMO伝送路は最適化されていないため(即ち、アンテナの配置位置が電気的に調整されていないため)、例えばBPSK(Binary Phase Shift Keying)を用いたSISO(Single-input and Single-output)伝送などの通信方法を利用して上記の指示を送信しても良い。このとき無線通信装置100gにおいて、アンテナ素子100−1により受信される上記試験信号は所望信号であり、アンテナ素子100−2により受信される試験信号は干渉信号に該当する。そこで、レベル検出部160が、上記所望信号および上記干渉信号の各レベルを検出してSIRを最適周波数算出部109に通知する。最適周波数算出部109は、レベル検出部160から通信されたSIRに基づいて、局部発振器110の発振周波数を制御し、無線通信装置100gから無線通信装置200gに送信する無線周波数を設定する。無線通信装置200gは無線通信装置100gから受信した無線周波数と同じ周波数で上記試験信号を送信する動作に戻る。
続いて、無線通信装置100gの最適周波数算出部109は、試験信号の無線周波数を変更し、この変更された無線周波数の電波が無線通信装置100gから無線通信装置200gに送信される。このように試験信号の無線周波数を変更しながら、無線通信装置100gと無線通信装置200gとの間で上記の動作が繰り返される。最適周波数算出部109は、上記の繰り返し動作の過程で使用した試験信号の無線周波数の中から、SIRが最大となる試験信号の無線周波数を選択し、この選択された無線周波数を、データのMIMO伝送に使用する無線周波数として決定する。このとき、最適無線周波数算出部109は、無線通信装置100g,200gが利用可能な周波数の範囲で、SIRが最大となるMIMO伝送に最も適した無線周波数を選択する。
なお、無線通信装置100gから無線通信装置200gに使用周波数を通知するために、最適無線周波数算出部109は、MIMO伝送に使用する無線周波数に関する情報を無線通信装置100g内のデータ処理部102に供給しても良い。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意の変形や修正が可能である。
1,2,3,4,5,6,7,8…無線通信システム
100,100c〜100g…無線通信装置(第1の無線通信装置)
100−1,100−2…アンテナ素子
101…データ入出力インターフェース
102…データ処理部
103…変調部
104…周波数変換部
105…送信・受信アンテナ共用器
106…周波数変換部
107…復調部
108…伝送路情報取得部
109…最適周波数算出部
110…局部発振器
130,230…変復調データ処理部
160…レベル検出部
200,200a〜200g…無線通信装置(第2の無線通信装置)
200−1,200−2…アンテナ素子
201…データ入出力インターフェース
202…データ処理部
203…変調部
204…周波数変換部
205…送信・受信アンテナ共用器
206…周波数変換部
207…復調部
208…伝送路情報取得部
209…最適周波数算出部
210…局部発振器
220…周波数検出部
240…レベル検出部
250…重み付け回路
251,252…分配器(合成器)
253,254…移相器
255,256…振幅調整器
257,258…合成器(分配器)
ARY1,ARY2,ARYT,ARYR…アレーアンテナ

Claims (5)

  1. 第1のアレーアンテナを有する第1の無線通信装置と、第2のアレーアンテナを有する
    第2の無線通信装置とを備え、前記第1のアレーアンテナと前記第2のアレーアンテナと
    の間を伝搬する直接波の経路長差に依存する空間相関の低減を利用して前記第1のアレー
    アンテナと前記第2のアレーアンテナとの間でMIMO伝送による無線通信を行う無線通
    信システムであって、
    前記第1のアレーアンテナを構成するアンテナ素子と前記第2のアレーアンテナを構成
    するアンテナ素子との間の伝送経路の電気長を取得する伝送路情報取得部と、
    前記伝送路情報取得部により取得された電気長に基づき、前記第1の無線通信装置と前
    記第2の無線通信装置との間の無線通信に使用される無線周波数を取得する周波数取得部
    と、
    を具備することを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記周波数取得部は、
    前記電気長から、前記第1のアレーアンテナと前記第2のアレーアンテナとの間の送受信間隔と、前記第1および第2のアレーアンテナの各アンテナ素子間隔とを求め、前記送受信間隔とアンテナ素子間隔とから前記無線周波数を算出することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 前記周波数取得部は、
    前記電気長から、前記第1のアレーアンテナと前記第2のアレーアンテナとの間の伝送経路の位相差を求め、前記位相差が所定値となるように前記無線周波数を選定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  4. 前記周波数取得部は、前記第1の無線通信装置に備えられ、
    前記第2の無線通信装置は、前記第1の無線通信装置に備えられた前記周波数取得部により選定された前記無線周波数に関する情報の通知を受けることを特徴とする請求項2またはに記載された無線通信システム。
  5. 前記周波数取得部は、前記第1の無線通信装置に備えられ、
    前記第2の無線通信装置は、前記第1の無線通信装置から受信された信号から、前記周波数取得部により選定された前記無線周波数を検出することを特徴とする請求項またはに記載された無線通信システム。
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